説明

金属膜付基板の作製方法、金属膜付基板、金属パターン材料の作製方法、金属パターン材料

【課題】温・湿度依存性の低い金属膜付基板、及びその作製方法を提供すること。温・湿度依存性の低く、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れた金属パターン材料、及びその作製方法を提供すること。
【解決手段】(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(a3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有することを特徴とする金属膜付基板の作製方法等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属膜付基板及び金属パターン材料に関し、特に、金属配線板、プリント配線板として有用な、金属膜付基板や金属パターン材料の作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、絶縁性基板の表面に金属パターンによる配線を形成した金属配線基板が、電子部品や半導体素子に広く用いられている。
かかる金属パターン材料の作製方法としては、主に、「サブトラクティブ法」が使用される。このサブトラクティブ法とは、基板表面に形成された金属膜上に、活性光線の照射により感光する感光層を設け、この感光層を像様露光し、その後現像してレジスト像を形成し、次いで、金属膜をエッチングして金属パターンを形成し、最後にレジストを剥離する方法である。
【0003】
この方法により得られる金属パターンにおいては、基板表面に凹凸を設けることにより生じるアンカー効果により、基板と金属膜との間の密着性を発現させている。そのため、得られた金属パターンの基板界面部の凹凸に起因して、金属配線として使用する際の高周波特性が悪くなるという問題点があった。また、基板表面に凹凸化処理するためには、クロム酸などの強酸で基板表面を処理するが必要であるため、金属膜と基板との密着性に優れた金属パターンを得るためには、煩雑な工程が必要であるという問題点があった。
【0004】
この問題を解決するため、基板の表面にプラズマ処理を行い、基板表面に重合開始基を導入し、その重合開始基からモノマーを重合させて、基板表面に極性基を有する表面グラフトポリマーを生成させるという表面処理を行うことで、基板の表面を粗面化することなく、基板と金属膜との密着性を改良させる方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかしながら、この方法によれば、グラフトポリマーが極性基、特に、解離性基を有する場合、温度や湿度変化により水分の吸収や脱離が生じ易く、その結果、形成された金属膜や基板が変形してしまうという問題を有していた。
また、この方法を利用して得られた金属パターンを金属配線基板の配線として使用する際には、基板界面部分に極性基、解離性基を有するグラフトポリマーが残存し、水分やイオン等を保持しやすくなるため、温・湿度依存性や配線間の耐イオンマイグレーション性や、形状の変化に懸念があった。特に、プリント配線板などの微細配線に適用した際には、配線(金属パターン)間における高い絶縁性が必要であり、配線間の絶縁信頼性のより一層の向上が要求されているのが現状である。
【非特許文献1】Advanced Materials 2000年 20号 1481−1494
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術的問題点を考慮してなされた本発明の目的は、温・湿度依存性の低い金属膜付基板、及びその作製方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、温・湿度依存性の低く、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れた金属パターン材料、及びその作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、以下に示す手段により上記目的を達成しうることを見出した。
<1> (a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(a3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有することを特徴とする金属膜付基板の作製方法である。
【0007】
<2> 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基が、含窒素官能基、含酸素官能基、又は含硫黄官能基であることを特徴とする<1>に記載の金属膜付基板の作製方法である。
【0008】
<3> 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基が、含窒素官能基であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の金属膜付基板の作製方法である。
【0009】
<4> 前記多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体が、パラジウム或いはパラジウムイオンであることを特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1に記載の金属膜付基板の作製方法である。
【0010】
<5> <1>乃至<4>のいずれか1に記載の金属膜付基板の作製方法により得られた金属膜付基板である。
【0011】
<6> (b1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(b2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(b3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、(b4)形成されためっき膜をパターン状にエッチングする工程と、を有することを特徴とする金属パターン材料の作製方法である。
【0012】
<7> (c1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層をパターン状に形成する工程と、(c2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(c3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有することを特徴とする金属パターン材料の作製方法である。
【0013】
<8> 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基が、含窒素官能基、含酸素官能基、又は含硫黄官能基であることを特徴とする<6>又は<7>に記載の金属パターン材料の作製方法である。
【0014】
<9> 前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基が、含窒素官能基であることを特徴とする<6>乃至<8>のいずれか1に記載の金属パターン材料の作製方法である。
【0015】
<10> 前記多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体が、パラジウム或いはパラジウムイオンであることを特徴とする<6>乃至<9>のいずれか1に記載の金属パターン材料の作製方法である。
【0016】
<11> <6>乃至<10>のいずれか1に記載の金属パターン材料の作製方法により得られた金属パターン材料である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、温・湿度依存性の低い金属膜付基板、及びその作製方法を提供することができる。
また、本発明によれば、温・湿度依存性の低く、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れた金属パターン材料、及びその作製方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の金属膜付基板の作製方法について説明する。
<金属膜付基板の作製方法>
本発明の金属膜付基板の作製方法は、(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(a2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(a3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有することを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
【0019】
〔(a1)工程〕
(a1)工程では、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基(以下、単に、「相互作用性基」と称する場合がある。)を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する。
【0020】
(a1)工程は、(a1−1)基材上に重合開始剤を含有する重合開始層が形成された基板を作製する工程と、(a1−2)該重合開始層に、相互作用性基を有し、且つ、該重合開始層と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程であることが好ましい。
また、上記(a1−2)工程は、前記重合開始層上に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体(重合開始層表面全体)に当該ポリマーを直接化学結合させる工程であることが好ましい。
【0021】
(表面グラフト)
基板上におけるポリマー層の形成は、一般的な表面グラフト重合と呼ばれる手段を用いる。グラフト重合とは、高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体を更に重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法である。特に、活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には、表面グラフト重合と呼ばれる。
【0022】
本発明に適用される表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。例えば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、p135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203、p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては、特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報及び特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
【0023】
本発明におけるポリマー層を形成する際には、上記の表面グラフト法以外にも、高分子化合物鎖の末端に、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと基板表面に存在する官能基とのカップリング反応により結合させる方法を適用することもできる。
これらの方法の中でも、より多くのグラフトポリマーを生成する観点からは、光グラフト重合法を用いてポリマー層を形成することが好ましい。
【0024】
〔基板〕
本発明における「基板」とは、その表面が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有するポリマーが直接化学結合した状態を形成しうる機能を有するものであり、基板自体がこのような表面特性を有するものであってもよく、また、該基材上に別途中間層(例えば、後述する重合開始層)を設け、該中間層がこのような特性を有するものであってもよい。
【0025】
(基材、基板)
本発明に使用される基材は、寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリイミド、エポキシ、ビスマレインイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が含まれる。本発明に使用される基材としては、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂が好ましい。
なお、これらの基材表面が、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有するポリマーが直接化学結合した状態を形成しうる機能を有している場合には、その基材そのものを基板として用いてもよい。
【0026】
本発明における基板として、特開2005−281350号公報の段落番号[0028]〜[0088]に記載の重合開始部位を骨格中に有するポリイミドを含む基材を用いることもできる。
【0027】
また、本発明の金属膜付基板の作製方法により得られた金属膜付基板(本発明の金属膜付基板)は、エッチングによりパターン化することで、半導体パッケージ、各種電気配線基板等に適用することができる。このような用途に用いる場合は、以下に示す、絶縁性樹脂を含んだ基板、具体的には、絶縁性樹脂からなる基板、又は、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いることが好ましい。
【0028】
絶縁性樹脂からなる基板、絶縁性樹脂からなる層を得る場合には、公知の絶縁性樹脂組成物が用いられる。この絶縁性樹脂組成物には、主たる樹脂に加え、目的に応じて種々の添加物を併用することができる。例えば、絶縁層の強度を高める目的で、多官能のアクリレートモノマーを添加する、絶縁体層の強度を高め、電気特性を改良する目的で、無機、若しくは有機の粒子を添加する、などの手段をとることもできる。
なお、本発明における「絶縁性樹脂」とは、公知の絶縁膜や絶縁層に使用しうる程度の絶縁性を有する樹脂であることを意味するものであり、完全な絶縁体でないものであっても、目的に応じた絶縁性を有する樹脂であれば、本発明に適用しうる。
【0029】
絶縁性樹脂の具体例としては、例えば、熱硬化性樹脂でも熱可塑性樹脂でもまたそれらの混合物でもよく、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、イソシアネート系樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
【0030】
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
その他の熱可塑性樹脂としては、1,2−ビス(ビニルフェニレン)エタン樹脂(1,2−Bis(vinylphenyl)ethane)、若しくはこれとポリフェニレンエーテル樹脂との変性樹脂(天羽悟ら、Journal of Applied Polymer Science Vol.92,1252-1258(2004)に記載)、液晶性ポリマー(具体的には、クラレ製のベクスターなど)、フッ素樹脂(PTFE)などが挙げられる。
【0031】
熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。これはそれぞれの欠点を補いより優れた効果を発現する目的で行われる。例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)などの熱可塑性樹脂は熱に対しての耐性が低いため、熱硬化性樹脂などとのアロイ化が行われている。たとえば、PPEとエポキシ、トリアリルイソシアネートとのアロイ化、或いは重合性官能基を導入したPPE樹脂とそのほかの熱硬化性樹脂とのアロイ化として使用される。またシアネートエステルは熱硬化性の中ではもっとも誘電特性の優れる樹脂であるが、それ単独で使用されることは少なく、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、熱可塑性樹脂などの変性樹脂として使用される。これらの詳細に関しては、“電子技術”2002/9号、P35に記載されている。また、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂及び/又はフェノール樹脂を含み、熱可塑性樹脂としてフェノキシ樹脂及び/又はポリエーテルスルフォン(PES)を含むものも誘電特性を改善するために使用される。
【0032】
絶縁性樹脂組成物には、架橋を進めるために重合性の二重結合を有する化合物のようなもの、具体的には、アクリレート、メタクリレート化合物を含有していてもよく、特に多官能のものが好ましい。そのほか、重合性の二重結合を有する化合物として、熱硬化性樹脂、若しくは熱可塑性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等に、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、樹脂の一部を(メタ)アクリル化反応させた樹脂を用いてもよい。
【0033】
本発明における絶縁性樹脂組成物には、樹脂被膜の機械強度、耐熱性、耐候性、難燃性、耐水性、電気特性などの特性を強化するために、樹脂と他の成分とのコンポジット(複合素材)も使用することができる。複合化するのに使用される材料としては、紙、ガラス繊維、シリカ粒子、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などを挙げることができる。
【0034】
更に、この絶縁性樹脂組成物には必要に応じて一般の配線板用樹脂材料に用いられる充填剤、例えば、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの無機フィラー、硬化エポキシ樹脂、架橋ベンゾグアナミン樹脂、架橋アクリルポリマーなどの有機フィラーを一種又は二種以上配合してもよい。
また、更に、この絶縁性樹脂組成物には、必要に応じて着色剤、難燃剤、接着性付与剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、などの各種添加剤を一種又は二種以上添加してもよい。
【0035】
これらの材料を絶縁性樹脂組成物に添加する場合は、いずれも、樹脂に対して、1〜200質量%の範囲で添加されることが好ましく、より好ましくは10〜80質量%の範囲で添加される。この添加量が、1質量%未満である場合は、上記の特性を強化する効果がなく、また、200質量%を超えると場合には、樹脂特有の強度などの特性が低下する。
【0036】
このような用途に用いる場合の基板として、具体的には、1GHzにおける誘電率(比誘電率)が3.5以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。また、1GHzにおける誘電正接が0.01以下である絶縁性樹脂からなる基板であるか、又は、該絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板であることが好ましい。
絶縁性樹脂の誘電率及び誘電正接は、常法により測定することができる。例えば、「第18回エレクトロニクス実装学会学術講演大会要旨集」、2004年、p189、に記載の方法に基づき、空洞共振器摂動法(例えば、極薄シート用εr、tanδ測定器、キーコム株式会社製)を用いて測定することができる。
このように、本発明においては誘電率や誘電正接の観点から絶縁樹脂材料を選択することも有用である。誘電率が3.5以下であり、誘電正接が0.01以下の絶縁性樹脂としては、液晶ポリマー、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、シアネートエステル樹脂、ビス(ビスフェニレン)エタン樹脂などが挙げられ、更にそれらの変性樹脂も含まれる。
【0037】
本発明の金属膜付基板の作製方法に適用される基板は、表面凹凸が500nm以下であることが好ましく、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下、最も好ましくは20nm以下である。この基板の表面凹凸(中間層や重合開始層が設けられている場合はその層の表面凹凸)が小さくなるほど、得られた金属膜付基板を配線等に適用した場合に、高周波送電時の電気損失が少なくなり好ましい。
【0038】
本発明において、基板表面に活性種を与え、それを起点としてグラフトポリマーを生成させる表面グラフト重合法を用いる場合、グラフトポリマーの生成に際しては、基材上に重合開始剤を含有する重合開始層を形成した基板を用いることが好ましい。この基板を用いることで、活性点を効率よく発生させ、より多くのグラフトポリマーを生成させることができる。
以下、本発明における重合開始層について説明する。
【0039】
(重合開始層)
本発明における重合開始層としては、高分子化合物と重合開始剤とを含む層や、重合性化合物と重合開始剤とを含む層が挙げられる。
本発明における重合開始層は、必要な成分を、溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で基材表面に設け、加熱又は光照射により硬膜することで、形成することができる。
【0040】
本発明における重合開始層に用いられる化合物としては、基材との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により、活性種を発生するものであれば特に制限なく用いることができる。具体的には、多官能モノマーや分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーと、重合開始剤とを混合したものが用いることができる。
【0041】
このような分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
ブタジエン、イソプレン、ペンタジエンなどのジエン系単量体又はアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどの二元又は多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子又は3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
これらの重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で10〜100質量%の範囲が好ましく、10〜80質量%の範囲が特に好ましい。
【0042】
重合開始層には、エネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有する。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを、目的に応じて、適宜選択して用いることができる。中でも、光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、これを含む重合開始層から表面グラフト重合が可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができるが、反応性の観点からはラジカル重合開始剤が好ましい。
【0043】
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類、などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合開始層中、固形分で0.1〜70質量%の範囲が好ましく、1〜40質量%の範囲が特に好ましい。
【0044】
上記重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
【0045】
重合開始層を基材上に形成する場合の塗布量は、十分な重合開始能の発現、及び、膜性を維持して膜剥がれを防止するといった観点からは、乾燥後の質量で、0.1〜20g/mが好ましく、更に、0.5〜15g/mが好ましい。
【0046】
本発明においては、上記のように、基材上に上記の重合開始層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて重合開始層を形成するが、この時、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、重合開始層上にグラフトポリマーが生成した後に重合開始層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が充分乾燥し得る条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
【0047】
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、後述するグラフトポリマーの生成反応に用いる光源を用いることができる。引き続き行われるグラフトポリマー生成工程において、エネルギー付与により発生する重合開始層の活性点と、グラフトポリマーの生成を阻害しないという観点からは、重合開始層中に存在する重合開始剤が重合性化合物を硬化する際にラジカル重合しても、完全に消費しない程度に光照射することが好ましい。光照射時間については、光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が80%以下となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
【0048】
また、上記の重合性化合物及び重合開始剤を含有する重合開始層以外に、特開2004−161995公報に記載の重合開始基が側鎖にペンダントしてなるポリマーを用いた重合開始層も好ましい。このポリマーは、具体的には、側鎖に重合開始能を有する官能基(重合開始基)及び架橋性基を有するポリマー(以下、重合開始ポリマーと称する。)であり、このポリマーにより、ポリマー鎖に結合した重合開始基を有し、かつ、そのポリマー鎖が架橋反応により固定化された形態の重合開始層を形成することができる。
このようにして形成される重合開始層も、本願の重合開始層として好適である。
【0049】
ここで用いられる重合開始ポリマーは、特開2004−161995号公報の段落番号〔0011〕〜〔0158〕に記載にものが挙げられる。重合開始ポリマーの特に好ましいものの具体例としては、以下に示すものが挙げられる。
【0050】
【化1】

【0051】
【化2】

【0052】
−重合開始層の成膜−
本発明における重合開始ポリマーを用いてなる重合開始層は、上述の重合開始ポリマーを適当な溶剤に溶解し、塗布液を調製し、その塗布液を基材上に塗布などにより配置し、溶剤を除去し、架橋反応が進行することにより成膜する。つまり、この架橋反応が進行することにより、重合開始ポリマーが固定化される。この架橋反応による固定化には、重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法、及び架橋剤を併用する方法があり、架橋剤を用いることが好ましい。重合開始ポリマーの自己縮合反応を使用する方法としては、例えば、架橋性基が−NCOである場合、熱をかけることにより自己縮合反応が進行する性質を利用したものである。この自己縮合反応が進行することにより、架橋構造を形成することができる。
【0053】
また、架橋剤を併用する方法に用いられる架橋剤としては、山下信二編「架橋剤ハンドブック」に掲載されているような従来公知のものを用いることができる。
重合開始ポリマー中の架橋性基と架橋剤との好ましい組み合わせとしては、(架橋性基,架橋剤)=(−COOH,多価アミン)、(−COOH,多価アジリジン)、(−COOH,多価イソシアネート)、(−COOH,多価エポキシ)、(−NH,多価イソシアネート)、(−NH,アルデヒド類)、(−NCO,多価アミン)、(−NCO,多価イソシアネート)、(−NCO,多価アルコール)、(−NCO,多価エポキシ)、(−OH,多価アルコール)、(−OH,多価ハロゲン化化合物)、(−OH,多価アミン)、(−OH,酸無水物)が挙げられる。中でも、架橋の後にウレタン結合が生成し、高い強度の架橋が形成可能であるという点で、(官能基,架橋剤)=(−OH,多価イソシアネート)が、更に好ましい組み合わせである。
【0054】
本発明における架橋剤の具体例としては、以下に示す構造のものが挙げられる。
【0055】
【化3】

【0056】
このような架橋剤は、重合開始層の成膜の際、上述の重合開始ポリマーを含有する塗布液に添加される。その後、塗膜の加熱乾燥時の熱により、架橋反応が進行し、強固な架橋構造を形成することができる。より詳細には、下記のex1.で示される脱水反応やex2.で示される付加反応により架橋反応が進行し、架橋構造が形成される。これらの反応における温度条件としては、50℃以上300℃以下が好ましく、更に好ましくは80℃以上200℃以下である。
【0057】
【化4】

【0058】
また、塗布液中の架橋剤の添加量としては、重合開始ポリマー中に導入されている架橋性基の量により変化するが、架橋度合や、未反応の架橋成分の残留による重合反応への影響の観点から、通常、架橋性基のモル数に対して0.01〜50当量であることが好ましく、0.01〜10当量であることがより好ましく、0.5〜3当量であることが更に好ましい。
【0059】
また、重合開始層を塗布する際に用いる溶媒は、上述の重合開始ポリマーが溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独或いは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
【0060】
重合開始ポリマーを用いてなる重合開始層の塗布量は、表面グラフト重合の開始能や、膜性の観点から、乾燥後の重量で、0.1〜20g/mが好ましく、更に、1〜15g/mが好ましい。
【0061】
更に、本発明において、前述のような、絶縁性樹脂からなる層を基材上に有する基板を用いる場合、この絶縁性樹脂からなる層中に、公知の重合開始剤を含有させて、絶縁性の重合開始層とすることが好ましい。この絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤としては、特に制限はなく、例えば、前述の、熱重合開始剤、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤)や、特開平9−77891号、特開平10−45927号に記載の活性カルボニル基を側鎖に有する高分子化合物、更には、側鎖に重合開始能を有する官能基及び架橋性基を有するポリマー(重合開始ポリマー)などを用いることができる。
絶縁性の重合開始層中に含有させる重合開始剤の量は、一般的には、絶縁層中に固形分で0.1〜50質量%程度であることが好ましく、1.0〜30.0質量%程度であることがより好ましい。
【0062】
(グラフトポリマーの生成)
(a1)工程におけるグラフトポリマーの生成態様としては、前述した如く、基板表面に存在する官能基と、高分子化合物がその末端又は側鎖に有する反応性官能基とのカップリング反応を利用する方法や、光グラフト重合法を用いることができる。
本発明においては、基材上に重合開始層が形成された基板を用い、該重合開始層上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基(相互作用性基)を有し、且つ、該重合開始層と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する態様〔(a1−2)工程〕が好ましい。更に好ましくは、重合開始層上に、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを接触させた後、エネルギーを付与することにより、前記基板表面全体(重合開始層表面全体)に当該ポリマーを直接化学結合させる態様である。即ち、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を、重合開始層表面に接触させながら、当該重合開始層表面に生成する活性種により直接結合させるものである。
【0063】
上記接触は、重合開始層が形成された基板を、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を主成分とする層を基板表面(重合開始層表面)に、塗布法により形成してもよい。
【0064】
本発明において、表面グラフト重合法により、グラフトポリマーを生成させる場合に用いられる、重合性基及びめっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基(相互作用性基)を有する化合物について説明する。
本発明において、重合性基及び相互作用性基を有する化合物中の相互作用性基(めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基)とは、官能基が解離によりプロトンを生成せず、且つ、めっき触媒またはその前駆体と分子間力による相互作用による配位が可能な官能基である。
この相互作用性基としては、具体的には、エーテル基、チオエーテル基、シアノ基、トリアルキルアミン基、ピロール、ピロリドン、イミダゾール、ピリジンなどの含窒素ヘテロ環、フラン、ピランなどの含酸素ヘテロ環、チオフェン・チオピランなどの含硫黄ヘテロ環等を含むものが挙げられ、中でも、含窒素官能基、含酸素官能基、含硫黄官能基であることが好ましく、具体的には、ピリジル基、シアノ基、エーテル基、チオエーテル基を含むものが特に好ましいものとして挙げられる。
この官能基は、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する機能はあっても、解離性の極性基(親水性基)を有するものではないため、この官能基を有するグラフトポリマーからなるポリマー層は、温・湿度依存性が低いものとなる。
【0065】
本発明において、重合性基及び相互作用性基を有する化合物は、モノマー、マクロモノマー、ポリマーのいずれの形態あってもよく、中でも、ポリマー層の形成性と、制御の容易性の観点から、ポリマー(重合性基及び相互作用性基を有するポリマー)を用いることが好ましい。
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーとしては、相互作用性基を有するモノマーを用いて得られるホモポリマーやコポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基(重合性基)を導入したポリマーであることが好ましく、この重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、少なくとも主鎖末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
【0066】
前記重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを得る際に用いられる相互作用性基を有するモノマーとしては、ビニルピリジン類、N−ビニルピロリドン等が挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
【0067】
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーにおいて、相互作用性基を有するモノマーに由来するユニットは、めっき触媒又はその前駆体との相互作用形成性の観点から、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー中に、50〜95モル%の範囲で含有されることが好ましく、40〜80モル%の範囲で含有されることがより好ましい。
【0068】
また、重合性基及び相互作用性基を有するポリマーを得る際には、上記相互作用性基を有するモノマー以外に、他のモノマーを用いて合成されていてもよい。他のモノマーとしては、一般的な重合性モノマーを用いてよく、ジエン系モノマー、アクリル系モノマー等が挙げられる。
【0069】
このような重合性基及び相互作用性基を有するポリマーは、以下のように合成できる。
合成方法としては、i)相互作用性基を有するモノマーと重合性基を有するモノマーとを共重合する方法、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、二重結合を導入(重合性基を導入する)方法が挙げられる。好ましいのは、合成適性の観点から、ii)相互作用性基を有するモノマーと二重結合前駆体を有するモノマーとを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、iii)相互作用性基を有するポリマーと重合性基を有するモノマーとを反応させ、重合性基を導入する方法である。
【0070】
重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの合成に用いられる、相互作用性基を有するモノマーとしては、上記の相互作用性基を有するモノマーと同様のモノマーを用いることができる。モノマーは、一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0071】
相互作用性基を有するモノマーと共重合させる重合性基を有するモノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜、2−(3−ブロモ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレート、などが挙げられる。
【0072】
更に、相互作用性基を有するポリマー中の、カルボキシル基、アミノ基若しくはそれらの塩、水酸基、及びエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる重合性基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
【0073】
以下、本発明において好適に用いられる重合性基及び相互作用性基を有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0074】
【化5】

【0075】
上記重合性基及び相互作用性基を有するポリマー等の重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物に使用する溶剤は、組成物の主成分である、重合性基及び相互作用性基を有する化合物などが溶解可能ならば特に制限はない。溶剤には、更に界面活性剤を添加してもよい。
使用できる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトン、シクロヘキサノンの如きケトン系溶剤、ホルムアミド、ジメチルアセトアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
【0076】
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0077】
重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を接触させる場合には、その塗布量は、めっき触媒又はその前駆体との充分な相互作用形成性の観点からは、固形分換算で、0.1〜10g/mが好ましく、特に0.5〜5g/mが好ましい。
なお、基板上に、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する組成物を塗布し、乾燥させて、重合性基及び相互作用性基を有する化合物を含有する層を形成する場合、塗布と乾燥との間に、30〜80℃で30分〜1時間放置させて、残存する溶剤を除去してもよい。
【0078】
(エネルギーの付与)
基板表面へのエネルギー付与方法としては、例えば、加熱や露光等の輻射線照射を用いることができる。例えば、UVランプ、可視光線などによる光照射、ホットプレートなどでの加熱等が可能である。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
エネルギー付与に要する時間としては、目的とするグラフトポリマーの生成量及び光源により異なるが、通常、10秒〜5時間の間である。
【0079】
なお、エネルギーの付与を露光にて行う場合、その露光パワーは、グラフト重合を容易に進行させるため、また、生成されたグラフトポリマーの分解を抑制するため、500mJ/cm〜5000mJ/cmの範囲であることが好ましい。
【0080】
以上説明した(a1)工程により、基板上には、相互作用性基を有するグラフトポリマーからなるポリマー層(グラフトポリマー層)を形成することができる。
【0081】
〔(a2)工程〕
(a2)工程では、上記(a1)工程において形成されたポリマー層に、多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する。本工程においては、ポリマー層を構成するグラフトポリマーが有する相互作用性基が、その機能に応じて、付与されためっき触媒又はその前駆体を付着(吸着)する。
ここで、めっき触媒又はその前駆体としては、後述する(a3)めっき工程における、めっきの触媒や電極として機能するものが挙げられる。そのため、めっき触媒又はその前駆体は、(a3)めっき工程におけるめっきの種類により決定される。
なお、ここで、本工程において用いられるめっき触媒又はその前駆体は、無電解めっき触媒又はその前駆体であることが好ましい。
【0082】
(無電解めっき触媒)
本発明において用いられるめっき触媒は、多座配位可能なものであれば、如何なるものも用いることができ、具体的には、多座配位可能なものであり、自己触媒還元反応の触媒能を有する金属(Niよりイオン化傾向の低い無電解めっきできる金属として知られるもの)などが挙げられ、具体的には、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられる。中でも、多座配位可能な官能基の種類、触媒能の高さから、Pdが特に好ましい。
【0083】
(無電解めっき触媒前駆体)
本工程において用いられる無電解めっき触媒前駆体とは、化学反応により無電解めっき触媒となりうるものであれば、特に制限なく使用することができる。主には、上記無電解めっき触媒として挙げた金属の金属イオンが用いられる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、還元反応により無電解めっき触媒である0価金属になる。無電解めっき触媒前駆体である金属イオンは、ポリマー層へ付与した後、無電解めっき浴への浸漬前に、別途還元反応により0価金属に変化させて無電解めっき触媒としてもよいし、無電解めっき触媒前駆体のまま無電解めっき浴に浸漬し、無電解めっき浴中の還元剤により金属(無電解めっき触媒)に変化させてもよい。
【0084】
実際には、無電解めっき前駆体である金属イオンは、金属塩を用いてポリマー層上に付与する。使用される金属塩としては、適切な溶媒に溶解して金属イオンと塩基(陰イオン)とに解離されるものであれば特に制限はなく、M(NO、MCln、M2/n(SO)、M3/n(PO)(Mは、n価の金属原子を表す)などが挙げられる。金属イオンとしては、上記の金属塩が解離したものを好適に用いることができる。具体例としては、例えば、Agイオン、Cuイオン、Alイオン、Niイオン、Coイオン、Feイオン、Pdイオンが挙げられ、多座配位可能な官能基の種類及び触媒能の高さの観点から、Pdイオンが触媒能の点で好ましい。
【0085】
無電解めっき触媒である金属、或いは、無電解めっき前駆体である金属塩をポリマー層に付与する方法としては、金属を適当な分散媒に分散した分散液、或いは、金属塩を適切な溶媒で溶解し、解離した金属イオンを含む溶液を調製し、その分散液又は溶液をポリマー層上に塗布するか、或いは、その分散液又は溶液中にポリマー層が形成された基板を浸漬すればよい。無電解めっき触媒又はその前駆体を接触させることで、ポリマー層中の相互作用性基に、ファンデルワールス力のような分子間力による相互作用、又は、孤立電子対による配位結合を利用して、無電解めっき触媒又はその前駆体を吸着させることができる。
このような吸着を充分に行なわせるという観点からは、接触させる分散液中の金属濃度、又は溶液中の金属イオン濃度は、0.01〜50質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜30質量%の範囲であることが更に好ましい。また、接触時間としては、1分〜24時間程度であることが好ましく、1分〜1時間程度であることがより好ましい。
【0086】
(その他の触媒)
本発明において、後述の(a3)工程において、ポリマー層に対して、無電解めっきを行わず直接電気めっきを行うために用いられる触媒としては、0価金属を使用することができる。この0価金属としては、Pd、Ag、Cu、Ni、Al、Fe、Coなどが挙げられ、特に、相互作用性基に対する吸着(付着)性、触媒能の高さから、Pd、Ag、Cuが好ましい。
【0087】
以上説明した(a2)工程を経ることで、ポリマー層中の相互作用性基とめっき触媒又はその前駆体との間に相互作用を形成することができる。
【0088】
〔(a3)めっき工程〕
(a3)工程では、無電解めっき触媒又はその前駆体が付与されたポリマー層に対し、めっきを行うことで、めっき膜が形成される。形成されためっき膜は、優れた導電性、密着性を有する。
本工程において行われるめっきの種類は、無電解めっき、電気めっき等が挙げられ、前記(a2)工程において、ポリマー層との間に相互作用を形成しためっき触媒又はその前駆体の機能によって、選択することができる。
つまり、本工程では、めっき触媒又はその前駆体が付与されたポリマー層に対し、電気めっきを行ってもよいし、無電解めっきを行ってもよい。
中でも、本発明においては、ポリマー層中に発現するハイブリッド構造の形成性及び密着性向上の点から、無電解めっきを行うことが好ましい。また、所望の膜厚のめっき層を得るために、無電解めっきの後に、更に電気めっきを行うことがより好ましい態様である。
以下、本工程において好適に行われるめっきについて説明する。
【0089】
(無電解めっき)
無電解めっきとは、めっきとして析出させたい金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学反応によって金属を析出させる操作のことをいう。
本工程における無電解めっきは、例えば、無電解めっき触媒が付与された基板を、水洗して余分な無電解めっき触媒(金属)を除去した後、無電解めっき浴に浸漬して行なう。使用される無電解めっき浴としては一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
また、無電解めっき触媒前駆体が付与された基板を、無電解めっき触媒前駆体がポリマー層に吸着又は含浸した状態で無電解めっき浴に浸漬する場合には、基板を水洗して余分な前駆体(金属塩など)を除去した後、無電解めっき浴中へ浸漬される。この場合には、無電解めっき浴中において、めっき触媒前駆体の還元とこれに引き続き無電解めっきが行われる。ここで使用される無電解めっき浴としても、上記同様、一般的に知られている無電解めっき浴を使用することができる。
なお、無電解めっき触媒前駆体の還元は、上記のような無電解めっき液を用いる態様とは別に、触媒活性化液(還元液)を準備し、無電解めっき前の別工程として行うことも可能である。触媒活性化液は、無電解めっき触媒前駆体(主に金属イオン)を0価金属に還元できる還元剤を溶解した液で、0.1%〜50%、好ましくは1%〜30%が良い。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ヂメチルアミンボランのようなホウ素系還元剤、ホルムアルデヒド、次亜リン酸などの還元剤を使用することが可能である。
【0090】
一般的な無電解めっき浴の組成としては、1.めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イオンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が主に含まれている。このめっき浴には、これらに加えて、めっき浴の安定剤など公知の添加物が含まれていてもよい。
無電解めっき浴に用いられる金属の種類としては、銅、すず、鉛、ニッケル、金、パラジウム、ロジウムが知られており、中でも、導電性の観点からは、銅、金が特に好ましい。
また、上記金属に合わせて最適な還元剤、添加物がある。例えば、銅の無電解めっきの浴は、銅塩としてCuSO、還元剤としてHCOH、添加剤として銅イオンの安定剤であるEDTAやロッシェル塩などのキレート剤、トリアルカノールアミンなどが含まれている。また、CoNiPの無電解めっきに使用されるめっき浴には、その金属塩として硫酸コバルト、硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリウム、りんご酸ナトリウム、こはく酸ナトリウムが含まれている。また、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イオンとして(Pd(NH)Cl、還元剤としてNH、HNNH、安定化剤としてEDTAが含まれている。これらのめっき浴には、上記成分以外の成分が入っていてもよい。
【0091】
このようにして形成される無電解めっきによるめっき膜の膜厚は、めっき浴の金属イオン濃度、めっき浴への浸漬時間、或いは、めっき浴の温度などにより制御することができるが、導電性の観点からは、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
また、めっき浴への浸漬時間としては、1分〜6時間程度であることが好ましく、1分〜3時間程度であることがより好ましい。
【0092】
以上のようにして得られた無電解めっきによるめっき膜は、SEMによる断面観察により、ポリマー層中に無電解めっき触媒やめっき金属からなる微粒子がぎっしりと分散しており、更にポリマー層上にめっき金属が析出していることが確認された。基板とめっき膜との界面は、ポリマーと微粒子とのハイブリッド状態であるため、基板(有機成分)と無機物(触媒金属又はめっき金属)との界面が平滑(例えば、凹凸差が500nm以下)であっても、密着性が良好となる。
【0093】
(電気めっき)
本工程おいては、(a2)工程において付与されためっき触媒又はその前駆体が電極としての機能を有する場合、その触媒又はその前駆体が付与されたポリマー層に対して、電気めっきを行うことができる。
また、前述の無電解めっきの後、形成されためっき膜を電極とし、更に、電気めっきを行ってもよい。これにより基板との密着性に優れた無電解めっき膜をベースとして、そこに新たに任意の厚みをもつ金属膜を容易に形成することができる。このように、無電解めっきの後に、電気めっきを行うことで、金属膜を目的に応じた厚みに形成しうるため、本発明の金属膜を種々の応用に適用するのに好適である。
【0094】
本発明における電気めっきの方法としては、従来公知の方法を用いることができる。なお、本工程の電気めっきに用いられる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッケル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、導電性の観点から、銅、金、銀が好ましく、銅がより好ましい。
【0095】
また、電気めっきにより得られる金属膜の膜厚については、用途に応じて異なるものであり、めっき浴中に含まれる金属濃度、或いは、電流密度などを調整することでコントロールすることができる。なお、一般的な電気配線などに用いる場合の膜厚は、導電性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
【0096】
<金属パターン材料の作製方法(1)>
本発明の金属パターン材料の作製方法の第1の態様は、(b1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、(b2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(b3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、(b4)形成されためっき膜をパターン状にエッチングする工程と、を有することを特徴とする。
以下、金属パターン材料の作製方法(1)における(b1)工程乃至(b4)工程について説明する。
【0097】
〔(b1)工程〕
(b1)工程では、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基(相互作用性基)を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する。
この金属パターン材料の作製方法(1)における(b1)工程は、前記金属膜付基板の作製方法における(a1)工程と同一であり、好ましい態様も同様である。
【0098】
〔(b2)工程〕
(b2)工程では、上記(b1)工程において形成されたポリマー層に、多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する。
この金属パターン材料の作製方法(1)における(b2)工程は、前記金属膜付基板の作製方法における(a2)工程と同一であり、好ましい態様も同様である。
【0099】
〔(b3)工程〕
(b3)工程では、上記(b2)工程において、ポリマー層に付与した多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う。
この金属パターン材料の作製方法(1)における(b3)工程は、前記金属膜付基板の作製方法における(a3)工程と同一であり、好ましい態様も同様である。
【0100】
〔(b4)工程〕
(b4)工程では、上記(b3)工程で形成されためっき膜をパターン状にエッチングする。即ち、本工程では、基板表面全体に形成されためっき膜の不要部分をエッチングで取り除くことで、所望の金属パターンを形成することができる。
この金属パターンの形成には、如何なる手法も使用することができ、具体的には一般的に知られているサブトラクティブ法、セミアディティブ法が用いられる。
【0101】
サブトラクティブ法とは、形成されためっき膜上にドライフィルムレジスト層を設けパターン露光、現像により金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジストパターンをマスクとしてエッチング液でめっき膜を除去し、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジストとしては如何なる材料も使用でき、ネガ型、ポジ型、液状、フィルム状のものが使用できる。また、エッチング方法としては、プリント配線基板の製造時に使用されている方法が何れも使用可能であり、湿式エッチング、ドライエッチング等が使用可能であり、任意に選択すればよい。作業の操作上、湿式エッチングが装置などが簡便で好ましい。エッチング液として、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄等の水溶液を使用することができる。
【0102】
また、セミアディティブ法とは、形成されためっき膜上にドライフィルムレジスト層を設け、パターン露光、現像により非金属パターン部と同じパターンを形成し、ドライフィルムレジソトパターンをマスクとして電気メッキを行い、ドライフィルムレジソトパターンを除去した後にクイックエッチングを実施し、めっき膜をパターン状に除去することで、金属パターンを形成する方法である。ドライフィルムレジソト、エッチング液等はサブトラクティブ法と同様な材料が使用できる。また、電気メッキ手法としては前記記載の手法が使用できる。
【0103】
以上の工程を経ることにより、所望の金属パターンを有する金属パターン材料が作製される。
【0104】
<金属パターン材料の作製方法(2)>
本発明の金属パターン材料の作製方法の第2の態様は、(c1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層をパターン状に形成する工程と、(c2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、(c3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、を有することを特徴とする。
即ち、前記金属パターン材料の作製方法(1)においては、基板上の全面に亘ってポリマー層を形成し、該ポリマー層上に形成されためっき膜を除去することにより、所望の金属パターンを形成する態様であるが、金属パターン材料の作製方法(2)は、基板上に、ポリマー層をパターン状に形成し、該パターン状のポリマー層に応じた金属パターンを形成するものである。
【0105】
以下、金属パターン材料の作製方法(2)における(c1)工程乃至(c3)工程について説明する。
【0106】
〔(c1)工程〕
(c1)工程では、基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層をパターン状に形成する
この金属パターン材料の作製方法(2)における(c1)工程は、前記金属膜付基板の作製方法における(a1)工程で説明した手段に準じるものであり、金属膜付基板の作製方法では、基板の全面にポリマー層を形成したが、本態様では、ポリマー層をパターン状に形成したものである。
より具体的には、金属膜付基板の作製方法における(a1)工程において、表面グラフト重合法を用いた場合には、基板の全面にエネルギー付与を行いポリマー層を形成したが、(c1)工程では、ポリマー層の形成において、パターン状にエネルギー付与を行い、ポリマー層をパターン状に形成するものである。
【0107】
(c1)工程に適用される、基板(基材及び基材上に形成しうる中間層、重合開始層)、ポリマー層を構成する各要素に関する事項、等の詳細については、前記金属膜付基板の作製方法(1)の(a1)工程で説明した事項を、同様に適用することができる。
【0108】
(エネルギーの付与)
(c1)工程において、パターン状にエネルギーを付与する方法には特に制限はなく、基板表面に活性点を生じさせうるエネルギーをパターン状に付与できる方法であれば、いずれも使用できる。
パターン状にエネルギーを付与する手段としては、例えば、赤外線レーザー、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能であるが、コスト、装置の簡易性の観点からは活性光線を照射する方法が好ましい。これらの光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。また、g線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
なお、一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザーによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
パターン状に活性光線の照射を適用する場合、デジタルデータに基づく走査露光、リスフィルムを用いたパターン露光のいずれも使用することができる。
【0109】
このようにパターン状のエネルギー付与を行うことで、基板表面に発生した活性点と、重合性基及び相互作用性基を有する化合物とが重合して、エネルギーを付与された領域にのみグラフトポリマーが生成する。
【0110】
〔(c2)工程、及び(c3)工程〕
金属パターン材料の作製方法(2)における(c2)工程、及び(c3)工程は、それぞれ、前記金属膜付基板の作製方法における(a2)工程、及び(a3)工程と同一であり、好ましい態様も同様である。
【0111】
以上の工程を経ることにより、ポリマー層のパターンに対応した金属パターンを有する金属パターン材料が作製される。
【0112】
<金属膜付基板、及び金属パターン材料>
本発明の金属膜付基板、金属パターン材料は、前述の本発明の金属膜付基板の作製方法、金属パターン材料の作製方法により得られたものである。
得られた金属膜付基板、金属パターン材料を構成するポリマー層は、前述のように、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成するものの、非解離性であり、解離性基に比べ親水性が低い官能基を有するため、ポリマー層自体も親水性が低く、温・湿度依存性も低いものとなる。その結果、このポリマー層上に形成された金属膜(めっき)や基板が変形してしまうことを防止することができる。
また、このポリマー層が金属パターンの非形成領域に残存する金属パターン材料(本発明の金属パターン材料の作製方法(1)により得られた金属パターン材料)であっても、当該非形成領域の親水性は低いため、絶縁信頼性に優れたものとなる。
一方、本発明の金属パターン材料の作製方法(2)により得られた金属パターン材料は、金属パターンの非形成領域にポリマー層が存在しない形態となるため、絶縁信頼性に優れたものとなる。
【0113】
本発明の金属膜付基板、金属パターン材料は、表面の凹凸が500nm以下(より好ましくは100nm以下)の基板上の全面又は局所的に、金属膜(めっき膜)を設けたものであることが好ましい。また、基板と金属膜(金属パターン)との密着性が0.2kN/m以上であることが好ましい。即ち、基板表面が平滑でありながら、基板と金属膜(金属パターン)との密着性に優れることを特徴とする。
【0114】
なお、基板表面の凹凸は、基板を基板表面に対して垂直に切断し、その断面をSEMにより観察することにより測定した値である。
より詳細には、JIS B 0601に準じて測定したRz、即ち、「指定面における、最大から5番目までの山頂のZデータの平均値と、最小から5番目までの谷底の平均値との差」で、500nm以下であることが好ましい。
また、基板と金属膜との密着性の値は、金属膜の表面に、銅板(厚さ:0.1mm)をエポキシ系接着剤(アラルダイト、チバガイギー製)で接着し、140℃で4時間乾燥した後、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行うか、又は、金属膜自体の端部を直接剥ぎ取り、JIS C 6481に基づき90度剥離実験を行って得られた値である。
【0115】
本発明の金属膜付基板の作製方法により得られた金属膜付基板は、例えば、電磁波防止膜等として、また、金属膜(めっき膜)をエッチングによりパターン化することで、半導体チップ、各種電気配線板、FPC、COF、TAB、アンテナ、多層配線基板、マザーボード、等の種々の用途に適用することができる。
また、金属パターン材料の作製方法(1)及び(2)により得られた金属パターン材料についても、上記の種々の用途に適用することができる。
【実施例】
【0116】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」「部」は質量基準である。
【0117】
〔実施例1〕
[基板の作製]
ガラスエポキシ基板上に、電気的絶縁層として味の素ファインテクノ社製エポキシ系絶縁膜GX−13(膜厚45μm)を、加熱、加圧して、真空ラミネーターにより0.2MPaの圧力で100℃〜110℃の条件により接着して、基材Aを得た。
ついで、基材Aの上に、下記組成の重合開始剤を含有する絶縁性組成物を厚さ3ミクロンになるようにスピンコート法で塗布し、30℃にて1時間放置して溶剤を除去した後、170℃で30分乾燥して重合開始層(絶縁性の重合開始層)を形成した。
【0118】
(重合開始剤を含有する絶縁性組成物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート828)20質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業(株)製エピクロンN−673)45質量部、フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大日本インキ化学工業(株)製フェノライト)30質量部を、エチルジグリコールアセテート20部、及びソルベントナフサ20部に、攪拌しながら加熱溶解させ室温まで冷却した後、そこへ前記エピコート828とビスフェノールSとからなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノンワニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不揮発分30質量%、重量平均分子量47000)30質量部、2−フェニル−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール0.8質量部、微粉砕シリカ2質量部、シリコン系消泡剤0.5質量部を添加し、更にこの混合物中に、下記の方法で合成した重合開始ポリマーPを10部添加し、重合開始剤を含有する絶縁性組成物を得た。
【0119】
(重合開始ポリマーPの合成)
300mlの三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテル(MFG)30gを加え75度に加熱した。そこに、[2−(Acryloyloxy)ethyl](4−benzoylbenzyl)dimethyl ammonium bromide8.1gと、2−Hydroxyethylmethaacrylate9.9gと、isopropylmethaacrylate13.5gと、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.43gと、MFG30gと、の溶液を2.5時間かけて滴下した。その後、反応温度を80度に上げ、更に2時間反応させ、重合開始基を有するポリマーPを得た。
【0120】
上記のような重合開始層が形成された後、180℃で30分間硬化処理を実施した。これにより、基板A1を得た。この基板A1の表面凹凸(Rz)は0.1μmであった。
【0121】
[ポリマー層の形成]
(重合性基及び相互作用性基を有するポリマー1の合成)
まず、下記のようにして、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー1を合成した。
1000mlの三口フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド20gを入れ、窒素気流下、75℃まで加熱した。2−ヒドロキシエチルアクリレート8.6g、4−ビニルピリジン(相互作用性基を有するモノマー)31.1g、及びV−601(和光純薬製)0.85gのN,N−ジメチルアセトアミド20g溶液を、2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、更に3時間撹拌した。その後、室温まで、反応溶液を冷却した。
上記の反応溶液に、ジターシャリーペンチルハイドロキノン0.37g、ジブチルチンジラウレート0.47g、カレンズAOI(昭和電工(株)製)23.3g、N,N−ジメチルアセトアミド25gを加え、55℃、4時間反応を行った。その後、反応液にメタノールを20.0g加え、更に2時間反応を行った。反応終了後、再沈を行い、固形物を濾取し、水で洗浄、乾燥して、重合性基及び相互作用性基を有するポリマー1(下記構造)を15g得た。
なお、「カレンズAOI」は、重合性基を有するモノマーの1つであり、イソシアネート基を有する。
【0122】
【化6】

【0123】
(グラフトポリマーの生成)
重合性基及び相互作用性基を有するポリマー1:9.6質量部、イソプロパノール76.0質量部、メタノール33.9質量部、及びN,Nジメチルアセトアミド4.8質量部を混合攪拌し、塗布溶液を調製した。
続いて、調製された塗布溶液を、スピンコートにて前記基板Aの重合開始層上に、厚さ1.0μmになるように、スピンコート法により塗布し、80℃にて30分乾燥した後、三永電機製のUV露光機(型番:UVF−502S、ランプ:UXM−501MD)を用い、1.5mW/cmの照射パワー(ウシオ電機製紫外線積算光量計UIT150−受光センサーUVD−S254で照射パワー測定)にて、660秒間照射させて、基板A1の重合開始層の全面にグラフトポリマーを生成させた。
【0124】
その後、攪拌した状態のメタノール中にグラフトポリマーが生成された基板A1を5分間浸漬し、続いて、蒸留水にて洗浄した。
これにより、ポリマー層を有する基板A2を得た。
【0125】
[めっき触媒の付与]
ポリマー層を有する基板A2を、0.2%塩化Pd水溶液に、10分間浸漬した後、蒸留水に浸漬して洗浄した。
続いて、水1Lに対し、上村工業製の処理液MRD2A:18mL、MRD2C:60mLを添加して調製された触媒活性化液(還元液)に対し、ポリマー層を有する基板A2を5分浸漬させた後、蒸留水に浸漬し洗浄を行った。
【0126】
[無電解めっき]
上記のようにして、めっき触媒が付与されたポリマー層を有する基板A2に対し、下記組成の無電解めっき浴を用い、60℃で5分間、無電解めっきを行った。得られた無電解銅めっき膜の厚みは0.3μmであった。
【0127】
(無電解めっき浴の組成)
・蒸留水 1709g
・硫酸銅 18.1g
・エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム塩 54.0g
・ポリオキシエチレングリコール(分子量1000) 0.18g
・2,2’ビピリジル 1.8mg
・10%エチレンジアミン水溶液 7.1g
・37%ホルムアルデヒド水溶液 9.8g
以上のめっき浴組成のpHを、水酸化ナトリウム及び硫酸で12.5(60℃)に調整した。
【0128】
[電気めっき]
続いて、無電解銅めっき膜を給電層として、下記組成の電気銅めっき浴を用い、3A/dmの条件で、電気めっきを30分間行った。得られた電気銅めっき膜の厚みは18μmであった。これにより、金属膜付基板A3を得た。
【0129】
(電気メッキ浴の組成)
・硫酸銅 38g
・硫酸 95g
・塩酸 1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製) 3mL
・水 500g
【0130】
(密着性評価)
得られた金属膜付基板A3のめっき膜に対して、引張試験機((株)エー・アンド・デー製、RTM−100)を用いて、5mm幅について、引張強度10mm/minにて、90°ピール強度の測定を行ったところ、0.60kN/mmであった。
【0131】
(絶縁信頼性試験)
得られた金属膜付基板A3のめっき膜表面に、金属パターン(配線パターン)として残すべき領域にエッチングレジストを形成し、レジストのない領域のめっき膜を、FeCl/HClからなるエッチング液により除去した。その後、エッチングレジストを3%NaOH液からなるアルカリ剥離液にて除去し、ライン・アンド・スペース=100μm/100μmの線間絶縁信頼性を測定するための櫛形配線を形成した。
この櫛形配線を、ESPEC製HAST試験機(AMI−150S−25)にて、125℃−85%相対湿度(未飽和)、印加電圧10V、2気圧下で200時間放置させた所、配線間の絶縁不良は見られなかった。
このように、高温高湿下に放置しても絶縁不良が見られないことから、この櫛形配線を構成するポリマー層は吸水性が低く、温・湿度依存性の低いことが分かる。つまり、櫛形配線を形成する前の金属膜付基板A3を構成するポリマー層も吸水性が低く、温・湿度依存性の低いことが分かる。
【0132】
以上の結果から、本発明によれば金属膜(金属パターン)が平滑な基板に対して密着良く形成できる上に、金属パターンの非形成領域の絶縁信頼性に優れることが分かる。そのため、本発明のより得られる金属膜付基板(金属パターン材料)を用いることで、電気的信頼性に優れるプリント配線板を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、
(a2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、
(a3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、
を有することを特徴とする金属膜付基板の作製方法。
【請求項2】
前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基が、含窒素官能基、含酸素官能基、又は含硫黄官能基であることを特徴とする請求項1に記載の金属膜付基板の作製方法。
【請求項3】
前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基が、含窒素官能基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属膜付基板の作製方法。
【請求項4】
前記多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体が、パラジウム或いはパラジウムイオンであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属膜付基板の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の金属膜付基板の作製方法により得られた金属膜付基板。
【請求項6】
(b1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層を形成する工程と、
(b2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、
(b3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、
(b4)形成されためっき膜をパターン状にエッチングする工程と、
を有することを特徴とする金属パターン材料の作製方法。
【請求項7】
(c1)基板上に、めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基を有し、且つ、該基板と直接化学結合したポリマーからなるポリマー層をパターン状に形成する工程と、
(c2)該ポリマー層に多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体を付与する工程と、
(c3)該多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体に対してめっきを行う工程と、
を有することを特徴とする金属パターン材料の作製方法。
【請求項8】
前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基が、含窒素官能基、含酸素官能基、又は含硫黄官能基であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の金属パターン材料の作製方法。
【請求項9】
前記めっき触媒又はその前駆体と相互作用を形成する多座配位可能な非解離性官能基が、含窒素官能基であることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の金属パターン材料の作製方法。
【請求項10】
前記多座配位可能なめっき触媒又はその前駆体が、パラジウム或いはパラジウムイオンであることを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の金属パターン材料の作製方法。
【請求項11】
請求項6乃至請求項10のいずれか1項に記載の金属パターン材料の作製方法により得られた金属パターン材料。

【公開番号】特開2008−104909(P2008−104909A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287881(P2006−287881)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】