説明

電子回路構造を製造するための組成物および方法

本発明は、レーザ(または同様のタイプのエネルギービーム)アブレーションによる非リソグラフィックパターン化に関し、ここで、アブレーションシステムは、最終的に、オーバーめっき欠陥により導入されるデブリ(アブレーションプロセスに関するデブリ)および完全アディティブめっきにより導入されるオーバーめっき欠陥を比較的含まない回路構造機構をもたらす。本発明の組成物は、絶縁性基材およびカバー層を有する回路基板プレカーサを含む。この絶縁性基材は、誘電性材料および金属酸化物活性化可能充填材から形成される。カバー層は犠牲層であっても非犠牲層であってもよく、アブレーションプロセスから生じる望ましくないデブリを修正するために用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、印刷回路材料用の導電路パターンの製造に関する。具体的には、本発明の方法および材料は、レーザまたは同様のタイプのエネルギービームアブレーションによる非リソグラフィックパターン化に関し、ここで、アブレーションシステムは、最終的に、オーバーめっき欠陥により導入されるデブリ(アブレーションプロセスに関するデブリ)および完全アディティブめっきにより導入されるオーバーめっき欠陥を比較的含まない回路構造機構をもたらす。
【背景技術】
【0002】
印刷回路基板(PCB)は、典型的には、薄い(通常は銅)を支持する絶縁性基材(例えば、ガラス繊維強化エポキシまたはポリイミドフィルム)を特定の用途のために設計されたパターンで備えている。パターン化された導電性層(プリント回路としても称される)は、抵抗器、コンデンサ、集積回路および他の電子素子などの種々の電気部品間で電圧および電流を輸送するための手段である。典型的には、回路パターン(すなわち配線構成)は、かなり複雑で高価となる傾向にあるフォトリソグラフィープロセスにより形成される。それ故、イメージデータを、代替的な非リソグラフィックプロセスを用いて、より単純におよび/またはより経済的に回路基板上に転写することが可能であれば、有利であろう。
【0003】
活性化可能充填材での回路基板のレーザパターン化プロセスの最中には、パターン化プロセス中にアブレーションからデブリが形成される。デブリのいくらかは、誘電性または絶縁性基材の表面に堆積される。めっきステップの最中には、表面上の活性化されたデブリが金属化されることとなる。様々なサイズの導電性機構が、所与のめっき時間についてのアンダーめっきまたはオーバーめっきに寄与することが可能である。オーバーめっきは、清浄ではないトレースまたはパスに起因して生じる可能性がある。
【0004】
ラインおよび空隙におけるオーバーめっきを排除する必要性が存在する。オーバーめっきは、意図されるものとは異なるパスに沿って電荷を流れさせて短絡を生じさせる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、絶縁性基材およびカバー層を有する印刷回路基板プレカーサに関する。絶縁性基材は、絶縁性高分子マトリックス材料を含有する。絶縁性高分子マトリックス材料は:
ポリイミド、
ガラス繊維強化エポキシ、
フェノール−ホルムアルデヒド、
エポキシ樹脂、
シリカ充填エポキシ、
ビスマレイミド樹脂、
ビスマレイミドトリアジン、
フルオロポリマー、
ポリエステル、
ポリフェニレンオキシド/ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブタジエン/ポリイソプレン架橋性樹脂およびこれらのコポリマー、液晶ポリマー、
ポリアミド、
シアン酸エステル、
アルミナ、
シリカ、ならびに
前述のもののいずれかの組み合わせ
の1つ以上を含む。
【0006】
絶縁性材料は、金属酸化物活性化可能充填材をさらに含む。活性化可能充填材は、マトリックス材料中に3〜60重量%の間の量で存在すると共に、少なくとも一次元で50〜10000ナノメートルの平均サイズを有する。印刷回路基板プレカーサカバー層は、0.5〜500ミクロンの間(両端を含む)の厚さを有する。このカバー層は、永久カバー層、犠牲カバー層および剥離可能カバー層から選択される。永久カバー層を犠牲カバー層と組み合わせて用いることができる。
【0007】
本発明が、本明細書において、添付の図面を参照して、単なる一例として記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】レーザアブレーション前の本発明によるブランク印刷回路基板プレカーサの一部分の断面図である。
【図2】基板上のパターンのアブレーションプロセスを示す図1のものと同様の断面図である。
【図3】金属化の前に犠牲カバー層を除去するプロセスを示す図2のものと同様の断面図である。
【図4】剥離可能カバー層の除去の前の金属化プロセスを示す図2のものと同様の断面図である。
【図5】犠牲カバー層ではなく永久カバー層を利用するプロセスを示す図2のものと同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、清浄な回路構造機構を製造するためのカバー層組成物に関する。ここで図面を参照すると、図1は、本発明の一実施形態である、印刷回路基板(「PCB」)プレカーサ10を示す。PCBは、カバー層14、ならびに絶縁性マトリックス材料および活性化可能充填材を含む絶縁性基材12を含む。カバー層14は絶縁性基材上に位置されている。
【0010】
絶縁性基材12は、絶縁性マトリックス材料中に分散された活性化可能充填材を含む。一実施形態においては、充填材は、認識可能な結晶構成中に2以上の金属酸化物クラスター構成を含む。全結晶構成は、理想的な状態(すなわち、非汚染、非誘導体)にある場合、以下の一般式:
AB24
(式中、
i.Aは、カドミウム、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、錫、チタン、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される2の原子価を有する金属カチオンであり、これは、典型的には四面体構造である第1の金属酸化物クラスター(「金属酸化物クラスター1」)の第1級カチオン成分をもたらし、
ii.Bは、クロム、鉄、アルミニウム、ニッケル、マンガン、錫、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される3の原子価を有する金属カチオンであり、これは、典型的には八面体構造である第2の金属酸化物クラスター(「金属酸化物クラスター2」)の第1級カチオン成分をもたらし、
iii.上記基AまたはBにおいて、2の原子価を有することが可能である如何なる金属カチオンも「A」として用いることができ、および3の原子価を有することが可能である如何なる金属カチオンも「B」として用いることができ、
iv.「金属酸化物クラスター1」の幾何学的構成(典型的には四面体構造)は「金属酸化物クラスター2」の幾何学的構成(典型的には八面体構造)とは異なり、
v.AおよびBからの金属カチオンは、「逆」スピネル−タイプ結晶構造の場合のように、「金属酸化物クラスター2」(典型的には八面体構造)の金属カチオンとして用いることが可能であり、
vi.Oは酸素であり、ならびに
vii.「金属酸化物クラスター1」および「金属酸化物クラスター2」は、一緒になって、約10〜約30重量%の充填量でポリマーベースの誘電体中に分散されたときに、「可視光〜赤外光」吸光係数が、以下の数字、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5および0.6/ミクロンのいずれか2つの間(両端を含む)で計測されることが可能であるという特性により証明される、電磁放射に対する増大された感受性を有する単一の認識可能な結晶タイプ構造を提供する)
を有する。
【0011】
スピネル結晶充填材は、絶縁性基材12のマトリックス材料への液体プレカーサに分散されることが可能である。充填材は、以下の数字3、5、7、9、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55および60重量%のいずれか2つの間(両端を含む)の重量%で分散されることが可能であり、初期においては、以下の数字50、100、300、500、800、1000、2000、3000、4000、5000および10000ナノメートルのいずれか2つの間(両端を含む)の平均粒径(マトリックス材料への組み込み後)を有する。
【0012】
スピネル結晶充填材は、有機溶剤中に分散され(分散剤の補助ありまたはなしで)、その後のステップにおいて、マトリックス材料溶液に分散されてブレンドポリマー組成物を形成することが可能である。次いで、ブレンドポリマー組成物は、平面(またはドラム)上にキャストされ、加熱され、乾燥されおよび、硬化または半硬化されて、スピネル結晶充填材がその中に分散されたマトリックスを含む絶縁性基材12を形成することが可能である。
【0013】
次いで、ポリマーフィルムは、レーザビームの使用による光活性化ステップを解して処理されることが可能である。レーザビームは、光学構成要素を用いて集束されると共に、回路トレース、または他の電気的部品を位置させることが所望されるポリマーフィルムの表面の一部分に向けられることが可能である。表面の一旦選択された部分が光活性されると、光活性された部分は、例えば無電解めっきステップといった金属めっきステップにより後に形成される回路トレースのためのパス(または度々スポット)として用いられることが可能である。
【0014】
ポリマーフィルムまたはポリマー複合材を用いて回路を形成するために利用されるプロセスステップ数は、度々、今日の産業において利用される通常のサブトラクティブ法におけるステップ数と比してかなり少ない。
【0015】
一実施形態においては、絶縁性基材組成物およびポリマー複合材は、以下の数字0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、および0.6/ミクロン(または1/ミクロン)のいずれか2つの間(両端を含む)の可視光〜赤外光吸光係数を有する。可視光〜赤外光が、各フィルムについての光吸光係数を計測するために用いられる。フィルムの厚さが、光吸光係数の測定についての計算において用いられる。
【0016】
本明細書において用いられるところ、可視光〜赤外光吸光係数(度々、本明細書において、単に「α」としても称される)は算出された数である。この算出された数は、光ビームパス中に複合材フィルムのサンプルを配置した後の光の特定の波長の計測強度値の比(分光計を用いて)をとり、その数を、空気中を通過する同一の光の光強度により除することにより見出される。
【0017】
この比の自然対数をとり、(−1)で乗じ、次いで、その数をフィルムの厚さ(ミクロンでの計測値)で除すると、可視光〜赤外光吸光係数を算出することが可能である。
【0018】
この場合、可視光〜赤外光吸光係数についての一般式は、一般式:
α=−1×[ln(I(X)/I(O))]/t
(式中
I(X)は、フィルムを通過した透過光の強度を表し、
I(O)は、空気を通過した透過光の強度を表し、および
tはフィルムの厚さを表す)
によって表される。
【0019】
典型的には、これらの計算におけるフィルム厚はミクロンで表記される。それ故、特定のフィルムについての光吸光係数(またはα数)は、1/ミクロンとして、または、逆ミクロン(例えば、ミクロン-1)として表記される。本明細書に記載の計測において有用である光の特定の波長は、典型的には、スペクトルの可視光〜赤外光部分を変換する光の波長である。
【0020】
ポリマー組成物およびポリマー複合材は、マトリックス材料溶液中に、以下の重量%3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、18、20、24、25、28、30、32、34、35、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58および60重量%のいずれか2つの間(および両端を含む)の範囲内の量で実質的に均質に分散されているスピネル結晶充填材を含む。スピネル結晶充填材を過剰量で含有するポリマー複合材は、充填材のより高い充填量では複合材が柔軟性を逸失する傾向にあるために、度々、後処理プロセスにおいて取り扱うには過度に脆くなってしまう可能性がある。
【0021】
一実施形態においては、スピネル結晶充填材は、一般式:
AB24
により表され、式中、Aは、典型的には、原子価2を有すると共に、カドミウム、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、錫、チタン、およびこれらの2種以上の組み合わせを含む群から選択される金属カチオンであり、ならびに式中、Bは、典型的には、3の原子価を有すると共に、クロム、鉄、アルミニウム、ニッケル、マンガン、錫、およびこれらの2種以上の組み合わせを含む群から選択される金属カチオンであり、ならびに式中、Oは、すべての場合ではないにしろ主に酸素である。
【0022】
一実施形態においては、金属カチオンAは、第1の金属酸化物クラスター、スピネル構造の「金属酸化物クラスター1」(典型的には四面体構造)の第1級カチオン成分をもたらす。金属カチオンBは、第2の金属酸化物クラスター、「金属酸化物クラスター2」(典型的には八面体構造)の第1級カチオン成分をもたらす。
【0023】
他の実施形態において、上記基AおよびBにおいて、2の原子価を有することが可能である如何なる金属カチオンも「A」カチオンとして用いることができる。加えて、3の原子価を有することが可能である如何なる金属カチオンも「B」カチオンとして用いることができるが、ただし、「金属酸化物クラスター1」の幾何学的構成は、「金属酸化物クラスター2」の幾何学的構成とは異なる。
【0024】
さらに他の実施形態において、AおよびBは、「金属酸化物クラスター2」(典型的には八面体構造)の金属カチオンとして用いられることが可能である。これは、典型的には、一般式B(AB)O4を有する「逆」スピネルタイプ結晶構造の特定の場合に真である。
【0025】
1つ以上のステップにおいて、絶縁性基材マトリックス材料は、十分に低い粘度(典型的には、50、40、30、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1.5、1、0.5、0.1、0.05、および0.001キロポアズ未満の粘度)に溶媒和されて、スピネル結晶充填材(これもまた同様のまたは同一の溶剤中に懸濁可能である)をマトリックス材料溶液中に適切に分散させる。スピネル結晶充填材の分散は、溶液または分散体中における粒子の過度の凝集が回避されるような様式で実施される。充填材粒子の望ましくない凝集は、望ましくない界面の空隙部、またはポリマー複合材における他の問題を生じさせることが可能である。
【0026】
スピネル結晶充填材粒子は、絶縁性基材マトリックス材料溶液中に直接的に分散されることが可能であり、または、絶縁性基材マトリックス材料溶液中への分散に先立って、溶剤中に分散されることが可能である。充填材粒子は、以下の50、100、300、500、800、1000、2000、3000、4000、5000、および10000ナノメートルの数字のいずれか2つの間(任意により両端を含む)の平均粒径に達するまで、溶剤中に混合されて分散体を形成することが可能である。次いで、分散体は、高速、または、高せん断混合装置を用いて混合され得る。スピネル結晶充填材は、種々の好適な溶剤を用いて分散され得る。いくつかの場合において、分散体はまた、特に商業規模生産について、安定な分散体の形成を補助すると当業者に公知である1種以上の好適な分散剤を含み得る。
【0027】
絶縁性基材マトリックス材料溶液中に分散されたスピネル結晶充填材は、一般に、以下の数字50、100、200、250、300、350、400、450、500、1000、2000、3000、4000、5000および10000ナノメートルのいずれか2つの間(両端を含む)の平均粒径を有する。一般に、少なくとも80、85、90、92、94、95、96、98、99または100パーセントの分散スピネル結晶充填材が、上記サイズ範囲内にある。マトリックス材料溶液中の結晶サイズは、COULTER(登録商標)製の小体積モジュールを備えるLS130粒径分析器などのレーザ粒子分析器により測定することが可能である。
【0028】
絶縁性基材マトリックス材料溶液およびスピネル結晶充填材粒子が組み合わされて組成物の比較的均一な分散体が形成される。次いで、組成物は、以下に記載のとおり、固形分含有量が典型的には98.0、98.5、99.0または99.5重量%超であるポリマー複合材に転換され得る。
【0029】
いくつかのスピネル結晶充填材は、追加のせん断力をほとんどまたはまったく必要とせずに容易にマトリックス材料溶液中に分散されるため、形成されるスラリーは、度々、100、50、20、10、8、6、5、4、3、2、または1百万分率(ppm)未満の望ましくない凝集物を含有する可能性がある。望ましくない凝集物は、10、11、12、13、14、または15ミクロン超の平均粒径を有する結合された(隣接している)スピネル結晶充填材の集合として定義される。しかしながら、いくつかのスピネル結晶充填材は、ナノサイズの充填材をポリマー中に適切に分散させるために、望ましくない粒子凝集を破砕するためにいくらかのミリングまたはろ過を必要とし得る。ミリングおよびろ過は高価である可能性があると共に、満足にすべての望ましくない凝集物を除去しない場合がある。それ故、一実施形態においては、スピネル結晶充填材は、20重量%で(少なくとも99重量%純度)ジメチルアセタミド溶剤中に分散性、かつ、懸濁性である。スピネル結晶充填材を溶剤中に分散および懸濁させた後(任意により、高せん断機械ミキサにより)、15、10、8、6、4、2または1重量%未満の充填材粒子は、溶液を20℃で72時間静置させたままにすると、溶液から析出されることが可能である。
【0030】
本発明は、レーザにより形成されたパターンのバルク金属化の前の、レーザ(または他の同様のタイプの光パターン化技術)による活性を介する効率的、かつ、正確な表面パターン化を許容するスピネル結晶充填材の選択された群の使用を採用する。
【0031】
一実施形態においては、光吸光係数変性剤を、スピネル結晶充填材の全てではないがいくらかの部分的な代替として添加することが可能である。適切な量の置換は、以下の数字、スピネル結晶充填材成分の総量の1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35または40重量%のいずれか2つの間(両端を含む)の範囲であることが可能である。一実施形態においては、スピネル結晶充填材の約10重量%を炭素粉末またはグラファイト粉末で置き換えることが可能である。これにより形成されたポリマー複合材は、金属イオンのその表面上への効果的なめっきを許容するためにポリマー複合材中に存在する十分な量のスピネル結晶構造を有するべきであり、その一方で、上述の量の代替物(例えば、炭素粉末)は、十分な量の光エネルギー(すなわち、複合材の表面を効果的に光活性する光エネルギーの量)を吸収することが可能であるよう十分にポリマー複合材を黒くする。
【0032】
有用な光吸光係数の特定の範囲が、ポリマー組成物およびポリマー複合材について有利に見出されてきた。具体的には、ポリマー組成物およびポリマー複合材は、典型的には一定のレーザ機器を使用する高速光活性化ステップにおいて効果的に作用するために十分な程度の光吸収能を必要とすることが見出された。
【0033】
例えば、採用される1タイプの光活性ステップ(例えば、レーザビームを使用するステップ)においては、本発明のポリマー組成物および複合材は、良好に画定された回路トレースパターンをその上に形成することが可能であるよう、顕著な量の光エネルギーを吸収することができることが見出された。これは、比較的短時間でなされることが可能である。逆に、市販されているポリマーフィルム(すなわち、これらの特定の充填材を含まないフィルム、または非機能性スピネル結晶充填材を含有するフィルム)は、より長くかかり得、過度に低い光吸光係数を有し得、およびあったとしても比較的短い時間内に光活性されることは可能ではない可能性がある。それ故、多くのポリマーフィルムは、比較的高充填量の他のタイプのスピネル結晶充填材を含有するフィルムであっても、高速光活性製造工程において有用であるに十分な光エネルギーを吸収することができず、ならびに、金属のめっきを良好に画定された回路パターンで受けることができない可能性がある。
【0034】
いくつかの実施形態において、絶縁性マトリックス材料は、ポリイミド、ガラス繊維強化エポキシ、フェノール−ホルムアルデヒド、エポキシ樹脂、シリカ充填エポキシ、ビスマレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン、フルオロポリマー、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド/ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブタジエン/ポリイソプレン架橋性樹脂(およびコポリマー)、液晶ポリマー、ポリアミド、シアン酸エステル、あるいは前述のもののいずれかの組み合わせ、または、回路基板産業において公知であると共に用いられるいずれかの他の絶縁性マトリックス材料、ならびに産業に有用であると想定されるいずれかの厚さのものから選択される。いくつかの実施形態において、絶縁性基材マトリックス材料は、非導電性充填材、顔料、粘度変性剤、および技術分野において公知である他の通常の添加剤などの添加剤を含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、絶縁性基材は、1、2、4、6、10、12、14、16、18および20重量%の間(両端を含む)で存在するレーザ染料を含有する。
【0036】
本発明の絶縁性基材マトリックス材料の調製のために有用な有機溶剤は、絶縁性基材マトリックス材料を溶解させることが可能であるべきである。好適な溶剤はまた、ポリマー溶液が中程度(すなわち、より簡便、かつ、安価な)の温度で乾燥されることが可能であるよう、例えば225℃未満といった好適な沸点を有するべきである。210、205、200、195、190、180、170、160、150、140、130、120または110℃未満の沸点が好適である。
【0037】
エポキシ樹脂は、熱硬化性ポリマーに硬化されることが可能である熱可塑性材料である。主要な樹脂タイプとしては、とりわけ、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ノボラック、過酸樹脂、およびヒダントイン樹脂が挙げられる。世界中に多くのエポキシ樹脂供給者があり、最も著名な商品名としては、Araldite、DER、Epi−Cure、Epi−Res、Epikote、Epon、Epotufが挙げられ、これらの各々は、配合物およびプロセスに応じて広範な特性を提供する。追加の成分がまたエポキシ樹脂および硬化剤配合物に添加されてもよい。これらの成分としては、これらに限定されないが、希釈剤、柔軟性、靭性または剥離強度に作用する樹脂変性剤、接着充填材、着色剤、染料、レオロジー添加剤、および難燃剤が挙げられる。
【0038】
一実施形態においては、絶縁性基材マトリックス材料はエポキシ樹脂を含み得る。好適なエポキシ樹脂の例としては、これらに限定されないが、グリシジルエーテルタイプエポキシ樹脂、グリシジルエステル樹脂およびグリシジルアミンタイプエポキシ樹脂が挙げられる。加えて、いずれかのシリカまたはアルミナ−充填エポキシもまた好適である。
【0039】
好適なグリシジルエーテルタイプエポキシ樹脂の例としては、これらに限定されないが:ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールFタイプ、臭素化ビスフェノールAタイプ、水素化ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールSタイプ、ビスフェノールAFタイプ、ビフェニルタイプ、ナフタレンタイプ、フルオレンタイプ、フェノールノボラックタイプ、クレゾールノボラックタイプ、DPPノボラックタイプ、三官能性タイプ、トリス(ヒドロキシフェニル)メタンタイプ、およびテトラフェニルオレタンタイプエポキシ樹脂が挙げられる。
【0040】
好適なグリシジルエステルタイプエポキシ樹脂の例としては、これらに限定されないがヘキサヒドロフタレートタイプおよびフタレートタイプエポキシ樹脂が挙げられる。
【0041】
好適なグリシジルアミンタイプエポキシ樹脂の例としては、これらに限定されないが:テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリジシルイソシアヌレート、ヒダントインタイプ、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、アミノフェノールタイプ、アニリンタイプ、およびトルイジンタイプエポキシ樹脂が挙げられる。
【0042】
一実施形態においては、マトリックス材料はポリエステルを含み得る。好適なポリエステルの例としては、これらに限定されないが:ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(トリメチレン)テレフタレート、等、ポリ(e−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(4−ヒドロキシ安息香酸)−コ−ポリ(エチレンテレフタレート)(PHBA)、およびポリ(ヒドロキシブチレート)が挙げられる。
【0043】
他の実施形態において、絶縁性基材マトリックス材料はポリアミドを含み得る。好適な脂肪族ポリアミドの例としては、これらに限定されないが:ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,10およびナイロン6,12、ナイロン3、ナイロン4,6、ならびにこれらのコポリマーが挙げられ、本発明で有用である。脂肪族芳香族ポリアミドの例としては、これらに限定されないが、ナイロン6T(またはナイロン6(3)T)、ナイロン10Tおよびこれらのコポリマー、ナイロン11、ナイロン12およびナイロンMXD6もまた挙げられ、本発明での使用についても好適である。芳香族ポリアミドの例としては、これらに限定されないが、ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、ポリ(p−ベンズアミド)、およびポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)が挙げられ、本発明での使用についても好適である。
【0044】
他の実施形態において、絶縁性基材マトリックス材料はフルオロポリマーを含み得る。フルオロポリマーという用語は、ポリマー構造の繰返し単位中に含有される少なくとも1個のフッ素原子を有するいずれかのポリマーを意味することが意図される。フルオロポリマー、またはフルオロポリマー成分という用語はまた、フルオロポリマー樹脂(すなわちフルオロ樹脂)を意味することが意図される。通例、フルオロポリマーは、ポリマーの繰返し分子に共有結合されているかこれと共有結合しているフッ素原子を含有する高分子材料である。好適なフルオロポリマー成分としては、これらに限定されないが以下が挙げられる。
【0045】
1.「PFA」、その変異体または誘導体を含み、全ポリマーの少なくとも50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99または約100重量%を表す以下の部分を有する、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−パーフルオロ[アルキルビニルエーテル]):
【0046】
【化1】

【0047】
式中、R1はCn2n +1であり、ここで、nは20以下または20超を含む1以上のいずれかの自然数であることができ、典型的には、nは1〜3に等しく、ここで、xおよびyはモル分率であって、xは0.95〜0.99の範囲内、典型的には0.97であると共にyは0.01〜0.05の範囲、典型的には0.03であり、ならびにASTM D1238に記載のメルトフローレートは、1〜100(g/10分)、好ましくは1〜50(g/10分)、より好ましくは、2〜30(g/10分)、および最も好ましくは5〜25(g/10分)の範囲である。
【0048】
2.「FEP」、その変異体または誘導体を含み、全ポリマーの少なくとも50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99または約100重量%を表す以下の部分を有する、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンに全体的にまたは部分的に由来するポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)[a.k.a.ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)コポリマー]:
【0049】
【化2】

【0050】
式中、xおよびyはモル分率であって、xは0.85〜0.95の範囲内、典型的には0.92であると共にyは0.05〜0.15の範囲内、典型的には0.08であり、ならびにASTM D1238に記載のメルトフローレートは、1〜100(g/10分)、好ましくは1〜50(g/10分)、より好ましくは、2〜30(g/10分)、および最も好ましくは5〜25(g/10分)の範囲である。
【0051】
FEPコポリマーは:(i.)50、55、60、65、70または75パーセント〜約75、80、85、90または95パーセントテトラフルオロエチレン、;および(ii.)5、10、15、20、または25パーセント〜約25、30、35、40、45または50パーセント(一般に7〜27パーセント)ヘキサフルオロプロピレンから直接的にまたは間接的に由来することが可能である。このようなFEPコポリマーは周知であると共に、米国特許第2,833,686号明細書および米国特許第2,946,763号明細書に記載されている。
【0052】
3.「PTFE」、その変異体または誘導体を含み、テトラフルオロエチレンに全体的にまたは部分的に由来し、および全ポリマーの少なくとも50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99または約100重量%を表す以下の部分を有するポリテトラフルオロエチレン:
式中、xは50〜500,000の間のいずれかの自然数に等しい。
【0053】
4.「ETFE」、その変異体または誘導体を含む、エチレンおよびテトラフルオロエチレンに全体的にまたは部分的に由来し、ならびに全ポリマーの少なくとも50、60、70、80、85、90、95、96、97、98、99、または約100重量%を表す以下の部分を有するポリ(エチレン−コ−テトラフルオロエチレン):
【0054】
【化3】

【0055】
式中、xおよびyはモル分率であって、xは0.40〜0.60の範囲内、典型的には0.50であると共にyは0.40〜0.60の範囲内、典型的には0.50であり、ならびにASTM D1238に記載のメルトフローレートは、1〜100(g/10分)、好ましくは1〜50(g/10分)、より好ましくは、2〜30(g/10分)、および最も好ましくは5〜25(g/10分)の範囲である。
【0056】
フルオロポリマー樹脂の有利な特徴としては、高温安定性、化学的攻撃に対する耐性、有利な電気的特性(特に高周波特性)、低摩擦特性、および低粘着性が挙げられる。他の潜在的に有用なフルオロポリマー樹脂としては以下が挙げられる。
1.クロロトリフルオロエチレンポリマー(CTFE)、
2.テトラフルオロエチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(TFE/CTFE)、
3.エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ECTFE)、
4.ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、
5.フッ化ビニル樹脂(PVF)、および
6.Teflon(登録商標)AF(本件特許出願人製)。
【0057】
さらに他の実施形態において、絶縁性基材マトリックス材料は液晶ポリマーまたはサーモトロピック液晶ポリマーを含み得る。液晶ポリマーは、一般に、可融性または溶融加工性ポリアミドまたはポリエステルを含む。液晶ポリマーとしてはまた、これらに限定されないが、ポリエステルアミド、ポリエステルイミド、およびポリアゾメチンが挙げられる。好適な液晶ポリマーは、Jacksonらにより、米国特許第4,169,933号明細書、米国特許第4,242,496号明細書および米国特許第4,238,600号明細書、ならびに「Liquid Crystal Polymers VI: Liquid Crystalline Polyesters of Substituted Hydroquinones」に記載されている。「サーモトロピック」という用語は、米国特許第4,075,262号明細書に記載されているとおりTOTテストによりテストされるときに、直交偏光子を通して光を透過させ、それ故、異方性溶融物を形成するとみなされるポリマーを意味する。好適な液晶ポリマーは、例えば米国特許第3,991,013号明細書、米国特許第3,991,014号明細書、米国特許第4,011,199号明細書、米国特許第4,048,148号明細書、米国特許第4,075,262号明細書、米国特許第4,083,829号明細書、米国特許第4,118,372号明細書、米国特許第4,122,070号明細書、米国特許第4,130,545号明細書、米国特許第4,153,779号明細書、米国特許第4,159,365号明細書、米国特許第4,161,470号明細書、米国特許第4,169,933号明細書、米国特許第4,184,996号明細書、米国特許第4,189,549号明細書、米国特許第4,219,461号明細書、米国特許第4,232,143号明細書、米国特許第4,232,144号明細書、米国特許第4,245,082号明細書、米国特許第4,256,624号明細書、米国特許第4,269,965号明細書、米国特許第4,272,625号明細書、米国特許第4,370,466号明細書、米国特許第4,383,105号明細書、米国特許第4,447,592号明細書、米国特許第4,522,974号明細書、米国特許第4,617,369号明細書、米国特許第4,664,972号明細書、米国特許第4,684,712号明細書、米国特許第4,727,129号明細書、米国特許第4,727,131号明細書、米国特許第4,728,714号明細書、米国特許第4,749,769号明細書、米国特許第4,762,907号明細書、米国特許第4,778,927号明細書、米国特許第4,816,555号明細書、米国特許第4,849,499号明細書、米国特許第4,851,496号明細書、米国特許第4,851,497号明細書、米国特許第4,857,626号明細書、米国特許第4,864,013号明細書、米国特許第4,868,278号明細書、米国特許第4,882,410号明細書、米国特許第4,923,947号明細書、米国特許第4,999,416号明細書、米国特許第5,015,721号明細書、米国特許第5,015,722号明細書、米国特許第5,025,082号明細書、米国特許第5,1086,158号明細書、米国特許第5,102,935号明細書、米国特許第5,110,896および米国特許第5,143,956号明細書、ならびに欧州特許出願356,226号明細書に記載されている。液晶ポリマーの商業的な例としては、商標Zenite(登録商標)(DuPont)、VECTRA(登録商標)(Hoechst)、およびXYDAR(登録商標)(Amoco)製の芳香族ポリエステルまたはポリ(エステル−アミド)が挙げられる。
【0058】
ここで図2を参照すると、絶縁性基材12はカバー層14の下位に設けられており、その上に、レーザ(または同様のタイプのエネルギー源)がカバー層14を介して絶縁性基材12中にアブレーションするに伴ってアブレーションデブリ16が位置する傾向にある、保護層として機能する。このレーザアブレーションプロセスは、トラフ18またはビア20を切削する耕起プロセスのように作用する傾向にある。
【0059】
一実施形態においては、カバー層14は犠牲層である。この犠牲カバー層が、レーザにより生成された活性化デブリを除去する。犠牲カバー層は金属化の前に除去され、これにより、デブリがめっき浴中で金属化される前にすべての活性化デブリを除去する。
【0060】
レーザアブレーション中のこの実施形態において、デブリ16のマウンドはカバー層トラフ18の上縁部に沿って形成されることとなる。レーザアブレーションデブリは絶縁性基材材料を含む傾向となり、絶縁性基材デブリ16中の活性化可能充填材はレーザアブレーションプロセスにより活性化される傾向にある。デブリ16の表面でのこのような活性化充填材は、金属化の最中に金属化プライマーとして作用する傾向にあり、レーザアブレーショントラフ(またはビア)が金属化の最中に金属で充填されるに伴って、デブリ上に金属を形成させてしまう。アブレーションデブリの金属化は一般に望ましくなく、最終的な印刷配線板製品の電気性能および/または信頼性に問題を生じさせる可能性がある。
【0061】
いくつかの実施形態において、犠牲カバー層マトリックス材料は、ポリアクリルアミド、ポリグリコールポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリルジノン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、およびこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、犠牲カバー層マトリックス材料は、80、85、90、95および100重量%の間(両端を含む)で存在する。
【0062】
いくつかの実施形態において、犠牲カバー層は、水、希アルカリ、弱酸溶液および有機溶剤中に可溶性である。この溶媒は、必ずしもカバー層全体を溶解せず、単に層の下に浸透し、これにより、その下の絶縁性基板とのその接着を破壊し、カバー層14が単に離脱されるに十分に活性であればよい。それにもかかわらず、洗浄溶液は、カバー層を溶解させるか、そうでなければ除去する能力について選択されるべきである。
【0063】
いくつかの実施形態において、犠牲カバー層は、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95および100ミクロンの間(両端を含む)の厚さを有する。
【0064】
このような実施形態において理想的には、金属化は、主に、完全にではないにしろ、絶縁性基材12により確定されるレーザアブレーションされたトラフ18またはビア20内で生じるべきである。ここで図3を参照すると、一実施形態においては、このカバー層は、レーザアブレーションの後であって金属化の前に除去されることが可能である。このような実施形態においては、一旦カバー層が除去されると、アブレーションされた絶縁性基材層が露出されて、これは、完全にではないが、実質的に、絶縁性層表面でアブレーションデブリフリーである。このような実施形態においては、レーザアブレーションプロセスはアブレーション表面で充填材を活性化することとなるために、金属化は、トラフ18またはビア20の表面上で蓄積される傾向となり、これにより、金属化プライマーが絶縁性層トラフ(またはビア)の壁部に形成されると共に、トラフ(またはビア)外での過度な金属化無しでトラフ(またはビア)が充填される。
【0065】
他の実施形態において、カバー層14は剥離可能層である。剥離可能カバー層はレーザにより生成された活性化デブリを除去すると共に、いかなるオーバーめっきをも制御する。剥離可能カバー層は、7超のpHを有する溶剤に耐えることが可能であり、7未満のpHを有する溶剤中に可溶性である。剥離可能カバーは、アルカリ性清浄浴および無電解めっき浴に耐えることができる。剥離可能カバー層は、金属化後に除去されることが可能である。剥離可能カバー層は、オーバーめっきおよび金属化されたデブリを除去すると共に、オーバーめっきを部分的に除去するかまたは制限してより清浄な回路構造機構をもたらす。「オーバーめっき」という用語は、ビア、トレース、パッド等および回路構成要素上の空隙などのコンダクタ機構の側方および上方に蓄積された過剰な金属を指す。導電性機構の過剰な金属の蓄積は短絡を生じさせる可能性がある。レーザ画像化後の追加的なデブリ除去プロセスは任意である。感圧接着剤テープを、この追加のクリーニングプロセスのために、基板の上に積層してデブリを除去することが可能である。また、ゴムローラを、感圧接着剤コーティングの補助で、デブリを画像化基板から拾い上げるために適用することが可能である。
【0066】
ここで図4を参照すると、他の実施形態においては、カバー層14は、金属化22の後まで維持し、次いで除去することが可能である。このような実施形態においては、金属化パターンは、きわめて清浄で、先鋭な金属化ラインをトラフ(またはビア)縁部に有すると共に、アブレーショントラフ(またはビア)外の望ましくない金属化はあったとしてもほとんどない傾向にある。
【0067】
いくつかの実施形態において、剥離可能カバー層マトリックス材料は、キトサン、メチルグリコールキトサン、乳酸キトサンオリゴ糖、グリコールキトサン、ポリ(ビニルイミダゾール)ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエーテルアミン、サイクレン(環状ポリアミン)、ポリエチレンアミン(直鎖、または分岐、またはベンジル化された)、ポリ(N−メチルビニルアミン)、ポリオキシエチレンビス(アミン)N’−(4−ベンジルオキシ)−N,N−ジメチルホルムアミジンポリマー結合(アミジン樹脂)、ポリ(エチレングリコール)ビス(2−アミノエチル)、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジンN−オキシド)、ポリ(4−ビニルピリジンN−オキシド)、ポリ(4−ビニルピリジン−コ−ジビニルベンゼン)、ポリ(2−ビニルピリジン−コ−スチレン)、ポリ(4−ビニルピリジン−コ−スチレン)、ポリ(4−ビニルピリジン)−2%架橋、ポリ(4−アミノスチレン)、ポリ(アミノエチル)ポリスチレン、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(t−ブチルアミノテイルメタクレート)、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(アミノエチルメタクリレート)、スチレンおよびジメチルアミノプロピルアミンマレイミドのコポリマー:ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。ポリマーは分子量およびモノマー比によっては限定されない。
【0068】
いくつかの実施形態において、剥離可能カバー層は水または弱酸水混合物中に可溶性である。いくつかの実施形態において、剥離可能カバー層は有機溶剤中に可溶性である。「可溶性」という用語は、液体の作用によって除去される能力を意味することを意図する。液体は必ずしもカバー層全体を完全に溶解せず、単にその下の層に浸透し、これにより、下の絶縁性基材に対するその接着を破壊し、カバー層が単に離脱されるに十分に活性であればよい。それにもかかわらず、洗浄溶液は、カバー層を溶解させるか、そうでなければ除去する能力について選択されるべきである。
【0069】
いくつかの実施形態において、剥離可能カバー層は、2、5、10、50、100、150、200、250、300、350、400、450および500ミクロンの間(両端を含む)の厚さを有する。
【0070】
カバー層が剥離可能層として用いられると共に金属化の前かその後に除去される実施形態においては、金属化化学および金属化プロセスは、金属化が、実質的に、トラフの表面などの意図される位置で停止するか、またはトラフ上方面を越えるマウンドとして延びるよう、調節または微調整されることが可能である。
【0071】
さらに他の実施形態において、カバー層14は永久層である。永久カバー層とは、めっきの前または後に除去されない層を指す。永久カバー層は、オーバーめっきの量を低減させると共により清浄な回路構造機構をもたらす。他の実施形態において、犠牲カバー層は、永久カバー層と組み合わせて用いられる。
【0072】
ここで図5を参照すると、代替的な実施形態において、カバー層14は永久カバー層である。このような実施形態においては、カバー層は残留して、最終印刷配線板製品の一部となる。カバー層は、絶縁性基材12のトラフ18内の所望される金属がいずれかの金属化デブリと十分に分離されている場合、または、カバー層が、金属化22のトラフ18をデブリによって引き起こされる可能性があるいずれかの欠陥または問題から十分に保護する場合には、永久層であることが可能である。永久カバー層の1つの利点は、トラフを充填する金属化をより容易に最上面より下に維持して、オーバーめっきを低減させることが可能であることである。
【0073】
いくつかの実施形態において、永久カバー層マトリックス材料は、ポリイミド、ガラス繊維強化エポキシ、フェノール−ホルムアルデヒド、エポキシ樹脂、シリカ充填エポキシ、ビスマレイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン、フルオロポリマー、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド/ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブタジエン/ポリイソプレン架橋性樹脂およびこれらのコポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド、シアン酸エステル、アルミナ、シリカおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0074】
いくつかの実施形態において、カバー層は、絶縁性基材とは独立して用いられる。いくつかの実施形態において、犠牲層および剥離可能カバー層は、絶縁性基材を底層として、剥離可能カバー層を中間層および犠牲カバー層を上層として、絶縁性基材と組み合わせて用いられ得る。いくつかの実施形態において、永久および犠牲カバー層は、絶縁性基材を底層として、永久カバー層を中間層および犠牲カバー層を上層として、絶縁性基材と組み合わせて用いられ得る。
【0075】
いくつかの実施形態において、犠牲カバー層はレーザ染料を含有する。いくつかの実施形態において、剥離可能カバー層はレーザ染料を含有する。いくつかの実施形態において、永久カバー層はレーザ染料を含有する。いくつかの実施形態において、絶縁性基材はレーザ染料を含有する。いくつかの実施形態において、個別にまたは組み合わせで用いられているカバー層のいずれか一つ、および絶縁性基材の両方がレーザ染料を含有する。いくつかの実施形態において、レーザ染料は、1、2、4、6、10、12、14、16、18および20重量%の間(両端を含む)で存在する。いくつかの実施形態において、レーザ染料は、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100nm(両端を含む)の間で吸収ピークを有する。レーザ染料は、用いられるレーザの波数に近いその吸収ピークにより、レーザ放射線の吸収を加速させる。レーザ染料の添加は、光分解を促進させると共に、熱分散を制御することが可能である。その結果、レーザ画像化トレンチは、良好に画定された幾何学的形状および先鋭な縁部を伴う高解像度を有することとなる。
【0076】
いくつかの実施形態において、UVレーザ用のレーザ染料は、Stilbene420:2,3”−([1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジイルジ−2,1−エテンジイル)ビス−ベンゼンスルホン酸ジナトリウム塩、Carbostyril165:7−ジメチルアミノ−4−メチルカルボスチリル、Coumarin450:7−(エチルアミノ)−4,6−ジメンチル−2H,−1−ベンゾピラン−2−オン)、Coumarin445:7−(エチルアミノ)−4−メンチル−2H,−1−ベンゾピラン−2−オン)、Coumarin440:7−アミノ−4−メンチル−2H,−1−ベンゾピラン−2−オン)、Coumarin460:7−(エチルアミノ)−4−メンチル−2H,−1−ベンゾピラン−2−オン)、Coumarin481:7−(ジエチルアミノ)−4−(トリフルオロメチル)−2H,−1−ベンゾピラン−2−オン)、Coumarin487、Coumarin500:7−(エチルアミノ)−4−(トリフルオロメチル)−2H,−1−ベンゾピラン−2−オン)、Coumarin503:7−(エチルアミノ)−6−(トリフルオロメチル)−2H,−1−ベンゾピラン−2−オン)、BPBD−365、2−[1,1’−ビフェニル]−4−イル−5−[4−(1,1−ジメンチルエチル)フェニル]−1,2,4−オキサジアゾール、PBD、2−[1,1’−ビフェニル]−4−イル−5−フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール、PPO、2−5−ジフェニル−オキサジアゾール、QUI、3,5,3””,5””−テトラ−t−ブチル−p−キンクフェニル、BBQ、4,4””−ビス[(2−ブチルオクチル)オキシ]−1,1’4’,1”,4”,1”’−クアテルフェニル、2−(1−ナフチル)−5−フェニル−オキサゾール、PBBO、2−[1,1’−ビフェニル]4−イル−6−フェニル−ベンゾキサゾール、DPS、4,4”−(1,2,−エテンジイル)ビス−1,1’−ビフェニル、
POPOP、2,2’−(1,4,−フェニレン)ビス[5−フェニル−オキサゾール]、ビス−MSB、1,4−ビス[2−(2−メチルフェニル)エテニル]−ベンゼン、5−フェニル−2−(4−ピリジル)オキサゾール、4−メチル−7−(4−モルホリニル)−2H−ピラノ[2,3−b]ピリジン−2−オン、7−(ジエチルアミノ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン、7−(ジメチルアミノ)−4−メトキシ−1,8−ナフチリジン−2(1H)−オン、1,2,3,8−テトラヒドロ−1,2,3,3,8−ペンタメチル−5−(トリフルオロメチル)−7H−ピロロ[3,2−g]キノリン−7−オン、6,7,8,9−テトラヒドロ−6,8,9−トリメチル−4−(トリフルオロメチル)−2H−ピロロ[3,2−b][1,8]ナフチリジン−2−オン、7−アミノ−4−メチル−2(1H)−キノリノン、
2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H,1,1H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8−ii]−キノリズ−11−オン、
EXALITE376、EXALITE384、EXALITE389、EXALITE392A、EXALITE398、EXALITE404、EXALITE411、EXALITE416、EXALITE417、EXALITE428、EXALITE392E、EXALITE400E、EXALITE377Eおよびこれらの混合物から選択される。
【0077】
他の実施形態において、エキシマーレーザ用のレーザ染料は、p−ターフェニル、1,1’,4’,1’−ターフェニル、2”,3,3”,3”’−テトラメチル−1,1,4’,1”,4”,1”’−クアテルフェニル、2−メチル−5−t−ブチル−p−クアテルフェニル、EXALITE348、EXALITE351、EXALITE360:2,3,2”’,5”’−テトラメチル−p−クアテルフェニル、P−Quaterphenyl、1,1’4’,1”,4”,1”’−クアテルフェニルおよびこれらの混合物から選択される。
【0078】
さらに他の実施形態において、IRレーザ用のレーザ染料は、8−[[3−[(6,7−ジヒドロ−2,4−ジフェニル−5H−1−ベンゾピラン−8−イル)メチレン]−2−フェニル−1−シクロヘキセン−1−イル]メチレン]−5,6,7,8−テトラヒドロ−2,4−ジフェニル−1−ベンゾピリリウムテトラフルオロボレート(IR−1100)、4−[2−[2−クロロ−3−[(2,6−ジフェニル−4H−チオピラン−4−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−2,6−ジフェニルチオピリリウムテトラフルオロボレート(IR−1061)、1−ブチル−2−[2−[3−[(1−ブチル−6−クロロベンズ[cd]インドール−2(1H)−イリデン)エチリデン]−2−クロロ−5−メチル−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−6−クロロベンズ[cd]インドリウムテトラフルオロボレート(IR−1050)、1−ブチル−2−[2−[3−[(1−ブチル−6−クロロベンズ[cd]インドール−2(1H)−イリデン)エチリデン]−2−クロロ−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−6−クロロベンズ[cd]インドリウムテトラフルオロボレート(IR−1048)、4−[2−[3−[(2,6−ジフェニル−4H−チオピラン−4−イリデン)エチリデン]−2−フェニル−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−2,6−ジフェニルチオピリリウムテトラフルオロボレート(IR−1040)、4−[2−[2−クロロ−3−[(2−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−4−イリデン)エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]エテニル]−2−フェニル−1−ベンゾピリリウム(IR−27)、4−(7−(2−フェニル−4H−1−ベンゾチオピラン−4−イリデン)−4−クロロ−3,5−トリメチレン−1,3,5−ヘプタトリエニル)−2−フェニル−1−ベンゾチオピリリウム過塩素酸(IR26)、3−エチル−2[[3−[3−[(3−エチル−2(3H)−ベンゾチアゾリリデン)メチル]5,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−イリデン]−1−プロペニル]−5,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−イリデン]メチル]−ベンゾチアゾリウム過塩素酸(DNTPC−P)、3−エチル−2[[3−[3−[(3−エチルナフール[2,1−d]チアゾール−2(3H)−イリデン)メチル]−5,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−イリデン]−1−プロペニル]−5,5−ジメチル−2−シクロヘキセン−1−イリデン]メチル]ナフサ油[2,1−d]チアゾリウム過塩素酸(DNDTPC−P)およびこれらの混合物から選択される。
【0079】
さらに他の実施形態において、2xYAGレーザ用のレーザ染料は、Fluorol555、LDS698、DCM、LDS722、Disodium Fluorescein、Rhodamine560、Fluorescein、LDS821、LD688、Pyrromethene567、1,3,5,7,8−ペンタメチル−2,6−ジエチルピロメタン−ジフルオロボレート錯体、Rhodamine575、Pyrromethene580、Pyrromethene597、LDS720、LDS751、styril8、Rhodamine590、Rhodamine610、LDS759、LDS798、Pyrromethene605、8−アセトキシメチル−2,6−ジエチル−1,3,5,7−テトラメチルピロメタンフルオロホウ酸塩、LDS750、Rhodamine640Per、Sulforhodamine640、DODCIodide、Kiton Red620、LDS925、Pyrromethene650、LDS765、LDS730、LDS867、ヨウ化1,1’−ジエチル−2,2’−ジカルボシアニン、LD690過塩素酸、ヨウ化1,1’−ジエチル−4,4’−カルボシアニン、Cresyl Violet670、5−イミノ−5H−ベンゾ[a]フェノキサジン−9−アミンモノパークロレート、ヨウ化3,3’ジエチエルチアジカルボシアニン、1,3−ビス[4−(ジメチルアミノ)−2−ヒドロキシフェニル]−2,4−ジヒドロキシシクロブテンジイリウムジヒドロキシド、ビス(分子内塩)、Propyl Astra Blue Iodide、ヨウ化1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチル−4,5,4’,5’−ジベンゾインドジカルボシアニン(IR−676)およびこれらの混合物から選択される。
【0080】
さらに他の実施形態において、GaAsレーザ用のレーザ染料は、過塩素酸5,5’−ジクロロ−11−ジフェニルアミノ−3,3’−ジエチル−10,12−エチレンチアトリカルボシアニン(IR−140)、1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチルインドトリカルボシアニン、ヨウ化1,1’,3,3,3’,3’−ヘキサメチルインドトリカルボシアニン、ヨウ化1,1’−ジエチル−2,2’−キノトリカルボシアニン、ビス[5−[[4−(ジメチルアミノ)フェニル]イミノ]−8(5H)−キノリノン]ニッケル(II)、2,4−ジ−3−グアイアズレニル−1,3−ジヒドロキシシクロブテンジイリウムジヒドロキシドビス(分子内塩)、ヨウ化3,3’−ジエチルチアトリカルボシアニン、3,3’−ジエチルチアトリカルボシアニン過塩素酸ジメチル{4−[1,5,5−トリス(4−ジメチルアミノフェニル)−2,4−ペンタジエニリデン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン}過塩素酸アンモニウム(IR−800)、ヨウ化1,1’−ジエチル−4,4’−ジカルボシアニン、HITC、ジメチル{4−[1,7,7−トリス(4−ジメチルアミノフェニル)−2,4,6−ヘプタトリエニリデン]−2,5−シクロヘキサジエン−1−イリデン}過塩素酸アンモニウム(IR−895)、[2−[2−クロロ−3−[[1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンゾ[e]インドール−2−イリデン]−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンゾ[e]インドリウムヒドロキシド分子内塩(IR−820)、ナフトールグリーンB、2−[2−[2−クロロ−3−[2−[1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−(4−スルホブチル)−2H−インドール−2−イリデン]−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−3,3−ジメチル−1−(4−スルホブチル)−3H−インドリウムヒドロキシド(IR−783)、2−[2−[2−クロロ−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)−エチリデン]−1−シクロヘキセン−1−イル]−エテニル]−1,3,3−トリメチル−3H−インドリウムクロリド(IR−775クロリド)、2−[7−[1,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−1−(4−スルホブチル)−2H−インドール−2−イリデン]−ヘプタ−1,3,5−トリエニル]−3,3−ジメチル−1−(4−スルホブチル)−3H−インドリウムヒドロキシド(IR−746)、IR144およびこれらの混合物から選択される。
【0081】
カバー層のいずれかを形成するために用いられるポリマーは、技術分野において周知であるいずれかの方法により形成されることが可能である。カバー層がレーザ染料を含む場合、粉末レーザ染料をポリマー溶液に添加することが可能であり、またはレーザ染料を溶剤中に溶解させると共にポリマー溶液と混合することが可能である。溶液または懸濁混合物を、ウェットコーティング法に用いることが可能であり、または、ドライコーティング方法のためにキャリアフィルム上にコートすると共に、加熱して溶剤を除去することが可能である。
【0082】
犠牲、剥離可能または永久カバー層は、スクリーン印刷、溶液コーティング、浸漬コーティング、スピンコーティング、スプレーコーティングまたは当業者に公知であるいずれかのウェットコーティング法により絶縁性基材に適用することが可能である。いくつかの実施形態において、犠牲、剥離可能または永久カバー層は、ドライフィルム積層または当業者に公知であるいずれかの他の方法により絶縁性基材に適用することが可能である。
【0083】
ウェットコーティング法が用いられる場合、カバー層は加熱されおよび乾燥されてすべての溶剤が除去される。次いで、印刷回路基板プレカーサが、特にこれらに限定されないが、YAG、赤外レーザおよび紫外レーザを含む好適であるとみなされるレーザを用いてレーザパターン化される。レーザは、カバー層とその下の絶縁性基材とを部分的に除去して1つ以上のパターン要素を絶縁性基材上に形成する。犠牲層が用いられる場合、これは、好適な液体での処理により除去され、続いて、金属化される。剥離可能層が用いられる場合、パターン化要素が形成された後に、印刷回路基板プレカーサがめっきされる。次いで、剥離可能カバー層が好適な液体での処理により除去される。
【0084】
本発明を、限定された数の実施形態および配合物に関して説明してきたが、本発明の多くの変形、変更および他の適用を成し得ることが認識されるであろう。前述のいずれも本発明の範囲を限定することは意図しない。本発明の限定は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.
i.80〜100重量%の可溶性高分子マトリックス材料、
ii.0〜20重量%のレーザ染料
を含む犠牲カバー層組成物、
b.
i.40〜97重量%の絶縁性高分子マトリックス材料、
ii.3〜60重量%の金属酸化物活性化可能充填材、
iii.0〜20重量%のレーザ染料
を含む絶縁性基材
を含む印刷回路基板プレカーサ。
【請求項2】
前記犠牲カバー層可溶性高分子マトリックス材料が:
ポリアクリルアミド、
ポリグリコール、
ポリエチレングリコール、
ポリエチレンオキシド、
ポリビニルピロリルジノン、
ポリアクリル酸、
ポリメタクリル酸、
ポリマレイン酸、
およびこれらの混合物
からなる群から選択される、請求項1に記載の印刷回路基板プレカーサ。
【請求項3】
前記レーザ染料が、200〜1100nmの吸収ピークを有する、請求項1に記載の印刷回路基板プレカーサ。
【請求項4】
前記絶縁性高分子マトリックス材料が:
ポリイミド、
ガラス繊維強化エポキシ、
フェノール−ホルムアルデヒド、
エポキシ樹脂、
シリカ充填エポキシ、
ビスマレイミド樹脂、
ビスマレイミドトリアジン、
フルオロポリマー、
ポリエステル、
ポリフェニレンオキシド/ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブタジエン/ポリイソプレン架橋性樹脂およびこれらのコポリマー、液晶ポリマー、
ポリアミド、
シアン酸エステル
ならびにこれらの混合物
からなる群から選択される、請求項1に記載の印刷回路基板プレカーサ。
【請求項5】
前記犠牲カバー層が0.5〜100ミクロンの厚さを有する、請求項1に記載の印刷回路基板プレカーサ。
【請求項6】
前記活性化可能充填材が、一般式:
AB24
(式中:
Aは、カドミウム、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、銅、コバルト、鉄、マグネシウム、錫、チタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される2の原子価を有する金属カチオンであり、Aが、第1の金属酸化物クラスターの第1級カチオン成分をもたらし、第1の金属酸化物クラスターは四面体構造であり、
Bは、クロム、鉄、アルミニウム、ニッケル、マンガン、錫、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される3の原子価を有する金属カチオンであり、Bが、第2の金属酸化物クラスターの第1級カチオン成分をもたらし、第2の金属酸化物クラスターは八面体構造を有し、
Oは酸素であり、ならびに
前記第1の金属酸化物クラスターおよび前記第2の金属酸化物クラスターは、一緒になって単一の認識可能な結晶構造をもたらす)
の結晶構成を有する金属酸化物またはその誘導体を含む、請求項1に記載の印刷回路基板プレカーサ。
【請求項7】
前記犠牲カバー層が、水、希アルカリおよび有機溶剤からなる群から選択される液体での処理により除去される、請求項1に記載の印刷回路基板プレカーサ。
【請求項8】
(1)請求項1に記載の印刷回路基板プレカーサを提供する工程、
(2)前記プレカーサをレーザで処理して前記カバー層とその下の絶縁性基材とを部分的に除去して1つ以上のパターン要素を前記絶縁性基材上に形成する工程であって、前記パターン要素がトラフ、ビアおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される工程、
(3)任意の犠牲カバー層を液体での処理により除去する工程、
(4)前記絶縁性基材上の前記パターン要素を金属化する工程、
を含む、金属化パターンを印刷回路基板基材上に形成する方法。
【請求項9】
a.
i.80〜100重量%の高分子マトリックス材料、
ii.0〜20重量%のレーザ染料、
を含む永久カバー層組成物、
b.
i.40〜97重量の絶縁性高分子マトリックス材料、
iv.3〜60重量の金属酸化物活性化可能充填材、
v.0〜20重量のレーザ染料
を含む絶縁性基材、および、任意により
c.
i.80〜100重量の可溶性高分子マトリックス材料、
ii.0〜20重量のレーザ染料、
を含む犠牲カバー層組成物
を含み、
前記犠牲カバー層が前記永久カバー層の上にある印刷回路基板プレカーサ。
【請求項10】
前記レーザ染料が、200〜1100nmの吸収ピークを有する、請求項9に記載の印刷回路基板プレカーサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−534404(P2010−534404A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516048(P2010−516048)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/008430
【国際公開番号】WO2009/009072
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】