電子素子ウエハモジュールおよびその製造方法、電子素子モジュールおよびその製造方法、電子情報機器
【課題】ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置して一括で切断して遮光構造を容易かつ素早く得る。
【解決手段】複数のセンサモジュール11が形成された電子素子ウエハモジュール1を幅広に、ダイシングラインDLに沿ってウェハ状光学部品6およびガラス基板5を切断してダイシング溝8を形成した後に、その切断した幅広のダイシング溝8を含むウェハ状光学部品6の中央部における光開口部6a以外の表面領域に遮光膜7の遮光材料を塗布し、その後、幅広のダイシング溝8内の側面に遮光材料を残すように、幅広のダイシング溝8の幅方向中心に沿ってウェハ状光学部品6およびガラス基板5を、幅狭に切断してセンサモジュール11として個片化することにより、レンズ領域などの光学機能領域およびその下の撮像素子2を囲む遮光構造を形成する。
【解決手段】複数のセンサモジュール11が形成された電子素子ウエハモジュール1を幅広に、ダイシングラインDLに沿ってウェハ状光学部品6およびガラス基板5を切断してダイシング溝8を形成した後に、その切断した幅広のダイシング溝8を含むウェハ状光学部品6の中央部における光開口部6a以外の表面領域に遮光膜7の遮光材料を塗布し、その後、幅広のダイシング溝8内の側面に遮光材料を残すように、幅広のダイシング溝8の幅方向中心に沿ってウェハ状光学部品6およびガラス基板5を、幅狭に切断してセンサモジュール11として個片化することにより、レンズ領域などの光学機能領域およびその下の撮像素子2を囲む遮光構造を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を集光する複数のレンズまたは、出射光を直進させたり入射光を所定方向に曲げて導いたりする複数の光学機能素子と、各レンズにそれぞれ対応して、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子または、各光学機能素子にそれぞれ対応して、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子とが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールおよびその製造方法、この電子素子ウエハモジュールから一括切断されて製造される電子素子モジュールおよびその製造方法、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子と、入射光を撮像素子上に結像するためのレンズとが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールとしてのセンサウエハモジュールから一括切断して個片化した電子素子モジュールとしてのセンサモジュールを、車載用カメラなどの画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、車載用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)または、この電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の電子素子モジュールとしてのセンサモジュールは、入射光を集光するレンズ部と、このレンズ部に対応して、被写体からの入射光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子とがモジュール化されている。この従来のセンサモジュールにおいて、撮像素子に対する現状の遮光加工は、個片化されたセンサモジュールに対して実施される場合が殆どで、個片化されて出来上がったセンサモジュールに遮光ホルダを被せたり、センサモジュールの周辺や上部に遮光材を塗布したり、センサモジュールとして遮光ブロックを積み上げるなどの加工方法が挙げられる。これらの従来の遮光加工として、センサモジュールの周辺や上部に遮光材を塗布する場合については特許文献1に提案されており、遮光ブロックを積み上げる加工方法については特許文献2に提案されている。これらについて順次説明する。
【0003】
図7(a)〜図7(e)は、特許文献1の従来の半導体撮像素子の各製造工程を説明するための要部縦断面図である。
【0004】
図7(a)に示すように、半導体基板101の上面101aに、中央部の撮像領域102と、この撮像領域102に隣接する外周領域に周辺回路領域103が形成されている。この周辺回路領域103の更に外周側に複数の電極部104が配置されている。また、撮像領域102上には各受光部に入射光をそれぞれ各受光部に集光させるための複数のマイクロレンズ105が各画素毎に対応してそれぞれ設けられている。
【0005】
このとき、図7(b)に示すように、周辺回路領域103の更に外周側の各電極部104上にはそれぞれ、バンプ106がそれぞれ配置されている。このバンプ106は、例えば導電性ワイヤを用いてワイヤボンダーにより形成してもよい。また、このバンプ106の接続面は、バンプ106が形成された後に、レンズ部で構成される光学部材108の大きさよりも大きい開口部を持つ板状の金属板などでバンプ106の接続面を押えることにより、高さを揃え、かつバンプ106の接続面が導電性ワイヤと電気的に接続しやすいように平坦化されていてもよい。
【0006】
図7(c)に示すように、レンズ部で構成される光学部材108の側面領域に、遮光性を有する金属や樹脂材料を用いて形成された遮光膜109を予め有し、かつ少なくとも撮像領域102を覆う形状の光学部材108を同時に準備する。
【0007】
次に、図7(d)に示すように、各半導体素子107のマイクロレンズ105上およびその周辺の周辺回路領域103上を覆うように、紫外線硬化型の透明接着部材110を塗布する。この透明接着部材110は、例えば描画方式、印刷方式またはスタンピング方式などにより塗布することができる。
【0008】
さらに、図7(e)に示すように、透明接着部材110が塗布された撮像領域102に対して、レンズ部で構成される光学部材108の位置合せを行う。その後、光学部材108の上面と、撮像領域102の上面との平行度を維持しながら、光学部材108の上面から加圧する。つぎに、透明接着部材110が硬化する波長の紫外線を、矢印111に示すように光学部材108の上面側へ照射する。これによって、撮像領域102と光学部材108とが透明接着部材110で接着される。この結果、半導体素子107上に光学部材108が接着された半導体撮像素子100Aが得られる。
【0009】
上記のようにして製造された、半導体ウェハ状の複数の半導体撮像素子100Aの隣接の半導体素子107間をダイシングすれば、図7(e)に示すような半導体撮像素子100Aを得ることができる。これによって、光学部材108を透明接着部材110で半導体素子107のマイクロレンズ105上に直接に接着して薄型化が実現でき、透明接着部材110が周辺回路領域103上に流れても電極部104上にバンプ106が接続されて透明接着部材110の表面101aよりも高く形成されているので、導電性ワイヤの不着の可能性もなく高信頼性が実現できる。しかも、光学部材108の接着工程の前に電極部104にバンプ106を形成しておくだけでよいので量産性を妨げることなく、生産性も高い。
【0010】
その後、図8に示すように、透明接着部材110の露出領域110aおよび光学部材108の側面領域108aを含み、周辺回路領域103面上に電極部104およびバンプ106を開口するように形成された遮光部材112をさらに備えている。なお、この場合の遮光部材112の表面112aは、バンプ106の接続面106aよりも低くなるように遮光部材112が塗布されている。
【0011】
次に、従来のセンサモジュールにおける遮光加工として遮光ブロックを積み上げる加工方法を図9およびず10に示している。
【0012】
図9は、特許文献2の従来の複眼撮像装置の組立て時の状態を示す分解斜視図、図10は、図9の複眼撮像装置の光学レンズアレイを保持したホルダ部材と遮光ブロック部分の縦断面図である。
【0013】
図9および図10において、従来の複眼撮像装置200は、光軸Lが互いに平行である3行3列の9個の光学レンズ201が1枚の透明基板202の下面に片凸レンズとして一体的に形成された光学レンズアレイ203と、この光学レンズアレイ203を上下から挟込むようにして保持するホルダ部材204と、この光学レンズアレイ203の下方に配置され、各光学レンズ201によってそれぞれ形成される9個の像を撮像する受光素子アレイ205と、光学レンズアレイ203と受光素子アレイ205との間に配置され、各光学レンズ201から出射する光が互いに干渉しないように光学レンズアレイ203と受光素子アレイ205との間の空間を光軸Lに直交する面上において区画する遮光ブロック206と、この遮光ブロック206と受光素子アレイ205との間に配置され、受光素子アレイ205の周囲を額縁状に取囲んで受光素子アレイ205に遮光ブロック206が当たらないように設置するためのスペーサである枠部材207とを備えている。
【0014】
ホルダ部材204は、上板部材204aと、光学レンズアレイ203の縁部が嵌合される溝が形成された下枠部材204bとから構成されている。この上板部材204aは、光学レンズ201に対応する9箇所の位置に所定の大きさの絞り開口204cが形成されて光学レンズ201への不要な外光入射を遮断する絞り部材として構成されている。
【0015】
遮光ブロック206は、厚みが120μmの板金製単位プレートPaが6枚積層され、さらにその上に厚みが80μmの板金製単位プレートPbが2枚積層されて構成されている。つまり、厚みの異なった2種類の単位プレートPa、Pbが8枚積層されることによって、トータル880μmの厚みの遮光ブロック206が形成される。この遮光ブロック206の厚みに、受光素子アレイ205を囲む枠部材207と光学レンズアレイ203のホルダ部材204が寄与する厚み部分が加算された長さが光学レンズ201の光学長に等しくなるように構成されている。
【0016】
次に、さらに別の特許文献3として、参考として、受光レンズ上を除いた表面に形成する遮光膜の形成方法について説明する。
【0017】
図11は、特許文献3の従来の光機能モジュールの一つであるリモコン受光モジュールの要部縦断面図である。
【0018】
図11に示すように、まず、従来の光機能モジュールの一つであるリモコン受光モジュール300は、リードフレーム301、その上に赤外線受光素子302、その出力された信号を処理する処理回路303および、この処理回路303に必要なチップ部品を実装して接合されたものを樹脂304でモールドした構造となっており、その受光レンズ部分305を除いた樹脂304の平坦な部分に遮光膜306が形成されている。なお、受光レンズ部分305は樹脂304と同質の材料でモールドされる。
【0019】
リードフレーム301は、金属板材料から構成されており、主に、Fe,Ni,Cuのどれかまたはそれらの合金を主成分としており、その表面にはAgの膜をコーティングしている。その形状としては、その外部に出ている端子群307により、モールド全体を支える役目と、その端子赤外線受光素子302と処理回路303との電気的な接続を行うために、リードフレーム301はモールドされた内部で、いくつかの分離された部分から構成され、厚みとしては300μm以上となっている。
【0020】
赤外線受光素子302は、受光レンズ部分305と中心が同じ線上にくるように配置される。赤外線受光素子302の大きさとしては受光レンズ部分305の集光能力により、2mm角以下のものも使用できる。3mm角より極端に大きいと赤外線受光素子302の容量成分が大き過ぎて、処理回路303が良好に動作しなくなる虞が出てくる。受光レンズ部分305を通して赤外線受光素子302に入射する赤外線は、赤外線受光素子302で電流信号を発生させる。その発生した電流信号は、電気的に接続された処理回路303で信号処理される。この処理回路303では、入力された電流信号を電圧に変えて、増幅され、リモコン信号以外のノイズ信号成分をフィルターリングして、検波して整流する機能を持つ。
【0021】
樹脂304は、リードフレーム301上に実装された処理回路303、赤外線受光素子302を覆うようにモールドしており、これと同時に受光レンズ部分305を形成している。この樹脂304は、約800nm以下の光を急激に減衰させる可視光をカットする機能を持つが、波長約800nm以下の光が完全に透過しないわけではなく、強い光では、ある程度の光学的ノイズが発生する。そのため、この場合は、赤外線受光素子302から受光レンズ部分305の凸部分を除いた平坦な部分までは、500μm以上の値としている。その材料としては、例えばエポキシ系の材料であり、赤外光波長820nm程度から赤外光に対して透過率を持つ可視光カット材を用いるとき、950nmの波長域では95%以上の透過率を達成することができる。
【0022】
受光レンズ部分305は、リモコン送信機から発信される赤外光を集光させるためのレンズであり、例えば、半球状またはそれに近い形状であり、受光レンズ部分305から入射した赤外光を赤外線受光素子302上に集光している。受光レンズ部分305に入射する赤外光はレンズの効果により、その受光レンズ部分305の入射する赤外光に垂直方向に占める面積と材料から求められる波長毎の屈折率、透過率、赤外線受光素子302の受光面積から、実効的な集光率が求められる。ここでは、950nm付近で空気に対する屈折率、透過率、赤外線受光素子302の面積と受光レンズ部分305の面積を適切に設定することで、倍率3〜4程度の実効的な集光率が実現できる。
【0023】
遮光膜306は、赤外光が入射する面の受光レンズ部分305の部分を除いた表面に形成される。材質的には、例えば、黒色のエポキシ系樹脂を使うことができる。他には、ABSやPP、PCなども使用可能である。または、ラッカー系やエナメル系の塗料なども使うことができるが、アクリル系などの水溶性塗料の場合では、特に、モールド樹脂の表面を親水系に変える処理をしないと斑状になる可能性が高い。数μmオーダーでは塗料によっては膜とはならず、斑点状になってしまい、光の散乱効果はあっても、減衰させるまでには至らない可能性がある。
【0024】
このように、受光レンズ部分305上を除いた表面に遮光膜306を形成する場合、受光レンズ部分305上をマスクで覆い、受光レンズ部分305上を除いた表面に遮光膜306を形成し、その後、マスクを除去している。
【特許文献1】特開2008−92417号公報
【特許文献2】特開2007−180653号公報
【特許文献3】特開2002−246613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
前述したように、特許文献1では、センサチップの撮像領域102上に、側面に遮光膜109として遮光材料がコーティングされた光学素子としてのレンズやリッドガラスなどの光学部材108を配置し、その後、光学部材108の周囲にも遮光部材112を塗布している。また、特許文献2では、光学レンズアレイ203と受光素子アレイ205との間に、その周囲を遮光するための遮光ブロック206を積み上げて遮光構造を形成している。なお、特許文献3は、レンズ以外の部分に遮光膜を形成する方法の一例について開示されているだけである。
【0026】
上記従来の遮光構成では、特許文献1のように遮光加工工程が二つに分けられて生産効率が悪く、また、特許文献2のように、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要としている。しかも、これらの遮光処理は、個片処理で一個一個行っているために生産効率が非常に悪い。
【0027】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、従来のように、遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置してウェハ状態で一括で必要箇所を切断して個片化することにより遮光構造を容易かつ素早く得ることができて生産効率の高い電子素子ウエハモジュールおよびその製造方法、この電子素子ウエハモジュールから個片化された電子素子モジュールおよびその製造方法、この電子素子モジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器や、この電子素子モジュールを情報記録再生部に用いた電子情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の電子素子ウエハモジュールは、ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板が配置され、該透明支持基板上にウェハ状の複数の光学素子が配置された電子素子ウエハモジュールであって、互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して、該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝が形成されており、遮光材料が、該溝内の側面および底面に塗布されているかまたは該溝内に充填されていると共に、該光学素子の表面中央の光開口部以外の表面周辺部に塗布されているかまたは形成されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0029】
本発明の電子素子ウエハモジュールは、ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板が配置され、該透明支持基板上にウェハ状の複数の光学素子が配置された電子素子ウエハモジュールであって、互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して、該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝が形成されており、遮光材料が、該溝内の側面および底面に塗布されているかまたは該溝内に充填され、遮光シートまたは遮光板が該光学素子の表面に設けられ、該遮光シートまたは遮光板には、該光学素子の表面中央の光開口部に対応する位置に穴がそれぞれ形成されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0030】
また、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける複数の電子素子は、貫通電極を有する電子素子ウエハに配設され、該電子素子ウエハ上の電子素子領域以外の所定領域に樹脂接着層が形成され、前記透明支持基板は該電子素子ウエハ上を覆い、該樹脂接着層上に固定されており、前記複数の光学素子は、該複数の電子素子のそれぞれに対向するように該透明支持基板上に接着固定されて一体化されている。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおけるダイシングラインは、前記光学素子の機能を損なわない光学機能領域の周辺部分でかつ前記電子素子の領域に接触しない部分に設定されている。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける溝は、平面視で前記光学素子の光学機能領域および前記電子素子の周囲を取り囲むように格子状に形成されている。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光材料は、導電性機能を有している。
【0034】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光材料は、遮光/電磁シールド樹脂材料である。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光材料は、カーボンを含んだ樹脂材料で構成されている。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける光学素子は、平面視中央部の光学機能領域の外周側で接着層をそれぞれ介して複数枚積層されている。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける光学素子は、前記中央部の光学機能領域としてレンズ領域が設けられ、該レンズ領域の外周側に所定厚さを持つスペーサ部が重ね合わせ部として設けられている。
【0038】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおけるレンズ領域のレンズは、集光レンズを含む。
【0039】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける溝は、前記光学素子から前記透明支持基板を貫通して前記樹脂接着層内に至る電子素子ウエハの表面までの深さを有している。
【0040】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光材料は、前記樹脂接着層内にも形成されている。
【0041】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける溝は、ダイシングブレードまたはワイヤソーにより加工されている。
【0042】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける溝の幅は、100〜300マイクロメートルである。
【0043】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光シートまたは遮光板は、樹脂基材上にカーボン膜がコーティングされている。
【0044】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける電子素子は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子である。
【0045】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける電子素子は、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子を有している。
【0046】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける光学素子は、前記発光素子からの出射光を直進させて出射させると共に、入射光を曲げて前記受光素子に入射させる光学機能素子である。
【0047】
本発明の電子素子モジュールは、電子素子ウエハモジュールから、切断側面に前記遮光材料を残して遮光膜とするように、一または複数個毎に切断されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0048】
また、好ましくは、本発明の電子素子モジュールにおける遮光膜の膜厚は、100マイクロメートル±20マイクロメートルである。
【0049】
本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法は、ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板を配置し、該透明支持基板上にウェハ状の光学素子を配置する電子素子ウエハモジュールの製造方法であって、互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝を形成する溝形成工程と、遮光材料を、該溝内の側面および底面に塗布するかまたは該溝内に充填すると共に、該該光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に塗布するかまたは形成する遮光材料塗布工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0050】
本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法は、ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板を配置し、該透明支持基板上にウェハ状の光学素子を配置する電子素子ウエハモジュールの製造方法であって、該光学素子の表面中央の光開口部に対応する位置に穴が形成された遮光シートまたは遮光板を、該穴を該光開口部に一致させて該光学素子の表面に接着する遮光シートまたは遮光板接着工程と、互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該遮光シートまたは遮光板、さらに該光学素子から該透明支持基板を貫通して該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝を形成する溝形成工程と、遮光材料を、該溝内の側面および底面に塗布するかまたは該溝内に充填する遮光材料塗布工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0051】
また、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法において、前記光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に前記遮光材料を形成する遮光材料形成工程は、該光学素子の光学機能領域上をマスクで覆うマスク形成工程と、該マスク上および該光学素子の表面に該遮光材料を塗布する遮光材料全面塗布工程と、該マスクと共に該マスク上の遮光材料を除去するマスク除去工程とを有する。
【0052】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法において、前記光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に前記遮光材料を形成する遮光材料形成工程は、該光学素子の光学機能領域上を、熱で硬化したり発砲したりして粘着性を失う樹脂材料で覆う樹脂材料形成工程と、該樹脂材料上および該光学素子の表面に該遮光材料を塗布する遮光材料全面塗布工程と、熱処理により該樹脂材料と共に該樹脂材料上の遮光材料を除去する樹脂材料除去工程とを有する。
【0053】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法において、前記光学素子の表面中央の光学機能領域以外の周辺部分に前記遮光材料を塗布する遮光材料塗布工程は、ディスペンサによりノズルを順次一方向に走査して遮光材料を該ノズルから吐出すると共に、該光学機能領域は該遮光材料の該ノズルからの吐出を停止する遮光材料吐出工程を有する。
【0054】
本発明の電子素子モジュールの製造方法は、本発明の上記電子素子ウエハモジュールの製造方法における遮光材料塗布工程の後に、一または複数個の電子素子毎に、前記溝の幅広の幅方向中央部に沿って幅狭の幅寸法で切断することにより、切断側面に前記遮光材料を遮光膜として残すように個片化する個片化工程を更に有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0055】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記電子素子ウエハモジュールから切断された電子素子モジュールをセンサモジュールとして撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0056】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記電子素子ウエハモジュールから切断された電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0057】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0058】
本発明においては、複数の電子素子モジュールが形成された電子素子ウエハモジュールを幅広に、ダイシングラインに沿って光学素子および透明支持基板を切断して溝を形成した後に、その切断した幅広の溝を含む光学素子の光開口部以外の表面領域に遮光材料を塗布し、その後、光学素子および透明支持基板を、幅広の溝内の側面に遮光材料を残すように、溝の幅方向中心部に沿って幅狭に切断して個片化することにより、レンズ領域などの光学機能領域およびその下の電子素子を囲む遮光構造を形成している。
【0059】
これによって、センサモジュールやレンズなどの生産効率の向上および生産コストの引き下げを目的として、電子素子、透明支持基板および光学素子が一体化したウェハレベルでの一括加工を行うことができ、遮光についてもウェハレベルでの加工を一括して行うことができる。したがって、従来のように遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置して一括で必要箇所を切断することにより遮光構造を容易かつ素早く得ることができて、遮光加工を個片処理で一個一個行う場合に比べて生産効率を大幅に向上させることができる。
【0060】
遮光材料が導電性機能を有していたり、遮光材料が遮光/電磁シールド樹脂材料であると、磁界が強い場所においても、撮像画像に悪影響がでない。
【発明の効果】
【0061】
以上により、本発明によれば、ダイシングラインに沿って形成した溝内にも遮光材料を塗布し、この溝内の側面に遮光材料を残すように切断して個片化するため、遮光についてもウェハレベルでの加工を行うことができて、従来のように遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置して一括で必要箇所を切断することにより遮光構造を容易かつ素早く得ることができて生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下に、本発明の電子素子ウエハモジュールおよびその製造方法、さらに、これを個片化した電子素子モジュールおよびその製造方法の実施形態1として、本発明を、センサウエハモジュールおよびその製造方法、さらに、これを個片化したセンサモジュールおよびその製造方法に適用した場合および、このセンサモジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置やテレビジョン電話装置などの電子情報機器の実施形態2について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0063】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るセンサウエハモジュールの構成例を示す要部縦断面図であって、(a)は、遮光材料がダイシング溝内に充填されている場合の要部縦断面図、(b)は、遮光材料がダイシング溝内の側面および底面に塗布されている場合の要部縦断面図である。
【0064】
図1(a)および図1(b)において、本実施形態1の電子素子ウエハモジュールとしてのセンサウエハモジュール1は、ウエハ表面に、複数の画素に対応した各光電変換部(フォトダイオード)である複数の受光部からなる撮像素子2(センサチップ)が電子素子として設けられ、撮像素子2(センサチップ)毎に貫通孔(図示せず)が表面と裏面間に設けられて導通した電子素子ウエハとしての貫通ウエハ3と、この貫通ウエハ3の撮像素子2の周囲上に形成された樹脂接着層4と、この樹脂接着層4上を覆う透明支持基板としてのカバーガラスであるガラス板5と、このガラス板5上に設けられ、撮像素子2に入射光を集光させるための光学素子としての複数のレンズ板が積層されたウェハ状光学部品6と、最上位置のレンズ板の中央部を円形の光開口部6a(光取入口)として開口すると共に、それ以外の表面部分および、各レンズ板およびガラス板5の側面部分を遮光する遮光部材7a(遮光用材料)とを有しており、貫通ウエハ3上に、ガラス板5およびウェハ状光学部品6がこの順に互いにアライメント(位置合わせ)をとって樹脂接着層4などにより上下に貼り合わされている。
【0065】
貫通ウエハ3は、各表面側には、複数の撮像素子2(撮像素子毎に複数の画素を構成する複数の受光部が設けられている)がマトリクス状に多数配列されており、その撮像素子2毎に裏面から表面のパッド(電極パッド)下に貫通する複数の貫通穴が明けられている。この貫通穴の側壁と裏面側は絶縁膜で覆われており、パッドにコンタクトを持つ配線層31が貫通穴を介して裏面まで形成されている。この配線層31上および裏面には絶縁膜としてソルダーレジスト32が形成され、この配線層31上に半田ボール33が形成される部分はソルダーレジスト32が窓明けされて半田ボール33が外部に露出して形成されている。
【0066】
このセンサウエハモジュール1または1Aの裏面側から格子状のダイシングラインDL(スクライブライン)に沿ってシリコンウェハだけを切断し、さらに、ウェハ状光学部品6が配置されている表面側から、ウェハ状光学部品6およびガラス板5、さらには樹脂接着層4の一部または全部を切断するべく、シリコンウェハを切断した刃具(またはワイヤ)より厚さが厚い刃具(または直径の大きいワイヤ)により、ダイシングラインDLに沿って貫通ウエハ3の直上まで、例えば貫通ウエハ3の表面に至る深さかまたは貫通ウエハ3の表面の手前の深さでウェハ状光学部品6およびガラス板5を切断してスクライブ溝8を形成する。なお、厚い刃具(または直径の大きいワイヤ)によるスクライブ溝8の形成前に、個片化されたチップ毎にバラバラにならないように固定テープによりその裏面側が貼り付けられている。続いて、このスクライブ溝8内に遮光用樹脂材料(遮光材料)を充填する(図1(a)の場合)と共に、光学部品表面のレンズ中央部分(光開口部6a)を除いた表面側にも遮光用樹脂を塗布して、これを固化した後に、この遮光用樹脂を充填したスクライブ溝8の中央部をスクライブ溝8の幅より幅が小さい薄い刃具(または直径の小さいワイヤ)で貫通ウエハ3の直上まで切断することにより、一括して遮光部材7aを二つに切断して遮光膜7とすることができる。なお、図1(b)の場合は、遮光部材7aが遮光膜7としてダイシング溝8内の側面および底面に塗布されているため、前述したように幅が小さい薄い刃具(または直径の小さいワイヤ)で貫通ウエハ3の直上まで切断する必要がなくなる。
【0067】
即ち、互いに隣接する撮像素子2(センサチップ)間のダイシングラインDLに沿って、ウェハ状光学部品6からガラス板5を超えて貫通ウエハ3のウェハ表面に至るかまたはそのウェハ表面の手前の樹脂接着層4の範囲内の深さの幅広のダイシング溝8が形成されており、遮光部材7a(ここでは遮光用樹脂材料)が、ダイシング溝8内に充填されている(図1(a)の場合)と共に、撮像素子2の表面中央の光開口部6a以外の表面周辺部分に塗布されている。なお、遮光部材7a(ここでは遮光用樹脂材料)は、遮光膜7として、図1(b)に示すようにスクライブ溝8内の側面および底面上に塗布されていればよい。また、このダイシング溝8の溝幅は、100〜300μm程度の範囲である。
【0068】
このウェハ状光学部品6としてのレンズスタック(ここでは、2枚のレンズが重ね合わされたレンズモジュール)は、平面視中央部の光学機能領域(レンズ領域)の外周側で接着層をそれぞれ介して複数枚(ここでは2枚)が積層されている。このレンズ領域の外周側に所定厚さを持つ重ね合わせ部としてのスペーサ部(図示せず)が設けられている。このレンズ領域のレンズとしては集光レンズを含んでいる。
【0069】
スクライブ溝8は、平面視でウェハ状光学部品6の光学機能領域(レンズ領域)および撮像素子2の撮像領域(複数の受光部)の周囲を取り囲む格子状のダイシングラインDLに沿って格子状に形成されている。このスクライブ溝8の上から塗布される遮光部材7a(遮光用樹脂材料)は導電性機能を有する材料であって、例えばカーボンを含んだ樹脂材料であってもよい。また、この他に、遮光部材7a(遮光用樹脂材料)としては金属材料であってもよい。
【0070】
このようにして、このセンサウエハモジュール1または1Aから、切断側面に遮光用樹脂材料(遮光材料)を残して遮光膜7とするように、貫通ウエハ3の一個(または複数個)毎に切断された後に、固定テープが外されて、図2に示されるセンサモジュール11のように個片化される。
【0071】
ここで、上記構成のセンサウエハモジュール1または1Aを製造するセンサウエハモジュールの製造方法、さらに、センサウエハモジュール1または1Aを個片化してセンサモジュール11を製造する場合について説明する。
【0072】
図3は、図1のセンサウエハモジュール1または1Aの製造方法を説明するための各製造工程の流れを示す製造工程図である。図4(a)〜図4(d)および図5(a)〜図5(c)はそれぞれ、図1のセンサウエハモジュール1または1Aの製造方法を説明するための各製造工程を示す要部縦断面図である。
【0073】
まず、予め、ガラス基板の表面に赤外線カット膜(IRコート)を形成して洗浄したものを、ガラス板5として準備する。図3および図4(a)のウエハ/ガラス基板貼り合わせ工程S1に示すように、貫通ウエハ3の各撮像素子2の周囲上に樹脂接着層4を配置し、複数の撮像素子2がマトリクス状に配設された電子素子ウエハとしての貫通ウエハ3とガラス板5とを樹脂接着層4により接着する。
【0074】
次に、図3および図4(b)のTSV工程S2に示すように、その撮像素子2毎に裏面から表面のパッド(電極パッド)下に貫通する複数の貫通穴(図示せず)を形成する。この貫通穴の側壁と裏面側に絶縁膜(図示せず)を形成し、パッド(図示せず)にコンタクトを持つ回路パターンを形成する配線層31を貫通穴を介して裏面まで形成する。この配線層31上および裏面には絶縁膜としてソルダーレジスト32を形成し、このソルダーレジスト32が窓明けされて配線層31上に半田ボール33を形成する。これらの配線層31、ソルダーレジスト32および半田ボール33は、貫通ウエハ3の各撮像素子2毎に形成される。
【0075】
続いて、図3および図4(c)のシリコンウエハダイシング工程S3に示すように、ガラス板5側をテープで固定し、TSV加工工程でTSV加工済みのシリコンウェハのみをスクライブラインSLに沿って切断する。
【0076】
その後、図3および図4(d)のレンズスタック・ウエハ/ガラス基板貼り合わせ工程S4に示すように、ウェハ状光学部品6としてのレンズスタック(レンズモジュール)の各レンズ位置が、貫通ウエハ3の各撮像素子2にそれぞれ対応するようにアライメントが取られて、ガラス板5上にレンズスタック(集光レンズを含む2枚のレンズ板が積層されて上下に設けられている)が貼り合わされる。
【0077】
次に、図3および図5(a)の幅広切断工程S5に示すように、前述したシリコンウェハ切断後、シリコンウェハである貫通ウエハ3側に固定テープを貼付けて貫通ウエハ3を固定し、貫通ウエハ3のダイシングラインDLに沿って切断幅が大きく刃が厚い刃具(ダイシングブレード)または、ワイヤ径が約300μm程度のワイヤーソで、シリコンウェハの表面直上までレンズスタックおよびガラス板5を切断(樹脂接着層4の厚さ範囲内で切断)してクライブ溝8を形成する。スクライブ溝8の深さ方向は、シリコンウェハ側に接触しないようにしている。
【0078】
続いて、図3および図5(b)の遮光樹脂塗布工程S6に示すように、ウエハ状に製作されたセンサウエハモジュール1または1Aから個片化する前に、レンズスタックおよびガラス板5を貫通するように作製したスクライブ溝8内に遮光部材7a(遮光用樹脂材料、特に遮光/電磁シールド樹脂材料)を充填する(図1(a)の場合)。この遮光/電磁シールド樹脂材料は導電性機能を有している。即ち、レンズスタックおよびガラス板5に形成されたスクライブ溝8および、レンズスタック表面のレンズ機能領域(光開口部6a)以外の周辺部に遮光部材7aとして遮光/電磁シールド樹脂材料を塗布し、遮光/電磁シールド樹脂材料を熱またはUV光で硬化する。このとき、レンズスタック表面はレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いて遮光/電磁シールド樹脂材料を塗布するかまたは、全面(マスクを用いて光開口部6aを除く)に塗布する。
【0079】
レンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いて遮光/電磁シールド樹脂材料である遮光部材7aを塗布する場合、ディスペンサによりレンズ部分(光開口部6aに対応)の外周形状、例えば円形状に描くようにノズルを順次左右に走査して遮光部材7aの遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)をノズルから吐出する。これにより、レンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)だけは遮光部材7aの遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)を塗布しないようにすることができる。ディスペンサにより遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)をノズルから吐出する場合、ノズルを左右方向に順次走査し、レンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)にノズルがくると、ノズルからの遮光用樹脂材料の吐出を停止するようにして、遮光用樹脂材料をレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)以外の表面部分に塗布する。
【0080】
また、スクライブ溝8内に遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)を充填させる場合は、別途、ディスペンサによりノズルを格子状に走査して、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)をスクライブ溝8内に充填させる。その後、露光などにより不必要な部分の樹脂を除去する。
【0081】
なお、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)のスクライブ溝8内への充填は、スクライブ溝8内において、ウェハ状光学部品6としてのレンズスタック(レンズモジュール)からガラス板5まで遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)が確実に充填される必要があるが、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)が貫通ウエハ3の表面真上の樹脂接着層4まで充填されるかどうかはいずれでもよいが、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)が貫通ウエハ3の表面真上の樹脂接着層4まで充填される方が、樹脂接着層4の厚み方向の遮光をも含めて有効である。
【0082】
さらに、図3および図5(c)の幅狭切断工程S7に示すように、スクライブ溝8内に充填した遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)を硬化した後に、スクライブ溝8内の遮光用樹脂幅よりも小さい約100μmの切断幅でこの遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)を切断する。即ち、格子状のダイシングラインDLに沿って塗布された遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)の中央部分(幅方向中央部)をワイヤ径の小さい約100μm程度のワイヤソーまたは刃具(例えばダイシングブレード)で切断して、センサモジュール周辺の遮光/電磁シールドの加工を一括して、この切断と同時に行う。この場合、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)からなる遮光膜7としては、その厚さが約100μm程度の膜厚となる。約100μm程度の厚さの遮光膜7の遮光性については、80μm程度の厚さで99.6パーセント程度の遮光性が得られることが分かっているため、約100μm程度の膜厚があれば遮光膜7としては問題ない。なお、ワイヤの太さに対する切断誤差は5、6μm程度である。このようにして、充填された遮光/電磁シールド樹脂を幅法中央部から分断し夫々のセンサウエハモジュール1に均等に装着できるようにする。遮光/電磁シールド樹脂を充填するスクライブ溝8は、ダイシングラインDLに沿って光学性能(遮光性能)を損なわない範囲の幅(ここでは約300μm程度)で、このスクライブ溝8の幅を、できるだけ広くしておく。よって、遮光膜7の膜厚は、100マイクロメートル±20マイクロメートルであれば、遮光性において問題ない。
【0083】
なお、図1(b)の場合のように、遮光部材7aが遮光膜7としてダイシング溝8内の側面および底面に塗布すると、前述したように幅が小さい薄い刃具(または直径の小さいワイヤ)で貫通ウエハ3の直上まで切断する必要がなくなる。
【0084】
さらに、図3および図2の個片化工程に示すように、シリコンウェハ側の固定テープを外せば、ウエハ状に製作されたセンサウエハモジュール1または1Aから、多数のセンサモジュール11が個片化される。
【0085】
以上により、本実施形態1によれば、複数のセンサモジュール11が形成された電子素子ウエハモジュール1を幅広に、ダイシングラインDLに沿ってウェハ状光学部品6およびガラス基板5を切断してダイシング溝8を形成した後に、その切断した幅広のダイシング溝8を含むウェハ状光学部品6の中央部における光開口部6a以外の表面領域に遮光膜7の遮光材料を塗布し、その後、幅広のダイシング溝8内の側面に遮光材料を残すように、幅広のダイシング溝8の幅方向中心に沿ってウェハ状光学部品6およびガラス基板5を、幅狭に切断してセンサモジュール11として個片化することにより、レンズ領域などの光学機能領域およびその下の撮像素子2を囲む遮光構造を形成している。
【0086】
このように、ダイシングラインDLに沿って形成した幅広のスクライブ溝8内に遮光材料を塗布し、このスクライブ溝8内の側面に遮光材料を残すように切断して個片化するため、遮光についてもウェハレベルでの加工を行うことができて、従来のように遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置して一括で切断して遮光構造を容易かつ素早く得ることができて生産効率を大幅に向上させることができる。即ち、ウェハ状態で、遮光膜7となる遮光材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)の塗布を一括して行うことができることで、処理速度が大幅に向上し、製品の低コスト化が可能となっている。
【0087】
なお、本実施形態1では、レンズスタック表面はレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いて遮光/電磁シールド樹脂材料を塗布するかまたは、遮光/電磁シールド樹脂材料を全面に塗布している。このように、遮光/電磁シールド樹脂材料を全面に塗布する場合には、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)上をマスクで覆い、そのマスク上およびレンズスタック表面に遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料を形成し、その後、マスクを除去して、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いた表面に遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料を形成している。これに限らず、マスクを用いずに、熱で硬化したり発砲したりして粘着性を失う樹脂材料を用いて下地層とし、その上に、遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料を形成してもよい。要するに、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)に、熱などで粘着性を失う樹脂材料を下地層として形成し、その上を含むレンズスタック表面に全面に、遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料をべた塗りし、これに熱をかけると、その下地層およびその上の遮光/電磁シールド樹脂材料だけが容易に剥がれ落ちる。これによっても、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いた表面に遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料を形成することができる。
【0088】
また、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)だけ、穴の開いた遮光シートまたは遮光板をレンズスタック表面に接着してもよい。この遮光シートまたは遮光板は、レンズスタックを作製するときに接着してもよく、前述した図4(d)のレンズスタック・ウエハ/ガラス基板貼り合わせ工程S4の後に、図4(d)の破線Aに示すように、レンズスタック表面に遮光シートまたは遮光板9を接着するようにしてもよい。遮光シートまたは遮光板9は、ポリエチレン基材上にカーボン膜をコーティングして遮光性を持たせている。遮光シートまたは遮光板9の光開口部6aに対応した穴の入り口は、C加工されて角が取られている。なお、言うまでもないが、図4(d)の場合には、遮光シートまたは遮光板9は設けられていない。
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1のセンサモジュールを含む固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0089】
図6において、本実施形態2の電子情報機器90は、上記実施形態1のセンサモジュール11からの撮像信号を各種信号処理してカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示手段93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信手段94と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を印刷用に所定の信号処理をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力手段95とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示手段93と、通信手段94と、プリンタなどの画像出力手段95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
【0090】
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
【0091】
したがって、本実施形態2によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力装置95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
【0092】
なお、上記実施形態2の電子情報機器90に限らず、本発明の電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器であってもよい。この場合のピックアップ装置の光学素子としては、出射光を直進させて出射させると共に、入射光を曲げて所定方向に入射させる光学機能素子である。また、ピックアップ装置の電子素子としては、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子を有している。
【0093】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1,2を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1,2に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1,2の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、入射光を集光する複数のレンズまたは、出射光を直進させたり入射光を所定方向に曲げて導いたりする複数の光学機能素子と、各レンズにそれぞれ対応して、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子または、各光学機能素子にそれぞれ対応して、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子とが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールおよびその製造方法、この電子素子ウエハモジュールから一括切断されて製造される電子素子モジュールおよびその製造方法、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子と、入射光を撮像素子上に結像するためのレンズとが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールとしてのセンサウエハモジュールから一括切断して個片化した電子素子モジュールとしてのセンサモジュールを、車載用カメラなどの画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、車載用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)または、この電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器の分野において、ダイシングラインに沿って形成した溝内にも遮光材料を塗布し、この溝内の側面に遮光材料を残すように切断して個片化するため、遮光についてもウェハレベルでの加工を行うことができて、従来のように遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置して一括で必要箇所を切断することにより遮光構造を容易かつ素早く得ることができて生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態1に係るセンサウエハモジュールの構成例を示す要部縦断面図であって、(a)は、遮光材料がダイシング溝内に充填されている場合の要部縦断面図、(b)は、遮光材料がダイシング溝内の側面および底面に塗布されている場合の要部縦断面図である。
【図2】図1のセンサウエハモジュールから個片化されたセンサモジュールの要部構成例を示す縦断面図である。
【図3】図1のセンサウエハモジュールの製造方法を説明するための各製造工程の流れを示す製造工程図である。
【図4】(a)〜(d)はそれぞれ、図1のセンサウエハモジュールの製造方法を説明するための各製造工程(その1)を示す要部縦断面図である。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ、図1のセンサウエハモジュールの製造方法を説明するための各製造工程(その2)を示す要部縦断面図である。
【図6】本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1のセンサモジュールを含む固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図7】(a)〜(e)は、特許文献1の従来の半導体撮像素子の各製造工程を説明するための要部縦断面図である。
【図8】図7(e)の次に続く遮光部材形成工程を説明するための要部縦断面図である。
【図9】特許文献2の従来の複眼撮像装置の組立て時の状態を示す分解斜視図である。
【図10】図9の複眼撮像装置の光学レンズアレイを保持したホルダ部材と遮光ブロック部分の縦断面図である。
【図11】特許文献3の従来の光機能モジュールの一つであるリモコン受光モジュールの要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1、1A センサウエハモジュール
2 撮像素子(電子素子)
3 貫通ウエハ(電子素子ウエハ)
31 配線層
32 ソルダーレジスト
33 半田ボール
4 樹脂接着層
5 ガラス板
6 ウェハ状光学部品(光学素子)
6a 光開口部
7a 遮光部材(遮光用材料)
7 遮光膜
8 スクライブ溝
9 遮光シートまたは遮光板
11 センサモジュール
DL ダイシングライン
90 電子情報機器
91 固体撮像装置
92 メモリ部
93 表示手段
94 通信手段
95 画像出力手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を集光する複数のレンズまたは、出射光を直進させたり入射光を所定方向に曲げて導いたりする複数の光学機能素子と、各レンズにそれぞれ対応して、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子または、各光学機能素子にそれぞれ対応して、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子とが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールおよびその製造方法、この電子素子ウエハモジュールから一括切断されて製造される電子素子モジュールおよびその製造方法、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子と、入射光を撮像素子上に結像するためのレンズとが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールとしてのセンサウエハモジュールから一括切断して個片化した電子素子モジュールとしてのセンサモジュールを、車載用カメラなどの画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、車載用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)または、この電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の電子素子モジュールとしてのセンサモジュールは、入射光を集光するレンズ部と、このレンズ部に対応して、被写体からの入射光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子とがモジュール化されている。この従来のセンサモジュールにおいて、撮像素子に対する現状の遮光加工は、個片化されたセンサモジュールに対して実施される場合が殆どで、個片化されて出来上がったセンサモジュールに遮光ホルダを被せたり、センサモジュールの周辺や上部に遮光材を塗布したり、センサモジュールとして遮光ブロックを積み上げるなどの加工方法が挙げられる。これらの従来の遮光加工として、センサモジュールの周辺や上部に遮光材を塗布する場合については特許文献1に提案されており、遮光ブロックを積み上げる加工方法については特許文献2に提案されている。これらについて順次説明する。
【0003】
図7(a)〜図7(e)は、特許文献1の従来の半導体撮像素子の各製造工程を説明するための要部縦断面図である。
【0004】
図7(a)に示すように、半導体基板101の上面101aに、中央部の撮像領域102と、この撮像領域102に隣接する外周領域に周辺回路領域103が形成されている。この周辺回路領域103の更に外周側に複数の電極部104が配置されている。また、撮像領域102上には各受光部に入射光をそれぞれ各受光部に集光させるための複数のマイクロレンズ105が各画素毎に対応してそれぞれ設けられている。
【0005】
このとき、図7(b)に示すように、周辺回路領域103の更に外周側の各電極部104上にはそれぞれ、バンプ106がそれぞれ配置されている。このバンプ106は、例えば導電性ワイヤを用いてワイヤボンダーにより形成してもよい。また、このバンプ106の接続面は、バンプ106が形成された後に、レンズ部で構成される光学部材108の大きさよりも大きい開口部を持つ板状の金属板などでバンプ106の接続面を押えることにより、高さを揃え、かつバンプ106の接続面が導電性ワイヤと電気的に接続しやすいように平坦化されていてもよい。
【0006】
図7(c)に示すように、レンズ部で構成される光学部材108の側面領域に、遮光性を有する金属や樹脂材料を用いて形成された遮光膜109を予め有し、かつ少なくとも撮像領域102を覆う形状の光学部材108を同時に準備する。
【0007】
次に、図7(d)に示すように、各半導体素子107のマイクロレンズ105上およびその周辺の周辺回路領域103上を覆うように、紫外線硬化型の透明接着部材110を塗布する。この透明接着部材110は、例えば描画方式、印刷方式またはスタンピング方式などにより塗布することができる。
【0008】
さらに、図7(e)に示すように、透明接着部材110が塗布された撮像領域102に対して、レンズ部で構成される光学部材108の位置合せを行う。その後、光学部材108の上面と、撮像領域102の上面との平行度を維持しながら、光学部材108の上面から加圧する。つぎに、透明接着部材110が硬化する波長の紫外線を、矢印111に示すように光学部材108の上面側へ照射する。これによって、撮像領域102と光学部材108とが透明接着部材110で接着される。この結果、半導体素子107上に光学部材108が接着された半導体撮像素子100Aが得られる。
【0009】
上記のようにして製造された、半導体ウェハ状の複数の半導体撮像素子100Aの隣接の半導体素子107間をダイシングすれば、図7(e)に示すような半導体撮像素子100Aを得ることができる。これによって、光学部材108を透明接着部材110で半導体素子107のマイクロレンズ105上に直接に接着して薄型化が実現でき、透明接着部材110が周辺回路領域103上に流れても電極部104上にバンプ106が接続されて透明接着部材110の表面101aよりも高く形成されているので、導電性ワイヤの不着の可能性もなく高信頼性が実現できる。しかも、光学部材108の接着工程の前に電極部104にバンプ106を形成しておくだけでよいので量産性を妨げることなく、生産性も高い。
【0010】
その後、図8に示すように、透明接着部材110の露出領域110aおよび光学部材108の側面領域108aを含み、周辺回路領域103面上に電極部104およびバンプ106を開口するように形成された遮光部材112をさらに備えている。なお、この場合の遮光部材112の表面112aは、バンプ106の接続面106aよりも低くなるように遮光部材112が塗布されている。
【0011】
次に、従来のセンサモジュールにおける遮光加工として遮光ブロックを積み上げる加工方法を図9およびず10に示している。
【0012】
図9は、特許文献2の従来の複眼撮像装置の組立て時の状態を示す分解斜視図、図10は、図9の複眼撮像装置の光学レンズアレイを保持したホルダ部材と遮光ブロック部分の縦断面図である。
【0013】
図9および図10において、従来の複眼撮像装置200は、光軸Lが互いに平行である3行3列の9個の光学レンズ201が1枚の透明基板202の下面に片凸レンズとして一体的に形成された光学レンズアレイ203と、この光学レンズアレイ203を上下から挟込むようにして保持するホルダ部材204と、この光学レンズアレイ203の下方に配置され、各光学レンズ201によってそれぞれ形成される9個の像を撮像する受光素子アレイ205と、光学レンズアレイ203と受光素子アレイ205との間に配置され、各光学レンズ201から出射する光が互いに干渉しないように光学レンズアレイ203と受光素子アレイ205との間の空間を光軸Lに直交する面上において区画する遮光ブロック206と、この遮光ブロック206と受光素子アレイ205との間に配置され、受光素子アレイ205の周囲を額縁状に取囲んで受光素子アレイ205に遮光ブロック206が当たらないように設置するためのスペーサである枠部材207とを備えている。
【0014】
ホルダ部材204は、上板部材204aと、光学レンズアレイ203の縁部が嵌合される溝が形成された下枠部材204bとから構成されている。この上板部材204aは、光学レンズ201に対応する9箇所の位置に所定の大きさの絞り開口204cが形成されて光学レンズ201への不要な外光入射を遮断する絞り部材として構成されている。
【0015】
遮光ブロック206は、厚みが120μmの板金製単位プレートPaが6枚積層され、さらにその上に厚みが80μmの板金製単位プレートPbが2枚積層されて構成されている。つまり、厚みの異なった2種類の単位プレートPa、Pbが8枚積層されることによって、トータル880μmの厚みの遮光ブロック206が形成される。この遮光ブロック206の厚みに、受光素子アレイ205を囲む枠部材207と光学レンズアレイ203のホルダ部材204が寄与する厚み部分が加算された長さが光学レンズ201の光学長に等しくなるように構成されている。
【0016】
次に、さらに別の特許文献3として、参考として、受光レンズ上を除いた表面に形成する遮光膜の形成方法について説明する。
【0017】
図11は、特許文献3の従来の光機能モジュールの一つであるリモコン受光モジュールの要部縦断面図である。
【0018】
図11に示すように、まず、従来の光機能モジュールの一つであるリモコン受光モジュール300は、リードフレーム301、その上に赤外線受光素子302、その出力された信号を処理する処理回路303および、この処理回路303に必要なチップ部品を実装して接合されたものを樹脂304でモールドした構造となっており、その受光レンズ部分305を除いた樹脂304の平坦な部分に遮光膜306が形成されている。なお、受光レンズ部分305は樹脂304と同質の材料でモールドされる。
【0019】
リードフレーム301は、金属板材料から構成されており、主に、Fe,Ni,Cuのどれかまたはそれらの合金を主成分としており、その表面にはAgの膜をコーティングしている。その形状としては、その外部に出ている端子群307により、モールド全体を支える役目と、その端子赤外線受光素子302と処理回路303との電気的な接続を行うために、リードフレーム301はモールドされた内部で、いくつかの分離された部分から構成され、厚みとしては300μm以上となっている。
【0020】
赤外線受光素子302は、受光レンズ部分305と中心が同じ線上にくるように配置される。赤外線受光素子302の大きさとしては受光レンズ部分305の集光能力により、2mm角以下のものも使用できる。3mm角より極端に大きいと赤外線受光素子302の容量成分が大き過ぎて、処理回路303が良好に動作しなくなる虞が出てくる。受光レンズ部分305を通して赤外線受光素子302に入射する赤外線は、赤外線受光素子302で電流信号を発生させる。その発生した電流信号は、電気的に接続された処理回路303で信号処理される。この処理回路303では、入力された電流信号を電圧に変えて、増幅され、リモコン信号以外のノイズ信号成分をフィルターリングして、検波して整流する機能を持つ。
【0021】
樹脂304は、リードフレーム301上に実装された処理回路303、赤外線受光素子302を覆うようにモールドしており、これと同時に受光レンズ部分305を形成している。この樹脂304は、約800nm以下の光を急激に減衰させる可視光をカットする機能を持つが、波長約800nm以下の光が完全に透過しないわけではなく、強い光では、ある程度の光学的ノイズが発生する。そのため、この場合は、赤外線受光素子302から受光レンズ部分305の凸部分を除いた平坦な部分までは、500μm以上の値としている。その材料としては、例えばエポキシ系の材料であり、赤外光波長820nm程度から赤外光に対して透過率を持つ可視光カット材を用いるとき、950nmの波長域では95%以上の透過率を達成することができる。
【0022】
受光レンズ部分305は、リモコン送信機から発信される赤外光を集光させるためのレンズであり、例えば、半球状またはそれに近い形状であり、受光レンズ部分305から入射した赤外光を赤外線受光素子302上に集光している。受光レンズ部分305に入射する赤外光はレンズの効果により、その受光レンズ部分305の入射する赤外光に垂直方向に占める面積と材料から求められる波長毎の屈折率、透過率、赤外線受光素子302の受光面積から、実効的な集光率が求められる。ここでは、950nm付近で空気に対する屈折率、透過率、赤外線受光素子302の面積と受光レンズ部分305の面積を適切に設定することで、倍率3〜4程度の実効的な集光率が実現できる。
【0023】
遮光膜306は、赤外光が入射する面の受光レンズ部分305の部分を除いた表面に形成される。材質的には、例えば、黒色のエポキシ系樹脂を使うことができる。他には、ABSやPP、PCなども使用可能である。または、ラッカー系やエナメル系の塗料なども使うことができるが、アクリル系などの水溶性塗料の場合では、特に、モールド樹脂の表面を親水系に変える処理をしないと斑状になる可能性が高い。数μmオーダーでは塗料によっては膜とはならず、斑点状になってしまい、光の散乱効果はあっても、減衰させるまでには至らない可能性がある。
【0024】
このように、受光レンズ部分305上を除いた表面に遮光膜306を形成する場合、受光レンズ部分305上をマスクで覆い、受光レンズ部分305上を除いた表面に遮光膜306を形成し、その後、マスクを除去している。
【特許文献1】特開2008−92417号公報
【特許文献2】特開2007−180653号公報
【特許文献3】特開2002−246613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
前述したように、特許文献1では、センサチップの撮像領域102上に、側面に遮光膜109として遮光材料がコーティングされた光学素子としてのレンズやリッドガラスなどの光学部材108を配置し、その後、光学部材108の周囲にも遮光部材112を塗布している。また、特許文献2では、光学レンズアレイ203と受光素子アレイ205との間に、その周囲を遮光するための遮光ブロック206を積み上げて遮光構造を形成している。なお、特許文献3は、レンズ以外の部分に遮光膜を形成する方法の一例について開示されているだけである。
【0026】
上記従来の遮光構成では、特許文献1のように遮光加工工程が二つに分けられて生産効率が悪く、また、特許文献2のように、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要としている。しかも、これらの遮光処理は、個片処理で一個一個行っているために生産効率が非常に悪い。
【0027】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、従来のように、遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置してウェハ状態で一括で必要箇所を切断して個片化することにより遮光構造を容易かつ素早く得ることができて生産効率の高い電子素子ウエハモジュールおよびその製造方法、この電子素子ウエハモジュールから個片化された電子素子モジュールおよびその製造方法、この電子素子モジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置などの電子情報機器や、この電子素子モジュールを情報記録再生部に用いた電子情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の電子素子ウエハモジュールは、ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板が配置され、該透明支持基板上にウェハ状の複数の光学素子が配置された電子素子ウエハモジュールであって、互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して、該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝が形成されており、遮光材料が、該溝内の側面および底面に塗布されているかまたは該溝内に充填されていると共に、該光学素子の表面中央の光開口部以外の表面周辺部に塗布されているかまたは形成されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0029】
本発明の電子素子ウエハモジュールは、ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板が配置され、該透明支持基板上にウェハ状の複数の光学素子が配置された電子素子ウエハモジュールであって、互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して、該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝が形成されており、遮光材料が、該溝内の側面および底面に塗布されているかまたは該溝内に充填され、遮光シートまたは遮光板が該光学素子の表面に設けられ、該遮光シートまたは遮光板には、該光学素子の表面中央の光開口部に対応する位置に穴がそれぞれ形成されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0030】
また、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける複数の電子素子は、貫通電極を有する電子素子ウエハに配設され、該電子素子ウエハ上の電子素子領域以外の所定領域に樹脂接着層が形成され、前記透明支持基板は該電子素子ウエハ上を覆い、該樹脂接着層上に固定されており、前記複数の光学素子は、該複数の電子素子のそれぞれに対向するように該透明支持基板上に接着固定されて一体化されている。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおけるダイシングラインは、前記光学素子の機能を損なわない光学機能領域の周辺部分でかつ前記電子素子の領域に接触しない部分に設定されている。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける溝は、平面視で前記光学素子の光学機能領域および前記電子素子の周囲を取り囲むように格子状に形成されている。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光材料は、導電性機能を有している。
【0034】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光材料は、遮光/電磁シールド樹脂材料である。
【0035】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光材料は、カーボンを含んだ樹脂材料で構成されている。
【0036】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける光学素子は、平面視中央部の光学機能領域の外周側で接着層をそれぞれ介して複数枚積層されている。
【0037】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける光学素子は、前記中央部の光学機能領域としてレンズ領域が設けられ、該レンズ領域の外周側に所定厚さを持つスペーサ部が重ね合わせ部として設けられている。
【0038】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおけるレンズ領域のレンズは、集光レンズを含む。
【0039】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける溝は、前記光学素子から前記透明支持基板を貫通して前記樹脂接着層内に至る電子素子ウエハの表面までの深さを有している。
【0040】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光材料は、前記樹脂接着層内にも形成されている。
【0041】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける溝は、ダイシングブレードまたはワイヤソーにより加工されている。
【0042】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける溝の幅は、100〜300マイクロメートルである。
【0043】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける遮光シートまたは遮光板は、樹脂基材上にカーボン膜がコーティングされている。
【0044】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける電子素子は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子である。
【0045】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける電子素子は、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子を有している。
【0046】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールにおける光学素子は、前記発光素子からの出射光を直進させて出射させると共に、入射光を曲げて前記受光素子に入射させる光学機能素子である。
【0047】
本発明の電子素子モジュールは、電子素子ウエハモジュールから、切断側面に前記遮光材料を残して遮光膜とするように、一または複数個毎に切断されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0048】
また、好ましくは、本発明の電子素子モジュールにおける遮光膜の膜厚は、100マイクロメートル±20マイクロメートルである。
【0049】
本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法は、ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板を配置し、該透明支持基板上にウェハ状の光学素子を配置する電子素子ウエハモジュールの製造方法であって、互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝を形成する溝形成工程と、遮光材料を、該溝内の側面および底面に塗布するかまたは該溝内に充填すると共に、該該光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に塗布するかまたは形成する遮光材料塗布工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0050】
本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法は、ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板を配置し、該透明支持基板上にウェハ状の光学素子を配置する電子素子ウエハモジュールの製造方法であって、該光学素子の表面中央の光開口部に対応する位置に穴が形成された遮光シートまたは遮光板を、該穴を該光開口部に一致させて該光学素子の表面に接着する遮光シートまたは遮光板接着工程と、互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該遮光シートまたは遮光板、さらに該光学素子から該透明支持基板を貫通して該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝を形成する溝形成工程と、遮光材料を、該溝内の側面および底面に塗布するかまたは該溝内に充填する遮光材料塗布工程とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0051】
また、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法において、前記光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に前記遮光材料を形成する遮光材料形成工程は、該光学素子の光学機能領域上をマスクで覆うマスク形成工程と、該マスク上および該光学素子の表面に該遮光材料を塗布する遮光材料全面塗布工程と、該マスクと共に該マスク上の遮光材料を除去するマスク除去工程とを有する。
【0052】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法において、前記光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に前記遮光材料を形成する遮光材料形成工程は、該光学素子の光学機能領域上を、熱で硬化したり発砲したりして粘着性を失う樹脂材料で覆う樹脂材料形成工程と、該樹脂材料上および該光学素子の表面に該遮光材料を塗布する遮光材料全面塗布工程と、熱処理により該樹脂材料と共に該樹脂材料上の遮光材料を除去する樹脂材料除去工程とを有する。
【0053】
さらに、好ましくは、本発明の電子素子ウエハモジュールの製造方法において、前記光学素子の表面中央の光学機能領域以外の周辺部分に前記遮光材料を塗布する遮光材料塗布工程は、ディスペンサによりノズルを順次一方向に走査して遮光材料を該ノズルから吐出すると共に、該光学機能領域は該遮光材料の該ノズルからの吐出を停止する遮光材料吐出工程を有する。
【0054】
本発明の電子素子モジュールの製造方法は、本発明の上記電子素子ウエハモジュールの製造方法における遮光材料塗布工程の後に、一または複数個の電子素子毎に、前記溝の幅広の幅方向中央部に沿って幅狭の幅寸法で切断することにより、切断側面に前記遮光材料を遮光膜として残すように個片化する個片化工程を更に有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0055】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記電子素子ウエハモジュールから切断された電子素子モジュールをセンサモジュールとして撮像部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0056】
本発明の電子情報機器は、本発明の上記電子素子ウエハモジュールから切断された電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0057】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0058】
本発明においては、複数の電子素子モジュールが形成された電子素子ウエハモジュールを幅広に、ダイシングラインに沿って光学素子および透明支持基板を切断して溝を形成した後に、その切断した幅広の溝を含む光学素子の光開口部以外の表面領域に遮光材料を塗布し、その後、光学素子および透明支持基板を、幅広の溝内の側面に遮光材料を残すように、溝の幅方向中心部に沿って幅狭に切断して個片化することにより、レンズ領域などの光学機能領域およびその下の電子素子を囲む遮光構造を形成している。
【0059】
これによって、センサモジュールやレンズなどの生産効率の向上および生産コストの引き下げを目的として、電子素子、透明支持基板および光学素子が一体化したウェハレベルでの一括加工を行うことができ、遮光についてもウェハレベルでの加工を一括して行うことができる。したがって、従来のように遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置して一括で必要箇所を切断することにより遮光構造を容易かつ素早く得ることができて、遮光加工を個片処理で一個一個行う場合に比べて生産効率を大幅に向上させることができる。
【0060】
遮光材料が導電性機能を有していたり、遮光材料が遮光/電磁シールド樹脂材料であると、磁界が強い場所においても、撮像画像に悪影響がでない。
【発明の効果】
【0061】
以上により、本発明によれば、ダイシングラインに沿って形成した溝内にも遮光材料を塗布し、この溝内の側面に遮光材料を残すように切断して個片化するため、遮光についてもウェハレベルでの加工を行うことができて、従来のように遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置して一括で必要箇所を切断することにより遮光構造を容易かつ素早く得ることができて生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0062】
以下に、本発明の電子素子ウエハモジュールおよびその製造方法、さらに、これを個片化した電子素子モジュールおよびその製造方法の実施形態1として、本発明を、センサウエハモジュールおよびその製造方法、さらに、これを個片化したセンサモジュールおよびその製造方法に適用した場合および、このセンサモジュールを画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばカメラ付き携帯電話装置やテレビジョン電話装置などの電子情報機器の実施形態2について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0063】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るセンサウエハモジュールの構成例を示す要部縦断面図であって、(a)は、遮光材料がダイシング溝内に充填されている場合の要部縦断面図、(b)は、遮光材料がダイシング溝内の側面および底面に塗布されている場合の要部縦断面図である。
【0064】
図1(a)および図1(b)において、本実施形態1の電子素子ウエハモジュールとしてのセンサウエハモジュール1は、ウエハ表面に、複数の画素に対応した各光電変換部(フォトダイオード)である複数の受光部からなる撮像素子2(センサチップ)が電子素子として設けられ、撮像素子2(センサチップ)毎に貫通孔(図示せず)が表面と裏面間に設けられて導通した電子素子ウエハとしての貫通ウエハ3と、この貫通ウエハ3の撮像素子2の周囲上に形成された樹脂接着層4と、この樹脂接着層4上を覆う透明支持基板としてのカバーガラスであるガラス板5と、このガラス板5上に設けられ、撮像素子2に入射光を集光させるための光学素子としての複数のレンズ板が積層されたウェハ状光学部品6と、最上位置のレンズ板の中央部を円形の光開口部6a(光取入口)として開口すると共に、それ以外の表面部分および、各レンズ板およびガラス板5の側面部分を遮光する遮光部材7a(遮光用材料)とを有しており、貫通ウエハ3上に、ガラス板5およびウェハ状光学部品6がこの順に互いにアライメント(位置合わせ)をとって樹脂接着層4などにより上下に貼り合わされている。
【0065】
貫通ウエハ3は、各表面側には、複数の撮像素子2(撮像素子毎に複数の画素を構成する複数の受光部が設けられている)がマトリクス状に多数配列されており、その撮像素子2毎に裏面から表面のパッド(電極パッド)下に貫通する複数の貫通穴が明けられている。この貫通穴の側壁と裏面側は絶縁膜で覆われており、パッドにコンタクトを持つ配線層31が貫通穴を介して裏面まで形成されている。この配線層31上および裏面には絶縁膜としてソルダーレジスト32が形成され、この配線層31上に半田ボール33が形成される部分はソルダーレジスト32が窓明けされて半田ボール33が外部に露出して形成されている。
【0066】
このセンサウエハモジュール1または1Aの裏面側から格子状のダイシングラインDL(スクライブライン)に沿ってシリコンウェハだけを切断し、さらに、ウェハ状光学部品6が配置されている表面側から、ウェハ状光学部品6およびガラス板5、さらには樹脂接着層4の一部または全部を切断するべく、シリコンウェハを切断した刃具(またはワイヤ)より厚さが厚い刃具(または直径の大きいワイヤ)により、ダイシングラインDLに沿って貫通ウエハ3の直上まで、例えば貫通ウエハ3の表面に至る深さかまたは貫通ウエハ3の表面の手前の深さでウェハ状光学部品6およびガラス板5を切断してスクライブ溝8を形成する。なお、厚い刃具(または直径の大きいワイヤ)によるスクライブ溝8の形成前に、個片化されたチップ毎にバラバラにならないように固定テープによりその裏面側が貼り付けられている。続いて、このスクライブ溝8内に遮光用樹脂材料(遮光材料)を充填する(図1(a)の場合)と共に、光学部品表面のレンズ中央部分(光開口部6a)を除いた表面側にも遮光用樹脂を塗布して、これを固化した後に、この遮光用樹脂を充填したスクライブ溝8の中央部をスクライブ溝8の幅より幅が小さい薄い刃具(または直径の小さいワイヤ)で貫通ウエハ3の直上まで切断することにより、一括して遮光部材7aを二つに切断して遮光膜7とすることができる。なお、図1(b)の場合は、遮光部材7aが遮光膜7としてダイシング溝8内の側面および底面に塗布されているため、前述したように幅が小さい薄い刃具(または直径の小さいワイヤ)で貫通ウエハ3の直上まで切断する必要がなくなる。
【0067】
即ち、互いに隣接する撮像素子2(センサチップ)間のダイシングラインDLに沿って、ウェハ状光学部品6からガラス板5を超えて貫通ウエハ3のウェハ表面に至るかまたはそのウェハ表面の手前の樹脂接着層4の範囲内の深さの幅広のダイシング溝8が形成されており、遮光部材7a(ここでは遮光用樹脂材料)が、ダイシング溝8内に充填されている(図1(a)の場合)と共に、撮像素子2の表面中央の光開口部6a以外の表面周辺部分に塗布されている。なお、遮光部材7a(ここでは遮光用樹脂材料)は、遮光膜7として、図1(b)に示すようにスクライブ溝8内の側面および底面上に塗布されていればよい。また、このダイシング溝8の溝幅は、100〜300μm程度の範囲である。
【0068】
このウェハ状光学部品6としてのレンズスタック(ここでは、2枚のレンズが重ね合わされたレンズモジュール)は、平面視中央部の光学機能領域(レンズ領域)の外周側で接着層をそれぞれ介して複数枚(ここでは2枚)が積層されている。このレンズ領域の外周側に所定厚さを持つ重ね合わせ部としてのスペーサ部(図示せず)が設けられている。このレンズ領域のレンズとしては集光レンズを含んでいる。
【0069】
スクライブ溝8は、平面視でウェハ状光学部品6の光学機能領域(レンズ領域)および撮像素子2の撮像領域(複数の受光部)の周囲を取り囲む格子状のダイシングラインDLに沿って格子状に形成されている。このスクライブ溝8の上から塗布される遮光部材7a(遮光用樹脂材料)は導電性機能を有する材料であって、例えばカーボンを含んだ樹脂材料であってもよい。また、この他に、遮光部材7a(遮光用樹脂材料)としては金属材料であってもよい。
【0070】
このようにして、このセンサウエハモジュール1または1Aから、切断側面に遮光用樹脂材料(遮光材料)を残して遮光膜7とするように、貫通ウエハ3の一個(または複数個)毎に切断された後に、固定テープが外されて、図2に示されるセンサモジュール11のように個片化される。
【0071】
ここで、上記構成のセンサウエハモジュール1または1Aを製造するセンサウエハモジュールの製造方法、さらに、センサウエハモジュール1または1Aを個片化してセンサモジュール11を製造する場合について説明する。
【0072】
図3は、図1のセンサウエハモジュール1または1Aの製造方法を説明するための各製造工程の流れを示す製造工程図である。図4(a)〜図4(d)および図5(a)〜図5(c)はそれぞれ、図1のセンサウエハモジュール1または1Aの製造方法を説明するための各製造工程を示す要部縦断面図である。
【0073】
まず、予め、ガラス基板の表面に赤外線カット膜(IRコート)を形成して洗浄したものを、ガラス板5として準備する。図3および図4(a)のウエハ/ガラス基板貼り合わせ工程S1に示すように、貫通ウエハ3の各撮像素子2の周囲上に樹脂接着層4を配置し、複数の撮像素子2がマトリクス状に配設された電子素子ウエハとしての貫通ウエハ3とガラス板5とを樹脂接着層4により接着する。
【0074】
次に、図3および図4(b)のTSV工程S2に示すように、その撮像素子2毎に裏面から表面のパッド(電極パッド)下に貫通する複数の貫通穴(図示せず)を形成する。この貫通穴の側壁と裏面側に絶縁膜(図示せず)を形成し、パッド(図示せず)にコンタクトを持つ回路パターンを形成する配線層31を貫通穴を介して裏面まで形成する。この配線層31上および裏面には絶縁膜としてソルダーレジスト32を形成し、このソルダーレジスト32が窓明けされて配線層31上に半田ボール33を形成する。これらの配線層31、ソルダーレジスト32および半田ボール33は、貫通ウエハ3の各撮像素子2毎に形成される。
【0075】
続いて、図3および図4(c)のシリコンウエハダイシング工程S3に示すように、ガラス板5側をテープで固定し、TSV加工工程でTSV加工済みのシリコンウェハのみをスクライブラインSLに沿って切断する。
【0076】
その後、図3および図4(d)のレンズスタック・ウエハ/ガラス基板貼り合わせ工程S4に示すように、ウェハ状光学部品6としてのレンズスタック(レンズモジュール)の各レンズ位置が、貫通ウエハ3の各撮像素子2にそれぞれ対応するようにアライメントが取られて、ガラス板5上にレンズスタック(集光レンズを含む2枚のレンズ板が積層されて上下に設けられている)が貼り合わされる。
【0077】
次に、図3および図5(a)の幅広切断工程S5に示すように、前述したシリコンウェハ切断後、シリコンウェハである貫通ウエハ3側に固定テープを貼付けて貫通ウエハ3を固定し、貫通ウエハ3のダイシングラインDLに沿って切断幅が大きく刃が厚い刃具(ダイシングブレード)または、ワイヤ径が約300μm程度のワイヤーソで、シリコンウェハの表面直上までレンズスタックおよびガラス板5を切断(樹脂接着層4の厚さ範囲内で切断)してクライブ溝8を形成する。スクライブ溝8の深さ方向は、シリコンウェハ側に接触しないようにしている。
【0078】
続いて、図3および図5(b)の遮光樹脂塗布工程S6に示すように、ウエハ状に製作されたセンサウエハモジュール1または1Aから個片化する前に、レンズスタックおよびガラス板5を貫通するように作製したスクライブ溝8内に遮光部材7a(遮光用樹脂材料、特に遮光/電磁シールド樹脂材料)を充填する(図1(a)の場合)。この遮光/電磁シールド樹脂材料は導電性機能を有している。即ち、レンズスタックおよびガラス板5に形成されたスクライブ溝8および、レンズスタック表面のレンズ機能領域(光開口部6a)以外の周辺部に遮光部材7aとして遮光/電磁シールド樹脂材料を塗布し、遮光/電磁シールド樹脂材料を熱またはUV光で硬化する。このとき、レンズスタック表面はレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いて遮光/電磁シールド樹脂材料を塗布するかまたは、全面(マスクを用いて光開口部6aを除く)に塗布する。
【0079】
レンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いて遮光/電磁シールド樹脂材料である遮光部材7aを塗布する場合、ディスペンサによりレンズ部分(光開口部6aに対応)の外周形状、例えば円形状に描くようにノズルを順次左右に走査して遮光部材7aの遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)をノズルから吐出する。これにより、レンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)だけは遮光部材7aの遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)を塗布しないようにすることができる。ディスペンサにより遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)をノズルから吐出する場合、ノズルを左右方向に順次走査し、レンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)にノズルがくると、ノズルからの遮光用樹脂材料の吐出を停止するようにして、遮光用樹脂材料をレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)以外の表面部分に塗布する。
【0080】
また、スクライブ溝8内に遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)を充填させる場合は、別途、ディスペンサによりノズルを格子状に走査して、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)をスクライブ溝8内に充填させる。その後、露光などにより不必要な部分の樹脂を除去する。
【0081】
なお、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)のスクライブ溝8内への充填は、スクライブ溝8内において、ウェハ状光学部品6としてのレンズスタック(レンズモジュール)からガラス板5まで遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)が確実に充填される必要があるが、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)が貫通ウエハ3の表面真上の樹脂接着層4まで充填されるかどうかはいずれでもよいが、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)が貫通ウエハ3の表面真上の樹脂接着層4まで充填される方が、樹脂接着層4の厚み方向の遮光をも含めて有効である。
【0082】
さらに、図3および図5(c)の幅狭切断工程S7に示すように、スクライブ溝8内に充填した遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)を硬化した後に、スクライブ溝8内の遮光用樹脂幅よりも小さい約100μmの切断幅でこの遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)を切断する。即ち、格子状のダイシングラインDLに沿って塗布された遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)の中央部分(幅方向中央部)をワイヤ径の小さい約100μm程度のワイヤソーまたは刃具(例えばダイシングブレード)で切断して、センサモジュール周辺の遮光/電磁シールドの加工を一括して、この切断と同時に行う。この場合、遮光用樹脂材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)からなる遮光膜7としては、その厚さが約100μm程度の膜厚となる。約100μm程度の厚さの遮光膜7の遮光性については、80μm程度の厚さで99.6パーセント程度の遮光性が得られることが分かっているため、約100μm程度の膜厚があれば遮光膜7としては問題ない。なお、ワイヤの太さに対する切断誤差は5、6μm程度である。このようにして、充填された遮光/電磁シールド樹脂を幅法中央部から分断し夫々のセンサウエハモジュール1に均等に装着できるようにする。遮光/電磁シールド樹脂を充填するスクライブ溝8は、ダイシングラインDLに沿って光学性能(遮光性能)を損なわない範囲の幅(ここでは約300μm程度)で、このスクライブ溝8の幅を、できるだけ広くしておく。よって、遮光膜7の膜厚は、100マイクロメートル±20マイクロメートルであれば、遮光性において問題ない。
【0083】
なお、図1(b)の場合のように、遮光部材7aが遮光膜7としてダイシング溝8内の側面および底面に塗布すると、前述したように幅が小さい薄い刃具(または直径の小さいワイヤ)で貫通ウエハ3の直上まで切断する必要がなくなる。
【0084】
さらに、図3および図2の個片化工程に示すように、シリコンウェハ側の固定テープを外せば、ウエハ状に製作されたセンサウエハモジュール1または1Aから、多数のセンサモジュール11が個片化される。
【0085】
以上により、本実施形態1によれば、複数のセンサモジュール11が形成された電子素子ウエハモジュール1を幅広に、ダイシングラインDLに沿ってウェハ状光学部品6およびガラス基板5を切断してダイシング溝8を形成した後に、その切断した幅広のダイシング溝8を含むウェハ状光学部品6の中央部における光開口部6a以外の表面領域に遮光膜7の遮光材料を塗布し、その後、幅広のダイシング溝8内の側面に遮光材料を残すように、幅広のダイシング溝8の幅方向中心に沿ってウェハ状光学部品6およびガラス基板5を、幅狭に切断してセンサモジュール11として個片化することにより、レンズ領域などの光学機能領域およびその下の撮像素子2を囲む遮光構造を形成している。
【0086】
このように、ダイシングラインDLに沿って形成した幅広のスクライブ溝8内に遮光材料を塗布し、このスクライブ溝8内の側面に遮光材料を残すように切断して個片化するため、遮光についてもウェハレベルでの加工を行うことができて、従来のように遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置して一括で切断して遮光構造を容易かつ素早く得ることができて生産効率を大幅に向上させることができる。即ち、ウェハ状態で、遮光膜7となる遮光材料(遮光/電磁シールド樹脂材料)の塗布を一括して行うことができることで、処理速度が大幅に向上し、製品の低コスト化が可能となっている。
【0087】
なお、本実施形態1では、レンズスタック表面はレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いて遮光/電磁シールド樹脂材料を塗布するかまたは、遮光/電磁シールド樹脂材料を全面に塗布している。このように、遮光/電磁シールド樹脂材料を全面に塗布する場合には、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)上をマスクで覆い、そのマスク上およびレンズスタック表面に遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料を形成し、その後、マスクを除去して、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いた表面に遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料を形成している。これに限らず、マスクを用いずに、熱で硬化したり発砲したりして粘着性を失う樹脂材料を用いて下地層とし、その上に、遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料を形成してもよい。要するに、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)に、熱などで粘着性を失う樹脂材料を下地層として形成し、その上を含むレンズスタック表面に全面に、遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料をべた塗りし、これに熱をかけると、その下地層およびその上の遮光/電磁シールド樹脂材料だけが容易に剥がれ落ちる。これによっても、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)を除いた表面に遮光部材7aである遮光/電磁シールド樹脂材料を形成することができる。
【0088】
また、レンズスタック表面のレンズ機能領域部分(光開口部6aに対応)だけ、穴の開いた遮光シートまたは遮光板をレンズスタック表面に接着してもよい。この遮光シートまたは遮光板は、レンズスタックを作製するときに接着してもよく、前述した図4(d)のレンズスタック・ウエハ/ガラス基板貼り合わせ工程S4の後に、図4(d)の破線Aに示すように、レンズスタック表面に遮光シートまたは遮光板9を接着するようにしてもよい。遮光シートまたは遮光板9は、ポリエチレン基材上にカーボン膜をコーティングして遮光性を持たせている。遮光シートまたは遮光板9の光開口部6aに対応した穴の入り口は、C加工されて角が取られている。なお、言うまでもないが、図4(d)の場合には、遮光シートまたは遮光板9は設けられていない。
(実施形態2)
図6は、本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1のセンサモジュールを含む固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0089】
図6において、本実施形態2の電子情報機器90は、上記実施形態1のセンサモジュール11からの撮像信号を各種信号処理してカラー画像信号を得る固体撮像装置91と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を記録用に所定の信号処理した後にデータ記録可能とする記録メディアなどのメモリ部92と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示可能とする液晶表示装置などの表示手段93と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を通信用に所定の信号処理をした後に通信処理可能とする送受信装置などの通信手段94と、この固体撮像装置91からのカラー画像信号を印刷用に所定の信号処理をした後に印刷処理可能とするプリンタなどの画像出力手段95とを有している。なお、この電子情報機器90として、これに限らず、固体撮像装置91の他に、メモリ部92と、表示手段93と、通信手段94と、プリンタなどの画像出力手段95とのうちの少なくともいずれかを有していてもよい。
【0090】
この電子情報機器90としては、前述したように例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、監視カメラ、ドアホンカメラ、車載用後方監視カメラなどの車載用カメラおよびテレビジョン電話用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)などの画像入力デバイスを有した電子機器が考えられる。
【0091】
したがって、本実施形態2によれば、この固体撮像装置91からのカラー画像信号に基づいて、これを表示画面上に良好に表示したり、これを紙面にて画像出力装置95により良好にプリントアウト(印刷)したり、これを通信データとして有線または無線にて良好に通信したり、これをメモリ部92に所定のデータ圧縮処理を行って良好に記憶したり、各種データ処理を良好に行うことができる。
【0092】
なお、上記実施形態2の電子情報機器90に限らず、本発明の電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器であってもよい。この場合のピックアップ装置の光学素子としては、出射光を直進させて出射させると共に、入射光を曲げて所定方向に入射させる光学機能素子である。また、ピックアップ装置の電子素子としては、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子を有している。
【0093】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1,2を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1,2に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1,2の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、入射光を集光する複数のレンズまたは、出射光を直進させたり入射光を所定方向に曲げて導いたりする複数の光学機能素子と、各レンズにそれぞれ対応して、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子または、各光学機能素子にそれぞれ対応して、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子とが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールおよびその製造方法、この電子素子ウエハモジュールから一括切断されて製造される電子素子モジュールおよびその製造方法、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子と、入射光を撮像素子上に結像するためのレンズとが複数モジュール化(一体化)された電子素子ウエハモジュールとしてのセンサウエハモジュールから一括切断して個片化した電子素子モジュールとしてのセンサモジュールを、車載用カメラなどの画像入力デバイスとして撮像部に用いた例えばデジタルビデオカメラおよびデジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、車載用カメラなどの画像入力カメラ、スキャナ装置、ファクシミリ装置、テレビジョン電話装置、カメラ付き携帯電話装置および携帯端末装置(PDA)または、この電子素子モジュールを情報記録再生部に用いたピックアップ装置などの電子情報機器の分野において、ダイシングラインに沿って形成した溝内にも遮光材料を塗布し、この溝内の側面に遮光材料を残すように切断して個片化するため、遮光についてもウェハレベルでの加工を行うことができて、従来のように遮光加工工程を分離して行うことなく、また、遮光構造を実現するのに遮光ブロックを別途必要とすることもなく、ウェハ状態のままでの遮光必要箇所に遮光材料を一工程で配置して一括で必要箇所を切断することにより遮光構造を容易かつ素早く得ることができて生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態1に係るセンサウエハモジュールの構成例を示す要部縦断面図であって、(a)は、遮光材料がダイシング溝内に充填されている場合の要部縦断面図、(b)は、遮光材料がダイシング溝内の側面および底面に塗布されている場合の要部縦断面図である。
【図2】図1のセンサウエハモジュールから個片化されたセンサモジュールの要部構成例を示す縦断面図である。
【図3】図1のセンサウエハモジュールの製造方法を説明するための各製造工程の流れを示す製造工程図である。
【図4】(a)〜(d)はそれぞれ、図1のセンサウエハモジュールの製造方法を説明するための各製造工程(その1)を示す要部縦断面図である。
【図5】(a)〜(c)はそれぞれ、図1のセンサウエハモジュールの製造方法を説明するための各製造工程(その2)を示す要部縦断面図である。
【図6】本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1のセンサモジュールを含む固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図7】(a)〜(e)は、特許文献1の従来の半導体撮像素子の各製造工程を説明するための要部縦断面図である。
【図8】図7(e)の次に続く遮光部材形成工程を説明するための要部縦断面図である。
【図9】特許文献2の従来の複眼撮像装置の組立て時の状態を示す分解斜視図である。
【図10】図9の複眼撮像装置の光学レンズアレイを保持したホルダ部材と遮光ブロック部分の縦断面図である。
【図11】特許文献3の従来の光機能モジュールの一つであるリモコン受光モジュールの要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0096】
1、1A センサウエハモジュール
2 撮像素子(電子素子)
3 貫通ウエハ(電子素子ウエハ)
31 配線層
32 ソルダーレジスト
33 半田ボール
4 樹脂接着層
5 ガラス板
6 ウェハ状光学部品(光学素子)
6a 光開口部
7a 遮光部材(遮光用材料)
7 遮光膜
8 スクライブ溝
9 遮光シートまたは遮光板
11 センサモジュール
DL ダイシングライン
90 電子情報機器
91 固体撮像装置
92 メモリ部
93 表示手段
94 通信手段
95 画像出力手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板が配置され、該透明支持基板上にウェハ状の複数の光学素子が配置された電子素子ウエハモジュールであって、
互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して、該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝が形成されており、遮光材料が、該溝内の側面および底面に塗布されているかまたは該溝内に充填されていると共に、該光学素子の表面中央の光開口部以外の表面周辺部に塗布されているかまたは形成されている電子素子ウエハモジュール。
【請求項2】
ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板が配置され、該透明支持基板上にウェハ状の複数の光学素子が配置された電子素子ウエハモジュールであって、
互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して、該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝が形成されており、遮光材料が、該溝内の側面および底面に塗布されているかまたは該溝内に充填され、
遮光シートまたは遮光板が該光学素子の表面に設けられ、該遮光シートまたは遮光板には、該光学素子の表面中央の光開口部に対応する位置に穴がそれぞれ形成されている電子素子ウエハモジュール。
【請求項3】
前記複数の電子素子は、貫通電極を有する電子素子ウエハに配設され、
該電子素子ウエハ上の電子素子領域以外の所定領域に樹脂接着層が形成され、
前記透明支持基板は該電子素子ウエハ上を覆い、該樹脂接着層上に固定されており、
前記複数の光学素子は、該複数の電子素子のそれぞれに対向するように該透明支持基板上に接着固定されて一体化されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項4】
前記ダイシングラインは、前記光学素子の機能を損なわない光学機能領域の周辺部分でかつ前記電子素子の領域に接触しない部分に設定されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項5】
前記溝は、平面視で前記光学素子の光学機能領域および前記電子素子の周囲を取り囲むように格子状に形成されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項6】
前記遮光材料は、導電性機能を有している請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項7】
前記遮光材料は、遮光/電磁シールド樹脂材料である請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項8】
前記遮光材料は、カーボンを含んだ樹脂材料で構成されている請求項6または7に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項9】
前記光学素子は、平面視中央部の光学機能領域の外周側で接着層をそれぞれ介して複数枚積層されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項10】
前記光学素子は、前記中央部の光学機能領域としてレンズ領域が設けられ、該レンズ領域の外周側に所定厚さを持つスペーサ部が重ね合わせ部として設けられている請求項9に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項11】
前記レンズ領域のレンズは、集光レンズを含む請求項10に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項12】
前記溝は、前記光学素子から前記透明支持基板を貫通して前記樹脂接着層内に至る電子素子ウエハの表面までの深さを有している請求項3に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項13】
前記遮光材料は、前記樹脂接着層内にも形成されている請求項12に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項14】
前記溝は、ダイシングブレードまたはワイヤソーにより加工されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項15】
前記溝の幅は、100〜300マイクロメートルである請求項14に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項16】
前記遮光シートまたは遮光板は、樹脂基材上にカーボン膜がコーティングされている請求項2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項17】
前記電子素子は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子である請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項18】
前記電子素子は、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子を有している請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項19】
前記光学素子は、前記発光素子からの出射光を直進させて出射させると共に、入射光を曲げて前記受光素子に入射させる光学機能素子である請求項18に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の電子素子ウエハモジュールから、切断側面に前記遮光材料を残して遮光膜とするように、一または複数個毎に切断されている電子素子モジュール。
【請求項21】
前記遮光膜の膜厚は、100マイクロメートル±20マイクロメートルである請求項20に記載の電子素子モジュール。
【請求項22】
ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板を配置し、該透明支持基板上にウェハ状の光学素子を配置する電子素子ウエハモジュールの製造方法であって、
互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝を形成する溝形成工程と、
遮光材料を、該溝内の側面および底面に塗布するかまたは該溝内に充填すると共に、該該光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に塗布するかまたは形成する遮光材料塗布工程とを有する電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項23】
ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板を配置し、該透明支持基板上にウェハ状の光学素子を配置する電子素子ウエハモジュールの製造方法であって、
該光学素子の表面中央の光開口部に対応する位置に穴が形成された遮光シートまたは遮光板を、該穴を該光開口部に一致させて該光学素子の表面に接着する遮光シートまたは遮光板接着工程と、
互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該遮光シートまたは遮光板、さらに該光学素子から該透明支持基板を貫通して該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝を形成する溝形成工程と、
遮光材料を、該溝内の側面および底面に塗布するかまたは該溝内に充填する遮光材料塗布工程とを有する電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項24】
前記光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に前記遮光材料を形成する遮光材料形成工程は、
該光学素子の光学機能領域上をマスクで覆うマスク形成工程と、
該マスク上および該光学素子の表面に該遮光材料を塗布する遮光材料全面塗布工程と、
該マスクと共に該マスク上の遮光材料を除去するマスク除去工程とを有する請求項22に記載の電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項25】
前記光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に前記遮光材料を形成する遮光材料形成工程は、
該光学素子の光学機能領域上を、熱で硬化したり発砲したりして粘着性を失う樹脂材料で覆う樹脂材料形成工程と、
該樹脂材料上および該光学素子の表面に該遮光材料を塗布する遮光材料全面塗布工程と、
熱処理により該樹脂材料と共に該樹脂材料上の遮光材料を除去する樹脂材料除去工程とを有する請求項22に記載の電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項26】
前記光学素子の表面中央の光学機能領域以外の周辺部分に前記遮光材料を塗布する遮光材料塗布工程は、
ディスペンサによりノズルを順次一方向に走査して遮光材料を該ノズルから吐出すると共に、該光学機能領域は該遮光材料の該ノズルからの吐出を停止する遮光材料吐出工程を有する請求項23に記載の電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項27】
請求項22または23に記載の電子素子ウエハモジュールの製造方法における遮光材料塗布工程の後に、
一または複数個の電子素子毎に、前記溝の幅広の幅方向中央部に沿って幅狭の幅寸法で切断することにより、切断側面に前記遮光材料を遮光膜として残すように個片化する個片化工程を更に有する電子素子モジュールの製造方法。
【請求項28】
請求項17に記載の電子素子ウエハモジュールから切断された電子素子モジュールをセンサモジュールとして撮像部に用いた電子情報機器。
【請求項29】
請求項18または19に記載の電子素子ウエハモジュールから切断された電子素子モジュールを情報記録再生部に用いた電子情報機器。
【請求項1】
ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板が配置され、該透明支持基板上にウェハ状の複数の光学素子が配置された電子素子ウエハモジュールであって、
互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して、該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝が形成されており、遮光材料が、該溝内の側面および底面に塗布されているかまたは該溝内に充填されていると共に、該光学素子の表面中央の光開口部以外の表面周辺部に塗布されているかまたは形成されている電子素子ウエハモジュール。
【請求項2】
ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板が配置され、該透明支持基板上にウェハ状の複数の光学素子が配置された電子素子ウエハモジュールであって、
互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して、該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝が形成されており、遮光材料が、該溝内の側面および底面に塗布されているかまたは該溝内に充填され、
遮光シートまたは遮光板が該光学素子の表面に設けられ、該遮光シートまたは遮光板には、該光学素子の表面中央の光開口部に対応する位置に穴がそれぞれ形成されている電子素子ウエハモジュール。
【請求項3】
前記複数の電子素子は、貫通電極を有する電子素子ウエハに配設され、
該電子素子ウエハ上の電子素子領域以外の所定領域に樹脂接着層が形成され、
前記透明支持基板は該電子素子ウエハ上を覆い、該樹脂接着層上に固定されており、
前記複数の光学素子は、該複数の電子素子のそれぞれに対向するように該透明支持基板上に接着固定されて一体化されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項4】
前記ダイシングラインは、前記光学素子の機能を損なわない光学機能領域の周辺部分でかつ前記電子素子の領域に接触しない部分に設定されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項5】
前記溝は、平面視で前記光学素子の光学機能領域および前記電子素子の周囲を取り囲むように格子状に形成されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項6】
前記遮光材料は、導電性機能を有している請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項7】
前記遮光材料は、遮光/電磁シールド樹脂材料である請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項8】
前記遮光材料は、カーボンを含んだ樹脂材料で構成されている請求項6または7に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項9】
前記光学素子は、平面視中央部の光学機能領域の外周側で接着層をそれぞれ介して複数枚積層されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項10】
前記光学素子は、前記中央部の光学機能領域としてレンズ領域が設けられ、該レンズ領域の外周側に所定厚さを持つスペーサ部が重ね合わせ部として設けられている請求項9に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項11】
前記レンズ領域のレンズは、集光レンズを含む請求項10に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項12】
前記溝は、前記光学素子から前記透明支持基板を貫通して前記樹脂接着層内に至る電子素子ウエハの表面までの深さを有している請求項3に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項13】
前記遮光材料は、前記樹脂接着層内にも形成されている請求項12に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項14】
前記溝は、ダイシングブレードまたはワイヤソーにより加工されている請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項15】
前記溝の幅は、100〜300マイクロメートルである請求項14に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項16】
前記遮光シートまたは遮光板は、樹脂基材上にカーボン膜がコーティングされている請求項2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項17】
前記電子素子は、被写体からの画像光を光電変換して撮像する複数の受光部を有する撮像素子である請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項18】
前記電子素子は、出射光を発生させるための発光素子および入射光を受光するための受光素子を有している請求項1または2に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項19】
前記光学素子は、前記発光素子からの出射光を直進させて出射させると共に、入射光を曲げて前記受光素子に入射させる光学機能素子である請求項18に記載の電子素子ウエハモジュール。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の電子素子ウエハモジュールから、切断側面に前記遮光材料を残して遮光膜とするように、一または複数個毎に切断されている電子素子モジュール。
【請求項21】
前記遮光膜の膜厚は、100マイクロメートル±20マイクロメートルである請求項20に記載の電子素子モジュール。
【請求項22】
ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板を配置し、該透明支持基板上にウェハ状の光学素子を配置する電子素子ウエハモジュールの製造方法であって、
互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該光学素子から該透明支持基板を貫通して該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝を形成する溝形成工程と、
遮光材料を、該溝内の側面および底面に塗布するかまたは該溝内に充填すると共に、該該光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に塗布するかまたは形成する遮光材料塗布工程とを有する電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項23】
ウェハ上に形成された複数の電子素子に対向して透明支持基板を配置し、該透明支持基板上にウェハ状の光学素子を配置する電子素子ウエハモジュールの製造方法であって、
該光学素子の表面中央の光開口部に対応する位置に穴が形成された遮光シートまたは遮光板を、該穴を該光開口部に一致させて該光学素子の表面に接着する遮光シートまたは遮光板接着工程と、
互いに隣接する電子素子間のダイシングラインに沿って、該遮光シートまたは遮光板、さらに該光学素子から該透明支持基板を貫通して該ウェハの表面に至る深さかまたは該ウェハの表面の手前の深さの溝を形成する溝形成工程と、
遮光材料を、該溝内の側面および底面に塗布するかまたは該溝内に充填する遮光材料塗布工程とを有する電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項24】
前記光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に前記遮光材料を形成する遮光材料形成工程は、
該光学素子の光学機能領域上をマスクで覆うマスク形成工程と、
該マスク上および該光学素子の表面に該遮光材料を塗布する遮光材料全面塗布工程と、
該マスクと共に該マスク上の遮光材料を除去するマスク除去工程とを有する請求項22に記載の電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項25】
前記光学素子の表面中央の光開口部以外の周辺部分に前記遮光材料を形成する遮光材料形成工程は、
該光学素子の光学機能領域上を、熱で硬化したり発砲したりして粘着性を失う樹脂材料で覆う樹脂材料形成工程と、
該樹脂材料上および該光学素子の表面に該遮光材料を塗布する遮光材料全面塗布工程と、
熱処理により該樹脂材料と共に該樹脂材料上の遮光材料を除去する樹脂材料除去工程とを有する請求項22に記載の電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項26】
前記光学素子の表面中央の光学機能領域以外の周辺部分に前記遮光材料を塗布する遮光材料塗布工程は、
ディスペンサによりノズルを順次一方向に走査して遮光材料を該ノズルから吐出すると共に、該光学機能領域は該遮光材料の該ノズルからの吐出を停止する遮光材料吐出工程を有する請求項23に記載の電子素子ウエハモジュールの製造方法。
【請求項27】
請求項22または23に記載の電子素子ウエハモジュールの製造方法における遮光材料塗布工程の後に、
一または複数個の電子素子毎に、前記溝の幅広の幅方向中央部に沿って幅狭の幅寸法で切断することにより、切断側面に前記遮光材料を遮光膜として残すように個片化する個片化工程を更に有する電子素子モジュールの製造方法。
【請求項28】
請求項17に記載の電子素子ウエハモジュールから切断された電子素子モジュールをセンサモジュールとして撮像部に用いた電子情報機器。
【請求項29】
請求項18または19に記載の電子素子ウエハモジュールから切断された電子素子モジュールを情報記録再生部に用いた電子情報機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−56170(P2010−56170A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217286(P2008−217286)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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