説明

防振装置

【課題】内筒体側とストッパとが当接した後の主荷重入力方向のばね定数が急激に高くなることを回避して、その変化を緩やかにする。
【解決手段】第2内筒体4と第2筒状部22とが車体前後方向に相対変位して、第2内筒体4側とストッパ55の当接傾斜部551aとが当接した後に、第2内筒体4側がストッパ55の当接傾斜部551aに当接したままで、当接傾斜部551aに沿って移動をするように、ブラケット2が、第2内筒体4に対して相対的に、第1筒状部21側を中心として回動するようにトルクロッド1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のパワープラント等の被支持体と車体とを連結する防振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばフロントエンジン・フロントドライブ(FF)方式の車両においては、一般的に、エンジン及び変速機が直列に連結されたパワープラントを、その長手方向が車幅方向となるようにエンジンルームに対して横置きに配設した、いわゆる横置き搭載方式が採用されている。横置き搭載方式の一例として、パワープラントの長手方向両端部を、それぞれ防振マウントにより車両のサイドフレームに対して弾性支持すると共に、これら2つの防振マウントをパワープラントの慣性主軸(ロール軸)よりも高い位置に配置することにより、パワープラントを各防振マウントの荷重の支持点を結ぶ揺動支軸周りに振り子のように揺動可能に支持した、いわゆるペンデュラムマウント方式がある。こうしたペンデュラムマウント方式では、例えば自動車の急加減速時のように大きな駆動反力が作用すると、パワープラントが振り子のように車体前後方向に大きく揺れようとするところ、そうした車体前後方向の揺れは、パワープラントの下端部と該パワープラントの車体後方に位置する車両のサブフレームとが防振装置を介して連結されていることにより規制されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1に開示された防振装置は、相対的に小さい円筒状の第1筒状部、相対的に大きい円筒状の第2筒状部、及び、第1筒状部と第2筒状部とを連結する連結部を有するブラケットを備えており、この第1筒状部側がパワープラント(被支持体)に連結され、第2筒状部側が車両のサブフレーム(車体)に連結されている。第2筒状部の筒孔には、内筒体と、該内筒体の外周囲に配設された外筒体と、内筒体と外筒体とを連結するゴム弾性体とを備えたゴムブッシュが圧入されている。ゴム弾性体には、内筒体を挟んで車体前後方向(内筒体の筒軸直交方向)の両側それぞれに、当該ゴム弾性体を内筒体の筒軸方向(車幅方向)に貫通する貫通孔が形成されており、各貫通孔には、外筒体の内周面から車体前方又は車体後方に向かって突出するゴム弾性体から成るストッパが設けられている。このストッパは、例えば自動車が急加減速したときのように、内筒体と第2筒状部とが主荷重入力方向である車体前後方向に大きく相対変位したときには、内筒体(正確にはそれを囲む弾性体の部分であり、以下においては、内筒体とそれを囲む弾性体部分とを含めて、内筒体側と呼ぶ場合がある)が、当該ストッパに当接することになり、そのことにより、内筒体と第2筒状部との車体前後方向に対する相対変位を所定量に規制する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−308016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に開示された防振装置の車体前後方向の静ばね特性は、内筒体側とストッパとが当接するまでは、ゴム弾性体の変形が支配的であるため、ばね定数が比較的低い一方、内筒体側とストッパとが当接した後は、ストッパが車体前後方向に圧縮されていくため、ばね定数が急激に高くなる。そのため、内筒体側とストッパとが当接した後に、防振装置の防振性能が急激に悪化し、その結果、自動車の、いわゆるNVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)性能が急激に悪化してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、被支持体と車体とを連結する防振装置において、内筒体側とストッパとが当接した後の主荷重入力方向のばね定数が急激に高くなることを回避して、その変化を緩やかにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の防振装置は、被支持体と車体とを連結する防振装置である。
【0008】
そして、第1の発明では、防振装置は、前記被支持体側に配置される第1筒状部と、前記第1筒状部に対して主荷重入力方向に間隔を空けて、前記車体側に配置されると共に、前記第1筒状部と連結された第2筒状部とを有するブラケットと、前記第1筒状部の筒孔内に配設されて、当該第1筒状部に弾性連結されると共に、前記被支持体と連結される第1内筒体と、前記第2筒状部の筒孔内で、前記第1内筒体の筒軸と平行となるように配設されると共に、前記車体と連結される第2内筒体と、前記第2筒状部と前記第2内筒体とを連結する弾性体と、前記第2筒状部の筒孔内において、前記第2内筒体に対し前記主荷重入力方向に対向する部位に設けられかつ、荷重が入力するに伴い、前記第2筒状部及び第2内筒体が前記主荷重入力方向に相対変位したときに、前記第2内筒体側と当接することで、前記の相対変位を規制する当接部を有するストッパと、を備え、前記ストッパの当接部は、前記主荷重入力方向に直交する直交方向に対して傾斜した当接傾斜部を有しており、前記の入力荷重によって前記第2内筒体側が前記ストッパの当接傾斜部に当接した後に、前記第2内筒体側が前記ストッパの当接傾斜部に当接したままで、当該当接傾斜部に沿って移動をするように、前記の入力荷重によって、前記ブラケットが、前記第2内筒体に対して相対的に、前記第1筒状部側を中心として回動するように構成されている。
【0009】
ここで、「第2内筒体側」とは、第2内筒体そのもののみならず、第2内筒体の表面に弾性体が一体に設けられている場合には、その弾性体をも含む意味である。
【0010】
この構成によると、防振装置に対し、被支持体からの荷重(主荷重入力方向の荷重)が入力されると、弾性体の弾性変形を伴いながら、第2筒状部及び第2内筒体が主荷重入力方向に相対変位をする。このときには、ばね定数は比較的低くなる。第2筒状部と第2内筒体とがさらに相対変位をして、第2内筒体側とストッパの当接部(当接傾斜部)とが当接すると、ストッパの当接傾斜部が主荷重入力方向に直交する直交方向に対して傾斜しているため、第2内筒体側が当接傾斜部に当接したままで、その当接傾斜部に沿って移動をする(スライドする)ように、ブラケットが第2内筒体に対して相対的に、第1筒状部側を中心として回動するようになる。その結果、第2内筒体側とストッパの当接部とが当接した後に、そのストッパが圧縮変形しながら第2筒状部と第2内筒体とが相対変位するのではなく、ストッパは、ほとんど圧縮変形することなく、第2内筒体側のスライド移動に対応する分だけ、第2筒状部と第2内筒体とが主荷重入力方向に相対変位をするから、ばね定数は比較的低い状態に抑えられる。従って、本防振装置によれば、第2内筒体側とストッパとが当接した後の主荷重入力方向のばね定数が急激に高くなることを回避して、その変化を緩やかにすることができる。
【0011】
また、第2筒状部の筒孔形状は、内筒体及び外筒体を有するゴムブッシュを圧入する場合には、そのゴムブッシュを圧入可能にするために筒軸方向視で円形又は楕円形にする必要があり、こうした第2筒状部の筒孔形状のときには、ブラケットが回動し難い。これに対し、第2筒状部と第2内筒体とゴム弾性体とを加硫一体成形によって形成するようにすれば、第2筒状部の筒孔形状を筒軸方向視で円形又は楕円形にする必要はなく、所望の形状にすることができるので、第2筒状部の筒孔形状をブラケットが回動し易くなるような形状にして、ブラケットを確実に回動させることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記当接傾斜部は、前記直交方向に対して一定の角度で傾斜している。
【0013】
この構成によると、第2内筒体側と当接傾斜部とがスライドしながら、第2内筒体及び第2筒状部が主荷重入力方向に相対変位するときに、第2内筒体側は当接傾斜部に沿って直線的に変位するから、主荷重入力方向の静ばね特性は線形になる。
【0014】
第3の発明では、防振装置は、前記被支持体側に配置される第1筒状部と、前記第1筒状部に対して主荷重入力方向に間隔を空けて、前記車体側に配置されると共に、前記第1筒状部と連結された第2筒状部とを有するブラケットと、前記第1筒状部の筒孔内に配設されて、当該第1筒状部に弾性連結されると共に、前記被支持体と連結される第1内筒体と、前記第2筒状部の筒孔内で、前記第1内筒体の筒軸と平行となるように配設されると共に、前記車体と連結される第2内筒体と、前記第2筒状部と前記第2内筒体とを連結する弾性体と、前記第2筒状部の筒孔において、前記第2内筒体に対し前記主荷重入力方向に対向する部位に設けられかつ、荷重が入力するに伴い、前記第2筒状部及び第2内筒体が前記主荷重入力方向に相対変位したときに、前記第2内筒体側と当接することで、前記の相対変位を規制する当接部を有するストッパと、を備え、前記ストッパの当接部は、ゴム弾性体から成りかつ、前記第2内筒体側と当接した後に変形することで前記主荷重入力方向に直交する直交方向に対して傾斜する傾斜形成部を有しており、前記の入力荷重によって前記第2内筒体側が前記ストッパの傾斜形成部に当接して当該傾斜形成部が傾斜した後に、前記第2内筒体側が前記の傾斜した傾斜形成部に当接したままで、その傾斜形成部の傾斜に沿って移動をするように、前記の入力荷重によって、前記ブラケットが、前記第2内筒体に対して相対的に、前記第1筒状部側を中心として回動するように構成されている。
【0015】
第3の発明に係る防振装置では、入力荷重によって第2内筒体側がストッパの傾斜形成部に当接した後に、ゴム弾性体から成る前記ストッパの当接部が変形をして前記の傾斜形成部が傾斜するため、その後は、前記第1の発明と同様に、第2内筒体側が傾斜した傾斜形成部に当接したままで、その傾斜形成部に沿って移動をする(スライドする)ように、ブラケットが第2内筒体に対して相対的に、第1筒状部側を中心として回動するようになる。その結果、第2内筒体側とストッパとが当接した後の主荷重入力方向のばね定数が急激に高くなることを回避して、その変化を緩やかにすることができる。
【0016】
第4の発明では、第3の発明において、前記ストッパの当接部は、前記第2筒状部の内周面から内方に突出するように設けられていると共に、前記直交方向に延びて、前記当接部の側面に開口する切欠きと、該切欠きよりも前記第2内筒体側に位置して、前記傾斜形成部を構成する切欠き片とを有しており、前記第2筒状部及び第2内筒体が前記主荷重入力方向に相対変位をして前記第2内筒体側と前記ストッパの切欠き片とが当接した後に、前記切欠きが潰れるように前記切欠き片が曲げ変形することにより、前記切欠き片が前記直交方向に対して傾斜する。
【0017】
この構成によると、第2内筒体側とストッパの切欠き片とが当接した後に、切欠きが潰れるように切欠き片が曲げ変形をすることにより、その切欠き片が主荷重入力方向に直交する直交方向に対して傾斜し得る。この場合、切欠き片が曲げ変形をするため、傾斜の形成、換言すればストッパの変形に要する荷重は小さくなり、第2内筒体側とストッパとが当接した後でかつ、ブラケットが回動を開始するまでの間の、ばね定数が高くなることが回避される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の防振装置では、第2内筒体側とストッパの当接部とが当接した後に、防振装置に対する入力荷重によって、第2内筒体側が当接部の傾斜に沿ってスライドするように、ブラケットが回動することにより、ストッパがほとんど圧縮変形することなく、第2内筒体及び第2筒状部が主荷重入力方向に相対変位するように構成したから、第2内筒体側とストッパとが当接した後の主荷重入力方向のばね定数が急激に高くなることを回避して、ばね特性を軟らかい状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】自動車のエンジンマウントシステムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態1に係るトルクロッドの側面図である。
【図3】実施形態に係るトルクロッドの作用効果を説明するための図である。
【図4】実施形態に係るトルクロッドの車体前後方向の静ばね特性を示すグラフ図である。
【図5】実施形態1の変形例1を示すトルクロッドの側面図である。
【図6】実施形態2に係るトルクロッドの側面図である。
【図7】実施形態2の変形例1を示すトルクロッドの側面図である。
【図8】実施形態2の変形例2を示すトルクロッドの側面図である。
【図9】実施形態3に係るトルクロッドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
(実施形態1)
図1は、実施形態に係る自動車のエンジンマウントシステムの概略構成を示す斜視図である。図1において、符号Pは、エンジンE及び変速機Tが直列に連結されたパワープラントである。
【0021】
パワープラントPは、その長手方向が車幅方向となるようにエンジンルームに対して横置きに配設されており、その長手方向両端部にそれぞれ配設された防振マウントM1,M2により車両のサイドフレームSに対して弾性支持されている。そうして、この2つの防振マウントM1,M2はそれぞれ、パワープラントPの慣性主軸(ロール軸)よりも高い位置に配設されており、そのことにより、パワープラントPは、2つの防振マウントM1,M2の荷重の支持点を結ぶ揺動支軸周りに振り子(ペンデュラム)のように揺動可能になっている。
【0022】
このエンジンマウントシステムにおいて、例えば自動車の急加減速時のように大きな駆動反力が作用すると、パワープラントPが振り子のように車体前後方向に大きく揺れようとするところ、そうした車体前後方向の揺れは、パワープラントPの下端部と該パワープラントPの車体後方に位置する車両のサブフレームFとがトルクロッド1を介して連結されていることにより規制されている。このトルクロッド1が防振装置を、パワープラントPが被支持体を、サブフレームFが車体をそれぞれ構成する。そして、このエンジンマウントシステムにおいては、主荷重入力方向が車体前後方向になり、その車体前後方向に直交する直交方向が車体上下方向になる。
【0023】
トルクロッド1は、図2に示すように、相対的に小さい筒孔を有する第1筒状部21、該第1筒状部21に対して主荷重入力方向(つまり、車体前後方向)に間隔を空けて配置されかつ、その第1筒状部21の筒孔と同一方向に開口する相対的に大きい筒孔を有する第2筒状部22、及び、第1筒状部21と第2筒状部22とを連結する連結部23から成る、側面視で略瓢箪状のブラケット2を備えており、第1筒状部21側がパワープラントPに連結され、第2筒状部22側がサブフレームFに連結される。
【0024】
第1筒状部21は、円筒状を成しており、その筒孔には、ゴムブッシュ3が同軸となるように嵌め込まれている。
【0025】
ゴムブッシュ3は、第1内筒体31と、該第1内筒体31の外周囲に一体に設けられたゴム弾性体とを有している。
【0026】
第1内筒体31は、円筒状の部材であり、その筒孔に挿通された図示省略のボルト等によってパワープラントPの下端部に連結され、これにより、トルクロッド1の第1筒状部21側がパワープラントPに連結される。
【0027】
第2筒状部22は、その筒孔が側面視で略八角形となるように形成されており、その筒孔内の略中央位置には、第2内筒体4が、第1内筒体31の筒軸と平行となるように配設されている。そうして、この第2内筒体4と第2筒状部22とは、ゴム弾性体5により連結されている。このように、第2内筒体4と第2筒状部22とをゴム弾性体5により連結するには、例えば、加硫一体成形とすればよく、具体的には射出成形金型に対して、ブラケット2を設置した後、該ブラケット2の第2筒状部22の内側に第2内筒体4を設置し、型締め後に、第2内筒体4と第2筒状部22との間に未加硫のゴム弾性体5を射出すると共に、加熱加硫して、ゴム弾性体5と第2内筒体4及び第2筒状部22とを加硫接着させればよい。加硫一体成形を採用することは、第2筒状部22の筒孔の形状を円形状や楕円形状といった形状にしなければならないという制約をなくして、その形状の自由度を高め得る。ここでは、第2筒状部22の筒孔の形状を八角形にしているが、これに限定されず、その他の多角形状等にしてもよい。また、この構成は、第2筒状部22にブッシュタイプのゴム弾性体を圧入する際に必要となる外筒体を省略して、従来の防振装置よりも安価に製造することができる。
【0028】
第2内筒体4は、円筒状の部材であり、その筒孔に挿通された図示省略のボルト等によってサブフレームFに連結され、これにより、トルクロッド1の第2筒状部22側がサブフレームFに連結される。こうして、第1内筒体31がパワープラントPに連結されることと、第2内筒体4がサブフレームFに連結されることとにより、サブフレームFとパワープラントPとがトルクロッド1を介して連結される。
【0029】
ゴム弾性体5には、第2内筒体4を挟んで車体前後方向(第2内筒体4の筒軸直交方向)の両側それぞれに、当該ゴム弾性体5を第2内筒体4の筒軸方向(車幅方向)に貫通する貫通孔51,52が形成されている。これにより、第2内筒体4から第2筒状部22に向かって第2内筒体4の略径方向に延びる2つの主ばね部53,53が形成されている。
【0030】
車体後側の貫通孔51には、第2筒状部22の内周面から車体前方に向かって突出するゴム弾性体から成るストッパ54が設けられている一方、車体前側の貫通孔52には、第2筒状部22の内周面に沿ってゴム弾性体から成るストッパ55が設けられている。これらのストッパ54,55はそれぞれ、第2内筒体4を挟んだ主荷重入力方向、換言すれば車体前後方向のそれぞれにこの第2内筒体4に対向するように設けられている。
【0031】
ストッパ55は、八角形状の第2筒状部22の内周面の内、第2内筒体4に対し車体前側で対向すると共に、車体上下方向に平坦となるように形成された設置面22a及び該設置面22aに隣接する2面に亘って伸びるように、当該内周面上に設けられており、これにより、第2内筒体4と車体前後方向に対向する当接部551と、該当接部551の車体上側の端部から第2筒状部22の内周面に沿って車体後方に向かって延びるサイドストッパ部552とを有している。ストッパ55は、後述するように、第2内筒体4及び第2筒状部22が車体前後方向に相対変位したときに、第2内筒体4(正確にはそれを囲む弾性体の部分であり、以下においては、第2内筒体4とそれを囲む弾性体部分とを含めて、第2内筒体4側と呼ぶ場合がある)が、当該ストッパ55の当接部551に当接することになり、そのことにより、第2内筒体4と第2筒状部22との車体前後方向に対する相対変位を所定量に規制する機能を有している。
【0032】
当接部551は、直交方向(車体上下方向)に対して一定の傾斜角度で傾斜した、より詳しくは、その上側が車体前側に、その下側が車体後側となるように傾斜した当接傾斜部551aを有している。この当接傾斜部551aは、詳しくは後述するが、トルクロッド1に荷重が入力して、第2内筒体4側とストッパ55の当接部551とが当接した後に、ブラケット2を回動させる機能を有する。
【0033】
トルクロッド1は、以上のように構成されており、次に、トルクロッド1の作用効果について、図3,4を参照しながら説明する。尚、図3において、主ばね部53,53及びストッパ54は省略されている。また、図4において、実線はトルクロッド1の静ばね特性を、一点鎖線は従来の防振装置の静ばね特性を、それぞれ示している。
【0034】
図3の(a)は、トルクロッド1に対して荷重が入力されていない状態を示している。この図3の(a)に示す状態から例えば自動車が急減速すると、大きな駆動反力により、パワープラントPから第1内筒体31を通じてトルクロッド1に荷重が入力され、ブラケット2が車体前後方向に移動する(図3の(b)の矢印参照)。第2内筒体4はサブフレームFに固定されているためほとんど移動せず、結果として、第2筒状部22と第2内筒体4とが車体前後方向に大きく相対変位することになる。このストッパ55の当接部551と第2内筒体4側とが当接するまでは、車体前後方向のばねは、主ばね部53,53が支配的になるため、ばね定数は比較的低くなると共に、車体前後方向の静ばね特性は線形になる(図4の(a)の領域を参照)。
【0035】
そうして、図3の(b)に示すように、第2内筒体4側と当接部551の当接傾斜部551aとが当接してからさらに第2筒状部22と第2内筒体4とが車体前後方向に相対変位を継続しようとしたときには、前述したように、第2内筒体4側に当接する当接部551が当接傾斜部551aを有していることで、ブラケット2が、第2内筒体4に対して相対的に、第1筒状部21側を中心として回動し始める。ここで、第1筒状部21と第1内筒体31とが弾性的に連結されていることにより、ブラケット2の回動中心は、第1内筒体31の筒軸になる場合、または、そこからずれる場合がある。ブラケット2の回動方向は、当接傾斜部551aの傾斜方向により決定され、ここでは、相対的に上側の部分が車体前側に、相対的に下側の部分が車体後側になるように、当接傾斜部551aが傾斜しており、第2内筒体4が、当接部551における車体上側の端部に向かって相対変位するような荷重がブラケット2に作用するから、図3の(c)の矢印に示すように、右回り方向になる。
【0036】
ブラケット2が回動すると、第2内筒体4側は当接傾斜部551aに当接したままで、当該当接傾斜部551aに沿って相対移動(スライド)するようになり、これに伴い第2内筒体4及び第2筒状部22は、ストッパ55を車体前後方向にほとんど圧縮変形することなく、前記の傾斜に対応する分だけ、車体前後方向に相対変位することになる。従って、第2内筒体4側と当接部551とがスライドしているときのトルクロッド1の静ばね特性は、ストッパ55を車体前後方向に圧縮変形しながら相対変位するときの圧縮特性よりも、ばね定数が低くなる(以下、こうした静ばね特性を、滑り特性と呼ぶ場合がある。)。しかも、当接部551の当接傾斜部551aが一定の傾斜角度で傾斜していることにより、第2内筒体4側は、当接部551に対して直線的に移動をするから、滑り特性は、概ね線形になる(図4の(b)の領域を参照)。
【0037】
そうして、ブラケット2がさらに回動したときには、図3の(c)に示すように、第2内筒体4側とサイドストッパ部552とが当接する。これにより、ブラケット2の回動及び第2内筒体4側と当接部551とのスライドは共に規制されて、その後はストッパ55が圧縮変形することになるから、車体前後方向の静ばね特性は圧縮特性となり、ばね定数が高くなる(図4の(c)の領域を参照)。
【0038】
このようにトルクロッド1によると、第2内筒体4側と当接部551とが当接した後、第2内筒体4側とサイドストッパ部552とが当接するまでの間に、静ばね特性が滑り特性となる領域を含むため、第2内筒体4側とストッパ55とが当接した後の車体前後方向のばね定数は、比較的低いままに保たれる。そのため、第2内筒体4側とストッパ55とが当接しても、トルクロッド1の防振性能が急激に悪化せず、その結果、自動車のNVH性能が急激に悪化することはない。
【0039】
ここで、前述したように、当接傾斜部551aの傾斜方向は、第2内筒体4側と当接部551とが当接してブラケット2が回動するときのブラケット2の回動方向を決定する。従って、当接傾斜部551aの傾斜方向は、ブラケット2が回動したときに、ブラケット2とエンジンルーム内の他の部材とが干渉しないように設定すればよい。ここでは、トルクロッド1の車体下側にスペースがあると仮定して、当接傾斜部551aの傾斜方向を、ブラケット2の回動方向が、図2において右回りになるように、上端部側が車体前側に、下端部側が車体後側になるように設定されているが、トルクロッド1の車体上側にスペースがあるときには、前記とは逆方向、即ち、上端部側が車体後側に、下端部側が車体前側となるように傾斜方向を設定してもよい。
【0040】
当接傾斜部551aの傾斜角度(直交方向に対する傾斜角度)は、ブラケット2の回動が開始する荷重の大きさを決定する。即ち、当接傾斜部551aの傾斜角度を大きくするほど、ブラケット2は低い荷重で回動を開始する。
【0041】
ここで、図2に示すトルクロッド1では、設置面22aが車体上下方向に延びるように形成しているが、設置面22aを当接傾斜部551aの傾斜方向と同じ方向に、車体上下方向に対し傾斜させるようにすれば、当接傾斜部551aの傾斜角度を変更しなくてもブラケット2の回動が開始する荷重の大きさを低くすることができる。この場合において、ブラケット2の回動が開始する荷重の大きさは、設置面22aの傾斜角度に依存し、設置面22aの傾斜角度が大きいほど低くなる。ここで、ブラケット2の回動を開始させる荷重に関して、設置面22aの傾斜角度は、当接傾斜部551aの傾斜角度よりも影響力が大きいため、その点を考慮して設置面22aの傾斜角度及び当接傾斜部551aの傾斜角度を設定することが好ましい。
【0042】
当接傾斜部551aの傾斜角度を小さくした場合には、ブラケット2が回動し難くなるため、当接部551と第2内筒体4側とが当接してからブラケット2が回動し始めるまでの間に、第2内筒体4側と第2筒状部22とが車体前後方向に相対変位することに伴って、ストッパ55の当接部551が車体前後方向に圧縮されるようになる。この場合は、図4の(a)の領域と(b)の領域(滑り特性)との間に、非線形のばね特性(圧縮特性)となる領域が生じ得る。設置面22a及び/又は当接傾斜部551aの傾斜角度の調整によって、この圧縮特性の領域を拡大させたり、縮小乃至無くしたりすることが可能である。
【0043】
また、当接傾斜部551aの傾斜角度は、滑り特性のときのばね定数を決定し得る。即ち、当接傾斜部551aの傾斜角度を大きくするほど、ばね定数を低くすることができる。
【0044】
以上説明したように、実施形態に係る防振装置では、第2内筒体側とストッパの当接部とが当接した後に、ブラケットを回動させるようにして、主荷重入力方向の静ばね特性を、ストッパの圧縮時のばね定数よりも低いばね定数の滑り特性になるようにしたから、ばね定数が急激に高くなることを回避することができる。
【0045】
前記ストッパの当接部は、前記のような形状に限られず、例えば、以下に示す変形例1のように変形可能である。
《ストッパの当接部の変形例1》
図5は、ストッパの当接部の変形例1を示す側面図である。尚、図5において、前記実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、一部の構成については符号を省略している。
【0046】
変形例1に係る当接部553は、第2内筒体4側に凸状となるように形成されており、これにより、車体上側部分が車体前側となり、車体下側部分が車体後側となるように傾斜した第1傾斜部553aと、該第1傾斜部553aの下端に連続すると共に、第1傾斜部553aの傾斜方向とは逆に、上側部分が車体後側となり、下側部分が車体前側となるように傾斜した第2傾斜部553bとを有している。そうして、当接部553は、その凸状の頂部が、第2内筒体4の筒軸を通って車体前後方向に延びる基準軸Aよりも車体下側に位置していることにより、基準軸Aが第1傾斜部553aを通るように形成されている。
【0047】
この構成によると、第2内筒体4及び第2筒状部22が車体前後方向に相対変位して、第2内筒体4側と当接部553とが当接したときには、第2内筒体4側が、当接部553の2つの傾斜部の内、第1傾斜部553aと当接するから、第1傾斜部553aの傾斜によって、ブラケット2が回動する。ブラケット2が回動すると、第2内筒体4側は第1傾斜部553aに当接したままで、当該第1傾斜部553aに沿ってスライドするようになる。即ち、変形例1では、第1傾斜部553aが当接傾斜部を構成する。
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るストッパの当接部を示す側面図である。尚、図6において、前記実施形態1と同様の構成については同様の符号を付し、一部の構成については符号を省略している。
【0048】
実施形態2に係る当接部554は、第2内筒体4側が当接部554に当接した後に、その当接部554が変形することによって、前記の当接傾斜部が構成される点が実施形態1と異なる。具体的に、当接部554は、傾斜面554bを有する傾斜部554aと、傾斜面554bの下端に連続すると共に、車体上下方向に平坦となるように形成された平坦面554dを有する平坦部554cとを備えている。そうして、当接部554は、前記基準軸Aが傾斜面554bと平坦面554dとの接続部を通るように形成されており、これによって、前記基準軸Aよりも上側には、ゴム弾性体からなる当接部554が、実質的に存在していない。
【0049】
この構成によると、第2筒状部22及び第2内筒体4が車体前後方向に相対変位すると、第2内筒体4側は、当接部554の前記接続部と当接する。第2筒状部22及び第2内筒体4が車体前後方向にさらに相対変位すると、前述したように基準軸Aよりも上側には当接部554が実質的に存在してないから、その当接部554が車体前後方向に圧縮されるに伴い、相対的に上側の部分の方がより大きく圧縮されるようになって、傾斜面554bに連続するように、車体上下方向に対して傾斜した傾斜面が形成される。こうして形成された傾斜面の傾斜によって、実施形態1と同様に、ブラケット2が回動するようになると共に、第2内筒体4側が当接部554に当接したままで、前記の傾斜面(傾斜面554bを含む)に沿ってスライドするようになる。即ち、実施形態2では、傾斜部554a及び平坦部554cが傾斜形成部を構成する。
《ストッパの当接部の変形例1》
図7は、実施形態2に係るストッパの当接部の変形例1を示す側面図である。尚、図7において、前記実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、一部の構成については符号を省略している。
【0050】
変形例1に係る当接部555は、当接傾斜部が形成されるように当接部555が変形するときの荷重を小さくするように構成されている。具体的に、当接部555は、側面視で略矩形状に形成されており、車体上下方向に対向する一対の面と、該一対の面を連結すると共に、車体上下方向に平坦となるように形成された平坦面555aとを有している。当接部555には、側面視で略U字乃至V字状の切欠きが形成されており、これにより、当接部555は、前記切欠きを挟んで、車体前側の第1切欠き片555bと、平坦面555aの一部を有する、車体後側の第2切欠き片555cとを備えた二股状に形成されている。そうして、当接部555は、前記基準軸Aが当該当接部555における車体上下方向の略中央位置であって、前記切欠きよりも車体下側を通るように形成されている。
【0051】
この構成によると、第2筒状部22及び第2内筒体4が車体前後方向に相対変位すると、第2内筒体4側は、平坦面555aにおける車体上下方向の略中央位置と当接する。第2筒状部22及び第2内筒体4が車体前後方向にさらに相対変位すると、当接部555が車体前後方向に圧縮されると共に、第2切欠き片555cと第1切欠き片555bとの間の切欠きが潰れるように、第2切欠き片555cが曲げ変形する。これにより、第2切欠き片555cが車体上下方向に対して傾斜した当接形成部を形成し、この当接傾斜部の傾斜によって、ブラケット2が回動する。ブラケット2が回動すると、第2内筒体4側が傾斜した第2切欠き片555c(当接形成部)に当接したままで、その当接傾斜部に沿ってスライドするようになる。即ち、変形例1では、第2切欠き片555cが、傾斜形成部を構成する。尚、前記の切欠きの長さをさらに下向きに延ばして、基準軸Aが切欠きを横切るようにしてもよい。また、第2切欠き片555cが曲げ変形して当接傾斜部を構成するときに、その当接傾斜部の傾斜角度が一定になるように、切欠きの形状を設定してもよい。
《ストッパの当接部の変形例2》
図8は、ストッパの当接部の変形例2を示す側面図である。尚、図8において、前記実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、一部の構成については符号を省略している。
【0052】
変形例2に係る当接部556は、変形例1と比較して、当接部を車体上下方向にずらして配置しており、これにより、基準軸Aが、当接部556の上端部付近を通るようにしている。具体的に当接部556は、車体上下方向に平坦となるように形成された平坦面556aを有している。当接部556には、側面視で略U乃至V字状の切欠きが形成されており、これにより、当接部556は、前記切欠きを挟んで、車体前側の第1切欠き片556bと、平坦面556aの一部を有する、車体後側の第2切欠き片556cとを備えた二股状に形成されている。そうして、当接部556は、前記基準軸Aが前記第2切欠き片556cの先端付近を通るように形成されている。
【0053】
この構成によると、第2筒状部22及び第2内筒体4が車体前後方向に相対変位すると、第2内筒体4側は、第2切欠き片556cと当接する。そのため、第2筒状部22及び第2内筒体4が車体前後方向にさらに相対変位すると、前記変形例1とは異なり、当接部556が車体前後方向にほとんど圧縮されることなく、第2切欠き片556cが第1切欠き片556bと当接するまで車体前側に曲げ変形する。これにより、前記変形例1と同様に、第2切欠き片556cが車体上下方向に対して傾斜した当接傾斜部を形成し、この当接傾斜部の傾斜によって、ブラケット2が回動する。ブラケット2が回動すると、第2内筒体4側が当接傾斜部に当接したままで、当該当接傾斜部に沿ってスライドするようになる。即ち、変形例2では、第2切欠き片556cが傾斜形成部を構成する。
(実施形態3)
図9は、実施形態3に係るストッパの当接部を示す側面図である。尚、図9において、前記実施形態1,2と同様の構成については同様の符号を付し、一部の構成については符号を省略している。
【0054】
実施形態3に係る当接部557は、実施形態1の変形例1と、実施形態2の変形例1とを組み合わせたような構成とされている。具体的に当接部557は、第2内筒体4側に凸状となるように形成されており、これにより、車体上側部分が車体前側となり、車体下側部分が車体後側となるように傾斜した主当接部557aと、該主当接部557aの下端に連続すると共に、主当接部557aの傾斜方向とは逆に、上側部分が車体後側となり、下側部分が車体前側となるように傾斜した副当接部557bとを備えている。主当接部557aには、直交方向に延びると共に、前記主当接部557aの傾斜面に開口する、側面視で略U乃至V字状の切欠きが形成されており、これにより、当接部557は、前記切欠きを挟んで車体前側の第1切欠き片557cと、車体上下方向に対して傾斜した面を第2内筒体4側に有する、車体後側の第2切欠き片557dとを備えた二股状に形成されている。そうして、当接部557は、前記基準軸Aが第2切欠き片557dを通るように形成されている。
【0055】
この構成によると、第2筒状部22及び第2内筒体4が車体前後方向に相対変位すると、第2内筒体4側は、主当接部557aの第2切欠き片557dと当接する。そのため、第2筒状部22及び第2内筒体4が車体前後方向にさらに相対変位すると、前記実施形態2の変形例2と同様に、当接部557が車体前後方向にほとんど圧縮されることなく、第2切欠き片557dが第1切欠き片557cと当接するまで車体前側に曲げ変形し、第2切欠き片557dが当接傾斜部を形成する。ここで、当接傾斜部である第2切欠き片557dの第2内筒体4側の面は、第2切欠き片557dが曲げ変形する前から、車体上下方向に対して傾斜しており、第2切欠き片557dが曲げ変形することにより、車体上下方向に対してさらに傾斜することになるから、前記実施形態2の変形例1,2の様に第2内筒体4側の面を平坦面に形成した場合に比べて、当接傾斜部の傾斜角度を大きくすることができる。その結果、ブラケット2をより確実に回動させて、ばね定数の急変をより確実に回避し得る。即ち、実施形態3では、第2切欠き片557dが傾斜形成部を構成する。
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0056】
すなわち、前記実施形態1,2では、第2内筒体を円筒状の部材にしているが、これに限られず、例えば楕円筒状の部材にしてもよい。
【0057】
さらに、当接部を有するストッパを、第2内筒体に対して車体前側に設けているが、加速時において、前記と同様のばね特性を得るために、車体後側に設けてもよいし、加速及び減速の双方において前記と同様のばね特性を得るために、車体前後両側それぞれに設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の防振装置は、内筒体側とストッパとが当接した後の主荷重入力方向のばね定数の急変を回避することができるので、例えば自動車用のトルクロッドとして適用したときに、自動車のNVH性能の急激な悪化を防ぐことができる点で有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 トルクロッド(防振装置)
2 ブラケット
21 第1筒状部
22 第2筒状部
22a 設置面
23 連結部
3 ゴムブッシュ
31 第1内筒体
4 第2内筒体
5 ゴム弾性体
55 ストッパ
551,553〜557 当接部
552 サイドストッパ部
551a 当接傾斜部
553a 第1傾斜部(当接傾斜部)
553b 第2傾斜部
554a 傾斜部(傾斜形成部)
554b 傾斜面
554c 平坦部(傾斜形成部)
555b,556b,557c 第1切欠き片
555c,556c,557d 第2切欠き片(傾斜形成部)
A 基準軸
F サブフレーム(車体)
P パワープラント(被支持体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被支持体と車体とを連結する防振装置であって、
前記被支持体側に配置される第1筒状部と、前記第1筒状部に対して主荷重入力方向に間隔を空けて、前記車体側に配置されると共に、前記第1筒状部と連結された第2筒状部とを有するブラケットと、
前記第1筒状部の筒孔内に配設されて、当該第1筒状部に弾性連結されると共に、前記被支持体と連結される第1内筒体と、
前記第2筒状部の筒孔内で、前記第1内筒体の筒軸と平行となるように配設されると共に、前記車体と連結される第2内筒体と、
前記第2筒状部と前記第2内筒体とを連結する弾性体と、
前記第2筒状部の筒孔内において、前記第2内筒体に対し前記主荷重入力方向に対向する部位に設けられかつ、荷重が入力するに伴い、前記第2筒状部及び第2内筒体が前記主荷重入力方向に相対変位したときに、前記第2内筒体側と当接することで、前記の相対変位を規制する当接部を有するストッパと、を備え、
前記ストッパの当接部は、前記主荷重入力方向に直交する直交方向に対して傾斜した当接傾斜部を有しており、
前記の入力荷重によって前記第2内筒体側が前記ストッパの当接傾斜部に当接した後に、前記第2内筒体側が前記ストッパの当接傾斜部に当接したままで、当該当接傾斜部に沿って移動をするように、前記の入力荷重によって、前記ブラケットが、前記第2内筒体に対して相対的に、前記第1筒状部側を中心として回動するように構成されていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
請求項1に記載の防振装置において、
前記当接傾斜部は、前記直交方向に対して一定の角度で傾斜していることを特徴とする防振装置。
【請求項3】
被支持体と車体とを連結する防振装置であって、
前記被支持体側に配置される第1筒状部と、前記第1筒状部に対して主荷重入力方向に間隔を空けて、前記車体側に配置されると共に、前記第1筒状部と連結された第2筒状部とを有するブラケットと、
前記第1筒状部の筒孔内に配設されて、当該第1筒状部に弾性連結されると共に、前記被支持体と連結される第1内筒体と、
前記第2筒状部の筒孔内で、前記第1内筒体の筒軸と平行となるように配設されると共に、前記車体と連結される第2内筒体と、
前記第2筒状部と前記第2内筒体とを連結する弾性体と、
前記第2筒状部の筒孔において、前記第2内筒体に対し前記主荷重入力方向に対向する部位に設けられかつ、荷重が入力するに伴い、前記第2筒状部及び第2内筒体が前記主荷重入力方向に相対変位したときに、前記第2内筒体側と当接することで、前記の相対変位を規制する当接部を有するストッパと、を備え、
前記ストッパの当接部は、ゴム弾性体から成りかつ、前記第2内筒体側と当接した後に変形することで前記主荷重入力方向に直交する直交方向に対して傾斜する傾斜形成部を有しており、
前記の入力荷重によって前記第2内筒体側が前記ストッパの傾斜形成部に当接して当該傾斜形成部が傾斜した後に、前記第2内筒体側が前記の傾斜した傾斜形成部に当接したままで、その傾斜形成部の傾斜に沿って移動をするように、前記の入力荷重によって、前記ブラケットが、前記第2内筒体に対して相対的に、前記第1筒状部側を中心として回動するように構成されていることを特徴とする防振装置。
【請求項4】
請求項3に記載の防振装置において、
前記ストッパの当接部は、前記第2筒状部の内周面から内方に突出するように設けられていると共に、前記直交方向に延びて、前記当接部の側面に開口する切欠きと、該切欠きよりも前記第2内筒体側に位置して、前記傾斜形成部を構成する切欠き片とを有しており、
前記第2筒状部及び第2内筒体が前記主荷重入力方向に相対変位をして前記第2内筒体側と前記ストッパの切欠き片とが当接した後に、前記切欠きが潰れるように前記切欠き片が曲げ変形することにより、前記切欠き片が前記直交方向に対して傾斜することを特徴とする防振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−7716(P2012−7716A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146410(P2010−146410)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000201869)倉敷化工株式会社 (282)
【Fターム(参考)】