説明

電子写真装置

【課題】複数の制御プロセッサを搭載した電子写真装置において、いずれかの実行プログラムコードが実行不可となった場合、新たに上位装置から実行プログラムコードをダウンロードする必要を無くして、装置のダウンタイムを短縮する。
【解決手段】同一の実行プログラムコードを、複数の記憶装置11、21に格納する。記憶装置11、21に格納された実行プログラムコードの実行可否をチェックし、実行不可と判断された場合に、他の記憶装置に格納された正常に実行可能な実行プログラムコードを、制御プロセッサ間の通信手段40を介して、記憶装置に転送する。識別手段100、200の識別情報で制御プロセッサ10、20を識別して、制御プロセッサに対応する制御プログラムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真装置に関し、特に、複数の制御プロセッサを搭載した電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真装置の例であるデジタルフルカラー複写機の概略構成を、図5に示す。デジタルフルカラー複写機は、スキャナとカラープリンタとからなる。スキャナは、コンタクトガラス上の原稿の画像をカラーセンサに結像して、原稿のカラー画像情報をRGBの色分解光毎に読み取り、電気的な画像信号に変換する。カラーセンサはRGBの画像を色ごとに読み取る。スキャナで得たRGBの色分解画像信号強度レベルをもとにして色変換処理を行い、記録色情報を含むカラー画像データを得る。このカラー画像データを用い、カラープリンタによって、画像を中間転写ベルト上に重ねて形成して転写紙に転写する。スキャナは、照明・ミラー光学系が左矢印方向へ原稿走査し、1回走査毎に1色の画像データを得る。その都度、カラープリンタで順次顕像化しつつ、これらを中間転写ベルト上に重ね合わせて、4色のフルカラー画像を形成する。
【0003】
図6に、デジタルフルカラー複写機の制御装置の概要を示す。複写機全体を制御するメインコントローラには、操作/表示部、エディタ、スキャナコントローラ、プリンタコントローラ、画像処理ユニット(IPU)、エンジンコントローラ等の分散制御装置が接続されている。プリンタコントローラは、パソコンなど外部からの画像およびプリント指示するコマンドを解析し、画像データとして印刷できる状態にビットマップ展開し、メインコントローラを介してプリンタを駆動して画像データをプリントアウトする。
【0004】
近年、印刷速度の高速化に伴い、制御プロセッサを複数搭載し、処理速度の向上を図っている電子写真装置がある。制御プロセッサを複数搭載した電子写真装置では、一般的には、各制御プロセッサ用の実行プログラムコードを別々に持ち、それぞれを記憶装置に格納して使用する。このため、仕様変更やプログラムの不具合が発生した場合には、それぞれの実行プログラムコードを上位装置からダウンロードして更新する方法を採っている。
【0005】
従来の複数の制御プロセッサを搭載した電子写真装置の実行プログラムコードのダウンロード方法について、図7を用いて説明する。図7(a)に示すように、複数のプロセッサはそれぞれ、読み書き可能な記憶装置を持つ。また、両プロセッサは、それぞれのプロセッサからアクセス可能なRAM(dual port ram)で構成される転送手段で接続されている。プロセッサ#1には、実行プログラムコードをダウンロードするコントローラが接続されている。コントローラは、プロセッサ#1を制御する実行プログラムコード#1を、プロセッサ#1を経由し、プロセッサ#1に接続されている記憶装置#1へダウンロードする。また、プロセッサ#2を制御する実行プログラムコード#2は、プロセッサ#1へ転送され、プロセッサ#1とプロセッサ#2との間の転送手段を使用して、プロセッサ#2を経由し、プロセッサ#2に接続されている記憶装置#2にダウンロードされる。
【0006】
また、プロセッサ間の転送手段を持たない図7(b)のような構成では、コントローラが、プロセッサ#1とプロセッサ#2に個別に接続されている。コントローラは、プロセッサ#1を制御する実行プログラムコード#1を、プロセッサ#1を経由し、プロセッサ#1に接続されている記憶装置#1へダウンロードする。同様に、プロセッサ#2を制御する実行プログラムコード#2を、プロセッサ#2を経由し、プロセッサ#2に接続されている記憶装置#2へダウンロードする。
【0007】
この場合、複数の制御プロセッサの実行プログラムコードが存在するので、オペレータまたは保守員が実行プログラムコードをダウンロードする際に、誤って別なバージョンを指定するなどの問題が発生する。これを解決する方法として、複数の制御プロセッサ用の実行プログラムコードを1つの共通な実行プログラムコードとして統合し、一時メモリにダウンロードした後に、それぞれの制御プロセッサ用のプログラムを認識し、プロセッサに接続されている不揮発メモリへ転送する方法がある。以下に、これに関連する従来技術の例をいくつかあげる。
【0008】
特許文献1に開示された「プログラムダウンロードシステム」は、ホストコンピュータから最新の制御プログラムをダウンロードするプリンタなどの機器において、ダウンロード中に電源OFFが発生した場合にも、再度の電源ON時に当該ダウンロードを自動的に再開し完結させることができるシステムである。書き換え可能なフラッシュEEPROMの一部を書き換え不可のブート領域とし、この領域にプログラムのダウンロードを実行するプログラムを、またそれ以外の領域に装置各部の制御プログラムを、それぞれ格納しておく。制御プログラムの書き換え途中に電源OFFが発生しても、ブート領域のダウンロード実行プログラムは失われないので、ダウンロードを再度実行することが可能である。ダウンロードに失敗したかどうかや、どこまでやって失敗したかを保持しておくことにより、電源ON時に当該ダウンロードを自動再開することが可能となる。
【0009】
特許文献2に開示された「プログラムをダウンロードする方法」は、複数のCPUを有する通信装置が、他の通信装置から各演算手段のプログラムをダウンロードする際に、CPU間の相関関係の不一致が生じないようにする方法である。CPU1が、監視制御装置から受信したCPU毎のプログラムを統合した統合モジュールを、一時メモリに記憶する。CPU1用プログラムの更新情報が新しい場合、CPU1が、CPU1用プログラムを一時記憶メモリから稼働系フラッシュメモリへ転送する。CPU2とCPU3用プログラムの更新情報が新しい場合、CPU1が、CPU2とCPU3用プログラムを、CPU2とCPU3の一時メモリへ送信する。CPU2とCPU3が、一時メモリに記憶されたCPU2とCPU3用プログラムを、稼働系フラッシュメモリに転送する。
【特許文献1】特開2002-175194号公報
【特許文献2】特開2005-31796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、従来のダウンロード方法では、次のような問題がある。いずれか1つの実行プログラムコードが破損などによって実行不可となった場合、新たに上位装置から実行プログラムコードをダウンロードする必要があり、その間、装置はダウンして使用できなくなる。
【0011】
本発明の目的は、上記従来の問題を解決して、複数の制御プロセッサを搭載した電子写真装置において、いずれか1つの実行プログラムコードが破損などによって実行不可となった場合でも、上位装置から実行プログラムコードをダウンロードする必要をなくして、装置のダウンタイムを短くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明では、電子写真装置を、複数の制御プロセッサと、各制御プロセッサの識別情報を発生する識別手段と、各制御プロセッサで実行されるブートプログラムと制御プログラムとを含む同一の実行プログラムコードを格納するための複数の記憶装置と、ブートプログラムにより制御プロセッサと制御プログラムとの対応関係を識別情報に基づいて判断して制御プログラムを対応する制御プロセッサで起動するブート手段とを具備する構成とした。また、制御プロセッサの間の通信を行う通信手段と、記憶装置に格納された実行プログラムコードの実行可否をチェックするプログラムチェック手段と、プログラムチェック手段によって実行不可と判断された実行プログラムコードが格納されている記憶装置に正常に実行可能な実行プログラムコードを他の記憶装置から転送するように制御する手段とを備えた。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成したことにより、複数の制御プロセッサを搭載した電子写真装置において、各実行プログラムコードを同一のものにすることで、実行プログラムコードの個別ダウンロードの必要をなくして、制御プロセッサ間の相関関係を意識することなくダウンロードできるようにし、オペレータの実行プログラムコードの選択ミスなどのオペレーション上の問題を回避できる。また、制御プロセッサに接続されている記憶装置に格納された実行プログラムコードのいずれかが破損した場合でも、上位装置からのダウンロードなしに、該当する制御プロセッサを立ち上げることができ、装置のダウンタイムを最小限にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図4を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
本発明の実施例は、各制御プロセッサで実行されるブートプログラムと制御プログラムとを含む同一の実行プログラムコードを各記憶装置に格納し、実行プログラムコードの実行可否をチェックし、実行不可と判断された実行プログラムコードが格納されている記憶装置に、正常に実行可能な実行プログラムコードを他の記憶装置から転送し、制御プロセッサの識別結果に基づいて、ブートプログラムにより制御プロセッサと制御プログラムとの対応関係を判断し、制御プログラムを対応する制御プロセッサで起動する電子写真装置である。
【0016】
図1は、本発明の実施例における電子写真装置のシステム構成を示す機能ブロック図である。本実施例の電子写真装置の基本的な構成は、従来の装置と同様である。従来の装置構成と異なるところは、制御プロセッサの識別手段が追加された点と、記憶装置に格納される実行プログラムコードが全て同一であるようにした点である。
【0017】
図1において、第1制御部1は、印刷データを画像データに変換したり、読み取った画像データを外部に送信したりする手段である。第2制御部2は、原稿の読取りと印刷の制御を行なう手段である。プロセッサ10は、第1制御部のCPUである。記憶装置11は、実行プログラムコードを格納するEEPROMである。RAM12は、プログラム用ワークメモリである。通信手段13は、コントローラとの通信を行うための手段である。プロセッサ20は、第2制御部のCPUである。記憶装置21は、実行プログラムコードを格納するEEPROMである。RAM22は、プログラム用ワークメモリである。IO制御部23は、センサや負荷を制御する手段である。センサ24は、装置各部の状態を検出する手段である。負荷25は、装置各部を駆動するモータやヒータである。コントローラ30は、実行プログラムコードをダウンロードする手段である。転送手段40は、第1制御部1と第2制御部2の間で制御信号やステータス信号等をやり取りする手段である。読取手段50は、原稿を読み取るスキャナである。画像処理部51は、MTF補正や変倍処理や画質補正等を行う手段である。画像メモリ52は、画像データを保持するメモリである。書込手段53は、プリンタである。操作部60は、モード設定などの操作を行うための入出力手段である。識別手段100と識別手段200は、プロセッサの識別を行なうディップスイッチである。
【0018】
図2は、電子写真装置のシステム構成と実行プログラムコード構成を示す機能ブロック図である。図2において、ブートプログラムP100は、起動用のプログラムである。制御用プログラムP200は、プロセッサ10を制御するプログラムコードである。制御用プログラムP210は、プロセッサ20を制御するプログラムコードである。実行プログラムコードP300は、プロセッサ10とプロセッサ20を制御するプログラムコードである。
【0019】
図3は、電子写真装置のプロセッサ実行時のフローチャートである。図4は、電子写真装置のプロセッサを制御するプログラムの実行不可時のリカバリ動作のフローチャートである。
【0020】
上記のように構成された本発明の実施例における電子写真装置の機能と動作を説明する。最初に、図1を参照しながら、電子写真装置の動作制御と画像データの制御の概要を説明する。第1制御部1は、プロセッサ10と、プロセッサ10を動作させるための実行プログラムコードを格納する記憶装置(EEPROM)11と、プログラム用ワークメモリであるRAM12と、ディップスイッチのオンオフの組合せにより、ハード的にプロセッサ10の識別を行なうための識別手段100と、コントローラ30との通信を行うための通信手段13などにより構成される。第1制御部1は、外部のコントローラ30から通信手段13を介して受信した印刷データを展開して画像データに変換する機能や、読取手段50により読み取った画像データをファイルとして通信手段13を介して外部のコントローラ30に送信する機能などを受け持っている。
【0021】
第2制御部2は、プロセッサ20と、プロセッサ20を動作させるための実行プログラムコードを格納する記憶装置(EEPROM)21と、プログラム用ワークメモリであるRAM22と、ディップスイッチのオンオフの組合せによりハード的にプロセッサ20の識別を行なうための識別手段200と、画像形成装置の各センサ24の入力を元に、各部の負荷25などを制御するIO制御部23などにより構成されている。第2制御部2は、第1制御部1が展開した画像データに基づいて印刷動作の制御を行なう機能や、読取手段50での原稿の読取動作の制御を行う機能を持つ。
【0022】
第1制御部1と第2制御部2は、転送手段40を介して相互に接続されており、制御信号やステータス信号等をやり取りする。装置の電源がオンされた場合には、第1制御部1と第2制御部2との双方の初期化処理が終了することで、コピー可能なレディ状態となる。一方、画像データについては、読取手段50により画像データが読み取られ、読み取られた画像データは、操作部60に設定されたモードに応じて、画像処理部51によりMTF補正や変倍処理や画質補正等を行った後で、画像メモリ52に蓄えられる。そして、複数部のコピーを取るような電子ソート機能を使う場合には、2部目以降のコピー動作を行う時に、画像メモリ52から画像データを読み出してコピー動作を行うことにより、電子ソート動作を実現する。また、用紙がジャム状態になった場合のリカバリ動作にも使用される。書込手段53により、給紙された用紙のタイミングに応じて書込みを行う。
【0023】
識別手段100、200は、ディップスイッチのオンオフ設定の組合せにより識別信号を出力する。2つのプロセッサの場合は1ビットのオン/オフで識別可能であるが、3つ以上の場合は、ビット数を増やしてオンオフ状態を組み合わせる必要がある。また、ブートプログラムP100は、他のプロセッサの識別手段の設定情報を転送手段40を介してやり取りして、自プロセッサの識別手段の設定と比較することで、同じ場合にはエラーとし、操作部60に表示する。識別手段による制御の移し方は、ブートプログラムP100中で、識別手段の出力に応じて処理の飛び先を変更する方法で行なう。
【0024】
次に、図2を参照しながら、動作を説明する。図2(a)に示すように、複数のプロセッサ10、20にはそれぞれ、読み書き可能な記憶装置11、21と、プロセッサ毎に固有の値を持つハードウェア信号によってプロセッサの識別を行う識別手段100、200を持つ。識別手段100、200は、プロセッサ10、20から見て同一アドレスになるように構成されている。また、プロセッサ10とプロセッサ20は、それぞれのプロセッサからアクセス可能なRAM(dual port ram)で構成される転送手段40で接続されている。プロセッサ10には、実行プログラムコードをダウンロードするコントローラ30が接続されている。
【0025】
コントローラ30は、プロセッサ10とプロセッサ20を制御する実行プログラムコードP300を、プロセッサ10を経由し、プロセッサ10に接続されている記憶装置11へダウンロードする。記憶装置11へのダウンロードが終了すると、プロセッサ10は、プロセッサ10とプロセッサ20との間の転送手段40を使用して、実行プログラムコードP300を、プロセッサ20を経由し、プロセッサ20に接続されている記憶装置21にダウンロードする。
【0026】
実行プログラムコードP300の構成について、図2(b)により説明する。プロセッサ10とプロセッサ20を制御する実行プログラムコードP300は、プロセッサ10とプロセッサ20用のブートプログラムP100と、プロセッサ10用の制御用プログラムP200と、プロセッサ20用の制御用プログラムP210とから構成されている。プロセッサ10が起動すると、ブートプログラムP100が、識別手段100によって、プロセッサ10制御用プログラムP200に制御を移すように処理する。一方、プロセッサ20が起動すると、ブートプログラムP100が、識別手段200によって、プロセッサ20用の制御用プログラムP210に制御を移すように処理する。
【0027】
次に、図3を参照しながら、複数のプロセッサ実行時の動作について説明する。プロセッサ10が起動すると、ステップ101で、識別手段100によって、プロセッサ10制御用プログラムP200を識別する。ステップ020で、プロセッサ10制御用プログラムP200のサムチェックを行う。プロセッサ10制御用プログラムP200が正常である場合、ステップ040で、プロセッサ10とプロセッサ20との転送手段40で、プロセッサ10制御用プログラムP200の実行可能をプロセッサ20へ通知する。
【0028】
一方、プロセッサ10と同時に起動するプロセッサ20は、ステップ100で、識別手段200によって、プロセッサ20制御用プログラムP210を識別する。ステップ200で、プロセッサ20制御用プログラムP210のサムチェックを行う。プロセッサ20制御用プログラムP210が正常である場合、プロセッサ10の場合と同様に、ステップ400で、プロセッサ10とプロセッサ20との転送手段40で、プロセッサ20制御用プログラムP210の実行可能をプロセッサ10へ通知する。
【0029】
プロセッサ10は、ステップ050で、プロセッサ20の実行可能通知(S400)で通知されたプロセッサ20制御用プログラムP210の実行可能を確認すると、ステップ070で、プロセッサ10制御用プログラムP200へ移行する。プロセッサ20も同様に、ステップ500で、プロセッサ10の実行可能通知(S040)で通知されたプロセッサ10制御用プログラムP200の実行可能を確認すると、ステップ700で、プロセッサ20制御用プログラムP210へ移行する。
【0030】
次に、図4を参照しながら、プロセッサを制御するプログラムの実行不可時のリカバリ動作について説明する。例として、プロセッサ10制御用プログラムP200が実行不可の場合を説明する。
プロセッサ10とプロセッサ20が起動すると、図3の場合と同様に、ステップ010とステップ100で、識別手段100、200によって、それぞれのプロセッサ制御用プログラムP200、P210を識別する。ステップ020とステップ200で、それぞれのプロセッサ制御用プログラムP200、P210のサムチェックを行う。プロセッサ10制御用プログラムP200が実行不可の場合、ステップ031で、プロセッサ10とプロセッサ20との転送手段40で、プロセッサ10制御用プログラムP200の実行不可をプロセッサ20へ通知し、プロセッサ10は、ステップ032で、プロセッサ20に接続されている記憶装置21からの実行プログラムコードP300の転送を待つ。
【0031】
一方、プロセッサ20は、プロセッサ20制御用プログラムP210が実行可能である場合、ステップ400で、プロセッサ10とプロセッサ20との転送手段40で、プロセッサ20制御用プログラムP210の実行可能をプロセッサ10へ通知する。プロセッサ20が、ステップ500で、プロセッサ10制御用プログラムP200の実行不可通知を受けていた場合、ステップ601で、プロセッサ10とプロセッサ20との転送手段40で、プロセッサ20に接続される記憶装置21からプロセッサ10に接続されている記憶装置11へ、実行プログラムコードP300の転送処理を行う。
【0032】
プロセッサ10は、ステップ033で、プロセッサ20からの実行プログラムコードP300の受信を行い、転送が終了すると、ステップ020から再起動を行う。プロセッサ10は、ステップ020で、再度、転送されたプロセッサ10制御用プログラムP200のサムチェックを行い、プロセッサ10制御用プログラムP200が実行可能である場合、ステップ040で、プロセッサ10とプロセッサ20との転送手段40で、プロセッサ10制御用プログラムP200の実行可能をプロセッサ20へ通知する。その後、図3の場合と同様に、ステップ050とステップ500で、各々のプロセッサの実行可能を確認し、ステップ070とステップ700で、制御用プログラムへ移行する。
【0033】
以上の動作により、プロセッサ10制御用プログラムP200が実行不可の場合、プロセッサ20に接続されている記憶装置21に格納されている実行プログラムコードP300を転送するので、上位装置からの再ダウンロードの操作を必要とせずに回復動作を行うことができる。また、逆に、プロセッサ20制御用プログラムP210が実行不可の場合も同様に、プロセッサ10に接続されている記憶装置11に格納されている実行プログラムコードP300を転送することで、回復動作が可能である。同一な実行プログラムコードをダウンロードすることで、プロセッサ間の相関関係を意識することなくダウンロードが実行できる。また、複数の制御プロセッサに接続された記憶装置のいずれかに格納されたプログラムが実行不可の場合でも、他方の実行プログラムコードを転送することにより、上位装置からのダウンロードを行うことなく、制御プロセッサの実行プログラムコードを実行できる。
【0034】
上記のように、本発明の実施例では、電子写真装置を、各制御プロセッサで実行されるブートプログラムと制御プログラムとを含む同一の実行プログラムコードを各記憶装置に格納し、実行プログラムコードの実行可否をチェックし、実行不可と判断された実行プログラムコードが格納されている記憶装置に、正常に実行可能な実行プログラムコードを他の記憶装置から転送し、制御プロセッサの識別結果に基づいて、ブートプログラムにより制御プロセッサと制御プログラムとの対応関係を判断し、制御プログラムを対応する制御プロセッサで起動する構成としたので、記憶装置に格納された実行プログラムコードのいずれかが破損した場合でも、上位装置からのダウンロードなしに該当するプロセッサを立ち上げることができ、装置のダウンタイムを最小限にできる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の電子写真装置は、複数の制御プロセッサを搭載した電子写真装置として最適である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例における電子写真装置の動作制御及び画像データの制御に関する部分のブロック図である。
【図2】本発明の実施例における電子写真装置のシステム構成と実行プログラムコード構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施例における電子写真装置のプロセッサ実行時のフローチャートである。
【図4】本発明の実施例における電子写真装置のプロセッサを制御するプログラムの実行不可時のリカバリ動作のフローチャートである。
【図5】従来のデジタルフルカラー複写機の概略構成図である。
【図6】従来のデジタルフルカラー複写機の制御部の構成図である
【図7】従来の電子写真装置のデュアルプロセッサ構成の概念図である。
【符号の説明】
【0037】
1・・・コントローラ制御部、2・・・コントローラ制御部、10・・・プロセッサ、11・・・記憶装置、12・・・RAM、13・・・通信手段、20・・・プロセッサ、21・・・記憶装置、22・・・RAM、23・・・IO制御部、24・・・センサ、25・・・負荷、30・・・コントローラ、40・・・転送手段、50・・・読取手段、51・・・画像処理部、52・・・画像メモリ、53・・・書込手段、60・・・操作部、100・・・識別手段、200・・・識別手段、P100・・・ブートプログラム、P200・・・プロセッサ制御用プログラム、P200・・・制御用プログラム、P210・・・制御用プログラム、P300・・・実行プログラムコード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御プロセッサと、前記各制御プロセッサの識別情報を発生する識別手段と、前記制御プロセッサで実行されるブートプログラムと制御プログラムとを含む同一の実行プログラムコードを格納するための前記制御プロセッサに対応する複数の記憶装置と、前記ブートプログラムにより前記制御プロセッサと前記制御プログラムとの対応関係を前記識別情報に基づいて判断して前記制御プログラムを対応する制御プロセッサで起動するブート手段とを具備することを特徴とする電子写真装置。
【請求項2】
前記各制御プロセッサの間の通信を行う通信手段と、前記記憶装置に格納された前記実行プログラムコードの実行可否をチェックするプログラムチェック手段と、前記プログラムチェック手段によって実行不可と判断された実行プログラムコードが格納されている記憶装置に他の記憶装置から正常に実行可能な実行プログラムコードを転送するように制御する手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電子写真装置。
【請求項3】
複数の制御プロセッサで実行されるブートプログラムと制御プログラムとを含む同一の実行プログラムコードを前記制御プロセッサに対応する記憶装置に格納し、前記制御プロセッサを識別して前記ブートプログラムにより前記制御プロセッサと前記制御プログラムとの対応関係を判断し、前記制御プログラムを対応する制御プロセッサで起動することを特徴とする電子写真制御方法。
【請求項4】
前記実行プログラムコードの実行可否をチェックし、実行不可と判断された実行プログラムコードが格納されている記憶装置に、他の記憶装置から正常に実行可能な実行プログラムコードを転送することを特徴とする請求項3記載の電子写真制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−213425(P2007−213425A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34156(P2006−34156)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】