説明

電力供給装置、制御装置およびその制御方法

【課題】 太陽電池からパワーコンディショナを通過して商用電力系統へ流れる地絡電流を検出する方式の地絡検出がある。しかし、系統連系運転が停止する太陽光の弱い期間に地絡が発生すると、次に系統連系運転が開始されるまで地絡は検出されない。
【解決手段】 制御回路21は、インバータ1と商用電力系統との間を開閉する出力開閉器16を開状態、および、地絡検出回路22の対地開閉器34を閉状態にした場合に、直流電圧検出器33により検出される電圧に基づき、太陽電池アレイにおける地絡を検出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電力供給装置、制御装置およびその制御方法に関し、例えば、太陽電池などの直流電源から供給される電力を負荷へ供給するための電力供給装置、制御装置およびその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題に対する意識の高まりからクリーンな新エネルギの研究開発が促進され、太陽光エネルギを直接電気エネルギに変換する太陽電池を用いる太陽光発電システムが普及しつつある。その中でも、太陽電池が発電した直流電力をパワーコンディショナで交流電力に変換して商用電力系統に供給することが可能な系統連系型の太陽光発電システムの市場が拡大しつつある。
【0003】ところで、太陽電池は、何らかの原因により絶縁が破壊され、地絡が発生する恐れがある。一般に絶縁の確認は、絶縁抵抗計による絶縁抵抗の測定により実施される。また、パワーコンディショナに太陽電池の地絡発生を検出する手段を設けて地絡の発生を検出する場合がある。
【0004】最近のパワーコンディショナは、大きさ、質量、性能およびコストの観点から、トランスを用いない所謂トランスレスタイプのものが多い。トランスレスタイプのパワーコンディショナに用いられる地絡検出手段は、商用電力系統から太陽電池へ対地電位が与えられるので、太陽電池からパワーコンディショナを通過して商用電力系統へ流れる地絡電流を検出する方式(以下「地絡電流検出方式」と呼ぶ)が一般的であり、例えば、特公昭63-49455公報に記載されたものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】地絡電流検出方式の地絡検出手段は、太陽電池で地絡が発生すると形成される回路、「太陽電池」−「パワーコンディショナ」−「商用電力系統」−「アース」−「太陽電池」に流れる電流を検出する。このため、地絡電流検出方式の地絡検出手段では、系統連系運転されていない状態、言い換えれば太陽光発電システムが商用電力系統のような接地された負荷へ電気的に接続されない状態では、例え地絡が発生しても、上記の回路が形成されないので地絡は検出できない。例えば、朝夕など太陽光の弱い期間は太陽電池の発電電力が低くパワーコンディシヨナは待機状態になり、系統連系運転は停止する。この期間に地絡が発生すると、次に系統連系運転が開始されるまで地絡は検出されないことになる。
【0006】また、パワーコンディショナには、商用電力系統に停電が発生した際に、商用電力系統とは独立した負荷に電力を供給する所謂自立運転機能を有しているものがある。この自立運転時に電力が供給される負荷は、接地されず、商用電力系統とも接続されていないので、前述と同様の理由により、太陽電池に地絡が生じても地絡電流が発生しない。従って、自立運転中に発生した地絡は検出されない。さらに、自立運転機能は商用電力系統に停電が発生した場合に限られず利用できるので、長期間に亘って自立運転されることもある。この場合、次の定期点検まで地絡が放置されたままになる。
【0007】本発明は、上述の問題を解決するためのものであり、接地された負荷に未接続の状態で地絡を検出することができる電力供給装置、制御装置およびその制御方法を提供することを目的とする。
【0008】さらに、接地された負荷への接続/未接続に関係なく地絡を検出することができる電力供給装置、制御装置およびその制御方法を提供することを他の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0010】本発明にかかる電力供給装置は、直流電源から供給される電力を接地された負荷に供給する電力供給装置であって、前記接地負荷へ電力を供給する、入出力が非絶縁の電力供給手段と、前記電力供給手段と前記接地負荷との間を開閉する第一の出力開閉器と、前記装置の電力入力端近傍と接地電位との間に、インピーダンス手段、電圧または電流検出手段、および、対地開閉器を有する地絡検出回路と、前記電力供給手段、前記第一の出力開閉器および前記地絡検出回路を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記第一の出力開閉器を開状態、および、前記対地開閉器を閉状態にした場合に前記電圧または電流検出手段により検出される電圧または電流値に基づき、前記接地負荷以外における地絡を検出することを特徴とする。
【0011】好ましくは、さらに、前記電力供給手段と前記第一の出力開閉器との間の複数の電力線に流れる電流の差分を検出する差電流検出手段を備え、前記制御手段は、前記第一の出力開閉器が閉状態、および、前記対地開閉器が開状態においては前記差電流検出手段を用いて前記地絡を検出することを特徴とする。
【0012】また、入力側に電源が接続され、開閉器を介した出力側に負荷が接続される電力供給装置であって、前記開閉器が開かれ、前記負荷との接続が遮断された状態で地絡検出を行う、入出力が非絶縁の地絡検出手段を有することを特徴とする。
【0013】また、電源を接続するための入力端子、前記入力端子に接続された直交流変換回路、および、前記直交流変換回路の出力を装置外へ出力するための出力端子を有する電力供給装置であって、前記入力端子から前記直交流変換回路への電力路に接続される地絡検出手段と、前記直交流変換回路と前記出力端子との電気的接続を開閉する開閉手段とを有することを特徴とする。
【0014】本発明にかかる電力供給装置の制御方法は、接地された負荷へ電力を供給する、入出力が非絶縁の電力供給手段、前記電力供給手段と前記接地負荷との間を開閉する第一の出力開閉器、並びに、前記装置の電力入力端近傍と接地電位との間に、インピーダンス手段、電圧または電流検出手段、および、対地開閉器を有する地絡検出回路を備え、直流電源から供給される電力を前記接地負荷に供給する電力供給装置の制御方法であって、前記第一の出力開閉器を開状態、および、前記対地開閉器を閉状態にし、前記電圧または電流検出手段により検出される電圧または電流値に基づき、前記接地負荷以外における地絡を検出することを特徴とする。
【0015】好ましくは、前記電力供給装置は、さらに、前記電力供給手段と前記第一の出力開閉器との間の複数の電力線に流れる電流の差分を検出する差電流検出手段を備え、前記第一の出力開閉器が閉状態、および、前記対地開閉器が開状態においては前記差電流検出手段を用いて前記地絡を検出することを特徴とする。
【0016】本発明にかかる制御装置は、入力側に電源が接続され、開閉器を介した出力側に負荷が接続され、地絡検出手段を有する電力供給装置の地絡を検出するための制御装置であって、前記地絡検出手段に地絡を検出させる前に前記開閉器を開状態に制御することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる一実施形態の電力供給装置である太陽光発電装置を図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
【第1実施形態】図1は第1実施形態の太陽光発電装置の構成例を示すブロック図で、商用電力系統との系統連系運転が可能な太陽光発電装置である。図1は第1実施形態における電源と地絡検出手段との接続関係を示している。
【0019】1は電源である。なお、本実施形態における電源1は、光起電力素子や、光起電力素子を有する太陽電池モジュールである。また、電源1は、複数の太陽電池モジュールが電気的に直列接続されたストリングであってもよいし、電気的に並列接続されたアレイであってもよい。
【0020】2は集電箱で、電源1の出力を集電する集電機構、集電された電力の開閉を行う開閉器、太陽電池の出力の確認するための確認手段、保守点検機構、および、ダイオードなどによる電力の逆流防止機構などを備えている。
【0021】3はパワーコンディショナで、電源1で発生し、集電箱2から供給される直流電力を交流電力に変換して商用交流系統5に供給する。また、パワーコンディショナ3は各種の保護機能を有する。
【0022】4は交流分電盤で、パワーコンディショナ3から出力される電力を系統連系させるためのものである。なお、交流分電盤4を省略して、パワーコンディショナ3と商用電力系統5とを接続してもよいが、その場合、ブレーカを介して両者を接続するのが安全上好ましい。
【0023】[パワーコンディショナ]図2はパワーコンディショナ3の構成例を示すブロック図である。
【0024】入力端子11は集電箱2を介して電源1から供給される直流電力を入力し、出力端子12はパワーコンディショナ3により変換された交流電力を出力する。また、接地端子13は、パワーコンディショナ3の一部回路をアースに接続するためのものである。
【0025】入力端子11に入力される直流電力は、キャパシタなどで構成される入力側のノイズフィルタ14を介して、平滑キャパシタ、リアクタL、ダイオード、スイッチング素子などで構成される直交流変換回路15へ入力される。なお、直交流変換回路15は所謂トランスレスインバータである。直交流変換回路15から出力される交流電力は、交流出力の開閉を行う出力開閉器16、出力側のノイズフィルタ17、および、出力端子12を介して、商用交流系統5へ供給される。
【0026】また、入力される直流電圧値を検出するための直流電圧検出器18、並びに、出力される交流電圧値および交流電流値を検出するための交流電圧検出器19および交流電流検出器20の出力は、マイクロプロセッサなどからなるインバータの制御回路21へ入力される。制御回路21は、各種の検出データに基づき、インバータ/チョッパの各種制御や保護などの制御を行う。
【0027】22は直流回路の地絡を検出する地絡検出回路である。地絡検出回路22は、入力端子11間に同一の抵抗値を有する抵抗器31および32を直列に接続し、両抵抗器の接続点(分圧点)を直流電圧検出器33の一端に接続する。電圧検出器33の他端は、制御回路21により開閉制御される対地開閉器34を介して接地端子13に接続される。電圧検出器33によって検出される分圧点の対地電位は制御回路21に送られる。検出される対地電位の値によって、例えば直列に接続されている複数の太陽電池モジュールのうち、どの太陽電池モジュール間で地絡が発生したかがわかる。
【0028】23は不揮発性のメモリで、制御回路21からリード/ライト可能である。メモリ23は、制御回路21へ電力の供給が停止した場合に記憶が保持できるものであればよく、SRAMとバックアップ電源との組み合わせや、フラッシュメモリの使用など種々構成が可能である。
【0029】制御回路21は、地絡を検出しようとする場合、出力開閉器16を開いた後、対地開閉器34を閉じる。そして、電圧検出器33の検出電圧、つまり対地電位を読み取る。その際、電源1の絶縁が保たれていれば検出値は零である。一方、電源1に地絡が発生していれば、地絡箇所に応じた電圧が検出される。地絡の検出処理、つまり、地絡しているか否かを判定する処理の後、制御回路21は、対地開閉器34を開いた後、必要に応じて出力開閉器16を閉じるが、地絡が発生している場合は、安全のために出力開閉器16は開かれたままになる。
【0030】電源1の対地静電容量にアンバランスがある場合は検出値が零にならないことがある。その場合は、例えば電源1の設置初期などにアンバランス分の電圧を測定してメモリ23へ格納し、以降はオフセット電圧として処理すればよい。
【0031】出力開閉器16から電源1の間の何処かで地絡が生じた場合も同様に、地絡検出回路22によって地絡に起因する電圧が検出される。また、もし、電源1の電気的な中央において地絡が生じた場合は、検出値は零であり地絡は検出されないが、そのような地絡の発生確率は極めて低いといえる。
【0032】また、電圧検出器33の代わりに電流検出器を用いることもできる。その際、電源1の絶縁が保たれていれば検出値は零である。一方、電源1に地絡が発生していれば、地絡箇所に応じた電流が検出される。また、以下の説明では、すべて電圧を検出することで地絡の発生を検出する例を説明するが、電流を検出することで地絡の発生を検出してもよいことは言うまでもない。
【0033】図3は制御回路21により実行される制御手順を説明するフローチャートである。
【0034】にゅ力端子11に電力が供給され、パワーコンディショナ3が起動すると、ステップS1で一般的な動作にかかわる初期化処理が行われ、直交流変換回路15が起動される。また、出力開閉器16および対地開閉器34は、直交流変換回路15の停止時および起動直後は開状態にある。
【0035】次に、ステップS2で地絡検出のために対地開閉器34を閉状態にし、ステップS3でで地絡の検出を行い、地絡が検出されればステップS9に進む。また、絶緑性が保たれている場合はステップS4に進む。なお、具体的には、検出される電圧値が所定値ΔVgより大きければ地絡と判断し、検出される電圧値がΔVg以下であれば絶縁は保たれていると判断する。このΔVgは、例えば、入力電圧の数%程度に設定された値であり、部品の精度および回路時定数を考慮して適宜に設定すればよい。
【0036】ステップS4では、系統連系運転を開始する他の条件が整っているか否か、例えば直交変換回路15の出力電圧や周波数が適正か否かを判定し、条件が整っていなければステップS3に戻る。また、条件が整っていれば系統連系運転を開始するために、ステップS5で対地開閉器34を開状態にし、ステップS6で出力開閉器16を閉状態にして連系運転を開始する。この状態では、直交流変換回路15のスイッチング動作、つまり電力変換動作が制御され交流電力系統5に電力が供給される。
【0037】そして、ステップS7で系統連系運転を停止すべき条件が発生したか否かを監視し、そのような条件が発生したら、言い換えれば地絡の発生が検出されたらステップS8に進み、直交流変換回路15のスイッチング動作を停止させ、出力開閉器16を開状態にして系統連系を解除した後、ステップS2に戻り、地絡の検出を行う。
【0038】一方、ステップS3で地絡が検出された場合は、ステップS9で対地開閉器34を開状態にし、ステップS10で地絡の発生および検出された電圧値をメモリ23に記録し、ステップS11で直交流変換回路15などの動作を停止し、パワーコンディショナ3の停止状態を維持する。つまり、地絡という異常状態が検出されたので、安全のために停止状態を保持する。
【0039】このように、本実施形態によれば、パワーコンディショナ3が商用電力系統から切り離された状態で、接地開閉器34を閉じた時の対地電位を測定することにより、トランスレスタイプのパワーコンディショナ3が系統連系運転していない期間においても地絡を検出することができる。
【0040】また、対地電位を検出する方式は、一般に、入力または出力の差電流を検出する方式より比較的容易に高感度が得られる。つまり、軽度の地絡が発生して、比較的地絡抵抗が高い時でも地絡が検出できる。
【0041】また、太陽電池は日射強度に応じた発電をするので、曇天時などはある程度の電圧は発生するが、系統連系運転を開始する条件に到達せず、一日中、系統連系運転ができない場合もあり得る。本実施形態によれば、そうした場合でも地絡を検出することができる。
【0042】また、地絡検出回路22の構成は図2に示すものに限らない。例えば、図4Aから4Cに示すような構成も可能である。それらの図に示す「+」および「-」の端子は入力端子11へ接続される。何れの図に示す回路でも接地開閉器34または開閉器63および/または64を接続した時に零以外の電位が検出されれば地絡が発生していることになる。さらに、図4Aおよび4Bに示す回路ではスイッチ45を切り換えることで、また、図4Cに示す回路ではスイッチ63および64の開閉の組み合わせにより、地絡が直流電力ラインのどちらの極性寄りで地絡が発生しているかを知ることができる。例えば、図4Aの回路でスイッチ45を切り換えて電位を測定した場合、レジスタ41と42との接続点の対地電位をEs1、レジスタ42と43との接続点の対地電位をEs2とすれば、|Es1|>|Es2|であれば負極ラインよりで、|Es1|<|Es2|であれば正極ラインよりで地絡が発生していることがわかる。
【0043】また、系統連系運転(系統連系運転が継続可能)時に、所定の条件により、商用電力系統5からパワーコンディショナ3を切り離して地絡検出を行うようにしてもよい。条件としては、例えば、所定周期で系統連系運転を停止したり、所定周期が経過した後、電源1の発電量が所定値以下の場合に系統連系運転を停止するなど、様々な条件が考えられる。
【0044】また、地絡検出結果をメモリ23に記録することで、地絡の発生を確実に知ることができる。そして、記録された検出された電圧値から地絡箇所が予測できるメリットもある。例えば、雨天に限って地絡抵抗値が低下し、調査時に地絡を再現させることが困難な場合もある。このような場合、本実施形態のように、検出された電圧が記録されていれば、地絡箇所を予測することが可能になる。
【0045】さらに、地絡の検出結果を記録する際に、日時やパワーコンディショナ3の起動後の稼働時間を示すデータなどを記録してもよい。こうすれば、地絡発生状況がより詳細に掴め、地絡に対処し易い。
【0046】なお、パワーコンディショナ3内部の結露により地絡が検出される場合もあるので、地絡が検出され停止状態の維持後も、所定周期で地絡検出を行うのが望ましい。パワーコンディショナ3内部の結露が原因であれば結露が解消された後、運転を開始することもできるし、そのようなデータをメモリ23に記録しておけば、後の調査時に役に立つことは言うまでもない。
【0047】さらに、地絡が検出された場合、ブザーやLEDなどによって地絡を報知するようにしてもよく、地絡発生に対して早急な処置が可能になる。
【0048】その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0049】すなわち、第1実施形態によれば、出力開閉器を開状態、かつ、対地開閉器を閉状態にすることで、地絡が発生していれば「電源(太陽電池モジュール)」−「インピーダンス素子(抵抗器)」−「アース」−「電源」という回路が形成される。この回路によって発生する対地電位を利用して地絡を検出するので、入出力が非絶縁である電力制御装置(パワーコンディショナ)において系統連系運転が行われていない場合、言い換えれば接地負荷である商用電力系統が接続されていない場合でも太陽電池アレイなどの電源における地絡が検出できる。
【0050】また、第1実施形態にかかる電源1である太陽電池モジュールとパワーコンディショナ3とを一体に設置してもよい。その場合、太陽電池モジュールが発生する電力をパワーコンディショナ3へ供給するための集電手段を太陽電池モジュールに設ければ発電装置全体の省スペース化が図れる。
【0051】
【第2実施形態】以下、本発明にかかる第2実施形態の太陽光発電装置を説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0052】図5は第2実施形態の太陽光発電装置の構成例を示すブロック図で、第1実施形態と異なるのは自立出力用の交流電力が供給される非接地の負荷24を有することである。なお、ここでいう「自立出力」とは、電力系統とは独立した負荷に電力を供給する出力のことである。
【0053】[パワーコンディショナ]図6は本実施形態のパワーコンディショナ3の構成例を示すブロック図である。以下では、第1実施形態と異なる点について説明する。
【0054】負荷24は、自立出力用の交流電力が出力される自立出力端子25に接続される。26は自立出力の開閉を行う自立出力開閉器、27は自立出力側のノイズフィルタである。なお、制御回路21は、自立出力開閉器26および出力開閉器16の少なくとも一方が閉状態になるように、それら開閉器の開閉を制御する。
【0055】図7は制御回路21により実行される制御手順を説明するフローチャートである。図3に示した第1実施形態と異なるのはステップS31からS34が追加されていることである。以下、ステップS31からS34について説明する。
【0056】ステップS31では、地絡は発生していないので、自立運転を開始する他の条件(例えば商用電力系統5が停電状態にある)が揃っているか否かを判定する。自立運転を開始すべきであればステップS32へ進み、そうでなければステップS33に進む。
【0057】ステップS32では、自立出力開閉器26を閉状態にして自立運転を開始する。直交流変換回路15のスイッチングを自立運転用に制御して負荷24への電力供給を開始した後、ステップS33に進む。
【0058】ステップS33では、自立運転を停止する条件(例えば商用電力系統5が復旧)が揃うのを監視し、自立運転を停止すべきであればステップS34に進み、そうでなければステップS4に進む。
【0059】ステップS34では、直交流変換回路15のスイッチングを停止し、自立出力開閉器26を開状態にして負荷24を切り離した後、ステップS4に進む。
【0060】このように、自立運転が継続されている間は、ステップS3からステップS4が繰り返され、電源1に地絡が発生するとステップS3で地絡が検出される。
【0061】本実施形態によれば、商用電力系統を切り離した状態で非接地の負荷24に電力を供給している自立運転期間においても電源1における地絡を検出することが可能である。勿論、負荷24が地絡した場合も、閉ループができれば同様に地絡が検出できる。
【0062】
【第3実施形態】以下、本発明にかかる第3実施形態の太陽光発電装置を説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0063】第3実施形態において、第1実施形態と異なるのはパワーコンディショナ3の構成である。以下では、第3実施形態のパワーコンディショナ3について詳細に説明する。
【0064】図8は本実施形態のパワーコンディショナ3の構成例を示すブロック図で、出力開閉器16と交流電流検出器20との間に配置され、交流電力ラインの差電流を検出する差電流検出器28を備える。差電流検出器28の検出値は制御回路21へ送られる。
【0065】図9は制御回路21により実行される制御手順を説明するフローチャートである。図3に示した第1実施形態と異なるのはステップS41およびS42が追加されていることである。以下、ステップS41およびS42について説明する。
【0066】ステップS41で、差電流が検出されるか否か、具体的には検出される差電流の値が所定値より大きいか否かにより地絡の有無を判定する。差電流の値が所定値より大きければ地絡が発生したと判断してステップS42に進む。そうでなければ地絡は発生していないと判断してステップS27へ進む。従って、系統連系運転が継続される場合はステップs41およびS7が繰り返される。
【0067】ステップS42では、系統連系運転中に差電流により地絡が検出されたので、直交流変換回路15のスイッチングを停止し、出力開閉器16を開にした後、ステップS10に進む。勿論、ステップS10では、対地電圧または差電流のどちらによって地絡が検出されたかをメモリ23に記録する。
【0068】このように、本実施形態によれば、系統連系運転期間は差電流により地絡を検出し、系統連系運転が停止中は対地電位により地絡を検出する。従って、系統連系運転をしてるか否かにかかわらず地絡を検出することができる。
【0069】また、差電流による地絡検出および対地電位による地絡検出には、それぞれ検出不可能な条件(地絡箇所、地絡抵抗など)があるが、両者を組み合わせることで、検出不可能な条件(領域)を互いに補完することができ、地絡検出が不可能な条件を狭める効果がある。
【0070】また、本実施形態においても、系統連系運転が継続可能な場合に、所定の条件により系統連系運転を一旦停止し、対地電位による地絡検出を行うようにしてもよい。こうすれば、差電流では検知できないレベルの地絡でも対地電位による地絡検出により検知可能な場合があり、早い時期に地絡を検出することができる。例えば、差電流20mAが検出される地絡の地絡抵抗値は最大で10kΩ程度であるが、対地電位を検出すれば最大感度で数100kΩの地絡抵抗値を有する地絡が比較的容易に検出でき、検出感度を極めて高くすることができる。
【0071】また、差電流によって地絡を検出し、停止保持(S23)の後に、対地電位による地絡検出を行ってもよい。差電流を検出しただけではわからない地絡箇所が特定できる場合もあり、後で地絡を調査する際に役立つ。
【0072】さらに、上述した各実施形態は、系統連系パワーコンディショナに限らず、入力される直流電力を電圧の異なる直流電力に変換するDC/DCコンバータの場合も適用可能である。つまり、図2、図6および図8における直交流変換回路15をDC/DCコンバータに置き換えることが可能である。
【0073】その他、本発明の趣旨の範囲で種々の変形が可能である。
【0074】以上説明した各実施形態によれば、直流電源の出力ライン間に分圧器を接続し、分圧器の分圧点と接地電位との間に電圧検出器を接続する。そして、電圧検出器の検出値に基づき地絡を検出することができる。従って、各実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)トランスレスタイプの系統連系パワーコンディショナにおいて、系統連系運転が停止されていても対地電位を検出するにより、地絡を検出することが可能である。
(2)とくに太陽電池の場合は、日射条件によって一日中、系統連系運転が停止されることがあり、上記(1)の効果は大きい。
(3)自立運転中でも地絡を検出できる。とくに長期間自立運転する場合には効果は大きい。
(4)さらに、系統連系運転時には、差電流により地絡を検出することで、系統連系運転にかかわらず、地絡を検出することができる。
(5)上記(4)のように差電流による地絡検出を追加すれば、差電流および対地電位による地絡検出が行われるので、地絡検出の不可能な条件(領域)が狭めることができる。
(6)系統連系運転を一旦停止して対地電位による地絡検出することで、早期に地絡を検出することができる。
(7)検出された地絡を不揮発性のメモリに記録することで、後で地絡の発生を知ることができる。さらに、地絡発生時の検出値をメモリに記録することで、地絡箇所の推定が容易になる。
【0075】
【他の実施形態】また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることはいうまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることはいうまでもない。
【0076】さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることはいうまでもない。
【0077】本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、接地された負荷に未接続の状態で地絡を検出することができる電力供給装置およびその制御方法を提供することができる。
【0079】さらに、接地された負荷への接続/未接続に関係なく地絡を検出することができる電力供給装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の太陽光発電装置の構成例を示すブロック図、
【図2】図1に示すパワーコンディショナの構成例を示すブロック図、
【図3】図2に示す制御回路により実行される制御手順を説明するフローチャート、
【図4A】地絡検出回路の他の構成例を示す図、
【図4B】地絡検出回路の他の構成例を示す図、
【図4C】地絡検出回路の他の構成例を示す図、
【図5】第2実施形態の太陽光発電装置の構成例を示すブロック図、
【図6】図5に示すパワーコンディショナの構成例を示すブロック図、
【図7】図6に示す制御回路により実行される制御手順を説明するフローチャート、
【図8】第3実施形態のパワーコンディショナの構成例を示すブロック図、
【図9】図8に示す制御回路により実行される制御手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 電源
5 商用交流系統
11 入力端子
12 出力端子
13 接地端子
14 入力側ノイズフィルタ
15 直交流変換回路
16 出力開閉器
17 出力側ノイズフィルタ
25 自立出力端子
26 自立出力開閉器
27 自立出力側ノイズフィルタ
28 差電流検出器
34 対地開閉器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 直流電源から供給される電力を接地された負荷に供給する電力供給装置であって、前記接地負荷へ電力を供給する、入出力が非絶縁の電力供給手段と、前記電力供給手段と前記接地負荷との間を開閉する第一の出力開閉器と、前記装置の電力入力端近傍と接地電位との間に、インピーダンス手段、電圧または電流検出手段、および、対地開閉器を有する地絡検出回路と、前記電力供給手段、前記第一の出力開閉器および前記地絡検出回路を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記第一の出力開閉器を開状態、および、前記対地開閉器を閉状態にした場合に前記電圧または電流検出手段により検出される電圧または電流値に基づき、前記接地負荷以外における地絡を検出することを特徴とする電力供給装置。
【請求項2】 さらに、前記電力供給手段と前記第一の出力開閉器との間の複数の電力線に流れる電流の差分を検出する差電流検出手段を備え、前記制御手段は、前記第一の出力開閉器が閉状態、および、前記対地開閉器が開状態においては前記差電流検出手段を用いて前記地絡を検出することを特徴とする請求項1に記載された電力供給装置。
【請求項3】 さらに、非接地の負荷に電力を供給するために、前記電力供給手段と前記非接地負荷との間を開閉する第二の出力開閉器を有し、前記制御手段は、前記第一および第二の出力開閉器の一方が開状態の場合は他方を閉状態に制御するとともに、前記第二の出力開閉器が閉状態の場合は前記対地開閉器を閉状態として前記地絡を検出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された電力供給装置。
【請求項4】 前記制御手段は、前記地絡の検出結果に基づき前記電力供給手段の動作を制御することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載された電力供給装置。
【請求項5】 前記制御手段は、前記地絡検出の結果を記憶させる不揮発メモリを有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載された電力供給装置。
【請求項6】 前記直流電源は太陽電池であることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載された電力供給装置。
【請求項7】 前記電力供給手段は、前記直流電源の出力電力を負荷に応じた形態に変換して供給することを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載された電力供給装置。
【請求項8】 前記接地負荷は電力系統であることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載された電力供給装置。
【請求項9】 接地された負荷へ電力を供給する、入出力が非絶縁の電力供給手段、前記電力供給手段と前記接地負荷との間を開閉する第一の出力開閉器、並びに、前記装置の電力入力端近傍と接地電位との間に、インピーダンス手段、電圧または電流検出手段、および、対地開閉器を有する地絡検出回路を備え、直流電源から供給される電力を前記接地負荷に供給する電力供給装置の制御方法であって、前記第一の出力開閉器を開状態、および、前記対地開閉器を閉状態にし、前記電圧または電流検出手段により検出される電圧または電流値に基づき、前記接地負荷以外における地絡を検出することを特徴とする制御方法。
【請求項10】 前記電力供給装置は、さらに、前記電力供給手段と前記第一の出力開閉器との間の複数の電力線に流れる電流の差分を検出する差電流検出手段を備え、前記第一の出力開閉器が閉状態、および、前記対地開閉器が開状態においては前記差電流検出手段を用いて前記地絡を検出することを特徴とする請求項9に記載された制御方法。
【請求項11】 前記電力供給装置は、さらに、非接地の負荷に電力を供給するために、前記電力供給手段と前記非接地負荷との間を開閉する第二の出力開閉器を有し、前記第一および第二の出力開閉器の一方が開状態の場合は他方を閉状態に制御し、前記第二の出力開閉器が閉状態の場合は前記対地開閉器を閉状態として前記地絡を検出することを特徴とする請求項9または請求項10に記載された制御方法。
【請求項12】 前記地絡の検出結果に基づき前記電力供給手段の動作を制御することを特徴とする請求項9から請求項11の何れかに記載された制御方法。
【請求項13】 前記地絡を検出した場合、その検出結果は前記装置のメモリに記録されることを特徴とする請求項9から請求項12の何れかに記載された制御方法。
【請求項14】 接地された負荷へ電力を供給する、入出力が非絶縁の電力供給手段、前記電力供給手段と前記接地負荷との間を開閉する第一の出力開閉器、並びに、前記装置の電力入力端近傍と接地電位との間に、インピーダンス手段、電圧または電流検出手段、および、対地開閉器を有する地絡検出回路を備え、直流電源から供給される電力を前記接地負荷に供給する電力供給装置を制御するプログラムコードが記録された記録媒体であって、前記プログラムコードは少なくとも、前記第一の出力開閉器を開状態、および、前記対地開閉器を閉状態にするステップのコードと、前記電圧または電流検出手段により検出される電圧または電流値に基づき、前記接地負荷以外における地絡を検出するステップのコードとを有することを特徴とする記録媒体。
【請求項15】 入力側に電源が接続され、開閉器を介した出力側に負荷が接続される電力供給装置であって、前記開閉器が開かれ、前記負荷との接続が遮断された状態で地絡検出を行う、入出力が非絶縁の地絡検出手段を有することを特徴とする電力供給装置。
【請求項16】 さらに、少なくとも地絡検出に先立ち、前記開閉器を開く制御手段を有することを特徴とする請求項15に記載された電力供給装置。
【請求項17】 入力側に電源が接続され、開閉器を介した出力側に負荷が接続され、地絡検出手段を有する電力供給装置の地絡を検出するための制御装置であって、前記地絡検出手段に地絡を検出させる前に前記開閉器を開状態に制御することを特徴とする制御装置。
【請求項18】 電源を接続するための入力端子、前記入力端子に接続された直交流変換回路、および、前記直交流変換回路の出力を装置外へ出力するための出力端子を有する電力供給装置であって、前記入力端子から前記直交流変換回路への電力路に接続される地絡検出手段と、前記直交流変換回路と前記出力端子との電気的接続を開閉する開閉手段とを有することを特徴とする電力供給装置。
【請求項19】 さらに、少なくとも地絡検出に先立ち、前記開閉器を開く制御手段を有することを特徴とする請求項18に記載された電力供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2001−169561(P2001−169561A)
【公開日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−343489
【出願日】平成11年12月2日(1999.12.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】