説明

電子線描画装置、原盤製造方法、及び情報記録媒体製造方法

【課題】基板表面のセクタ内の領域に、トラックに沿って、第1の長さの複数の微小パターンからなるパターンと、第2の長さの複数の微小パターンからなるパターンとを混在させて形成する。
【解決手段】基板上の同心円トラックに沿ってパターンを描画する際に、セクタ内の第1領域内では、第1基長さに基づいて生成された第1クロック信号を用いて電子線をブランキングさせ、セクタ内の第2領域内では、第2基準長さに基づいて生成された第2クロック信号を用いて電子線をブランキングさせる。これにより、セクタ内の第1領域内に、同心円トラックに沿って第1の長さの円弧状の微小パターンからなるパターンを精度よく形成するとともに、第2領域内に、第2の長さの円弧状の微小パターンからなるパターンを精度よく形成することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線描画装置、原盤製造方法、及び情報記録媒体製造方法に係り、更に詳しくは、電子線を用いて基板にパターンを描画する電子線描画装置、前記電子線描画装置を用いて原盤を製造する原盤製造方法、及び前記原盤を用いて情報記録媒体を製造する情報記録媒体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及び高速化、それに伴う動画配信等の各種サービスの拡大、ハイビジョン画像受信再生機の普及などを背景に、情報機器等が取り扱うデータ量が急速に増大している。近年、これら増大する大量のデータを保存利用する為に、大容量光ディスクあるいは大容量のハードディスクドライブの開発が盛んに行われている。特に、ハードディスクなどの記録媒体は、携帯電話、携帯用音楽記録再生装置、ビデオカメラなどのポータブル機器にも搭載されるなど、その用途が拡大し、最近では、小型大容量の記録媒体であるディスクリートトラックメディアや、パターンドメディアなどが登場するに至っている。
【0003】
上述の記録媒体の原盤となる基板などへパターンを描画する方法としては、例えば特許文献1に記載されたX−θステージを備えた電子線描画装置を用いた描画方法が考えられる。この種の電子線描画装置を用いた描画方法では、基板上に螺旋状又は同心円状のトラックに沿って任意のパターンを描画形成することができる。
【0004】
一般に、基板に描画されるドットパターンあるいはラインパターン等の形状は、電子線のドーズ量(C(クーロン)/cm)に依存する。このため、基板へのパターンの描画は、電子線の照射電流を一定にするとともに、基板表面上の電子線のスポットを所定のトラックに沿って等速で移動させながら行うことが最良であると考えられる。
【0005】
そこで、一例として特許文献1に記載された電子線描画装置を用いて、電子線の入射位置を基板上で等速に移動させながらパターンを描画する方法(CLV駆動方法)においては、基板表面の領域を、基板の回転中心を中心として複数の微小領域に分割し、この微小領域に含まれるトラック上に複数の微小パターンを描画することで、基板表面に複数の微小パターンが組み合わされた最終的なパターンを描画している。
【0006】
【特許文献1】特開2003−317327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハードディスクなどの記録媒体に関連するディスクリートトラックメディアあるいはパターンドメディア等の記録媒体は、通常中心角が相互に等しい円弧状の同一中心角パターン群が形成されるサーボエリアと、トラックに沿った長さが相互に等しい円弧状の同一長パターン群が形成されるデータエリアとを有しているが、最近では、記録容量の更なる増大を図るため、サーボエリアにも同一長パターン群を形成する方法が提案されている。
【0008】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、基板上に形成される各セクタのサーボエリア及びデータエリアに、トラックに沿った長さが相互に等しい円弧状のパターン群を精度よく形成することが可能な電子線描画装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、記録媒体に形成されるセクタのサーボエリア及びデータエリアに、トラックに沿った長さが相互に等しい円弧状のパターン群を形成するための原盤を製造する原盤製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第3の目的は、各セクタのサーボエリア及びデータエリアに、トラックに沿った長さが相互に等しい円弧状のパターン群が形成された情報記録媒体を製造するための情報記録媒体製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は第1の観点からすると、電子線を用いて、所定の基準点を中心に複数のセクタが規定された基板表面の領域を、前記基準点を中心とする等ピッチ同心円トラックに沿って露光することにより、前記同心円トラック上に複数のパターンを形成する電子線描画装置であって、前記基板表面の照射位置に向けて前記電子線を照射する照射装置と;前記照射装置に対して前記基板を相対移動して、前記照射位置を所定の等ピッチ螺旋トラックに沿って等速移動させる移動装置と;前記螺旋トラック上の前記照射位置に向けて照射された前記電子線を偏向して、前記電子線を前記所定の同心円トラック上へ入射させる偏向装置と;前記基板上の前記複数のセクタの第1領域に、前記同心円トラックに沿って第1の長さのパターンが形成され、前記セクタの前記第1領域以外の第2領域に、前記同心円トラックに沿って第2の長さのパターンが形成されるように、前記電子線をブランキングさせるブランキング装置と;を備え、前記ブランキング装置は、前記照射位置が前記第1領域を移動する間に、前記同心円トラックを前記第1の長さ毎に区分したときの第1単位トラックの個数をN、前記第1領域内の前記同心円トラック上の露光開始位置に対応する前記螺旋トラック上の位置と前記基準点との距離をR、隣接する前記同心円トラック間の前記ピッチをP、前記照射位置の前記螺旋トラックに対する相対移動速度をVとして、式2π・R/(V・N)±π・P/(V・N)を用いて算出される値を初期値とし、式±2π・P/(V・N)を用いて算出される値を増減値として決定される第1クロック信号に基づいて、前記電子線をブランキングさせることを特徴とする電子線描画装置である。
【0012】
これによれば、基板が電子線の照射位置に対して螺旋トラックに沿って相対移動され、照射位置へ向けて照射される電子線が偏向装置によって偏向されることで、基板に対する同心円トラックに沿った露光が行われる。そして、セクタ内の第1領域内では、第1基準長さに基づいて生成された第1クロック信号に基づいて電子線がブランキングされる。このため、セクタ内の第1領域内に、同心円トラックに沿ってトラックの方向の長さが第1の長さとなる円弧状の微小パターンからなるパターンを精度よく形成することが可能となる。そして、セクタ内の第2領域内では、第2基準長さに基づいて生成された第2クロック信号に基づいて電子線をブランキングさせることで、セクタ内の第2領域内に、同心円トラックに沿ってトラック方向の長さが第2の長さとなる円弧状の微小パターンからなるパターンを精度よく形成することが可能となる。
【0013】
また、本発明は第2の観点からすると、本発明の電子線描画装置によって基板にパターンを描画する工程と;前記基板上に形成されたパターンを現像する工程と;を含む情報記録媒体の原盤製造方法である。
【0014】
これによれば、原盤には、情報記録媒体のセクタに対応する領域に、トラックに沿った長さが第1の長さとなる複数の微小パターンからなるパターンと、トラック方向の長さが第2の長さとなる複数の微小パターンからなるパターンとが混在した状態で形成される。そして、この原盤を用いることにより、情報記録媒体のセクタ内の領域に、トラックに沿った長さが第1の長さとなる複数の微小パターンからなるパターンと、トラック方向の長さが第2の長さとなる複数の微小パターンからなるパターンとを混在した状態で形成することが可能となる。
【0015】
本発明は第3の観点からすると、本発明の原盤を用いて、記録媒体へパターンを転写することにより情報記録媒体を製造する情報記録媒体製造方法である。
【0016】
これによれば、情報記録媒体のセクタ内の領域に、トラックに沿った長さが第1の長さとなる複数の微小パターンからなるパターンと、トラック方向の長さが第2の長さとなる複数の微小パターンからなるパターンとが混在した状態で形成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1には本実施形態に係る電子線描画装置100の概略構成が示されている。この電子線描画装置100は、例えば真空度が10−4Pa程度の環境下において、表面にレジスト材がコーティングされた基板Wに電子線を照射して、基板Wの表面に微細パターンを描画する電子線描画装置である。本実施形態にかかる電子線描画装置100は、後述する照射ユニット10に対して基板Wを相対移動して、照射ユニット10の照射位置を図2に示される螺旋トラックSTrに沿って移動させるとともに、照射位置に向かう電子線を偏向させることにより、基板Wの回転中心oを共通の中心とする複数の同心円トラックCTr〜CTr上の露光(描画)開始位置SP〜SPから、同心円トラックCTr〜CTrに沿ってパターンを描画する。また、本実施形態では、基板Wの表面には一例として図3に着色して示されるように、基板Wの回転中心oを中心とする領域に、中心角がθsのセクタS1〜S4が規定されている。そして、それぞれのセクタS1〜S4は、セクタの境界とこの境界から距離L1だけ隔てた点線によって規定される略長方形の第1領域AL1とそれ以外の第2領域AL2とから構成されている。
【0018】
図1に示されるように、この電子線描画装置100は、電子線を基板Wに照射する照射ユニット10、基板Wが載置される回転テーブル31を備える回転テーブルユニット30、及び回転テーブルユニット30などが収容される直方体状の真空チャンバ40と、パルス信号生成装置21、フォーマット信号生成装置22、偏向信号生成装置23、回転駆動制御装置25、及び送り駆動制御装置26などを含んで構成される制御系と、上記各部を統括的に制御するコントローラ20とを有している。
【0019】
前記回転テーブルユニット30は、真空チャンバ40内部の底壁面上に配置されている。この回転テーブルユニット30は、基板Wが載置される回転テーブル31、回転テーブル31を鉛直軸回りに所定の回転数で回転する回転機構32、回転機構32をX軸方向に移動可能に支持する移動ステージ34、及び前記移動ステージ34を所定のストロークでX軸方向に駆動するスライドユニット33を備えている。
【0020】
前記回転テーブル31は、円形板状の部材であり、回転機構32によって鉛直軸回りに回転可能に保持されている。
【0021】
前記回転機構32は、回転駆動制御装置25から供給される制御信号に基づいて、前記回転テーブル31を所定の回転数で回転させる。
【0022】
前記移動ステージ34は、前記回転機構32を支持するとともに、スライドユニット33によってX軸方向に移動可能に保持されている。
【0023】
前記スライドユニット33は、送り駆動制御装置26から供給される制御信号に基づいて、前記移動ステージ34をX軸方向へ所定の速度で移動させる。
【0024】
また、上述のように構成された回転テーブルユニット30では、回転テーブル31の回転角、及び移動ステージ34の位置が、それぞれ回転角検出器37及び位置検出器38によって検出され、回転角検出器37及び位置検出器38からは、回転テーブル31の回転角及び移動ステージ34の位置に応じたパルス信号が出力されるようになっている。
【0025】
前記照射ユニット10は、長手方向をZ軸方向とするケーシング11と、該ケーシング11の内部上方から下方に向かって順次配置された、電子銃12、磁界レンズ13、ブランキング電極14、アパーチャ部材15、偏向電極16、及び対物レンズ17を備えている。
【0026】
前記ケーシング11は、下方が開放された円筒状のケーシングであり、真空チャンバ40の上面に形成された開口に、上方から隙間なく嵌合されている。そして、真空チャンバ40の内部に位置する部分は、その直径が−Z方向に向かって小さくなるテーパー形状となっている。
【0027】
前記電子銃12は、前記ケーシング11の内部上方に配置されている。この電子銃12は、陰極から熱と電界により取り出した電子を射出する熱電界放射型の電子銃であり、例えば、直径20〜50nm程度の電子線を下方(−Z方向)へ射出する。
【0028】
前記磁界レンズ13は、電子銃12の下方に配置された環状のレンズであり、電子銃12から下方に射出された電子線に対して集束する方向のパワーを作用させる。
【0029】
前記ブランキング電極14は、X軸方向に所定間隔隔てて相互に対向するように配置された1組の長方形板状の電極を有し、フォーマット信号生成装置22から供給されるブランカ制御信号Bsigに応じて、磁界レンズ13を通過した電子線を、図中の点線で示されるように+X方向へ偏向する。
【0030】
前記アパーチャ部材15は、中央に電子線が通過する開口が設けられた板状の部材である。このアパーチャ部材15は、ブランキング電極14を通過した電子線が収束する点近傍に開口が位置するように配置されている。
【0031】
前記偏向電極16は、アパーチャ部材15の下方に配置されている。この偏向電極16は、X軸方向に相互に対向するように配置された1対の電極と、Y軸方向に相互に対向するように配置された1対の電極とを有し、偏向信号生成装置23から供給される偏向制御信号Dsigに応じて、アパーチャ部材15を通過した電子線をX軸方向又Y軸方向へ偏向する。
【0032】
前記対物レンズ17は、偏向電極16の下方に配置され、偏向電極16を通過した電子線を、回転テーブル31に載置された基板Wの表面に収束する。
【0033】
上述のように構成された照射ユニット10では、電子銃12から射出された電子線は、磁界レンズ13を通過することにより集束され、アパーチャ部材15に設けられた開口近傍(以下、クロスオーバポイントという)で一旦交差される。次に、クロスオーバポイントを通過した電子線は、発散しつつアパーチャ部材15を通過することによりその形状が整形される。そして、対物レンズ17によって、回転テーブル31に載置された基板Wの表面上の所定の照射位置に収束される。
【0034】
以下、説明の便宜上、前記照射位置とは、偏向電極16によって偏向されない電子線が入射する基板W上の位置であり、対物レンズ17をはじめとする照射ユニット10の軸上の位置をいうものとする。そして、基板W上の電子線が実際に入射する位置は入射位置というものとする。本実施形態では、上述の照射位置は、基板Wの回転中心を通りX軸に平行な直線上に位置するように、照射ユニット10と回転テーブル31との相対位置が調整されている。
【0035】
また、照射ユニット10では、ブランカ制御信号Bsigに基づいてブランキング電極14が制御され、電子線がX軸方向に偏向されることで、アパーチャ部材15で電子線が遮蔽され、基板Wに対する電子線のブランキングが行われるようになっている。また、偏向制御信号Dsigに基づいて偏向電極16が制御され、電子線がX軸方向又はY軸方向に偏向されることにより、基板W上の電子線の照射位置が調整されるようになっている。
【0036】
図4は、前記パルス信号生成装置21のブロック図である。図4に示されるように、パルス信号生成装置21は、基準クロック生成装置21a、フォーマッタ駆動クロック生成装置21b、偏向クロック生成装置21c、回転指令パルス生成装置21d、及び送り指令パルス生成装置21eを有している。
【0037】
前記基準クロック生成装置21aは、電子線描画装置100を構成する各装置を制御する際の基準となる所定の周波数の基準クロック信号CLKを生成し出力する。本実施形態では、基準クロック信号CLKは、一例として図5に示されるように、その値が周期T毎にハイレベルとなる信号である。
【0038】
前記偏向クロック生成装置21c、前記回転指令パルス生成装置21d、及び前記送り指令パルス生成装置21eは、基準クロック生成装置21aによって生成された基準クロック信号CLKに基づいて、それぞれ偏向クロック信号Dclk、回転指令パルス信号Tclk、及び送りパルス信号Sclkをそれぞれ生成し出力する。
【0039】
そして、本実施形態では、前記回転駆動制御装置25が、パルス信号生成装置21からの回転指令パルス信号Tclkと、回転角検出器37からのパルス信号とを比較して、この比較結果に応じて回転機構32を駆動することで、基板Wを所定の回転数で回転させ、また、前記送り駆動制御装置26が、パルス信号生成装置21からの送りパルス信号Sclkと、位置検出器38からのパルス信号とを比較して、この比較結果に応じてスライドユニット33を駆動することによって基板WをX軸方向へ所定の速度で移動させる。電子線描画装置100では、このように、回転駆動制御装置25と送り駆動制御装置26とが協働することにより、照射ユニット10の照射位置が、図2に示される螺旋トラックSTrに沿って基板W上を等速移動するようになっている。
【0040】
また、前記偏向信号生成装置23は、パルス信号生成装置21からの偏向クロック信号Dclkに同期して、偏向制御信号Dsigを生成し、偏向電極16へ供給する。図6には、偏向信号生成装置23によって生成される偏向制御信号Dsigが示されている。図6に示されるように、偏向制御信号Dsigは基板Wの全回転角θtotが2π増加するごとに、零となるノコギリ波状の信号である。この信号が偏向電極16に供給されることで、電子線の入射位置は基板Wが1回転する間に、基板WとX軸方向の移動速度と等しい速度でX軸方向へ移動し、ブランキングされない電子線の入射位置は順次同心円トラックCTr上に位置決めされる。これにより、電子線の入射位置は、各同心円トラックCTrの描画開始位置SPから、それぞれの同心円トラックCTrに沿って、中心oを一周する。
【0041】
フォーマッタ駆動クロック生成装置21bは、コントローラ20の指示の下、基準クロック信号CLKに基づいてフォーマッタ駆動クロック信号Fclkを生成し、フォーマット信号生成装置22へ供給する。本実施形態では、一例として図7に示されるように、中心角θsのセクタ内の領域のうち、第1領域AL1に同心円トラックCTrに沿った長さが第1基準長さΔL1の微小パターンを最小構成要素とするパターンを描画し、第2領域AL2に、同心円トラックCTrに沿った長さが第2基準長さΔL2の微小パターンを最小構成要素とするパターンを描画する。以下、フォーマッタ駆動クロック信号Fclkを生成する手順について説明する。
【0042】
基板Wを回転するとともにX軸方向へ送りながら、図2中の露光開始位置SPから螺旋トラックに沿って電子線の照射位置を等速で移動させて露光を行う場合には、露光開始位置SPから螺旋トラック上の位置BP’までの間の螺旋トラックSTrの長さLは、次式(1)で示される。ただし、Rは基板Wの回転中心oから露光開始位置SPまでの距離であり、θtotは露光開始位置SPから位置BP’まで照射位置が移動するまでの基板Wの全回転角度であり、Pは螺旋トラックSTrのピッチである。また、式(1)の2項目の符号は、螺旋トラックSTrに沿って基板Wの内側から外側へ照射位置を移動させる場合には+となり、螺旋トラックSTrに沿って基板Wの外側から内側へ照射位置を移動させる場合には−となる。
【0043】
L=R・(θtot) ± P・(θtot/(4・π) …(1)
【0044】
そして、螺旋トラック上を電子線の照射位置が移動する速度をVとすると、電子線の照射位置が基準位置SPから螺旋トラックSTr上の位置BP’まで移動する時間Tは次式(2)で示される。
【0045】
T=L/V
=R・(θtot)/V ± P・(θtot/(4・π・V)…(2)
【0046】
中心角がΔθの円弧状のパターンを、セクタ内の領域に同心円トラックCTrに沿って形成する場合には、例えば図7中の同心円トラックCTrのいずれかに沿って電子線の入射位置が移動する間に、所定のタイミングで電子線をブランキングさせる必要がある。
【0047】
同心円トラックCTrを、中心角を(基準角度)Δθとする円弧に区分したときの個数をNとすると、基準角度Δθを整数倍した角度(整数倍角)θkは次式(3)で示される。そして式(2)と式(3)から次式(4)を導出することができる。なお、kは0、1、2…と連続する整数である。
【0048】
θk=Δθ・k=2π・k/N …(3)
T・k=2π・R・k/(V・N) ± π・P・k/(V・N)…(4)
【0049】
上記式(4)より、中心角を基準角度Δθとする単位パターンが描画される時間間隔(周期)は、次式(5)で示される。
【0050】
Δt(k)=t(k+1)−t(k)
=2π・R/(V・N) ± π・P・(2k+1)/(V・N
…(5)
【0051】
上記式(5)は、螺旋トラックSTrに沿って照射位置を移動させつつ電子線を偏向させて、同心円トラックCTrに沿った中心角が基準角度Δθとなる単位パターンを形成するための周期は、その初期値が次式(6)で与えられ、増減値が次式(7)で与えられることを意味している。
【0052】
2π・R/(V・N) ± π・P/(V・N)…(6)
±2π・P・(V・N)…(7)
【0053】
ところで、同心円トラックCTrに沿って形成される長さがΔLの円弧状の微小パターンそれぞれは、トラック毎にその中心角が異なるが、同一のトラック上における微小パターンにおいてはその中心角が相互に同一である。したがって、上記式(6)及び式(7)のNに、同心円トラックCTrを長さがΔLの円弧(単位トラック)に区分したときの数Nを代入することで、セクタ内の領域に同心円トラックCTrに沿って長さがΔLの単位パターンを形成するためのクロック信号の初期値及び増減値を算出することができる。
【0054】
電子線描画装置100のフォーマッタ駆動クロック生成装置21bは、セクタの第1領域AL1に同心円トラックCTrに沿って、長さがΔL1(第1基準長さ)の単位パターンを形成するためのクロック信号L1clkを生成し出力する。具体的には、初期値が次式(8)で与えられ、増減値が次式(9)で与えられるクロック信号L1clkを生成し、このクロック信号L1clkをフォーマット信号生成装置22へ出力する。なお、NL1は、同心円トラックCTrを長さがΔL1の円弧(第1単位トラック)に区分したときの個数であり、Rは、第1領域AL1の同心円トラックCTr上の露光開始位置に対応する螺旋トラック上の位置(螺旋トラックSTr上の照射位置)と基板Wの回転中心oとの距離である。
【0055】
2π・R/(V・NL1) ± π・P/(V・NL1)…(8)
±2π・P・(V・NL1)…(9)
【0056】
このクロック信号L1clkは、図5に示されるように、上記式(8)及び式(9)によって規定される周期でハイレベルとなる信号である。このクロック信号L1clkは、図5及び図7を参酌するとわかるように同心円トラックCTrに沿った長さが第1基準長さΔL1となるパターンを描画する際の描画時間TL1nを1つの単位として構成される。
【0057】
次に、フォーマッタ駆動クロック生成装置21bは、第1領域AL1への描画が終了すると、セクタの第2領域AL2に同心円トラックCTrに沿って、長さがΔL2(第2基準長さ)の単位パターンを形成するためのクロック信号L2clkを生成し出力する。なお、第1領域AL1への描画終了時の判断は、第1領域AL1への描画開始から、基準クロック信号CLKのクロック数を計数し、計数結果が予め設定された値となったことに基づいて行われる。
【0058】
具体的には、初期値が次式(10)で与えられ、増減値が次式(11)で与えられるクロック信号L2clkを生成し、このクロック信号L2clkをフォーマット信号生成装置22へ出力する。なお、NL2は、同心円トラックCTrを長さがΔL2の円弧(第2単位トラック)に区分したときの個数であり、Rは、第2領域AL2の同心円トラックCTr上の露光開始位置に対応する螺旋トラック上の位置(螺旋トラックSTr上の照射位置)と基板Wの回転中心oとの距離である。
【0059】
2π・R/(V・NL2) ± π・P/(V・NL2)…(10)
±2π・P・(V・NL2)…(11)
【0060】
このクロック信号L2clkは、図5に示されるように、上記式(10)及び式(11)によって規定される周期でハイレベルとなる信号である。このクロック信号L2clkは、図5及び図7を参酌するとわかるように同心円トラックCTrに沿った長さが第2基準長さΔL2となるパターンを描画する際の描画時間TL2mを1つの単位として構成される。
【0061】
次に、フォーマッタ駆動クロック生成装置21bは、第2領域へのクロック信号L2clkに基づく描画が終了すると、照射位置が第2領域の端部まで移動する間に電子線のブランキングを継続させるために、クロック信号SEclkを生成し、フォーマット信号生成装置22へ出力する。なお、クロック信号L2clkに基づく描画終了時の判断は、第2領域AL2への描画開始から、基準クロック信号CLKのクロック数を計数し、計数結果が予め設定された値となったことに基づいて行われる。
【0062】
このクロック信号はSEclkを生成する目的は、一例として、図8に示されるように、第2領域AL2にトラックに沿った長さが第2基準長さΔL2の単位パターンを形成すると、第2領域AL2にトラック方向の長さが第2基準長さΔL2より小さい領域SAを露光しない領域とする必要があるためである。また、第2領域AL2に形成される微小パターンの数を調整したい場合に、第2領域AL2の端部に領域SAを露光しない領域とする必要があるためである。なお、図8中のNL1及びNL2は、本実施形態では自然数を表し、NL2に関しては、第2領域AL2が扇状であるため、内周の同心円トラックから外周の同心円トラックに向かって大きくなっている。
【0063】
同心円トラックCTrを、領域SAに含まれる同心円トラックCTrに対応する円弧(第3単位トラック)に区分したときの個数をNとすると、照射位置が領域SAを横切るために要する時間TSEは次式で与えられる。なお、Rはクロック信号L2clkによるブランキングが終了したときの照射位置と基板Wの回転中心までの距離である。
【0064】
TSE=2π・R/(V・N) ± π・P/(V・N)…(12)
【0065】
フォーマッタ駆動クロック生成装置21bでは、図5を参酌するとわかるように、クロック信号L2clkによるブランキングが終了してから、上記式(12)で規定される時間TSEが経過した後にハイレベルとなるクロック信号SEclkを生成し、フォーマット信号生成装置22へ出力する。
【0066】
すなわち、フォーマッタ駆動クロック生成装置21bでは、上述のように、セクタの第1領域を照射位置が移動する間はクロック信号L1clkが生成され、照射位置が第2領域を移動する間はクロック信号L2clkが生成され、次にクロック信号SEclkが生成される。こよれにより、結果的に図5に示されるようなフォーマッタ駆動クロック信号Fclkが生成され、このフォーマッタ駆動クロック信号Fclkがフォーマット信号生成装置22へ出力されることとなる。
【0067】
フォーマット信号生成装置22は、フォーマッタ駆動クロック信号Fclkの立ち上がりに同期して、コントローラ20からの描画情報を含むブランカ制御信号Bsigを生成し、このブランカ制御信号Bsigをブランキング電極14へ供給する。これにより、セクタ内の領域のうち、第1領域AL1に、同心円トラックCTrに沿った長さが第1基準長さΔL1の微小パターンを最小構成要素とするパターンが描画され、第2領域AL2に、同心円トラックCTrnに沿った長さが第2基準長さΔL2の微小パターンを最小構成要素とするパターンが描画される。そして、クロック信号L2clkに基づく描画が終了してから時間TSEが経過するまで電子線のブランキングが行われる。
【0068】
前記コントローラ20は、一例としてCPU、照射ユニット10及び回転テーブルユニット30を制御するためのプログラムやパラメータが格納されたメモリなどを含んで構成された制御用コンピュータである。このコントローラ20は、例えばユーザからの指令に基づいて、上述したように、フォーマッタ駆動クロック生成装置21b、偏向クロック生成装置21c、回転指令パルス生成装置21d及び送り指令パルス生成装置21eに対しては、基板Wに対するパターンの描画を行うため指令等を供給する。また、フォーマット信号生成装置22に対して描画情報等を供給する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態にかかる電子線描画装置100では、基板Wが電子線の照射位置に対して螺旋トラックSTrに沿って相対移動され、照射位置へ向けて照射される電子線が偏向電極16によって偏向されることで、基板Wに対する同心円トラックCTrに沿った露光が行われる。その際に、セクタ内の第1領域AL1では、第1基準長さΔL1に基づいて生成されたクロック信号L1clkに基づいて電子線がブランキングされ、第1領域AL1内に、同心円トラックCTrに沿った長さが第1基準長さΔL1の円弧状の微小パターンからなるパターンが精度よく形成される。また、セクタ内の第2領域AL2では、第2基準長さΔL2に基づいて生成したクロック信号L2clkに基づいて電子線がブランキングされ、第2領域AL2に、同心円トラックCTrに沿った長さが第2基準長さΔL2の円弧状の微小パターンからなるパターンが精度よく形成される。
【0070】
また、フォーマッタ駆動クロック信号Fclkを生成するフォーマッタ駆動クロック生成装置21bは図9又は図10に示される構成のものを用いることができる。
【0071】
図9に示されるフォーマッタ駆動クロック生成装置21bは、クロック信号L1clkを生成する第1クロック生成部52、クロック信号L2clkを生成する第2クロック生成部53、クロック信号SEclkを生成するセクタ長調整クロック生成部54、入力される各信号L1clk,L2clk,SEclkから選択情報SELに基づいていずれかの信号を選択し、選択した信号をフォーマッタ駆動クロック信号Fclkとして出力する選択部56、及び、第1クロック生成部52、第2クロック生成部53、セクタ長調整クロック生成部54に対して、各クロック信号を生成するためのデータTA−Data、TL−Data、TSE−Dataを供給するとともに、選択部56へ選択情報SELを供給するフォーマッタ駆動クロック生成コントロール部51によって構成される。
【0072】
フォーマッタ駆動クロック生成コントロール部51は、コントローラ20から供給される、露光する露光パターンに応じたフォーマッタ駆動クロック信号Fclkを生成するためのデータCnt−Data、クロック信号L1clk、L2clk、SEclkに対応したクロック周期に関するデータ(以下、クロック周期データという)、クロック数データ、各クロックの出力順序を制御するデータなどを保持するデータ格納部と、各クロック信号の出力クロック数をカウントする計数手段などを有している。そして、形成する各領域毎に予め用意される領域形成クロック数に応じ、各クロック生成部52〜54に対するクロック周期データの更新とクロック切換え制御信号SELの出力制御を行う。これによりフォーマッタ駆動クロック信号Fclkは、周期誤差を含まない連続したフォーマッタ駆動クロックとして生成される。
【0073】
また、図10示されるフォーマッタ駆動クロック生成装置21bは、設定される周期データに基づいて、基準クロック信号CLKをもとに生成されるクロックであって、設定した周期後に生成出力されるクロックを生成する周期クロック生成部63と、この周期クロック生成部63に与えられる周期データT−Dataを、形成する領域に応じて切換える周期データセレクト部62と、フォーマッタ駆動クロック生成コントロール部61とを備えている。
【0074】
フォーマッタ駆動クロック生成コントロール部61は、コントローラ20から供給される、露光する露光パターンに応じたフォーマッタ駆動クロック信号Fclkを生成するためのデータCnt−Data、クロック信号L1clk、L2clk、SEclkに対応したクロック周期に関するデータ(以下、クロック周期データという)、クロック数データ、各クロックの出力順序を制御するデータなどを保持するデータ格納部と、各クロック信号の出力クロック数をカウントする計数手段などを有している。そして、形成する各領域毎に予め用意される領域形成クロック数に応じ、各クロック生成部52〜54に対するクロック周期データの更新とクロック切換え制御信号SELの出力制御を行う。これによりフォーマッタ駆動クロック信号Fclkは、周期誤差を含まない連続したフォーマッタ駆動クロックとして生成される。
【0075】
なお、本実施形態では同心円トラックに沿ってパターンを描画する場合について説明したが、これに限らず、本発明はスパイラルトラックに沿ってパターンを描画する場合にも好適である。
【0076】
また、本発明はハードディスクメディアへの使用が検討されているディスクリートトラックメディア及びパターンドメディアの製造に好適である。
【0077】
図11及び図12は、本発明にかかる電子線描画装置を用いて露光形成されるディスクリートトラックメディア及びパターンドメディアの露光パターンの模式図である。図11及び図12にそれぞれ示されるメディアにおいては、第1領域に、トラックアドレス、セクタアドレス、及びトラッキング用のバーストパターン等で構成されるサーボエリアが形成され、第2領域には、連続溝あるいは露光域全域においてトラック方向に等ピッチで配置されるドットパターンからなるデータエリアが形成されている。サーボエリアのパターンは、トラックを横断した連続したパターンの形成が必要な為、露光ビーム径と同等のトラックピッチによるパターン露光を行い、データエリアを形成するに際しては、パターンを露光形成しないトラックの挿入を行いながら、全体の露光が行われる。
【0078】
また、本発明にかかる電子線描画装置を用いて基板にパターンを描画し、その後基板の現像を行うことで、情報記録媒体を製造するための原盤を製作することができる。そして、この原盤を用いることで、情報記録媒体のセクタ内の領域に、トラックに沿って、第1の長さの複数の微小パターンからなるパターンと、第2の長さの複数の微小パターンからなるパターンとを混在させて形成する。
【0079】
また、本発明の電子線描画装置を用いることで、一回の連続CLV駆動露光動作によって情報記録メディアパターンが描画された原盤を作成することができるので、結果的に短期間で、高精度な情報記録メディアパターンを有する原盤を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明の電子線描画装置は、基板にパターンを描画するのに適している。また、本発明の原盤製造方法は、情報記録媒体の原盤を製造するのに適している。また、本発明の情報記録媒体製造方法は、情報記録媒体を製造するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子線描画装置の概略的な構成を示す図である。
【図2】基板表面に規定された螺旋トラック及び同心円トラックを示す図である。
【図3】基板表面に規定されたセクタの構成を示す図である。
【図4】パルス信号生成装置のブロック図である。
【図5】フォーマッタ駆動クロック信号の生成過程を説明するための図である。
【図6】偏向制御信号を示す図である。
【図7】基板上に形成されたパターンを示す図である。
【図8】セクタ内のトラックに沿った領域を概略的に示す図である。
【図9】フォーマッタ駆動クロック生成装置のブロック図(その1)である。
【図10】フォーマッタ駆動クロック生成装置のブロック図(その2)である。
【図11】本実施形態にかかる電子線描画装置を用いて製作された記録媒体を示す図(その1)である。
【図12】本実施形態にかかる電子線描画装置を用いて製作された記録媒体を示す図(その2)である。
【符号の説明】
【0082】
10…照射ユニット、11…ケーシング、12…電子銃、13…磁界レンズ、14…ブランキング電極、15…アパーチャ部材、16…偏向電極、17…対物レンズ、20…コントローラ、21…パルス信号生成装置、21a…基準クロック生成装置、21b…フォーマッタ駆動クロック生成装置、21c…偏向クロック生成装置、21d…回転指令パルス生成装置、21e…送り指令パルス生成装置、22…フォーマット信号生成装置、23…偏向信号生成装置、25…回転駆動制御装置、26…送り駆動制御装置、30…回転テーブルユニット、31…回転テーブル、32…回転機構、33…スライドユニット、34…移動ステージ、37…回転角検出器、38…位置検出器、40…真空チャンバ、51…フォーマッタ駆動クロック生成コントロール部、52…第1クロック生成部、53…第2クロック生成部、54…セクタ長調整クロック生成部、56…選択部、63…周期クロック生成部、100…電子線描画装置、W…基板、CLK…基準クロック信号、L1clk,L2clk…クロック信号、Fclk…フォーマッタ駆動クロック信号、Bsig…ブランカ制御信号、Dclk…偏向クロック信号、Dsig…偏向制御信号、Tclk…回転指令パルス信号、Sclk…送りパルス信号、AL1…第1領域、AL2…第2領域、CTr…同心円トラック、STr…螺旋トラック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線を用いて、所定の基準点を中心に複数のセクタが規定された基板表面の領域を、前記基準点を中心とする等ピッチ同心円トラックに沿って露光することにより、前記同心円トラック上に複数のパターンを形成する電子線描画装置であって、
前記基板表面の照射位置に向けて前記電子線を照射する照射装置と;
前記照射装置に対して前記基板を相対移動して、前記照射位置を所定の等ピッチ螺旋トラックに沿って等速移動させる移動装置と;
前記螺旋トラック上の前記照射位置に向けて照射された前記電子線を偏向して、前記電子線を前記所定の同心円トラック上へ入射させる偏向装置と;
前記基板上の前記複数のセクタの第1領域に、前記同心円トラックに沿って第1の長さのパターンが形成され、前記セクタの前記第1領域以外の第2領域に、前記同心円トラックに沿って第2の長さのパターンが形成されるように、前記電子線をブランキングさせるブランキング装置と;を備え、
前記ブランキング装置は、前記照射位置が前記第1領域を移動する間に、前記同心円トラックを前記第1の長さ毎に区分したときの第1単位トラックの個数をN、前記第1領域内の前記同心円トラック上の露光開始位置に対応する前記螺旋トラック上の位置と前記基準点との距離をR、隣接する前記同心円トラック間の前記ピッチをP、前記照射位置の前記螺旋トラックに対する相対移動速度をVとして、
式2π・R/(V・N)±π・P/(V・N)を用いて算出される値を初期値とし、式±2π・P/(V・N)を用いて算出される値を増減値として決定される第1クロック信号に基づいて、前記電子線をブランキングさせることを特徴とする電子線描画装置。
【請求項2】
前記ブランキング装置は、前記照射位置が前記第2領域を移動する間に、前記同心円トラックを前記第2の長さ毎に区分したときの第2単位トラックの個数をN、前記第2領域内の前記同心円トラック上の露光開始位置に対応する前記螺旋トラック上の位置と前記基準点との距離をR、隣接する前記同心円トラック間の前記ピッチをP、前記照射位置の前記螺旋トラックに対する相対移動速度をVとして、
式2π・R/(V・N)±π・P/(V・N)を用いて算出される値を初期値とし、式±2π・P/(V・N)を用いて算出される値を増減値として決定される第2クロック信号に基づいて、前記電子線をブランキングさせることを特徴とする請求項1に記載の電子線描画装置。
【請求項3】
前記ブランキング装置は、前記第2クロック信号に基づくブランキングを行った後に、前記照射位置が前記第2領域を移動する間に、
前記セクタ内の前記同心円トラックに対応する中心角から、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号に基づいてブランキングが行われる間に前記照射位置が移動した前記螺旋トラック上の経路に対応する中心角を引いた残りの角度を基準角度とし、
前記同心円トラックを基準角度毎に区分したときの第3単位トラックの個数をN、前記第2クロック信号に基づくブランキングが終了したときの前記螺旋トラック上の前記照射位置と前記基準点との距離をR、隣接する前記同心円トラック間の前記ピッチをP、前記照射位置の前記トラックに対する相対移動速度をVとして、
式2π・R/(V・N)±π・P/(V・N)を用いて算出される値に基づいて決定される第3クロック信号に基づいて、前記電子線をブランキングさせることを特徴とする請求項2に記載の電子線描画装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子線描画装置によって基板にパターンを描画する工程と;
前記基板上に形成されたパターンを現像する工程と;を含む情報記録媒体の原盤製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の原盤を用いて、記録媒体へパターンを転写することにより情報記録媒体を製造する情報記録媒体製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−205721(P2009−205721A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45347(P2008−45347)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】