説明

電子商取引システム及び方法

【課題】少額のマイクロペイメント取引を容易かつ一度のログインで行う。
【解決手段】マイクロペイメント・サービス・プロバイダ60によって電子トークンが発行され、該トークンにより、ユーザ50はベンダー55によって提供される商品を購入・レンタルする。ユーザ50は、プロバイダのサイトに一度アクセスすると、所定期間中、複数のベンダー55のウエブページを訪問できる。ユーザの口座の無許可使用を防止し、ベンダーのサイトからのコンテンツの無許可ダウンロードを防止し、取引データの無許可改変を防止するために、ベンダー及びユーザに対するセキュリティ手段を提供する。サービス・プロバイダ60とベンダー55との間の支払いの決済は、所定の金額又は時間の限界値に達したときにまとめて行われる。よって、取引コストを削減することができ、少額の取引であっても、手数料が比較的安価になる。

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ・アイテム又はサービスを購入するために、マイクロペイメントを必要とする電子商取引を実行するシステム及び方法に関し、より詳細には、高い取引コストを発生させることなく、簡単かつ安全で私的な方法で、デジタル・コンテンツを購入するためのシステム及び方法に関する。
【0002】
なお、本願は、2001年1月2日出願の米国特許出願第09/753,784号の一部継続出願であり、これは2000年9月18日出願の米国特許出願第09/665,237号の一部継続出願であり、これは2000年4月21日出願の米国特許出願第09/553,695号の一部継続出願である。本出願は、2000年1月26日出願の米国暫定出願第60/178,239号及び、2001年8月9日出願の米国暫定出願第60/311,446号の優先権も主張している。
【従来の技術】
【0003】
インターネット及びワールド・ワイド・ウェブ(以下「ウェブ」と呼ぶ)は、情報を伝達し共有する方法に、急激な変化をもたらした。インターネットは、如何なるときにも、世界中の数百万のユーザが非常に多様な情報に同時にアクセスし、とりわけショッピング、ゲーム及び金融取引などの広範な履歴を行うことを可能にしている。
【0004】
ユーザは、インターネット・アクセス・システムを備えた電子装置である、各種の「インターネット・アプライアンス」を介して、インターネット情報にアクセスできる。インターネット・アプライアンスは、パーソナル・コンピュータ及びポータブル・コンピュータなどのマイクロプロセッサ・ベースの装置や、携帯情報端末(PDA)やエレクトロニック・オーガナイザ(電子手帳)などのハンドヘルド・アプライアンスを含むが、これらに限定されない。
【0005】
通常、情報へのアクセスは、「ウェブ・ブラウザ・ソフトウエア」によって「ウェブ・ブラウザ・ウィンドウ」上でユーザに表示されるマルチメディア・コンポジションである、「ウェブ・ページ」への接続を介して行う。ユーザの制御の下で、ウェブ・ブラウザ・ソフトウエアは、ユーザのインターネット・アプライアンスと「ウェブ・サーバ」との間において、インターネット上での接続を確立する。この接続は、ウェブ・サーバからユーザのインターネット・アプライアンスに、ウェブ・ページを表すデータをダウンロードするために用いられる。ウェブ・ページは、テキスト、オーディオ、グラフィックス、イメージ及びビデオ、並びに、コンピュータ又は他の電子装置の使用を介して経験できるあらゆる種類のコンテンツ表現を含むことができる。また、ウェブ・ページは、インタラクティブすなわち対話型にすることもできるし、他のウェブ・ページを表示させるためのユーザ選択のリンクや、ユーザからウェブ・サーバに情報を送信するために用いることができるフォーム、対話型実行可能コード又は、ユーザがウェブ・ページと対話できるようにする他の要素を含むこともできる。1又は複数のウェブ・サーバに設けられた、1つの企業に関する情報を含む全てのウェブ・ページなどの、1又は複数の相互に接続され密接に関連したウェブ・ページのグループを「ウェブ・サイト」と呼ぶ。
【0006】
現在、ユーザから見て急速に成長しているウェブ・サイトの多くは、多様な販売用のコンテンツ、サービス、及び有形の商品を提供する電子商取引(「eコマース」)ウェブ・サイトである。かかるコンテンツは、新聞記事、音楽、映画、ゲーム、ビデオ、及びソフトウエア、あるいは、電子的な形態で購入し配達することができる他の無形の商品を含むが、これらには限定されない。eコマース・ウェブ・サイトで販売の申し出がなされるサービスの例は、とりわけ、オンライン・テクニカル・サポート、医療及び法律の助言、並びに個人的なフィットネス・トレーニングを含む。オンラインで提供される有形の商品は、書籍、衣服、食品、及び玩具から、美術品、自動車、家、及び家具などのより高価な品物や、消費者に直接出荷できる他の商品まで様々である。
【0007】
有形の商品が関係する電子商取引は、通常、ユーザがeコマース・ウェブ・サイトを直接訪問するか、多様な商品カテゴリに関するeコマース・ウェブ・サイトのリストを表示する「eコマース・アグリゲータ」ウェブ・サイトを訪れることで始まる。たとえば、ユーザは、Amazon.comのウェブ・サイトに行って、ワシントン州シアトルのAmazon.com, Inc.から直接書籍を購入することができるし、カリフォルニア州サニーベールのYahoo!, Inc.によって維持されているショッピング・eコマース・アグリゲータ・ウェブ・サイトに行って、Amazon.com及びBarnesandnoble.comを含む多数のオンライン書店で、書籍を捜すことができる。
【0008】
1又は複数の有形の商品の購入に至るeコマース取引を完了するために、ユーザは通常、以下の2つのステップに従う。第1のステップは、時間をかけてeコマース・ウェブ・サイトを閲覧して所望の有形の商品を捜すものであり、そのときのインターネット・トラフィック条件や、ウェブ・サイトの設計や利便性に応じて、数秒から数時間かかる場合がある。ユーザによって選択された有形の商品は、電子「ショッピング・カート」に集められるが、これは、食料品店のショッピング・カートと同様に、ユーザが閲覧して購入したいもののみを入れながら、選択した有形の商品のリストを更新することを可能にする。第2のステップにおいて、ショッピング・カートを更新した後に、ユーザは「チェックアウト」処理を通る必要があり、この処理において、ユーザは、取引を完了するために必要な全ての関連情報を、eコマース・ウェブ・サイトで提供される多数の様式上で入力する。チェックアウト処理中に必要とされる情報は、ユーザの氏名、住所、eメール、支払情報、及びショッピング情報を含む場合がある。ほとんどのeコマース・ウェブ・サイトは、チェックアウト処理を高速化するために、将来のウェブ・サイト訪問用に、この情報を保存したいかどうかもユーザに尋ねる。ユーザは、今後の購入に用いる「ログイン」ユーザID及びパスワードを選択することができる。
【0009】
現在、eコマース・サイトで有形の商品を購入するために、ユーザが選択できる方法は多数ある。最も普及している支払い方法で利用可能な唯一の支払い方法は、クレジット・カード払いであり、ユーザは、eコマース・ウェブ・サイトにクレジット・カード番号を提供するだけで済む。そして、eコマース・ウェブ・サイトは、取引を完了する前に、適宜の金融機関へ安全な通信を介してそのクレジット・カード番号を確認する。ユーザが利用できる他の支払い方法には、ベンダーとの間で定める個人口座、ギフト・サーティフィケート又は電子クーポン、カリフォルニア州ロサンゼルスの南カリフォルニア大学の情報科学研究所で開発されたネットチェック・システムによって提案された電子小切手、数種類の電子通貨の使用、及び、様々なインターネット支払いサービス・プロバイダによって提供される電子支払いサービスの使用などがある。
【0010】
これらの支払い方法のうちで最も簡単なのは、ユーザが各eコマース・ベンダーとの間で個人口座を定めることである。ユーザは、ベンダー毎に別々の口座を有し、ベンダーは顧客毎に口座を維持する。ユーザがベンダーのウェブ・サイトで商品を購入するときには、ユーザは口座を開き、ベンダーはユーザの口座にその商品のコストを加算する。ベンダーは口座情報を維持し、定期的にユーザに請求を行う。
【0011】
ユーザが簡単に使用できる別の支払い方法には、ワシントン州ボセルのeCash Technologies, Inc.によって提案された「Digicash(デジキャッシュ)」、ニューヨーク州ニューヨークのInternetCash Crop.によって提案された「InternetCash(インターネットキャッシュ)」及び、ニューヨーク州ニューヨークのBeenz.com, Inc.によって提案された「Beens(ビーンズ)」などの電子通貨などがある。デジキャッシュ通貨及びインターネットキャッシュ通貨は、選定された銀行によってユーザに発行されるものであり、クレジット・カードを用いずに有形の商品を購入するために、選定されたeコマース・ウェブ・サイトで用いることができる。デジキャッシュ通貨システムは、ユーザを認証してデジキャッシュで行われる支払いのセキュリティを保証する、暗号化及び署名技術に依拠している。ユーザは如何なる金額の実通貨をデジキャッシュと交換してもよいが、インターネットキャッシュは、プリペイド・カードによる所定の券種でのみ購入できる。デジキャッシュ及びインターネットキャッシュは共に、ユーザ及びeコマース・ウェブ・サイトが、電子通貨と実通貨との間の換算を行うために、認可銀行との取り決めを行うことを要求する。
【0012】
デジキャッシュやインターネットキャッシュとは異なり、ビーンズ通貨は、ユーザが購入することはできず、むしろ特定のウェブ・サイトを訪問することや、選択したサイトでオンラインでショッピングを行うことや、他の種類のオンライン履歴のためのインセンティブとして、ユーザが獲得できるだけである。そして、ユーザは、獲得したビーンズ通貨を用いて選択したウェブ・サイトで商品を購入できるが、この通貨は認可銀行を介してのみ、eコマース・ベンダーによって実通貨に換算できる。
【0013】
また、電子通貨に関する多数の特許も発行されている。その中には、Turk他に付与された米国特許第5,983,207号や、Turkに付与された米国特許第5,671,364号があり、これらは中央の場所に保持された金又は他の何らかの商品に基づいた電子通貨システムを解説している。Ohta他に付与された米国特許第4,977,595号は、電子キャッシュを発行するために銀行が用いることができる暗号化技術を説明している。上記で説明した他の電子通貨システムと同様に、これらの特許で説明されている方法は、ユーザの口座を管理して取引を処理するために、銀行などの中央機関を用いている。かかる電子通貨システムは、これら様々な形態の電子通貨を受け入れるベンダーと電子通貨と交換で商品を購入するユーザが共に、銀行などの中央機関と取り引きしなければならないという点で、当然ながらオーバーヘッド・コストが必要となる。また、かかるシステムにおいては、操作が複雑であり、ユーザがコンテンツURLをクリックするだけでコンテンツをオンラインで購入することができるものではない。これらのシステムは、数セントしかかからない単純なコンテンツ購入のために、ユーザが多くの処理を通過することを必要としている。
【0014】
有形の商品の購入に対して電子的な支払いをオンラインで行うために用いることができる別の手法は、インターネット支払いサービス・プロバイダによって開発された様々なシステムによって提供されている。かかるシステムの1つは、カリフォルニア州マウンテンビューのRocketCash Corporationによって提供されている。RocketCash(ロケットキャッシュ)システムは、ユーザがウェブ・サイトに口座を開設し、小切手、為替又はクレジット・カードを用いてその口座に金銭を入れることを可能にしている。そして、ユーザは、ロケットキャッシュ口座を介した支払いを受け入れる、ロケットキャッシュ・ウェブ・サイトに記載されたeコマース・ウェブ・サイトの1つで、有形の商品を購入できる。ロケットキャッシュ口座を受け入れるeコマース・ウェブ・サイトは、ユーザがロケットキャッシュ・ウェブ・サイトにおいてリストアップされたeコマース・ウェブ・サイトに接続するためには、まずロケットキャッシュ・ウェブ・サイトを通らなければならないように、ロケットキャッシュ・ウェブ・サイトによって管理されている。ユーザは、航空会社でフリークエント・フライヤー・マイルを授与されるのと同様に、ロケットキャッシュ口座を使用することに対するインセンティブとして、「RocketFuel(ロケットフュエル)」と呼ばれる償還可能なポイントも授与される。また、ロケットキャッシュは、選択されたeコマース・ウェブ・サイトでユーザにディスカウントを提供することもできる。
【0015】
ユーザが容易に使用できる別の支払い方法には、ニューヨーク州ニューヨークのCitigroup, Inc.のシティバンクによって開発された「c2it」や、カリフォルニア州パロアルトのPayPal, Inc.によって開発された「PayPal(ペイパル)」などの電子パーソン・ツー・パーソン(「P2P」)システムなどがある。「c2it」及び「ペイパル」のP2Pシステムは、ある人から別の人にeメールを介してオンラインで資金を送信するために用いられる。ユーザは、ウェスタン・ユニオン電子送金と同様に、口座を開設した別のユーザに資金を送ることができる。ユーザは、自分の銀行口座及び/又はクレジット・カードに資金を預けてから、自分のeメール・アドレスを介して資金を送信する。資金移転を容易にするために、この送金は依然として第三者の銀行に依存している。オークション・サイト等から有形の商品を購入する場合に、バイヤーからセラーに送金するために、かかるP2Pシステムが用いられる。これらのシステムは、オンライン・コンテンツを容易に購入ことに適するものではない。
【0016】
上記で説明したように、eコマース・ウェブ・サイトでの有形の商品の購入に利用可能な様々の支払い方法があるが、これらの支払い方法は、コンテンツのオンライン購入には適さない。オンラインで販売の申し出がなされるほとんどの有形の商品とは異なり、コンテンツは通常無料で提供され、購読料ベースのモデルにおいて他のコンテンツとバンドルされるか、恒久的な使用、レンタル使用、パーユース、又はパービューのベースで価格付けされる。コンテンツに加えて、オンライン・テクニカル・サポートなどのサービスも、ペイパー・ユース・ベースで提供される場合がある。
【0017】
各コンテンツ・アイテムの価格は、数セントから数ドルあるいは、1セントにも満たない金額になる場合もある。コンテンツのこれらの価格は、クレジット・カード取引を処理すること、又は購読料ベースのモデルと関連づけられた典型的な料金よりも、遙かに少額である。そのため、これらの支払いは「マイクロペイメント」と呼ばれる。
【0018】
マイクロペイメントを必要とするeコマース取引には、ベンダーのウェブ・サイト、クレジット・カード支払い、電子通貨、及び、上記で説明したインターネット支払いサービス・プロバイダによって提供される様々なシステムで個人の口座には一般的である、処理料金及び手数料のオーバーヘッド・コストを発生させない支払い方法を提供することが必要である。クレジット・カード会社は、購入金額にかかわらず商取引の時点で直ちに支払いを決済することにより、支払いを決済するコスト及び、クレジット・カード会社が数百万のマイクロペイメント及びクレジット・カード料金を管理するオーバーヘッド・コストを非経済的なものにしているので、クレジット・カードを用いたマイクロペイメントを必要とするコンテンツ、有形の商品又はサービスの購入は実現可能ではない。また、クレジット・カード会社は、オーバーヘッド・コストを増大させマイクロペイメント取引には必要ない、個々の商品の会計、保険、及び、詐欺に対する保護などの様々な特徴を提供する場合がある。マイクロペイメントを行うためにクレジット・カードを使用することに伴う別の問題は、ユーザは、知らないか信頼していないベンダーにクレジット・カード番号を知らせることに気が進まないことである。クレジット・カードはあらゆる損失に対してユーザに保険を付けることができるが、ユーザは、依然として、クレジット・カードに関する処理の不都合を被うことになる。
【0019】
マイクロペイメント取引の支払いを行うために電子通貨を用いることは、電子通貨を実通貨と交換し、逆に、実通貨を電子通貨と交換するために、中央の銀行機関に頼ることをユーザ及びコンテンツ・プロバイダに求め、中央の銀行機関によって請求される通貨交換料金及び他の料金を伴う取引コストがマイクロペイメント自体よりも高くなり得るので、これも経済的に実現可能ではない。また、中央の銀行機関が電子通貨の発行を管理するので、電子通貨を受け入れるeコマース・ベンダーは、電子通貨の価値、その販売価格、及びそれを購入できる条件又は、その電子通貨を誰に販売するかに関する統制力を有していない。たとえば、ユーザは、電子通貨について、銀行又は他の第三者金融機関に支払いを行わなければならず、eコマース・ベンダー及びユーザの両方を、銀行及び第三者金融機関の方針に従属させ依存させることになるので、有形の商品、コンテンツ、又はサービスのeコマース・ベンダーが、電子通貨に関する支払い条件についてそのユーザと合意することは必ずしも可能ではない。
【0020】
ロケットキャッシュ・システムによって提供される支払いの代替策も、ユーザは、認可されたeコマース・ウェブ・サイトであらゆる商品を購入する前に、ロケットキャッシュのウェブ・サイトを通ってロケットキャッシュの口座に入れる必要があるので、ユーザにとっては面倒である。ユーザが数セントのマイクロペイメントを1回だけ行うことを望む場合でも、ユーザは依然として、マイクロペイメントを行う前に、クレジット・カード、小切手、又は為替から控除される金銭でロケットキャッシュの口座に入金することを求められる。支払いは直ちに決済されるので、ユーザは、クレジット・カード、小切手及び為替の支払いに関連した全てのオーバーヘッド・コスト、並びに取引コストの問題を被る。
【0021】
マイクロペイメントを処理するためにロケットキャッシュ・システムを用いることに伴う別の問題は、ロケットキャッシュ口座を支払いとして受け入れるeコマース・ウェブ・サイトが、取引を完了するために、ショッピング・カート及びチェックアウト処理を要求することである。ニュース・アーカイブスの記事の販売の申し出を行う様々なeコマース・ウェブ・サイトを閲覧するときには、たとえば、あらゆるサイトでショッピング・カートを用いてチェックアウト処理を遂行して、1又は複数のeコマース・ウェブ・サイトからの1つの記事又は記事のグループを購入することは、一般的に、ユーザにとって実用的ではない。また、1つのウェブ・サイトから別のウェブ・サイトへと閲覧してサーフィンし、そして最初のウェブ・サイトに戻って、閲覧しているか調査している記事を購入することは、ショッピング・カートを用いた、かかる記事の購入を長ったらしく時間浪費的なものにしてしまう。ニュース記事がたとえば僅か5セントの価格であるとすれば、ユーザは、全て数クリックの範囲内で、記事のタイトルをクリックして、その支払いを行ってから、直ちにそれを読みかつ/又は印刷できることを望むであろう。そして、ユーザは、同じ又は異なったウェブ・サイトで提供されている他の記事を調査又は閲覧することに移ることを望むであろう。
【0022】
音楽の場合には、たとえば、ユーザは、異なったコンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトをサーフィンしながら、1曲又は数曲をダウンロードしたいが、ショッピング・カートを用いて購読を約束するか又は全てのCDを購入したいとは必ずしも思わない場合がある。ショッピング・カートを用いるか否かにかかわらず、ユーザがチェックアウト処理を通る必要があるのであれば、かかる処理はコンテンツの購入を非常に不便で、長ったらしく時間浪費的なものにし、これにより、ユーザにコンテンツの購入処理を継続することを思いとどまらせてしまう。
【0023】
ロケットキャッシュが提案したシステム等において、クレジット・カード、電子通貨、又はインターネット支払いサービス・プロバイダのシステムを用いてコンテンツの購入に関するマイクロペイメントを処理することの困難さがあり、コンテンツの販売申し出を行うコンテンツ・プロバイダのほとんどは、購読料ベースの価格設定モデルを採用している。購読料モデルは通常、支払いにクレジット・カードを用いることを正当化するのに十分な金額であり、毎月、毎四半期又は毎年の固定料金を各ユーザに請求する。購読料に基づいてユーザにコンテンツを提供するコンテンツ・プロバイダの例には、ニューヨーク州ニューヨークのウォールストリートジャーナル及び、ニューヨーク州ニューヨークのEDGAR Online, Inc.などがある。購読料に加えて、ウォールストリートジャーナルは、ジャーナル・アーカイブスの記事について割増料金を支払うこともユーザに求めている。
【0024】
しかし、かかる購読料ベースのモデルも、マイクロペイメント取引を扱うには適していない。第1に、購読方法は各ユーザが購読期間中にどれほど多くのコンテンツをダウンロードできるかについて制限していないため、各ユーザはあらゆる項目のコストを気にすることなく無制限の数のコンテンツ項目をダウンロードできるので、購読料ベースのモデルは著しく非経済的であって法外に高いコストである。第2に、購読料ベースのモデルは、あらゆるコンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトを購読する必要なくして、時宜に応じてあるいは様々なコンテンツ・プロバイダからコンテンツを購入するという柔軟性を、ユーザに提供しない。ユーザは、多額の購読料とサイトに購読を登録するための時間とを正当化するのに十分なほど頻繁に、所与のコンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトを使用するということを、予め分からない場合がある。
【0025】
最後に、購読料の支払いに基づいて無制限な量のコンテンツをダウンロードするときには、1つの固定料金に基づいてロイヤリティを容易に分配することができないので、著者、発行者及びミュージシャンなどの知的財産権所有者に報酬を支払うことは極めて困難である。コンテンツ・プロバイダが、ダウンロードされた各コンテンツと関連づけられたロイヤリティを支払うことを望む場合であっても、コンテンツ・プロバイダは、コンテンツを容易に識別して、そのコンテンツの知的財産権所有者への支払いのために関連づけられたロイヤリティを計算するには、限定的な手段しか有していない。
【0026】
マイクロペイメント取引を効率的に処理できる支払い方法に対する必要性に取り組むために、マイクロペイメント取引に焦点を合わせた多数のシステムが開発されてきた。かかるシステムは、英国ロンドンのMagex Limited、テキサス州ヒューストンのコンパック・コンピュータ社、マサチューセッツ州ウィリアムズタウンのClickshare Service Corporation、及び、ワシントン州シアトルのQPass, Inc.などの、様々なマイクロペイメント・サービス・プロバイダによって提供されるシステムを含む。これらのシステムの全てが、ユーザ及びeコマース・ベンダーがマイクロペイメント取引をオンラインで行うことを可能にしているものの、これまでマイクロペイメント取引がウェブ上で普及することを妨げてきた幾つかの欠点がある。
【0027】
Magexによって開発されたシステムは、マイクロペイメント取引、高度多通貨能力、多口座資金調達オプション及び柔軟なベンダー決済を支援する金融精算サービスを提供し、購入されたデジタル(たとえば、ゲーム、ギャンブル)及び物理的な商品の両方を精算することにより、ネットワーク・オペレータが、ゲーム、ペイパービュー映画、及び情報サービスなどの商品、コンテンツ及びサービスを販売することを可能にする。ウェブ・サイトを閲覧しならが、ユーザは音楽トラック、ビデオゲーム又は小説をダウンロードできる。ベンダーのウェブ・サイトのMagexロゴは、コンテンツがDigibox(デジボックス)(登録商標)コンテナ、すなわち、海賊行為からファイルを保護する安全なコンテナの中で保護されているかどうかをユーザに知らせる。ファイルを開くために、ユーザはMagex 財布(wallet)を作成し、Magexによって開発されたソフトウエアをダウンロードして独自のユーザID及びパスワードを作成する必要がある。ユーザは、自分の財布に資金を入れて、財布の中の資金を用いて、ダウンロードした音楽に対する支払いを行うことができる。
【0028】
Magex財布は、一連の支払いオプションも提供して、ユーザがペイパープレイ、設定時間のコンテンツの賃借、又は無条件の購入の選択を行うことを可能にする。しかし、Magexシステムは、音楽を購入するためにのみ用いることができ、ユーザのコンピュータ用の、それ独自のMP3暗号化システムに限定される。ユーザは、MP3プレーヤなどの他のあらゆるMP3プラットフォームで音楽を聞くことはできない。ユーザは、オープン・システム・フォーマットの他のあらゆるコンテンツを購入できない。また、この購入方法は、ショッピング・カート及びチェックアウト処理に依存しているが、これらはオンラインでのマイクロペイメント取引には不便である。
【0029】
オンラインでのマイクロペイメント取引を可能にする別のシステムは、コンパック・コンピュータ社によって開発されたMilliCent(ミリセント)システムである。ミリセント・システムは、インターネット上でのeコマースに関するミリセント・セキュア・プロトコルに基づいている。このプロトコルは、1セント未満の購入を支援するように設計されており、ペイパークリック(クリック回数に依存する支払)購入、購読及び広告の同時使用を介して、有形の商品、コンテンツ、又はサービスに関して請求を行うために、eコマース・ウェブ・サイトが用いることができる。このプロトコルは、ユーザに直接金銭の支払いを行うために用いることもできる。
【0030】
ミリセント・プロトコルは、会計仲介者としての役割を果たすブローカを介して、ユーザがeコマース・ウェブ・サイトで商品を購入することを可能にする。ブローカは、銀行やクレジット・カード会社などのオンライン上に存在する金融機関や、インターネット・サービス・プロバイダ、又は、ユーザとeコマース・ベンダーとの間のオンライン金融取引を調停するために特に創設された単一のブローカ事業体であってもよい。ユーザ及びベンダーの両方がブローカに口座を開設し、そのブローカに開設した口座を、支払いメカニズムとして用いる。かかる口座は「スクリプト」と呼ばれ、スクリプトが特定の値を有することを認証する署名入りメッセージからなる。
【0031】
典型的な現金とは異なり、スクリプトは満了日や、スクリプトを償還することができるベンダーのIDなどの他のパラメータを含む。すなわち、スクリプトは指定されたベンダーで使われるときにのみ価値を有する。ユーザは、まずブローカでスクリプトを購入してから、ベンダーのウェブ・サイトでそのブローカ・スクリプトを用いて、ベンダーのサイトで商品を購入するのに用いることができるベンダー・スクリプトを購入することにより、ベンダーから所与の価値を有するスクリプトを購入できる。ベンダー・スクリプトは予め指定された価値を有するので、ユーザは、スクリプト未満の価値の商品を購入したときは常に、「つり銭スクリプト」を受け取る。一連の取引を完了すると、ユーザはスクリプトの残りの価値を「現金化」する、すなわちベンダーとの口座を閉じることができる。ブローカは、ベンダー・スクリプトを大量にかつ値引きで購入し、そのベンダー・スクリプトをより高い価格でユーザに販売することにより利益を得る。
【0032】
ミリセント・プロトコルは安全であり、ベンダー、ユーザ及びブローカの詐欺を防止するように設計されているが、商品を購入するためにユーザをベンダー・ウェブ・サイトに直接行かせる柔軟性は有していない。多数のベンダー口座を持つためにユーザに課されるオーバーヘッド・コストは、ユーザが多数のベンダーと思いつきでマイクロペイメント購入を行うことを諦めさせている。さらに、ベンダー・スクリプトは所定の価値でのみ販売されるので、ユーザは、スクリプトの価値未満の価格の、ユーザが関心のある1又は数個の商品を購入するために、ベンダーとの関係を確立することを望まない場合がある。また、ミリセント・システムはブローカに統制力を与えすぎており、ベンダー・スクリプトを購入できる前に、まずブローカ・スクリプトを購入しなければならないユーザに、余分なコストとオーバーヘッド・コストを課す。最後に、ユーザは、数セントの1回のマイクロペイメント取引を行うことができる前に、まずクレジット・カード、小切手又は為替でブローカ・スクリプトを購入しなければならないので、クレジット・カード、小切手及び為替での支払いに関連したオーバーヘッド取引コストの問題の全てを依然として被っている。
【0033】
クリックシェアによって提供されるマイクロペイメント・システムは、まず資金を口座に入れる必要なしに、ユーザに、クリックシェアによって維持されているウェブ・サイトに記載された参加ウェブ・サイトで、コンテンツの購入に対してオンラインでマイクロペイメントを行わせることにより、この問題を排除している。ユーザは、まず、ユーザ名とパスワードを有するクリックシェア口座を開くために、「最も信頼する」参加ベンダーに登録しなければならない。ユーザは、総額で十分に高い価値になる十分な取引を行った後にのみ、クリックシェアによって請求が行われる、クレジット・カード番号を指定する。最も信頼するウェブ・サイトで開かれたクリックシェア口座は、コンテンツ・アイテムを購入する前に各ベンダーのウェブ・サイトで1回だけユーザの氏名とパスワードを入力することにより、他の全ての参加ベンダーで用いることができる。続いて、ユーザは、購入するコンテンツ・アイテム毎にユーザの氏名及びパスワードを再入力する必要なしに、同じウェブ・サイトからコンテンツ・アイテムを購入できる。最も信頼するウェブ・サイトは、新聞、インターネット又は無線サービスのプロバイダ、銀行、協会、小売業者、郵便あるいは、テキスト、音楽、ビデオ、マルチメディア、ソフトウエア又はサービスを販売又は再販売する専門出版社であってもよい。
【0034】
クリックシェア・システムの主な利点は、ユーザがベンダーに個人情報を開示する必要なしに、オンラインで購入を行うことを可能にすることである。これによって、ユーザは、個人情報がマーケティング又は他の目的のためにベンダーによって用いられるのではないかと心配する必要なしに、匿名で様々なコンテンツを購入できるようになる。別の利点は、購入が毎月1回だけユーザのクレジット・カードから引き落とされるように、ユーザが自分のクリックシェア口座で行ったコンテンツの購入の全てをクリックシェアがまとめることである。しかし、ユーザが所与の月に1セントにも満たない購入を1回だけ行った場合には、取引コスト及びユーザのクレジット・カードに購入を借方記入する処理料金が購入金額よりも高くなり得る。このことは、ベンダーによって請求されるコンテンツの価格に、不必要な最低限界値を課すことになり得る。
【0035】
また、クリックシェアは、ユーザが指定期間に値引き価格で多数のコンテンツ・アイテムを購入できるように、ベンダーがユーザにコンテンツのボリューム・ディスカウントを提供することを可能にしている。たとえば、ユーザは、ダラス・ニュースのウェブ・サイトで「次の12ヶ月の間に9.95ドルで60個の記事を、すなわちそれぞれ17セント未満で」購入できる。かかるボリューム・ディスカウントは購読料に類似しており、マイクロペイメント取引に購読料ベースのモデルを用いることに関連した欠点と同じ欠点を有する。
【0036】
クリックシェア・システムのさらに別の欠点は、ユーザが、オンラインで見ることができる新聞記事などの、購入するコンテンツ・アイテムを一旦選択すると、クリックシェア・システムはその取引を記録するが、ユーザが後で同じコンテンツ・アイテムを見たいと思った場合に、そのコンテンツ・アイテムが既に購入されていることをユーザに知らせない。その結果、ユーザは自分のクリックシェア口座で多数の重複した請求を受けることがあり得る。ユーザはクリックシェア・ウェブ・サイトで口座取引をチェックすることにより、重複した請求について後日争うことはできるとしても、コンテンツ・アイテムの多数のコピーを購入する前に、クリックシェアが重複請求を行うことを防止する方法はない。
【0037】
また、購入されたコンテンツ・アイテムは、コンテンツ・プロバイダではなくクリックシェアによって管理されている。コンテンツ・プロバイダのコンテンツ・アイテムがクリックシェア口座で一旦購入されると、コンテンツ・プロバイダは、そのコンテンツの統制力を失い、そのコンテンツ・アイテムがクリックシェアのウェブ・サイトでユーザによって見られる前に歪曲されてしまったかどうかを知る方法はない。クリックシェアのウェブ・サイトは、ユーザが購入したコンテンツ・アイテムを他のユーザに自由に配布することを防止するために、購入されたコンテンツをロックするセキュリティ・メカニズムも何ら提供していない。コンテンツ・アイテムに対応するURLが他者に配布されると、ユーザが、他の誰かが無料で記事を見るか、ユーザの口座で記事を購入するかどうかを知る方法はない。
【0038】
Qpass(キューパス)によって提供されるシステムは、ベンダーのサイトで登録することによって開くことができるユーザのキューパス口座に、購入されたコンテンツをロックすることにより、クリックシェア・システムのセキュリティ問題を排除している。すなわち、ユーザが所与のコンテンツ・アイテムを一旦購入すると、そのコンテンツ・アイテムに対応するURLを、ユーザの口座ログイン情報なしに他者に配布することはできない。ユーザは、以前に購入したコンテンツ・アイテムを見る前に、毎回口座ログイン情報を示すことを要求される。クリックシェア・システムに勝る利点を提供するキューパス・システムの他の特徴には、各ユーザがオンラインでキューパス購入の申請を行うために、単一の言語及び通貨を選択する、多言語及び多通貨をユーザに提供する能力や、ユーザによって既に購入されているコンテンツ・アイテムについての重複した請求を防止する能力などがある。
【0039】
キューパス・システムは、ユーザがまずキューパス・ウェブ・サイトを訪問する必要なしに、そのキューパス口座にログインすることにより、eコマース・ベンダーのウェブ・サイトから直接購入することを可能にしているという点で、クリックシェアによって提供されるシステムに類似している。また、キューパス・システムは、ユーザが毎月1回だけ購入に対して請求を受けるように、ユーザによって行われたマイクロペイメント購入をまとめる。ユーザは、購入したコンテンツ・アイテムへのリンクも含む、キューパスによって維持されているウェブ・サイト上で、現在の口座履歴をオンラインで見ることもできる。また、キューパスは、ユーザが、ニューヨーク州ニューヨークのニューヨークタイムズのアーカイブスで提供される記事などの、多数のコンテンツ・アイテムを指定期間にわたって割引価格で購入できるように、ボリューム・ディスカウントをユーザが提供している。かかるボリューム・ディスカウントは、マイクロペイメント取引について購読料ベースのモデルを用いることに関連した欠点と同じ欠点を有している。
【0040】
キューパス・システムには、キューパス口座を用いてユーザが購入したコンテンツ・アイテムが、コンテンツ・プロバイダではなくキューパスによって管理されるという点で、クリックシェア・システムの欠点と同じ欠点もある。すなわち、キューパス口座でコンテンツ・アイテムが一旦購入されると、コンテンツ・プロバイダはそのコンテンツの統制力を失って、ユーザによって見られる前にそのコンテンツ・アイテムが歪曲されてしまったかどうかを知る方法はない。また、キューパス・システムも、ユーザのクレジット・カードに毎月1回ユーザの購入を借方記入するので、ユーザが所与の月に1セントにも満たない購入を1回行った場合に、取引コスト及びユーザのクレジット・カードに購入を借方記入する処理料金が、購入金額よりも高くなり得る。このことは、ベンダーによって請求されるコンテンツの価格に、不必要な最低限界値を課すことになり得る。
【0041】
また、キューパス・システムは、キューパス・マイクロペイメント・サービスをベンダーのユーザに提供するために、ベンダーのウェブ・サイトにクライアントをインストールすることをベンダーに要求するが、これによって、キューパス・クライアントをそのウェブ・サイト上で適切にコンフィギュレーションするために、ベンダーの側で多大の時間及び労力をかけることになり得る。キューパス・システムは、ユーザにその個人情報をベンダー・ウェブ・サイトに開示させるという欠点も有する。このことは、多数のベンダーに個人情報を委ねないユーザによって要求されることが多い特徴である、ユーザがオンラインでのマイクロペイメント購入を匿名で行うことを妨げる。
【0042】
今日まで、多数のeコマース・ベンダーのウェブ・サイトでマイクロペイメント取引を行う際に、完全なプライバシー及びセキュリティをユーザに提供するマイクロペイメント・システムは存在していない。現在のマイクロペイメント・システムも、世界中のウェブ・サイトでマイクロペイメント取引を行う際に、ユーザが多通貨及び多言語を用いることを可能にはしていない。また、上記で解説したマイクロペイメント・システムは、マイクロペイメント・クライアントをベンダーのウェブ・サイトにインストールすることをベンダーに要求することが多く、マイクロペイメント・システムを適切にコンフィギュレーションするために、多大な実装時間及び労力を投入することをベンダーに強いている。また、上記で説明したマイクロペイメント・システムは、ベンダーによって提供されるコンテンツ・アイテムがユーザによって一旦購入されると、その統制力も得る。ユーザの購入をまとめて、毎月1回ではなく、最小限界値に達した後にのみユーザのクレジット・カードに請求するマイクロペイメント・システムもない。さらに、ユーザにベンダー・サイト毎にログインしてチェックアウト処理を行うことを要求することなく、ユーザが1又は複数のコンテンツ・アイテムを異なったベンダーから切れ目なく購入することを可能にする、コンテンツ・プロバイダも今のところいない。要約すれば、現在利用可能なマイクロペイメント・システムを用いて、マイクロペイメント取引をオンラインで行うことは、ユーザにとって極端に困難で時間浪費的になる。
【0043】
前述の欠点に鑑みて、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するために、多数の電子商取引ウェブ・サイトでマイクロペイメント取引を容易かつ切れ目なしに行う、システム及び方法を提供することが望ましい。
【0044】
ウェブ・サイトに個人情報を開示する必要なしに、多数の電子商取引ウェブ・サイトでユーザがマイクロペイメント取引を行うことを可能にする、システム及び方法を提供することも望ましい。
【0045】
コンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトでコンテンツを購入するために、ユーザのクライアント・コンピュータを無許可で使用することや、コンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトからコンテンツを無許可で見たり、修正したり、ダウンロードすることを防止することにより、マイクロペイメント取引を安全に行うシステム及び方法を提供することも望ましい。
【0046】
電子商取引ベンダーがインターネット・コンテンツに数セント、数ドル又は1セントにも満たない金額に価格設定することを可能にして、かかるベンダーが、コンテンツにアクセスするために購読料を支払うことをユーザに要求せずに、ユーザに1つの記事、出版物、歌、ビデオゲーム、映画などを提供する柔軟性を得られるようにするシステム及び方法を提供することも望ましい。
【0047】
購入毎に信用情報や銀行取引情報を送信する必要なしに、数セント、数ドル又は1セントにも満たない金額に価格設定されたコンテンツをユーザが購入することを可能にする、システム及び方法を提供することも望ましい。
【0048】
マイクロペイメント取引を完了するために、銀行又は他の金融機関とのオンライン通信を要求することなく、ユーザが容易に、マイクロペイメント・サービス・プロバイダに登録し、そのマイクロペイメント・サービス・プロバイダにマイクロペイメント口座を開き、様々な支払い方法を用いてその口座に資金を入れ、その口座の資金を用いて、多通貨及び他言語で多数の電子商取引ウェブ・サイトでのマイクロペイメント取引を行うことを可能にする、システム及び方法を提供することも望ましい。
【0049】
マイクロペイメント・サービス・プロバイダにコンテンツの統制力を与えるか、コンテンツ・プロバイダのウェブ・サイト上でマイクロペイメント・サービス・プロバイダ・クライアントをインストールする必要なしに、コンテンツ・プロバイダがユーザのマイクロペイメント口座からマイクロペイメントを受け入れることを可能にする、システム及び方法を提供することも望ましい。
【0050】
ユーザの口座の即時概要を見て、その口座に資金を入れ、その口座に記録されたマイクロペイメント取引について検証して、誤って請求されたあらゆる取引の払い戻しを受け、その口座で行われるマイクロペイメント取引に関する取引毎、毎日、毎週又は毎月の使用限度を指定することにより、ユーザが自分のマイクロペイメント口座を管理できるようにする、システム及び方法を提供することも望ましい。
【0051】
コンテンツ・プロバイダ・ウェブ・サイト毎にログインするかチェックアウト処理を行うことをユーザに要求することなく、異なったコンテンツ・プロバイダからコンテンツを購入する利便性をユーザに可能にする、システム及び方法を提供することも望ましい。
【0052】
購入したコンテンツに関するコンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトを再訪問することをユーザに要求することなく、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・ウェブ・サイトのウェブ・ページに設けられた口座概要を用いて、ユーザが既に購入したコンテンツに容易にアクセスすることを可能にする、システム及び方法を提供することも望ましい。
【0053】
電子商取引毎のコストを最小にするために、マイクロペイメント・サービス・プロバイダが、金額又は時間の限界値を用いて、ベンダーとの支払いの決済用のユーザのマイクロペイメント口座において電子商取引をまとめることを可能にする、システム及び方法を提供することも望ましい。
【0054】
コンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトで販売されるコンテンツ・アイテム毎に、各コンテンツ・プロバイダが、著者、発行者及び芸術家などの知的財産権所有者にそれぞれのロイヤリティを報酬として支払うことを可能にする、システム及び方法を提供することも望ましい。
【発明の概要】
【0055】
上記に鑑みて、本発明の目的は、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するために、多数の電子商取引ウェブ・サイトでマイクロペイメント取引を容易かつ切れ目なしに行うシステム及び方法を提供することである。
【0056】
本発明の他の目的は、ウェブ・サイトに個人情報を開示する必要なしに、多数の電子商取引ウェブ・サイトでユーザがマイクロペイメント取引を行うことを可能にするシステム及び方法を提供することである。
【0057】
本発明の他の目的は、コンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトでコンテンツを購入するために、ユーザのクライアント・コンピュータを無許可で使用することや、コンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトからコンテンツを無許可で見たり、修正したり、ダウンロードすることを防止することにより、マイクロペイメント取引を安全に行うシステム及び方法を提供することである。
【0058】
本発明の他の目的は、電子商取引ベンダーがインターネット・コンテンツに数セント、数ドル又は1セントにも満たない金額に価格設定することを可能にして、かかるベンダーが、コンテンツにアクセスするために購読料を支払うことをユーザに要求せずに、ユーザに1つの記事、出版物、歌、ビデオゲーム、映画などを提供する柔軟性を得られるようにするシステム及び方法を提供することである。
【0059】
本発明の他の目的は、購入毎に信用情報や銀行取引情報を送信する必要なしに、数セント、数ドル又は1セントにも満たない金額に価格設定されたコンテンツをユーザが購入することを可能にするシステム及び方法を提供することである。
【0060】
本発明の他の目的は、マイクロペイメント取引を完了するために、銀行又は他の金融機関とのオンライン通信を要求することなく、ユーザが容易に、マイクロペイメント・サービス・プロバイダに登録し、そのマイクロペイメント・サービス・プロバイダにマイクロペイメント口座を開き、様々な支払い方法を用いてその口座に資金を入れ、その口座の資金を用いて、多通貨及び多言語で多数の電子商取引ウェブ・サイトでのマイクロペイメント取引を行うことを可能にするシステム及び方法を提供することである。
【0061】
本発明の他の目的は、マイクロペイメント・サービス・プロバイダにコンテンツの統制力を与えるか、コンテンツ・プロバイダのウェブ・サイト上でマイクロペイメント・サービス・プロバイダ・クライアントをインストールする必要なしに、コンテンツ・プロバイダがユーザのマイクロペイメント口座からマイクロペイメントを受け入れることを可能にするシステム及び方法を提供することである。
【0062】
本発明の他の目的は、ユーザの口座の即時概要を見て、その口座に資金を入れ、その口座に記録されたマイクロペイメント取引について検証して、誤って請求されたあらゆる取引の払い戻しを受け、その口座で行われるマイクロペイメント取引に対して、取引毎、毎日、毎週又は毎月のその口座の使用限度を指定することにより、ユーザが自分のマイクロペイメント口座を管理できるようにするシステム及び方法を提供することである。
【0063】
本発明の他の目的は、コンテンツ・プロバイダ・ウェブ・サイト毎にログインするかチェックアウト処理を行うことをユーザに要求することなく、異なったコンテンツ・プロバイダからコンテンツを購入する利便性をユーザに可能にするシステム及び方法を提供することである。
【0064】
本発明の他の目的は、購入したコンテンツに関するコンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトを再訪問することをユーザに要求することなく、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・ウェブ・サイトのウェブ・ページに設けられた口座概要を用いて、ユーザが既に購入したコンテンツに容易にアクセスすることを可能にするシステム及び方法を提供することである。
【0065】
本発明の他の目的は、電子商取引毎のコストを最小にするために、マイクロペイメント・サービス・プロバイダが、金額又は時間の限界値を用いて、ベンダーとの支払い決済用のユーザのマイクロペイメント口座において電子商取引をまとめることを可能にするシステム及び方法を提供することである。
【0066】
本発明の他の目的は、コンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトで販売されるコンテンツ・アイテム毎に、各コンテンツ・プロバイダが、著者、発行者及び芸術家などの知的財産権所有者にそれぞれのロイヤリティを報酬として支払うことを可能にするシステム及び方法を提供することである。
【0067】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するために、多数の電子商取引ウェブ・サイトでマイクロペイメント取引を容易かつ切れ目なしに行うシステム及び方法を提供することにより達成される。マイクロペイメント取引とは、有形の商品、コンテンツ、又はサービスに関する支払いが、数セント、数ドル又は1セント未満程度の金額であり、かつクレジット・カード取引に関連する典型的な料金よりも遙かに少額である取引である。本発明のシステム及び方法は、ユーザがマイクロペイメント・サービス・プロバイダ(「MSP」)や電子商取引ベンダーによって与えられる電子トークンを用いて、電子商取引ウェブ・サイト上で有形な商品、コンテンツ、又はサービスの購入に関するマイクロペイメント取引をオンラインで行うことを可能にし、かつMSPによって提供されるソフトウエア・ソリューションからなる。MSPによって与えられる電子トークンは、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入することをユーザに可能にするために、全ての電子商取引ベンダー・ウェブ・サイトで受け入れられる電子認証である。電子商取引ベンダーによって与えられる電子トークンは、ユーザのインセンティブを意図したものであり、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入することをユーザに可能にするために、特定の電子商取引ベンダー・サイトでのみ受け入れられる電子認証である。
【0068】
好適な実施形態において、本発明のシステム及び方法には、3つの主たるソフトウエア・コンポーネント、すなわち(1)マイクロペイメント・サーバ、(2)マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース、及び、(3)マイクロペイメント・ベンダーAPIが関係する。マイクロペイメント・サーバは、ユーザが、マイクロペイメント口座を用いて購入を行うことをユーザに許可しているものとしてMSPによって指定された、電子商取引ベンダー・ウェブ・サイトであり、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するために用いることができる電子トークンを格納するために、マイクロペイメント・ユーザ口座をMSPに容易に開くことを可能にする。マイクロペイメント・ユーザ口座は、MSPによって維持されているウェブ・サイトでユーザによってオンラインで開くことができるか、MSPによって許可された電子商取引ベンダー・ウェブ・サイトを介して又は、MSPの顧客サービス担当者を介して開くことができる。マイクロペイメント・サーバは、電子トークンを支払い方法として受け入れる各ベンダーのために、マイクロペイメント・ベンダー口座も維持する。
【0069】
マイクロペイメント・ユーザ口座を開くときに、ユーザは自分の個人情報を登録して、最初に資金をマイクロペイメント・ユーザ口座に入れる方法である、クレジット・カード番号を提供することによる方法などの支払いオプションを選択する。ユーザはいくつかのマイクロペイメント・ユーザ口座を持つことができ、各口座は異なった通貨について用いられる。資金は、所与の数の実通貨単位が電子トークンに対応するように、多数の通貨で入れることができる。たとえば、ユーザは、それぞれ0.1ドルで100個の記事を購入するために10ドルを自分の口座に入れることができる。0.1ドルの価値の各記事購入について、ユーザは、コンテンツ・プロバイダのウェブ・サイトでその記事を購入するために、MSPによって電子トークンを与えられる。ユーザは、口座に資金を入れる前に、自分のマイクロペイメント・ユーザ口座を用いて、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入することもできる。また、MSPは、ユーザが自分のユーザ口座を開くときに、サインアップ・ボーナスをユーザに与えることもできる。
【0070】
ユーザは、MSPのウェブ・サイトで提供されるマイクロペイメント口座ユーザ・インターフェースにアクセスすることにより、自分のマイクロペイメント・ユーザ口座履歴を検証することができる。あるいは、ユーザは、MSPの顧客サービス担当者に連絡することにより、自分の口座に瞬時にアクセスできるか自分の口座履歴を検証することができるように、クライアントを自分のインターネット・アプライアンスにダウンロードできる。ユーザ・インターフェースは、とりわけ、ユーザがMSPに登録し、多通貨でかつ多数の支払い方法を用いて自分の口座に資金を入れ、オンラインでマイクロペイメント取引を行うための多言語を選択し、取引毎、毎日、毎週又は毎月の使用限度を選択し、記録された取引についてMSPとの間で確認することを可能にする。マイクロペイメント・ユーザ・インターフェースには、MSPとのベンダー口座を管理するために、ベンダーがアクセスすることもできる。
【0071】
マイクロペイメント・ベンダーAPIは、ユーザが有形の商品、コンテンツ、又はサービスを電子商取引ベンダー・ウェブ・サイトで購入している間に、その電子商取引ベンダー・ウェブ・サイトがMSPのサーバと接続できるように、MSPによってその電子商取引ベンダーに提供されるいくつかの機能呼び出しからなる。APIは、MSPによって提供される別個のクライアント・ソフトウエアをインストールする必要なしに、ベンダーがマイクロペイメント・サービスをユーザに容易に提供することを可能にする。ベンダーは、ベンダーのウェブ・サイトで商品を購入したいと思うユーザが、購入したいと思う商品に対応するウェブ・サイト上のリンク又はボタンをクリックしたときに、API機能呼び出しを実施するだけである。
【0072】
たとえば、ユーザがニュース・ウェブ・サイトでニュース記事を購入したいときには、記事のURLをクリックするだけで、ニュース・ウェブ・サイト情報及びその記事の情報をマイクロペイメント・サーバに送るAPI機能呼び出しを実施することができる。ニュース・ウェブ・サイト情報を受け取ると、マイクロペイメント・サーバは、ベンダーを確認してから、ユーザが購入の確認又は取消を行う「バイ(購入)」ウィンドウを表示する。バイ・ウィンドウは、とりわけ、購入する記事の見出しや簡単な説明、その価格及び、記事を購入することに対してユーザに提供される何らかのインセンティブがあるかどうかなどのパラメータを含むことができる記事の情報を記載している。購入を確認すると、マイクロペイメント・サーバは、ユーザのログイン情報、マイクロペイメント口座残高及び他のセキュリティ・メカニズムを検証する。そして、マイクロ・サーバはニュース・ウェブ・サイトに認可を送って、購入される記事へのユーザのアクセスを認める。最後に、ニュース・ウェブ・サイトは、記事をユーザのインターネット・アプライアンスに表示してダウンロードする。ニュース・ウェブ・サイトは、ユーザが記事のURLをコピーして、それを他のユーザに送り他のユーザが支払いを行う必要なくその記事を見ることを防止するために、それを購入するユーザに対して記事をロックダウンすることもできる。マイクロペイメント・サーバは、ユーザが購入したユース記事の価格分をユーザの口座残高から引き落とす。また、金額又は時間の限界値に達したときに、ニュース・ウェブ・サイトによって全てのユーザに販売された全てのコンテンツ・アイテムをまとめ、サービス・チャージを引いた金額をニュース・コンテンツ・ベンダーの銀行を介してニュース・コンテンツ・ベンダーに支払う。
【0073】
また、本発明のシステム及び方法は、eコマース・ベンダー用のバックエンド・インターフェースを提供する。これは、このバックエンド・インターフェースの各機能をセキュリティ・レベル又はセキュリティ機能と関連づける、システム・アドミニストレータに関するセキュリティの特徴を含む。システム・アドミニストレータのログインには、特定のタスクを遂行することを要求する可能なセキュリティ機能の特定のサブセットのみをイネーブルにする、セキュリティ・プロフィールを与えることができる。
【0074】
参加ベンダーに流布されることからユーザの個人情報を保護するために、このシステム及び方法は、ベンダーに関する情報を受け取るために、ユーザが自分のeメール・アドレスをベンダーに与えるかどうかの選択も可能にしている。システムは、ユーザが何らかの商取引を行った日の終わりにユーザにeメールを送り、ユーザがベンダーから商品を購入した場合には、そのeメールはそのベンダーのウェブ・サイトへのハイパーリンクを含む。
【0075】
本発明のシステム及び方法は、ベンダーのオーバーヘッド・コストも削減しながら、ユーザのインターネット・アプライアンスとベンダーのサーバ・コンピュータとの間の相互作用を最小にするという利便性をユーザに提供する。全ての購入又は商取引はトークンを用いて行われるので、ユーザのクレジット・カード番号などの個人の機密情報を、ほとんど又は全くインターネット上で送信する必要はない。インターネットを介して送信される情報を暗号化してもよいが、かかる送信は傍受され復号される場合もあるので、排除するか最少にすることが望ましい。
【0076】
また、ユーザ及びMSPは、電子トークンの登録、購入及び使用について直接対話することによりユーザの個人情報はMSPにのみ格納されるので、ユーザは、自分の個人情報を銀行などの第三者又は他のベンダーに提供する必要はない。これによって、ユーザはさらに一層のセキュリティとプライバシーを得る。
【0077】
本発明のシステム及び方法のさらに別の利点は、ユーザに自分のクレジット・カードで支払いを行うことを要求せず、そのため、ユーザがクレジット・カードを持つこと、又は、ユーザ及びベンダーが銀行又は他の金融機関と対話してクレジット・カード取引を処理することを不必要にしていることである。オンライン購入をクレジット・カード取引なしに処理できるので、かかる取引に関連するオーバーヘッド・コストを削減又は排除することができ、そのため、マイクロペイメントを可能にすることができる。さらに、少額の購入をトークンで支払うので、ベンダーは請求書を発送することや、少額の購入での金融取引を処理することに関係する他のオーバーヘッド・コストを発生させる必要はない。
【0078】
本発明の前述の目的及び他の目的は、以下の詳細な説明を付属の図面を参照して読めば明らかになるであろう。付属の図面中では、全体を通して同じ参照符号は同じ部分を示している。
【発明実施の形態】
【0079】
図1を参照すると、本発明の原理に従ってマイクロペイメント取引を遂行する際の当事者及び関係の説明図が示されている。電子商取引バイヤー50は、電子商取引ベンダー55によって提供されるウェブ・サイトを訪問し、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ60によって発行される電子トークンを用いて、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するユーザである。したがって、以下においては、電子商取引バイヤー50をユーザ50と称することもある。電子商取引ベンダー55は、ワシントンDCのワシントンポストなどのコンテンツ・プロバイダ、ワシントン州シアトルのAmazon.comなどのオンライン・ストア、カリフォルニア州サンタバーバラのExpertcity, Inc.などのオンライン・サービス・プロバイダ又は、カリフォルニア州サニーベールのYahoo!, Inc.などの任意の電子商取引アグリゲータである。
【0080】
マイクロペイメント・サービス・プロバイダ(「MSP」)60は、ユーザ50及び電子商取引ベンダー55にサービスを提供して、それらが、MSP60によって与えられる電子トークンを用いてオンラインでマイクロペイメント取引を行うことを可能にする。電子トークンは、電子商取引ベンダー55で受け入れられる、MSP60によって与えられる電子認証であり、ユーザ50がそれらを支払い方法として用いて、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入することを可能にする。ユーザ50は、電子商取引ベンダー55又はMSP60から直接電子トークンを購入することができる。ユーザ50が購入した電子トークンは、MSP60によって維持されるマイクロペイメント・ユーザ口座に記録される。ユーザ50は、MSP60にマイクロペイメント・ユーザ口座を開き、その際にMSP60に個人情報を登録し、口座にアクセスするためのログインID及びパスワードを選択し、MSP60で電子トークンを購入するために利用可能な支払い方法の数を選択する。かかる支払方法は、クレジット・カード又は個人銀行口座での自動引き落としを用いたオンライン・ペイメント、及び、小切手、為替又はパーチェス・オーダーを用いたオフライン・ペイメントの両方を含む。また、MSP60は、ベンダー55のために、マイクロペイメント・ベンダー口座も維持する。
【0081】
ユーザ50は、MSP60で電子トークンを購入するための多言語及び多通貨並びに、取引毎、毎日、毎週又は毎月の使用限度などのオプションを選択することもできる。好適な実施形態において、MSP60は、ユーザ50が選択した特定の通貨について、1つずつ、ユーザ50のためにいくつかのマイクロペイメント・ユーザ口座を開く。たとえば、ユーザ50は、口座に記録される全ての電子トークンが米ドルで購入されるマイクロペイメント・ユーザ口座や、口座に記録される全ての電子トークンが日本円で購入される別のマイクロペイメント・ユーザ口座を持つことができる。
【0082】
ユーザ50に発行するマイクロペイメント口座及び電子トークンに加えて、MSP60は、ユーザ50が自分のマイクロペイメント口座を管理することを可能にする、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェースもユーザ50に提供する。ユーザ・インターフェースは、MSP60によって維持されるウェブ・サイト、ユーザ50によって自分のインターネット・アプライアンスにダウンロードされるクライアント、対話型音声応答システム、又は、MSP60の顧客サービス担当者との間等のあらゆるオフライン・コンタクトとすることができる。ユーザ・インターフェースは、ユーザ50が、とりわけ、オンラインで購入されたコンテンツ・アイテムへのリンクを含む自分の様々な口座での過去及び現在の取引の履歴を入手し、口座に資金を入れ、口座に記録された取引について検証し、口座に関する使用限度などの口座履歴を選択することを可能にする。ユーザ・インターフェースには、ベンダー55がそのマイクロペイメント・ベンダー口座を維持するためにアクセスすることもできる。
【0083】
MSP60は、電子商取引ベンダー55において、有形の商品、コンテンツ、及びサービスを購入することに対して、サインアップ・ボーナス及びインセンティブをユーザ50に発行することもできる。好適な実施形態において、サインアップ・ボーナスは、マイクロペイメント・ユーザ口座がMSP60に開かれたときに、ユーザ50に発行される電子トークンであり、一方、インセンティブは、MSP60によって提供される電子トークン及びサービスを用いて、ユーザ50がベンダー55でさらに商品、コンテンツ、又はサービスを購入することを促すために、MSP60及び/又はベンダー55の自由裁量で、ユーザ50に発行される電子トークンである。ベンダー55が電子トークンを支払い方法としてユーザ50に提供することを可能にするために、MSP60は、ベンダー55に、ベンダー55のウェブ・サイトでマイクロペイメント・サービスを実施するための基礎として用いる、マイクロペイメントAPI及びコード・サンプルを与える。マイクロペイメントAPIについては、以下でさらに詳細に説明する。
【0084】
ユーザ50が購入する有形の商品、コンテンツ・アイテム、又はサービスに対応するリンクをクリックすると、マイクロペイメントAPI機能呼び出しを用いて、ベンダー55の信用情報及び取引パラメータがMSP60に送られる。MSP60によってベンダー55に割り当てられたベンダーID、ベンダー55のパスワード及びURLを含むベンダー55の信用情報を受け取ると、MSP60は、ベンダー55が電子トークンを用いて購入される有形の商品、コンテンツ・アイテム、又はサービスを販売することを許可されているかどうかを検証する。ベンダー55の信用が検証されると、MSP60は、ユーザ50のインターネット・アプライアンスに「バイ(購入)」ウィンドウを表示する。バイ・ウィンドウは、たとえば、コンテンツのタイトル、コンテンツの価格及び簡単な説明を含む様々な取引パラメータを表示できる。ユーザ50は、バイ・ウィンドウに表示される「バイ」ボタンをクリックして、ベンダー55からのコンテンツ・アイテムの購入を進めることができる。ユーザ50がコンテンツ・アイテムのURLをコピーして、それを該コンテンツ・アイテムに対する支払を行わない他のユーザに送ることを防止するために、マイクロペイメントAPI機能呼び出しを用いて、ユーザ50に対してコンテンツ・アイテムをロックすることもできる。
【0085】
ユーザ50がバイ・ウィンドウに表示されたバイ・ボタンをクリックすると、MSP60は、ユーザ50のマイクロペイメント・ユーザ口座を検証して、取引を許可する。ユーザ50の口座が一旦検証されると、MSP60はベンダー55が取引を成立させることを許可する。取引中のいずれの時点においても、ユーザ50は、ベンダー55に個人情報を登録することを要求されない。ユーザ50がベンダー55から有形の商品を購入している場合には、その商品に関する発送情報は、ユーザ50が自分のユーザ口座を開く時点でMSP60と締結したプライバシー契約に応じて、ユーザ50又はMSP60によってベンダー55に送信される場合がある。ユーザ50がベンダー55に対して如何なる発送情報も開示しないことを選択した場合には、ベンダー55は、MSP60が商品をユーザ50に発送できるように、MSP60に商品を発送しなければならない場合がある。ユーザ50の個人情報をベンダー55に必ずしも開示することなく、ベンダー55に発送情報を開示する他の方法も提供可能である。
【0086】
好適な実施形態において、商品、コンテンツ、又はサービスをオンラインで購入する前に、ユーザ50がまずMSP60にログインすると、MSP60はユーザ50のログインIDを暗号化して、暗号化されたユーザIDをユーザ50のインターネット・アプライアンスに書き込む。暗号化されたユーザIDは、あらゆる無許可のユーザがユーザ50のインターネット・アプライアンスを用いて、マイクロペイメント取引を行うことを防止するために、所定期間で期限切れとされ消去される。ユーザ50のIDをユーザ50のインターネット・アプライアンスに記憶する所定の期間が満了する前に、ユーザ50が様々なベンダー・ウェブ・サイトを閲覧し、様々なウェブ・サイトでいくつかの商品を購入する間に、ユーザ50は1回だけログイン処理を行う必要がある。
【0087】
MSP60は、ベンダー55が電子トークンを支払い方法として提供し、より多くのユーザを引きつけてMSP60にサインアップさせるように、ベンダー55を促すために、ベンダー55にベンダー・インセンティブを与えることもできる。また、MSP60は、ユーザ50、及びベンダー55のウェブ・サイトで購入を行うために電子トークンを用いる他の全てのユーザの支払いを、ベンダー55と決済する。ユーザ50及びベンダー55からの購入を行った他の全てのユーザに関する、ベンダー55との支払い決済は、2つの限界値のうち1つに達した場合のみ行われる。これらの限界値は、第1に、ユーザ50及び他の全てのユーザの購入総額が十分に高いこと(金額限界値)、及び、第2に、支払い決済の頻度を少なくするための毎月1回など十分に長い一定の期間間隔(時間限度値)である。時間限界値での支払い決済は、総額が金額限界値に達していない場合には行わなくてもよい。MSP60の運営者と各ベンダーとの間でこれらの限界値について個別に合意すればよいので、これらの限界値はベンダー毎に異なってもよい。
【0088】
図2を参照すると、本発明が動作するシステム及びネットワーク環境の概略図が示されている。ユーザ65a〜dは、電子商取引ベンダー75a〜cから有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入又はレンタル(賃借)する目的で、ネットワーク70、好ましくはインターネットへ接続される。ユーザ65aはパーソナル・コンピュータを用いてインターネット70に接続し、ユーザ65bはノートブック・コンピュータを用いてインターネット70に接続し、ユーザ65cは携帯情報端末(PDA)を用いてインターネット70に接続し、ユーザ65dは携帯電話などの無線装置を用いてインターネット70に接続する。ユーザ65a〜dは、ビデオゲーム・コンソール及びゲームセンター(図示せず)あるいは、インターネット70に接続できる他のあらゆるインターネット・アプライアンスによって、インターネット70に接続することもできる。
【0089】
ユーザ65a〜dは、MSP60が管理するマイクロペイメント・サーバ80によって与えられる電子トークンを用いて、電子商取引ベンダー・ウェブ・サーバ75a〜cで維持されているウェブ・ページで、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入する。マイクロペイメント・サーバ80は、ユーザ65a〜dが有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するための支払いオプションの1つである電子トークンを提供するウェブ・サーバ75a〜cのそれぞれに、マイクロペイメント・サービスを提供する。
【0090】
また、マイクロペイメント・サーバ80は、ユーザ65a〜dにマイクロペイメント・ユーザ口座を提供する。マイクロペイメント・ユーザ口座は、ユーザ65a〜dが、自分のマイクロペイメント・ユーザ口座を用いて購入を行うことを認めたベンダー・ウェブ・サーバ75a〜cにおいて、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するために用いることができる電子トークンを格納する。マイクロペイメント・ユーザ口座は、ユーザ65a〜dがオンライン又はマイクロペイメント・サーバ80によって維持されているウェブ・サイト上で開くか、MSP60の顧客サービス担当者を介して開くことができる。また、マイクロペイメント・サーバ80は、各ベンダーがその電子トークン取引を管理できるように、マイクロペイメント・ベンダー口座をベンダーに提供する。
【0091】
ベンダー・ウェブ・サーバ75a〜cによって維持されているウェブ・サイトで、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入又は賃借する際に、ユーザ65a〜dが電子トークンを支払いオプションとして選択すると、ベンダー・ウェブ・サーバ75a〜cは、インターネット70を介してマイクロペイメント・サーバ80に接続して、マイクロペイメント取引を進める。マイクロペイメント・サーバ80内に常駐するソフトウエアは、MSP60によって提供されるマイクロペイメントAPIに指定された機能呼び出しを介して、ベンダー・ウェブ・サーバ75a〜cによって実行される。機能呼び出しは、ベンダー・ウェブ・サイト75a〜cを管理するベンダーに関する情報並びに、購入される商品、コンテンツ、又はサービスに関する情報を、マイクロペイメント・サーバ80に送信する。マイクロペイメント・サーバ80内に常駐するソフトウエアは、ベンダーによって送信された情報を検証し、ベンダー75a〜cが電子トークンを用いて有形の商品、コンテンツ、又はサービスを販売することを許可されているかどうかをチェックし、ユーザ65a〜cがマイクロペイメント・サーバ80にログインしたかどうかをチェックし、そのログイン情報を検証し、ユーザ65a〜cが取引を完了するのに十分なトークンを有しているかをチェックする。全ての情報が検証されると、マイクロペイメント・サーバ80はベンダー・ウェブ・サーバ75a〜cに認可を返信する。認可を受けると、ベンダー・ウェブ・サーバ75a〜cは、購入の確認を送信して表示し、かつ/又は、コンテンツをユーザ65a〜dにダウンロードする。これによってマイクロペイメント取引が完了する。
【0092】
図3を参照すると、本発明の好適な実施形態において用いられるソフトウエア・コンポーネントの概略図が示されている。ソフトウエア・コンポーネントは、(1)マイクロペイメント・サーバ80、(2)マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース85及び、(3)マイクロペイメント・ベンダーAPI90からなる。
【0093】
マイクロペイメント・サーバ80は、ユーザがMSP60にマイクロペイメント・ユーザ口座を容易に開くことを可能にする。マイクロペイメント・ユーザ口座は、ユーザが自分のマイクロペイメント・ユーザ口座を用いて購入を行うことを許可するものとしてMSP60によって指定された電子商取引ベンダー・ウェブ・サイトで、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するために用いることができる電子トークンを格納するものである。マイクロペイメント・ユーザ口座は、ユーザがオンラインで又はMSP60によって維持されているウェブ・サイト上で開くか、MSP60の顧客サービス担当者を介して開くことができる。また、マイクロペイメント・サーバ80は、電子トークンを支払い方法として受け入れる各ベンダーのために、マイクロペイメント・ベンダー口座を維持する。マイクロペイメント・サーバ80は、MSP60、第三者インターネット・サービス・プロバイダあるいは、電話会社や電力会社などの公益事業会社が運営することができる。
【0094】
マイクロペイメント・ユーザ口座を開く際に、ユーザは自分の個人情報、及び、自分のマイクロペイメント・ユーザ口座に最初に資金を入れるためのクレジット・カード番号を登録する。資金は、所与の数の通貨単位が電子トークンに対応するように、多数の通貨で入れることができる。ユーザは、口座に資金を入れる前に、自分のマイクロペイメント・ユーザ口座を用いて有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入することもできる。また、MSP60は、ユーザが自分のマイクロペイメント・ユーザ口座を開くときに、サインアップ・ボーナスをユーザに与える場合がある。以下で説明するように、ユーザの口座及び個人情報は、マイクロペイメント・サーバ80内のいくつかのデータベースによって維持される。これらのデータベースは、ユーザ、ベンダー及びMSP60の間における支払い決済も管理し、トークンを支払いオプションとして受け入れる各ベンダーに関する情報も含む。これらのデータベースは、ベンダーからの電子トークン及び有形の商品、コンテンツ、又はサービスのユーザの購入を含む、ユーザとベンダーとの間の全ての取引に対応するデータも記憶する。これらのデータベースは、コンテンツの著者、発行者、芸術家、又は他の知的財産権所有者に支払うべきロイヤリティの金額も記憶する。
【0095】
マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース85は、ユーザが自分のマイクロペイメント・ユーザ口座履歴を検証し管理することを可能にする。ユーザ・インターフェース85には、MSP60のウェブ・サイトを介してアクセスできる。あるいは、ユーザは、MSP60の顧客サービス担当者に連絡することにより、自分の口座に瞬時にアクセスできるか自分の口座履歴を検証できるように、クライアントを自分のインターネット・アプライアンスにダウンロードすることができる。ユーザ・インターフェース85は、とりわけ、ユーザがMSP60に登録し、多通貨でかつ多数の支払い方法を用いて資金を自分のマイクロペイメント口座に入れ、マイクロペイメント取引をオンラインで行うための多言語を選択し、取引毎、毎日、毎週又は毎月の使用限度を選択し、記録された取引についてMSP60と争うなどの口座履歴を行うことを可能にする。ユーザ・インターフェース85は、ベンダーが自分のマイクロペイメント・ベンダー口座を管理することも可能にし、MSP60の運営者が全てのベンダー口座及びユーザ口座を管理することも可能にする。
【0096】
マイクロペイメント・ベンダーAPI90は、ユーザがベンダー・ウェブ・サイトで有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入している間に、電子商取引ベンダー・ウェブ・サイトがマイクロペイメント・サーバ80と接続できるように、MSP60によって電子商取引ベンダーに提供されるいくつかの機能呼び出しからなる。好適な実施形態において、マイクロペイメントAPI90は、購入可能なコンテンツ・アイテム、有形の商品又はサービスに対応するリンクをユーザがクリックしたときに、MSP60によって提供されるサービスを実行するためにベンダーによって呼び出される、シンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル(「SOAP」)機能呼び出しを含む。SOAP機能呼び出しは、ベンダーによって設計されるウェブ・ページに含まれており(ASP/HTML/XML/Java(登録商標)スクリプト/PERL又は他の技術を用いて)、ベンダーが自分のウェブ・サイトを再設計する時間、資金、実施労力を多大に費やす必要なく、非常に単純で効率的なメカニズムを用いて、電子トークンを支払い方法として提供することを可能にする。API90は、MSP60によって提供される別個のクライアント・ソフトウエアをインストールする必要なしに、ベンダーがマイクロペイメント・サービスをユーザに容易に提供することを可能にする。ベンダーは、ベンダーのウェブ・サイトで商品を購入したいと思うユーザが、購入したいと思う商品に対応するウェブ・サイト上のリンク又はボタンをクリックしたときに、API90機能呼び出しを実行するだけである。
【0097】
たとえば、ユーザがニュース・ウェブ・サイトでニュース記事を購入したいときには、ユーザは単にその記事をクリックして、そのニュース・ウェブ・サイトに関する情報及びニュース記事に関連した情報をマイクロペイメント・サーバ80に送るという、API90の機能呼び出しを実行するだけでよい。ニュース・ウェブ・サイトに関する情報は、MSP60によって割り当てられたニュース・ウェブ・サイト・ベンダーID、ベンダー・パスワード、及びニュース記事URLアドレスを含む。そのニュース・ウェブ・サイトが、その電子取引について電子トークンを用いることを許可されていることを検証すると、マイクロペイメント・サーバ80は、購入を確認又は取り消すために、ユーザに対してバイ・ウィンドウを表示する。バイ・ウィンドウは、とりわけ、購入される記事の見出し及び簡単な説明及びその価格並びに、その記事を購入することに対してユーザに提供されるインセンティブがあるかどうかといったパラメータなどの、そのニュース記事に関連する情報を含むことができる。ユーザがバイ・ウィンドウのバイ・ボタンをクリックすると、マイクロペイメント・サーバ80はユーザがMSP60にログインしたかどうかをチェックする。ユーザのログイン情報、マイクロペイメント口座残高及び他のセキュリティ・メカニズムを検証すると、マイクロペイメント・サーバ80はニュース・ウェブ・サイトに認可を送って、購入される記事に対するユーザのアクセスを認める。最後に、ニュース・ウェブ・サイトは、ユーザのインターネット・アプライアンスにその記事を表示してダウンロードする。ニュース・ウェブ・サイトは、記事を購入するユーザがその記事のURLをコピーして、それを他のユーザに送り他のユーザが支払いを行う必要なくその記事を見ることを防止するために、記事を購入するユーザに対してそれをロックダウンする、API90の別の機能呼び出しを用いることもできる。
【0098】
MSP60によって提供されるマイクロペイメント・サービスを使用するために、電子商取引ベンダーがMSP60に登録した時点で、マイクロペイメント・ベンダーAPI90がそのベンダーに提供されることを、当業者は理解すべきである。ベンダー登録の時点で、ベンダーはベンダーID及びパスワードを選択して、MSP60にマイクロペイメント・ベンダー口座を開き、MSP60に登録したユーザに電子トークンを支払い方法として提供することができるようになる。ベンダーは、MSP60によって維持されるマイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース85を訪れることにより、又は、MSP60の顧客サービス担当者に電話で連絡することにより、自分のマイクロペイメント・ベンダー口座にアクセスできる。
I.マイクロペイメント・サーバ
図4を参照すると、本発明の原理に従って構成されたマイクロペイメント・サーバ・ソフトウエアの概略図が示されている。好適な実施形態において、マイクロペイメント・サーバ80はウェブ・サーバ100を実行し、ウェブ・サーバ100はインターネット全体にわたって多数のウェブ・ブラウザと通信して、ウェブ・ページ95へのアクセスを提供する。ウェブ・ページ95は、予め定められた静的ウェブ・ページであってもよく、CGIスクリプト、サーブレット、又は、ウェブ・サーバがウェブ・ページを動的に生成又は修正することを可能にする他の技術を用いて動的に生成されたウェブ・ページを含んでもよい。たとえば、ウェブ・ページ95は、データベース・サーバ110内のベンダー・データベース125から抽出された、トークンを支払いオプションとして受け入れるベンダーのリストを含むように生成することができる。
【0099】
マイクロペイメント・サーバ80は、以下に詳細に説明するように、電子トークンを処理するウェブ・エンジン105も実行する。ウェブ・エンジン105は、ウェブ・サーバ100とデータベース・サーバ110との間を連絡して、ユーザに関するデータ、ユーザのマイクロペイメント口座、ベンダー口座及び、電子トークン、ユーザ及びベンダーに関する他のデータを処理する。
【0100】
マイクロペイメント・サーバ80は、ユーザ口座番号/ベンダーID/取引ID115、ユーザ・データベース120、ベンダー・データベース125及び取引データベース130を記憶する、データベース・サーバ110も実行する。データベース・サーバ110は、電子商取引ウェブ・サイトを運営するための他のデータベース及びテーブル(図示せず)も管理できる。データベース・サーバ110は、ユーザ、ベンダー及びマイクロペイメント・サーバ80の運営者の間の支払い決済、並びに、コンテンツの著者、発行者、芸術家、又は他の知的財産権所有者に対する支払い決済も管理する。
【0101】
ユーザ口座番号/ベンダーID/取引ID115は、ユーザ口座番号に関するインデックス、すなわち、ユーザ・データベース120、ベンダー・データベース125及び取引データベース130における対応するユーザ、ベンダー又は取引のIDに瞬時にアクセスするための、ログイン用ユーザID、ベンダーID及び取引IDを含む。
【0102】
ユーザ・データベース120は、トークンを支払いオプションとして提供するベンダーのウェブ・サイトから、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するための支払い方法としてトークンを用いるために、マイクロペイメント・ユーザ口座に登録する各ユーザに関する情報を含む。登録は、ベンダー・ウェブ・サイトを介して行うか、マイクロペイメント・サーバ80のウェブ・ページを介して直接行うことができる。各ユーザに関する情報は、ユーザの氏名及び他の識別情報、口座番号、並びに、ベンダーが要求するクレジット・カード番号、銀行口座情報、電話番号、住所など、ユーザに関するあらゆる個人情報を含む。各ユーザに関する情報は、トークンに関するユーザの好適な支払い方法も含む。ユーザは、多数のマイクロペイメント・ユーザ口座に登録することができ、各口座は異なった通貨及び異なった言語で取引される。たとえば、ユーザは、米国で運営される英語ウェブ・サイトで用いる米ドルの電子トークンを購入するために、マイクロペイメント・ユーザ口座を開くことができるし、日本で運営される日本語ウェブ・サイトで用いる日本円の電子トークンを購入するために、マイクロペイメント・ユーザ口座を開くこともできる。
【0103】
本発明のシステム及び方法は、ユーザが、クレジット・カードを用いて、又は、トークンを購入する費用をそこから借方記入することができるユーザの個人銀行口座番号を提供することにより、オンラインあるいはオフラインで、電子トークンを購入することを可能にする。オフラインの場合には、支払方法は、小切手、為替、パーチェス・オーダー、銀行電信送金又は現金による支払い、並びに、インターネットを介さないクレジット・カードによる支払いも含む。電子トークンを購入するために他の支払い方法を用いることもできる。
【0104】
マイクロペイメント・サーバ80の運営者がインターネット・サービス・プロバイダ(ISP)、あるいは、電話会社又は電力会社などの公益事業会社である場合には、運営者は、ユーザのトークン購入の費用をその毎月のISP料金又は公共料金請求に加えることができる。この場合、ユーザは、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入し、ユーザが毎月の請求書を受け取った時点で購入の支払いを行うことを可能にする、特定のクレジット・ラインがISP又は公益事業会社によって与えられる。ユーザは、2枚以上のクレジット・カードを用いるてもよく、多数の支払い方法を有していてもよい。そのため、ユーザ・データベース120は、支払いに関するユーザの選択及びユーザの詳細な情報を格納する。
【0105】
ユーザ・データベース120は、各ユーザに利用可能な電子トークンの数に関する情報も含むことが好ましい。利用可能なトークンは、多通貨であってもよい。トークンは、全てのベンダーのウェブ・サイトについて使用可能な支払い済みトークンや、有効期限があってもなくてもよい、発行ベンダーのウェブ・サイトでのみ使用可能なインセンティブ・トークンを含む。本発明のシステム及び方法は、ベンダーのグループが、特定のベンダーのグループでのみ使用可能なインセンティブ・トークンを発行することも可能にする。本発明のシステム及び方法は、マイクロペイメント・サーバ80の運営者が、トークンを支払いオプションとして受け入れるあらゆるベンダー・ウェブ・サイトで使用可能な、インセンティブ・トークンを発行することも可能にする。これらのインセンティブ・トークンには、有効期限があってもなくてもよい。ユーザ・データベース120は、ユーザが過去にトークンをどのように使用したか、及び、ユーザがトークン購入に係る値引き及び他のボーナスを受けるに値する「好ましい顧客」であるかどうかに関するデータ、ユーザの信用及び支払い状態、並びに、マイクロペイメント・サーバ80の運営者が各ユーザを処理して追跡することを支援できる他のあらゆる情報も記憶することができる。
【0106】
ベンダー・データベース125は、トークンを支払いオプションとして受け入れる各ベンダーに関する情報を含む。通常、ベンダーは、ベンダーのロケーションで用いられる1種類の通貨しか受け入れることはできない。この情報は、ベンダーの名称、住所、マイクロペイメント・ベンダー口座にアクセスを認められた者、ベンダー銀行名/口座番号、ロイヤリティ・レート、支払い決済限界値及び支払い状態、並びに、マイクロペイメント・サーバ80の運営者が各ベンダーにサービスを提供することを可能にする他の関連情報を含む。ベンダー・データベース125は、ベンダーによって販売されたコンテンツに関する、販売記録、及び、コンテンツ著者、発行者、芸術家又は他の知的財産権所有者に対するコンテンツ・ロイヤリティ金額も含むことができる。
【0107】
取引データベース130は、ベンダーから有形の商品、コンテンツ、又はサービスをユーザが購入することに関する、ユーザとベンダーとの間の全ての取引及び、マイクロペイメント・サーバ80からユーザがトークンを購入することに関する、ユーザ及び運営者又はマイクロペイメント・サーバ80の間の全ての取引を含む。取引データベース130は、ユーザが関与する検証(争い)及びその解決の記録も含むことができる。
【0108】
当業者であれば理解するように、マイクロペイメント・サーバ80で実行されるものとして本明細書には記載されているソフトウエアは、多数のサーバ・コンピュータの間に分布することができる。同様に、データベース・サーバ110によって維持されるデータベース並びに他の記録及びデータは、多数のマイクロペイメント・サーバで実行される多数のデータベース・サーバの間に分布することができる。
【0109】
図5を参照すると、マイクロペイメント・ユーザ口座を開くためにMSPに登録する際に、ユーザがとるステップを示したフローチャートが示されている。ユーザ50は、直接又は参加ベンダーを介して、MSP60に登録できる。参加ベンダーを介する場合には、参加ベンダーは、ユーザ50の登録要求をMSP60に渡すだけである。MSP60の運営者は、各ベンダーがユーザを引きつけてトークンを支払い方法として登録するようにさせることを促すために、各ベンダー及びベンダーのグループにインセンティブを提供することができる。インセンティブ・プログラムを効率的に運営するために、ユーザ・データベース120及びベンダー・データベース125は、ユーザとベンダーとの間の関係に関する関連属性を記録する。MSP60の運営者は、関連属性を用いて、ユーザとベンダーとの電子商取引関係に応じて、ユーザ及びベンダーにインセンティブを提供することができる。
【0110】
ステップ140で、MSP60はユーザ50に、氏名、住所、電話番号、eメールアドレス、マイクロペイメント口座へユーザ50がログインするために用いられるユーザID及びパスワードを含む個人情報、クレジット・カード情報、ユーザ50の母の旧姓、ペットの名前などの他の機密情報を提供するように要求する。この機密個人情報はまとめて「他の識別子」と呼ばれ、異常に多量の購入などの使用上の何らかの異常をMSP60が発見した場合、又は、ユーザ50が自分のパスワード、使用限界値などを変更したい場合に、適切な識別を確実にするために、本発明のシステム及び方法によって、時宜に応じて用いられる。
【0111】
ユーザ50がオフラインで登録する場合には、eメール、電話、ファクシミリ、郵便で、又は、かかる申請を受け付ける事務所で直接、質問表に記入することを求められる。この質問表は、ユーザ名、住所、電話番号、ファクシミリ番号、eメールアドレス、ユーザID、パスワード及び他の識別子に関する情報、並びに、オンライン登録に伴う他の情報を含む。この情報のうちのいくつかは必須であり、その旨が示されている(たとえば、赤い地の色を使って)。その他の情報は任意選択である(たとえば、黒い地の色を使っている)。
【0112】
MSP60では、ユーザ50がどのように電子トークンの支払いを行いたいかに関する情報を提供することも要求される。ステップ145に示したように、ユーザ50は、クレジット・カード、又は、トークンのオンライン購入用の個人銀行口座を用いて、トークンを購入するか資金を自分の口座に入れることができる。ユーザ50は、自分のクレジット・カード、デビット・カード、及び/又は個人銀行口座に関する詳細な情報を提供するように求められる。ユーザ50が望む場合には、トークンを購入する費用を自分の毎月のISP請求書又は公共料金請求書に加算するという請求方法が、MSP60の運営者によって受け入れられるのであれば、ユーザ50はこの請求方法を要求することができる。また、ユーザ50は、ユーザ50に対する後日の請求を可能にする特定の信用限度を要求することができる。本発明のシステム及び方法は、ユーザ50のISP、公共料金の毎月の請求書又はMSP60との個人的なクレジット・ラインを用いて、後日の支払いのためにユーザ50の口座記録に「マイナスの引出金勘定」を記録する。
【0113】
ステップ150で、クレジット・カード又は個人銀行口座の支払い方法についてオンラインで、又は、毎月のISP又は公共料金の請求書での請求についてオフラインで、ユーザ50の信用状態が検証される。信用状態が認定された場合には、ユーザ50に特定の信用限度が与えられ、その旨を伝えられる。ユーザ50の個人情報及び支払い方法の好みを受け取ると、ステップ155でマイクロペイメント・サーバ80はユーザ・データベース120にユーザ記録を作成する。オンライン又はオフラインで行われている登録に応じて(ステップ160)、ステップ165で、オンライン登録についてユーザ50の登録に関する確認及び許可が表示されるか、ステップ175に示したように、ユーザ50は、eメール又は他のオフラインの方法によって、登録が完了したことを確認する旨を通知される。
【0114】
ここで図6を参照すると、トークン総販売額の記録、及び、支払い決済のためのベンダーの銀行口座でのベンダーの総販売額の記録を含む、MSP60のデータベース・サーバ内の例示的なデータベースを示した概略図が示されている。ユーザ50は、ベンダー・ウェブ・サーバ190を介してベンダー・ウェブ・ページから、又は、MSP60のウェブ・ページから直接、インターネット・アプライアンス185を用いてトークンを購入する。そして、トークンの購入は、データベース・サーバ110内のユーザ・データベース120にあるユーザ記録195に記録される。ユーザ記録195は、ユーザ50のログインID及びパスワード、ユーザ50の個人データ、並びに、支払い済みトークン又は各種のインセンティブ・トークンを含み、ベンダーがトークンを得るユーザ・マイクロペイメント口座を含む。ユーザ記録195は、トークンを購入する(クレジット・カード、銀行口座を用いて又はオフラインで)ために用いられる承認済みの支払い方法及び、クレジット・カード名、カード番号及び有効期限、あるいは、個人銀行口座番号及び銀行名などの、ユーザの詳細な情報も含む。
【0115】
ベンダー・データベース125内のベンダー記録200は、ベンダーID、ベンダー名、住所、電話番号、ファクシミリ番号、ベンダーの銀行情報、並びに、ベンダー記録200にアクセスする特別なセキュリティ特権を有する者の名前及びその個人情報を含む。これらの者は、ベンダー管理者であり、いつでもベンダーのウェブ・サイトで発生する全ての取引を監視できる。ベンダー記録200には、ベンダーとMSP60の運営者との間で合意されたロイヤリティ・レートも含まれている。このロイヤリティ・レートは、スライド式に定めることもできるし、ベンダーによるマーケティング及び販売イニシアティブを促すために調節することもできる。ロイヤリティ・レートは、ベンダー毎に異なってもよい。また、ベンダー記録200は、ユーザ50がベンダー・ウェブ・サイトを介してMSP60でトークンを使用することを登録した場合、又は、ユーザ50が再度ベンダー・ウェブ・サイトを介して多量のトークンを購入した場合に、ベンダーのマーケティング・イニシアティブを促すために、ベンダーがMSP60の運営者から受け取る権利を有するコミッションに関するコミッション率も含む。さらに、ベンダー記録200は、全ての販売の記録、及び、コンテンツの著者、発行者、芸術家、又は他の知的財産権所有者に支払われるべきコンテンツ・ロイヤリティの金額も含む。
【0116】
取引データベース130は、多数の取引記録205を含む。各取引記録205は、マイクロペイメント取引に関係したユーザのID及びベンダーのID、並びに、コンテンツのタイトル又は商品ID及び取引金額を含む取引IDを含む。取引金額は、取引が行われた通貨で記録される。取引記録205は、取引が行われた日時も含む。ユーザとベンダーとの間でのマイクロペイメント取引、又は、ユーザとマイクロペイメント・サーバ80との間での取引が行われるたびに、マイクロペイメント・サーバ80は、取引データベース130内にユーザ取引記録205を作成する。
【0117】
マイクロペイメント取引は、ユーザ50が特定の通貨でトークンを購入すること、又は、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入することを含む。トークンに対してユーザ50が支払う金額は、トークン販売総額記録210に加算される。トークンを購入することに関するこの取引は、ユーザ記録195内のユーザ口座記録にも記録される。ユーザが有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入すると、ユーザが特定のベンダーで支払う価格は、ベンダー販売総額記録215内のそのベンダーに関するベンダー口座記録220に加算される。同様に、ユーザが有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するたびに、該取引がユーザ記録195及びベンダー記録200に記録される。したがって、各ベンダーに関するトークン販売総額記録210及びベンダー口座記録220は、一方はトークンを購入するユーザに関するものであり、他方は有形の商品、コンテンツ、又はサービスをベンダーから購入するユーザに関するものである、マイクロペイメント取引を総計している。さらに、ユーザがコンテンツを購入すると、コンテンツの著者、発行者又は所有者に支払われるべきロイヤリティの金額も、ベンダー記録200に記録することができる。このロイヤリティの金額は、ベンダー販売総額記録220内のコンテンツ・ロイヤリティ総額にも加算することができる。トークン販売総額記録210及びベンダー口座記録220は、ベンダーが取引に用いる通貨で記憶される。
【0118】
MSP60の運営者とベンダーとの間の支払い決済が、上記の2つの事象の一方によって開始されると、マイクロペイメント・サーバ80は銀行又は他の金融機関に、ベンダー販売総額記録220に記録された金額からコンテンツ・ロイヤリティ総額を引いた金額についてトークン販売総額記録210に記録され、ベンダー販売総額記録220にも記録された、トークンの販売から得られた金銭を保持する銀行のトークン販売口座225から、各ベンダーの銀行口座230a〜bに、資金のオンライン送金を行うように命令する。MSP60の運営者とベンダーとの間のこの支払い決済は、チェックをベンダーに送るなどのオフラインの方法を用いて行うことができる。そして、ベンダー販売総額記録220に記録された金額は更新されて、日時を付けて「決済済み」と表示される。同様に、MSP60の運営者は、金額又は時間の限界値に達したことが契機となって、コンテンツの著者、発行者、芸術家又は他の知的財産権所有者に対するロイヤリティの支払いを行うことができる。
【0119】
ユーザ・データベース120、ベンダー・データベース125、及び取引データベース130を含むデータベース・サーバ110内の各種データベース、並びに、本明細書中に記載された他のデータベースは、ユーザの情報、ベンダーの情報、各種マイクロペイメント取引及びコンテンツ・ロイヤリティが本発明のシステム及び方法においてどのように記録されるかを例示することを目的としたものであることに留意されたい。当業者は、これらのデータベースを異なった方法で構成することが可能であること、及び、システム動作の効率を高めるような方法で、記載したいくつかの記録を複製することができるか、記載していない記録を追加できることを理解するであろう。
【0120】
本発明の別の実施形態において、ハードウエア及びソフトウエア・セキュリティ・システムに加えて、通常はインターネット・サービス・ホスティング・プロバイダによって提供される、いくつかのレベルのアプリケーション・ソフトウエア・セキュリティが追加されている。ユーザ登録の時点でMSP60がユーザに要求する個人情報は、ユーザの母の旧姓、姉妹及び/又は兄弟の数、ペットの名前などの(まとめて「他の識別子」と呼ばれる)を含む、通常ユーザには訊かれない質問も含む。マイクロペイメント・サーバ80は、異常な履歴を検出したときは常に、ユーザに他の識別子質問の1つに答えることを要求する。数回試みても質問に答えられなければ、マイクロペイメント・サーバ80はユーザをベンダー・ウェブ・サイトから切断する。
【0121】
また、ユーザは、取引毎、セッション(ログインからログアウトの期間)、毎日、毎週又は毎月の総額で、商品又はコンテンツを購入する使用金額限界値を設定できる。マイクロペイメント取引が行われたときに限界値に達するかそれを超えた場合には、マイクロペイメント・サーバ80は、ユーザに限界値に達したことを伝え、購入を削減するようにユーザに要求するか、マイクロペイメント取引の成立を拒否する。ユーザはMSP60にログインすることにより限界値を変更できる。しかし、ユーザは、ユーザを適切に識別するために、他の識別子の質問のうち1つに首尾よく答えられることを要求される。限界値の設定は全ての参加ベンダーに適用できる。
【0122】
ユーザは、上記の自分の使用限界値が特定のベンダーのみに適用されるように設定することもできる。そうする場合には、有形の商品、コンテンツ、又はサービスの購入は、記載された特定のベンダーの1つに限定される。また、ユーザは、指定していないベンダーにアクセスしてその商品又はコンテンツを購入することはできない。この特徴は、親が、たとえば子供に適していない商品又はコンテンツを提供するベンダーから、子供に望ましくない商品又はコンテンツを購入することを防止することを可能にする。
【0123】
マイクロペイメント・サーバ80は、あらゆるベンダー・ウェブ・サイトでユーザによって行われたあらゆるマイクロペイメント取引に関して、一日の終わりにユーザにeメールを自動的に送ることもできる。このeメールは、少なくとも1件のマイクロペイメント取引が一日のうちに行われたことをユーザに通知する。ユーザは、MSP60にログインすることにより、自分の口座記録にアクセスして、マイクロペイメント取引の詳細を見ることができる。これには、ベンダーの名前、商品名、価格、総額が購入の日時と共に記載されている。また、ユーザ・アカウント・インターフェース85は、ユーザがあらゆるマイクロペイメント取引を、直ちに自らできないようにすることを可能にするリンクを含む。これは、ユーザのID及びパスワードが盗まれたときに、ユーザに対する潜在的な損害を最小にする。ユーザは、「contact us」と呼ばれるユーザ口座インターフェース85上のリンクを介して、MSP60にログインすることにより、自分の口座を復活させることができる。
【0124】
ユーザのID及びパスワードが盗まれて、ユーザが上記のように限界値を設定しておらず、暫くの間自分のeメールをチェックしてなければ、そのユーザにとっての最大の損失は、そのユーザの口座で利用可能なトークンの総額になるであろう。
II.マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース
図7を参照すると、ユーザ登録のためのマイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の一例が示されている。ユーザ・インターフェース画面235は、MSP60などのマイクロペイメント・サービス・プロバイダによってホスティングされている、ユーザ・インターフェース・ウェブ・ページを示している。ユーザ・インターフェース・ウェブ・ページは、MSP60によってユーザに提供されるマイクロペイメント・サービスに関する情報を表示する。ユーザは、「メンバー・ログイン」エリア240のハイパーリンクをクリックすることにより、MSP60にサインアップすることができる。メンバー・ログイン・エリア240は、既にMSP60に登録しているユーザが、自分のマイクロペイメント口座に関する情報にアクセスするために用いることもできる。また、このウェブ・ページは、ユーザがMSP60に登録したときにユーザに提供されるサインアップ・ボーナスについて、エリア245に情報を表示する。サインアップ・ボーナスは、参加ベンダー・ウェブ・サイトで有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するために、ユーザが用いることができる。
【0125】
ユーザは、ウェブ・ページに設けられたボタン250をクリックすることにより、ユーザ・インターフェース・クライアントをダウンロードすることができる。ユーザ・インターフェース・クライアントは、ユーザがユーザ・インターフェース・ウェブ・ページにアクセスするか、電話で顧客サービス担当者に連絡する必要なしに、自分のマイクロペイメント口座に関する情報に容易にアクセスできるように、ユーザのインターネット・アプライアンスにダウンロードされる。
【0126】
図8を参照すると、ユーザの個人情報及び課金情報を入力するための、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の一例が示されている。ユーザ・インターフェース画面255は、ユーザがメンバー・ログイン・エリア240(図7)のハイパーリング「Signup Now!」を選択した後に、ユーザによってアクセスされるユーザ・インターフェース・ウェブ・ページの画面である。このウェブ・ページは、ユーザの個人情報及び課金情報をフィールド265に入力することを含む、MSP60での登録を完了するためにユーザが従う必要のあるステップ260を記載している。ユーザの個人情報はユーザの氏名及び住所を含み、一方、ユーザの課金情報は電子トークンを購入することに対するユーザの好適な支払いオプションを含む。支払いオプションは、クレジット・カード、ユーザの個人銀行口座での自動引き落とし、小切手及び電子小切手、為替、パーチェス・オーダー等を含む。
【0127】
図9を参照すると、マイクロペイメント取引の履歴を示した、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の一例が示されている。ユーザ・インターフェース画面266は、ユーザが自分のマイクロペイメント口座を用いて行った、最近10件の取引のリストをフィールド269に示す。画面266は、フィールド267に表示されているように、ユーザが自分の口座報告書にアクセスして自分の口座に資金を入れることを可能にし、MSP60の運営者に連絡する手段を提供する。この画面は、ユーザ情報、インセンティブ、使用限度、ユーザが購入したコンテンツ・アイテムにアクセスするリンク、及び、請求について注文を付ける(Dispute a Charge)ためのリンクも記載している。
【0128】
図10を参照すると、ユーザのインターネット・アプライアンスに以前にダウンロードされたユーザ・インターフェース・クライアントをユーザがクリックしたときに表示される、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の一例が示されている。ユーザ・インターフェース画面270はマイクロペイメント取引の履歴を示し、ユーザが自分のマイクロペイメント口座を用いて行った最近10件の取引のリストを表示する。画面270は、ユーザがリンク275で自分の口座に資金を入れ、リンク280で口座報告書を見て、リンク285で、ユーザが購入したコンテンツ・アイテムの詳細な履歴を示した画面にアクセスすることも可能にする。ユーザは、図9におけるフィールド268のハイパーリンク「My Content」をクリックすると、同じ画面にアクセスすることもできる。「My Content」ハイパーリンクは、ユーザが自分のマイクロペイメント口座を用いて購入した全てのコンテンツ・アイテムのリストを表示する。画面270に表示された各コンテンツ・アイテムと同様に、リンク285で「My Content」ハイパーリンクに表示された各コンテンツ・アイテムは、コンテンツ・アイテムの日付及びタイトル並びに、ユーザが既に購入したコンテンツ・アイテムの期限が切れていなければ、ユーザにコンテンツ・ウェブ・サイトに再度行くことを要求せずに、ユーザがそのコンテンツ・アイテムに再度訪れアクセスすることを可能にするURLリンクを含む。コンテンツ・プロバイダは、再訪問の時間又は回数に基づいて、コンテンツ・アイテムの期限が切れるように選択できる。
【0129】
図11を参照すると、資金をマイクロペイメント口座に入れるための、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の一例が示されている。ユーザは、図10に示されたリンク275をクリックするか、図9におけるフィールド267のハイパーリンク「Add Funds」をクリックすると、ユーザ・インターフェース画面290にアクセスできる。画面290は、米ドル、日本円、ブラジル・レアールなどの、電子トークンを購入するための実際の通貨を、ユーザがフィールド295で選択することを可能にする。画面290は、オフライン・ペイメント(リンク300)を行うことにより電子トークンを購入するか、オンライン・ペイメント(エリア305)を行うことにより電子トークンを購入するかを選択することも可能にする。ユーザがオフライン・ペイメントを行うことを望むのであれば、リンク300は、小切手、為替、パーチェス・オーダーによる支払いか、顧客サービス担当者を介するなど、ユーザの好適なオフライン・ペイメント方法を記載している、ユーザが記入することができるフォームを開く。オンライン・ペイメントの場合、ユーザは、MSP60での登録時に入力したクレジット・カード番号を選択することができるか、新しいクレジット・カード番号を入力することができる。あるいは、ユーザは、自分の個人銀行口座又は他のオンライン金融口座から自動的に引き落とすことを選択できる。
【0130】
ユーザは、参加ベンダー・ウェブ・サイトでマイクロペイメント購入を行う前に、電子トークンを購入する、すなわち口座に資金を入れることは要求されない。ユーザは、ユーザのISP、公共料金の毎月の請求書又はMSP60での個人クレジット・ラインを介して後日支払うということにして、マイナスの引き出しを行うことができる。
【0131】
図12を参照すると、マイクロペイメント口座について使用限度を指定するための、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の一例が示されている。ユーザは、図9におけるフィールド268のハイパーリンク「My spending」をクリックすると、ユーザ・インターフェース画面310にアクセスできる。画面310は、ユーザがフィールド315に記入することにより、取引毎、毎日、毎週、又は毎月の自分のマイクロペイメント口座の使用限度を指定することを可能にする。ユーザは、米ドル、日本円などの多数の通貨をフィールド320で選択することにより、使用限度を指定できる。
【0132】
図13を参照すると、電子トークンを支払い方法として提供する参加ベンダーを記載した、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の一例が示されている。ユーザ・インターフェース画面325は、電子トークンを支払い方法としてユーザに提供するために、MSP60に登録したベンダーのリストを示している。ユーザは、直接又は画面325に表示されたリンクのいずれか1つをクリックすることにより、参加ベンダー・ウェブ・サイトに行くことができる。あるいは、ユーザは、自分のMSPの顧客サービス担当者に電話をかけることにより、参加ベンダーのリストを入手することができる。
III.マイクロペイメント・ベンダーAPI
図14を参照すると、コンテンツ・アイテムがユーザによって購入されるときに、マイクロペイメント・ベンダーAPI機能呼び出しを実行することに関するフローチャートが示されている。コンテンツ・アイテムには、図15に示したウェブ・ページ405などのベンダーのウェブ・ページ上のハイパーリンクによってアクセス可能である。ステップ335で、ユーザは「I'll Fly Away」というタイトルのデジタル・ソングを購入するために、ウェブ・ページ405上のハイパーリンク410などの、コンテンツ・アイテムを購入するためのハイパーリンクをクリックする。
【0133】
ここで図16のAを参照すると、電子トークンを用いてユーザが購入できるコンテンツ・アイテムに関する例示的なハイパーリンクが示されている。ハイパーリンク415は、電子トークンを用いて0.10ドルでユーザが購入できる「I'll Fly Away」というタイトルのデジタル・ソングへのリンクである。ユーザがパーソナル・コンピュータ又はノートブック・コンピュータのマウス・カーソルをハイパーリンク415上に動かすと、曲の名称及び価格を示すタイトル430がユーザに対して表示される。あるいは、ユーザが携帯情報端末(PDA)でリンクをタップするか、携帯電話キーパッドでキーを選択するか、別のインターネット・アプライアンスで同様の動作を行うと、ユーザに対してタイトル430を表示させることができる。
【0134】
ユーザがハイパーリンク415をクリックすると、コンテンツ・アイテムが掲載されているベンダーのウェブ・ページを維持するベンダー・ウェブ・サーバは、Java(登録商標)スクリプト機能420を実行して、マイクロペイメント・サーバ80をホスティングするMSP60などのマイクロペイメント・サービス・プロバイダを介して、ベンダーとユーザとの間のマイクロペイメント取引を開始する。Java(登録商標)スクリプト機能420は、購入されるコンテンツ・アイテムの「コンテンツID」を示すパラメータ425を有する。この場合、「I'll Fly Away」の曲のコンテンツIDは1500である。ハイパーリンク415は、ユーザによって購入される曲に対応したオーディオ・ファイル435も含む。
【0135】
図16のBを参照すると、ベンダー・ウェブ・サイトでマイクロペイメント取引を開始する例示的なJava(登録商標)スクリプト機能が示されている。Java(登録商標)スクリプト機能440は、コンテンツIDパラメータ425を、ベンダー・ウェブ・サーバによって作成されたアプリケーション・サーバ・ページ(ASP)445に送信するために用いられる。ASPページは、ASPページ自体又はデータベースなどの、異なったソースからの情報を収集するために、ベンダー・ウェブ・サーバにおいてプログラム又はスクリプトによって生成される動的なウェブ・ページである。ASP445は、購入されるコンテンツ・アイテムに関する情報を、ASP445から又はベンダー・ウェブ・サーバによって維持されているデータベースから検索するために用いられる、HTML、XML(又は他の技術)ページとすることができる。ASP445によって検索される情報は、コンテンツ・アイテムのタイトル、価格、説明、及び、アクセスの時間又は回数での期限切れなどのコンテンツ・アイテムに関する情報、並びに、ベンダーに関する情報を含む。
【0136】
図14及び図16を参照すると、ステップ340において、ベンダー・ウェブ・サーバは、コンテンツIDパラメータ425をASP445に送信し、ステップ345において、ASP445は、コンテンツに関する情報を検索する。検索された情報は、ステップ350で、図18のAに示したマイクロペイメント・ベンダーAPI機能コール500を呼び出すことにより、シンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル(SOAP)を介してMSP60に送信される。機能コール500は、ベンダー及び購入されるコンテンツ・アイテムに関する情報を、ベンダー・ウェブ・サーバからマイクロペイメント・サーバ80に渡すために用いられる。ステップ355で、マイクロペイメント・サーバ80はベンダー及びコンテンツ・アイテムの情報を確認して、そのベンダーが、電子トークンを支払い方法として用いて、ユーザに有形の商品、コンテンツ、又はサービスを販売することを許可されている、参加ベンダーの1つであるかどうかを判断する。
【0137】
そして、マイクロペイメント・サーバ80は、取引データに関する取引IDを作成して、取引ID及び取引データの両方を取引データベース130に記録してから、機能及び取引IDをユーザのインターネット・アプライアンスに送る。この機能はユーザのインターネット・アプライアンス上で新しいウィンドウを開き、取引IDをマイクロペイメント・サーバ80に送り返す。次に、ステップ360で、マイクロペイメント・サーバは、ユーザのインターネット・アプライアンスのバイ・ウィンドウに取引データを表示する。例示的なバイ・ウィンドウを図17のAに示す。バイ・ウィンドウ450は、「バイ(Buy)」(470)、「インセンティブ(Incentive)」(475)及び「キャンセル(Cancel)」(480)などのボタンと共に、「コンテンツ・タイトル(Title)」455、コンテンツに関する任意の簡単な「説明(Description)」460及びコンテンツの「価格(Price)」465を含む。
【0138】
バイ・ボタン470は、ユーザのマイクロペイメント口座に格納された電子トークンを用いて、コンテンツ・アイテムを購入するために、ユーザが選択できる。インセンティブ・ボタン475は、MSP60又はベンダーによってユーザに与えられたインセンティブ・トークンを用いて、コンテンツ・アイテムを購入するために、ユーザが選択することができる。ユーザがインセンティブ・ボタン475をクリックした場合には、ユーザはインセンティブ・トークンに対応する適切なインセンティブ・コードを入力するように求められる。そして、MSP60は、ユーザによって与えられるインセンティブ・コードを確認する。インセンティブ・コード及び他の取引データが有効でない場合には、MSP60は、ユーザのインターネット・アプライアンスにエラー・メッセージを表示する。
【0139】
図14に戻り、ステップ365において、MSP60は、ユーザがMSP60での自分のマイクロペイメント口座に既にログインしたかどうかを検証する。ユーザがまだMSP60にログインしていなければ、MSPは、ユーザに、ログイン・ウィンドウ485(図17のB)のフィールド490に記入することによりログインするか、ユーザがまだ登録を行っていなければ、ログイン・ウィンドウ485でボタン495をクリックすることにより、MSP60に登録するように求める。このログイン処理は、ユーザが様々なベンダー・ウェブ・サイトを閲覧して、様々なベンダー・ウェブ・サイトでいくつかの商品を購入している間に1回だけ、ユーザによって行われる必要がある。ユーザが最初にMSP60にログインすると、MSP60は暗号化されたユーザIDをユーザのインターネット・アプライアンスに書き込むが、このユーザIDは、無許可のユーザが、当該ユーザのインターネット・アプライアンスを用いて商品を購入することを防止するために、所定の期間が経つと期限切れになって消去される。ログイン・ウィンドウ485は、ユーザが用いているインターネット・アプライアンスがパブリック・コンピュータであるので、ユーザは様々なベンダー・ウェブ・サイトで商品を購入するたびに、MSP60にログインすることを要求される旨を示す、デフォールトで自動的にチェックされるボックス496も表示する。これは、MSP60が暗号化されたユーザIDをユーザのインターネット・アプライアンスに書き込まないためである。ユーザは、ボックス496にチェックしなければ、上記のように1回だけMSP60にログインすることを求められる。
【0140】
ユーザがMSP60にログインした後に、MSP60は、ユーザの使用限界値に達しているかどうかをチェックする。達していなければ、MSP60は、ユーザのマイクロペイメント口座が、コンテンツ・アイテムの購入を行うのに十分な数のトークンを含んでいるかどうかをチェックする。ユーザがMSP60にログインしており、十分なトークンを有していれば、マイクロペイメント・サーバ80は、ユーザIDを時変暗号化キーで暗号化し、購入されるコンテンツ・アイテムに対応するURLアドレスでユーザのインターネット・アプライアンス上のブランク・ウィンドウを開き、ステップ370において、暗号化されたユーザID及びコンテンツIDを、ユーザのインターネット・アプライアンスに送信する。
【0141】
時変暗号化IDは、ベンダー・ウェブ・ページからコンテンツ・アイテムを許可を得ずに見ること、聞くこと、及びダウンロードすることを防止するために用いられる。時変暗号化IDは、所定の時間周期で変化し、購入を許可するために認可をベンダー・ウェブ・サーバに送る前に、ユーザを確認するためにマイクロペイメント・サーバ80によって用いられる。これにより、ユーザは、コンテンツ・アイテムを購入できず、友人がそのコンテンツ・アイテムを自由に見るか、聞くか、ダウンロードできるように、そのコンテンツ・アイテムに対応するURLを友人に送ることもできなくなる。たとえば、ユーザが曲を購入して、その後その曲のURLを友人にeメールした場合には、時変暗号化ユーザIDが既に変わっているので、友人はURLをクリックできない。
【0142】
ステップ375で、ユーザのインターネット・アプライアンスは、時変暗号化キーで暗号化されたユーザIDをベンダー・ウェブ・サーバに送る。時変暗号化キーで暗号化されたID及びコンテンツIDを受け取ると、ベンダー・ウェブ・サーバは、ユーザの購入を許可できるように、ステップ380で、MSP60からの認可を要求する。ステップ385で、マイクロペイメント・サーバ80は、購入を許可するためにベンダー・ウェブ・サーバに認可を送る。
【0143】
ステップ390で、マイクロペイメント・サーバは、ベンダー・ウェブ・サーバが、類似のマイクロペイメント取引を経ることなく、他のユーザがそのコンテンツ・アイテムにアクセスできないように、そのコンテンツ・アイテムを購入するユーザに購入されるコンテンツ・アイテムをロックすべきかどうかを、以前に判断したことがあるか否か確認する。ベンダー・ウェブ・サーバが、以前に、購入されるコンテンツ・アイテムをロックすると決定したことがある場合、ステップ395で、ベンダー・ウェブ・サーバは、図18のBに示したマイクロペイメント・ベンダーAPI機能コール「ロック・コンテンツ(Lock_Content)」505すなわちコンテンツ・ロッキング処理を実行して、暗号化されたユーザID及びコンテンツのURLアドレスを、MSP60に送る。そして、MSP60は、ユーザIDを復号化して、ユーザがコンテンツのURLアドレスにアクセス権を有しているかどうかを確認する。ユーザがアクセス権を有するには、時変暗号化されたユーザIDが有効であり、コンテンツ・アイテムの支払いを行っており、コンテンツ・アイテムが有効な期間の期限が切れておらず、アクセス回数が限界を超えていないことが必要である。
【0144】
ユーザがコンテンツ・アイテムにアクセス権を有している場合、ステップ400で、MSP60は、ベンダー・ウェブ・サーバに、ユーザのインターネット・アプライアンスに、コンテンツを表示又はダウンロードすることを許可する。ユーザがコンテンツ・アイテムにアクセス権を有していなければ、MSP60は、ユーザに再度コンテンツを購入するように要求できる。上記のコンテンツ・ロッキング処理は、ユーザがコンテンツのURLアドレス及び暗号化されたユーザIDをコピーしてそれらを第三者に送ったとしても、時変暗号化されたユーザIDが変わっているので、ベンダー・ウェブ・サーバがコンテンツ・アイテムを表示又はダウンロードすることを防止する。コンテンツのURLアドレスのページが「ロック・コンテンツ」のオプションを有していなければ、ベンダー・ウェブ・サーバはコンテンツ・アイテムをユーザのインターネット・アプライアンスに表示又はダウンロードする。
【0145】
ここで図19を参照すると、図18のA及びBに示した、マイクロペイメント・ベンダーAPI機能コールのパラメータの概略図が示されている。API機能コール500は、(1)VendorID(ベンダーID)パラメータ510a、(2)VenderPassword(ベンダー・パスワード)パラメータ510b、(3)ContentTitle(コンテンツ・タイトル)パラメータ510c、(4)Price(価格)パラメータ510d、(5)ContentURL(コンテンツURL)パラメータ510e、(6)IsPost(イズ・ポスト)パラメータ510f、(7)Message(メッセージ)パラメータ510gからなる、要求されたパラメータ510a〜510gをマイクロペイメント・サーバ80に送信する。
【0146】
VendorIDパラメータ510aは、MSP60によって発行された電子トークンを支払いオプションとして用いて、商品をユーザにオンラインで販売することを許可された各参加ベンダーに割り当てられた、特有なベンダー識別番号である。VendorPasswordパラメータ510bは、MSP60のマイクロペイメント・サービスを用いるために、MSP60にベンダーが登録したときに、ベンダーによって選択されたパスワードである。ベンダーは、ベンダーのマイクロペイメント口座に関する情報を含む、MSP60によって維持されているウェブ・サイトを訪れることにより、いつでも自分のパスワードを変更することができる。
【0147】
ContentTitleパラメータ510cは、ベンダーが、コンテンツについて、ユーザに対して開かれたバイ・ウィンドウに表示したいと思うタイトルである。Priceパラメータ510dは、ベンダーがコンテンツについて請求したいと思う価格を記載する。コンテンツの価格は、ユーザに対して表示されるバイ・ウィンドウにも現れる。ContentURLパラメータ510eは、コンテンツ・アイテムを購入した後に、ユーザに転送されるコンテンツURLである。このパラメータは、ユーザが既にコンテンツ・アイテムを購入しているかどうかを追跡するためにも用いられるので、特有のものであるべきである。IsPostパラメータ510fは、ユーザに転送されるコンテンツに、「FormPost(フォーム・ポスト)」又は「GetAction(ゲット・アクション)」を使用するかどうかを、マイクロペイメント・サーバ80に伝える。コンテンツ・パラメータが他者の目にふれないように、IsPostはFormPostに設定されることが好ましい。最後に、コンテンツ・アイテムの購入に関するマイクロペイメント取引が許可されたかどうかを伝える、マイクロペイメント・サーバ80の応答を含む、Messageパラメータ510gは可変である。
【0148】
また、API機能コール500は、(1)VendorContent(ベンダー・コンテンツ)IDパラメータ515a、(2)NumberOfTimesToView(有効回数)パラメータ515b、(3)AbsoluteExpTime(有効絶対期限)パラメータ515c、(4)NumberOfDaysToView(有効日数)パラメータ515d、(5)NumberOfHoursToView(有効時間数)パラメータ515e、(6)Incentive(インセンティブ)IDパラメータ515f、(7)ShortDescription(簡単な説明)パラメータ515g、及び(8)OptionalData(オプショナル・データ)パラメータ515hを含む、オプショナル・パラメータ515a〜515hをマイクロペイメント・サーバ80に送信できる。
【0149】
VendorContentIDオプショナル・パラメータ515aは、マイクロペイメント取引が完了したときに、ベンダー・ウェブ・サーバに送り戻されるIDである。このパラメータは、内部トラッキングの目的でベンダーが用いることもできる。NumberOfTimesToViewオプショナル・パラメータ515bは、コンテンツ・アイテムを購入するユーザが、そのコンテンツ・アイテムを見ることを許可される回数を指定する。AbsoluteExpTimeオプショナル・パラメータ515cは、コンテンツ・アイテムの期限が切れるGMTの日時を記載している。NumberOfDaysToViewオプショナル・パラメータ515dは、コンテンツ・アイテムが有効である日数を記載しており、NumberOfHoursToViewオプショナル・パラメータ515eは、コンテンツ・アイテムが有効である時間数を記載している。
【0150】
IncentiveIDオプショナル・パラメータ515fは、コンテンツ・アイテムと関連づけられた全ての有効なインセンティブIDを含むストリングである。コンテンツ・アイテムに対して全ての有効なインセンティブ・トークンを用いることができるときには、このパラメータはブランクのままにする。このパラメータが「−1」に設定されると、このコンテンツにインセンティブ・トークンを用いることはできない。ShortDescriptionオプショナル・パラメータ515gは、コンテンツの簡単な説明である。このパラメータも、ユーザに対して表示されるバイ・ウィンドウに表示することができる。最後に、OptionalDataオプショナル・パラメータ515hは、ベンダーが内部トラッキングの目的でコンテンツURLに渡したいと思う、任意のオプショナル・データについて用いることができる。
【0151】
有形の商品、コンテンツ、又はサービスの購入に関するマイクロペイメント取引を成立させるために、MSP60及びベンダー・ウェブ・サーバはさらに別のパラメータを用いることができることは勿論である。また、マイクロペイメント・ベンダーAPIは、上記のSOAPコール以外の異なった技術を用いて実施できることも、明らかであろう。
IV.ユーザ、ベンダー及びマイクロペイメント・サービス・プロバイダの間のマイクロペイメント取引の流れ
図20を参照すると、ウェブ・サイト上で販売の申し出がなされるコンテンツ・アイテムについて、電子トークンを支払いとして受け入れるベンダーのウェブ・サイトの概略図が示されている。当業者に理解されるように、図19におけるウェブ・サイト520の外観は、コンテンツ・ベンダーのウェブ・サイトで表示することができる主要なコンポーネントを示したにすぎない。ウェブ・サイト520の外観は、各ベンダーによるデザインに左右される。
【0152】
コンテンツに関する支払いオプションとしてのトークンの利用可能性は、アイコン525によって表示される。コンテンツ・アイテム530a〜530cを含むいくつかのコンテンツ・アイテムが購入可能である。ウェブ・サイト520は、以下で説明するように、販売促進用ウィンドウ540及び545並びに様々なポップアップ・ウィンドウ548を含むこともできる。ユーザがコンテンツ・アイテム530a〜cの1つをクリックすると、本発明のシステム及び方法は、ベンダー・ウェブ・サイト520のディスプレイに、コンテンツ・アイテムのタイトル、任意選択の簡単な説明及びコンテンツ・アイテムの価格を含む、バイ・ウィンドウ550をポップアップさせる。ウィンドウ530は、インセンティブ・ボタン555a、バイ・ボタン555b及びキャンセル・ボタン555cを含むこともできる。コンテンツ・アイテムを購入することを決定すると、ユーザは、バイ・ボタン555bをクリックするだけでよい。ユーザは、選択したコンテンツを購入しないと決定することもでき、この場合にユーザは、キャンセル・ボタン555cをクリックすればよい。
【0153】
前述のように、本発明のシステム及び方法は、各ベンダー及びMSP60の運営者に、インセンティブ・トークンをユーザに提供する自由を認めている。ポップアップ・ウィンドウ550はインセンティブ・ボタン555aを含み、ユーザがMSP60での自分のマイクロペイメント口座に有することができるインセンティブ・トークンを用いて、コンテンツ・アイテムの支払いを行うことを可能にしている。ユーザがインセンティブ・トークンを用いてコンテンツ・アイテムの支払いを行うと決定した場合には、ユーザはインセンティブ・ボタン555aをクリックすることができる。すると、システムがユーザにインセンティブ・トークンに割り当てられたコードをフィールド575aに入力するように要求する、ポップアップ・ウィンドウ570が表示される。各ベンダー及びMSP60の運営者によって提供されるいくつかのインセンティブ・トークンがあり、これらのインセンティブ・トークンが期限日などの特定の制限を有する場合があることに留意されたい。したがって、本発明のシステム及び方法は、各ベンダー及びMSP60の運営者によって発行される各種類のインセンティブ・トークンにコードを割り当てる。これによって、システムがインセンティブ・トークンの種類を識別することが可能になり、ユーザ及びMSP60の運営者によるインセンティブ・トークンの適切な管理が可能になる。ユーザがバイ・ボタン555bをクリックするか、インセンティブ・コードを入力して「Submit(送信)」ボタン575bをクリックした後に、システムは以下の3つの処理の1つを行う。
【0154】
ケースI:ユーザが以前にMSP60(図示せず)にログインしたことがある場合には、MSP60はユーザのインターネット・アプライアンス(図示せず)からユーザIDを検索してから、ユーザ・データベース120(図6)のユーザ記録195に直ちにアクセスして、ユーザが自分のマイクロペイメント口座に十分なトークンを有しているかどうかをチェックする。十分なトークンを有していれば、MSP60は、公表されたコンテンツ・アイテムをベンダーが販売すること及び表示すること、あるいは、選択されたコンテンツ・アイテムをダウンロードすることを許可する。したがって、本発明のシステム及び方法は、ベンダー・ウェブ・サイトにログイン又はチェックアウトすることをユーザに要求することなく、ユーザがベンダー・ウェブ・サイトからコンテンツを購入する利便性をユーザに提供する。ユーザが十分なトークンを有していなければ、図23を参照してさらに詳細に説明するように、MSP60は、ユーザが自分の口座に購入を行うのに十分なトークンを有していないことをユーザに伝えるメッセージ(図示せず)を表示し、ユーザに対して、より多くのトークンを購入する(自分の口座に入れる)ように勧める。
【0155】
ケースII:ユーザがMSP60にログインしなかった場合、システムはベンダー・ウェブ・サイト520にポップアップ・ウィンドウ560を開かせる。ポップアップ・ウィンドウ560は、ユーザID565a及びパスワード565bを入力することによりログインして、送信ボタン565cをクリックするようにユーザに要求する。この処理の他の部分は、ケースIについて上記で説明したものと同じである。そして、MSP60は暗号化されたユーザ情報をユーザのインターネット・アプライアンスに書き込む。
【0156】
ケースIII:ユーザがMSP60にログインしたときに、MSP60がユーザのインターネット・アプライアンスに書き込んだ暗号化されたユーザ情報は、ユーザがMSP60にログインしたときから始まるか、ユーザの選択で、ベンダー・ウェブ・サイト520で取引が最後に行われたときから始まる、所定期間の後に遮断されるように設定された期限を有する。期限が切れると、本発明のシステム及び方法は、ユーザに再度ログインすることを要求する。その後、この処理は、上記のケースIIと同様に進む。この特徴は、第三者がユーザの許可なしに、ユーザのインターネット・アプライアンスを用いてコンテンツを購入するというリスクを削減する。
【0157】
本発明の別の実施形態においては、MSP60は「インスタント・メッセージ」クライアント・ソフトウエアを、ユーザのインターネット・アプライアンス内にダウンロードできる。このソフトウエアはボタン535をブラウザに表示する。ユーザがボタン535をクリックすると、システムは、ユーザのログイン期間でのユーザのコンテンツ購入、あるいは過去数回の取引概要を瞬時に表示する。この概要は、ベンダーのURLアドレス、コンテンツのタイトル、コスト、日付及び時間、並びに、MSP60でのユーザのマイクロペイメント口座で利用可能なユーザのトークンの残高を含む。ユーザが自分の以前の購入アクティビティ(履歴)の全てを見直したい場合には、ユーザは、MSP60にログインして、「my account(マイアカウント)」ボタン又は「statements(ステイトメント)」ボタン(図9のフィールド267)をクリックすることができる。システムは、行われた全ての商取引、ユーザの購入、資金の入金、注文が付けられ問題となった(争いのあった)取引及び顧客信用を含む取引のベンダー名、商品名又はコンテンツのタイトル、コスト、日時、及び種類を含む、ユーザのマイクロペイメント口座報告を、ユーザのインターネット・アプライアンスに表示する。システムは、ユーザの利用可能なトークンの残高も表示する。ユーザは、開始日及び/又は終了日、又は特定のベンダーあるいは特定種類の取引で口座報告をフィルタリングすることができる。
【0158】
ユーザがベンダー・ウェブ・サイトでコンテンツ・アイテムを購入する上記の処理は、有形の商品又はサービスを他のベンダー・ウェブ・サイトで購入するために用いることもできることを、理解できるであろう。本発明のシステム及び方法は、ベンダー・ウェブ・サイトに個人情報又は課金情報を何ら開示する必要なしに、ユーザが多数のベンダー・ウェブ・サイトでコンテンツ・アイテム、有形の商品又はサービスを購入することを可能にすることが有利である。
【0159】
図21は、多数のベンダー・ウェブ・サイトでトークンを用いてコンテンツ・アイテムを購入するときに、ユーザによって採られるステップを示した説明図である。図21は、各ベンダー・ウェブ・サイトでログイン又はログアウトする必要なしに、ユーザが、どのように、トークンを支払いとして受け入れる多数のベンダー・ウェブ・サイトを閲覧して、自由かつ切れ目なくコンテンツ・アイテムを購入できるかを示している。ユーザ560は、どのような順序ででも多数のベンダー555a〜555cからコンテンツを購入できる。ユーザ560は、どの特定のベンダー555a〜555cも複数回訪れることもできる。したがって、本発明のシステム及び方法は、各ベンダー・サイトで面倒なログイン及びチェックアウトの処理なしで、多数のベンダー・ウェブ・サイトでマイクロペイメントを用いたコンテンツ・アイテムの購入という利便性をユーザに提供する。
【0160】
ステップ1)で、ユーザ560は、様々なベンダー555a〜555cのウェブ・サイトを閲覧しながら、インターネット・アプライアンスを用いてベンダー555a〜555cのウェブ・サイトの何れかで購入するコンテンツ・アイテムを選択する。ユーザ560がベンダー555a〜555cのウェブ・サイトの1つにおいて表示されたコンテンツ・アイテムをクリックすると、ステップ2)に示したように、ベンダー・ウェブ・サーバはベンダーIDと共に、ユーザ560がクリックしたコンテンツ・アイテムの価格をMSP550に送る。同時に、ステップ3)に示したように、ユーザ560のインターネット・アプライアンスは、ユーザIDをMSP550に送る。ステップ4)で、MSP550はコンテンツ・アイテムの価格をユーザのマイクロペイメント口座から控除して、ステップ5)に示したように、ユーザの購入について、ベンダー・ウェブ・サーバに許可を与える。ステップ6)で、ベンダー・ウェブ・サーバはコンテンツ・アイテムをユーザのインターネット・アプライアンスにダウンロードする。ステップ7)において、MSP550は、行われた電子マイクロペイメント取引について、ベンダーがMSP550に支払う必要があるロイヤリティの金額を記録する。上記ステップ2)、3)、4)、5)及び7)における処理は、ユーザが知ることができる。これで、ベンダー・ウェブ・サイトからのコンテンツ・アイテムの購入は完了する。ユーザ560は、同じベンダーから他のコンテンツ・アイテムを引き続き購入するか、切れ目なく他のベンダー・ウェブ・サイトで購入する他のコンテンツ・アイテムを見つけるために、閲覧を続けることができる。
【0161】
図22は、ユーザがベンダー・ウェブ・サイトでトークンを用いてコンテンツ・アイテムを購入するときに行われるシステム処理を示した概略図である。ステップ1)において、ユーザ575は、ベンダー・ウェブ・サーバ570でホスティングされたベンダー・ウェブ・サイトでコンテンツ・アイテムを購入するために、コンテンツ・ハイパーリンクをクリックする。ステップ2)において、ベンダー・ウェブ・サーバ570は、ベンダーID、コンテンツID、コンテンツURLアドレス、コンテンツのタイトル、コンテンツに関する任意選択の簡単な説明、価格、インセンティブ・トークン・コード(当てはまる場合)、コンテンツ・アイテムが有効である期間等の取引データを、MSP565に送る。ステップ3)において、MSP565は、ベンダー及びコンテンツのトップレベルURLアドレスを確認して、コンテンツ・ベンダーが電子トークンを支払い方法としてユーザに提供するために、MSP565に登録したメンバー・ベンダーであるかどうかを判断する。そうであれば、この処理は継続する。
【0162】
取引データのインテグリティを保持するために、本発明のシステム及び方法は、通信線を通る取引データの送信の回数の限度を下げて、インターネット侵入者によるコンテンツの価格の変更など、取引データの違法な改変を防止する。この目的を達成するために、ベンダー・ウェブ・サーバ570から取引データを受け取ると、本発明のシステム及び方法は、MSP565に取引データに関する取引IDを作成させ、その取引データを取引データベース130(図4)に記憶させる。そして、MSP565は、ステップ3)において、機能及び取引IDをベンダー・ウェブ・サーバ570に返す。その後、MSP565とベンダー・ウェブ・サーバ570との間の通信、又は、ベンダー・ウェブ・サーバ570とユーザ575のインターネット・アプライアンスとの間の通信は、取引データではなく取引IDを用いる。
【0163】
ステップ4)で、ベンダー・ウェブ・サーバ570は、機能及び取引IDをユーザ575のインターネット・アプライアンスに送る。この機能は、ユーザ575のインターネット・アプライアンス上に新しいブランク・ウィンドウを開き、ステップ5)において、ユーザ575のインターネット・アプライアンスに取引ID及び暗号化ユーザIDをMSP565に送らせる。ステップ6)において、MSP565は、インセンティブ・ボタン、バイ・ボタン及びキャンセル・ボタンで、コンテンツのタイトル、任意選択の簡単な説明及び価格を含む取引データを、ユーザ575のインターネット・アプライアンス上で表示する。MSP565がコンテンツ・アイテムの価格を含む取引データを送り、それをユーザ575のインターネット・アプライアンスで表示する必要があることに留意されたい。しかし、MSP565は、マイクロペイメント取引を承認するまえに、取引データの確認のために、そのデータベースに格納されたコンテンツ・アイテムの価格を含む実際の取引データを用いる(上記ステップ2)であろうから、ある者が、たとえばコンテンツ・アイテムの価格又は他の取引データを違法に改変することは困難である。
【0164】
ステップ7)において、ユーザ575は、バイ・ボタンをクリックすることによりコンテンツ・アイテムを購入することができる。ユーザ575がMSP565での自分のマイクロペイメント口座にインセンティブ・トークンを有する場合には、ユーザ575は、インセンティブ・ボタンをクリックして、インセンティブ・トークンを用いてコンテンツ・アイテムの支払いを行うことができる。ユーザ575は、簡単な説明(任意選択)を読んだ後に、コンテンツ・アイテムを購入しないと決定するか、購入を進めないとだけ決定することができる。その場合に、ユーザ575は、キャンセル・ボタンをクリックすることができる。ユーザ575がバイ・ボタンをクリックした場合には、ユーザ575のインターネット・アプライアンスは、インセンティブ・コード(当てはまる場合には)及び他の取引データをMSP565に送り返す。
【0165】
ステップ8)で、MSP565は、インセンティブ・コード(当てはまる場合)及び他の取引データを確認してから、ユーザ575がログインしたかどうかを判断する。ユーザがログインしていれば、MSP565は、ユーザ575が依然として自分の使用限界値未満であるかどうかもチェックする。これは、MSP565でのユーザのマイクロペイメント口座を保護するための別のセキュリティ手段である。そして、MSP565は、ユーザ575が購入を行うのに十分なトークン又はインセンティブ・トークン(当てはまる場合には)を有しているかどうかをチェックする。ユーザ575の利用可能なトークンに関する上記の確認及びチェックがうまくいけば、MSP565は時変暗号化キーでユーザIDを暗号化し、コンテンツURLアドレスでユーザ575のインターネット・アプライアンス上のブランク・ウィンドウを開き、暗号化されたユーザID及びコンテンツIDをユーザ575のインターネット・アプライアンスに送信する。ステップ9)で、ユーザ575のインターネット・アプライアンスは、暗号化されたユーザID及びコンテンツIDを順にベンダー・ウェブ・サーバ570に送信する。また、ステップ10)において、ベンダー・ウェブ・サーバは、暗号化されたユーザID及びコンテンツIDを、MSP565に送信する。
【0166】
ステップ11)では、MSP565は、ユーザIDを復号して、ユーザ575がコンテンツURLアドレスへの「アクセス権」を有するかどうかをチェックする。ユーザがコンテンツURLアドレスへの「アクセス権」を有するとは、ユーザがMSP565にログインしていること、及び、ユーザの時変で暗号化されたユーザIDが有効であり、ユーザがコンテンツ・アイテムに支払いを行っており、他の全ての取引データが有効であることを意味する。ユーザ575がアクセス権を有していれば、MSP565は、ベンダー・ウェブ・サーバ570に認可を送る。ステップ12)では、ベンダー・ウェブ・サーバ570は、ユーザ575のインターネット・アプライアンスにコンテンツ・アイテムを表示してダウンロードする。ステップ13)では、MSP565は、行われた電子マイクロペイメント取引について、ベンダーがMSP565に支払う必要があるロイヤリティの金額を記録する。上記ステップ2)、3)、4)、5)、8)、9)、10)、11)及び13)は、ユーザ575が知ることができる。これにより、コンテンツ・ベンダー・ウェブ・サイトからコンテンツを購入するユーザのマイクロペイメント取引が完了する。
【0167】
図22に示した工程は、コンテンツ・ベンダー・ウェブ・サイトからコンテンツ・アイテムを無許可でダウンロードすることに対するセキュリティ手段を提供し、インターネット侵入者による取引データの無許可の改変を防止する。MSP565の運営者が、ユーザ575がトークンを用いてコンテンツ・アイテムを購入することを許容するベンダーに課すロイヤリティ・レートは、所定の期間内にベンダーによって販売されるコンテンツ・アイテムの金額に応じて、ベンダー毎に異なる場合がある。
【0168】
本発明のさらに別の実施形態において、システムは、その取引データベース130(図4)に取引記録を格納する。ユーザに販売又はレンタルされた有形の商品、コンテンツ、又はサービスに対するベンダーへの支払いの決済は、次の2つのイベントのいずれかによって実行される。
【0169】
第1のイベント:ベンダーに支払われる金額が所定の限界値に達すること。この限界値は、各ベンダーとMSP565の運営者との間で予め合意されている。この値はベンダー毎に異なる場合がある。
【0170】
第2のイベント:決済の日付が、各ベンダーとMSP565の運営者との間で予め合意されていること。この日付は、毎週1回、毎月2回、毎月1回又は事前に合意された他の取り決めとすることができ、ベンダー毎に異なる場合がある。所定の金額の限界値に達していなければ、予め合意された日付に基づく支払い決済は行われない場合がある。
【0171】
上記のような支払いの決済は、ユーザとベンダーとの間で電子マイクロペイメント取引が行われるときは常に、MSP565とベンダーとの間の商取引毎の決済を排除する。したがって、このような支払いの決済は、MSP565からベンダーへの支払いが行われるたびに、銀行によって請求される、口座決済の費用及び料金を削減する。
【0172】
図23を参照すると、トークンを購入するか、又はマイクロペイメント口座に資金を入れることに関するフローチャートが示されている。ステップ585に示したように、ユーザはオンライン又はオフラインでトークンを購入できる。ユーザは、どの通貨でトークンを購入したいかを示すことができる。具体的に示されていなければ、購入されるトークンは米ドル建て、又は、ベンダーが所在する国の通貨建てである。オフラインでトークンを購入したい場合には、ユーザは、ステップ600に示したように、MSPが指定した銀行口座に支払いを行うことを要求される。ステップ605でユーザからの入金を確認すると、ステップ620に示したように、MSPシステム管理者は、ユーザのマイクロペイメント口座に受け入れられた資金の金額をユーザ記録195(図6)に記入して、ユーザの残高を更新し、新しいトークンが購入されたことを示す。
【0173】
ユーザがオンラインでトークンを購入したいと思い、購入がベンダーを介して行われる場合には、本発明のシステム及び方法は、ステップ595でベンダーIDへのベンダー関連づけフラグを設定し、これはステップ635に関して後述するように記録される。ステップ610で、システムは、ユーザが購入を望むトークンの金額、又は、MSPにある自分のマイクロペイメント口座に入れる資金の金額に関して、ユーザに質問する。所望の金額を受け取ると、ステップ615に示したように、システムは、ユーザのクレジット・カード又はユーザの銀行口座に、あるいは、ユーザが提供した任意の支払い方法において、借方記入する。そして、ステップ620に示したように、MSPは、ユーザ記録195(図6)を更新して、新しいトークンが購入されたことを示す。ステップ625では、購入されたトークンの金額を示すようにユーザ・データベース120のユーザ記録195(図6)が更新される。この取引は、ユーザのマイクロペイメント口座履歴(アクティビティ)記録にも記入される。図6にある取引データベース130及びトークン販売総額記録210も更新される。
【0174】
ステップ630でベンダーを介してトークンの購入が行われると、ベンダー記録200(図6)の販売記録は、ユーザID及びユーザのトークン購入の金額を記録する。そして、ステップ635に示したように、ユーザ記録195(図6)の口座状況は、特定のベンダーからのトークンの購入を示すように更新される。MSPの運営者は、この情報を用いて、トークンを購入するようにユーザを誘引したことに対してベンダーに報いることができる。同様に、ベンダーは、この情報を用いて、たとえばユーザにインセンティブ・トークンを発行することにより、トークンを購入したことに対してユーザに報いることができる。MSPの運営者は、ユーザがより多くのトークンを購入するように誘引するように各ベンダーを促すために、特定のインセンティブを提供することもできる。
【0175】
かかるユーザに対してベンダーによって発行されるインセンティブ・トークンは、該トークンを発行したベンダーのみから有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入するために用いることができる。インセンティブ・トークンには期限日があってもなくてもよい。インセンティブ・トークンを発行するという決定は、銀行又はMSPの運営者などの第三者からの規制を全く受けることなく、全くベンダー自らの自由裁量で行われる。ユーザ・データベース120及びベンダー・データベース125(図6)は、ベンダーによってユーザに発行された各種のインセンティブ・トークンの詳細を格納する
最後に、ステップ640において、システムは毎日の終わりにユーザにeメールを送り、商取引が行われたことを確認する。ユーザはMSPにログインして、ベンダーを介して又は直接MSPを介してユーザが特定の金額のトークンを購入したこと、並びに、購入の金額及び日時を示す、自分の口座の履歴を見直すことができる。
【0176】
図24〜図27には、ベンダー及びコンテンツURLアドレスを確認し、取引データのインテグリティ及びユーザの認証を保持し、コンテンツが無許可で見られたりダウンロードされたりすることを防止するために、コンテンツを安全に購入することに関するフローチャートが示されている。ステップ655で、ユーザはコンテンツ・ベンダー・ウェブ・サイトを閲覧して、コンテンツ・アイテムを購入するためにコンテンツ・ハイパーリンクをクリックする。これによって、ステップ660に示したように、ベンダー・ウェブ・サーバは、ベンダーID、コンテンツID、コンテンツURLアドレス、コンテンツ・タイトル、コンテンツに関する任意選択の簡単な説明、価格、インセンティブ・トークン・コード(当てはまる場合)、及び、コンテンツ・アイテムが有効である期間を含む取引データをMSPに渡す。
【0177】
ステップ665で、MSPはベンダー及びコンテンツのトップレベルURLアドレスを確認して、コンテンツ・ベンダーが、ユーザに電子トークンを支払い方法として提供するためにMSPに登録されたメンバー・ベンダーであるかどうかを判断する。そして、MSPは取引データに関する取引IDを作成して、その取引ID及び取引データを取引データベース130(図6)に記憶する。取引IDは、MSPが受信した取引データを照会する。そして、MSPは機能及び取引IDをベンダー・ウェブ・サーバに返す。ステップ670で、ベンダー・ウェブ・サーバは、その機能及び取引IDをユーザのインターネット・アプライアンスに送る。そして、ステップ675に示したように、その機能により、ユーザのインターネット・アプライアンス上に新しいウィンドウを開き、その取引IDをMSPに送る。
【0178】
ステップ680で、MSPは、インセンティブ・ボタン(当てはまる場合)、バイ・ボタン及びキャンセル・ボタンと共に、コンテンツ・タイトル、コンテンツに関する任意選択の簡単な説明、及びコンテンツ・アイテムの価格を含む取引データを記載したウィンドウを、ユーザのインターネット・アプライアンスに表示する。コンテンツ・ベンダー又はMSPの運営者によって発行されたインセンティブ・トークンを用いて、コンテンツ・アイテムが購入可能である場合には、ステップ685に示したように、ユーザはインセンティブ・ボタンをクリックして、ユーザがMSPにある自分のマイクロペイメント口座に有するインセンティブ・トークンを用いて、コンテンツ・アイテムの支払いを行うことができる。ステップ690において、システムは同じウィンドウにフィールドを表示して、ユーザに割り当てられたインセンティブ・コードを入力するように、ユーザに要求する。ステップ695でユーザがインセンティブ・コードを入力した後に、ステップ700に示したように、ユーザはバイ・ボタンをクリックできる。
【0179】
コンテンツ・アイテムがインセンティブ・トークンを用いて購入可能でない場合、本発明のシステム及び方法は、ユーザのインターネット・アプライアンスのディスプレイ・ウィンドウにインセンティブ・ボタンを表示しない。この場合、ステップ700に示したように、ユーザはバイ・ボタン又はキャンセル・ボタンをクリックできる。ユーザがキャンセル・ボタンをクリックした場合には、ステップ705に示したように、表示されたウィンドウは閉じられ、ユーザのインターネット・アプライアンスは戻って、コンテンツ・ベンダー・ウェブ・ページを表示する。
【0180】
ユーザがバイ・ボタンをクリックすると、ステップ710で、MSPはインセンティブ・コード(当てはまる場合)及び他の取引データを確認する。図25のステップ720において、これらの取引データの何れかが誤っていると判定した場合には、ステップ725で、MSPはユーザのインターネット・アプライアンスにエラー・メッセージを表示し、ユーザはこのエラー・メッセージ・ウィンドウを閉じて、コンテンツ・ベンダー・ウェブ・サイトに戻ることができる。MSPによる上記の取引データの全ての確認がうまくいった場合には、ステップ735に示したように、MSPはユーザがログインしているかどうかをチェックする。
【0181】
本発明のシステム及び方法は、各ベンダー・ウェブ・サイトでログイン又はチェックアウトする必要なしに、ユーザがMSPに1回だけログインして、いくつかのコンテンツ・プロバイダ・ベンダー・ウェブ・サイトを閲覧する異なったベンダー・ウェブ・サイトからコンテンツ・アイテムを購入することを可能にする点に留意されたい。しかし、コンテンツを購入するためにユーザのインターネット・アプライアンスの無許可での使用を防止するために、ユーザは、ユーザがログインしたとき又は最後のコンテンツ購入を行ったときの、何れか一方のユーザが選択する時点から、所定の期間が経った後に、再度MSPにログインすることを要求される。
【0182】
ユーザがログインしていないか、ユーザがログインしてからの時間期限がすぎている場合には、ステップ740に示したように、MSPはユーザにMSPにログインするように要求する。ステップ745においてユーザがユーザID及びパスワードを入力した後に、ステップ750に示したように、MSPはユーザがMSPにうまくログインできたかどうかをチェックする。ユーザがログインしていなければ、ステップ755で、MSPはユーザにMSPに登録するように促し、ウィンドウを閉じて、ユーザのインターネット・アプライアンスが元に戻ってコンテンツ・ベンダー・ウェブ・ページを表示することを可能にする。
【0183】
ユーザはMSPにログインするだけでよく、ユーザID及びパスワードの入力は、ユーザのインターネット・アプライアンスとMSPサーバの間で行われるので、ベンダー・ウェブ・サーバは、ユーザの同一性を認識しない。これによって、システムはユーザのプライバシーを保護することが可能になり、ベンダーからのユーザの匿名性が維持される。
【0184】
ユーザが以前にログインしたことがあるか、又は、ステップ750に示したようにうまくログインできたならば、ステップ760で、MSPはユーザがまだ使用限度内にあるかどうかのチェックを進める。使用限度内ではない場合には、MSPはユーザがそのユーザの使用限度に達していることを伝え、ユーザのコンテンツ購入を終了する。これは、MSPにあるユーザのマイクロペイメント口座の無許可使用からユーザを保護するための、本発明のシステム及び方法によって提供される別のセキュリティ手段である。
【0185】
ユーザが使用限度内にあれば、ステップ765に示したように、MSPはコンテンツ・アイテムの支払いを行うのに十分なトークンを、ユーザが自分の個人口座に有しているかどうかのチェックを進める。ユーザが十分なトークンを有していれば、ステップ770に示したように、MSPはユーザIDを時変暗号化キーで暗号化して、コンテンツURLアドレスでユーザのインターネット・アプライアンス上にブランク・ウィンドウを開き、暗号化されたユーザID及びコンテンツIDをユーザのインターネット・アプライアンスに送信する。ステップ775で、ユーザのインターネット・アプライアンスは、暗号化されたユーザID及びコンテンツIDをベンダー・ウェブ・サーバに送信する。そのユーザに関する時変暗号化キーで暗号化されたユーザIDのみがベンダー・ウェブ・サーバに送られるのであって、他のユーザ情報は送られない。これによって、ベンダーからのユーザの匿名性が保持される。
【0186】
本発明のシステム及び方法は、第三者によるコンテンツの無許可のダウンロードを防止する「ロック・コンテンツ」のオプションをコンテンツ・ベンダーが実行することができる。このようなコンテンツの無許可のダウンロードは、ユーザがコンテンツURLアドレス及び暗号化されたユーザIDをコピーし、それをユーザの家族又はユーザの友人などの第三者に送る場合に発生する可能性がある。ユーザIDは、期限が切れたときにユーザIDが無効になるように、時変暗号化キーで暗号化されている。したがって、本発明のシステム及び方法は、コンテンツ・ベンダー・ウェブ・ページからコンテンツが無許可で見られたりダウンロードされたりすることのリスクを削減する。
【0187】
ステップ820において、ベンダー・ウェブ・サーバは、コンテンツURLアドレスが「ロック・コンテンツ」のオプションを有するかどうかをチェックする。コンテンツURLアドレスがそのオプションを有している場合には、ステップ825に示したように、ベンダー・ウェブ・サーバは、暗号化されたユーザID及びコンテンツURLアドレスをMSPに送る。ステップ830で、MSPはユーザIDを復号し、ステップ835に示したように、ユーザがコンテンツURLアドレスへの「アクセス権」を有しているかどうかをチェックする。ユーザIDが有効であり(すなわち、時変暗号化されたユーザIDが変更されておらず)、コンテンツ・アイテムの支払いを行っており、コンテンツが有効である期限が満了しておらず、コンテンツ・アイテムにアクセスする回数が限界値を超えていない場合に、ユーザはコンテンツ・アイテムへの「アクセス権」を有する。
【0188】
ユーザがコンテンツへの「アクセス権」を有していない場合には、ステップ845で、MSPはコンテンツURLがコンテンツIDを含んでいるかどうかをチェックする。含んでいれば、ステップ660に進む(図24)。含んでいなければ、ステップ855に示したように、MSPはエラー・メッセージを表示して、処理を終了する。ステップ840で、ユーザがコンテンツへの「アクセス権」を有していれば、MSPは、ステップ850で、ベンダー・ウェブ・サーバに認可を送って、ベンダー・ウェブ・サーバはユーザのインターネット・アプライアンスにコンテンツを送るかそれをダウンロードする。
【0189】
ステップ820を再度参照すると、コンテンツURLアドレスが「ロック・コンテンツ」オプションを有していなければ、ステップ850において既に説明したように、ベンダー・ウェブ・サーバは、コンテンツ・アイテムをユーザのインターネット・アプライアンスに表示するかダウンロードする。
【0190】
ステップ765(図25)を再度参照すると、ユーザがコンテンツ・アイテムの購入を行うのに十分なトークンを有していなければ、ステップ790に示したように、MSPは、ユーザのマイクロペイメント口座に追加のトークンを購入する(又は資金を入れる)ように、ユーザに要求する。ステップ795に示したように、MSPはさらに、トークンのオンライン購入を行うためのユーザ登録のときに、ユーザが以前にMSPに提供したユーザのクレジット・カード又は個人銀行口座を使用することが、ユーザにとって許容し得るものであるかどうかを、尋ねる。
【0191】
ユーザに利便性と使用し易さを提供するために、システムは、ユーザが自分の残りの残高で購入をまかなうに十分なトークンを有していないことを示し、かつ、ユーザに追加のトークンを購入したいかどうかを質問するウィンドウを、ユーザに対して表示する。その例示的なウィンドウを図28に示す。ウィンドウ881はユーザに進めるべき以下の選択肢882a〜882cを提供する。
【0192】
選択肢882a:追加のトークンを瞬時に購入するための「自動預け入れ(Automatic Deposit)」。購入を容易にするために、システムは、「トップオフ」金額プラス現在の購入のための不足金額をユーザの口座に借方記入する。「トップオフ」金額は、通常、ユーザのクレジット・カードに請求する費用などの、ユーザの口座に借方記入する費用を支払うのに足りるレベルに設定する。
【0193】
選択肢882b:ユーザが自分のマイクロペイメント口座に資金を入れるための、ユーザ・インターフェース85(図3)にユーザをリンクする「手動預け入れ(Manual Deposit)」。
【0194】
選択肢882c:ユーザによるコンテンツの購入の「キャンセル(Cansel)」できる。
図25に戻ると、ユーザが合意した場合に、ステップ800で、MSPはユーザのクレジット・カードに請求するか、ユーザが購入した新しいトークンの金額をユーザの個人銀行口座に借方記入する。ユーザが購入したこれらの新しいトークンは、コンテンツ・アイテムの価格で示された通貨建てである。
【0195】
ステップ805で、MSPは、図6の、ユーザ・データベース120のユーザ記録195、取引データベース130及び、データベース・サーバ110のトークン販売総額記録210において、ユーザの口座残高を更新し、新しいトークンが購入されたことを示す。上記の記録は、新しいトークンを購入するためにユーザが用いた通貨で更新される。そして、前述のようにMSPはステップ765に進む。ユーザがオンラインで追加のトークンを購入することを望まない場合には、ステップ810に示したように、MSPは、コンテンツ・アイテムを購入するためにユーザの口座にさらに多くのトークンを購入する(資金を入れる)必要があることを表示してユーザに通知する。
【0196】
図27は、ユーザが以前に購入したコンテンツ・アイテムを第三者が購入できる、代替的な方法を示している。ステップ875で、第三者(新しいユーザ)は、本発明のシステム及び方法を用いて既にコンテンツ・アイテムを購入している誰かから、コンテンツURLアドレスを受け取る。ステップ880に示したように、新しいユーザは、ブラウザにコンテンツURLアドレスを入力するか、受け取ったeメールのコンテンツURLアドレスをクリックできる。ステップ775(図25)に示したように、ユーザのインターネット・アプライアンスは、暗号化されたユーザID及びコンテンツIDをベンダー・ウェブ・サーバに送信する。この工程は前述のように行われる。既にMSPに登録している場合に、新しいユーザはコンテンツ・アイテムの購入を進めることができるが、新しいユーザが受け取った暗号化されたユーザIDは時変暗号化キーを有しており、期限が切れてしまうので、新しいユーザは自分の口座にあるトークンを用いてコンテンツ・アイテムの支払いを行うように要求される。
【0197】
ここで図29を参照すると、チェックアウト工程を介して、ベンダーのウェブ・サイトでトークンを用いて有形の商品又はサービスを購入するときに、ユーザが採るステップを示した概略図が示されている。ステップ1)で、ユーザ895は、ベンダー890a〜890cの1つのウェブ・サイトでチェックアウト工程を介して商品又はサービスを購入することを要求し、トークンを自分の支払方法として選択する。ステップ2)で、ベンダー890a〜890cの1つのウェブ・サーバは、ベンダーID、ユーザID及びパスワード並びに、有形の商品又はサービスの購入に必要なトークンの総額をMSP885に送る。MSP885は、ユーザ・データベース120(図6)のユーザ記録195にアクセスして、ユーザ895が購入を行うのに十分なトークンを有しているかどうかをチェックする。ユーザ895が十分なトークンを有していれば、MSP885は、必要なトークンをユーザの口座残高から控除して、ステップ3)に示したように、ベンダーにマイクロペイメント取引を許可する。
【0198】
ユーザ895が後日の支払いについて事前の許可を与えられていれば、MSP885は必要なトークンを、将来支払われるものとして、ユーザ895の口座に借方記入し、ベンダーにマイクロペイメント取引を許可することができる。この場合に、必要なトークンは、ユーザ口座残高からも控除される。それによって、本発明のシステムは、ベンダー又はMSP885の運営者がユーザにクレジット・ラインを提供することを許容する。かかる場合に、ユーザ口座残高はマイナスの値を示す場合がある。ユーザに認められるこの「マイナスの引出金勘定」の範囲は、ベンダー又はMSP885のオペレータがユーザに提供するクレジット・ラインの限度に左右される。
【0199】
MSP885から認可を受け取ると、ベンダーはマイクロペイメント取引を確認して、ステップ4)に示したように、有形の商品又はサービスをユーザ895に配達する。ステップ5)で、MSP885は、ユーザ895にeメールを送って、マイクロペイメント取引が行われたことを確認する。マイクロペイメント取引を行わなかったことが分かった場合、ユーザ895は、直ちにMSP885に通知して、さらに調査が行われるまで自分の口座を使用不能にすることができる。ステップ6)で、MSP885は、行われた電子マイクロペイメント取引について、ベンダーがMSP885に支払う必要があるロイヤリティの金額を記録する。上記のステップ2)、3)及び6)は、ユーザにトランスペアレントすなわちユーザが知ることができる。
【0200】
本発明の方法及びシステムにおいては、トークンを支払いとして用いた電子マイクロペイメント取引について、MSP885の運営者がベンダーに請求するロイヤリティ・レートが、毎月、四半期毎など所定の期間に行われる取引の総額に応じて、ベンダー毎に異なってもよい。ベンダー向けのこのロイヤリティ・レートは、ベンダーの販売及びマーケティング努力についてベンダーに報いるために、販売の総額に応じてスライド式に減少するように設定することもできる。
【0201】
図30には、ベンダーのウェブ・サイトで有形の商品を購入する場合のフローチャートが示されている。ユーザはまず、ユーザID及びパスワードを入力することにより、ベンダーにログインする。そして、ユーザは、ベンダー・ウェブ・サイトから有形の商品を選択して、その有形の商品をショッピング・カートに入れる。この工程は、インターネット上で現在利用可能なほとんどのオンライン・ショッピングのベンダー・ウェブ・ページと同じである。
【0202】
ユーザが商品をチェックアウトすることを望むときに、ベンダー・ウェブ・ページのほとんどは、ユーザがベンダーによって受け入れられた各種のクレジット・カード・オプションの1つを選択することを可能にすることにより、ユーザが商品の支払いをどのように行いたいかをユーザに尋ねる。ベンダーがトークンを支払いオプションとして受け入れれば、ベンダー・ウェブ・ページは、各種クレジット・カードに加えて、トークンも表示する。ユーザがトークンを支払い方法として選択する場合には、ベンダー・ウェブ・ページは、MSPに、ユーザがMSPに登録したユーザID及びパスワードを入力するようにユーザに要求するウィンドウを消させる。ユーザが送信(Submit)・ボタンをクリックすると、ステップ905に示したように、ベンダー・ウェブ・サーバは、ユーザID、パスワード、ベンダーID及び、ユーザが購入を行うのために必要なトークンの金額をMSPに送る。
【0203】
上記の情報を受け取ると、MSPは、ユーザ記録195(図6)にアクセスして、ステップ910で、ユーザが購入を行うのに十分なトークンを自分の口座に有しているかどうかを判断する。有していれば、ステップ915に示したように、MSPはユーザの口座残高を更新する。ステップ920で、MSPはユーザ記録195及びベンダー記録200を更新し、取引記録を取引データベース130に入力し、ベンダー販売総額記録220をMSPデータベース・サーバ215(図6)に入力する。そして、ステップ925で、MSPはマイクロペイメント取引を、ベンダーに許可する。ほとんどのオンライン・ショッピング・ウェブ・サイトと同様に、ステップ930で、ベンダー・ウェブ・サイトは購入確認を表示し、礼状を送る。ステップ935で、MSPは、一日の終わり又はマイクロペイメント取引を完了すると直ちに、ユーザにeメールを送って、ユーザがその日の間に少なくとも1件の商取引を行ったことを通知する。
【0204】
ユーザはMSPにログインして、ユーザ・インターフェース85(図3)でのマイクロペイメント取引の詳細を見直すことができる。これによってセキュリティのレベルは高まり、ユーザが取引記録に何らかの異常を発見した場合に、MSPにあるユーザの口座を使用不能にすることが可能になる。ステップ940に示したように、ベンダーは有形の商品をユーザに配達して、商取引を完了することができる。
【0205】
この場合、ユーザ口座を開いたときに、ユーザがMSPと締結したプライバシー契約に応じて、ユーザ又はMSPは商品に関する出荷情報をベンダーに送信することができる。ユーザがベンダーに如何なる出荷情報をも開示しないことを選択した場合、ベンダーは、MSPが商品をユーザに出荷できるように、MSPに商品を出荷しなければならない。ユーザの個人情報をベンダーに必ずしも開示することなく、ベンダーに出荷情報を開示する他の方法を提供できることを、当業者は理解すべきである。
【0206】
ユーザが購入を行うのに十分なトークンを有してない場合、ステップ950で、MSPはユーザの口座におけるトークンの不足をユーザに通知する。ユーザは、ステップ955でユーザが購入している商品の金額を削減するか、ステップ960で追加のトークンを購入することを選択できる。ステップ965で、追加のトークンを購入することを選択した場合に、ユーザは、図23で説明されている処理を行うよう促される。
【0207】
ユーザが1又は複数の商品を選択して、それらを「ショッピング・カート」に入れること、及び、チェックアウト工程を行って購入される有形の商品に関する支払いを決済することを可能にする、ベンダー・ウェブ・サイトでの現在のオンライン・ショッピングは比較的良好に機能するが、この商取引の方法は、以下の理由により、ユーザがインターネット上でコンテンツを購入するには適さない。
【0208】
第1の理由:購入するコンテンツ・アイテム(たとえば、記事、刊行物、音楽、ソフトウエア、映画)を選択すると、ユーザは、そのコンテンツ・アイテムを自分のインターネット・アプライアンスにダウンロードして、各ベンダーのウェブ・サイトで「ログイン」及び「チェックアウト」工程を行うことなしに、他のコンテンツを捜して他のベンダー・ウェブ・サイトを閲覧できる利便性を得ることを好む。
【0209】
第2の理由:ユーザは、同じコンテンツについて再度支払いを行う必要なしに、いくつかの他のベンダー・ウェブ・サイトを閲覧した後に、既に支払いを行った公表記事を再訪問して、自分のインターネット・アプライアンスのディスプレイ画面で読みたいと思う場合がある。
【0210】
第3の理由:各コンテンツ・アイテムの費用は、数セント又は数ドル程度で、通常は非常に少額であるので、クレジット・カードを用いてコンテンツの支払いを行うには適さない。
【0211】
第4の理由:総額で数セント、数ドル、又は、1セントにも満たないことさえある購入にショッピング・カートを用いる工程は実用的ではない。
図20〜22を参照して上記で説明したシステム及び方法の他の実施形態は、各ウェブ・サイトでログイン及びチェックアウトを必要とせずに、多数のコンテンツ・ベンダー・ウェブ・サイトでコンテンツを購入する利便性をユーザに提供する。
【0212】
図31には、各ベンダーが金額又は時間の決済限界値に達したときに、MSPによるベンダーへの支払いの決済をまとめる処理に関するフローチャートが示されている。ステップ980で、本発明のシステム及び方法は、ベンダー販売総額記録220及びベンダー記録200(図6)を検索して、ステップ985に示したように、そのベンダーについての金額の限界値に達しているかどうかをチェックする。達していなければ、ステップ990で、システムは時間の限界値に達しているかどうかを引き続きチェックする。
【0213】
金額の限界値及び時間の限界値の両方が、ベンダー毎に異なる場合があることに留意されたい。これらの限界値は、各ベンダーとMSPの運営者との間で予め決定され、ベンダー記録200に記録される。金額の限界値(ステップ985)又は時間の限界値(ステップ990)の何れかをチェックした結果が肯定的であれば、ステップ995に示したように、システムはベンダーに支払われるべき金額をベンダー販売総額記録220(図6)から入手して、ベンダーに支払うべき金額について、トークン売上口座225からベンダー口座230aに支払いを行うように、銀行に指示する。MSPの運営者によるベンダーとの支払い決済は、小切手をベンダーに送るなどのオフライン方法を用いて行うことができる。
【0214】
ステップ1000において、MSPは決済(支払い)の金額、日付及び時間を入力することにより、ベンダー販売総額記録220(図6)を更新する。ベンダーの金額限界値又は時間限界値に達していなければ、そのベンダーについて口座決済は処理されない。上記の口座決済処理は、ユーザの支払いオプションの1つとしてトークンを用いるためにMSPに登録した各ベンダーについて行われる。ステップ1005において、システムは全てのベンダー決済が処理されたかどうかをチェックする。処理されていなければ、ステップ980に示したように、次のベンダー販売総額記録220及びベンダー記録200(図6)を得る。処理されていれば、この処理は完了し、所定の時間に又は時間間隔で再開される。
【0215】
本発明のシステム及び方法は、ユーザが、自分が行ったあらゆる取引について争う(dispute)すなわち検証することを可能にする。争いの典型的な理由は、購入した素材をダウンロードしたりそれにアクセスしたりする問題や、ユーザがコンテンツを購入してそれが欲しかったコンテンツではないと分かったこと等の、コンテンツの不適切な説明又は表現である。ユーザが十分に大きな件数や金額の取引を争う場合に、争いは、管理者がその争いを検討するまで「保留」となる。しかし、サービス・コストを節約するために、MSPは、システムが自動的に争いを処理し、所与の日数を過ぎた取引を争うことは不適当である、十分に小さい金額又は数量の払い戻しを行うことを可能にする、多数の条件を定める。その日数は、MSP運営者によって予め決定され、各通貨について異なるように設定することができる。また、少額が争われた場合には、本発明のシステム及び方法は、自動的に争いを認めて取引を無効にする。争いは、MSP運営者によって予め決定された以下の条件を満たした場合に、自動的に承認を受ける。
【0216】
条件I:ある期間(各通貨についてMSPによって予め決定される)の間にユーザによって争われた総額が、各通貨で「m」未満であること。ここで、「m」は各通貨についてMSPによって設定された通貨額である。
【0217】
条件Iが満たされない場合でも、以下の条件を満たせば争いは依然として自動的に承認を受けるに値する。
条件II:ある期間(各通貨についてMSPによって予め決定される)の間にユーザによって争われた総額が、その期間の間にユーザによって行われた購入の総額(各通貨についてMSPによって予め決定される)の1パーセント未満である。
【0218】
条件III:ある期間(各通貨についてMSPによって予め決定される)の間にユーザによって争われた購入の総数が、その期間の間にユーザによって行われた購入の総数(各通貨についてMSPによって予め決定される)の1パーセント未満である。
【0219】
条件IV:ある期間(各通貨についてMSPによって予め決定される)の間にユーザによって争われた購入の総数が、「n」未満である(「n」は各通貨についてMSPによって予め決定された数である)。
【0220】
本発明のシステム及び方法は、バックエンド・インターフェースも提供し、バックエンド・インターフェースは、そのバックエンド・インターフェースの各機能をセキュリティのレベル又は機能と関連づけるシステム・アドミニストレータのセキュリティ特徴を含む。システム・アドミニストレータのログインには、システム・アドミニストレータが特定のタスクを行うために必要とする可能なセキュリティ機能の特定のサブセットのみを可能にする、セキュリティ・プロファイルが与えれらる。かかるシステム・アドミニストレータのログインの下で、セキュリティ機能の割り込みを制御することは、その機能に関する制御を隠すことになる。ベンダー及びMSPアドミニストレータの両方のバックエンド・インターフェースは、このセキュリティ機能を含むことができる。
【0221】
管理をより容易にするために、十分なセキュリティの権利を有するシステム・アドミニストレータは、その同じシステム・アドミニストレータのセキュリティ機能のサブセットを備えたセキュリティ・グループを作成することもできる。このことは、非常に多くの人々の権利を、それらの人々をセキュリティ・グループに追加又はセキュリティ・グループから削除することにより制御することを、セキュリティ・アドミニストレータにとってより容易にする。
【0222】
本発明のシステム及び方法は、ユーザの個人情報が如何なる参加ベンダーにも漏洩しないように保護する。あらゆる参加ベンダーに関する情報を得る利便性をユーザに提供するために、システムはユーザが「オプトアウト(opt-out)」及び「オプトイン(opt-in)」の選択肢を有することを許容する。
【0223】
オプトインの選択肢は、可能な限り最高のプライバシー基準を維持し続けながら、販売及び販売促進に関する追加情報をベンダーから受け取る機会をユーザに提供する。これは、いくつかの方法で達成される。ユーザがベンダーによってMSPを照会する場合に、ユーザはベンダーのウェブ・サイトからMSPの登録フォームへのリンクに従う。登録の完了時に、最後のページは、「はい、[ベンダー名]から私に特別なオファー及び販売促進に関する情報を送って欲しい」というような文句のパラグラフを含み、デフォルトではチェックされるチェック・ボックスがそれに続いている。ユーザは、このボックスをチェックしないことによりこの選択肢を選ばない(opt-out)ことができる。ユーザがこのボックスをチェックしたままにすれば、次の事柄の一方が起きる。すなわち、MSPが限定的な情報(つまり、ユーザのeメール・アドレス)をベンダーに送るか、MSPが、別のフォームに記入させるためにユーザをベンダーのウェブ・ページに戻すかである。登録でオプトアウトすると、それに続くオプトイン方法が生じない。
【0224】
MSPは、既にMSPに登録しているユーザが、ベンダーで初めて買い物をするときに、それらのベンダーからのマーケティングに関するオプトイン・オプションを選択することを許容する。オプトイン・オプションは、ユーザがベンダーのメーリング・リストにサインアップできるベンダーのウェブ・サイトのウェブ・ページに、ユーザをリンクすることを伴う。このリンクの配布方法は、次の2つの方法の一方で達成できる。すなわち、ユーザがベンダーで初めて買い物をするときに、MSPは、ベンダーのメーリング・リスト・サインアップ・ページへのリンクを含むメッセージを、ユーザのインターネット・アプライアンスに表示すること、及び、ユーザがベンダーで初めて買い物をするときに、MSPサーバは毎晩「取引概要」eメールを送出し、このeメールはそのベンダーに関する短いメッセージを含み、おそらくベンダーのロゴ及びベンダーのメーリング・リスト・サインアップ・ページへのリンクを含むことの一方である。
【0225】
本発明の別の実施形態においては、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者は、トークンをコンテンツに対するユーザの支払いオプションとして用いることをMSP60によって許可されている各ベンダー・ウェブ・サイトから、ユーザがコンテンツを購入したときには、常にロイヤリティを獲得する。各コンテンツの価格は通常非常に少額であり、本発明の方法及びシステムにおいて説明したようなマイクロペイメントを必要とするので、かかるコンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者に支払われる報酬は、おそらく1セントにも満たない金額の範囲でさらに小さい。したがって、マイクロペイメントをまとめることが必要になる。コンテンツ・ロイヤリティ額は、電子取引が取引データベース130(図6)に記録されるのと同時に、ベンダー記録200(図6)に入力される。このコンテンツ・ロイヤリティ額は、ユーザとコンテンツ・ベンダーとの間の取引毎に、ベンダー総販売額口座220(図6)内の総コンテンツ・ロイヤリティ額にも加算される。MSP60と各ベンダーとの間の支払いの決済時に、MSP60の運営者が後日、各コンテンツ・ベンダーから徴収したロイヤリティ額を、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者のそれぞれに支払うことができるように、このコンテンツ・ロイヤリティの総額が控除される。
【0226】
図32及び図33には、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者のそれぞれに対するコンテンツ・ロイヤリティ総額の計算、及び、これらの者に対する支払いの決済に関するフローチャートが示されている。ステップ1020で、本発明のシステム及び方法は、ベンダー記録200(図6)にアクセスして、ステップ1025で、コンテンツ・ロイヤリティ額を検索して、「決済済み」とマークする。ステップ1030で、コンテンツ・ロイヤリティ額は、コンテンツの著者、発行者、及び他の知的財産権所有者毎に設定された口座に入れられる。ステップ1035で、この処理は、ベンダー記録200に記録された全てのコンテンツ・ロイヤリティ額について繰り返される。ステップ1040で、システムは、全てのベンダーに関するベンダー記録200が処理されたかどうかをチェックする。処理されていなければ、ステップ1020に示すように、システムは次のベンダー記録200(図6)を入手する。処理されていれば、システムは、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者の全てに対する支払いの決済に移る。
【0227】
ステップ1045で、本発明のシステム及び方法は、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者の口座を検索してから、ステップ1050に示すように、コンテンツの著者、発行者又は、他の知的財産権所有者について金額の限界値に達したかどうかをチェックする。達していなければ、ステップ1055で、システムは時間の限界値に達したかどうかを引き続きチェックする。金額の限界値及び時間の限界値の両方が、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者毎に異なることがある。
【0228】
これらの限界値は、コンテンツの著者、発行者又は他の知的財産権所有者のそれぞれとMSP60の運営者との間で予め決定され、各々について開設される口座に記録される。金額の限界値(ステップ1050)又は時間の限界値(ステップ1055)の何れかをチェックした結果、限界値に達していれば、ステップ1060に示すように、システムはトークン販売口座225(図6)から、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者の銀行口座(図示せず)に支払いを行うように銀行に命令する。上記のMSP60の運営者による支払いの決済は、小切手をコンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者に送るなどのオフラインの方法を用いて行うことができる。
【0229】
ステップ1065で、MSP60は支払い決済の金額及び日時を入力することにより、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者を更新する。金額の限界値又は時間の限界値に達していなければ、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者について、口座決済は処理されない。上記の口座決済処理は、ユーザの支払いオプションの1つとしてトークンを用いるためにMSP60に登録された各ベンダーによってコンテンツを販売される、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者のそれぞれについて行われる。
【0230】
ステップ1070において、コンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者の全てが処理されたかどうかをチェックする。処理されていなければ、ステップ1045に示したように、システムは次のコンテンツの著者、発行者、又は他の知的財産権所有者に関する次の口座を入手する。処理されていれば、処理は完了し、そして所定の時間に又は時間間隔で再開される。
【0231】
本発明の別の実施形態において、MSP60に登録されたユーザは、ユーザ・データベース120(図6)の自分の口座195で利用可能なトークン(電子資金)を、やはりMSP60に登録されており、ユーザ・データベース120に自分の口座195を有する別のユーザに送ることを許可される。この特徴は、クレジット・カード又は様々なインターネット支払いサービス・プロバイダによって提供される電子支払いサービスを用いる代わりにトークンを用いるために、オークション・ウェブ・サイトでオークションを行う能力を提供する。オークション・バイヤーは、自分の口座195からセラーのユーザ口座195にトークンを転送するように、MSP60に要求する。クレジット・カードの代わりにトークンを用いることの利点は、オークションに掛けられる商品の価格が低すぎて、クレジット・カードを用いてバイヤーがセラーに支払うことが法外にコスト高になってしまう場合に、より明白になる。オークションにトークンを用いることは、現在のオークション・サイトによって提供されるものよりも遥かに少額に価格設定できるコンテンツ・アイテム、有形の商品、又はサービスを、セラーが販売しバイヤーが購入する機会を提供する。
【0232】
さらに、MSP60の運営者は、マイクロペイメント・サーバ80がトークン転送のようなタスクをコストを全くかけずに行うことができるので、ユーザが自分のトークンをオークション・セラーのユーザ口座に転送することに対して、請求を行わないことができる。現在のオークション・バイヤーは、電子支払いサービス・プロバイダにサービス・チャージを支払う必要があるので、これによってオークション・サイトに別の利点が増やすことになる。オークション・セラーがトークンの代わりに実際の通貨を得ることを望む場合には、セラーは現金用のトークンを送るように、MSP60に要求できる。そして、MSP60の運営者は、トークンを実際の通貨に引き換えることについて、何らかのサービス・チャージをセラー(又はユーザ)に請求できる。ユーザから要求を受け取ると、MSP60の運営者は、小切手を送るか、ユーザの銀行口座に資金を振り込むことにより、ユーザに資金を送る。
【0233】
上記のように、1人のユーザから別のユーザにトークンを転送することは、オークションに限られない。本発明の方法及びシステムは、電子パーソン・ツー・パーソン(P2P)システムとして、ある人が他の人に金銭を送るために用いることもできる。受取人は最初に資金をトークンの形態で受け取る。現在の電子P2Pシステムとは異なり、受取人は受け取ったトークンの全部又は一部を「現金化」する柔軟性を持つことができる。
【0234】
本発明のさらに別の実施形態において、マイクロペイメント・サーバ80(図3)に、数人のユーザが単一のユーザ口座を用いることもできる。たとえば、場合によっては、家族の数人が、MSP60の運営者によってユーザの支払いオプションの1つとしてトークンを受け入れることを許可されているベンダー・ウェブ・サイトから、有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入できることが望ましい。同様に、会社は、MSP60に法人口座を開いて、その許可された従業員の何人かが同じ法人口座を用いて、様々なウェブ・サイトで法人購入を行うことを可能にすることができる。同じ法人口座内で会社自体の有形の商品を購入する場合には、会社は、様々な地域に設けられた小売店においてその会社の在庫を補充する必要がある、許可された従業員によって、その会社自体の商品を購入させることを望むことができる。この場合に、MSP60に開いた会社の口座を通して、許可された従業員により行われた各購入を追跡するために、本発明の方法及びシステムを用いることができる。このことは、会社自体の有形の商品の内部購入に関する正確な会計を確実にするだけでなく、購入注文を発行して、従業員により行われた各購入に関する請求書に対して支払いを行うためのオーバーヘッド・コストを削減することにもなる。
【0235】
上記の様々な購入シナリオを処理するために、本発明の方法及びシステムは、データベース120(図6)のユーザ口座195が多数のパスワードを有することを可能にする。上記の例で説明したように、ユーザ口座に与えられる多数のパスワードのそれぞれは、家族の構成員又は法人の従業員に対応する。マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース85は、ユーザがデータベース120のユーザ口座190に追加のパスワードを入力することを可能にする、ユーザ・インターフェース・スクリーン(図示せず)を有する。口座概要画面は、表示されたメンバーの個々の取引のそれぞれに対応する多メンバー口座の各メンバーを識別する(図示せず)。
【0236】
また、ユーザ報告書画面は、開始/終了日、取引の種類、取引の金額などによって報告書をフィルタリングすることに加えて、多メンバー口座のメンバーよる口座報告書のフィルタリングも可能にする(図示せず)。さらに、図示していないが、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース85は、ユーザが多メンバー口座の各メンバーについて、様々なアクセス及び使用の限度を設定することを可能にする、ユーザ・インターフェース画面を有する。使用限度は、たとえば、家族の構成員が合意した口座残高を超えて使用することや、子供の場合には、望ましくないウェブ・サイトにアクセスすることを防止するように設定できる。
【0237】
上記においては、本発明の特定の実施形態を詳細に説明したが、この説明は単に例示を目的としているにすぎないことが理解されるであろう。本発明の具体的特徴は、ある図面には示されており他の図面には示されていないが、これは利便性のためだけであり、あらゆる特徴が本発明に従って他の特徴と組み合わせることができる。説明した処理のステップは、順序を入れ替えたり組み合わせたりすることができるし、他のステップを含めることもできる。さらに他の変形もこの開示に照らして当業者には明らかになるであろう。出願人はそれらの変形が特許請求の範囲の中に入ることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0238】
【図1】本発明の原理に従ってマイクロペイメント取引を遂行する際に関係する、当事者と、これら当事者間の関係を示した説明図である。
【図2】本発明が動作するシステム及びネットワーク環境の概略図である。
【図3】本発明の好適な実施形態において用いるソフトウエア・コンポーネントの概略図である。
【図4】本発明の原理に従って構成されたマイクロペイメント・サーバ・ソフトウエアの概略図である。
【図5】マイクロペイメント・ユーザ口座を開くために、MSPに登録する際にユーザが採るステップを示したフローチャートである。
【図6】販売されたトークン総合販売額の記録、及び、支払いの決済のためのベンダーの銀行口座でのベンダーの総販売額の記録を含む、MSPにおけるデータベース・サーバ内のデータベースの一例を示した概略図である。
【図7】ユーザ登録のためのマイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の例示図である。
【図8】ユーザの個人情報及び課金情報に入るためのマイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の例示図である。
【図9】ユーザの口座概要、及び、他のマイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面にアクセスするためのいくつかのリンクを示した、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の例示図である。
【図10】マイクロペイメント取引の履歴を示した、マイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース即時概要画面の例示図である。
【図11】マイクロペイメント口座に資金を入れるためのマイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の例示図である。
【図12】マイクロペイメント口座に関する使用限度を指定するためのマイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の例示図である。
【図13】支払い方法として電子トークンを提供する参加ベンダーを記載したマイクロペイメント口座ユーザ・インターフェース画面の例示図である。
【図14】コンテンツ・アイテムがユーザによって購入されているときに、マイクロペイメント・ベンダーAPI機能コールを実効することに関するフローチャートである。
【図15】ユーザが購入できるコンテンツ・アイテムのリンクを記載したベンダー・ウェブ・ページの例示図である。
【図16】Aは、電子トークンを用いてユーザが購入できるコンテンツ・アイテムに関する、ハイパーリンクの一例を、Bは、ベンダー・ウェブ・サイトでマイクロペイメント取引を開始するためのJava(登録商標)スクリプト機能の一例の説明図である。
【図17】Aは、コンテンツ・アイテムを購入するために、ユーザがベンダー・ウェブ・ページのリンクをクリックしたときに、ユーザに対して表示されるバイ・ウィンドウの例示図、Bは、コンテンツ・アイテムを購入するために、ユーザがベンダー・ウェブ・ページのリンクをクリックし、ユーザがマイクロペイメント・サービス・プロバイダにはまだログインしていないときに、ユーザに対して表示されるログイン・ウィンドウの例示図である。
【図18】Aは、マイクロペイメント取引を開始するために、ベンダー・ウェブ・サーバによって実施されるマイクロペイメント・ベンダーAPI機能コールの例示説明図であり、Bは、ユーザによって購入されているコンテンツ・アイテムをロックダウンするために、ベンダー・ウェブ・サーバによって実施されるマイクロペイメント・ベンダーAPI機能コールの例示説明図である。
【図19】ベンダー・ウェブ・サーバからマイクロペイメント・ウェブ・サーバに、図18に示したマイクロペイメント・ベンダーAPI機能コールによって渡されるパラメータの説明図である。
【図20】ウェブ・サイト上で販売申し出がなされるコンテンツ・アイテムに関する支払いとして、電子トークンを受け入れるベンダーのウェブ・サイトの概略図である。
【図21】多数のベンダー・ウェブ・サイトでトークンを用いてコンテンツ・アイテムを購入する際に、ユーザによって採られるステップを示した概略説明図である。
【図22】ベンダー・ウェブ・サイトでトークンを用いてコンテンツ・アイテムを購入する際に行われる、システム処理を示した概略説明図である。
【図23】トークンを購入すること又はマイクロペイメント口座に資金を入れることに関するフローチャートである。
【図24】ベンダー及びコンテンツのURLアドレスを確認し、取引データとユーザ認証の完全性を保持し、コンテンツの無許可の閲覧又はダウンロードを防止するために、コンテンツを安全に購入することに関するフローチャートである。
【図25】ベンダー及びコンテンツのURLアドレスを確認し、取引データとユーザ認証の完全性を保持し、コンテンツの無許可の閲覧又はダウンロードを防止するために、コンテンツを安全に購入することに関するフローチャートである。
【図26】ベンダー及びコンテンツのURLアドレスを確認し、取引データとユーザ認証の完全性を保持し、コンテンツの無許可の閲覧又はダウンロードを防止するために、コンテンツを安全に購入することに関するフローチャートである。
【図27】ベンダー及びコンテンツのURLアドレスを確認し、取引データとユーザ認証のインテグリティを保持し、コンテンツの無許可の閲覧又はダウンロードを防止するために、コンテンツを安全に購入することに関するフローチャートである。
【図28】有形の商品、コンテンツ、又はサービスをベンダー・ウェブ・サイトで購入するのに十分な資金がユーザのマイクロペイメント口座にないときに、その口座に資金を入れるためのウィンドウの例示図である。
【図29】チェックアウト処理を介して、ベンダーのウェブ・サイトでトークンを用いて有形の商品又はサービスを購入する際に、ユーザがとるステップを示した概略説明図である。
【図30】ベンダーのウェブ・サイトで有形の商品を購入することに関するフローチャートである。
【図31】金額又は時間の決済限界値に各ベンダーが達したときに、MSPによるベンダーに対する支払いの決済をまとめることに関するフローチャートである。
【図32】金額又は時間の決済限界値に達したときの、全てのベンダーが販売するコンテンツに関する著者、発行者、芸術家、又は他の知的財産権所有者に報酬として支払うロイヤリティと、MSPによる著者、発行者、芸術家、又は他の知的財産権所有者への支払いの決済の合算とを示したフローチャートの一部であり、図33に続いている。
【図33】金額又は時間の決済限界値に達したときの、全てのベンダーが販売するコンテンツに関する、著者、発行者、芸術家又は他の知的財産権所有者に報酬として支払うロイヤリティの合算と、MSPによる著者、発行者、芸術家又は他の知的財産権所有者への支払いの決済とを示したフローチャートの一部であり、図32から続いている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザと、複数のベンダー・ウェブ・サイト上で有形の商品、コンテンツ、又はサービスのレンタル又は販売を行う複数のベンダーとの間で、コンピュータ・ネットワーク上で電子商取引を行う方法であって、
マイクロペイメント・サービス・プロバイダのマイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバからユーザに対して、マイクロペイメント取引に用いるのに適した複数の電子トークンを発行するステップと、
ユーザにマイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバから、マイクロペイメント・ユーザ口座を提供するステップであって、複数のマイクロペイメント・ユーザ口座における各マイクロペイメント・ユーザ口座は、異なった通貨で購入される電子トークンのサブセットを格納している、ステップと、
ユーザによって使用された電子トークンに関する支払いを決済するために、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバから複数のベンダーのそれぞれにマイクロペイメント・ベンダー口座を提供するステップであって、複数のベンダーの1又は複数に対してユーザの個人情報を開示しないようにして、ユーザの個人情報を開示することなくマイクロペイメント・ベンダー口座を提供するステップと、
ユーザとベンダーとの間の各電子取引について、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバ内の対応するマイクロペイメント・ベンダー口座にロイヤリティ取引を記録するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、複数のベンダーの少なくとも一部が、ベンダー・ウェブ・サイトをホスティングするベンダー・サーバにおいてホスティングされるコンテンツを提供し、該方法はさらに、
該ベンダー・サーバから電子トークンと引き換えに、ユーザにコンテンツを提供するステップと、
各電子取引について、ベンダー・サーバにおけるコンテンツに関するロイヤリティ取引を対応するマイクロペイメント・ベンダー口座に記録するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、ユーザ・データベースをマイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバに保持するステップを含み、該ユーザ・データベースはマイクロペイメント・ユーザ口座情報を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1記載方法において、該方法はさらに、ベンダー・データベースをマイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバに保持するステップを含み、該ベンダー・データベースはマイクロペイメント・ベンダー口座情報を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、複数のベンダー・ウェブ・サーバでの電子トークンの使用を伴う電子取引の記録を含む取引データベースを、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバに保持するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、電子トークンは、マイクロペイメント・サービス・プロバイダによってユーザに直接発行されるか、又は、複数のベンダー・ウェブ・サイトをホスティングするベンダー・サーバを介して発行されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法において、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバによってユーザに直接発行されるか、又は、複数のベンダー・ウェブ・サイトをホスティングするベンダー・サーバを介して発行される電子トークンは、複数のインセンティブ・トークンを含み、複数のインセンティブ・トークンの各インセンティブ・トークンは、発行当事者の完全な自由裁量でユーザにインセンティブを提供するように設計されていることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバは、各ユーザに複数のマイクロペイメント・ユーザ口座を提供し、該複数のマイクロペイメント・ユーザ口座は、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバでホスティングされたウェブ・サイトと、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバでホスティングされたウェブ・サイトへの複数のベンダー・ウェブ・サイト上のリンクと、マイクロペイメント・サービス・プロバイダの顧客サービス担当者との3者の1又は複数を介して、ユーザによって開かれることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、複数のマイクロペイメント・ユーザ口座の各マイクロペイメント・ユーザ口座は、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバ内に、異なった通貨で購入された電子トークンのサブセットを格納するよう構成されていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8記載の方法において、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバは、マイクロペイメント・ユーザ口座がユーザによって開かれたときに、マイクロペイメント・ユーザ・インターフェースをユーザに提供し、該マイクロペイメント・ユーザ・インターフェースは、マイクロペイメント・ユーザ口座の利用状況をユーザがチェックできるように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバは、マイクロペイメント・ベンダー口座が複数のベンダーによって開かれたときに、複数のベンダーにマイクロペイメント・ベンダー・アプリケーション・プログラム・インターフェースを提供し、該マイクロペイメント・ベンダー・アプリケーション・プログラム・インターフェースは、複数のベンダーが支払い方法としての電子トークンをユーザに提供可能に構成されていることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバから、電子取引に電子トークンを用いるようにユーザを誘引するために、複数のベンダーの1又は複数に、無償の電子トークン又はローヤリティが低減されたトランザクションを提供することによって、該ベンダーに報酬を与えるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバは、ベンダー・ウェブ・サイト毎でのユーザによる複数のログイン及びチェックアウト手順を必要としないユーザによる購入を複数のベンダーに報知するよう構成されていることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法において、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバは、マイクロペイメント・ユーザ口座における無許可の請求について、ユーザが自動的に阻止することができるように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法において、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバは、ユーザが、ベンダーから有形の商品、コンテンツ、又はサービスを購入する前又は購入した後に、資金をマイクロペイメント・ユーザ口座に入れることができるように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法において、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバにおける電子トークンに関する支払いを決済するステップは、所定の金額の限界値又は時間の限界値に応じて決済することを含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバが、複数のベンダー・ウェブ・サイトでのユーザによる購入の概要をユーザが即時に見ることを可能にするルーチンを提供するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバが、ユーザが複数のベンダー・ウェブ・サイトでコンテンツを購入することを可能にするために、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバにユーザがログインした後から所定の期間のセキュリティ・ルーチンを提供するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバが、セキュリティ・ルーチンにより、時変暗号化キーによるユーザ・ログイン識別の暗号化を含む、複数のベンダー・ウェブ・サイトをホスティングするベンダー・サーバからのコンテンツの無許可ダウンロードを防止するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバが、セキュリティ・ルーチンにより、複数のベンダー・ウェブ・サイトに対応する複数のURLアドレス、取引データ及び、ユーザ・ログイン識別のマイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバによる確認を含む、複数のベンダー・ウェブ・サイトからのコンテンツの無許可ダウンロードを防止するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバが、セキュリティ・ルーチンより、取引データに関する取引IDを作成し、かつマイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバと複数のベンダー・ウェブ・サーバをホスティングするベンダー・サーバとの間の取引データの送信を制限することにより、取引データの無許可の改変を防止するステップを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、該方法はさらに、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバが、マイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバでホスティングされたウェブ・インターフェース、ユーザによってマイクロペイメント・サービス・プロバイダ・サーバからダウンロードされたクライアント・インターフェース、対話型音声応答システム、及び、マイクロペイメント・サービス・プロバイダの顧客サービス担当者とのオフライン・インターフェースのうち1又は複数を含むユーザ・インターフェースを提供するステップを含んでいることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2009−116894(P2009−116894A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71(P2009−71)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【分割の表示】特願2002−62035(P2002−62035)の分割
【原出願日】平成14年3月7日(2002.3.7)
【出願人】(502334054)ペイバイクリック・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】