説明

電動モータ

【課題】駆動時の騒音をより確実に低減できるSRモータを提供する。
【解決手段】ロータコア9の第2突極9aの回転によって、ステータコア3内がかき回されて空気の流れが生じる。ロータコア9の両端部に取り付けたサイドコア11,12によって、ステータコア3の外部への空気の漏れを防止できる。コイルボビン7の頭部側鍔部7dが互いに近接されて取り付けられ、コイルボビン7間の隙間Aが塞がれている。隙間Aからの空気の漏れを防止できる。ステータコア3内の風のうず数を少なくでき、ステータコア3内の空気の圧力差を小さくできる。ロータコア9の第2突極9aの回転にて生じた空気の流れEによる風切り音や吐き出し音の騒音の発生を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外周にコイルが巻装された複数のコイルボビンを有する電動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータとして、スイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)が知られている。このSRモータは、複数の第1突極が内側に放射状に突出したステータコアと、複数の第2突極が放射状に突出しステータコアの内側に回転自在に設けられたロータコアとを有している。このSRモータにおいては、通電時のステータコアの第1突極とロータコアの第2突極との磁気吸引力や、ロータコアのひずみ等による騒音に加え、ロータコアの第2突極の回転にてステータコア内の空気がかき回される。このため、ステータコアの第1突極との間に高圧領域と低圧領域とが交互に形成され、比較的大きな騒音が発生する。
【0003】
そこで、この種のSRモータとしては、例えば、特許文献1に示す技術が知られている。この特許文献1に記載されたSRモータは、ロータコアの軸方向の両端部に円盤状の端板が取り付けられている。そして、これら端板によって、ロータコアの第2突極にてかき回された空気の外部への流れを阻止し、第2突極による風切り音の発生を抑え、騒音を低減させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−69674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載されたSRモータにおいては、ロータコアの第2突極にてかき回された空気の流れが端板にて阻止されるものの、ステータコアの第1突極の間への空気の流れを阻止できない。このため、通電時のロータコアの第2突極の回転による空気のかき回しによって、ステータコアの第1突極間へ空気が流れ、この空気の流れによって騒音が発生するおそれがある。よって、駆動時の騒音を確実に低減させることが容易でないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、従来技術における上記問題を解決し、駆動時の騒音をより確実に低減できる電動モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、内側に向けて放射状に突出する複数の第1突極を有する略円筒状のステータコアと、このステータコアの第1突極に取り付けられ外周にコイルが巻装された複数のコイルボビンと、前記ステータコアの内側に回転自在に設けられ、前記ステータコアに向けて放射状に突出する複数の第2突極を有するロータコアと、このロータコアの回転中心に回転自在に取り付けられたシャフトと、を備えた電動モータであって、前記コイルボビンは、前記ロータコアの第2突極に対向する側の縁部を互いに近接させて取り付けられている、ことを特徴とする電動モータである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、コイルボビンは、ロータコアの第2突極に対向する側の面が、凹弧状に形成されている、ことを特徴とする電動モータである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、コイルボビンは、ロータコアの第2突極に対向する側の面が、これら第2突極の回転軌跡の外周に沿った凹弧状に形成されている、ことを特徴とする電動モータである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、ロータコアの回転に伴うステータコア内の空気の動きを抑制する防音部材を備えている、ことを特徴とする電動モータである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、防音部材は、円盤状に形成され、シャフトに挿通されてロータコアの端部に取り付けられている、ことを特徴とする電動モータである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、防音部材は、ロータコアの別部材であって、非磁性体にて形成されている、ことを特徴とする電動モータである。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、ステータコアの端部に取り付けられるブラケットを備え、防音部材は、円盤状に形成され、ロータコアの端部に対向して位置し、シャフトに挿通されて前記ブラケットに取り付けられている、ことを特徴とする電動モータである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、ロータコアの第2突極に対向する側のコイルボビンの縁部を互いに近接させた状態で、これらコイルボビンがステータコアの第1突極に取り付けられている。このため、ステータコアの第1突極の間への空気の流れがコイルボビンの縁部にて阻止される。よって、通電時にロータコアの第2突極が回転して空気をかき回し、このかき回された空気のステータコアの第1突極間への流れを少なくできる。この結果、この空気の流れに伴う音の発生を抑制できるから、駆動時の騒音をより確実に低減できる。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば、ロータコアの第2突極に対向する側のコイルボビンの面が凹弧状に形成されている。よって、これらコイルボビンとロータコアの第2突極との隙間をより小さくできる。この結果、このロータコアの第2突極の回転に伴う軸方向への空気の流れをより少なくできるから、駆動時の騒音をより確実に低減できる。
【0016】
請求項3に記載された発明によれば、ロータコアの第2突極に対向する側のコイルボビンの面が、第2突極の回転軌跡の外周に沿った凹弧状に形成されている。このため、これらコイルボビンとロータコアの第2突極との隙間をより少なくできる。よって、ロータコアの第2突極の回転にてかき回された空気の軸方向の流れをより確実に抑制でき、ステータコアの外部への空気の流出をより少なくできるから、駆動時の騒音をより確実に低減できる。
【0017】
請求項4に記載された発明によれば、ロータコアの回転に伴うステータコア内の空気の動きが防音部材にて抑制される。このため、このステーたコア内の空気の動きに伴う騒音を小さくできる。
【0018】
請求項5に記載された発明によれば、防音部材が円盤状に形成され、シャフトに挿通されてロータコアの端部に取り付けられている。このため、このロータコアの第2突極の回転にてかき回された空気の軸方向への流れが防音部材にて抑制され、このロータコアの外部への空気の流れが低減される。この結果、ロータコアの第2突極の回転にて生じる風のうず数を少なくでき、ステータコア内の空気の圧力差を小さくできるため、駆動時の騒音をより確実に低減できる。
【0019】
請求項6に記載された発明によれば、防音部材をロータコアの別部材として非磁性体にて形成することにより、ロータコアの第2突極にて形成される磁気回路への影響を無くすことができる。
【0020】
請求項7に記載された発明によれば、円盤状に形成された防音部材が、ロータコアの端部に対向して位置しシャフトに挿通されてブラケットに取り付けられている。このため、この防音部材によって、ロータコアの第2突極の回転にてかき回された空気の軸方向への流れが抑制され、ロータコアの外部への空気の流れが低減される。よって、ロータコアの第2突極の回転にて生じる風のうず数を少なくでき、ステータコア内の空気の圧力差を小さくできるため、駆動時の騒音をより確実に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態の電動モータの説明断面図である。
【図2】上記電動モータのロータコアの斜視図である。
【図3】上記電動モータの断面図である。
【図4】上記電動モータ内の音響パワーレベルを示す説明図である。
【図5】上記電動モータ内の空気の流れを示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の電動モータの説明断面図である。
【図7】上記電動モータ内の音響パワーレベルを示す説明図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態の電動モータの説明断面図である。
【図9】上記電動モータ内の音響パワーレベルを示す説明図である。
【図10】上記電動モータ内の空気の流れを示す説明図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態の電動モータの説明断面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態の電動モータの断面図である。
【図13】上記電動モータのフロントブラケットの斜視図である。
【図14】従来の電動モータの説明断面図である。
【図15】上記電動モータ内の音響パワーレベルを示す説明図である。
【図16】上記電動モータ内の空気の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1に示すように、スイッチトリラクタンスモータ1(以下、SRモータという。)は、3相構造の電動モータであり、例えば、EVカート(図示せず)のフレームに固定されている。このSRモータ1の回転軸となるシャフト2には、スプロケット(図示せず)が取り付けられている。このスプロケットとドライブシャフト(図示せず)との間には、チェーン(図示せず)が巻回されている。シャフト2は、回転軸であって、このシャフト2の駆動によってスプロケットが回転しチェーンを介してドライブシャフトを回転駆動させる。
【0024】
具体的に、SRモータ1は、ケース本体を兼ねた略円筒状の固定子であるステータコア3を備えている。このステータコア3の両端側には、フロントブラケット4とリアブラケット5とが取り付けられている。これらブラケット4,5は、ステータコア3の両端側を閉塞する略円盤状の蓋部材としてサイドカバーである。具体的に、これらブラケット4,5は、図3に示すように、周方向に等間隔に間隔を空けて取り付けられた複数、例えば6本のセットボルト6にてねじ止めされてステータコア3に結合されている。これらセットボルト6は、ステータコア3に挿通されて取り付けられている。よって、ステータコア3は、ブラケット4,5の間に挟持されて取り付けられている。なお、これらステータコア3、フロントブラケット4及びリアブラケット5によって、SRモータ1のケース1aが構成されている。
【0025】
さらに、ステータコア3は、例えば電磁鋼板等の磁性材料にて構成された複数のコア材(図示せず)が軸方向に積層されて形成されている。このステータコア3は、平面視円環状の環状部3aと、この環状部3aの内周側に間隔を空けて延設された平面視略矩形状の複数、例えば6本の第1突極3bとで構成されている。
【0026】
ここで、第1突極3bは、互いに等しい形状に形成された磁極部としてのティース部であって、環状部3aの内周縁に周方向に等間隔に設けられている。さらに、第1突極3bは、環状部3aの中心方向である内側に向けて放射状に突出して設けられている。また、各第1突極3bの径方向の頭部側に位置する先端面3cは、環状部3aの同心状の円弧面に沿った凹弧面状に形成されている。すなわち、これら先端面3cは、環状部3aの中心を中心とした同一径の円弧面に沿った形状に形成されている。
【0027】
次いで、フロントブラケット4は、シャフト2が突出する側である、ステータコア3の軸方向の前側に取り付けられている。このフロントブラケット4は、ステータコア3の外径寸法に等しい外径寸法に形成されている。そして、このフロントブラケット4の中心部には、貫通孔4aが設けられている。また、フロントブラケット4の内側には、軸受部材としての第1ボールベアリング4bが貫通孔4aに同心状に連通させて取り付けられている。
【0028】
次いで、リアブラケット5は、フロントブラケット4が取り付けられる側の反対側である、ステータコア3の後側に取り付けられている。このリアブラケット5の中心部には、貫通孔となる軸受孔5aが設けられている。この軸受孔5a内には、軸受部材としての第2ボールベアリング5bが取り付けられている。
【0029】
また、ステータコア3の各第1突極3bには、保持部材としてのコイルボビン7がそれぞれ取り付けられている。これらコイルボビン7は、ボビン部7aを備えている。このボビン部7aは、絶縁性樹脂にてボビン(糸巻)形状にモールド成形されている。また、ボビン部7aは、胴部7bと、この胴部7bの両端に形成された基部側鍔部7c及び頭部側鍔部7dを備えている。胴部7bは、ステータコア3の第1突極3bに嵌合されて取り付けられ、第1突極3bの外周面を覆う四角形筒状に形成されている。また、胴部7bは、図1に示すように、ステータコア3の第1突極3bに嵌合させた状態で、この第1突極3bの凹弧面状の先端面3cを、頭部側の端部よりも外側に突出させる長さ寸法に形成されている。次いで、基部側鍔部7cは、長方形枠型平板状に形成されている。また、基部側鍔部7cは、胴部7bをステータコア3の第1突極3bに嵌合させた状態で、ステータコア3の環状部3aの内周面に接触されて取り付けられている。
【0030】
一方、頭部側鍔部7dは、胴部7bをステータコア3の第1突極3bに嵌合させた状態で、第1突極3bの頭部側の外周面を覆う長方形枠型平板状に形成されている。この頭部側鍔部7dは、基部側鍔部7cの幅寸法より若干大きな幅寸法に形成されている。すなわち、頭部側鍔部7dは、図1に示すように、ステータコア3の第1突極3bに胴部7bを嵌合させた状態で、頭部側鍔部7dの幅方向の両縁部を互いに近接させて取り付けられている。よって、頭部側鍔部7dは、コイルボビン7をステータコア3に嵌合させた状態で、これら頭部側筒部7d間の間隙Aをほぼ無くすことができる幅寸法に形成されている。具体的に、頭部側鍔部7dは、コイルボビン7をステータコア3に取り付けた状態で、頭部側鍔部7dの幅方向の各縁部が互いに接触しており、頭部側筒部7d間の隙間Aが塞がれている。よって、頭部側縁部7dは、ステータコア3の各第1突極3bにコイルボビン7をそれぞれ取り付けた状態で、図1に示すように、ステータコア3の内側に平面視正六角形筒状の回転領域を形成させている。
【0031】
また、基部側鍔部7cの上側には、支持片7eが設けられている。この支持片7eは、コイルボビン7をステータコア3の第1突極3bに取り付けた状態で、ステータコア3の環状部3aの軸方向の端面に載置され、このステータコア3に取り付けられるセットボルト6が挿通されて固定される。
【0032】
そして、コイルボビン7の胴部7bの外周には、コイル線材(図示せず)が巻装されてコイル8が取り付けられている。このコイル8は、コイルボビン7の基部側鍔部7c及び頭部側鍔部7dの外周縁より内側に位置するように設けられている。すなわち、コイル8は、各鍔部7c,7dの外周縁より外側に突出しない大きさに形成されている。
【0033】
一方、ステータコア3の内側には、図3に示すように、ステータコア3に対して相対的に回転自在とされたシャフト2が取り付けられている。このシャフト2は、両端部が第1ボールベアリング4f及び第2ボールベアリング5fに嵌合されて回転可能に取り付けられている。このシャフト2には、図2に示すように、電磁鋼板等の磁性材にて形成された略十字状の複数の板材(図示せず)が同心状に挿通されて回転子としてのロータコア9が取り付けられている。このロータコア9は、中心位置にシャフト2が挿通されて軸方向に同心状に積層された板材にて構成されている。また、ロータコア9は、シャフト2に挿通されて積層された板材の各端部が放射状に突出しており、これら放射状に突出した各端部によって、計4つの第2突極9aが形成されている。これら第2突極9aは、図1及び図3に示すように、ステータコア3の第1突極3dに対向させて取り付けられており、これら第1突極3dに向けて放射状に突出している。よって、ロータコア9は、このロータコア9の回転領域の外周が、計6個のコイルボビン7の頭部側鍔部7dによって周方向に亘って覆われている。
【0034】
また、ロータコア9の第2突極9aの径方向の頭部側に位置する先端面9bは、シャフト2の同心状の円弧面に沿った円弧面状に形成されている。すなわち、この先端面9bは、ロータコア9の中心を中心とした同一径の円弧面に沿った形状に形成されている。また、先端面9bは、図1に示すように、ステータコア3の各第1突極3bの先端面3cにて形成される、このステータコア3の内径寸法より若干小さな外径寸法の円弧面に沿った形状に形成されている。
【0035】
さらに、ロータコア9の軸方向の両端部には、円盤状のサイドコア11,12がそれぞれ取り付けられている。これらサイドコア11,12は、ロータコア9の回転に伴うステータコア3内の空気の動きを抑制する防音部材である。そして、これらサイドコア11,12は、ロータコア9を構成する板材とは異なる別部材であって、非磁性体にて形成されている。さらに、サイドコア11,12は、中心に形成された挿通孔11a,12aにシャフト2が挿通されて同心状に取り付けられている。また、これらサイドコア11,12は、ロータコア9の外径寸法に等しい外径寸法に形成されている。すなわち、これらサイドコア11,12は、ロータコア3の各第1突極3bの先端面3cに沿った円形状に形成されている。よって、サイドコア11,12は、ステータコア3の内径寸法より若干小さな外径寸法に形成されている。このため、これらサイドコア11,12は、ロータコア9を回転させた際に、各第2突極9aにてかき回される空気の軸方向への第2突極9aの間から抜けを抑制させる。
【0036】
さらに、これらサイドコア11,12は、図3に示すように、ロータコア3の各第1突極3bに取り付けられた各コイルボビン7の頭部側鍔部7d間の内側に同心状に嵌合されて取り付けられている。よって、これらサイドコア11,12は、何らかの損傷等で、いずれかのコイルボビン7がロータコア3の各第1突極3bから抜けた際に生じるおそれのある、ロータコア9のロック等を防止する機能を有している。
【0037】
次に、上記第1の実施の形態のSRモータ1の挙動について、図14ないし図16に示す従来のSRモータMと比較して説明する。
【0038】
まず、図14に示す従来のSRモータMは、サイドコア11,12がなく、ステータコア3に取り付けられた各コイルボビン7の頭部側鍔部7dの間に隙間Aが形成されている。そして、この従来のSRモータMは、通電させて駆動させると、図16に示すように、ロータコア9の第2突極9aが回転方向Bに向けて回転し、これら第2突極9aによってステータコア3内の空気がかき回される。この第2突極9aにてかき回された空気は、コイルボビン7の頭部側鍔部7dの間の隙間Aからステータコア3内の第1突極3bの間の空間へ流れ込んでいく。また同時に、この空気は、ロータコア9の軸方向に沿ってステータコア3の内部から各ブラケット4,5内へ流れ込んでいく。
【0039】
この結果、この従来のSRモータMにおいては、ロータコア9の回転領域より外側のステータコア3内の空間や、このロータコア9の第2突極9aとコイルボビン7の頭部側鍔部7dとにて囲まれた空間に大きな圧力変化が生じ、大きな圧力のばらつきが生じてしまう。
【0040】
そこで、これら空間内の単位体積当たりの音響パワーP[W/m]の変化(ばらつき)に基づき、L=10log(P/P)の式を用いて、音響パワーレベルL[dB]を解析した。ここで、Pは、単位体積当たりの基準の音響パワーであって、具体的には1pW/m(=10−12W/m)の定数である。また、音響パワーは、ある指定された面を1秒間に通過する音響エネルギを意味する。
【0041】
よって、図15に示すように、音の発生が少ない静領域Cと、音の発生が大きな騒音領域Dとがそれぞれ形成されている。このため、ロータコア9の回転にて生じた空気の流れによって、ステータコア3内に駆動音が生じ、この音が駆動時の騒音となる。
【0042】
これに対し、上記第1の実施の形態の本発明のSRモータ1においては、通電させて駆動させると、図5に示すように、ロータコア9の各第2突極9aの回転方向Bへの回転によって、ステータコア3内の空間がかき回されて空気の流れEが発生する。ところが、ロータコア9の軸方向に沿った空気の流れEは、各サイドコア11,12によって、ロータコア9の第2突極9aの間からの軸方向に沿ったステータコア3の外部への流れがほぼ防止される。
【0043】
また、ステータコア3の各第1突極3bに取り付けられた各コイルボビン7の頭部側鍔部7dが互いに近接されて接触され、これらコイルボビン7間の隙間Aが塞がれている。このため、コイルボビン7の頭部側鍔部7dの間の隙間Aから、コイルボビン7の胴部7b及びコイル8が位置するステータコア3側の空間への空気の流れEが、コイルボビン7の各頭部側縁部7dによってほぼ防止される。
【0044】
したがって、図4に示すように、ロータコア9の回転領域より外側に位置するステータコア3の第1突極3b間の空間や、このロータコア9の第2突極9aとコイルボビン7の頭部側鍔部7dとによって囲まれた空間への空気の流れを少なくできる。よって、これら空間における圧力変化を小さくでき、これら空間での静領域C及び騒音領域Dの形成のばらつきを抑制できる。
【0045】
この結果、図14ないし図16に示す従来のSRモータMに比べ、駆動時にロータコア9が回転し、このロータコア9の第2突極9aの回転によってかき回された空気の、ロータコア9の回転領域から外部への流れEがほぼ防止される。よって、ステータコア3内の風のうず数を少なくでき、このステータコア3内の空気の圧力差を小さくできる。このため、第2突極9aの回転にて生じた空気の流れEがロータコア9の回転領域から漏れることによって生じる空気の風切り音(すりこぎ音)や、ステータコア3の外部へ空気が漏れることによって生じる吐き出し音等の騒音の発生を抑制できる。よって、SRモータ1の駆動時の騒音(駆動音)をより確実に低減できる。
【0046】
また、各サイドコア11,12を非磁性体とした。このため、これらサイドコア11,12をロータコア9の両端部に積層させた場合に生じ得る、ロータコア9の各第2突極9aにて形成される磁気回路に対する磁気的影響を無くすことができる。このため、ロータコア9の形状や構造等を変更することなく、このロータコア9にサイドコア11,12を取り付けることができる。よって、サイドコア11,12をロータコア9に付け加える場合に必要となるロータコア9の設計変更等の作業を容易にできるため、低騒音のSRモータ1の設計及び製造を容易にできる。
【0047】
さらに、図3に示すように、ロータコア9に取り付けられた各サイドコア11,12が、各コイルボビン7の頭部側鍔部7d間の内側に同心状に嵌合されて取り付けられている。このため、ステータコア3の第1突極3bやコイルボビン7が損傷等し、このステータコア3の第1突極3bからコイルボビン7が外れた場合に、これらコイルボビン7が各サイドコア11,12によって外周方向に押さえ付けられ、これらコイルボビン7のロータコア9の第2突極9aへの接触が防止される。よって、これらコイルボビン7が外れロータコア9の第2突極9a等へ接触した場合に生じるおそれのある、ロータコア9のロック等を防止することができる。
【0048】
次に、図6及び図7に基づき、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0049】
この第2の実施の形態のSRモータ1Aは、上記第1の実施の形態のSRモータ1に対し、コイルボビン7Aの構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、これらコイルボビン7Aに関連する構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0050】
具体的に、SRモータ1Aは、ロータコア9の軸方向の両端部にサイドコア11,12が取り付けられておらず、このロータコア9の各第2突極9aが軸方向に開放した状態となっている。そして、ステータコア3の各第1突極3bに取り付けられている各コイルボビン7Aは、頭部側鍔部7dの外側に位置する一側面である先端面21が、頭部側鍔部7dの幅方向に向けて平面視凹弧面状に形成されている。これら先端面21は、いわゆるR加工されている。よって、先端面21は、図6に示すように、ステータコア3の各第1突極3bにコイルボビン7を取り付けた状態で、ロータコア9の第2突極9aの回転領域の外径寸法より若干大きな内径寸法の円弧面に沿うように形成されている。さらに、これら先端面21は、ステータコア3の同心状に湾曲している。
【0051】
さらに、コイルボビン7Aの各頭部側鍔部7dの幅方向の両側縁は、これら頭部側鍔部7dの幅を先端側に向けてテーパ状に狭くした形状の傾斜面部22がそれぞれ設けられている。これら傾斜面部22は、頭部側鍔部7dの胴部7b側である基端側に位置する基端面23に対して約60°の角度に傾斜している。そして、これら傾斜面部22は、ステータコア3の第1突極3bのそれぞれにコイルボビン7Aを嵌合させて取り付けた状態で、これらコイルボビン7Aの互いに対向する傾斜面部22同士が平行となりほぼ面接触するように形成されている。よって、これら傾斜面部22は、ステータコア3の各第1突極3bのそれぞれにコイルボビン7Aを嵌合させて取り付けることができるようにするために設けられた傾斜面であるとともに、ロータコア9の第2突極9aの間の空間から、各コイルボビン7Aの頭部側縁部7dの基端側の各コイル8間の空間への空気の流れを防止するために設けられている。
【0052】
言い換えると、ロータコア9の第2突極9aは、図6に示すように、これら第2突極9aの回転領域の外周が、複数、計6個のコイルボビン7の頭部側鍔部7Aの先端面21によって周方向に亘って覆われている。よって、このロータコア9の各第2突極9aにてかき回される空気の、コイルボビン7の頭部側鍔部7dの間の隙間Aを介した、ロータコア9の第2突極9aの間の空間から、各コイルボビン7の頭部側縁部7dの基端側のコイル8間の空間への流れが防止される。このため、この空気は、各コイルボビン7Aの先端面21にて覆われた空間内を、これら先端面21に沿って周方向に回転するに過ぎなくできる。
【0053】
したがって、上記第2の実施の形態によれば、ステータコア3の各第1突起3bに取り付けられたコイルボビン7Aの先端面21によって、ステータコア3の内壁が連続した円筒状に形成される。このため、SRモータ1Aを駆動させてロータコア9を回転させた際に、ロータコア9の第2突極9aにてかき回される空気が、これら第2突極9aの回転とともに、各コイルボビン7Aの頭部側鍔部7dの先端面21に沿って周方向に向けて流れていく。このため、コイルボビン7Aの先端面21にて囲まれたロータコア9の回転空間での圧力変化をより小さくでき、ロータコア9の回転空間での空気の圧力差を小さくできる。したがって、この圧力差の発生に基づくロータコア9の回転時の偏心を防止でき、図7に示すように、このロータコア9の回転空間での静領域C及び騒音領域Dの形成のばらつきをより確実に抑制できる。よって、このロータコア9の回転に伴う騒音の発生をより確実に防止できる。
【0054】
次に、図8ないし図10に基づき、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0055】
この第3の実施の形態のSRモータ1Bは、上記第2の実施の形態のSRモータ1Aに対し、ロータコア2にサイドコア11,12が取り付けられ、各コイルボビン7Bの頭部側鍔部7dの傾斜面部22同士が面接触してステータコア3に取り付けられている構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、これらサイドコア11,12及びコイルボビン7Bに関する構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0056】
具体的に、SRモータ1Bは、上記第1の実施の形態のSRモータ1と同様に、ロータコア2の軸方向の両端部のそれぞれにサイドコア11,12が積層されて取り付けられている。また、SRモータ1Bは、ステータコア3の各第1突極3bにコイルボビン7Bを取り付けた状態で、コイルボビン7Bの各頭部側鍔部7dの互いに対向して位置する傾斜面部22同士が面接触し、頭部側鍔部7dの間の隙間Aが閉塞されている。このため、ロータコア9の第2突極9aの回転空間は、コイルボビン7の各頭部側鍔部7dの先端面21によって連続した平面視円形状に、外周が周方向に亘って覆われた状態とされている。よって、ロータコア9の第2突極9aにてかき回される空気は、コイルボビン7Bの先端面21によって周方向に亘って覆われて閉塞された空間内を、これら先端面21に沿って周方向に回転する。さらに、各サイドコア11,12によって、ロータコア9の第2突極9aの間から、このロータコア9の軸方向に沿った外部への空気の流れがほぼ防止される。また同時に、コイルボビン7Bの頭部側鍔部7dの間から、ステータコア3の第1突極3b間の空間への空気の流れEが防止される。
【0057】
したがって、上記第3の実施の形態によれば、ロータコア9の各第2突極9aにてかき回される空気は、図10に示すように、これら第2突極9aの回転とともに、各コイルボビン7Bの頭部側鍔部7dの先端面21に沿って周方向に向けて流れていく。このとき、この空気は、これら第2突極9aの間からステータコア3の外部への漏れがサイドコア11,12にてほぼ防止され、かつコイルボビン7Bの頭部側鍔部7dの間からステータコア3の第1突極3b間への漏れが防止される。
【0058】
この結果、コイルボビン7Bの頭部側鍔部7dの間からの径方向への空気の漏れを防止できる。また同時に、コイルボビン7Bの各頭部側鍔部7dの先端面21にて囲まれたロータコア9の回転空間での圧力変化をより小さくでき、ロータコア9の回転空間での空気の圧力差を小さくできる。よって、図9に示すように、ロータコア9の回転空間での静領域C及び騒音領域Dの形成のばらつきをさらに確実に抑制できるから、このロータコア9の回転に伴う騒音の発生をさらに確実に防止できる。
【0059】
したがって、上記第1及び第2の実施の形態のSRモータ1,1Aに比べ、ロータコア9を回転させた際に生じる、ステータコア3内の空気の圧力差をより小さくできる。よって、駆動時の風切り音や吐き出し音等の騒音の発生をさらに確実に抑制できるから、SRモータ1Bの駆動時の騒音をさらに確実に低減できる。
【0060】
次に、図11に基づき、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0061】
この第4の実施の形態のSRモータ1Cは、上記第3の実施の形態のSRモータ1Bに対し、コイルボビン7C,7Dの構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、これらコイルボビン7C,7Dの異なる構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0062】
具体的に、SRモータ1Cは、計6つのコイルボビン7C,7Dを備えている。コイルボビン7Cは、上記第2及び第3の実施の形態のコイルボビン7A,7Bと同様に、頭部側鍔部7dの先端面21の幅方向の両側縁に傾斜面部22がそれぞれ形成されている。これら傾斜面部22は、頭部側鍔部7dの基端面23に対して約30°の角度に傾斜して形成されている。さらに、このコイルボビン7Cを除く他の計5個のコイルボビン7Dは、頭部側鍔部7dの先端面21の幅方向の一側縁に傾斜面部22が形成され、この先端面21の幅方向の他側縁に垂直面部41が形成されている。ここで、コイルボビン7Dの傾斜面部22は、コイルボビン7Cと同様に、頭部側鍔部7dの基端面23に対して約30°の角度に傾斜している。一方、コイルボビン7Dの垂直面部41は、頭部側鍔部7dの基端面23に垂直で、このコイルボビン7Dの胴部7bの軸方向に沿った平坦な平面状に形成されている。
【0063】
さらに、コイルボビン7C,7Dをステータコア3の各第1突極3bに取り付けた状態では、コイルボビン7Cの傾斜面部22と、このコイルボビン7Cの傾斜面部22に傾斜面部22を隣接させたコイルボビン7Dの傾斜面部22との間に、平面視略正三角形状の空間部Fが形成される。この空間部Fには、この空間部Fを埋めてロータコア9の回転空間を周方向に亘って覆うための入れ子42が取り付けられている。この入れ子42は、平面視コ字型に形成された充填部材であって、この入れ子42の両側に位置する両側片部42a,42bを空間部Fに押し込んで圧入して嵌合させることによって、この空間部F内に取り付けられている。この状態で、この入れ子42は、両側片部42a,42b間に位置する中間片部42cによって、コイルボビン7C,7Dの傾斜面部22間の空間部Fを、これらコイルボビン7C,7Dの先端面21に沿って閉塞させる。
【0064】
次いで、上記第4の実施の形態のSRモータ1Cの組み立て動作について説明する。
【0065】
まず、ステータコア3のいずれか一つの第1突極3bにコイルボビン7Cを嵌合させて取り付ける。この後、このコイルボビン7Cに隣接する第1突極3bに、コイルボビン7Dを嵌合させて取り付ける。このとき、このコイルボビン7Dの垂直面部41がコイルボビン7Cの傾斜面部22に向かい合う状態とする。すると、このコイルボビン7Dを第1突極3bに嵌合させる際に、このコイルボビン7Dの垂直面部41とコイルボビン7Cの傾斜面部22とが平行に位置する。このため、このコイルボビン7Cに隣接する第1突極3bにコイルボビン7Dを嵌合させて取り付けることができる。
【0066】
次いで、このコイルボビン7Dに隣接する第1突極3bに、このコイルボビン7Dとは異なる別のコイルボビン7Dを嵌合させて取り付ける。このときもまた同様に、すでに第1突極3bに取り付けたコイルボビン7Dの傾斜面部22に、これから取り付けるコイルボビン7Dの垂直面部41を向かい合わせた状態とする。すると、このコイルボビン7Dを第1突極3bに嵌合させる際に、このコイルボビン7Dの垂直面部41と、すでに第1突極3bに取り付けたコイルボビン7Dの傾斜面部22とが平行に位置する。このため、このコイルボビン7Dに隣接する第1突極3bに、このコイルボビン7Dとは異なるコイルボビン7Dを嵌合させて取り付けることができる。
【0067】
この後、このコイルボビン7Dが取り付けられた第1突極3bに隣接して位置する第1突極3bに、コイルボビン7Dを同様に嵌合させていき、残りの計4個のコイルボビン7Dを順次第1の突極3bに嵌合させて取り付けていく。この結果、図11に示すように、ステータコア3の各第1突極3bのそれぞれにコイルボビン7が嵌合されて取り付けられた状態となる。
【0068】
さらに、コイルボビン7Dの傾斜面部22と、この傾斜面部22に傾斜面部22を隣接させて取り付けられたコイルボビン7Bの傾斜面部22との間の空間部Fに入れ子42を嵌合させる。そして、この入れ子42の両側片部42a,42bを折り曲げる等して、この空間部Fに固定させる。
【0069】
この結果、これらコイルボビン7C,7Dの傾斜面部22の間の空間部Fが入れ子42にて閉塞される。よって、この入れ子42の中間片部42c及びコイルボビン7C,7Dの各先端面21により、ロータコア9の回転空間が周方向に亘って閉塞された状態となる。
【0070】
したがって、上記第4の実施の形態によれば、頭部側鍔部7dの先端面21の両側縁のそれぞれに傾斜面部22が形成されたコイルボビン7Cをステータコア3の第1突極3bに取り付ける。この後、このコイルボビン7Cに隣接する第1突極3bに、垂直面部41を対向させつつコイルボビン7Dを取り付ける。この結果、先端面21が凹弧面状に形成されたコイルボビン7C,7Dをステータコア3の各第1突極3bに取り付けることができる。
【0071】
また、これらコイルボビン7Cの傾斜面部22とコイルボビン7Dの傾斜面部22との間の空間部Fに、入れ子42を嵌合させて取り付けることによって、この空間部Fを閉塞できる。よって、これらコイルボビン7C,7Dの各先端面21と入れ子41の中間片部42cとにより、ロータコア9の回転空間を、このロータコア9の周方向に亘って平面視円形状に覆うことができる。
【0072】
この結果、上記第3の実施の形態のSRモータ1Bと同様に、ロータコア9の各第2突極9aにてかき回される空気が、これら第2突極9aの回転とともに、各コイルボビン7C,7Dの頭部側鍔部7dの先端面21に沿って周方向に向けて流れていく。このため、これらコイルボビン7C,7Dの各先端面21及び入れ子42の中間片部42cにて囲まれたロータコア9の回転空間での圧力変化をより小さくできるから、このロータコア9の回転に伴う騒音の発生を防止できる。
【0073】
次に、図12及び図13に基づき、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0074】
この第5の実施の形態のSRモータ1Dは、上記第1の実施の形態のSRモータ1に対し、サイドコア11A,11Bの構成のみ異なり、その他の構成は同様である。したがって、これらサイドコア11A,11Bの構成のみ説明し、その他の構成については、説明を省略する。
【0075】
具体的に、SRモータ1Dは、各ブラケット4,5に平板状のサイドコア11A,12Aがそれぞれ取り付けられている。これらサイドコア11A,11Bは、中心位置に挿通孔11Aa,12Aaが形成された円環状に形成されている。この挿通孔11Aa,12Aaは、シャフト2の外径寸法より若干大きな内径寸法に形成されている。そして、これらサイドコア11A,11Bは、ブラケット4,5の貫通孔4a又は軸受孔5aに同心状に挿通孔11Aa,12Aaを位置させた状態で、これらブラケット4,5の内側に取り付けられている。さらに、ブラケット11A,11Bは、図12に示すように、ブラケット4,5に対して別体、すなわち別部材として設けられており、これらブラケット4,5の貫通孔4a又は軸受孔5aの内側の開口縁にねじ止め等されて取り付けられている。
【0076】
また、サイドコア11A,11Bは、ロータコア9の相対する第2突極9aの先端面9b間である最大外径寸法に等しい外径寸法に形成されている。そして、サイドコア11A,11Bは、ステータコア3にブラケット4,5を取り付けた状態で、ロータコア9の軸方向の端部に対向して取り付けられている。よって、これらサイドコア11A,11Bは。ロータコア9の軸方向の端部をそれぞれ覆っている。この状態で、これらサイドコア11A,11Bとロータコア9との間には所定の間隙が設けられており、これらサイドコア11A,11B間でロータコア9が回転自在に構成されている。
【0077】
したがって、上記第5の実施の形態によれば、ロータコア9の各第2突極9aにてかき回される空気は、これら第2突極9aの間からステータコア3の軸方向の外部への漏れが各サイドコア11A,11Bによってほぼ防止される。この結果、ロータコア9の第2突極9aの回転によってかき回された空気の、ロータコア9の回転領域から外部への流れをほぼ防止できる。このため、ロータコア9の第2突極9aの回転にて生じる風のうず数を少なくでき、ステータコア3内の空気の圧力差を小さくできる。よって、第2突極9aの回転にて生じた空気がロータコア9の回転領域から漏れることによって生じる風切り音や吐き出し音等の騒音の発生を抑制できるから、SRモータ1Dの駆動時の騒音を低減できる。
【0078】
なお、上記第1の実施の形態においては、サイドコア11,12を非磁性体にて形成したが、これらサイドコア12,12をロータコア9と同様の磁性材にて形成することもできる。そして、この場合においては、これらサイドコア11,12をロータコア9の磁気回路として利用できる。
【0079】
また、上記第3実施の形態においては、ステータコア3の第1突極3bにコイルボビン7Bを取り付けた際に、コイルボビン7Bの頭部側鍔部7d同士が近接して接触し、頭部側鍔部7dの間に隙間Aが形成されない構成とした。しかしながら、上記第1及び第2の実施の形態のように、コイルボビン7,7Aの頭部側鍔部7d同士を近接させて取り付け、これら頭部側鍔部7dの間の隙間Aからの空気の漏れをある程度の防止できる構成としても良く、SRモータ1,1Aの駆動時の騒音を低減できる構成であれば良い。
【0080】
さらに、上記第4実施の形態においては、平面視コ字型に形成された入れ子42を、コイルボビン7Cの傾斜面部22とコイルボビン7Dの傾斜面部22との間の空間部F内に嵌合させ、この入れ子42の両側片部42a,42bを折り曲げる等して空間部Fに固定させる構成とした。しかしながら、この空間部Fを閉塞できる構成であれば、どのような構成の入れ子42であっても良く、また、ペースト状の部材にて空間部Fを埋めて閉塞しても良い。
【0081】
また、上記第5の実施の形態では、ブラケット4,5と別体のサイドコア11A,12Aとしたが、これらサイドコア11A,12Aをブラケット4,5と一体的に形成する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0082】
1,1A,1B,1C,1D SRモータ(電動モータ)
1a ケース
2 シャフト
3 ステータコア
3a 環状部
3b 第1突極
3c 先端面
4 フロントブラケット
4a 貫通孔
4b 第1ボールベアリング
5 リアブラケット
5a 軸受孔
5b 第2ボールベアリング
6 セットボルト
7,7A,7B,7C,7D コイルボビン
7a ボビン部
7b 胴部
7c 基部側鍔部
7d 頭部側鍔部
7e 支持片
8 コイル
9 ロータコア
9a 第2突極
9b 先端面
11,11A,12,12A サイドコア(防音部材)
11a,11Aa,12a,12Aa 挿通孔
21 先端面
22 傾斜面部
23 基端面
41 垂直面部
42 入れ子
42a,42b 側片部
42c 中間片部
A 隙間
B 回転方向
C 低圧領域
D 高圧領域
E 空気の流れ
F 空間部
M SRモータ(従来)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に向けて放射状に突出する複数の第1突極を有する略円筒状のステータコアと、
このステータコアの第1突極に取り付けられ外周にコイルが巻装された複数のコイルボビンと、
前記ステータコアの内側に回転自在に設けられ、前記ステータコアに向けて放射状に突出する複数の第2突極を有するロータコアと、
このロータコアの回転中心に回転自在に取り付けられたシャフトと、を備えた電動モータであって、
前記コイルボビンは、前記ロータコアの第2突極に対向する側の縁部を互いに近接させて取り付けられている
ことを特徴とする電動モータ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動モータにおいて、
コイルボビンは、ロータコアの第2突極に対向する側の面が、凹弧状に形成されている
ことを特徴とする電動モータ。
【請求項3】
請求項2に記載の電動モータにおいて、
コイルボビンは、ロータコアの第2突極に対向する側の面が、これら第2突極の回転軌跡の外周に沿った凹弧状に形成されている
ことを特徴とする電動モータ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電動モータにおいて、
ロータコアの回転に伴うステータコア内の空気の動きを抑制する防音部材を備えている
ことを特徴とする電動モータ。
【請求項5】
請求項4に記載の電動モータにおいて、
防音部材は、円盤状に形成され、シャフトに挿通されてロータコアの端部に取り付けられている
ことを特徴とする電動モータ。
【請求項6】
請求項5に記載の電動モータにおいて、
防音部材は、ロータコアの別部材であって、非磁性体にて形成されている
ことを特徴とする電動モータ。
【請求項7】
請求項4に記載の電動モータにおいて、
ステータコアの端部に取り付けられるブラケットを備え、
防音部材は、円盤状に形成され、ロータコアの端部に対向して位置し、シャフトに挿通されて前記ブラケットに取り付けられている
ことを特徴とする電動モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−17345(P2013−17345A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149758(P2011−149758)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】