説明

金属材料及びこれを用いた保存容器、ガス配管、装置、並びに、その製造方法、ClF3の保存方法

【課題】ClFを使用するにあたってClFの濃度減少抑制することができる装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一部にClFが暴露されることによるフッ化物の皮膜が形成されている金属材料により構成される反応室11と、前記反応室11に接続されている前記金属材料からなる配管13とを備える装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三フッ化塩素(ClF)を暴露することによりフッ化物による皮膜が形成された金属材料、この金属材料からなる保存容器、ガス配管、装置に係わる。さらに、ClFを暴露することによりフッ化物による皮膜を形成する金属材料の製造方法、保存容器の製造方法、ガス配管の製造方法、及び、容器にフッ化物による皮膜を形成することによるClFの保存方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセス等で使用される三フッ化塩素(ClF)は、毒性を有する気体であるため、ClFを使用する現場では、大気中に放出されるClFの濃度を検知するための検知器が使用される。
【0003】
通常、検知器を用いる際には、検知対象ガスによって検知器の検知範囲や、警報設定値の較正が行われる。
この較正に用いる検知対象ガスには、通常それぞれの検知対象ガスにおいて標準ガスと呼ばれる、低濃度のガスが用いられている。
【0004】
しかし、ClFの場合には、低濃度の標準ガスが市場に流通していないため、標準ガスを用いて検知器を較正することができない。
このため、ClFに用いる検知器を較正する場合には、塩素(Cl)を用いてClFを代用している。
しかし、塩素(Cl)の毒性基準値(TLV値)は、大気中での許容濃度として1ppm以下であるため、ClFの大気中での許容濃度が0.1ppm以下であるのに対して、約10倍も大きい。このため、ClとClFとの許容濃度の差を修正する必要があり、塩素による較正値をClFのTLV値に合わせるように検知範囲や警報設定値が修正されて、検知器の較正が行われている。
【0005】
しかし、上述のような検知器の較正方法は効率的ではないため、Clの標準ガスに変わって、検知器を較正するため、低濃度のClFを標準ガスとして使用することが求められている。
【0006】
また、従来、半導体、太陽電池、感光体ドラム等の製造で使用されるCVD装置やPVD装置、エピタキシャル成長装置等の膜形成操作系の稼働に際して、装置の反応室内や治具等に付着したアモルファスSi、BN等をClFでクリーニングすることが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0007】
上述の膜形成操作系では、例えば、装置の反応室内にClFを含むクリーニングガスを供給し、反応室内に堆積している反応性シリコン化合物等の汚染物質を除去する。さらに、ClFを反応室内から排気配管に供給し、排気配管内に付着堆積した反応性シリコン化合物等の汚染物質を除去する。このように、膜形成操作系において、反応室及び排気配管に堆積した汚染物質のクリーニングが行われている。
【0008】
【特許文献1】特開平3−48268号公報
【特許文献2】特開2004−289098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、ClFガスは金属に吸着されやすく、また、金属表面で、金属とのフッ化反応が起こりやすい。このため、ClFのガスを金属容器に保存した場合、金属容器の表面へのClFの吸着や、金属表面における金属とフッ素とのフッ化反応が起こる事により、容器に充填されたClFの量が減少する。
特に、低濃度、例えば5%以下のClFガスでは、容器内のClFの量が少なく、ClFの減少による濃度の低下が顕著に現れる。このため、低濃度ClFの濃度を低下させずに安定して保存することは、非常に困難であった。
【0010】
ClFを100%の濃度以外の状態で金属容器に保存した場合には、容器中でClFが減少することにより、容器内のClFの濃度が低下する。従って、ClFの濃度を安定な状態で、金属容器に保存する場合には、100%の濃度でClFを液化した状態で保存しなければならない。
【0011】
また、低濃度のClFを使用するためには、100%のClFをアルゴン(Ar)等の希ガスや、窒素(N)等の不活性ガスを用いて希釈することにより、低濃度のClFガスを得る方法が考えられる。しかし、この方法では、ClFと不活性ガスとを混合するための装置や、ClFと不活性ガスとの流量比の制御などの工程が必要となるため、効率的ではない。さらに、希釈した後においても、ClFガスは上述のとおり金属に対する吸着性、及び、金属との高い反応性を有しているため、希釈後のClFを直ぐに使用しなければ濃度の低下が起こる。従って、低濃度のClFを使用する場合には、その都度ClFの希釈を行う必要があるため効率が悪い。
【0012】
また、上述のCVD装置やPVD装置、エピタキシャル成長装置等の膜形成操作系において、装置の反応室や排気配管を構成する金属にClFが吸着することにより、反応室や排気配管内のClFの濃度が低下してしまう。そして、ClFガスの濃度が低下することにより、反応室や排気配管内の反応性シリコン化合物のクリーニングの効率が低下してしまう。
【0013】
上述した問題の解決のため、本発明においては、ClFを使用するにあたって、金属表面へのClFの吸着や、金属表面における金属とフッ素とのフッ化反応を抑制してClFの濃度減少を抑制するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の金属材料は、少なくとも一部に、ClFに暴露されることによるフッ化物の皮膜が形成されていることを特徴とする。
また、本発明の保存容器、及び、本発明のガス配管は、少なくとも一部にClFが暴露されることによるフッ化物の皮膜が形成された金属材料により構成されていることを特徴とする。
さらに、本発明の装置は、少なくとも一部にClFが暴露されることによるフッ化物の皮膜が形成された金属材料により構成される反応室と、反応室に接続された金属材料からなる配管とを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の金属材料の製造方法は、金属材料の表面にClFを暴露することによって前記金属のフッ化物による皮膜を形成することを特徴とする。
また、本発明の保存容器の製造方法は、金属材料からなる容器内にClFを充填し、金属材料の表面にClFを暴露することによってフッ化物による皮膜を形成することを特徴とする。
また、本発明のガス配管の製造方法は、金属材料からなるガス配管内にClFを供給し、ガス配管の内面にClFを暴露することによってフッ化物による皮膜を形成することを特徴とする。
【0016】
また、本発明のClFの保存方法は、金属材料からなる容器内にClFを暴露し、金属材料の表面にフッ化物の皮膜を形成する工程と、フッ化物の皮膜が形成された容器内にClFを充填する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
金属材料の一部に、ClFが暴露されることによって、金属表面にClFが吸着され、若しくは、金属表面において金属とフッ素とのフッ化反応が起こり、金属材料の表面に金属のフッ化物による皮膜が形成される。金属材料の表面にフッ化物による皮膜が形成されることにより、この金属材料に接触するClFの濃度を低下させるようなフッ素の金属による吸着、及び、金属のフッ化反応を抑制することができる。
このため、金属材料の表面にフッ化物による皮膜が形成された金属材料によって、ClFを保存するための容器や、ClFを流通させるためのガス配管を構成することにより、使用するClFの濃度低下を抑制することができる。さらに、ClFを使用する装置の一部を構成することにより、使用するClFの濃度低下を抑制することができる。
【0018】
また、金属容器内にClFを供給することにより、容器内部の金属表面にClFを暴露する。これにより、金属表面にClFを吸着させ、又は、金属とフッ素とをフッ化反応させることにより、金属表面に金属のフッ化物による皮膜を形成する。金属容器の表面にフッ化物による皮膜を形成することにより、金属容器内のClFの濃度が低下するような、フッ素の金属による吸着、及び、金属とのフッ化反応を抑制することができる。このため、ClFが100%の液化状態でなくても、金属容器内に保存したClFの濃度を一定に保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ClFを使用するにあたり、ClFが金属材料に接触した場合にも濃度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を具体的な実施の形態により説明する。
まず、本発明の金属材料の実施の形態について説明する。
本実施の形態の金属材料は、例えば、ステンレス鋼やアルミニウム、アルミニウム合金等の金属からなり、この金属の表面に、金属のフッ化物による皮膜が形成されている。この金属のフッ化物による皮膜は、金属表面にClFを暴露することにより、金属へのClFの吸着と、フッ素と金属とのフッ化反応が起こることによって形成される。
【0021】
ClFは、反応性が高く、また、金属への吸着が起こりやすい物質である。このため、ステンレス鋼やアルミニウム、アルミニウム合金等にClFを接触させると、ClFの金属への吸着、又は、金属とのフッ化反応が起こる。
金属材料が主にステンレス鋼で形成されている場合には、上述のフッ化物による皮膜は、フッ化鉄(FeF,FeF)及び、フッ化クロム(CrF)を主成分とする皮膜によって構成される。また、金属材料が主にアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている場合には、上述のフッ化物による皮膜は、フッ化アルミ(AlF)を主成分とする皮膜によって構成される。
ステンレス鋼としては、マルテンサイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、その他の系のステンレス鋼を使用することができ、特に、SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316Lが好ましい。また、アルミニウム合金としては、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケル等とアルミニウムとの合金を使用することができる。
【0022】
金属材料の表面が暴露されるClFの濃度は特に限定されない。
金属材料をガス配管や保存容器として使用する場合には、金属材料と接触するClFの濃度より高い濃度とすることが好ましい。これは、ClFの濃度が高いほど金属表面のフッ化物による皮膜の形成速度が大きく、また、ClFの濃度が高いほど金属表面のフッ化物による皮膜が安定して強固に形成されるためである。
このため、金属材料の表面を暴露させるClFの濃度は、より濃度が高い方が好ましく、100%の濃度であることが好ましい。また、ClFの濃度が低すぎると、金属材料の表面のフッ化物による皮膜の形成速度が小さくなり、皮膜を形成するまでに時間がかかるため、効率的に皮膜を形成することが難しい。このため、金属材料の表面に暴露されるClFの濃度は、少なくとも5%以上であることが好ましい。
【0023】
次に、金属材料の表面の金属のフッ化物による皮膜の形成方法について説明する。
まず、必要に応じて、金属材料の表面を電解研磨等により、鏡面処理する。
半導体製造装置に使用される配管等の金属材料では、表面を鏡面処理することが望ましい。金属材料の表面を鏡面処理することにより、表面の凹凸をなくすことができ、フッ化物による皮膜を均一に形成することができる。また、凹凸をなくすことにより金属材料の表面積を小さくすることができるため、ClFの吸着、及び、金属とのフッ化反応の起こる面積を少なくすることができる。これにより、ClFの吸着、及び、金属とのフッ化反応が起きる面積が小さくなり、フッ化物による皮膜を形成するために必要となるClFの量を少なくできる。
なお、金属材料の表面の鏡面処理が不要な場合には、この工程を行わなくてもよい。
【0024】
次に、金属材料の表面を充分に乾燥させた後、金属材料の表面にClFを暴露する。
ClFが暴露されることにより、金属表面にClFを接触させる。ClFは、金属に対して非常に吸着性が高く、また、反応性の高い物質であるため、金属と接触することにより吸着又は反応が起こる。これにより、金属材料の表面に、金属のフッ化物による皮膜を形成する。
【0025】
金属材料の表面をClFに暴露させるために、金属材料の表面に供給するClFは、ClF100%の濃度又はClFを、窒素(N)、アルゴン(Ar)等の不活性ガス等で希釈した濃度で使用する。
このとき供給するClFの濃度としては特に限定されないが、金属材料をガス配管や保存容器として使用した場合に、金属材料と接触するClFの濃度より高いものが好ましい。供給するClFの濃度が高いほど、金属表面のフッ化物による皮膜の形成速度を大きくすることができる。また、ClFの濃度が高いほど、金属表面のフッ化物による皮膜を安定して強固に形成することができる。
このため、金属材料の表面をClFに暴露させるために、供給されるClFの濃度は、より高い濃度であることが好ましく、100%の濃度であることが好ましい。なお、ClFの濃度が低すぎると、金属材料の表面でのフッ化物による皮膜の形成速度が小さく、皮膜を形成するまでに時間がかかるため効率的に形成することが難しい。このため、金属材料の表面をClFに暴露させるために、供給されるClFの濃度は、少なくとも5%以上であることが好ましい。
【0026】
金属材料の表面に金属のフッ化物による皮膜を形成する際、ClFを用いることにより、常温でフッ化物による皮膜を形成することができる。
例えば、フッ素(F)単体を用いて、金属材料の表面に金属のフッ化物を形成使用とした場合には、フッ化物を速やかに形成しようとすると、通常120℃〜170℃で反応が行われる。この様に、F単体を用いてフッ化物を形成する場合には高温で処理する必要があり、常温で速やかに金属のフッ化物を形成することができない。
これに対し、金属への吸着性が高いClFを用いることにより、常温で速やかに、金属のフッ化物を形成することができるため、金属材料の表面に金属のフッ化物による皮膜を形成することができる。
【0027】
また、上述のように、金属材料の表面へClFを暴露する際の温度は、ClFの反応性の高さから常温で行うことができるが、ClFの暴露の際の温度を高くすることにより、フッ化物の成長速度を速くすることもできる。このため、金属表面へClFを暴露する際に加熱することによって、金属のフッ化物による皮膜を速やかに形成することができる。
しかし、金属へClFを暴露する温度が高すぎると、フッ素による金属の腐食が起きる可能性がある。このため、金属へのClFの暴露の温度は80℃以下で行うことが好ましい。
【0028】
金属材料表面へClFを暴露する方法としては、例えば金属材料がガス配管や容器の場合には、このガス配管又は容器内にClFを封じ込めることによって行うことができる。ガス配管又は容器内にClFを封じ込めることにより、ClFガスの圧力を高めることができるため、フッ化物の生成を効率的に行うことができる。また、ガス配管又は容器内に封じ込める量以上のClFを必要としないため、多量のClFを使用する必要がない。
【0029】
また、ClFを使用する装置などにおいて、ClFが接触する部分にはフッ化物による皮膜を形成しておくことが好ましい。このような部分において、ClFを封じ込めることにより、フッ化物による皮膜を形成できる場合は、上述のガス配管又は容器と同様に、内部に封じ込めることにより、フッ化物による皮膜を形成することができる。しかし、装置の部分によって、ガス配管や容器のようにClFを封じ込めることができない場合には、その部分の金属表面にClFを流通させることによって、金属表面にClFを暴露することができる。
金属表面にClFを流通させる場合には、予めClFガスを80℃以下の所定の温度に加熱することによって、効率的に金属のフッ化物による皮膜を形成できる。
【0030】
以上の方法により、金属材料の表面に金属のフッ化物による皮膜を形成することができる。
上述の方法によって金属のフッ化物が形成された金属材料により、ClFの保存容器を構成してClFを充填することによりClFの濃度を低下させずに保存することができる。
また、上述の方法によって金属のフッ化物が形成された金属材料により、ガス配管等を構成することにより、ガス配管内を流通するClFの濃度低下を抑制することができる。
【0031】
次に、上述の実施の形態の金属材料を用いたClFの保存容器の実施の形態について説明する。
ClFは、反応性が高く、また、金属への吸着が起こりやすい物質である。このため、金属材料による容器にClFを保存すると、ClFが金属に吸着、若しくは、金属とのフッ化反応により消費される。このため、ClFの金属容器への保存は、ClFの濃度を100%として保存する以外には、ClFの濃度を一定に保つことができず、安定した濃度で保存することができない。特に、ClFの濃度が低くなるほど、金属表面への吸着等による濃度の低下が顕著に現れる。このため、ClFの金属容器への保存は、ClFの濃度を100%として保存する以外には、ClFの濃度を一定に保つことができず、安定して保存することができない。特に、ClFの濃度が低くなるほど、金属表面への吸着等による濃度の低下が顕著に現れる。
【0032】
しかし、ClFを保存する金属容器にあって、容器にClFを保存するためにClFを充填する以前に、予め容器内部の金属材料の表面にフッ化膜が形成されていることにより、ClFの金属への吸着、及び、ClFと金属とのフッ化反応を抑制することができる。このため、ClFの濃度が100%ではなく、低い濃度であっても、濃度を一定に保つことができ、安定した濃度で保存することができる。そして、濃度の低下が顕著に現れる、低濃度のClFであっても、濃度を低下させずに、安定して保存することができる。
【0033】
ClFの保存容器として用いられる金属材料の表面に形成される金属のフッ化物による皮膜は、ClFを保存するときに、ClFと金属材料が接触する部分のすべてに形成されていることが好ましい。特に、ClFが保存される保存容器の内部には、金属のフッ化物による皮膜が全面に渡って形成されていることが好ましい。
保存時にClFが接触する部分にフッ化物による皮膜が形成されていないと、形成されていない部分において金属によるClFの吸着、若しくは、ClFと金属とのフッ化反応がおこり、容器内のClFが消費されてしまう。従って、ClFの濃度が低下してしまう。
【0034】
また、金属材料からなる保存容器において、ClFを容器に充填する際、又は、ClFを容器から放出する際に、金属材料とClFとが接触する部分にも、金属のフッ化物による皮膜が形成されていることが好ましい。これにより、保存容器に充填するとき、又は、使用のために保存容器から放出するときに、フッ化物による皮膜が形成されていない金属との接触による、ClFの吸着やフッ化反応が起こらない。このため、所定の低濃度ClFの濃度を変化させることなく容器に充填することができ、また、ClFの濃度を変化させることなく、使用時に放出することができる。
【0035】
本実施の形態で用いる保存容器の材料は、通常気体を封入するための容器として用いられる金属であれば、いずれも使用することができる。特に、気体を安定して保存することができるステンレス鋼又はアルミニウム、アルミニウム合金が好ましい。また、保存容器として使用できるステンレス鋼、アルミニウム合金は、上述の金属材料と同様である。
【0036】
保存容器内に充填するClFの濃度としては特に規定しないが、ClFの濃度が低いほど、金属への吸着等による、保存時のClFの濃度の低下が大きくなる。このため、フッ化物の皮膜を形成することにより、ClFの吸着及び反応の抑制による濃度低下を抑制する効果が顕著に現れる。
特に、保存容器に充填されるClFの濃度が5%以下であると、上述の効果が顕著に現れる。また、保存容器に充填されるClFの濃度が0.05%より低くなると、容器内に存在するClFの量がもともと少ないため、フッ化物の皮膜による濃度低下を抑制する効果が明確に現れない。
このため、保存容器に充填されるClFは、金属のフッ化物による皮膜を形成するために金属材料の表面が暴露されるClFの濃度よりも濃度が低いものが好ましく、さらに0.05%以上5%以下であることが好ましい。
【0037】
上述の方法により形成した保存容器を用いることにより、金属材料の表面に形成された金属のフッ化物による皮膜が、保存容器内に充填された0.05%〜5%のClFの濃度を変化させずに保存することができる。
従って、上述の方法により形成した保存容器にClFを充填することにより、濃度が0.05%〜5%の範囲内の所定の濃度のClF標準ガスを提供することができる。
【0038】
次に、アモルファスSiの膜形成工程で使用されるCVD装置やPVD装置、及び、エピタキシャル成長装置等を例にとって半導体製造工程における実際の汚染除去操作を説明する。汚染除去操作は、アモルファスSiの膜形成工程、ClFによる装置内のクリーニング工程、及び、水素含有化合物ガス又は水素ガスによる汚染物質の除去工程が行われる。
【0039】
以下、本発明の一実施の形態として、ClFを使用するクリーニング装置について説明する。
図1に上述のクリーニング装置10を示す。クリーニング装置10は、反応室11とガス供給ライン12とガス排出ライン13とから構成される。ガス供給ライン12の一端は、反応室11の上部に接続され、他端は二股に分岐し、各レギュレータ14,15を介してClFボンベ16とArボンベ17とに接続される。
また、ガス排出ライン13の一端は反応室11の下方に接続され、他端は、逆止弁19、ブースターポンプ18、ロータリーポンプ20及び、ClF除去用のアルカリ水溶液充填式除害装置22に接続される。
【0040】
例えば、半導体や太陽電池等の製造で使用される薄膜形成用のCVD装置、PVD装置等の膜形成操作系において、シラン系ガスを用いて基板上にSi薄膜を形成した場合、シラン系ガスの反応性シリコン化合物が、基板以外の反応室の内壁や、反応室に接続されている排気配管内に付着堆積する。
そこで、反応室11内でSi薄膜が形成された後、この反応室11内及び付着堆積した反応性シリコン化合物を、ClFボンベ16とArボンベ17からArガスで希釈されたClFにより除去する。この反応性シリコン化合物を除去するため、反応室11及びガス排出ライン13にClFをクリーニングガスとして供給することにより、反応室11及びガス排出ライン13のクリーニングが行われる。
【0041】
クリーニング装置10は、ClFが暴露されて表面に金属のフッ化物による皮膜が形成された金属材料により反応室11が構成されている。また、ガス供給ライン12とガス排出ライン13は、金属のフッ化物による皮膜が形成された金属材料によりガス配管が構成されている。
【0042】
従来の装置では、反応室や排気配管を構成するステンレス鋼等の金属に、クリーニングガスとして供給されたClFが吸着されてしまい、ClFの濃度が低下する。装置内でクリーニング用のClFの濃度が低下することにより、配管内の反応性シリコン化合物を速やかに除去することが困難となる。また、クリーニング用のClFの濃度が低下することにより、一度除去した反応性シリコン化合物が再び配管内で堆積してしまう。
これに対し、本実施の形態の装置では、クリーニング装置10の反応室11、ガス供給ライン12及びガス排出ライン13が、ClFの暴露による皮膜が形成された金属材料により構成される。このため、従来の装置のような金属によるClFの吸着を抑制し、例えば膜形成操作系において、クリーニング用のClFの濃度低下を抑制することができる。この結果、例えばCVD装置等の膜形成操作系の反応室や排気ガス配管に堆積する反応性シリコン化合物を効率よく除去することができる。
【0043】
また、上述のクリーニング装置10において、ClFが接触する部分の金属材料には、すべて表面にClFの暴露によりフッ化物による皮膜が形成されていることが好ましい。このため、クリーニング装置10に使用される各レギュレータ、弁、ポンプ等にも、表面にフッ化膜が形成された金属材料を用いることが好ましい。
【0044】
なお、上述したクリーニング装置以外にも、半導体、太陽電池、感光体ドラム等の製造工程において使用される膜形成操作系として、例えばCVD装置やPVD装置、エピタキシャル成長装置、RIE装置やスパッタリング装置等においても、反応室や反応室に接続される配管として表面にフッ化膜が形成された金属材料を用いることにより、本発明を適用することができる。
【0045】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
図2に示す前処理用の装置30を構成した。そして、ガス配管として、配管径1/8インチ、長さ4mのSUS304・光輝焼鈍管(BA管)を準備して前処理を行った。
【0046】
図2に示す装置30について説明する。この装置は、実施例1のガス配管31と、実施例1のガス配管31以外のガス配管を介して接続されたガスボンベ32、第1のN供給手段33、第2のN供給手段34、及び、真空ポンプ35から構成される。
ガスボンベ32には100%ClFが充填されている。そして、このガスボンベ32からのガス配管37に、第1のN供給手段33からのガス配管38が接続され、ClFとNとがガス配管37内で混合される構成である。また、ガスボンベ32と第1のN供給手段33との接続位置の下流側には調節弁36が設けられ、この調整弁36の開閉により、ClFとNとの混合ガスのガス配管31への供給を制御することができる構成である。
また、ガス配管37において、調節弁36とガス配管31との間には、第2のN供給手段34と真空ポンプ35とがガス配管39により接続されている。
【0047】
次に、図2に示す装置に実施例1に用いるガス配管31を接続した。そして、真空ポンプ35により、ガス配管31内を真空状態にした後、第2のN供給手段34によりNを充填した。これにより、ガス配管31内をNで置換した。
次に、調節弁36を開き、ガスボンベ32からガス配管31に100%濃度のClFを供給した。そして、ガス配管31内にClFを大気圧分供給した後、ガス配管31を両端において密閉してガス配管31を装置から取り外し、80℃の恒温槽に18時間維持し、ガス配管31の内面をClFで暴露した。
次に、ClFで暴露したガス配管31を再び装置に取り付け、第1のN供給手段33からガス配管にNを供給することにより、ClFをNで置換した。
以上の方法により、実施例1のガス配管31を作製した。
【0048】
(比較例1)
上述の実施例1で準備したガス配管と同様の配管を準備し、そのままの配管、すなわち内面にClFを暴露していないガス配管を、比較例1のガス配管とした。
【0049】
(実施例2)
金属容器として、SUS304L製の2.25Lの容器を準備した。そして、この金属容器に濃度100%のClFを充填し、80℃の恒温槽で18時間保持した。次に、ClFを放出し、金属容器内をNにより置換した。これにより、金属容器の内面をClFにより暴露し、実施例2の保存容器を作製した。
【0050】
(比較例2)
実施例2で準備した金属容器と同様の金属容器を準備し、そのままの金属容器、すなわち内面をClFで暴露していない金属容器を、比較例2の保存容器とした。
【0051】
(実施例3)
ガス配管として、配管径1/8インチ、長さ2mのSUS304・光輝焼鈍管(BA管)を準備し、この配管に濃度100%のClFを充填し、80℃の恒温槽で18時間保持した。これにより、配管の内面をClFにより暴露し、実施例3のガス配管を作製した。
【0052】
(比較例3)
実施例3で準備したガス配管と同様のガス配管を準備し、そのままの配管、すなわち内面をClFで暴露していないガス配管を、比較例3のガス配管とした。
【0053】
次に、図3に示す装置40を構成し、実施例1のガス配管内及び比較例1のガス配管内を流通させた際の、ClFの濃度変化を測定した。
図3に示す装置40について説明する。この装置は実施例1のガス配管41と、比較例1のガス配管42とが、ガス配管56から分岐されて並列に接続されている。なお、図3に示すガス配管41には、上述の図2に示した前処理用の装置30で作製した実施例1のガス配管31を用いる。
ガス配管41及びガス配管42の上流側には、ClFガスボンベ46とNガスボンベ47とが接続されている。また、ClFガスボンベ46はガス配管55に接続され、Nガスボンベ47はガス配管53に接続されている。ClFガスボンベ46には、ClF濃度が5%のClFとNとの混合ガスが充填されている。
ガスボンベ47が接続されたガス配管53には、調節弁48が設けられ、調節弁48の下流において、ガス配管41,42側のガス配管53からClFガスボンベ46側のガス配管54が分岐されている。
ガス配管54は、逆止弁50を介してClFガスボンベ46が接続されたガス配管55に接続されている。また、ガス配管41,42側のガス配管53には、マスフローコントローラ(MFC)51が設けられている。
ClFガスボンベ46が接続されたガス配管55には、ガス配管54が接続され、さらにガス配管54の接続部の下流に調節弁49とMFC52とが設けられている。
ガス配管53及びガス配管55は、それぞれMFC51,52の下流においてガス配管56に接続される。そして、ガス配管56が分岐されてガス配管41及びガス配管42に接続される。
ガス配管41及びガス配管42の入口側のガス配管56から分岐したガス配管57と出口側のガス配管58とが接続され、ガス配管59を介してFT−IR43及びアルカリ溶液45中に接続されている。さらにFT−IR43の下流側に、除害装置44が接続されている。
【0054】
まず、図3に示す試験用の装置40においてガス配管41とガス配管42とを、図示しない真空ポンプにより真空状態にした。そして、Nガスボンベ47からガス配管41とガス配管42にNを供給し、ガス配管41,42内をNで充填した。
次に、MFC51,52により、N及びClFの流量を制御し、ClFの濃度が約50ppmになるようにClF/Nを調整し、ガス配管41,42の入口側のClFの濃度をFT−IR43で測定した。
次に、ガス配管41に上述の濃度のClF/Nを通過させ、ガス配管41の出口側のClFの濃度をFT−IR43で測定した。
次に、ガス配管42に上述の濃度のClF/Nを通過させ、ガス配管41の出口側のClFの濃度をFT−IR43で測定した。
【0055】
上述の方法によりガス配管41の出口側のClFの濃度と、ガス配管42の出口側のClFの濃度を比べることにより、ClFの暴露による処理の効果を確認した。
同様に、ガス配管41及びガス配管42に通過させるClFの濃度を、約100,200ppmとなるように変化させて、ガス配管41,42の出口濃度をFT−IR43で測定した。
【0056】
図4〜6に、実施例1のガス配管及び比較例1のガス配管の入口側のClFの濃度を上述の各濃度にしたときの、ガス配管41の出口側のClFの濃度、及び、比較例1のガス配管の出口側のClFの濃度を示す。なお図4〜6において、縦軸は、実施例1のガス配管及び比較例1のガス配管の出口でのClFの濃度(ppm)を示し、横軸はClF/Nを通過させた時間(min)を示す。
【0057】
図4は、入口濃度を約50ppmに設定した場合の結果である。このときのFT−IR43で測定した入口濃度は、55ppmであった。
図4に示した結果から、実施例1のガス配管の方が比較例1のガス配管に比べ、ClFの濃度の立ち上がりが早いことがわかる。また、時間経過により、ClFの濃度が実施例1のガス配管と比較例1のガス配管とでほぼ同じになることがわかる。
【0058】
次に、図5は、入口濃度を約100ppmに設定した場合の結果である。このときのFT−IR43で測定した入口濃度は、112ppmであった。
図5に示した結果から、入口濃度を約100ppmに設定した場合も、入口濃度を50ppmに設定した場合と同様に、実施例1のガス配管の方が比較例1のガス配管に比べ、ClFの濃度の立ち上がりが早いことがわかる。また、時間経過によるClFの到達濃度も実施例1のガス配管が、比較例1のガス配管よりも高いことがわかる。
このように、約100ppmの低濃度では、ClFの濃度の立ち上がり時間、及び、ClFの到達濃度に顕著な差が現れた。
【0059】
さらに、図6は、入口濃度を約200ppmに設定した場合の結果である。このときのFT−IR43で測定した入口濃度は、218ppmであった。
図6に示した結果から、入口濃度を約200ppmに設定した場合には、実施例1のガス配管と比較例1のガス配管との間で、ClFの濃度の立ち上がりに顕著な差は見られない。しかし、実施例1のガス配管の方が、時間経過によるClFの到達濃度が高いという結果が得られた。
【0060】
次に、図7に示すClF濃度の測定装置60を構成した。
測定装置60は、濃度0.1%のClF標準ガスが(ClF/N)が充填されたガスボンベ61と、パージ用N供給手段62と、バイパスライン66と、内部にガス吸収用の吸収液を有するインピンジャ64A,64Bと、積算流量計67とから構成される。
ガスボンベ61には、配管68が接続される。また配管68には、N供給手段62が接続される。そして、配管68が、三方弁63によりバイパスライン66と、インピンジャ64A,64Bに接続される配管69とに分岐される。また、インピンジャ64Bの出口側において、配管69とバイパスライン66とが三方弁65により、積算流量計67に接続される配管70と接続されている。
【0061】
次に、上述の測定装置60を用いた標準ガスの測定方法を説明する。
まず、パージ用N供給手段62から、Nを測定装置60内に供給して測定装置60内を置換する。次に、三方弁63をバイパスライン66側に切り換える。そして、ガスボンベ61から、ClF標準ガスを少量ずつ測定装置60内に供給し、測定装置60内をClF標準ガスで置換(ClF標準ガスの供給時間5分、供給量約500mL)した。測定装置60内をClF標準ガスで置換した後、積算流量計67の値を記録した。
次に、三方弁63をバイパスライン66側からインピンジャ64A側に切り換える。そして、ガスボンベ61からClF標準ガスを、インピンジャ64側に供給した。インピンジャ64にClF標準ガスを約10分供給(供給量約1L)した後、ClF標準ガスの供給を停止し、積算流量計67の値を記録した。
記録した2つの積算流量計67の値から、ClF標準ガスの流通量を算出した。
次に、インピンジャ64Aの吸収液をメスアップし、イオンクロマトグラフにより、フッ素(F)イオン濃度の分析を行った。そして、得られたFイオン濃度から、ClF標準ガス中のClF濃度を算出した。
表1に上記方法で算出したClF標準ガスの濃度を示す。
【0062】
【表1】

【0063】
表1に示した結果より、ClF標準ガスの濃度と表示濃度との実測値が一致したことがわかる。つまり、上述の方法により、ClFの濃度を測定することができることが確認できた。
【0064】
次に、実施例2及び比較例2の保存容器に、濃度0.1%のClF標準ガスを充填し、3ヶ月間保持した。そして、図7に示した測定装置60のガスボンベ61を、ClF標準ガスを3ヶ月間保持した実施例2の保存容器に取り替えた。そして、上述のClF標準ガスの測定方法と同様の方法で、実施例2の保存容器中の充填されたClF標準ガスの濃度を測定、算出した。また、ClF標準ガスを3ヶ月間保持した比較例2の保存容器についても、実施例2の保存容器と同様に、充填されたClF標準ガスの濃度を測定、算出した。
実施例2及び比較例2の保存容器に充填前のClF標準ガス濃度と、3ヶ月保存した後のClF濃度を表2に示す。なお、表2に示すClFの濃度は、3回測定、算出を行いその平均値を示す。
【0065】
【表2】

【0066】
表2に示した結果より、実施例2の保存容器に3ヶ月間保存したClFの濃度は、保存前のClFの濃度に対して約0.97%低下した。これに対して、比較例2の保存容器に保存したClFの濃度は、保存前のClFの濃度に対して約4.2%低下した。この結果から、実施例2の保存容器は、比較例2の保存容器に比べ、保存したClFの濃度低下を抑制する効果があることがわかる。
従って、金属容器の内面をClFにより処理し、金属のフッ化物による皮膜を形成することにより、ClFの濃度の安定性に優れた保存容器を作製することが可能である。
【0067】
次に、図7に示した測定装置60のガスボンベ61と配管68との間に、実施例3のガス配管を接続した。そして、上述のClF標準ガスの濃度を測定した方法と同様の方法で、濃度0.1%のClF標準ガスを実施例3のガス配管内を流通させ、実施例3のガス配管内を流通させた後のClF標準ガスの濃度を測定、算出した。また、実施例3のガス配管と同様に、比較例3の配管内を流通させた後のClF標準ガスの濃度を測定、算出した。算出したClF濃度を表3に示す。
【0068】
【表3】

【0069】
表3に示した結果より、実施例3のガス配管に濃度0.1%のClF標準ガスを流通させた場合、濃度が約8%低下した。これに対し、比較例3のガス配管に濃度0.1%のClF標準ガスを流通させた場合、濃度が約15%低下した。この結果から、実施例3のガス配管は、比較例3のガス配管に比べ、ClFを流通させた場合の濃度変化が非常に小さいことがわかる。従って、ガス配管の内面をClFにより処理し、金属のフッ化物による皮膜を形成することにより、ClFの濃度安定性に優れたガス配管を作製することができる。
【0070】
以上の結果から、予めガス配管の内面をClFの暴露により処理することで、例えば、膜形成操作系において、ClFによるクリーニングの立ち上げの段階での濃度低下を減少させることができる。このため、従来、装置の立ち上げにおいて、長時間ClFを流通させることによる、ガス配管内へのフッ化膜の形成が不要となる。この結果、例えばCVD装置の排気ガス配管に堆積するシリコン膜のクリーニング速度が向上し、装置の立ち上げ段階から効率よくクリーニングすることができる。
【0071】
本発明は、上述の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態のクリーニング装置をついて説明する図である。
【図2】実施例で使用したガス配管の前処理用の装置を示す図である。
【図3】実施例で使用したClF濃度変化を測定する装置を示す図である。
【図4】入口濃度が50ppmのときのClFの濃度変化を示す図である。
【図5】入口濃度が100ppmのときのClFの濃度変化を示す図である。
【図6】入口濃度が200ppmのときのClFの濃度変化を示す図である。
【図7】実施例で使用したClF濃度の測定装置を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
10 クリーニング装置、11 反応室、12 ガス供給ライン、13 ガス排出ライン、14,15 レギュレータ、16 ClFボンベ、17 Arボンベ、18 ブースターポンプ、19,50 逆止弁、20 ロータリーポンプ、22,44 除害装置、30 前処理用の装置、31,37,38,39,53,54,55,56,57,58,59 ガス配管、32,46,47 ガスボンベ、33 第1のN供給手段、34 第2のN供給手段、35 真空ポンプ、36,48,49 調整弁、40 試験用の装置、41 実施例のガス配管、42 比較例のガス配管、43 FT−IR、45 アルカリ溶液、51,52 マスフローコントローラ、60 測定装置、61 ガスボンベ、62 N供給手段、63,65 三方弁、64A,B インピンジャ、66 バイパスライン、67 積算流量計、68,69,70 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部に、ClFに暴露されることによるフッ化物の皮膜が形成されていることを特徴とする金属材料。
【請求項2】
ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金から選ばれる少なくとも1種に、前記フッ化物の皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属材料。
【請求項3】
前記フッ化物の皮膜が、濃度が5〜100%の前記ClFに暴露されて形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属材料。
【請求項4】
少なくとも一部にClFが暴露されることによるフッ化物の皮膜が形成された金属材料により構成されていることを特徴とする保存容器。
【請求項5】
0.05%〜5%の濃度のClFが内部に充填されていることを特徴とする請求項4に記載の保存容器。
【請求項6】
少なくとも一部にClFが暴露されることによるフッ化物の皮膜が形成された金属材料からなることを特徴とするガス配管。
【請求項7】
少なくとも一部にClFが暴露されることによるフッ化物の皮膜が形成された金属材料により構成される反応室と、
前記反応室に接続された前記金属材料からなる配管とを備える
ことを特徴とする装置。
【請求項8】
金属材料の表面にClFを暴露することによって前記金属のフッ化物による皮膜を形成する
ことを特徴とする金属材料の製造方法。
【請求項9】
金属材料からなる容器内にClFを充填し、前記金属材料の表面に前記ClFを暴露することによってフッ化物による皮膜を形成する
ことを特徴とする保存容器の製造方法。
【請求項10】
金属材料からなるガス配管内にClFを供給し、前記ガス配管の内面に前記ClFを暴露することによってフッ化物による皮膜を形成する
ことを特徴とするガス配管の製造方法。
【請求項11】
金属材料からなる容器内にClFを暴露し、前記金属材料の表面にフッ化物の皮膜を形成する工程と、
前記フッ化物の皮膜が形成された容器内にClFを充填する工程とを有する
ことを特徴とするClFの保存方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−197274(P2009−197274A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40238(P2008−40238)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000158312)岩谷産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】