防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法
【課題】 施工時の品質管理が容易で、短期間で効率的に形成でき、性能上の欠陥がない防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法を提供する。
【解決手段】 円筒形の防液堤13の内壁面に断熱ボルト99を設けたライナプレート15を設置し、断熱材3Cの表面に表面材5Cを有し、ボルト穴97を有する複数の断熱パネル1Cを、ボルト穴97に断熱ボルト99を挿入して、ワッシャ101を挟んでナット103で断熱パネル1Cを締め付け、断熱パネル1Cをライナプレート15に固定する。ワッシャ101は注入穴105を有しており、注入穴105から充填材21をボルト穴97に充填した後、断熱ボルト99、ナット103、ワッシャ101を、液密材31で被覆する。
【解決手段】 円筒形の防液堤13の内壁面に断熱ボルト99を設けたライナプレート15を設置し、断熱材3Cの表面に表面材5Cを有し、ボルト穴97を有する複数の断熱パネル1Cを、ボルト穴97に断熱ボルト99を挿入して、ワッシャ101を挟んでナット103で断熱パネル1Cを締め付け、断熱パネル1Cをライナプレート15に固定する。ワッシャ101は注入穴105を有しており、注入穴105から充填材21をボルト穴97に充填した後、断熱ボルト99、ナット103、ワッシャ101を、液密材31で被覆する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液化天然ガス、液化石油ガスなどの低温物体(ガスおよび液体)を貯蔵するPC(プレストレストコンクリート)製防液堤一体型低温タンクのPC防液堤は円筒形であり、その内面には外槽ライナプレートが取り付けられる。外槽ライナプレートの内側に設けられる冷熱抵抗緩和材は、次のように形成される。
【0003】
(1)サンドブラスト、次いでプライマー塗布など、接着性向上のための表面処理を施した外槽内壁面に、硬質ウレタンフォームなどから成る断熱パネルを、空間を設けて仮固定する。外槽内壁面(曲面)と断熱パネル(平面)とで形成される空間に硬質ウレタンフォームの発泡原液を注入し、発泡固化させ、硬質ウレタンフォーム発泡原液の自己接着力により、断熱パネルを外槽内壁面に固着する。
【0004】
外槽内壁面と断熱パネルとの隙間に硬質ウレタンフォームを充填するのは、曲面と平面による空間がある状態で内槽が破損し漏液した場合、空間があることで冷熱緩和材に液圧が作用し、断熱パネルに曲げ変形が生じ、破損する可能性があるからである。
【0005】
(2)表面処理した外槽内壁面に、手動あるいは自動的手段を駆使して硬質ウレタンフォームの発泡原液を吹付けて発泡固化させ、この自己接着力により外槽内壁面に一体に固定した硬質ウレタンフォームを形成する。次いで、適宜の手段を用いて表面を切削して所定厚の硬質ウレタンフォーム断熱層を形成する。そして、硬質ウレタンフォーム断熱層にウレタン系接着剤を用いてガラスクロスを一体化させたガラス繊維強化ウレタン樹脂からなる表面層を形成する。
【0006】
(3)外槽内壁面に沿って、空間を設けて保持された表面材の裏側面に硬質ウレタンフォーム発泡原液を吹付ける。硬質ウレタンフォーム原液が自己接着力を有する間に外槽内壁面に押し付けて発泡固化させ、一工程で表面材を一体化し、かつ外槽内壁面に固着した硬質ウレタンフォーム断熱層を形成する。
【0007】
しかしながら、(1)のように、断熱パネルを用いる場合、現場発泡によって形成する硬質ウレタンフォームの充填状態を確認することが困難で、品質上の欠陥を内蔵する可能性が大きい。また、注入、発泡固化時に発生する5トン/m2以上にもなる大きな発泡圧に対する対策を確実に実施しないと、硬質ウレタンフォーム断熱材の厚さの確保が不可能であり、かつ形成された硬質ウレタンフォームの内部に亀裂が発生するなどの重大な欠陥が発生する。このため、大掛かりな発泡圧対策を要し、作業効率が悪く、現場経費が多大となり、かつ工期が長くなる。
【0008】
(2)、(3)のように硬質ウレタンフォームの発泡原液を吹付け、発泡固化させて形成するものは、吹付け時に発生する発泡原液のミスト対策および施工に高価で大掛かりな機器が必要で、経費・工期が莫大になる。
【0009】
(1)、(2)、(3)の冷熱抵抗緩和材は、硬質ウレタンフォームの現場発泡時の自己接着力を利用して現場で外槽内壁面に一体的に接着固化したものである。硬質ウレタンフォームの生成反応は発熱反応であり、高温状態で形成される。また、硬質ウレタンフォームは、自己接着力により、外槽内壁面、断熱パネル、表面材と接着される。
【0010】
この結果、冷熱抵抗緩和材が常温に復帰することにより、熱応力が発生して内部に残留する。そして、低温物体(ガスおよび液体)の貯蔵時に低温にさらされることにより、さらに熱応力が発生する。このため、常時、外槽内壁面との剥離や、硬質ウレタンフォームの破断などの可能性がある。
【0011】
また、施工時に局所的に存在する接着不良によっても、冷熱抵抗緩和材の機能が消失する可能性がある。これらを排除するためには、許容の温度及び湿度などの施工環境条件の維持・管理のために大掛かりな機器が必要である。それらを施工現場において搬入、設置、撤去するには長時間を要するので、工期が長くなり、現場経費がかさむ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−252169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、施工時の品質管理が容易で、短期間で効率的に形成でき、性能上の欠陥がない防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法および防液堤一体型低温タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するための第1の発明は、底版と防液堤を有し、前記底版と防液堤の内部にライナプレートと内槽とが設けられる防液堤一体型低温タンクにおいて、複数の断熱パネルを前記ライナプレートに固定手段を用いて固定し、隣接する断熱パネルの間の目地を充填材で充填する防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法であって、前記断熱パネルは、断熱材の表面に表面材を有してなり、断面を貫通するボルト穴が設けられ、前記ライナプレートには、露出長さが、前記断熱パネルの厚さより長い断熱ボルトが設けられ、前記断熱ボルトを前記ボルト穴に挿入し、注入穴を有するワッシャを挟み、ナットで前記断熱パネルを締め付けて、前記断熱パネルを前記ライナプレートに固定し、前記注入穴から前記ボルト穴に充填材を注入して充填し、前記断熱ボルト、前記ナットおよび前記ワッシャを被覆するように液密材を設け、前記液密材を前記表面材に接着することを特徴とする防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工時の品質管理が容易で、短期間で効率的に形成でき、性能上の欠陥がない防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】断熱パネル1の斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】断熱パネル1を設置した防液堤13の一部分を示す斜視図
【図4】冷熱抵抗緩和材23を設置した防液堤13の一部分を示す斜視図
【図5】図4のB−B断面図
【図6】フック26を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1aの断面図
【図7】ハトメ金具28が設けられた防液堤13の断面図
【図8】ハトメ金具28を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1bの断面図
【図9】断熱ボルトを用いて防液堤13に固定された断熱パネル1cの断面
【図10】防液堤一体型低温タンク43の断面図
【図11】断熱パネル45の斜視図
【図12】2枚の断熱パネル45の張り出し部53を突合せた部分付近の断面図
【図13】断熱パネル45aと断熱パネル45bの係合段部付近の斜視図
【図14】防液堤13に設置された断熱パネル45aと断熱パネル45bの断面図
【図15】断熱パネル45cの平面図
【図16】裏面側が平面の断熱パネル65を設置した防液堤13の水平断面図の一部
【図17】防液堤一体型低温タンク71の断面図
【図18】防液堤73の一部分を示す斜視図
【図19】図17のC−C断面図の一部分
【図20】防液堤73に固定された断熱パネル89の断面図(図18のD−D断面図)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。図1は、断熱パネル1の斜視図、図2は、図1のA−A断面図である。図1に示すように、断熱パネル1は、長方形板状の断熱材3を芯材とし、断熱材3の表裏に、表面材5と裏面材7とを予め工場加工で一体化したものであり、裏面材7側を外側として湾曲している。
【0018】
断熱材3としては、断熱性に優れ、液密性を有する硬質の断熱材が好適に使用される。例えば、硬質ウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォームなどの発泡プラスチックである。
【0019】
表面材5は、低温液化ガスに対する液密性を有する材質である。例えば、ガラス繊維強化ウレタン樹脂などの耐低温性を有するFRP、アルミ箔などの金属箔、金属箔と有機質または無機質繊維材からなる織布あるいは不織布の複合材、金属箔とプラスチックフィルムの複合材、合板などの木質板などが用いられる。
【0020】
裏面材7は、厚さ1〜5mm程度の金属板、FRP板、合板などの板状材である。
図1および図2に示すように、表面材5および断熱材3には、断面を貫通する4つの円形の穴9が設けられる。また、穴9の位置に合わせて、裏面材7に円形のアンカ穴11が設けられる。
【0021】
図3は、断熱パネル1を設置した防液堤13の一部分を示す斜視図である。防液堤13は、円筒形のPC部材である。防液堤13の内壁面にライナプレート15を設置する。ライナプレート15の内壁面に、裏面材7がライナプレート15に密着するように、複数の断熱パネル1を並べる。隣接する断熱パネル1の間には、ライナプレート15の円周方向および鉛直方向に、目地17が生じる。
【0022】
図4は、冷熱抵抗緩和材23を設置した防液堤13の一部分を示す斜視図を示す。図5は、図4のB−B断面図で、2枚の断熱パネル1の隣接部付近を拡大して示している。図5に示すように、防液堤13の内壁面のライナプレート15には、断熱パネル1の裏面材7のアンカ穴11に対応する位置に、アンカボルト25がスタッド打ちされている。アンカボルト25の露出長さは、断熱パネル1の厚さより短い。
【0023】
アンカボルト25を、断熱パネル1の裏面材7のアンカ穴11に挿入する。そして、ナット27で裏面材7を締め付け、断熱パネル1をライナプレート15に固定する。裏面材7は、アンカ穴11を介して断熱パネル1をライナプレート15に取り付けるための部材である。
【0024】
図4および図5に示すように、隣接する断熱パネル1の間の目地17に充填材19を、断熱パネル1の穴9に充填材21を充填する。充填材19は接着性充填材であり、例えば、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂による反応型発泡接着材や、硬質ウレタンフォームなどの現場発泡性発泡プラスチックまたは予め発泡成形した硬質ウレタンフォームなどの発泡プラスチックが使用される。充填材21は、成形断熱材や接着性充填材である。
【0025】
接着性充填材の発泡原液を断熱パネル1の側面に塗布したり、断熱パネル1の目地17に注入し、発泡固化させ、断熱パネル1の側面およびライナプレート15の表面に一体化させる。これにより、目地17や穴9は完全に充填される。
また、目地17に、詰め物をして表面材を設けるようにしてもよい。
【0026】
さらに、目地17を充填した充填材19の表面を被覆するように帯状の液密材29を設置する。同時に、穴9を充填した充填材21の表面を被覆するように円盤状などの液密材31を設置し、冷熱抵抗緩和材23を形成する。冷熱抵抗緩和材23は、複数の断熱パネル1、充填材19、充填材21、液密材29、液密材31などからなる。
【0027】
液密材29および液密材31は、断熱パネル1の表面材5と同様の材質とする。液密材29および液密材31は、例えば、ウレタン系などの低温接着剤を使用して表面材5に接着される。あるいは、ガラスファイバーなどの繊維質を、低温接着剤を用いてハンドレイアップによりFRPを形成するとともに、表面材5に一体接着する。
【0028】
冷熱抵抗緩和材23では、アンカボルト25が充填材21で埋設されるので、ヒートブリッジの形成を避けることができる。また、液密材29および液密材31を断熱パネル1の表面材5に接着することにより、冷熱抵抗緩和材23の表面には、完全な液密性表面層が形成される。
【0029】
次に変形例について説明する。図6は、フック26を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1aの断面図である。断熱パネル1aは、断熱材3aの表裏に表面材5aと裏面材7aを工場加工で一体化したもので、断熱パネル1と同様の材質である。また、表面材5aおよび断熱材3aを貫通する穴9aの位置に合わせて、裏面材7aに円形の穴12が設けられる。
【0030】
防液堤13の内壁面のライナプレート15には、断熱パネル1aの裏面材7aの穴12に対応する位置に、フック26が設けられる。フック26は例えば溶接でライナプレート15に取付けられている。フック26を、断熱パネル1aの裏面材7aの穴12に挿入して引っ掛け、断熱パネル1aをライナプレート15に固定する。裏面材7aは、フック26で断熱パネル1aをライナプレート15に取り付けるための部材である。
【0031】
図5に示した断熱パネル1の取付けと同様に、断熱パネル1aの穴9a、穴12に充填材21を充填し、充填材21の表面を被覆するように円盤状などの液密材31を設置する。さらに、隣接する断熱パネル1aの目地17に充填材19を充填し、充填材19を液密材29で被覆して冷熱抵抗緩和材23を形成する。冷熱抵抗緩和材23は、複数の断熱パネル1a、充填材19、充填材21、液密材29、液密材31などからなる。
【0032】
さらに他の変形例について説明する。図7はハトメ金具28が設けられた防液堤13の断面図、図8はハトメ金具28を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1bの断面図を示す。図7に示すように、防液堤13の内壁面のライナプレート15には、断熱パネル1bの裏面材7bの穴12に対応する位置に、先端がいくつかに分割された円筒状のハトメ金具28が設けられる。ハトメ金具28は例えば溶接でライナプレート15に取り付けられている。
【0033】
図8に示すように、ハトメ金具28を、断熱パネル1bの裏面材7bの穴12に挿入し、ハトメ金具28の先端を穴12の外側に折り曲げて裏面材7bに押し付け、断熱パネル1bをライナプレート15に固定する。裏面材7bは、ハトメ金具28で断熱パネル1bをライナプレート15に取り付けるための部材である。
【0034】
断熱パネル1bの穴9b、穴12に充填材21を充填し、充填材21の表面を被覆するように円盤状などの液密材31を設置する。さらに、隣接する断熱パネル1bの目地17に充填材19を充填し、充填材19を液密材29で被覆して冷熱抵抗緩和材23を形成する。冷熱抵抗緩和材23は、複数の断熱パネル1b、充填材19、充填材21、液密材29、液密材31などからなる。
【0035】
次に他の変形例について説明する。図9は、断熱ボルト99を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1cの断面図である。断熱パネル1cは、断熱材3cの表面に表面材5cを有したもので、断熱パネル1と同様の材質である。また、断熱パネル1cには、断面を貫通する円形のボルト穴97が設けられている。
【0036】
ライナプレート15は、断熱パネル1cのボルト穴97に対応する位置に、断熱ボルト99が固定されている。断熱ボルト99は樹脂などの非金属製であり、ライナプレート15には接着、熱融着などで取り付けられており、その露出長さは断熱パネル1cの厚さより長い。
また、ライナプレート15にナットを溶接しておき、このナットに断熱ボルト99をねじ込むことによって、断熱ボルト99をライナプレート15に固定するようにしてもよい。
そして、断熱ボルト99をパネル1cのボルト穴97に挿入し、ワッシャ101を挟んでナット103で断熱パネル1cを締め付け、断熱パネル1cをライナプレート15に固定する。
【0037】
ワッシャ101は、注入穴105を有する。注入穴105から、充填材21を注入し、ボルト穴97を充填する。充填材21は、例えば発泡プラスチックの発泡原液を注入穴105から注入し、発泡、充填させる。そして、断熱ボルト99とワッシャ101とナット103を被覆するように、液密材31を表面材5cと一体化させて設置する。
【0038】
図10は、防液堤一体型低温タンク43の断面図である。防液堤13は、地表33に形成した円盤状の底版35の外周上に構築されており、防液堤13の内壁面に設置したライナプレート15の内側に、図1から図9に示す手順および方法で冷熱抵抗緩和材23を設置する。
【0039】
防液堤13とライナプレート15と冷熱抵抗緩和材23とが一体化された外槽37の内側には、内槽39が設けられ、外槽37と内槽39の間には保冷材41が充填され、防液堤一体型低温タンク43が構築される。保冷材41は、例えばパーライトパウダーである。
【0040】
このように、第1の実施の形態によれば、ライナプレート15のアンカボルト25を断熱パネル1のアンカ穴11に挿入して、または、ライナプレート15のフック26またはハトメ金具28を断熱パネル1a、断熱パネル1bの穴12に、あるいは断熱ボルト99を断熱パネル1cのボルト穴97に挿入して、断熱パネルをライナプレート15に固定することにより、現地発泡量が大幅に少なくなり、大掛かりな発泡装置が不要で容易に施工できる。
また、防液堤一体型低温タンク43の使用時並びに万一の漏洩時に冷熱抵抗緩和材23がライナプレート15から離脱するのを防ぐことができる。
【0041】
次に、第2の実施の形態について説明する。図11は断熱パネル45の斜視図である。断熱パネル45は、第1の実施の形態の断熱パネル1に相当する。断熱パネル45は、長方形板状の断熱材47の表裏に、表面材49と裏面材51とを予め工場加工で一体化したものであり、裏面材51側を外側として湾曲している。
【0042】
裏面材51の向かい合う2辺は、断熱材47および表面材49より張り出しており、張り出し部53にはほぼ半円形状の切欠き部55が設けられる。断熱材47、表面材49、裏面材51は、それぞれ第1の実施の形態の断熱材3、表面材5、裏面材7と同じ材質である。
【0043】
断熱パネル45を、図4に示す断熱パネル1と同様に、防液堤13の内壁面のライナプレート15に沿って設置する。図12は、2枚の断熱パネル45の張り出し部53を突合せた部分付近の断面図である。ライナプレート15には、断熱パネル45の切欠き部55に対応する位置に、アンカボルト57がスタッド打ちされている。アンカボルト57の露出長さは、断熱パネル45の厚さより短い。
【0044】
断熱パネル45を、裏面材51がライナプレート15に密着するように設置する。その際、隣接する2枚の断熱パネル45の張り出し部53を突合せ、アンカボルト57を向かい合う切欠き部55ではさみこむ。そして、ナット59で隣接する断熱パネル45の張り出し部53を同時に締め付け、隣接する断熱パネル45をライナプレート15に固定する。このように、隣接する断熱パネル45は、アンカボルト57を共有して固定される。
【0045】
隣接する断熱パネル45の張り出し部53を突合せた部分に、充填材61を充填し、充填材61を被覆するように、帯状の液密材63を表面材49に接着する。さらに、隣接する断熱パネル45の張り出し部53が存在しない2辺の間の目地にも充填材を充填し、その充填材を被覆するように帯状の液密材を表面材49に接着して、冷熱抵抗緩和材23を形成する。
【0046】
次に、変形例について説明する。図13は断熱パネル45aと断熱パネル45bの張り出し部53aと53bを係合させた部分付近の斜視図、図14は防液堤13に設置された断熱パネル45aと断熱パネル45bの断面図を示す。断熱パネル45a、断熱パネル45bは、断熱材47a、断熱材47bの表面に、それぞれ表面材49a、表面材49bを、裏面に裏面材51a、裏面材51bを工場加工で一体化したもので、断熱パネル45と同様の材質である。
【0047】
裏面材51aの向かい合う2辺は、断熱材47aと表面材49aより張り出しており、張り出し部53aの表面側、すなわち断熱材47a側には係合段部54aが設けられる。裏面材51bの向かい合う2辺は、断熱材47bと表面材49bより張り出しており、張り出し部53bの裏面側には係合段部54bが設けられる。
【0048】
張り出し部53a、張り出し部53bは、それぞれ円形の穴56を有する。張り出し部53aの穴56と張り出し部53bの穴56の位置が一致するように係合段部54aと係合段部54bを重ね合わせ、図14に示すように、穴56にアンカボルト57を挿入する。
【0049】
そして、ナット59で隣接する断熱パネル45aと断熱パネル45bの張り出し部53aと張り出し部53bとを同時に締め付け、断熱パネル45aと断熱パネル45bをライナプレート15に固定する。このように、隣接する断熱パネル45aと断熱パネル45bは、アンカボルト57を共有して固定される。
【0050】
断熱パネル45aと断熱パネル45bの張り出し部53aと張り出し部53bを重ね合わせた部分に、充填材61を充填し、充填材61を被覆するように、帯状の液密材63を表面材49aと表面材49bに接着する。さらに、隣接する断熱パネルの張り出し部が存在しない2辺の間の目地にも充填材を充填し、その充填材を被覆するように帯状の液密材を表面材に接着して、冷熱抵抗緩和材23を形成する。
【0051】
図12および図14の充填材61と液密材63、目地部分の充填材と液密材には、それぞれ第1の実施の形態の充填材21と液密材31、充填材19と液密材29と同じ材質のものが用いられる。冷熱抵抗緩和材23は、複数の断熱パネル、充填材61、液密材63などからなる。
【0052】
図15は、断熱パネル45cの平面図である。断熱パネル45cは、隣り合う2辺に張り出し部53cを有し、張り出し部53cには方形の切欠き部55cが設けられる。このように、張り出し部を向かい合う2辺ではなく任意の辺に設けてもよい。また、切欠き部の形状は、図11の断熱パネル45のような半円形だけではなく方形などにしてもよい。切欠き部と同様に、裏面材7のアンカ穴11、裏面材7a、7bの穴12、断熱パネル1cのボルト穴97、および断熱パネル45a、45bの張り出し部53a、53bの穴56の形状も円形に限らない。
【0053】
第2の実施の形態の緩和材23では、アンカボルト57が充填材61で埋設されるので、ヒートブリッジの形成を避けることができる。また、液密材63を断熱パネル45の表面材49に接着することにより、冷熱抵抗緩和材23の表面には、完全な液密性表面層が形成される。
【0054】
さらに、ライナプレート15のアンカボルト57を隣接する断熱パネル45の切欠き部55ではさみこんで、または隣接する断熱パネル45aと断熱パネル45bの穴56に挿入して、断熱パネルをライナプレート15に固定することにより、現地発泡量が大幅に少なくなり、現地工程を短縮して大掛かりな発泡装置が不要で容易に施工できる。また、低温タンクの使用時に並びに万一の漏洩時に冷熱抵抗緩和材23がライナプレート15から離脱するのを防ぐことができる。
【0055】
なお、断熱パネルの固定手段としてアンカボルトの例を示したが、固定手段はこれに限定されるものではない。また、第1および第2の実施の形態では、裏面材7側、裏面材51側を外側として外側に湾曲した断熱パネル1、断熱パネル45を使用したが、断熱パネルの形状はこれに限定されるものではない。
【0056】
さらに他の変形例について説明する。図16は、裏面側が平面の断熱パネル65を設置した防液堤13の水平断面図の一部である。断熱パネル65は、断熱パネル1、断熱パネル45などと同様の構造および材質を有するが、湾曲しておらず、平板状である。隣接する断熱パネル65の目地に接着性の充填材67が充填され、充填材67を被覆するように液密材69が設けられる。
【0057】
このように、断熱パネル65の裏面材(図示せず)とライナプレート15との間に万一空間が生じても、空間は各断熱パネル65ごとに隔離されるので、ライナプレート15の曲率と断熱パネル65の支持スパンに合わせて断熱パネル65の大きさと強度を勘案し、適宜選択することにより、裏面側が平面の断熱パネル65を使用できる。
【0058】
次に、第3の実施の形態について説明する。図17は防液堤一体型低温タンク71の断面図、図18は防液堤73の一部分を示す斜視図、図19は図17のC−C断面図の一部分である。図20は、図18のD−D断面図で、2枚の断熱パネル89の隣接部付近を拡大して示している。図17に示すように、地表81に円盤状の底版79が、底版79の外周上に防液堤73が構築される。
【0059】
図18および図19に示すように、防液堤73は、外側が円形、内側が多角形である断面を有する、円筒形のPC部材である。防液堤73の内壁面に沿って、複数の平板状のライナプレート75を設置する。平板状のライナプレート75の接合部分の外側には、帯状のライナプレート用裏当金91を設置する。ライナプレート用裏当金91は、防液堤73の内壁面の多角形の角の折れ線に沿って、隣接するライナプレート75を固定する。
【0060】
そして、ライナプレート75の内側の面に密着するように、複数の板状の断熱パネル89を固定する。
図20に示すように、断熱パネル89は、図5に示すものと同様にして、ライナプレート75に設置される。
【0061】
図18に示すように、隣接する断熱パネル89の間には、縦横に目地93が生じる。図19に示すように、目地93には、充填材95を充填する。充填材95には、第1の実施の形態の充填材19などと同じ材質のものを使用する。例えば、目地93に硬質ウレタンフォームなどの発泡原液を注入し、発泡固化させる。
【0062】
さらに、充填材95を被覆するように液密材94を設け、隣接する断熱パネル89を一体化し、冷熱抵抗緩和材77を形成する。冷熱抵抗緩和材77は、複数の断熱パネル89、充填材93、液蜜材94などからなる。
【0063】
そして、さらに防液堤73とライナプレート75と冷熱抵抗緩和材77とが一体となった外槽83を形成し、外槽83の内側に内槽85を形成し、外槽83と内槽85の間に保冷材87を充填して防液堤一体型低温タンク71を完成する。保冷材87は、例えばパーライトパウダーである。
【0064】
このように、第3の実施の形態では、防液堤73の内壁面を多角形とすることにより、ライナプレート75を曲げ加工する必要がなくなり、ライナプレート75と断熱パネル89が平面で接触するために冷熱抵抗緩和材77の施工時の品質管理が容易になり、短期間で経済的に冷熱抵抗緩和材77を設置できる。また、ライナプレート75と断熱パネル89が密着するため、防液堤一体型低温タンク71の使用時並びに万一の漏洩時に液圧が作用しても冷熱抵抗緩和材77が破損しない。
【0065】
なお、第3の実施の形態では、断熱パネル89の代わりに、第1の実施の形態の断熱パネル1などや、第2の実施の形態の断熱パネル45などを平板状にしたものなどを用い、これらの断熱パネルをボルトとナット、フック、ハトメ金具などを用いてライナプレート75に固定し、充填材と液密材を設けて冷熱抵抗緩和材77を形成することもできる。
【0066】
いずれの実施の形態でも、1枚のパネルの4か所に円形のアンカ穴、穴、または切欠き部を設けたが、アンカ穴、穴および切欠き部の位置、個数、および形状はこの限りでない。また、断熱パネルの形状は長方形でなく、その他の多角形とする場合もある。
【符号の説明】
【0067】
1、1a、1b、1c、45、45a、45b、45c、65、89………断熱パネル
3、3a、3b、3c、47、47a、47b、92………断熱材
5、5a、5b、5c、49、49a、49b、90………表面材
7、7a、7b、51、51a、51b………裏面材
11………アンカ穴
12、56………穴
13、73………防液堤
15、75………ライナプレート
17、93………目地
19、21、61、67、95………充填材
23、77………冷熱抵抗緩和材
25、57………アンカボルト
26………フック
28………ハトメ金具
29、31、63、69、94………液密材
43、71………防液堤一体型低温タンク
53、53a、53b、53c………張り出し部
54a、54b………係合段部
55、55c………切欠き部
97………ボルト穴
99………断熱ボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液化天然ガス、液化石油ガスなどの低温物体(ガスおよび液体)を貯蔵するPC(プレストレストコンクリート)製防液堤一体型低温タンクのPC防液堤は円筒形であり、その内面には外槽ライナプレートが取り付けられる。外槽ライナプレートの内側に設けられる冷熱抵抗緩和材は、次のように形成される。
【0003】
(1)サンドブラスト、次いでプライマー塗布など、接着性向上のための表面処理を施した外槽内壁面に、硬質ウレタンフォームなどから成る断熱パネルを、空間を設けて仮固定する。外槽内壁面(曲面)と断熱パネル(平面)とで形成される空間に硬質ウレタンフォームの発泡原液を注入し、発泡固化させ、硬質ウレタンフォーム発泡原液の自己接着力により、断熱パネルを外槽内壁面に固着する。
【0004】
外槽内壁面と断熱パネルとの隙間に硬質ウレタンフォームを充填するのは、曲面と平面による空間がある状態で内槽が破損し漏液した場合、空間があることで冷熱緩和材に液圧が作用し、断熱パネルに曲げ変形が生じ、破損する可能性があるからである。
【0005】
(2)表面処理した外槽内壁面に、手動あるいは自動的手段を駆使して硬質ウレタンフォームの発泡原液を吹付けて発泡固化させ、この自己接着力により外槽内壁面に一体に固定した硬質ウレタンフォームを形成する。次いで、適宜の手段を用いて表面を切削して所定厚の硬質ウレタンフォーム断熱層を形成する。そして、硬質ウレタンフォーム断熱層にウレタン系接着剤を用いてガラスクロスを一体化させたガラス繊維強化ウレタン樹脂からなる表面層を形成する。
【0006】
(3)外槽内壁面に沿って、空間を設けて保持された表面材の裏側面に硬質ウレタンフォーム発泡原液を吹付ける。硬質ウレタンフォーム原液が自己接着力を有する間に外槽内壁面に押し付けて発泡固化させ、一工程で表面材を一体化し、かつ外槽内壁面に固着した硬質ウレタンフォーム断熱層を形成する。
【0007】
しかしながら、(1)のように、断熱パネルを用いる場合、現場発泡によって形成する硬質ウレタンフォームの充填状態を確認することが困難で、品質上の欠陥を内蔵する可能性が大きい。また、注入、発泡固化時に発生する5トン/m2以上にもなる大きな発泡圧に対する対策を確実に実施しないと、硬質ウレタンフォーム断熱材の厚さの確保が不可能であり、かつ形成された硬質ウレタンフォームの内部に亀裂が発生するなどの重大な欠陥が発生する。このため、大掛かりな発泡圧対策を要し、作業効率が悪く、現場経費が多大となり、かつ工期が長くなる。
【0008】
(2)、(3)のように硬質ウレタンフォームの発泡原液を吹付け、発泡固化させて形成するものは、吹付け時に発生する発泡原液のミスト対策および施工に高価で大掛かりな機器が必要で、経費・工期が莫大になる。
【0009】
(1)、(2)、(3)の冷熱抵抗緩和材は、硬質ウレタンフォームの現場発泡時の自己接着力を利用して現場で外槽内壁面に一体的に接着固化したものである。硬質ウレタンフォームの生成反応は発熱反応であり、高温状態で形成される。また、硬質ウレタンフォームは、自己接着力により、外槽内壁面、断熱パネル、表面材と接着される。
【0010】
この結果、冷熱抵抗緩和材が常温に復帰することにより、熱応力が発生して内部に残留する。そして、低温物体(ガスおよび液体)の貯蔵時に低温にさらされることにより、さらに熱応力が発生する。このため、常時、外槽内壁面との剥離や、硬質ウレタンフォームの破断などの可能性がある。
【0011】
また、施工時に局所的に存在する接着不良によっても、冷熱抵抗緩和材の機能が消失する可能性がある。これらを排除するためには、許容の温度及び湿度などの施工環境条件の維持・管理のために大掛かりな機器が必要である。それらを施工現場において搬入、設置、撤去するには長時間を要するので、工期が長くなり、現場経費がかさむ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−252169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、施工時の品質管理が容易で、短期間で効率的に形成でき、性能上の欠陥がない防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法および防液堤一体型低温タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した目的を達成するための第1の発明は、底版と防液堤を有し、前記底版と防液堤の内部にライナプレートと内槽とが設けられる防液堤一体型低温タンクにおいて、複数の断熱パネルを前記ライナプレートに固定手段を用いて固定し、隣接する断熱パネルの間の目地を充填材で充填する防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法であって、前記断熱パネルは、断熱材の表面に表面材を有してなり、断面を貫通するボルト穴が設けられ、前記ライナプレートには、露出長さが、前記断熱パネルの厚さより長い断熱ボルトが設けられ、前記断熱ボルトを前記ボルト穴に挿入し、注入穴を有するワッシャを挟み、ナットで前記断熱パネルを締め付けて、前記断熱パネルを前記ライナプレートに固定し、前記注入穴から前記ボルト穴に充填材を注入して充填し、前記断熱ボルト、前記ナットおよび前記ワッシャを被覆するように液密材を設け、前記液密材を前記表面材に接着することを特徴とする防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、施工時の品質管理が容易で、短期間で効率的に形成でき、性能上の欠陥がない防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】断熱パネル1の斜視図
【図2】図1のA−A断面図
【図3】断熱パネル1を設置した防液堤13の一部分を示す斜視図
【図4】冷熱抵抗緩和材23を設置した防液堤13の一部分を示す斜視図
【図5】図4のB−B断面図
【図6】フック26を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1aの断面図
【図7】ハトメ金具28が設けられた防液堤13の断面図
【図8】ハトメ金具28を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1bの断面図
【図9】断熱ボルトを用いて防液堤13に固定された断熱パネル1cの断面
【図10】防液堤一体型低温タンク43の断面図
【図11】断熱パネル45の斜視図
【図12】2枚の断熱パネル45の張り出し部53を突合せた部分付近の断面図
【図13】断熱パネル45aと断熱パネル45bの係合段部付近の斜視図
【図14】防液堤13に設置された断熱パネル45aと断熱パネル45bの断面図
【図15】断熱パネル45cの平面図
【図16】裏面側が平面の断熱パネル65を設置した防液堤13の水平断面図の一部
【図17】防液堤一体型低温タンク71の断面図
【図18】防液堤73の一部分を示す斜視図
【図19】図17のC−C断面図の一部分
【図20】防液堤73に固定された断熱パネル89の断面図(図18のD−D断面図)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の第1の実施の形態を詳細に説明する。図1は、断熱パネル1の斜視図、図2は、図1のA−A断面図である。図1に示すように、断熱パネル1は、長方形板状の断熱材3を芯材とし、断熱材3の表裏に、表面材5と裏面材7とを予め工場加工で一体化したものであり、裏面材7側を外側として湾曲している。
【0018】
断熱材3としては、断熱性に優れ、液密性を有する硬質の断熱材が好適に使用される。例えば、硬質ウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォームなどの発泡プラスチックである。
【0019】
表面材5は、低温液化ガスに対する液密性を有する材質である。例えば、ガラス繊維強化ウレタン樹脂などの耐低温性を有するFRP、アルミ箔などの金属箔、金属箔と有機質または無機質繊維材からなる織布あるいは不織布の複合材、金属箔とプラスチックフィルムの複合材、合板などの木質板などが用いられる。
【0020】
裏面材7は、厚さ1〜5mm程度の金属板、FRP板、合板などの板状材である。
図1および図2に示すように、表面材5および断熱材3には、断面を貫通する4つの円形の穴9が設けられる。また、穴9の位置に合わせて、裏面材7に円形のアンカ穴11が設けられる。
【0021】
図3は、断熱パネル1を設置した防液堤13の一部分を示す斜視図である。防液堤13は、円筒形のPC部材である。防液堤13の内壁面にライナプレート15を設置する。ライナプレート15の内壁面に、裏面材7がライナプレート15に密着するように、複数の断熱パネル1を並べる。隣接する断熱パネル1の間には、ライナプレート15の円周方向および鉛直方向に、目地17が生じる。
【0022】
図4は、冷熱抵抗緩和材23を設置した防液堤13の一部分を示す斜視図を示す。図5は、図4のB−B断面図で、2枚の断熱パネル1の隣接部付近を拡大して示している。図5に示すように、防液堤13の内壁面のライナプレート15には、断熱パネル1の裏面材7のアンカ穴11に対応する位置に、アンカボルト25がスタッド打ちされている。アンカボルト25の露出長さは、断熱パネル1の厚さより短い。
【0023】
アンカボルト25を、断熱パネル1の裏面材7のアンカ穴11に挿入する。そして、ナット27で裏面材7を締め付け、断熱パネル1をライナプレート15に固定する。裏面材7は、アンカ穴11を介して断熱パネル1をライナプレート15に取り付けるための部材である。
【0024】
図4および図5に示すように、隣接する断熱パネル1の間の目地17に充填材19を、断熱パネル1の穴9に充填材21を充填する。充填材19は接着性充填材であり、例えば、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂による反応型発泡接着材や、硬質ウレタンフォームなどの現場発泡性発泡プラスチックまたは予め発泡成形した硬質ウレタンフォームなどの発泡プラスチックが使用される。充填材21は、成形断熱材や接着性充填材である。
【0025】
接着性充填材の発泡原液を断熱パネル1の側面に塗布したり、断熱パネル1の目地17に注入し、発泡固化させ、断熱パネル1の側面およびライナプレート15の表面に一体化させる。これにより、目地17や穴9は完全に充填される。
また、目地17に、詰め物をして表面材を設けるようにしてもよい。
【0026】
さらに、目地17を充填した充填材19の表面を被覆するように帯状の液密材29を設置する。同時に、穴9を充填した充填材21の表面を被覆するように円盤状などの液密材31を設置し、冷熱抵抗緩和材23を形成する。冷熱抵抗緩和材23は、複数の断熱パネル1、充填材19、充填材21、液密材29、液密材31などからなる。
【0027】
液密材29および液密材31は、断熱パネル1の表面材5と同様の材質とする。液密材29および液密材31は、例えば、ウレタン系などの低温接着剤を使用して表面材5に接着される。あるいは、ガラスファイバーなどの繊維質を、低温接着剤を用いてハンドレイアップによりFRPを形成するとともに、表面材5に一体接着する。
【0028】
冷熱抵抗緩和材23では、アンカボルト25が充填材21で埋設されるので、ヒートブリッジの形成を避けることができる。また、液密材29および液密材31を断熱パネル1の表面材5に接着することにより、冷熱抵抗緩和材23の表面には、完全な液密性表面層が形成される。
【0029】
次に変形例について説明する。図6は、フック26を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1aの断面図である。断熱パネル1aは、断熱材3aの表裏に表面材5aと裏面材7aを工場加工で一体化したもので、断熱パネル1と同様の材質である。また、表面材5aおよび断熱材3aを貫通する穴9aの位置に合わせて、裏面材7aに円形の穴12が設けられる。
【0030】
防液堤13の内壁面のライナプレート15には、断熱パネル1aの裏面材7aの穴12に対応する位置に、フック26が設けられる。フック26は例えば溶接でライナプレート15に取付けられている。フック26を、断熱パネル1aの裏面材7aの穴12に挿入して引っ掛け、断熱パネル1aをライナプレート15に固定する。裏面材7aは、フック26で断熱パネル1aをライナプレート15に取り付けるための部材である。
【0031】
図5に示した断熱パネル1の取付けと同様に、断熱パネル1aの穴9a、穴12に充填材21を充填し、充填材21の表面を被覆するように円盤状などの液密材31を設置する。さらに、隣接する断熱パネル1aの目地17に充填材19を充填し、充填材19を液密材29で被覆して冷熱抵抗緩和材23を形成する。冷熱抵抗緩和材23は、複数の断熱パネル1a、充填材19、充填材21、液密材29、液密材31などからなる。
【0032】
さらに他の変形例について説明する。図7はハトメ金具28が設けられた防液堤13の断面図、図8はハトメ金具28を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1bの断面図を示す。図7に示すように、防液堤13の内壁面のライナプレート15には、断熱パネル1bの裏面材7bの穴12に対応する位置に、先端がいくつかに分割された円筒状のハトメ金具28が設けられる。ハトメ金具28は例えば溶接でライナプレート15に取り付けられている。
【0033】
図8に示すように、ハトメ金具28を、断熱パネル1bの裏面材7bの穴12に挿入し、ハトメ金具28の先端を穴12の外側に折り曲げて裏面材7bに押し付け、断熱パネル1bをライナプレート15に固定する。裏面材7bは、ハトメ金具28で断熱パネル1bをライナプレート15に取り付けるための部材である。
【0034】
断熱パネル1bの穴9b、穴12に充填材21を充填し、充填材21の表面を被覆するように円盤状などの液密材31を設置する。さらに、隣接する断熱パネル1bの目地17に充填材19を充填し、充填材19を液密材29で被覆して冷熱抵抗緩和材23を形成する。冷熱抵抗緩和材23は、複数の断熱パネル1b、充填材19、充填材21、液密材29、液密材31などからなる。
【0035】
次に他の変形例について説明する。図9は、断熱ボルト99を用いて防液堤13に固定された断熱パネル1cの断面図である。断熱パネル1cは、断熱材3cの表面に表面材5cを有したもので、断熱パネル1と同様の材質である。また、断熱パネル1cには、断面を貫通する円形のボルト穴97が設けられている。
【0036】
ライナプレート15は、断熱パネル1cのボルト穴97に対応する位置に、断熱ボルト99が固定されている。断熱ボルト99は樹脂などの非金属製であり、ライナプレート15には接着、熱融着などで取り付けられており、その露出長さは断熱パネル1cの厚さより長い。
また、ライナプレート15にナットを溶接しておき、このナットに断熱ボルト99をねじ込むことによって、断熱ボルト99をライナプレート15に固定するようにしてもよい。
そして、断熱ボルト99をパネル1cのボルト穴97に挿入し、ワッシャ101を挟んでナット103で断熱パネル1cを締め付け、断熱パネル1cをライナプレート15に固定する。
【0037】
ワッシャ101は、注入穴105を有する。注入穴105から、充填材21を注入し、ボルト穴97を充填する。充填材21は、例えば発泡プラスチックの発泡原液を注入穴105から注入し、発泡、充填させる。そして、断熱ボルト99とワッシャ101とナット103を被覆するように、液密材31を表面材5cと一体化させて設置する。
【0038】
図10は、防液堤一体型低温タンク43の断面図である。防液堤13は、地表33に形成した円盤状の底版35の外周上に構築されており、防液堤13の内壁面に設置したライナプレート15の内側に、図1から図9に示す手順および方法で冷熱抵抗緩和材23を設置する。
【0039】
防液堤13とライナプレート15と冷熱抵抗緩和材23とが一体化された外槽37の内側には、内槽39が設けられ、外槽37と内槽39の間には保冷材41が充填され、防液堤一体型低温タンク43が構築される。保冷材41は、例えばパーライトパウダーである。
【0040】
このように、第1の実施の形態によれば、ライナプレート15のアンカボルト25を断熱パネル1のアンカ穴11に挿入して、または、ライナプレート15のフック26またはハトメ金具28を断熱パネル1a、断熱パネル1bの穴12に、あるいは断熱ボルト99を断熱パネル1cのボルト穴97に挿入して、断熱パネルをライナプレート15に固定することにより、現地発泡量が大幅に少なくなり、大掛かりな発泡装置が不要で容易に施工できる。
また、防液堤一体型低温タンク43の使用時並びに万一の漏洩時に冷熱抵抗緩和材23がライナプレート15から離脱するのを防ぐことができる。
【0041】
次に、第2の実施の形態について説明する。図11は断熱パネル45の斜視図である。断熱パネル45は、第1の実施の形態の断熱パネル1に相当する。断熱パネル45は、長方形板状の断熱材47の表裏に、表面材49と裏面材51とを予め工場加工で一体化したものであり、裏面材51側を外側として湾曲している。
【0042】
裏面材51の向かい合う2辺は、断熱材47および表面材49より張り出しており、張り出し部53にはほぼ半円形状の切欠き部55が設けられる。断熱材47、表面材49、裏面材51は、それぞれ第1の実施の形態の断熱材3、表面材5、裏面材7と同じ材質である。
【0043】
断熱パネル45を、図4に示す断熱パネル1と同様に、防液堤13の内壁面のライナプレート15に沿って設置する。図12は、2枚の断熱パネル45の張り出し部53を突合せた部分付近の断面図である。ライナプレート15には、断熱パネル45の切欠き部55に対応する位置に、アンカボルト57がスタッド打ちされている。アンカボルト57の露出長さは、断熱パネル45の厚さより短い。
【0044】
断熱パネル45を、裏面材51がライナプレート15に密着するように設置する。その際、隣接する2枚の断熱パネル45の張り出し部53を突合せ、アンカボルト57を向かい合う切欠き部55ではさみこむ。そして、ナット59で隣接する断熱パネル45の張り出し部53を同時に締め付け、隣接する断熱パネル45をライナプレート15に固定する。このように、隣接する断熱パネル45は、アンカボルト57を共有して固定される。
【0045】
隣接する断熱パネル45の張り出し部53を突合せた部分に、充填材61を充填し、充填材61を被覆するように、帯状の液密材63を表面材49に接着する。さらに、隣接する断熱パネル45の張り出し部53が存在しない2辺の間の目地にも充填材を充填し、その充填材を被覆するように帯状の液密材を表面材49に接着して、冷熱抵抗緩和材23を形成する。
【0046】
次に、変形例について説明する。図13は断熱パネル45aと断熱パネル45bの張り出し部53aと53bを係合させた部分付近の斜視図、図14は防液堤13に設置された断熱パネル45aと断熱パネル45bの断面図を示す。断熱パネル45a、断熱パネル45bは、断熱材47a、断熱材47bの表面に、それぞれ表面材49a、表面材49bを、裏面に裏面材51a、裏面材51bを工場加工で一体化したもので、断熱パネル45と同様の材質である。
【0047】
裏面材51aの向かい合う2辺は、断熱材47aと表面材49aより張り出しており、張り出し部53aの表面側、すなわち断熱材47a側には係合段部54aが設けられる。裏面材51bの向かい合う2辺は、断熱材47bと表面材49bより張り出しており、張り出し部53bの裏面側には係合段部54bが設けられる。
【0048】
張り出し部53a、張り出し部53bは、それぞれ円形の穴56を有する。張り出し部53aの穴56と張り出し部53bの穴56の位置が一致するように係合段部54aと係合段部54bを重ね合わせ、図14に示すように、穴56にアンカボルト57を挿入する。
【0049】
そして、ナット59で隣接する断熱パネル45aと断熱パネル45bの張り出し部53aと張り出し部53bとを同時に締め付け、断熱パネル45aと断熱パネル45bをライナプレート15に固定する。このように、隣接する断熱パネル45aと断熱パネル45bは、アンカボルト57を共有して固定される。
【0050】
断熱パネル45aと断熱パネル45bの張り出し部53aと張り出し部53bを重ね合わせた部分に、充填材61を充填し、充填材61を被覆するように、帯状の液密材63を表面材49aと表面材49bに接着する。さらに、隣接する断熱パネルの張り出し部が存在しない2辺の間の目地にも充填材を充填し、その充填材を被覆するように帯状の液密材を表面材に接着して、冷熱抵抗緩和材23を形成する。
【0051】
図12および図14の充填材61と液密材63、目地部分の充填材と液密材には、それぞれ第1の実施の形態の充填材21と液密材31、充填材19と液密材29と同じ材質のものが用いられる。冷熱抵抗緩和材23は、複数の断熱パネル、充填材61、液密材63などからなる。
【0052】
図15は、断熱パネル45cの平面図である。断熱パネル45cは、隣り合う2辺に張り出し部53cを有し、張り出し部53cには方形の切欠き部55cが設けられる。このように、張り出し部を向かい合う2辺ではなく任意の辺に設けてもよい。また、切欠き部の形状は、図11の断熱パネル45のような半円形だけではなく方形などにしてもよい。切欠き部と同様に、裏面材7のアンカ穴11、裏面材7a、7bの穴12、断熱パネル1cのボルト穴97、および断熱パネル45a、45bの張り出し部53a、53bの穴56の形状も円形に限らない。
【0053】
第2の実施の形態の緩和材23では、アンカボルト57が充填材61で埋設されるので、ヒートブリッジの形成を避けることができる。また、液密材63を断熱パネル45の表面材49に接着することにより、冷熱抵抗緩和材23の表面には、完全な液密性表面層が形成される。
【0054】
さらに、ライナプレート15のアンカボルト57を隣接する断熱パネル45の切欠き部55ではさみこんで、または隣接する断熱パネル45aと断熱パネル45bの穴56に挿入して、断熱パネルをライナプレート15に固定することにより、現地発泡量が大幅に少なくなり、現地工程を短縮して大掛かりな発泡装置が不要で容易に施工できる。また、低温タンクの使用時に並びに万一の漏洩時に冷熱抵抗緩和材23がライナプレート15から離脱するのを防ぐことができる。
【0055】
なお、断熱パネルの固定手段としてアンカボルトの例を示したが、固定手段はこれに限定されるものではない。また、第1および第2の実施の形態では、裏面材7側、裏面材51側を外側として外側に湾曲した断熱パネル1、断熱パネル45を使用したが、断熱パネルの形状はこれに限定されるものではない。
【0056】
さらに他の変形例について説明する。図16は、裏面側が平面の断熱パネル65を設置した防液堤13の水平断面図の一部である。断熱パネル65は、断熱パネル1、断熱パネル45などと同様の構造および材質を有するが、湾曲しておらず、平板状である。隣接する断熱パネル65の目地に接着性の充填材67が充填され、充填材67を被覆するように液密材69が設けられる。
【0057】
このように、断熱パネル65の裏面材(図示せず)とライナプレート15との間に万一空間が生じても、空間は各断熱パネル65ごとに隔離されるので、ライナプレート15の曲率と断熱パネル65の支持スパンに合わせて断熱パネル65の大きさと強度を勘案し、適宜選択することにより、裏面側が平面の断熱パネル65を使用できる。
【0058】
次に、第3の実施の形態について説明する。図17は防液堤一体型低温タンク71の断面図、図18は防液堤73の一部分を示す斜視図、図19は図17のC−C断面図の一部分である。図20は、図18のD−D断面図で、2枚の断熱パネル89の隣接部付近を拡大して示している。図17に示すように、地表81に円盤状の底版79が、底版79の外周上に防液堤73が構築される。
【0059】
図18および図19に示すように、防液堤73は、外側が円形、内側が多角形である断面を有する、円筒形のPC部材である。防液堤73の内壁面に沿って、複数の平板状のライナプレート75を設置する。平板状のライナプレート75の接合部分の外側には、帯状のライナプレート用裏当金91を設置する。ライナプレート用裏当金91は、防液堤73の内壁面の多角形の角の折れ線に沿って、隣接するライナプレート75を固定する。
【0060】
そして、ライナプレート75の内側の面に密着するように、複数の板状の断熱パネル89を固定する。
図20に示すように、断熱パネル89は、図5に示すものと同様にして、ライナプレート75に設置される。
【0061】
図18に示すように、隣接する断熱パネル89の間には、縦横に目地93が生じる。図19に示すように、目地93には、充填材95を充填する。充填材95には、第1の実施の形態の充填材19などと同じ材質のものを使用する。例えば、目地93に硬質ウレタンフォームなどの発泡原液を注入し、発泡固化させる。
【0062】
さらに、充填材95を被覆するように液密材94を設け、隣接する断熱パネル89を一体化し、冷熱抵抗緩和材77を形成する。冷熱抵抗緩和材77は、複数の断熱パネル89、充填材93、液蜜材94などからなる。
【0063】
そして、さらに防液堤73とライナプレート75と冷熱抵抗緩和材77とが一体となった外槽83を形成し、外槽83の内側に内槽85を形成し、外槽83と内槽85の間に保冷材87を充填して防液堤一体型低温タンク71を完成する。保冷材87は、例えばパーライトパウダーである。
【0064】
このように、第3の実施の形態では、防液堤73の内壁面を多角形とすることにより、ライナプレート75を曲げ加工する必要がなくなり、ライナプレート75と断熱パネル89が平面で接触するために冷熱抵抗緩和材77の施工時の品質管理が容易になり、短期間で経済的に冷熱抵抗緩和材77を設置できる。また、ライナプレート75と断熱パネル89が密着するため、防液堤一体型低温タンク71の使用時並びに万一の漏洩時に液圧が作用しても冷熱抵抗緩和材77が破損しない。
【0065】
なお、第3の実施の形態では、断熱パネル89の代わりに、第1の実施の形態の断熱パネル1などや、第2の実施の形態の断熱パネル45などを平板状にしたものなどを用い、これらの断熱パネルをボルトとナット、フック、ハトメ金具などを用いてライナプレート75に固定し、充填材と液密材を設けて冷熱抵抗緩和材77を形成することもできる。
【0066】
いずれの実施の形態でも、1枚のパネルの4か所に円形のアンカ穴、穴、または切欠き部を設けたが、アンカ穴、穴および切欠き部の位置、個数、および形状はこの限りでない。また、断熱パネルの形状は長方形でなく、その他の多角形とする場合もある。
【符号の説明】
【0067】
1、1a、1b、1c、45、45a、45b、45c、65、89………断熱パネル
3、3a、3b、3c、47、47a、47b、92………断熱材
5、5a、5b、5c、49、49a、49b、90………表面材
7、7a、7b、51、51a、51b………裏面材
11………アンカ穴
12、56………穴
13、73………防液堤
15、75………ライナプレート
17、93………目地
19、21、61、67、95………充填材
23、77………冷熱抵抗緩和材
25、57………アンカボルト
26………フック
28………ハトメ金具
29、31、63、69、94………液密材
43、71………防液堤一体型低温タンク
53、53a、53b、53c………張り出し部
54a、54b………係合段部
55、55c………切欠き部
97………ボルト穴
99………断熱ボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底版と防液堤を有し、前記底版と防液堤の内部にライナプレートと内槽とが設けられる防液堤一体型低温タンクにおいて、複数の断熱パネルを前記ライナプレートに固定手段を用いて固定し、隣接する断熱パネルの間の目地を充填材で充填する防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法であって、
前記断熱パネルは、断熱材の表面に表面材を有してなり、断面を貫通するボルト穴が設けられ、
前記ライナプレートには、露出長さが、前記断熱パネルの厚さより長い断熱ボルトが設けられ、
前記断熱ボルトを前記ボルト穴に挿入し、注入穴を有するワッシャを挟み、ナットで前記断熱パネルを締め付けて、前記断熱パネルを前記ライナプレートに固定し、
前記注入穴から前記ボルト穴に充填材を注入して充填し、
前記断熱ボルト、前記ナットおよび前記ワッシャを被覆するように液密材を設け、前記液密材を前記表面材に接着することを特徴とする防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法。
【請求項2】
前記充填材は、発泡プラスチックの発泡原液であり、前記注入穴から注入後、発泡、充填させることを特徴とする請求項1記載の防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法。
【請求項1】
底版と防液堤を有し、前記底版と防液堤の内部にライナプレートと内槽とが設けられる防液堤一体型低温タンクにおいて、複数の断熱パネルを前記ライナプレートに固定手段を用いて固定し、隣接する断熱パネルの間の目地を充填材で充填する防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法であって、
前記断熱パネルは、断熱材の表面に表面材を有してなり、断面を貫通するボルト穴が設けられ、
前記ライナプレートには、露出長さが、前記断熱パネルの厚さより長い断熱ボルトが設けられ、
前記断熱ボルトを前記ボルト穴に挿入し、注入穴を有するワッシャを挟み、ナットで前記断熱パネルを締め付けて、前記断熱パネルを前記ライナプレートに固定し、
前記注入穴から前記ボルト穴に充填材を注入して充填し、
前記断熱ボルト、前記ナットおよび前記ワッシャを被覆するように液密材を設け、前記液密材を前記表面材に接着することを特徴とする防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法。
【請求項2】
前記充填材は、発泡プラスチックの発泡原液であり、前記注入穴から注入後、発泡、充填させることを特徴とする請求項1記載の防液堤一体型低温タンクの冷熱抵抗緩和材の設置方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−242973(P2010−242973A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136727(P2010−136727)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【分割の表示】特願2005−349003(P2005−349003)の分割
【原出願日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【分割の表示】特願2005−349003(P2005−349003)の分割
【原出願日】平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】
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