説明

金属製造における鉱石および/または他の金属含有材料の焼結工程の排ガスを浄化する方法および装置

金属製造での鉱石焼結工程の排ガスを浄化する方法において、焼結工程では固形燃料を用いて当該固形燃料の燃焼と燻しプロセスとを経て鉱石材料を焼結し、少なくとも汚染物質たるSOxおよび/またはHClとNOxとを減少または殆ど除去する。この目的のため、焼結排ガスは、移動床リアクタ(50)にその下端側から送り込まれ、NOxとSOxおよび/またはHClとによって既に汚染されている吸着/吸収材よりなる下側および上側の層(54B,54A)を通過する。その過程において、SOx成分および/またはHCl成分の少なくとも大部分が、焼結排ガスから、NOx付き吸着および/または吸収材の細孔システムに、吸着される。SOxおよび/またはHClの大部分が除去された焼結排ガスは、アンモニアや尿素などのアンモニウム含有化合物に完全に混ぜられた後、移動床リアクタにおける、ガスフローおよびバルク材抜出しの上側の水平なトレー(52A)にその下側から入って通過し、NOxと微量のSOxおよび/またはHClとによって既に汚染されている吸着/吸収材よりなる上段層に入る。上段層(54A)を通過するとき、NOx成分の少なくとも大部分が、焼結排ガスから吸着/吸収材(これは、NOxまたはN2と微量のSOxおよび/またはHClを伴う)の表面に吸着される。フレッシュな及び/又は再生された吸着/吸収材は、移動床リアクタの上端側にあるバルク材分配トレー(50C)を介して分配され、そして、移動床リアクタ内の上下層を、間断なく移り進む。その過程において、吸着/吸収材は、まず、その表面にてNOx、またはN2および水蒸気を吸着し、次に、その細孔システムにてSOxおよび/またはHClを吸着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の第1段落に記載のような、金属製造における鉱石等の焼結工程の排ガスの浄化方法に関し、また、そのような方法を実行するための、請求項16の第1段落に記載のような装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱石材料の焼結の際には、当該材料は、粉状の炭素含有固形物と混合されて焼結ベルト上に載置される。そして、焼結ベルトによる輸送中に当該固形物の少なくとも一部が燃焼されつつ、当該材料は取出し端まで輸送される。当該出発材料がペレットまたはブリケットにされたうえで焼結される場合もある。燃焼用に空気が供給される。焼結工程においては、供給原料は、燻しプロセスと(少なくとも一部が)燃焼プロセスとを経て(これによって出発物質は凝集し即ち焼結され)、より大きな塊りをなす。燃焼用空気が供給されることによって燃焼・燻しプロセスが促進されているために、相当な量のガスが供給原料から発生する。発生ガスには、CO2や、場合によってはCO、O2、H2O、および/またはN2というこれら成分に加えて、多種多様な汚染物質が含まれる。その汚染物質とは、具体的には、窒素酸化物(NOx)、SO2、HCl、ダイオキシン、フラン、ダスト、燻しプロセスにて昇華ないし凝集して生じ得る残滓、重炭化水素、および/または重金属である。
【0003】
空気メンテナンスに係る調査により、焼結ベルトからの排ガスには、金属製造過程の全体において生ずる汚染物質の総量の相当程度の割合が含まれることが明らかになっている。例えば、ダイオキシンとフランに関しては、それぞれ、鉄や鉄鋼の製造過程での排出量の90%以上が検出された。焼結ベルトプラントでの排ガス量が非常に大きいために、排ガスの充分な浄化には、これまで、鉄鋼製造全体のコストを押し上げるほどの多大な費用がかかった。具体的には、供給原料に応じて焼結ベルト排ガス中の汚染物質間でそれらの量が異なり且つ汚染物質組成が大きく変動し得ることや、利用し得る浄化方法における汚染物質種ごとの反応が様々であることから、数多くの浄化ステップを繋げて行う必要があった。
【0004】
例えば、複数のいわゆる空気媒フロー法が提案されており、これらは、空気媒フロー中の浮遊粒子の濾過除去を下流域に伴い、且つ、それよりも更に下流での、ダイオキシン除去のための触媒酸化を伴うものである。これらの方法では、触媒表面が有機物炭化水素で被覆されてしまうことに特に表れるように、触媒に相当な劣化がみられる(2002年12月、ドイツ連邦環境庁委任、最終報告、50 441−5/217「焼結プラントからのダイオキシン排出の削減」)。
【0005】
焼結ベルトプラントのための別の排ガス浄化方法が、WO01/17663にて提案されており、それは、焼結ベルト排ガスが、吸着浄化段階を後に伴う空気媒フロー浄化段階で浄化されるというものであり、空気媒フロー浄化段階では、比較的に粒径の小さな微粉の高級活性炭が、空気媒フロー雲の形態となるように排ガスに添加される。微粒子状の当該吸着材は、空気媒フロー浄化段階では、焼結ベルト排ガスから除去されるべき汚染物質の一部と反応する。空気媒フロープロセスにおける後段反応段階(向流移動床リアクタの段階)では、浮遊ダストは繊維フィルタや電気フィルタに捕捉されるのではなく、向流移動床リアクタの入端部付近に沈着堆積する。この向流移動床リアクタでは、浮遊ダストは、移動床内バルク材の粒子、具体的にはその粒子表面上や粒子間空隙内に沈着堆積する。その後、焼結ベルト排ガスは、向流移動床リアクタの、例えば活性炭からなる粒子層を通過する。このようにして、焼結ベルト排ガスは、空気媒フローの相で予め浄化されたうえで、吸着浄化に付される。移動床リアクタより下流域にある空気媒フロー浄化プロセスは、第2の粒子状吸着材の使用を必要とするが、これは、移動床の有害な触媒劣化を誘発してしまう。
【0006】
焼結排ガスからのNOxの除去が何よりも最も重要である場合には、SO2やHClなどの他の汚染物質は、触媒を利用して排ガスからNOxを除去する際に特に障害となり、焼結排ガスに含まれるこれらや他の汚染物質は、NOx除去にとってはいわゆる触媒毒であることが判っている。
【0007】
したがって、WO2006/084671A1では、何よりもSOxやHClを殆ど除去するための事前予備浄化段階と、後段浄化段階、即ち、炭素含有吸収材などのNOx蓄積のための触媒が上から下に通過させられる向流リアクタとが、使用される。この技術では、単一の吸着材層において二段階の排ガス浄化プロセスが行われ、第一浄化段階は、吸着材料層の入端部領域で実行され、第二浄化段階は、吸着材層のその後の領域で実行される。例えばSO2が水酸化カルシウムによって捕獲される事前予備浄化段階は、充分なものではないことが判っている。何故ならば、排ガス中のSO2および/またはHClの残留物が、NOxの変性に必要なアンモニアに接触することによって、NOx触媒の触媒粒子を膨張(ポップコーン化)させる状態を招くからである(但し、触媒が活性炭などの炭素含有の吸収材および/または吸収材の場合である)。このような現象は、硫酸アンモニウムか塩化アンモニウムの結晶が多孔質触媒内で形成される場合に起こる。多孔質触媒内での形成結晶の膨張は、触媒構造を壊す。そのため、触媒は、消費されるだけでなく、崩壊もする。また、触媒床の粒径を小さくすると、圧力損失が増大してしまい、その結果、浄化プロセスのコストが上昇してしまう。WO2006/084671A1によると、単一のリアクタ床における下位側の浄化段階の、このようにして劣化した触媒は、単一のリアクタ床からその下のトレーへと何度も繰返し排出されるので、焼結ベルト排ガスの充分な浄化が達成される。移動床リアクタユニットに送られる前の焼結排ガスの事前予備浄化のために、好ましくは、バッグフィルタもしくは電気フィルタ、および/または、排ガススクラバが使用される。それに代えて又はそれに加えて、移動床リアクタプラントに入る前の焼結排ガスから汚染物質であるSO2やHClの少なくとも一部を除去すべく、細かく分散する反応および/または吸収材、例えば石灰粉末および/または活性炭粉末などを、空気媒フロー中の焼結排ガスに添加してもよい。移動床リアクタプラントに入る際、事前に浄化されている焼結排ガスに含まれるSO2の量は、標準立方メートルあたり100mg未満であるのが好ましく、標準立方メートルあたり5mg以下であるのがより好ましい。
【0008】
これらの公知の事前予備浄化段階が一般的であるということは、事前予備浄化段階のために相当な設備投資がなされなければならないということであり、また、石灰などの追加的な消耗材料について、使用しては処分するか或は何らかの処理を施さなければならないということである。そのうえ、湿式スクラビング方法を採用する場合には、腐食の問題、再加熱の問題、および/または、水の純化の問題が克服されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第01/17663号
【特許文献2】国際公開第2006/084671号
【発明の概要】
【0010】
以上のような事情の下、本発明は、特にSOxおよび/またはHClとNOxとを除去するための焼結排ガス浄化おいて、消耗材料が必要な別の事前予備浄化段階を回避することを、目的とする。この目的を達成すべく、請求項1の特徴を伴う方法、および、請求項16の特徴を伴う装置を、提案する。
【0011】
本発明が提供するところによると、焼結排ガスは、必要に応じて事前のダスト抜きステップを経た後に、移動床リアクタにその下側から流入し、当該移動床リアクタにおけるガス流入・バルク材抜出し下段水平トレーを通過し、吸着および/または吸収材(これは、NOxまたはN2、および場合によっては水蒸気、並びに、SOxおよび/またはHCl、および場合によっては他の汚染物質、によって既に汚染されている)よりなる下段層に流入し、当該下段吸着および/または吸収材層を通過する過程においては、SOx成分および/またはHCl成分ならびに場合によっては他の汚染物質の少なくとも大部分が、焼結排ガスから、NOxまたはN2に対するロードを既に経ている吸着および/または吸収材の細孔システムに吸着され得る。SOxおよび場合によっては他の汚染物質の大部分が除去された焼結排ガスは、下段吸着および/または吸収材層をその上露出面から抜け出て、その後、NOxを例えばN2および水蒸気に変換するために、アンモニアおよび尿素などのアンモニウム含有化合物と充分に混合される。SOx成分および/またはHCl成分の大部分が除去され且つアンモニウム含有化合物と混合された焼結排ガスは、当該移動床リアクタのガス流入・バルク材抜出し上段水平トレーにその下側から流入して通過し、吸着および/および吸収材(これは、NOxまたはN2と、場合によっては微量のSOxおよび場合による他の汚染物質と、によって既に汚染されている)よりなる上段層に流入する。当該上段吸着および/または吸収材層を通過する過程では、焼結排ガス中のNOx成分の少なくとも大部分および少なくとも一つのアンモニウム含有化合物の、吸着および/または吸収材(これは、NOxまたはN2と、場合によっては微量のSOxおよび場合による他の汚染物質と、に対して既にロードされたものである)の表面への吸着が生じる。SOxおよび場合によっては他の汚染物質の大部分ならびにNOx成分が除去された焼結排ガスは、上側吸着および/または吸収材層をその上露出面から抜け出て、続いて本プロセスを抜け出る。フレッシュな及び/又は再生された吸着および/または吸収材が、移動床リアクタの上端側において、バルク材分配トレーを介して、上方から、吸着および/または吸収材よりなる上段層の上露出面に向けて均一に分配されつつ供給される。吸着および/または吸収材は、上段ガス流入・バルク材抜出しトレーの領域にて“開閉手段”によって阻まれずに、移動床リアクタ内の上・下段層を完全に通過するように上から下へと除々に移り進み、これにより、吸着および/または吸収材は、連続的に、先ずは、NOxまたはN2および水蒸気に対してロードされてそれを表面にて吸着し、次に、SOxおよび場合によっては他の汚染物質に対してロードされてそれを細孔システムにて吸着する。その後、吸着および/または吸収材は、移動床リアクタの下段ガス流入・バルク材抜出しトレーを通過する。吸着および/または吸収材に対するその後の操作すなわち抜き出しおよび移動速度調節は、下段ガス流入・バルク材抜出しトレーに設けられた又はその下に位置するバルク材放出部にて、断続的(又は連続的)に行われる。移動床リアクタの上段層内にある吸着および/または吸収材の、SOxおよび場合によっては他の汚染物質に対するローディング量は、下段ガス流入・バルク材抜出しトレーに設けられた又はその下に位置するバルク材放出部が対応する作動を行うことによって、既にロードされている吸着および/または吸収材に対する所定割合の量に調節される。
【0012】
本発明によると、浄化方法がかなり簡素化されるとともに、既使用の吸着/吸収材の吸着/吸収能力について最大100%を再利用することが可能であり、また、単一の二段式向流移動床リアクタ内に、NOxと、SOxおよび/またはHClならびに場合によっては他の汚染物質とを、完全に充分な程度に沈着堆積させることができる。また、事前予備浄化を経て移動床リアクタに流入する焼結排ガスには、ダストが依然として残留しているが、本発明によると、このダストも充分な程度に除去される。この効率の良さは、次の事実を考慮すると驚くべきものである。その事実とは、炭素燃料発電所排ガスからのSOxとNOxの同時的除去のための従来の吸着方法は、本発明のおよそ2倍量もの吸着材の循環を必要とするという事実である(発電所では使用炭素が高度に燃焼されるために、発電所排ガス中の汚染物質量が焼結ベルト排ガス中のそれよりも明らかに少ないにもかかわらずである)。また、本発明に係る方法の上述の効率の良さは、事前予備段階でのSOx除去のためのWO2006/084671A1に記載されている方法と比べても驚くべきものである。この公知の方法では、1日あたり数トンもの石灰を事前浄化段階にて循環させなければならない。これに対して、本発明では、吸着/吸収材(NOxおよび他の汚染物質に対して既にロードされたものである)へのSOxの沈着堆積がアンモニウム含有化合物の存在下でも生ずるのにもかかわらず、排ガスから比較的程度高くSOxを除去することができる。しかしながら、プロセスの操作は比較的簡単であり、且つ、二段式移動床リアクタ内を吸着/吸収材が移り進む過程において外乱が生ずるのが回避される。消費された吸着/吸収材の抜き出し、および、フレッシュな吸着/吸収材の補給は、単に、移動床リアクタにおける下部に設けられたバルク材放出部を介して制御される(この制御により、上段吸着/吸収材層からのローディング量は、特定のSOxおよび/またはHCl量に応じて制限される)。
【0013】
移動床リアクタの上段層内にある吸着および/または吸収材の、SOxおよび/またはHClに対するローディング値を、バルク材放出部によって抜き出されることになる吸着/吸収材の質量に対する10wt%以下、好ましくは6wt%以下に制限すると、移動床リアクタの下段吸着/吸収材でのSOxおよび/またはHCl除去を妨げるようなダメージを吸着/吸収材に与えることなしに、特に程度高く焼結排ガスからNOxを沈着堆積させることができる。このような制限は、移動床リアクタの下端側におけるガス流入・バルク材抜出しトレーの吸着/吸収材による通過をバルク材放出部によって制御することによって、実現することができる。
【0014】
炭素含有吸着/吸収材を使用する場合には、除去すべき汚染物質を焼結排ガスから特に程度高く沈着堆積させるのを実現することができる。吸着および/または吸収材が活性炭である場合には、二つのガス流入・バルク材抜出しトレーおよびバルク材放出部を伴う二段式移動床リアクタの通過において、吸着/吸収材の好ましい磨耗抵抗を達成することができる。例えば人工的に形成された活性炭を使用する場合には、好ましいフロー速度や、二つの吸着/吸収材層での圧力損失の抑制を、達成することができる。炭素含有吸着/吸収材の粒径については、基本的には大きな範囲から選択して採用することができる。しかしながら、好ましくは、過度に大きい粒子、および、ダストや小断片の形態をとるいわゆる規格以下の材料は、可能であれば、採用しない方がよい。粒径は、1〜10mmの範囲にあるのが好ましい。それより狭い3〜8mmの範囲は更に好ましい。NOx除去と、SOxおよび/またはHClの除去とを、同じ吸着/吸収材によって行うにあたっては、4〜6mmの範囲の粒径、好ましくは5mmの大きさの粒径が、特に効果的である。
【0015】
吸着/吸収材については、移動床リアクタを通過した後に特に焼結ベルト上で燃やして完全に廃棄することも可能ではあるが、高級炭素含有吸着/吸収材は、特に程度高く汚染されても本発明における再生ステップを経ることによって再使用するうえで好適であり、特に有益であることが明らかにされている。事前に活性化された吸着/吸収材(既に再生されている活性炭と混合されて移動床リアクタに対して上方から供給される)を、フレッシュ吸着/吸収材として使用する場合には、フレッシュな状態にある吸着/吸収材の活性について求められる要求を満たしやすい。何故なら、移動床リアクタを経た後に脱着・再生を伴う複数の循環が順次連続的に生じている状態では、各循環における移動床リアクタを経た時点の終末活性について充分に高い活性を達成することができるからである(この高い活性状態の吸着/吸収材が続いて脱着・再生を受けてリアクタに再投入されるからである)。
【0016】
再生は次のように行われるのが好ましい。再生ステップは、三段階プロセスで行われ、そこでは、移動床リアクタから汚染物質付きの活性炭が、まず、縦に延びる再生ユニットへその上端側から流入するように導かれて、管状の脱着装置など間接的に加熱される脱着装置を上から下に通過するように導かれ、次に、脱着した汚染ガスの吸引を伴う後段ガス抜き領域を上から下に通過するように導かれ、最後に、間接的な冷却が行われる冷却器を上から下に通過するように導かれる。このような構成の再生は、独立した発明としての重要性を持ち、必要に応じて、図1Aに示す実施形態に関して記述される各部の構成に従ってより具体的に構築されてもよい。
【0017】
本発明に係る方法は、完全に乾いたガスの浄化方法として用いることができ、そのため、湿式のスクラバーなどの問題や加熱の問題を排除することができる。移動床リアクタ内のガス温度は、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは80〜180℃であるところ、このような温度範囲は、50〜150℃(好ましくは130〜150℃)のガス温度が特に好ましいガス浄化度を招来する本プロセスを遂行するうえで、相当に適応性が高い。
【0018】
WO88/08746A1に記載のガス流入・バルク材抜出しトレーを採用する場合には、移動床リアクタにおける上・下段吸着材層の各厚さについて、リアクタの横断面方向全体にわたって厳しく均一にするのがよい。基本的には、移動床リアクタの上下段各層の厚さは、各層の上にあるバルク材分配チューブを随意に或はガス抜出しスペースとの兼ね合いで長くしたり短くしたりすることに伴う結果として、可変である。しかしながら、通常時には、層厚さは固定される。上段層の厚さは、1.5〜4.5mの範囲にあり、好ましくは2.5〜3.5mの範囲にあり、特に好ましくはおよそ3mである。下段層の厚さは、好ましくはやや小さく、0.5〜3mの範囲にあり、好ましくは1.5〜2mの範囲にあり、特に好ましくはおよそ1.75mである。これら層厚さ、及び、上・下段層間の層厚さの相違、を利用することにより、焼結排ガスのガス組成が変化する場合であっても、プロセスを単純に実行すればよいだけとなる。
【0019】
NOxを変性させてバルク材へ吸着させるためのアンモニウム含有化合物は、好ましくは以下のようにして生成される。NH4OH溶液などのアンモニウム含有溶液と圧縮空気との混合物を、アンモニウム含有化合物と空気との別に加熱された混合物の存在下でエバポレータ内に噴霧して、空気/水蒸気/NH3のガス混合物を生じさせる。このような、空気/水蒸気/NH3のガス混合物の生成は、独立した発明としての重要性を持ち、必要に応じて、図1Aに示す実施形態に関して記述される各部の構成に従ってより具体的に行ってもよい。
【0020】
「吸着」は、本発明における意味としては、一つ又は複数の成分が排ガス中から直接に吸着される事象をいうものとする。「吸収」は、本発明における意味としては、浄化対象の排ガス中の物質が化学反応を受けたうえで吸着される事象をいうものとする。吸着および/または吸収材としては、焼結排ガスの組成に応じて、例えば、活性炭(何らかがドープされているものか或はドープされていないもの)や、炭素を含有してドープされた又はドープされていない吸着および/または吸収材どうしの混合物(特に、活性炭と、酸性汚染物質との反応性が高い石灰などの物質との混合物)が好ましい。
【0021】
既使用の吸着および/または吸収材の如何に関わらず、本方法は、様々な操作モードで行うことができる。
【0022】
例えば、一回通過のモードがある。この態様では、吸着および/または吸収材は、ただ一度だけ移動床リアクタ内を徐々に移動して当該リアクタの下端に至り、バルク材層の上端にて除々に補給され、当該プロセスにおいて再利用されない。この手法は、吸着および/または吸収材の化学量論因子がとても小さい場合、且つ/或は、浄化対象の流体における固形物混入量、特にダスト混入量が少ない場合に、好適である。
【0023】
浄化対象の流体における固形物(特にダスト)の混入量が比較的多い場合、且つ/或は、吸着および/または吸収材の化学量論因子がそれほど好ましくない場合には、吸着および/または吸収材の複数の循環を、移動床リアクタ内に通してもよい。循環ごとに、吸着および/または吸収材を再利用のための処理に付してもよい。再利用処理とは、スクリーニングや、フレッシュアップまたは触媒能改善のための再生またはドーピングである。当該スクリーニングでは、振動スクリーンが用いられ、後続の又は同時並行の空気分類を伴って、規格以下物質の沈着堆積物、および/または、吸着/吸収材に付着しているダストの沈着堆積物がスクリーン除去される。
【0024】
上述の両方のモード(一回通過,複数の循環)において、吸着および/または吸収材のリアクタ内総滞留時間を長く確保することができる。一回通過のモード(入口から出口にかけて吸着および/または吸収材が移り進む速度が比較的小さい)では、リアクタ内滞留時間を特に長くすることができる。例えば、浄化対象の流体における固形物の存在割合が大きい場合には、原則として、リアクタ内の吸着および/または吸収材について大きな移動速度が求められる。本発明によると、事前予備浄化段階における吸着材の比較的小さい(即ち経済的に好ましい)化学量論因子の利点を利用することも可能であり、吸着および/または吸収材の高消費に伴う利点を”購入”する必要がない。これを実現するには、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、重炭酸ナトリウム、および/または、これらと同じアルカリまたはアルカリ土類の化合物、からなる群より選択される物質を、焼結排ガスに含まれるSOx、HS、および/またはHClの一部を捕捉するために、事前予備浄化段階で特にバッグフィルタの前にて焼結排ガスに添加すればよい。好ましい添加量は、化学量論因子1.0〜2.5の範囲、好ましくは1.5〜2.0の範囲に対応する量である。事前予備浄化段階で除去されるSOx、HSおよび/またはHClの前記一部は、焼結排ガスに含まれるSOx、HS、および/またはHClの10〜90%、好ましくは50〜80%、特に好ましくは65〜75%に相当する。このようにして、事前予備浄化段階(ダスト混入物その他の汚染物質を濾過除去するのにも使用される)での物質の消費を比較的抑えることができ、従って、比較的高価な吸着および/または吸収材の消費を相当程度に抑えることができる。
【0025】
下記の実施形態に関しても説明されるような、本発明において採用される上述の構成要素や請求項にある構成要素は、サイズや、形状、材料選択、技術概念に関して、特別で例外的な条件はいかなるものも付されず、本技術分野において知られている選択判断の基準は、制限なしに用いることができる。
【0026】
本発明の主題の他の詳細、特徴、および利点は、従属請求項から明らかとなり、また、焼結ベルト排ガス浄化の例示的な実施形態が示された添付図面および表に関する以下の説明から、明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】図1Aは、第1の実施形態に係る方法(当該方法のフローチャート)を表す概略図である。
【図1B】図1Bは、第2の実施形態に係る方法(当該方法のフローチャート)を表す概略図である。
【図2】図2は、リアクタモジュール単体の透視図における一縦断面を模式的に表したものである。
【図3】図3は、より大きい焼結排ガス浄化ユニットにおける部分構造たる、一方の上に他方が配置された二連のリアクタモジュール、を表す。
【図4】記載なし。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1に示す実施形態では、焼結ベルト10上にて生じた排ガスは、導管11を介して電気フィルタ20へと導かれる。そこで捕獲されるダストは、導管12を介して焼結ベルトに戻される。排ガスは、およそ150〜165℃で電気フィルタから流れ出て、導管13を介して、次に配設されているブロワ14に導かれる。ブロワ14は、ユニット全体の操作のために圧力を充分に増大すべく設けられるものである。導管15を介して流れ出る焼結排ガスは、まず、水の蒸発作用を利用しておよそ135℃に冷却され、そして、ガスブロワ14’を介して、向流で動作する移動床リアクタ50におけるガス流入バルク材抜出しトレー52Bに導かれる。導管16を介して流れ出る浄化されたガスは、直接に排ガス煙突60に導かれて、大気に放出され得る。必要であれば、電気フィルタ20に加えてバッグフィルタ20Aを設けてもよいし、或は、電気フィルタ20の代わりにバッグフィルタ20Aを設けてもよい。
【0029】
移動床リアクタユニット50内にセットアップされているバルク材層54A,54Bは、例えば、活性炭粒子からなる。電気フィルタ20および/またはバッグフィルタ20Aを通り抜けたダスト残留物には、水銀その他の重金属や、場合によれば有機化合物などの他の汚染物質(例えば重炭化水素、ダイオキシン、フランなど)が含まれるところ、当該残留物は、吸着、吸収または粘着することによって流入領域(即ち、下位流入トレー52Bの領域と、場合によればその直上の単一粒子層)において直接に蓄積する。焼結排ガスは、リアクタ50の側方にある偏向サイト57にて、リアクタ50における下段の吸着/吸収材層54Bから押し出され、細長い隙間にてNH3と徹底的かつ激しく混合される。次に、焼結排ガスは、リアクタ50における流入/抜出しトレー52Aの下に到達し、窒素除去のための上段の吸着/吸収材層54Aへと上方に向かう。吸着/吸収材は、収容器56を通過して、図2および図3に関して後述するように、次から次が、下向きに両方の吸着材層54A,54Bを経て出口へと移り進む。上段吸着材層54Aにおいて、焼結排ガスは、基本的にはNOx、ダイオキシン、フラン、或は、PCBs、および/またはPAKsなどの他の汚染物質だけを含んでいるが、これらは、上から下りて来る新鮮な又は再生された吸着/吸収材に捕縛される。活性炭の触媒作用の下、NOxおよびNH3から、基本的には水蒸気および窒素が形成される。NH3は、NH4OHが噴霧されて圧縮空気と混合されるユニット40にて、生成される。NH3添加ユニット40(独立した発明としての重要性を持つ)は、好ましくは、以下の態様で動作する。
【0030】
25%のNH4OH溶液と圧縮空気が、混合サイト40Aにて混合される。その混合物は、エバポレータ内におけるノズルトレー40B(例えば、多数の穴が開けられたトレー)より下側に導管を介して導かれる。エバポレータ内に設けられているノズルトレー40Bは、その上表面が空気-NH4OH混合物によって衝突される。当該混合物は、ノズルトレーを通過することにより、エバポレータの内部にて一様に分散される。また、この混合物は、熱交換器40Cによって予め充分に加熱されている。混合サイト40Aから、ノズルトレー40Bの下の噴霧ノズル40Dを経て供給された、NH4OHと圧縮空気の非加熱混合物は、ノズルトレー40Bにて広がる加熱された空気-NH4OH混合物によって気化させられ、これにより、エバポレータの下端にて、空気/水蒸気/NH3の混合物が、およそ120℃で給送導管40Eに入ることになる(この混合物は、移動床リアクタ50の偏向サイト57に供給され、そこで焼結排ガスと混合される)。
【0031】
導管17を介して、消費された活性炭がスクリーニング装置80に導かれる。スクリーニング装置80からは、スクリーニング部材を通過した細かい材料(規定サイズ以下の材料)が、焼結工程の燃料として使用されるべく、導管17’を介して焼結ベルトに導かれる(規定サイズ以下の当該材料は、移動床リアクタ50に戻らない)。また、スクリーニング装置80にて得られる粗い材料は、導管17”を介して再生ステップ70に導かれる。再生装置70は、多段式のリアクタからなり、投入された活性炭がその中を上から下に通過する。上位の前段ガス抜き段階70Aでは、活性炭はおよそ450℃まで加熱される。SO2を蓄積する中位の後段ガス抜き段階70Cでは、SO2富化ガスが、排気されて、導管19を介して処分ユニット(例えば硫酸生成ユニット90)に導かれ、これにより、下位に続く冷却段階70Cを経た後には、汚染物質は殆ど放出されなくなる。再生ユニット70からは、再生された吸着/吸収材が、導管18を介して移動床リアクタ50の収容器56に再び導かれる。再生ユニット70(独立した発明としての重要性を持つ)は、具体的には以下のように動作する。
【0032】
移動床リアクタ50からの消費された活性炭は、スクリーニング装置80および導管17”を介して、上端に配設されている収容器71に至る。その下に位置する再生ステージ70Aは、管状の脱着装置として設計されており、具体的には、活性炭が内部を移動可能な多数のパイプが収容器71の底部から下方に延びており、これらパイプは、およそ450℃の熱い燃焼用空気によって外部から加熱され得るように設計されている。再生ステージ70Aの下端では、これらパイプは、横断面が拡大しているチャンバ(再生ステージ70C)内の下側のトレーを介して活性炭を放出し、当該チャンバは、後段ガス抜き領域として、およそ450℃でおよそ1〜2時間、活性炭を保持する。全ての再生ステージを通って上から下に除々に移り進む活性炭は、再び管状のリアクタとしての構造を有するポストガス抜き領域(再生ステージ70B)に到達する。再生ステージ70Bは、その構造について、本質的には、管状の脱着装置たる再生ステージ70Aに相応するものである。ここでは、冷却ガスとして、室温の空気が、冷却管を外部から冷却するように使用されて、活性炭は間接的に冷却される。再生ステージ70Bの下端では、活性炭を導くパイプが、活性炭が解放されるようにトレーの中に放出を行う。そこから、活性炭は、下端に配設されている放出容器72に向かう。再生ステージ70Bの下端側に20℃で導入された圧縮空気は、活性炭と接触することなく、再生ステージ70Cの直下に導かれる。そこから、導管が、冷却ステージで予熱された空気を、空気と可燃性ガスが供給されるヒーター73に導く。熱い燃焼ガス/空気混合物は、活性炭に直接に接することなく再生ステージ70Aの下端側に到達し、再生ステージ70Aの上端では、依然としておよそ450℃の空気が再生ユニット70を出る。
【0033】
投入された活性炭に伴って加熱ステージ70Aに至った汚染物質は、所定の温度条件と間接的な加熱の下で活性炭から脱着し、SO2富化ガスとして、後段ガス抜き領域70Cから導管19を介しても、収容器71および導管19’を介しても、再生ユニット70から離れることができる。その際、吸引ブロワ19Aは、必要な減圧を発生させて、更なる純化のための例えば硫酸生成ユニット90へとSO2富化ガスを更に導く。導管19に向かって昇る脱着ガスは、上側の再生ステージ70Aにてその外部が加熱される脱着パイプの中の活性炭への熱伝達を促進する。しかしながら、このようなことは、窒素含有パージガスを収容器71に移送し(図面では、当該代替手段としての導管74を破線で示す)、このパージガスを脱着パイプを介して後段ガス抜き領域70Cに導き、そこから硫酸ユニット90に導くことによっても、可能である。冷却ステージ70Bにある活性炭から汚染物質含有ガスを追い出し、且つ、当該冷却ステージでの熱伝達を促進するため、放出容器72は、導管75を通過した窒素含有パージガスによって衝突される。窒素含有パージガスは、後段ガス抜き領域70Cを経由して再生ユニット70領域から再び取り除かれる。排ガス浄化の前後における典型的な排ガス組成を、表に掲げる。
【0034】
【表1】

【0035】
〔第1の実施形態〕
第1の実際的な実施形態においては、図1Aに示した操作条件が見い出されている(但し、バッグフィルタを使用しない場合における条件である)。
【0036】
〔第2の実施形態〕
第2の実際的な実施形態においては、図1Bに示した操作条件が見い出されている(バッグフィルタを使用し、それ以外は図1Aに示すのと同様のセットアップにおける条件である)。
【0037】
図1Bに示す実施形態では、特に活性炭の消費、再生される活性炭の量、および生成されるH2SO4の量が、図1Aに示す実施形態におけるそれらよりも、明らかに低い。
【0038】
図2に示すように、本発明における移動床リアクタ50は、その最も簡素な形態として、外郭形状が長方形の容器50Aを含んでなる。容器50Aは、その上端にて活性炭が補給され、当該活性炭は、上端側に配設されている収容器56に入れられる。そこから、活性炭は、バルク材分配トレー50Cを介して、そして、マトリクス状に配されたバルク材分配管50Bを介して、上段活性炭層54Aに供給される。この供給は、純粋な重力充填が利用可能となるように、遮断要素すなわち開閉装置を用いずに行う。純粋な重力充填は、上段活性炭層の表面50A’がバルク材分配管50Bの放出端に達したときに、停止する。バルク材分配管50B間には、ガスの除去スペースが形成されている。上段活性炭層54Aの下端側には、ガス流入が可能であって且つバルク材の抜き出しも可能である上段水平トレー52Aが、例えばWO88/08746A1に記載されている構造のものとして、設けられている。バルク材は、この上段トレー52A内を下向きに通過して移り進み、そして、焼結排ガスは上向きに流れる。バルク材抜出し管52C(これは、マトリクス状に配置されたバルク材抜き出し漏斗に続くものである)は、中間トレー53を貫通し、その下の活性炭層54Bの上表面に向けて、活性炭が解放されるように放出を行う。活性炭にとっての遮断要素すなわち開閉装置は、ここにも設けられていない。下段活性炭層54Bの下側端には、上段トレー52Aと略同じ構成の、ガス流入とバルク材抜き出しとが可能な下段水平トレー52Bが設けられている。バルク材抜出し管52D(これは、マトリクス状に配置されたバルク材抜き出し漏斗に続くものである)は、中間トレー55を貫通する。中間トレー55の下には、このモジュール全体にとっての放出装置58の単一のバルク材放出部が設けられている。そのようなバルク材放出部は、例えばWO90/14156A1に記載されている。このようにして、投入された活性炭は、リアクタの下端側から抜き出される。
【0039】
浄化すべき焼結排ガスは、中間トレー53による境界に位置する偏向サイト57に放出され、NH3と徹底的かつ完全に混合され、移動床リアクタ50の上段バルク材層54Aの下のガス流入/バルク材抜出しトレー52Aに入る。
【0040】
図3に示すように、移動床リアクタ50については、二段階に構成することもできる。このリアクタは、それぞれが図2に示される構成を有する二つのモジュールの一方を他方の上に配してなる。図3では、下位のモジュールの符号に「’」を付す。吸着/吸収材を単純に移送することを可能とすべく、バルク材導管59Aが設けられている。バルク材導管59Aは、収容器56から始まり、上位の移動床リアクタを通過して、下位の収容器56’まで延び、放出装置58より下にY形状を有する。放出装置58には、中間トレー51によって、下位の収容器56’に流れ至ったフレッシュな吸着/吸収材と、装置58に放出された既使用の吸着/吸収材との、完全な分離が図られる。上位のリアクタモジュールにて使用された吸着/吸収材は、バルク材導管59Bを介して、下位のリアクタモジュールを完全に通過して抜出し漏斗59Cに導かれる。この抜出し漏斗59Cを介して、二つのリアクタモジュールで使用された吸着/吸収材は、移動床リアクタ50外に出される。
【0041】
図4に示す実際的なユニット例は、図1Aに示すプロセスのための一般的なプラント態様を表す(図4では、同様の構成部は同じように描出されている)。図1Aと比較すると、焼結ベルト排ガスの浄化のための図4のユニットは、二重構成である。電気フィルタ20は、複数の区画を有する。本実施形態では5区画であるが、バッグフィルタと組み合わせる場合には2区画または3区画であってもよい。バッグフィルタは、多数のチャンバ20A’を有する。本実施形態ではチャンバ20A’の数は4であり、複数のチャンバ20Aは、同時に使用され、それぞれ数個のフィルタバッグを伴う。特別な場合に生ずる外乱や損傷を避けるために、ブロワ14の後にバッグフィルタ20Aおよび移動床リアクタ50をバイパスして煙突60に繋がる導管22が設けられている。後続の移動床リアクタモジュール50’(その一例が図2に示されており、また、その複数が縦に繋がるように構成されてもよい)における圧力不足を補うのに必要な余分な圧力を発生させるための追加ブロワ14が設けられている。
【0042】
排ガス浄化ユニットにおいて所望の運転温度に排ガスを冷却すべく、上記気化冷却に際しては、室内空気を混合すること、および/または、水を噴霧することを、行ってもよい。当該混合および/または噴霧のサイトは、ライン上において電気フィルタおよび/またはバッグフィルタの前に設けることができる。焼結ベルトの特別な運転条件(この場合、汚染物質が現れたり急増したりし、また、汚染物質が粘着質のものであるかもしれない)の下では、汚染物質を捕捉するための公知の粒子状材料を排ガスフローに添加してもよい。この添加は、ライン上における電気フィルタの前、バッグフィルタの前、および/または、移動床リアクタ(フィルタ)の前で行うことができ、これにより、当該材料は、循環するか、或は一度だけユニット内を通過する。
【0043】
焼結ベルト排ガス浄化ユニットは、上述の実施形態では非常に大きなガス体積流量を処理可能であるところ、可変ガス分割を行うことによって柔軟性が増す。可変ガス分割とは、電気フィルタ、バッグフィルタ、および/または連結された移動床リアクタモジュール(導環11A,15A,17A、場合によっては上記遮断要素)の要素ごと又は複数の要素を含む所定範囲ごとに対するガスの流れをオンオフすることである。
【0044】
本発明においては、図面ごとに表れている特徴を、個別に又は互いに組み合わせて利用することが可能である(それは、各実施形態の枠組み内であってもよいし、異なる実施形態間であってもよい)。
【符号の説明】
【0045】
10 焼結ベルト
11,12,13,15,16,17,17’,17”,18,19,19’ 導管
14,19A ブロワ
20 電気フィルタ
20A バッグフィルタ
40 NH3添加ユニット
40A 混合サイト
40B ノズルトレー
40C 熱交換器
40D 噴霧ノズル
40E 給送導管
50 移動床リアクタ
50A 容器
50A’,50B’ 表面
50B バルク材分配管
50C,50CC” バルク材分配管
51,53,53’,55,55’ 中間トレー
52A,52A’ 上段ガス流入・バルク材抜出しトレー
52B,52B’ 下段ガス流入・バルク材抜出しトレー
52C,52D バルク材抜出し管
54A,54A’ 上段バルク材層
54B,54B’ 下段バルク材層
56 収容器
56’下段の収容器
57,57’ 偏向サイト
58,58’ 放出部
59A,59B バルク材導管
59C 抜出し漏斗
60 煙突
70 再生ユニット
70A,70B,70C 再生段階
71 収容器
72 放出容器
73 ヒータ
74,75 導管
80 スクリーニング装置
90 硫酸生成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製造における、鉱石またはリサイクルプロセスからの金属含有廃棄物の焼結工程の排ガスを浄化するための方法であって、鉱石材料は、場合によっては他の金属含有材料または金属含有廃棄物と共に、少なくとも一部が固体燃料であるものと共に当該固体燃料の燃焼の少なくとも一部の下で、燻しプロセスを経つつ焼結され、前記焼結排ガスは、CO2、CO、O2、H2O、および/またはN2の成分に加えて少なくとも以下のいくつかの汚染物質を含み、
NOx、SO2、HCl、HS、Hg、ダイオキシン、フラン、ダスト、燻しプロセスにて昇華または凝集して生じ得る残滓、重炭化水素、および/または重金属
前記焼結排ガスは、必要に応じて事前のダスト抜きステップを経た後に、移動床リアクタにその下側から流入し、当該移動床リアクタにおける、ガス流入・バルク材抜出し下段水平トレーを通過し、NOxとSOxおよび/または他の汚染物質とによって既に汚染されている吸着および/または吸収材よりなる下段層に流入し、当該下段吸着および/または吸収材層を通過する過程において、SOxおよび/または場合によっては他の汚染物質の少なくとも大部分が、前記焼結排ガスから、NOxおよび/またはN2に対して既にロードされた前記吸着および/または吸収材の細孔システムに吸着され、
SOxおよび場合によっては他の汚染物質の大部分が除去された前記焼結排ガスは、前記下段吸着および/または吸収材層をその上露出面から抜け出て、その後、NOxを例えばN2および水蒸気に変換するために、アンモニアおよび尿素などのアンモニウム含有化合物と充分に混合され、
SOxおよび場合によっては他の汚染物質の大部分が除去され且つ前記アンモニウム含有化合物と混合された前記焼結排ガスは、前記移動床リアクタのガス流入・バルク材抜出し上段水平トレーにその下側から流入して通過し、NOxおよび/またはN2と、場合によっては微量のSOxおよび場合による他の汚染物質と、によって既に汚染されている吸着および/および吸収材よりなる上段層に流入し、当該上段吸着および/または吸収材層を通過する過程において、前記焼結排ガス中のNOx成分の少なくとも大部分および/またはその反応生成物が、NOxおよび/またはN2と、場合によっては微量のSOxおよび場合による他の汚染物質と、に対して既にロードされている前記吸着および/または吸収材の表面に吸着され、
SOxおよび場合によっては他の汚染物質の大部分ならびにNOx成分が除去された前記焼結排ガスは、前記上側吸着および/または吸収材層をその上露出面から抜け出て、続いて当該プロセスを抜け出て、
フレッシュな及び/又は再生された吸着および/または吸収材が、前記移動床リアクタの上端側において、バルク材分配トレーを介して均一に分配されつつ前記上段層の上露出面に向けて供給され、続いて、前記上段ガス流入・バルク材抜出しトレーの領域にて遮断要素によって阻まれずに、前記移動床リアクタ内の前記上段層および前記下段層を完全に通過するように上から下へと除々に移り進み、これにより、前記吸着および/または吸収材は、連続的に、先ずは、NOx、またはN2および水蒸気に対してロードされてそれを表面にて吸着し、次に、SOxおよび場合によっては他の汚染物質に対してロードされてそれを細孔システムにて吸着して、その後、前記移動床リアクタの前記下段ガス流入・バルク材抜出しトレーを通過し、
前記吸着および/または吸収材の、その後の操作、即ち抜き出しおよび移動速度調節は、前記下段ガス流入・バルク材抜出しトレーに設けられた又はその下に位置するバルク材放出部にて行われ、
前記移動床リアクタの前記上段層内にある前記吸着および/または吸収材の、SOxおよび場合によっては他の汚染物質に対するローディング量は、前記下段ガス流入・バルク材抜出しトレーに設けられた又はその下に位置する前記バルク材放出部が対応する作動を行うことによって、既にロードされている前記吸着および/または吸収材に対する所定割合の量に調節される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記移動床リアクタの前記上段層内にある前記吸着および/または吸収材の、SOxおよび場合によっては他の汚染物質に対するローディング値は、前記バルク材放出部によって抜き出されることになる前記吸着および/または吸収材の質量に対する10wt%以下、好ましくは6wt%以下に、制限されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸着および/または吸収材として、炭素含有吸着および/または吸収材を使用することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素含有吸着および/または吸収材は、特に形成された活性炭であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素含有吸着および/または吸収材の粒径は、支配的には、1〜10mmであり、好ましくは3〜8mmであり、特に好ましくは4〜6mmであることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
消費または部分的に消費されて前記移動床リアクタの下に抜き出された前記吸着および/または吸収材は、吸着および/または吸収された汚染物質が再生ステップにて徹底的に除去され、少なくともその一部が、当該吸着および/または吸収材単独で或は新しく使用される炭素含有吸着および/または吸収材と混合されたうえで、前記移動床リアクタの上端側に再び運ばれることを特徴とする、請求項3から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
新たに使用する前記炭素含有吸着および/または吸収材として、事前に活性化されたものを使用することを特徴とする、請求項3から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記吸着および/または吸収材によるガスの浄化は、80℃以上の温度、好ましくは80〜180℃の温度範囲、特に好ましくは100〜150℃の温度範囲で行うことを特徴とする、請求項3から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
前記移動床リアクタにおける、前記吸着および/または吸収材よりなる前記上段層の厚さは、1.5〜4.5mの範囲にあり、好ましくは2.5〜3.5mの範囲にあり、特に好ましくはおよそ3mであることを特徴とする、請求項3から8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記移動床リアクタにおける、前記吸着および/または吸収材よりなる前記下段層の厚さは、0.5〜3mの範囲にあり、好ましくは1.5〜2mの範囲にあり、特に好ましくはおよそ1.75mであることを特徴とする、請求項3から9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
NOxを変性させてバルク材へ吸着させるために、NH4OH溶液などのアンモニウム含有溶液と圧縮空気との混合物から、当該混合物をアンモニウム含有化合物と空気との別に加熱された混合物の存在下でエバポレータ内に噴霧して空気/水蒸気/NH3のガス混合物を生じさせて、アンモニウム含有化合物を生成することを特徴とする、請求項1の序文特に請求項6から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記再生ステップは、三段階プロセスで行い、そこでは、窒素付きの活性炭が、まず、前記移動床リアクタから、縦に延びる再生ユニットへと導かれて、管状の脱着装置など間接的に加熱される脱着装置を上から下に通過するように導かれ、次に、脱着した汚染ガスの吸引を伴う後段ガス抜き領域を上から下に通過するように導かれ、最後に、間接的な冷却が行われる冷却器を上から下に通過するように導かれることを特徴とする、請求項1の序文特に請求項1から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
酸化カルシウム、水酸化カルシウム、重炭酸ナトリウム、および/または、これらと同じアルカリまたはアルカリ土類の化合物、からなる群より選択される物質を、SOx、HS、および/またはHClの一部を捕捉するために、事前予備浄化ステップで特にバッグフィルタの前にて、前記焼結排ガスに添加することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
添加量は、化学量論因子1.0〜2.5の範囲、好ましくは1.5〜2.0の範囲に対応する量であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記事前予備浄化ステップで除去されるSOx、HSおよび/またはHClの前記一部は、前記焼結排ガスに含まれるSOx、HS、および/またはHClの10〜90%、好ましくは50〜80%、特に好ましくは65〜75%に相当することを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
金属製造における、鉱石またはリサイクルプロセスからの金属含有廃棄物の焼結工程の排ガスを浄化するための、特に請求項1から16のいずれか一つの方法を実行するための装置であって、鉱石材料は、場合によっては他の金属含有材料または金属含有廃棄物と共に、少なくとも一部が固体燃料であるものと共に当該固体燃料の燃焼の少なくとも一部の下で、燻しプロセスを経つつ焼結され、前記焼結排ガスは、CO2、CO、O2、H2Oおよび/またはN2の成分に加えて少なくとも以下のいくつかの汚染物質を含み、
NOx、SO2、HCl、HS、Hg、ダイオキシン、フラン、ダスト、燻しプロセスにて昇華または凝集して生じ得る残滓、重炭化水素、および/または重金属
上段吸着および/または吸収材層と下段吸着および/または吸収材層とを有し、NOxおよび/またはN2ならびに場合によっては他の汚染物質によって既に汚染されている吸着および/または吸収材よりなる前記下段層(54B,54B’)にその下から前記焼結排ガスが流入できるように前記焼結排ガスが通過可能なガス流入・バルク材抜出し下段水平トレー(52B,52B’)を有する、移動床リアクタ(50)と、
SOxおよび場合によっては他の汚染物質の大部分が除去された前記焼結排ガスを、アンモニアまたは尿素などのアンモニウム含有化合物と充分に混合するための、前記下段吸着および/または吸収材層の上露出面(50B’)に続くように設けられた混合部と、
移動床リアクタのガス流入・バルク材抜出し上段水平トレー(52A,52A’)であって、当該ガス流入・バルク材抜出し上段水平トレーの領域に遮断要素を伴わず、SOxおよび場合によっては他の汚染物質の大部分が除去されて前記アンモニウム含有化合物と混合された前記焼結排ガスが、それを下側から通過して、NOxまたはN2、並びに微量のSOxおよび場合によっては他の汚染物質によって既に汚染されている前記吸着および/または吸収材よりなる前記上段層(54A,54A’)に流入可能となるような、ガス流入・バルク材抜出し上段水平トレー(52A,52A’)と、
SOxおよび場合によっては他の汚染物質の大部分とNOxとが除去された前記焼結排ガスが、前記移動床リアクタ(50)を続いて抜け出るように、前記上段吸着および/または吸収材層を抜け出るときに通過する、前記上段吸着および/または吸収材層(54A,54A’)の上露出面(50A’)と、
フレッシュな及び/又は再生された吸着および/または吸収材が供給される、前記移動床リアクタの上端側に位置するバルク材分配トレー(50C)であって、当該トレーを介して、上から、前記上段層の前記上露出面に前記吸着および/または吸収材を均一に分配可能な、バルク材分配トレーと、
前記ガス流入・バルク材抜出し下段トレー(52B,52B’)に設けられた又はその下に位置するバルク材放出部(58,58’)であって、そこでは、前記吸着および/または吸収材の、その後の操作、即ち抜き出しおよび移動速度調節が、行われるバルク材放出部と、
前記バルク材放出部を制御するための手段であって、これによって前記下側ガス流入・バルク材抜出しトレー(52B,52B’)に設けられた又はその下に位置する前記バルク材放出部を作動させることにより、前記移動床リアクタの前記上段層(54A,54A’)内にある前記吸着および/または吸収材の、SOxおよび場合によっては他の汚染物質に対するローディング量を、既にロードされている前記吸着および/または吸収材に対する所定割合の量に調節する、手段と、によって特徴付けられる装置。
【請求項17】
SOxおよび場合によっては他の汚染物質の大部分が除去された前記焼結排ガスを、アンモニアまたは尿素などのアンモニウム含有化合物と充分に混合するための、前記混合部は、前記移動床リアクタの少なくとも一つの壁部に沿って実質的に水平に延びるスリットノズルを有してなることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
NOxを変性させてバルク材へ吸着させるためのアンモニウム含有化合物を生成するためのNH3添加ユニットであって、NH4OH溶液などのアンモニウム含有溶液と圧縮空気とを混合するための混合サイトと、アンモニウム含有化合物と空気との別の混合物を加熱するための熱交換器と、エバポレータ内にて、前記の第1の混合物を、加熱された前記の第2の混合物に添加混合して、空気/水蒸気/NH3の混合物を生じさせるための噴霧ノズルと、を有するNH3添加ユニットを備えることを特徴とする、請求項16の序文特に請求項16または17に記載の装置。
【請求項19】
三段階脱着プロセスのための再生ユニットであって、そこでは、汚染物質付きの活性炭が、まず、前記移動床リアクタ(50)から、縦に延びる再生ユニット(70)へと導かれて、管状の脱着装置など間接的に加熱される脱着装置を上から下に通過するように導かれ、次に、脱着した汚染ガスの吸引を伴う後段ガス抜き領域を上から下に通過するように導かれ、最後に、間接的な冷却が行われる冷却器を上から下に通過するように導かれることを特徴とする、請求項16の序文特に請求項16から18のいずれか一つに記載の装置。
【請求項20】
図1Aおよび/または図1Bに関する実施形態について説明された各部の構成に必要に応じて従ってより具体的に構築されていることを特徴とする、請求項16から19のいずれか一つに記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−512984(P2010−512984A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540666(P2009−540666)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011048
【国際公開番号】WO2008/071446
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(502081974)
【氏名又は名称原語表記】GROCHOWSKI, Horst
【住所又は居所原語表記】Lindnerstrasse 163, 46149 Oberhausen, Germany
【Fターム(参考)】