説明

電子制御ユニット

【課題】簡単な構成で、実装される半導体モジュールの熱を効果的に放熱可能な電子制御ユニットを提供する。
【解決手段】半導体モジュール6の樹脂体62は、半導体チップ61を覆うよう板状に形成されている。金属板64は、面641が樹脂体62の面621から露出するとともに面642が半導体チップ61に電気的に接続している。半導体モジュール6は、樹脂体62の面621が基板3に対向するようにして基板3に表面実装されている。カバー部材7は、基板3の半導体モジュール6側を覆うようにして設けられている。金属板64は、樹脂体62から板面方向に延出し基板3上の第2配線パターン5に半田付けされる延出部66を有している。カバー部材7は、延出部66に向かって突出するよう形成される第1凸部71を有している。延出部66および樹脂体62と第1凸部71との間の隙間を埋めるようにして第1熱伝導部材81が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御ユニットに関し、特に電動式パワーステアリングシステムに適用可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両のモータ制御化が進み、モータとその制御を司る電子制御ユニットが増加傾向にある。一方、ユーザに快適な空間を提供するために、車室内空間を拡げる試みがなされている。そのため、モータ及び電子制御ユニットを配置するためのスペースの確保が課題となっており、モータ及び電子制御ユニットの小型化が重要になっている。
【0003】
例えば、電動式パワーステアリングシステムに用いられる電子制御ユニットは、エンジンルームやインパネの奥側に配置される。ところが、電動式パワーステアリングシステムに用いられる電子制御ユニットは、大電流(約100A)でモータを駆動するため、スイッチング機能を有する半導体モジュールの発熱が大きくなる。したがって、このような電子制御ユニットを小型化するためには、高い放熱構造が必要となる。
【0004】
特許文献1および2には、半導体モジュールまたは電子制御ユニットの構造を工夫することにより、半導体モジュールの放熱性の向上を図る技術が開示されている。例えば、特許文献1および2に開示される半導体モジュールでは、半導体チップを覆う樹脂体の一方の面よりも面積の大きな放熱板(金属または絶縁材料)を樹脂体に取り付け、当該放熱板によって半導体チップの放熱を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭58−187153号公報
【特許文献2】特開2002−83912号公報
【特許文献3】特開2009−54701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2には、箱状のケースの内側に半導体モジュールを配置し、半導体モジュールの周囲にグリスを充填することで半導体モジュールの熱をケース側へ放熱するようにした構成が開示されている。しかしながら、この構成では、半導体モジュール毎にケースおよびグリスを別途用意する必要があり、特に複数の半導体モジュールの放熱を図る場合等、部材コストが増大するおそれがある。
【0007】
また、特許文献1および2には、樹脂体に対する放熱板の相対的な大きさの詳細に関しては何ら記載されていない。よって、例えば樹脂体に対し放熱板の面方向への延出の程度(樹脂体の面と放熱板の面の面積比)が極度に小さい場合、放熱の効果は小さいと考えられる。一方、樹脂体に対し放熱板の面方向への延出の程度が極度に大きい場合、放熱板の重量および部材コストが増大するとともに、基板上における半導体モジュールやその他電子部品の設置スペースの確保が困難になるおそれがある。
【0008】
特許文献3には、基板の半導体モジュール側を覆うカバー部材に、半導体モジュールの外縁の形状に対応し半導体モジュールを囲むようにして凹む凹部を形成し、当該凹部と半導体モジュールとの間に熱伝導材を設け、半導体モジュールの熱のカバー部材側への放熱性の向上を図った構成が開示されている。しかしながら、この電子制御ユニットでは、半導体モジュールの外縁の形状に対応し半導体モジュールを囲むよう凹部を形成する必要があるため、加工コストの増大を招くおそれがある。また、特許文献3の半導体モジュールは、特許文献1および2の半導体モジュールのような放熱板を有していないため、カバー部材側への放熱の効果は低いと考えられる。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で、実装される半導体モジュールの熱を効果的に放熱可能な電子制御ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、板部材と基板と第1配線パターンおよび第2配線パターンと半導体モジュールとカバー部材と第1熱伝導部材とを備える。樹脂製の基板は、金属製の板部材に設置されている。第1配線パターンおよび第2配線パターンは、基板の板部材とは反対側の面に設けられている。半導体モジュールは、半導体チップ、樹脂体、複数の端子、および、金属板を有している。板状の樹脂体は、スイッチング機能を有する半導体チップを覆うよう形成されている。複数の端子は、半導体チップに電気的に接続するとともに樹脂体から突出し、基板上の第1配線パターンに半田付けされる。金属板は、一方の面が樹脂体の一方の面から露出するとともに他方の面が半導体チップに電気的に接続している。半導体モジュールは、樹脂体の一方の面が基板に対向するようにして基板の板部材とは反対側の面に表面実装されている。カバー部材は、基板の半導体モジュール側を覆うことで半導体モジュールを保護可能に設けられている。
【0011】
本発明では、金属板は、樹脂体から板面方向に延出し基板上の第2配線パターンに半田付けされる延出部を有している。また、カバー部材は、金属板の延出部に向かって突出するよう形成される第1凸部を有している。そして、第1熱伝導部材は、金属板の延出部および樹脂体とカバー部材の第1凸部との間の隙間を埋めるようにして設けられている。これにより、スイッチング作動により発熱する半導体チップの熱を金属板、樹脂体および第1熱伝導部材を経由してカバー部材側へ伝達および放熱することができる。また、半導体チップの熱は、金属板の延出部および第2配線パターンを経由して基板側へも伝達され放熱される。
【0012】
このように、本発明では、カバー部材に形成される第1凸部は比較的単純な形状であり、第1凸部と延出部との間に第1熱伝導部材を設けることにより金属板の熱をカバー部材に効果的に伝達することができる。したがって、簡単な構成により、半導体モジュールの熱を効果的に放熱することができる。
【0013】
また、本発明では半導体モジュールの熱をカバー部材側から効果的に放熱することができるため、基板のスペックを低減すること(配線パターンの薄銅化、基板サイズの低減等)ができる。したがって、電子制御ユニットの低コスト化および小型軽量化を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明では、カバー部材は、基板とは反対側の面の第1凸部に対応する位置に、第1凸部の形状に対応して凹むよう形成される第1凹部を有している。これにより、カバー部材に第1凸部を設ける場合でも、カバー部材の体積、重量、および、部材コストの増大を抑えることができる。また、この構成のカバー部材の場合、プレス加工のような比較的簡単な方法で形成することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明では、基板上の第2配線パターンは、金属板の延出部の外縁よりも外側へ大きく拡がるよう延びて形成されている。そして、第1熱伝導部材は、第2配線パターンと第1凸部との間の隙間を埋めるよう延びて形成されている。これにより、金属板の延出部から基板上の第2配線パターンへ伝達した熱を、第1熱伝導部材を経由してカバー部材側へ伝達および放熱することができる。したがって、半導体モジュールの熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、カバー部材は、半導体モジュールの複数の端子に向かって突出するよう形成される第2凸部を有している。そして、複数の端子および樹脂体と第2凸部との間の隙間を埋めるようにして設けられる第2熱伝導部材をさらに備えている。これにより、スイッチング作動により発熱する半導体チップの熱を複数の端子、樹脂体および第2熱伝導部材を経由してカバー部材側へ伝達および放熱することができる。したがって、半導体モジュールの熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、カバー部材は、基板とは反対側の面の第2凸部に対応する位置に、第2凸部の形状に対応して凹むよう形成される第2凹部を有している。これにより、カバー部材に第2凸部を設ける場合でも、カバー部材の体積、重量、および、部材コストの増大を抑えることができる。また、この構成のカバー部材の場合、プレス加工のような比較的簡単な方法で形成することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明では、樹脂体の他方の面とカバー部材との間の隙間を埋めるようにして設けられる第3熱伝導部材をさらに備えている。これにより、スイッチング作動により発熱する半導体チップの熱を樹脂体および第3熱伝導部材を経由してカバー部材側へ伝達および放熱することができる。したがって、半導体モジュールの熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0019】
ここで、金属板の一方の面のうちの延出部の面積をSm、樹脂体の一方の面の面積をSrとし、仮に金属板および樹脂体がSm/Sr<0.5の関係を満たすよう形成されている場合、金属板による放熱の効果は小さくなる懸念がある。一方、金属板および樹脂体が1.0<Sm/Srの関係を満たすよう形成されている場合、金属板の重量および部材コストの増大が懸念されるとともに基板上の他の電子部品等の設置スペースの確保が困難になるという問題が生じる。
【0020】
そこで、請求項7に記載の発明では、金属板の一方の面のうち延出部の面積をSm、樹脂体の一方の面の面積をSrとすると、金属板および樹脂体は、0.5≦Sm/Sr≦1.0の関係を満たすよう形成されている。金属板および樹脂体を、0.5≦Sm/Srの関係を満たすよう形成することにより、金属板(延出部)の表面積および体積(ヒートマス)を所定値以上確保することができる。これにより、半導体モジュールは、半導体チップからの発熱を金属板を経由して効果的に放熱することができる。また、金属板および樹脂体を、Sm/Sr≦1.0の関係を満たすよう形成することにより、金属板の重量および部材コストの増大を抑え、かつ、基板における他の電子部品等の設置スペースを容易に確保することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明では、金属板および樹脂体は、Sm/Sr=0.75の関係を満たすよう形成されている。これにより、金属板を経由した放熱の効果と重量および部材コスト増大の抑制等の効果とを両立できるとともに、それぞれの効果を最大限まで高めることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明では、板部材と基板との間に、絶縁放熱シートおよび放熱グリスの少なくとも一方を備えている。これにより、半導体モジュールの熱を基板および絶縁放熱シートまたは放熱グリスを経由して板部材側に効果的に伝達することができる。したがって、半導体モジュールの熱を、カバー部材からだけでなく、板部材からも効果的に放熱することができる。
【0023】
請求項10に記載の発明では、板部材は、基板の半導体モジュールが実装された部分に向かって突出するよう形成される突出部を有している。これにより、板部材(突出部)を、基板のうち半導体モジュールが実装された部分に容易に近接または当接させることができる。そのため、半導体モジュールの熱を基板を経由して板部材側に効果的に伝達することができる。したがって、半導体モジュールの熱を、カバー部材からだけでなく、板部材からも効果的に放熱することができる。さらに、突出部の厚み分、板部材のヒートマスを大きくすることができるため、半導体モジュールの熱を放熱する効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットを示す図であって、(A)はカバー部材および第1熱伝導部材を取り除いた状態を示す図、(B)は(A)のB−B線断面図。
【図2】本発明の第1実施形態による電子制御ユニットを電動式パワーステアリングシステムに適用した状態を示す概略図。
【図3】本発明の第2実施形態による電子制御ユニットの要部を示す図であって、(A)は半導体モジュールおよびその近傍を示す断面図、(B)は半導体モジュールおよびその周辺を示す上面図。
【図4】本発明の第3実施形態による電子制御ユニットの半導体モジュールおよびその近傍を示す断面図。
【図5】本発明の第4実施形態による電子制御ユニットの半導体モジュールおよびその近傍を示す断面図。
【図6】本発明の第5実施形態による電子制御ユニットの半導体モジュールおよびその近傍を示す断面図。
【図7】本発明の第6実施形態による電子制御ユニットの半導体モジュールおよびその近傍を示す断面図。
【図8】本発明の第7実施形態による電子制御ユニットの要部を示す図であって、(A)は半導体モジュールおよびその近傍を示す断面図、(B)は半導体モジュールおよびその周辺を示す上面図。
【図9】本発明の第8実施形態による電子制御ユニットの半導体モジュールおよびその近傍を示す断面図。
【図10】本発明の第9実施形態による電子制御ユニットの半導体モジュールおよびその周辺を示す上面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の複数の実施形態による電子制御ユニットを図に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による電子制御ユニットを図1に示す。電子制御ユニット1は、図2に示すように、車両の電動式パワーステアリングシステム100に用いられ、操舵トルク信号および車速信号等に基づき、操舵のアシスト力を発生するモータ101を駆動制御するものである。
【0026】
電子制御ユニット1は、図1(A)および(B)に示すように、板部材2、基板3、第1配線パターン4、第2配線パターン5、半導体モジュール6、カバー部材7および第1熱伝導部材81等を備えている。
板部材2は、例えばアルミ等の金属により、略矩形の板状に形成されている(図1(A)参照)。
基板3は、例えばガラス繊維とエポキシ樹脂からなるFR−4等のプリント配線板である。基板3は、板部材2と同様略矩形に形成され、外形は板部材2より小さい。基板3は、その板面が板部材2の板面と略平行になるよう、ねじ25によって板部材2に固定されている。
【0027】
第1配線パターン4は、本実施形態では、第1配線パターン41および42からなる。第1配線パターン41および42は、例えば銅などの金属薄膜により形成され、基板3の板部材2とは反対側の面に設けられている。
第2配線パターン5は、第1配線パターン41および42と同様、例えば銅などの金属薄膜により形成され、基板3の板部材2とは反対側の面に設けられている。
【0028】
第1配線パターン41および42、ならびに、第2配線パターン5は、例えばサブトラクティブ法あるいはアディティブ法などの方法により基板3の表面に形成されている。
なお、基板3の内部には、中間層としての配線パターン11が複数設けられている。また、基板3の板部材2側の面には、配線パターン12が設けられている(図1(B)参照)。
【0029】
図1(B)に示すように、半導体モジュール6は、半導体チップ61、樹脂体62、端子63および金属板64等を備えている。
半導体チップ61は、例えばMOSFET等の電界効果トランジスタである。半導体チップ61は、ゲートに制御信号が入力されることで、ソースとドレインとの間の電流の流れを許容または遮断する。このように、半導体チップ61はスイッチング機能を有する。
【0030】
樹脂体62は、樹脂により板状に形成され、半導体チップ61を覆っている。これにより、半導体チップ61は、外部からの衝撃、湿気等から保護されている。本実施形態では、樹脂体62は矩形の板状に形成されている。よって、樹脂体62は、一方の面621、他方の面622、および、面621と面622との間の側面(4つ)を有している。
【0031】
端子63は、金属により形成されている。本実施形態では、端子63は3つ(631〜633)設けられている(図1(A)参照)。
端子631は、一方の端部が半導体チップ61のソースに電気的に接続し、他方の端部が樹脂体62の側面から突出するよう設けられている。端子631は、樹脂体62の側面から突出した後、面621側へ折れ曲がり、さらに、先端部(他方の端部)が樹脂体62とは反対側へ折れ曲がるようにして形成されている。
【0032】
端子632は、一方の端部が、後述する金属板64を介して半導体チップ61のドレインに電気的に接続している。端子632は、他方の端部が樹脂体62の側面から突出するよう設けられている。
端子633は、一方の端部が半導体チップ61のゲートに電気的に接続し、他方の端部が樹脂体62の側面から突出するよう設けられている。端子633は、端子631と同様、樹脂体62の側面から突出した後、面621側へ折れ曲がり、さらに、先端部(他方の端部)が樹脂体62とは反対側へ折れ曲がるようにして形成されている。
【0033】
金属板64は、例えばアルミ等の金属により、板状に形成されている。金属板64は、本体部65と延出部66とからなる。本体部65と延出部66とは、板面方向で互いに接続し、一体に形成されている(図1(B)参照)。
【0034】
金属板64は、一方の面641が樹脂体62の面621と同一平面上に位置するよう、樹脂体62の面621側に設けられている。ここで、金属板64の本体部65は、面641を除いて樹脂体62に覆われている。すなわち、本体部65は、面641が樹脂体62の面621から露出している。
【0035】
金属板64の延出部66は、樹脂体62に覆われておらず、樹脂体62の側面から板面方向に延出するよう形成されている。つまり、延出部66は、金属板64のうち、樹脂体62から露出かつ延出している部分である。
また、金属板64(本体部65)は、他方の面642が半導体チップ61のドレインに電気的に接続している。
【0036】
半導体モジュール6の端子631の先端部(他方の端部)は、基板3上の第1配線パターン41に半田付けされている。また、半導体モジュール6の端子633の先端部(他方の端部)は、基板3上の第1配線パターン42に半田付けされている。さらに、半導体モジュール6の金属板64の延出部66は、基板3上の第2配線パターン5に半田付けされている。このように、半導体モジュール6は、複数個所が半田付けされることにより、基板3上における位置が安定する。
【0037】
上述のように、本実施形態では、半導体モジュール6は、基板3の板部材2とは反対側の面に表面実装されている。すなわち、半導体モジュール6は、SMDタイプの電子部品である。電子制御ユニット1には、4つの半導体モジュール6が実装されている。
【0038】
カバー部材7は、例えばアルミや亜鉛等の金属により形成されている。本実施形態では、カバー部材7は、有底の矩形箱状に形成されている。カバー部材7は、開口部が板部材2の外縁部に当接するようにして板部材2に取り付けられている。この状態では、基板3はカバー部材7の内側に位置している。そのため、基板3に実装された半導体モジュール6および後述する電子部品は、カバー部材7によって外部からの衝撃等から保護される。すなわち、カバー部材7は、基板3の半導体モジュール6側を覆うことで半導体モジュール6を保護可能に設けられている。
【0039】
カバー部材7は、図1(B)に示すように、半導体モジュール6の金属板64の延出部66に向かって突出するよう形成される第1凸部71を有している。ここで、第1凸部71は、延出部66に当接しておらず、延出部66との間に所定の隙間を形成している。
また、本実施形態では、カバー部材7は、基板3とは反対側の面の第1凸部71に対応する位置に、第1凸部71の形状に対応して凹むよう形成される第1凹部72を有している。
本実施形態では、第1凸部71および第1凹部72を、例えばプレス加工により形成することができる。あるいは、ダイカストにより第1凸部71を形成した後、切削等により第1凹部72を形成する方法も考えられる。
【0040】
第1熱伝導部材81は、本実施形態では、例えば絶縁性の放熱グリスからなる。この放熱グリスは、例えばシリコンを基材とする、熱抵抗の小さなゲル状のグリスである。第1熱伝導部材81は、図1(B)に示すように、半導体モジュール6の金属板64の延出部66および樹脂体62とカバー部材7の第1凸部71との間の隙間を埋めるようにして設けられている。
【0041】
次に、半導体モジュール6が実装される電子制御ユニット1について説明する。
図1(A)に示すように、電子制御ユニット1の基板3には、半導体モジュール6の他に、マイコン13、カスタムIC14、3つのコンデンサ15、コイル16、リレー17、18およびシャント抵抗19等の電子部品が実装されている。
【0042】
また、基板3の4つの辺のうちの1辺には、コネクタ9が設けられている。コネクタ9は、PIG(電源電圧)端子91、GND(グランド)端子92、モータ端子93等を有している(図1(A)参照)。コネクタ9には、ハーネス102が接続される(図2参照)。ハーネス102の導線103は、バッテリ105の正側とPIG端子91とを電気的に接続する。また、ハーネス102の導線104は、モータ101の巻線端子とモータ端子93とを電気的に接続する。
【0043】
コネクタ9のPIG端子91、GND端子92、モータ端子93と、半導体モジュール6、マイコン13、カスタムIC14、コンデンサ15、コイル16、リレー17、18およびシャント抵抗19とは、第1配線パターン41、42、第2配線パターン5、配線パターン11および配線パターン12等の配線パターンを介して電気的に接続している。
【0044】
ここで、第1配線パターン41は、PIG端子91に接続されている。つまり、半導体モジュール6の端子631(ソース)は、第1配線パターン41を経由してPIG端子91に接続されている。また、第1配線パターン42は、カスタムIC14に接続されている。つまり、半導体モジュール6の端子633(ゲート)は、第1配線パターン42を経由してカスタムIC14に接続されている。さらに、第2配線パターン5は、GND端子92または板部材2に接続されている。つまり、金属板64(ドレイン)は、第2配線パターン5を経由してGND端子92または板部材2に接続されている。
【0045】
マイコン13は、カスタムIC14を経由して複数の半導体モジュール6の端子633(ゲート)に制御信号を伝達することにより、半導体チップ61によるスイッチング作動を制御する。これにより、モータ端子93すなわちモータ101の巻線に流れる電流が制御される。その結果、モータ101が回転する。このように、マイコン13およびカスタムIC14は、複数の半導体モジュール6のスイッチング作動を制御することにより、モータ101の回転駆動を制御する。
【0046】
コンデンサ15は、半導体モジュール6のスイッチング(オン/オフ)作動によって生じるサージ電圧を抑制する。コイル16は、いわゆるチョークコイルであり、バッテリ105のノイズを除去する。リレー17は、PIG端子91とコイル16、コンデンサ15、半導体モジュール6との間の電流の流れを許容または遮断する。リレー18は、半導体モジュール6とモータ端子93との間の電流の流れを許容または遮断する。シャント抵抗19は、半導体モジュール6に流れる電流の大きさを検出する。これにより、マイコン13およびカスタムIC14は、シャント抵抗19で検出した電流値に基づき、モータ101の回転駆動を高精度に制御可能である。
【0047】
半導体モジュール6のスイッチング作動時、半導体モジュール6およびシャント抵抗19には比較的大きな電流が流れる。そのため、半導体モジュール6およびシャント抵抗19は発熱し、比較的高い温度になる。
図1(A)および(B)に示すように、板部材2は、半導体モジュール6およびシャント抵抗19が配置される領域に対応する部分に、基板3に向かって突出するよう形成される突出部21を有する。突出部21は、半導体モジュール6およびシャント抵抗19が配置される領域の形状(矩形)に合わせ、略矩形柱状に形成されている。
【0048】
図1(B)に示すように、半導体モジュール6の金属板64は、基板3上の第2配線パターン5に当接するとともに半田付けされている。これにより、半導体チップ61からの発熱は、金属板64および第2配線パターン5を経由して効果的に基板3に伝達される。また、板部材2の突出部21と基板3との間には、絶縁放熱シート26および放熱グリス27が設けられている。絶縁放熱シート26は、例えばシリコン等を含む熱抵抗の小さな絶縁シートである。放熱グリス27は、第1熱伝導部材81と同様、例えばシリコンを基材とする、熱抵抗の小さなゲル状のグリスである。突出部21と基板3との間の隙間を絶縁放熱シート26および放熱グリス27で埋めることにより、基板3(半導体モジュール6)の熱を突出部21へ効果的に伝達し、突出部21から放熱することができる。
このように、突出部21は、ヒートシンクとしての役割を果たす。なお、本実施形態では、基板3に配線パターン11、12が設けられているため、半導体モジュール6の熱を突出部21へ効果的に伝達することができる。
【0049】
また、本実施形態では、半導体モジュール6の金属板64の延出部66および樹脂体62とカバー部材7の第1凸部71との間には、第1熱伝導部材81(放熱グリス)が設けられている。これにより、半導体チップ61が発する熱は、金属板64(延出部66)、樹脂体62および第1熱伝導部材81を経由してカバー部材7側へ効果的に伝達される。その結果、カバー部材7を放熱用の部材として利用でき、半導体モジュール6の熱を効果的に放熱することができる。
【0050】
なお、半導体モジュール6の端子631、633は、それぞれ基板3上の第1配線パターン41、42に半田付けされているため、半導体チップ61が発する熱は、端子631、633、第1配線パターン41、42、基板3を経由して板部材2の突出部21へ伝達される。
【0051】
以上説明したように、本実施形態では、金属板64は、樹脂体62から板面方向に延出し基板3上の第2配線パターン5に半田付けされる延出部66を有している。また、カバー部材7は、金属板64の延出部66に向かって突出するよう形成される第1凸部71を有している。そして、金属板64の延出部66および樹脂体62とカバー部材7の第1凸部71との間の隙間を埋めるようにして第1熱伝導部材81が設けられている。これにより、スイッチング作動により発熱する半導体チップ61の熱を金属板64、樹脂体62および第1熱伝導部材81を経由してカバー部材7側へ伝達および放熱することができる。また、半導体チップ61の熱は、金属板64の延出部66および第2配線パターン5を経由して基板3側へも伝達され放熱される。
【0052】
このように、本実施形態では、カバー部材7に形成される第1凸部71は比較的単純な形状であり、第1凸部71と延出部66との間に第1熱伝導部材81を設けることにより金属板64の熱をカバー部材7に効果的に伝達することができる。したがって、簡単な構成により、半導体モジュール6の熱を効果的に放熱することができる。
【0053】
また、本実施形態では半導体モジュール6の熱をカバー部材7側から効果的に放熱することができるため、基板3のスペックを低減すること(配線パターンの薄銅化、基板サイズの低減等)ができる。したがって、電子制御ユニット1の低コスト化および小型軽量化を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、カバー部材7は、基板3とは反対側の面の第1凸部71に対応する位置に、第1凸部71の形状に対応して凹むよう形成される第1凹部72を有している。これにより、カバー部材7に第1凸部71を設ける場合でも、カバー部材7の体積、重量、および、部材コストの増大を抑えることができる。また、この構成のカバー部材7の場合、プレス加工のような比較的簡単な方法で形成することができる。
【0055】
また、本実施形態では、板部材2は、基板3の半導体モジュール6が実装された部分に向かって突出するよう形成される突出部21を有している。これにより、板部材2(突出部21)を、基板3のうち半導体モジュール6が実装された部分に容易に近接させることができる。また、板部材2(突出部21)と基板3との間には、絶縁放熱シート26および放熱グリス27が設けられている。この構成により、半導体モジュール6の熱を基板3を経由して板部材2側に効果的に伝達することができる。したがって、半導体モジュール6の熱を、カバー部材7からだけでなく、板部材2からも効果的に放熱することができる。さらに、突出部21の厚み分、板部材2のヒートマスを大きくすることができるため、半導体モジュール6の熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0056】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による電子制御ユニットの一部を図3に示す。第2実施形態は、金属板の延出部およびカバー部材の第1凸部の大きさ等が第1実施形態と異なる。
【0057】
図3(A)および(B)に示すように、第2実施形態では、樹脂体62からの金属板64の延出の量、すなわち、延出部66の大きさが、第1実施形態と比べ、大きく形成されている。金属板64の一方の面641のうちの延出部66の面積をSm(図3(B)に斜線の格子で示す領域の面積)、樹脂体62の一方の面621の面積をSr(図3(B)に縦横線の格子で示す領域の面積)とすると、金属板64および樹脂体62は、0.5≦Sm/Sr≦1.0の関係を満たすよう形成されている。ここで、金属板64および樹脂体62は、Sm/Sr=0.75の関係を満たすよう形成されていることが好ましい。
【0058】
また、本実施形態では、カバー部材7の第1凸部71は、延出部66の形状および大きさに対応するよう、第1実施形態よりも大きく形成されている。そして、第1熱伝導部材81は、第1実施形態と同様、金属板64の延出部66および樹脂体62とカバー部材7の第1凸部71との間の隙間を埋めるようにして設けられている。
第2実施形態は、上述した点(構成)以外は第1実施形態と同様である。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では、金属板64および樹脂体62は、0.5≦Sm/Sr≦1.0の関係を満たすよう形成されている。金属板64および樹脂体62を、0.5≦Sm/Srの関係を満たすよう形成することにより、金属板64(延出部66)の表面積および体積(ヒートマス)を所定値以上確保することができる。これにより、半導体モジュール6は、半導体チップ61が発する熱を金属板64を経由して効果的に放熱することができる。また、金属板64および樹脂体62を、Sm/Sr≦1.0の関係を満たすよう形成することにより、金属板64の重量および部材コストの増大を抑え、かつ、基板3における他の電子部品等の設置スペースを容易に確保することができる。ここで、金属板64および樹脂体62を、Sm/Sr=0.75の関係を満たすよう形成した場合、金属板64を経由した放熱の効果と重量および部材コスト増大の抑制等の効果とを両立できるとともに、それぞれの効果を最大限まで高めることができる。
【0060】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による電子制御ユニットの一部を図4に示す。第3実施形態は、カバー部材の第1凸部近傍の形状が第2実施形態と異なる。
【0061】
第3実施形態では、カバー部材7は、第2実施形態で示した第1凹部72に相当する構成を有していない。すなわち、カバー部材7の第1凸部71とは反対側の面は平面状に形成されている。第3実施形態のカバー部材7は、例えばダイカストにより形成することができる。
第3実施形態は、上述した点(構成)以外は第2実施形態と同様である。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では、カバー部材7は、第2実施形態で示した第1凹部72に相当する構成を有していない。そのため、第2実施形態と比べ、カバー部材7の重量および部材コストは増大するものの、カバー部材7(第1凸部71)の体積(ヒートマス)が増大するため、第1凸部71を経由したカバー部材7からの放熱の効果をより高めることができる。
【0063】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による電子制御ユニットの一部を図5に示す。第4実施形態は、カバー部材の形状等が第2実施形態と異なる。
【0064】
第4実施形態では、カバー部材7は、半導体モジュール6の端子631、633に向かって突出するよう形成される第2凸部73を有している。ここで、第2凸部73は、端子631、633に当接しておらず、端子631、633との間に所定の隙間を形成している。
また、本実施形態では、カバー部材7は、基板3とは反対側の面の第2凸部73に対応する位置に、第2凸部73の形状に対応して凹むよう形成される第2凹部74を有している。
【0065】
本実施形態では、第2凸部73および第2凹部74を、例えばプレス加工により形成することができる。あるいは、ダイカストにより第2凸部73を形成した後、切削等により第2凹部74を形成する方法も考えられる。
【0066】
そして、本実施形態は、端子631、632、633および樹脂体62と第2凸部73との間の隙間を埋めるようにして設けられる第2熱伝導部材82をさらに備えている。第2熱伝導部材82は、第1熱伝導部材81と同様、例えばシリコンを基材とする、熱抵抗の小さなゲル状の絶縁性のグリスである。
第4実施形態は、上述した点(構成)以外は第2実施形態と同様である。
【0067】
以上説明したように、本実施形態では、カバー部材7は第2凸部73を有し、当該第2凸部73と端子631、632、633との間に第2熱伝導部材82が設けられている。これにより、スイッチング作動により発熱する半導体チップ61の熱を端子631、632、633、樹脂体62および第2熱伝導部材82を経由してカバー部材7側へ伝達および放熱することができる。したがって、第2実施形態と比べ、半導体モジュール6の熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0068】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態による電子制御ユニットの一部を図6に示す。第5実施形態は、構成要素が1つ多い点で第4実施形態と異なる。
【0069】
第5実施形態は、半導体モジュール6の樹脂体62の他方の面622とカバー部材7との間の隙間を埋めるようにして設けられる第3熱伝導部材83をさらに備えている。第3熱伝導部材83は、第1熱伝導部材81および第2熱伝導部材82と同様、例えばシリコンを基材とする、熱抵抗の小さなゲル状の絶縁性のグリスである。本実施形態では、第1熱伝導部材81と第2熱伝導部材82と第3熱伝導部材83とは、一体となるよう設けられている。そのため、半導体モジュール6のカバー部材7側は、第1熱伝導部材81、第2熱伝導部材82および第3熱伝導部材83により覆われている。
第5実施形態は、上述した点(構成)以外は第4実施形態と同様である。
【0070】
以上説明したように、本実施形態では、半導体モジュール6の樹脂体62の他方の面622とカバー部材7との間に第3熱伝導部材83が設けられている。これにより、スイッチング作動により発熱する半導体チップ61の熱を樹脂体62および第3熱伝導部材83を経由してカバー部材7側へ伝達および放熱することができる。したがって、第4実施形態と比べ、半導体モジュール6の熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0071】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態による電子制御ユニットの一部を図7に示す。第6実施形態は、カバー部材の第1凸部近傍の形状および第2凸部近傍の形状が第5実施形態と異なる。
【0072】
第6実施形態では、カバー部材7は、第5実施形態で示した第2凹部74に相当する構成を有していない。すなわち、カバー部材7の第2凸部73とは反対側の面は平面状に形成されている。また、カバー部材7は、第1凹部72に相当する構成についても有しておらず、カバー部材7の第1凸部71とは反対側の面は平面状に形成されている。第6実施形態のカバー部材7は、例えばダイカストにより形成することができる。
第6実施形態は、上述した点(構成)以外は第5実施形態と同様である。
【0073】
以上説明したように、本実施形態では、カバー部材7は、第5実施形態で示した第1凹部72および第2凹部74に相当する構成を有していない。そのため、第5実施形態と比べ、カバー部材7の重量および部材コストは増大するものの、カバー部材7(第1凸部71、第2凸部73)の体積(ヒートマス)が増大するため、第1凸部71および第2凸部73を経由したカバー部材7からの放熱の効果をより高めることができる。
【0074】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態による電子制御ユニットの一部を図8に示す。第7実施形態は、基板上の第2配線パターンおよびカバー部材の第1凸部の大きさ等が第2実施形態と異なる。
【0075】
図8(A)および(B)に示すように、第7実施形態では、基板3上の第2配線パターン5は、金属板64の延出部66の外縁よりも外側へ大きく拡がるよう延びて形成されている。
また、本実施形態では、カバー部材7の第1凸部71は、第2配線パターン5の形状および大きさに対応するよう、第2実施形態よりも大きく形成されている。
さらに、第1熱伝導部材81は、第2配線パターン5と第1凸部71との間の隙間を埋めるよう延びて形成されている(図8(A)および(B)参照)。
第7実施形態は、上述した点(構成)以外は第2実施形態と同様である。
【0076】
以上説明したように、本実施形態では、基板3上の第2配線パターン5は、金属板64の延出部66の外縁よりも外側へ大きく拡がるよう延びて形成されている。そして、第1熱伝導部材81は、第2配線パターン5と第1凸部71との間の隙間を埋めるよう延びて形成されている。これにより、金属板64の延出部66から基板3上の第2配線パターン5へ伝達した熱を、第1熱伝導部材81を経由してカバー部材7側へ伝達および放熱することができる。したがって、半導体モジュール6の熱を放熱する効果をより高めることができる。
【0077】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態による電子制御ユニットの一部を図9に示す。第8実施形態は、カバー部材の第1凸部近傍の形状が第7実施形態と異なる。
【0078】
第8実施形態では、カバー部材7は、第7実施形態で示した第1凹部72に相当する構成を有していない。すなわち、カバー部材7の第1凸部71とは反対側の面は平面状に形成されている。
第8実施形態は、上述した点(構成)以外は第7実施形態と同様である。
【0079】
以上説明したように、本実施形態では、カバー部材7は、第7実施形態で示した第1凹部72に相当する構成を有していない。そのため、第7実施形態と比べ、カバー部材7の重量および部材コストは増大するものの、カバー部材7(第1凸部71)の体積(ヒートマス)が増大するため、第1凸部71を経由したカバー部材7からの放熱の効果をより高めることができる。
【0080】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態による電子制御ユニットの一部を図10に示す。第9実施形態は、基板上の第2配線パターンの形状が第7実施形態と異なる。
【0081】
図10に示すように、第9実施形態では、基板3上の第2配線パターン5は、パターン51とパターン52とからなる。パターン51は、第2実施形態で示した第2配線パターン5と同様の大きさおよび形状(矩形)に形成されており、半導体モジュール6の金属板64に当接している。パターン52は、パターン51の3辺を取り囲むよう、コ字状に形成されている。これにより、パターン51とパターン52との間には、コ字状の隙間Cが形成されている。この隙間Cは、例えば基板3上にコ字状のレジストを設けた上で、第2配線パターン5を形成することにより形成可能である。なお、パターン52の外縁の形状は、第7実施形態で示した第2配線パターン5の外縁に略一致する。第1熱伝導部材81は、第2配線パターン5(パターン51およびパターン52)と第1凸部71との間の隙間を埋めるよう延びて形成されている
第9実施形態は、上述した点(構成)以外は第7実施形態と同様である。
【0082】
本実施形態では、金属板64の延出部66を第2配線パターン5に半田付けするとき、例えば半田および延出部66をパターン51に載せ、半田を溶かすことで半田付けを行う方法を採用することができる。本実施形態ではパターン51とパターン52との間にはコ字状の隙間が形成されているため、半田付けを行うとき、溶けた半田がパターン51からパターン52まで流れる(移動する)ことが抑制される。そのため、半導体モジュール6を基板3に実装するときの位置ずれを抑制でき、ロボットまたは装置等により半田付けを自動化することも容易である。
【0083】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、第1熱伝導部材、第2熱伝導部材および第3熱伝導部材を、放熱グリスにより形成する例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、第1熱伝導部材、第2熱伝導部材または第3熱伝導部材を、例えばシリコン等を含む熱抵抗の小さな絶縁シート(絶縁放熱シート)により形成してもよい。
また、本発明の他の実施形態では、半導体モジュールの金属板がグランド(ドレイン)用端子として用いられるのであれば、カバー部材の第1凸部と金属板の延出部とは当接していてもよい。
【0084】
上述の実施形態では、板部材の突出部と基板との間に絶縁放熱シートおよび放熱グリスを設ける例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、板部材と基板との間に設けられる絶縁放熱シートおよび放熱グリスの配置順序はどのようであってもよい。また、板部材と基板との間には、絶縁放熱シートおよび放熱グリスのいずれか一方のみ配置することとしてもよい。さらに、板部材と基板とを密に当接することができる場合、板部材と基板との間に絶縁放熱シートまたは放熱グリスを設けない構成としてもよい。
【0085】
また、本発明の他の実施形態では、板部材は突出部を有していなくてもよい。また、板部材と基板とは、当接せず、あるいは、間に絶縁放熱シートまたは放熱グリス等を介さず、所定のクリアランスが形成された状態で設けられることとしてもよい。
【0086】
また、本発明の他の実施形態では、阻害要因がない限り、上述の複数の実施形態をどのように組み合わせて実施してもよい。
本発明による電子制御ユニットは、電動式パワーステアリングシステムに限らず、他のシステムのモータの回転駆動を制御するのに用いてもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 ・・・・電子制御ユニット
2 ・・・・板部材
3 ・・・・基板
4、41、42 ・・・第1配線パターン
5 ・・・・第2配線パターン
6 ・・・・半導体モジュール
61 ・・・半導体チップ
62 ・・・樹脂体
63、631、632、633 ・・・端子
64 ・・・金属板
66 ・・・延出部
7 ・・・・カバー部材
71 ・・・第1凸部
81 ・・・第1熱伝導部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の板部材と、
前記板部材に設置される樹脂製の基板と、
前記基板の前記板部材とは反対側の面に設けられる第1配線パターンおよび第2配線パターンと、
スイッチング機能を有する半導体チップ、当該半導体チップを覆うよう形成される板状の樹脂体、前記半導体チップに電気的に接続するとともに前記樹脂体から突出し前記第1配線パターンに半田付けされる複数の端子、および、一方の面が前記樹脂体の一方の面から露出するとともに他方の面が前記半導体チップに電気的に接続する金属板を有し、前記樹脂体の一方の面が前記基板に対向するようにして前記基板の前記板部材とは反対側の面に表面実装される半導体モジュールと、
前記基板の前記半導体モジュール側を覆うことで前記半導体モジュールを保護可能に設けられる金属製のカバー部材と、を備え、
前記金属板は、前記樹脂体から板面方向に延出し前記第2配線パターンに半田付けされる延出部を有し、
前記カバー部材は、前記延出部に向かって突出するよう形成される第1凸部を有し、
前記延出部および前記樹脂体と前記第1凸部との間の隙間を埋めるようにして設けられる第1熱伝導部材をさらに備えることを特徴とする電子制御ユニット。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記基板とは反対側の面の前記第1凸部に対応する位置に、前記第1凸部の形状に対応して凹むよう形成される第1凹部を有することを特徴とする請求項1に記載の電子制御ユニット。
【請求項3】
前記第2配線パターンは、前記延出部の外縁よりも外側へ大きく拡がるよう延びて形成され、
前記第1熱伝導部材は、前記第2配線パターンと前記第1凸部との間の隙間を埋めるよう延びて形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子制御ユニット。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記複数の端子に向かって突出するよう形成される第2凸部を有し、
前記複数の端子および前記樹脂体と前記第2凸部との間の隙間を埋めるようにして設けられる第2熱伝導部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記基板とは反対側の面の前記第2凸部に対応する位置に、前記第2凸部の形状に対応して凹むよう形成される第2凹部を有することを特徴とする請求項4に記載の電子制御ユニット。
【請求項6】
前記樹脂体の他方の面と前記カバー部材との間の隙間を埋めるようにして設けられる第3熱伝導部材をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項7】
前記金属板の一方の面のうちの前記延出部の面積をSm、前記樹脂体の一方の面の面積をSrとすると、
前記金属板および前記樹脂体は、0.5≦Sm/Sr≦1.0の関係を満たすよう形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項8】
前記金属板および前記樹脂体は、Sm/Sr=0.75の関係を満たすよう形成されていることを特徴とする請求項7に記載の電子制御ユニット。
【請求項9】
前記板部材と前記基板との間に、絶縁放熱シートおよび放熱グリスの少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。
【請求項10】
前記板部材は、前記基板の前記半導体モジュールが実装された部分に向かって突出するよう形成される突出部を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の電子制御ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−79741(P2012−79741A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220747(P2010−220747)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】