説明

電動車両のバッテリ充電制御装置

【課題】バッテリ充電のために立ち寄る外部充電拠点の予測精度を高める。
【解決手段】複数の充電拠点が存在する場合、発電による充電が不要でEV走行により到達可能な充電拠点に向かおうとする。一方、バッテリエネルギー残量が多い状態では充電拠点で充電することはなく、第2のバッテリエネルギー設定値円内にある充電拠点で充電することはない。よって、(a)の位置では充電拠点A,B,Cの何れも充電予定地点として選択せず、(b)の位置になると、拠点Aが第1および第2のバッテリエネルギー設定値円間に入ることから、この拠点Aを充電予定地点として選択する。以後は、この拠点Aを用いて目標SOCの設定を行い、この目標SOCに基づくEV走行が開始される。(c)の位置になると、第1および第2のバッテリエネルギー設定値円間における充電予定地点の判定エリアが、拠点Aと接しながら縮小する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用動力源として車載バッテリからの電力で駆動される電動モータを搭載した電気自動車は勿論のこと、電動モータおよび内燃機関の双方を搭載したハイブリッド車両を含む電動車両に関し、特に、電動モータ用のバッテリを車外電源装置により充電可能にした電動車両のバッテリ充電制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車外に設けられた電源装置によってバッテリを充電可能な電動車両のバッテリ充電制御装置としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが提案されている。
このバッテリ充電制御装置は、車外電源装置によりバッテリを充電可能にしたハイブリッド車両において、自車の現在位置(自車位置)から自宅などの予め定められた充電拠点までの走行距離が短いほど、車載バッテリの充電を開始すべき蓄電率(SOC:State of charge)の下限値を低く設定する技術が開示されている。
【0003】
かかる車外電源装置によるバッテリ充電が可能なハイブリッド車両のバッテリ充電制御装置によれば、任意の経路を、任意の走行パターンで走行しても、自宅などの充電拠点に戻った時にバッテリ蓄電率が、低い状態となっている可能性が高い。
このため、バッテリへの充電に経済性(エネルギーコスト)や環境(水力・原子力発電など)に優れた家庭用電源による充電を多用でき、その分だけ内燃機関への依存度を低減して、燃費向上や環境保護への高い貢献度を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−099223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし従来のバッテリ充電制御装置においては、運転者が走行途中に存在する外部充電スタンドに立ち寄って充電しようとするとき、この充電が何らの制限もないまま行われることが考えられる。
【0006】
そのため、外部充電スタンドでバッテリを満充電にした場合、自宅などの充電拠点に帰着したときのバッテリ蓄電率が相当に高い可能性があり、その分だけ、低コストな充電拠点での充電を十分に活用できないといった問題が生じる。
【0007】
本発明は、抜本的な問題解決には、運転者がバッテリ充電のために立ち寄るであろう外部充電拠点の予測精度を高め、発電による充電制御に際して予測する外部充電拠点を、運転者がバッテリ充電のため実際に立ち寄る外部充電拠点に可能な限り一致させるのが最善策であるとの事実認識に基づき、この着想を具体化して上記の問題解決を実現したハイブリッド車両の発電によるバッテリ充電制御装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明による電動車両のバッテリ充電制御装置は、以下のごとくにこれを構成する。
先ず、本発明の前提となる電動車両を説明するに、これは、車載発電装置によって充電が可能で、外部充電拠点の電源装置によっても充電が可能なバッテリからの電力により走行可能な電動車両である。
【0009】
本発明のバッテリ充電制御装置は、かかる電動車両に対し、以下のような自車位置検出手段と、外部充電拠点登録手段と、バッテリエネルギー設定値演算手段と、外部充電拠点到達用走行エネルギー推定手段と、外部充電予定地点設定手段と、発電制御手段とを設けたものである。
【0010】
自車位置検出手段は、自車の現在位置を検出するもので、外部充電拠点登録手段は、使用可能な外部充電拠点を登録するためのものである。
バッテリエネルギー設定値演算手段は、バッテリのエネルギー残量よりも小さな第1のバッテリエネルギー設定値、および、この設定値よりも小さな第2のバッテリエネルギー設定値をそれぞれ求めるものである。
【0011】
外部充電拠点到達用走行エネルギー推定手段は、前記自車位置検出手段で検出した自車の現在位置から、前記充電拠点登録手段により登録された外部充電拠点に到達するまでの走行に必要な外部充電拠点到達用走行エネルギーを個々に推定するものである。
外部充電予定地点設定手段は、前記充電拠点登録手段で登録された外部充電拠点のうち、前記外部充電拠点到達用走行エネルギー推定手段で推定した外部充電拠点到達用走行エネルギーが、前記バッテリエネルギー設定値演算手段でそれぞれ求めた第1のバッテリエネルギー設定値および第2のバッテリエネルギー設定値間の値である外部充電拠点を、外部充電予定地点として設定するものである。
【0012】
発電制御手段は、外部充電予定地点設定手段で設定した外部充電予定地点に係わる前記外部充電拠点到達用走行エネルギーである外部充電予定地点到達用走行エネルギーに基づき、前記外部充電予定地点に到達したときのバッテリ蓄電率が必要最小限の目標値となるよう前記車載発電装置による充電を行わせるものである。
【発明の効果】
【0013】
かかる本発明のバッテリ充電制御装置によれば、登録済外部充電拠点のうち、外部充電拠点到達用走行エネルギーが第1のバッテリエネルギー設定値および第2のバッテリエネルギー設定値間の値である外部充電拠点を外部充電予定地点とし、この外部充電予定地点に係わる外部充電拠点到達用走行エネルギー(外部充電予定地点到達用走行エネルギー)に基づき、外部充電予定地点到達時のバッテリ蓄電率が必要最小限の目標値となるよう車載発電装置による充電を行わせるため、この充電制御に際して予測した外部充電予定地点を、運転者がバッテリ充電のため実際に立ち寄る外部充電拠点に良く一致させることができる。
【0014】
その理由を以下に説明する。
運転者、特にコスト意識や環境意識の高い運転者は、自車の周囲に複数の外部充電拠点が存在する場合、できるだけ車載発電装置による充電が不要でEV走行のみにより到達可能な外部充電拠点に向かおうとする。
このため、登録済外部充電拠点のうち、外部充電拠点到達用走行エネルギーが相対的に大きな第1のバッテリエネルギー設定値未満の値である外部充電拠点を外部充電予定地点としたことで、この外部充電予定地点を、運転者がバッテリ充電のため実際に立ち寄る外部充電拠点に良く一致させることができる。
【0015】
その反面、バッテリエネルギー残量が十分に多い状態では運転者が積極的に外部充電拠点で充電することはない。
このため、登録済外部充電拠点のうち、外部充電拠点到達用走行エネルギーが相対的に小さな第2のバッテリエネルギー設定値以上の値である外部充電拠点を外部充電予定地点とすることにより、外部充電拠点到達用走行エネルギーが第2のバッテリエネルギー設定値未満の値である外部充電拠点を外部充電予定地点としないようにしたことで、この外部充電予定地点を、運転者がバッテリ充電のため実際に立ち寄る外部充電拠点に良く一致させることができる。
【0016】
従って本発明によれば、充電制御に際し予測した外部充電予定地点を、運転者がバッテリ充電のため実際に立ち寄る外部充電拠点に良く一致させることができ、この外部充電予定地点に基づく充電制御時に、前記した問題、つまり外部充電予定地点が実際に充電する外部充電拠点と異なって、バッテリ残量不足による車両運転性の悪化に関した問題や、外部充電拠点での充電を多用できずに充電コスト高や環境負荷の増大を招くという問題が発生するのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例になるバッテリ充電制御装置を具えた、外部充電可能なシリーズ型ハイブリッド車両の駆動系(パワートレーン)を、その制御システムと共に示す概略系統図である。
【図2】図1における統合制御コントローラが実行するパワートレーン制御のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図3】図2におけるメインルーチン中の目標SOC設定処理に係わるサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】車速VSPおよびアクセル開度APOをパラメータとする車両の目標駆動力に係わる特性線図である。
【図5】第2のバッテリエネルギー設定値を算出するときに用いる算出係数の変化特性を示す線図である。
【図6】バッテリ蓄電率SOCに対する外部充電拠点検索範囲角αの変化特性を示す線図である。
【図7】目標SOCの変化特性を、EV走行中およびHEV走行中におけるバッテリ蓄電率SOCの変化状況と共に示す線図である。
【図8】自車位置と外部充電予定地との間における標高差に応じた目標SOC増減補正量の変化特性を示す線図である。
【図9】運転者が充電のために立ち寄るであろうと予測した外部充電拠点が実際の外部充電拠点と一致したした場合におけるバッテリ蓄電率SOCの変化状況を示す距離チャートである。
【図10】運転者が充電のために立ち寄るであろうと予測した外部充電拠点が実際の外部充電拠点と異なった場合におけるバッテリ蓄電率SOCの変化状況を示す、図9と同様な距離チャートである。
【図11】図3の目標SOC設定プログラムにおいて、外部充電予定地点候補1を設定するときの動作を示し、 (a)は、外部充電予定地点候補1の設定開始時における動作説明図、 (b)は、走行の進捗で登録充電拠点の1つが外部充電予定地点候補1となってEV走行が開始された時における走行位置での動作説明図、 (c)は、EV走行によりバッテリ蓄電率が低下した時における走行位置での動作説明図である。
【図12】第1のバッテリエネルギー設定値が、バッテリエネルギー残量から目標バッテリエネルギー残量を差し引いて得られた値に設定された場合における、EV走行時バッテリ蓄電率低下傾向を、第1のバッテリエネルギー設定値がバッテリエネルギー残量と同じ値に設定された場合における、EV走行時バッテリ蓄電率低下傾向と比較して示す線図である。
【図13】図3の目標SOC設定プログラムにおいて、外部充電予定地点候補2を設定するときの動作を示し、 (a)は、外部充電予定地点候補2の設定開始時における動作説明図、 (b)は、走行の進捗で登録充電拠点の1つが外部充電予定地点候補2となってEV走行が開始された時における走行位置での動作説明図、 (c)は、EV走行によりバッテリ蓄電率が低下した時における走行位置での動作説明図である。
【図14】図3の目標SOC設定プログラムにおいて、外部充電予定地点候補2に対し自車位置からの距離に応じた優先度を設定し、この距離が長い遠方位置における充電拠点の優先度を高くした場合におけるバッテリ蓄電率SOCの変化状況を、近い方における充電拠点の優先度を高くした場合におけるバッテリ蓄電率SOCの変化状況と比較して示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<駆動系の構成>
図1は、本発明の一実施例になるバッテリ充電制御装置を具えたハイブリッド車両の駆動系(パワートレーン)を、その制御システムと共に示すものである。
本実施例におけるハイブリッド車両は、エンジン1により発電モータ2を駆動して得られた電力により、車載電源であるバッテリ3への充電を行い、バッテリ3からの電力により電動モータ4を駆動し、該電動モータ4からの動力で終減速機5(ディファレンシャルギヤ装置を含む)を介し左右駆動輪6L,6Rを駆動することにより走行可能な、所謂シリーズ型ハイブリッド車両とする。
従ってエンジン1および発電モータ2は、本発明における車載発電装置を構成し、電動モータ4は、本発明における走行用動力源に相当する。
【0019】
なお本実施例では、エンジン1および発電モータ2として、効率性や経済性を高めるために、比較的低出力・高効率な小型のものを用い、電動モータ4として、運転性(ハイレスポンス等)を高めるために、比較的高出力な大型のものを用いるのが良い。
【0020】
ここで発電モータ2は、上記のごとくエンジン1により駆動されて発電機(ジェネレータ)の用をなすのみに非ず、バッテリ3からの電力で駆動されてエンジン1の始動用スタータモータの用をもなすものである。
また電動モータ4は、上記のごとく駆動車輪6L,6Rの駆動を司るのみに非ず、車両の減速時に駆動車輪6L,6Rの回転エネルギーを電力に変換してバッテリ3に向かわせる回生制動機能をも果たすものである。
【0021】
そしてバッテリ3の充電は、上記のごとくエンジン駆動される発電モータ2からの電力で当該充電を行うのみに非ず、外部充電拠点である家庭用電源7および充電スタンド(商業施設)8からの電力による充電によっても、当該充電を行い得るものとする。
従って本実施例におけるハイブリッド車両は、バッテリの外部充電が可能なシリーズ型ハイブリッド車両である。
【0022】
しかし本発明のバッテリ充電制御装置は、かかるシリーズ型ハイブリッド車両に用途を限られるものではなく、バッテリの外部充電が可能なハイブリッド車両であれば、パラレル型ハイブリッド車両や、複合型ハイブリッド車両などにも適用可能であることは言うまでもない。
【0023】
発電モータ2および電動モータ4はそれぞれ、高圧の三相交流モータとし、バッテリ3は、高圧の直流バッテリとする。
このため、発電モータ2およびバッテリ3間を、交流−直流変換器であるインバータ9により相互接続し、電動モータ4およびバッテリ3間を、交流−直流変換器であるインバータ10により相互接続する。
これらインバータ9,10は上記の交−直変換に際し、モータ2,4とバッテリ3との間における電力制御機能をも司るものである
【0024】
車外電源を用いた充電の電力源である家庭用電源7および充電スタンド8のうち、家庭用電源7は低圧であるのに対し、充電スタンド8の電源は高圧として急速充電が可能となるようにする。
これら家庭用電源7および充電スタンド8からの電力でバッテリ3を充電可能にするため、バッテリ3に接続して充電器11を設け、この充電器11に、家庭用電源7に差し込むためのプラグ11a、および、充電スタンド8の電源に差し込むためのプラグ11bを設ける。
【0025】
<制御系の構成>
次に、上記した駆動系(パワートレーン)の制御を司る車載コントローラを説明する。
この車載コントローラはマイクロコンピュータを可とし、モータ/ジェネレータコントローラ20と、エンジンコントローラ21と、バッテリコントローラ22と、ナビゲーションコントローラ23と、充電器コントローラ24と、パワートレーン統合制御コントローラ25とから成る。
【0026】
モータ/ジェネレータコントローラ20は、インバータ9,10の制御を介して発電モータ2および電動モータ4の入出力トルク(モータ2,4の発電負荷、駆動負荷)を加減するものである。
エンジンコントローラ21は、エンジン1の吸入空気量、点火時期、燃料噴射量を操作してエンジン出力トルクを制御するものである。
バッテリコントローラ22は、バッテリ3の蓄電率(SOC)や充放電可能エネルギーなどの内部状態量を推定したり、バッテリ保護を行うものである。
【0027】
ナビゲーションコントローラ23は、地球測位衛星からのGPS信号を受けて自車位置を検出したり(自車位置検出手段)、DVD等の媒体に記憶された地図データ(道路、標高、道路勾配、道路曲率など)や交通インフラからの通信データ(渋滞情報など)を基に外出先目的地までの経路探索や誘導を行うものである。
充電器コントローラ24は、家庭用電源7や、充電スタンド8からの電力による、バッテリ3への充電の実行・停止を行なうものである。
統合コントローラ25は、上記した複数のコントローラ20〜24を協調制御しながら、運転者の要求に沿って電動モータ4の駆動出力を制御し、また、運転性と燃費(経済性)の両方を考慮しながら発電モータ2の発電負荷を制御するものである。
【0028】
<バッテリ充電制御>
なおコントローラ20〜25は、高速通信網で相互通信可能で、コントローラ間で各種データを共有化し、これら各種データを基にパワートレーン統合制御コントローラ25が、図2,3に示す制御プログラムを実行して、本発明が狙いとするバッテリ充電制御を以下のごとくに遂行するものとする。
【0029】
図2は、統合制御コントローラ25が実行するパワートレーン制御のメインルーチンで、このメインルーチンは、一定周期ごとに繰り返し実行される。
ステップS1においては、運転者が車両の要求駆動力を指令するときに踏み込むアクセルペダルの踏み込み量、つまりアクセル開度APOを計測する。
この計測に当たっては、アクセルペダルの踏み込みストロークを検出する図示していないアクセル開度センサ(ポテンショメータ)からの出力信号を基に、当該計測を行う。
【0030】
次のステップS2においては、車輪の回転速度に応じた周波数(周期)のパルス信号を発生する車輪速センサ(図示せず)からの信号を基に、車速VSPを計測する。
実際には、別タイミングで計測された周波数(または周期)を、本タイミングで車速VSPに換算して当該計測を行うものとする。
【0031】
ステップS3においては、コントローラ20〜24から高速通信網を経て受信した以下の各種データを、受信バッファから読み取る。
モータ/ジェネレータコントローラ20からは、発電モータ2の回転数および電動モータ4の回転数を読み込む。
エンジンコントローラ21からは、エンジン1の始動判定フラグおよびエンジン回転数を読み込む。
バッテリコントローラ22からは、バッテリ3の蓄電率SOCを読み込む。
ナビゲーションコントローラ23からは、これ自身を用いて運転者が登録しておいた家庭用電源所在地(自宅)や充電スタンドなどの外部充電拠点(外部充電拠点登録手段)、および、これら外部充電拠点と自車位置との間における各種道路情報(走行経路、走行距離、標高、渋滞情報など)を読み込む。
充電器コントローラ24からは、外部充電装置である家庭用電源7または充電スタンド8に対する充電プラグ11aまたは11bの接続情報や、これら外部充電装置7,8の充電電力情報を受信する。
【0032】
ステップS4においては、図4に例示する予定のマップを基にアクセル開度APOおよび車速VSPから、運転者が要求している車両の目標駆動力を検索し、これに定数(タイヤ有効半径/減速比)を乗じて、電動モータ4のトルク指令値を算出する。
なお、駆動軸の捻れに起因したガクガク振動を抑制するためのトルク補正が必要であれば、周知の要領でこのトルク補正を行うことができる。
【0033】
ステップS5〜ステップS12は、本発明が狙いとする発電によるバッテリ充電制御のための処理を示し、本発明における発電制御手段に相当する。
ステップS5においては、図3の制御プログラムを実行し、以下のようにして目標バッテリ蓄電率SOC(目標SOC)を算出する。
【0034】
図3のステップS5-1においては、運転者がナビゲーションシステムの操作により、外部充電拠点の事前登録を行おうとしているか否かを判定する。
従ってナビゲーションシステムは、本発明における外部充電拠点登録手段に相当する。
ステップS5-1で外部充電拠点の登録要求があったと判定する場合、ステップS5-2において、この要求された外部充電拠点の登録を行った後、制御をステップS5-3に進め、ステップS5-1で外部充電拠点の登録要求がなかったと判定する場合、ステップS5-2をスキップして、制御をステップS5-3に進める。
【0035】
ステップS5-3においては、車両の運転性等を考慮し、充電を行う外部充電拠点に到達した時点で最低限維持したいバッテリの充電率(SOC)を、目標SOC下限値として設定する。
ステップS5-4においては、上記のように設定した目標SOC下限値をバッテリエネルギーに換算して目標バッテリエネルギー下限値を求め、現在のバッテリエネルギー残量から目標バッテリエネルギー下限値を減算して、外部充電拠点の検索に用いる相対的に大きな第1のバッテリエネルギー設定値を求める。
【0036】
ステップS5-5においては、バッテリエネルギー残量に応じて予め設定された図5に例示するマップデータを基に、バッテリ蓄電率SOCから相対的に小さな第2のバッテリエネルギー設定値の算出係数K(1未満の正数)を検索し、この算出係数Kを、ステップS5-4で求めた相対的に大きな第1のバッテリエネルギー設定値に掛けて、相対的に小さな第2のバッテリエネルギー設定値を求める。
従ってステップS5-4およびステップS5-5は、本発明におけるバッテリエネルギー設定値演算手段に相当する。
ここで算出係数Kは図5に示すように、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が少なくなるにつれ小さな値とし、これにより第2のバッテリエネルギー設定値は、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が少なくなるにつれ小さくなるようなものとする。
【0037】
ステップS5-6においては、ナビゲーションシステムから自車の現在位置や標高等の情報を入手すると共に(自車位置検出手段)、ステップS5-2で登録した外部充電拠点の位置や標高等の情報を入手し、これら情報を用いて算出した自車位置から外部充電拠点までの直線距離(または道路走行最短距離)や、渋滞情報等を考慮し、自車位置から外部充電拠点までの外部充電拠点到達用走行エネルギーを個々に求め(外部充電拠点到達用走行エネルギー推定手段)、これと、相対的に大きな第1のバッテリエネルギー設定値との対比により、予め運転者が登録した外部充電拠点(ステップS5-2)のうち、第1のバッテリエネルギーで到達可能な外部充電拠点を検索する。
【0038】
ステップS5-7においては、ステップS5-6で求めた外部充電拠点到達用走行エネルギーと、相対的に小さな第2のバッテリエネルギー設定値との対比により、ステップS5-6で検索した外部充電拠点のうち、到達するために必要な走行エネルギーが、第2のバッテリエネルギー以上である外部充電拠点を外部充電予定地点候補1とし、それ以外の外部充電拠点を外部充電予定地点候補1から除外して、運転者が充電のために立ち寄ることのない外部充電拠点と判断する。
従ってステップS5-6およびステップS5-7は、本発明における外部充電予定地点設定手段に相当する。
【0039】
ステップS5-8においては、上記のごとくに外部充電予定地点候補1として選択された外部充電拠点の中に、ナビゲーションシステムを介し運転者によって設定されたナビ目的地と一致する外部充電拠点が有るか否かを判定する。
外部充電予定地点候補1として選択された外部充電拠点の中にナビ目的地と一致する外部充電拠点がなければ、ステップS5-9〜ステップS5-14において外部充電予定地点の推測を以下のように継続する。
【0040】
ステップS5-9においては、外部充電予定地点候補1として選択された外部充電拠点のうち、車両進行方向を挟んでその左右両側の外部充電拠点検索範囲角α内にある外部充電拠点のみを外部充電予定地点候補2とし、車両進行方向前方の当該外部充電拠点検索範囲角αから外れた外部充電拠点を外部充電予定地点から除外する。
ここで外部充電拠点検索範囲角αは、図6に例示するごとくバッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)に応じ、バッテリエネルギー残量が少なくなるほど大きくして、バッテリエネルギー残量が少なくなるほど外部充電予定地点候補2が多くなるようにする。
【0041】
ステップS5-10においては、上記の充電予定地点候補2が複数個あるか否かを判定し、複数個ある場合は自車から遠い順に充電予定地点候補としての優先度を高く設定する。
充電予定地点候補2が1個のみである場合は、当該充電予定地点候補2を最高位の充電予定地点候補とするのは言うまでもない。
【0042】
ステップS5-11においては、外部充電予定地点候補2として選択された外部充電拠点群について、予め設定された条件を満足するかどうかを、ナビゲーションシステム等から得られた情報に基づき判定する。
例えば、設定された条件が「営業時間外の外部充電拠点は充電予定地点候補から除外する」であって、外部充電予定地点候補2の中で優先度の最も高い外部充電拠点が自宅(24時間常時充電可能)であった場合は、この自宅をそのまま外部充電予定地点候補3とする。
【0043】
しかし、優先度の最も高い外部充電拠点が自宅以外の外部充電拠点(一般に開放された充電スタンド等)であった場合は、この外部充電拠点の営業時間と現在時刻とを対比し、未だ営業時間内であればこの自宅以外の外部充電拠点を外部充電予定地点候補3とするものの、既に営業時間外である場合はこの自宅以外の外部充電拠点を外部充電予定地点候補3とはせず、外部充電予定地点候補2の中から新たな外部充電予定地点を、ステップS5-10で設定した優先順位に従って選択し、上記の予め設定された条件を満足する外部充電予定地点が見つかるまで同様な判定を繰り返す。
そして、上記の予め設定された条件を満足する外部充電予定地点が存在する場合はその地点を外部充電予定地点候補3とする。
ただし、上記の予め設定された条件を満足する外部充電予定地点が存在しない場合は、外部充電予定地点候補3を設定しない。
【0044】
ステップS5-12においては、上記した充電予定地点候補3の設定なされたか否かを判定し、充電予定地点候補3が設定されている場合はステップS5-13に制御を進めて、選択された外部充電予定地点候補3をナビゲーションシステムへの画面表示や、カーオーディオからの音声出力により運転者に告知する。
従ってステップS5-13は、本発明における外部充電予定地点情報認知手段に相当する。
【0045】
ステップS5-14では、運転者がナビゲーションシステム(外部充電予定地点可否決定手段)の操作により上記の外部充電予定地点候補3を拒否したか否かをチェックし、拒否する間、制御をステップS5-11に戻して上記のループを繰り返すことにより、外部充電予定地点候補2の中から新たな外部充電予定地点を、ステップS5-10で設定した優先順位に従って選択し、これが、上記の予め設定された条件を満足する外部充電予定地点であれば、これを新たな外部充電予定地点候補3と設定する。
【0046】
ステップS5-14で、運転者が告知された外部充電予定地点候補3を拒否しない(許可した)と判定する場合は、ステップS5-15において充電予定地点候補3を、システムによって設定された外部充電予定地点とする。
ステップS5-16においては、以下のようにして外部充電拠点の自動登録処理を行う。
先ず、上記のごとくステップS5-15で設定された外部充電予定地点で実際に運転者が充電を行ったかどうかを判定し、実際に充電を行った場合は、ここの外部充電拠点が運転者によって事前登録されているかどうか判定し、登録されていなかった場合は新たに登録し、次回の検索からはドライバーが事前登録した拠点と同等に扱う。
【0047】
ステップS5-17においては、システムによって選択された外部充電予定地点と自車位置との間の直線距離(または道路走行最短距離)に応じて、外部充電予定地点まで走行し終えたときの目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を設定する。
この設定に際しては、選択された外部充電予定地点までの走行パターンを仮想して、この外部充電予定地点までEV走行(発電による充電を行わなわず、バッテリ残量だけでの走行)させるのに必要な外部充電予定地点到達用走行エネルギー相当SOCを算出し、この外部充電予定地点到達用走行エネルギー相当SOCに、エンジン再始動を可能にするために設定したSOC下限値を加えたSOC値を目標バッテリ蓄電率(目標SOC)とする。
【0048】
なお目標バッテリ蓄電率(目標SOC)は、図7に実線で例示するごとく外部充電予定地点と自車位置との間における直線距離(または道路走行最短距離)ごとにマップデータとして予め記憶しておき、このマップデータを基に、外部充電予定地点と自車位置との間における直線距離(または道路走行最短距離)から検索により求めるのがよい。
図7の実線特性から明らかなように目標バッテリ蓄電率(目標SOC)は、その設定目的に照らして当然ながら、自車位置から外部充電予定地点までの直線距離(または道路走行最短距離)が長いほど大きく、また短いほど小さくなること勿論である。
【0049】
ところで、外部充電予定地点と自車位置との間における標高差に応じて、外部充電予定地点到達用走行エネルギー相当SOCが変わるため、ステップS5-17では、図8に例示するごとき予め記憶した目標SOC増減補正量マップを基に、外部充電予定地点と自車位置との間における標高差から目標SOC増減補正量を求め、この目標SOC増減補正量だけ上述の目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を増減補正する。
これにより、外部充電予定地点と自車位置との間における標高差の如何にかかわらず、目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を実状に即した狙い通りのものにすることができる。
【0050】
ステップS5-12において、ステップS5-11での外部充電予定地点候補3の設定が行われなかったと判定する場合、ステップS5-13〜ステップS5-16をスキップして、制御を順次ステップS5-18およびステップS5-17に進める。
ステップS5-18では、外部充電予定地点候補2のうち、ステップS5-10で設定された最も優先度の高い外部充電予定地点候補2(例えば自宅等、日常、外部電源装置からの電力で充電を行なっている場所)を、システムによって設定された外部充電予定地点とする。
【0051】
ステップS5-17においては、かかるシステムによって選択された外部充電予定地点と自車位置との間の直線距離(または道路走行最短距離)を基に、図7に実線で例示する目標バッテリ蓄電率(目標SOC)のマップデータから目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を設定する。
ステップS5-17では更に、図8に例示する目標SOC増減補正量マップを基に、外部充電予定地点と自車位置との間における標高差から目標SOC増減補正量を求め、この目標SOC増減補正量だけ上記の目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を増減補正して、外部充電予定地点まで走行し終えたときの目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を設定する。
【0052】
ステップS5-8で、外部充電予定地点候補1として選択された外部充電拠点の中にナビ目的地と一致する外部充電拠点があると判定する場合、制御を順次ステップS5-19、ステップS5-16およびステップS5-17に進める。
ステップS5-19においては、外部充電予定地点候補1のうち、ナビ目的地と一致する外部充電予定地点候補1を、システムによって設定された外部充電予定地点とする。
【0053】
ステップS5-16においては、上記のごとくステップS5-19で設定された外部充電予定地点で実際に運転者が充電を行ったかどうかを判定し、実際に充電を行った場合は、ここの外部充電拠点が運転者によって事前登録されているかどうか判定し、登録されていなかった場合は新たに登録し、次回の検索からはドライバーが事前登録した拠点と同等に扱い得るよう、外部充電拠点の自動登録処理を行う。
【0054】
ステップS5-17においては、かかるシステムによって選択された外部充電予定地点と自車位置との間の直線距離(または道路走行最短距離)を基に、図7に実線で例示する目標バッテリ蓄電率(目標SOC)のマップデータから目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を設定する。
ステップS5-17では更に、図8に例示する目標SOC増減補正量マップを基に、外部充電予定地点と自車位置との間における標高差から目標SOC増減補正量を求め、この目標SOC増減補正量だけ上記の目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を増減補正して、外部充電予定地点まで走行し終えたときの目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を設定する。
【0055】
図2のステップS5において、図3につき上述した処理により目標バッテリ蓄電率(目標SOC)を算出した後は、図2のステップS6において、現在のバッテリ蓄電率SOC(実SOC)が目標バッテリ蓄電率(目標SOC)未満であるか否かによりエンジン始動による発電(バッテリ充電)が必要か否かをチェックする。
エンジン始動による発電(バッテリ充電)が不要であれば、ステップS7において、エンジン1と発電モータ2の停止を指示するフラグをセットする。
【0056】
ステップS6でエンジン始動による発電(バッテリ充電)が必要であると判定するときは、ステップS8において、エンジンコントローラ21から受信した情報により、エンジン1が始動済か否かをチェックする。
エンジン1が未だ始動していなければ、ステップS9において、発電モータ2でエンジン1を始動させるために必要な最低回転数を保つよう回転数フィードバック制御演算を行うことにより、発電モータ2のトルク指令値(正値、バッテリ3は放電)を算出する。
ステップS10においては、エンジン始動操作要求フラグをセットし、エンジン始動に必要な吸入空気量・点火時期・燃料噴射量を決定する。
【0057】
ステップS8でエンジン1が始動済であると判定するときは、ステップS11において、発電モータ2が効率良く発電可能な回転数Nを目標値とした回転数フィードバック制御演算により、発電モータ2のトルク指令値(負値、バッテリ3へ充電)を算出する。
ステップS12においては、目標バッテリ蓄電率(目標SOC)およびバッテリ蓄電率SOC(実SOC)間におけるSOC偏差に応じた比例制御などにより、バッテリ蓄電率SOC(実SOC)を目標バッテリ蓄電率(目標SOC)に一致させるためのエンジン出力(≒発電出力)を算出し、このエンジン出力(≒発電出力)を、上記の効率良く発電できる回転数Nのもとで発生させるのに必要なエンジントルク指令値を求める。
【0058】
ステップS13においては、ステップS4で求めた電動モータトルク指令値を、図1の高速通信網によりモータ/ジェネレータコントローラ20へ送信し、このコントローラ20によりインバータ10を介して電動モータ4の出力トルクを指令値に一致させる。
ステップS13においては更に、ステップS7で設定したエンジン・発電モータの停止フラグを、図1の高速通信網によりエンジンコントローラ21およびモータ/ジェネレータコントローラ20へ送信し、これらコントローラ21,20によりエンジン1および発電モータ2を停止させる。
【0059】
ステップS13においては更に、ステップS9で求めた発電モータトルク指令値を、図1の高速通信網によりモータ/ジェネレータコントローラ20へ送信し、このコントローラ20によりインバータ9を介して発電モータ2のトルクを指令値に一致させると共に、ステップS10で決定したエンジン始動操作要求フラグおよびエンジン始動時吸入空気量・点火時期・燃料噴射量を、図1の高速通信網によりエンジンコントローラ21へ送信し、このコントローラ21によりエンジン1の始動操作を行って、エンジン1を発電モータ2によりクランキングさせながら始動させる。
【0060】
ステップS13においては更に、ステップS11で求めた発電モータのトルク指令値を、図1の高速通信網によりモータ/ジェネレータコントローラ20へ送信し、このコントローラ20によりインバータ9を介して発電モータ2のトルクを指令値に一致させると共に、ステップS12で求めたエンジントルク指令値を、図1の高速通信網によりエンジンコントローラ21へ送信し、このコントローラ21によりエンジン1のトルクを指令値に一致させることにより、効率の良い回転数Nのもとでの発電によってバッテリ蓄電率SOC(実SOC)を目標バッテリ蓄電率(目標SOC)に一致させる。
【0061】
<作用効果>
上記した本実施例のバッテリ充電制御によれば、図2のステップS5(図3)で目標SOCが図7に実線で示すように設定された場合につき説明すると、家庭電源による満充電状態から出発してEV走行のみにより外部充電拠点に到着したことで、バッテリ蓄電率SOCが一点鎖線A1,A2で示すように低下する場合も(ステップS6およびステップS7)、家庭電源による満充電状態から出発して当初はEV走行を行うも(ステップS6およびステップS7)、その後は実SOC<目標SOCに呼応しHEV走行を行い(ステップS6およびステップS8〜S12)、以後は実SOC≧目標SOCに呼応しEV走行(ステップS6およびステップS7)により外部充電拠点に到着したことで、バッテリ蓄電率SOCが二点鎖線B1,B2,B3で示すように低下、上昇、低下する場合も、走行経路および走行パターンにかかわらず、外部充電拠点に到着した時にバッテリ蓄電率SOCが、必要最小限の目標値(エンジン1の再始動が可能なSOC下限値)であることとなる。
【0062】
このため図7に矢A3,B4で示すように、経済性(エネルギーコスト)や環境(水力・原子力発電など)に優れた外部充電(自宅や、充電スタンドでの充電)を多用でき、その分だけエンジンなど内燃機関への依存度を低減して、燃費向上や環境保護への高い貢献度を実現することができる。
また同様な理由から、走行途中にSOC下限値になることがなく、加速性能が大きく悪化するという事態に至るのを回避することができる。
【0063】
しかしこの作用効果は、図2のステップS5(図3)で目標SOCを設定するときに予測した外部充電拠点で充電が行われれば達成され得るものの、運転者がそれ以外の外部充電拠点で充電を行った場合はその限りでない。
【0064】
図9は、予測した外部充電拠点で停車し、充電が行われた場合におけるバッテリ蓄電率SOCの変化状況を示し、この場合は、EV走行により外部充電拠点に到着した時にバッテリ蓄電率SOCが狙い通りに丁度SOC下限値となる。
このため同図に矢印で示すように、経済性(エネルギーコスト)や環境(水力・原子力発電など)に優れた外部充電拠点での充電量を最大にすることができ、その分だけエンジン1への依存度を低減して、燃費向上や環境保護への高い貢献度を実現することができる。
また同様な理由から、走行途中にSOC下限値になることがなく、加速性能が大きく悪化するという事態に至るのを回避することができる。
【0065】
これに対し図10は、予測した外部充電拠点で停車せずに通過し、更に遠い外部充電拠点で停車して充電を行った場合におけるバッテリ蓄電率SOCの変化状況を示す。
この場合、予測した外部充電拠点をEV走行により通過するとき、バッテリ蓄電率SOCがSOC下限値まで低下しているため、ここからEV走行からHEV走行に切り替わって発電によるバッテリ充電が開始されるものの、しばらくはバッテリ残量不足に起因したパワー不足により車両の運転性が悪化するのを避けられない。
【0066】
また、更に遠い外部充電拠点で停車して充電を行うとき、HEV走行によって発電によるバッテリ充電が行われた後であるためバッテリ蓄電率SOCが既に高く、経済性(エネルギーコスト)や環境(水力・原子力発電など)に優れた外部充電拠点での充電量が少なく、その分だけエンジン1への依存度が高まって、燃費向上や環境保護の観点から大いに不利である。
【0067】
図示を省略したが、逆に運転者が、予測した外部充電拠点よりも手前の外部充電拠点で充電を行った場合、この手前側外部充電拠点では未だバッテリ蓄電率SOCがSOC下限値まで低下していないため、外部充電拠点での充電を多用できず、その分だけ、エネルギーコストの高い、また二酸化炭素の排出を避けられないエンジン1による発電への依存度が高まり、充電コスト高や環境負荷の増大を招くという問題を生ずる。
【0068】
ところで本実施例によれば、運転者がバッテリの充電用に立ち寄るであろう外部充電拠点を予測するに際し、図3につき前記したごとく、登録済外部充電拠点(ステップS5-2)のうち、外部充電拠点到達用走行エネルギーが第1のバッテリエネルギー設定値(ステップS5-4)および第2のバッテリエネルギー設定値(ステップS5-5)間の値である外部充電拠点を外部充電予定地点(外部充電予定地点候補1)とするため(ステップS5-6およびステップS5-7)、運転者がバッテリの充電用に立ち寄るであろう外部充電拠点、つまり外部充電予定地点(外部充電予定地点候補1)の予測精度を高めることができる。
【0069】
その理由を以下に、図11に基づき説明する。
運転者、特にコスト意識や環境意識の高い運転者は、自車の周囲に複数の外部充電拠点が存在する場合、できるだけ車載発電装置による充電が不要でEV走行のみにより到達可能な外部充電拠点、つまり、図11の自車位置を中心とする第1のバッテリエネルギー設定値円内にある外部充電拠点に向かおうとする。
このため本実施例では、登録済外部充電拠点A,B,Cのうち、外部充電拠点到達用走行エネルギーが相対的に大きな第1のバッテリエネルギー設定値未満の値である外部充電拠点を外部充電予定地点とする(ステップS5-6)。
【0070】
その反面、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が十分に多い状態では運転者が積極的に外部充電拠点で充電することはない。つまり、図11の自車位置を中心とする第2のバッテリエネルギー設定値円内にある外部充電拠点で充電することはない。
このため本実施例では、登録済外部充電拠点A,B,Cのうち、外部充電拠点到達用走行エネルギーが相対的に小さな第2のバッテリエネルギー設定値以上の値である外部充電拠点を外部充電予定地点とすることにより(ステップS5-7)、外部充電拠点到達用走行エネルギーが第2のバッテリエネルギー設定値未満の値である外部充電拠点を外部充電予定地点としないようにする。
【0071】
従って、図11(a)に示す走行位置では登録済外部充電拠点A,B,Cの何れも、運転者が充電のために立ち寄るであろう外部充電予定地点として選択されない。
しかし、走行が進んで図11(b)に示す走行位置になると、登録済外部充電拠点A,B,Cのうち外部充電拠点Aが第1のバッテリエネルギー設定値円と、第2のバッテリエネルギー設定値円との間に入ることから、この外部充電拠点Aを、運転者が充電のために立ち寄るであろう外部充電予定地点候補1として選択する(ステップS5-6およびステップS5-7)。
【0072】
以後は、当該選択された外部充電拠点A(外部充電予定地点候補1)を用いて、ステップS5-17での目標SOCの設定を行い、この目標SOCに基づくEV走行制御(ステップS6〜ステップS7)が開始される。
かかるEV走行に伴い走行位置が図11(c)のように進むにつれ、第1のバッテリエネルギー設定値円および第2のバッテリエネルギー設定値円間における外部充電予定地点の判定エリアが、上記選択された外部充電拠点Aと接しながら縮小する。
【0073】
以上のように本実施例によれば、登録済外部充電拠点A,B,Cのうち、外部充電拠点到達用走行エネルギーが第1のバッテリエネルギー設定値および第2のバッテリエネルギー設定値間の値である外部充電拠点Aを外部充電予定地点(外部充電予定地点候補1)とすることで、運転者がバッテリの充電用に立ち寄るであろう外部充電拠点、つまり外部充電予定地点(外部充電予定地点候補1)の予測精度を高めることができる。
【0074】
従って本実施例によれば、発電による充電制御に際し予測した外部充電予定地点を、運転者がバッテリ充電のため実際に立ち寄る外部充電拠点に良く一致させることができ、この外部充電予定地点に基づく発電による充電制御時に、外部充電予定地点が実際に充電する外部充電拠点と異なって、バッテリ残量不足による車両運転性の悪化に関した問題や、外部充電拠点での充電を多用できずに充電コスト高や環境負荷の増大を招くという問題が発生するのを回避することができる。
【0075】
なお本実施例では、上記第1のバッテリエネルギー設定値を定めるに際し、ステップS5-4につき前述したごとく、外部充電拠点到達時に最低限維持したい目標SOC下限値をバッテリエネルギーに換算して目標バッテリエネルギー下限値を求め、現在のバッテリエネルギー残量からこの目標バッテリエネルギー下限値を減算して得られる値を第1のバッテリエネルギー設定値としたため、以下の作用効果が奏し得られる。
【0076】
つまり、上記の目標バッテリエネルギー下限値を考慮せず、第1のバッテリエネルギー設定値を現在のバッテリエネルギー残量と同じ値に設定する場合、走行に消費した走行エネルギーとバッテリ蓄電率SOCとの関係を表した図12に破線で示すように、外部充電予定地点(外部充電拠点)に到達した時点でバッテリエネルギーが全て消費し尽くされ、外部充電予定地点(外部充電拠点)到達時のバッテリエネルギー残量(目標SOC)を0にするような設定となる。
しかし、かように外部充電予定地点到達時の目標SOCを0にすると、車両の運転性に対して著しい制限をかけることになり、最悪の場合、車両停止、発進不能の事態を招く。
【0077】
ところで本実施例においては、現在のバッテリエネルギー残量から、外部充電拠点到達時に最低限維持したい目標SOC下限値に対応した目標バッテリエネルギー下限値を減算して得られる値を第1のバッテリエネルギー設定値としたため、図12に実線で示すごとく、外部充電予定地点(外部充電拠点)に到達した時点でバッテリエネルギーが未だ目標SOC下限値に対応した目標バッテリエネルギー下限値だけ残っていることになる。
このため、外部充電予定地点(外部充電拠点)到達時のバッテリエネルギー残量が0になることがなく、外部充電予定地点(外部充電拠点)到達時にバッテリエネルギー残量が0になったときに生ずる上記した運転性への影響を排除することができる。
【0078】
また本実施例においては、第2のバッテリエネルギー設定値を決定するに際し、ステップS5-5につき前述した通り、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)に応じて予め設定された図5に例示するマップデータを基に、バッテリ蓄電率SOCから第2のバッテリエネルギー設定値の算出係数K(1未満の正数)を検索し、この算出係数Kを、上記第1のバッテリエネルギー設定値に掛けて得られる値を第2のバッテリエネルギー設定値と定めたため、以下の作用効果が奏し得られる。
【0079】
つまり、第2のバッテリエネルギー設定値を上記のようにして決定するということは、その算出係数K(1未満の正数)が図5に示すようなものであることから明らかなように、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)に対する第2のバッテリエネルギー設定値の比率が、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)の低下に伴って小さくなるようなものであることを意味する。
換言すれば、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が大きい場合、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)に対する第2のバッテリエネルギー設定値の比率も大きく、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が小さい場合、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)に対する第2のバッテリエネルギー設定値の比率も小さいということにほかならない。
【0080】
ここで第2のバッテリエネルギー設定値の設定目的は前記した通り、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が十分に多い状態では運転者が積極的に外部充電拠点で充電することがないことから、これに該当する自車位置の近くの外部充電拠点を外部充電予定地点とする対象から除外することである。
ところで本実施例においては、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が大きい場合、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)に対する第2のバッテリエネルギー設定値の比率を大きくするため、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が十分に多い状態で運転者が積極的に充電用に立ち寄るとは考え難い自車位置の近くの外部充電拠点を外部充電予定地点の対象から除外することができる。
【0081】
その反面本実施例においては、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が小さい場合、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)に対する第2のバッテリエネルギー設定値の比率を小さくするため、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が少なくなって運転者が積極的に充電用に立ち寄ると考えられる自車位置の近くの外部充電拠点を確実に外部充電予定地点の対象とすることができる。
従って本実施例においては、運転者がバッテリの充電用に立ち寄るであろう外部充電拠点(外部充電予定地点)の予測精度を更に高めることができる。
【0082】
更に本実施例においては、ステップS5-9につき前述したように、ステップS5-7で外部充電予定地点候補1として選択した外部充電拠点のうち、車両進行方向を挟んでその左右両側の外部充電拠点検索範囲角α内にある外部充電拠点のみを外部充電予定地点(外部充電予定地点候補2)として、ステップS5-17での目標SOCの設定に用い、この外部充電拠点検索範囲角αを図6に例示するごとく、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が少なくなるほど大きくしたため、以下の作用効果が奏し得られる。
【0083】
つまり運転者は、外部充電拠点到達用走行エネルギーが第1のバッテリエネルギー設定値および第2のバッテリエネルギー設定値間の値である外部充電拠点(外部充電予定地点候補1)のうち、車両進行方向に近い方の外部充電拠点に立ち寄って充電する確率が高い。
従って本実施例のように、外部充電予定地点候補1として選択した外部充電拠点のうち、車両進行方向を挟んでその左右両側の外部充電拠点検索範囲角α内にある外部充電拠点のみを外部充電予定地点(外部充電予定地点候補2)とすることで、外部充電予定地点の予測精度を更に高めることができる。
【0084】
しかも本実施例のように、外部充電拠点検索範囲角αを図6に例示するごとく、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が多い間は小さく、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)が少なくなるにつて大きくすれば、運転者が充電用に立ち寄る確率の高い外部充電拠点を、バッテリエネルギー残量(バッテリ蓄電率SOC)ごとに高い精度で予測して、外部充電予定地点の予測精度を更に高めることができる。
【0085】
図13により更に付言するに、同図(a)の走行位置にあっては、登録済み外部充電拠点A〜Cのうち、外部充電拠点Cの外部充電拠点到達用走行エネルギーが第1のバッテリエネルギー設定値および第2のバッテリエネルギー設定値間の値であって、この外部充電拠点Cが外部充電予定地点(外部充電予定地点候補1)として選択される。
しかし、外部充電拠点Cは外部充電拠点検索範囲角α内にないため、外部充電予定地点候補2として選択されることがない。
【0086】
しかし、走行が進んで図13(b)に示す走行位置になると、登録済外部充電拠点A,B,Cのうち外部充電拠点Aが第1のバッテリエネルギー設定値円と、第2のバッテリエネルギー設定値円との間に入り、且つ外部充電拠点検索範囲角α内に位置することから、この外部充電拠点Aを、運転者が充電のために立ち寄るであろう外部充電予定地点候補2として選択する。
以後は、当該選択された外部充電拠点A(外部充電予定地点候補2)を用いて、ステップS5-17での目標SOCの設定を行い、この目標SOCに基づくEV走行制御(ステップS6〜ステップS7)が開始される。
【0087】
かかるEV走行に伴い走行位置が図13(c)のように進むにつれ、第1のバッテリエネルギー設定値円および第2のバッテリエネルギー設定値円間における外部充電予定地点の判定エリアが、上記選択された外部充電拠点Aと接しながら縮小する。
同時にEV走行のためバッテリ残量(バッテリ蓄電率SOC)が低下することから、これに伴い外部充電拠点検索範囲角αが図13(b)よりも拡大される結果、図13(b)における外部充電拠点検索範囲角αではこの確度範囲外となる外部充電拠点Aが、依然として当該拡大された外部充電拠点検索範囲角α内にあり、外部充電予定地点候補2として選択され続け得る。
よって、ステップS5-17での目標SOCの設定を継続して行うことができ、この目標SOCに基づくEV走行制御(ステップS6〜ステップS7)を継続させることができる。
【0088】
なお図13(c)につき上述したごとく、EV走行によりバッテリ残量(バッテリ蓄電率SOC)が低下するにつれ外部充電拠点検索範囲角αが拡大されることから、予定した外部充電拠点(外部充電予定地点候補2)の近傍で進行方向を大きく変えた場合でも、予測開始時点で外部充電拠点検索範囲角αの範囲外であった外部充電拠点を外部充電予定地点候補2として選択可能であり、外部充電拠点を継続的に選択して目標SOCの設定を継続することができる。
【0089】
また、EV走行の途中で進行方向を大きく変える場合(極端な場合はUターン走行を行う場合)、それまで選択していた外部充電拠点が検索範囲角αから外れても、新たな進行方向に存在する外部充電拠点を外部充電予定地点候補2として選択できるようになるため、新たな外部充電拠点へ向けた目標SOCの設定が可能である。
【0090】
また本実施例においては、外部充電予定地点(外部充電予定地点候補2)として設定可能な外部充電拠点が複数存在する場合、ステップS5-10につき前述したごとく、自車から遠い順に充電予定地点候補2としての優先度を高く設定し、自車位置からの最も遠い外部充電拠点を外部充電予定地点(外部充電予定地点候補2)として設定するため、以下の作用効果を奏し得る。
【0091】
充電予定地点候補2として設定可能な外部充電拠点が図14に示すように、自車位置に近い側の外部充電拠点と、自車位置から遠い側の外部充電拠点とが存在する場合について説明する。
近い外部充電拠点を予測し、充電予定地点候補2として設定したものの、より遠い外部充電拠点に立ち寄って充電した場合、バッテリ蓄電率SOCが図14に破線で示すように変化する。
このため、近い外部充電拠点を通過する際にバッテリ蓄電率SOCがSOC下限値まで低下して、発電による充電が行われるものの暫くの間は運転性の悪化を避けられないし、遠い外部充電拠点に立ち寄って充電する際の充電量が少なく、コスト的にも環境的にも優しい充電を多用できない。
【0092】
これに対し本実施例のように、自車位置からの最も遠い外部充電拠点を外部充電予定地点(外部充電予定地点候補2)として設定する場合、図14の遠い側の外部充電拠点を充電予定地点候補2として設定することとなる。
かように、遠い外部充電拠点を予測し、充電予定地点候補2として設定したものの、近い方の外部充電拠点に立ち寄って充電した場合、バッテリ蓄電率SOCが図14に実線で示すように変化する。
このため、近い外部充電拠点に立ち寄って充電する際の充電量が少なく、コスト的にも環境的にも優しい外部充電拠点での充電を多用できないものの、遠い外部充電拠点を通過する時におけるバッテリ蓄電率SOCが十分に高くて、走行中にバッテリ蓄電率SOCがSOC下限値まで低下して運転性が悪化するという問題は、これを回避することができる。
【0093】
また本実施例においては、外部充電予定地点(外部充電予定地点候補2)として設定可能な外部充電拠点が複数存在する場合、ステップS5-11につき前述したごとく、予め設定された条件を満足するかどうかを、ナビゲーションシステム等から得られた情報(時間帯、充電コスト、渋滞情報、充電履歴など)に基づき判定し、これら外部充電拠点の有利・不利情報を基に、外部充電予定地点として設定する優先順位を定め、この優先順位が高い外部充電拠点を外部充電予定地点候補3として設定するため、以下の作用効果を奏し得る。
【0094】
例えば、時間帯によって営業していない外部充電拠点では充電そのものが不可能であるし、また充電コストが高かったり、周辺が渋滞している外部充電拠点は、総じてエネルギーコストの点で不利である。
このような充電拠点に運転者が積極的に立ち寄って充電することはなく、本実施例においてはこのような充電拠点を外部充電予定地点の候補対象から除外することで、外部充電予定地点の予測精度を高めることができる。
【0095】
また過去に利用したことのある外部充電拠点は、運転者にとって何かしらの利益(充電スタンドなどの外部充電拠点の場合は会員特典等の利益、自宅の場合は充電コストが家庭用電気代だけで安価であるという利益)があるため利用したのであり、引き続き立ち寄る可能性が高い。
本実施例においては、このような外部充電拠点の優先順位を上げることで、外部充電予定地点の予測精度を高めることができる。
さらに、過去の使用履歴が多い外部充電拠点ほど運転者が立ち寄って充電する確率は高く、本実施例においては、使用履歴が多い外部充電拠点の優先順位を上げることで、外部充電予定地点の予測精度を高めることができる。
【0096】
本実施例においては更に、上記した外部充電予定地点候補3の設定が行われた場合、ステップS5-13において、これに係わる情報を運転者に知らせるようにしたため、外部充電予定地点候補3に係わる外部充電拠点を運転者が確実に認知して意識するようになり、運転者がこの外部充電拠点に立ち寄って充電する確率を高めて、その予測精度を更に高めることができる。
また、ナビゲーションシステムによる経路誘導と併用すれば、不慣れな地域においても、充電できる外部充電拠点へ確実に到達することができるという安心感を運転者にに与えることができるようになる。
【0097】
本実施例では更に、上記のように認知された外部充電予定地点候補3を運転者が許可したか、拒否したかをステップS5-14でチェックし、許可時はステップS5-15で、今回設定した外部充電予定地点候補3を採用し、拒否時はステップS5-11で、次に優先順位の高い外部充電拠点を外部充電予定地点3として設定し直すようにしたため、以下の作用効果が得られる。
【0098】
つまり、許可時は今回設定した外部充電予定地点候補3に運転者が立ち寄って充電する意志を持っているのを確認することができ、拒否時は今回設定した外部充電予定地点候補3に運転者が立ち寄って充電する意志を持っていないのを確認することができるため、外部充電予定地点候補3の予測精度を高めることができる。
また拒否時は、次に優先順位の高い外部充電拠点を外部充電予定地点3として運転者に再提案するため、それに対する運転者の応答結果をもって、拒否時においても充電のために立ち寄る充電拠点(外部充電予定地点候補3)の予測精度を高めることができる。
【0099】
更に本実施例においては、ステップS5-8およびステップS5-19につき前述したごとく、運転者が外部充電拠点(外部充電予定地点候補1)をナビゲーションシステムに対し目的地として設定した場合、この外部充電拠点を外部充電予定地点として設定するため、運転者が充電のために立ち寄る意思を明確に表している外部充電拠点を外部充電予定地点として設定することとなり、充電のために立ち寄る充電拠点(外部充電予定地点)の予測精度を更に高めることができる。
【0100】
本実施例においては更に、ステップS5-16につき前述した通り、ステップS5-15またはステップS5-19で設定された外部充電予定地点で実際に運転者が充電を行ったかどうかを判定し、実際に充電を行った場合は、ここの外部充電拠点が運転者によって事前登録されているかどうか判定し、登録されていなかった場合は新たに登録し、次回の検索からはドライバーが事前登録した拠点と同等に扱うようにしたため、以下の作用効果を奏し得る。
【0101】
つまり、一度利用した外部充電拠点は、一度も利用していない外部充電拠点より、次回以降も利用する確率が高い。
このため本実施例のように、運転者がステップS5-2で事前登録をしていなかった外部充電拠点でも、一度利用されたらその外部充電拠点をステップS5-16において自動的に登録することで、運転者が充電のために立ち寄る外部充電拠点の予測精度を更に高めることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 エンジン(機関)
2 発電モータ
3 バッテリ
4 電動モータ
5 終減速機
7 家庭用電源(外部充電拠点)
8 充電スタンド(外部充電拠点)
9,10 インバータ
11 充電器
11a,11b 電源プラグ
20 モータ/ジェネレータコントローラ
21 エンジンコントローラ
22 バッテリコントローラ
23 ナビゲーションコントローラ
24 充電器コントローラ
25 統合制御コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載発電装置によって充電が可能で、外部充電拠点の電源装置によっても充電が可能なバッテリからの電力により走行可能な電動車両において、
自車の現在位置を検出する自車位置検出手段と、
使用可能な前記外部充電拠点を登録するための外部充電拠点登録手段と、
前記バッテリのエネルギー残量よりも小さな第1のバッテリエネルギー設定値、および、この設定値よりも小さな第2のバッテリエネルギー設定値をそれぞれ求めるためのバッテリエネルギー設定値演算手段と、
前記自車位置検出手段で検出した自車の現在位置から、前記充電拠点登録手段により登録された外部充電拠点に到達するまでの走行に必要な外部外部充電拠点到達用走行エネルギーを個々に推定する外部充電拠点到達用走行エネルギー推定手段と、
前記外部充電拠点登録手段で登録された外部充電拠点のうち、前記外部充電拠点到達用走行エネルギー推定手段で推定した外部充電拠点到達用走行エネルギーが、前記バッテリエネルギー設定値演算手段でそれぞれ求めた第1のバッテリエネルギー設定値および第2のバッテリエネルギー設定値間の値である外部充電拠点を、外部充電予定地点として設定する外部充電予定地点設定手段と、
該手段で設定した外部充電予定地点に係わる前記外部充電拠点到達用走行エネルギーである外部充電予定地点到達用走行エネルギーに基づき、前記外部充電予定地点に到達したときのバッテリ蓄電率が必要最小限の目標値となるよう前記車載発電装置による充電を行わせる発電制御手段とを具備してなることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記バッテリエネルギー設定値演算手段は、前記バッテリエネルギー残量よりも、前記外部充電予定地点到達時バッテリ蓄電率目標値相当のエネルギー分だけ小さなエネルギーを前記第1のバッテリエネルギー設定値とするものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記バッテリエネルギー設定値演算手段は、前記第2のバッテリエネルギー設定値を、前記バッテリエネルギー残量に対する第2のバッテリエネルギー設定値の比率が、前記バッテリのエネルギー残量の低下に伴って小さくなるようなものとすることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記外部充電予定地点設定手段は、前記推定した外部充電拠点到達用走行エネルギーが前記第1のバッテリエネルギー設定値および第2のバッテリエネルギー設定値間の値である前記外部充電拠点のうち、前記バッテリエネルギー残量が少なくなるほど大きな車両進行方向所定角度範囲内における外部充電拠点を、前記外部充電予定地点として設定するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記外部充電予定地点設定手段は、前記外部充電予定地点として設定可能な外部充電拠点が複数存在する場合、自車の現在位置からの最も遠い外部充電拠点を外部充電予定地点として設定するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記外部充電予定地点設定手段は、前記外部充電予定地点として設定可能な外部充電拠点が複数存在する場合、これら外部充電拠点の有利・不利情報を基に、外部充電予定地点として設定する優先順位を定め、この優先順位が高い外部充電拠点を外部充電予定地点として設定するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記外部充電予定地点設定手段が設定した外部充電予定地点に係わる情報を運転者に知らせるための外部充電予定地点情報認知手段を設けたことを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記外部充電予定地点情報認知手段からの外部充電予定地点情報を基に運転者が外部充電予定地点の許可、または拒否に関する意思表示を行うための外部充電予定地点可否決定手段を設け、
該手段による許可時は、前記外部充電予定地点設定手段が今回設定した外部充電予定地点を採用し、拒否時は、前記外部充電予定地点設定手段に、次の高優先順位の外部充電拠点を外部充電予定地点として設定し直すよう指令する構成としたことを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記外部充電予定地点設定手段は、運転者が外部充電拠点を目的地として設定した場合、この外部充電拠点を外部充電予定地点として設定するものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の電動車両のバッテリ充電制御装置において、
前記外部充電拠点登録手段は、バッテリ充電に利用した外部充電拠点が未登録であった場合、この外部充電拠点を登録済とするものであることを特徴とする電動車両のバッテリ充電制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−279108(P2010−279108A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127109(P2009−127109)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】