説明

電子レンジ加熱調理用調味料、及び電子レンジ加熱調理食品

【課題】電子レンジでの加熱によって食材の表面に焼いたような風合いが発生させることのできる調味料、及びこの調味料を食材と共に耐熱性の収容体によって一緒に包装し、電子レンジを用いて食材を加熱・調理するようにした食品において、焦げ付いた調味料によって食材と耐熱性の収容体が貼り付いてしまうことを抑止する。
【解決手段】電子レンジでの加熱によって焦げ付いて食材の表面に焼き目を発生させることのできる調味料に対し、この調味料に不溶又は難溶な、粉末カルシュウム類、種子類、金属塩類の何れかによって構成された可食性粒状物を含ませる。この可食性粒状物が含まれた調味料を食材の周囲に塗布し、耐熱性の収容体によって一緒に包装することで電子レンジ加熱調理食品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電子レンジを用いて食材を加熱・調理する際に用いる調味料(以下、「電子レンジ加熱調理用調味料」という。)と、電子レンジによってそのまま食することができるように食材を加熱・調理するようにした食品(以下、「電子レンジ加熱調理食品」という。)に係り、詳しくは、電子レンジでの加熱によって食材の表面に焼いたような風合いの焦げ目を発生させるようにした電子レンジ加熱調理用調味料の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電子レンジ加熱調理食品は、調理の際に火を使わず、電子レンジによって加熱することで、手軽に調理することができることから、近年その需要が非常に高まってきている。また、この電子レンジ加熱調理食品は、キッチンを汚してしまうことなく食品を可食状態まで手軽に調理することができる。しかも、一人分といった少量でも、手間が掛からず所望の量だけ簡単に調理できることから、その需要が非常に高まってきている。
【0003】
ところが、電子レンジでは生肉や生水産物といった未加熱食材をそのまま加熱調理しても、未加熱食材表面に焼いたような風合いが施されるように処理する調理ができない。そのため、従来の電子レンジ加熱調理食品は、予め焼き調理済みの食品を電子レンジで温め直すようにした、調理ではない単なる加熱処理を施すものしかなかった。そして、この焼き調理済みの食品の場合、電子レンジで温め直すと加熱後食品表面に水分が出てしまい、焼き調理後に蒸し調理をしたようで、とても満足できるものではない。
【0004】
そこで、現在では、電子レンジによる加熱調理でも焼いたような焦げ目を付けるようにした種々の手段が提案されている。例えば、第一の手段として、フィルム状もしくはシート状の基材の表面に、金属薄膜もしくは金属・金属酸化物混合体を蒸着によって設けたマイクロ波発熱層を設け、この基材で食品自体を包むことにより、電子レンジでの加熱時に基材表面で発熱させ、その熱で食品の表面を焼くようにしたものがある(特許文献1参照)。
【0005】
また、第二の手段として、シートに食用油脂を含ませるか、塗布したもので食品自体を包み込み、電子レンジでの加熱時に食用油脂によって食品表面の温度を上昇させ、これにより食品の表面を焼くようにしたものもある(特許文献2参照)。
【0006】
また、第三の手段として、カラメル色素および増粘剤を含む褐色着色組成物を食品(ドウクラスト)の表面に適用し、電子レンジでの加熱によるマイクロ波により褐色反応させるようにしたものもある(特許文献3参照)。
【0007】
しかしながら、上記第一の手段では、パイやパン、ピザ等といった水分が少なく平面的な食品であれば焼く調理を行うことができるが、たとえば、生肉や生魚といった水分が多く非平面的で、側面にも焼く調理が要求されることのある未加熱食材を調理する場合、食品より発生する水分により加熱時の温度が上昇し難く、結果的に焼く調理を行うことができない。
【0008】
また、上記第一の手段は勿論のこと、第二の手段や第三の手段においても、食品表面は焼いた感じになるが、食品の上面や下面、側面といった部位毎に焼き方(焦がし具合)を調整することはできないものである。
【0009】
さらに、現在知られている焼き目発生材は、食材が立体的な形状のものである場合、加熱調理中に食材表面から流れ落ちてしまい、十分にその効果を奏することができないものである。
【0010】
そこで、第四の手段として、食用油脂と醤油と穀物粉からなる焼き目発生材を未加熱食材の表面に塗布し、この未加熱食材の焼き目生成箇所に隙間が生じないように耐熱性の収容体で包装し、電子レンジを用いて加熱・調理するようにした電子レンジ加熱調理食品が出願人によって提案された(特許文献4参照)。この第四の手段によって、加熱・調理中に焼き目発生材が食材表面から流れ落ちてしまうことなく、食材の部位毎に焼いたような風合いが施されるようにすることができる。
【0011】
ところが、上記第四の手段では、電子レンジでの加熱によって焼き目発生材が焦げ付き、食材の表面に焼いたような風合いが発生するものであるため、生肉や生水産物といった未加熱食材と、この未加熱食材に味付け及び焼き目を施す焼き目発生材とを、耐熱性の収容体によって一緒に包装し、電子レンジを用いて食材を加熱・調理した場合、焦げ付いた焼き目発生材によって食材と収容体が貼り付いてしまう虞があった。そのため、収容体から食材を取り出す収容体の除去作業の際、収容体が剥がし辛いと共に、収容体を剥がす際に食材の形が損なわれて見栄えの悪いものとなってしまう不都合があった。このような不都合は、未加熱食材が生魚である場合に顕著であり、収容体が魚の表面に貼り付いて皮が剥がれてしまうものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平10−117941号公報
【特許文献2】特開2000−142829号公報
【特許文献3】特開平9−107867号公報
【特許文献4】特開2006−25773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本願発明は、このような課題に対処しようとするものであり、電子レンジでの加熱によって食材の表面に焼いたような風合いが発生させることのできる調味料において、焦げ付いた調味料によって食材と耐熱性収容体が貼り付いてしまうことを抑止するようにした電子レンジ加熱調理用調味料を提供することを目的とする。
また、本願発明は、この電子レンジ加熱調理用調味料を用いることで、簡単に調理ができて、そのまますぐに食することのできる電子レンジ加熱調理食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、電子レンジを用いて食材を加熱・調理する際に用いられ、電子レンジでの加熱によって焦げ付いて前記食材の表面に焼き目を発生させることのできる調味料であって、前記調味料に対して不溶又は難溶な可食性粒状物を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項2に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記調味料は、熱硬化タンパク質とデンプン質と食用油脂を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項3に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項2に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記調味料は、有機酸をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項4に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項2又は3に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記調味料は、メラノイジンまたはメラノイジン生成原料をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項5に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記調味料は、少なくとも熱硬化タンパク質と、メラノイジンまたはメラノイジン生成原料を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項6に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項3又は4に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記調味料が、有機酸として発酵由来食品及び/又は植物由来食品を含むものであることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項7に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項3又は4に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記調味料が、有機酸として少なくとも酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、酪酸、酒石酸からなる群より選択された1又は2以上を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項8に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項1乃至7の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記調味料が、ペースト状であることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項9に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項1乃至8の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記可食性粒状物が、粉末カルシュウム類、種子類、金属塩類の何れかに含まれる1又は2以上によって構成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項10に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項9に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記粉末カルシュウム類が、サンゴ、骨、卵殻、貝殻、真珠からなる群より選択された1又は2以上を粉末にしたものであることを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項11に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項9に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記種子類が、胡椒、胡麻、胡桃、ピーナッツ、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、麻の実、エゴマ、ひまわり、かぼちゃ、松の実、スイカ、コーヒー豆、カカオ豆、大豆、小豆、ささげ、インゲン豆、そら豆からなる群より選択された1又は2以上を、そのまま又は砕いたものであることを特徴とする
【0025】
本発明の請求項12に係る電子レンジ加熱調理用調味料は、請求項9に記載の電子レンジ加熱調理用調味料であって、前記金属塩類が、炭酸カルシュウム、硫酸カルシュウム、酒石酸カルシュウム、酢酸カルシュウム、リン酸一水素カルシュウム、リン酸二水素カルシュウム、リン酸三水素カルシュウム、乳酸カルシュウム、ステアリン酸カルシュウムなどの粉末、食塩、塩化ナトリウムからなる群より選択された1又は2以上の粉末であることを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項13に係る電子レンジ加熱調理食品は、前記請求項1乃至12の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理用調味料と食材とを耐熱性の収容体によって一緒に包装したことを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項14に係る電子レンジ加熱調理食品は、請求項13に記載の電子レンジ加熱調理食品であって、前記電子レンジ加熱調理用調味料が、前記未加熱食材の周囲に塗布されていることを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項15に係る電子レンジ加熱調理食品は、請求項13又は14に記載の電子レンジ加熱調理食品であって、前記耐熱性の収容体が、シート材であることを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項16に係る電子レンジ加熱調理食品は、請求項13乃至15の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理食品であって、前記耐熱性の収容体が、少なくとも前記未加熱食材の載置面側の所定領域に、水分又は油分を吸収することが可能な吸収層を備えていることを特徴とする。
【0030】
本発明の請求項17に係る電子レンジ加熱調理食品は、請求項13乃至16の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理食品であって、前記食材が、生魚であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の電子レンジ加熱調理用調味料は、電子レンジでの加熱によって焦げ付いて食材の表面に焼き目を発生させることのできる調味料に、この調味料に対して不溶又は難溶な可食性粒状物を含むものとした。ゆえに、この電子レンジ加熱調理用調味料によって食材に味付けを施すことで、食材の表面に付着する調味料成分の一部が可食性粒状物となり、可食性粒状物が食材の表面に点在したものとなる。
また、本発明の電子レンジ加熱調理食品は、本発明の電子レンジ加熱調理用調味料と食材とを耐熱性の収容体によって一緒に包装するものとした。ゆえに、調味料に含まれた可食性粒状物が、食材と収容体との間において間隔を保持するスペーサとして介在することで、食材と収容体との密着性が低減して、食材と収容体との貼り付きを防止するものとなる。
【0032】
したがって、この電子レンジ加熱調理用調味料を用いることで、電子レンジの加熱によって調味料が焦げ付いても、食材の表面に有する(すなわち、食材と収容体との間に介在する)可食性粒状物による密着防止作用が働いて、焦げ付いた調味料によって食材と収容体が貼り付いてしまうことを抑止し、収容体の剥離を容易に行うものとすることができる。これにより、簡単に調理ができて、そのまますぐに食することのできる電子レンジ加熱調理食品を提供することができ、収容体から食材を取り出す収容体の除去作業の際、収容体の剥がし辛さや、食材の形を損ない見栄えの悪いものとなってしまう不都合を解消することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明の実施の形態の一例を説明する。
本発明の電子レンジ加熱調理用調味料は、電子レンジを用いて食材を加熱・調理する際に用いられる、電子レンジでの加熱によって焦げ付いて食材の表面に焼き目を発生させることのできる調味料であり、この調味料に対して不溶又は難溶な可食性粒状物を含む。ゆえに、この調味料を食材の表面に塗布することで、食材に対する味付けと共に、食材の周囲に可食性粒状物によって形成された貼り付き防止域が形成されるものとなる。
【0034】
ここで、可食性粒状物とは、たとえば、粉末カルシュウム類、種子類、金属塩類をいい、これらの何れか単独でも良いし、これらの何れかに含まれる1又は2以上によって構成されたものでも良い。この可食性粒状物の大きさとしては、食材を食する際に舌触りに問題が無ければ特に限定されることない。したがって、たとえば、10mmから10μmとすることができる。
また、可食性粒状物の混合割合は、調味料に含まれる熱硬化タンパク質の性質や食材の大きさ、焼いたときの焦げ色により決定でき、たとえば、0.1%から70.0%の範囲とするとよく、1.0%から30.0%の範囲とすると望ましい。
【0035】
粉末カルシュウム類としては、たとえば、サンゴ、骨、卵殻、貝殻、真珠からなる群より選択された1又は2以上を粉末にしたものをいう。
【0036】
種子類としては、たとえば、胡椒、胡麻、胡桃、ピーナッツ、アーモンド、カシユューナッツ、ピスタチオ、麻の実、エゴマ、ひまわり,かぼちゃ、松の実、スイカ、コーヒー豆、カカオ豆、大豆、小豆、ささげ、インゲン豆、そら豆からなる群より選択された1又は2以上を、そのまま又は砕いたものをいう。ここで、砕いたものとは、上述したとおり食材を食する際に舌触りに支障が生じない程度の大きさをいい、種子類を粉砕することにより粒状としたものと共に粉末状のものも含むものである。
【0037】
金属塩類としては、たとえば、炭酸カルシュウム、硫酸カルシュウム、酒石酸カルシュウム、酢酸カルシュウム、リン酸一水素カルシュウム、リン酸二水素カルシュウム、リン酸三水素カルシュウム、乳酸カルシュウム、ステアリン酸カルシュウムなどの粉末、食塩、塩化ナトリウムからなる群より選択された1又は2以上の粉末をいう。
【0038】
また、調味料は、電子レンジでの加熱によって焦げ付いて食材の表面に焼き目を発生させることのできるものであり、たとえば、熱硬化タンパク質とデンプン質と食用油脂を含むものをいう。また、調味料は、食材に臭みがある場合は、さらに有機酸を含むものとすると良い。(以下削除)
【0039】
熱硬化タンパク質やデンプン質としては、これらの混合物である穀物や芋類を用いることが好ましく、タンパク質分を3重量%以上含有する混合物とするのが望ましい。そして、デンプン質−タンパク質混合物としては、たとえば、米や小麦、大麦、ライ麦、燕麦、はと麦、あわ、ひえ、きび、そば、とうもろこし等の穀物粉が望ましく、特に小麦粉を用いることが望ましい。この際、タンパク質含有の少ない芋類としてのジャガイモやサツマイモ、サトイモ、ヤマイモ、キッサバ、タロイモ等を挙げることができ、これらには、大豆タンパクや小麦タンパク、大豆タンパク、乳タンパク、卵白、卵黄、卵、肉類、魚介類等の熱硬化タンパク質を加えて調整し使用すると良い。
【0040】
食用油脂としては、たとえば、サラダ油、オリーブ油、菜種油、大豆油、コーン油、紅花油、綿実油、胡麻油、ピーナッツ油、サフラワー油、ヒマワリ油、あまに油、ホホバ油、クレープシード油、スクアラン等といった常温で流動状の食用油や、たとえば、乳脂肪、ヤシ油、パーム油、牛脂、豚脂、カカオ脂、ショートニング、マーガリン等といった常温で固形状の食用脂が望ましい。
【0041】
有機酸としては、発酵由来食品、植物由来食品、又は化学合成したものを用いることができる。発酵由来食品としては、たとえば、醤油、味噌、ソース、みりん、酢、日本酒、ワイン、ヨーグルト、チーズ、漬物等を挙げることができ、これらに含まれる主な有酸類としては、たとえば、酢酸、コハク酸、乳酸、酪酸、リンゴ酸、グルコン酸、クエン酸、等の酸類がある。また、植物由来食品としては、たとえば、レモンやライム、オレンジ、みかん、柚子、酢橘、カボス等の柑橘系と、リンゴ、ブドウ、タマリンド等の果実系、コーヒー等の種子系、レモングラス等のハーブ系、ルバーブ、たまねぎ等の野菜系があり、これらに含まれる主な有酸類としては、たとえば、クエン酸、ビタミンC、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、ギ酸、クロロゲン酸、コハク酸、等の酸類がある。そして、化学合成したものとしては、たとえば少なくとも酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、酪酸、酒石酸からなる群より選択された1又は2以上の有機酸がある。これらの有機酸には、生肉や生水産物の加熱・調理時に発生する嫌な生臭さの成分を中和分解する有機酸が含まれており、この有機酸が生肉や生水産物の嫌な生臭さの成分を中和分解して臭わない成分に変え、電子レンジでの加熱・調理時の際に発生する生臭味を消して快適に調理を行うことができることとなる。
【0042】
醤油や味噌には、米や麦、豆、魚、海老等を原料として発酵させた、たとえば、濃口醤油や薄口醤油、白醤油、たまり醤油、再仕込み醤油、米味噌、麦味噌、豆味噌の他、米やもち米、小麦、大麦、大豆、そら豆、魚、海老等を主原料とし、唐辛子等の香辛料副原料として加えた中国製の所謂「醤」と呼ばれるものがある。また、酢には、穀物酢、米酢、麦酢、黒酢、ワインビネガーといったものがある。さらに、醸造酒には、日本酒、ワイン、紹興酒、ビールといった、所謂「発酵酒」と呼ばれるものがあり、発酵酒を蒸留した所謂「蒸留酒」と呼ばれるものは含まない。
【0043】
また、調味料は、メラノイジンまたはメラノイジン生成原料をさらに含むものとしても良い。すなわち、メラノイジンは、タンパク質と糖類が含まれる原料を発酵熟成した場合と、タンパク質と糖類が含まれる原料を加熱した場合に生成する。タンパク質と糖類が含まれる原料を発酵熟成したものとしては、原料として、たとえば、大豆、小麦、米、大麦、そら豆、粟、ひえ等を発酵熟成した、醤油や味噌、魚醤、肉醤、ビール、豆板醤、コチ醤といった発酵食品を挙げることができる。また、タンパク質と糖類が含まれる原料を加熱したものとしては、原料として、たとえば、コーヒー豆、カカオ豆、大豆、小豆、ささげ、インゲン豆、そら豆、タンポポの根、たまねぎを加熱したものを挙げることができる。さらに、メラノイジンは、米又は小麦等を酵素で糖化加工した場合、糖類が含まれないもしくは、糖類の含有量が少ないタンパク質含有原料に糖類を加えて加熱した場合にも生成することができる。このようなものとしては、たとえば、前者として、水あめを挙げることができ、後者として、パンを焼いた時の外側に付いた焼き色の部分(いわゆる、クラスト)を挙げることができる。
【0044】
メラノイジンまたはメラノイジン生成原料が含まれることで、電子レンジでの加熱による食品表面温度の上昇にともなって100〜200℃程度の表面温度で1〜2分間の短時間加熱すれば、メイラード反応を促進して食品表面をより一層褐変させ、オーブン等で焼いたときのように香ばしい焦げ目を食品表面に発生させる焼き調理が容易にできることとなる。
【0045】
また、調味料は、デンプン質や食用油脂が含まれなくても、熱硬化タンパク質と、メラノイジンまたはメラノイジン生成原料を含むことで、焼いたような風合いを醸し出すことができる。
【0046】
なお、本発明においては、上述した各電子レンジ加熱調理用調味料に、好みに応じて、辛子、わさび、生姜、山椒、唐辛子、タイム、ローズマリー、クローブ、コリアンダー、フェンネル等といった香辛料を加えて使用するようにしても良い。
【0047】
そして、上述のように製造された電子レンジ加熱調理用調味料は、食材の周囲に塗布される。ゆえに、調味料は、ペースト状であると望ましい。したがって、本発明の電子レンジ加熱調理用調味料は、調味料を構成する上記熱硬化タンパク質とデンプン質と食用油脂等の成分(原料)に上記可食性粒状物を加え、ヘラ等を用いて手で混ぜたり、ミキサー等の機械を用いて混ぜたりして、ペースト状とする。
【0048】
また、本発明の電子レンジ加熱調理食品は、上記本発明の電子レンジ加熱調理用調味料と食材とを耐熱性の収容体によって一緒に包装したものである。
【0049】
ここで食材としては、主に未加熱の魚(生水産物)や肉といった生の食材が望ましく、たとえば、鮭、鯖、秋刀魚、鯵、ぶり、かんぱち、はまち、メロ、鱈、銀だら、鯛、鰈、ホッケ、あなご、うなぎ、いわし、かつお、きちじ、きんめだい、鰆、シルバー、テラピア、にしん、まぐろ、まながつお、むつ等の魚種や、牛肉、豚肉、鶏肉等の獣肉を挙げることができる。
【0050】
この食材は、特に生魚等の魚介類とすると良い。これにより、予め焼き調理してしまうと水分や油分が流れ出て硬くなってしまうと共に、皮が収容体に貼り付き易く剥がれ難い魚介類であっても、電子レンジによる加熱で生の状態から調理することができる。しかも、食材に含まれる水分量や油分量に関係なく、その表面に焼いたような風合いの焦げ目が施されることで美味しさが増すものとすることができる。
【0051】
また、本発明では、電子レンジを用いて食材を加熱・調理することから主に未加熱の食材を意図するが、電子レンジを用いて食材を加熱・調理するものであれば、加熱済みもしくは半加熱済みの食材の使用を妨げるものではない。したがって、本発明での食材には、未加熱品、加熱済み品もしくは半加熱済み品といった区別なく含むものである。
【0052】
耐熱性の収容体としては、たとえば、竹皮、笹の葉、朴葉、柏葉、柿葉、桜葉、しその葉、バナナ葉、トウモロコシ皮、といった植物皮葉や、経木、麻、綿、織物からなる植物性薄厚シート材、紙または不織布等のシート状パルプ製品、植物性トレー(植物加工トレー、木加工トレー)とすると良い。このような植物性薄厚シート材やシート状パルプ製品植物性トレーとすることにより、電子レンジによる加熱によって高温になっても、天然素材であることから有害な物質が発生したり、溶け出したりすることなく、可食しても安全なものとすることができる。また、本発明の電子レンジ加熱調理食品は、電子レンジでの加熱によって食材の表面温度が100〜200℃程度となるものであるので、200℃以上の温度において有害な物質が発生したり、溶け出したりすることがない耐高熱のものであれば、合成樹脂製のシート材やトレーも使用することができる。
【0053】
そして、この食材の周囲に、上記本発明の電子レンジ加熱調理用調味料が塗布され、その後、耐熱性の収容体で焼き目生成箇所に隙間が生じないように包装するものである。
これにより、食材の焼き目生成箇所の空間が少なくなって狭い空間となり、この空間での熱エネルギーの分散が抑えられて短時間で温度が上昇し、食品表面で100℃以上の高い温度帯を維持して、未加熱食材に対して焦げ目の付与や焼いた感じの風合いを施すことができる。したがって、電子レンジによる短時間の加熱であっても、食材表面に焼いたような風合いを醸し出すことができるものとなる。
【0054】
また、耐熱性の収容体は、少なくとも前記未加熱食材の載置面側の所定領域に、水分又は油分を吸収することが可能な吸収層を備えていると望ましい。吸収層としては、たとえば、竹皮、笹の葉、朴葉、柏葉、柿葉、桜葉、しその葉、バナナ葉、トウモロコシ皮、といった植物皮葉を乾燥させたものや、経木、麻、綿、織物、紙(パルプ製品)、不織布からなるシート材を挙げることができ、特に、シート状の不織布を用いることが望ましい。このように吸収層としては、耐熱性の収容体と同じ素材を用いることできる場合がある。したがって、本発明においては、収容体と吸収層とを異なる素材とし、収容体の内面上に吸収層を重ねる(敷く)ように組み合わせるようにしても良いし、収容体と吸収層とを同じ素材(すなわち、吸収層として用いることができる、水分又は油分を吸収することが可能な素材によって収容体を形成するもの)としても良い。
この吸収層が、食材から滲出した水分や油を吸収する。ゆえに、食材から滲出る水分や油分によって、食材の表面が湿った感じになったり、食材が生臭くなったりすることを、より効果的に防止することができる。
【0055】
そして、上述のように製造された電子レンジ加熱調理食品は、電子レンジを用いて所定時間加熱するだけで、すぐに食することができるように簡単に調理される。
【0056】
また、本発明では、前記耐熱性の収容体で包み込んだ食材を、さらに減圧機構付密封包装体に収容すると良い。これにより、食材は包装体内に密封され、電子レンジによる加熱によって温度の上昇が早まる。一方、包装体内の空気が熱せられて膨張しても、包装体の所定箇所(減圧機構部)が破裂することで、必要以上に食材が加熱され破裂してしまうことが防止されるものとなる。
【0057】
さらに、上述した本発明の電子レンジ加熱調理食品は、味付けを施した後冷凍処理しても何ら問題は無く、冷凍状態のまま電子レンジにて加熱調理することができるものでもある。
【実施例1】
【0058】
まず、第1の実施例は、油分として大豆油70質量%、醤油21質量%、穀物粉として小麦粉2質量%、及び可食性粒状物として炭酸カルシュウムからなる金属塩の粉末7質量%、を含んだペースト状の第1の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生魚であるサーモンの切り身の周囲に、準備した第1の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、18cm×20cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上にペースト状調味料を塗布した切り身をのせて包み込むことにより第1の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0059】
そして、この第1の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで2分30秒間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も切り身に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、切り身の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができた。しかも、皮の部分までもが均一に褐変し香ばしく焼き上がった。
【実施例2】
【0060】
第2の実施例は、油分として大豆油と菜種油65質量%、醤油30.5質量%、穀物粉として小麦粉1.5質量%、及び可食性粒状物として粉末状の卵殻3質量%、を含んだペースト状の第2の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生魚である秋刀魚の周囲に、準備した第2の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、18cm×35cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上にペースト状調味料を塗布した秋刀魚をのせて包み込むことにより第2の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0061】
そして、この第2の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで3分間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も秋刀魚に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、秋刀魚の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができ、香ばしく焼き上がった。
【実施例3】
【0062】
第3の実施例は、油分としてサラダ油63質量%、醤油26質量%、穀物粉として小麦粉1質量%、及び可食性粒状物として胡麻10質量%、を含んだペースト状の第3の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生魚である鯵みりん干の周囲に、準備した第3の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、25cm×25cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上にペースト状調味料を塗布した鯵みりん干をのせて包み込むことにより第3の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0063】
そして、この第3の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで2分30秒間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も鯵みりん干に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、鯵みりん干の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができ、香ばしく焼き上がった。
【実施例4】
【0064】
第4の実施例は、油分としてコーン油67質量%、醤油29.2質量%、穀物粉として小麦粉1.8質量%、及び可食性粒状物として乳酸カルシュウム2質量%、を含んだペースト状の第4の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生魚である鯛の周囲に、準備した第4の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、25cm×25cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上に敷かれた吸収層である不織布の上にペースト状調味料を塗布した鯛をのせて包み込むことにより第4の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0065】
そして、この第4の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで3分30秒間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も鯛に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、鯛の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができ、香ばしく焼き上がった。しかも、不織布からなる吸収層があることで、食材から滲出る水分や油分によって食材の表面が湿った感じになることがより効果的に防止することができたと共に、食材が生臭くなることなく調理することができた。
【実施例5】
【0066】
第5の実施例は、油分として綿実油75質量%、レモン果汁液16質量%、穀物粉として小麦粉2質量%、メラノイジン含有食品としてコーヒー粉末5質量%、及び可食性粒状物として食塩2質量%、を含んだペースト状の第5の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生魚であるぶりの切り身の周囲に、準備した第5の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、19cm×25cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上にペースト状調味料を塗布した切り身をのせて包み込むことにより第5の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0067】
そして、この第5の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで2分間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も切り身に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、切り身の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができた。しかも、皮の部分までもが均一に褐変し香ばしく焼き上がった。
【実施例6】
【0068】
第6の実施例は、油分としてショートニング54質量%、コーヒー末10質量%、熱硬化タンパク質源として白身魚の鱈すり身30質量%、及び可食性粒状物としてえごま6質量%、を含んだペースト状の第6の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生魚である鱈の切り身の周囲に、準備した第6の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、20cm×20cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上にペースト状調味料を塗布した切り身をのせて包み込むことにより第6の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0069】
そして、この第6の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで3分間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も切り身に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、切り身の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができた。しかも、皮の部分までもが均一に褐変し香ばしく焼き上がった。
【実施例7】
【0070】
第7の実施例は、油分としてサラダ油64質量%、コーヒー液27質量%、熱硬化タンパク質源として小麦タンパク3質量%、及び可食性粒状物として砕いた松の実6質量%、を含んだペースト状の第7の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生魚であるぶりの切り身の周囲に、準備した第7の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、20cm×20cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上にペースト状調味料を塗布した切り身をのせて包み込むことにより第7の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0071】
そして、この第7の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで3分間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も切り身に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、切り身の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができた。しかも、皮の部分までもが均一に褐変し香ばしく焼き上がった。
【0072】
以上のとおり、上記各実施例では食材が生魚の場合について述べたが、本発明における食材はこれに限らず、鶏肉や牛肉、豚肉といった生獣肉に用いることも可能なものである。以下、それらの実施例について述べる。
【実施例8】
【0073】
第8の実施例は、油分としてマーガリン63質量%、メラノイジンを含むと共にメラノイジン生成原料でもある焙煎たまねぎ26質量%、穀物粉として小麦粉1質量%、及び可食性粒状物として胡椒10質量%、を含んだペースト状の第8の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生の鶏肉の周囲に、準備した第8の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、25cm×25cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上にペースト状調味料を塗布した鶏肉をのせて包み込むことにより第8の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0074】
そして、この第8の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで5分間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も鶏肉に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、鶏肉の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができた。しかも、鶏肉の皮の部分までもが均一に褐変し香ばしく焼き上がった。
【実施例9】
【0075】
第9の実施例は、油分としてラード70質量%、メラノイジンを生成させるための発酵熟成原料として醤油26質量%、穀物粉として小麦粉1質量%、及び可食性粒状物としてリン酸一水素カルシュウムからなる金属塩の粉末3質量%、を含んだペースト状の第9の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生の豚肉の周囲に、準備した第9の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、30cm×25cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上にペースト状調味料を塗布した豚肉をのせて包み込むことにより第9の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0076】
そして、この第9の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで10分間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も豚肉に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、豚肉の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができ、香ばしく焼き上がった。
【実施例10】
【0077】
第10の実施例は、油分として牛脂72質量%、メラノイジンを生成させるための発酵熟成原料として醤油24質量%、穀物粉として小麦粉1質量%、及び可食性粒状物としてサンゴ末3質量%、を含んだペースト状の第10の電子レンジ加熱調理用調味料を準備した。
次いで、生の牛肉の周囲に、準備した第10の電子レンジ加熱調理用調味料を塗布し、30cm×25cmの大きさをした植物性薄厚シート材の上にペースト状調味料を塗布した牛肉をのせて包み込むことにより第10の電子レンジ加熱調理食品とした。
【0078】
そして、この第10の電子レンジ加熱調理食品を、500ワットの電子レンジで10分間加熱処理した。その結果、電子レンジ加熱調理食品は均一に満足いく状態に加熱調理されることは勿論のこと、シート材も牛肉に貼り付くことなくきれいに剥がすことができた。また、食材からの蒸発水分は適切に排気され、食材が蒸されたように表面に湿った感じが残ることも無く、牛肉の表面は褐変してオーブンで焼いたような感じに加熱調理することができ、香ばしく焼き上がった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジを用いて食材を加熱・調理する際に用いられ、電子レンジでの加熱によって焦げ付いて前記食材の表面に焼き目を発生させることのできる調味料であって、
前記調味料に対して不溶又は難溶な可食性粒状物を含むことを特徴とする電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項2】
前記調味料は、熱硬化タンパク質とデンプン質と食用油脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項3】
前記調味料は、有機酸をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項4】
前記調味料は、メラノイジンまたはメラノイジン生成原料をさらに含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項5】
前記調味料は、少なくとも熱硬化タンパク質と、メラノイジンまたはメラノイジン生成原料を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項6】
前記調味料は、有機酸として発酵由来食品及び/又は植物由来食品を含むものであることを特徴とする請求項3又は4記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項7】
前記調味料は、有機酸として少なくとも酢酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、酪酸、酒石酸からなる群より選択された1又は2以上を含むことを特徴とする請求項3又は4記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項8】
前記調味料は、ペースト状であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項9】
前記可食性粒状物は、粉末カルシュウム類、種子類、金属塩類の何れかに含まれる1又は2以上によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項10】
前記粉末カルシュウム類は、サンゴ、骨、卵殻、貝殻、真珠からなる群より選択された1又は2以上を粉末にしたものであることを特徴とする請求項9に記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項11】
前記種子類は、胡椒、胡麻、胡桃、ピーナッツ、アーモンド、カシユューナッツ、ピスタチオ、麻の実、エゴマ、ひまわり,かぼちゃ、松の実、スイカ、コーヒー豆、カカオ豆、大豆、小豆、ささげ、インゲン豆、そら豆からなる群より選択された1又は2以上を、そのまま又は砕いたものであることを特徴とする請求項9に記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項12】
前記金属塩類は、炭酸カルシュウム、硫酸カルシュウム、酒石酸カルシュウム、酢酸カルシュウム、リン酸一水素カルシュウム、リン酸二水素カルシュウム、リン酸三カルシュウム、乳酸カルシュウム、ステアリン酸カルシュウム、などの粉末、食塩、塩化ナトリウムからなる群より選択された1又は2以上の粉末であることを特徴とする請求項9に記載の電子レンジ加熱調理用調味料。
【請求項13】
前記請求項1乃至12の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理用調味料と食材とを耐熱性の収容体によって一緒に包装したことを特徴とする電子レンジ加熱調理食品。
【請求項14】
前記電子レンジ加熱調理用調味料は、前記未加熱食材の周囲に塗布されていることを特徴とする請求項13に記載の電子レンジ加熱調理食品。
【請求項15】
前記耐熱性の収容体は、シート材であることを特徴とする請求項13又は14に記載の電子レンジ加熱調理食品。
【請求項16】
前記耐熱性の収容体は、少なくとも前記未加熱食材の載置面側の所定領域に、水分又は油分を吸収することが可能な吸収層を備えていることを特徴とする請求項13乃至15の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理食品。
【請求項17】
前記食材は、生魚であることを特徴とする請求項13乃至16の何れか1項に記載の電子レンジ加熱調理食品。

【公開番号】特開2011−78392(P2011−78392A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246991(P2009−246991)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(397003563)有限会社皆川商店 (5)
【Fターム(参考)】