説明

障害物検出装置、及び障害物検出方法

【課題】障害物の誤検出を防止し、障害物の検出精度の向上を図ることができる障害物検出装置及び障害物検出方法を提供することを目的とする。
【解決手段】搬送車両3Aの位置姿勢情報を割り出す位置姿勢情報演算部15bと、搬送車両3Aの周囲環境に関する形状情報を取得する第2レーザスキャナ16と、障害物を検出すべき領域に関する走行ルートSに沿った検出領域情報を記憶する検出領域情報記憶部17aと、形状情報と検出領域情報とから障害物検出領域を割り出す障害物検出領域演算部17bと、その障害物検出領域に基づいて障害物を検出する障害物検出部17cとを備える。この障害物検出装置17Aによれば、非障害物である坑内設備等を障害物として誤検出することが防止され、障害物の検出精度の向上を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送車両などの移動体に備えられた障害物検出装置、及びそれを用いた障害物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の進路上に存在する障害物を検出する障害物検出装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の障害物検出装置では、車両から道路脇の設置物(ガードレール)までの距離を基準として、障害物を検出しない設定領域(例えば、ガードレールやカーブの外側)を算出し、その設定領域を障害物検出領域から除外することで、非障害物を障害物として検出する誤検出の防止を図っている。
【特許文献1】特開平5−205198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、トンネル内においては、例えば坑内電話機や消火設備等といった坑内設備が複数存在し、特に構築途中のトンネル内には、建設資材や装置等も配置されている。この場合、資材の運搬等に用いられる無人の搬送車両(移動体)に上記障害物検出装置を適用すると、本来は非障害物である上述の設備を障害物として検出してしまい、誤(過)検出となるおそれがある。また、トンネル内にあっては、上述の設備等によって搬送車両からトンネル内壁(道路脇の設置物)までの距離の正確な検出は困難であるので、上記従来の障害物検出装置によって正確に障害物の検出を行うことは現実的に難しい。
【0004】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としており、障害物の誤検出を防止し、障害物の検出精度の向上を図ることができる障害物検出装置及び障害物検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、移動体の進路上に存在する障害物を検出する障害物検出装置において、移動体の位置姿勢情報を割り出す位置姿勢情報演算手段と、移動体に搭載され、移動体の周囲環境に関する形状情報を取得するレーザスキャナと、障害物を検出すべき領域に関する移動体の走行路に沿った検出領域情報を記憶する検出領域情報記憶手段と、位置姿勢情報演算手段によって割り出された位置姿勢情報と検出領域情報記憶手段に記憶されている検出領域情報とに基づいて、移動体の現在の位置における検出対象領域を特定し、検出対象領域とレーザスキャナによって取得された形状情報とが重複する領域を、障害物の検出を行う障害物検出領域として割り出す検出領域演算手段と、検出領域演算手段によって割り出された障害物検出領域において、レーザスキャナによって取得された形状情報から障害物を検出する障害物検出手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
この障害物検出装置では、移動体の位置姿勢情報と障害物を検出すべき検出領域情報とに基づいて検出対象領域を特定し、その検出対象領域と移動体の周囲環境に関する形状情報とが重複する領域を障害物検出領域として割り出す。そして、その障害物検出領域内において障害物の検出を行う。例えば、トンネル内において坑内設備が移動体の走行路に沿って配置されたとしても、その坑内設備が移動体の進路上に配置されていない場合には、検出領域情報記憶手段にその坑内設備が障害物として検出すべき領域から除外された検出領域情報が記憶されている。そのため、その検出領域情報と現在の位置姿勢情報と基づいて現位置での検出対象領域を特定し、更にその検出対象領域と形状情報とが重複する領域を障害物検出領域として割り出すことで、非障害物である坑内設備等を障害物として誤検出することが防止される。その結果、障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【0007】
また、走行路の長手方向に沿った形状情報を含む3次元マップを記憶するマップ記憶手段を更に備え、位置姿勢情報演算手段は、3次元マップから抽出された形状情報とレーザスキャナで取得された形状情報とに基づいて、走行路での移動体の位置姿勢情報を割り出すことが好適である。トンネル内や特定の大型施設内などの外界から遮蔽された空間では、GPSによる精度の高い移動体の測位が期待できない。これに対し、3次元マップは、走行路に沿った形状情報を含むものであり、既に存在している設備や物体などの配置が記されている。そのため、実際にレーザスキャナで取得された形状情報と3次元マップとを比較することで、位置姿勢情報を正確に割り出すことができる。
【0008】
また、レーザスキャナは、移動体の位置姿勢情報を割り出すための形状情報を取得する第1レーザスキャナと、障害物に関する形状情報を取得する第2レーザスキャナとから構成されていることが好適である。このようにすれば、それぞれの形状情報をより正確に取得することができるので、障害物検出領域の割り出しが更に正確になると共に、障害物の検出をより正確に行うことができる。
【0009】
また、移動体の起算位置からの移動距離を検出する移動距離検出手段と、移動距離に対応する移動体の位置姿勢情報を記憶する位置姿勢情報記憶手段とを更に備え、位置姿勢情報演算手段は、移動距離検出手段で検出された起算位置からの移動距離と位置姿勢情報記憶手段に記憶されている位置姿勢情報とに基づいて、走行路での移動体の位置姿勢情報を割り出すことが好適である。トンネル内や特定の大型施設内などの外界から遮蔽された空間では、GPSによる精度の高い移動体の測位が期待できない。これに対し、位置姿勢情報記憶手段は、移動体の移動距離に対応する位置姿勢情報を記憶している。そのため、移動体の移動距離を検出することで、移動体の位置姿勢情報を正確に割り出すことができる。
【0010】
また、走行路の所定位置に、走行路の周囲環境とは区別可能に複数配置されたマーカーと、マーカーを検出するマーカー検出手段と、マーカー検出手段によってマーカーを検出した場合に、移動距離検出手段における移動距離をマーカーに基づいて補正する補正手段とを更に備え、位置姿勢情報演算手段は、補正手段によって補正された移動距離検出手段の移動距離と位置姿勢情報記憶手段に記憶されている位置姿勢情報とに基づいて、走行路での移動体の位置姿勢情報を割り出すことが好適である。このようにすれば、マーカーを検出する度に移動距離を修正することができ、移動距離の累積誤差を補正することができる。これにより、位置姿勢情報をより正確に割り出すことができるので、信頼性の高い障害物検出領域を割り出すことができる。
【0011】
また、検出領域演算手段は、移動体の走行状態に基づいて、障害物検出領域を割り出すことが好適である。このようにすれば、例えば移動体の速度が速ければ、走行路の長手方向における障害物検出領域を広域にしたり、逆に遅ければ狭域にすることができる。これにより、好適に障害物の検出を行うことができる。
【0012】
本発明は、移動体の進路上に存在する障害物を検出する障害物検出方法において、移動体の位置姿勢情報を割り出す位置姿勢情報演算ステップと、レーザスキャナを走査して移動体の周囲環境に関する形状情報を取得する走査ステップと、位置姿勢情報演算ステップにおいて割り出された位置姿勢情報と障害物を検出すべき領域に関する移動体の走行路に沿った検出領域情報とに基づいて、移動体の現在の位置における検出対象領域を特定し、検出対象領域とレーザスキャナによって取得された形状情報とが重複する領域を障害物の検出を行う障害物検出領域として割り出す検出領域演算ステップと、検出領域演算ステップにおいて割り出された障害物検出領域において、レーザスキャナによって取得された形状情報から障害物を検出する障害物検出ステップとを含むことを特徴とする。
【0013】
この障害物検出方法によれば、非障害物である坑内設備等を障害物として誤検出することが防止される。その結果、障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、障害物の誤検出を防止し、障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係る移動体の誘導システム及び誘導方法の好適な実施の形態について説明する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、トンネルなどの坑道を走行する搬送車両を模式的に示す図である。また、図2は搬送車両の斜視図である。図1または図2に示されるように、トンネル工事に伴う内壁TaのセグメントSeなどの搬送や検査、その他の作業を迅速に行うために、坑道Tに規定された所定の走行ルートRに沿って搬送車両3Aを自動運転させる必要がある。
【0017】
ここで、坑道T内には、坑内電話機や消火設備といった坑内設備や、トンネル工事に用いられる建設資材や装置等が複数配置されている。そのため、搬送車両3Aを自動運転させるためには、障害物を検出するために障害物検出装置を設ける必要があるが、坑内設備を検出する度に搬送車両3Aが停止(徐行)するのでは作業効率が低下する。本実施形態に係る誘導システム1Aは、坑道T内において予め配置されていることが知られている坑内設備等は除いて、それ以外の障害物を的確に検出する障害物検出装置を有し、坑道T内の走行ルートRに沿った絶対誘導によって搬送車両3Aを誘導することで、搬送車両3Aの自律運転を実現するシステムである。搬送車両3Aは、移動体に相当する。
【0018】
図3または図4に示されるように、搬送車両3Aは、転動する車輪5aが設けられた車体部5と、車体部5の上部に設けられた荷台7と、車体部5の前部に設けられた障害物センサ・バンパースイッチ9と、操向側の車輪5aの舵取り、車輪5aの駆動及び停止を行う駆動装置11(図4参照)と、バッテリ(図示せず)とを備えている。荷台7には、セグメントSeなどの積荷が積載され、駆動装置11によって車輪5aの回転や操舵角の変更が実行される。
【0019】
また、搬送車両3Aには、進行方向Dmの前部に取り付けられた第1レーザスキャナ13と、車輪5aに取り付けられた内界センサ14と、第1レーザスキャナ13及び内界センサ14から入力されたデータに基づいて搬送車両3Aの走行を制御する走行制御装置15とが搭載されている。また、搬送車両3Aには、搬送車両3Aの前後部に取り付けられた第2レーザスキャナ16と、第2レーザスキャナ16から入力されたデータに基づいて搬送車両3Aの進行方向Dmの前方の障害物を検出する障害物検出装置17Aとが搭載されている。
【0020】
第1レーザスキャナ13は、搬送車両3Aの進行方向Dmの前方側に向けて円軌道を描くようにレーザビームを照射し、坑道Tの内壁Taに反射して戻ってきたレーザビーム(以下、「反射光」という)を受信するセンサ部を有する。第1レーザスキャナ13は、レーザビームを照射してから反射光を受信するまでの往復時間から測位対象物までの距離を計測し、さらに、その距離とレーザビームの照射方向とから測位対象物の座標データを取得して走行制御装置15に入力する。この座標データは、坑道Tを横断する断面形状としてのデータであり、搬送車両3Aの位置姿勢情報を割り出すための形状情報に相当する。以下、この断面形状としてのデータを観測形状データという。
【0021】
第2レーザスキャナ16は、搬送車両3Aの進行方向Dmの前方側に向けて円軌道を描くようにレーザビームを照射し、坑道T内に存在する障害物(坑内設備等を含む)に反射して戻ってきたレーザビーム(以下、「反射光」という)を受信するセンサ部を有する。第2レーザスキャナ16は、レーザビームを照射してから反射光を受信するまでの往復時間から測位対象物までの距離を計測し、さらに、その距離とレーザビームの照射方向とから測位対象物の座標データを取得して障害物検出装置17Aに入力する。この座標データは、障害物に関する形状情報に相当する。以下、このデータを障害物データという。
【0022】
内界センサ14は、車輪5aの回転数から移動距離を検出するセンサであり、検出した移動距離に関するデータを走行制御装置15に入力する。
【0023】
走行制御装置15は、CPU、RAM及びROMなどが実装された制御基板、入出力装置及び外部記憶装置などを備えている。走行制御装置15は、CPUやRAMなどのハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで入出力装置などが動作して、所定の機能が実現される。まず、走行制御装置15で実行される機能について説明する。
【0024】
図4に示されるように、走行制御装置15は、マップ記憶部(マップ記憶手段)15a、位置姿勢情報演算部(位置姿勢情報演算手段)15b、絶対誘導制御部15cとして機能する。
【0025】
マップ記憶部15aは、走行ルートRに沿った形状データ(形状情報)を含む3次元マップを記憶している。走行ルートRに沿った形状データとは、坑道Tを横断する断面形状としてのデータである。
【0026】
位置姿勢情報演算部15bは、マップ記憶部15aに記憶された3次元マップを読み出し、この3次元マップと第1レーザスキャナ13で取得された観測形状データとに基づいて、搬送車両3Aの位置姿勢情報を割り出す。搬送車両3Aの位置姿勢情報とは、走行ルートR上の搬送車両3Aの位置情報(横方向及び長手方向)及び搬送車両3Aの姿勢角情報(ピッチ、ヨー、ロール)である。なお、坑道Tにおける搬送車両3Aの長手方向の位置については、内界センサ14によって検出された搬送車両3Aの起算位置からの移動距離に基づいて算出された長手方向の位置を採用することもできる。
【0027】
具体的に、位置姿勢情報演算部15bは、3次元マップと観測形状データとに基づいて、マルコフ位置推定手法を利用して搬送車両3Aの位置及び姿勢を推定する。このとき、同一断面の直線、又は同一断面で坑道Tの曲率が一定の曲線区間が続く場合には、周囲の形状特徴だけでは搬送車両3Aの長手方向の位置を一意に特定することができないので、内界センサ14によって検出された搬送車両3Aの起算位置からの移動距離に基づいて算出された長手方向の位置を採用することもできる。
【0028】
以下、マルコフ位置推定手法について簡単に説明する。なお、実際の手法においては3次元・6自由度であるが、以下の説明においては便宜上1.5次元・1自由度の例で説明する。図5は、マルコフ位置推定手法の流れを説明するために、坑道T内に設置された3つの構造物と搬送車両3Aとの位置関係及び存在確率を示す図であり、(a)〜(d)は、時系列に並んでいる。図5(a)は、初期状態を示している。走行ルートRには、搬送車両3Aの進行方向に沿って左から順番に3つの構造物Arが設置されており、各構造物Arは同一の形状である。初期状態の搬送車両3Aは、未だ構造物Arを捕捉していない。図5(b)は、搬送車両3Aが最初の構造物Arを捕捉した初期センシング時を示す図であり、(c)は、搬送車両3Aが最初の構造物Arを通過した後の移動状態を示し、未だ次の構造物Arを捕捉していない状態を示す図である。また、図5(d)は、搬送車両3Aが次の構造物Arを捕捉して位置が特定された状態を示す図である。
【0029】
図5(a)に示されるように、初期状態では、存在確率は走行ルートRの全範囲に亘って一様である。搬送車両3Aが移動を開始し、第1レーザスキャナ13がいずれか一つの構造物Arを捕捉したとする(図5(b)参照)。走行ルートR上に並ぶ3つの構造物Arは形状が同一であるため、3次元マップを参照しても搬送車両3Aの位置情報を特定することはできない。そこで、位置姿勢情報演算部15bは、第1レーザスキャナ13で取得された観測形状データから推定される存在確率を各構造物Arの近傍に割り振る。例えば、各構造物Arの近傍での存在予測値をそれぞれ“1/3”に設定し、近傍以外の範囲での存在予測値を、1/3よりも低くなるように設定する。各点での存在確率は、その地点での存在予測値を存在予測値の総和で割った値として与えられる。
【0030】
搬送車両3Aは、最初の構造物Arを通過して移動を続ける(図5(c)参照)。位置姿勢情報演算部15bは、内界センサ14の誤差を考慮した過去から現在までの第1の存在確率と、この時点での第1レーザスキャナ13から推定される第2の存在確率とを割り出し、さらに、第1の存在確率と第2の存在確率とを合成した第3の存在確率を割り出す。
【0031】
図5(d)に示されるように、搬送車両3Aが次の構造物Arを捕捉すると、位置姿勢情報演算部15bは、新たに取得された観測形状データに基づいて第2の存在確率を割り出す。そして、位置姿勢情報演算部15bは、第1の存在確率と第2の存在確率とを合成して第3の存在確率を割り出す。ここで、最初の構造物Arの観測形状データのみでは、第3の存在確率において突出した部分(位置)を特定できなかったが、次の構造物Arの観測形状データを捕捉できれば、第3の存在確率において突出した部分(位置)が生じる。位置姿勢情報演算部15bは、第3の存在確率の最も高い位置を搬送車両3Aの横方向及び長手方向の位置と推定する。
【0032】
位置姿勢情報演算部15bは、マルコフ位置推定手法を離散化し、数値解析的に実現するPF(パーティクルフィルタ)法を用いて位置及び姿勢の推定を行う。理論的には、初期値を与えられなくとも搬送車両3Aが移動するにつれて正しい位置を推定できるが、搬送車両3Aの運用上、常に正しい位置と姿勢が必要であるため、搬送車両3Aの初期の位置と姿勢とを与える。
【0033】
位置姿勢情報演算部15bは、内界センサ14によって検出された搬送車両3Aの起算位置からの移動距離に基づいて算出された長手方向の位置、第1レーザスキャナ13から得られた観測形状データ、及びマップ記憶部15aの3次元マップから、3次元座標計算により第1レーザスキャナ13から得られると期待される形状データを算出する。推定を行うための位置と姿勢角は、初期値又は前回の推定値と、内界センサ14や第1レーザスキャナ13の計測の間隔の間に搬送車両3Aの運動から起こり得る組合せとにより与えられる。そして、位置姿勢情報演算部15bは、それぞれの位置と姿勢角から得られる多数の形状データと観測形状データとのマッチングを行い、一致度が一番高い形状データと対応する位置と姿勢角とを現時点での搬送車両3Aの位置と姿勢角であると特定する。以上により、位置姿勢情報演算部15bは、搬送車両3Aの位置姿勢情報を割り出す。
【0034】
図4に示されるように、絶対誘導制御部15cは、位置姿勢情報演算部15bで割り出された位置姿勢情報に基づく絶対誘導によって搬送車両3Aを走行制御する。
【0035】
絶対誘導は相対誘導に対比される概念である。相対誘導は、坑道Tの内壁Taや他の構造物との相対的な位置関係から割り出された位置姿勢情報(相対位置や姿勢角)に基づいて誘導することを意図し、例えば、他の構造物から一定の距離を開けて進行するように搬送車両3Aを誘導する。対して、絶対誘導は、坑道T内の絶対的な情報として割り出された位置情報や姿勢角情報に基づいて搬送車両3Aを誘導することを意図する。
【0036】
また、障害物検出装置17Aは、CPU、RAM及びROMなどが実装された制御基板、入出力装置及び外部記憶装置などを備えている。障害物検出装置17Aは、CPUやRAMなどのハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで入出力装置などが動作して、所定の機能が実現される。障害物検出装置17Aで実行される機能について説明する。
【0037】
図4に示されるように、障害物検出装置17Aは、検出領域情報記憶部(検出領域情報記憶手段)17a、検出領域演算部(検出領域演算手段)17b、障害物検出部17c(障害物検出手段)、制御部17dとして機能する。
【0038】
検出領域情報記憶部17aは、障害物を検出すべき領域に関する搬送車両3Aの走行ルート(走行路)Rに沿った検出領域情報を記憶している。走行ルートRに沿った検出領域情報とは、搬送車両3Aの走行の障害とならないように予め坑道T内に配置されている坑内設備、建設資材、及び建設に用いる装置等の配置位置(部分)を、走行ルートRにおいて障害物を検出すべき領域から除外した領域部分を示す情報である。検出領域情報は、2次元の領域であってもよいし、3次元的な空間としての領域であってもよい。
【0039】
検出領域演算部17bは、搬送車両3Aの位置姿勢情報に基づいて検出領域情報記憶部17aに記憶されている検出領域情報を読み出し、この検出領域情報と第2レーザスキャナ16で取得された障害物データとに基づいて、障害物の検出を行う障害物検出領域を割り出す。具体的には、図6を参照しながら説明する。第2レーザスキャナ16の検出領域C1は、図6(a)に示される範囲となっている。そのため、その検出領域C1内に坑内設備Kが存在する場合には、通常その坑内設備Kを障害物として検出することになる。そこで、検出領域演算部17bは、搬送車両3Aの位置姿勢情報に基づいて、検出領域情報記憶部17aから障害物検出領域を読み出し、図6(b)に示すような搬送車両3Aの現在の位置における検出対象領域C2を特定する。
【0040】
そして、検出領域演算部17bは、図6(c)に示されるように、検出対象領域C2と第2レーザスキャナ16の検出領域C1とが重複する領域を、障害物の検出を行う障害物検出領域C3として割り出す。これにより、坑内設備Kは、障害物検出領域C3から除外され、障害物の非検出領域C4に存在することになる。
【0041】
また、検出領域演算部17bは、搬送車両3Aの車速(走行状態)に基づいて、障害物検出領域C3変更する。具体的には、検出領域演算部17bは、搬送車両3Aの車速が速い場合には、障害物検出領域C3を坑道Tの長手方向に拡大したり、或いは、第2レーザスキャナ16の検出領域C1を車両前方方向にのみ拡大する。また、搬送車両3Bの車速が遅い場合には、障害物検出領C3を坑道Tの長手方向に縮小したり、或いは、第2レーザスキャナ16の検出領域C1を車両前方方向にのみ縮小する。このように搬送車両3Aの車速が速い場合に、車速が遅い場合に比べて障害物検出領域C3を拡大するようにすると、障害物を検知してから搬送車両3Aが停止するまので間にタイムラグがあっても、搬送車両3Aを確実に停止されることができる。なお、障害物検出領域C3は、搬送車両3Aの走行モードや外部から送信される制御信号によって変更されてもよい。
【0042】
障害物検出部17cは、検出領域演算部17bによって割り出された障害物検出領域C3に基づいて、坑道T内の障害物を検出する。障害物検出部17cは、障害物検出領域C3内において第2レーザスキャナ16の検出領域C1内に存在する障害物を検出すると、障害物検出フラグを設定する。
【0043】
制御部17dは、障害物検出部17cによって障害物検出フラグが設定されると、駆動装置11に搬送車両3Aを停止、徐行、又は回避させる制御信号を出力する。
【0044】
次に、上記誘導システム1を利用した誘導方法及び障害物検出方法について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、本実施形態に係る誘導方法及び障害物検出方法の処理の動作手順を示すフローチャートであり、図8は、障害物検出処理の動作手順を示すフローチャートである。
【0045】
図7に示されるように、搬送車両3Aの誘導を開始すると、位置姿勢情報演算部15bは、搬送車両3Aの位置がスタート位置にあることを示す初期設定を行い、駆動装置11は搬送車両3Aの移動を開始する(ステップS01)。次に、第1レーザスキャナ13は、走査処理を行って観測形状データを取得する(ステップS02)。ステップS02は、走査ステップに相当する。
【0046】
続いて、位置姿勢情報演算部15bは、観測形状データに基づいて、マルコフ位置推定手法による位置・姿勢推定計算を実行する(ステップS03)。ステップS03は、位置姿勢情報演算ステップに相当する。そして、絶対誘導制御部17cは、割り出された位置姿勢情報に基づいて、搬送車両3Aの絶対誘導制御を行う(ステップS04)。また、障害物検出装置17Aは、割り出された位置姿勢情報に基づいて、障害物検出処理を行う(ステップS05)。以上のような処理を行いながら搬送車両3Aの自律運転を続け、停止位置まで到達すると、誘導制御処理を終了し、搬送車両3Aの移動を停止(ステップS06)させて搬送車両3Aの誘導を終了する。
【0047】
また、上述の処理(ステップS05)の動作手順について、図8を参照して詳しく説明する。障害物検出処理を開始すると、障害物検出部17cは、障害物検出フラグをリセットする(ステップS11)。次に、第2レーザスキャナ16は、走査処理を行って障害物データを取得する(ステップS12)。ステップS12は、走査ステップに相当する。続いて、障害物検出領域演算部17bは、障害物データ及び位置姿勢情報に基づいて、障害物検出領域C3の算出を実行する(ステップS13)。ステップS13は、検出領域演算ステップに相当する。
【0048】
そして、障害物検出部17cは、障害物検出領域C3において障害物を検出したか否かを判定し(ステップS14)、障害物を検出した場合には障害物検出フラグを設定する(ステップS15)。一方、障害物が検出されない場合には、処理を終了する。なお、ステップS14は、障害物検出ステップに相当する。上記ステップS11〜S15の処理は、搬送車両3Aが停止するまで繰り返される。
【0049】
以上誘導システム1Aの障害物検出装置17Aよれば、搬送車両3Aの位置姿勢情報と障害物を検出すべき検出領域情報とに基づいて検出対象領域C2を特定し、その検出対象領域C2と障害物データとが重複する領域を障害物検出領域C3として割り出す。そして、その障害物検出領域C3内において障害物の検出を行う。例えば、トンネル内において坑内設備Kが搬送車両3Aの走行ルートRに沿って配置されたとしても、その坑内設備Kが搬送車両3Aの進路上に配置されていない場合には、検出領域情報記憶部17aにその坑内設備Kが障害物として検出すべき領域から除外された検出領域情報が記憶されている。そのため、その検出領域情報と現在の位置姿勢情報と基づいて現位置での検出対象領域C2を特定し、更にその検出対象領域C2と障害物データとが重複する領域を障害物検出領域C3として割り出すことで、非障害物である坑内設備K等を障害物として誤検出することが防止される。その結果、障害物の検出精度の向上を図ることができる。
【0050】
また、走行ルートSの長手方向に沿った形状情報を含む3次元マップを記憶するマップ記憶部15aを更に備えており、位置姿勢情報演算部15bは、3次元マップから抽出された形状情報と第1レーザスキャナ13で取得された観測形状データとに基づいて、走行ルートSでの搬送車両3Aの位置姿勢情報を割り出す。トンネル内や特定の大型施設内などの外界から遮蔽された空間では、GPSによる精度の高い移動体の測位が期待できない。これに対し、3次元マップは、走行ルートRに沿った形状情報を含むものであり、既に存在している設備や物体などの配置が記されている。そのため、実際に第1レーザスキャナ13で取得された観測形状データと3次元マップとを比較することで、位置姿勢情報を正確に割り出すことができる。
【0051】
また、主として搬送車両3Aの位置姿勢情報を割り出すための観測形状データを取得する第1レーザスキャナ13と、主として障害物データを取得する第2レーザスキャナ16とを備えているので、観測形状データ及び障害物データを正確に取得することができ、障害物検出領域C3の割り出しが更に正確になると共に、障害物の検出をより正確に行うことができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、図9及び図10を参照して、本発明の第2実施形態に係る誘導システムを説明する。なお、本実施形態に係る誘導システム1Bについて、第1実施形態に係る誘導システム1Aと同様の要素については、第1実施形態と同様の符号を付し詳細説明を省略する。
【0053】
図9及び図10に示されるように、誘導システム1Bは、第1実施形態の搬送車両3Aと同様に、搬送車両3Bに搭載されたレーザスキャナ18(第2レーザスキャナ)、内界センサ14、走行制御装置19、障害物検出装置17Bを備え、さらに、マーカーセンサ(マーカー検出手段)20を備えている。搬送車両3Bは、走行ルートSに沿って配設されたレールL上を走行するものである。
【0054】
マーカーセンサ20は、搬送車両3Bの車体部5の底部に複数(本実施形態では4個)所定の間隔を有して並設されている。マーカーセンサ20は、レールLの内側に配置されたマーカー(リフレクター)M1〜M4を検出する例えば光電スイッチであり、マーカーM1〜M4に光を投光し、その反射光を受光することによってマーカーM1〜M4を検出する。
【0055】
上記マーカーM1〜M4は、図11に示されるように、レールLに沿って一定の間隔(例えば、100m)で、搬送車両3の本体部5の底部に並設された各マーカーセンサ20の位置と対応するようにレールLに沿って複数配置されている。マーカーM1〜M4は、周囲環境とは区別することが可能となっている。
【0056】
走行制御装置19は、位置姿勢情報記憶部(位置姿勢情報記憶手段)19a、補正部(補正手段)19b、マーカーデータ記憶部19c、位置姿勢情報演算部19d、走行制御部19eとして機能する。
【0057】
位置姿勢情報記憶部19aは、内界センサ14によって検出される坑道T内における搬送車両3Bの移動距離と、その移動距離における搬送車両3Bの位置姿勢情報とを対応付けたテーブルを記憶している。位置姿勢情報は、搬送車両3Bの位置姿勢情報を得ることで読み出すことができる。
【0058】
補正部19bは、マーカーセンサ20がマーカーM1〜M4を検出した場合に、内界センサ14が検出した移動距離をマーカーM1〜M4に基づいて補正する。具体的には、補正部19bは、マーカーM1〜M4が検出された場合に、マーカーデータ記憶部19cに記憶されているテーブルを参照し、そのマーカーM1〜M4が示す移動距離に基づいて、内界センサ14の移動距離を補正する。
【0059】
図12(a),(b)は、マーカーデータ記憶部19cに記憶されたテーブルを例示する図である。図12(a),(b)に示されるように、テーブルTB1,TB2には、各マーカーセンサ20とそのマーカーセンサ20のカウント数に対応する搬送車両3Bの移動距離とが対応付けて記憶されている。具体的には、TB1において、例えばセンサ2のマーカーM2を検出したカウント数が「2」である場合には、移動距離が「500m」を示すデータが記憶されている。そのため、補正部19bは、マーカーM1〜M4をマーカーセンサ20が検出した場合に、テーブルTB1を参照し、各マーカーセンサ20のカウント数に対応付けて記憶されている移動距離を読み出し、搬送車両3Bの坑道Tにおける移動距離(長手方向の位置)とする。なお、図12(a)のTB1は、搬送車両3Bの目的地までの「行き」の移動距離を示すテーブルであり、図12(b)のTB2は、搬送車両3Bの目的地からの「帰り(坑道Tの入口部まで)」の移動距離を示すテーブルである。
【0060】
位置姿勢情報演算部19dは、内界センサ14で検出された搬送車両3Bの移動距離、又は、補正部19bで補正された搬送車両3Bの移動距離に基づいて、位置姿勢情報記憶部19aのテーブルを参照し、走行ルートSでの搬送車両3Bの位置姿勢情報を割り出す。搬送車両3Bの位置姿勢情報とは、走行ルートR(レールL)上の搬送車両3Bの位置情報(横方向及び長手方向)及び搬送車両3BのレールL上での姿勢角情報(ピッチ、ヨー、ロール)である。
【0061】
走行制御部19eは、搬送車両3Bの位置姿勢情報に基づいて、搬送車両3Bの目的地までの走行を制御する。走行制御部19eは、予め設定された区間、レールLのカーブが急な区間、又はセンサや外部からの信号により、搬送車両3Bの車速を変化させて搬送車両3Bを走行制御する。
【0062】
障害物検出装置17Bは、第1実施形態に係る障害物検出装置17Aと同様に、検出領域情報記憶部17a、障害物検出領域演算部17b、障害物検出部17c、制御部17dを備えている。障害物検出装置17Bは、第1実施形態に係る障害物検出装置17Aと同様の処理を行い、障害物を検出する。
【0063】
次に、上記誘導システム1Bを利用した誘導方法及び障害物検出方法について、図13及び図14を参照して説明する。図13は、本実施形態に係る誘導方法及び障害物検出方法の処理の動作手順を示すフローチャートであり、図14は、障害物検出処理の動作手順を示すフローチャートである。
【0064】
図13に示されるように、搬送車両3Bの誘導を開始すると、位置姿勢情報演算部19dは、搬送車両3Bの位置がスタート位置にあることを示す初期設定を行い、駆動装置11は搬送車両3Bの移動を開始する(ステップS21)。次に、内界センサ14により、搬送車両3Bの坑道T内における移動距離を検出する(ステップS22)。ステップS22は、走査ステップに相当する。
【0065】
続いて、補正部19bは、マーカーセンサ20がマーカーM1〜M4を検出したか否かを判定する(ステップS23)。マーカーM1〜M4を検出した場合には、補正部19bは、マーカーデータ記憶部19cを参照し、各マーカーセンサ20のカウント数に基づいて、内界センサ14の移動距離を補正する。(ステップS24)。一方、マーカーM1〜M4を検出しなかった場合には、ステップS25に進む。
【0066】
ステップS25では、位置姿勢情報演算部19dは、移動距離に基づいて位置姿勢情報記憶部19aを参照し、位置・姿勢推定計算を実行する(ステップS26)。ステップS26は、位置姿勢情報演算ステップに相当する。そして、障害物検出装置17Bは、割り出された位置姿勢情報に基づいて、障害物検出処理を行う(ステップS27)。以上のような処理を行いながら搬送車両3Bの自律運転を続け、停止位置まで到達すると、誘導制御処理を終了し、搬送車両3Bの移動を停止(ステップS28)させて搬送車両3Bの誘導を終了する。
【0067】
また、上述の処理(ステップS27)の動作手順について、図14を参照して詳しく説明する。障害物検出処理を開始すると、障害物検出部17cは、障害物検出フラグをリセットする(ステップS31)。次に、第2レーザスキャナ16は、走査処理を行って障害物データを取得する(ステップS32)。ステップS32は、走査ステップに相当する。続いて、障害物検出領域演算部17bは、障害物データ及び位置姿勢情報に基づいて、障害物検出領域C3の算出を実行する(ステップS33)。ステップS33は、検出領域演算ステップに相当する。
【0068】
そして、障害物検出部17dは、障害物検出領域C3において障害物を検出したか否かを判定し(ステップS34)、障害物を検出した場合には障害物検出フラグを設定する(ステップS35)。一方、障害物が検出されない場合には、処理を終了する。なお、ステップS34は、障害物検出ステップに相当する。上記ステップS31〜S35の処理は、搬送車両3Bが停止するまで繰り返される。
【0069】
以上誘導システム1Bの障害物検出装置17Bによれば、第1実施形態に係る障害物検出装置17Aと同様に、障害物の検出精度の向上を図ることができる。また、移動距離に対応する搬送車両3Bの位置姿勢情報を記憶する位置姿勢情報記憶部19aを備えており、位置姿勢情報演算部19dは、内界センサ14で検出された起算位置からの移動距離と位置姿勢情報記憶部15aに記憶されている位置姿勢情報とに基づいて、走行ルートSでの搬送車両3Bの位置姿勢情報を割り出す。トンネル内や特定の大型施設内などの外界から遮蔽された空間では、GPSによる精度の高い移動体の測位が期待できない。これに対し、位置姿勢情報記憶部19aは、搬送車両3の移動距離に対応する位置姿勢情報を記憶している。そのため、搬送車両3Bの移動距離を検出することで、搬送車両3Bの位置姿勢情報を正確に割り出すことができる。
【0070】
また、走行ルートS(レールL)の所定位置に、走行ルートRの周囲環境とは区別可能に複数配置されたマーカーM1〜M4を配置し、そのマーカーM1〜M4をマーカーセンサ20が検出した場合に、補正部19bが内界センサ14における移動距離をマーカーM1〜M4に基づいて補正する。そのため、位置姿勢情報演算部19dは、補正部19bによって補正された内界センサ14の移動距離と位置姿勢情報記憶部19aに記憶されている位置姿勢情報とに基づいて、走行ルートRでの搬送車両3Bの位置姿勢情報を割り出す。このようにすれば、マーカーM1〜M4を検出する度に移動距離を修正することができ、移動距離の累積誤差を補正することができる。これにより、位置姿勢情報をより正確に割り出すことができるので、信頼性の高い障害物検出領域を割り出すことができる
【0071】
以上、本発明を各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されない。例えば、第1実施形態においては、第1レーザスキャナ13及び第2レーザスキャナ16を設けたが、1つのレーザスキャナによって観測形状データ及び障害物データを取得してもよい。
【0072】
また、第2実施形態においては、マーカーデータ記憶部19cに各マーカーセンサ20のカウント数に対応する移動距離を示すテーブルが記憶されており、補正部19bがそのテーブルを参照することで移動距離を補正しているが、マーカーセンサ20のカウント数とマーカーM1〜M4の長手方向の配置間隔とから移動距離を算出して補正してもよい。具体的には、補正部19bは、マーカーM1〜M4の配置間隔が100mである場合に、カウント数が例えば「3」のときは、3×100m=300mといった計算を行い移動距離を算出して補正してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】トンネルなどの坑道を走行する搬送車両を模式的に示す図である。
【図2】本実施形態に係る搬送車両の斜視図である。
【図3】本実施形態に係る搬送車両の側面図である。
【図4】本実施形態に係る誘導システムのブロック図である。
【図5】マルコフ位置推定手法の流れを説明するために、坑道内に配置された3つの構造物と搬送車両との位置関係及び存在確率を示す図である。
【図6】障害物検出領域の算出を説明するために、第2レーザスキャナの検出領域と検出領域情報記憶部に記憶されている検出領域情報における領域とを示す図である。
【図7】本実施形態に係る誘導方法及び障害物検出方法の処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図8】障害物検出処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る搬送車両の側面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る搬送車両のブロック図である。
【図11】マーカーの配置を示す図である。
【図12】マーカーデータ記憶部に記憶されたテーブルを例示する図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係る誘導方法及び障害物検出方法の処理の動作手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第2実施形態に係る障害物検出処理の動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1A,1B…誘導システム、3A,3B…搬送車両(移動体)、13,16,18…レーザスキャナ(第1レーザスキャナ、第2レーザスキャナ)、15a…マップ記憶部、15b,19d…位置姿勢情報演算部(位置姿勢情報演算手段)、17a…検出領域情報記憶部(検出領域情報記憶手段)、17b…検出領域演算部(検出領域演算手段)、17c…障害物検出部(障害物検出手段)、19a…位置姿勢情報記憶部(位置姿勢情報記憶手段)、20…マーカーセンサ(マーカー検出手段)、C2…検出対象領域、C3…障害物検出領域、M1〜M4…マーカー、R…走行ルート(走行路)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の進路上に存在する障害物を検出する障害物検出装置において、
前記移動体の位置姿勢情報を割り出す位置姿勢情報演算手段と、
前記移動体に搭載され、前記移動体の周囲環境に関する形状情報を取得するレーザスキャナと、
前記障害物を検出すべき領域に関する前記移動体の走行路に沿った検出領域情報を記憶する検出領域情報記憶手段と、
前記位置姿勢情報演算手段によって割り出された前記位置姿勢情報と前記検出領域情報記憶手段に記憶されている前記検出領域情報とに基づいて、前記移動体の現在の位置における検出対象領域を特定し、当該検出対象領域と前記レーザスキャナによって取得された前記形状情報とが重複する領域を、前記障害物の検出を行う障害物検出領域として割り出す検出領域演算手段と、
前記検出領域演算手段によって割り出された前記障害物検出領域において、前記レーザスキャナによって取得された前記形状情報から前記障害物を検出する障害物検出手段とを備えることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記走行路の長手方向に沿った形状情報を含む3次元マップを記憶するマップ記憶手段を更に備え、
前記位置姿勢情報演算手段は、前記3次元マップから抽出された形状情報と前記レーザスキャナで取得された形状情報とに基づいて、前記走行路での前記移動体の位置姿勢情報を割り出すことを特徴とする請求項1記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記レーザスキャナは、前記移動体の位置姿勢情報を割り出すための形状情報を取得する第1レーザスキャナと、前記障害物に関する形状情報を取得する第2レーザスキャナとから構成されていることを特徴とする請求項2記載の障害物検出装置。
【請求項4】
前記移動体の起算位置からの移動距離を検出する移動距離検出手段と、
前記移動距離に対応する前記移動体の位置姿勢情報を記憶する位置姿勢情報記憶手段とを更に備え、
前記位置姿勢情報演算手段は、前記移動距離検出手段で検出された前記移動距離と前記位置姿勢情報記憶手段に記憶されている前記位置姿勢情報とに基づいて、前記走行路での前記移動体の位置姿勢情報を割り出すことを特徴とする請求項1記載の障害物検出装置。
【請求項5】
前記走行路の所定位置に、前記走行路の周囲環境とは区別可能に複数配置されたマーカーと、
前記マーカーを検出するマーカー検出手段と、
前記マーカー検出手段によって前記マーカーを検出した場合に、前記移動距離検出手段における前記移動距離を前記マーカーに基づいて補正する補正手段とを更に備え、
前記位置姿勢情報演算手段は、前記補正手段によって補正された前記移動距離検出手段の移動距離と前記位置姿勢情報記憶手段に記憶されている前記位置姿勢情報とに基づいて、前記走行路での前記移動体の位置姿勢情報を割り出すことを特徴とする請求項4記載の障害物検出装置。
【請求項6】
前記検出領域演算手段は、前記移動体の走行状態に基づいて、前記障害物検出領域を割り出すことを特徴とする請求項1〜5記載の障害物検出装置。
【請求項7】
移動体の進路上に存在する障害物を検出する障害物検出方法において、
前記移動体の位置姿勢情報を割り出す位置姿勢情報演算ステップと、
レーザスキャナを走査して前記移動体の周囲環境に関する形状情報を取得する走査ステップと、
前記位置姿勢情報演算ステップにおいて割り出された前記位置姿勢情報と前記障害物を検出すべき領域に関する前記移動体の走行路に沿った検出領域情報とに基づいて、前記移動体の現在の位置における検出対象領域を特定し、当該検出対象領域と前記レーザスキャナによって取得された前記形状情報とが重複する領域を前記障害物の検出を行う障害物検出領域として割り出す検出領域演算ステップと、
前記検出領域演算ステップにおいて割り出された前記障害物検出領域において、前記レーザスキャナによって取得された前記形状情報から前記障害物を検出する障害物検出ステップとを含むことを特徴とする障害物検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−96584(P2010−96584A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266446(P2008−266446)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】