説明

電子機器及びプログラム

【課題】水中であっても大気中と同様の押圧操作でキー入力ができる様にする。
【解決手段】操作釦23のキー構造は、下面に突起部27Aが形成されたラバー部材27と、その下方の固定接点29Aと、可動端子である弾性部材29D及び29Gとから構成される。大気中においては操作釦23を押圧して可動端子である弾性部材29Gと29Dとを接触させることによりキー入力がなされ、水中においては、水圧によって既に弾性部材29Gと29Dとが接触しているので、弾性部材29Dを固定端子29Aに接触させることによってキー入力がなされる。弾性部材29Gと29Dとを接触させるための荷重と弾性部材29Dを固定端子29Aに接触させるための荷重をほぼ同一にすることにより、大気中及び水中のいずれでも同じ押圧力でキー入力が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中などにおいてもキー入力ができるようにした電子機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大気中だけでなく水中でも使用できる電子機器、例えば、水中カメラや水深計等にあっては、大気中だけでなく水中でも押圧操作可能な押釦キーを備えており、この押釦キーは、水中における水圧の影響を受けてオン状態となってしまうことを防止するため、弾性力の強いバネなどを用いて水圧に抗し得る付勢力を発生させるようになっている。この場合、水深が深ければ深い程付勢力を強くする必要があり、その為、陸上の大気中で押圧操作する場合には極めて大きな力で操作しなければならなかった。
【0003】
そこで、大気中においても、また、水中においても大気中と同等の押圧力で操作できるようにすることが考えられており、例えば、シーソー部材の一端が外気圧で押圧されるようにし、他端がその押圧力で押釦の操作子を外部に押し出すように構成することにより、水中で受けた水圧を押釦の操作子を外部に押し出す力に加えることにより、操作子を外部に押し出す力と押釦が受ける水圧と相殺することによって大気中と同等の押圧力で押釦を操作可能にしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−156115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、押釦が受ける水圧を相殺する為にシーソー部材などを設けることは押釦キーの構造が複雑化すると共に機器自体が大型化してしまう欠点があった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、極めて簡単な構成で、大気中あるいは水中など異なった環境でも良好に押釦の押圧操作が出来るようにした電子機器及びプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の電子機器は、押圧操作釦と、この押圧操作釦の押圧方向への所定量の移動によってスイッチ入力がなされる第1のキー入力手段と、前記押圧操作釦の前記所定量以上の移動によってスイッチ入力がなされる第2のキー入力手段と、前記第1のキー入力手段によるキー入力によって予め定められた処理を行なわせる第1の制御手段と、前記第1のキー入力手段によるキー入力があっても前記予め定められた処理を行わせず前記第2のキー入力手段によるキー入力があった際に前記予め定められた処理を行わせる第2の制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明は、更に、前記電子機器が大気中にあるか水中にあるかを検出する検出手段を備え、大気中にあることが検出された場合には前記第1の制御手段によって前記予め定められた処理を行わせ、水中にある場合には前記第2の制御手段によって前記予め定められた処理を行わせることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、前記押圧操作釦が前記所定量移動するための荷重と、前記押圧操作釦が前記所定量移動した位置から前記第2のキー入力のスイッチ入力がなされる位置まで移動する為の荷重はほぼ等しいことを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、前記第1のキー入力手段は、中央部が上方に向けて湾曲された弾性を有する第1の可動接点部材と、この第1の可動接点部材の下方に前記第1の可動接点部材と間隔を存して配置された中央部が上方に向けて湾曲された弾性を有する第2の可動接点部材とを備え、前記第2のキー入力手段は、前記第2の可動接点部材の下方に設けられた固定接点部材を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、前記押圧操作釦が前記押圧方向へ前記所定量移動した際に第1の可動接点部材の前記中央部が押し下げられ前記第2の可動接点部材の中央部に当接して前記第1のキー入力手段の前記スイッチ入力がなされ、前記押圧操作釦が前記所定量移動した位置から更に押し下げられた際に前記第2の可動接点部材の前記中央部が押し下げられて前記固定接点部材に当接して前記第2のキー入力手段の前記スイッチ入力がなされることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項6に記載のプログラムは、コンピュータに、押圧操作釦の押圧方向への所定量の移動によってスイッチ入力がなされる第1のキー入力機能、前記押圧操作釦の前記所定量以上の移動によってスイッチ入力がなされる第2のキー入力機能、前記第1のキー入力機能によるキー入力によって予め定められた処理を行なわせる第1の制御機能、前記第1のキー入力機能によるキー入力があっても前記予め定められた処理を行わせず前記第2のキー入力機能によるキー入力があった際に前記予め定められた処理を行わせる第2の制御機能を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、極めて簡単な構成で、異なった環境でも同様の操作力で良好に押釦の押圧操作が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の電子機器1の構成を示した回路ブロック図。
【図2】図2(a)は図1の電子機器1の正面図、(b)は分解斜視図。
【図3】図2の操作釦23の位置における拡大断面図。
【図4】図4(a)は、図3に示したスイッチ接点基板29の拡大断面図、(b)は正面図、(c)は分解斜視図。
【図5】図5(a)は、操作釦23の大気中での状態を示す断面図、(b)は水中での状態を示す断面図。
【図6】図6(a)は、大気中での押圧操作状態を説明する図、(b)は水中での操作状態を説明する図。
【図7】図1の電子機器1の動作フローチャート図。
【図8】本発明の他の実施の形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の電子機器である水深計機能を備えた携帯電話装置1の回路ブロック図である。図において、中央制御部(CPU)2には、各種のプログラムが記憶されている図示しないROM(リード・オンリ・メモリ)が設けられており、制御部2は、上記ROMに記憶されているプログラムを動作させることにより携帯電話装置1の全体の動作を制御する。
【0017】
即ち、上記ROMには、後述するフローチャートを実行させるためのプログラムや通話(電話)機能、スケジュール機能、電子メール機能、Webサイト閲覧機能、アドレス帳機能、水深計機能等、各種の機能のアプリケーションを実行させるためのアプリケーションプログラムが記憶されており、中央制御部2は、上記ROMに記憶されたプログラムに基づいてこの携帯電話装置1の全体の動作を制御する。
【0018】
表示部3は、例えば、反射型のドットマトリクスタイプのカラー液晶表示装置から構成され、電話機能として必要な情報(相手方の電話番号、電波受信状態、電池残量等の情報)を表示するとともに、電子メールやWebサイトの内容表示を行う。又、アドレス帳機能においてはアドレス帳情報(氏名、住所及び電話番号などのデータ)を表示する。
【0019】
また、水深計機能の動作時においては、計測された水深情報を表示し、更に、いずれの機能表示状態においても計時部4において計時されている月日時分の現在時刻情報が表示されるようになっている。
【0020】
上記表示部3を構成する液晶表示装置の下面には液晶表示装置を照明するバックライト装置5が配置されている。上記表示部3は反射型のカラー液晶表示装置から構成されているため、周囲が明るいときにはバックライト装置による照明は必要ないが、夜間あるいは水中などの暗所においては詳細を後述する押釦式の照明キー6を押圧操作してバックライト装置5による照明を行わせるように構成されている。
【0021】
操作部7は、この携帯電話装置1に設けられた上記照明キー6以外の操作キーであり、詳細は図示していないが、電源のオン・オフを行う電源ONキー、電源OFFキー、数値情報及び文字情報を入力する数値文字入力キー、各種機能の起動及び終了を選択する各種のアプリケーションキー、通話のオンフックキー及びオフフックキー等各機能を動作させるためのキーを備えている。
【0022】
記憶部8は、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)を備えており、このRAMには各種演算や一時記憶などのための図示しないワークエリア、及び表示部3に表示させる表示データを記憶するための表示メモリエリアを有する。
【0023】
また、記憶部8は、上記RAM以外に不揮発性のフラッシュメモリを備えていて、各種のアプリケーションに関連する情報(データ)を記憶する。即ち、具体的に図示していないが、例えば、アドレス帳機能のアドレス帳情報を記憶するアドレス帳情報記憶部、スケジュール情報を記憶するスケジュール情報記憶部、電子メール機能の送受信メール情報を記憶する電子メール情報記憶部、インターネット機能のWebサイトのURL情報などを記憶するWeb情報記憶部、計測した水深情報を記憶する水深情報記憶部などが設けられている。
【0024】
圧力センサ9は、水深計機能の実行時に水圧を計測して水深情報を得る。この水深計機能の実行時の水深情報は中央制御部2を介して記憶部8に送られ上記水深情報記憶部に記憶されると共に表示部3に表示される。
【0025】
無線通信部(送受信部)10は、電話の通話機能としての動作時にはアンテナ11から取り込んだ音声の無線信号を受信ベースバンド信号に復調した後に、音声信号処理部12を介して受話スピーカ13から音声出力させる。また、送話マイク14から入力された音声信号を音声信号処理部12で処理させた後に無線通信部10に送り、無線通信部10では音声信号を送信ベースバンド信号に符号化したのちにアンテナ11から送信出力させる。
【0026】
また、電子メール機能、インターネット接続機能等の動作時には、アンテナ11及び無線通信部10を介して電子メールの送受信およびWebサイトの閲覧が可能であり、電子メールの送受信情報及びWebサイトの閲覧情報は表示部3に送られて表示出力される。
【0027】
計時部4は、日付や時分秒などの現在時刻情報を計時する計時手段を備えており、現在時刻情報は中央制御部2を介して表示部3に送られて表示される。
【0028】
照明キー6は、その構造に関しては後述するが、2段式の押釦スイッチで構成されており、可動端子6A、可動端子6B及び固定端子6Cを有している。そして、可動端子6Aには、中央制御部2の出力端子2Aから基準電圧が供給されている。
【0029】
上記可動端子6Bは可動端子6Aと接触することにより可動端子6Aから供給される上記基準電圧を中央制御部2の入力端子2Bに第1のスイッチ入力信号として供給し、固定端子6Cは可動端子6Aと接触することによって可動端子6Aから供給される上記基準電圧を中央制御部2の入力端子2Cに第2のスイッチ入力信号として供給するようになっている。
【0030】
電源部17は、後述する充電可能な二次電池33と、この二次電池33の電池電圧が低下した際に上記各回路部にバックアップ電圧を供給する図示しないバックアップ電池とからなり、上述した各回路部に駆動電圧を供給するものである。
【0031】
図2(a)は、上記携帯電話装置1の正面外観図であり、機器ケース20の上半分に透明な表示ガラス21が取り付けられていて、この表示ガラスの内部に図1に示した表示部3が配置されている。また、機器ケース20の下半分には操作釦23及びこの操作キー23以外の多数の操作釦24A、24B、24C、・・・が配置されている。
【0032】
操作釦23は、図1に示した照明キー6の操作釦であり、また、24A、24B、24C、・・・は、図1の操作部7において説明した電源ONキー、電源OFFキー、数値情報及び文字情報を入力する数値文字入力キー、各種機能の起動及び終了を選択する各種のアプリケーションキー、通話のオンフックキー及びオフフックキー等の操作釦である。
【0033】
図2(b)は、上記携帯電話装置1の内部構成の分解斜視図である。但し、全ての部材について図示しているのではなく主要部材のみ分解斜視図で示してある。
【0034】
然して、機器ケース20は、上部機器ケース20Aと下部機器ケース20Bとから構成されており、上部機器ケース20Aには上記表示ガラス21が配置され、また、上記各操作釦23、24A、24B、24C、・・・が配置される開口25、26A、26B、26C、・・・が形成されている。
【0035】
上記操作釦23、24A、24B、24C、・・・は硬質性の合成樹脂材料で構成されており、比較的軟質材料からなる1枚の合成樹脂製のラバー部材(弾性部材)27上に一体成形されている。尚、操作釦23、24A、24B、24C、・・・の一体成形された位置は上記開口25、26A、26B、26C、・・・に対応する位置である。
【0036】
図3は、図1の上記操作釦23の位置における断面図であり、ラバー部材27下面の下面で且つ操作釦23に対応する位置には下方突起部27Aがスイッチ可動部材として形成されている。尚、このような下方突起部27Aは、上記操作釦23、24A、24B、24C、・・・の全てに対応する位置において形成されているものである。
【0037】
ラバー部材27の周縁部には肉厚部27Bが形成され、この周縁部の肉厚部27が、上部機器ケース20Aと下部機器ケース20Bとが組み合わされたときの開口20Cに圧入配置されることによって、両機器ケース20A及び20B間の防水及び開口25、26A、26B、26C、・・・から侵入する水滴などの防水がなされる様になっている。
【0038】
ラバー部材27の下面には、上記ラバー部材27下面の下方突起部27Aが挿入配置される開口28A、28B、28C、・・・が形成された金属製のストッパ部材28が設けられている。また、このストッパ部材28の下面には、所定間隔を存してスイッチ接点基板29が設けられ、ストッパ部材28とスイッチ接点基板29との間には多数のバネ部材30、30、・・・が適宜配置されている。
【0039】
上記スイッチ接点基板29の詳細については後述するが、このスイッチ接点基板29の下面には、図1に示した回路ブロックの主要部分を構成する図示しない集積回路やバックアップ電池等が取り付けられた回路基板31が配置されている。
【0040】
この回路基板31には、圧力センサ32(図1の圧力センサ9に該当する)が配線32Aを介して取り付けられており、上記圧力センサ32は、下部機器ケース20Bの図示しない開口に防水構造を持って取り付けられ、水中における水圧を測定する。
【0041】
また、回路基板31の下面には、図1の電源部17で説明した二次電池33が配置されている。
【0042】
図4(a)は、図3に示したスイッチ接点基板29の拡大断面図、図4(b)は正面図、図4(c)は分解斜視図である。スイッチ接点基板29の図4(a)におけるほぼ中央部上面には、固定電気的接点(固定接点)29Aが形成されている。この固定接点29Aは、図1の固定端子6Cに該当するものであり、上記固定接点29Aはスイッチ接点基板29のスルホール29Bを介してスイッチ接点基板29の裏面側に引き出され、図示していないが回路基板31に電気的接続され、図1に示した中央制御部2の入力端子2Cに入力されている。
【0043】
上記スイッチ接点基板29の上面には、上記固定接点29Aを囲んでドーナツ状の固定接点29Cが形成されており、この固定接点29C上には金属製で且つ中央部に向けて湾曲形成された円板状弾性部材29Dがその端部を上記固定接点29Cと電気的接触する様に導電性接着剤などで接着固定されている。
【0044】
上記円板状弾性部材29Dは、図1の可動端子6Aに該当するものであり、上記固定接点29Cはスイッチ接点基板29上面の配線29Eを介して回路基板31に電気的接続されており、上記配線29Eには、図1に示した中央制御部2の出力端子2Aからの基準電圧が供給されている。
【0045】
また、円板状弾性部材29Dの中央部には、後述する如く固定接点29Aと接触したときに、その接触動作(スイッチング動作)を良好に行わせるために下方突起29dが形成されている。
【0046】
上記スイッチ接点基板29の上面には、上記ドーナツ状の固定接点29Cの周辺4箇所には固定接点29F、29F、・・が形成されており、この固定接点29F上には金属製で且つ中央部に向けて湾曲形成された平面十字形状の板状弾性部材29Gがその端部を上記固定接点29Fと電気的接触する様に導電性接着剤などで接着固定されている。
【0047】
上記板状弾性部材29Gは、図1の可動端子6Bに該当するものであり、上記固定接点29Fはスイッチ接点基板29上面の配線29Hを介して回路基板31に電気的接続されており、図1に示した中央制御部2の入力端子2Bに入力されている。また、上記板状弾性部材29G中央部近傍には、円板状弾性部材29Dとのスイッチング動作を良好に行わせるための一対の下方突部29g、29gが設けられている。
【0048】
図5(a)及び(b)、図6(a)及び(b)は、図3及び図4に示した上記操作釦23が押圧操作或いは水圧などによって押圧方向に移動した際のスイッチング動作を説明する図である。
【0049】
図5(a)は、大気中(陸上)における操作釦23の状態を示したもので、ラバー部材27の突起部27Aは、その下面が板状弾性部材29Gの中央部上面に接触或いはわずかに離間した状態とされており、ストッパ部材28はバネ部材30,30によって上方に押し上げられている。
【0050】
図5(b)は、携帯電話装置1の水深計機能を動作させて水中に入ったときの操作釦23の状態を示したものであり、水中では矢印で示す水圧Pにより操作釦23が押し下げられる。まだ水深が浅い状態においては、バネ部材30によりストッパ部材28が耐圧用のストッパとして働くので操作釦23の降下量は少ないが、水深が深くなってくると水圧によって操作釦23、ラバー部材27及びストッパ部材28がバネ部材30のバネ力に抗して下降し板状弾性部材29Gを更に押し下げる。
【0051】
その結果、操作釦23が所定量下方に移動すると図5(b)に示す様に、板状弾性部材29Gが押し下げられて下方突起29g、29gが円板状弾性部材29Dの上面に当接することとなる。この場合、図5(a)の状態から図5(b)の状態になるまでの荷重は約0.16Kgf(水深約3m)となる様にバネ部材30のバネ力及び円板状弾性部材29Dの弾性力が設計されている。
【0052】
図6(a)は、図5(a)の大気中の状態において、指40で操作釦23を押圧操作して板状弾性部材29Gの下方突起29g、29gを円板状弾性部材29Dの上面に当接させた状態を示している。この場合、上述した如くバネ力及び弾性力が設計されているため、当接までの指40による荷重は約0.16Kgfとなる。
【0053】
図6(b)は、図5(b)に示した板状弾性部材29Gが押し下げられていて下方突起29g、29gが円板状弾性部材29Dの上面に当接した水中での状態で、更に、指40で操作釦23に荷重をかけて押圧操作した状態を示している。
【0054】
この状態においては、板状弾性部材29Gが更に押し下げられて下方突起29g、29gが円板状弾性部材29Dを押し下げて変形させ、円板状弾性部材29Dの下方突起29dがスイッチ接点基板29上の固定接点29Aに当接することとなる。
【0055】
この場合、図5(b)の状態において、更に約0.16Kgfの荷重が加えられることによって、言い換えれば、図5(b)の状態において更に指で約0.16Kgfの荷重を加えることによって図6(b)の状態になる様に、バネ部材30のバネ力、板状弾性部材29G及び円板状弾性部材29Dの弾性力が設計されている。
【0056】
以上の如く、照明キー6の操作釦23は、板状弾性部材29G(6B)と円板状弾性部材29D(6A)とが接触してスイッチ入力がなされる第1のキー入力スイッチと、円板状弾性部材29D(6A)と固定接点29A(6C)とが接触してスイッチ入力がなされる第2のキー入力スイッチとからなる2段スイッチ構造とされ、第1のキー入力スイッチの入力には約0.16Kgfの荷重、第2のキー入力スイッチの入力には、第1のスイッチの入力状態から更に約0.16Kgfの荷重が必要となる様に設計されている。
【0057】
尚、操作釦23以外の操作釦については、その詳細な構造を説明していないが、本実施も形態では、操作釦23によってスイッチ入力される照明キー6のみを水中操作が有効としているので、操作釦23以外の操作釦は、第1のキー入力スイッチのみ設けられ、約0.16Kgfの荷重でキー入力がなされる様に構成されている。
【0058】
然しながら、もし、照明キー以外の操作キーについても水中操作を可能とさせるのであれば、それらのキーの操作釦を上記操作釦23と同様の構造にすればよいものである。
【0059】
次に、上記のごとく構成された携帯電話装置1の動作につき、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0060】
ステップS1においては、通話(電話)機能における着信があったか否かが判断され、着信があった場合にはステップS2に進み発呼者との通話処理を行う。
【0061】
ステップS1において着信でない場合にはステップS3に進み、いずれかの操作釦のキー入力(スイッチ入力)があるか否かが判断される。いずれのキー入力もなかった場合にはステップS1に戻るが、キー入力があった場合にはステップS4に進み、機能キーのキー入力か否かが判断される。
【0062】
機能キー、即ちスケジュール機能、電子メール機能、Webサイト閲覧機能、アドレス帳機能、水深計機能等の各機能の起動或いは終了のキー入力の場合、ステップS5に進んで現在水中にいるか否かを判断する。
【0063】
この判断は、圧力センサ9から得られる圧力値によって判断するものであり、水中で無い場合にはステップS6に進み、夫々のキー入力に応じた機能処理を行う。一方、水中であることが判断された場合にはステップS7に進み、そのキー入力を無効にする無効処理を行う。
【0064】
尚、この場合の無効処理は、例えば機能キーのキー入力が検出された際に、そのキー入力があったことをフラグなどを立て記憶させ、その後、キー入力の機能処理を行う様にする場合、そのフラグを元に戻す(リセットする)処理などを意味するものである。
【0065】
従って、キー入力が検出されてもフラグを立てるといったことを行わない場合には、上記無効処理には、何の処理も行わずにステップS1に戻る様にする処理も含まれる。
【0066】
ステップS4において、キー入力の検出が機能キーでない場合には、ステップS6に進み操作釦23の第1のスイッチである可動端子6Bからのキー入力であるか否かが判断される。可動端子6Bからのキー入力である場合、これは図5(b)の状態によるキー入力か或いは図6(a)の状態によるキー入力であり、この場合にはステップS9に進んで、現在水中であるか否かが判断される。
【0067】
判断の結果、水中であった場合には、図5(b)に示した様に水圧によってキー入力がなされたもので、使用者の意図したキー入力ではないのでステップS10に進んで可動端子6Bによるキー入力を無効とする無効処理(何もせずにステップS1に戻る処理も含む)を行う。
【0068】
一方、水中でない場合には、図6(a)に示した使用者の指40によるキー入力であるとしてステップS11に進んでバックライト装置5を点灯させて表示部3の照明を行わせる。
【0069】
ステップS8において、可動端子6Bからのキー入力でなかった場合にはステップS12に進み、固定端子6Cからのキー入力であるか否かを判断する。固定端子6Cからのキー入力であった場合には、ステップS13に進んで水中か否かを判断し、水中であった場合にはステップS11に進んでバックライト5装置を点灯させる。
【0070】
ステップS13において水中でないと判断された場合には、大気中で操作釦23が強く押圧操作されて固定端子6Cからのキー入力が検出された場合であり、この場合には、既にステップS8、S9及びS11でバックライト装置5を点灯させる処理が行われているので何もせずにステップS1に戻る。
【0071】
ステップS12において固定端子6Cからのキー入力でない場合にはステップS14に進み、他の操作釦のキー入力であると判断して夫々のキー入力に応じた処理がなされる。但し、この場合においても、水中であれば処理は行われず、水中では無いときのみ処理がなされる。
【0072】
このように、上記の実施の形態では、照明キー6を2段スイッチ構造とし、1段目スイッチ入力の為の荷重及び1段目スイッチ入力状態から2段目のスイッチ入力がなされるまでの荷重を夫々0.16Kgfとなる様な構造にすると共に、大気中では1段目のスイッチ入力でバックライト装置5を点灯させ、水中では1段目のスイッチ入力を無効にして2段目のスイッチング入力でバックライト装置5を点灯させるようにしたので、照明キー6の操作釦23を大気中でも水中でも同じ押圧荷重で押圧してバックライト装置5を点灯させることが出来る。
【0073】
図8は、本発明によるスイッチ接点基板29の他の実施の形態を示している。図8において、スイッチ接点基板31には、固定接点32、33及び34が設けられている。固定接点32には、中央制御部2の出力端子2Aからの基準電圧が供給されている。
【0074】
また、固定接点33は、図1の中央制御部2の入力端子2Bに電気的接続されており、固定接点34は、中央制御部2の入力端子2Cに電気的接続されている。
【0075】
即ち、固定接点32には基準電圧が供給され、固定接点33は第1のスイッチング出力として中央制御部2の入力端子2Bに電気的接続され、固定接点34は第2のスイッチング出力として中央制御部2の入力端子2Cに電気的接続されている。
【0076】
そして、固定接点32上には板状弾性部材35が取り付けられている。この板状弾性部材35は、図4(a)に示した板状弾性部材29と同様に金属製であるが、上面は平板状の平板部35Aが形成され、下面には固定接点33と対向する位置に突出部36、中央の固定接点34と対向する位置に突出部37が夫々形成されている。また、突出部37をはさんで一対のバネ部材38が設けられている。
【0077】
突出部36の長さは突出部37より長く形成され、板状弾性部材35の平板部35Aが押圧された際には、まず突出部36が固定接点33に接触し、また、その時、バネ部材38の下端がスイッチ接点基板31の上面に当接する。
【0078】
そして、更に板状弾性部材35の平板部35Aが押圧されると、平板部35Aがバネ部材38のバネ力に抗して下降し中央下面の突出部37が固定接点34と当接する。
【0079】
従って、板状弾性部材35の平板部35Aが押圧されて突出部36が固定接点33に接触するまでの荷重を約0.16Kgf、更に、平板部35Aが押圧されて中央下面の突出部37が固定接点34と当接するまでの荷重を約0.16Kgfとなるように設定しておけば、大気中においても、また、水中においても約0.16Kgfの押圧力でバックライト装置5を点灯できるものである。
【0080】
この様に、上記の実施の形態によれば、押圧式の操作釦23を2段式のスイッチ構造とし、大気中では1段目のキー入力によってバックライト照明を行わせるといった予め定められた所定の処理を行なわせ、水中では1段目のキー入力があっても所定の処理を行わせず、2段目のキー入力があった際に所定の処理を行わせる様に制御するので、極めて簡単な構成で、水中であっても大気中と同様の操作で良好に操作釦の押圧操作で所定の処理を行わせることが出来る。
【0081】
また、1段目のキー入力によって予め定められた所定の処理を行なわせる制御と、2段目のキー入力によって所定の処理を行わせる制御とを、機器自体が水中にあるか否かで判断して行わせる様にしたので、自動的のその切り替えを行わせることが可能である。
【0082】
更に、1段目のキー入力の為の荷重と2段目のキー入力の為の荷重とをほぼ同一にすることによって水中でも大気中と同様の操作力でバックライト照明等の所定の処理を行わせることが出来る。
【0083】
更に、1段目のキー入力は、互いに間隔を存して配置され中央部が上方に向けて湾曲された弾性部材を用い、2段目のキー入力は基板上の固定接点で行う様にしたので、構造が極めて簡単で、且つ、所望の荷重でキー入力させるための設計が極めて容易である。
【0084】
尚、上記の実施の形態では、1段目のキー入力スイッチと2段目のキー入力スイッチとを同じ荷重にしたが、水中ではあまり力が入らないことを考慮して、2段目のキー入力スイッチの荷重を小さくする等、両者を同じ過重にする必要はないものである。
【0085】
また、スイッチ入力のための荷重を0.16Kgfにしたが、この値は適宜変更可能である。
【0086】
更に、上記の実施の形態では、照明キーだけを2段スイッチにしたが、他の操作釦を2段スイッチにしてもよい。即ち、水中で必要とされる機能処理については、その操作釦を2段スイッチにすればよいもので、例えば、水中でも全て陸上と同じ機能を行わせたい場合などにあっては、すべての操作キーを2段スイッチにすればよい。
【0087】
また、2段スイッチの構造は上述した実施の形態に限定されず他の構造であってもよいもので、例えば、円板状或いは板状弾性部材29D、29Gは金属製でなく導電性の弾性合成樹脂であってもよく、或いは絶縁性合成樹脂に導電性の配線を施したものであってもよい。
【0088】
更に、上記実施の形態では、上記携帯電話装置1が水中にあるか否かの検出を圧力センサでおこなったが、他の検出手段、例えば水滴検出センサ等を備えて水中検出を行うようにしてもよい。
【0089】
また、本発明は携帯電話装置だけでなく、水中カメラ、水深計、腕時計、PDA等各種の電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 携帯電話装置
2 中央制御部
3 表示部
5 バックライト
6 照明キー
9 圧力センサ
20 機器ケース
23 操作釦
27 ラバー部材
28 ストッパ部材
29 スイッチ接点基板
31 回路基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧操作釦と、
この押圧操作釦の押圧方向への所定量の移動によってスイッチ入力がなされる第1のキー入力手段と、
前記押圧操作釦の前記所定量以上の移動によってスイッチ入力がなされる第2のキー入力手段と、
前記第1のキー入力手段によるキー入力によって予め定められた処理を行なわせる第1の制御手段と、
前記第1のキー入力手段によるキー入力があっても前記予め定められた処理を行わせず前記第2のキー入力手段によるキー入力があった際に前記予め定められた処理を行わせる第2の制御手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
更に、前記電子機器が大気中にあるか水中にあるかを検出する検出手段を備え、大気中にあることが検出された場合には前記第1の制御手段によって前記予め定められた処理を行わせ、水中にある場合には前記第2の制御手段によって前記予め定められた処理を行わせることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記押圧操作釦が前記所定量移動するための荷重と、前記押圧操作釦が前記所定量移動した位置から前記第2のキー入力のスイッチ入力がなされる位置まで移動する為の荷重はほぼ等しいことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1のキー入力手段は、中央部が上方に向けて湾曲された弾性を有する第1の可動接点部材と、この第1の可動接点部材の下方に前記第1の可動接点部材と間隔を存して配置された中央部が上方に向けて湾曲された弾性を有する第2の可動接点部材とを備え、
前記第2のキー入力手段は、前記第2の可動接点部材の下方に設けられた固定接点部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記押圧操作釦が前記押圧方向へ前記所定量移動した際に第1の可動接点部材の前記中央部が押し下げられ前記第2の可動接点部材の中央部に当接して前記第1のキー入力手段の前記スイッチ入力がなされ、前記押圧操作釦が前記所定量移動した位置から更に押し下げられた際に前記第2の可動接点部材の前記中央部が押し下げられて前記固定接点部材に当接して前記第2のキー入力手段の前記スイッチ入力がなされることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
コンピュータに、
押圧操作釦の押圧方向への所定量の移動によってスイッチ入力がなされる第1のキー入力機能、
前記押圧操作釦の前記所定量以上の移動によってスイッチ入力がなされる第2のキー入力機能、
前記第1のキー入力機能によるキー入力によって予め定められた処理を行なわせる第1の制御機能、
前記第1のキー入力機能によるキー入力があっても前記予め定められた処理を行わせず前記第2のキー入力機能によるキー入力があった際に前記予め定められた処理を行わせる第2の制御機能、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−124746(P2011−124746A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280098(P2009−280098)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】