説明

金属化合物膜、その形成方法および金属化合物膜形成用基体

【課題】半導体素子の透明電極などに利用可能な、導電性の高い金属化合物膜と、その簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】結晶構造を有する酸化亜鉛などからなる金属化合物粒子1を含む粒子分散液をシリコン基板2に塗布し、金属化合物粒子を、基板平面方向にC軸配向する粒子が含まれるように基板に付着させる。この上に同じ金属化合物粒子を含む液を塗布し、付着した金属化合物粒子を核として結晶成長させる。焼成処理をして基板平面方向にC軸配向した金属化合物膜3の結晶粒を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属化合物膜、その形成方法および金属化合物膜形成用基体に関する。より詳細には、透明電極、透明トランジスタ、発光デバイス等に利用可能な導電性の高い金属化合物膜およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示用電極、太陽電池用電極あるいは透明トランジスタ用電極として、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO膜)等からなる透明導電性金属化合物膜が使用されている。また、発光デバイスには窒化ガリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛等からなる導電性金属化合物膜が使用されている。
これら導電性の金属化合物膜の形成方法としては、スパッタリング法、蒸着法、CVD法などの乾式法と、スプレー法、ディップコーティング法、スピンコーティング法などの湿式法とがある。
前記乾式法では、導電性が高く透明性の良好な金属化合物膜が容易に得られる有用な方法ではあるが、成膜装置が大掛かりで高価であり、また、減圧下での成膜が必要となるので生産性が低いという問題がある。
【0003】
これに対して、前記湿式法は、大気圧での成膜が可能であるため生産性が高く、また、成膜装置が簡易な構成であるため大きな設備費用を必要としない。湿式法のうち、特にスプレー法は、基板の成膜したい面にのみ均一に塗布液を噴霧する方法であるため、塗布液の無駄な消費が少なく、近年注目されている成膜方法である。このスプレー法により、透明導電膜としてITO膜を成膜した方法が特許文献1に開示されている。
特許文献1の方法では、塩化インジウムと塩化第一錫との混合物を水または有機溶剤あるいはそれらの混合液の溶媒に溶解させた塗布液を、300〜350℃に加熱した160mm角の基板に噴霧して成膜している。この方法では、塗布液の飛着による基板温度の低下を制御するため、雰囲気を200〜300℃に予熱しており、可視領域で透明性が高く、抵抗率が10-4Ωcm台前半の金属化合物膜が得られている。
【0004】
また、酸化亜鉛膜を成膜した方法が非特許文献1に開示されている。非特許文献1の方法では、ディップコーティング法による塗布と600℃の熱処理とを2回繰り返すゾル−ゲル法で成膜しており、成膜された酸化亜鉛膜は高いC軸配向性を示しており、非特許文献1の図5に示されるように、X線回折では(002)の強いピークが現れている。酸化亜鉛は六方晶系の結晶構造を有しており、この場合の前記(002)ピークが強い酸化亜鉛膜は、本図面の図15に示すようにC軸が下地基板に対して垂直方向に配向している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−241270号公報
【非特許文献1】大矢、「ゾル−ゲル法による酸化物半導体薄膜の合成と応用」、化学工業、2006年12月号、898頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、金属化合物膜の導電性を担うキャリアは、金属化合物膜の結晶粒界(結晶粒と結晶粒の界面)での散乱によって、その移動度が低下することが知られている。したがって、結晶粒径の小さい金属化合物膜では、結晶粒界をキャリアが通過する頻度が多くなるので、導電性は良くない。
そのため、金属化合物膜の導電性を向上させるには、膜厚と略垂直方向である基板平面方向の結晶粒径が大きくなるように結晶粒を成長させることが好ましく、具体的には結晶粒径を100nm程度以上とすることが望まれるが、上述した従来の方法で形成した金属化合物膜の結晶粒は、基板平面方向の結晶粒径の大きさが30〜40nm程度にしか成長しなかった。したがって、従来の方法で形成した金属化合物膜では結晶粒界の割合が多くなり、電気特性(特に、基板平面方向の導電性)に大きな影響を及ぼすという問題があった。つまり、電極として利用される金属化合物膜には、膜面内の隅々まで電源からの電圧が均一に印加される必要があり、そのためには結晶粒界をできるだけ少なくして電圧が伝わる膜面内方向のキャリア散乱を抑制し、膜の導電性を高める必要があるが、上述した従来の成膜方法では金属化合物膜における結晶粒の基板平面方向の結晶粒径を大きくするのに限界があった。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑み、結晶粒界でのキャリア散乱の度合いが減少して導電性の良好な金属化合物膜およびこれを簡便な方法で形成できる金属化合物膜の形成方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かくして、本発明によれば、結晶構造を有する金属化合物粒子の群が基板上で結晶成長した結晶粒群からなる金属化合物膜であって、前記結晶粒子群が、基板平面方向にC軸配向した結晶粒を少なくとも含んでなる金属化合物膜が提供される。
また、本発明の別の観点によれば、結晶構造を有する金属化合物粒子の群を分散させた粒子分散液を基板上に塗布して、前記金属化合物粒子の群を基板表面に付着させる第1工程と、前記金属化合物粒子を構成する金属原子と同一の金属原子を含む膜形成材料を用いて、加熱下で各金属化合物粒子を核として結晶成長させて結晶粒群を形成することにより金属化合物膜を形成する第2工程とを含み、前記第1工程において、基板平面方向にC軸配向して基板表面に付着する金属化合物粒子が含まれるように、前記金属化合物粒子の群を基板表面に付着させ、前記第2工程において、前記C軸配向して基板表面に付着した各金属化合物粒子を結晶成長させてC軸配向した結晶粒群を形成する金属化合物膜の形成方法が提供される。
また、本発明のさらに別の観点によれば、前記金属化合物膜を形成するための基体であって、結晶構造を有する金属化合物粒子の群が基板表面に付着してなり、前記金属化合物粒子の群が、その結晶構造のC軸が基板平面方向に配向して基板表面に付着した金属化合物粒子を含む金属化合物膜形成用基体が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の金属化合物膜によれば、従来の金属化合物膜と比べて結晶粒界が減少しているため、キャリアの移動度が向上し、その結果導電性が向上する。
また、本発明の金属化合物膜の形成方法によれば、C軸配向して基板表面に付着した金属化合物粒子の群を核として結晶成長させて金属化合物膜を形成するため、基板平面方向に結晶粒径の大きな金属化合物膜を形成することが可能である。これにより、結晶粒界でのキャリア散乱の度合いを抑制できるので、キャリアの移動度が向上し、導電性の良い金属化合物膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の金属化合物膜は、結晶構造を有する金属化合物粒子の群が基板上で結晶成長した結晶粒群からなる金属化合物膜であって、前記結晶粒子群が、基板平面方向にC軸配向した結晶粒を少なくとも含んでなることを特徴とする。
ここで、本発明において「基板平面方向」とは、金属化合物膜を形成すべき基板の表面と概ね平行な方向を意味する。
【0011】
本発明の金属化合物膜は、例えば、液晶表示用電極、太陽電池用電極、透明トランジスタ用電極、あるいは発光デバイス材料として利用することができ、そのような目的の金属化合物膜は、酸化亜鉛、もしくはアルミニウム、ガリウム、ボロンおよびインジウムのうちのいずれか1種以上の金属原子がドーパントとして添加されている酸化亜鉛、窒化ガリウム、硫化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)等の金属無機化合物から形成することができる。これらの中でも、本発明の金属化合物膜としては、酸化亜鉛(無添加)、もしくはアルミニウム、ガリウム、ボロンおよびインジウムのうちのいずれか1種以上の金属原子がドーパントとして添加されている酸化亜鉛、窒化ガリウム、硫化亜鉛といった六方晶系の結晶構造を有する金属化合物が好ましい。
【0012】
図1は、本発明の金属化合物膜の作製プロセスのフローチャートを示す。本発明の金属化合物膜は、第1工程において、基板平面方向にC軸配向して基板表面に付着する金属化合物粒子が含まれるように、金属化合物粒子の群を基板表面に付着させ、前記第2工程において、前記C軸配向して基板表面に付着した各金属化合物粒子を結晶成長させてC軸配向した結晶粒群を形成することで、基板平面方向の結晶粒径が大きい結晶粒群を有する金属化合物膜を形成するものである。
本発明において、前記第1工程および第2工程は、上述のように基板上にC軸配向した金属化合物粒子を付着させ、この金属化合物粒子を核として結晶成長させて金属化合物膜を形成することができれば、金属化合物粒子を基板上に付着させる方法は特に限定されるものではないが、簡素な方法にて低コストで行える観点から、以下の方法が好ましい。
【0013】
(第1工程)
前記第1工程では、先ず、金属化合物粒子を分散させた粒子分散液に基板を浸漬するディップ法、粒子分散液を基板上にスプレーするスプレー法、あるいはスピンコーティング法により、粒子分散液を基板上に塗布する。
この場合、使用する金属化合物粒子は、形成しようとする金属化合物膜の主要構成原子と同じ金属原子を含む金属化合物からなるものである。例えば、形成しようとする金属化合物膜がノンドープ酸化亜鉛からなる場合、金属化合物粒子としてはノンドープ酸化亜鉛粒子、もしくはアルミニウム、ガリウム、ボロンおよびインジウムのうちのいずれか1種以上の金属原子がドーパントとして添加されている酸化亜鉛粒子を使用することができる。
【0014】
これらの金属化合粒子は、1次粒子径が5〜100nmが好ましく、少なくとも20〜60nmのものを含んでいることがさらに好ましい。この場合、金属化合物粒子の1次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により一平面を観察したときの最長となる長さ方向の寸法を測定した値である。
なお、金属化合物粒子の1次粒子径が5nmよりも小さいと、第1工程において基板上にC軸配向して付着した金属化合物粒子が次の第2工程を経て結晶成長した結晶粒は、基板平面方向(C軸方向)の寸法が100nm以上に大きくなり難く、金属化合物膜の導電性を十分に向上させることができない。一方、金属化合物粒子の1次粒子径が100nmよりも大きく、特に金属化合物粒子のC軸方向に垂直な方向の寸法が100nmよりも大きい場合、金属化合物粒子はC軸配向して基板上に付着しにくいという問題がある。
【0015】
また、金属化合物粒子群を分散させる溶媒としては、金属化合物粒子に対して不活性であり、かつ容易に分散し得るものであれば特に限定されず、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機溶媒が挙げられ、中でも常温で速く蒸発し、環境負荷が少ない観点からアルコール系有機溶媒が好ましく、さらに、金属化合物粒子群の分散性が良好である点でIPAが特に好ましい。また、粒子分散液中の金属化合物粒子の割合(重量%)は、特に限定されるものではないが、1〜10重量%が適当である。
【0016】
本発明における第1工程では、金属化合物粒子が選択的に基板平面方向にC軸配向した状態で基板表面に付着し易い。つまり、金属化合物粒子は、基板表面に基板平面方向にC軸配向した状態で付着する場合と、基板表面と垂直方向にC軸配向した状態で付着する場合があるが、基板表面と垂直方向にC軸配向した状態で付着し難く、基板平面方向にC軸配向した状態で基板表面に付着し易い。なお、このように金属化合物粒子が選択的に基板平面方向にC軸配向した状態で基板表面に付着し易いという現象は後述の実施例により確認されている。
また、金属化合物粒子(具体的には酸化亜鉛)は、そのC軸方向に結晶成長が速いことが、Journal of Crystal Growth 130 (1993) 269-279に報告されている。
【0017】
ここで、本発明の金属化合物膜は、基板上に、基板平面方向にC軸配向して付着した金属化合物粒子を核として結晶成長した金属化合物膜部分(第1結晶粒部分)と、核を持たずに結晶成長した金属化合物膜部分(第2結晶粒部分)とが存在する。前記第1結晶粒は、基板平面方向にC軸配向しており、第2結晶粒は基板表面と垂直にC軸配向している。
上述のように、本発明では、基板上に金属化合物粒子が基板平面方向にC軸配向して付着し易く、かつC軸方向の結晶成長は速いため、成膜された金属化合物膜において、1個の第1結晶粒の基板平面方向の領域面積は、1個の第2結晶粒の基板平面方向の領域面積よりも大きく、かつ、基板全面における第1結晶粒の総領域面積は、基板全面における第2結晶粒の総領域面積よりも大きい。また、基板平面方向にC軸配向して基板上に付着した金属化合物粒子群の基板全面積に対する占有面積率が大きい程、第1結晶粒群の領域面積は増加し、第2結晶粒群の領域面積は減少して、結晶粒界はより減少する。
【0018】
さらに、第1工程において、前記ディップ法では、粒子分散液に基体を浸漬した状態で、基板もしくは溶液に超音波振動を加えることが好ましい。このようにすれば、金属化合物粒子がより選択的に基板平面方向にC軸配向した状態で基板表面に付着し易くなる。
また、これと同様の理由で、スプレー法やスピンコーティング法においても、粒子分散液を基板上に塗布している間または塗布した後に、基板若しくは溶液に超音波振動を加えることが好ましい。溶液に振動を加えた塗布としては、粒子分散液を塗布用ノズルから公知の手法により超音速流体で基体に噴霧させる方法がある。
【0019】
さらに、第1工程では、上述のようにディップ法あるいはスプレー法等にて粒子分散液を基板上に塗布した後で、金属化合物粒子を含まない洗浄液に基板を浸漬して基板もしくは洗浄液に超音波振動を加えることが好ましい。このようにすれば、付着力の弱い金属化合物粒子を基板上から除去し、付着力の強い金属化合物粒子のみを基板上に残存させることができる。
この結果、その後の第2工程を経て形成された金属化合物膜は、基板との密着性がより高いものとなる。この場合の超音波振動は、基板上に金属化合物粒子を付着させるときと同じ条件とすることができる。
このように第1工程を行うことにより、図2に示すように、金属化合物粒子1が基板2の表面上に点在して付着する。
【0020】
また、第1工程では、基板表面に金属化合物粒子群を付着させた後、熱処理を行ってもよい。熱処理において、加熱温度および加熱時間は200〜600℃程度で5〜60分間が好ましく、400〜500℃で10〜30分間がより好ましい。この加熱処理によって、基板表面と金属化合物粒子との付着力を高めることができる。
なお、加熱温度が200℃より低いと付着力の向上が認められず、600℃より高いとガラス基板が熱に耐えられないため使用できなくなる。また、加熱時間が5分より短いと付着力の向上が認められず、60分よりも長くてもそれ以上の付着力向上効果はあまり期待できない。
さらに、第1工程において、基板表面に金属化合物粒子群を付着させた後に熱処理を行う工程を、複数回繰り返してもよい。このようにすれば、基板表面に高い付着力をもって付着した金属化合物粒子の個数(密度)を増加させることができる。換言すると、基板表面に高い付着力をもって、かつ基板平面方向にC軸配向して付着した金属化合物粒子群の占有面積率を増加させることができ、上述したように第1結晶粒群の領域面積が増加し、第2結晶粒群の領域面積が減少して、結晶粒界をより減少させることができる。
なお、基板表面への金属化合物粒子群の付着および熱処理は、全体で2〜3回程度繰り返すことが好ましく、2回繰り返すことが特に好ましい。4回以上繰り返しても最終的に得られる金属化合物膜のそれ以上の膜質向上効果はあまり期待できない。
【0021】
なお、第1工程においては、基板上に塗布された粒子分散液を乾燥させる、あるいはその後洗浄を行った場合には基板上の洗浄液を乾燥させる、あるいは加熱処理後に洗浄を行った場合には基板上の洗浄液を乾燥させることが好ましい。これらの場合の乾燥方法としては、粒子分散液中の溶媒が常温でも蒸発し易いものであれば自然乾燥で十分であるが、ヒータにて基板裏面を加熱する、あるいは基板の表面側から赤外線ヒータにて加熱することにより強制乾燥してもよい。
【0022】
(第2工程)
前記第2工程は、第1工程で用いた金属化合物粒子を構成する金属原子と同一の金属原子を含む金属化合物を溶媒に溶解した塗布液(以下、膜形成液と称する場合がある)を、金属化合物粒子群が付着した基板上(基体表面)に塗布する工程と、前記膜形成液が塗布された基板を加熱(焼成)することによって金属化合物膜を形成する工程とを含む。
この第2工程では、第1工程で基板上に付着させた各金属化合物粒子を核として金属化合物膜の結晶粒群が成長できれば、金属化合物粒子におけるドーパント金属原子の添加の有無に関わらず、金属化合物膜の結晶成長した部分にはドーパント金属原子が含まれても含まれていなくてもよく、また、金属化合物膜の結晶成長した部分のドーパント金属原子の種類および濃度は、金属化合物粒子中のドーパント金属原子の種類および濃度と同一でも異なっていてもよい。
【0023】
前記膜形成液は、金属化合物粒子を核として結晶成長した結晶粒を形成するための金属原子を含む金属化合物を、溶媒に溶解して調製された溶液である。この膜形成液には、少なくとも金属化合物粒子の主要な構成原子と同じ金属原子を含む有機あるいは無機の金属化合物が溶解され、金属化合物粒子がノンドープまたはドープ酸化亜鉛粒子である場合には、任意に前記ドーパント金属原子を含む金属化合物が混合される。
例えば、金属化合物粒子がノンドープ酸化亜鉛である場合、亜鉛化合物(例えば酢酸亜鉛2水和物)を溶媒に溶解して膜形成液を作製することができる。また、金属化合物粒子が、アルミニウムドープ酸化亜鉛膜である場合、上述と同様に亜鉛化合物(例えば酢酸亜鉛2水和物)を溶媒に溶解した膜形成液、あるいは亜鉛化合物(例えば酢酸亜鉛2水和物)とアルミニウム化合物(例えば硝酸アルミニウム9水和物)とを溶媒に溶解して膜形成液を作製することができる。
この場合、膜形成液中の溶媒としては、金属化合物に対して不活性であり、かつ容易に溶解し得るものであれば特に限定されず、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機溶媒が挙げられ、中でも常温で速く蒸発し、環境負荷が少ない観点からアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0024】
第2工程において、金属化合物粒子群が付着した基板(以下、基体と称する)上に上述の膜形成液を塗布する方法としては、ディップ法、スプレー法あるいはスピンコーティング法が挙げられる。第1工程での塗布方法と第2工程での塗布方法は、同一でも異なっていてもよい。
【0025】
また、第2工程において、膜形成液が塗布された基体を加熱(焼成)する方法としては、熱処理炉内で加熱する、ヒータにて基板裏面を加熱する、あるいは基板の表面側から赤外線ヒータにて加熱する方法が挙げられる。加熱条件としては200〜800℃で3〜120分間が好ましく、400〜600℃で5〜60分間がより好ましい。なお、本発明の金属化合物膜をガラス基板上に成膜して液晶表示用電極若しくは透明トランジスタ電極として使用する場合、この熱処理温度はガラス基板の軟化点以下とすることが望ましい。また、本発明の金属化合物膜をシリコン基板上に成膜する場合は、800℃以上の高温とすることが可能である。
この加熱工程により、図3に示すように、基板上の各金属化合物粒子1を核として結晶成長が進行しかつ溶媒が蒸発して、金属化合物膜3が形成される。
また、第2工程は上記湿式法及び加熱処理による成膜に限定されるものではなく、スパッタリング法、蒸着法、CVD法などの乾式法であっても良い。しかしながら、より簡便な手法である湿式法が好ましい。
【0026】
このようにして形成された本発明の金属化合物膜は、基板平面方向にC軸配向した結晶粒群(第1結晶粒群)を有しており、この第1結晶粒の基板平面方向(C軸方向)の寸法は100nm以上であり、基板表面と垂直にC軸配向した結晶粒(第2結晶粒)の基板平面方向の寸法が30〜40nmであるのに比較して2倍以上に大きく成長する。
【実施例】
【0027】
次に、具体的に金属化合物膜を形成した実施例に基き本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、金属化合物膜として酸化亜鉛膜を形成した。
図4に実施例1における酸化亜鉛膜の作製プロセスのフローチャートを示す。以下、本フローチャートの工程フロー順に従って酸化亜鉛膜の作成手順を説明する。
【0028】
<第1工程>
第1工程では、超音波振動処理と超音波洗浄処理が行われた。
先ず、IPA(イソプロピルアルコール)100ccに対して、1次粒子径40〜60nmの酸化亜鉛粒子を700mgの割合で混合した粒子分散液に、基板表面が(100)面であるシリコン基板を浸漬し、超音波振動処理を10kHzで10分間行った。ここで、酸化亜鉛粒子としては、市販のシグマアルドリッチ社製「Zinc Oxideナノパウダー」を使用した。また、超音波振動処理には、シャープ社製の「超音波洗浄機UT−204」を使用した。
この超音波振動処理によって、酸化亜鉛粒子群をIPA溶液中に均一に分散させ、かつシリコン基板の表面に酸化亜鉛粒子を衝突させることにより、酸化亜鉛粒子群をシリコン基板に付着させた。
【0029】
さらに、酸化亜鉛粒子群が付着したシリコン基板をIPAのみからなる溶液中に浸漬させた状態で超音波洗浄を10kHzで10分間行った。ここで、超音波振動処理には、超音波振動処理と同じ超音波振動器を使用した。この超音波洗浄により、密着力の弱い酸化亜鉛粒子がシリコン基板の表面から取除かれ、付着力の強い酸化亜鉛粒子をシリコン基板の表面上に残存させた。
その後、IPAから引き上げたシリコン基板を自然乾燥させて、第1工程を終了した。
【0030】
第1工程後のシリコン基板の表面をSEM観察した結果を図5および図6に示す。図5および図6において、写真の白色部分が酸化亜鉛粒子であり、図5より酸化亜鉛粒子がシリコン基板上に点在して付着していることが確認できた。また、X線回折法によりこのシリコン基板に点在して付着した酸化亜鉛粒子の結晶方位を調べたところ、図7に示すようなX線回折パターンが得られた。図7より、(100)面のみの反射が得られ、酸化亜鉛粒子が結晶方位の揃った状態で存在していることがわかった。酸化亜鉛は六方晶系の結晶構造を有しており、この結果は、図8に示すように酸化亜鉛粒子がシリコン基板の表面とほぼ平行にC軸配向していること(図15に示した結晶構造が基板に横たわった状態)を示している。つまり、酸化亜鉛である金属化合物粒子は、ランダムな方位に配向するのではなく、C軸がシリコン基板とほぼ平行となるように選択的に配向して基板表面に付着していることが確認された。
【0031】
<第2工程>
次の第2工程では、図4の作製プロセスフローチャートに示すように、ディップ処理と焼成処理が行われた。
先ず、メタノール100cc中に酢酸亜鉛2水和物を5.5g混合した溶液を室温で10分間攪拌することにより塗布液(膜材料液)を作製した。そして、第1工程を経て得られた基体(酸化亜鉛粒子群が表面に付着したシリコン基板)を、この塗布液中に浸漬し、毎分50mmの速度で引き上げる所謂ディップコーティング法により塗布処理した。
その後、塗布処理した基体を熱処理炉にて600℃の大気中で30分間焼成処理した。
この塗布処理と焼成処理を3回繰り返すことによって、膜厚80nmの酸化亜鉛膜が得られた。
【0032】
図9は第2工程を経て最終的に形成された酸化亜鉛膜の表面状態を図6と同じ拡大率でSEM観察した写真である。図9より、実施例1の酸化亜鉛膜では、基板平面方向の大きさが100nm以上の結晶粒(白色部分)が得られていることが確認された。また図6と図9の比較から、第1工程で基板に付着させた酸化亜鉛粒子が核となって酸化亜鉛膜としての結晶粒が大きく成長することによって、シリコン基板表面と平行方向面内において100nm以上の大きさの結晶粒を有する酸化亜鉛膜が形成されることがわかった。つまり、図9において、写真の白色部分が、第1工程で基板平面方向にC軸配向して基板表面に付着した酸化亜鉛粒子を核として結晶成長した結晶粒(前記第1結晶粒)であり、写真の黒色部分が、前記C軸配向して基板表面に付着した酸化亜鉛粒子を核としてもたずに結晶成長した結晶粒(前記第2結晶粒)であり、写真の濃い黒色部分が結晶粒界である。
【0033】
図10は、第2工程を経て最終的に形成された酸化亜鉛膜についてのX線回折パターンを示す。図10から、この酸化亜鉛膜の(100)面の強度は(002)面の強度よりも大きく、このことから基板表面と平行にC軸配向した酸化亜鉛粒子を核として結晶成長して基板表面と平行にC軸配向した結晶粒(前記第1結晶粒)をより多く有していることがわかった。
【0034】
(実施例2)
基板として無アルカリガラス基板(コーニング社製♯1737)を用いたこと以外は実施例1と同様に第1工程を行って、基板表面に酸化亜鉛粒子を点在して付着させた。
その後、実施例1と同様にX線回折法によりこの無アルカリガラス基板に付着した酸化亜鉛粒子の結晶方位を調べたところ、図11に示すようなX線回折パターンが得られた。図11のX線回折パターンに示すように(100)面のみの強い反射ピークの結果が得られた。
このことから、下地基板の材質を変えても、酸化亜鉛粒子を基板平面方向にC軸配向させて付着させることができることがわかった。
【0035】
(実施例3)
実施例3では、金属化合物膜として酸化亜鉛膜にアルミニウムをドーパントとして添加したアルミドープ酸化亜鉛膜を形成した。
図12に実施例3におけるアルミドープ酸化亜鉛膜の作製プロセスのフローチャートを示す。以下、本フローチャートの工程フロー順に従ってアルミドープ酸化亜鉛膜の作成手順を説明する。
【0036】
<第1工程>
第1工程では、ディップ処理が行われた。
第1工程では、先ず、IPA100ccに対して、20〜40nmの大きさのアルミドープ酸化亜鉛粒子を300mgの割合で混合した粒子分散液に、基板として無アルカリガラス基板(コーニング社製♯1737)を浸漬させ、毎分20mmの速度で前記ガラス基板を引き上げて粒子分散液を塗布し、室温でIPAを乾燥させ、アルミドープ酸化亜鉛粒子群をガラス基板上に付着させた。ここで、アルミドープ酸化亜鉛粒子としては、市販のシグマアルドリッチ社製「Zinc Oxide doped with Alナノパウダー」を使用した。
【0037】
図13は、第1工程によってガラス基板上に付着させたアルミドープ酸化亜鉛粒子について、X線回折法によって結晶方位を確認した結果を示す。図13より、(002)面および(101)面のピークも観測されるものの(100)面の反射が最も強く現れており、アルミドープ酸化亜鉛粒子が完全ではないがほぼ結晶方位の揃った状態で付着していることが確認された。
このことから、実施例1で行った超音波振動処理を用いた方法の方が金属化合物粒子の基板平面方向へのC軸配向性が高いが、実施例3のように超音波振動処理の無いディップ法を用いても比較的良好な基板平面方向へのC軸配向性が得られていることがわかった。
【0038】
<第2工程>
次の第2工程では、図12の作製プロセスフローチャートに示すように、スプレー処理と焼成処理が行われた。
スプレー処理では、先ず、メタノール100cc中に酢酸亜鉛2水和物5.5gおよび硝酸アルミニウム9水和物を酢酸亜鉛2水和物に対して1重量%で混合した溶液を室温で10分間攪拌することにより塗布液(膜形成液)を作製した。
【0039】
その後、図14に示すスプレー装置の成膜室11内の基板ホルダ12上に、第1工程で得られた基体13(表面にアルミドープ酸化亜鉛粒子群が付着したガラス基板)を設置してヒータ14にて260℃に加熱し、基体13上に上記塗布液をスプレーノズル15から噴霧し塗布した。このとき、図14において、スプレーノズル15を左右に動作させながら基体の手前から奥方向に移動させることにより、基体全面に均一に塗布液を塗布した。なお、このスプレー装置は、塗布液を貯蔵するタンク16がバルブ17を介して接続管にてスプレーノズル15に接続されると共に、コンプレッサー18が接続管および調圧器19を介してスプレーノズル15に接続されている。
【0040】
次の焼成処理では、塗布液が塗布された基体をオーブンに入れて500℃で30分間焼成した。
このスプレー塗布と焼成処理を3回繰り返すことによって、膜厚80nmのアルミドープ酸化亜鉛膜が得られた。
【0041】
(実施例4)
実施例4では、金属化合物膜として酸化亜鉛膜を形成した。
図16に実施例4における酸化亜鉛膜の作製プロセスのフローチャートを示す。以下、本フローチャートの工程フロー順に従って酸化亜鉛膜の作成手順を説明する。
【0042】
<第1工程>
第1工程では、超音波振動処理と加熱処理を交互に2回ずつ行った後、超音波洗浄処理が行われた。
先ず、IPA(イソプロピルアルコール)100ccに対して、40〜60nmの大きさ(1次粒子径)の酸化亜鉛粒子を700mgの割合で混合した粒子分散液に、基板表面が(100)面であるシリコン基板を浸漬し、超音波振動処理を10kHzで10分間行った。ここで、酸化亜鉛粒子としては、市販のシグマアルドリッチ社製「Zinc Oxideナノパウダー」を使用した。また、超音波振動処理には、シャープ社製の「超音波洗浄機UT−204」を使用した。
この超音波振動処理によって、酸化亜鉛粒子群をIPA溶液中に均一に分散させ、かつシリコン基板の表面に酸化亜鉛粒子を衝突させることにより、酸化亜鉛粒子群をシリコン基板に付着させた。
【0043】
次に、酸化亜鉛粒子群を付着させたシリコン基板をホットプレートにて大気雰囲気下、加熱温度500℃、加熱時間10分間で加熱処理した。
その後、酸化亜鉛粒子を付着させたシリコン基板を前記粒子分散液中に浸漬し、再度、超音波振動処理を10kHzで10分間行った。
その後、再度ホットプレートにて大気雰囲気下、加熱温度500℃、加熱時間10分間で基板を加熱処理した。
【0044】
その後、酸化亜鉛粒子群が付着したシリコン基板をIPAのみからなる溶液中に浸漬させた状態で超音波洗浄を10kHzで10分間行った。ここで、超音波振動処理には、超音波振動処理と同じ超音波振動器を使用した。この超音波洗浄により、密着力の弱い酸化亜鉛粒子がシリコン基板の表面から取除かれ、付着力の強い酸化亜鉛粒子をシリコン基板の表面上に残存させた。
その後、IPAから引き上げたシリコン基板を自然乾燥させて、第1工程を終了した。
【0045】
第1工程後のシリコン基板の表面をSEM観察した結果を図17に示す。本実施例4の図17と実施例1の図5を比較すると、実施例4(図17)の方が実施例1(図5)よりも酸化亜鉛粒子がシリコン基板上に多く付着していることが確認できた。また、X線回折法によりこのシリコン基板に点在して付着した酸化亜鉛粒子の結晶方位を調べたところ、図18に示すようなX線回折パターンが得られた。図18より、(100)面のみの反射が得られ、酸化亜鉛粒子が結晶方位の揃った状態で存在していることがわかった。本実施例4の図18と実施例1の図7を比較すると、実施例4(図18)の方が実施例1(図7)よりも(100)面の強度が大きく、酸化亜鉛粒子がシリコン基板上により多く付着していることが確認できた。
【0046】
<第2工程>
次の第2工程は、実施例1での第2工程と同一の条件で行われ、それによって膜厚80nmの酸化亜鉛膜が得られた。
【0047】
第2工程を経て最終的に形成された酸化亜鉛膜は、(100)面の強度と(002)面との強度の比が実施例1で得られた酸化亜鉛膜のものよりも大きく、このことから基板表面と平行にC軸配向した酸化亜鉛粒子を核として結晶成長して基板表面と平行にC軸配向した結晶粒(前記第1結晶粒)をより多く有していることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の金属化合物膜の作製プロセスを示すフローチャートである。
【図2】本発明における成膜プロセスの第1工程後の粒子付着状態を示す模式図であって、(a)は正面断面図、(b)は平面図である。
【図3】本発明における成膜プロセスの第2工程後の成膜状態を示す模式図であって、(a)は正面断面図、(b)は平面図である。
【図4】実施例1の酸化亜鉛膜の作製プロセスを示すフローチャートである。
【図5】実施例1における成膜プロセスの第1工程後の酸化亜鉛粒子付着状態を示すSEM写真である。
【図6】図5を拡大したSEM写真である。
【図7】実施例1における第1工程後の酸化亜鉛粒子のX線回折パターンである。
【図8】実施例1における第1工程後の酸化亜鉛粒子の結晶状態を示す模式図である。
【図9】実施例1における第2工程後の成膜状態を示すSEM写真である。
【図10】実施例1における第2工程後の酸化亜鉛膜のX線回折パターンである。
【図11】実施例2における第1工程後の酸化亜鉛粒子のX線回折パターンである。
【図12】実施例3のアルミドープ酸化亜鉛膜の作製プロセスを示すフローチャートである。
【図13】実施例3における第1工程後のアルミドープ酸化亜鉛粒子のX線回折パターンである。
【図14】実施例3での成膜に用いるスプレー装置を示す概略構成図である。
【図15】従来の基板上に形成された酸化亜鉛膜の結晶状態を示す模式図である。
【図16】実施例4の酸化亜鉛膜の作製プロセスを示すフローチャートである。
【図17】実施例4における成膜プロセスの第1工程後の酸化亜鉛粒子付着状態を示すSEM写真である。
【図18】実施例1における第1工程後の酸化亜鉛粒子のX線回折パターンである。
【符号の説明】
【0049】
1 金属化合物粒子
2 基板
3 金属化合物膜
11 成膜室
12 基板ホルダ
13 基体
14 ヒータ
15 スプレーノズル
16 タンク
17 バルブ
18 コンプレッサー
19 調圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶構造を有する金属化合物粒子の群が基板上で結晶成長した結晶粒群からなる金属化合物膜であって、
前記結晶粒子群が、基板平面方向にC軸配向した結晶粒を少なくとも含んでなることを特徴とする金属化合物膜。
【請求項2】
前記結晶粒子群が、前記基板平面方向にC軸配向した第1結晶粒と、前記基板の表面に対して垂直方向にC軸配向した第2結晶粒とを含み、
前記第1結晶粒の基板平面方向の領域面積が、前記第2結晶粒の基板平面方向の領域面積よりも大きい請求項1に記載の金属化合物膜。
【請求項3】
前記第1結晶粒の前記C軸方向の寸法が100nm以上である請求項1または2に記載の金属化合物膜。
【請求項4】
前記結晶粒は、その結晶構造が六方晶系である請求項1〜3のいずれか1つに記載の金属化合物膜。
【請求項5】
前記結晶粒が、酸化亜鉛、もしくはアルミニウム、ガリウム、ボロンおよびインジウムのうちのいずれか1種以上の金属原子がドーパントとして添加されている酸化亜鉛からなる請求項1〜4のいずれか1つに記載の金属化合物膜。
【請求項6】
前記金属化合物膜が、電極用の膜である請求項1〜5のいずれか1つに記載の金属化合物膜。
【請求項7】
結晶構造を有する金属化合物粒子の群を分散させた粒子分散液を基板上に塗布して、前記金属化合物粒子の群を基板表面に付着させる第1工程と、
前記金属化合物粒子を構成する金属原子と同一の金属原子を含む膜形成材料を用いて、加熱下で各金属化合物粒子を核として結晶成長させて結晶粒群を形成することにより金属化合物膜を形成する第2工程とを含み、
前記第1工程において、基板平面方向にC軸配向して基板表面に付着する金属化合物粒子が含まれるように、前記金属化合物粒子の群を基板表面に付着させ、
前記第2工程において、前記C軸配向して基板表面に付着した各金属化合物粒子を結晶成長させてC軸配向した結晶粒群を形成することを特徴とする金属化合物膜の形成方法。
【請求項8】
前記第2工程において、前記金属化合物粒子を構成する金属原子と同一の金属原子を含む金属化合物を溶媒に溶解した塗布液を、金属化合物粒子の群が付着した基板上に塗布し加熱することにより、各金属化合物粒子を核として結晶成長させて結晶粒群を形成する請求項7に記載の金属化合物膜の形成方法。
【請求項9】
前記第1工程における基板への粒子分散液の塗布が、粒子分散液に基板を浸漬することにより行われ、さらに、基板を粒子分散液に浸漬した状態で、基板もしくは粒子分散液に超音波振動を加える請求項8に記載の金属化合物膜の形成方法。
【請求項10】
前記第1工程が、前記粒子分散液を基板上に塗布した後、金属化合物粒子を含まない洗浄液に基板を浸漬して基板もしくは洗浄液に超音波振動を加えることにより、付着力の強い金属化合物粒子のみを基板上に残存させる工程をさらに含む請求項8または9に記載の金属化合物膜の形成方法。
【請求項11】
前記第1工程において、前記粒子分散液に分散させる金属化合物粒子の群は、1次粒子径20nm〜60nmの金属化合物粒子を含む請求項7〜10のいずれか1つに記載の金属化合物膜の形成方法。
【請求項12】
前記金属化合物粒子および前記結晶粒が、酸化亜鉛、もしくはアルミニウム、ガリウム、ボロンおよびインジウムのうちのいずれか1種以上の金属原子がドーパントとして添加されている酸化亜鉛からなる請求項7〜11のいずれか1つに記載の金属化合物膜の形成方法。
【請求項13】
前記第1工程において、前記基板表面に前記金属化合物粒子の群を付着させた後、熱処理を行う請求項7〜12のいずれか1つに記載の金属化合物膜の形成方法。
【請求項14】
前記第1工程において、基板表面に金属化合物粒子の群を付着させた後に熱処理を行う工程を、複数回繰り返す請求項13に記載の金属化合物膜の形成方法。
【請求項15】
前記請求項1〜6のいずれか1つに記載の金属化合物膜を形成するための基体であって、結晶構造を有する金属化合物粒子の群が基板表面に付着してなり、
前記金属化合物粒子の群が、その結晶構造のC軸が基板平面方向に配向して基板表面に付着した金属化合物粒子を含む金属化合物膜形成用基体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図18】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−244467(P2008−244467A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46715(P2008−46715)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】