説明

除加湿装置

【課題】加湿通風路を通過する空調風を加湿風と冷風とから選択することができる除加湿装置を提供する。
【解決手段】除加湿装置100は、加湿風が通過する加湿風通路80と、除湿風が通過する除湿風通路90とが形成されるケーシング1と、ケーシング1内に空気を送風する送風機2と、ケーシング1内に設けられ、送風機2によって送風される空気を加湿および除湿する吸着モジュール3と、加湿した空気を加湿風通路80に導き、かつ除湿した空気を除湿風通路90に導く除加湿状態において、予め定める冷風指令が与えられると、除湿した空気を加湿風通路80に導き、かつ加湿した空気を除湿風通路90に導く冷風状態となるように吸着モジュール3を制御する制御装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を取り込んで除湿された空気と加湿された空気とを吹き出す除加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の除加湿装置として、熱電変換素子の両面に吸放熱板を取り付け、片面に吸着材を取り付けた構成の装置がある。このような除加湿装置では、熱電変換素子に印加する直流電圧の極性を切り替え、吸着作動時は吸着材を冷やし、脱湿作動時には吸着材を温め、除加湿を行っている(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−103504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の従来技術では、空気通路のうち加湿風通路を通過する加湿風は熱電変換素子によって加熱されている。また空気通路のうち除湿風通路を通過する除湿風は、熱電変換素子によって冷却されている。したがって加湿風通路を通過する加湿風は、除湿風に比べて高温である。このような加湿風通路に、熱電変換素子によって加熱された加湿風だけでなく加湿風よりも温度が低い冷風を通過させたい場合がある。
【0004】
そこで、本発明は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、加湿通風路を通過する空調風を加湿風と冷風とから選択することができる除加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0006】
本発明は、加湿風が通過する加湿風通路(80)と、除湿風が通過する除湿風通路(90)とが形成されるケーシング(1)と、
ケーシング内に空気を送風する送風手段(2)と、
ケーシング内に設けられ、送風手段によって送風される空気を加湿および除湿する空調手段(3)と、
加湿した空気を加湿風通路に導き、かつ除湿した空気を除湿風通路に導く第1の状態において、予め定める切替指令が与えられると、除湿した空気を加湿風通路に導き、かつ加湿した空気を除湿風通路に導く第2の状態となるように空調手段を制御し、第2の状態において、切替指令が与えられると、第1の状態となるように空調手段を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする除加湿装置である。
【0007】
本発明に従えば、第1の状態から切替指令が与えられると、制御手段によって第2の状態となるように制御される。第1の状態(以下、「除加湿状態」ということがある)では、加湿風は加湿風通路を通過するが、第2の状態(以下、「冷風状態」ということがある)では加湿風通路を除湿風が通過する。これによって加湿風通路に低温の除湿風を通過させることができる。このように制御手段は空調手段を制御するだけで、各通路を通過する空調風を制御することができるので、加湿風および除湿風から選択して所望の空調風が加湿風通路を通過するように制御することができる。したがって除加湿装置の利便性を向上することができる。
【0008】
また本発明は、空調手段は、
板状に形成され、厚み方向両方の面部のうち、いずれか一方の面部が吸熱部として機能し、いずれか他方の面部が放熱部として機能するペルチェ素子(30)と、
ペルチェ素子の一方の面部に設けられ一方の面部の温度に基づいて水分を吸着および放出する第1の吸着素子(31A)と、
とおよびペルチェ素子の他方の面部に設けられ他方の面部の温度に基づいて水分を吸着および放出する第2の吸着素子(31B)と、
第1の吸着素子を通過した空気を加湿風通路に導き、かつ第2の吸着素子を通過した空気を除湿風通路に導く状態と、第1の吸着素子を通過した空気を除湿風通路に導き、かつ第2の吸着素子を通過した空気を加湿風通路に導く状態と、にわたって切替る流路切替手段(4)とを含み、
制御手段は、放熱部として機能している面部を通過した空気を加湿風通路に導き、かつ吸熱部として機能している面部を通過した空気を除湿風通路に導くようにペルチェ素子および流路切替手段を制御する第1の状態において、切替指令が与えられると、吸熱部として機能している面部を通過した空気を加湿風通路に導き、かつ放熱部として機能している面部を通過した空気を除湿風通路に導く第2の状態となるようにペルチェ素子および流路切替手段を制御することを特徴とする。
【0009】
本発明に従えば、制御手段によるペルチェ素子および流路切替手段を制御することによって、各通路を通過する空調風を制御することができるので、所望の空調風を各通路を通過させることができる。
【0010】
さらに本発明は、制御手段は、第1の状態において切替指令が与えられると、第1の吸着素子および第2の吸着素子のうち水分を多く吸着している吸着素子が設けられる面部を吸熱部として機能させることを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、切替指令が与えられると、2つ吸着素子のうち水分を多く吸着している吸着素子が設けられる面部を吸熱部として機能させるので、冷風状態にて加湿風通路を通過する空調風の除湿量を可及的に少なくすることができる。これによって冷風状態では、送風手段から送風される空調風をほとんど除湿することなく冷却して、加湿風通路に送ることができる。したがってほとんど除湿されていない除湿風、すなわち主に温度が低下した除湿風を加湿風通路から吹き出させることができるので、利用者に除湿風を送っても利用者が不快な思いをすることを防ぐことができる。
【0012】
さらに本発明は、加湿風通路に設けられ、加湿風通路を通過する空気を冷却する冷却手段(25)をさらに含み、
制御手段は、第1の状態において切替指令が与えられると、加湿風通路を通過する空気を冷却するように冷却手段を制御することを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、加湿風通路に冷却手段が設けられるので、冷風状態において加湿風通路を通過する空調風をさらに冷却することができる。これによってより温度が低い除湿風を加湿風通路から吹き出させることができる。
【0014】
さらに本発明は、切替指令を入力するための入力手段(29)をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
本発明に従えば、入力手段によって切替指令が与えられると、冷風状態に制御されるので、利用者は所望のタイミングで冷風状態に切替えることができる。したがって利用者は、簡単な入力手段による操作で冷風状態にすることができる。
【0016】
さらに本発明は、車両に搭載される除加湿装置であって、
加湿風通路を通過した空調風を運転席に導く送風ダクト(71)と、
除湿風通路を通過した空調風を車両の前面窓ガラスの内面に導く送風ダクト(72)と、をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に従えば、加湿風または除湿風を運転席に着座する運転手に送ることができるので、所望の空調風によって運転手の快適な空調空間を提供することができる。また除湿風を前面窓ガラスに送ることができるので、前面窓ガラスの曇りを防止することができる。
【0018】
さらに本発明は、運転手の眠気度を検出する眠気度検出手段をさらに含み、
制御手段は、眠気度検出手段の検出結果に基いて、運転手が予め定める眠気度以上であると判定された場合、吸熱部として機能している面部を通過した空気を加湿風通路に導き、かつ放熱部として機能している面部を通過した空気を除湿風通路に導く状態となるようにペルチェ素子および流路切替手段を制御することを特徴とする。
【0019】
本発明に従えば、眠気度検出手段の検出結果に基いて、運転手が予め定める眠気度以上であると判定された場合、いわば自動的に冷風状態にすることができる。これによって加湿風通路を通過した除湿風は、運転席に向けて吹き出すので、運転席に着座している運転手を除湿風によって覚醒するように促すことができる。したがって運転手の居眠り運転を未然に防止することができる。
【0020】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を、複数の形態について説明する。各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する場合がある。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0022】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に関して、図1〜図10を用いて説明する。図1は、第1実施形態の除加湿装置100を示す平面断面図である。図2は、除加湿装置100を示す側面断面図である。図3は、除加湿装置100の車両への配設状態を簡略化して示す側面断面図である。図4は、除加湿装置100の車両への配設状態を簡略化して示す平面図である。本実施形態の除加湿装置100は、図3および図4に示すように車両の車室内に搭載され、車室内空気を取り込んで除湿風と加湿風とを吹き出す車両用の除加湿装置100に適用される。除加湿装置100は、たとえば外気が乾燥する冬季において、車両前面窓ガラスの内面側に防曇用の除湿風を供給するとともに、乗員側には加湿風を供給するために使用される。除加湿装置100は、たとえば車室内の天井50に設置される。除加湿装置100は、ケーシング1、送風機2、吸着モジュール3、流路切替部4、アクチュエータ7、制御装置(図示せず)および眠気検出装置(図示せず)を含む。
【0023】
ケーシング1は、空気が流通する流路を形成する。ケーシング1は、空気が流通する流通方向に沿って延びるように長手状に形成される。ケーシング1内には、吸着モジュール3および流路切替部4が、空気の流通方向に沿って順次配設されている。ケーシング1は、設置場所に応じて各種の形状に設計できるが、たとえば車室内の天井50に設置するため、高さに相当する厚さ部分が薄く設計された扁平な略直方体の箱状に形成される。またケーシング1は、天井50の形状に応じて、外郭形状を曲線状に形成してもよい。ケーシング1は、たとえば樹脂からなる。
【0024】
以下、ケーシング1が延びる方向であって、空気が流通する方向を長さ方向Y(図1における左右方向)と称し、長さ方向Yに直交する方向を幅方向X(図1における上下方向)と称し、長さ方向Yおよび幅方向Xに垂直な方向を厚さ方向Z(図1の紙面に垂直な方向)と称することがある。
【0025】
ケーシング1には、送風機2から送風される空気が流通する通路として、メイン通路26、加湿風通路80および除湿風通路90が形成される。メイン通路26は、加湿風通路80および除湿風通路90の上流側に設けられる。メイン通路26を通過した空気は、加湿風通路80および除湿風通路90にそれぞれ送られる。ケーシング1の長さ方向Y一方の端部には、メイン通路26に空気を送るために、外方に開口する吸込口10が形成される。
【0026】
加湿風通路80は、ケーシング1の内壁によって形成され、除湿風通路90とは別に空気が流通する通路である。換言すると、加湿風通路80および除湿風通路90は、ケーシング1の内壁によって、それぞれ独立した通路として形成される。したがって加湿風通路80を流通する加湿風は、除湿風通路90には流通しない。ケーシング1の空気流れ下流端である長さ方向Y他方の端部(図1における左方)には、加湿風通路80を流下した加湿風が吹き出す加湿風吹出口8と、除湿風通路90を流下した除湿風が吹き出す除湿風吹出口9とが、幅方向Xに並んでそれぞれ設けられる。これらの加湿風吹出口8と除湿風吹出口9とは、ケーシング1に一体成形した仕切り壁11によって区画形成されており、本実施形態では除湿風吹出口9に対して加湿風吹出口8を小さく形成している。
【0027】
図3および図4に示すように、加湿風吹出口8には加湿風ダクト71が接続されている。加湿風ダクト71は車室内の天井50の空間内に設けられる。加湿風ダクト71の吹出端71aは、運転席に着座した運転者(乗員)Drの顔面へ向けられている。除湿風吹出口9には除湿風ダクト72が接続されている。除湿風ダクト72は、車室内の天井50の空間内に設けられる。除湿風ダクト72の吹出端72a、72bは、二股に分かれており、そのそれぞれがフロントガラス51の上側左右部へ向けられている。
【0028】
またケーシング1の外壁には、除加湿装置100を操作するための操作スイッチ29が設けられる。乗員は、操作スイッチ29を操作することによって、制御装置に各種の指令を与えて、除加湿装置100の起動・停止を切替え、除加湿装置100の制御モード(制御状態)を後述する除加湿モード(除加湿状態:第1の状態)と冷風モード(冷風状態:第2の状態)とに切替える。
【0029】
送風機2は、送風手段であって、ケーシング1の長さ方向Y一方(図1の右方)の端部に設けられる。送風機2は、たとえば多翼ファン21、ラジアルファンおよびターボファンなどを含む遠心式の送風機2であって、回転軸線方向から吸入した空気を径方向外方に吹き出すように構成される。本実施の形態の送風機2は、樹脂で成形した扁平なスクロールケーシング20と、その内部に配設された多翼ファン21と、その多翼ファン21を駆動する送風モータ22とを備えている。
【0030】
スクロールケーシング20は、多翼ファン21が空気を送り出すための吹出口24を形成する。スクロールケーシング20は、多翼ファン21の半径方向に臨む壁部である。スクロールケーシング20は、多翼ファン21を半径方向外方から取り囲み、吹出口24に向けて徐々に拡がる渦巻状の流路を形成する。
【0031】
スクロールケーシング20の厚さ方向Z他方(図2における下方)の下面部は、外部からの空気をスクロールケーシング20内に流入させるための開口23が形成される。これによって開口23からスクロールケーシング20内に流入した空気は、渦巻状の流路によって径方向および周方向に整流されて吹出口24から長さ方向Y他方に向かって送られる。送風機2の吹出口24は、ケーシング1の長さ方向Y一方に形成される吸込口10に接続され、吸い込んだ空気をケーシング1内に供給する。
【0032】
次に、吸着モジュール3について、図5を用いて説明する。図5は、吸着モジュール3を示す斜視図である。吸着モジュール3は、メイン通路26に設けられる。吸着モジュール3は、空気が通過することができるように構成される。吸着モジュール3は、空調手段であって、送風機2によって送風される空気を加湿および除湿する。吸着モジュール3は、ペルチェ素子30、第1の吸着素子31Aおよび第2の吸着素子31Bを含む。
【0033】
ペルチェ素子30は、ペルチェ効果を利用した板状の熱電素子であり、通電されるとその厚さ方向Z一端面側で吸熱作用を果たし、厚さ方向Z他端面側で放熱作用を果たす熱電素子である。ペルチェ素子30は、2種の金属板の間にP型半導体とN型半導体とを多数配置するとともに、一方の金属板によってN−P接合を構成し、かつ他方の金属板によってP−N接合を構成した素子である。このような構成のペルチェ素子30においては、PN接合部分に電流を流すことにより熱移動が起こり、一方の金属板で吸熱現象が生じ、他方の金属板で放熱現象が生じる。ペルチェ素子30は、板状に形成され、厚さ方向Zに直交する2つの板面部30a,30bが吸熱部および放熱部として機能する。
【0034】
第1の吸着素子31Aは、ペルチェ素子30の厚さ方向Z一方の板面部30aに設けられる。第2の吸着素子31Bは、ペルチェ素子30の厚さ方向Z他方の板面部30bに設けられる。第1の吸着素子31Aと第2の吸着素子31Bとは構成が略同一であるので、第1の吸着素子31Aに関して説明し、第2の吸着素子31Bに関しては説明を省略する。第1の吸着素子31Aは、ペルチェ素子30の一方の板面部30aの温度に基づいて水分を吸着および放出する。第1の吸着素子31Aは、冷却されると吸着量が増え水分を吸収し、通過する空気を除湿する。また第1の吸着素子31Aは、加熱されると吸着量が減り水分を放出し、通過する空気を加湿する。
【0035】
第1の吸着素子31Aは、基板32およびフィン33を含み、基板32およびフィン33の表面には空調用吸着材が塗布される。基板32およびフィン33は、アルミニウムなど熱伝導率に優れる金属で形成される。基板32は、平板状であって、ペルチェ素子30の板面部30aに積層するように設けられる。フィン33は、基板32から厚さ方向Z外方に突出して複数設けられる。フィン33は、長さ方向Yに沿って延びるように複数設けられ、幅方向Xに離間するように設けられる。
【0036】
空調用吸着材は、低い湿度で水分を容易に吸着し、かつ低い温度で容易に脱離し得る材料、たとえばゼオライトが好ましい。吸着モジュール3において各吸着素子31A,31Bは、ペルチェ素子30の各板面部30a,30bに対し、空気層や他の断熱要素が介在することなく、ペルチェ素子30で生成された温熱および冷熱が熱伝導によって伝わるように配置されていれば良く、銀ペーストや伝熱グリスなどの熱伝導材料を介して配置されても良い。
【0037】
吸着モジュール3は、各吸着素子31A,31Bの吸着および脱離操作に準じた時間間隔、たとえば5分以上10分以下の間隔でペルチェ素子30に流れる電流の方向が逆転され、ペルチェ素子30の板面部30a,30bにおける吸熱機能と放熱機能とが入れ替えられるように制御される。吸着モジュール3は、加熱側の吸着素子が水分を放出しきる前に、電流の方向が逆転される。
【0038】
次に、流路切替部4に関して説明する。図6は、流路切替部4を示す斜視図である。図7は、流路切替部4を示す側面図である。除加湿装置100は、吸着モジュール3の各吸着素子31A,31Bの吸着操作および脱離操作を、5〜10分位毎で交互に切り替える。したがって本実施形態において除加湿状態では、加湿された空気を加湿風吹出口8から連続的に吹き出し、除湿された空気を除湿風吹出口9から連続的に吹き出すため、図1に示すように、吸着モジュール3の下流側に流路切替部4が配置される。
【0039】
流路切替部4は、流路切替手段であって、吸着モジュール3を通過した空気の振り向け先を切り替えるように構成される。流路切替部4は、第1の吸着素子31Aを通過した空気を加湿風通路80に振り分け、第2の吸着素子31Bを通過した空気を除湿風通路90に振り分ける状態と、第1の吸着素子31Aを通過した空気を除湿風通路90に振り分け、第2の吸着素子31Bを通過した空気を加湿風通路80に振り分ける状態とを切り替える。
【0040】
流路切替部4は、図2に示すように、吸着モジュール3の下流側に配設された仕切り板40により、第1の吸着素子31Aを通過した空気が流入する第1流入空間3Aと、第2の吸着素子31Bを通過した空気が流入する第2流入空間3Bとに区画されている。
【0041】
仕切り板40の下流側は、図2に示すように、ケーシング1に一体成形した仕切り壁11により、加湿風吹出口8に連なる加湿風通路80と、除湿風吹出口9に連なる除湿風通路90とに区画されており、除湿風通路90に対して加湿風通路80の通路断面積が小さくなっている。これにより、除湿風吹出口9から吹き出される除湿風の風量に対して、加湿風吹出口8から吹き出される加湿風の風量が少なくなっている。
【0042】
流路切替部4は、複数の流路切替ドア6およびシャフト60を含む。流路切替ドア6は、仕切り板40と仕切り壁11との間に配設される。シャフト60は、流路切替ドア6が一体に設けられる。シャフト60は、ケーシング1の幅方向Xに沿って、回転可能に設けられる。
【0043】
シャフト60には、4つの流路切替ドア6であって、2つの加湿側ドア61a,61bと、2つの除湿側ドア62a,62bとが設けられる。流路切替ドア6の回動範囲θ(本実施形態では約60度)を小さくするために、加湿側ドア61a,61bと除湿側ドア62a,62bとがそれぞれ2つずつ設けられる。加湿側ドア61a,61bは、その角度位置に応じて、加湿風通路80と第1流入空間3Aとを連通し、加湿風通路80と第2流入空間3Bとを閉塞する状態と、これとは逆に、加湿風通路80と第2流入空間3Bとを連通し、加湿風通路80と第1流入空間3Aとを閉塞する状態と、を切り替える。また除湿側ドア62a,62bは、加湿側ドア61a,61bと同様にその角度位置に応じて、除湿風通路90と第1流入空間3Aとを連通し、除湿風通路90と第2流入空間3Bとを閉塞する状態と、これとは逆に、除湿風通路90と第2流入空間3Bとを連通し、除湿風通路90と第1流入空間3Aとを閉塞する状態と、を切り替える。
【0044】
加湿側ドア61a,61bと除湿側ドア62a,62bとのドア面積は、両流通路80,90の通路断面積に略比例して、除湿側ドア62a,62bが大きく、加湿側ドア61a,61bが小さくなっている。また、シャフト60の一端側には、この流路切替ドア6を回動させるためのレバープレート63が設けられ、このレバープレート63がケーシング1の外部に突出するように構成される。ケーシング1の外面には、レバープレート63の端部と接続され、流路切替ドア6を切替駆動するサーボモータなどのアクチュエータ7が配設されている。
【0045】
次に、流路切替部4の動作に関して説明する。図8および図9は、流路切り替えのしくみを説明する図であり、それぞれの(a)は図1のa−a断面図、(b)は図1のb−b断面図である。図8は、流路切替部4が第1の流路切替位置にある状態を示す。図9は、流路切替部4が第2の流路切替位置にある状態を示す。
【0046】
流路切替部4が第1の流路切替位置にある状態では、加湿側ドア61a,61bは、加湿風通路80と第1流入空間3Aとを閉塞し、加湿風通路80と第2流入空間3Bとを連通する状態である。また除湿側ドア62a,62bは、除湿風通路90と第1流入空間3Aとを連通し、除湿風通路90と第2流入空間3Bとを閉塞する状態である。
【0047】
したがって図8(a)に示すように加湿風吹出口8側では、第2流入空間3Bに流出した加湿風がそのまま加湿風吹出口8へ流出するとともに、第1流入空間3Aに流出した除湿風は、加湿風吹出口8への流路が加湿側ドア61bで閉塞されているため、第1流入空間3A内を幅方向X他方(図8の紙面手前側)へ流れて除湿風通路90側へ移動し、そこから除湿風吹出口9へ流出するようになる。
【0048】
同様に、図8(b)の除湿風吹出口9側では、第1流入空間3Aに流出した除湿風がそのまま除湿風吹出口9へ流出するとともに、第2流入空間3Bに流出した加湿風は、除湿風吹出口9への流路が除湿側ドア62bで閉塞されているため、第2流入空間3B内を幅方向X一方(図8の紙面奥側)へ流れて加湿風通路80側へ移動し、そこから加湿風吹出口8へ流出するようになる。
【0049】
流路切替部4が第2の流路切替位置にある状態では、前述の第1の流路切替位置とは逆の状態であって、加湿側ドア61a,61bは、加湿風通路80と第1流入空間3Aとを連通し、加湿風通路80と第2流入空間3Bとを閉塞する状態である。また除湿側ドア62a,62bは、除湿風通路90と第1流入空間3Aとを閉塞し、除湿風通路90と第2流入空間3Bとを連通する状態である。
【0050】
したがって図9(a)の加湿風吹出口8側では、第1流入空間3Aに流出した加湿風がそのまま加湿風吹出口8へ流出するとともに、第2流入空間3Bに流出した除湿風は、加湿風吹出口8への流路が加湿側ドア61aで閉塞されているため、第2流入空間3B内を幅方向X他方(図9の紙面手前側)へ流れて除湿風通路90側へ移動し、そこから除湿風吹出口9へ流出するようになる。
【0051】
同様に、図9(b)の除湿風吹出口9側では、第2流入空間3Bに流出した除湿風がそのまま除湿風吹出口9へ流出するとともに、第1流入空間3Aに流出した加湿風は、除湿風吹出口9への流路が除湿側ドア62aで閉塞されているため、第1流入空間3A内を幅方向X一方(図9の紙面奥側)へ流れて加湿風通路80側へ移動し、そこから加湿風吹出口8へ流出するようになる。
【0052】
眠気検出装置(図示せず)は、眠気度検出手段であって、運転手の眠気度を検出する。眠気検出装置は、運転中のドライバの居眠りを未然に防止するために用いられる装置である。眠気検出装置は、たとえば眠気度の検出にドライバの目(まばたきやまぶた)の動きを検出し、その検出時の動きの状態と運転初期などの覚醒時における動きの状態とを比較して眠気度を推定する。眠気検出装置は、推定した眠気度に基づく情報を制御装置に与える。
【0053】
制御装置(図示せず)は、制御手段であって、送風機2の制御、吸着モジュール3におけるペルチェ素子30の電流の制御、および流路切替部4におけるアクチュエータ7の制御を行う。制御装置は、たとえばマイクロコンピュータによって実現される。
【0054】
制御装置は、除加湿モードおよび冷風モードとの2つの制御モードを有し、各制御モードに基づいてペルチェ素子30および流路切替部4を制御する。制御装置は、除加湿モードでは、放熱部として機能している面部を通過した空気を加湿風通路80に導き、かつ吸熱部として機能している面部を通過した空気を除湿風通路90に導くようにペルチェ素子30および流路切替部4を制御する。制御装置は、冷風モードでは、吸熱部として機能している面部を通過した空気を加湿風通路80に導き、かつ放熱部として機能している面部を通過した空気を除湿風通路90に導くようにペルチェ素子30および流路切替部4を制御する。したがって冷風モードでは、加湿風ダクト71の吹出端71aからは冷風が吹き出され、除湿風ダクト72の吹出端72a、72bからは加湿風が吹き出される。
【0055】
制御装置は、入力手段である操作スイッチ29を乗員が操作することによって、切替指令である冷風指令が与えられると、制御モードを除加湿モードから冷風モードに切替える。また制御装置は、操作スイッチ29を乗員が操作することによって、切替指令である除湿風指令が与えられると、制御モードを冷風モードから除加湿モードに切替える。さらに制御装置は、眠気検出装置の検出結果に基いて、運転手が予め定める眠気度以上であると判定された場合、除加湿モードから冷風モードに切替える。
【0056】
制御装置が実行する制御モードの切替え処理に関して図10を用いて説明する。図10は、制御装置の制御モードの切替え処理を示すフローチャートである。本フローは、除加湿装置100に電力が供給されている状態で短時間に繰り返し実行される。
【0057】
ステップa1では、眠気検出装置から与えられる眠気度に基づいて、運転者が眠気によって運転が危険な状態になるおそれがあると判断すると、ステップa4に移り、正常な覚醒状態であると判断すると、ステップa2に移る。ステップa2では、冷風モードにするための操作スイッチ29の操作がされたか否かを判断し、操作がされた場合、ステップa4に移り、操作がされていない場合、ステップa3に移る。ステップa3では、通常の制御モードである除加湿モードとなるようにペルチェ素子30および流路切替部4を制御し、本フローを終了する。ステップa4では、眠気によって運転が危険な状態であるか、または操作スイッチ29が冷風モードにするために操作された状態であるので、制御モードを冷風モードとなるようにペルチェ素子30および流路切替部4を制御し、本フローを終了する。
【0058】
このように制御装置は、制御モードを切り替えることによって、眠気を検出した場合には、冷風を運転者に吹き出させることによって、運転手を冷風によって覚醒させることができる。また乗員は、操作スイッチ29を操作することによって制御情報を冷風モードと切り替えることができる。したがって乗員は、所望のタイミングで冷風を加湿風ダクト71から吹き出させることができる。
【0059】
次に、制御装置の除加湿モードにおける制御に関して説明する。制御装置は、ペルチェ素子30の電流の逆転に応じて流路切替ドア6を回動するように制御し、吸着モジュール3で処理された各空気の振り向け先が、一方の空気は加湿風通路80から除湿風通路90へ、他方の空気は除湿風通路90から加湿風通路80へ切り替える。流路切替ドア6の作動するタイミングは、ペルチェ素子30の電流を逆転させて以降、ペルチェ素子30の各板面部30a,30bの温度が高低逆転するまでの間であり、通常は電流の逆転以降約30秒以上60秒以下の時間が経過するまでの間である。制御装置は、電流逆転後しばらくしてから流路切替ドア6を作動させて振り向け先を切り替えることで、より一層効率的に除湿風および加湿風を生成することができる。
【0060】
次に、除加湿装置100の除加湿モードにおける動作に関して説明する。除加湿装置100は、たとえば外気が乾燥している冬季において次のように動作する。送風機2は、車室内の空気を吸い込み、これを吸着モジュール3の第1の吸着素子31Aおよび第2の吸着素子31Bにそれぞれ送風する。吸着モジュール3においては、たとえば、ペルチェ素子30の一方の板面部30aが吸熱部として機能し、他方の板面部30bが放熱部として機能する。
【0061】
このため、一方の板面部30aによって第1の吸着素子31Aが冷却され、そのフィン33に設けられた空調用吸着材の吸着操作が進行し、フィン33を通過する空気中の水分を吸着する。第2の吸着素子31Bは、ペルチェ素子30の他方の板面部30bによって加熱され、その第2の吸着素子31Bのフィン33に設けられた空調用吸着材の脱離操作が進行し、フィン33を通過する空気に水分を放出する。
【0062】
吸着モジュール3の第1の吸着素子31Aを通過して除湿された空気は第1流入空間3Aに流出し、第2の吸着素子31Bを通過して加湿された空気は第2流入空間3Bに流出し、流路切替ドア6により、加湿された空気は加湿風通路80に振り向けられて加湿風吹出口8から吹き出され、除湿された空気は除湿風通路90に振り向けられて除湿風吹出口9から吹き出される。
【0063】
吸着モジュール3において、吸着操作および脱離操作が所定時間行われると、ペルチェ素子30に印加される電圧が逆転され、ペルチェ素子30の吸熱部と放熱部とが入れ替えられる。換言すれば、一方の板面部30aが放熱部として機能し、他方の板面部30bが吸熱部として機能する。そして、ペルチェ素子30の各板面部30a,30bの機能が
入れ替わることによって、各吸着素子31A,31Bにおいては、各々、空調用吸着材の吸着操作および脱離操作が反転する。
【0064】
したがって第1の吸着素子31Aは、冷却されていたそのフィン33が加熱されることにより、それまで吸着した水分を脱離する。また第2の吸着素子31Bは、加熱されていたそのフィン33が冷却されることにより、水分の吸着を開始する。その結果、第1の吸着素子31Aは、これを通過する空気に水分を放出して加湿し、第2の吸着素子31Bは、これを通過する空気中の水分を吸着して除湿する。これにより、加湿された空気は第2流入空間3Bに流出し、除湿された空気は第1流入空間3Aに流出する。
【0065】
また、ペルチェ素子30に印加される電圧が逆転されると、流路切替ドア6が第1の流路切替位置から第2の流路切替位置に回動して流路が切り替えられる。したがって流路切替ドア6が、たとえば図8に示す状態から図9に示す状態に切り替えられる。このため、吸着モジュール3の第1の吸着素子31Aを通過して加湿された空気は第1流入空間3Aに流出し、第2の吸着素子31Bを通過して除湿された空気は第2流入空間3Bに流出し、流路切替ドア6により、加湿された空気は加湿風通路80に振り向けられて加湿風吹出口8から吹き出され、除湿された空気は、除湿風通路90に振り向けられて除湿風吹出口9から吹き出される。
【0066】
除加湿装置100は、前述のように吸着モジュール3で吸着操作および脱離操作を一定のタイミングで反転させるとともに、これに応じて、除湿された空気と加湿された空気との吹出流路を流路切替ドア6によって切り替える。これにより除加湿モードでは、除湿風吹出口9から除湿された空気を連続して吹き出し、加湿風吹出口8から加湿された空気を連続して吹き出すことができる。そして、除湿された空気を窓ガラスの防曇用に使用し、加湿された空気を快適性向上のために使用する。
【0067】
次に、制御装置の冷風モードにおける制御に関して説明する。制御装置は、冷風指令が与えられると、2つの吸着素子31A,31Bのうち水分を多く吸着している吸着素子が設けられる板面部が吸熱部となるようにペルチェ素子30の電流を制御する。水分を多く吸着している吸着素子は、除加湿モードでは放熱部として機能している板面部に設けられる吸着素子である。換言すると、水分を多く吸着している吸着素子は、除加湿モードでは加湿風を生成するために機能している吸着素子である。したがって制御装置は、除加湿モードにて放熱部として機能していた板面部を、吸熱部として機能するようにペルチェ素子30の電流の逆転させる。また制御装置は、除加湿モードの流路切替ドア6の状態から流路を切り替えることなく、除加湿モードにおける流路の状態を維持する。
【0068】
次に、除加湿装置100の冷風モードにおける動作に関して説明する。除加湿装置100は、除加湿モードにて冷風指令が与えられると次のように動作する。吸着モジュール3は、除加湿モードにてペルチェ素子30の一方の板面部30aが放熱部として機能し、他方の板面部30bが吸熱部として機能していた状態から、冷風指令が与えられると、ペルチェ素子30に印加される電圧が逆転され、ペルチェ素子30の吸熱部と放熱部とが入れ替えられる。換言すれば、一方の板面部30aが吸熱部として機能し、他方の板面部30bが放熱部として機能する。このため、一方の板面部30aによって第1の吸着素子31Aが冷却される。
【0069】
除加湿モードにて放熱部に設けられる吸着素子は、吸着していた水分を放出して加湿風を生成しているので、加湿風を生成できる水分を保持している状態で、吸熱部に設けられる吸着素子となる。したがって第1の吸着素子31Aは、水分を吸着した状態で、冷却される。したがって送風機2から送られた空気は、吸着モジュール3の第1の吸着素子31Aを通過すると、第1の吸着素子の空調用吸着材によって加湿および除湿されることなく冷却される。
【0070】
同様に、除加湿モードにて吸熱部に設けられる吸着素子は、通過する空気から水分を吸着して除湿風を生成しているので、除湿風を生成するための水分を吸着することができる状態で、放熱部に設けられる吸着素子となる。したがって第2の吸着素子31Bは、少量の水分を吸着した状態で、加熱される。したがって送風機2から送られた空気は、吸着モジュール3の第2の吸着素子31Bを通過すると、第2の吸着素子の空調用吸着材によって加湿および除湿されることなく加熱される。
【0071】
第1の吸着素子31Aを通過した空気は、第1流入空間3Aに流出する。また第2の吸着素子31Bを通過して空気は第2流入空間3Bに流出する。流路切替ドア6は、前述の除加湿モードの同一の流路となるように制御される。これによって冷却された空気は加湿風通路80に振り向けられて加湿風吹出口8から吹き出され、加熱された空気は除湿風通路90に振り向けられて除湿風吹出口9から吹き出される。
【0072】
これによって冷風モードでは、除湿風吹出口9から加熱された空気を連続して吹き出し、加湿風吹出口8から冷却された空気を連続して吹き出すことができる。したがって冷却された空気は、運転手の顔面に向かって吹き出される。
【0073】
以上説明したように本実施の形態の除加湿装置100は、除加湿モードから冷風指令が与えられると、制御装置によって冷風モードとなるように制御される。したがって除加湿モードでは、加湿風は加湿風通路80を通過するが、冷風モードでは加湿風通路80を除湿風が通過する。これによって加湿風通路80から低温の除湿風を通過させることができる。このように制御装置は吸着モジュール3を制御するだけで、各通路80,90を通過する空調風を制御することができるので、所望の空調風を各通路80,90を通過させることができる。したがって除加湿装置100の利便性を向上することができる。
【0074】
また本実施の形態では、制御装置によるペルチェ素子30および流路切替部4を制御することによって、各通路80,90を通過する空調風を制御することができるので、所望の空調風を各通路80,90を通過させることができる。
【0075】
さらに本実施の形態では、冷風指令が与えられると、2つ吸着素子31A,31Bのうち水分を多く吸着している吸着素子31A,31Bが設けられる面部30a,30bを吸熱部として機能させるので、冷風モードにて加湿風通路80を通過する空調風が除湿されることを可及的に防ぐことができる。これによって冷風モードでは、送風機2から送風される空調風を除湿することをできるだけ防いで冷却だけすることによって、加湿風通路80に送ることができる。したがってほとんど除湿されていない冷風を加湿風通路80から吹き出させることができるので、運転手に冷風を送っても運転手が不快な思いをすることを防ぐことができる。
【0076】
さらに本実施の形態では、操作スイッチ29によって冷風指令が与えられると、冷風モードに制御されるので、運転手などの乗員は所望のタイミングで冷風モードに切替えることができる。したがって運転手は、簡単な操作スイッチ29による操作で冷風モードにすることができる。
【0077】
さらに本実施の形態では、眠気検出装置の検出結果に基いて、運転手が予め定める眠気度以上であると判定された場合、いわば自動的に冷風モードにすることができる。これによって加湿風通路80を通過した冷風は、運転席に向けて吹き出すので、運転席に着座している運転手を冷風によって覚醒するように促すことができる。したがって運転手の居眠り運転を未然に防止することができる。
【0078】
また本実施の形態では、加湿風ダクト71および除湿風ダクト72が設けられる。このようなダクト71,72を設けることによって、空調風の送風音を低減することができる。また各ダクト71,72の各吹出端71a,72aには、たとえば手動ルーバーなど、吹出風の向きを調節する風向調節手段を設けてもよい。
【0079】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に関して、図11を用いて説明する。図11は、第2実施形態の除加湿装置100Aを示す側面断面図である。本実施の形態では、除加湿装置100Aは、さらに冷却部25を備える点に特徴を有する。
【0080】
冷却部25は、冷却手段であって、加湿風通路80を通過する空気を冷却する。制御装置は、冷却部25に電気的に接続され、冷風指令が与えられると、加湿風通路80を通過する空気を冷却するように冷却部25を制御する。本実施の形態では、冷却部25は、第2の吸着素子31Bに対向するように、ケーシング1の外壁に設けられる。
【0081】
冷却部25は、たとえばペルチェ素子によって実現される。したがって冷却部25は、前述したように通電されるとその厚さ方向Z一端面側で吸熱作用を果たし、厚さ方向Z他端面側で放熱作用を果たす熱電素子である。制御装置は、冷却モードでは、第2の吸着素子31Bが設けられる板面部30bを吸熱部として機能させ、さらに冷却部25の第2の吸着素子31Bに対向する面部25aを吸熱部として機能するように制御する。このように制御することによって、第2の吸着素子31Bを通過する空調風を、2つのペルチェ素子の吸熱部として機能する面部30b,25aによって冷却することができる。また制御装置は、冷風モードでは、第2の吸着素子31Bを通過した空調風(冷風)が加湿風通路80を通過するように流路切替部4を制御する。
【0082】
このように本実施の形態では、冷却部25が設けられるので、冷風モードにおいて加湿風通路80を通過する空調風をさらに冷却することができる。これによってより温度が低い冷風を加湿風通路80から吹き出させることができる。
【0083】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に関して、図12を用いて説明する。図12は、第3実施形態の除加湿装置100Bを示す側面断面図である。本実施の形態では、除加湿装置100Bは、前述の第2実施形態と同様に、さらに冷却部25を備える点に特徴を有する。
【0084】
冷却部25は、冷却手段であって、加湿風通路80を通過する空気を冷却する。制御装置は、冷却部25に電気的に接続され、冷風指令が与えられると、加湿風通路80を通過する空気を冷却するように冷却部25を制御する。本実施の形態では、冷却部25は、第1の吸着素子31Aに対向するように、ケーシング1の外壁に設けられる。
【0085】
冷却部25は、たとえばペルチェ素子によって実現される。したがって冷却部25は、前述したように通電されるとその厚さ方向Z一端面側で吸熱作用を果たし、厚さ方向Z他端面側で放熱作用を果たす熱電素子である。制御装置は、冷却モードでは、第1の吸着素子31Aが設けられる板面部30aを吸熱部として機能させ、さらに冷却部25の第1の吸着素子31Aに対向する面部25aを吸熱部として機能するように制御する。このように制御することによって、第1の吸着素子31Aを通過する空調風を、2つのペルチェ素子の吸熱部として機能する面部30a,25aによって冷却することができる。また制御装置は、冷風モードでは、第1の吸着素子31Aを通過した空調風(冷風)が加湿風通路80を通過するように流路切替部4を制御する。
【0086】
このように本実施の形態では、冷却部25が設けられるので、冷風モードにおいて加湿風通路80を通過する空調風をさらに冷却することができる。これによってより温度が低い冷風を加湿風通路80から吹き出させることができる。
【0087】
また本実施の形態と前述の第2実施形態とを組み合わせて、2つの冷却部25を有する除加湿装置を構成してもよい。このように2つの冷却部25を有する構成にすることによって、ペルチェ素子30のいずれの板面部30a,30bを通過する空調風も冷却部25によって冷却することができるので、利便性が向上する。
【0088】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に関して、図13を用いて説明する。図13は、第4実施形態の除加湿装置100Cを示す平面断面図である。本実施の形態では、除加湿装置100Cは、前述の第2実施形態と同様に、さらに冷却部25を備える点に特徴を有する。
【0089】
冷却部25は、冷却手段であって、加湿風通路80を通過する空気を冷却する。制御装置は、冷却部25に電気的に接続され、冷風指令が与えられると、加湿風通路80を通過する空気を冷却するように冷却部25を制御する。本実施の形態では、冷却部25は、加湿風通路80に設けられるフィン部27と、仕切り壁11に設けられる冷却素子28とを有する。
【0090】
冷却素子28は、たとえばペルチェ素子によって実現される。したがって冷却素子28は、前述したように通電されるとその幅方向X一端面側で吸熱作用を果たし、幅方向X他端面側で放熱作用を果たす熱電素子である。
【0091】
フィン部27は、冷却素子28の加湿風通路80に対向する面部28aから幅方向Xに突出して複数設けられる。フィン部27は、長さ方向Yに沿って延びるように複数設けられ、厚さ方向Zに離間するように設けられる。
【0092】
制御装置は、冷却モードでは、冷却素子28のフィン部27が設けられる面部28aを吸熱部として機能させるように制御する。また制御装置は、冷却モードでは、吸熱部として機能させた各吸着素子31A,31Bの面部30a,30bを通過した空気が加湿風通路80と通過するように流路切替部4を制御する。これによって吸着モジュール3にて冷却された空気が、加湿風通路80に設けられるフィン部27を通過することによってさらに冷却される。
【0093】
このように本実施の形態では、加湿風通路80に冷却部25が設けられるので、冷風モードにおいて加湿風通路80を通過する空調風をさらに冷却することができる。これによってより温度が低い冷風を加湿風通路80から吹き出させることができる。
【0094】
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0095】
前述の実施の各形態の除加湿装置100は、眠気検出装置を含む構成であるが、このような構成に限ることはなく、眠気検出装置を除加湿装置100とは別体に構成してもよい。除加湿装置100は、たとえば車両が予め備える車両用眠気検出装置と通信可能に接続され、制御装置は車両用眠気検出装置から与えられる情報に基づいて制御してもよい。同様に、除加湿装置100は、車両の車両用制御装置と通信可能に接続し、各種の情報、たとえば内外気切替スイッチ、吹出モード切替スイッチおよびエアコンスイッチなどの操作情報、ならびに各種センサが検出した情報、たとえば車室内温度および車室外温度などに基づいて制御してもよい。
【0096】
また前述の実施の各形態の除加湿装置100は、制御装置に冷風指令が与えられると、直ちにペルチェ素子30の電流が逆転されて、加湿風通路80から冷風が吹き出されるように制御されるが、このような制御に限ることはない。冷風指令が与えられて、ペルチェ素子30の電流を逆転させても吸熱部を通過する空気が所望の温度の冷風となるまでは時間がかかるので、この時間を考慮して、ペルチェ素子30の電流が逆転をさせてから予め定める時間経過後に加湿風通路80から冷風が吹き出されるように流路切替部4を制御してもよい。
【0097】
また前述の実施の各形態の除加湿装置100は、送風機が1つであり連続的に除湿風および加湿風を吹き出す構成であるが、このような構成に限ることはない。除加湿装置は、いわゆる間欠式の除加湿装置であってもよい。間欠式の除加湿装置は、除湿風を除湿風通路から吹き出す除湿状態と加湿風を加湿風通路から吹き出す加湿状態とを交互に切替える除加湿装置である。このような間欠式の除加湿装置であっても、加湿風通路に除湿風を通過するように制御することによって、前述の実施の各形態と同様の作用および効果を達成することができる。
【0098】
また前述の実施の各形態では、流路切替ドア6の回動範囲を小さくするために、加湿側ドア61a,61bと除湿側ドア62a,62bとをそれぞれ2枚ずつ形成しているが、加湿側ドアと除湿側ドアとを対向する位置に1枚ずつ形成し、それぞれのドアが閉塞する位置が入れ替わるように180度回動させる構造としても良い。ドアの回動範囲は大きくなるが、ドアの形状を簡単にすることができる。
【0099】
また流路切替部4の構成は、前述のドアを回動させる構成に限ることはなく、空気の流路を切り替える他の機構として、たとえば2つの可撓性管路を移動させてその接続先を変更するような機構、およびリンクなどによって同期作動する2つのシャッターを交互に開閉してその接続先を変更する機構なども使用できる。
【0100】
またフィン33は、小型化を図ることができ、大きな吸着面積を確保でき、かつ一層多量の粉体状の空調用吸着材を保持し得る限り、前述の実施の各形態のフィン33の形状に限ることはなく、各種の構造のものを使用できる。フィンの構造としては、たとえば波板状の基材シートによって通気セルの開口形状が略三角形に形成されたコルゲート型、通気セルの開口形状が略六角形に形成されたハニカム型、および通気セルの開口形状が四角形に形成された格子型などの構造であってもよい。
【0101】
また除加湿装置100は、外気が高湿度となる状況においては、電気回路の接続変更により、乗員側に除湿風を供給するようにしてもよい。また除加湿装置100は、既設の空調装置に組み込んでもよい。
【0102】
前述の実施の各形態では、除加温装置を車両に搭載して用いたものであるが、通常の室内で用いても良く、加湿を必要とする空間(たとえば、寝室)内の所定空間(たとえば、寝具の枕元周り)に加湿した空気を吹き出し、除湿を必要とする空間(たとえば、結露し易い窓や壁)側には除湿された空気を吹き出すように使ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】第1実施形態の除加湿装置100を示す平面断面図である。
【図2】除加湿装置100の側面断面図である。
【図3】除加湿装置100の車両への配設状態を簡略化して示す側面断面図である。
【図4】除加湿装置100の車両への配設状態を簡略化して示す平面図である。
【図5】吸着モジュール3を示す斜視図である。
【図6】流路切替部4を示す斜視図である。
【図7】流路切替部4を示す側面図である。
【図8】流路切替部4が第1の流路切替位置にある状態を側面断面図である
【図9】流路切替部4が第2の流路切替位置にある状態を側面断面図である。
【図10】制御装置の制御モードの切替え処理を示すフローチャートである。
【図11】第2実施形態の除加湿装置100Aを示す側面断面図である。
【図12】第3実施形態の除加湿装置100Bを示す側面断面図である。
【図13】第4実施形態の除加湿装置100Cを示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1…ケーシング
2…送風機(送風手段)
3…吸着モジュール(空調手段)
3A…第1流入空間
3B…第2流入空間
4…流路切替部(流路切替手段)
6…流路切替ドア
8…加湿風吹出口
9…除湿風吹出口
25…冷却部(冷却手段)
29…操作スイッチ(入力手段)
30…ペルチェ素子
30a,30b…板面部
31A…第1の吸着素子
31B…第2の吸着素子
33…フィン
71…加湿風ダクト(送風ダクト)
72…除湿風ダクト(送風ダクト)
80…加湿風通路
90…除湿風通路
100,100A,100B,100C…除加湿装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿風が通過する加湿風通路(80)と、除湿風が通過する除湿風通路(90)とが形成されるケーシング(1)と、
前記ケーシング内に空気を送風する送風手段(2)と、
前記ケーシング内に設けられ、前記送風手段によって送風される空気を加湿および除湿する空調手段(3)と、
前記加湿した空気を前記加湿風通路に導き、かつ除湿した空気を前記除湿風通路に導く第1の状態において、予め定める切替指令が与えられると、除湿した空気を前記加湿風通路に導き、かつ加湿した空気を前記除湿風通路に導く第2の状態となるように前記空調手段を制御し、前記第2の状態において、前記切替指令が与えられると、第1の状態となるように前記空調手段を制御する制御手段と、を含むことを特徴とする除加湿装置。
【請求項2】
前記空調手段は、
板状に形成され、厚み方向両方の面部のうち、いずれか一方の面部が吸熱部として機能し、いずれか他方の面部が放熱部として機能するペルチェ素子(30)と、
前記ペルチェ素子の一方の面部に設けられ一方の面部の温度に基づいて水分を吸着および放出する第1の吸着素子(31A)と、
とおよび前記ペルチェ素子の他方の面部に設けられ他方の面部の温度に基づいて水分を吸着および放出する第2の吸着素子(31B)と、
前記第1の吸着素子を通過した空気を前記加湿風通路に導き、かつ前記第2の吸着素子を通過した空気を前記除湿風通路に導く状態と、前記第1の吸着素子を通過した空気を前記除湿風通路に導き、かつ前記第2の吸着素子を通過した空気を前記加湿風通路に導く状態と、にわたって切替る流路切替手段(4)とを含み、
前記制御手段は、前記放熱部として機能している面部を通過した空気を前記加湿風通路に導き、かつ前記吸熱部として機能している面部を通過した空気を前記除湿風通路に導くように前記ペルチェ素子および前記流路切替手段を制御する第1の状態において、前記切替指令が与えられると、前記吸熱部として機能している面部を通過した空気を前記加湿風通路に導き、かつ放熱部として機能している面部を通過した空気を前記除湿風通路に導く第2の状態となるように前記ペルチェ素子および前記流路切替手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の除加湿装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の状態において前記切替指令が与えられると、前記第1の吸着素子および前記第2の吸着素子のうち水分を多く吸着している吸着素子が設けられる面部を吸熱部として機能させることを特徴とする請求項2に記載の除加湿装置。
【請求項4】
前記加湿風通路に設けられ、前記加湿風通路を通過する空気を冷却する冷却手段(25)をさらに含み、
前記制御手段は、前記第1の状態において前記切替指令が与えられると、前記加湿風通路を通過する空気を冷却するように前記冷却手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の除加湿装置。
【請求項5】
前記切替指令を入力するための入力手段(29)をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の除加湿装置。
【請求項6】
車両に搭載される除加湿装置であって、
前記加湿風通路を通過した空調風を運転席に導く送風ダクト(71)と、
前記除湿風通路を通過した空調風を車両の前面窓ガラスの内面に導く送風ダクト(72)と、をさらに含むことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の除加湿装置。
【請求項7】
運転手の眠気度を検出する眠気度検出手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記眠気度検出手段の検出結果に基いて、運転手が予め定める眠気度以上であると判定された場合、前記吸熱部として機能している面部を通過した空気を前記加湿風通路に導き、かつ放熱部として機能している面部を通過した空気を前記除湿風通路に導く状態となるように前記ペルチェ素子および前記流路切替手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の除加湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−25448(P2010−25448A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187768(P2008−187768)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】