説明

電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラム

【課題】利便性を損なわずにセキュリティを強化できる電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】操作部16と、操作部16での操作に対応した動作を制限する制限部123と、制限を解除するための認証処理を行う認証処理部124とを有し、認証処理部124は、認証処理の認証方法を複数の認証方法の中から選択する選択部122を有し、選択部122は、所定の条件が満たされた場合に、現在選択されている認証方法よりも認証レベルが高い認証方法を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー操作を制限し、認証結果に応じてキー操作の制限を解除する機能を有する携帯電話等の電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機等は、紛失や盗難等の事態に対処するためのセキュリティ機能として、一定時間の経過やその他の設定条件によってパスワードが掛かり、キー操作が制限されるオートロック機能を有するものがある(特許文献1〜4を参照)。このオートロック機能により、正しいパスワードを入力しない限り、通話や電子メール等の諸機能を使用することができないようになっている。
【特許文献1】特開平9−34577号公報
【特許文献2】特開2006−294048号公報
【特許文献3】特開2000−259568号公報
【特許文献4】特許第3012599号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
たとえば特許文献1,2に記載された技術のように、一定時間の経過によりパスワードを掛けるオートロック機能が開示されているが、パスワードは「0000」〜「9999」の4桁で構成される10,000通りのものが広く普及しており、1入力に2秒費やすとしても20,000秒、すなわち5時間程度でパスワードが解除される可能性がある。
したがって、特許文献1,2に記載された技術のようなオートロック機能では、携帯電話機を5時間程度紛失しただけでパスワードを解除される恐れがあり、セキュリティ的に不安である。
また、引用文献3に記載された技術のように、入力内容とそのタイミングでセキュリティレベルを向上させたものや、引用文献4に記載された技術のように、キーの位置を考慮した誤動作防止方法が開示されているが、慣れた従来の4桁パスワード入力等の利便性を考慮したものではない。
【0004】
本発明は、利便性を損なわずにセキュリティを強化できる電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点の電子機器は、操作部と、前記操作部での操作に対応した動作を制限する制限部と、前記制限を解除するための認証処理を行う認証処理部とを有し、前記認証処理部は、前記認証処理の認証方法を複数の認証方法の中から選択する選択部を有し、前記選択部は、所定の条件が満たされた場合に、現在選択されている認証方法よりも認証レベルが高い認証方法を選択する。
【0006】
好適には、前記選択部は、段階的に認証レベルの高い認証方法を選択可能とする。
【0007】
好適には、前記選択部は、アプリケーション使用終了後の経過時間が所定時間に達した場合を前記所定の条件として、前記所定時間が達する前に選択されている認証方法よりも前記認証レベルの高い認証方法を選択する。
【0008】
好適には、前記選択部は、アプリケーション使用終了後の着信回数が所定回数に達した場合を前記所定の条件として、前記所定回数が達する前に選択されている認証方法よりも前記認証レベルの高い認証方法を選択する。
【0009】
好適には、前記選択部は、アプリケーション使用終了後の未読の電子メール数が所定数に達した場合を前記所定の条件として、前記所定数が達する前に選択されている認証方法よりも前記認証レベルの高い認証方法を選択する。
【0010】
好適には、前に選択された認証方法はパスワードであって、前記選択部は、新たな認証方法の選択の際に、前に選択された認証方法のパスワードより桁数の多いパスワードを選択する。
【0011】
好適には、前記認証方法には生体情報による生体認証が含まれ、前記選択部は、新たな認証方法の選択の際に生体認証を選択する。
【0012】
好適には、前記生体認証には音声による音声認証が含まれ、前記選択部は、新たな認証方法の選択の際に音声認証を選択する。
【0013】
好適には、前記生体認証には指紋による指紋認証が含まれ、前記選択部は、新たな認証方法の選択の際に指紋認証を選択する。
【0014】
本発明の第2の観点の電子機器の制御方法は、操作部を有する電子機器の制御方法であって、前記操作部での操作に対応した動作を制限する第1のステップと、前記制限を解除するための認証処理を行う第2のステップとを有し、前記第2のステップにおいては、前記認証処理の認証方法を複数の認証方法の中から選択し、所定の条件が満たされた場合に、現在選択されている認証方法よりも認証レベルが高い認証方法を選択する。
【0015】
本発明の第3の観点のプログラムは、操作部を有する電子機器の処理を行うプログラムであって、前記操作部での操作に対応した動作を制限する第1の処理と、前記制限を解除するための認証処理を行う第2の処理とを有し、前記第2の処理においては、前記認証処理の認証方法を複数の認証方法の中から選択し、所定の条件が満たされた場合に、現在選択されている認証方法よりも認証レベルが高い認証方法を選択する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、利便性を損なわずにセキュリティの強化が可能な電子機器、電子機器の制御方法、及びプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0018】
本実施形態では、本発明に係る携帯電子機器に携帯電話機を一例として適用させて説明を行う。
図1は、実施形態に係る携帯電子機器の内部構成例を示すブロック図であり、図2は、図1の内部構成例による携帯電子機器の外観を示す一例の図である。また、図3は、本実施形態に係る表示部の表示例を示す図である。
図1に示すように携帯電子機器としての携帯電話機10は、通信部11、制御部(CPU)12、記憶部13、音声処理部14、表示部15、(キー)操作部16、タイマ17、および指紋センサ部18を有する。
そして、制御部12は、主制御部121、認証処理部としての選択部122、制限部123、認証処理部124、および解除部125で構成され、認証処理部124は、パスワード認証部1241、音声認証部1242、および指紋認証部1243で構成されている。音声処理部14は、スピーカ(SP)141、およびマイクロフォン(MIC)142で構成され、指紋センサ部18は、センサ181、および画像生成部182で構成されている。
【0019】
携帯電話機10は、基地局と通信し、ネットワークを介して行われる音声通話、電子メールの作成とその送受信、WEBサイトやコンテンツデータ(たとえば動画、画像)の閲覧等を行う機能を有する。
携帯電話機10は、セキュリティ機能としてユーザ(たとえば当該携帯電話機の所有者)以外のキー操作を制限(ロック)するオートロック機能を有する。このオートロック機能は、セキュリティ(認証)レベルを2段階で切り替え可能で、作動時には、段階的にセキュリティレベルが高くなるように認証方法を選択してキー操作を制限し、解除時には、選択した認証方法に応じた認証を行い、認証結果に応じてキー操作の制限を解除するものである。
具体的には、携帯電話機10は、1段階目である通常のセキュリティレベルでは4桁の数字によるパスワード認証を使用し(通常セキュリティモード)、2段階目である高セキュリティレベルでは8桁の数字によるパスワード認証、生体認証としての音声波形によりユーザを判別する音声認証、あるいは指紋による指紋認証を使用する(高セキュリティモード)。
携帯電話機10は、所定の条件(時間、電子メールの未読数、電話の着信回数等)に達した場合、高セキュリティモードに移行する。
【0020】
なお、8桁のパスワード認証、音声認証および指紋認証は、4桁のパスワード認証よりもセキュリティレベルが高いものとする。
また、上述のパスワードは文字や記号であってもよく、暗号化の有無、桁数等は特に限定されない。また、これらの認証方法、セキュリティモード切り替えの条件等は一例であって、本実施形態に限定されない。
オートロック機能を有効にするか否かの設定、有効であればオートロックを起動するタイミング(アプリケーションが終了し待ち受け画面に切り替わった時、通話終了時など)の設定、オートロック作動までの時間設定、オートロック機能の有効時には高セキュリティモードに移行するか否かの設定、有効であれば高セキュリティモードへの移行条件(時間、電子メールの未読数、電話の着信回数等)の選択、高セキュリティモードでの認証方法の選択、パスワードの設定、音声認証に使用する音声データおよび指紋認証に使用する指紋データ等は好適に設定可能である。
【0021】
通信部11は、通話等の音声データ、電子メール等の文字情報、動画像データ等のデータ通信を接続されている基地局との間で無線通信を行う。詳細には通信部11は、受信時にはアンテナを介して通信される電波信号に復調等の処理を施して制御部12に出力し、送信時には制御部12が出力した信号に変調等の処理を施しアンテナを介して送出する。
【0022】
制御部12は、携帯電話機10の全般的な動作を統括的に制御する。すなわち、制御部12は、携帯電話機10の各種処理(基地局と通信しネットワークを介して行われる音声通話、電子メールの作成とその送受信、WEBサイトやコンテンツデータの閲覧等の制御)が操作部16の操作に応じて適切な手順で実行されるように、各構成要素の動作(通信部11、記憶部13、音声処理部14,表示部15、操作部16、タイマ17、指紋センサ部18)を制御する。
制御部12は、記憶部13に格納されたプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した各種処理を実行する。すなわち、制御部12は、記憶部13に格納されたオペレーションシステムやアプリケーションプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0023】
主制御部121は、主に、記憶部13、音声処理部14、表示部15、操作部16、タイマ17、指紋センサ部18、選択部122、制限部123、認証処理部124、および解除部125の制御を行う。また、主制御部121は、各構成要素122〜125と記憶部13間における各種データのやり取りの仲介を行う。
主制御部121は、たとえば使用中のアプリケーションが終了したタイミングで、記憶部13に格納されている設定を読み出し、その設定に従ってオートロック機能を有効にするか否かを判断し、オートロック機能が有効の場合は、タイマ17を作動させる。なお、上述のオートロック機能を有効にするか否かを判断するタイミングは、通話終了時や表示部15の表示画面が待ち受け画面(図3(A)を参照)に切り替わったタイミング等で行われ、実施形態に限定されず、好適に設定可能である。
また、主制御部121は、記憶部13に格納されている設定を読み出し、その設定に従って通常セキュリティモードから高セキュリティモードに移行するか否かを判断し、高セキュリティモードに移行する場合は、設定に応じて設定時間が経過したか否かの判別、電子メール未読数の判別、電話の着信回数の判別等を行い、高セキュリティモードに移行しない場合は、通常セキュリティレベルを維持する。
【0024】
選択部122は、複数の認証方法のうちから一つを選択する。詳細には、選択部122は、主制御部121がオートロック機能を有効にすると判断した場合、通常のセキュリティモードでは4桁のパスワード認証を行うパスワード認証部1241を選択する。
選択部122は、主制御部121が高セキュリティモードに移行すると判断した場合、記憶部13に格納されている設定を読み出し、その設定にしたがってパスワード認証部1241、音声認証部1242、および指紋認証部1243のうちから一つを選択する。
【0025】
制限部123は、設定時間、電子メールの未読数、または電話の着信回数等が設定条件に達するとキー操作を認証の入力に必要なもの(たとえば決定キー162、数字キー163、文字キー164)のみに制限する。すなわち、制限部123は、認証に必要のないキーが押下され、その操作に対応した信号が主制御部121に入力されても、その入力を無効にする。これにより、オートロックが作動し、キー操作の制限が解除されるまで、通話、電子メール等の諸機能が実行できない。
制限部123は、解除部125から解除信号を受けると、キー操作の制限を解除する。
【0026】
認証処理部124は、制限部123によるキー操作の制限を選択部122が選択した認証方法に応じて認証する。
【0027】
パスワード認証部1241は、あらかじめ記憶部13に記憶されているパスワードと操作部16によって入力されたパスワードが一致するか否かを判断し、判断結果が一致したときのみ、キー操作の制限を解除する解除信号を解除部125に出力する。
【0028】
音声認証部1242は、音声信号の波形等を解析し、あらかじめ記憶部13に記憶されているユーザの音声データがマイクロフォン142に入力された音声データと一致するか否かを判断し、判断結果が一致したときのみ、キー操作の制限を解除する解除信号を解除部125に出力する。
【0029】
指紋認証部1243は、指紋センサ部18のセンサ181が指紋をスキャンし、画像生成部182が生成した指紋の画像データ等を解析し、あらかじめ記憶部13に記憶されているユーザの指紋データが指紋センサ部18に入力された指紋データと一致するか否かを判断し、判断結果が一致したときのみ、キー操作の制限を解除する解除信号を解除部125に出力する。
【0030】
解除部125は、認証処理部124のパスワード認証部1241、音声認証部1242、または指紋認証部1243から解除信号を受けると、制限部123が行っているキー操作の制限を解除する。これにより、オートロックが解除される。
【0031】
なお、制御部12内部の構成要素121〜125が持つ機能は、記憶部13に記憶されたそれぞれのプログラムを制御部12で実行することにより達成されるものであり、制御部12内において実体的に他の構成要素と区分され内蔵されたもののみを指すのではなく、あくまで説明の簡略化のために各部処理を分けて表現したものである。
【0032】
記憶部13は、たとえば不揮発性の記憶デバイス(フラッシュメモリ)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(SRAM、DRAM)等で構成され、制御部12での処理に利用される各種のデータを記憶する。
記憶部13が記憶するデータには、オートロック機能を有効にするか否かの設定、有効であればオートロックを起動するタイミング(待ち受け画面に切り替わった時、通話終了時など)の設定、オートロック作動までの時間設定、オートロック機能の有効時には高セキュリティモードに移行するか否かの設定、有効であれば高セキュリティモードへの移行条件(時間、電子メールの未読数、電話の着信回数等)の選択、高セキュリティモードでの認証方法の選択、パスワードの設定、音声認証に使用する音声データおよび指紋認証に使用する指紋データ、制御部12の出力結果、制御部12が実行するアプリケーションプログラム、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータ等が含まれる。また、データには上記の他、使用者の個人情報、通話相手の名前や電話番号、電子メール等の文字情報、電話番号や個人データ等を管理するアドレス帳、着信音(着信メロディ)、音声メッセージ等の音声データ、画像データ等が含まれる。
【0033】
音声処理部14は、スピーカ141から出力された音声信号やマイクロフォン142において入力された音声信号の処理を行う。すなわち、音声処理部14は、マイクロフォン142から入力された音声を増幅し、アナログ・デジタル変換を行い、さらに符号化等の処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部12(主制御部121)に出力する。
また、音声処理部14は、制御部12から供給された音声データに符号化、デジタル・アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換した上でスピーカ141に出力する。
スピーカ141は、音声処理部14から入力された音声信号を放音する。
マイクロフォン142は、音声通話や音声認証時に使用され、入力された音声信号を音声処理部14に出力する。
【0034】
表示部15は、たとえば液晶表示パネルや有機EL(Electro-Luminescence)パネル等の表示デバイスで構成され、制御部12から供給された映像信号に応じた種々の情報を表示する。表示部15は、たとえば図3(A)に示す待ち受け画面、図3(B)に示すオートロック機能作動中の画面、図3(C)に示すパスワードや音声、指紋等の入力を示唆する認証画面を表示する。
表示部15が表示する情報には上記の他に、たとえば発信時(着信時)における通話先の電話番号、電子メール等の文字情報、WEBサイト、静止画像、動画像、日付等の時間情報、電池残量、発信成否等が含まれる。
【0035】
操作部16は、図2に示すように、たとえば電源キー161、決定キー162、数字キー163、文字キー164、方向キー165、通話キー166、発信キー167等各種機能が割り当てられた複数の(操作)キーを有する。操作部16は、これらのキーがユーザによって操作された場合、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部12の主制御部121に出力する。
また、操作部16が、オートロックの作動時に、パスワード入力等の認証に必要な所定のキー(たとえば数字キー163等)以外が押下されても、解除部125によってオートロックが解除されるまで、制限部123によってその入力が無効にされる。
【0036】
タイマ17は、所定時間(たとえば1分)がセットされると、0秒まで秒単位でダウンカウントするカウンタ、カウント値をリセットするリセット回路等で構成され、主制御部121からの制御によって時間のカウントを開始し、カウントが終了するとその旨を主制御部121を介して選択部122に通知し、カウント値をリセットする。
本実施形態におけるタイマ17は、ユーザによってカウント時間が好適にセットされ、オートロックを開始するまでの時間および高セキュリティモードに移行するまでの時間をダウンカウントするものとするが、時間をアップカウントしてもよく、タイマ17の構成等は特に限定されない。
【0037】
指紋センサ部18は、指紋の凹凸間の静電容量の違いをスキャンする(読み取る)静電容量方式のセンサ181、センサ181がスキャンした静電容量の違いを数値化し、指紋の画像データ等を生成する画像生成部182で構成されている。
ここで、図4を参照しながら指紋センサ部18について説明する。図4は、本実施形態に係る指紋センサ部の構成例を示す図であり、図4(a)はセンサ181を図2のθ方向から見た側面図、図4(b)は同図(a)に示すセンサ181の拡大図である。
図4(a)に示すように、センサ181は、携帯電話機10の筐体表面110とわずかな段差Hをつけるように配置され、画像生成部182に接続されている。このように段差Hを好適に設けることで、指(指先)183をセンサ181の表面に接触しやすくしている。なお、この段差Hはなくてもよい。
図4(b)に示すように、センサ181は、指183の表面(指紋面)を接触させる堅い保護膜1811の下に複数の仕切り1812で仕切られた電極室1813が複数(数万程度)設けられ、各電極室1813には電極1814が配置されている。
指183の表面を保護膜1811に接触させると、指紋の凹凸によって指183の表面と電極1814との距離に差が生じ、この距離が短いほど多くの電荷が電極1814に蓄積される。センサ181は、この電極1814に蓄積された電荷を読み出し、画像生成部182に出力する。
画像生成部182は、センサ181から電極1814に蓄積した電荷が入力され、電荷量を数値化して指紋認証が行えるように指紋データを生成し、主制御部121を介して指紋認証部1243に出力する。
なお、指紋センサ部18は、たとえば光学方式等でもよく、本実施形態に限定されない。
【0038】
次に、図5,6を参照しながら携帯電話機10の動作をオートロック機能を中心に説明する。図5は実施形態に係る携帯電子機器のフローチャートであり、図6は図5の初期設定時におけるフローチャートである。
【0039】
(ステップST1)
図5に示すように、ユーザが初期設定を行う。ユーザは、図6に示すようにオートロック機能を有効にするか否かを設定し(ステップST110)、有効であれば(YES)、オートロックを起動するタイミング(アプリケーションが終了し待ち受け画面に切り替わった時、通話終了時など)を設定し(ステップST120)、オートロック作動までの時間を設定し(ステップST130)、オートロック機能の有効時には高セキュリティモードに移行するか否かを設定し(ステップST140)、有効であれば(YES)、高セキュリティモードへの移行条件(設定時間、電子メールの未読数、電話の着信回数等)を選択し(ステップST150)し、高セキュリティモードでの認証方法(8桁のパスワード認証、音声認証、指紋認証)を選択し(ステップST160)、初期設定を終了する。
ユーザがステップST110においてオートロック機能を無効に設定した場合は(NO)、初期設定を終了し、ステップST140において高セキュリティモードに移行しないように設定した場合は(NO)、通常のセキュリティモードが設定され(ステップST170)、初期設定を終了する。
これらの初期設定は、操作部16によって入力され、主制御部121を介して記憶部13に格納される。
【0040】
以下の説明を簡単にするため、ステップST120においてはオートロックを起動するタイミングをアプリケーションが終了し、図3(A)の待ち受け画面に切り替わった時に設定し、ステップST130においてはオートロック作動までの時間設定をt1秒後(たとえば60秒後)に設定し、ステップST150においては高セキュリティモードへの移行条件を時間設定でt2秒後(たとえば120秒後)に設定し、ステップST160においては8桁のパスワード認証を選択したものとする。
【0041】
(ステップST2)
当ステップにおいて、ユーザが携帯電話機10の使用を中断したものとする。
主制御部121は、たとえば使用中のアプリケーションが終了したタイミングで、記憶部13に格納されている設定を読み出し、設定に従ってオートロック機能を有効にするか否かを判断し、オートロック機能が有効の場合は(YES)、タイマ17を作動させ、オートロック機能が無効の場合は(NO)、処理を終了する。
【0042】
(ステップST3)
タイマ17は、主制御部121からの制御によって時間のカウントを開始する。具体的には、タイマ17は、t1秒から0秒まで秒単位でカウントする。
【0043】
(ステップST4)
タイマ17は、カウントが終了した場合(YES)、その旨を主制御部121を介して選択部122に通知してからカウント値をリセットし、カウント中の場合(NO)、カウント値が0秒になるまでカウントする。
【0044】
(ステップST5)
選択部122は、主制御部121がオートロック機能が有効であると判断したため、通常セキュリティモードである4桁のパスワード認証を行うパスワード認証部1241を選択する。
【0045】
(ステップST6)
制限部123は、タイマ17のカウントが終了し設定時間に達した(t1秒が経過した)ため、キー操作を認証の入力に必要なもの(たとえば決定キー162、数字キー163、文字キー164)のみに制限する。すなわち、制限部123は、認証に必要のないキーが押下され、その操作に対応した信号が主制御部121に入力されても、その入力を無効にする。
これにより、通常セキュリティレベルのオートロックが作動し、後述の高セキュリティモードに移行するまで(〜ステップST11)、または使用者(ユーザ)によって4桁のパスワード認証が行われキー操作の制限が解除されるまで(ステップST14,ST15)維持される。
オートロックの作動中にキー操作が行われると、キー操作の制限が解除されるまで表示部15が図3(B)のようなオートロック作動中の旨を示す表示画面を表示し、通話、電子メール等の諸機能が実行できない。
【0046】
(ステップST7)
主制御部121は、記憶部13に格納されている設定を読み出し、設定に従って高セキュリティモードに移行するか否かを判断し、高セキュリティモードに移行する場合は(YES)、タイマ17を作動させ、高セキュリティモードに移行しない場合は(NO)、通常セキュリティモードを維持し、ユーザ(使用者)によって4桁のパスワード認証が行われる(ステップST14,ST15)。
【0047】
(ステップST8)
タイマ17は、再び主制御部121からの制御によってt2秒から0秒まで秒単位でカウントを開始する。
【0048】
(ステップST9)
タイマ17は、カウントが終了した場合(YES)、その旨を主制御部121を介して選択部122に通知してからカウント値をリセットし、カウント中の場合(NO)、カウント値が0秒になるまでカウントする。
なお、図示しないが、ステップST6〜ST9間において、使用者(ユーザ)によって4桁のパスワード認証が行われた場合は、ステップST14,ST15の処理を行う。
【0049】
(ステップST10)
選択部122は、主制御部121が高セキュリティモードに移行すると判断したため、記憶部13に格納されている設定値を読み出し、その設定値にしたがって8桁のパスワード認証部1241を選択する。
【0050】
(ステップST11)
制限部123は、引き続きキー操作を認証の入力に必要なもののみに制限する。
これにより、高セキュリティレベルのオートロック機能が作動し、使用者(ユーザ)によって8桁のパスワード認証が行われキー操作の制限が解除されるまで(ステップST12,ST13)維持される。
【0051】
(ステップST12)
当ステップにおいて、ユーザ(使用者)がオートロックを解除するものとする。
ユーザによって任意のキーが押下されると、表示部15は図3(C)のようなパスワード入力を促す画面を表示し、認証処理部124は、高セキュリティモードにおいて、制限部123によるキー操作の制限を選択部122が選択した認証方法に応じて認証する。
詳細には、パスワード認証部1241は、あらかじめ記憶部13に記憶されている8桁のパスワードと操作部16によって入力された8桁パスワードが一致するか否かを判断し、判断結果が一致したときのみ、キー操作の制限を解除する解除信号を解除部125に出力する。
【0052】
(ステップST13)
解除部125は、パスワード認証部1241から解除信号を受けると、制限部123が行っているキー操作の制限を解除する。これにより、高セキュリティモードにおけるオートロックが解除され、表示部15は図3(A)に示す待ち受け画面を表示する。
【0053】
(ステップST14)
当ステップにおいて、ユーザ(使用者)がオートロックを解除するものとする。
ユーザによって任意のキーが押下されると、表示部15は図3(C)のようなパスワード入力を促す画面を表示し、パスワード認証部1241は、あらかじめ記憶部13に記憶されている4桁のパスワードと操作部16によって入力された4桁パスワードが一致するか否かを判断し、判断結果が一致したときのみ、キー操作の制限を解除する解除信号を解除部125に出力する。
【0054】
(ステップST13)
解除部125は、パスワード認証部1241から解除信号を受けると、制限部123が行っているキー操作の制限を解除する。これにより、通常セキュリティモードにおけるオートロックが解除され、表示部15は図3(A)に示す待ち受け画面を表示する。
【0055】
以上、ステップST1における初期設定を基に携帯電話機10の動作説明を行った。
次に、ステップST1の初期設定において、他の方法による高セキュリティモードへの移行および認証方法が初期設定された場合について説明する。
【0056】
ステップST150において、高セキュリティモードへの移行を電子メールの未読数で判別するように初期設定した場合は、ステップST8において主制御部121が電子メール未読数の判別を開始するようにし、ステップST9において電子メール未読数が所定数(たとえば3通)以上か否かを判別し、所定数以上であればステップST10の処理を行うようにする。
ステップST150において、高セキュリティモードへの移行を電話の着信回数で判別するように初期設定した場合も上記と同様に、ステップST8において主制御部121が電話の着信回数の判別を開始するようにし、ステップST9において電話の着信回数が所定数(たとえば3回)以上か否かを判別し、所定数以上であればステップST10の処理を行うようにする。
【0057】
ステップST160において、高セキュリティモードでの認証方法を音声認証に初期設定した場合は、ステップST10において選択部122が音声認証部1242を選択し、ステップST12において音声認証部1242があらかじめ記憶部13に記憶されているユーザの音声データがマイクロフォン142に入力された音声データと一致するか否かを判断し、判断結果が一致したときのみ、キー操作の制限を解除する解除信号を解除部125に出力するようにする。
ステップST160において、高セキュリティモードでの認証方法を指紋認証に初期設定した場合も上記と同様に、ステップST10において、選択部122が指紋認証部1243を選択し、ステップST12において指紋認証部1243が、指紋センサ部18のセンサ181が指紋をスキャンし、画像生成部182が生成した指紋の画像データ等を解析し、あらかじめ記憶部13に記憶されているユーザの指紋データが指紋センサ部18に入力された指紋データと一致するか否かを判断し、判断結果が一致したときのみ、キー操作の制限を解除する解除信号を解除部125に出力するようにする。
【0058】
上述したように本実施形態によれば、所定時間の経過後に高セキュリティモードへ移行するように設定すれば、通常のオートロック中に携帯電話機の未使用時間がさらに長くなっても、よりセキュリティレベルの高い8桁のパスワード認証、音声認証または指紋認証に切り替わるため、高いセキュリティレベルが確保できる。
電話の着信回数(電子メールの未読数)で高セキュリティモードへ移行するように設定すれば、着信に数回でられない(電子メールを数通読めない)条件で高セキュリティレベルのオートロックが作動するため、紛失や盗難による携帯電話機の不正利用を防止できる。
また、ユーザが高セキュリティモードに移行するか否かを設定できるため、頻繁に携帯電話機を使用する場合は、使い慣れた4桁のパスワード入力でオートロックを解除できる利点がある。
【0059】
上述の実施形態は、ユーザが複数の場合、ユーザごとに初期設定を行い、ユーザごとに異なる設定で動作させることができる。
たとえば図5のステップST10において、選択部122が無作為(ランダム)に認証方法を選択するようにしてもよい。
上述の実施形態は、2段階のセキュリティレベルを有するが、3段階以上のセキュリティレベルを設け、段階的にセキュリティレベルが高くなるようにしてもよい。
本実施形態に係る認証方法には、上述の方法の他、網膜、顔型、虹彩、血管、耳型、掌型、まばたきの回数などを用いた認証方法が適用できる。
なお、セキュリティレベルの高低は、一般には、パスワードよりも生体認証の方が高いが、その高低の定義はユーザが決定できるものとする。同様に、互いに異なる生体認証のセキュリティレベルの高低も、ユーザが決定できるものとする。
【0060】
図1に示す本発明の実施形態に係る携帯電子機器がもつ各構成要素の機能は、すべてをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。たとえば、図1の制御部12の各構成要素(主制御部121、選択部122、制限部123,認証処理部124、解除部125)におけるデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現しても、ハードウェア上で実現してもよい。
上記の実施形態では、携帯電子機器に携帯電話機を適用させたが、PHS(Personal Handy-phone System)や携帯可能なパーソナルコンピュータ(Personal Computer)、携帯可能なモバイル(mobile)機器にも本発明が好適に適用できる。
また、本発明の実施形態は携帯可能な電子機器だけでなく、設置型の電子機器(たとえばデスクトップ型のパーソナルコンピュータ等)にも適用でき、上述した実施形態に拘泥せず、当業者であれば本発明の要旨を変更しない範囲内で様々な改変が可能である。
また、上記の実施形態では、キー操作の入力を無効とするキーロックに適用した例を挙げて説明したが、オートロック以外を認証とする処理、たとえば電話の発信、電子メールの使用、アドレス帳の閲覧、電子マネーの使用等の操作において、操作を制限するロックをかけ、このロックを解除するセキュリティレベルを所定の条件により選択する場合にも適用できる。
【0061】
以上詳細に説明した方法は、上記手順に応じたプログラムとして形成し、CPU等のコンピュータで実行するように構成することも可能である。
また、このようなプログラムは、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記録媒体、この記録媒体をセットしたコンピュータによりアクセスし上記プログラムを実行するように構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施形態に係る携帯電子機器の内部構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の内部構成例による携帯電子機器の外観を示す一例の図である。
【図3】本実施形態に係る表示部の表示例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る指紋センサ部の構成例を示す図である。
【図5】実施形態に係る携帯電子機器のフローチャートである。
【図6】図5の初期設定時におけるフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
10…携帯電話、11…通信部、12…制御部(CPU)、13…記憶部、14…音声処理部、、141…スピーカ(SP)、142…マイクロフォン(MIC)、15…表示部、16…操作部、17…タイマ、18…指紋センサ部、110…筐体表面、181…センサ、182…画像生成部、183…指、1811…保護膜、1813…電極室、1814…電極、121…主制御部、122…選択部、123…制限部、124…認証処理部、1241…パスワード認証部、1242…音声認証部、1243…指紋認証部、125…解除部、H…段差。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
前記操作部での操作に対応した動作を制限する制限部と、
前記制限を解除するための認証処理を行う認証処理部とを有し、
前記認証処理部は、
前記認証処理の認証方法を複数の認証方法の中から選択する選択部を有し、
前記選択部は、
所定の条件が満たされた場合に、現在選択されている認証方法よりも認証レベルが高い認証方法を選択する
電子機器。
【請求項2】
前記選択部は、
段階的に認証レベルの高い認証方法を選択可能とする
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記選択部は、
アプリケーション使用終了後の経過時間が所定時間に達した場合を前記所定の条件として、前記所定時間が達する前に選択されている認証方法よりも前記認証レベルの高い認証方法を選択する
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記選択部は、
アプリケーション使用終了後の着信回数が所定回数に達した場合を前記所定の条件として、前記所定回数が達する前に選択されている認証方法よりも前記認証レベルの高い認証方法を選択する
請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記選択部は、
アプリケーション使用終了後の未読の電子メール数が所定数に達した場合を前記所定の条件として、前記所定数が達する前に選択されている認証方法よりも前記認証レベルの高い認証方法を選択する
請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
前に選択された認証方法はパスワードであって、
前記選択部は、
新たな認証方法の選択の際に、前に選択された認証方法のパスワードより桁数の多いパスワードを選択する
請求項1から5のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項7】
前記認証方法には生体情報による生体認証が含まれ、
前記選択部は、
新たな認証方法の選択の際に生体認証を選択する
請求項1から6のいずれか一に記載の電子機器。
【請求項8】
前記生体認証には音声による音声認証が含まれ、
前記選択部は、
新たな認証方法の選択の際に音声認証を選択する
請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記生体認証には指紋による指紋認証が含まれ、
前記選択部は、
新たな認証方法の選択の際に指紋認証を選択する
請求項7または8に記載の電子機器。
【請求項10】
操作部を有する電子機器の制御方法であって、
前記操作部での操作に対応した動作を制限する第1のステップと、
前記制限を解除するための認証処理を行う第2のステップとを有し、
前記第2のステップにおいては、
前記認証処理の認証方法を複数の認証方法の中から選択し、所定の条件が満たされた場合に、現在選択されている認証方法よりも認証レベルが高い認証方法を選択する
電子機器の制御方法。
【請求項11】
操作部を有する電子機器の処理を行うプログラムであって、
前記操作部での操作に対応した動作を制限する第1の処理と、
前記制限を解除するための認証処理を行う第2の処理とを有し、
前記第2の処理においては、
前記認証処理の認証方法を複数の認証方法の中から選択し、所定の条件が満たされた場合に、現在選択されている認証方法よりも認証レベルが高い認証方法を選択する
ことをコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−134482(P2009−134482A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−309541(P2007−309541)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】