説明

限外濾過フィルタの使用方法、及び限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置

【課題】経時的なフィルタの詰まりを起こさず、特別なメンテナンス無しでも安定した濾液量を確保する限外濾過フィルタの使用方法、限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置を提供すること。
【解決手段】薬液によりフィルタ膜表面を改質する、限外濾過フィルタ再生機構を具備したウェット現像装置を用い、薬液によるフィルタ再生を行う。装着前に、限外濾過フィルタ7を薬液に浸漬させフィルタ処理を行う。薬液が、酸化剤水溶液、アルカリ水溶液、又は両者の混合液である。また、薬液供給系、薬液排出系、濾液側排出系で構成される限外濾過フィルタ再生機構を具備する。薬液通過径路純水供給バルブ33を設ける。薬液通過径路エアー供給バルブ29を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロニクス分野におけるフォトリソグラフィに関わる現像工程全般、とりわけカラーフィルタ製造におけるパターニング現像に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等に用いられるカラーフィルターは、微細な赤、緑、青等のパターンからなる光学素子である。そして、その製造工程は、ガラス等の透明基板に感光性のレジストの塗布、露光、現像等の工程からなり、各色について同様の工程が繰り返される。以下カラーフィルタ現像工程の観点から従来の技術及び課題について説明する。
【0003】
現像工程は露光後未硬化レジストの溶解、剥離除去を目的とし、フォトリソグラフィ工程の中でもパターンの形状を左右する重要な工程である。現像工程で管理される項目としては、現像時間、現像液温度等があり、現像槽の構成や方式によっても異なるが、全ては使用する現像液の現像力が基準となる。
【0004】
通常の現像機は、バッチ式、枚葉式を問わず、現像槽と現像タンクの単循環構成から成る。現像力維持のためには、処理枚数管理で現像循環タンクの一斉ドレインをかけるか、または現像新液の補充とタンクドレインを一定間隔で連続的に実施する方法がある。
【0005】
一斉ドレインの場合、これは稼動停止を余儀なくされる。つまりメンテナンスに近い。また、管理する処理枚数にもよるが、初期状態とドレイン時の現像力は大きく異なっている。したがって、連続稼動中の細かな現像パラメーターの調整が必要となり、工場のプロセス管理としてはあまり適していない。
【0006】
現像新液の補充とタンクドレインを一定間隔で連続的に実施する場合、ドレイン量を少量にすると現像力は極度に落ち、タンクの汚染度が非常に高くなる。タンクの汚染度、つまり現像シャワーの汚染度は、装置及び製品に不具合を発生させる要因となる。逆にドレイン量を上げると、タンクの汚染度は低く抑えられるが、現像液の使用量が膨大となり、ランニングコストの採算が合わなくなる。
【0007】
どちらの方法をとっても、メンテナンス直後の現像力の変動は回避し難い。また、現像液使用量とタンク汚染度は相反するパラメーターであり、ランニングコストを低く保ちながらタンク汚染度も低い状態で維持することは出来ない。したがって、製品品質への不具合発生の抑制を優先し、現像新液の供給量とドレイン量を多目にして稼動している実状がある。
【0008】
年々、フォトリソグラフィの処理装置は大型化の一途をたどっている。この背景には、とりわけ市場の需要に伴うディスプレイの大型化が関与している。ラインの大型化はユーティリティー使用量を増大させ、装置のメンテナンス性も悪化させる。更に、製品の大型化は作業性の悪化に繋がり、プロセス管理を困難にさせる。現像工程を含むウェットプロセスにおいては、この問題が大きく影響する。
【0009】
これらの問題を解決するために、限外濾過システムを搭載した現像装置が考案されている(例えば、特願2003−367017)。これは、ウェット現像装置に限外濾過フィルタを搭載し、さらに汚染度の低い現像循環タンクと汚染度の高い限外濾過濃縮タンクを有することによって、品質不具合が起こりにくく、ランニングコストを低く抑えている。
さらに現像パラメーターの細かな調整を不要とすることを目的とし、現像液の再利用ではなく、効率良く現像液を給廃液することによって連続運転における本目的の達成を可能にするものである。
【0010】
しかし、カラーフィルタ製造におけるパターニング現像工程では、現像液に顔料を含むため、経時的な濾液流量低下を引き起こす場合が多い。これはフィルタ膜面に顔料成分が吸着、または透液孔を閉塞させてしまうためと考えられる。この現象が顕著な場合は、必要とする濾液量の維持が困難となり、十分な機能を果たせない。
【0011】
限外濾過フィルタは逆洗浄と呼ばれる自己洗浄が可能であり、前記のようなフィルタの詰まりを回避するために有効とされているが、この方法もフィルタの寿命を延ばす1つの手段に過ぎず、最終的にはフィルタの交換、または特殊な薬液による再生処理が必要となる。
【特許文献1】特願2003−367017
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、限外濾過フィルタを搭載したウェット現像装置において、顔料を含むカラーフィルタ現像工程に用いても経時的なフィルタの詰まりを起こさず、特別なメンテナンス無しでも安定した濾液量を確保することのできる限外濾過フィルタの使用方法を提供することを課題とするものである。
また、特別なメンテナンス無しでも安定した濾液量を確保することのできる限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ウェット現像装置に限外濾過フィルタを装着して現像液を濾過する限外濾過フィルタの使用方法において、予め薬液によりフィルタ膜表面を改質することを特徴とする限外濾過フィルタの使用方法である。
【0014】
また、本発明は、ウェット現像装置に限外濾過フィルタを装着して現像液を濾過する限外濾過フィルタの使用方法において、該限外濾過フィルタを搭載するウェット現像装置として、限外濾過フィルタ再生機構を具備したウェット現像装置を用いることによって、装置稼働中に薬液によるフィルタ再生を行うことを特徴とする限外濾過フィルタの使用方法である。
【0015】
また、本発明は、上記発明による限外濾過フィルタ使用方法において、前記限外濾過フィルタ再生機構を具備したウェット現像装置に限外濾過フィルタを装着する前に、装着する限外濾過フィルタを前記薬液に浸漬させるフィルタ処理を行うことを特徴とする限外濾過フィルタの使用方法である。
【0016】
また、本発明は、上記発明による限外濾過フィルタ使用方法において、前記薬液が、酸化剤水溶液、アルカリ水溶液、又は両者の混合液であることを特徴とする限外濾過フィルタの使用方法である。
【0017】
また、本発明は、限外濾過フィルタを搭載したウェット現像装置において、
1)薬液を貯蔵する薬液タンク、薬液タンクから限外濾過フィルタへ薬液を送液する薬液供給ポンプ、廃棄する現像液を排出する薬液通過径路排水バルブ2、薬液通過径路2、現像液と薬液の供給切り替えを行う薬液供給バルブ、限外濾過フィルタのIN側に接続された限外濾過フィルタIN側ストップバルブ、及び薬液供給新液補充径路からなる薬液供給
系、
2)現像液と薬液の限外濾過フィルタからの排出切り替えを行う、限外濾過フィルタのOUT側に接続されたフィルタOUT側バルブ、薬液を薬液タンクに戻す薬液通過径路1、及び薬液の薬液タンクへの戻しと、純水の排出を切り替える薬液タンクに接続された薬液通過径路排水バルブ1からなる薬液排出系、
3)限外濾過フィルタの濾液側に接続された濾液ドレン側径路ストップバルブ、及び限外濾過フィルタ循環タンクへ戻す濾液と、濾液側の廃棄する濾液・薬液・純水の切り替えを行う濾液排水バルブからなる濾液側排出系、
で構成される限外濾過フィルタ再生機構を具備することを特徴とする限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置である。
【0018】
また、本発明は、上記発明による限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置において、前記薬液供給系の薬液供給ポンプと薬液通過径路排水バルブ2の間に、薬液通過径路純水供給バルブが設けられており、薬液によるフィルタ再生後に純水を供給して限外濾過フィルタ内の薬液と置換できることを特徴とする限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置である。
【0019】
また、本発明は、上記発明による限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置において、前記薬液排出系のフィルタOUT側バルブと薬液通過径路排水バルブ1の間に、薬液通過径路エアー供給バルブが設けられており、薬液を供給する前にクリーンエアーを供給して限外濾過フィルタ内の現像液をパージでき、また、純水による置換後にクリーンエアーを供給して限外濾過フィルタ内の純水をパージできることを特徴とする限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置である。
【0020】
また、本発明は、上記発明による限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置において、前記薬液が、酸化剤水溶液、アルカリ水溶液、又は両者の混合液であることを特徴とする限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置である。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に係わる発明によれば、予め、限外濾過フィルタを薬液に浸漬させるフィルタ処理を行うので、ウェット現像装置に装着した状態で長期間にわたり使用することができ、或いは目詰まりを起こしにくい状態で使用を開始でき、顔料を含むカラーフィルタ現像工程に用いても経時的なフィルタの詰まりを起こさず、特別なメンテナンス無しでも安定した濾液量を確保することのできる限外濾過フィルタの使用方法となる。
請求項2〜4に係わる発明によれば、薬液によりフィルタ膜表面を改質する、限外濾過フィルタ再生機構を具備したウェット現像装置を用いて薬液によるフィルタ再生を行うので、同様の効果が得られる。
また、薬液が、酸化剤水溶液、アルカリ水溶液、又は両者の混合液であるので、廉価にフィルタ再生、処理を行うことができる。
【0022】
請求項5〜8に係わる発明によれば、薬液供給系、薬液排出系、濾液側排出系で構成される限外濾過フィルタ再生機構を具備するウェット現像装置であるので、限外濾過フィルタの濾液量が低下した際に、稼動状態を維持したまま濾液量を回復させることができる。また、薬液通過径路純水供給バルブが設けられており、薬液によるフィルタ再生後に純水を供給して限外濾過フィルタ内の薬液と置換できるので、濾過稼動時の濾液への薬液の混入を防ぐことができる。また、薬液通過径路エアー供給バルブが設けられており、薬液を供給する前にクリーンエアーを供給して限外濾過フィルタ内の現像液をパージできるので、薬液の効果は低下しない。また、純水による置換後にクリーンエアーを供給して限外濾過フィルタ内の純水をパージできるので、現像液への純水の混入による濃度低下を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明による限外濾過フィルタの使用方法、及び限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置について、その実施の形態に基づいて説明する。
本発明においては、薬液によるフィルタ膜表面の改質は、予め行ってもよいし、装置稼働中に限外濾過フィルタ再生機構により行ってもよい。
図1は、本発明の限外濾過フィルタの使用方法において用いられる限外濾過フィルタ処理装置の一例の概略図である。限外濾過フィルタの処理は、限外濾過フィルタ内に薬液を連続循環させて薬液による処理を行うものである。
符号101は薬液循環タンクであり、薬液は薬液送液ポンプ102によって限外濾過フィルタ7〜11へ供給される。図1は5本の限外濾過フィルタ搭載を想定したものであるが、搭載本数は何本でもかまわない。限外濾過フィルタ内部を通った薬液は、薬液循環出口径路117を通って再び薬液循環タンク101に戻される。
【0024】
薬液によるフィルタ処理を実施する場合、濾液側への連続透液は必要無い。薬液によるフィルタ処理は、中空糸内壁面を改質することが主な目的であるため、中空糸内を新鮮な薬液で循環することが最も効果が高い。したがって、図1中の濾液ドレンバルブ113、濾液出口バルブ115は閉めた状態で稼動する。処理中に濾液流量の確認を実施する場合は、濾液出口バルブ115を開けて濾液流量計116で確認することが出来る。
【0025】
薬液を循環させる流量は限外濾過フィルタIN側圧力計103で決定する。限外濾過フィルタの耐圧はフィルタの材質などによって決まってくる。したがって、選定したフィルタによって設定する圧力は決まってくる。基本的に中空糸内を流れる薬液の線束(流量)が高いほど処理効果も高い。耐圧値以下で出来るだけ高い圧力で循環することが望ましい。
【0026】
薬液によるフィルタ処理が完了し、限外濾過フィルタ内の薬液をドレンする場合は、薬液送液ポンプ102を停止し、循環薬液ドレンバルブ112と循環薬液ドレン用エア抜きバルブ118を開けば、中空糸内部の薬液は薬液循環貯液タンク101内にドレンされる。濾液側の薬液をドレンする場合は、濾液ドレンバルブ113、濾液中間バルブ114、濾液出口バルブ115、及び循環薬液ドレン用エア抜きバルブ118開くことによって同様にドレンされる。
【0027】
薬液によるフィルタ処理後は、同様の手順で純水にて充分置換した後、ドレンし、限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置へ装着する。純水による薬液置換は、薬液循環タンク101中の薬液を薬液タンクドレン用バルブ120によってドレンし、薬液循環タンク101に純水を充填することによって容易に実施できる。
【0028】
図2は、本発明の限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置の一例の概略図である。現像液の連続濾過中に薬液によるフィルタ再生を実施するためのフローを示したものである。符号4は現像循環タンク、5は限外濾過フィルタ循環タンク、12は濾液タンク、13は逆洗浄タンク、そして6が薬液タンクを示している。薬液は次第に減っていくため、薬液タンク6には薬液供給新液補充径路37を設けている。さらに図2中には示していないが、液面レベルを監視するレベルセンサーを搭載することが望ましい。
【0029】
図2は、限外濾過フィルタを5本搭載した限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置を例にあげているが、5本に限定するものではない。限外濾過フィルタ再生機構を具備していないウェット現像装置としては、例えば、特願2003−367017に開示されている装置が挙げられる。
【0030】
現像液の連続濾過を行う通常稼動時は、現像液が限外濾過フィルタ循環タンク5から限外濾過フィルタ循環ポンプ16によって限外濾過フィルタ循環IN側径路27を通って限外濾過フィルタ7に供給され、限外濾過フィルタ循環液出口側径路21から限外濾過フィルタ循環タンク5に戻る。濾液は逆洗浄タンク切り替えバルブ14によって切り替えられ、濾液タンク12、または逆洗浄タンク13へ送られる。
濾液の流量は、濾液流量計48によって検出され、流量が低下した際に薬液によるフィルタ再生が開始される。
【0031】
薬液によるフィルタ再生の開始時は、まず、薬液供給バルブ30が切り替わり、薬液通過径路2(28)方向が開く。また、フィルタOUT側バルブ47も薬液通過径路1(24)方向が開く。これによって、限外濾過フィルタ7は現像液の循環径路から完全に切り離される。つまり限外濾過フィルタ8〜11の4本のみで濾液を生成し、限外濾過フィルタ7は薬液再生モードに切り替わったことになる。
【0032】
なお、濾液側については、通常は、濾液供給側径路ストップバルブ32が開、濾液ドレン側径路ストップバルブ38が閉の状態であるが、薬液再生モードの場合は、濾液供給側径路ストップバルブ32が閉、濾液ドレン側径路ストップバルブ38が開となる。これにより、濾液側も、現像液循環による濾液生成径路から隔離された状態が作られる。また、後に述べる現像液ドレン用に濾液排水バルブ22は排水側を開けておく。
【0033】
薬液に現像液が混入していると、再生効果は大きく低下するので、限外濾過フィルタ中には現像液は可能な限り無い方が望ましい。したがって、本発明においては、クリーンエアーによって限外濾過フィルタ中の現像液をパージする方法を採用した。クリーンエアーは薬液通過径路エアー供給バルブ29の切り替えによって供給される。
【0034】
薬液通過径路排水バルブ1(31)の排水径路を閉じた状態でクリーンエアーを供給すると、フィルタOUT側バルブ47から限外濾過フィルタ7へ入る。限外濾過フィルタ7に入ったクリーンエアーは現像液を加圧し、加圧された現像液は限外濾過フィルタIN側ストップバルブ26、薬液供給バルブ30を経由して、薬液通過径路2(28)を通って薬液通過径路排水バルブ2(34)に達する。薬液通過径路排水バルブ2(34)は排水側が開いており、ここから限外濾過フィルタ7内部の現像液はドレンされる。
【0035】
限外濾過フィルタ7に入ったクリーンエアーは中空糸を透過して濾液側も加圧する。したがって濾液側径路に存在する現像液も、濾液排水バルブ22からドレンされる。クリーンエアーの供給管理は時間や管内液面センサを利用する。
現像液を全てドレンした後、限外濾過フィルタ循環ポンプ16によって薬液を供給する。供給された薬液は、現像液のドレン時とは逆方向に薬液通過径路2(28)を通って限外濾過フィルタ7に供給され、さらに薬液通過径路1(24)を通って薬液タンク6に戻る。このとき、薬液通過径路エアー供給バルブ29、薬液通過径路排水バルブ1(31)、薬液通過径路純水供給バルブ33、薬液通過径路排水バルブ2(34)は図2中の水平方向が開いている。
【0036】
薬液は一定時間循環する。濾液径路側の濾液ドレン側径路ストップバルブ38、濾液供給側径路ストップバルブ32は閉じた状態とし、圧力によって透過した分だけが溜まることになるが、主に中空糸IN側の表面処理が目的なので、濾液側は浸漬程度で充分である。
【0037】
薬液処理を一定時間実施した後、薬液通過径路純水供給バルブ33から純水を供給し、薬液通過径路2(28)を通って限外濾過フィルタ7内部の薬液を置換する。限外濾過フィルタ7を通過した純水は薬液通過径路1(24)を通って薬液通過径路排水バルブ1(
31)からドレンされる。
【0038】
濾液側の薬液も置換する必要があるため、濾液排水バルブ22を排水径路に切り替え、中空糸を透過した純水はここからドレンされる。純水による置換は処理時間で管理する。
【0039】
純水による薬液置換の後、再度クリーンエアー供給により限外濾過フィルタ内の純水をドレンする必要がある。クリーンエアーによるパージ方法は上記の現像液のパージと同様の方法で可能である。
【0040】
以上の工程を1サイクルとした薬液再生を実施するタイミングは、特に限定するものではない。逆洗浄と組み合わせて実施してもよいし、逆洗浄サイクルとは全く無関係で実施してもかまわない。
【実施例】
【0041】
以下、実施形態に沿った具体的な運用方法について説明する。図1に示す限外濾過フィルタ処理装置で使用する薬液には、NaOH(0.4%)+NaClO(1000ppm)水溶液を採用した。ここでNaClOの1000ppmは有効塩素濃度のことである。
【0042】
取りつけられる限外濾過フィルタは5本とし、薬液送液ポンプ102によって全フィルタへ薬液を循環供給する形態をとった。なお、供給量についてはフィルタIN側の圧力センサによって一定圧になるようにインバータ制御されるものとし、200KPa程度を目安とした。
【0043】
薬液を循環する時間は約24時間連続とし、純水による薬液置換は10分×2回とした。薬液循環から純水置換に至るまでの1サイクルを自動制御してもかまわないが、ここでは手動による限外濾過フィルタ処理装置を例に挙げた。
【0044】
処理が完了した限外濾過フィルタは、限外濾過フィルタ処理装置から取り外して限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置への取り付けを行うが、限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置への取り付けまで暫らく保管する必要の有る場合は、限外濾過フィルタ処理装置にとりつけたまま保管することが望ましい。これは、中空糸膜からなる限外濾過フィルタが乾燥に弱いため、限外濾過フィルタIN側手動バルブ106を閉めた状態で限外濾過フィルタ処理装置に取りつけておくことによって、内部に純水を充填したまま保管でき、乾燥を防ぐことが出来るためである。
【0045】
次に、限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置の実施形態に沿った具体的な運用方法について説明する。図2に示した、限外濾過フィルタ再生機構に接続された限外濾過フィルタ以外、例えば、限外濾過フィルタ7以外の限外濾過フィルタは、常時濾液を限外濾過フィルタ循環タンク5へ送り続けている。なお、ウェット現像装置は稼動中の逆洗浄機能も採用しており、1本逆洗浄中は他の4本で濾液量をまかなっていることになる。
【0046】
本実施例においては、上記逆洗浄モードとは切り離して再生処理を実施するものとした。つまり、限外濾過フィルタ7が再生処理中は限外濾過フィルタ8〜11の限外濾過フィルタは濾過処理を実施しているが、そのうちの1本は逆洗浄モードが選択されている。したがって、実際に濾液の供給に貢献している限外濾過フィルタは図2中、5本中の3本のみとなる。限外濾過フィルタ8〜11の逆洗浄モードは通常通り順次シフトする機構で稼動させる。
【0047】
限外濾過フィルタ7の再生処理は前述の通りのプロセスで実施する。各プロセスは時間管理とし、現像液のパージ時間をエアー圧200KPaにて5分、薬液循環による再生処
理をIN圧200KPaにて30分とした。更に純水置換を200KPaにて10分、最後に純水のパージをエア−圧200KPaにて5分実施した後、通常の現像液循環に戻すプロセス構成とした。以上の合計時間は50分となる
限外濾過フィルタ7の再生処理が完了すると、限外濾過フィルタ8の再生処理へ移行するが、限外濾過フィルタ8が逆洗浄モードとなっている場合は、逆洗浄モードが完了した後に再生処理プロセスが開始されるものとした。つまり、このような状況が生じた場合のみ、フィルタ4本稼動による濾液供給が行われる。
【0048】
再生処理が限外濾過フィルタ8に移行すると、限外濾過フィルタ7、及び限外濾過フィルタ9〜11の4本で濾液生成が行われる。また、4本のうち1本は逆洗浄モードが選択されており、逆洗浄モードは順次切り替わる。このサイクルが限外濾過フィルタ7〜11の順で繰り返され、薬液再生処理のインターバルは50分×5本=250分となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】限外濾過フィルタ処理装置の一例の概略図である。
【図2】本発明による限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置の一例の概略図である。
【符号の説明】
【0050】
1…現像液供給ユースポイント
2…現像槽
3…新現像液供給径路
4…現像循環タンク
5…限外濾過フィルタ循環タンク
6…薬液タンク
7、8、9、10、11…限外濾過フィルタ
12…濾液タンク
13…逆洗浄タンク
14…逆洗浄タンク切り替えバルブ
15…限外濾過行き現像液送液ポンプ
16…限外濾過フィルタ循環ポンプ
17…現像循環ポンプ
18…濾液送液ポンプ
19…逆洗浄ポンプ
20…濾液リターン径路
21…限外濾過フィルタ循環液出口側径路
22…濾液排水バルブ
23…逆洗浄液通過経路
24…薬液通過径路1
25…現像液循環経路
26…限外濾過フィルタIN側ストップバルブ
27…限外濾過フィルタ循環IN側径路
28…薬液通過径路2
29…薬液通過径路エアー供給バルブ
30…薬液供給バルブ
31…薬液通過径路排水バルブ1
32…濾液供給側径路ストップバルブ
33…薬液通過径路純水供給バルブ
34…薬液通過径路排水バルブ2
35…限外濾過フィルタ循環径路出口側圧力調整バルブ
36…薬液供給ポンプ
37…薬液供給新液補充径路
38…濾液ドレン側径路ストップバルブ
47…フィルタOUT側バルブ
48…濾液流量計
101…薬液循環タンク
102…薬液送液ポンプ
103…限外濾過フィルタIN側圧力計
104…薬液導入径路
105…濾液ドレン径路
106…限外濾過フィルタIN側手動バルブ
112…循環薬液ドレンバルブ
113…濾液ドレンバルブ
114…濾液中間バルブ
115…濾液出口バルブ
116…濾液流量計
117…薬液循環出口径路
118…循環薬液ドレン用エア抜きバルブ
119…濾液ドレン用エア抜きバルブ
120…薬液タンクドレン用バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェット現像装置に限外濾過フィルタを装着して現像液を濾過する限外濾過フィルタの使用方法において、予め薬液によりフィルタ膜表面を改質することを特徴とする限外濾過フィルタの使用方法。
【請求項2】
ウェット現像装置に限外濾過フィルタを装着して現像液を濾過する限外濾過フィルタの使用方法において、該限外濾過フィルタを搭載するウェット現像装置として、限外濾過フィルタ再生機構を具備したウェット現像装置を用いることによって、装置稼働中に薬液によるフィルタ再生を行うことを特徴とする限外濾過フィルタの使用方法。
【請求項3】
前記限外濾過フィルタ再生機構を具備したウェット現像装置に限外濾過フィルタを装着する前に、装着する限外濾過フィルタを前記薬液に浸漬させるフィルタ処理を行うことを特徴とする請求項2記載の限外濾過フィルタの使用方法。
【請求項4】
前記薬液が、酸化剤水溶液、アルカリ水溶液、又は両者の混合液であることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3記載の限外濾過フィルタの使用方法。
【請求項5】
限外濾過フィルタを搭載したウェット現像装置において、
1)薬液を貯蔵する薬液タンク、薬液タンクから限外濾過フィルタへ薬液を送液する薬液供給ポンプ、廃棄する現像液を排出する薬液通過径路排水バルブ2、薬液通過径路2、現像液と薬液の供給切り替えを行う薬液供給バルブ、限外濾過フィルタのIN側に接続された限外濾過フィルタIN側ストップバルブ、及び薬液供給新液補充径路からなる薬液供給系、
2)現像液と薬液の限外濾過フィルタからの排出切り替えを行う、限外濾過フィルタのOUT側に接続されたフィルタOUT側バルブ、薬液を薬液タンクに戻す薬液通過径路1、及び薬液の薬液タンクへの戻しと、純水の排出を切り替える薬液タンクに接続された薬液通過径路排水バルブ1からなる薬液排出系、
3)限外濾過フィルタの濾液側に接続された濾液ドレン側径路ストップバルブ、及び限外濾過フィルタ循環タンクへ戻す濾液と、濾液側の廃棄する濾液・薬液・純水の切り替えを行う濾液排水バルブからなる濾液側排出系、
で構成される限外濾過フィルタ再生機構を具備することを特徴とする限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置。
【請求項6】
前記薬液供給系の薬液供給ポンプと薬液通過径路排水バルブ2の間に、薬液通過径路純水供給バルブが設けられており、薬液によるフィルタ再生後に純水を供給して限外濾過フィルタ内の薬液と置換できることを特徴とする請求項5記載の限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置。
【請求項7】
前記薬液排出系のフィルタOUT側バルブと薬液通過径路排水バルブ1の間に、薬液通過径路エアー供給バルブが設けられており、薬液を供給する前にクリーンエアーを供給して限外濾過フィルタ内の現像液をパージでき、また、純水による置換後にクリーンエアーを供給して限外濾過フィルタ内の純水をパージできることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置。
【請求項8】
前記薬液が、酸化剤水溶液、アルカリ水溶液、又は両者の混合液であることを特徴とする請求項5、請求項6、又は請求項7記載の限外濾過フィルタ再生機構付ウェット現像装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−231212(P2006−231212A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50085(P2005−50085)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】