説明

電動式直動アクチュエータおよび電動式ブレーキ装置

【課題】電動式直動アクチュエータを組み込んだ電動式ブレーキ装置で、所望の制動力が精度よく得られるようにすることである。
【解決手段】電動モータ2から回転を伝達される回転軸4の回転運動を出力部材としての外輪部材5の直線運動に変換する運動変換機構の内部に、被駆動物を直線駆動する外輪部材5の押圧力を検出する荷重センサ30を設けることにより、電動式ブレーキ装置に使用されるときにブレーキ装置の被駆動物による制動力を直接検知できるようにし、所望の制動力が精度よく得られるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータの回転運動を直線運動に変換して被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータと、電動式直動アクチュエータを用いてブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動式ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動モータの回転運動を直線運動に変換して被駆動物を直線駆動する電動式直動アクチュエータには、電動モータのロータ軸またはロータ軸から回転を伝達される回転部材の回転運動を、滑りねじ機構、ボールねじ機構、ボールランプ機構等の運動変換機構によって、被駆動物を直線駆動する出力部材の直線運動に変換するものがある。これらの電動式直動アクチュエータは、小容量の電動モータで大きな直線駆動力が得られるように、遊星歯車減速機構等の歯車減速機構を組み込んだものが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
本発明者らは、別途の減速機構を組み込むことなく大きな直線駆動力を確保でき、直動ストロークが比較的小さい電動式ブレーキ装置にも好適な電動式直動アクチュエータとして、電動モータのロータ軸またはロータ軸から回転を伝達される回転軸のいずれかの回転軸部材と、回転軸部材の外径側でハウジングの内径面に内嵌された外輪部材との間に、キャリヤに回転自在に支持された複数の遊星ローラを介在させて、これらの遊星ローラが回転軸部材の回転に伴ってその周りを自転しながら公転するようにし、外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、遊星ローラの外径面に、螺旋凸条と同一ピッチで螺旋凸条が嵌まり込む周方向溝、または螺旋凸条と同一ピッチでリード角が異なり螺旋凸条が嵌まり込む螺旋溝を設けて、外輪部材とキャリヤとが回転の軸線方向へ相対移動するようにし、回転軸部材の回転運動をキャリヤの直線運動に変換して、キャリヤを被駆動物を直線駆動する出力部材とした機構を先に開発している(例えば、特許文献2、3参照)。また、外輪部材を被駆動物を直線駆動する出力部材とした機構も提案している(特願2008−260547)。
【0004】
一方、車両用ブレーキ装置としては油圧式のものが多く採用されてきたが、近年、ABS(Antilock Brake System)等の高度なブレーキ制御の導入に伴い、これらの制御を複雑な油圧回路なしに行うことができる電動式ブレーキ装置が注目されている。電動式ブレーキ装置は、ブレーキペダルの踏み込み信号等で電動モータを作動させ、上述したような電動式直動アクチュエータをキャリパボディに組み込んでブレーキ部材を被制動部材に押圧するものである(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
従来、このような電動式直動アクチュエータを組み込んだ電動式ブレーキ装置では、制動力を制御する手段として、電動モータの電流値でモータトルクを検知し、必要な制動力に対して予め設定された電流を電動モータに通電する方法や、電動モータの回転位置を検知し、必要な制動力に対して予め設定された回転量だけ電動モータを回転させる方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−327190号公報
【特許文献2】特開2007−32717号公報
【特許文献3】特開2007−37305号公報
【特許文献4】特開2003−343620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した予め設定された電流値や回転量を電動モータに与えて必要な制動力を発生させる従来の電動式ブレーキ装置は、電動式直動アクチュエータの部品の精度誤差や運動変換機構におけるすべり等によって、直線運動する出力部材の移動量に誤差が生じ、所望の制動力が得られない問題がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、電動式直動アクチュエータを組み込んだ電動式ブレーキ装置で、所望の制動力が精度よく得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、電動モータのロータ軸またはロータ軸から回転を伝達される回転部材の回転運動を、被駆動物を直線駆動する出力部材の直線運動に変換する運動変換機構を備え、前記出力部材の前面側で被駆動物を押圧する電動式直動アクチュエータにおいて、前記運動変換機構の内部に、前記被駆動物を直線駆動する出力部材の押圧力を検出する荷重センサを設けた構成を採用した。
【0010】
すなわち、運動変換機構の内部に、被駆動物を直線駆動する出力部材の押圧力を検出する荷重センサを設けることにより、電動式ブレーキ装置に使用されるときにブレーキ装置の被駆動物による制動力を直接検知できるようにし、所望の制動力が精度よく得られるようにした。
【0011】
前記荷重センサを断熱材で保護することにより、環境温度の上昇に伴う熱影響による荷重センサの故障や検出精度の低下を防止することができる。
【0012】
前記断熱材を、前記荷重センサが前記運動変換機構の部品と接触する部位に介在させることにより、接触する部品からの熱伝導による温度上昇を抑制することができる。この断熱材としては、耐熱性を有し、熱伝導率が低いセラミックスや樹脂等を用いることができる。
【0013】
前記荷重センサとしては、ロードセル、圧電センサ、半導体荷重センサまたは磁わい式荷重センサのいずれかを用いることができる。圧電センサは圧電素子を組み込んだもの、半導体荷重センサは半導体ひずみゲージを組み込んだもの、磁わい式荷重センサは、透磁率の高い弾性体に荷重を加えると、応力で透磁性が変化する原理を利用したものである。
【0014】
前記運動変換機構を、前記ロータ軸またはロータ軸から回転を伝達される前記回転部材としての回転軸のいずれかの回転軸部材と、この回転軸部材の外径側でハウジングの内径面に内嵌された外輪部材との間に、キャリヤに回転自在に支持された複数の遊星ローラを介在させて、これらの遊星ローラが前記回転軸部材の回転に伴ってその周りを自転しながら公転するようにし、前記外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、前記遊星ローラの外径面に、螺旋凸条と同一ピッチで螺旋凸条が嵌まり込む周方向溝、または螺旋凸条と同一ピッチでリード角が異なり螺旋凸条が嵌まり込む螺旋溝を設けて、前記外輪部材と前記キャリヤとを軸方向に相対移動させ、前記回転軸部材の回転運動を、前記被駆動物を直線駆動する出力部材としての前記外輪部材または前記キャリヤの直線運動に変換するものとすることにより、別途の減速機構を組み込むことなく大きな直線駆動力を確保することができる。
【0015】
前記キャリヤの軸方向への移動を規制し、前記外輪部材を回り止めして前記ハウジングにスライド可能に内嵌し、前記外輪部材を被駆動物を直線駆動する出力部材とすることにより、出力部材としての外輪部材をハウジングの内径面で軸方向に長い寸法で案内可能とし、出力部材に横向きのモーメントが作用しても、出力部材の直線運動をスムーズに案内することができる。
【0016】
前記荷重センサを、前記出力部材としての外輪部材が被駆動物を押圧する前面側と反対側の後面側に配置することにより、荷重センサが配置される環境温度を低くすることができる。
【0017】
前記荷重センサは、前記外輪部材の押圧力の反力を受ける前記キャリヤの後面側を軸方向に支持するスラスト軸受と、このスラスト軸受の後面側を支持するバックアップ部材との間に配置することができる。
【0018】
前記荷重センサは、前記外輪部材の押圧力の反力を受ける前記キャリヤの後面側をスラスト軸受を介して支持するバックアップ部材と、このバックアップ部材の後面側への移動を規制するストッパとの間に配置することもできる。
【0019】
また、本発明は、電動モータの回転運動を出力部材の直線運動に変換してブレーキ部材を直線駆動する電動式直動アクチュエータを備え、前記直線駆動されるブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動式ブレーキ装置において、前記電動式直動アクチュエータに上述したいずれかの電動式直動アクチュエータを用いた構成を採用することにより、ブレーキの制動力を直接検知できるようにし、所望の制動力が精度よく得られるようにした。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電動式直動アクチュエータは、運動変換機構の内部に、被駆動物を直線駆動する出力部材の押圧力を検出する荷重センサを設けたので、電動式ブレーキ装置に使用されるときにブレーキ装置の被駆動物による制動力を直接検知して、所望の制動力が精度よく得られるようにすることができる。
【0021】
また、本発明の電動式ブレーキ装置は、電動式直動アクチュエータに上述したいずれかの電動式直動アクチュエータを用いたので、所望の制動力を精度よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電動式直動アクチュエータの実施形態を示す縦断面図
【図2】図1のII−II線に沿った断面図
【図3】図1のIII−III線に沿った断面図
【図4】(a)、(b)は、それぞれ図1の外輪部材の螺旋凸条と遊星ローラの螺旋溝を示す正面図
【図5】(a)は図1のロードセルの配置状態を拡大して示す断面図、(b)は(a)のロードセルの配置状態の変形例を示す断面図
【図6】図1の電動式直動アクチュエータを採用した電動式ブレーキ装置を示す縦断面図
【図7】図6の電動式ブレーキ装置に温度測定試験用のダミーディスクを組み込んだ状態を示す縦断面図
【図8】図7の状態で行った温度測定試験の結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この電動式直動アクチュエータは、図1乃至図3に示すように、ハウジング1の円筒部1aの一端側に片側へ張り出すフランジ1bが設けられ、このフランジ1bに電動モータ2が円筒部1aと平行に取り付けられている。電動モータ2のロータ軸2aの回転は、歯車3a、3b、3cによって円筒部1aの中心に配設された回転軸4に伝達され、円筒部1aの内径面に内嵌された外輪部材5と回転軸4との間に介在する4個の遊星ローラ6が、キャリヤ7に回転自在に支持されて、回転軸4の回転に伴ってその周りを自転しながら公転し、後述する外輪部材5の螺旋凸条5aと遊星ローラ6の螺旋溝6aとの係合によって、遊星ローラ6を支持するキャリヤ7と外輪部材5とが軸線方向へ相対移動する運動変換機構を備えている。この実施形態では、キャリヤ7の軸方向移動が規制され、直線運動する外輪部材5が出力部材として被駆動物を直線駆動し、その前面側で被駆動物を押圧するようになっている。
【0024】
前記ハウジング1のフランジ1bを設けた側には蓋8が取り付けられ、蓋8で覆われた空間に、歯車3a、3b、3cが軸方向同一断面内で噛み合うように配設されている。また、歯車3aはロータ軸2aに、歯車3cは回転軸4に取り付けられ、これらと噛み合う中間歯車3bは、フランジ1bと蓋8に差し渡された軸ピン9に玉軸受10で支持されている。
【0025】
前記回転軸4にロータ軸2aからの回転を伝達する歯車3cと、回転軸4に転接する遊星ローラ6との間には、回転軸4を支持するための軸受固定部材11が、ハウジング1の円筒部1aの内径面に止め輪12で固定されている。軸受固定部材11は、円筒部1aの内径面に固定された円環部11aと、その内径側で遊星ローラ6側へ張り出す円筒部11bとからなり、円環部11aと円筒部11bの内径面に、回転軸4を回転自在に支持する2つのアンギュラ玉軸受13a、13bが、互いに背面を向けるように軸方向で離間されて取り付けられている。
【0026】
前記キャリヤ7は、回転軸4にそれぞれすべり軸受14a、14bでスライド可能かつ相対回転可能に外嵌されたキャリヤ本体7aおよび支持板7bと、離間したキャリヤ本体7aと支持板7bに両端部を支持され、遊星ローラ6を回転自在に支持する支持ピン7cと、支持板7bをキャリヤ本体7aに位相合わせして連結する複数の連結棒7dとからなり、各連結棒7dの両端部はボルト7eでキャリヤ本体7aと支持板7bに連結されている。各支持ピン7cは、その両端側をキャリヤ本体7aと支持板7bとに設けられた半径方向の長孔15に、円周方向への移動を規制され、半径方向への移動を許容されて取り付けられている。
【0027】
前記各支持ピン7cの両端部の外径面には溝16が設けられ、円周方向の一部を切り欠いたばね鋼で形成された縮径リングばね17が、各溝16に嵌め込まれて、各支持ピン7cを包絡するように巻回されて装着されている。したがって、各支持ピン7cに回転自在に支持された各遊星ローラ6が回転軸4の外径面に押圧付勢され、回転軸4の回転トルクが安定して各遊星ローラ6に伝達される。
【0028】
前記各遊星ローラ6は、内径面に装着された針状ころ軸受18でキャリヤ7の支持ピン7cに回転自在に支持され、その自転をスラストころ軸受19でキャリヤ本体7aに支持されている。また、隣接する各遊星ローラ6間には、両側の遊星ローラ6の外径面に摺接してグリースを塗布する扇形状の潤滑剤塗布部材20が、キャリヤ7の連結棒7dと外輪部材5の内径面との間に保持されている。
【0029】
前記キャリヤ7のキャリヤ本体7aは、サポート部材7fを介してスラストころ軸受21で、バックアップ部材としての軸受固定部材11の円環部11aに回転自在に支持されている。また、遊星ローラ6に対して反対側の支持板7bは、すべり軸受22を介して止め輪23で回転軸4に抜け止めされており、キャリヤ7の軸方向への移動が規制されている。
【0030】
前記出力部材としての外輪部材5は、ハウジング1の円筒部1aにスライド可能に内嵌され、被駆動物に連結されて回り止めするキー溝24が前端面に設けられている。また、外輪部材5の外径側は、円筒部1aとの間を環状のシール部材25でシールされ、外輪部材5の内径側は、キャリヤ7の支持板7bに内嵌された回転軸4の端を覆うように、膜状のシール部材26でシールされている。
【0031】
図4(a)、(b)に示すように、前記外輪部材5の内径面には2条の螺旋凸条5aが設けられ、遊星ローラ6の外径面には、螺旋凸条5aが嵌まり込み、螺旋凸条5aと同一ピッチでリード角の異なる1条の螺旋溝6aが設けられている。これらの螺旋凸条5aと螺旋溝6aの係合によって、回転軸4の周りを自転しながら公転する遊星ローラ6が、螺旋凸条5aと螺旋溝6aとのリード角の差で、外輪部材5と軸方向へ相対移動する。なお、外輪部材5の螺旋凸条5aを2条の多条螺旋としたのは、遊星ローラ6の螺旋溝6aとのリード角の差の設定自由度を大きくするためであり、螺旋凸条5aは1条のものとしてもよい。また、遊星ローラ6の螺旋溝6aは、螺旋凸条5aと同一ピッチの周方向溝とすることもできる。
【0032】
図5(a)に示すように、前記キャリヤ7の後面側のサポート部材7fを軸方向に支持するスラストころ軸受21と、その後面側を支持するバックアップ部材としての軸受固定部材11との間には、出力部材としての外輪部材5が被駆動物を押圧する押圧力を検出する荷重センサとしてのロードセル30が配置されている。ロードセル30は両側のスラストころ軸受21と軸受固定部材11との間に断熱部材31を介在させて配置されている。したがって、後述する電動式ブレーキ装置に組み込まれたときに、被駆動部材としてのブレーキパッド53がディスクロータ52を押圧する力を直接検知して、所望の制動力を精度よく得ることができる。
【0033】
図5(b)は、前記ロードセル30の配置状態の変形例を示す。この変形例では、ロードセル30がバックアップ部材としての軸受固定部材11と、この軸受固定部材11の後面側への移動を規制するストッパとしての止め輪12との間に、それぞれ断熱部材31を介在させて配置されている。
【0034】
図6は、上述した電動式直動アクチュエータを採用した電動式ブレーキ装置を示す。この電動式ブレーキ装置は、キャリパボディ51の内部で被制動部材としてのディスクロータ52の両側に、ブレーキ部材としてのブレーキパッド53を対向配置したディスクブレーキであり、キャリパボディ51に電動式直動アクチュエータのハウジング1が固定され、出力部材としての外輪部材5が前方へ直線運動するときに、被駆動物としてのブレーキパッド53をディスクロータ52に押圧するように直線駆動する。なお、この図では、電動式直動アクチュエータが図1で示した断面と直交する断面で示されている。
【0035】
図7に示すように、図6に示した電動式ブレーキ装置のキャリパボディ51に、ヒータ54を組み込んだダミーディスク55を取り付け、ダミーディスク55をヒータ54で昇温したときの各部での温度の推移を測定する温度測定試験を行った。温度測定は、図7中のA点(ダミーディスク54の表面)、B点(キャリパボディ51)、C点(外輪部材5の前端面)、D点(キャリヤ7の支持板7bの後面)、E点(軸受固定部材11の後面)の5箇所で行い、ダミーディスク55を300℃まで昇温して、1時間保持した。
【0036】
図8は、上記温度測定試験の結果を示す。ダミーディスク55の温度上昇に伴って、キャリパボディ51のB点は急速に温度上昇し、短時間で200℃を越えている。これに対して、運動変換機構のC〜Eの3点における温度上昇は比較的緩やかで、1時間経過しても200℃には達していない。特に、ダミーディスク55から最も離れた後面側の軸受固定部材11のE点は、温度上昇が最も少なく、1時間経過しても150℃程度である。したがって、図5(a)、(b)に示したロードセル30の配置位置では、断熱部材31を介在させることにより、ロードセル30を熱影響から十分に保護することができる。
【0037】
上述した実施形態では、荷重センサをロードセルとしたが、荷重センサは圧電センサ、半導体荷重センサ、磁わい式荷重センサ等とすることもできる。また、荷重センサの配置位置は、実施形態と変形例の箇所に限定されることはなく、運動変換機構の内部の他の箇所に配置することもできる。
【0038】
上述した実施形態では、電動モータの回転運動を直線運動に変換する運動変換機構を、電動モータから回転を伝達される回転軸と外輪部材との間に遊星ローラを介在させ、回転軸の回転運動を外輪部材の直線運動に変換するものとしたが、キャリヤの直線運動に変換するものとすることもでき、運動変換機構は、滑りねじ機構、ボールねじ機構、ボールランプ機構等を用いたものとすることもできる。
【0039】
上述した実施形態では、外輪部材の内径面の螺旋凸条を一体に形成したが、外輪部材の内径面に螺旋溝を設け、この螺旋溝に嵌め込まれた別体の条部材で螺旋凸条を形成することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1 ハウジング
1a 円筒部
1b フランジ
2 電動モータ
2a ロータ軸
3a、3b、3c 歯車
4 回転軸
5 外輪部材
5a 螺旋凸条
6 遊星ローラ
6a 螺旋溝
7 キャリヤ
7a キャリヤ本体
7b 支持板
7c 支持ピン
7d 連結棒
7e ボルト
7f サポート部材
8 蓋
9 軸ピン
10 玉軸受
11 軸受固定部材
11a 円環部
11b 円筒部
12 止め輪
13a、13b アンギュラ玉軸受
14a、14b すべり軸受
15 長孔
16 溝
17 縮径リングばね
18 針状ころ軸受
19 スラストころ軸受
20 潤滑剤塗布部材
21 スラストころ軸受
22 すべり軸受
23 止め輪
24 キー溝
25、26 シール部材
30 ロードセル
31 断熱部材
51 キャリパボディ
52 ディスクロータ
53 ブレーキパッド
54 ヒータ
55 ダミーディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータのロータ軸またはロータ軸から回転を伝達される回転部材の回転運動を、被駆動物を直線駆動する出力部材の直線運動に変換する運動変換機構を備え、前記出力部材の前面側で被駆動物を押圧する電動式直動アクチュエータにおいて、前記運動変換機構の内部に、前記被駆動物を直線駆動する出力部材の押圧力を検出する荷重センサを設けたことを特徴とする電動式直動アクチュエータ。
【請求項2】
前記荷重センサを断熱材で保護した請求項1に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項3】
前記断熱材を、前記荷重センサが前記運動変換機構の部品と接触する部位に介在させた請求項2に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項4】
前記荷重センサを、ロードセル、圧電センサ、半導体荷重センサまたは磁わい式荷重センサのいずれかとした請求項1乃至3のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項5】
前記運動変換機構を、前記ロータ軸またはロータ軸から回転を伝達される前記回転部材としての回転軸のいずれかの回転軸部材と、この回転軸部材の外径側でハウジングの内径面に内嵌された外輪部材との間に、キャリヤに回転自在に支持された複数の遊星ローラを介在させて、これらの遊星ローラが前記回転軸部材の回転に伴ってその周りを自転しながら公転するようにし、前記外輪部材の内径面に螺旋凸条を設け、前記遊星ローラの外径面に、螺旋凸条と同一ピッチで螺旋凸条が嵌まり込む周方向溝、または螺旋凸条と同一ピッチでリード角が異なり螺旋凸条が嵌まり込む螺旋溝を設けて、前記外輪部材と前記キャリヤとを軸方向に相対移動させ、前記回転軸部材の回転運動を、前記被駆動物を直線駆動する出力部材としての前記外輪部材または前記キャリヤの直線運動に変換するものとした請求項1乃至4のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項6】
前記キャリヤの軸方向への移動を規制し、前記外輪部材を回り止めして前記ハウジングにスライド可能に内嵌し、前記外輪部材を被駆動物を直線駆動する出力部材とした請求項5に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項7】
前記荷重センサを、前記出力部材としての外輪部材が被駆動物を押圧する前面側と反対側の後面側に配置した請求項6に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項8】
前記荷重センサを、前記外輪部材の押圧力の反力を受ける前記キャリヤの後面側を軸方向に支持するスラスト軸受と、このスラスト軸受の後面側を支持するバックアップ部材との間に配置した請求項7に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項9】
前記荷重センサを、前記外輪部材の押圧力の反力を受ける前記キャリヤの後面側をスラスト軸受を介して支持するバックアップ部材と、このバックアップ部材の後面側への移動を規制するストッパとの間に配置した請求項7に記載の電動式直動アクチュエータ。
【請求項10】
電動モータの回転運動を出力部材の直線運動に変換してブレーキ部材を直線駆動する電動式直動アクチュエータを備え、前記直線駆動されるブレーキ部材を被制動部材に押圧する電動式ブレーキ装置において、前記電動式直動アクチュエータに請求項1乃至9のいずれかに記載の電動式直動アクチュエータを用いたことを特徴とする電動式ブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−241851(P2011−241851A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111966(P2010−111966)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】