説明

電子機器の製造方法

【課題】半田付けによる回路基板への電子部品の実装において、半田付けの信頼性を高めると共に実装スペースを縮小する。
【解決手段】ランド11を有する回路基板3と、前記ランドに電気的に接続される板状のリード端子10を有する電子部品2と、を備え、前記リード端子が前記ランドにレーザー半田付けされてなる電子機器1の製造方法であって、前記ランドに前記リード端子を立設し、前記リード端子の一部に設けられる露出した照射面にレーザー光線を照射して、前記ランドに設けられたクリーム半田13を溶融する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に含まれる電子部品は、一般に半田付けによって機器の回路基板に実装される。例えば半導体集積回路パッケージなどの電子部品においては、ガルウィング状に成形された板状のリード端子が電子部品に設けられ、クリーム半田が塗布された回路基板のランド上にリード端子が平置きされる。そして、クリーム半田が加熱溶融されることによって、リード端子とランドとが電気的に接続される。
【0003】
クリーム半田を加熱溶融する方法として、クリーム半田にレーザー光線を照射して加熱溶融する方法が知られている。しかし、高エネルギーのレーザー光線がクリーム半田に直接照射された場合に、クリーム半田に含まれるフラックスが急激に加熱されて突沸を起こし、その影響でクリーム半田が飛散する場合がある。クリーム半田が飛散すると、例えば隣り合うリード端子間で短絡するといった支障が生じる虞がある。また、半田表面においてレーザー光線が散乱され、散乱されたレーザー光線がランドの周囲に置かれる部材にあたり、それらの部材が熱によって損傷する虞もある。
【0004】
特許文献1に記載されたレーザー半田付け方法においては、半田付け用のランドに連なってレーザー光線照射用のパターンが回路基板に設けられ、このパターンにレーザー光線が照射される。レーザー光線が照射されたパターンは加熱され、その熱がランドに伝わって半田が加熱溶融される。それにより、フラックスの突沸、それに伴うクリーム半田の飛散が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−163495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今の電子機器の小型化に伴い、回路基板上における電子部品の実装スペースもまた縮小される傾向にある。特許文献1に記載されたレーザー半田付け方法では、熱伝導を利用してクリーム半田を間接的に加熱するが、そのためにランドに連なるレーザー光線照射用のパターンを要し、実装スペースの縮小が阻害される。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、半田付けによる回路基板への電子部品の実装において、半田付けの信頼性を高めると共に実装スペースを縮小することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ランドを有する回路基板と、前記ランドに電気的に接続される板状のリード端子を有する電子部品と、を備え、前記リード端子が前記ランドにレーザー半田付けされてなる電子機器の製造方法であって、前記ランドに前記リード端子を立設し、前記リード端子の一部に設けられる露出した照射面にレーザー光線を照射して、前記ランドに設けられたクリーム半田を溶融する電子機器の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端子にレーザー光線を照射し、端子を伝う熱によってクリーム半田を間接的に加熱溶融しており、フラックスの突沸を防止し、クリーム半田の飛散を防止することができる。さらに、半田表面でのレーザー光線の散乱を防止し、散乱されたレーザー光線が周囲の部材にあたることによって生じるそれらの部材の損傷を防止することができる。以上により半田付けの信頼性を高めることができる。
【0010】
また、リード端子をランドに立設しており、リード端子をランドに平置きする場合に比べて実装スペースを縮小することができる。また、熱伝導を利用してクリーム半田を間接的に加熱するにあたって、リード端子を用いて熱を伝えており、伝熱部材を回路基板に別途設ける場合に比べて、実装スペースを縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を説明するための、電子機器の一例の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1の点線円IIで囲まれた部分を拡大して示す図である。
【図3】図2のIII‐III線断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態を説明するための、撮像装置の一例を模式的に示す。
【0013】
図1に示す電子機器は、携帯電話機に搭載されるカメラユニット1であって、電子部品としてのレンズモジュール2と、回路基板3とを備えている。回路基板3には、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子(図示せず)が実装されており、この固体撮像素子を保護するセンサカバー4が装着されている。レンズモジュール2は、このセンサカバー4に支持されて回路基板3に組み付けられている。
【0014】
レンズモジュール2は、回路基板3に実装された固体撮像素子の受像面に結像させる光学系(図示せず)を有しており、この光学系は複数のレンズによって構成されている。そして、レンズモジュール2には、それらのレンズを光軸方向に駆動するモータ(例えば、ボイスコイルモータ(図示せず))が設けられており、モジュール底面の縁部には、それらのモータと接続された板状のリード端子10が、モジュール底面から略垂直に突出して設けられている。
【0015】
センサカバー4は、例えば黒色に着色された樹脂材料からなり、収納した固体撮像素子を保護し、また固体撮像素子の受像面に入射する外光を遮る。センサカバー4の側面には、レンズモジュール2の底面が重ねられる天面から延びて基板3に重なる底面に達する凹溝12が形成されている。
【0016】
回路基板3には、回路パターンが形成されており、また、この回路パターンと接続されたランド11が形成されている。ランド11は、センサカバー4の凹溝12の一端側に露出する位置に設けられている。
【0017】
レンズモジュール2の底面に突設されたリード端子10は、凹溝12内に収容されており、その先端を、凹溝12の一端側に露呈した回路基板3のランド11に当接させ、あるいは僅かな隙間をおいてランド11に対向させ、配置されている。このように、リード端子10をランド11に立設することにより、リード端子10をランド11に平置きする場合に比べて、実装スペースを縮小することができる。
【0018】
リード端子10がランド11に立設された状態で、リード端子10の一方の面(以後、裏面という)は凹溝12の内に向けられ、センサカバー4によって覆われている。リード端子10の他方の面(以後、表面という)は凹溝12の外に向けられ、露出している。このリード端子10の露出した表面10aは、例えば黒色塗料を塗布するなどして黒化処理されている。
【0019】
そして、ランド11には適量のクリーム半田13が設けられ、ランド11に立設されたリード端子10は、ランド11に設けられた半田13と接触し、この半田13が加熱溶融されることによって、半田13を介してランド11と電気的に接続されている。
【0020】
以上のように構成されるカメラユニット1の製造工程を以下に説明する。
【0021】
まず、ディスペンサ等の適宜な塗布装置を用いて、センサカバー4が装着された回路基板3のランド11に適量のクリーム半田13が設けられる。
【0022】
次いで、レンズモジュール2がセンサカバー4の天面の上に設置される。レンズモジュール2がセンサカバー4の天面の上に設置されるのに伴い、リード端子10は、対応する凹溝12内に進入し、その先端を、凹溝12の一端側に露出した回路基板3のランド11に当接させ、あるいは僅かな隙間をおいてランド11に対向させ、配置される。
【0023】
ここで、図2及び図3に示すように、リード端子10は、その先端部14(以後、半田接合部という)においてランド11上のクリーム半田13に接触するが、実質的に半田接合部14の裏面においてのみクリーム半田13に接触し、半田接合部14の表面は露出している。そのようなリード端子10とクリーム半田13との接触状態は、例えば、ランド11にクリーム半田13を設ける際に、半田接合部14の裏面に対向する凹溝12の壁面に添ってクリーム半田13を設けておくことにより形成することができる。あるいは、半田接合部14の表面に接触したクリーム半田を拭き取って、半田接合部14の表面を露出させてもよい。
【0024】
なお、上記の例では、ランド11にクリーム半田13が設けられた後にレンズモジュール2がセンサカバー4の天面の上に設置されるが、レンズモジュール2が設置された後に、レンズモジュール2のリード端子10が立設されたランド11にクリーム半田が設けられるようにしてもよい。この場合は、ディスペンサのニードルの先端がリード端子10の裏面側に届くように、センサカバー4に切り欠きを設け、リード端子10の幅に対して凹溝12の開口幅を比較的大きくするとよい(図2参照)。このように構成することで、レンズモジュール2を設置した後にランド11にクリーム半田を設ける場合であっても、リード端子10の表面に付着しないようにクリーム半田を設けることができる。
【0025】
次いで、半田接合部14の露出した表面(照射面)にレーザー光線が照射される。レーザー光線が照射された半田接合部14は加熱され、その熱が半田接合部14の裏面に接触するクリーム半田13に伝わり、それによってクリーム半田13が加熱溶融される。それによって、半田13を介して、リード端子10とランド11とが電気的に接続される。
【0026】
このように、リード端子10の半田接合部14の表面にレーザー光線を照射し、リード端子10を伝う熱によってクリーム半田13を加熱溶融することによって、クリーム半田13に含まれるフラックスの突沸が防止され、クリーム半田13の飛散が防止される。また、半田表面でのレーザー光線の散乱がなくなり、散乱されたレーザー光線がセンサカバー4に照射されてセンサカバー4が損傷することも防止される。以上により、半田付けの信頼性を高めることができる。
【0027】
そして、熱伝導を利用してクリーム半田13を間接的に加熱するにあたって、リード端子10を用いて熱を伝えており、伝熱部材を回路基板3に別途設ける場合に比べて、実装スペースを縮小することができる。
【0028】
なお、リード端子10の基端部の表面にレーザー光線を照射するようにしてもよいが、クリーム半田13が接触する半田接合部14の裏面とは反対側の半田接合部14の表面にレーザー光線を照射することが好ましい。それにより、伝熱距離が短縮され、クリーム半田に効率良く熱が伝わる。よって、レーザー光線の照射時間を短縮することができ、周囲の温度上昇を抑制してセンサカバー4の損傷を防止することができる。
【0029】
また、半田接合部14を含めたリード端子10の表面10aは、上記の通り黒化処理されており、熱吸収効率が高められている。よって、レーザー光線の照射時間を短縮することができ、周囲の温度上昇を抑制してセンサカバー4の損傷を防止することができる。
【0030】
リード端子10を伝う熱によってクリーム半田13を加熱溶融するに際しては、リード端子10の熱容量がある程度大きいほうが好ましい。例えば、リード端子10の厚みは、0.1mm以上かつ0.8mm以下であることが好ましく、0.4mm程度が特に好ましい。0.1mm未満では熱容量を確保できない虞があり、0.8mmを超えるとクリーム半田13への熱の伝わりの効率が低下する虞がある。また、レーザー光線が照射されるリード端子10の半田接合部14(先端部)のみ幅広にしてもよい。
【0031】
以上、携帯電話機に搭載されるカメラユニット1を例に、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、カメラユニットに限らず、小型化が要請される種々の電子機器に適用可能であり、
【0032】
以上、説明したように、本明細書には、下記(1)〜(4)の電子機器の製造方法が、また、下記(5)及び(6)の電子機器が開示されている。
【0033】
(1) ランドを有する回路基板と、前記ランドに電気的に接続される板状のリード端子を有する電子部品と、を備え、前記リード端子が前記ランドにレーザー半田付けされてなる電子機器の製造方法であって、前記ランドに前記リード端子を立設し、前記リード端子の一部に設けられる露出した照射面にレーザー光線を照射して、前記ランドに設けられたクリーム半田を溶融する電子機器の製造方法。
(2) 上記(1)の電子機器の製造方法であって、前記リード端子の半田接合部の裏面にのみ前記クリーム半田を接触させ、該半田接合部の表面を前記照射面とする電子機器の製造方法。
(3) 上記(1)又は(2)の電子機器の製造方法であって、黒化処理された前記レーザー照射面にレーザーを照射する電子機器の製造方法。
(4) 上記(1)から(3)のいずれか一つの電子機器の製造方法であって、前記基板には、前記電子部品を支持し、前記照射面を露呈させて前記リード端子を収容する凹部を有する支持部材が設けられている電子機器の製造方法。
(5) 上記(1)から(4)のいずれか一つの製造方法によって製造された電子機器。
(6) 上記(5)の電子機器であって、前記基板が撮像素子基板であり、前記電子部品がレンズモジュールである、カメラユニット。
【符号の説明】
【0034】
1 カメラユニット
2 レンズモジュール
3 回路基板
4 センサカバー
10 リード端子
10a 半田接合部
11 ランド
12 凹溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランドを有する回路基板と、前記ランドに電気的に接続される板状のリード端子を有する電子部品と、を備え、前記リード端子が前記ランドにレーザー半田付けされてなる電子機器の製造方法であって、
前記ランドに前記リード端子を立設し、
前記リード端子の一部に設けられる露出した照射面にレーザー光線を照射して、前記ランドに設けられたクリーム半田を溶融する電子機器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器の製造方法であって、
前記リード端子の半田接合部の裏面にのみ前記クリーム半田を接触させ、該半田接合部の表面を前記照射面とする電子機器の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器の製造方法であって、
黒化処理された前記レーザー照射面にレーザーを照射する電子機器の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器の製造方法であって、
前記基板には、前記電子部品を支持し、前記照射面を露呈させて前記リード端子を収容する凹部を有する支持部材が設けられている電子機器の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法によって製造された電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器であって、
前記基板が撮像素子基板であり、前記電子部品がレンズモジュールである、カメラユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−51373(P2013−51373A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189792(P2011−189792)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】