説明

防水スイッチ構造

【課題】陸上でも水中でも軽快な一定の押動操作が可能であると同時に極めて高い防水性を得ることができる防水スイッチ構造を提供すること。
【解決手段】内板2cに設けた連通穴2eに弾性膜16を水密可能に被着し、内板2cの外方に設けた外板2aに弾性膜16を押動する押釦5を非水密に設け、弾性膜16の裏面に当接し該弾性膜16を介して押釦5の押動で揺動するレバー15と該レバー15の揺動で動作可能なスイッチ17とを内板2cの内方に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水スイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防水スイッチ構造は、筐体内に設けたスイッチを外部から操作可能に押釦を筐体に設けると共に、筐体内への水の浸入を防ぐために、押釦と筐体との間にOリングなどのシール材が圧潰されるように介装した構成が一般的である(例えば特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2006−156113公報
【特許文献2】特開2006−156114公報
【特許文献3】特開2006−156115公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の防水スイッチ構造は、Oリングなどのシール材の圧潰量を多くした押釦の取付けにより防水性を向上させていることから、その反動として、押釦を押し動かす力、すなわち作動力が大きくなってしまい、操作感を悪くする原因になっていた。
また、上述した先行技術文献1〜3に記載された従来の防水スイッチ構造は、水圧により不用意に押釦が操作されないように、水圧を利用して押釦を押し戻す機構や、水圧に応じた力量を発生するパワーゴム膜で押釦を押し戻す機構の防水スイッチ構造が記載されているものの、押釦と筐体とのシール構造自体は、Oリングを用いた従来のシール構造であることから、防水性を高めれば高めるほど押釦の操作感が悪くなっていた。
そこで本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決できる防水スイッチ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術課題を達成するために、本発明にかかる防水スイッチ構造は、下記の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1にかかる防水スイッチ構造は、内板に設けた連通穴に弾性膜を水密可能に被着し、前記内板の外方に設けた外板に前記弾性膜を押動する押釦を非水密に設け、前記弾性膜の裏面に当接し該弾性膜を介して前記押釦の押動で揺動するレバーと該レバーの揺動で動作可能なスイッチとを前記内板の内方に設けて成ることを特徴とする。
請求項2にかかる防水スイッチ構造は、請求項1において、前記レバーは、その長手方向中心が前記弾性膜の中心に位置するように設けると共に、その長手方向中心を枢支部としたことを特徴とする。
請求項3にかかる防水スイッチ構造は、請求項1において、前記弾性膜は、前記内板に所要の間隔をおいて二つ設け、前記レバーは、夫々の前記弾性膜の裏面中央部に当接可能に弾性膜同士間を跨ぐように形成すると共に、その長手方向中心を枢支部としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、Oリングなどのシール構造を採らずに外板に非水密に押釦を設けたことで、押釦はOリングなどのシール構造に起因した作動力の増加がないから、陸上でも水中でも軽快な一定の押動操作ができ、極めて好適な操作感を得ることができる。しかも、その押釦から内部へ水が浸入しても、連通穴に弾性膜を水密可能に被着した内板が、その浸入した水をスイッチ側へ流れ込むのを阻止するから防水性が確保できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明にかかる防水スイッチ構造の実施の形態を説明する。本実施の形態にかかる防水スイッチ構造は、図1及び図2に示したように、デジタルカメラ1の操作部に適用したものを例示している。図3及び図4は実施の形態1を、図5は実施の形態2を、図6は実施の形態3を、図7は実施の形態4を夫々例示している。
各実施の形態の説明の前に、本実施の形態にかかる防水スイッチ構造を適用したデジタルカメラ1の概略を、図1及び図2を参照しながら説明する。
このデジタルカメラ1は、陸上での使用の他、水中使用が可能なもので、デジタルカメラ1内部への水の浸入を防ぐ筐体2を備えている。
その筐体2は、前カバー2aと、その前カバー2aの内側に配設された前内カバー2cと、前カバー2aと水密可能に係合された後カバー2bと、その後カバー2bの内側に配設され前内カバー2cと水密可能に係合された後内カバー2dとを備えてなる。
【0007】
デジタルカメラ1の正面には、中央部に焦点距離可変のズーム光学系として構成された撮影光学系3が、右上部には照明光を照射するためのストロボ発光部4が配置されている。
デジタルカメラ1の上面には、撮影者が右手の人差し指などで押動可能な所要の位置に、撮影動作を指示入力するためのレリーズ釦5と、デジタルカメラ1の電源をオン/オフするための電源釦6と、デジタルカメラ1の動作モードを例えば静止画撮影モード/動画撮影モード/音声記録モードなどに切り換え操作するためのモード切換ダイヤル7と、外部ストロボなどを取り付けるためのアクセサリーシュー8がそれぞれ配置されている。
デジタルカメラ1の背面には、右上角部に撮影光学系の焦点距離をテレ側とワイド側とへ変更するためのズーム釦9と、左側には撮影した静止画/動画を表示したり、デジタルカメラ1に係わる各種の情報を表示したりするための表示画面10と、その間には、再生モードに切り換えたり、デジタルカメラ1の撮影設定を変更したり、撮影した画像を消去したり、表示画面10の表示内容を変更したりする複数のモード釦11が配置されている。なお、上述した表示画面10は、例えばTFT等で構成される表示素子10aであり、その表示素子10aをアクリル製部材10bで水密可能に被装されている。
さらに、筐体2内には電子基板等(図示せず)が実装されおり、上述したようなデジタルカメラ1の外面に設けた各種釦やダイヤル等と電気的に接続されて、デジタルカメラ1として機能するようになっている。
【0008】
本実施の形態では、前記防水スイッチ構造を、上述した各構成要素のうち、レリーズ釦5、ズーム釦9、モード釦11に適用した例を示しており、以下、各態様を詳述する。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる防水スイッチ構造は、レリーズ釦5に適用したもので、前内カバー(内板)2cと、弾性膜16と、前カバー(外板)2aと、レリーズ釦(押釦)5と、レバー15と、レリーズスイッチ17とを備えて構成されている。
前内カバー(内板)2cは、上述したように、後内カバー2dと水密可能に係合され、レリーズ釦5の配設部となる上面の位置に連通穴2eが設けられている。この連通穴2eは、上部が座繰られて座繰り面2fが形成された平面視矩形状の一段の段付穴になっている。なお、平面視の穴形状は限定されない(後述する実施の形態3は平面視円形状の連通穴2nを例示)。
弾性膜16は、座繰り面2fに着座可能な矩形状に形成されると共に、連通穴2eの周側面に嵌合可能な矩形状の環状リブ16aが垂設されたゴム材からなる。このように形成された弾性膜16は、座繰り面2fに塗布された接着材29により周端部が座繰り面2fに接着され、環状リブ16aが連通穴2eの周側面に嵌合されて、連通穴2eを閉塞するように且つ水密可能に取り付けられている。なお、この弾性膜16は、上述した連通穴2eと係合するように形成されるため、後述する実施の形態3は、平面視円形状の連通穴2nに係合するように平面視円形状の弾性膜21になっている。
【0009】
前カバー(外板)2aは、上述したように、後カバー2bと水密可能に係合されると共に、レリーズ釦5の配設部である、弾性膜16の一方の端部寄り上方となる位置に係合凹部2gが凹設されている。この係合凹部2gは、その上縁が内方に延出されて係止部2hが形成されており、突出させた底中央部に連通孔2kが設けられた円形状の凹部になっている。また、この前カバー2aには、上述した係合凹部2gの近傍に、空気や水を流通させる流通穴26が形成されている。
レリーズ釦(押釦)5は、係合凹部2gに出没自在に挿嵌されると共に係止部2hに当接可能な鍔状の抜け止め12bが下部に張り出し形成された釦頭部12cと、その釦頭部12cから垂設され連通孔2kにスライド可能に挿通されて弾性膜16と当接される押動杆部12aとを備えて構成された押し釦本体12と、押動杆部12aに環装されると共に係合凹部2gの底面と釦頭部12cの裏面との間に張架され釦頭部12cを外方へ段発付勢させる圧縮コイルバネ13とを備えてなる。このようにレリーズ釦(押釦)5は、支軸14を境に弾性膜16のレリーズ釦5側を押し下げ可能に係合凹部2gに非水密で取り付けられている。
【0010】
レバー15は、帯板状に形成され、その中心(長手方向の)を弾性膜16の長手方向中心に位置させて、弾性膜16の裏面に沿うように当接されると共に、レリーズ釦5による弾性膜16の押し下げに伴って揺動可能に前内カバー2cの内側に支持された支軸14に部材中心(長手方向の)の裏面部分が枢支されている。また、押動杆部12aの軸中心線上に中心を位置させた凸部15aがレバー15裏面に突設されている。
レリーズスイッチ(スイッチ)17は、デジタルカメラ1の内部に架設された固定台19にスイッチ用プリント基板18が取り付けられ、そのスイッチ用プリント基板18上で凸部15a直下となる位置に実装されており、レバー15の揺動による凸部15aの進退動作で動作可能になっている。
このように構成された実施の形態1にかかる防水スイッチ構造は、図4に示すように、撮影者が圧縮コイルバネ13に抗して押し釦本体12を押し下げることにより、押動杆部12aが支軸14を境に弾性膜16のレリーズ釦5側を押し下げ、弾性膜16の裏面に沿うように当接したレバー15が支軸14を回動支点にして下方へ揺動し、凸部15aがレリーズスイッチ17を押すことで、電子シャッター(図示せず)が動作する。
【0011】
撮影者がレリーズ釦(押釦)5の押し下げを解除することで、圧縮コイルバネ13の復元力により、抜け止め12bが係止部2hに当接するまで押し釦本体12が上昇し、元の位置で停止する。これと同時に、弾性膜16の復元力により、レバー15が支軸14を回動支点にして元の水平状態に戻り、凸部15aがレリーズスイッチ17から離間する。
この一連の動作は、陸上でも水中でも同じであるが、特に水中での動作時、Oリングなどのシール構造を採らずに前カバー2aにレリーズ釦5を非水密に設けたことで、レリーズ釦5はOリングなどのシール構造を起因した作動力の増加がないから、押釦の好適な操作感を得ることができる。また、流通穴26やレリーズ釦5から水が浸入してくるが、前内カバー2cに弾性膜16を水密可能に被着したことで、レリーズスイッチ17側へ流れ込むのを阻止して防水性を確保している。このように実施の形態1にかかる防水スイッチ構造は、レリーズ釦5の、陸上でも水中でも軽快な一定の押動操作が可能であると同時に極めて高い防水性を得ることができる。
また実施の形態1にかかる防水スイッチ構造は、弾性膜16の長手方向中心にレバー15の長手方向中心を位置させて回動中心として、左右対称の構成としたから、急激な水圧が弾性膜16に負荷してもレバー15が水平状態を維持したまま弾性膜16の変形を阻止すると共に、水没したレリーズ釦5には全方向から同じ水圧が負荷することで押し下げ方向へ移動しないから、上述した効果に加え、レリーズ釦5の水圧による誤動作の恐れを払拭できる。
【0012】
(実施の形態2)
実施の形態2にかかる防水スイッチ構造は、モード釦11に適用した例であり、実施の形態1と実質的に共通する構成は同一符号を付してその説明は省略し、図5に示すように、異なる構成となる後カバー2bとモード釦11について詳述する。なお、このモード釦11の配設個所は、上述したようにデジタルカメラ1の背面であることから、後カバー2bが「外板」に後内カバー2dが「内板」に相当する。
後カバー2bは、モード釦11の配設部となる位置に、連通された円形の係止孔2mが設けられている。
モード釦11は、係止孔2m内に出没自在に挿嵌される共に、係止孔2mの、後カバー2bの裏面側の縁に当接可能な鍔状の抜け止め11aが下部に形成された釦頭部11bと、その釦頭部11bの中央部から垂設されて弾性膜16と当接される押動杆部11cと、釦頭部11bの下部から延設されると共に後カバー2bの裏面に端部が止着されて釦頭部11bを外方へ段発付勢させる板バネ部11dとを備えてなる。
このように構成された実施の形態2にかかる防水スイッチ構造は、撮影者がモード釦11を下方に押圧することで、板バネ部11dの弾性変形により釦頭部11bが押し下がり、押動杆部11cが弾性膜16のモード釦11側を押し下げ、弾性膜16の裏面に沿うように当接したレバー15が支軸14を回動支点にして下方へ揺動する。このレバー15の揺動で凸部15aがモードスイッチ20を押して各種情報が入力する。
この実施の形態2にかかる防水スイッチ構造は、実施の形態1で例示したレリーズ釦(押釦)5より構成が簡素になっているが、実施の形態1と同じく、陸上でも水中でもモード釦11を軽快に押動操作することが可能であると同時に極めて高い防水性を得ることができる。また、モード釦11の水圧による誤動作の恐れを払拭できる。
【0013】
(実施の形態3)
実施の形態3にかかる防水スイッチ構造は、実施の形態1と同じく、レリーズ釦5に適用した例であり、実施の形態1と実質的に共通する構成は同一符号を付してその説明は省略し、図6に示すように、異なる構成となる前内カバー(内板)2c、弾性膜21、レバー22とを詳述する。
前内カバー(内板)2cは、平面視円形状の連通穴2nが所要の間隔をおいて二つ並設されると共に、夫々の連通穴2nに、円形状の環状リブ21aが垂設された平面視円形状のゴム材からなる弾性膜21が、実施の形態1と同様に水密可能に接着されている。
レバー22は、一対の弾性膜2の配設ピッチと同じピッチで突起22aが上面両端に設けられた縦断面視コ字状に形成されると共に、レリーズ釦(押釦)5側の突起22aの中心線上に中心を位置させた凸部22bが裏面に突設されている。このように形成されたレバー22は、弾性膜21同士間を跨ぐように、且つ、夫々の突起22aが夫々の弾性膜21の裏面に沿って当接されるように、部材中心(長手方向の)を弾性膜21同士間中心に位置させると共に、レリーズ釦5による弾性膜21の押し下げに伴って揺動可能に、前内カバー2cの内側に支持された支軸14に部材中心(長手方向の)が枢支されている。
このように構成された実施の形態3にかかる防水スイッチ構造は、撮影者が押し釦本体12を押し下げることにより、押動杆部12aがその直下の一方の弾性膜21を押し下げ、レバー22が支軸14を回動支点にして下方へ揺動し、凸部22bがレリーズスイッチ17を押すことで、電子シャッター(図示せず)が動作する。
この実施の形態3にかかる防水スイッチ構造は、上述した実施の形態と同じく、陸上でも水中でもレリーズ釦を軽快に押動操作することが可能であると同時に極めて高い防水性を得ることができる。また、レリーズ釦5の水圧による誤動作の恐れを払拭できる。
【0014】
(実施の形態4)
実施の形態4にかかる防水スイッチ構造は、図7に示すように、ズーム釦9に適用した例であり、実施の形態1と実質的に共通する構成は同一符号を付してその説明は省略し、図7に示すように、異なる構成となる、後カバー(外板)2b、ズーム釦9と、レバー23、ズームスイッチ(スイッチ)24について詳述する。
後カバー2bは、ズーム釦9の配設部となる位置に、連通された平面視矩形状の係止穴2pが設けられている。
ズーム釦9は、係止穴2pに遊挿され、上面両端部が水平状に形成されると共にその上面両端部間が凹湾曲形成された釦頭部9aと、上面両端部と凹湾曲形成部分との境界でその裏側から垂設され弾性膜16と当接される押動部9bとを備え、平面視矩形状に形成されている。このように形成されたズーム釦9は、長手方向の中心の裏面が後カバー2bの内側に支持された支軸25に部材中心(長手方向の)の裏面が枢支されている。
レバー23は、帯板状に形成され、その中心(長手方向の)を弾性膜16の長手方向中心に位置させて、弾性膜16の裏面に沿うように当接されると共に、ズーム釦9による弾性膜16の押し下げに伴って揺動可能に後内カバー2dの内側に支持された支軸14に部材中心(長手方向の)の裏面部分が枢支されている。また、夫々の押動部9bの軸中心線上に中心を位置させた凸部23aが裏面に突設されている。
ズームスイッチ24は、デジタルカメラ1の内部に架設された固定台19にスイッチ用プリント基板18が取り付けられ、そのスイッチ用プリント基板18上で夫々の凸部23a直下となる位置に一対実装されており、レバー23の揺動による夫々の凸部23aの進退動作で動作可能になっている。
【0015】
このように構成された実施の形態4にかかる防水スイッチ構造は、撮影者によるズーム釦9の釦頭部9aの何れか一方の端部を下方へ押圧することで、支軸25を回動支点としてズーム釦9が揺動して一方の押動部9bが押し下がり、その一方の押動部9bに当接した弾性膜16の一方側が押し下がり、弾性膜16の裏面に沿うように当接したレバー23が支軸14を回動支点にして下方へ揺動し、凸部23aが一方のレリーズスイッチ24を押すことで、撮影光学系3が広角または望遠となるべく焦点距離の可変動作を開始する。釦頭部9aの他方の端部を下方へ押圧しても同様である。
この実施の形態4にかかる防水スイッチ構造は、上述した実施の形態と同じく、ズームスイッチ24の、陸上でも水中でも軽快な一定の押動操作が可能であると同時に極めて高い防水性を得ることができる。また、ズームスイッチ24の水圧による誤動作の恐れを払拭できる。
【0016】
なお、本実施の形態では、レリーズ釦5等の押釦が水圧により押し下がって誤動作する恐れを払拭するために、レバーと弾性膜との中心を揃え、その中心を回動支点し、左右対称となるように構成したものを例示しているが、上述したような左右対称の構成にしなくても、以下の式を満足する構成にすることにより左右の圧力バランスを取ることが可能である。なお、図3を用いて実施の形態1で用いた符号を用いる。
左右の圧力バランスは、図3に示すように、支軸14の中心線を境界とした弾性膜16の水圧に対する有効な表面積Sa、Sbと、支軸14の中心線からその表面積の重心までのそれぞれの距離Ra、Rbが、
Sa×Ra=Sa×Rb‥(式1)
の関係にあるので、水深D(m)における静水圧(この静水圧には、大気圧も含まれているものとする。)をP(D)とすると、この静水圧によりレバー15の一方にかかる力量は、P(D)×Sa、他方にかかる力量はP(D)×Sbとなる。
そして、このときの支軸14周りの力のモーメントは、それぞれ、P(D)×Sa×RaとP(D)×Sb×Rbとなり、回転方向は逆であり、これらの力のモーメントが釣り合う条件は、
P(D)×Sa×Ra=P(D)×Sb×Rb‥(式2)
となるために、水圧によりレリーズスイッチ17が押されてしまうのを防止し、また、水中においても陸上においても操作を行うために必要な押圧力が変化しないようにする設計上の条件が数式1として求められる。
以上、本実施の形態にかかる防水スイッチ構造を、デジタルカメラを例にして説明したが、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態にかかる防水スイッチ構造を適用したデジタルカメラの正面側斜視図である。
【図2】本実施の形態にかかる防水スイッチ構造を適用したデジタルカメラの背面側斜視図である。
【図3】実施の形態1にかかる防水スイッチ構造を適用したレリーズ釦部分の縦断面図である。
【図4】動作時のレリーズ釦部分の縦断面図である。
【図5】実施の形態2にかかる防水スイッチ構造を適用したモード釦部分の縦断面図である。
【図6】実施の形態3にかかる防水スイッチ構造を適用したレリーズ釦部分の縦断面図である。
【図7】実施の形態4にかかる防水スイッチ構造を適用したズーム釦の縦断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 デジタルカメラ、2 筐体、2a 前カバー、2b 後カバー、2c 前内カバー、2d 後内カバー、2e 連通穴、2f 座繰り面、2g 係合凹部、2h 係止部、2k 連通孔、2m 係止孔、2n 連通穴、2p 係止穴、3 撮影光学系、4 ストロボ発光部、5 レリーズ釦、6 電源釦、7 モード切換ダイヤル、8 アクセサリーシュー、9 ズーム釦、9a 釦頭部、9b 押動部、10 表示画面、10a 表示素子、10b アクリル製部材、11 モード釦、11a 抜け止め、11b 釦頭部、11c 押動杆部、11d 板バネ部、12 押し釦本体、12a 押動杆部、12b 抜け止め、12c 釦頭部、13 圧縮コイルバネ、14 支軸、15 レバー、15a 凸部、16 弾性膜、16a 環状リブ、17 レリーズスイッチ、18 スイッチ用プリント基板、19 固定台、20 モードスイッチ、21 弾性膜、21a 環状リブ、22 レバー、22a 突起、22b 凸部、23 レバー、23a 凸部、24 ズームスイッチ、25 支軸、26 流通穴、29 接着材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内板に設けた連通穴に弾性膜を水密可能に被着し、前記内板の外方に設けた外板に前記弾性膜を押動する押釦を非水密に設け、前記弾性膜の裏面に当接し該弾性膜を介して前記押釦の押動で揺動するレバーと該レバーの揺動で動作可能なスイッチとを前記内板の内方に設けて成ることを特徴とする防水スイッチ構造。
【請求項2】
前記レバーは、その長手方向中心が前記弾性膜の中心に位置するように設けると共に、その長手方向中心を枢支部としたことを特徴とする請求項1記載の防水スイッチ構造。
【請求項3】
前記弾性膜は、前記内板に所要の間隔をおいて二つ設け、前記レバーは、夫々の前記弾性膜の裏面中央部に当接可能に弾性膜同士間を跨ぐように形成すると共に、その長手方向中心を枢支部としたことを特徴とする請求項1記載の防水スイッチ構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−9985(P2010−9985A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169207(P2008−169207)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】