説明

電子機器用接着剤シート

【課題】熱伝導性と接着性に優れた電子機器用接着剤シートを提供すること。
【解決手段】少なくとも接着剤層と剥離可能な保護フィルム層を有する電子機器用接着剤シートであって、該接着剤層が(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)熱可塑性樹脂および(D)熱伝導性充填剤を含有し、(D)熱伝導性充填剤が、(d1)窒化アルミニウム、窒化珪素および窒化硼素からなる群から選ばれる平均粒径1〜10μmの無機粉末および(d2)平均粒径0.01〜1μmの球状アルミナ粉末からなり、その含有量比d1:d2が重量比で95:5〜50:50であることを特徴とする電子機器用接着剤シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器用接着剤シートに関する。より詳しくは、半導体集積回路を実装する際に用いられる、テープオートメーテッドボンディング(TAB)方式のパターン加工テープ、ボールグリッドアレイ(BGA)パッケージ用インターポーザー等の半導体接続用基板、リードフレーム固定テープ、リードオンチップ(LOC)固定テープ、半導体素子等の電子部品とリードフレームや絶縁性支持基板などの支持部材との接着に用いられるダイボンディング材、放熱板(ヒートスプレッダー)、補強板(スティフナー)、シールド材の接着剤、ソルダーレジスト、異方導電性フィルム、銅張り積層板、カバーレイ、メタル基板、回路間の絶縁層等各種の電子材料を作製するために適した電子機器用接着剤シートおよびそれを用いた電子部品、それを用いた金属層付き基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の実装技術の向上に伴い、機器の小型化、薄型化が進んでおり、その結果、電子機器の使用用途は増加の一途をたどっている。電子機器を小型化、薄型化する場合、機器から発生する熱の密度が高まるために、熱の発生を抑えるとともに、使用する半導体集積回路(IC)パッケージやトランジスタ、ダイオード、電源などの電子部品から発生する熱を効率的に外部に放出させることが重要となってくる。また、パソコン等で使用されるマイクロチッププロセッサ(MPU)の動作周波数の上昇とともに、MPUチップより発生する熱量は非常に大きくなっている。また、プラズマパネルディスプレイ、液晶ディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)は、ディスプレイパネルが発熱するため、この熱を外部に放出することが重要となってきている。
【0003】
一般に、上記のような電子部品から発生した熱を外部に放出するには、熱源となる電子部品に、ヒートシンクや金属板、電子機器筐体等のより放熱面積の大きい放熱部品を取り付ける方法が知られている。このとき、電子部品と放熱部品とが接する界面が、熱の移動の上で抵抗となっている。このため、界面における熱移動を補助する手段として、窒化アルミニウムと酸化亜鉛粉末を含む熱伝導性シリコーングリース(例えば特許文献1参照)、熱伝導性フィラーを含有するシリコーン固化物からなる放熱スペーサー(例えば特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、これらの放熱材料はそれ自体に接着性がないため、部材同士を別途固定する必要があった。
【0004】
作業性の観点から、界面における熱移動に加え、電子部品と放熱部品とを固定することのできる材料が求められている。このような要求に対応できる材料として、熱硬化性樹脂および熱伝導性の高いフィラーを含有する接着剤組成物をシート状に加工した接着剤シートが挙げられる。例えば、エポキシ樹脂およびその硬化剤、高分子量樹脂、硬化促進剤および球形アルミナを含む、熱伝導率が0.6W/m・K以上の熱伝導性接着剤組成物を基材上に塗布し、その硬化度をDSCを用いて測定した場合の全硬化発熱量の10〜40%の発熱を終えた状態にした熱伝導性接着フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この熱伝導性接着フィルムの熱伝導率は充分ではなく、接着性も十分とはいえなかった。
【0005】
放熱材料の熱伝導率を向上させる方法としては、熱伝導性フィラーの充填率を高くすることが挙げられる。例えば樹脂およびフィラーを含有してなる接着剤組成物であって、前記フィラーが、平均粒径をR、扁平率をKとして、少なくとも(A)0.5μm≦R≦5μmかつK≦15を満たすフィラーをフィラー総量のX%、(B)5μm≦R≦30μmかつK≦15を満たすフィラーをフィラー総量のY%、および(C)1μm≦R≦10μmかつ20≦K≦60を満たすフィラーをフィラー総量のZ%含み、前記X、Y、およびZが、0.25≦X/Z≦3.5かつ0.6≦(X+Z)/Y≦5を満たし、前記(A)、(B)および(C)を満たす各フィラーの総量が、接着剤組成物の総体積に対して30vol%以上60vol%以下である接着剤組成物が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、この熱伝導性接着フィルムの接着力は十分とはいえず、また放熱性も十分とはいえなかった。
【特許文献1】特許3142800号明細書(請求項1)
【特許文献2】特許3092699号明細書(請求項1〜2、5)
【特許文献3】特許3559137号明細書(請求項1)
【特許文献4】特開2004−168870号公報(請求項1、0031〜0032段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来の熱伝導性接着剤シートはその接着性が不十分であった。本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、熱伝導性と接着性に優れた電子機器用接着剤シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は主として以下の構成を有する。すなわち、少なくとも接着剤層と剥離可能な保護フィルム層を有する電子機器用接着剤シートであって、該接着剤層が(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)熱可塑性樹脂および(D)熱伝導性充填剤を含有し、(D)熱伝導性充填剤が(d1)窒化アルミニウム、窒化珪素および窒化硼素からなる群から選ばれる平均粒径1〜10μmの無機粉末および(d2)平均粒径0.01〜1μmの球状アルミナ粉末からなり、その含有量比d1:d2が重量比で95:5〜50:50であることを特徴とする電子機器用接着剤シートである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電子機器用接着剤シートは、熱伝導性に優れ、被着体との接着性にも優れる。このため、電子機器内の発熱部品とヒートシンクや放熱板等の放熱部品を接着するために好適に用いることができる。さらに、本発明の電子機器用接着剤シートを用いて発熱部品と放熱部品を接着したり、プリント基板を積層することにより、放熱特性に優れた電子機器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の電子機器用接着剤シート(以下、接着剤シートという)は、電子機器内の発熱部品とヒートシンク、放熱板等の放熱部品との接着用シート、スティフナー、ヒートスプレッダー、半導体素子や配線基板(インターポーザー)用半導体集積回路を実装する際に用いられるTAB方式のパターン加工テープ、BGAパッケージ用インターポーザー等の半導体接続用基板、またFPCやその補強板、カバーレイや銅張り積層板、多層基板の層間接着剤、およびそれらを用いた基板部品、リードフレーム固定テープ、LOC固定テープ、半導体素子等の電子部品とリードフレームや絶縁性支持基板等の支持部材との接着剤すなわちダイボンディング材、シールド材等に使用でき、それら被着体の形状および材料は特に限定されない。
【0010】
以下、本発明の構成を詳述する。本発明の接着剤シートは、少なくとも接着剤層と剥離可能な保護フィルム層を有する。そして、該接着剤層が(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)熱可塑性樹脂および(D)熱伝導性充填剤を含有し、(D)熱伝導性充填剤が(d1)窒化アルミニウム、窒化珪素および窒化硼素からなる群から選ばれる平均粒径1〜10μmの無機粉末および(d2)平均粒径0.01〜1μmの球状アルミナ粉末からなり、その含有量比d1:d2が重量比で95:5〜50:50であることを特徴とする。
【0011】
本発明の接着剤シートは、接着剤層に(A)エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂を含むことにより、耐熱性、高温での絶縁性、耐薬品性、接着剤層にしたときの強度等の物性バランスを実現することができる。エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限されず、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型骨格を含有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、およびハロゲン化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0012】
これらのエポキシ樹脂の中で、本発明において好ましく使用されるのは、接着性、接着剤組成物をシート化する際の製膜性に優れる点で、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂などであり、この中でも分子量が低く、単体で25℃における粘度が25Pa・s以下であるビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。このような樹脂を用いることにより、接着剤層の被着体表面への追従性が向上し、接着性がより向上する。エポキシ樹脂の粘度は25℃でB型粘度計にて測定する。
【0013】
本発明の接着剤シートは、接着剤層にエポキシ基と架橋反応する(B)硬化剤を含有する。エポキシ基と架橋反応する硬化剤を含有することで硬化後の接着力が向上する。硬化剤の例としては、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、ジシアンジアミド、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのノボラック樹脂、ビスフェノールAなどのビスフェノール化合物等が使用できる。この中でも耐熱性に優れることからフェノール系の硬化剤が好ましい。これらを単独または2種以上用いてもよい。
【0014】
本発明の接着剤シートは、その接着剤層中に含まれる(B)硬化剤中の活性水素の総モル数Hと(A)エポキシ樹脂中のエポキシ基の総モル数Eの比H/Eが0.4〜1.2の範囲であることが接着性の向上の点で好ましい。通常、硬化剤中の活性水素の総モル数Hとエポキシ樹脂中のエポキシ基の総モル数Eの比H/Eは、1.0を中心に好ましくは0.8〜1.2の範囲で設計されることが多いが、エポキシ基を過剰にし、H/Eを0.4〜1.2とすることで被着体への接着性、半田耐熱性が向上する。さらに好ましくは0.4〜0.7である。
【0015】
本発明の接着剤シートは、接着剤層に(C)熱可塑性樹脂を含有する。熱可塑性樹脂を含有することにより、靱性を付与することができ、接着性の向上、可撓性の向上、熱応力の緩和等の効果が得られる。
【0016】
熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(ABS)、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸エステル樹脂(アクリルゴム)、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン等が例示される。
【0017】
これらの熱可塑性樹脂は、前述の(A)エポキシ樹脂との反応が可能な官能基を有することが好ましい。具体的には、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基等である。これらの官能基によりエポキシ樹脂との結合が強固になり、耐熱性が向上するので好ましい。
【0018】
これらの熱可塑性樹脂の中で、接着性、可撓性、熱応力の緩和効果の点から炭素数1〜8の側鎖を有するアクリル酸および/またはメタクリル酸エステルを必須共重合成分とする共重合体が特に好ましく使用できる。また、これらの共重合体についても前述のエポキシ樹脂との反応が可能な官能基を有していてもよい。さらにこの場合、官能基としてカルボキシル基および/または水酸基を有する共重合体に、他の官能基を有する共重合体を混合して用いるとさらに好ましい。官能基含有量については、0.07〜0.7eq/kgが好ましく、より好ましくは0.07〜0.45eq/kg、さらに好ましくは、0.07〜0.14eq/kgである。
【0019】
本発明において、(C)熱可塑性樹脂の含有量は、接着剤シート中の接着剤層中において好ましくは2重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
【0020】
本発明の接着剤シートは、接着剤層に(D)熱伝導性充填剤を含有する。ここでいう熱伝導性充填剤とは、充填剤単体での熱伝導率が10(Wm−1−1)以上の充填剤を指す。熱伝導率は、レーザーフラッシュ法により測定できる。例えば、アルバック理工(株)製熱定数測定装置TC−7000を用いて熱拡散率を測定し、別に測定した密度、比熱のパラメータから熱伝導率を算出する。
【0021】
本発明において、熱伝導性充填剤は、窒化アルミニウム、窒化珪素および窒化硼素からなる群から選択される平均粒径1〜10μmの無機粉末(d1)と、平均粒径0.01〜1μmの球状アルミナ粉末(d2)のみからなる。また、d1とd2の含有量比は、重量比で95:5〜50:50である。
【0022】
窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化硼素から選択される平均粒径1〜10μmの無機粉末(d1)を含有することにより、接着剤の熱伝導率が大きく向上する。好ましくは1〜5μmである。粒子形状、結晶性は特に制限されず、破砕系、球状、鱗片状等が用いられるが、塗料への分散性の点から、球状が好ましく用いられる。また、平均粒径0.01〜1μmの球状アルミナ粉末(d2)を含有することで接着剤シートの接着性が大きく向上する。これは、無機粉末(d1)の平均粒径を1μm〜10μm、また球状アルミナ粉末(d2)の平均粒径を0.01〜1μmとすることにより、無機粉末(d1)同士の隙間に球状アルミナ粉末(d2)が充填され、接着剤シート中の熱伝導性充填剤の充填率が向上するためと考えられる。
【0023】
本発明において平均粒径とは、粒度分布計で粒度分布を測定し、累積分布をパーセント(%)で表した時の50%に相当する粒子径(メジアン径)をいう。粒子が球状でない場合には球相当体積を基準とした粒度分布を測定する。粒度分布計としては堀場LA500レーザー回折式粒度分布計等が挙げられる。なお、粒度分布は、体積基準で、粒子径表示を56分割片対数表示(0.1〜200μm)するものとする。
【0024】
d1とd2の含有量比は重量比で(d1):(d2)=95:5〜50:50であることを特徴とする。重量比がこの範囲であることにより接着性が向上し、かつ十分な熱伝導性を持つ。好ましくは95:5〜70:30である。
【0025】
接着剤層中の(D)熱伝導性充填剤の含有量は、熱伝導性の観点から40体積%以上が好ましい。また、接着性の観点から、75体積%以下が好ましく、60体積%以下がより好ましい。この範囲であれば、熱伝導率と接着力をより高いレベルで両立することができる。
【0026】
(D)熱伝導性充填剤は、充填剤の酸化、加水分解等の変質防止の目的や充填剤と接着剤組成物中のその他の有機成分とのぬれ性向上の目的、および接着剤シートの物性向上のために、表面処理を施してもよい。具体的には、シリカ、リン酸等でのコーティングや、酸化膜付与処理、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シラン化合物等での表面処理などが挙げられ、これらの手法を併用してもよい。
【0027】
本発明においては、(D)熱伝導性充填剤にシランカップリング剤で表面処理することが好ましい。このような表面処理を施すことで、(D)熱伝導性充填剤が接着剤組成物中でより均一に分散し、結果として半田耐熱性、接着性を向上させることができる。シランカップリング剤の具体例としては3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどがあるが、この中でも特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランが充填剤と樹脂組成物中のその他の有機成分とのぬれ性を向上させる点で好ましい。シランカップリング剤は単独で使用しても、上記のシランカップリング剤を2種以上使用してもよく、処理に使用する量は、熱伝導性充填剤100重量部に対して0.3〜1重量部が好ましい。また、接着剤組成物に(D)熱伝導性充填剤以外の充填剤を含有してもよく、これら充填剤を合わせて表面処理する場合は、充填剤の合計100重量部に対して0.3〜1重量部程度が好ましい。
【0028】
本発明の接着剤シートにおいて、(A)エポキシ樹脂の含有量は(D)熱伝導性充填剤100重量部、接着剤組成物に(D)熱伝導性充填剤以外の充填剤を含有する場合はそれらの合計100重量部に対し8.2〜19.0重量部が好ましい。
【0029】
本発明の接着剤シートは、必要に応じ硬化触媒を含有してもよい。硬化促進剤としては、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、ジシアンジアミド、トリフェニルホスフィン、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムo,o−ジエチルフォスフォロジチオネート、スルフォニウム塩誘導体等公知のものが挙げられる。これらを単独または2種以上用いてもよい。この中でも、硬化性、信頼性の点でホスフィン系の硬化触媒を含有することが好ましい。ホスフィン系の硬化触媒を含有することで硬化性、常温での保存安定性が向上する。ホスフィン系の硬化触媒の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリス−(p−メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどが挙げられ、硬化促進作用の点からトリフェニルホスフィンが特に好ましく用いられる。
【0030】
硬化触媒の含有量は、(A)エポキシ樹脂100重量部に対し0.3〜3.0重量部の範囲にあることが好ましい。0.3重量部以上とすることで、硬化促進作用が得られ、3.0重量部以下とすることで保存安定性が向上する。
【0031】
本発明の接着剤シートは、接着剤組成物からなる接着剤層と、剥離可能な保護フィルム層とを有する構成のものをいう。例えば、保護フィルム層/接着剤層の2層構成、あるいは、保護フィルム層/接着剤層/保護フィルム層の3層構成がこれに該当する。また、接着剤層と保護フィルム層以外に別の層を有していてもよい。例えば接着剤層の内部に炭素繊維のクロス等の熱伝導性材料を積層した複合構造、接着剤層の内部にポリイミド等の絶縁性フィルムが積層された複合構造等がこれにあたる。
【0032】
接着剤層の厚みは、弾性率および線膨張係数との関係で適宜選択できるが、10〜500μmが好ましく、より好ましくは20〜200μmである。接着剤層は接着部材の表面に凹凸に追従できるものであれば、なるべく薄い方が熱伝導の点で好ましい。
【0033】
保護フィルム層は、絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層(TABテープ等)あるいは導体パターンが形成されていない層(スティフナー等)に接着剤層を貼り合わせる前に、接着剤層の形態および機能を損なうことなく剥離できれば特に限定されない。例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等のプラスチックフィルム、これらにシリコーンあるいはフッ素化合物等の離型剤のコーティング処理を施したフィルムおよびこれらのフィルムをラミネートした紙、離型性のある樹脂を含浸あるいはコーティングした紙等が挙げられる。保護フィルム層は、加工時に視認性が良いように顔料による着色が施されていてもよい。これにより、先に剥離する側の保護フィルムが簡便に認識できるため、誤使用を避けることができる。
【0034】
接着剤層の両面に保護フィルム層を有する場合、それぞれの保護フィルム層の接着剤層に対する剥離力をF、F(F>F)としたとき、F−Fは好ましくは5Nm−1以上、さらに好ましくは15Nm−1以上である。F−Fを5Nm−1以上とすることで、目的の保護フィルム層を安定して剥離することができるため作業性が良い。また、剥離力F、Fはいずれも好ましくは1〜200Nm−1、さらに好ましくは3〜100Nm−1である。この範囲であれば、保護フィルム層の脱落や、接着剤層の損傷等のトラブルを防ぐことができる。
【0035】
次に本発明の接着剤シートの製造方法の例について説明する。
【0036】
(a)接着剤組成物を溶剤に溶解した塗料を、離型性を有するポリエステルフィルム上に塗布、乾燥する。接着剤層の膜厚は10〜500μmが好ましい。乾燥条件は、100〜200℃、1〜5分が好ましい。接着剤層の膜厚が100μmを超える場合は、複数回に分けて塗布してもよい。また、膜厚100μm以下の接着剤層を2層以上準備し、ラミネートにより積層してもよい。溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン等の非プロトン系極性溶剤あるいはこれらの混合物が好適である。
【0037】
(b)(a)のフィルムに上記よりさらに剥離強度の弱い離型性を有するポリエステルあるいはポリオレフィン系の保護フィルム層をラミネートして本発明の接着剤シートを得る。さらに接着剤厚みを増す場合は、該接着剤層を複数回積層すればよい。ラミネート後に、たとえば40〜70℃で20〜200時間程度熱処理して硬化度を調節してもよい。
【0038】
本発明における電子部品とは、本発明の接着剤シートを用いて作製されるものをいい、例えば半導体集積回路接続用基板や金属層付き基板等が挙げられる。
【0039】
半導体集積回路接続用基板は、シリコン等の半導体基板上に素子が形成された後、切り分けられた半導体集積回路(ベアチップ)を接続するものであり、(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層、(B)導体パターンが形成されていない層および(C)接着剤層をそれぞれ1層以上有するものであれば、形状、材料および製造方法は特に限定されない。したがって、最も基本的なものは、A/C/Bの構成であるが、A/C/B/C/B等の多層構造もこれに含まれる。
【0040】
(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層は、半導体素子の電極パッドとパッケージの外部(プリント基板等)を接続するための導体パターンを有する層であり、絶縁体層の片面または両面に導体パターンが形成されているものである。
【0041】
ここでいう絶縁体層は、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックあるいはエポキシ樹脂含浸ガラスクロス等の複合材料からなる、厚さ10〜125μmの可撓性を有する絶縁性フィルム、あるいはアルミナ、ジルコニア、ソーダガラス、石英ガラス等のセラミックス基板が好適であり、これらから選ばれる複数の層を積層して用いてもよい。また、必要に応じて、絶縁体層に加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
【0042】
導体パターンの形成は、一般にサブトラクティブ法あるいはアディティブ法のいずれかで行われるが、本発明ではいずれを用いてもよい。
【0043】
サブトラクティブ法では、絶縁体層に銅箔等の金属板を絶縁性接着剤で接着するか、あるいは金属板に絶縁体層の前駆体を積層し、加熱処理等により絶縁体層を形成する方法で作製した材料を、薬剤処理でエッチングすることによりパターン形成する。材料の具体例としては、リジッドあるいはフレキシブルプリント基板用銅張り材料やTABテープ等が挙げられる。中でも、少なくとも1層以上のポリイミドフィルムを絶縁体層とし、銅箔を導体パターンとするフレキシブルプリント基板用銅張り材料やTABテープが好ましく用いられる。
【0044】
アディティブ法では、絶縁体層に無電解メッキ、電解メッキ、スパッタリング等により直接導体パターンを形成する。いずれの場合も、形成された導体に腐食防止のため耐食性の高い金属がメッキされていてもよい。また、配線基板層には必要に応じてビアホールが形成され、両面に形成された導体パターンがメッキにより接続されていてもよい。
【0045】
(B)導体パターンが形成されていない層は、実質的に(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層または(C)接着剤層とは独立した均一な層であり、半導体集積回路接続用基板の補強および寸法安定化(補強板あるいはスティフナーと称される)、外部とICの電磁的なシールド、ICの放熱(ヒートスプレッダー、ヒートシンクと称される)、半導体集積回路接続用基板への難燃性の付与、半導体集積回路接続用基板の形状的による識別性の付与等の機能を担持するものである。したがって、形状は層状だけでなく、例えば放熱用としてはフィン構造を有するものでもよい。上記の機能を有するものであれば絶縁体、導電体のいずれであってもよく、材料も特に限定されない。金属としては、銅、鉄、アルミニウム、金、銀、ニッケル、チタン、ステンレス等、無機材料としてはアルミナ、ジルコニア、ソーダガラス、石英ガラス、カーボン等、有機材料としてはポリイミド系、ポリアミド系、ポリエステル系、ビニル系、フェノール系、エポキシ系等のポリマー材料が挙げられる。また、これらの組み合わせによる複合材料も使用できる。例えば、ポリイミドフィルム上に薄い金属メッキをした形状のもの、ポリマーにカーボンを練り込んで導電性をもたせたもの、金属板に有機絶縁性ポリマーをコーティングしたもの等が挙げられる。また、上記(A)配線基板層に含まれる絶縁体層と同様に種々の表面処理を行うことは制限されない。
【0046】
金属層付き基板は、基板の少なくとも片面に接着剤層、金属層をこの順に有し、基板の両面に接着剤層、金属層を各々有してもよい。基板としては、銅板、アルミニウム板、ニッケル板、ステンレス板、アルミニウム合金板、銅合金板等の金属基板、アルミナ、シリカ、ジルコニウム、シリコーンカーバイド、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素等のセラミックス基板、ガラスクロスを含むエポキシ樹脂、BTレジン等のプラスチック基板を挙げることができる。金属層としては、金属箔、金属板等が挙げられ、スパッタリング、電解、無電解メッキ等の物理的表面処理により金属薄膜層を形成したものも含まれる。金属箔は銅箔、アルミニウム箔、ニッケル箔、ステンレス箔、アルミニウム合金箔、銅合金箔が例示される。金属板は前記金属基板と同様に銅板、アルミニウム板、ニッケル板、ステンレス板、アルミニウム合金板、銅合金板等が挙げられる。金属箔、金属板、金属薄膜層とも基板よりも薄いものであって、金属基板との組み合わせにおいて使用される場合においては金属の種類は同じであっても異なっていてもよい。
【0047】
金属層付き基板の製造方法について例を挙げて説明する。
【0048】
まず、本発明の電子機器用接着剤シートから、必要により保護フィルム層を剥離し、基板、前記電子機器用接着剤シートの接着剤層、金属層の積層体を得る。例えば、銅箔付きアルミニウム基板の場合であれば、前記(b)で得た接着剤シートの保護フィルム層を剥離して、接着剤層を銅箔およびアルミニウム板にラミネートする。このとき、80〜200℃に加熱することが好ましい。また、銅箔あるいはアルミニウム板のいずれかのみにラミネートし、もう片面はラミネートせずにアルミニウム板あるいは銅箔のいずれかを重ね合わせるだけでもよい。
【0049】
次に、前記積層体を0.1MPa以上で加圧し、接着剤層を硬化させる。例えば、前記の銅箔、接着剤層、アルミニウム積層体を120〜200℃にて1〜8時間加熱することにより接着剤層を加熱硬化して、銅箔付きアルミニウム基板を得ることができる。接着剤層の加熱硬化は0.1MPa以上の加圧条件下で行うことが好ましい。好ましくは0.5PMa以上、より好ましくは1.0MPa以上である。加熱加圧条件下で接着剤層を硬化させることにより、熱伝導率および接着力をさらに向上することができる。加熱加圧には、圧力容器を用いてもよく、プレス装置を用いてもよい。
【実施例】
【0050】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、各実施例で行った評価方法について述べる。
【0051】
(1)剥離接着力:0.35mm厚のSUS304上に接着剤層膜厚50μmの接着剤シートの一方の保護フィルムを剥がし、130℃、1MPaの条件でラミネートした。その後、ポリイミドフィルム(厚み75μm:宇部興産(株)製“ユーピレックス”(登録商標)75S)を先のSUS上にラミネートした接着剤シートのもう一方の保護フィルムを剥がし130℃、1MPaの条件でさらにラミネートした後、0.5MPa加圧下、170℃、2時間の加熱処理を行い、評価用サンプルを作製した。ポリイミドフィルムを5mm幅にスリットした後、5mm幅のポリイミドフィルムを90°方向に50mm/分の速度で剥離し、その際の接着力を測定した。ここで、接着力としては、加工性、ハンドリング性、半導体装置の信頼性の観点より、5N/cm以上であることが好ましい。
【0052】
(2)剪断接着力:接着剤層厚み50μmの接着剤シートの一方の保護フィルム層を剥がし、1.2mm厚さの銅板(20mm×20mm)上に接着剤層を130℃、1MPaの条件でラミネートした。次いで、接着剤シートの反対面の保護フィルムを剥がし、同厚さの銅板(5mm×30mm)を130℃、1MPaの条件でラミネートし、銅板/接着剤層/銅板の積層体を作製した。次いで以下の2水準の方法で加熱硬化し、テンシロンにより5mm/分の速度で引張り剪断接着力を測定した。
(A)空気雰囲気加熱:オーブン中の空気雰囲気下で170℃、2時間加熱処理した。
(B)プレス加熱:プレス機に積層体をセットし、170℃、2時間、3MPaで加圧硬化した。
【0053】
(3)熱伝導率:各実施例・比較例に記載の接着剤溶液を用いて200μm〜500μm厚さの接着剤薄膜を作製し、以下の2水準の方法で加熱硬化した。
(A)空気雰囲気加熱:オーブン中で170℃、2時間加熱処理した。
(B)プレス加熱:プレス機に積層体をセットし、170℃、2時間、3MPaで加圧硬化した。
【0054】
次いでアルバック理工(株)製 熱定数測定装置TC−7000により、測定温度100℃、照射光:ルビーレーザー光、真空雰囲気中にて熱拡散率を測定した。またアルキメデス法により接着剤組成物の密度を測定し、DSC法により比熱を測定し、これらのパラメータから熱伝導率を算出した。
【0055】
実施例1〜23、比較例1〜8
下記熱伝導性充填剤、無機粒子を表1〜3に記載した各実施例、比較例の配合比になるように秤量し、ミキサー内で2分間混合した。その後、熱伝導性充填剤と無機粒子をさらに混合しながらシランカップリング剤を霧吹きで噴霧し、シラン処理を行った。その後、それぞれ表1〜3に示した組成となるようにエポキシ樹脂、硬化剤、熱可塑性樹脂、その他添加剤を配合し、固形分濃度35重量%となるようにDMF/モノクロルベンゼン/MIBK等量混合溶媒に40℃で撹拌、溶解して接着剤溶液を作製した。この接着剤溶液をバーコータで、シリコーン離型剤付きの厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(藤森工業(株)製“フィルムバイナ”(登録商標)GT)に約50μmの乾燥厚さとなるように塗布し、120℃で5分間乾燥し、保護フィルムを貼り合わせて、本発明の接着剤シートを作製した。実施例に使用した各原材料は次の通りである。
【0056】
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ(“エピコート”(登録商標)828、エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製、常温で液状、25℃での粘度:14Pa・s)
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型エポキシ(エピコート1001、エポキシ当量474、ジャパンエポキシレジン(株)製、常温で固形)
エポキシ樹脂3:o−クレゾールノボラック型エポキシ(EOCN−1020、エポキシ当量200、日本化薬(株)製、常温で固形)
エポキシ樹脂4:ジシクロペンタジエン型(HP−7200、エポキシ当量:260、大日本インキ化学工業(株)製、常温で固形)
エポキシ樹脂5:ビスフェノールA型エポキシ(エピコート827、エポキシ当量190、ジャパンエポキシレジン(株)製、常温で液状、25℃での粘度:10Pa・s)
<硬化剤>
硬化剤:フェノールノボラック樹脂(PSM4326、水酸基当量105、群栄化学工業(株)製)
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂1:SGP−3(ナガセケムテックス(株)製):ブチルアクリレートを主
成分とするエポキシ基含有アクリルゴム
熱可塑性樹脂2:SG−280DR(ナガセケムテックス(株)製):ブチルアクリレー
トを主成分とするカルボキシル基含有アクリルゴム
熱可塑性樹脂3:PNR−1H(JSR(株)製):カルボキシル基含有NBR
<熱伝導性充填剤>
(d1)
熱伝導性充填剤1:窒化アルミニウム粉末(Hグレード、平均粒径1.7μm、(株)トクヤマ製)
熱伝導性充填剤2:耐水性窒化アルミニウム粉末(MAN−2A、平均粒径1.3μm、三井化学(株)製)
熱伝導性充填剤3:シリカコート窒化アルミニウムフィラー(TOYALNITE FL
B、平均粒径3μm、東洋アルミニウム(株)製)
熱伝導性充填剤4:窒化硼素粉末(HGPE、平均粒径1.9μm、電気化学工業(株)製)
熱伝導性充填剤5:窒化アルミニウム粉末(FLA、平均粒径8μm、東洋アルミニウム(株)製)
熱伝導性充填剤6:窒化アルミニウム粉末(FAN−f30、平均粒径20μm、古河電子(株)製)
(d2)
熱伝導性充填剤7:球状アルミナ粉末(AO−502、平均粒径0.7μm、(株)アドマテックス製)
<無機粒子>
無機粒子1:球状シリカ(SO−C5、平均粒径1.6μm、(株)アドマテックス製)
無機粒子2:球状シリカ(SO−C2、平均粒径0.5μm、(株)アドマテックス製)
<硬化触媒>
硬化触媒:トリフェニルホスフィン
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤1:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
シランカップリング剤2:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
表1〜3から明らかなように、本発明により得られた接着剤シートは熱伝導率が高く、熱硬化後には十分な接着力を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも接着剤層と剥離可能な保護フィルム層を有する電子機器用接着剤シートであって、該接着剤層が(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)熱可塑性樹脂および(D)熱伝導性充填剤を含有し、(D)熱伝導性充填剤が、(d1)窒化アルミニウム、窒化珪素および窒化硼素からなる群から選ばれる平均粒径1〜10μmの無機粉末および(d2)平均粒径0.01〜1μmの球状アルミナ粉末からなり、その含有量比d1:d2が重量比で95:5〜50:50であることを特徴とする電子機器用接着剤シート。
【請求項2】
前記(D)熱伝導性充填剤を接着剤層中40〜75体積%含有することを特徴とする請求項1記載の電子機器用接着剤シート。
【請求項3】
(A)エポキシ樹脂が、単体で25℃における粘度が25Pa・s以下であるエポキシ樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の電子機器用接着剤シート。
【請求項4】
(D)熱伝導性充填剤がシランカップリング剤により表面処理されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器用接着剤シート。
【請求項5】
前記シランカップリング剤が3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランまたはN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランを含有することを特徴とする請求項4記載の電子機器用接着剤シート。
【請求項6】
請求項1記載の電子機器用接着剤シートを用いた電子部品。
【請求項7】
基板の少なくとも片面に接着剤層、金属層をこの順に有する金属層付き基板の製造方法であって、(a)請求項1〜5いずれか記載の電子機器用接着剤シートから必要により保護フィルム層を剥離し、基板、前記電子機器用接着剤シートの接着剤層、金属層の積層体を得る工程、(b)前記積層体を0.1MPa以上で加圧し、接着剤層を硬化させる工程、を有することを特徴とする金属層付き基板の製造方法。

【公開番号】特開2008−106231(P2008−106231A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198582(P2007−198582)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】