電力変換装置および電力変換方法
【課題】キャリア周波数の値を離散的に時間変化させる場合、キャリア周波数の高調波のスペクトルに形成される凸凹を低減し、ノイズのピークレベルを十分に低減した電力変換装置を提供する。
【解決手段】 PWMインバータ2により入力電力を三相交流に変換する電力変換装置において、PWMインバータ2を制御する制御装置5は、PWM制御の搬送波の周波数を、離散的かつ周期的に時間変化させるキャリア周波数変化部10と、キャリアをPWM比較部8a,8b,8cへ出力するキャリア出力部11とを備える。キャリア周波数変化部10は、所望の周波数帯域内において、キャリアの各次数の高調波の周波数スペクトルが連続するように、キャリア周波数の可変範囲を決定する。
【解決手段】 PWMインバータ2により入力電力を三相交流に変換する電力変換装置において、PWMインバータ2を制御する制御装置5は、PWM制御の搬送波の周波数を、離散的かつ周期的に時間変化させるキャリア周波数変化部10と、キャリアをPWM比較部8a,8b,8cへ出力するキャリア出力部11とを備える。キャリア周波数変化部10は、所望の周波数帯域内において、キャリアの各次数の高調波の周波数スペクトルが連続するように、キャリア周波数の可変範囲を決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングによる電磁ノイズを低減した電力変換装置および電力変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置のEMIノイズ対策として、特許文献1に記載のステッピングモータの駆動回路が知られている。この駆動回路は、4つのFETスイッチでHブリッジを構成し、直流電源からモータに印加される電流の大きさと向きを制御している。FETスイッチの開閉は、PWM制御により行われ、FETスイッチの開閉によって、EMIノイズが発生する。EMIノイズのスペクトルは、PWMのキャリア周波数およびその高調波周波数にピークを示す。
【0003】
この従来技術は、EMIノイズレベルを低減するために、PWM制御におけるキャリア周波数を時間経過とともに正弦波状に連続的に変化させている。キャリア周波数の変化範囲は、一般的には広くしたほうがピークレベルが低くなると考えられている。その例としては、非特許文献1の記事がある。ただしこれは、クロック信号に対してアナログ的に周波数変調している場合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−99795号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「拡散スペクトルクロック発生器」櫻井秋久、月刊EMC,No.109(1997.5.5)p.22〜p.28
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
デジタル制御によりキャリア周波数の値を離散的に時間変化させる場合には、EMIノイズスペクトルは、キャリア周波数の離散的な値をそれぞれ用いて、キャリア周波数一定の条件のもとで動作させた場合の各EMIスペクトルを平均した値とほぼ一致する、すなわち準静的に考えることができる。しかしながら、キャリア周波数の値を離散的に時間変化させた場合、各キャリア周波数の高調波の分布に応じて、高調波EMIスペクトルに凸凹が形成され、ノイズのピークレベルを十分に低減することができないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために本発明は、開閉手段をPWM制御することにより入力電力を所望の形態に変換する電力変換装置であって、PWM制御の搬送波の周波数を離散的かつ周期的に時間変化させる際に、所望の周波数帯域内において、搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するように、搬送波周波数の可変範囲を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所望の周波数帯域におけるPWM搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するので、搬送波の高調波によるEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電力変換装置の実施例を備えた電力変換システムを示すブロック図である。
【図2】デジタル制御におけるキャリア周波数の三角波状の時間変化例を示すタイムチャートである。
【図3】本発明におけるキャリア周波数の高調波の拡散スペクトルの一般例を示す図である。
【図4】実施例におけるキャリア周波数の高調波の拡散スペクトル例を示す図である。
【図5】実施例におけるキャリア周波数の高調波の分布の計算値を示す図である。
【図6】単体スイッチ素子による負荷駆動への本発明の適用例を示す図である。
【図7】DC−DCコンバータへの本発明の適用例を示す図である。
【図8】デジタル制御におけるキャリア周波数の鋸状の時間変化例を示す図である。
【図9】デジタル制御におけるキャリア周波数の周期波形の時間変化を示す図である。
【図10】デジタル制御におけるキャリア周波数の正弦波状の時間変化を示す図である。
【図11】キャリア周波数の高調波の拡散スペクトル例を示す図である。
【図12】キャリア周波数の高調波の分布の計算値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に図面を参照して、本発明を詳細に説明する。実施形態の説明の前に、本発明者らによる電力変換装置のノイズスペクトルに関する知見を説明する。PWM制御の電力変換装置において、キャリア周波数を離散的に時間とともに変化させても、スイッチング回数の時間平均が変わらないことから、その時に形成されるEMIスペクトルのエネルギの合計は変化しない。従って、ノイズスペクトルが平坦になればなるほどピークレベルが低減される。逆に言うと、EMIスペクトルの凹凸が大きいほど、ピークレベルが高くなる。
【0011】
例えば、所望周波数帯域としてAMラジオ放送の帯域(およそ500kHzから1650kHzとする)のEMIスペクトルのレベルを下げたい場合を考える。図11のように、キャリア周波数の変化の範囲を15kHz±0.1kHzの範囲とすると、キャリア周波数の33次高調波のスペクトルが491.7kHz〜498.3kHzの範囲で拡散する。また34次の高調波のスペクトルが506.6kHz〜513.4kHzの範囲で拡散する。しかし、33次と34次の高調波の拡散スペクトルの間の498.3kHz〜506.6kHzの帯域には、高調波のEMIスペクトルが入らないため、スペクトルの凹みが形成されることになる。先に述べたように、キャリア周波数を時間変化させても、EMIのトータルのエネルギは変わらないことから、この凹みにもEMIスペクトルを拡散すれば、さらにEMIスペクトルのレベルを低減できることになる。
【0012】
一方、図12(a)は、キャリア周波数の変化の範囲を13.39kHz〜17.05kHzとし、その時に使用するキャリア周波数の値の個数を9個とした場合の高調波の分布を示したものである。横軸は上記と同様AMラジオ放送の周波数帯域、縦軸はキャリア周波数の時間変化一周期中に各高調波が占める割合から求めた分布である。ここでは分解能帯域幅(RBW)を9kHzと想定して計算している。この分布を見ると、およそ500kHzとその整数倍の周波数を中心としたレベルの高い帯域があることがわかる。これは、キャリア周波数の逆数であるキャリア周期の変化範囲と時間変化に使用するキャリア周波数(周期)の値の個数に起因して起こるものである。
【0013】
この場合では、キャリア周波数の変化に使用するキャリア周波数値の逆数であるキャリア周期の平均の間隔、すなわち最大キャリア周期と最小キャリア周期の値の差をキャリア周波数の値の個数−1(この場合は8)で割った数の逆数、
8/{1/(13.39×103 )−1/(17.05×103 )}
≒500×103 Hz
=500kHz
とその整数倍付近に高調波の集中する帯域が形成される。
【0014】
この帯域はEMIスペクトルのレベルの高い帯域になる。このように、キャリア周波数の変化の範囲とキャリア周波数変化に使用する個数によっては、キャリア周波数を時間変化しても、EMIスペクトルに凹凸が形成され、レベル低減が十分なされないことがありうる。
【0015】
なお図12(b)は、図12(a)の場合と同様、キャリア周波数の変化の範囲を13.39kHz〜17.05kHz、その時に使用するキャリア周波数の値の個数を9個とした場合の高調波の分布ではあるが、キャリア周波数の値を図12(a)の場合と異なる値を使用した場合の高調波の分布である。この場合でもやはり同様の傾向として500kHzとその整数倍の周波数付近に高調波が集中する帯域が形成されている。
【0016】
本発明は、以上の知見に基づいて行われたものであり、キャリア周波数の高調波のEMIスペクトルの凹凸を低減するキャリア周波数の可変範囲を設定することにより、EMIのピークレベルを低減した電力変換装置を提供する。
【0017】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る電力変換装置の実施例を説明する電力変換システム1のシステム構成図である。
【0018】
図1の電力変換システム1は、直流をPWM制御により三相交流に変換するPWMインバータ2、三相ブラシレスモータ(以下、三相モータと略記)3、電流センサ4a、4b、4c(総称して電流センサ4と呼ぶことがある)、PWMインバータ2へPWM制御信号を供給する制御装置5、を主な構成要素として備える。
【0019】
制御装置5は、電流指令値生成部6、PID制御部7a、7b、7c、PWM比較部8a、8b、8c、信号反転部9a、9b、9c、キャリア周波数変化部10,キャリア出力部11を備える。
【0020】
PWMインバータ2は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )等の半導体素子により構成された6個のスイッチング素子Tu+、Tu−、Tv+、Tv−、Tw+、Tw−を備える。PWMインバータ2は、PWM比較部8a、8b、8cの制御に従って、電池B及びコンデンサCから成る直流電源の正極又は負極を選択し、選択した電極を三相モータ3のU相、V相、W相の各電極に接続する。
【0021】
電流センサ4a、4b、4cは、それぞれ、PWMインバータ2から三相モータ3に供給されるU相、V相、W相の電流値を検出する。電流指令値生成部6は、電流センサ4a、4b、4cの検出値が正弦波状の交流電流に変換されるように、正弦波状の電流指令値を生成する。PID制御部7a、7b、7cは、電流センサ4a、4b、4cの検出値が電流指令値生成部6が生成した電流指令値に従うように、電流指令値と電流センサ4a、4b、4cの検出値に基づいてPWM比較部8a、8b、8cへ出力するデューティ指令値に相当するレベル指令値をPID制御する。キャリア出力部11は、三角波状キャリア信号を各相毎に生成してPWM比較部8a,8b,8cへ出力する。
【0022】
PWM比較部8a、8b、8cは、PID制御部7a、7b、7cが出力するレベル指令値と、三角波状キャリア信号との大小関係を比較し、その大小関係に応じてPWMインバータ2のスイッチング素子Tu+、Tv+、Tw+のオン/オフを制御する信号をPWMインバータ2へ出力する。信号反転部9a、9b、9cは、PWM比較部8a、8b、8cの出力を反転して、スイッチング素子Tu−、Tv−、Tw−のオン/オフを制御する信号をPWMインバータ2へ出力する。
【0023】
ここで、U相のスイッチング素子Tu+、Tu−の制御を例として、PWM比較部8aの動作を具体的に説明する。PWM比較部8aは、PID制御部7aの出力値が三角波状キャリア信号よりも大きい場合、スイッチング素子Tu+、Tu−をそれぞれオン状態及びオフ状態に制御することにより正の電圧をモータのU相に印加する。逆にPID制御部7aの出力値が三角波状キャリア信号よりも小さい場合には、スイッチング素子Tu+、Tu−をそれぞれオフ状態及びオン状態に制御することにより、負の電圧を三相モータ3のU相に印加する。
【0024】
尚、本実施例では、制御装置5は、マイクロコンピュータで構成されているものとする。このマイクロコンピュータは、例えば、演算制御部であるCPUと、プログラム及び制御マップを記憶したROMと、作業用RAMと、入出力インタフェースとを備える。
【0025】
キャリア周波数変化部10は、キャリア出力部11から出力される三角波状キャリア信号の周波数fcを離散的に時間経過に伴って変化させる。例えば、キャリア周波数を三角波状に変化させる場合、キャリア周波数は図2に示されるように変化することになる。
【0026】
次に、キャリア周波数を離散的に時間変化させてEMIスペクトルを平坦化しレベルを低減するための、キャリア周波数の変化幅を設定する方法について説明する。
【0027】
最初に、キャリア周波数の高調波の拡散スペクトルが所望の帯域において連続になるようにキャリア周波数の変化幅の最小値を決定する方法について説明する。
【0028】
図3に示すように、キャリア周波数の中心値をfcc 、中心値fcc から上下に変化可能な可変幅を±Δfcとする。キャリア周波数の可変範囲は、fcc-Δfcからfcc+Δfcとなり、この場合、n次高調波の拡散スペクトルは、およそn(fcc-Δfc)からn(fcc+Δfc)までの帯域に広がる。また(n+1)次高調波の拡散スペクトルは、およそ(n+1)(fcc-Δfc)から(n+1)(fcc+Δfc)までの帯域に広がる。尚FminはEMIスペクトルのレベルを低減したい所望帯域の最低周波数、nはn≦Fmin/fc を満たす最大の整数である。
【0029】
今必要な要件は、Fminよりも高い帯域において、高調波の拡散スペクトルが連続であることである。そのためには(n+1)次高調波の拡散スペクトルの最低周波数が、n次高調波の拡散スペクトルの最大周波数以下になっていればよい。すなわち式(1)に示す不等式を満たすようにΔfcを決めればよい。
(n+1)(fcc-Δfc)≦n(fcc+Δfc) …(1)
式(1)を整理すると、式(2)となる。
fcc/(2n+1)≦Δfc …(2)
つまり、Δfcをfcc/(2n+1)以上の値として、可変範囲(fcc-Δfc〜fcc+Δfc)でキャリア周波数を時間変化させればよい。なおキャリア周波数は、例えばスイッチングによる発熱や損失、音響ノイズの発生といったシステム要件で可変範囲が規定される場合がある。その場合は、システム要件で決まる可変範囲の中で式(2)を満たすようにキャリア周波数可変範囲を決定する。
【0030】
具体的な値を用いた例として、fccを15kHz、Δfcを0.5kHz、Fminを500kHzとした場合のEMIスペクトルを模式的に描いたものが図4である。この場合は式(2)を満足しており、Fmin以上の帯域の最も低い次数である33次高調波の拡散スペクトルと34次高調波の拡散スペクトルが連続となっている。これ以上の帯域では、拡散スペクトルは必ず連続となる。
【0031】
さて、PWM制御においては、例えばデューティが50%で駆動させるような場合がある。この場合、PWMインバータ2の出力波形には、奇数次の高調波のみ存在し、偶数次の高調波は存在しない。このような場合、隣り合う高調波の拡散スペクトルが連続となるためには、或る奇数次の高調波の拡散スペクトルと、次の奇数次の高調波の拡散スペクトルとが連続になる必要がある。
【0032】
このような場合はキャリア周波数の変化幅としては式(2)の2倍の範囲とすれば、高調波の拡散スペクトルが連続となる。すなわち、式(3)を満たすようにキャリア周波数の変化幅を決める。
2fcc/(2n+1)≦Δfc …(3)
【0033】
次にキャリア周波数の変化幅の最大値を規定する方法について説明する。この場合は、キャリア周波数の変化範囲と変化に使用するキャリア周波数の値の個数に起因して形成されるキャリア周波数の高調波が集中する帯域、つまりEMIスペクトルのレベルが高い帯域が、所望の帯域の範囲外、特に所望の帯域よりも高い帯域になるようにすることから、キャリア周波数の変化幅の最大値を規定する方法である。
【0034】
ここで、キャリア周波数の変化範囲と変化に使用するキャリア周波数の値の個数に起因して形成されるキャリア周波数の高調波が集中する帯域とは、使用するキャリア周波数の逆数であるキャリア周期の平均の間隔、言い換えるとキャリア周期の最大値と最小値の差をキャリア周波数の値の個数−1で割った値の逆数の周波数とその整数倍の周波数付近の帯域である。この帯域が所望の帯域に入らないように、キャリア周波数の変化の範囲を規定してやればよい。式で表現すると、キャリア周期の最大値、最小値をそれぞれTcmax、Tcminとし、キャリア周波数の値の個数をNとすると、
(N-1)/(Tcmin-Tcmax) …(4)
とその整数倍の周波数付近の帯域にキャリア周波数の高調波の分布が集中しやすい。したがって、Fmaxを所望の周波数帯域の最大周波数とすると、
Fmax≦(N-1)/(Tcmax-Tcmin) …(5)
を満足するようにキャリア周波数を選択し、その値を使用してキャリア周波数を変化させることによって、EMIの影響を抑制することができる。
【0035】
例えば上記の式(4)とその整数倍の帯域がAMラジオの帯域(およそ500kHzから1650kHzとする)に入らないようにすることを考える。今キャリア周波数の変化に使用するキャリア周波数の値の個数を9個とし、キャリア周波数の値の最大値、最小値をそれぞれ15.23kHz、14.78kHzとする。この場合、式(4)の値を求めると、式(6)となる。
(9-1)/{1/15.23×103)-1/(14.78×103)}≒4×106Hz=4MHz …(6)
つまりこの場合は、上記キャリア周波数の高調波の分布が集中しやすい帯域で最低の周波数は4MHz 付近となり、AMラジオの帯域よりも高い周波数であるため、AMラジオの帯域におけるEMIスペクトルを平坦化できることになる。
【0036】
なお上式において、Tcmax(=1/(fcc-Δfc))とTcmin(=1/(fcc+Δfc))とし、近似を用いて書き直すと、式(7)となり、キャリア周波数の変化の範囲の最大値を規定する式になっていることがわかる。
Δfc≦N・fcc2/(2Fmax) …(7)
なお、Nは使用するCPUのクロックによって制限される場合がある。例えばクロック周波数が1MHz の場合、その逆数のクロック周期は1μsecとなる。キャリア周期はクロック周期の整数倍の値に限定されるため、例えばキャリア周期の範囲を100μsecから110μsecとすると、Nの個数は最大でも11個しか使用できないことになる。上記は、キャリア周波数の時間変化に使用できるNの個数が制限されている場合におけるキャリア周波数の範囲を規定する方法についての説明である。
【0037】
逆に、発熱や音振等のシステム要件からキャリア周波数の変化範囲に制限がある場合(つまりΔfcに上限がある場合)場合がある。この場合にキャリア周波数の変化範囲と変化に使用するキャリア周波数の値の個数に起因して形成されるキャリア周波数の高調波が集中する帯域が、所望の帯域に入らないようにする場合は、キャリア周波数の個数を適切に決定してやればよい。それは上記の考え方に基づき、以下の式(8)で規定することができる。
Fmax(Tcmax-Tcmin)+1≦N …(8)
これを同じく近似を用いて整理すると、式(9)となる。
2FmaxΔfc/fcc2≦N …(9)
なおこれまで、PWM制御により三相ブラシレスモータを駆動する電力変換装置を例に説明してきたが、本発明は、電力変換装置の構成に限定されず、スイッチの開閉によって電力の形態を変化させることが可能な電力変換装置のキャリア周波数を変化させる場合に用いる離散的なキャリア周波数値を規定するものである。
【0038】
例えば、従来技術の特許文献1に示されたHブリッジによりモータを駆動する構成や、図6に示されるような単体スイッチにより何らかの負荷を開閉する構成、図7に示されるようなDC−DCコンバータ等でも適用できる。
【0039】
また本発明は、特定のキャリア周波数の時間変化パターンに限定されない。例えば、図8に示されるような鋸波状変化、図9に示されるような周期波形状変化、図10に示すような正弦波状変化をはじめ、様々なキャリア周波数の時間変化パターンに適用できる。その場合、用いるキャリア周波数として上記に説明したような方法で周波数値を決定すればよい。
【0040】
以上説明した本実施形態によれば、PWM制御に用いる搬送波(キャリア)の周波数を、所望の周波数帯域内において、搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するように、搬送波周波数の可変範囲を決定することにより、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0041】
また、本実施形態によれば、所望の周波数帯域内において、搬送波の上限周波数の任意の次数の高調波の周波数が、搬送波の下限周波数の前記次数より1次高い次数の高調波の周波数以下となるように、搬送波周波数の可変範囲を決定することにより、所望の周波数帯域において搬送波の各次数の高調波のスペクトルが連続し、EMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0042】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の可変範囲をfcc-Δfc〜fcc+Δfcとし、nはn≦Fmin/fccを満たす最大の整数とし、Fminは所望の周波数帯域の最低周波数とすると、搬送波周波数の可変範囲は、
fcc/(2n+1)≦Δfc
の関係を満たすように設定するので、簡単かつ正確に、EMIノイズの影響を抑制することができる搬送波周波数の可変範囲を計算することができるという効果がある。
【0043】
また、本実施形態によれば、所望の周波数帯域内において、搬送波の上限周波数の任意の次数の高調波の周波数が、搬送波の下限周波数の前記次数より2次高い次数の高調波の周波数以下となるように、搬送波周波数の可変範囲を決定することにより、搬送波が奇数次または偶数次の高調波しか含まない場合でも、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0044】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の可変範囲をfcc-Δfc〜fcc+Δfcとし、nはn≦Fmin/fccを満たす最大の整数とし、Fminは所望の周波数帯域の最低周波数とすると、搬送波周波数の可変範囲は、
2fcc/(2n+1) ≦Δfc
の関係を満たすように設定するので、搬送波が奇数次または偶数次の高調波しか含まない場合も含めて、簡単かつ正確に、EMIノイズの影響を抑制することができる搬送波周波数の可変範囲を計算することができるという効果がある。
【0045】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の可変範囲は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域内に入らないように決定するので、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0046】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の可変範囲は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域の最大周波数よりも大きくなるように決定するので、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0047】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の逆数である搬送波周期の変化範囲をTcmin〜Tcmaxとし、搬送波周波数の変化に使用する搬送波周波数値の個数をNとし、所望の周波数帯域の最大周波数をFmaxとすると、搬送波周波数の可変範囲は、
Fmax≦(N-1)/(Tcmax-Tcmin)
の関係を満たすように設定するので、搬送波周波数値の個数を考慮した搬送波周波数の可変範囲を設定することができ、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0048】
また、本実施形態によれば、記搬送波周波数を変化させる場合に使用する搬送波周波数の個数は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域内に入らないように決定するので、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0049】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の逆数である搬送波周期の変化範囲をTcmin〜Tcmaxとし、所望帯域の最大周波数をFmaxとすると、搬送波周波数の変化に使用する搬送波周波数値の個数Nは、
Fmax(Tcmax-Tcmin)+1 ≦N
の関係を満たすように設定するので、EMIノイズの影響を効果的に抑制することができる搬送波周波数値の個数を算出することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0050】
1 電力変換システム
2 PWMインバータ(開閉手段)
3 三相ブラシレスモータ
4 電流センサ
5 制御装置(制御手段)
6 電流指令値生成部
7a,7b,7c PID制御部
8a,8b,8c PWM比較部(PWM比較手段)
9a,9b,9c 信号反転部
10 キャリア周波数変化部(搬送波周波数変化手段)
11 キャリア出力部(搬送波出力手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングによる電磁ノイズを低減した電力変換装置および電力変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置のEMIノイズ対策として、特許文献1に記載のステッピングモータの駆動回路が知られている。この駆動回路は、4つのFETスイッチでHブリッジを構成し、直流電源からモータに印加される電流の大きさと向きを制御している。FETスイッチの開閉は、PWM制御により行われ、FETスイッチの開閉によって、EMIノイズが発生する。EMIノイズのスペクトルは、PWMのキャリア周波数およびその高調波周波数にピークを示す。
【0003】
この従来技術は、EMIノイズレベルを低減するために、PWM制御におけるキャリア周波数を時間経過とともに正弦波状に連続的に変化させている。キャリア周波数の変化範囲は、一般的には広くしたほうがピークレベルが低くなると考えられている。その例としては、非特許文献1の記事がある。ただしこれは、クロック信号に対してアナログ的に周波数変調している場合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−99795号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「拡散スペクトルクロック発生器」櫻井秋久、月刊EMC,No.109(1997.5.5)p.22〜p.28
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
デジタル制御によりキャリア周波数の値を離散的に時間変化させる場合には、EMIノイズスペクトルは、キャリア周波数の離散的な値をそれぞれ用いて、キャリア周波数一定の条件のもとで動作させた場合の各EMIスペクトルを平均した値とほぼ一致する、すなわち準静的に考えることができる。しかしながら、キャリア周波数の値を離散的に時間変化させた場合、各キャリア周波数の高調波の分布に応じて、高調波EMIスペクトルに凸凹が形成され、ノイズのピークレベルを十分に低減することができないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために本発明は、開閉手段をPWM制御することにより入力電力を所望の形態に変換する電力変換装置であって、PWM制御の搬送波の周波数を離散的かつ周期的に時間変化させる際に、所望の周波数帯域内において、搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するように、搬送波周波数の可変範囲を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所望の周波数帯域におけるPWM搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するので、搬送波の高調波によるEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る電力変換装置の実施例を備えた電力変換システムを示すブロック図である。
【図2】デジタル制御におけるキャリア周波数の三角波状の時間変化例を示すタイムチャートである。
【図3】本発明におけるキャリア周波数の高調波の拡散スペクトルの一般例を示す図である。
【図4】実施例におけるキャリア周波数の高調波の拡散スペクトル例を示す図である。
【図5】実施例におけるキャリア周波数の高調波の分布の計算値を示す図である。
【図6】単体スイッチ素子による負荷駆動への本発明の適用例を示す図である。
【図7】DC−DCコンバータへの本発明の適用例を示す図である。
【図8】デジタル制御におけるキャリア周波数の鋸状の時間変化例を示す図である。
【図9】デジタル制御におけるキャリア周波数の周期波形の時間変化を示す図である。
【図10】デジタル制御におけるキャリア周波数の正弦波状の時間変化を示す図である。
【図11】キャリア周波数の高調波の拡散スペクトル例を示す図である。
【図12】キャリア周波数の高調波の分布の計算値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に図面を参照して、本発明を詳細に説明する。実施形態の説明の前に、本発明者らによる電力変換装置のノイズスペクトルに関する知見を説明する。PWM制御の電力変換装置において、キャリア周波数を離散的に時間とともに変化させても、スイッチング回数の時間平均が変わらないことから、その時に形成されるEMIスペクトルのエネルギの合計は変化しない。従って、ノイズスペクトルが平坦になればなるほどピークレベルが低減される。逆に言うと、EMIスペクトルの凹凸が大きいほど、ピークレベルが高くなる。
【0011】
例えば、所望周波数帯域としてAMラジオ放送の帯域(およそ500kHzから1650kHzとする)のEMIスペクトルのレベルを下げたい場合を考える。図11のように、キャリア周波数の変化の範囲を15kHz±0.1kHzの範囲とすると、キャリア周波数の33次高調波のスペクトルが491.7kHz〜498.3kHzの範囲で拡散する。また34次の高調波のスペクトルが506.6kHz〜513.4kHzの範囲で拡散する。しかし、33次と34次の高調波の拡散スペクトルの間の498.3kHz〜506.6kHzの帯域には、高調波のEMIスペクトルが入らないため、スペクトルの凹みが形成されることになる。先に述べたように、キャリア周波数を時間変化させても、EMIのトータルのエネルギは変わらないことから、この凹みにもEMIスペクトルを拡散すれば、さらにEMIスペクトルのレベルを低減できることになる。
【0012】
一方、図12(a)は、キャリア周波数の変化の範囲を13.39kHz〜17.05kHzとし、その時に使用するキャリア周波数の値の個数を9個とした場合の高調波の分布を示したものである。横軸は上記と同様AMラジオ放送の周波数帯域、縦軸はキャリア周波数の時間変化一周期中に各高調波が占める割合から求めた分布である。ここでは分解能帯域幅(RBW)を9kHzと想定して計算している。この分布を見ると、およそ500kHzとその整数倍の周波数を中心としたレベルの高い帯域があることがわかる。これは、キャリア周波数の逆数であるキャリア周期の変化範囲と時間変化に使用するキャリア周波数(周期)の値の個数に起因して起こるものである。
【0013】
この場合では、キャリア周波数の変化に使用するキャリア周波数値の逆数であるキャリア周期の平均の間隔、すなわち最大キャリア周期と最小キャリア周期の値の差をキャリア周波数の値の個数−1(この場合は8)で割った数の逆数、
8/{1/(13.39×103 )−1/(17.05×103 )}
≒500×103 Hz
=500kHz
とその整数倍付近に高調波の集中する帯域が形成される。
【0014】
この帯域はEMIスペクトルのレベルの高い帯域になる。このように、キャリア周波数の変化の範囲とキャリア周波数変化に使用する個数によっては、キャリア周波数を時間変化しても、EMIスペクトルに凹凸が形成され、レベル低減が十分なされないことがありうる。
【0015】
なお図12(b)は、図12(a)の場合と同様、キャリア周波数の変化の範囲を13.39kHz〜17.05kHz、その時に使用するキャリア周波数の値の個数を9個とした場合の高調波の分布ではあるが、キャリア周波数の値を図12(a)の場合と異なる値を使用した場合の高調波の分布である。この場合でもやはり同様の傾向として500kHzとその整数倍の周波数付近に高調波が集中する帯域が形成されている。
【0016】
本発明は、以上の知見に基づいて行われたものであり、キャリア周波数の高調波のEMIスペクトルの凹凸を低減するキャリア周波数の可変範囲を設定することにより、EMIのピークレベルを低減した電力変換装置を提供する。
【0017】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る電力変換装置の実施例を説明する電力変換システム1のシステム構成図である。
【0018】
図1の電力変換システム1は、直流をPWM制御により三相交流に変換するPWMインバータ2、三相ブラシレスモータ(以下、三相モータと略記)3、電流センサ4a、4b、4c(総称して電流センサ4と呼ぶことがある)、PWMインバータ2へPWM制御信号を供給する制御装置5、を主な構成要素として備える。
【0019】
制御装置5は、電流指令値生成部6、PID制御部7a、7b、7c、PWM比較部8a、8b、8c、信号反転部9a、9b、9c、キャリア周波数変化部10,キャリア出力部11を備える。
【0020】
PWMインバータ2は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )等の半導体素子により構成された6個のスイッチング素子Tu+、Tu−、Tv+、Tv−、Tw+、Tw−を備える。PWMインバータ2は、PWM比較部8a、8b、8cの制御に従って、電池B及びコンデンサCから成る直流電源の正極又は負極を選択し、選択した電極を三相モータ3のU相、V相、W相の各電極に接続する。
【0021】
電流センサ4a、4b、4cは、それぞれ、PWMインバータ2から三相モータ3に供給されるU相、V相、W相の電流値を検出する。電流指令値生成部6は、電流センサ4a、4b、4cの検出値が正弦波状の交流電流に変換されるように、正弦波状の電流指令値を生成する。PID制御部7a、7b、7cは、電流センサ4a、4b、4cの検出値が電流指令値生成部6が生成した電流指令値に従うように、電流指令値と電流センサ4a、4b、4cの検出値に基づいてPWM比較部8a、8b、8cへ出力するデューティ指令値に相当するレベル指令値をPID制御する。キャリア出力部11は、三角波状キャリア信号を各相毎に生成してPWM比較部8a,8b,8cへ出力する。
【0022】
PWM比較部8a、8b、8cは、PID制御部7a、7b、7cが出力するレベル指令値と、三角波状キャリア信号との大小関係を比較し、その大小関係に応じてPWMインバータ2のスイッチング素子Tu+、Tv+、Tw+のオン/オフを制御する信号をPWMインバータ2へ出力する。信号反転部9a、9b、9cは、PWM比較部8a、8b、8cの出力を反転して、スイッチング素子Tu−、Tv−、Tw−のオン/オフを制御する信号をPWMインバータ2へ出力する。
【0023】
ここで、U相のスイッチング素子Tu+、Tu−の制御を例として、PWM比較部8aの動作を具体的に説明する。PWM比較部8aは、PID制御部7aの出力値が三角波状キャリア信号よりも大きい場合、スイッチング素子Tu+、Tu−をそれぞれオン状態及びオフ状態に制御することにより正の電圧をモータのU相に印加する。逆にPID制御部7aの出力値が三角波状キャリア信号よりも小さい場合には、スイッチング素子Tu+、Tu−をそれぞれオフ状態及びオン状態に制御することにより、負の電圧を三相モータ3のU相に印加する。
【0024】
尚、本実施例では、制御装置5は、マイクロコンピュータで構成されているものとする。このマイクロコンピュータは、例えば、演算制御部であるCPUと、プログラム及び制御マップを記憶したROMと、作業用RAMと、入出力インタフェースとを備える。
【0025】
キャリア周波数変化部10は、キャリア出力部11から出力される三角波状キャリア信号の周波数fcを離散的に時間経過に伴って変化させる。例えば、キャリア周波数を三角波状に変化させる場合、キャリア周波数は図2に示されるように変化することになる。
【0026】
次に、キャリア周波数を離散的に時間変化させてEMIスペクトルを平坦化しレベルを低減するための、キャリア周波数の変化幅を設定する方法について説明する。
【0027】
最初に、キャリア周波数の高調波の拡散スペクトルが所望の帯域において連続になるようにキャリア周波数の変化幅の最小値を決定する方法について説明する。
【0028】
図3に示すように、キャリア周波数の中心値をfcc 、中心値fcc から上下に変化可能な可変幅を±Δfcとする。キャリア周波数の可変範囲は、fcc-Δfcからfcc+Δfcとなり、この場合、n次高調波の拡散スペクトルは、およそn(fcc-Δfc)からn(fcc+Δfc)までの帯域に広がる。また(n+1)次高調波の拡散スペクトルは、およそ(n+1)(fcc-Δfc)から(n+1)(fcc+Δfc)までの帯域に広がる。尚FminはEMIスペクトルのレベルを低減したい所望帯域の最低周波数、nはn≦Fmin/fc を満たす最大の整数である。
【0029】
今必要な要件は、Fminよりも高い帯域において、高調波の拡散スペクトルが連続であることである。そのためには(n+1)次高調波の拡散スペクトルの最低周波数が、n次高調波の拡散スペクトルの最大周波数以下になっていればよい。すなわち式(1)に示す不等式を満たすようにΔfcを決めればよい。
(n+1)(fcc-Δfc)≦n(fcc+Δfc) …(1)
式(1)を整理すると、式(2)となる。
fcc/(2n+1)≦Δfc …(2)
つまり、Δfcをfcc/(2n+1)以上の値として、可変範囲(fcc-Δfc〜fcc+Δfc)でキャリア周波数を時間変化させればよい。なおキャリア周波数は、例えばスイッチングによる発熱や損失、音響ノイズの発生といったシステム要件で可変範囲が規定される場合がある。その場合は、システム要件で決まる可変範囲の中で式(2)を満たすようにキャリア周波数可変範囲を決定する。
【0030】
具体的な値を用いた例として、fccを15kHz、Δfcを0.5kHz、Fminを500kHzとした場合のEMIスペクトルを模式的に描いたものが図4である。この場合は式(2)を満足しており、Fmin以上の帯域の最も低い次数である33次高調波の拡散スペクトルと34次高調波の拡散スペクトルが連続となっている。これ以上の帯域では、拡散スペクトルは必ず連続となる。
【0031】
さて、PWM制御においては、例えばデューティが50%で駆動させるような場合がある。この場合、PWMインバータ2の出力波形には、奇数次の高調波のみ存在し、偶数次の高調波は存在しない。このような場合、隣り合う高調波の拡散スペクトルが連続となるためには、或る奇数次の高調波の拡散スペクトルと、次の奇数次の高調波の拡散スペクトルとが連続になる必要がある。
【0032】
このような場合はキャリア周波数の変化幅としては式(2)の2倍の範囲とすれば、高調波の拡散スペクトルが連続となる。すなわち、式(3)を満たすようにキャリア周波数の変化幅を決める。
2fcc/(2n+1)≦Δfc …(3)
【0033】
次にキャリア周波数の変化幅の最大値を規定する方法について説明する。この場合は、キャリア周波数の変化範囲と変化に使用するキャリア周波数の値の個数に起因して形成されるキャリア周波数の高調波が集中する帯域、つまりEMIスペクトルのレベルが高い帯域が、所望の帯域の範囲外、特に所望の帯域よりも高い帯域になるようにすることから、キャリア周波数の変化幅の最大値を規定する方法である。
【0034】
ここで、キャリア周波数の変化範囲と変化に使用するキャリア周波数の値の個数に起因して形成されるキャリア周波数の高調波が集中する帯域とは、使用するキャリア周波数の逆数であるキャリア周期の平均の間隔、言い換えるとキャリア周期の最大値と最小値の差をキャリア周波数の値の個数−1で割った値の逆数の周波数とその整数倍の周波数付近の帯域である。この帯域が所望の帯域に入らないように、キャリア周波数の変化の範囲を規定してやればよい。式で表現すると、キャリア周期の最大値、最小値をそれぞれTcmax、Tcminとし、キャリア周波数の値の個数をNとすると、
(N-1)/(Tcmin-Tcmax) …(4)
とその整数倍の周波数付近の帯域にキャリア周波数の高調波の分布が集中しやすい。したがって、Fmaxを所望の周波数帯域の最大周波数とすると、
Fmax≦(N-1)/(Tcmax-Tcmin) …(5)
を満足するようにキャリア周波数を選択し、その値を使用してキャリア周波数を変化させることによって、EMIの影響を抑制することができる。
【0035】
例えば上記の式(4)とその整数倍の帯域がAMラジオの帯域(およそ500kHzから1650kHzとする)に入らないようにすることを考える。今キャリア周波数の変化に使用するキャリア周波数の値の個数を9個とし、キャリア周波数の値の最大値、最小値をそれぞれ15.23kHz、14.78kHzとする。この場合、式(4)の値を求めると、式(6)となる。
(9-1)/{1/15.23×103)-1/(14.78×103)}≒4×106Hz=4MHz …(6)
つまりこの場合は、上記キャリア周波数の高調波の分布が集中しやすい帯域で最低の周波数は4MHz 付近となり、AMラジオの帯域よりも高い周波数であるため、AMラジオの帯域におけるEMIスペクトルを平坦化できることになる。
【0036】
なお上式において、Tcmax(=1/(fcc-Δfc))とTcmin(=1/(fcc+Δfc))とし、近似を用いて書き直すと、式(7)となり、キャリア周波数の変化の範囲の最大値を規定する式になっていることがわかる。
Δfc≦N・fcc2/(2Fmax) …(7)
なお、Nは使用するCPUのクロックによって制限される場合がある。例えばクロック周波数が1MHz の場合、その逆数のクロック周期は1μsecとなる。キャリア周期はクロック周期の整数倍の値に限定されるため、例えばキャリア周期の範囲を100μsecから110μsecとすると、Nの個数は最大でも11個しか使用できないことになる。上記は、キャリア周波数の時間変化に使用できるNの個数が制限されている場合におけるキャリア周波数の範囲を規定する方法についての説明である。
【0037】
逆に、発熱や音振等のシステム要件からキャリア周波数の変化範囲に制限がある場合(つまりΔfcに上限がある場合)場合がある。この場合にキャリア周波数の変化範囲と変化に使用するキャリア周波数の値の個数に起因して形成されるキャリア周波数の高調波が集中する帯域が、所望の帯域に入らないようにする場合は、キャリア周波数の個数を適切に決定してやればよい。それは上記の考え方に基づき、以下の式(8)で規定することができる。
Fmax(Tcmax-Tcmin)+1≦N …(8)
これを同じく近似を用いて整理すると、式(9)となる。
2FmaxΔfc/fcc2≦N …(9)
なおこれまで、PWM制御により三相ブラシレスモータを駆動する電力変換装置を例に説明してきたが、本発明は、電力変換装置の構成に限定されず、スイッチの開閉によって電力の形態を変化させることが可能な電力変換装置のキャリア周波数を変化させる場合に用いる離散的なキャリア周波数値を規定するものである。
【0038】
例えば、従来技術の特許文献1に示されたHブリッジによりモータを駆動する構成や、図6に示されるような単体スイッチにより何らかの負荷を開閉する構成、図7に示されるようなDC−DCコンバータ等でも適用できる。
【0039】
また本発明は、特定のキャリア周波数の時間変化パターンに限定されない。例えば、図8に示されるような鋸波状変化、図9に示されるような周期波形状変化、図10に示すような正弦波状変化をはじめ、様々なキャリア周波数の時間変化パターンに適用できる。その場合、用いるキャリア周波数として上記に説明したような方法で周波数値を決定すればよい。
【0040】
以上説明した本実施形態によれば、PWM制御に用いる搬送波(キャリア)の周波数を、所望の周波数帯域内において、搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するように、搬送波周波数の可変範囲を決定することにより、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0041】
また、本実施形態によれば、所望の周波数帯域内において、搬送波の上限周波数の任意の次数の高調波の周波数が、搬送波の下限周波数の前記次数より1次高い次数の高調波の周波数以下となるように、搬送波周波数の可変範囲を決定することにより、所望の周波数帯域において搬送波の各次数の高調波のスペクトルが連続し、EMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0042】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の可変範囲をfcc-Δfc〜fcc+Δfcとし、nはn≦Fmin/fccを満たす最大の整数とし、Fminは所望の周波数帯域の最低周波数とすると、搬送波周波数の可変範囲は、
fcc/(2n+1)≦Δfc
の関係を満たすように設定するので、簡単かつ正確に、EMIノイズの影響を抑制することができる搬送波周波数の可変範囲を計算することができるという効果がある。
【0043】
また、本実施形態によれば、所望の周波数帯域内において、搬送波の上限周波数の任意の次数の高調波の周波数が、搬送波の下限周波数の前記次数より2次高い次数の高調波の周波数以下となるように、搬送波周波数の可変範囲を決定することにより、搬送波が奇数次または偶数次の高調波しか含まない場合でも、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0044】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の可変範囲をfcc-Δfc〜fcc+Δfcとし、nはn≦Fmin/fccを満たす最大の整数とし、Fminは所望の周波数帯域の最低周波数とすると、搬送波周波数の可変範囲は、
2fcc/(2n+1) ≦Δfc
の関係を満たすように設定するので、搬送波が奇数次または偶数次の高調波しか含まない場合も含めて、簡単かつ正確に、EMIノイズの影響を抑制することができる搬送波周波数の可変範囲を計算することができるという効果がある。
【0045】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の可変範囲は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域内に入らないように決定するので、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0046】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の可変範囲は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域の最大周波数よりも大きくなるように決定するので、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0047】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の逆数である搬送波周期の変化範囲をTcmin〜Tcmaxとし、搬送波周波数の変化に使用する搬送波周波数値の個数をNとし、所望の周波数帯域の最大周波数をFmaxとすると、搬送波周波数の可変範囲は、
Fmax≦(N-1)/(Tcmax-Tcmin)
の関係を満たすように設定するので、搬送波周波数値の個数を考慮した搬送波周波数の可変範囲を設定することができ、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0048】
また、本実施形態によれば、記搬送波周波数を変化させる場合に使用する搬送波周波数の個数は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域内に入らないように決定するので、所望の周波数帯域内のEMIスペクトルを平坦化し、EMIノイズの影響を抑制することができるという効果がある。
【0049】
また、本実施形態によれば、搬送波周波数の逆数である搬送波周期の変化範囲をTcmin〜Tcmaxとし、所望帯域の最大周波数をFmaxとすると、搬送波周波数の変化に使用する搬送波周波数値の個数Nは、
Fmax(Tcmax-Tcmin)+1 ≦N
の関係を満たすように設定するので、EMIノイズの影響を効果的に抑制することができる搬送波周波数値の個数を算出することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0050】
1 電力変換システム
2 PWMインバータ(開閉手段)
3 三相ブラシレスモータ
4 電流センサ
5 制御装置(制御手段)
6 電流指令値生成部
7a,7b,7c PID制御部
8a,8b,8c PWM比較部(PWM比較手段)
9a,9b,9c 信号反転部
10 キャリア周波数変化部(搬送波周波数変化手段)
11 キャリア出力部(搬送波出力手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される電力を所望の形態に変換する開閉手段と、該開閉手段の開閉動作をPWM制御する制御手段とを備えた電力変換装置であって、
前記制御手段は、
前記PWM制御に用いる搬送波の周波数を、離散的かつ周期的に時間変化させる搬送波周波数変化手段と、
前記搬送波をPWM比較手段へ出力する搬送波出力手段と、
を備え、
前記搬送波周波数変化手段は、所望の周波数帯域内において、前記搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するように、前記搬送波周波数の可変範囲を決定することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記搬送波周波数変化手段は、所望の周波数帯域内において、前記搬送波の上限周波数の任意の次数の高調波の周波数が、前記搬送波の下限周波数の前記次数より1次高い次数の高調波の周波数以下となるように、前記搬送波周波数の可変範囲を決定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記搬送波周波数の可変範囲をfcc-Δfc〜fcc+Δfcとし、nはn≦Fmin/fccを満たす最大の整数とし、Fminは所望の周波数帯域の最低周波数とすると、前記搬送波周波数の可変範囲は、
fcc/(2n+1)≦Δfc
の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記搬送波周波数変化手段は、所望の周波数帯域内において、前記搬送波の上限周波数の任意の次数の高調波の周波数が、前記搬送波の下限周波数の前記次数より2次高い次数の高調波の周波数以下となるように、前記搬送波周波数の可変範囲を決定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記搬送波周波数の可変範囲をfcc-Δfc〜fcc+Δfcとし、nはn≦Fmin/fccを満たす最大の整数とし、Fminは所望の周波数帯域の最低周波数とすると、前記搬送波周波数の可変範囲は、
2fcc/(2n+1) ≦Δfc
の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記搬送波周波数の可変範囲は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域内に入らないように決定したことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記搬送波周波数の可変範囲は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域の最大周波数よりも大きくなるように決定したことを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記搬送波周波数の逆数である搬送波周期の変化範囲をTcmin〜Tcmaxとし、搬送波周波数の変化に使用する搬送波周波数値の個数をNとし、所望の周波数帯域の最大周波数をFmaxとすると、前記搬送波周波数の可変範囲は、
Fmax≦(N-1)/(Tcmax-Tcmin)
の関係を満たすことを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記搬送波周波数を変化させる場合に使用する搬送波周波数の個数は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域内に入らないように決定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記搬送波周波数の逆数である搬送波周期の変化範囲をTcmin〜Tcmaxとし、所望帯域の最大周波数をFmaxとすると、搬送波周波数の変化に使用する搬送波周波数値の個数Nは、
Fmax(Tcmax-Tcmin)+1 ≦N
の関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
入力された電力を開閉動作によって所望の形態に変換する電力変換方法であって、
所望の周波数帯域内において、搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するように前記搬送波の周波数可変範囲を決定し、
前記搬送波の周波数を離散的かつ周期的に時間変化させ、
前記搬送波に基づいて前記開閉動作を制御するための制御信号を生成し、
該制御信号に基づいて前記開閉動作を制御することを特徴とする電力変換方法。
【請求項1】
入力される電力を所望の形態に変換する開閉手段と、該開閉手段の開閉動作をPWM制御する制御手段とを備えた電力変換装置であって、
前記制御手段は、
前記PWM制御に用いる搬送波の周波数を、離散的かつ周期的に時間変化させる搬送波周波数変化手段と、
前記搬送波をPWM比較手段へ出力する搬送波出力手段と、
を備え、
前記搬送波周波数変化手段は、所望の周波数帯域内において、前記搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するように、前記搬送波周波数の可変範囲を決定することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記搬送波周波数変化手段は、所望の周波数帯域内において、前記搬送波の上限周波数の任意の次数の高調波の周波数が、前記搬送波の下限周波数の前記次数より1次高い次数の高調波の周波数以下となるように、前記搬送波周波数の可変範囲を決定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記搬送波周波数の可変範囲をfcc-Δfc〜fcc+Δfcとし、nはn≦Fmin/fccを満たす最大の整数とし、Fminは所望の周波数帯域の最低周波数とすると、前記搬送波周波数の可変範囲は、
fcc/(2n+1)≦Δfc
の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記搬送波周波数変化手段は、所望の周波数帯域内において、前記搬送波の上限周波数の任意の次数の高調波の周波数が、前記搬送波の下限周波数の前記次数より2次高い次数の高調波の周波数以下となるように、前記搬送波周波数の可変範囲を決定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記搬送波周波数の可変範囲をfcc-Δfc〜fcc+Δfcとし、nはn≦Fmin/fccを満たす最大の整数とし、Fminは所望の周波数帯域の最低周波数とすると、前記搬送波周波数の可変範囲は、
2fcc/(2n+1) ≦Δfc
の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記搬送波周波数の可変範囲は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域内に入らないように決定したことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記搬送波周波数の可変範囲は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域の最大周波数よりも大きくなるように決定したことを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記搬送波周波数の逆数である搬送波周期の変化範囲をTcmin〜Tcmaxとし、搬送波周波数の変化に使用する搬送波周波数値の個数をNとし、所望の周波数帯域の最大周波数をFmaxとすると、前記搬送波周波数の可変範囲は、
Fmax≦(N-1)/(Tcmax-Tcmin)
の関係を満たすことを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記搬送波周波数を変化させる場合に使用する搬送波周波数の個数は、搬送波周波数を時間変化させる場合の搬送波周波数の変化の範囲と使用する搬送波周波数の個数に起因する搬送波周波数の高調波の集中する帯域が、所望の周波数帯域内に入らないように決定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記搬送波周波数の逆数である搬送波周期の変化範囲をTcmin〜Tcmaxとし、所望帯域の最大周波数をFmaxとすると、搬送波周波数の変化に使用する搬送波周波数値の個数Nは、
Fmax(Tcmax-Tcmin)+1 ≦N
の関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
入力された電力を開閉動作によって所望の形態に変換する電力変換方法であって、
所望の周波数帯域内において、搬送波の各次数の高調波の拡散スペクトルが連続するように前記搬送波の周波数可変範囲を決定し、
前記搬送波の周波数を離散的かつ周期的に時間変化させ、
前記搬送波に基づいて前記開閉動作を制御するための制御信号を生成し、
該制御信号に基づいて前記開閉動作を制御することを特徴とする電力変換方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−213377(P2010−213377A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53676(P2009−53676)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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