説明

電力変換装置

【課題】冷却性能向上とハイブリッド自動車システムとしても小型化が可能な電力変換装置を提供することである。
【解決手段】本発明による電力変換装置は、直流電流を交流電流に変換するパワーモジュールと、前記パワーモジュールの駆動に関わる電気回路部品と、前記電気回路部品の収納する収納領域を形成する筺体と、前記収納領域の側部に配置される第1流路形成体と、前記収納領域を挟んで前記第1流路形成体と向き合う位置に配置される第2流路形成体と、前記収納領域を跨いで、前記第1流路形成体と前記第2流路形成体を繋ぐ中継流路形成体と、を備え、前記パワーモジュールは、前記第2流路形成体側に固定され、前記電気回路部品は、前記第1流路形成体と前記第2流路形成体と前記中継流路形成体によって形成される空間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は直流電力を交流電力に変換しあるいは交流電力を直流電力に変換するために使用する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電力変換装置は、直流電源から直流電力を受ける平滑用のコンデンサモジュールと、コンデンサモジュールから直流電力を受けて交流電力を発生するインバータ回路と、インバータ回路を制御するための制御回路と、を備えている。交流電力は例えばモータに供給され、供給された交流電力に応じて回転トルクを発生するモータは、一般的には発電機としての機能を有しており、外部からモータに対して機械エネルギが供給されると、モータは供給される機械エネルギに基づいて交流電力を発生する。上記電力変換装置は交流電力を直流電力に変換する機能も備えている場合が多く、モータが発生する交流電力は直流電力に変換される。直流電力から交流電力への変換、あるいは交流電力から直流電力への変換は上記制御装置によって制御される。
【0003】
例えば上記モータが同期電動機の場合には、同期電動機の回転子の磁極位置に対する固定子が発生する回転磁界の位相を制御することにより、上記電力変換に係る制御を行うことができる。電力変換装置の一例は特開2009−44891号公報に開示されている。
【0004】
電力変換装置は、例えば自動車に搭載され、同じく自動車に搭載された二次電池から直流電力を受け、走行用の回転トルクを発生する電動機に供給するための交流電力を発生する。また車の回生制動運転時には制動力を発生するために電動機は走行エネルギに基づき交流電力を発生し、発生した交流電力は電力変換装置によって直流電力に変換され、上記二次電池に蓄電され、再び車両走行用などの電力として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−44891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電力変換装置、特に車載用の電力変換装置では工場内に設置される一般の産業機械の電力変換装置に比べ高い温度環境で使用される。また車載内部の空間が狭く、発熱量の低減と共に電力変換装置のより小型化が望まれている。ここで小型化とは電力変換装置の単位体積当たりの変換可能最大電力値をできるだけ大きくすることである。さらにハイブリッド自動車システムの車両搭載部品には電力変換装置の他に冷却を必要とする車載電機機器(具体的にはDC−DCコンバータ)が存在する。電力変換装置を冷却する冷媒で冷却を必要とする部品を同時に冷却できることがハイブリッド自動車システムとして望ましい。
【0007】
本発明の課題は、冷却性能向上とハイブリッド自動車システムとしても小型化が可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による電力変換装置は、直流電流を交流電流に変換するパワーモジュールと、前記パワーモジュールの駆動に関わる電気回路部品と、前記電気回路部品の収納する収納領域を形成する筺体と、前記収納領域の側部に配置される第1流路形成体と、前記収納領域を挟んで前記第1流路形成体と向き合う位置に配置される第2流路形成体と、前記収納領域を跨いで、前記第1流路形成体と前記第2流路形成体を繋ぐ中継流路形成体と、を備え、前記パワーモジュールは、前記第2流路形成体側に固定され、前記電気回路部品は、前記第1流路形成体と前記第2流路形成体と前記中継流路形成体によって形成される空間に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、冷却効率が向上し電力変換装置の冷却容積に対する変換電力の比をより大きくできる。また発熱量に合わせた収納領域を設けることができ効率的に発熱体が収納され薄型化,小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ハイブリッド自動車の制御ブロックを示す図である。
【図2】インバータ装置、インバータ装置あるいはインバータ装置の電気回路構成を説明するための図である。
【図3(a)】本発明の実施形態に係る電力変換装置の全体構成の外観斜視図である。
【図3(b)】本発明の実施形態に係る電力変換装置の全体構成の外観斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電力変換装置の全体構成を各構成要素に分解した斜視図である。
【図5(a)】冷媒の流れを簡易的に示した図である。
【図5(b)】筐体12に第2流路形成体52にパワーモジュール300を実装した上面図である。
【図5(c)】図5(b)のA−A断面基準の断面図である。
【図5(d)】筐体12に第2流路形成体52を実装した上面図である。
【図5(e)】筐体12に第2流路形成体52を実装した下面図である。
【図6(a)】第2流路形成体52の外観斜視図である。
【図6(b)】第2流路形成体52の下面図である。
【図7(a)】サブアッセンブリ57の詳細な外観斜視図である。
【図7(b)】サブアッセンブリ57の筺体内実装図である。
【図8(a)】本実施形態の電力変換装置とDCDCコンバータ900を組み合わせた外観斜視図である。
【図8(b)】図8(a)の上面図である。
【図8(c)】図8(b)のA−A断面基準の断面図である。
【図9】図9(a)は、本実施形態に関するパワーモジュール300の上方斜視図であり、図9(b)は、パワーモジュール300の上面図である。
【図10】本実施形態に関するパワーモジュール300の直流端子の分解斜視図であり、 (a)は、パワーモジュール300の構成部品である金属ベースおよび3つの上下アーム直列回路のうち1つを抜き出した図であり、(b)は、金属ベース,回路配線パターンおよび絶縁基板の分解斜視図である。
【図11】(a)は、直流バスバーの構造を分かりやすくするため、パワーモジュールケース302を一部透明にした断面図であり、(b)は、その要部を示す拡大図である。
【図12】(a)は、上下アーム直列回路を説明するための図であり、(b)は、パワーモジュール300の電流経路を説明するための図である。
【図13】コンデンサモジュール500の外観構成を示す斜視図である。
【図14】樹脂などの充填材522を充填する前のコンデンサモジュール500の状態を示す斜視図である。
【図15】コンデンサセル514の構成を説明するための図である。
【図16(a)】本実施形態に係る電力変換装置200において、コンデンサモジュール500,第2流路形成体52,積層導体板700、およびパワーモジュール300のみを抜き出した斜視図である。
【図16(b)】積層導体板700の分解斜視図である。
【図17】図16に示すパワーモジュール300と直流側導体板の接続箇所の拡大図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る電力変換装置について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0012】
本発明の実施形態に係る電力変換装置は、ハイブリッド用の自動車や純粋な電気自動車に適用可能であるが、代表例として、本発明の実施形態に係る電力変換装置をハイブリッド自動車に適用した場合の制御構成と電力変換装置の回路構成について、図1と図2を用いて説明する。図1はハイブリッド自動車の制御ブロックを示す図である。
【0013】
本発明の実施形態に係る電力変換装置では、自動車に搭載される車載電機システムの車載用電力変換装置、特に、車両駆動用電機システムに用いられ、搭載環境や動作的環境などが大変厳しい車両駆動用インバータ装置を例に挙げて説明する。車両駆動用インバータ装置は、車両駆動用電動機の駆動を制御する制御装置として車両駆動用電機システムに備えられ、車載電源を構成する車載バッテリあるいは車載発電装置から供給された直流電力を所定の交流電力に変換し、得られた交流電力を車両駆動用電動機に供給して車両駆動用電動機の駆動を制御する。また、車両駆動用電動機は発電機としての機能も有しているので、車両駆動用インバータ装置は運転モードに応じ、車両駆動用電動機の発生する交流電力を直流電力に変換する機能も有している。変換された直流電力は車載バッテリに供給される。
【0014】
なお、本実施形態の構成は、自動車やトラックなどの車両駆動用電力変換装置として最適であるが、これら以外の電力変換装置、例えば電車や船舶,航空機などの電力変換装置、さらに工場の設備を駆動する電動機の制御装置として用いられる産業用電力変換装置、あるいは家庭の太陽光発電システムや家庭の電化製品を駆動する電動機の制御装置に用いられたりする家庭用電力変換装置に対しても適用可能である。
【0015】
図1において、ハイブリッド電気自動車(以下、「HEV」と記述する)110は1つの電動車両であり、2つの車両駆動用システムを備えている。その1つは、内燃機関であるエンジン120を動力源としたエンジンシステムである。エンジンシステムは、主としてHEVの駆動源として用いられる。もう1つは、モータジェネレータ192,194を動力源とした車載電機システムである。車載電機システムは、主としてHEVの駆動源およびHEVの電力発生源として用いられる。モータジェネレータ192,194は例えば同期機あるいは誘導機であり、運転方法によりモータとしても発電機としても動作するので、ここではモータジェネレータと記すこととする。
【0016】
車体のフロント部には前輪車軸114が回転可能に軸支されている。前輪車軸114の両端には一対の前輪112が設けられている。車体のリア部には後輪車軸(図示省略)が回転可能に軸支されている。後輪車軸の両端には一対の後輪が設けられている。本実施形態のHEVでは、動力によって駆動される主輪を前輪112とし、連れ回される従輪を後輪とする、いわゆる前輪駆動方式を採用しているが、この逆、すなわち後輪駆動方式を採用しても構わない。
【0017】
前輪車軸114の中央部には前輪側デファレンシャルギア(以下、「前輪側DEF」と記述する)116が設けられている。前輪車軸114は前輪側DEF116の出力側に機械的に接続されている。前輪側DEF116の入力側には変速機118の出力軸が機械的に接続されている。前輪側DEF116は、変速機118によって変速されて伝達された回転駆動力を左右の前輪車軸114に分配する差動式動力分配機構である。変速機118の入力側にはモータジェネレータ192の出力側が機械的に接続されている。モータジェネレータ192の入力側には動力分配機構122を介してエンジン120の出力側およびモータジェネレータ194の出力側が機械的に接続されている。なお、モータジェネレータ192,194および動力分配機構122は、変速機118の筐体12の内部に収納されている。
【0018】
モータジェネレータ192,194は、回転子に永久磁石を備えた同期機であり、固定子の電機子巻線に供給される交流電力がインバータ装置140,142によって制御されることによりモータジェネレータ192,194の駆動が制御される。インバータ装置140,142にはバッテリ136が電気的に接続されており、バッテリ136とインバータ装置140,142との相互において電力の授受が可能である。
【0019】
本実施形態では、モータジェネレータ192およびインバータ装置140からなる第1電動発電ユニットと、モータジェネレータ194およびインバータ装置142からなる第2電動発電ユニットとの2つを備え、運転状態に応じてそれらを使い分けている。すなわち、エンジン120からの動力によって車両を駆動している場合において、車両の駆動トルクをアシストする場合には第2電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン120の動力によって作動させて発電させ、その発電によって得られた電力によって第1電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させる。また、同様の場合において、車両の車速をアシストする場合には第1電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン120の動力によって作動させて発電させ、その発電によって得られた電力によって第2電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させる。
【0020】
また、本実施形態では、バッテリ136の電力によって第1電動発電ユニットを電動ユニットとして作動させることにより、モータジェネレータ192の動力のみによって車両の駆動ができる。さらに、本実施形態では、第1電動発電ユニットまたは第2電動発電ユニットを発電ユニットとしてエンジン120の動力あるいは車輪からの動力によって作動させて発電させることにより、バッテリ136の充電ができる。
【0021】
バッテリ136はさらに補機用のモータ195を駆動するための電源としても使用される。補機としてはたとえばエアコンディショナーのコンプレッサを駆動するモータ、あるいは制御用の油圧ポンプを駆動するモータであり、バッテリ136からインバータ装置43に直流電力が供給され、インバータ装置43で交流の電力に変換されてモータ195に供給される。インバータ装置43はインバータ装置140,142と同様の機能を持ち、モータ195に供給する交流の位相や周波数,電力を制御する。たとえばモータ195の回転子の回転に対し進み位相の交流電力を供給することにより、モータ195はトルクを発生する。一方、遅れ位相の交流電力を発生することで、モータ195は発電機として作用し、モータ195は回生制動状態の運転となる。このようなインバータ装置43の制御機能はインバータ装置140,142の制御機能と同様である。モータ195の容量がモータジェネレータ192,194の容量より小さいので、インバータ装置43の最大変換電力がインバータ装置140,142より小さいが、インバータ装置43の回路構成は基本的にインバータ装置140,142の回路構成と同じである。
【0022】
インバータ装置140,インバータ装置142およびインバータ装置43さらにコンデンサモジュール500は電気的に密接な関係にある。さらに発熱に対する対策が必要な点が共通している。また装置の体積をできるだけ小さく作ることが望まれている。これらの点から以下で詳述する電力変換装置は、インバータ装置140,142およびインバータ装置43さらにコンデンサモジュール500を電力変換装置の筐体12内に内蔵している。この構成により、小型で信頼性の高い装置が実現できる。
【0023】
またインバータ装置140,インバータ装置142およびインバータ装置43さらにコンデンサモジュール500を一つの筐体12に内蔵することで、配線の簡素化やノイズ対策で効果がある。またコンデンサモジュール500とインバータ装置140,インバータ装置142およびインバータ装置43との接続回路のインダクタンスを低減でき、スパイク電圧を低減できると共に、発熱の低減や放熱効率の向上を図ることができる。
【0024】
次に、図2を用いてインバータ装置140,インバータ装置142あるいはインバータ装置43の電気回路構成を説明する。尚、図1,図2に示す実施形態では、インバータ装置140,インバータ装置142あるいはインバータ装置43をそれぞれ個別に構成する場合を例に挙げて説明する。インバータ装置140,インバータ装置142あるいはインバータ装置43は同様の構成で同様の作用をなし、同様の機能を有しているので、ここでは、代表例としてインバータ装置140の説明を行う。
【0025】
本実施形態に係る電力変換装置200は、インバータ装置140とコンデンサモジュール500とを備え、インバータ装置140は、半導体回路であるインバータ回路144と制御部170とを有している。また、インバータ回路144は、上アームとして動作するIGBT328(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)およびダイオード156と、下アームとして動作するIGBT330およびダイオード166と、からなる上下アーム直列回路150を複数有し(図2の例では3つの上下アーム直列回路150)、それぞれの上下アーム直列回路150の中点部分(中間電極169)から交流端子159を通してモータジェネレータ192への交流電力線(交流バスバー)186と接続する構成である。
また、制御部170はインバータ回路144を駆動制御するドライバ回路174と、ドライバ回路174へ信号線176を介して制御信号を供給する制御回路172と、を有している。
【0026】
上アームと下アームのIGBT328,330は、スイッチング用パワー半導体素子であり、制御部170から出力された駆動信号を受けて動作し、バッテリ136から供給された直流電力を三相交流電力に変換する。この変換された電力はモータジェネレータ192の電機子巻線に供給される。
【0027】
インバータ回路144は三相ブリッジ回路により構成されており、三相分の上下アーム直列回路150,150,150がそれぞれ、バッテリ136の正極側と負極側に電気的に接続されている直流正極端子314と直流負極端子316の間に電気的に並列に接続されている。
【0028】
本実施形態では、スイッチング用パワー半導体素子としてIGBT328,330を用いることを例示している。IGBT328,330は、コレクタ電極153,163,エミッタ電極(信号用エミッタ電極端子155,165),ゲート電極(ゲート電極端子154,164)を備えている。IGBT328,330のコレクタ電極153,163とエミッタ電極との間にはダイオード156,166が図示するように電気的に接続されている。ダイオード156,166は、カソード電極およびアノード電極の2つの電極を備えており、IGBT328,330のエミッタ電極からコレクタ電極に向かう方向が順方向となるように、カソード電極がIGBT328,330のコレクタ電極に、アノード電極がIGBT328,330のエミッタ電極にそれぞれ電気的に接続されている。スイッチング用パワー半導体素子としてはMOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)を用いてもよい、この場合はダイオード156やダイオード166は不要となる。
【0029】
上下アーム直列回路150は、モータジェネレータ192の電機子巻線の各相巻線に対応して三相分設けられている。3つの上下アーム直列回路150はそれぞれU相,V相,W相に対応し、IGBT328のエミッタ電極とIGBT330のコレクタ電極163とを接続する中間電極169,交流端子159を介してモータジェネレータ192へのU相,V相,W相を形成している。上下アーム直列回路は電気的に並列接続されている。上アームのIGBT328のコレクタ電極153は正極端子(P端子)157を介してコンデンサモジュール500の正極側コンデンサ電極に、下アームのIGBT330のエミッタ電極は負極端子(N端子)158を介してコンデンサモジュール500の負極側コンデンサ電極にそれぞれ電気的に接続(直流バスバーで接続)されている。各アームの中点部分(上アームのIGBT328のエミッタ電極と下アームのIGBT330のコレクタ電極との接続部分)にあたる中間電極169は、モータジェネレータ192の電機子巻線の対応する相巻線に、交流端子159および交流コネクタ188を介して電気的に接続されている。
【0030】
コンデンサモジュール500は、IGBT328,330のスイッチング動作によって生じる直流電圧の変動を抑制する平滑回路を構成するためのものである。コンデンサモジュール500の正極側コンデンサ電極にはバッテリ136の正極側が、コンデンサモジュール500の負極側コンデンサ電極にはバッテリ136の負極側がそれぞれ直流コネクタ138を介して電気的に接続されている。これにより、コンデンサモジュール500は、上アームIGBT328のコレクタ電極153とバッテリ136の正極側との間と、下アームIGBT330のエミッタ電極とバッテリ136の負極側との間で接続され、バッテリ136と上下アーム直列回路150に対して電気的に並列接続される。
【0031】
制御部170はIGBT328,330を作動させるためのものであり、他の制御装置やセンサなどからの入力情報に基づいて、IGBT328,330のスイッチングタイミングを制御するためのタイミング信号を生成する制御回路172と、制御回路172から出力されたタイミング信号に基づいて、IGBT328,330をスイッチング動作させるためのドライブ信号を生成するドライバ回路174とを備えている。
【0032】
制御回路172は、IGBT328,330のスイッチングタイミングを演算処理するためのマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記述する)を備えている。マイコンには入力情報として、モータジェネレータ192に対して要求される目標トルク値、上下アーム直列回路150からモータジェネレータ192の電機子巻線に供給される電流値、およびモータジェネレータ192の回転子の磁極位置が入力されている。目標トルク値は、不図示の上位の制御装置から出力された指令信号に基づくものである。電流値は、電流センサ180から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。磁極位置は、モータジェネレータ192に設けられた回転磁極センサ(不図示)から出力された検出信号に基づいて検出されたものである。本実施形態では三相の電流値を検出する場合を例に挙げて説明するが、二相分の電流値を検出するようにしても構わない。
【0033】
制御回路172内のマイコンは、目標トルク値に基づいてモータジェネレータ192のd,q軸の電流指令値を演算し、この演算されたd,q軸の電流指令値と、検出されたd,q軸の電流値との差分に基づいてd,q軸の電圧指令値を演算し、この演算されたd,q軸の電圧指令値を、検出された磁極位置に基づいてU相,V相,W相の電圧指令値に変換する。そして、マイコンは、U相,V相,W相の電圧指令値に基づく基本波(正弦波)と搬送波(三角波)との比較に基づいてパルス状の変調波を生成し、この生成された変調波をPWM(パルス幅変調)信号としてドライバ回路174に出力する。
【0034】
ドライバ回路174は、下アームを駆動する場合、PWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する下アームのIGBT330のゲート電極に、上アームを駆動する場合、PWM信号の基準電位のレベルを上アームの基準電位のレベルにシフトしてからPWM信号を増幅し、これをドライブ信号として、対応する上アームのIGBT328のゲート電極にそれぞれ出力する。これにより、各IGBT328,330は、入力されたドライブ信号に基づいてスイッチング動作する。
【0035】
また、制御部170は、異常検知(過電流,過電圧,過温度など)を行い、上下アーム直列回路150を保護している。このため、制御部170にはセンシング情報が入力されている。たとえば、各アームの信号用エミッタ電極端子155,165からは各IGBT328,330のエミッタ電極に流れる電流の情報が、対応する駆動部(IC)に入力されている。これにより、各駆動部(IC)は過電流検知を行い、過電流が検知された場合には対応するIGBT328,330のスイッチング動作を停止させ、対応するIGBT328,330を過電流から保護する。上下アーム直列回路150に設けられた温度センサ(不図示)からは上下アーム直列回路150の温度の情報がマイコンに入力されている。また、マイコンには上下アーム直列回路150の直流正極側の電圧の情報が入力されている。マイコンは、それらの情報に基づいて過温度検知および過電圧検知を行い、過温度或いは過電圧が検知された場合には全てのIGBT328,330のスイッチング動作を停止させ、上下アーム直列回路150(引いては、この回路150を含む半導体モジュール)を過温度或いは過電圧から保護する。
【0036】
インバータ回路144の上下アームのIGBT328,330の導通および遮断動作が一定の順で切り替わり、この切り替わり時にモータジェネレータ192の固定子巻線に発生する電流は、ダイオード156,166を含む回路を流れる。
【0037】
上下アーム直列回路150は、図示するように、Positive端子(P端子,正極端子)157,Negative端子(N端子,負極端子)158,上下アームの中間電極169に接続されている交流端子159,上アームの信号用端子(信号用エミッタ電極端子)155,上アームのゲート電極端子154,下アームの信号用端子(信号用エミッタ電極端子)165,下アームのゲート電極端子164、を備えている。また、電力変換装置200は、入力側に直流コネクタ138を有し、出力側に交流コネクタ188を有して、それぞれのコネクタ138と188を通してバッテリ136とモータジェネレータ192にそれぞれ接続される。また、モータジェネレータへ出力する三相交流の各相の出力を発生する回路として、各相に2つの上下アーム直列回路を並列接続するようにした回路構成の電力変換装置であってもよい。
【0038】
次に図1および図2に記載した電力変換装置200の全体構成について図3〜図8を参照しながら以下説明する。
【0039】
図3(a)は本発明の実施形態に係る電力変換装置200の全体構成の一方の側から見た外観斜視図であり、図3(b)は本発明の実施形態に係る電力変換装置200の全体構成の他方の側から見た外観斜視図である。電力変換装置200は、上面あるいは底面が略長方形の筐体12と、筐体12短辺側外周の1つに設けられた入口配管13および出口配管14と、筐体12の上部開口を塞ぐための上部ケース31と、上部ケース31の開口部を塞ぐための上部カバー30と筐体12の下部開口を塞ぐための下部カバー32とを有する。
【0040】
電力変換装置200の短辺側の外周にはモータジェネレータ192や194との接続に用いる交流ターミナル18とバッテリとの接続に用いる直流ターミナル17が設けられる。交流ターミナル18は、パワーモジュール300とモータジェネレータ192,194とを電気的に接続するために用いられる。
【0041】
直流ターミナル17は直流(バッテリ)負極側接続端子部510,直流(バッテリ)正極側接続端子部512とコンデンサモジュール500とを電気的に接続する。
【0042】
コネクタ21は、上部ケース31に実装された制御回路基板20に接続されている。外部からの各種信号は、コネクタ21を介して制御回路基板20に伝送される。本実施形態では、コネクタ21と直流ターミナル17は電力変換装置200の外周面の異なる短辺側に設けられている。つまり、コネクタ21と直流(バッテリ)負極側接続端子部510が離れた配置となっている。これにより、直流(バッテリ)負極側接続端子部510から筐体12に侵入し、さらにコネクタ21まで伝播するノイズを低減することができ、制御回路基板20によるモータの制御性を向上させることができる。
【0043】
電力変換装置200の内部構成について図4〜図8を使用して説明する。
【0044】
図4は本発明の実施形態に係る電力変換装置の全体構成を各構成要素に分解した斜視図である。
【0045】
図5は流路19の構造と冷媒の流れの詳細図であり、図5(a)は冷媒の流れを簡易的に示した図、図5(b)は筐体12に第2流路形成体52にパワーモジュール300を実装した上面図、図5(c)は断面図(図5(b)のA−A断面基準)、図5(d)は筐体12に第2流路形成体52を実装した上面図、図5(e)は筐体12に第2流路形成体52を実装した下面図である。
【0046】
図6(a)は第2流路形成体52の外観斜視図であり、図6(b)は第2流路形成体52の下面図である。
【0047】
図7(a)はサブアッセンブリ57の詳細な外観斜視図であり、図7(b)はサブアッセンブリ57の筺体内実装図である。
【0048】
図8(a)は本実施形態の電力変換装置とDCDCコンバータ900を組み合わせた外観斜視図であり、図8(b)は上面図、図8(c)は断面図((b)のA−A断面基準)である。
【0049】
図4〜図8において、200は電力変換装置、30は上部カバー、31は上部ケース、11は金属ベース板、700は積層導体板、12は筐体、13は入口配管、14は出口配管、32は下部カバー、17は直流ターミナル、18は交流ターミナル、51は第1流路形成体、52は第2流路形成体、55は中継流路形成体、19aは第1流路部、19bは第2流路部、19cは第3流路部、19dは第4流路部、19fは第1中継流路部、19gは第2中継流路部、20は制御回路基板で制御回路172を保持している。21は外部との接続のためのコネクタ、22はドライバ基板でドライバ回路174を保持している。
180は、交流電流を検出する電流センサである。
【0050】
300はパワーモジュール(半導体モジュール部)で1個設けられており、パワーモジュール300にはインバータ回路144が内蔵されている。500はコンデンサモジュール、502はコンデンサケース、504は負極側コンデンサ端子、506は正極側コンデンサ端子、514はコンデンサセル、900はDCDCコンバータ、901はDCDCコンバータケースをそれぞれ表す。
【0051】
図5(a)に示された第1収納領域61は、図4の筐体12の内部空間の一部であって、第2流路形成体52よりも下方の空間に対応する。図5(a)に示された第2収納領域62は、図4の筐体12の内部空間の一部であって、第2流路形成体52よりも上方の空間に対応する。
【0052】
図5(a)に示された第1流路部19a及び第2流路部19bは、図5(e)に示された第1流路形成体51により形成される。つまり図5(e)に示されるように、入口配管13及び出口配管14は筺体12の所定の一面に形成され、入口配管13は第1流路部19aと繋がり、出口配管14は第2流路部19bと繋がる。第1流路部19aは、冷却冷媒の流れが筺体12の所定の一面と対向する筺体12の他方の面に向かって流れるように形成される。第2流路部19bは、第1流路部19aと並べて配置され、かつ第1流路部19aと繋がり、さらに出口配管14と向かって形成される。
【0053】
図5(a)に示された第3流路部19c及び第4流路部19dは、図5(d)に示された第2流路形成体52により形成される。つまり図5(d)に示されるように、第3流路部19cは、第1流路部19aが配置された側から第2流路部19bが配置された側に向かって形成される。第4流路部19dは、第3流路部19cと並べて配置され、かつ第3流路部19cと繋がり、さらに第1流路部19aが配置された側に向かって形成される。
【0054】
図5(a)に示された第1中継流路部19f及び第2中継流路部19gは、図5(c)に示された中継流路形成体55により形成される。つまり図5(c)に示されるように、第1中継流路部19fは、第1収納領域61を跨いで、かつ第1流路部19aと第3流路部19cを繋いでいる。第2中継流路部19gは、第1中継流路部19fと並べて配置され、かつ第1収納領域61を跨いで、さらに第1流路部19aと第4流路部19dを繋いでいる。
【0055】
冷却冷媒の流れは筐体の短辺側に設けられた入口配管13から流入し、第1流路部19aを図5(e)の矢印の方向である長方形の長辺に沿って流れ、長辺の途中で第1収納領域61を跨ぐように中継流路形成体55中の第1中継流路部19fを矢印の方向へ上昇し、上昇した冷媒は第2流路形成体52の第3流路部19cへ流入する。さらに冷却冷媒は、第3流路部19cにおいて冷媒の流れが折り返され、第4流路部19dを通り、冷媒は流出される。流出された冷媒は再び第1収納領域61を跨ぐように中継流路形成体55中の第2中継流路部19gを通り下降する。下降した冷媒は再び筐体12と下部カバー32により形成された第1流路部19aを筐体12の外周を沿うように通り出口へ向かい出口配管14から冷媒を流出する。
【0056】
第1収納領域61は空間平面6面(上面,下面,側面4面)のうち、少なくとも3面は冷却冷媒が流れる流路形成体に囲まれて構成されていることにより、冷却効率に優れた収納領域となる。これにより電気部品どうしの熱伝達や電力変換装置200外部からの伝達熱のいずれか又はそれらの組み合わせによる電気部品への熱の影響を低減することができるので電力変換装置200の信頼性が向上すると共に、小型化が可能になる。
【0057】
コンデンサモジュール500は後述するコンデンサ素子を内蔵しており、この素子の耐熱温度が他の電気部品に比較して低いので、パワーモジュール300からの熱伝達を抑制する必要性が高い。そのため、本実施形態においては第1収納領域61には、コンデンサモジュール500が配置される。
【0058】
なお第1収納領域61には、電力変換装置の中で耐熱温度が比較的低い部品を有するモジュールを配置することが望ましい。場合によっては、パワーモジュール300又はDCDCコンバータが配置されてもよい。
【0059】
本実施形態のパワーモジュール300は、第2流路形成体52を挟んで第1収納領域61と反対側の第2収納領域62に配置されている。これにより、電力変換装置200の中でも最も発熱量が大きいパワーモジュール300から発生するふく射熱の影響を他の電気回路部品が受けることを低減でき、電気回路部品の信頼性を向上させることができる。さらに第2流路形成体52の第1収納領域61側の面に他の電気部品を搭載することが可能となり第2流路形成体52を流れる冷媒によってパワーモジュール300と当該の電気部品を同時に冷却することが可能で収納効率が向上し電力変換装置200の小型化につながる。
【0060】
また図7(a)に示されるように、本実施形態の電力変換装置200は、第2流路形成体52と、パワーモジュール300と、積層導体板700と、金属ベース板11と、ドライバ基板22とを備えたサブアッセンブリ57を有する。ここでサブアッセンブリ化のためには、第2流路形成体52は、第1流路形成体51及び中継流路形成体55とは分離して構成されており、中継流路形成体55とは他の固定手段を用いて固定されることになる。
【0061】
サブアッセンブリ57は、パワーモジュール300の上方に、パワーモジュール300とコンデンサモジュール500とを電気的に接続するための積層導体板700が配置される。積層導体板700は、コンデンサモジュール500の正極側端子と接続される正極側導体板702と、負極側端子と接続される負極側導体板704と、正極側端子と負極側端子との間に配置される絶縁部材によって構成される。これにより積層導体板700の積層面積を広げることができるので、パワーモジュール300からコンデンサモジュール500までの寄生インダクタンスの低減を図ることができる。
【0062】
積層導体板700の上方には金属ベース板11とドライバ回路基板22が配置されている。ドライバ回路基板22には図2に示すドライバ回路174が搭載されている。金属ベース板11はドライバ回路基板22に搭載される回路群の電磁シールドの機能を奏すると共に、ドライバ回路基板22で発生する熱を逃がし、冷却する作用を有している。
【0063】
このようにサブアッセンブリ化することにより、パワーモジュール300の交流端子を筺体12内部のどの側面方向にも配置できるようになる。パワーモジュール300の交流端子は交流ターミナル18とバスバーで接続される。ゆえに交流端子を筺体12内部のどの側面にも配置できるということは交流ターミナル18近傍に交流端子を配置が可能となり交流端子と交流ターミナル18間のバスバーは短く簡易な構造を実現でき、小型化が可能になる。
【0064】
また、パワーモジュールの制御端子とドライバ回路基板22の半田接続を製造ライン外で行えることにより半田時の半田ボールの飛散による不良、半田フィレット目視確認容易による半田フィレット不良が減少、サブアッセンブリでの気密試験実施が可能となるため電力変換装置としての気密不良も減少することにより信頼性が向上する。
【0065】
図6(a)及び図6(b)に示されるように、第2流路形成体52の上面には流れの方向に開口部400が形成されている。開口部400を塞ぐようにパワーモジュール300の金属ベース304(図11参照)が第2流路形成体52の上面に固定されている。金属ベースは直接冷媒により冷却されるため冷却効率が向上し金属ベース上にインバータ回路144を高密度で集積できるためパワーモジュール300の小型化が可能となり電力変換装置200の小型化にも大きく寄与する。また金属ベース304には放熱のためのフィン305が設けられており、冷却効率が向上する。
【0066】
第2流路形成体52は、シールをするためのOリング溝800を設け気密を確保しているがOリングの代わりに樹脂材・液状シール・パッキンなどを代用しても良く、特に液状シールを用いた場合には電力変換装置200の組立性を向上させることができる。実施形態構成5では第2流路形成体52とパワーモジュール300でサブアッセンブリ化しているためサブアッセンブリの気密確保を少数の部品点数で確認でき、電力変換装置200の不良を低減できると共に組立性も向上する。
【0067】
また、図8(c)に示されるように、パワーモジュール300に印加される直流電圧を昇圧又は降圧するDCDCコンバータ900は、第1流路形成体51を挟んで第1収納領域61と向き合うように、第1流路形成体51に固定される。
【0068】
電力変換装置200とDCDCコンバータ900は、例えばネジ等の固定部材により締結されている。電力変換装置200下部は下部カバー32と筺体12で第1流路形成体51を構成している。そのため、冷却効率の優れた下部カバー32が、DCDCコンバータケース901と密接に接触する。DCDCコンバータ900の内部部品はDCDCコンデンサケース901に実装されており、DCDCコンバータ900の内部発熱体(具体的にはリアクトル,コンデンサ)が発熱した熱はDCDCコンバータケース901と電力変換装置下部カバー32を介して冷媒に熱的に伝導される。
【0069】
電力変換装置200を冷却する冷媒をDCDCコンバータ900の冷却にも共通使用することにより、新たにDCDCコンバータ900側に冷媒を設けることなくハイブリッド自動車システムとしても小型化が可能となる。また電力変換装置内部にDCDCコンバータ900を実装することも可能ではあるが、組立性,信頼性およびリビルト性の面で優れている。なお、電力変換装置200に組み合わせた車載電機機器をDCDCコンバータ900としているが、DCDCコンバータ900に限定するものではない。
【0070】
また、本実施形態の中継流路形成体55は、筺体12の内壁に接触した状態で形成され、例えば中継流路形成体55と筺体12とが一体に成形されていても良い。中継流路形成体55は、筺体12の内壁に接触した状態形成することにより機械的強度向上に加え熱伝導がよくなり冷却効率が向上する。本実施形態では筐体12,上部ケース31,下部カバー32,第2流路形成体52をアルミ材の鋳造としたことで、中継流路形成体55を筺体12の内壁の一部とすることができる。これにより中継流路形成体55を筺体12が一体化できさらに機械的強度向上と熱伝導向上が可能となる。
【0071】
また、図5(e)に示されるように、第1流路形成体51の第1流路部19aの幅は、当該第1流路形成体51の第2流路部19bの幅よりも小さく形成される。
【0072】
これにより圧力損失低減と小型化が可能となる。圧力損失は流路断面積の増減が1つのパラメータとして上げられるが、本実施形態では入口配管13から流入した冷媒は断面積が大幅に変わることなく第1流路部19aを流れ、第2流路部19bで幅が広がる。第2流路部19bで幅が広がることにより筐体12と冷媒の接触面積が増加し筐体12全体の冷却が可能となり冷却効率が向上する。
【0073】
また圧力損失を抑えることを考慮すると第1流路部19a幅は第1中継流路部19fと略同一断面積であることが望ましい、第1中継流路部19fは第1収納領域61を跨ぐことから、断面積を拡大すると電力変換装置200も大型化するため第1流路部19aを小さくすることは薄型化,小型化に寄与している。
【0074】
また、中継流路形成体55は、入口配管13と直接接続された第1流路部19aと接続している。つまり、パワーモジュール300が接続された第2流路形成体52は、出口配管14から流出する冷媒よりも十分に冷えた入口配管13からの冷媒によって冷却されることになる。したがって、発熱量が大きいパワーモジュール300を優先的に冷却することができるので、インバータ回路144を高密度で集積できるためパワーモジュール300の小型化が可能となり電力変換装置200の小型化にも大きく寄与する。
【0075】
また、パワーモジュール300は、複数のパワースイッチング素子によりそれぞれ構成される上アーム回路151及び下アーム回路152を有し、上アーム回路151を構成する複数のパワースイッチング素子は、第2流路形成体52の第3流路部19c又は第4流路部19dのいずれか一方と向き合う位置に配置され、下アーム回路152を構成する複数のパワースイッチング素子は、第2流路形成体52の第3流路部19c又は第4流路19dのいずれか他方と向き合う位置に配置される。
【0076】
図6(a)に示されるように第2流路形成体52は、第3流路部19cと第4流路部19dを隔てる隔壁408を有する。第3流路部19cを流れる冷媒は第4流路部19dを流れる冷媒より温度が低い。なぜなら第4流路部19dを流れる冷媒は第3流路部19cで上アーム回路151又は下アーム回路と熱交換を終えているからである。しかし第2流路形成体52内部で往路、復路が向き合うよう折り返しを行うため、流路の復路内の冷媒の熱を、流路の往路内の冷媒に熱伝達して冷媒の温度を均一化することができる。冷媒の第3流路部19cと第4流路部19dとの温度差が大きいと冷却効率のムラが大きくなる。ある程度の温度差は仕方ないが、この隔壁408が第2流路形成体52と一体に作られていることで冷媒の温度差を抑える効果が有る。
【0077】
また図5(d)及び図5(e)に示されるように、車両はモータジェネレータ192と協調して車両の駆動力を発生するエンジンと変速機118とを有する。電力変換装置200はエンジンと変速機118の少なくともいずれか一方と電気回路部品が中継流路形成体52を介して対向するように配置される。
【0078】
電力変換装置200は車両のエンジンやトランスミッション118近傍に配置されることが少なくない。その場合、電力変換装置200は高温となったエンジンやトランスミッション118の熱影響(具体的にはふく射熱)を受ける。エンジン120やトランスミッション118近傍にある電力変換装置200の内壁は温められ、場合によっては電力変換装置200、電気回路部品の収納領域に影響を与える。しかし中継流路形成体52を電力変換装置の側面にもつ本実施形態は流路を流れる冷媒により外部からの熱入力を効果的に冷却(遮蔽)することができ電力変換装置200の小型化が可能となる。
【0079】
図9(a)は、本実施形態に関するパワーモジュール300の上方斜視図であり、図9(b)は、当該パワーモジュール300の上面図である。図10は、本実施形態に関するパワーモジュール300の直流端子の分解斜視図である。図11は、直流バスバーの構造を分かりやすくするため、パワーモジュールケース302を一部透明にした断面図である。図10(a)は、パワーモジュール300の構成部品である金属ベース304および3つの上下アーム直列回路のうち1つ、を抜き出した図である。図10(b)は、金属ベース304,回路配線パターンおよび絶縁基板334の分解斜視図である。
【0080】
図9(a)において、302はパワーモジュールケース、304は金属ベース、305はフィン(図11参照)、314aは直流正極端子接続部、316aは直流負極端子接続部、318は絶縁紙(図10参照)、320U/320Lはパワーモジュール300の制御端子、328は上アーム用のIGBT、330は下アーム用のIGBT、156/166はダイオード、334は絶縁基板(図11参照)、334kは絶縁基板334上の回路配線パターン(図11参照)、334rは絶縁基板334下の回路配線パターン(図11参照)、337は回路配線パターン334rを金属ベース304に接合するはんだをそれぞれ表す。
【0081】
パワーモジュール300は、主に、例えば樹脂材料のパワーモジュールケース302内の配線を含めた半導体モジュール部と、金属材料例えばCu,Al,AlSiCなどからなる金属ベース304と、外部との接続端子(直流正極端子314や制御端子320U等)と、から構成される。そして外部と接続する端子として、パワーモジュール300は、モータと接続するためのU,V,W相の交流端子159と、コンデンサモジュール500と接続する直流正極端子314および直流負極端子316(図10参照)とを有している。
【0082】
半導体モジュール部は、絶縁基板334の上に上下アームのIGBT328,330、ダイオード156/166等が設けられて、レジンまたはシリコンゲル(不図示)によって保護されている。絶縁基板334はセラミック基板であっても良いし、さらに薄い絶縁シートであってもよい。
【0083】
図9(b)は、金属ベース304に固着された熱伝導性の良いセラミックからなる絶縁基板334の上に、上下アーム直列回路が具体的にどのような配置で設置されているかを示す配置構成図である。図9(b)に示すIGBT328,330とダイオード327,332はそれぞれ2つのチップを並列接続して上アーム,下アームを構成し、上下アームに通電可能な電流容量を増やしている。
【0084】
図10に示すように、パワーモジュール300に内蔵された直流端子313は、絶縁紙318を挟んで、直流負極端子316,直流正極端子314の積層構造を有する(図10の点線部)。直流負極端子316,直流正極端子314の端部は、互いに反対方向に屈曲され、積層導体板700とパワーモジュール300とを電気的に接続するための負極接続部316aおよび正極接続部314aを形成している。積層導体板700との接続部314aおよび316aがそれぞれ2つ設けられることにより、負極接続部316aおよび正極接続部314aから3つの上下アーム直列回路までの平均距離がほぼ等しくなるので、パワーモジュール300内の寄生インダクタンスのバラツキを低減することができる。
【0085】
直流正極端子314,絶縁紙318,直流負極端子316を積層して組立てたときに、負極接続部316aと正極接続部314aが互いに反対方向に屈曲した構造となる。絶縁紙318は、負極接続部316aに沿って曲げ、正極,負極の端子の絶縁沿面距離を確保する。絶縁紙318は、耐熱が必要なときは、ポリイミドやメタ系アラミド繊維、トラッキング性を高めたポリエステルなどを複合したシートを用いる。また、ピンフォールなどの欠陥を考慮して、信頼性を高めるときは2枚重ねする。また、破れたり,裂けたりすることを防ぐために、コーナ部にアールを設けたり、端子のエッジが絶縁紙に触れないよう、打ち抜き時のダレ面を絶縁紙に面する方向にする。本実施例では、絶縁物として絶縁紙を用いたが、他の例として、端子に絶縁物をコーティングしてもよい。寄生インダクタンスを低減するため、例えば、600V耐圧のパワーモジュールのときは、正極,負極間の距離を0.5mm以下とし、絶縁紙の厚さは、その半分以下とする。
【0086】
直流正極端子314および直流負極端子316は、回路配線パターン334kと接続するための接続端314k,316kを有する。それぞれの接続端314k,316kは、各相(U,V,W相)に対して2つ設けられている。これにより、後述するように、各相のアーム毎に、2つの小ループ電流経路を形成した回路配線パターンと接続することができる。また、各接続端314k,316kは、回路配線パターン334kの方向に向かって突出し、かつ回路配線パターン334kとの接合面を形成するために、その先端部が屈曲している。接続端314k,316kと回路配線パターン334kは、はんだなどを介して接続されるか、もしくは直接金属同士を超音波溶接により接続される。
【0087】
パワーモジュール300、特に金属ベース304は、温度サイクルによって膨張および収縮する。この膨張および収縮によって、接続端314k,316kと回路配線パターン334kの接続部は、亀裂または破断するおそれが生じる。そこで、本実施形態に係るパワーモジュール300では、図9に示すように、直流正極端子314と直流負極端子316が積層されることにより形成される積層平面部319が、絶縁基板334を搭載した側の金属ベース304の平面に対して、略平行となるように構成されている。これにより、積層平面部319は、前述の膨張および収縮により発生する金属ベース304の反り返りに対応した反り返り動作が可能となる。そのため、積層平面部319に一体に形成された接続端314k,316kの剛性は、金属ベース304の反り返りに対して、小さくすることができる。したがって、接続端314k,316kと回路配線パターン334kとの接合面の垂直方向に加わる応力を緩和することができ、この接合面の亀裂または破断を防止することができる。
【0088】
なお、本実施形態に係る積層平面部319は、金属ベース304の幅方向および奥行き方向の両方の反り返りに対応して反り返り動作が可能となるように、積層平面部319の幅方向の長さを130mm、奥行き方向の長さを10mmとして、奥行き方向の長さを大きめにしている。また、直流正極端子314と直流負極端子316のそれぞれの積層平面部319の厚さは、反り返り動作をしやすいように1mmと比較的薄く設定されている。
【0089】
図11に示されるように、金属ベース304は、流路19を流れる冷却水へ効率良く放熱するために、絶縁基板334の反対側にフィン305を有している。金属ベース304は、その一方の面にインバータ回路を構成するIGBTやダイオードを実装し、金属ベース304の外周に樹脂製のパワーモジュールケース302を備える。金属ベース304の他方の面にフィン305がロウ付けで突設されている。金属ベース304とフィン305を鍛造により一体成型してもよい。この製造方法では、パワーモジュール300の生産性が向上するとともに、金属ベース304からフィン305までの熱伝導率が向上し、IGBTおよびダイオードの放熱性を向上させることができる。また、金属ベース304をビッカース硬度60以上の材料で製造することで、温度サイクルによって生ずる金属ベース304のラチェット変形を抑制し、金属ベース304と筐体12とのシール性を向上させることができる。さらに、図11(a)に示す如く、上下アームにそれぞれ対応するように2組のフィン群305Gが設けられており、これらのフィン群305Gは往復する流路19の上方の開口部400,402から水路内に突出する。金属ベース304のフィン群305G周囲の金属面は冷却ジャケット19に設けられた開口部400,402を閉じるために使用される。
【0090】
なお、本実施形態のフィン305の形状はピン型であるが、他の実施形態として、冷却水の流れ方向に沿って形成されたストレート型であってもよい。フィン305の形状をストレート型とした場合には、冷却水を流すための圧力を低減させることができ、一方、ピン型のフィンを用いた場合には冷却効率を向上させることができる。
【0091】
金属ベース304の一方の面には、絶縁基板334が固定され、絶縁基板334上にははんだ337より、上アーム用のIGBT328と上アーム用のダイオード156、および下アーム用のIGBT330や下アーム用のダイオード166を有するチップが固定される。
【0092】
図12(a)に示すように、上下アーム直列回路150は、上アーム回路151,下アーム回路152、これら上下アーム回路151,152を結線するための端子370、および交流電力を出力するための交流端子159を備えている。また、図12(b)に示すように、上アーム回路151は、金属ベース304の上に、回路配線パターン334kを形成した絶縁基板334を設け、回路配線パターン334kの上にIGBT328,ダイオード156を実装して構成されている。
【0093】
IGBT328およびダイオード156は、それらの裏面側の電極と、回路配線パターン334kとが、はんだにより接合される。絶縁基板334は、回路配線パターン面とは反対側の面(裏面)が、パターンの無い、いわゆるベタパターンを形成している。この絶縁基板334の裏面のベタパターンと、金属ベース304とが、はんだで接合されている。下アーム回路152も上アームと同様に、金属ベース304の上に配置された絶縁基板334と、この絶縁基板334の上に配線された回路配線パターン334kと、この回路配線パターン334kの上に実装されたIGBT330,ダイオード166とを備えている。
【0094】
IGBT330およびダイオード166の裏面側の電極も、回路配線パターン334kとはんだで接合される。なお、本実施形態における各相の各アームは、IGBT328とダイオード156を並列接続した1組の回路部を2組並列に接続して構成される。要求される回路部の組数は、モータジェネレータ192に通電される電流量によって決定される。本実施形態に係るモータジェネレータ192に通電される電流よりも大電流が必要な場合には、回路部を3組、もしくはそれ以上を並列接続して構成される。逆に、モータを小さい電流で駆動することができる場合には、各相の各アームは、回路部を1組のみで構成される。
【0095】
図12(b)を用いてパワーモジュール300の電流経路を説明する。パワーモジュール300の上アーム回路151に流れる電流の経路を以下に示す。(1)不図示の直流正極端子314から接続導体部371U、(2)接続導体部371Uから素子側接続導体部372Uを介して上アーム用IGBT328および上アーム用ダイオード156の一方側電極(素子側接続導体部372Uと接続された側の電極)、(3)上アーム用IGBT328および上アーム用ダイオード156の他方側電極からワイヤ336を介して接続導体部373U、(4)接続導体部373Uから結線端子370の接続部374U,374Dを介して接続導体部371Dを流れる。なお、前述のように上アームは、IGBT328とダイオード156を並列接続した回路部を2組並列に接続して構成される。よって、上記(2)の電流経路において、電流は、素子側接続導体部372Uにて2つに分岐され、分岐された電流は2組の回路部へそれぞれ流れる。
【0096】
パワーモジュール300の下アーム回路152に流れる電流経路を以下に示す。(1)接続導体部371Dから素子側接続導体部372Dを介して下アーム用IGBT330および上アーム用ダイオード166の一方側電極(素子側接続導体部372Dと接続された側の電極)、(2)下アーム用IGBT330および下アーム用ダイオード166の他方側電極からワイヤ336を介して接続導体部373D、(3)接続導体部373Dから不図示の直流負極端子316を流れる。なお、上アームと同様に下アームは、IGBT330とダイオード166を並列接続した回路部を2組並列に接続して構成されるので、上記(1)の電流経路において、電流は、素子側接続導体部371Dにて2つに分岐され、分岐された電流は2組の回路部へそれぞれ流れる。
【0097】
ここで、上アーム回路のIGBT328(およびダイオード156)と不図示の直流正極端子314とを接続するための接続導体部371Uは、絶縁基板334の一辺の略中央部付近に配置される。そして、IGBT328(およびダイオード156)は、接続導体部371Uが配設された絶縁基板334の一辺側とは反対側である他辺側の近傍に実装される。また、本実施形態においては、2つ備えられた接続導体部373Uは、前述の接続導体部371Uを挟んで、かつ絶縁基板334の一辺側に一列に配置される。
【0098】
このような回路パターンおよび実装パターン、すなわち、絶縁基板334上の回路配線パターンを、概ねT字形状の配線パターンと、概ねT字の縦棒(371U)の両側に、2つの配線パターン(371U)とし、接続端371U,373Uから端子を実装することで、IGBT328のスイッチング時の過渡的な電流経路は、図12(b)の矢印350(破線)に示すようなM字状の電流経路、すなわち2つの小ループ電流経路となる(矢印の方向は下アームターンオン時)。この2つの小ループ電流経路の周辺には、図12(b)の矢印350H方向(実線)の磁界350Hが発生する。この磁界350Hによって、絶縁基板334の下方に配置された金属ベース304に、誘導電流、いわゆる渦電流340が誘導される。この渦電流340は、前述の磁界350Hを打ち消す方向の磁界340Hを発生させ、上アーム回路で生じる寄生インダクタンスを低減させることができる。
【0099】
上述の2つの小ループ電流は、絶縁基板334上に流れる電流同士が打ち消し合うような2つのUターン電流である。このため、図12(b)の磁界350Hに示すように、パワーモジュール300の内部に、より小さいループ磁界ができるため、寄生インダクタンスを低減できる。さらに、スイッチング時に生ずる磁界ループが小さく、パワーモジュール300内部に磁界ループを閉じ込めることができるため、パワーモジュール300の外の筐体12への誘導電流を低減し、制御回路基板上の回路の誤動作や、電力変換装置の外部への電磁ノイズも防止できる。
【0100】
下アーム回路も前述の上アーム回路と同様な回路配線パターンおよび実装パターンとを有する。すなわち、下アーム回路のIGBT330(およびダイオード166)と不図示の直流負極端子316とを接続するための接続導体部371Dは、絶縁基板334の一辺の略中央部付近に配置される。そして、IGBT330(およびダイオード166)は、接続導体部371Dが配設された絶縁基板334の一辺側とは反対の他辺側の近傍に実装される。また、本実施形態においては、2つ備えられた接続導体部373Dは、前述の接続導体部371Dを挟んで、かつ絶縁基板334の一辺側に一列に配置される。
【0101】
このような回路配線パターンおよび実装パターンとすることにより、下アーム回路側においても、前述の寄生インダクタンスを低減させる効果を奏する。なお、本実施形態において、各相の各アームの電流経路の入口は、例えば2つの接続導体部373Uに挟まれた接続導体部371Uとなり、一方電流経路の出口は、2つの接続導体部373Uとなっている。しかし、これら入口と出口が逆となっても、各相の各アームにおいて前述の小ループ電流経路が形成される。そのため、前述同様に、各相の各アームの寄生インダクタンス低減および電磁ノイズ防止を図ることができる。
【0102】
本実施形態のコンデンサモジュール500の詳細構造について、図13乃至図15を参照しながら以下説明する。図13は本実施形態に関するコンデンサモジュールの外観構成を示す斜視図である。図14は、図13に示すコンデンサモジュール500の内部が分かるように、樹脂などの充填材522を充填する前の状態を示す斜視図である。図15はさらにコンデンサモジュール500の詳細構造である積層導体にコンデンサセル514を固定した構造を示す図である。
【0103】
図13乃至図15において、500はコンデンサモジュール、502はコンデンサケース、504は負極側コンデンサ端子、506は正極側コンデンサ端子、510は直流(バッテリ)負極側接続端子部、512は直流(バッテリ)正極側接続端子部、532は補機用正極端子、534は補機用負極端子、514はコンデンサセル、をそれぞれ表す。
【0104】
図13および図15に示されるように、負極導体板505と正極導体板507とからなる積層導体板700が複数組、本実施形態では4組、直流(バッテリ)負極側接続端子部510と直流(バッテリ)正極側接続端子部512に対して電気的に並列に接続されている。負極導体板505と正極導体板507には、複数個のコンデンサセル514の正極と負極がそれぞれ並列接続されるための端子516と端子518が複数個設けられている。
【0105】
図15に示されるように、コンデンサモジュール500の蓄電部の単位構造体であるコンデンサセル514は、片面にアルミなどの金属を蒸着したフィルムを2枚積層し巻回して、2枚の金属フィルムの各々を正極,負極としたフィルムコンデンサ515で構成する。正極,負極の電極は、巻回した軸面がそれぞれ、正極,負極電極となり、スズなどの導電材508を吹き付けて製造される。
【0106】
また、図15に示されるように、負極導体板505と正極導体板507は、薄板状の幅広導体で構成し、絶縁シート517を介して積層した積層構造を採用し、寄生インダクタンスを低減する。積層導体の端部には、コンデンサセルの導電材508と接続するための端子516,518が設けられている。端子516,518は、2個のコンデンサセル514の導電材508と、半田あるいは溶接により電気的に接続される。半田装置による半田付け作業もしくは溶接機による溶接作業が行いやすくなるように、また、コンデンサセルの検査がしやすくなるように、すなわち、端子516,518と接続される電極面がセルの外側になるように、コンデンサセルを配置するとともに、導体板の構造を設計して、1つのコンデンサセル群を構成している。このようなコンデンサセル群を用いることにより、コンデンサセル群の数を増減することにより、要求されるコンデンサ容量に対応することができる。その結果、多種多様のコンデンサモジュールに共通のコンデンサセルを使用することができ、量産に適したコンデンサモジュールとすることが可能となる。寄生インダクタンスを低減するため、また、放熱のためにも、端子516,518をそれぞれ複数設けるのが好ましい。
【0107】
薄板状の幅広導体である負極導体板505と正極導体板507の一方の端部には、積層導体板700と接続するための負極側コンデンサ端子504,正極側コンデンサ端子506が設けられている。負極導体板505と正極導体板507の他方の端部には、バッテリ電力を受電する端子に接続する直流負極側接続端子510,直流正極側接続端子512が設けられている。
【0108】
図14に示すコンデンサモジュール500は、2個のコンデンサセルを1単位とするコンデンサセル群を2列縦に配置して構成している。コンデンサモジュール500の外部との接続端子として、積層導体板700と接続する2対の負極側コンデンサ端子504,正極側コンデンサ端子506と、バッテリ電力を受電する直流正負極側接続端子510および512と、補機用インバータのパワーモジュール300に給電する補機用正負極端子532および534とが用いられている。負極側コンデンサ端子504,正極側コンデンサ端子506には開口部509,511が形成され、パワーモジュール300の直流正負極端子316,314がボルト固定できるように、開口部509,511の裏側にナットが溶接されている。
【0109】
コンデンサケース502は、端子カバー520を備え、端子の位置を決めるとともに、電力変換装置の筐体12との絶縁をとる。また、コンデンサケース502は、セル群の位置決めのための、仕切りがセル群とセル群の間に設ける。コンデンサケース502の材料としては、熱伝導性に優れた材料を用い、コンデンサセル群とコンデンサセル群の間の仕切りに放熱用の熱伝導性のよい材料を埋め込んでもよい。
【0110】
コンデンサモジュール500では、コンデンサセル内部のフィルム上に蒸着された金属薄膜,内部導体(端子)の電気抵抗により、スイッチング時にリップル電流が流れると発熱する。コンデンサセルの耐湿のため、コンデンサセル,内部導体(端子)は、コンデンサケース502に樹脂で含浸(モールド)する。このため、コンデンサセルや内部導体は、樹脂を介してコンデンサケース502と密着した状態となり、コンデンサセルの発熱がケースに伝わりやすい構造になる。さらに本構造では、負極導体板505,正極導体板507とコンデンサセルの導電材508と端子516,518を直接接続するため、コンデンサセルの発熱が負極,正極導体に直接伝わり、幅広導体によりモールド樹脂へ熱が伝わりやすい構造となる。このため、図7のように、コンデンサケース502から下部カバー32、下部カバー32から筐体12さらに流路19へ熱が良好に伝わり、放熱性を確保できる。
【0111】
図14に示すように、本実施形態では、負極導体板505および正極導体板507の積層構造を2列縦に独立して配置してコンデンサモジュールを構成している。これら2列の負極導体板505および正極導体板507を一体の幅広導体板として、全てのコンデンサセル514をこの幅広導体板に接続する構成としてもよい。これにより、部品点数を削減することができ、生産性を向上させることができるとともに、全てのコンデンサセル514の静電容量を略均等に使用することができ、コンデンサモジュール500全体の部品寿命を伸ばすことができる。さらに、幅広導体板を使用することで、寄生インダクタンスを低減することができる。
【0112】
図16(a)は、本実施形態に係る電力変換装置200において、コンデンサモジュール500,積層導体板700、および2つのパワーモジュール300のみを抜き出した斜視図である。図16(b)は、積層導体板700の分解斜視図である。
【0113】
図16(a)に示されるように、交流端子159と反対側に、2つのパワーモジュール300とコンデンサモジュール500との電気的な接続部が設けられている。パワーモジュール300とコンデンサモジュール500との電気的な接続は、平板上の積層導体板700によって行われる。
【0114】
筺体12上に固定されたコンデンサケース502内には、多数のコンデンサセル514(不図示)が収納され、コンデンサモジュール500の負極側コンデンサ端子504および正極側コンデンサ端子506は、コンデンサケース502の一方の長辺に沿って配列されている。図17(a)に示されるように負極側コンデンサ端子504および正極側コンデンサ端子506の上端部の正極接続部および負極接続部504c,506bは、コンデンサセル514の上面より突き出た位置に配置されている。
【0115】
パワーモジュール300と接続される積層導体板700は、パワーモジュール300を覆うように配置される。そして、負極側コンデンサ端子504及び正極側コンデンサ端子506は、コンデンサケース502の開口面から立ち上がった構造のL字構造を形成しており、このL字構造の負極側コンデンサ端子504および正極側コンデンサ端子506の上端部の正極接続部506bおよび負極接続部504cが、電力変換装置200の組立時において、積層導体板700に直接に当接してボルトで接続されることとなる。
【0116】
図16(b)に示されるように、この積層導体板700は、平板状の正極側導体板702および負極側導体板704と、これら正極側導体板702と負極側導体板704に挟まれる絶縁シート706により構成されている。すなわち積層導体板700は積層構造として形成されているので、パワーモジュール300からコンデンサモジュール500までの寄生インダクタンスの低減を図ることができる。
【0117】
図16(a)および図9(b)に示すように、複数の上アーム制御端子320Uは、パワーモジュール300のA辺側(図9(b)参照)の中央部付近に寄せて配置される。すなわち、U相制御ピンをV相制御ピンに寄せ、W相制御ピンをV相制御ピンに寄せ、パワーモジュール300のA辺側の中央部付近に一列に上アーム制御端子320Uが配置されている。そして、積層導体板700は、この複数の上アーム制御端子320Uを貫通するための透孔705を有し、この透孔705の両脇においても、正極側導体板702と負極側導体板704とが積層されている。これらの構成により、負極側導体板704と正極側導体板702との積層面積を広げることができ、さらにパワーモジュール300からコンデンサモジュール500までの寄生インダクタンスの低減を図ることができる。
【0118】
図9(b)に示すパワーモジュール300のA辺側の中央部付近、すなわち上アーム制御端子320U付近にボス321を配置する。このボス321に、ドライバ回路174が実装されたドライバ回路基板22を固定するとともに、上アーム制御端子320Uをドライバ回路基板22に形成された孔に貫通させる。その後、ドライバ回路基板22上の端子とアーム制御端子320Uとを溶接等により接合させる。このような構成により、上アーム制御端子320Uとドライバ回路基板22上の端子との接合部が、ボス321に対して近い距離となるので、車両走行時における耐振動が向上する。
【0119】
ドライバ回路基板22は積層導体板700の上方に配置される。そこで、図17(b)に示すように、積層導体板700は、ドライバ回路基板22側に負極側導体板704を備え、一方、パワーモジュール300側に正極側導体板702を備える。これにより、高電圧となる正極側導体板702とドライバ回路基板22との間には、低電圧の負極側導体板704および絶縁シート706が存在し、ドライバ回路基板22が高電圧に触れることを防止させることができる。
【0120】
図16(b)に示すように、正極側導体板702は、パワーモジュール300の上方にまたがって配置され、さらに2つのパワーモジュール300とコンデンサモジュール500とを結線する。同様に、負極側導体板704は、パワーモジュール300の上方にまたがって配置され、パワーモジュール300とコンデンサモジュール500とを結線する。
これにより、積層導体板700が幅広になるので、パワーモジュール300からコンデンサモジュール500までの寄生インダクタンスを低減させることができる。
【0121】
図9に示すように、パワーモジュール300は、正極側接続部314aと負極側接続部316aを1組として、パワーモジュール300の一辺側に1組の接続部314a,316aが配置され、その反対側の辺に他の1組の接続部314a,316aが配置される。
積層導体板700は、これら2組の接続部314a,316aの上方にまたがって配置され、さらに各接続部314a,316aとボルトにより接続される。これにより、コンデンサモジュール500から供給される直流電流が、1組の接続部314a,316a側に集中することが無くなるため、すなわち、2組の接続部314a,316aに直流電流が分散されることになるため、パワーモジュール300からコンデンサモジュール500までのインダクタンスを低減させることができる。
【0122】
前述したように、コンデンサモジュール500には、複数のコンデンサセル514が内蔵されている。本実施形態においては、2つのコンデンサセル514でコンデンサセル群を構成し、このコンデンサセル群を2組設けている。さらに各組に対応した幅広導体(正極導体板507および負極導体板505)を備えている。図14に示されるように、負極側コンデンサ端子504および正極側コンデンサ端子506は、それぞれの幅広導体に一つずつ接続される。本実施形態においては、これらすべての負極側コンデンサ端子504および正極側コンデンサ端子506を、1組の積層導体板700に電気的に接続させる。
これにより、パワーモジュール300に対して、全てのコンデンサセル514が電気的に接続される関係となり、全てのコンデンサセル514の静電容量を略均等に使用することができ、コンデンサモジュール500全体の部品寿命を伸ばすことができる。また、この1組の積層導体板700を用いることにより、コンデンサモジュール500内部を、2つのコンデンサセル514で構成されるコンデンサセル群ごとに分割させて構成させることができ、モータジェネレータ192の電流容量に合わせて、コンデンサセル群を構成するコンデンサセル514の単位数を容易に変更させることができる。
【0123】
積層導体板700を構成する正極側導体板702と負極側導体板704は、寄生インダクタンスを小さくするために、それらの隙間距離をできるだけ小さくすることが望ましい。例えば、積層導体板700に、パワーモジュール300とコンデンサモジュール500を結線するための曲げ構造部が存在する場合には、その曲げ構造部には、平板部よりも大きい隙間距離が生じてしまい、寄生インダクタンスが大きくなってしまう。
【0124】
そこで、本実施形態に係るパワーモジュール300の正極側接続部314a,負極側接続部316a、およびコンデンサモジュール500の正極側接続部504c,負極側接続部506bは、略同一平面上に配置されるように構成する。これにより、平板状の積層導体板700を用いることができるため、正極側導体板702と負極側導体板704の隙間距離を小さくして、寄生インダクタンスを低減させることができる。
【0125】
図17(a)は、図16に示すパワーモジュール300と積層導体板700の接続箇所380(図16(a)参照)の拡大図を示している。
【0126】
図17(a)に示されるように、負極側接続部316aおよび正極側接続部314aは、直流正極端子314および直流負極端子316の端部を反対方向に屈曲させて構成され、これら負極側接続部316aおよび正極側接続部314aに対して、積層した積層導体板700の負極側導体板704,正極側導体板702をそれぞれ接続する。これにより、IGBT328,330のスイッチング時に瞬時に流れる負極側の電流は、図17(a)に示す電流経路382のようになるため、負極導体板の接続部704aと負極側接続部316aとの間でUターン電流が形成される。したがって、負極側導体板704の接続部704aの周りに発生する磁束と負極側接続部316aの周りに発生する磁束が打ち消し合うので、インダクタンスの低減を図ることができる。
【0127】
一方、正極導体板の接続部702aの電流は、図17(a)に示されるような電流経路384を通る。この正極導体板の接続部702aの上方には負極側導体板704が配置されているため、正極導体板の接続部702aの電流方向と、負極側導体板704の電流方向とが逆方向となり、それぞれの電流によって生じる磁束が打ち消し合うことになる。その結果、正極導体板の接続部702aの寄生インダクタンスを低減することができる。
【0128】
また、図17(a)に示されるように、絶縁紙318と絶縁シート706は、上下方向に重なる領域を有するようにそれぞれ配置される。さらに、ボルト等により積層導体板700を負極側接続部316aおよび正極側接続部314aに固定した場合に、絶縁紙318と絶縁シート706は、積層導体板700と正極側接続部314aによって挟まれることがない領域、つまり圧縮応力が加わらない領域を有するように配置される。これにより、接続部における正極と負極間との絶縁、具体的には正極側接続部314aと負極側導体板704との絶縁を確保することができる。
【0129】
図17(b)は、積層導体板700の接続箇所(パイプ)390の拡大図(図16(a)参照)を示す。図17(b)に示されるように、コンデンサモジュール500の正極側接続部506bおよび負極側接続部504cは、それぞれ反対方向に屈曲させて構成され、それぞれの上面に積層導体板700の正極側導体板702および負極側導体板704をそれぞれ接続する。これにより、IGBT328,330のスイッチング時に瞬時に流れる負極側の電流は、図17(b)に示す電流経路392のようになるため、負極側導体板704の接続部704cとコンデンサモジュール500の負極側接続部504cとの間でUターン電流が形成される。したがって、負極側導体板704の接続部704aの周りに発生する磁束と負極側接続部504cの周りに発生する磁束が打ち消し合うので、インダクタンスの低減を図ることができる。
【0130】
同様に、IGBT328,330のスイッチング時に瞬時に流れる正極側の電流は、図15(b)に示されるような電流経路394を通る。すなわち、正極導体板の接続部702bとコンデンサモジュール500の正極側接続部506bとの間でUターン電流が形成される。したがって、正極側導体板702の接続部702bの周りに発生する磁束と正極側接続部506bの周りに発生する磁束が打ち消し合うので、インダクタンスの低減を図ることができる。
【0131】
また、図17(b)に示されるように、絶縁シート517と絶縁シート706は、上下方向に重なる領域を有するようにそれぞれ配置される。さらに、ボルト等により積層導体板700をコンデンサモジュール500の正極側接続部506bおよび負極側接続部504cに固定した場合に、絶縁シート517と絶縁シート706は、積層導体板700と正極側接続部506bによって挟まれることがない領域、つまり圧縮応力が加わらない領域を有するように配置される。これにより、接続部における正極と負極間との絶縁、具体的には正極側接続部506bと負極側導体板704との絶縁を確保することができる。
【0132】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例をどのように組み合わせることも可能である。
【0133】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態の構成に何ら限定されるもの
ではない。
【符号の説明】
【0134】
11 金属ベース板
12 筐体
13 入口配管
14 出口配管
17 直流ターミナル
18 交流ターミナル
19 流路
19a 第1流路部
19b 第2流路部
19c 第3流路部
19d 第4流路部
19f 第1中継流路部
19g 第2中継流路部
20 制御回路基板
21 コネクタ
22 ドライバ回路基板
23 基板間コネクタ
30 上部カバー
31 上部ケース
32 下部カバー
43 補機用インバータ装置
51 第1流路形成体
52 第2流路形成体
55 中継流路形成体
57 サブアッセンブリ
61 第1収納領域
62 第2収納領域
110 ハイブリッド電気自動車
112 前輪
114 前輪車軸
116 前輪側DEF
118 変速機
120 エンジン
122 動力分配機構
123〜130 歯車
136 バッテリ
138 直流コネクタ
140,142 インバータ装置
144 インバータ回路
150 上下アームの直列回路
151 上アーム回路
152 下アーム回路
153 上アームのコレクタ電極
154 上アームのゲート電極端子
155 上アームの信号用エミッタ電極端子
156 上アームのダイオード
157 正極(P)端子
158 負極(N)端子
159 交流端子
163 下アームのコレクタ電極
164 下アームのゲート電極端子
165 下アームの信号用エミッタ電極端子
166 下アームのダイオード
169 中間電極
170 制御部
172 制御回路
174 ドライバ回路
176,182 信号線
180 電流センサ
186 交流電力線
188 交流コネクタ
192,194 モータジェネレータ
195 モータ(補機用=エアコン,オイルポンプ,冷却ポンプ)
200 電力変換装置
300 パワーモジュール(半導体モジュール)
302 パワーモジュールケース
304 金属ベース
305 フィン
306 交流バスバー
308 U相交流バスバー
310 V相交流バスバー
312 W相交流バスバー
314 直流正極端子
315,507 正極導体板
316 直流負極端子
317,505 負極導体板
318 絶縁紙
320 パワーモジュール制御端子
322 チップ保護用レジンまたはシリコンゲル
324 交流バスバー保持用(位置決め)ピン
326 IGBT
328 上アーム用IGBT
329,331,333 導体
330 下アーム用IGBT
334 絶縁基板
335 インダクタンス成分(等価回路)
337 はんだ
338 電流の流れ
339 接合部(直流正極バスバー用)
340 渦電流
341 接合部(直流負極バスバー用)
350,360,370 ボルト
351,361 ボルト頭
380,390 接続箇所
400,402,404 開口部
401 入口孔
403 出口孔
406 貫通穴
408 隔壁
410 支持部
412 ボルト孔(パワージュール固定用)
500 コンデンサモジュール
502 コンデンサケース
504 負極側コンデンサ端子
506 正極側コンデンサ端子
508 導電材
509,511 開口部(端子固定用)
510 直流(バッテリ)負極側接続端子部
512 直流(バッテリ)正極側接続端子部
514 コンデンサセル
515 フィルムコンデンサ
516,518 端子
517 絶縁シート
520 端子カバー
522 充填材
532 補機用正極端子
534 補機用負極端子
600 コレクタ電流
602 ターンオン時ゲート電圧波形
604 ターンオン時コレクタ電圧波形
606 ターンオン時コレクタ電流波形
608 ダイオード
610 インダクタンス負荷
612 還流
614 電流ピーク
616 ミラー期間
618 電流の流れ(正極側)
620 電流の流れ(負極側)
622 ターンオフ時ゲート電圧波形
624 ターンオフ時コレクタ電流波形
626 ターンオフ時コレクタ電圧波形
628 電圧ピーク
700 積層導体板
702 正極側導体板
704 負極側導体板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電流を交流電流に変換するパワーモジュールと、
前記パワーモジュールの駆動に関わる電気回路部品と、
前記電気回路部品の収納する収納領域を形成する筺体と、
前記収納領域の側部に配置される第1流路形成体と、
前記収納領域を挟んで前記第1流路形成体と向き合う位置に配置される第2流路形成体と、
前記収納領域を跨いで、前記第1流路形成体と前記第2流路形成体を繋ぐ中継流路形成体と、を備え、
前記パワーモジュールは、前記第2流路形成体側に固定され、
前記電気回路部品は、前記第1流路形成体と前記第2流路形成体と前記中継流路形成体によって形成される空間に配置される電力変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載された電力変換装置であって、
前記パワーモジュールは、前記第2流路形成体を挟んで前記収納空間とは反対側に配置される電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載された電力変換装置であって、
前記パワーモジュールを駆動するドライバ回路基板を備え、
前記ドライバ回路基板は、前記パワーモジュールの制御端子と半田により接続され、
前記第2流路形成体は、前記第1流路形成体及び前記中継流路形成体とは分離して構成されており、前記中継流路形成体とは固定手段を用いて固定される電力変換装置。
【請求項4】
請求項1に記載された電力変換装置であって、
前記第1流路形成体に形成された流路と繋がるとともに当該流路に流れる冷媒が流入する入口部と、
前記第1流路形成体に形成された前記流路と繋がるとともに当該流路に流れる前記冷媒が流出する出口部と、を有し、
前記第1流路形成体と前記中継流路形成体と前記第2流路形成体は、前記冷媒が、前記第1流路形成体に形成された前記流路、前記中継流路形成体に形成された流路、前記第2流路形成体に形成された流路の順に流れ、再び前記第1流路形成体に形成された前記流路に戻るように形成される電力変換装置。
【請求項5】
請求項3に記載された電力変換装置であって、
前記第2流路形成体は、冷媒が流れる流路と繋がる開口部を形成し、
前記開口部は、前記パワーモジュールの金属ベースによって塞がれる電力変換装置。
【請求項6】
請求項1に記載された電力変換装置であって、
前記パワーモジュールに印加される直流電圧を昇圧又は降圧するDCDCコンバータを備え、
前記DCDCコンバータは、前記第1流路形成体を挟んで前記収納空間と向き合うように、前記第1流路形成体に固定される電力変換装置。
【請求項7】
請求項1に記載された電力変換装置であって、
前記電気回路部品は、前記パワーモジュールに供給される直流電流を平滑化するための平滑コンデンサと、前記パワーモジュールの駆動を制御する制御回路基板を含んで構成され、
前記平滑コンデンサは、前記第1流路形成体側に接続され、
前記制御回路基板は、前記第2流路形成体側に接続される電力変換装置。
【請求項8】
請求項1ないし7に記載されたいずれかの電力変換装置であって、
前記中継流路形成体は、前記筺体の内壁に接触した状態で当該筐体内に配置される電力変換装置。
【請求項9】
直流電流を交流電流に変換する電力変換装置であって、
電気回路部品を収納する収納領域を形成する筺体と、
前記収納領域の側部に配置され、かつ冷却冷媒を流すための流路を形成する第1流路形成体と、
前記収納領域を挟んで前記第1流路形成体を対向して配置され、かつ冷却冷媒を流すための流路を形成する第2流路形成体と、
前記筺体の所定の一面に形成され、かつ前記第1流路形成体の流路と繋がる入口孔及び出口孔と、を備え、
前記第1流路形成体の流路は、前記筺体の所定の一面と対向する当該筺体の他方の面に向かって形成される第1流路と、前記第1流路と並べて配置され前記第1流路と繋がりかつ前記出口孔と向かって形成される第2流路により構成され、
前記第2流路形成体の流路は、前記第1流路が配置された側から前記第2流路が配置された側に向かって形成される第3流路と、前記第3流路と並べて配置され前記第3流路と繋がりかつ前記第1流路が配置された側に向かって形成される第4流路により構成され、
前記収納領域を跨いで、かつ前記第1流路と前記第3流路を繋ぐ第1中継流路と、
前記収納領域を跨いで、かつ前記第1流路と前記第4流路を繋ぐ第2中継流路と、を備える電力変換装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電力変換装置であって、
前記第1流路形成体の前記第1流路の幅は、当該第1流路形成体の前記第2流路の幅よりも小さく形成される電力変換装置。
【請求項11】
請求項9に記載された電力変換装置であって、
直流電流を交流電流に変換するパワーモジュールと、を有し、
前記パワーモジュールは、前記第2流路形成体側に固定される電力変換装置。
【請求項12】
請求項9に記載の電力変換装置であって、
前記パワーモジュールは、複数のパワースイッチング素子によりそれぞれ構成される上アーム回路及び下アーム回路を有し、
前記上アーム回路を構成する複数のパワースイッチング素子は、前記第2流路形成体の前記第3流路又は前記第4流路のいずれか一方と向き合う位置に配置され、
前記下アーム回路を構成する複数のパワースイッチング素子は、前記第2流路形成体の前記第3流路又は前記第4流路のいずれか他方と向き合う位置に配置される電力変換装置。
【請求項13】
請求項1ないし12に記載された電力変換装置を搭載した車両であって、
前記パワーモジュールから出力される前記交流電流によって駆動する車両駆動用のモータと、
前記モータと協調して車両の駆動力を発生するエンジンと、
トランスミッションと、を有し、
前記電力変換装置は、前記エンジンと前記トランスミッションの少なくともいずれか一方と前記電気回路部品が前記中継流路形成体を介して対向するように配置される車両。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図5(d)】
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【図5(e)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図8(c)】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16(a)】
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【図16(b)】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−249482(P2012−249482A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121216(P2011−121216)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】