説明

電動式パーキングブレーキ装置

【課題】複数の車輪に設けられ、それぞれ電動モータにより駆動される複数のパーキングブレーキを備えた電動式パーキングブレーキ装置の使い勝手を改良する。
【解決手段】4輪FL,FR,RL,RRすべてのブレーキ16がパーキングブレーキとして作動可能な車両に、すべてのブレーキ16がパーキングブレーキとして作動する状態を実現する第1操作位置と、後2輪RL,RRのブレーキ16のみがパーキングブレーキとして作動する状態を実現する第2操作位置とに切り換え可能なPKB切換スイッチ300を設ける。運転者が、このPKB切換スイッチ300を第2操作位置に切り換えることによって車両をスピンターンさせることが容易になり、電動式パーキングブレーキ装置の使い勝手が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる電動式パーキングブレーキ装置に関するものであり、特に、その使い勝手を向上させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のパーキングは一般に、運転者がパーキングレバー,パーキングペダル等、パーキングブレーキ操作部材を操作することにより機械的に行なわれる。これに対して、特開平4−108058号公報には、車両のパーキングを電気的に行う電動式パーキングブレーキ装置が記載されている。この装置によれば、車両のパーキングを行なうのに必要な操作力が軽減される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用および効果】
【0003】
上記電動式パーキングブレーキ装置においては、車両の左右前輪と左右後輪とのすべてのブレーキがパーキングブレーキとして作動させられるため、各パーキングブレーキの作動力の割りに車両全体としての作動力を増加させ得るという利点がある。しかし、この電動式パーキングブレーキ装置では、従来の機械式パーキングブレーキ装置と同等の使い勝手を実現することができない。例えば、従来の機械式パーキングブレーキ装置においては一般に、左右後輪のみにパーキングブレーキが設けられており、運転者はこのことを積極的に利用することにより、車両をスピンターンさせることができる。しかし、上記公報に記載の電動式パーキングブレーキ装置では、そのような従来の機械式パーキングブレーキ装置の利点を享受できないのである。
【0004】
本発明は、このような事情を背景として、使い勝手がよい電動式パーキングブレーキ装置を提供することを課題としてなされたものである。
この課題は下記の各態様によって解決される。以下の説明において、各態様を、それぞれに項番号を付して請求項と同じ形式で記載する。各項に記載の特徴を組み合わせて採用することの可能性を明示するためである。
なお、下記(1)項から(22)項,(33)項に係るパーキングブレーキ装置、および(29)項から(32)項に係るブレーキ関連量検出装置は現在の特許請求の範囲に記載されている発明の態様ではない。
【0005】
(1) 動力源とその動力源により少なくとも一つが駆動される複数の車輪と前記動力源を作動させる作動位置と作動させない非作動位置とに運転者により操作される動力源スイッチとを備えた車両に設けられ、(i)前記複数の車輪の少なくとも一つに設けられたパーキングブレーキと、(ii)そのパーキングブレーキを作動させる電動モータと、(iii)その電動モータに電力が供給されていない状態において前記パーキングブレーキの作動力を機械的に保持する作動力保持機構と、(iv)前記電動モータに電力を供給して前記パーキングブレーキを作動させ、その作動状態で電動モータへの電力供給を断つことにより、前記車両をパーキングするパーキングブレーキ制御装置とを含む電動式パーキングブレーキ装置において、
前記パーキングブレーキ制御装置に、前記動力源スイッチが非作動位置にある状態で、前記電動モータに電力を供給し、それにより前記パーキングブレーキの実作動力を変更し、その後、電動モータへの電力供給を断つ実作動力変更装置を設けたことを特徴とする電動式パーキングブレーキ装置。
車両のパーキングを機械的に行なう機械式パーキングブレーキ装置においては、車両の動力源(エンジン,モータ等)を作動させる作動位置と作動させない非作動位置とに操作される動力源スイッチ(イグニションスイッチ,主電源スイッチ等)が非作動位置にある状態でも、パーキングブレーキの実作動力を増加・減少させたり、パーキングブレーキを解除することを行い得る。これに対して、前記公報は、電動式パーキングブレーキ装置を、動力源スイッチが非作動位置にある状態で、パーキングブレーキの実作動力を増加・減少させたり、パーキングブレーキを解除することが可能となるように設計することを教えてはいない。そのため、この電動式パーキングブレーキ装置では、動力源スイッチが非作動位置にある状態では、パーキングブレーキの実作動力を増加・減少させることも、パーキングブレーキを解除することもできず、よって、この電動式パーキングブレーキ装置には、従来の機械式パーキングブレーキ装置に比較して操作力が軽減されるという利点はあるものの、使い勝手が劣るという欠点があった。
それに対し、本項に係る電動式パーキングブレーキ装置によれば、動力源スイッチが非作動位置にある状態でも、パーキングブレーキの実作動力を変更可能となり、それにより、電動式パーキングブレーキ装置の使い勝手が向上する。
また、この装置によれば、パーキングブレーキの実作動力を変更することが必要でない場合には、作動力保持機構を利用することにより、電動モータへの電力供給を行なうことなく、パーキングブレーキの実作動力が保持されるため、動力源スイッチの非作動位置でパーキングブレーキの実作動力を変更可能とすることに伴う電動モータによる消費電力量の増加を抑制し得る。
この装置において「動力源」には、エンジン,電動モータ等が含まれる。
また、「動力源スイッチ」には、イグニションスイッチ,キースイッチ,主電源スイッチ等が含まれる。
また、「実作動力の変更」は、実作動力を増加・減少を含み、その「減少」はパーキングブレーキの解除を含む。
また、「パーキングブレーキ制御装置」は、動力源スイッチが作動位置にある場合に、パーキングブレーキ制御を行う態様としたり、行わない態様とすることができる。
(2) さらに、パーキングブレーキ操作部材を含み、前記パーキングブレーキ制御装置が、そのパーキングブレーキ操作部材が操作されたことに応じて作動を開始する(1) 項に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(3) 前記パーキングブレーキ制御装置が、前記動力源スイッチが作動位置から非作動位置に操作されたことに応じて作動を開始する(1) 項に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(4) 前記パーキングブレーキ制御装置が、前記動力源スイッチが非作動位置にある状態で、前記パーキングブレーキの実作動力が変更された後に前記電動モータへの電力供給が断たれた後、パーキングブレーキの実作動力を変更する必要性が新たに生じるまで、電動モータへの電力供給を阻止する電力供給阻止手段を含む(1) ないし(3) 項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
この装置によれば、動力源スイッチが非作動位置にある状態で、電動モータによる消費電力量の増加を抑制しつつ、パーキングブレーキの実作動力が変更可能となる。
(5) 前記実作動力変更装置が、(a) パーキングブレーキ操作部材と、(b) そのパーキングブレーキ操作部材の操作に基づいて前記電動モータに電力を供給する電力供給手段とを含む(1) ないし(4) 項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(6) 前記実作動力変更装置が、(a) 前記パーキングブレーキを解除してそれの実作動力を0にするために人間により操作されるパーキングブレーキ解除スイッチと、(b) 前記動力源スイッチが非作動位置にある状態で、前記パーキングブレーキ解除スイッチが操作された場合に、前記パーキングブレーキが解除されるように前記電動モータを制御する第1モータ制御手段とを含む(1) ないし(5) 項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
この装置によれば、動力源スイッチが非作動位置にある状態でも、パーキングブレーキを解除可能となり、それにより、電動式パーキングブレーキ装置の使い勝手が向上する。
ここに「人間」には、運転者のみならず車両を修理する作業者等も含まれる。
また、「パーキングブレーキ解除スイッチ」は、上記(5) 項における「パーキングブレーキ操作部材」の一例である。
(7) 前記第1モータ制御手段が、前記動力源スイッチが作動位置から非作動位置に操作されるのと同じ時期に前記パーキングブレーキ解除スイッチが操作された場合に、作動を開始する(6) 項に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
この装置によれば、2つの操作部材がほぼ同時に操作されたことに応じてパーキングブレーキが解除されるため、1つの操作部材が操作されたことに応じてパーキングブレーキを解除する場合に比較して、誤った操作に起因したパーキングブレーキ解除をより確実に回避し得る。
(8) 前記実作動力変更装置が、(a) 人間の指令に応じて前記パーキングブレーキの目標作動力を設定する手動式目標作動力設定装置と、(b) 前記動力源スイッチが非作動位置にある状態で、前記パーキングブレーキの実作動力が、設定された目標作動力と等しくなるように前記電動モータを制御する第2モータ制御手段とを含む(1) ないし(7) 項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
この装置によれば、動力源スイッチが非作動位置にある状態でも、パーキングブレーキの実作動力を変更可能となり、それにより、電動式パーキングブレーキ装置の使い勝手が向上する。
ここに「人間の指令」は例えば、人間の操作により伝達されるものとしたり、音声により伝達されるものとすることができる。
また、「手動式目標作動力設定装置」は、目標作動力を人間の指令に応じて連続的に変化する連続値として設定する態様としたり、段階的に変化する段階値として設定する態様とすることができる。
また、「手動式目標作動力設定装置」が、人間の操作により人間の指令を伝達する形式を採用するために、人間により操作される操作部材を有する場合には、その操作部材は前記(5) 項における「パーキングブレーキ操作部材」の一例となる。
(9) 前記実作動力変更装置が、前記動力源スイッチが非作動位置から作動位置に操作された時期から、その後に最初にパーキングブレーキ操作の解除が行なわれる時期までの期間においては、前記目標作動力の設定の変更にもかかわらず、前記パーキングブレーキの実作動力を保持する実作動力保持手段を含む(8) 項に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
この装置においては、目標作動力を人間の指令に応じて連続的にまたは段階的に変化させる態様の前記手動式目標作動力設定装置が、人間が動力源スイッチを非作動位置から作動位置に操作した時期から人間が最初にパーキングブレーキ操作の解除を指令する前には、パーキングブレーキを解除する位置と解除しない位置との2位置に切換え可能なスイッチとして機能する。一方、従来の機械式パーキングブレーキ装置においては、パーキングブレーキ操作部材の自動復元機構により、パーキングブレーキ解除時には、パーキングブレーキの実作動力が0でない大きさから0に急に変化し、パーキングブレーキ操作部材がスイッチとして機能する。したがって、本項に記載の電動式パーキングブレーキ装置によれば、パーキングブレーキ解除時に、従来の機械式パーキングブレーキ装置と同等の操作フィーリングが得られる。
(10)前記実制動力変更装置が、前記動力源スイッチが非作動位置にある状態ではいつでも、前記パーキングブレーキの実作動力を変更可能である(1) ないし(9) 項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
ここに「実作動力の変更」は、実作動力を増加・減少を含み、その「減少」はパーキングブレーキの解除を含む。
(11)前記実制動力変更装置が、前記動力源スイッチが作動位置から非作動位置に操作された時期から設定時間が経過した後には、前記電動モータへの電力供給を阻止する電力供給阻止手段を含む(1) ないし(9) 項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
上記(10)項に記載の電動式パーキングブレーキ装置においては、動力源スイッチが非作動位置にある状態ではいつでも、パーキングブレーキの実作動力を変更可能である。しかし、この装置を使用する場合には、消費電力量が増加し易いという問題がある。動力源スイッチが非作動位置にある限り、パーキングブレーキの実作動力を変更することが必要であるか否かを判定しなければならないからである。これに対して、本項に記載の電動式パーキングブレーキ装置によれば、動力源スイッチが作動位置から非作動位置に操作された時期から設定時間の間に限り、パーキングブレーキの実作動力が変更可能とされている。したがって、この装置によれば、電動モータによる消費電力量の増加を抑制しつつ電動式パーキングブレーキの使い勝手を向上させ得る。
ここに「電力供給阻止手段」は例えば、電動モータへの電力供給の阻止を、動力源スイッチが非作動位置から作動位置に操作されるまで継続する態様とすることができる。
(12)前記実制動力変更装置が、(a) パーキングブレーキ操作部材と、(b) 前記動力源スイッチが非作動位置にある状態で、前記パーキングブレーキ操作部材の操作に基づいて前記電動モータに電力を供給し、それにより前記パーキングブレーキの実作動力を変更し、その後、電動モータへの電力供給を断つ実作動力変更手段と、(c) 前記動力源スイッチが作動位置から非作動位置に操作された時期から設定時間が経過した後には、動力源スイッチが非作動位置から作動位置に操作されるまで、前記パーキングブレーキ操作部材の操作にもかかわらず、前記電動モータへの電力供給を阻止する電力供給阻止手段とを含む(1) ないし(11)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
この装置によれば、電動モータによる消費電力量の増加を抑制しつつ電動式パーキングブレーキの使い勝手を向上させ得る。
(13)さらに、前記パーキングブレーキの実作動力を検出する作動力センサを含み、前記実作動力変更装置が、その作動力センサにより検出された実作動力が目標作動力と等しくなるように前記電動モータを制御する第3モータ制御手段を含む(1) ないし(12)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(14)前記実作動力変更装置が、(a) 前記車両の状態または路面の状態に応じて前記パーキングブレーキの目標作動力を設定する自動式目標作動力設定装置と、(b) 前記動力源スイッチが非作動位置にある状態で、前記パーキングブレーキの実作動力が、設定された目標作動力と等しくなるように前記電動モータを制御する第4モータ制御手段とを含む(1) ないし(13)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
この装置によれば、パーキングブレーキの実作動力が不足することも過剰になることも抑制される。
本項に記載の特徴は、前記(1) 項に記載の特徴から独立して採用可能である。
(15)前記自動式目標作動力設定装置が、(a) 前記車両の速度を検出する車両速度センサと、(b) その車両速度センサの検出値に基づき、前記車両が停止状態にない場合には、前記目標作動力を増加させる目標作動力増加手段とを含む(14)項に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(16)前記自動式目標作動力設定装置が、(a) 前記車両が走行している路面の傾斜角を検出する路面傾斜角センサと、(b) その路面傾斜角センサの検出値に基づき、前記路面の傾斜によって前記車両が発進しないように前記目標作動力を設定する目標作動力設定手段とを含む(14)または(15)項に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(17)当該電動式パーキングブレーキ装置が、パーキングブレーキ専用に設けられている(1) ないし(16)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(18)前記パーキングブレーキと電動モータとが、主ブレーキ操作時には主ブレーキを電気的に行なうために使用されることにより、主ブレーキとパーキングブレーキとに共用される(1) ないし(16)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
ここに「主ブレーキ操作」は、車両走行中に車両を減速させたり停止させるために行なわれるブレーキ操作をいい、通常ブレーキ操作ともいわれる。
(19)前記電動モータが、それに電力が供給されていない状態において静止保持トルクを発生させる超音波モータであり、前記作動力保持機構が、その超音波モータのうちその静止保持トルクを発生させる部分を含む(1) ないし(18)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(20)前記作動力保持機構が、前記電動モータと前記パーキングブレーキとの間に設けられ、電動モータからパーキングブレーキへ向かう力の伝達は許容するが、その逆向きの力の伝達は阻止する一方向伝達機構を含む(1) ないし(18)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(21)前記一方向伝達機構が、ウォームとウォームホイールとがかみ合って回転するウォームギヤであって、ウォーム側に前記電動モータ、ウォームホイール側に前記パーキングブレーキがそれぞれ連結されているウォームギヤを含む(20)項に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
(22)前記パーキングブレーキと電動モータと作動力保持機構とが、前記複数の車輪にそれぞれ設けられており、前記パーキングブレーキ制御装置が、前記複数のパーキングブレーキのうち同じ時期に作動させるものの組み合わせを変更する組合せ変更装置を含む(1) ないし(21)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
この装置によれば、複数のパーキングブレーキのうち同じ時期に作動させるものの組み合わせを変更可能となり、電動式パーキングブレーキ装置の使い勝手が向上する。
(23)複数の車輪を備えた車両に設けられ、(i)それら複数の車輪にそれぞれ設けられた複数のパーキングブレーキと、(ii)それら複数のパーキングブレーキをそれぞれ作動させる複数の電動モータと、(iii)それら複数の電動モータの各々に電力を供給して各電動モータに対応する前記パーキングブレーキを作動させることにより、前記車両をパーキングするパーキングブレーキ制御装置とを含む電動式パーキングブレーキ装置において、
前記パーキングブレーキ制御装置に、前記複数のパーキングブレーキのうち同じ時期に作動させるものの組み合わせを変更する組合せ変更装置を設けたことを特徴とする電動式パーキングブレーキ装置〔請求項1〕。
この装置によれば、上記(22)項に記載の装置と同様に、複数のパーキングブレーキのうち同じ時期に作動させるものの組み合わせを変更可能となり、電動式パーキングブレーキ装置の使い勝手が向上する。
本項および以下の項に記載の各特徴は、前記(1) ないし(21)項に記載の各特徴と一緒に採用可能である。
(24)前記組合せ変更装置が、(a) 前記組合せを変更するために人間により操作される組合せ変更操作部材と、(b) その組合せ変更操作部材の操作に基づいて前記組合せを変更する手動操作対応変更手段とを含む(22)または(23)項に記載の電動式パーキングブレーキ装置〔請求項2〕。
この装置によれば、人間の操作に応じて、作動するパーキングブレーキの組合せを変更し得る。
(25)前記組合せ変更装置が、(c) 前記車両の操舵角,操舵角変化速度,車両速度等、車両の運動状態を表す車両運動状態量を検出する車両運動状態量センサと、(d) その車両運動状態量センサの検出値に基づいて前記組合せを変更する自動変更手段とを含む(22)ないし(24)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置〔請求項3〕。
この装置によれば、車両運動状態量に基づいて自動的に、作動するパーキングブレーキの組合せを変更し得る。
(26)前記複数の車輪が、前記車両の前後左右にそれぞれ設けられており、前記組合せが、すべての車輪から成る第1の組合せと、左右の後輪から成る第2の組合せとを含む(22)ないし(25)項のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置〔請求項4〕。
この装置によれば、第2の組合せを選択することにより、車両をスピンターンさせることが容易となる。
(27)前記組合せ変更装置が、運転者が前記車両をスピンターンさせることを希望する可能性がある場合に、前記第2の組合せを選択し、そうでない場合に、前記第1の組合せを選択する組合せ選択手段を含む(26)項に記載の電動式パーキングブレーキ装置〔請求項5〕。
この装置によれば、運転者が車両をスピンターンさせることを希望する可能性がある場合に自動的に、車両にスピンターンを行わせるのに適当な組合せが選択される。
(28)前記組合せ選択手段が、前記車両の操舵角の絶対値が基準値を超えることと、操舵角速度の絶対値が基準値を超えることと、車両速度が基準値より低いこととの少なくとも一つが成立した場合に、運転者が前記車両をスピンターンさせることを希望する可能性があると判定する判定手段を含む(27)項に記載の電動式パーキングブレーキ装置〔請求項6〕。
(29)ブレーキ装置の作動に関連するブレーキ関連量を検出する装置であって、
各々前記ブレーキ関連量を検出する3個のセンサと、
それら3個のセンサにより互いに同時にそれぞれ検出された3個の検出値のうちの2個以上が互いに整合する場合には、それら互いに整合する2個以上の検出値のいずれかまたはそれらの総合値を前記ブレーキ関連量の実際値に決定する実際値決定装置と
を含むことを特徴とするブレーキ関連量検出装置。
同じ物理量を検出するか、または同じではないが相互に関連する物理量を検出する3個のセンサにつき、2個以上のセンサが同時に故障することはなく、常に2個以上のセンサが正常であると仮定することが可能である。この仮定の下では、3個のセンサの3個の検出値のうち互いに整合する2個以上の検出値に対応する2個以上のセンサはいずれも正常であるという事実を誘導することができる。このような知見に基づき、本項に記載の装置においては、3個のセンサの3個の検出値のうちの2個以上が互いに整合する場合には、それら互いに整合する2個以上の検出値のいずれも正常であると推定され、それら2個以上の検出値のいずれかまたはそれらの総合値がブレーキ関連量の実際値に決定される。したがって、この装置によれば、3個のセンサのうち2個以上が同時に故障しない限り、ブレーキ関連量を精度よく検出可能となり、その装置の耐故障性が向上する。
ここに「ブレーキ関連量」は例えば、ブレーキ操作力,ブレーキ操作ストローク,ブースタ負圧,マスタシリンダ液圧,ブレーキシリンダ液圧,車体減速度,車両ヨーレイト,車両横加速度等とすることができる。
また「センサ」は、車両に搭載されるセンサであれば如何なるものも採用可能であり、例えば、ブレーキ操作ストロークセンサ等、ストロークセンサを採用したり、ブレーキ操作力センサ等、力センサを採用したり、マスタシリンダ液圧センサ,ブースタ負圧センサ,ブレーキシリンダ液圧センサ等、圧力センサを採用したり、車両速度センサ,ヨーレイトセンサ等、速度センサを採用したり、車体減速度センサ,車体加速度センサ等、加減速度センサを採用することが可能である。
本項および以下の項に記載の各特徴は、前記(1) ないし(28)項に記載の各特徴と一緒に採用可能である。
(30)前記総合値が、前記互いに整合する2個以上の検出値の平均値である(29)項に記載のブレーキ関連量検出装置。
(31)前記3個のセンサが、3個のブレーキ関連量として、物理量として互いに同じものを検出する(29)または(30)項に記載のブレーキ関連量検出装置。
この装置においては、3個のセンサを例えば、3個のブレーキ操作ストロークセンサとして構成したり、3個のマスタシリンダ液圧センサとして構成することができる。
(32)前記3個のセンサが、3個のブレーキ関連量として、それらのうち2個以上が物理量として同じではないが相互に関連するものを検出する(29)または(30)項に記載のブレーキ関連量検出装置。
この装置においては、3個のセンサを例えば、ブレーキ操作ストロークセンサとブレーキ操作力センサとマスタシリンダ液圧センサとして構成したり、ブレーキ操作ストロークセンサとマスタシリンダ液圧センサと車体減速度センサとして構成することができる。
(33)動力源とその動力源により少なくとも一つが駆動される複数の車輪と前記動力源を作動させる作動位置と作動させない非作動位置とに運転者により操作される動力源スイッチとを備えた車両に設けられ、
前記複数の車輪の少なくとも一つに設けられたパーキングブレーキと、
そのパーキングブレーキを作動させる電動モータと、
その電動モータに電力を供給して前記パーキングブレーキを作動させることにより、前記車両をパーキングするパーキングブレーキ制御装置と
を含む電動式パーキングブレーキ装置において、
前記パーキングブレーキ制御装置に、前記動力源スイッチが非作動位置にある状態で、前記電動モータに電力を供給し、それにより前記パーキングブレーキの実作動力を変更する実作動力変更装置を設けたことを特徴とする電動式パーキングブレーキ装置。
この装置によれば、動力源スイッチが非作動位置にある状態でも、パーキングブレーキの実作動力を変更可能となり、それにより、電動式パーキングブレーキ装置の使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
図1に、本発明の第1実施形態である電動式パーキングブレーキ装置を含むブレーキシステムを示す。本第1実施形態および後述の第2実施形態は、現在の特許請求の範囲に記載の発明の実施形態ではないが、特許請求の範囲に記載の発明の実施形態の説明に利用するために記載する。
このブレーキシステムは、左右前輪FL,FRと左右後輪RL,RRとを備えた4輪自動車に設けられている。この車両は、動力源としてのエンジン(内燃機関)10と、駆動力伝達装置としてのオートマチックトランスミッション(以下、「AT」と略称する)12とを備えており、それらエンジン10とAT12とにより、左右前輪と左右後輪との少なくとも一方である駆動車輪が駆動され、それにより、車両が駆動される。
【0007】
それら4輪にはそれぞれ、超音波モータ14を駆動源とするとともに流体圧を使用しない電動式ディスクブレーキ(以下、単に「ブレーキ」という)16が設けられている。各ブレーキ16は、主ブレーキまたはパーキングブレーキとして選択的に作動させられる。図2には、4輪のうちの一つについて代表的にブレーキ16が示されている。
【0008】
ブレーキ16は、車輪と共に回転する回転体としてのディスクロータ17を備えている。ディスクロータ17の両面はそれぞれ摩擦面18a,18bとされ、それら摩擦面18a,18bに対向して一対のブレーキパッド20a,20bが配設されている。各ブレーキパッド20a,20bは、前面において各摩擦面18a,18bと接触する摩擦材22を備えるとともに、その摩擦材22の背面に鋼製の裏板24が固着された構造とされている。
【0009】
ブレーキ16は、パッド支持機構26とパッド加圧機構28とを備えており、まず、パッド支持機構26について説明する。
【0010】
ブレーキ16はマウンティングブラケット30を備えている。マウンティングブラケット30は、ディスクロータ17を跨ぐ状態で車体に片持ち状にかつ固定的に取り付けられている。マウンティングブラケット30は、(a) 一対のブレーキパッド20a,20bをディスクロータ17を両側から挟む位置において各摩擦面18a,18bと直角な方向Yに移動可能に支持する部分と、(b) 各ブレーキパッド20a,20bとディスクロータ17との接触時に各ブレーキパッド20a,20bに発生する摩擦力を受ける部分(受け部材)とを備えている。すなわち、マウンティングブラケット30がパッド支持機構26を構成しているのである。
【0011】
次に、パッド加圧機構28について説明する。
ブレーキ16はキャリパ60を備えている。キャリパ60は、パッド押圧関連部60aとモータ取付部60bと支持部60cとが一体化されたキャリパ本体部61と、後述のモータハウジング80とが互いに別部品とされてねじ止めされた構造とされている。キャリパ本体部61は、さらに、各々パッド移動方向Yに平行に延びる一対のアーム(図示しない)を備えている。それら一対のアームもキャリパ本体部61に一体的に形成されている。
【0012】
キャリパ本体部61は、パッド押圧関連部60aにおいてマウンティングブラケット30にパッド移動方向Yに摺動可能に支持されている。キャリパ60は浮動式なのである。また、前記各アームに、各々パッド移動方向Yに平行に延びる2本のピン(図示しない)が取り付けられており、それら2本のピンはマウンティングブラケット30にパッド移動方向Yに摺動可能に嵌合されている。以上要するに、キャリパ本体部61は、パッド押圧関連部60aと2本のピンとによりマウンティングブラケット30に摺動可能に支持されているのである。
【0013】
パッド押圧関連部60aは、一対のブレーキパッド20a,20bのうちの内側のインナパッド20bの背後に位置する押圧部64と、外側のアウタパッド20aの背後に位置するリアクション部66と、ディスクロータ17を跨ぐ連結部68とが互いに一体化された構造とされている。
【0014】
押圧部64には、加圧部材としての押圧ピストン70がインナパッド20bの背後において摺動可能に嵌合されている。押圧ピストン70はそれの前面においてインナパッド20bの背面に接触させられる。押圧ピストン70の背後には、超音波モータ14が同軸に配置されている。押圧ピストン70と超音波モータ72とは、パッド移動方向Yに平行に互いに同軸に配置されるとともに、運動変換機構としてのボールねじ機構74により互いに連結されている。
【0015】
超音波モータ(以下、単に「モータ」という)14は、進行波式である。このモータ14は、よく知られているように、ステータに超音波振動を与えて表面波を生じさせるとともに、ステータ82とロータ84との間に働く摩擦力によってロータ84を回転させる。モータ14は、有底円筒状のモータハウジング80にステータ82とロータ84とが同軸に収容された構造とされている。ステータ82は弾性体90と圧電体92とが重ね合わせられた構造とされている。
【0016】
モータハウジング80は、底部に貫通穴を有する本体部80aとその貫通穴を閉塞する閉塞部80bとが互いに別部品とされてねじ止めされた構造とされている。モータハウジング80は、それの開口部において前記モータ取付部60bにねじ止めされている。
【0017】
ロータ84は押圧接触機構94によってステータ82に押し付けられ、両者の間に必要な摩擦力が得られるようになっている。ロータ84のうちステータ82と接触する部分には摩擦材料が接着されている。これにより、ステータ82に発生した進行波振動がロータ84に伝達されてロータ84が回転させられる。その押圧接触機構94により、圧電体92に電圧が印加されない非通電状態(OFF状態)でもステータ82とロータ84との間には一定の摩擦力が生じ、この摩擦力により静止保持トルクがモータ14に発生させられる。
【0018】
前記ボールねじ機構74は、おねじ部材100とめねじ部材102とが複数個のボール(図示しない)を介して螺合された構造とされている。おねじ部材100は回転は制限されるが軸方向移動は許容され、一方、めねじ部材102は回転は許容されるが軸方向移動は制限されている。
【0019】
おねじ部材100は、モータハウジング80にスプライン嵌合部103によって回転不能に取り付けられている。そのスプライン嵌合部103は、モータハウジング80に位置固定に設けられている。
【0020】
めねじ部材102には、ロータ84が押圧接触機構94と共に相対回転不能に取り付けられている。したがって、ロータ84が正回転すればめねじ部材102も正回転し、めねじ部材102が正回転すればおねじ部材100が前進して(図において右方に移動して)押圧ピストン70がインナパッド20bがディスクロータ17に接近する向きに移動する。逆に、ロータ84が逆回転すればめねじ部材102も逆回転し、めねじ部材102が逆回転すれば、おねじ部材100が後退して(図において左方に移動して)押圧ピストン70がインナパッド20bがディスクロータ17から離間する向きに移動することが許容される。
【0021】
めねじ部材102は、それの軸線方向に隔たったラジアル軸受120とラジアルスラスト軸受122とを介してキャリパ本体部61の支持部60cに回転可能に支持されている。また、めねじ部材102は、それの外周面に形成された環状溝に固定手段としてのスナップリング134が装着されるとともに、そのスナップリング134とめねじ部材102の大径軸部135とでラジアル軸受120とモータ取付部60bとラジアルスラスト軸受122とを挟むことにより、めねじ部材102の軸方向移動が制限されている。
【0022】
おねじ部材100の先端部には荷重センサ140が同軸に取り付けられており、おねじ部材100はその荷重センサ140を介して押圧ピストン70に背後から係合する。したがって、荷重センサ140からの出力信号に基づき、モータ14によりインナパッド20bが加圧される際の加圧力が検出可能となる。
【0023】
このブレーキシステムは、主ブレーキ用の操作装置を備えている。その操作装置は、図1に示すように、主ブレーキ操作部材としてのブレーキペダル146を備えている。ブレーキペダル146は車体に回動可能に取り付けられている。このブレーキペダル146には反力付与機構148が連携させられている。反力付与機構148は、ブレーキペダル146の操作に応じた反力をブレーキペダル146に、そのブレーキペダル146の操作ストロークに関連付けて付与する反力付与機構148が連携させられている。反力付与機構148は、ブレーキペダル146と連動する連動部材150が有底のハウジング152に軸方向摺動可能に嵌合されるとともに、ハウジング152の底部と連動部材150との間に圧縮型のスプリング(図示しない)が設けられた構造とされている(図21参照)。そのスプリングにより、ブレーキペダル146に反力が操作ストロークに関連付けて付与されるのである。
【0024】
このブレーキシステムはさらに、パーキングブレーキ用の操作装置も備えている。その操作装置はロータリ式のPKB(パーキングブレーキ)操作装置154とPKB(パーキングブレーキ)解除スイッチ156とを備えている。
【0025】
PKB操作装置154は、従来の機械式パーキングブレーキ装置におけるパーキングレバーまたはパーキングペダルに代わるものであり、パーキングブレーキ操作の有無とその強さとを後述のブレーキECU220に指令するために設けられている。そのため、PKB操作装置154は、図3に示すように、車両のインストルメントパネル160に、運転席162に着座している運転者から容易に届く位置に取り付けられている。図において符号164はステアリングホイールを示している。
【0026】
これに対して、PKB解除スイッチ156は、車両を自走させることが困難となって他の車両により牽引することが必要となった場合に操作されるものである。PKB解除スイッチ156は、車両のエンジンルーム内に設けられているが、PKB操作装置154と同様に、運転席162に着座している運転者から容易に届く位置に設けることが可能である。
【0027】
ここで、PKB操作装置154の構造を詳細に説明する。
図4にはPKB操作装置154の正面図、図5には側面図が示されている。それら図から明らかなように、PKB操作装置154は、インストルメントパネル160に取り付けられる取付けパネル170を備えている。この取付けパネル170のうち垂下する部分にロータリ式の操作部172が、車両前後方向に延びる一軸線のまわりに回転可能に設けられている。操作部172は、運転者に摘まれるべき長手形状のノブ(つまみ)174と円板176とが一体的に形成されて構成されている。ノブ174の方向は円板176の一直径方向に一致させられている。ノブ174の両端部のうち図における上端部の向きが、操作部172の取付けパネル170に対する操作位置を指示している。そのため、取付けパネル170には、パーキングブレーキを解除するための操作位置と、パーキングブレーキを最大作用状態にするための操作位置とをそれぞれ示す2つのマークが設けられている。
【0028】
PKB操作装置154には、従来の機械式パーキングブレーキ装置における操作装置と同様な操作フィーリングを実現するため、図5に示すように、ラチェット機構180と解除ボタン182と自動復元機構183とを含むように構成されている。パーキングブレーキの作動力を増加させるために操作部172を操作する際には、特別な操作なしで操作部172の操作角度の増加が許容されるとともに、その操作角度の増加につれて操作力が増加し、一方、パーキングブレーキの作動力を減少させるために操作部172を操作する際には、解除ボタン182を押し続けるという操作を付加しない限り、ラチェット機構180により、操作部172の操作角度が減少することが禁止されるとともに、操作角度の減少が許可されている状態では、操作部172が非操作位置に復帰することが自動復元機構183によりアシストされる。
【0029】
ラチェット機構180は、よく知られたものであるため、図6に基づいて簡単に説明する。なお、この図は、PKB操作装置154の正面図であるとともに、円板176の上部を破断した部分断面図でもある。
【0030】
ラチェット機構180は、取付けパネル170の背面に固定されたハウジング185を備えている。このハウジング185の内部には、取付けパネル170の面に平行にラチェットホイール184が固定されている。ラチェットホイール184には複数の鋸歯状歯が一円周に沿って並んで形成されている。それら歯にポール186が選択的にかみ合わされる。ポール186はその先端部においてラチェットホイール184にかみ合う。ハウジング185にはさらに、PKB操作装置154の操作部172の回転軸線に平行に回動軸188が固定されており、この回動軸188のまわりにポール186が回動させられる。
【0031】
解除ボタン(解除操作部材)182は、操作部190と軸部192とを有して概して真っ直ぐに延びている。解除ボタン182は、ノブ174の内部にそのノブ174と平行に移動可能に設けられている。解除ボタン182の操作部190の上部がノブ174の上端部から外部に突出させられている。解除ボタン182は、スプリング194により、ノブ174から露出する向きに常時付勢されるとともに、ストッパ196により、ノブ174から離脱することが阻止されている。解除ボタン182の軸部192の先端部が、上記ポール186の基端部に回動可能に連結されている。解除ボタン182の操作によりポール186が回動させられるようになっているのであり、解除ボタン182が図示の原位置にあるときには、ポール186がラチェットホイール184とかみ合い、これにより、操作部172が取付けパネル170に対して図において時計方向(パーキングブレーキ解除方向)に回転することが阻止される。これに対して、解除ボタン182がスプリング194の弾性力に抗してノブ174内に押し込まれれば、ポール186がラチェットホイール184から離間し、これにより、操作部172が取付けパネル170に対して時計方向に回転することが許容される。また、運転者は、解除ボタン182を押すことなく、操作部172を反時計方向(パーキングブレーキ作用方向)に回転させることができる。
【0032】
図5に示すように、取付けパネル170の背面にはさらに、回転角センサ198が取り付けられている。回転角センサ198は、ハウジング200とそのハウジング200に回転可能に取り付けられたロータ202とを備え、ロータ202の回転角に応じた信号を出力する。回転角センサ198は例えば、ポテンショメータ式とすることができる。一方、PKB操作装置154の操作部172にはシャフト204が同軸にかつ一体的に回転可能に取り付けられている。このシャフト204はラチェット機構180を貫通してロータ202に延びており、ロータ202に一体的に回転可能に係合されている。したがって、操作部172の回転によりロータ202が回転させられる。
【0033】
回転角センサ198には、ハウジング200とロータ202との間にスプリング206が設けられている。このスプリング206はロータ202を常時、図示しないストッパにより規定される初期位置(操作部172の非操作位置に対応する)に向かって付勢している。このスプリング206の弾性力はシャフト204を介して操作部172に伝達される。したがって、このスプリング206は前記自動復元機構183として機能する。
【0034】
以上、このブレーキシステムの機械的構成を説明したが、次に、電気的構成を図1に基づいて説明する。
【0035】
このブレーキシステムはブレーキ電子制御ユニットECU(以下、「ブレーキECU」という)220を備えている。このブレーキECU220は、CPU,ROMおよびRAMを含むコンピュータを主体として構成されており、主ブレーキ操作時とパーキングブレーキ操作時とに、モータ14によるブレーキパッド20a,20bの加圧力を制御してブレーキ16を制御する。ブレーキECU220の電源として第1主バッテリ210と第2主バッテリ212とが設けられている。第1主バッテリ210は左右前輪のブレーキ16用に設けられ、第2主バッテリ212は左右後輪のブレーキ16用に設けられている。それにより、それら2つの主バッテリ210,212が一緒に異常とならない限り、ブレーキECU220による前輪と後輪と少なくとも一方のブレーキ16の作動が確保される。
【0036】
ブレーキECU220の入力側には、前記荷重センサ140が4輪分接続されるとともに、前記PKB解除スイッチ156と回転角センサ198とが接続されている。さらに、エンジン10を点火させるために操作されるイグニションスイッチ222と、車両の前後速度を検出する車両速度センサ224と、各輪の回転速度を検出する4輪分の車輪速度センサ225と、車両の前後加速度を検出する加速度センサ226と、車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ228と、車両の舵角(ステアリングホイール164の操作角等)を検出する舵角センサ230も接続されている。
【0037】
さらに、ブレーキECU220の入力側には、前記ブレーキペダル146が操作されたことを検出するブレーキペダルスイッチ234と、ブレーキペダル146の操作ストロークを検出する操作ストロークセンサ236とが接続されている。操作ストロークセンサ236は、ブレーキペダル146の回動角に応じた電圧信号を出力する形式とされている。操作ストロークセンサ236は例えば、ポテンショメータ式である。
【0038】
一方、ブレーキECU220の出力側には、第1および第2ドライバ240,242が接続されている。第1ドライバ240は、電源としての第1補助バッテリ244と左右前輪のブレーキ16の2個のモータ14との間に設けられている。一方、第2ドライバ242は、電源としての第2補助バッテリ246と左右後輪のブレーキ16の2個のモータ14との間に設けられている。主ブレーキ操作時およびパーキングブレーキ操作時には、ブレーキECU220から各ドライバ240,242に指令が供給され、その指令に応じて各ドライバ240,242が電力を各バッテリ244,246から各モータ14に供給する。
【0039】
さらに、ブレーキECU220の出力側には、エンジン10の図示しないエンジン出力制御装置(スロットル制御装置,燃料供給制御装置,点火時期制御装置等)と、AT12の図示しない変速制御装置(変速ソレノイドを含む)とが接続されている。ブレーキECU220は、車両駆動時に、駆動車輪のスピンを抑制すべく、それらエンジン出力制御装置および変速制御装置に駆動力を抑制する信号を出力する。すなわち、ブレーキECU220は、トラクション制御も実行するようになっているのである。
【0040】
さらにまた、ブレーキECU220の出力側には、ブレーキ警告器250が接続されている。ブレーキ警告器250は、ブザー等、聴覚的に運転者の注意を喚起する手段を含む形式としたり、ランプ等、視覚的に運転者の注意を喚起する手段を含む形式としたり、それら双方を含む形式とすることができる。
【0041】
さらにまた、ブレーキECU220の出力側には、監視&フェール検出ECU252が接続されている。この監視&フェール検出ECU252は、ブレーキ16に関連する電気・電子部品の実際の作動状態を監視し、その結果に基づいてそれら電気部品等のフェールを検出する。さらに、フェールを検出した場合には、上記ブレーキ警告器250を使って運転者に警告を出す。
【0042】
図7には、ブレーキECU220のコンピュータのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチンがフローチャートで表されている。
【0043】
本ルーチンを概略的に説明すれば、本ルーチンは主ブレーキ操作時とパーキングブレーキ操作時とにモータ14を制御してブレーキ16を制御する。主ブレーキ操作時には、主ブレーキ操作量Am を検出し、その検出値と、車両の加速度,速度,ヨーレイト等、車両状態量の検出値とに基づき、ブレーキパッド20a,20bをモータ14により加圧する力(以下、「ブレーキパッド加圧力」という)の目標値を演算し、その目標値が実現されるようにモータ14を、荷重センサ140により実加圧力をフィードバックしつつ制御する。
【0044】
本ルーチンは、パーキングブレーキ操作がイグニションスイッチ222がONである場合のみならず、OFFである場合にも行なわれることを考慮し、ON時とOFF時とのそれぞれに、ブレーキ16をパーキングブレーキとして機能させる。
イグニションスイッチ222のON時には、パーキングブレーキ操作量Ap の検出値に基づき、パーキングブレーキ操作時であるか、それの解除操作時であるかを判定し、パーキングブレーキ操作時には、パーキングブレーキ操作量Ap の検出値に基づいてブレーキパッド加圧力をモータ14により制御し、一方、解除操作時には、ブレーキパッド20a,20bが作用位置から非作用位置に戻るようにモータ14を制御するとともに非作用位置においてブレーキ16に引きずりが生じないようにする。なお、イグニションスイッチ222のON時においてパーキングブレーキ操作は、運転者の意図通り行なわれている場合に限らず、運転者の意図に反して行なわれている場合もある。そこで、本ルーチンは、イグニションスイッチ222のON時にパーキングブレーキ操作が行なわれていると判定した場合には、そのことを運転者に警告する。
これに対して、イグニションスイッチ222のOFF時には、PKB解除スイッチ156が操作されていない場合には、各輪のブレーキパッド加圧力の実際値が設定値となるようにモータ14を制御し、PKB解除スイッチ156が操作された場合には、ブレーキ16の作用が解除されるようにモータ14を制御する。
【0045】
次に、本ルーチンの内容を図7を参照して具体的に説明する。なお、本ルーチンは4輪について順にかつ繰り返し実行されるが、説明を簡単にするために、以下、本ルーチンが同じ車輪について制御周期Tで繰り返し実行されると仮定して説明する。
【0046】
本ルーチンの各回の実行時にはまず、ステップS1(以下、単にS1で表す。他のステップについても同じとする)において、イグニションスイッチ222がONであるか否か、すなわち、運転者により車両走行開始指令が出されたか否かが判定される。今回はONであると仮定すれば、判定がYESとなり、S2において、RAMに設けられているフラグF1 とF2 とがいずれも0とされる。それらフラグの機能は後述する。続いて、S3において、ブレーキペダルスイッチ234がOFFであるか否か、すなわち、主ブレーキ操作時ではないか否かが判定される。今回はOFFであると仮定すれば、判定がYESとなり、S4において、パーキングブレーキ操作量AP がPKB操作装置154の回転角センサ198により操作部172の操作角として検出される。その後、S5において、パーキングブレーキ操作量AP の検出値が、0より少し大きい基準値A0 以上であるか否かが判定される。パーキングブレーキ操作量AP の検出値が0でない限り、現在パーキングブレーキ操作が行なわれていると判定する場合には、実際には運転者が意図しないにもかかわらず検出値が0よりわずかに外れてしまう場合があることを考慮すると、運転者の意図に反してパーキングブレーキが作動させられてしまうことになる。そこで、パーキングブレーキ操作量AP の検出値に遊びを持たせる意味において、パーキングブレーキ操作量AP の検出値が基準値A0 以上であるか否かが判定され、基準値A0 以上である場合には、判定がYESとなり、このことは実質的なパーキングブレーキ操作が行なわれていると判定されていることを表す。今回は基準値A0 以上ではないと仮定すれば、判定がNOとなり、S6において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、すべてのブレーキ16が解除されるとともにすべてのブレーキ16の引きずりが0とされるように演算される。具体的には、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値がすべて0とされる。その後、S7において、演算された各目標値が実現されるように各モータ14が制御される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0047】
これに対して、パーキングブレーキ操作量AP の検出値が基準値A0 以上であると仮定すれば、S5の判定がYESとなり、S8において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、パーキングブレーキ操作量Am に応じた大きさとなるように演算される。具体的には、右前輪FRのブレーキパッド加圧力Ffrの目標値は、
fr=Kf ・Am
なる式で、左前輪FLのブレーキパッド加圧力Fflの目標値は、
fl=Kf ・Am
なる式で、右後輪RRのブレーキパッド加圧力Frrの目標値は、
rr=Kr ・Am
なる式で、左後輪RLのブレーキパッド加圧力Frlの目標値は、
rl=Kr ・Am
なる式でそれぞれ演算される。それら式において「Kf 」は左右前輪用の係数、「Kr 」は左右後輪用の係数である。
【0048】
その後、S9において、演算された各目標値が実現されるように各モータ14が制御される。続いて、S10において、ブレーキ警告器250が作動させられ、それにより、現在パーキングブレーキ操作中であることが運転者に知らせられる。これにより、運転者が意図しないパーキングブレーキ操作が行なわれていることに気付くことができる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0049】
なお、ブレーキ警告器250の作動態様につき、そのブレーキ警告器250がランプとブザーとの双方を有する場合に、車両走行時にはそれらランプとブザーとの双方を作動させて運転者に警告する一方、車両停止時にはランプのみ作動させて運転者に警告する態様とすることができる。運転者の注意を喚起する強さはブザーにおいてランプにおけるより強いのが一般的であり、一方、行なわれているパーキングブレーキ操作が運転者の意図に反する可能性は車両走行時において車両停止時におけるより大きい。そこで、イグニションスイッチ222がONである状態でパーキングブレーキ操作が行なわれている場合には、運転者に対する警告を車両走行時には強く、車両停止時には弱く行なう態様とすることができるのである。
【0050】
以上、イグニションスイッチ222はON、ブレーキペダルスイッチ234はOFFである場合を説明したが、以下、イグニションスイッチ222もブレーキペダルスイッチ234もONである場合を説明する。
【0051】
この場合、S1の判定はYES、S3の判定はNOとなり、S11以下に移行する。S11においては、主ブレーキ操作量Am が操作ストロークセンサ236によりブレーキペダル146の操作ストロークとして検出される。その後、S12において、各種センサの検出値が入力される。具体的には、加速度センサ226による加速度Gの検出値と、車両速度センサ224による車両速度Vの検出値と、ヨーレイトセンサ228によるヨーレイトγの検出値とが入力される。続いて、S13において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、主ブレーキ操作量AP と、車両運動状態量の実際値、すなわち、加速度Gの検出値,車両速度Vの検出値およびヨーレイトγの検出値とに応じて、運転者の意図が反映されるとともに、車両挙動が不安定とならないように、演算される。具体的には、右前輪FRのブレーキパッド加圧力Ffrの目標値は、
fr=Kfr(G,V,γ)・AP
なる式で、左前輪FLのブレーキパッド加圧力Fflの目標値は、
fl=Kfl(G,V,γ)・AP
なる式で、右後輪RRのブレーキパッド加圧力Frrの目標値は、
rr=Krr(G,V,γ)・AP
なる式で、左後輪RLのブレーキパッド加圧力Frlの目標値は、
rl=Krl(G,V,γ)・AP
なる式でそれぞれ演算される。それら式において「Kfr(G,V,γ)」,「Kfl(G,V,γ)」,「Krr(G,V,γ)」および「Krl(G,V,γ)」はそれぞれ、右前輪FR,左前輪FL,右後輪RRおよび左後輪RLのための係数であるが、それら係数はいずれも、加速度G,車両速度Vおよびヨーレイトγを変数とした関数で表現されている。
【0052】
その後、S14において、演算された各目標値が実現されるように各モータ14が制御される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0053】
以上、イグニションスイッチ222がONである場合を説明したが、以下、OFFである場合を説明する。
【0054】
この場合、S1の判定がNOとなり、S15以下に移行する。S15においては、PKB解除スイッチ156がONであるか否かが判定される。今回はOFFであると仮定すれば、判定がNOとなり、S16において、フラグF1 が1であるか否かが判定される。今回は0であるから、判定がNOとなり、S17において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、車両が停止状態に維持されるように演算される。具体的には、右前輪FRと左前輪FLとのブレーキパッド加圧力Ffr,Fflの目標値はいずれも設定値FF(一定値)に、右後輪RRと左後輪RLとのブレーキパッド加圧力Frr,Frlの目標値はいずれも設定値FR(一定値)に演算される。その後、S18において、演算された各目標値が実現されるように各モータ14が制御される。続いて、S19において、各モータ14がOFFにされる。これにより、各モータ14に静止保持トルクが発生させられ、その静止保持トルクにより車両が停止状態に維持される。その後、S20において、フラグF1 は1、フラグF2 は0とされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0055】
その後、再び本ルーチンが実行され、このとき、依然としてイグニションスイッチ222がON、PKB解除スイッチ156がOFFであると仮定すれば、今回はフラグF1 が1であるから、S16の判定がYESとなり、S17〜S20がスキップされる。ブレーキパッド加圧力(パーキングブレーキの実作動力に対応する)を変更することが必要でない限り、モータ14への電力供給が阻止され、それにより、消費電力量が削減されているのである。
【0056】
その後、PKB解除スイッチ156がONとなったと仮定すれば、S15の判定がYESとなり、S21において、フラグF2 が1であるか否かが判定される。今回は0であるから、判定がNOとなり、S22において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、各ブレーキ16が解除されるように演算される。具体的には、すべての車輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値がいずれも0に演算される。その後、S23において、演算された各目標値が実現されるように各モータ14が制御される。続いて、S24において、各モータ14がOFFにされる。各モータ14が非作用状態に復元されるのである。その後、S25において、フラグF1 は0、フラグF2 は1とされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0057】
その後、再び本ルーチンが実行され、このとき、依然としてイグニションスイッチ222がON、PKB解除スイッチ156もONであると仮定すれば、今回はフラグF2 が1であるから、S21の判定がYESとなり、S22〜S25がスキップされる。ブレーキパッド加圧力を変更することが必要でない限り、モータ14への電力供給が阻止され、それにより、消費電力量が削減されているのである。
【0058】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、エンジン10が「動力源」に相当し、イグニションスイッチ222が「動力源スイッチ」に相当し、ブレーキ16が「パーキングブレーキ」に相当し、モータ14が「電動モータ」に相当し、モータ14の静止保持トルク発生機構が「作動力保持機構」に相当し、PKB操作装置154とPKB解除スイッチ156とブレーキECU220のうち図7のS1およびS15〜S25を実行する部分とが互いに共同して「パーキングブレーキ制御装置」を構成し、そのうちPKB解除スイッチ156とブレーキECU220のうち同図のS1,S15,S21〜S24を実行する部分が「実作動力変更装置」を構成しているのである。また、PKB解除スイッチ156が「パーキングブレーキ解除スイッチ」に相当し、ブレーキECU220のうち図7のS1,S15,S21〜S24を実行する部分が「第1モータ制御手段」を構成しているのである。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。ただし、本実施形態は先の第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはブレーキ制御ルーチンのみであるため、そのルーチンのみを詳細に説明し、共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0060】
本実施形態におけるブレーキ制御ルーチンは、第1実施形態におけるブレーキ制御ルーチンと基本的には設計思想が共通する。しかし、異なる設計思想も存在する。以下、その概略を説明する。
【0061】
第1実施形態におけるブレーキ制御ルーチンにおいては、イグニションスイッチ222がOFFである場合には、時期を問わず、PKB解除スイッチ156が操作されれば、電動式パーキングブレーキが解除され(ブレーキ16がパーキングブレーキとして機能することが終了し)、PKB解除スイッチ156の操作が解除されれば、電動式パーキングブレーキが作動する。これに対して、本実施形態におけるブレーキ制御ルーチンにおいては、PKB解除スイッチ156の誤操作により電動式パーキングブレーキが解除されてしまうことを防止するため、PKB解除スイッチ156が操作されると同時に、それとは別のスイッチが操作された場合に、すなわち、イグニションスイッチ222がOFFに操作された場合に、電動式パーキングブレーキが解除されるようになっている。具体的には、イグニションスイッチ222がONからOFFに操作された時期以外の時期にPKB解除スイッチ156が操作されてもそれがブレーキECU220により無視されるようになっているのである。
【0062】
さらに、本実施形態におけるブレーキ制御ルーチンは、ブレーキECU220の消費電力が、第1実施形態におけるより少なくなるように設計されている。第1実施形態においては、ブレーキパッド加圧力を変更することが必要でない場合には、イグニションスイッチ222がOFFであるときのブレーキ制御ルーチンの各回の実行時に、図7に示すように、S1,S15およびS16が実行される場合と、S1,S15およびS21が実行される場合とがあるが、いずれの場合にも、3つのステップが実行される。これに対して、本実施形態においては、イグニションスイッチ222がOFFであるときのブレーキ制御ルーチンの各回の実行時に、2つのステップのみ、すなわち、図8に示すS51とS65のみが実行されるように設計されている。これにより、イグニションスイッチ222がOFFであるときのブレーキECU220の消費電力量が第1実施形態におけるより少なくされている。以下、ブレーキ制御ルーチンの各回の実行時にそれらS51とS65のみが実行されるモードをECU省エネモードという。
【0063】
図8には、本実施形態におけるブレーキ制御ルーチンがフローチャートで表されている。以下、本ルーチンを説明するが、第1実施形態におけるブレーキ制御ルーチンと共通するステップが多いため、異なるステップについてのみ詳細に説明する。
【0064】
本ルーチンは、第1実施形態におけると同様に、極く短い時間間隔(例えば、5〜10ms)で実行が繰り返される。各回の実行時にはまず、まず、S51において、イグニションスイッチ222がONであるか否かが判定される。ONであると仮定すれば、判定がYESとなり、S52において、ECU省エネモードが解除される。その後、S53〜S64が、図7におけるS3〜S14と同様に実行される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0065】
これに対して、今回はイグニションスイッチ222がOFFであると仮定すれば、S51の判定がNOとなり、S65において、本ルーチンの前回の実行時にもイグニションスイッチ222がOFFであったか否かが判定される。前回の実行時にはイグニションスイッチ222がONであったと仮定すれば、判定がNOとなり、S66において、PKB解除スイッチ156がONであるか否かが判定される。今回はOFFであると仮定すれば、判定がNOとなり、S67〜S69が、図7におけるS17〜S19と同様に実行される。それにより、ブレーキ16がパーキングブレーキとして作動させられて車両が停止状態に維持される。その後、S70において、ECU省エネモードが確立される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0066】
これに対して、イグニションスイッチ222がONからOFFに操作されるのと同時にPKB解除スイッチ156がOFFからONに操作されたと仮定すれば、イグニションスイッチ222がOFFであり、かつ、本ルーチンの前回の実行時にはイグニションスイッチ222がONであり、かつ、PKB解除スイッチ156がONであるため、S51の判定はNO、S65の判定もNO、S66の判定はYESとなり、S71〜S73が、図7におけるS22〜S24と同様に実行される。それにより、ブレーキ16がパーキングブレーキとして作動することが解除されて車両が発進可能な状態に移行する。その後、S74において、ECU省エネモードが確立される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0067】
また、本ルーチンの前回の実行時にもイグニションスイッチ222がOFFであったと仮定すれば、S51の判定はNO、S65の判定はYESとなり、直ちに本ルーチンの一回の実行が終了する。以後、イグニションスイッチ222がOFFである限り、本ルーチンの各回の実行時にはS51とS65のみが実行され、それにより、ブレーキECU220の消費電力量が節減される。
【0068】
なお、本実施形態においては、イグニションスイッチ222がOFFに操作されるのと同時にPKB解除スイッチ156がONに操作され、その結果、パーキングブレーキが解除された後には、イグニションスイッチ222がONに操作されない限り、パーキングブレーキを作動させることはできない。これに対して、このブレーキシステムに機械式の緊急ブレーキを設ければ、イグニションスイッチ222がOFFに操作されるのと同時にPKB解除スイッチ156がONに操作された後にも、車両をパーキングすることが可能となる。機械式の緊急ブレーキには例えば、緊急ブレーキ操作部材(ペダルまたはレバー)により機械的に作動させられるドラムブレーキを採用可能である。
【0069】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、PKB操作装置154とPKB解除スイッチ156とブレーキECU220のうち図8のS51およびS65〜S74を実行する部分とが互いに共同して「パーキングブレーキ制御装置」を構成し、そのうちPKB解除スイッチ156とブレーキECU220のうち同図のS51,S66,S71〜S74を実行する部分が「実作動力変更装置」を構成しているのである。また、PKB解除スイッチ156が「パーキングブレーキ解除スイッチ」に相当し、ブレーキECU220のうち図8のS51,S65,S71〜S73を実行する部分が「第1モータ制御手段」を構成しているのである。
【0070】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。ただし、本実施形態は第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはブレーキ制御ルーチンとそれに関連する電気的構成であるため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0071】
第1実施形態においては、イグニションスイッチ222がONである状態でPKB操作装置154が操作された場合には、4輪すべてのブレーキ16がパーキングブレーキとして作動させられるようになっている。これに対して、本実施形態においては、4輪すべてのブレーキ16がパーキングブレーキとして作動する状態と、後2輪のブレーキ16のみがパーキングブレーキとして作動する状態とに運転者により切換え可能となっている。そのため、図9に示すように、PKB(パーキングブレーキ)切換スイッチ300が第1実施形態に対して追加されている。PKB切換スイッチ300は、4輪すべてのブレーキ16がパーキングブレーキとして作動する状態を実現する第1操作位置と、後2輪のブレーキ16のみがパーキングブレーキとして作動する状態を実現する第2操作位置とに切り換えられる。
【0072】
図10には、第1実施形態におけるS8を変形させたものがブレーキパッド加圧力演算ルーチンとしてフローチャートで表されている。本ルーチンにおいてはまず、S101において、PKB切換スイッチ300の現在の操作位置が第1操作位置であるか第2操作位置であるかが判定される。第1操作位置であると仮定すれば、S102において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、4輪のブレーキ16がすべてパーキングブレーキとして作動するように演算される。具体的には、右前輪FRのブレーキパッド加圧力Ffrの目標値は、
fr=Kf0・AP
なる式で、左前輪FLのブレーキパッド加圧力Fflの目標値は、
fl=Kf0・AP
なる式で、右後輪RRのブレーキパッド加圧力Frrの目標値は、
rr=Kr1・AP
なる式で、左後輪RLのブレーキパッド加圧力Frlの目標値は、
rl=Kr1・AP
なる式でそれぞれ演算される。それら式において「Kf0」は左右前輪用の係数、「Kr1」は左右後輪用の係数である。
【0073】
これに対して、PKB切換スイッチ300の現在の操作位置が第2操作位置であると仮定すれば、S103において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、後2輪のブレーキ16のみがパーキングブレーキとして作動するように演算される。具体的には、右前輪FRのブレーキパッド加圧力Ffrの目標値と左前輪FLのブレーキパッド加圧力Fflの目標値とは、共に0となるように演算され、また、右後輪RRのブレーキパッド加圧力Frrの目標値は、
rr=Kr2・AP
なる式で、左後輪RLのブレーキパッド加圧力Frlの目標値は、
rl=Kr2・AP
なる式でそれぞれ演算される。それら式において「Kr2」は左右後輪用の係数である。
【0074】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、PKB切換スイッチ300とブレーキECU220のうち図10のS101〜S103を実行する部分とが互いに共同して「組合せ変更装置」を構成しているのである。
【0075】
図11〜図13には、ブレーキパッド加圧力演算ルーチンの別の変形例が示されている。図10に示すブレーキパッド加圧力演算ルーチンにおいては、4輪のうちブレーキ16がパーキングブレーキとして作動させられるものが、4輪すべてであるモードと、後2輪のみであるモードとが手動で切り換えられるようになっているが、図11〜図13に示す3つの変形例においては、自動で切り換えられるようになっている。それら3つの変形例においては、イグニションスイッチ222がONである状態で行なわれるパーキングブレーキ操作は、運転者が車両をスピンターンさせようとして行なわれている可能性があることを考慮し、後2輪のブレーキ16を作動させることと共同して車両をスピンターンさせるのに必要なステアリング操作や、そのようなスピンターンが行なわれるときに一般的に実現される車両状態を検出し、それらが検出されたときに、後2輪のブレーキ16のみを作動させ、それにより、ステアリング操作と共同して後2輪の横すべりを誘発させる。
【0076】
具体的には、図11に示すブレーキパッド加圧力演算ルーチンにおいては、S121において、舵角センサ230により舵角δが検出されるとともに、その検出値が基準値K以上であるか否かが判定される。基準値K以上でなければ、判定がNOとなり、S122において、図10におけるS102と同様にしてブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、4輪のブレーキ16がパーキングブレーキとして作動するように演算される。これに対して、舵角δの検出値が基準値K以上であれば、S121の判定がYESとなり、S123において、図10におけるS103と同様にしてブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、後2輪のブレーキ16のみがパーキングブレーキとして作動するように演算される。
【0077】
すなわち、本変形例においては、舵角センサ230とブレーキECU220のうち図11のS121〜S123を実行する部分とが互いに共同して「組合せ変更装置」を構成しているのである。
【0078】
図12に示すブレーキパッド加圧力演算ルーチンにおいては、S141において、車両速度センサ224により車両速度Vが検出されるとともに、その検出値が基準値L以上であるか否かが判定される。基準値L以上でなければ、判定がNOとなり、S142において、図10におけるS102と同様にしてブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、4輪のブレーキ16がパーキングブレーキとして作動するように演算される。これに対して、車両速度Vの検出値が基準値L以上であれば、S141の判定がYESとなり、S143において、図10におけるS103と同様にしてブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、後2輪のブレーキ16のみがパーキングブレーキとして作動するように演算される。
【0079】
すなわち、本変形例においては、車両速度センサ224とブレーキECU220のうち図12のS141〜S143を実行する部分とが互いに共同して「組合せ変更装置」を構成しているのである。
【0080】
図13に示すブレーキパッド加圧力演算ルーチンにおいては、S161において、舵角センサ230により舵角δが検出され、続いて、S162において、その検出値の今回値から前回値を引き算した値を本ルーチンの実行周期で割り算することにより、舵角速度dδが演算される。その後、S163において、その演算された舵角速度dδが基準値M以上であるか否かが判定される。基準値M以上でなければ、判定がNOとなり、S164において、図10におけるS102と同様にしてブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、4輪のブレーキ16がパーキングブレーキとして作動するように演算される。これに対して、演算された舵角速度dδが基準値M以上であれば、S164の判定がYESとなり、S165において、図10におけるS103と同様にしてブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、後2輪のブレーキ16のみがパーキングブレーキとして作動するように演算される。
【0081】
すなわち、本変形例においては、舵角センサ234とブレーキECU220のうち図13のS161〜S165を実行する部分とが互いに共同して「組合せ変更装置」を構成しているのである。
【0082】
なお、図10〜図13に示すブレーキパッド加圧力演算ルーチンは、第2実施形態におけるブレーキ制御ルーチンのS58の変形例とすることもできる。
【0083】
次に、本発明の第4実施形態を説明する。ただし、本実施形態は第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはブレーキ制御ルーチンとそれに関連する電気的構成のみであるため、異なる要素についてのみ詳細に説明し、共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0084】
第1実施形態においては、イグニションスイッチ222がONからOFFに操作されたことに応じて、4輪のブレーキ16がパーキングブレーキとして作動させられるようになっており、この際、ブレーキパッド加圧力が一定値である設定値に維持されるようにモータ14が制御される。これに対して、本実施形態においては、ブレーキパッド加圧力が可変値である設定値に維持され、その設定値は、車両をパーキングする路面の傾斜角θR に応じて変化させられる。具体的には、図16にグラフで示すように、左右前輪用の設定値FFが左右後輪用の設定値FRより大きく、かつ、いずれの設定値FF,FRも路面の傾斜角θR が増加するにつれて増加するように変化させられる。このように設定値FF,FRを傾斜角θR に応じて変化させるため、図14に示すように、第1実施形態に対して傾斜角センサ320が追加されている。この傾斜角センサ320は例えば、車両に固定の上下軸線とその上下軸線を含む一平面内で回動可能に取り付けられたおもりとの成す角度として路面の傾斜角θR を検出するおもり式とすることができる。
【0085】
図15には、第1実施形態におけるS17を変形させたものがブレーキパッド加圧力演算ルーチンとしてフローチャートで表されている。本ルーチンにおいてはまず、S201において、傾斜角センサ320により路面傾斜角θR が検出される。次に、S202において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、路面傾斜角θR に応じて増加するように演算される。具体的には、右前輪FRのブレーキパッド加圧力Ffrの目標値と左前輪FLのブレーキパッド加圧力Fflの目標値は、
fr=FF(θR
fl=FF(θR
なる式で、右後輪RRのブレーキパッド加圧力Frrの目標値と左後輪RLのブレーキパッド加圧力Frlの目標値は、
rr=FR(θR
rl=FR(θR
なる式でそれぞれ演算される。それら式において「FF(θR )」は、左右前輪用の係数であって路面傾斜角θR を変数とした関数として表現されているものであり、「FR(θR )」は、左右後輪用の係数であって路面傾斜角θR を変数とした関数として表現されているものである。
【0086】
なお、この図に示すブレーキパッド加圧力演算ルーチンは、第2実施形態におけるブレーキ制御ルーチンのS67の変形例とすることもできる。
【0087】
次に、本発明の第5実施形態を説明する。ただし、本実施形態は第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはブレーキ制御ルーチンのみであるため、そのルーチンについてのみ詳細に説明し、他の共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0088】
第1実施形態においては、イグニションスイッチ222がONからOFFに操作されたことに応じて、4輪のブレーキ16がパーキングブレーキとして作動させられるようになっており、この際、ブレーキパッド加圧力が一定値である設定値に維持されるようにモータ14が制御される。これに対して、本実施形態においては、ブレーキパッド加圧力が可変値である設定値に維持され、その設定値は、車両が実際に停止状態に維持されるように、一定値である初期値から増加させられて決定される。ブレーキパッド加圧力が設定値としてのその初期値とされることにより、車両を実際に停止させることができなければ、停止させられるまで設定値が増加させられるのである。
【0089】
図17には、第1実施形態におけるS17を変形させたものがブレーキパッド加圧力演算ルーチンとしてフローチャートで表されている。
【0090】
本ルーチンにおいてはまず、S221において、右前輪FRと左前輪FLとのブレーキパッド加圧力Ffr,Fflの目標値はいずれも初期値FF0 (一定値)に、右後輪RRと左後輪RLとのブレーキパッド加圧力Frr,Frlの目標値はいずれも初期値FR0 (一定値)に演算される。次に、S222において、演算された各目標値が実現されるように各モータ14が制御される。その後、S223において、車両速度センサ224により車両速度Vが検出される。続いて、S224において、検出された車両速度Vに基づき、車両が実際に停止状態にあるか否かが判定される。例えば、検出された車両速度Vが0に近い基準値以下であれば、車両が実際に停止状態にあると判定され、基準値より大きければ、車両が実際に走行状態にあると判定される。今回は車両停止中であると仮定すれば、直ちに本ルーチンの一回の実行が終了する。これに対して、今回は車両停止中ではないと仮定すれば、S224判定がNOとなり、S225において、右前輪FRと左前輪FLとのブレーキパッド加圧力Ffr,Fflの目標値はいずれも増分ΔFF(一定値)だけ増加させられ、また、右後輪RRと左後輪RLとのブレーキパッド加圧力Frr,Frlの目標値はいずれも増分ΔFR(一定値)だけ増加させられる。その後、S222に戻る。
【0091】
S222〜S225の実行が繰り返されるうちに、車両が停止させられたためにS224の判定がYESとなれば、本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0092】
なお、この図に示すブレーキパッド加圧力演算ルーチンは、第2実施形態におけるブレーキ制御ルーチンのS67の変形例とすることもできる。
【0093】
次に、本発明の第6実施形態を説明する。ただし、本実施形態は第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはブレーキ制御ルーチンのみであるため、そのルーチンについてのみ詳細に説明し、他の共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0094】
第1実施形態においては、イグニションスイッチ222がONである状態でパーキングブレーキを解除するためにはPKB操作装置154の操作部172を図4において右に傾斜した操作位置から正立する非操作位置に回転操作することが必要である。そのため、図19に破線グラフで示すように、その解除操作の当初に、ブレーキパッド加圧力Fが、パーキングブレーキ操作量AP (操作部172の回転角)の減少に応じて減少する。一方、従来の機械式パーキングブレーキ装置を使用する場合には、パーキングブレーキが解除される際、パーキングブレーキ操作部材が自動復元機構によりスイッチとして機能する結果、ブレーキパッド加圧力Fが急に減少する。そこで、本実施形態においては、従来の機械式パーキングブレーキ装置と同等の操作フィーリングを達成するために、図において実線グラフで示すように、イグニションスイッチ222がOFFからONに操作された後最初にパーキングブレーキ操作量AP が基準値A0 に減少するときまで、すなわち、初回のパーキングブレーキ解除前は、ブレーキパッド加圧力Fがパーキングブレーキ操作量AP の変化に追従させられずに保持され、パーキングブレーキ操作量AP が基準値A0 に減少した後に、ブレーキパッド加圧力Fが急に0になるようにモータ14が制御される。このようにすることにより、パーキングブレーキ操作量AP を連続的に変化させるために操作されるPKB操作装置154が、運転者が初回のパーキングブレーキ解除を指令する前には、スイッチとして機能することになる。
【0095】
図18には、第1実施形態におけるS8を変形させたものがブレーキパッド加圧力演算ルーチンとしてフローチャートで表されている。
【0096】
本ルーチンにおいてはまず、S241において、イグニションスイッチ222がOFFからONにされた操作された後の初回のパーキングブレーキ解除前であるか否かが判定される。そうであれば判定がYESとなり、S242において、第1実施形態におけるS17と同様にして、左右前輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Fflの目標値は前記設定値FF、左右後輪のブレーキパッド加圧力Frr,Frlの目標値は前記設定値FRとそれぞれ等しくなるように演算される。これに対して、イグニションスイッチ222がOFFからONに操作された後の初回のパーキングブレーキ解除後である場合には、S241の判定がNOとなり、S243において、第1実施形態におけるS8と同様にして、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値がパーキングブレーキ操作量AP に応じた大きさとなるように演算される。
【0097】
なお、S242は、図15または図17におけるブレーキパッド加圧力演算ルーチンと同様に、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値を演算するものとすることができる。
【0098】
また、図18に示すブレーキパッド加圧力演算ルーチンは、第2実施形態におけるブレーキ制御ルーチンのS58の変形例とすることもできる。
【0099】
次に、本発明の第7実施形態を説明する。ただし、本実施形態は第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはブレーキ制御ルーチンのみであるため、そのルーチンについてのみ詳細に説明し、他の共通する要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0100】
第1実施形態においては、イグニションスイッチ222がONからOFFに操作された後には、運転者の意図に応じてブレーキパッド加圧力Fを変化させることができない。これに対して、本実施形態においては、イグニションスイッチ222がONからOFFに操作された時期から設定時間(例えば、3〜10分)の間は、PKB操作装置154を操作すればブレーキパッド加圧力Fを変化させることができる。運転者の意図に応じてPKB操作装置154によりブレーキパッド加圧力Fを変化させることができる最終時期が、イグニションスイッチ222がONからOFFに操作された時期より遅い時期とされているのであり、これにより、イグニションスイッチ222がONからOFFに操作された後にブレーキパッド加圧力Fを変化させることができない第1実施形態におけるより、パーキングブレーキの使い勝手が向上している。以下、運転者の意図に応じてPKB操作装置154によりブレーキパッド加圧力Fを変化させることができる最終時期を、イグニションスイッチ222がONからOFFに操作された時期より遅らせる制御を「ディレイ」という。
【0101】
図20には、本実施形態におけるブレーキ制御ルーチンがフローチャートで示されている。本ルーチンは、第1実施形態におけるブレーキ制御ルーチンにおけるS15〜S25と共通するステップを有するが、異なるステップも有する。以下、本ルーチンを説明するが、第1実施形態におけるブレーキ制御ルーチンと共通するステップについては同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略し、異なるステップについてのみ詳細に説明する。
【0102】
イグニションスイッチ222がOFFであれば、S1の判定がNOとなり、S301以下に移行する。S301においては、ディレイ終了フラグが1であるか否かが判定される。ディレイ終了フラグは、0でディレイが終了していないこと、すなわち、ディレイ中であることを示し、1でディレイが終了したことを示す。このディレイ終了フラグは、S1の判定が最後にYESからNOに変化したときに0とされる。
【0103】
今回はディレイ終了フラグが0であると仮定すれば、S301判定がNOとなり、S302において、パーキングブレーキ操作量AP がPKB操作装置154の回転角センサ198により操作部172の操作角として検出されるとともに、その検出値が基準値A0 以上であるか否かが判定される。実質的なパーキングブレーキ操作が行なわれているか否かが判定されるのである。
【0104】
今回は基準値A0 以上ではないと仮定すれば、判定がNOとなり、S303において、前記ブレーキ警告器250が作動させられる。イグニションスイッチ222のOFF時に一般的に行なわれるはずであるパーキングブレーキ操作が行なわれていないことを運転者に知らせるためである。その後、S304において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、パーキングブレーキ操作量AP に応じて増加するように演算される。今回はパーキングブレーキ操作量AP が基準値A0 より小さいと仮定されているため、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値はいずれも0とされる。その後、S305において、演算された目標値が実現されるように各モータ14が制御される。結局、今回はブレーキパッド加圧力Fの実際値が0とされ、それにより、ブレーキ16が解除される。
【0105】
これに対して、今回はパーキングブレーキ操作量AP が基準値A0 以上であると仮定すれば、S302の判定がYESとなり、S306において、ブレーキ警告器250に対してそれをOFFにするための信号が出力される。その後、S304において、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値が、パーキングブレーキ操作量AP に応じて増加するように演算される。今回はパーキングブレーキ操作量AP が基準値A0 以上であると仮定されているため、各輪のブレーキパッド加圧力Ffr,Ffl,Frr,Frlの目標値はいずれも0より大きい値とされる。その後、S305において、演算された目標値が実現されるように各モータ14が制御される。結局、今回はブレーキパッド加圧力Fの実際値が0でない値とされ、それにより、ブレーキ16が作動させられる。
【0106】
いずれの場合にも、その後、S307において、イグニションスイッチ222が最後にONからOFFに操作された時から設定時間が経過したか否かが判定される。ディレイを終了させるべき時期が到来したか否かが判定されるのである。今回は設定時間が経過していないと仮定すれば、判定がNOとなり、S308において、ディレイ終了フラグを0にするための信号が出力される。その後に本ルーチンが実行されれば、S301の判定がNOとなるため、上記の場合と同様にして、イグニションスイッチ222のOFF時でありながら、PKB操作装置154によりブレーキパッド加圧力Fを自由に変化させ得る。
【0107】
S1およびS301〜S308の実行が何回も繰り返されたため、イグニションスイッチ222が最後にONからOFFに操作された時から設定時間が経過した場合には、S307の判定がYESとなり、S309において、モータ14がOFFにされる。モータ14の静止保持トルクにより車両がパーキングされるのである。その後、S310において、ディレイ終了フラグが1とされる。その後に本ルーチンが実行されれば、S301の判定がYESとなり、直ちに本ルーチンの一回の実行が終了する。すなわち、ディレイ終了後には、本ルーチンの複数のステップのうちS1およびS301のみが実行され、それにより、ブレーキECU220による消費電力量が節減されるのである。
【0108】
なお、ディレイ終了フラグが1である状態で、ブレーキECU220がECU省エネモードにあり、0である状態で、そのECU省エネモードが解除されているため、このディレイ終了フラグはECU省エネモードの確立・解除を表すフラグであるということができる。
【0109】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、PKB操作装置154とブレーキECU220の図20のS304を実行する部分とが互いに共同して「手動式目標作動力設定装置」を構成し、ブレーキECU220のうち同図のS305を実行する部分が「第2モータ制御手段」を構成しているのである。また、ブレーキECU220のうち同図のS301およびS307〜S310を実行する部分が「電力供給阻止手段」を構成しているのである。
【0110】
なお、本実施形態においては、設定時間すなわちディレイ時間が一定値とされているが、運転者により変更可能な可変値とすることができる。
【0111】
次に、本発明の第8実施形態を説明する。ただし、本実施形態は第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのはブレーキペダル146の操作ストロークを検出する技術に関連する要素のみであるため、その要素について詳細に説明し、他の要素については同一の符号を使用することによって詳細な説明を省略する。
【0112】
図21には、ブレーキペダル146およびそれに関連する機械的構成が示されている。ブレーキペダル146は、それの基端部において車体に、車両左右方向に延びる一軸線のまわりに回動可能に取り付けられている。ブレーキペダル146の中間部は、クレビス338を介して、前記反力付与機構148の連動部材150の先端部に回動可能に連結されている。ブレーキペダル146は、リターンスプリング340によって常時、非操作位置に向かって付勢される一方、ストッパ342により、その非操作位置から図において反時計方向に回動することが阻止されている。ストッパ342は取付具344により車体に取り付けられている。取付具344は、ねじ機構等により、ストッパ342がブレーキペダル146に当接する位置をアジャストする機構を有する。前記ブレーキペダルスイッチ234は、ブレーキペダル146が非操作位置にあるか否かに応じて異なる信号を出力する。
【0113】
ブレーキペダル146の操作ストロークを検出するために、操作ストローク検出装置350がブレーキペダル146の回動軸線と同軸に取り付けられている。操作ストローク検出装置350は、ブレーキペダル146の回動角をブレーキペダル146の操作ストロークとして検出する。
【0114】
車両組立て時には、上記取付具344のアジャスト機構により、ブレーキペダル146の非操作位置が正規の位置となるように調整される。しかし、実際の非操作位置が正規の位置からずれている場合があり、この場合には、実際の非操作位置で操作ストローク検出装置350がゼロ点に一致しない。このような場合であるにもかかわらず、ブレーキECU220は、操作ストローク検出装置350のゼロ点が実際の非操作位置に一致することを前提としてブレーキパッド加圧力を制御するため、主ブレーキ操作時に運転者が違和感を抱くおそれがある。そこで、本実施形態においては、操作ストローク検出装置350のゼロ点調整が行なわれる。ブレーキペダル146の実際の非操作位置において、すなわち、ブレーキペダルスイッチ234がOFFからONに変化したときに、操作ストローク検出装置350により検出される操作ストロークが誤差値とされ、ブレーキペダル146の操作位置において、すなわち、ブレーキペダルスイッチ234がONであるときに、操作ストローク検出装置350により検出された操作ストロークがそのまま使用されるのではなく、誤差値が引き算されて使用される。
【0115】
操作ストローク検出装置350を操作ストロークセンサを1つのみ有するものとして構成した場合には、万一その操作ストロークセンサが故障してしまうと、操作ストロークを検出できず、ひいては、ブレーキパッド加圧力を制御できない。そこで、本実施形態においては、操作ストローク検出装置350が、図22に示すように、3つの操作ストロークセンサ、すなわち、第1センサ352と第2センサ354と第3センサ356とがブレーキペダル146の回動軸線と同軸に並んで配置された構成とされている。3つのセンサ352,354,356が同時に故障することはごく稀であり、また、それらのうちの2つが同時に故障することも稀であると考えられる。したがって、それら3つのセンサ352,354,356のうち少なくとも2つは同時に正常であると考えることができ、このように考えることができれば、それら3つのセンサ352,354,356から任意に2つを抽出して出力信号の差をとれば、差の絶対値が0である場合には、その差に対応する2つのセンサは共に正常であり、一方、差の絶対値が0でない場合には、その差に対応する2つのセンサの一方は故障し、他方は正常であると推定できる。そこで、本実施形態においては、それら3つのセンサ352,354,356から任意に2つを抽出して出力信号の差をとることが、差の絶対値が0であることが生じるまで続けられ、そして、差の絶対値が0となったならば、その差に対応する2つのセンサのいずれかの出力信号に基づいて操作ストロークが演算される。よって、本実施形態によれば、操作ストロークセンサの故障に起因して操作ストロークが検出不能となる事態を回避できる。なお、そのうよな操作検出技術は、3つの検出値に対して多数決理論を適用することにより、検出値が等しい2つのセンサは共に正常であるが、残りのセンサは異常であるとの判断に基づいて行われるものであると考えることもできる。
【0116】
図23には、本実施形態におけるブレーキECU220のROMに記憶されている操作ストローク検出ルーチンがフローチャートで表されている。
【0117】
本ルーチンにおいてはまず、S401において、ブレーキペダルスイッチ234がONであるか否かが判定される。OFFであると仮定すれば、判定がNOとなり、S402において、フラグFを0にするための信号が出力される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0118】
その後、ブレーキペダル146の操作が開始されてブレーキペダルスイッチ234がOFFからONに変化すれば、S401の判定がYESとなり、S403において、各センサ352,354,356の検出値(生値)SS 1,SS 2,SS 3が入力される。その後、S404において、フラグFが0であるか否かが判定される。今回は0であるため、判定がYESとなり、S405において、第1センサ352の検出値SS 1は第1センサ352の誤差値Se 1、第2センサ354の検出値SS 2は第2センサ354の誤差等Se 2、第3センサ356の検出値SS 3は第3センサ356の誤差等Se 3とされる。続いて、S406において、操作ストロークSF (最終値)の今回値が0とされる。その後、S407において、フラグFが1とされる。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0119】
その後、ブレーキペダル146が操作位置に維持されてブレーキペダルスイッチ234がONに維持されれば、S401の判定が再びYESとなり、S403において、各検出値SS 1,SS 2,SS 3が入力され、その後、S404において、フラグFが0であるか否かが判定されれば、今回は1であるため、判定がNOとなり、S408に移行する。
【0120】
S408においては、まず、検出値SS 1とSS 2との差の絶対値が0に近い判定値Δ以下であるか否かが判定され、その判定がYESであれば、検出値SS 1が選択される。その判定がNOであれば、検出値SS 2とSS 3との差の絶対値が判定値Δ以下であるか否かが判定され、その判定がYESであれば、検出値SS 2が選択される。その判定がNOであれば、検出値SS 3とSS 1との差の絶対値が判定値Δ以下であるか否かが判定され、その判定がYESであれば、検出値SS 3が選択される。
【0121】
その後、S409において、操作ストロークSF の今回値が、検出値SS 1〜SS 3から選択されたものSS*から、誤差値、すなわち、誤差値Se 1〜Se 3のうち、選択された検出値SS*に対応するものが引き算されることにより、演算される。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0122】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施することができるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1実施形態である電動式パーキングブレーキ装置を含むブレーキシステムを示す系統図である。
【図2】図1における電動式ディスクブレーキを示す側面断面図である。
【図3】図1におけるPKB操作装置が車両に取り付けられている位置を説明するための正面図である。
【図4】そのPKB操作装置を示す正面図である。
【図5】そのPKB操作装置を示す側面図である。
【図6】そのPKB操作装置の要部を拡大して示す部分断面正面図である。
【図7】図1におけるブレーキECUのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態である電動式パーキングブレーキ装置を含むブレーキシステムにおけるブレーキECUのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態である電動式パーキングブレーキ装置を含むブレーキシステムを示す系統図である。
【図10】図9におけるブレーキECUのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチンのうちブレーキパッド加圧力を演算するステップをブレーキパッド加圧力演算ルーチンとして示すフローチャートである。
【図11】そのブレーキパッド加圧力演算ルーチンの一変形例を示すフローチャートである。
【図12】上記ブレーキパッド加圧力演算ルーチンの別の変形例を示すフローチャートである。
【図13】前記ブレーキパッド加圧力演算ルーチンのさらに別の変形例を示すフローチャートである。
【図14】本発明の第4実施形態である電動式パーキングブレーキ装置を含むブレーキシステムを示す系統図である。
【図15】図14におけるブレーキECUのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチンのうちブレーキパッド加圧力を演算するステップをブレーキパッド加圧力演算ルーチンとして示すフローチャートである。
【図16】そのブレーキパッド加圧力演算ルーチンの内容を説明するためのグラフである。
【図17】本発明の第5実施形態である電動式パーキングブレーキ装置を含むブレーキシステムにおけるブレーキECUのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチンのうちブレーキパッド加圧力を演算するステップをブレーキパッド加圧力演算ルーチンとして示すフローチャートである。
【図18】本発明の第6実施形態である電動式パーキングブレーキ装置を含むブレーキシステムにおけるブレーキECUのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチンのうちブレーキパッド加圧力を演算するステップをブレーキパッド加圧力演算ルーチンとして示すフローチャートである。
【図19】そのブレーキパッド加圧力演算ルーチンの内容を説明するためのタイムチャートである。
【図20】本発明の第7実施形態である電動式パーキングブレーキ装置を含むブレーキシステムにおけるブレーキECUのROMに記憶されているブレーキ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図21】本発明の第8実施形態である電動式パーキングブレーキ装置を含むブレーキシステムにおけるブレーキペダルとその周辺の構成要素とを示す側面図である。
【図22】そのブレーキペダルと操作ストローク検出装置とを示す正面図である。
【図23】上記第8実施形態におけるブレーキECUのROMに記憶されている操作ストローク検出ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
14 超音波モータ
16 電動式ディスクブレーキ
154 PKB操作装置
156 PKB解除スイッチ
220 ブレーキECU
222 イグニションスイッチ
234 ブレーキペダルスイッチ
236 操作ストロークセンサ
300 PKB切換スイッチ
320 傾斜角センサ
350 操作ストローク検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪を備えた車両に設けられ、(i)それら複数の車輪にそれぞれ設けられた複数のパーキングブレーキと、(ii)それら複数のパーキングブレーキをそれぞれ作動させる複数の電動モータと、(iii)それら複数の電動モータの各々に電力を供給して各電動モータに対応する前記パーキングブレーキを作動させることにより、前記車両をパーキングするパーキングブレーキ制御装置とを含む電動式パーキングブレーキ装置において、
前記パーキングブレーキ制御装置に、前記複数のパーキングブレーキのうち実質的に同じ時期に作動させるものの組み合わせを変更する組合せ変更装置を設けたことを特徴とする電動式パーキングブレーキ装置。
【請求項2】
前記組合せ変更装置が、(a) 前記組合せを変更するために人間により操作される組合せ変更操作部材と、(b) その組合せ変更操作部材の操作に基づいて前記組合せを変更する手動操作対応変更手段とを含む請求項1に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
【請求項3】
前記組合せ変更装置が、(c) 前記車両の操舵角,操舵角変化速度,車両速度等、車両の運動状態を表す車両運動状態量を検出する車両運動状態量センサと、(d) その車両運動状態量センサの検出値に基づいて前記組合せを変更する自動変更手段とを含む請求項1または2に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
【請求項4】
前記複数の車輪が、前記車両の前後左右にそれぞれ設けられており、前記組合せが、すべての車輪から成る第1の組合せと、左右の後輪から成る第2の組合せとを含む請求項1ないし3のいずれかに記載の電動式パーキングブレーキ装置。
【請求項5】
前記組合せ変更装置が、運転者が前記車両をスピンターンさせることを希望する可能性がある場合に、前記第2の組合せを選択し、そうでない場合に、前記第1の組合せを選択する組合せ選択手段を含む請求項4に記載の電動式パーキングブレーキ装置。
【請求項6】
前記組合せ選択手段が、前記車両の操舵角の絶対値が基準値を超えることと、操舵角速度の絶対値が基準値を超えることと、車両速度が基準値より低いこととの少なくとも一つが成立した場合に、運転者が前記車両をスピンターンさせることを希望する可能性があると判定する判定手段を含む請求項5に記載の電動式パーキングブレーキ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate


【公開番号】特開2006−213323(P2006−213323A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135172(P2006−135172)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【分割の表示】特願平10−78730の分割
【原出願日】平成10年3月26日(1998.3.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】