説明

金属ワイヤの製造方法、ゴム物品補強用金属コード及び車両用タイヤ

【課題】 金属ワイヤの伸線加工性を殆ど損なうことなく、ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性の低下を抑制することができる金属ワイヤの製造方法及びゴム物品補強用金属コードを提供する。
【解決手段】 金属ワイヤを製造する場合、まず非シアンめっき浴によって、金属素線3の表面上にブラスめっき内層4aを形成し、引き続き非シアンめっき浴によって、ブラスめっき内層4a上にブラスめっき外層4bを形成する。このとき、ブラスめっき外層4bのCu含有比がブラスめっき内層4aのCu含有比よりも低くなるようにブラスめっき層4を形成する。続いて、ブラスめっき層4を419℃±30℃の温度で加熱する。そして、電解による化成皮膜処理によって、ブラスめっき層4の表面に燐酸鉄皮膜6を形成した後、伸線加工を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属素線の表面にブラスめっき層を施して成る金属ワイヤの製造方法、ゴム物品補強用金属コード及び車両用タイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用タイヤ等といったゴム物品の補強部材としては、補強効果に優れる金属コードが従来から多用されている。このようなゴム物品補強用金属コードは、複数本の金属ワイヤを撚り合わせて成る構造のものが一般的である。ゴム物品補強用金属コードを形成する金属ワイヤを製造する方法としては、例えば特許文献1に記載されている方法が知られている。
【0003】
特許文献1に記載のものでは、まず金属ワイヤの表面にCuめっき層に引き続きZnめっき層を形成して熱拡散処理を行うことにより、Cu含有比が55%以上のCu−Zn合金層(ブラスめっき層)を形成する。そして、その被覆金属ワイヤを燐酸塩化溶液中に浸漬させて、被覆金属ワイヤの表面に、所定量の燐を含有する燐酸塩を付着させる。その後、被覆金属ワイヤの伸線加工を行う。
【特許文献1】特公平7−8917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、ブラスめっき層のCu含有比を55%以上としているが、この下限レベルは、結晶組織としては延性の少ないβ相である。このため、ブラスめっき層のCu含有比が55%程度である場合には、被覆金属ワイヤの伸線加工性が悪化してしまう。一方、ブラスめっき層のCu含有比を高くしすぎると、ゴム物品に対する湿熱接着性及び経年接着性(以下、湿熱・経年接着性という)が低下するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、金属ワイヤの伸線加工性を殆ど損なうことなく、ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性の低下を抑制することができる金属ワイヤの製造方法、ゴム物品補強用金属コード及び車両用タイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金属素線の表面にCu−Zn合金からなるブラスめっき層を施して成る金属ワイヤの製造方法であって、Cu及びZnを含むと共にシアンを含まないめっき浴によって、金属素線の表面にブラスめっき層を複数層形成する工程と、ブラスめっき層を加熱する工程とを有し、ブラスめっき層を形成する工程においては、最外層のブラスめっき層のCu含有比を他のブラスめっき層のCu含有比よりも低くすることを特徴とするものである。
【0007】
ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性は、主にブラスめっき層の表面部の状態に影響されるのに対し、金属ワイヤの伸線加工性は、ブラスめっき層の表面部の状態だけでなく、ブラスめっき層の内側領域の状態にも影響されやすい。このため、金属ワイヤの湿熱・経年接着性及び伸線加工性を確保するためには、最外層のブラスめっき層のCu含有比を他のブラスめっき層のCu含有比よりも低くするのが好適である。
【0008】
ところで、ブラスめっき層を熱拡散方式により形成する場合には、拡散前の状態では、内層がCuめっき層、外層がZnめっき層の積層状態となるため、Cu含有比の勾配がつきやすく、めっき量のばらつきや拡散温度のばらつき等により、ブラスめっき層の層内Cu含有比が不均一になってしまう。従って、金属ワイヤの湿熱・経年接着性及び伸線加工性を確保することが困難になる場合がある。また、シアンを含むめっき浴によりブラスめっき層を形成する場合には、ブラスめっき層の形成後の洗浄によってシアンが環境保全上問題となってしまう。
【0009】
そこで本発明では、シアンを含まないめっき浴により金属素線の表面に複数層のブラスめっき層を形成することにより、各ブラスめっき層の層内Cu含有比の均一化が図られることになる。このため、金属ワイヤの伸線加工性を殆ど損なうことなく、ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性の低下を抑制することができる。また、シアンを含まないめっき浴を使用するので、シアンに起因した環境保全上の問題を避けることができる。
【0010】
好ましくは、ブラスめっき層を形成する工程においては、最外層のブラスめっき層の厚みを他のブラスめっき層の厚みよりも薄くする。シアンを含まないめっき浴を採用することで、各ブラスめっき層のCu含有比だけでなく、各ブラスめっき層の厚さを任意に設定することができる。この場合には、最外層のブラスめっき層のCu含有比を極端に低下させないようにするか、或いは最外層のブラスめっき層の厚さを金属ワイヤの湿熱・経年接着性が維持される程度に薄くすることにより、ブラスめっき層全体としては、金属ワイヤの伸線加工性をそれほど損ねないようにすることが可能となる。
【0011】
このとき、ブラスめっき層を形成する工程においては、最外層のブラスめっき層の厚みを0.1〜0.6μmにすることが好ましい。最外層のブラスめっき層の厚みを0.1μm以上にすることにより、金属ワイヤに対して例えば断面減少率が95%以上の苛酷な伸線加工を施す場合でも、当該ブラスめっき層の大部分が残存するため、金属ワイヤの経年接着性を確保することができる。また、最外層のブラスめっき層の厚みを0.6μm以下にすることにより、金属ワイヤの顕著な伸線加工性低下を確実に防止することができる。
【0012】
また、好ましくは、ブラスめっき層を加熱する工程においては、ブラスめっき層を419℃±30℃の温度で加熱する。419℃は、Znの融点温度であり、Cuの融点温度よりも低い。このようなZnの融点温度に近い温度でブラスめっき層を加熱することで、ブラスめっき層の酸化等を起こすことは殆ど無く、各ブラスめっき層のCu含有比の更なる均一化を図ることができる。
【0013】
さらに、好ましくは、ブラスめっき層を形成する工程においては、最外層のブラスめっき層のCu含有比を35〜59質量%にする。最外層のブラスめっき層のCu含有比を59質量%以下にすることにより、ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性の低下を十分に抑制することができる。また、最外層のブラスめっき層のCu含有比を35質量%以上にすることにより、金属ワイヤの伸線加工性に対して必要最低限の変形性能を確保することができる。
【0014】
このとき、ブラスめっき層を形成する工程においては、他のブラスめっき層のCu含有比を60〜70質量%にすることが好ましい。最外層を除く他のブラスめっき層のCu含有比を60質量%以上にすることにより、比較的柔らかくて延性を有するブラスめっき層が確実に得られるため、金属ワイヤの伸線加工性の向上に寄与させることができる。また、最外層を除く他のブラスめっき層のCu含有比を70質量%以下にすることにより、ブラスめっき層の耐食性が十分維持されるようになる。
【0015】
また、好ましくは、複数層のブラスめっき層を形成した後、ブラスめっき層に対して電解による化成皮膜処理を施すことにより、ブラスめっき層の表面に燐酸塩皮膜を形成する工程を更に有する。これにより、ブラスめっき層を燐酸塩化溶液中に浸漬させて燐酸塩皮膜を形成する、いわゆる非電解による化成皮膜処理を施した場合と異なり、ブラスめっき層の表面には燐酸塩皮膜が均一に形成されるようになる。従って、金属ワイヤの伸線加工を行うときに、ダイスに損傷等が生じにくくなるので、金属ワイヤの伸線加工性の向上に確実に寄与させることができる。
【0016】
このとき、燐酸塩皮膜を形成する工程においては、ブラスめっき層の表面に燐酸鉄皮膜を形成することが好ましい。線表面残留物を嫌うゴム物品補強用材料では、伸線用潤滑剤として湿式(液体)の潤滑剤が多用されている。また、燐酸塩皮膜としては燐酸亜鉛が一般的であるが、この燐酸亜鉛は、湿式潤滑剤との相性が悪い。このため、ブラスめっき層の表面に燐酸亜鉛皮膜を形成すると、かえって金属ワイヤの伸線加工性を悪化させる可能性がある。これに対し燐酸鉄は、湿式の伸線用潤滑剤との親和力があり、また皮膜の形成に支障をきたすことも殆ど無い。従って、燐酸塩皮膜として燐酸鉄皮膜を形成するのが最も好適である。
【0017】
そして、燐酸塩皮膜を形成する工程においては、燐酸鉄皮膜の付着量が5〜40mg/mとなるように、ブラスめっき層に対して電解による化成皮膜処理を施すことが好ましい。この場合には、燐酸鉄皮膜の付着量が少な過ぎることが無いので、金属ワイヤの伸線加工時に生じる金属ワイヤとダイスとの摩擦抵抗の増加が十分抑えられる。これにより、金属ワイヤの焼付きや断線を引き起こすことが確実に防止される。また、燐酸鉄皮膜の付着量が多過ぎることも無いので、伸線加工後に金属ワイヤの表面に燐酸鉄皮膜が残存し過ぎることは無い。これにより、ゴム物品に対する金属ワイヤの初期接着性の低下を十分抑制することができる。
【0018】
本発明のゴム物品補強用金属コードは、上記の金属ワイヤの製造方法により製造された金属ワイヤを用いて形成して成ることを特徴とするものである。このように上述した金属ワイヤの製造方法を採用することにより、金属ワイヤの伸線加工性を殆ど損なうことなく、ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性の低下を抑制することができる。
【0019】
本発明の車両用タイヤは、上記のゴム物品補強用金属コードを有することを特徴とするものである。このように上述した金属ワイヤを用いて形成して成るゴム物品補強用金属コードを設けることにより、金属ワイヤの伸線加工性を殆ど損なうことなく、ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、金属ワイヤの伸線加工性を殆ど損なうことなく、ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性の低下を抑制することができる。これにより、金属ワイヤを用いて得られたゴム物品補強用金属コードとゴム物品との接着性能を安定化させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る金属ワイヤの製造方法、ゴム物品補強用金属コード及び車両用タイヤの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係るゴム物品補強用金属コードの一実施形態を備えた車両用タイヤを示す断面図である。同図において、車両用タイヤ30はタイヤ本体31を備え、タイヤ本体31は、トレッド部32と、このトレッド部32の両端からタイヤ径方向内側に延びる1対のサイドウォール部33とを有している。タイヤ本体31の内部には、カーカス34及び2層のベルト部35が埋設されている。カーカス34は、トレッド部32から各サイドウォール部33にかけて設けられている。ベルト部35は、トレッド部32におけるカーカス34のタイヤ径方向外側に設けられている。
【0023】
ベルト部35は、図2に示すように、複数本のゴム物品補強用金属コード1を並列に配置した状態で、これらのゴム物品補強用金属コード1をゴム材36により一括して被覆してなるものである。ゴム物品補強用金属コード1は、車両用タイヤ30の補強材として使用されるものである。ゴム材36としては、ゴム物品補強用金属コード1との複合体を形成するため、特に接着性を考慮したコンパウンドを使用するのが望ましい。
【0024】
図3は、ゴム物品補強用金属コード1の斜視図であり、図4は、ゴム物品補強用金属コード1の拡大断面図である。各図において、ゴム物品補強用金属コード1は、3本の金属ワイヤ2A〜2Cを互いに螺旋状に撚り合わせて成るものである。金属ワイヤ2A〜2Cは、高炭素綱等の鋼線材からなる金属素線3と、この金属素線3の表面に形成され、Cu(銅)−Zn(亜鉛)合金からなるブラスめっき層4とを有している。
【0025】
ブラスめっき層4は、金属素線3の表面上に形成されたブラスめっき内層4aと、このブラスめっき内層4a上に形成されたブラスめっき外層4bとからなっている。ブラスめっき外層4bのCu含有比は、ブラスめっき内層4aのCu含有比よりも低くなっている。具体的には、ブラスめっき内層4aのCu含有比は、好ましくは60〜70質量%であり、ブラスめっき外層4bのCu含有比は、好ましくは35〜59質量%である。また、ブラスめっき外層4bの厚みは、ブラスめっき内層4aの厚みよりも小さくなっている。ブラスめっき内層4aの厚みは、例えば1.5〜2.5μm程度であり、ブラスめっき外層4bの厚みは、例えば0.1〜0.6μm程度である。
【0026】
金属ワイヤ2Aには、屈曲状の波付け部5が金属ワイヤ2Aの螺旋波状ピッチよりも細かいピッチで形成されている。金属ワイヤ2B,2Cには、そのような波付け部5は形成されていない。金属ワイヤ2Aに屈曲状の波付け部5を形成することにより、金属ワイヤ2Aと金属ワイヤ2B,2Cとの間には所定間隔毎に隙間が形成されることになる。このため、ゴム物品補強用金属コード1の内部へのゴムの浸透度が高くなるので、車両用タイヤ30の損傷部からの水の浸入によるゴム物品補強用金属コード1の腐食等を抑制することができる。
【0027】
次に、上記の金属ワイヤ2A〜2C(以下、まとめて金属ワイヤ2という)を撚り合わせて成るゴム物品補強用金属コード1を製造する方法について、図5及び図6により説明する。
【0028】
まず、金属素線3を非シアンめっき浴に浸漬させて、金属素線3の表面上にCu−Zn合金からなるブラスめっき内層4aを形成する(図5の工程101)。そして、このブラスめっき内層4aが形成された金属素線3を同様に非シアンめっき浴に浸漬させて、ブラスめっき内層4a上にCu−Zn合金からなるブラスめっき外層4bを形成する(図5の工程102)。これにより、金属素線3の表面にブラスめっき層4が形成されることとなる。
【0029】
非シアンめっき浴は、Cu及びZnを含むと共にシアンを含まないめっき浴である。このような非シアンめっき浴としては、例えば銅、亜鉛、糖蜜、カオリン粉末、ポテトデンプン、小麦麦芽粉末を含む非シアンめっき浴が使用される。また、これ以外にも、例えば銅塩、亜鉛塩、ピロリン酸のアルカリ金属塩及びポリリン酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種、オキシカルボン酸及びその塩の少なくとも1種、アミノ酸及びその塩の少なくとも1種を含む非シアンめっき浴を使用することもできる。
【0030】
このとき、ブラスめっき外層4bのCu含有比がブラスめっき内層4aのCu含有比よりも低くなると共にブラスめっき外層4bの厚みがブラスめっき内層4aの厚みよりも小さくなるようにブラスめっき層4を形成する。ブラスめっき内層4a及びブラスめっき外層4bのCu含有比の設定は、例えば非シアンめっき浴に含まれるCu及びZnの濃度(含有量)を随時調整することで比較的容易に行うことができる。
【0031】
このように非シアンめっき浴を用いて金属素線3の表面にブラスめっき内層4a及びブラスめっき外層4bを順次形成することにより、ブラスめっき層の厚み方向に対してCu含有比の勾配ができる熱拡散法(後述)を採用する場合と比べて、ブラスめっき内層4a及びブラスめっき外層4bの層内Cu含有比をそれぞれ均一にすることができる。また、シアンを含むめっき浴を用いてブラスめっき層を形成する場合と異なり、ブラスめっき層4の形成後の洗浄においてシアンが排出されることが無いため、シアンに起因した環境保全上の問題が発生することは無い。
【0032】
続いて、ブラスめっき層4を419℃(Znの融点温度)±30℃の温度で加熱する(図5の工程103)。このようにZnの融点温度近傍といった比較的低い温度でブラスめっき層4を加熱することにより、例えばブラスめっき層4の酸化を引き起こすことが防止される。また、ブラスめっき内層4a及びブラスめっき外層4bとの境界面のZn融着が促進されるため、伸線加工時において両層境界面の剥離を防止することもできる。従って、ブラスめっき内層4a及びブラスめっき外層4bの層内Cu含有比の均一性を更に向上させることができる。
【0033】
続いて、ブラスめっき層4に対して電解による化成皮膜処理を施すことにより、ブラスめっき層4の表面に燐酸鉄皮膜6を形成する(図5の工程104)。具体的には、例えば鉄イオン、燐酸イオン及び硝酸イオンを所定量ずつ含有する燐酸塩皮膜形成用の溶液を電解液として使用し、金属素線3を陰極にして電流を流すことにより、燐酸鉄皮膜6を形成する。このような電解方式による化成皮膜処理を施すことにより、ブラスめっき層4の表面に燐酸鉄皮膜6を均一に安定して形成することができる。
【0034】
続いて、電解による化成皮膜処理によって得られた金属ワイヤ2に対して伸線加工を施す(図5の工程105)。具体的には、図7に示すように、化成皮膜処理により得られた金属ワイヤ2を複数段のダイス7(図7では1つのみ図示)に通して引き抜くことにより、金属ワイヤ2の径を順次細くしていく。このとき、ダイス7に対する金属ワイヤ2の滑り性を良くするために、金属ワイヤ2の表面に伸線用潤滑剤を付着させた状態で伸線加工を行う。伸線用潤滑剤としては、湿式(液体)の潤滑剤が使用される。
【0035】
以上により、ブラスめっき層4が形成されてなる所望径の金属ワイヤ2が得られる。なお、金属ワイヤ2の最表面に形成された燐酸鉄皮膜6は伸線加工によって逐次脱落するため、伸線加工後には、金属ワイヤ2の表面に燐酸鉄皮膜6が殆ど存在しない状態となる。そして、このような金属ワイヤ2を複数本(ここでは3本)用意し、これらに対して撚線加工を施すことにより、上記のゴム物品補強用金属コード1が形成されることになる(図5の工程106)。
【0036】
ところで、ゴム物品補強用に供されるブラスめっき層の形成法としては、金属素線の表面にCu及びZnを順次めっきした後、熱拡散して合金化する拡散法が広く採用されている。ブラスめっき層が形成された金属ワイヤを有する近年のゴム物品補強用金属コードでは、ブラスめっき層のCu含有比の平均は63〜68wt%程度となっている。この場合には、ブラスめっき層の結晶組織としては、比較的柔らかくて延性に富むα相または(α+β)相であるため、ゴム物品に対する金属コードの初期接着性は良好になるが、ゴム物品に対する金属コードの湿熱・経年接着性は低下する。この対策としては、接着性低下の原因であるCuの腐食を抑制するために、熱拡散の温度制御によって金属ワイヤの最表面にCuが露出しないようにしたり、ブラスめっき層にCo、Ni等のめっき第3元素を添加したり、ブラスめっき層に化学合成物を付着させること等が挙げられるが、何れも根本的な対策には至っていないのが実状である。金属ワイヤの最表面のCu量を低減するには、熱拡散前のCu付着量を全体的に少なくすれば良いが、ブラスめっき層のCu含有比が63wt%より低くなると、凝固後のブラスめっき層の結晶組織としては(α+β)相からβ層となり、硬くて脆いブラスめっき層となり、金属ワイヤの伸線加工性が悪化してしまう。
【0037】
これに対し本実施形態では、Cu含有比を均一にすることが可能な非シアンめっき浴を用いて、金属素線3の表面上にブラスめっき内層4aを形成し、更にブラスめっき内層4a上にブラスめっき外層4bを形成することにより、金属素線3の表面に2層構造のブラスめっき層4を形成する。このとき、ブラスめっき外層4bのCu含有比をブラスめっき内層4aのCu含有比よりも低くする。このようにすることで、ブラスめっき外層4bはブラスめっき内層4aに比べてZnリッチの状態となるため、金属ワイヤ2の最表面においてCuに起因する腐食が抑制されるようになる。これにより、ゴム物品に対する金属ワイヤ2(ゴム物品補強用金属コード1)の湿熱・経年接着性の低下を抑制することができる。また、ブラスめっき内層4aはブラスめっき外層4bに比べてCuリッチの状態となるが、このブラスめっき内層4aはブラスめっき外層4bよりも厚いので、ブラスめっき層4としては、柔らかくて延性に富んだものの比率が多くなる。これにより、金属ワイヤ2の伸線加工性を損ねにくくすることができる。
【0038】
このとき、ブラスめっき外層4bのめっき厚さを0.1〜0.6μmと極力薄くし、ブラスめっき外層4bのCu含有比を35〜59質量%とすることにより、ゴム物品に対する金属ワイヤ2の湿熱・経年接着性の低下が一層抑制されると共に、ブラスめっき外層4bが金属ワイヤ2の伸線加工性に与える影響を最小限に抑えることができる。また、ブラスめっき内層4aのCu含有比を60〜70質量%とすることにより、金属ワイヤ2の伸線加工性の向上に寄与すると共に、Cuに対するブラスめっき層4の耐食性を十分維持することができる。さらに、ブラスめっき外層4bのめっき厚さを0.1μm以上とすることにより、金属ワイヤ2に対して例えば断面減少率が95%以上の苛酷な伸線加工を施す場合においても、ブラスめっき層4bの大部分が削り落とされること無く残るため、金属ワイヤ2の経年接着性を十分維持することができる。
【0039】
また、本実施形態では、電解方式による化成皮膜処理を用いて、ブラスめっき層4の表面に燐酸鉄皮膜6を均一に安定して形成することができる。従って、そのような燐酸鉄皮膜6が形成された金属ワイヤ2をダイス7に通して伸線加工を行うときに、金属ワイヤ2とダイス7との摩擦抵抗が低くなるため、ダイス7に与える影響が軽減され、ダイス7の寿命が長くなる。また、金属ワイヤ2の伸線加工性の向上に寄与するため、伸線後の金属ワイヤ2の表面性状が良好になると共に、金属ワイヤ2の断線を防止することができる。
【0040】
また、ブラスめっき層4に形成する燐酸塩皮膜を燐酸鉄皮膜6とするのは以下の通りである。即ち、金属ワイヤ2の伸線加工においては、上述したように湿式の伸線用潤滑剤が使用されるが、この湿式の伸線用潤滑剤に含まれる金属イオン(Cu、Zn等)が一定量を超えると、伸線用潤滑剤は劣化してしまう。燐酸塩皮膜を燐酸亜鉛皮膜とした場合には、伸線加工時に燐酸亜鉛皮膜に含まれるZnが脱落してイオン化することがあるため、伸線用潤滑剤の劣化を早めることになり、かえって金属ワイヤの伸線加工性を損ねてしまう。また、燐酸塩皮膜を燐酸マンガン皮膜や燐酸コバルト皮膜等とすることも考えられるが、燐酸マンガンや燐酸コバルト等は皮膜されにくいため、所望の皮膜量を得るにはコストアップとなる。一方、燐酸鉄は、湿式の伸線用潤滑剤との親和性が良好であり、皮膜形成にも殆ど支障をきたさないので、ブラスめっき層4に形成する燐酸塩皮膜として効果的である。
【0041】
このとき、化成皮膜処理後の燐酸鉄皮膜6の付着量が5〜40mg/mとなるように、電解方式による化成皮膜処理を行うのが好ましい。これにより、金属ワイヤ2の伸線加工時に、金属ワイヤ2とダイス7との摩擦抵抗が増大して金属ワイヤ2の焼付けや断線を起こすことを確実に防止できるだけでなく、金属ワイヤ2の伸線加工後には、ブラスめっき層4の表面に形成された燐酸鉄皮膜6が殆ど無くなるため、ゴム物品に対する初期接着性の低下を抑えることができる。
【0042】
以上のように本実施形態によれば、金属ワイヤ2の伸線加工性を殆ど損なうことなく、ゴム物品に対する金属ワイヤ2の湿熱・経年接着性の低下を抑えることができる。これにより、車両用タイヤ30に対するゴム物品補強用金属コード1の湿熱・経年接着性の低下を抑えることができるため、車両用タイヤ30とゴム物品補強用金属コード1との安定した接着性を確保することが可能となる。
【0043】
次に、本発明に係る金属ワイヤの製造方法についての実施例を以下に述べる。まず、表1に記載されているような複数種類のサンプルを製造した。
【表1】

【0044】
表1において、比較例1〜3のサンプルは、金属素線の表面にCuめっき層及びZnめっき層を積層した後、これらを490℃の温度で3.5秒間熱拡散させてブラスめっき層を形成したものである。実施例1〜8のサンプルは、非シアンめっき浴によって、金属素線の表面にブラスめっき内層及びブラスめっき外層を積層した後、これらを445℃の温度で3.5秒間加熱したものである。非シアンめっき浴としては、例えば銅、亜鉛、糖蜜、カオリン粉末、ポテトデンプン、小麦麦芽粉末からなるものを使用した。実施例4,6〜8のサンプルでは、電解方式による化成皮膜処理を用いて、ブラスめっき層の表面に燐酸鉄皮膜を形成してある。なお、金属素線としては、JIS規格SWRS 82A相当の炭素鋼を使用した。
【0045】
そして、20〜22段のダイスを有する湿式伸線機により各サンプルの伸線加工を行った。伸線加工前の金属ワイヤの線径は2.15mmであり、伸線加工後の最終的な金属ワイヤの線径(仕上径)は0.38mmである。各サンプルにおいて、めっき層のCu含有比や厚み、燐酸鉄皮膜の皮膜量は、表1に示す通りである。
【0046】
なお、実施例1〜8のサンプルにおいて、ブラスめっき内層の組成の分析測定は、ブラスめっき外層の形成後に行うことは困難であるため、事前にダミー線でブラスめっき内層の組成を分析測定し、その測定結果を表1に掲載している。ブラスめっき外層の組成の分析測定も、同様の方法により行っている。ただし、ブラスめっき外層の極表面Cu含有比については、ブラスめっき外層を形成して加熱した後に、X線回折装置により測定した。
【0047】
比較例1〜3及び実施例1〜8について、湿式伸線機による伸線速度を300m/min、400m/min、500m/min、600m/minとして、金属ワイヤの伸線加工を行った時の金属ワイヤの表面性状を確認した。その結果は、表1に示す通りである。なお、金属ワイヤの表面性状の評価基準を下記に示す。
○:金属ワイヤの表面に縦筋等が認められず平滑である(正常)
△:金属ワイヤの表面に縦筋等が認められる(異常)
×:伸線中に、金属ワイヤの断線発生。金属ワイヤの表面にかなりの縦筋等が認められる(異常)
【0048】
比較例1〜3では、ブラスめっき層の平均Cu含有比と極表面Cu含有比との差が大きい、つまりブラスめっき層のCu含有比が不均一であり、金属ワイヤの伸線加工性が悪い。特に比較例1では、ブラスめっき層の平均Cu含有比が58%であっても、伸線速度300m/minで伸線加工を行うと、金属ワイヤの断線が発生している。これに対し実施例1〜8では、ブラスめっき外層のCu含有比が均一になっている。また、ブラスめっき外層のCu含有比が比較例1に比べて同等以下であるにも拘らず、ブラスめっき内層のCu含有比が高いので、比較例1と比較して金属ワイヤの伸線加工性が良くなっている。特に実施例4〜8では、伸線速度500m/minで伸線加工を行っても、金属ワイヤの表面に縦筋等が発生していない。
【0049】
このような実験結果から、ブラスめっき外層のCu含有比を低くした場合でも、ブラスめっき内層のCu含有比をある程度高くし、しかも非シアンめっき浴を用いて、ブラスめっき内層及びブラスめっき外層をCu含有比の均一性が良くなるように形成することにより、金属ワイヤの伸線加工性が損なわれないと考えられる。
【0050】
また、比較例1〜3及び実施例1〜8について、接着性評価用の試験片を作成し、この試験片を用いて、ゴム物品に対する金属コードでの湿熱・経年接着性の試験を行った。
【0051】
具体的には、伸線速度400m/minで製作した3本の金属ワイヤを二度撚り撚線機で撚り合わせて、図3に示すような構造を有する金属コードとした。なお、比較例1の金属ワイヤについては、断線する迄の金属ワイヤの良好な部分を用いて、金属コードを作製した。
【0052】
また、図8に示すような接着性評価用の試験片10を、以下のようにして作製した。即ち、上記のようにして作製した金属コード11を約140mmに切断し、その金属コード11を幅49mmのゴムシート12に隙間無く並べた状態で、もう1枚のゴムシート13をかぶせてサンドイッチ状にした後、加圧力10Mp、温度165℃という初期接着評価条件で18分加圧加硫して、試験片10を得た。
【0053】
そして、この試験片10を、温度80℃、湿度95%という湿熱雰囲気のオーブンに120時間放置した後、非放置(初期接着評価用)も含めて試験片10の剥離試験を行った。
【0054】
具体的には、試験片10の剥離幅Wが40mmとなるように試験片10の両側からそれぞれ5mm内側の部分に切れ目14を入れ、矩形状のゴム把持部15を形成する。なお、ゴムシート13のコード/ゴム境界面におけるゴム把持部15に対応する部分には、金属コード11と接着されないようにセロハン(登録商標:図示せず)が予め貼り付けられている。そして、引っ張り試験機16によりゴム把持部15とゴムシート12の一端側部分とを挟み込んだ状態で、100mm/分の速度で、金属コード11とゴムシート13との境界面Kを剥離していくことにより、ゴム物品である試験片10に対する金属コード11の経年接着性の評価を行った。
【0055】
このとき、試験片10の剥離面Kについて、金属コード11がゴムで覆われている面積(金属コードのゴム被覆率)によって、下記の評点(1〜5点)を用いて接着性を評価した。
5点:金属コードのゴム被覆率が約100%
4.5点:金属コードのゴム被覆率が約90〜99%
4点:金属コードのゴム被覆率が約80〜89%
3.5点:金属コードのゴム被覆率が約70〜79%
3点:金属コードのゴム被覆率が約60〜69%
2.5点:金属コードのゴム被覆率が約50〜59%
2点:金属コードのゴム被覆率が約40〜49%
1.5点:金属コードのゴム被覆率が約30〜39%
1点:金属コードのゴム被覆率が約30%未満
◎:初期接着時の評点と120時間放置後の評点との差が1.0点以下
○:初期接着時の評点と120時間放置後の評点との差が1.1点〜1.6点
△:初期接着時の評点と120時間放置後の評点との差が1.7点〜2.3点
【0056】
金属コードの経年接着性の試験結果は、表1に示す通りである。比較例1〜3では、ブラスめっき層の平均Cu含有比が低くなるほど、金属コードの経年接着性が良くなっている。実施例1〜8でも、同様のことが言える。ただし、実施例1〜8では、比較例1〜3に比べてブラスめっき外層の極表面Cu含有比が高いにも拘わらず、比較例1〜3よりも良好な結果が得られた。
【0057】
このような実験結果から、ブラスめっき外層のCu含有比をブラスめっき内層のCu含有比よりも低くし、しかも非シアンめっき浴を用いて、ブラスめっき内層及びブラスめっき外層をCu含有比の均一性が良くなるように形成することにより、ゴム物品に対する金属コードの湿熱・経年接着性の低下が抑制されると考えられる。
【0058】
以上のような実施例によって、金属ワイヤの伸線加工性を損なうことなく、ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性の低下を十分抑制できるという本発明の効果が実証された。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態は、金属ワイヤ2のブラスめっき層4をブラスめっき内層4a及びブラスめっき外層4bからなる2層構造としたが、ブラスめっき層を3層以上としても良い。この場合には、最外層のブラスめっき層のCu含有比が他のブラスめっき層のCu含有比よりも低くなるように、複数層のブラスめっき層を形成すれば良い。このとき、最外層のブラスめっき層を他のブラスめっき層よりも薄くするのが好ましい。
【0060】
また、上記実施形態は、ゴム物品補強用金属コード1を車両用タイヤ30の中に埋設するものであるが、本発明のゴム物品補強用金属コードは、車両用タイヤの他に、搬送ベルトやホース等といったゴム物品の補強材としても適用可能である。
【0061】
さらに、上記実施形態では、3本の金属ワイヤ2A〜2Cでゴム物品補強用金属コード1を構成したが、ゴム物品補強用金属コードとしては、1本の金属ワイヤだけで構成しても良いし、複数本の金属ワイヤで構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係るゴム物品補強用金属コードの一実施形態を備えた車両用タイヤを示す断面図である。
【図2】図1に示すベルト部の断面図である。
【図3】図2に示すゴム物品補強用金属コードの斜視図である。
【図4】図3に示すゴム物品補強用金属コードの拡大断面図である。
【図5】図3に示すゴム物品補強用金属コードを製造する手順を示すフローチャートである。
【図6】図4に示す金属素線にブラスめっき層及び燐酸鉄皮膜を順次形成する工程を示す断面図である。
【図7】図6に示す金属ワイヤを伸線加工する方法を示す断面図である。
【図8】ゴム物品に対する金属ワイヤの湿熱・経年接着性の試験方法を示す図である。
【符号の説明】
【0063】
1…ゴム物品補強用金属コード、2,2A〜2C…金属ワイヤ、3…金属素線、4…ブラスめっき層、4a…ブラスめっき内層、4b…ブラスめっき外層、6…燐酸鉄皮膜(燐酸塩皮膜)、30…車両用タイヤ(ゴム物品)。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属素線の表面にCu−Zn合金からなるブラスめっき層を施して成る金属ワイヤの製造方法であって、
Cu及びZnを含むと共にシアンを含まないめっき浴によって、前記金属素線の表面に前記ブラスめっき層を複数層形成する工程と、
前記ブラスめっき層を加熱する工程とを有し、
前記ブラスめっき層を形成する工程においては、最外層の前記ブラスめっき層のCu含有比を他の前記ブラスめっき層のCu含有比よりも低くすることを特徴とする金属ワイヤの製造方法。
【請求項2】
前記ブラスめっき層を形成する工程においては、前記最外層のブラスめっき層の厚みを前記他のブラスめっき層の厚みよりも薄くすることを特徴とする請求項1記載の金属ワイヤの製造方法。
【請求項3】
前記ブラスめっき層を形成する工程においては、前記最外層のブラスめっき層の厚みを0.1〜0.6μmにすることを特徴とする請求項2記載の金属ワイヤの製造方法。
【請求項4】
前記ブラスめっき層を加熱する工程においては、前記ブラスめっき層を419℃±30℃の温度で加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の金属ワイヤの製造方法。
【請求項5】
前記ブラスめっき層を形成する工程においては、前記最外層のブラスめっき層のCu含有比を35〜59質量%にすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の金属ワイヤの製造方法。
【請求項6】
前記ブラスめっき層を形成する工程においては、前記他のブラスめっき層のCu含有比を60〜70質量%にすることを特徴とする請求項5記載の金属ワイヤの製造方法。
【請求項7】
前記複数層のブラスめっき層を形成した後、前記ブラスめっき層に対して電解による化成皮膜処理を施すことにより、前記ブラスめっき層の表面に燐酸塩皮膜を形成する工程を更に有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の金属ワイヤの製造方法。
【請求項8】
前記燐酸塩皮膜を形成する工程においては、前記ブラスめっき層の表面に燐酸鉄皮膜を形成することを特徴とする請求項7記載の金属ワイヤの製造方法。
【請求項9】
前記燐酸塩皮膜を形成する工程においては、前記燐酸鉄皮膜の付着量が5〜40mg/mとなるように、前記ブラスめっき層に対して前記電解による化成皮膜処理を施すことを特徴とする請求項8記載の金属ワイヤの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項記載の金属ワイヤの製造方法により製造された金属ワイヤを用いて形成して成ることを特徴とするゴム物品補強用金属コード。
【請求項11】
請求項10記載のゴム物品補強用金属コードを有することを特徴とする車両用タイヤ。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−270346(P2007−270346A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41010(P2007−41010)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(302061613)住友電工スチールワイヤー株式会社 (163)
【出願人】(504211429)栃木住友電工株式会社 (50)
【Fターム(参考)】