説明

電子装置及びキャリブレーションプログラム

【課題】電子装置における環境の状況を検出するセンサのキャリブレーション動作を実行する際に、外部機器と物理的に接続することなく実行できるようにすること。
【解決手段】圧力に対応する圧力センサ18からのセンサ出力をA/Dコンバータ38AでA/D変換して圧力データとして取り込み、変換パラメータに基づいて補正することで圧力を求めるシステムコントローラ38は、継続的に得られる圧力データの変化が、予め決められた第1の変化率範囲内で変化された後に、予め決められた第2の変化率範囲内に予め決められた時間の間維持されたとき、その圧力データの値をFlash ROM34に記憶させ、このFlash ROM34に記憶させた圧力データ値と、同じくFlash ROM34記憶されている上記第2の変化率範囲内の場合に相当する圧力データの目標値とから、上記変換パラメータを設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサや温度センサ等の環境センサを備えた電子装置に関し、特に、環境センサのキャリブレーションに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ等の電子装置においては、その装置が置かれた環境の状況を示す物理量(気圧、水圧、温度、位置)を検出するための環境センサを備えたものが知られている。このような電子機器では、その環境センサで検出した物理量を当該電子装置が取り扱う電子データと共に利用可能である。
【0003】
例えば、特許文献1には、GPS受信機と気圧センサを有し、位置情報と高度情報とを撮影された画像データとあわせて記録できるデジタルカメラが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ストロボのホットシュウ(ストロボ接続端子)を介して外部に設けられた機器と通信可能なカメラを開示しており、不揮発性メモリにカメラの制御パラメータを通信により記憶させることが可能となっている。
【特許文献1】特開2003−283977号公報
【特許文献2】特開平5−34755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子装置が置かれた環境を測定するセンサの出力は個々に特性が異なる。したがって、センサ個々に応じてその出力を補正する必要がある。また、センサ出力にばらつきが無くとも、その処理回路の特性がばらつく場合もある。
【0006】
電子装置が置かれた環境を測定するセンサの一つとして、上記特許文献1に開示された気圧センサのような圧力センサがある。圧力を正確に測定するためには、圧力とセンサ出力の関係を正確に求める必要がある。このためには、実際に圧力センサに既知の圧力を加え、その際のセンサの出力を測定する。そして、センサ出力から圧力へ変換するパラメータを求める。
【0007】
このパラメータ求める動作は、圧力センサを搭載した電子装置個々で実行することが望ましい。このような動作は、キャリブレーション動作と呼ばれ、一般には電子装置の製造工程で行われる。キャリブレーション動作は、ユーザが通常に動作させる動作ではない。キャリブレーション動作は、一般には電子装置と製造工程に置かれた外部機器(コンピュータ)を通信ケーブルで接続させて実行させる。上記特許文献2は、ストロボ接続端子を利用してその接続を行う技術を開示している。
【0008】
しかしながら、圧力センサのキャリブレーション動作に際しては、圧力センサが組込まれた電子装置を試験槽に入れて空気或いは水を用いて圧力を加えなければならない。試験槽に入れられた電子装置とコンピュータとを通信ケーブルで接続することは物理的に困難を伴う。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、環境の状況を検出するセンサのキャリブレーション動作を実行する際に、電子装置と外部機器とを物理的に接続することなく、この動作を実行できる電子装置及びキャリブレーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電子装置の一態様は、
外部環境を示す物理量に対応する環境データを得るためのセンサと、
上記センサによって得られた環境データを変換パラメータに基づいて補正することで上記物理量を求める補正手段と、
を備える電子装置において、
上記センサによって継続的に得られる環境データの変化が、予め決められた第1の変化率範囲内で変化された後に、予め決められた第2の変化率範囲内に予め決められた時間の間維持されたとき、その環境データの値を記憶する測定値記憶手段と、
上記第2の変化率範囲内の場合に相当する環境データの目標値を記憶する目標値記憶手段と、
上記測定値記憶手段に記憶された環境データの値と上記目標値記憶手段に記憶された環境データの目標値とから、上記変換パラメータを設定する変換パラメータ設定手段と、
を具備することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のキャリブレーションプログラムの一態様は、
センサから出力される外部環境を示す物理量に対応する環境データを変換パラメータに基づいて補正して上記物理量を求めるために、上記変換パラメータを設定するキャリブレーションプログラムであって、
コンピュータに、
上記センサによって継続的に得られる環境データの変化が、予め決められた第1の変化率範囲内で変化された後に、予め決められた第2の変化率範囲内に予め決められた時間の間維持されたとき、その環境データの値を記憶させる手順と、
該記憶された環境データの値と、上記第2の変化率範囲内の場合に相当する環境データの目標値とから、上記変換パラメータを設定する手順と、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、環境の状況を検出するセンサの出力を補正するために必要なパラメータを、センサが搭載された電子装置それぞれで求めることができ、したがって、電子装置は環境の状況を示したデータを正確に取得できる。また、このパラメータを求めるキャリブレーション動作は、当該電子装置に外部機器を接続することなく実施可能となるため生産性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0014】
図1(A)及び(B)は、それぞれ、本発明の電子装置の一実施形態としてのデジタルカメラ10の外観斜視図である。
【0015】
このデジタルカメラ10は、図1(A)に示すように、正面に撮影レンズ12を備え、上面には撮影指示を行うためのレリーズSW(スイッチ)14、当該デジタルカメラ10を起動させるパワーSW16を備える。また、正面には圧力センサ18のダイアフラム18Aが配置される。ダイアフラム18Aは気圧或いは水圧を受けて変形するもので、この変形量は歪ゲージを用いて検出される。ダイアフラム18Aはデジタルカメラ10を操作する際に邪魔にならない位置(ユーザの指が掛からない位置)に配置されなければならない。また、水検出センサ20は、当該デジタルカメラ10が空気中に在るのか水中に在るのかを検出するためにある。この水検出センサ20は、2つの電極20A,20Bが水中に漬かると電流が流れる。この電流を検出することで気中と水中を判別する。
【0016】
また、デジタルカメラ10の背面には、図1(B)に示すように、W−SW(Wideスイッチ)22、T−SW(Teleスイッチ)24、十字SW26(←SW26L、→SW26R、↑SW26U、↓SW、OKSW26K)、及び液晶モニタ28が配置されている。ここで、W−SW22及びT−SW24は、撮影倍率の変更や、画像再生時の画像スクロール等に利用されるものであり、十字SW26は、デジタルカメラ10の動作モードやパラメータを設定するために利用されるものである。また、液晶モニタ28は、ライブビュー表示や撮影された画像の表示を行うだけでなく、動作モードの設定やパラメータの設定の際にも利用される。
【0017】
図2は、デジタルカメラ10の主要構成を示すブロック図である。同図において、撮像素子30は、撮影レンズ12により結像された被写体像を電気信号(アナログ電気信号)に光電変換する。撮像素子IF(インターフェース)回路32は、撮像素子30を駆動し、光電変換された電気信号に対し所定処理を行って一定形式の画像データ(デジタル電子データ)を得る。Flash ROM34には、当該デジタルカメラ10全体の動作を制御するための制御プログラム、圧力センサ18のログデータ、制御パラメータなどが記録されている。
【0018】
SDRAM(Synchronous DRAM)36は、撮像素子IF回路32により得られた画像データの一時格納用、及びシステムコントローラ38のワークエリア等として使用される。
【0019】
システムコントローラ38は、Flash ROM34に記録されている制御プログラムを読み出し実行することにより、当該デジタルカメラ10全体の動作を制御する。また、システムコントローラ38は、所定の画像処理や、画像データの圧縮/伸長処理等も行う。
【0020】
メモリカード40は、半導体の不揮発メモリや小型HDD(ハードディスク)等の、該デジタルカメラ10に対して着脱自在の記録媒体である。このメモリカード40に、撮影された画像データが所定形式(例えばJPEG)の画像ファイルとして記録される。
【0021】
音声回路42は、システムコントローラ38からの音声データを、スピーカ44を駆動する信号へ変換する。時計回路46は、年月日時分秒の時間データを生成し、システムコントローラ38へ出力する。
【0022】
圧力センサ18は、圧力を受けて変形するダイアフラム18Aとそれを検出する4つの歪ゲージ(図では、抵抗Ra、Rb、Rc、Rdとして示される)から構成される。圧力センサ18では、圧力によりダイアフラム18Aがたわみ、加わる圧力に伴い歪ゲージの抵抗率が変化する。これら4つの歪ゲージによりブリッジ回路を構成する。ブリッジ回路の一対の端子には定電流駆動回路48が接続され、他の一対の端子から圧力に応じた電圧が出力される。この電圧は、増幅回路50によって増幅されて、システムコントローラ38内に構成されたA/Dコンバータ38Aで変換可能な信号へ変換される。
【0023】
温度センサ52は、当該デジタルカメラ10の温度を検出するために利用される。
【0024】
水検出センサ20は、上述したように2つの電極20A,20Bから構成される。電極20BはGNDへ接続される。該デジタルカメラ10の外装が金属であり且つGNDに接続されているときは、この電極20Bは省略できる。電極20A,20Bの間に水があると電流が流れ、所定の抵抗値を持つ。この抵抗値と抵抗RLとにより電源電圧Vccは分圧され、コンパレータ54の+端子に印加される。このコンパレータ54の−端子には、基準電圧発生回路56から基準電圧Vrefが印加されている。而して、水が無ければ、コンパレータ54の+端子には、基準電圧発生回路56からの基準電圧Vrefよりも高い電源電圧Vccが印加され、水が有ると、+端子の電圧は電源電圧Vccが分圧されるため基準電圧Vrefよりも低くなる。この結果、コンパレータ54の出力は反転する。システムコントローラ38は、コンパレータ54の出力がハイ(High)ならば気中と判定し、出力がロウ(Low)ならば水中と判定すれば良い。
【0025】
液晶モニタ駆動回路58は、上記液晶モニタ28を駆動するもので、液晶モニタ28は、該液晶モニタ駆動回路58からの駆動信号に応じて画像や各種メニュー等を表示する。バックライト駆動回路60は、この液晶モニタ28の照明素子であるバックライト62用の発光ダイオードを駆動する。
【0026】
USB(Universal Serial Bus)コントローラ64は、当該デジタルカメラ10とUSBにより接続されている外部機器100(パーソナルコンピュータ等)との間でデータの送受信の制御を行う。
【0027】
発光ダイオード66はデジタルカメラ10の動作状態(例えば、セルフタイマの動作表示、メモリカードへのアクセス中を示す表示など)をユーザへ告知するために利用される。
【0028】
操作SW68は、当該デジタルカメラ10を操作するために利用される。上記レリーズSW14、パワーSW16、W−SW22、T−SW24、十字SW26、等を含む。
【0029】
図3は、上記のようなデジタルカメラ10の圧力センサ18のキャリブレーション動作を実施するために、デジタルカメラ10へ圧力を加える加圧試験機システム200のブロック構成図である。
【0030】
加圧試験機システム200においては、試験槽202の中に、試験されるデジタルカメラ10が置かれる。この際、デジタルカメラ10は、詳細は後述するようなキャリブレーション動作が実行されている。試験槽202には、貯水槽204と接続されているポンプ206を介して一定量の水が注水される。試験終了後、該試験槽202内の水は、排水バルブ208を開くことで貯水槽204へ戻される。
【0031】
水のみで所定の圧力をデジタルカメラ10に印加するためには、試験槽202の深さが深くなる。更に、水も大量に必要となって貯水槽204の容積も大きくなり、取り扱いが困難となる。そこで、デジタルカメラ10全体が水に接する程度に注水し、印加する圧力は空気圧で調整する。試験槽202の加圧は、コンプレッサ210から供給される空気によってなされる。コンプレッサ210からの空気圧は、圧力センサ212によって監視される。試験終了後は、排気バルブ214を開くことで圧力は減圧される。
【0032】
該加圧試験機システム200の制御は、システム制御回路216によって行われる。システム制御回路216は、所定の試験プロファイル(後述する)に従って、試験槽202に接続されたコンプレッサ210、ポンプ206、バルブ208,214等を制御する。システム制御回路216に接続された操作SW218を操作することで、試験プロファイルの設定、試験動作の開始などを指令ができる。
【0033】
図4は、デジタルカメラ10のシステムコントローラ38によって実行されるメインルーチンのフローチャートを示す図である。
【0034】
即ち、パワーSW16がONするとシステムコントローラ38は動作を開始する。そして、まず、システムの初期設定動作(メモリ初期化、IO初期化、回路ブロック初期など)を行う(ステップS10)。
【0035】
その後、外部機器100との接続が行われたか検出する(ステップS12)。USBコントローラ64は、外部機器100が接続されると割込み信号でシステムコントローラ38へ通告する。更に外部機器100との通信回線を確立するための処理を行う。このUSBコントローラ64からの通告を受けると、サブルーチン“外部機器との通信動作”が行われる(ステップS14)。
【0036】
図5は、このサブルーチン“外部機器との通信動作”のフローチャートを示す図である。このサブルーチンにおいては、USBを用いてデジタルカメラ10に接続された外部機器100(パーソナルコンピュータ等)とデータのやり取りが行われる。
【0037】
即ち、システムコントローラ38は、外部機器100から通信されたコマンドを解析して、制御パラメータの設定モードが選択されているか否かを判断する(ステップS1400)。設定モード以外の動作モードが選択されているときには、その動作モードに応じた動作を実行する(ステップS1402)。例えば、USBストレージモードが実行される場合には、外部機器100はメモリカード40の画像ファイルへアクセスすることができる。この動作が終了すると、外部機器100との接続が解除されたか否かを判別する(ステップS1404)。そして、未だ接続されたままであれば上記ステップS1400に戻り、接続が解除された場合にはメインルーチンへ復帰する。
【0038】
制御パラメータは、ユーザが設定するものではなく、工場出荷時等にメーカ側で設定するパラメータであり、特殊なコマンド等によりその設定モードに入れるようになっている。
【0039】
而して、上記ステップS1400において制御パラメータの設定モードが選択されていると判断された場合には、更に、外部機器100から通信されたコマンドを解析して、その選択された設定モードが、圧力算出パラメータの設定モードであるか否かを判断する(ステップS1406)。圧力算出パラメータ以外の制御パラメータの設定モードが選択されているときは、その選択された制御パラメータの設定動作を実行する(ステップS1408)。例えば、撮像素子30の出力から画像データへ変換する際に必要なパラメータ等が設定される。このような他の制御パラメータの設定が終了すると、外部機器100との接続が解除されたか否かを判別して(ステップS1404)、未だ接続されたままであれば上記ステップS1400に戻り、接続が解除された場合にはメインルーチンへ復帰する。
【0040】
また、上記ステップS1406において圧力算出パラメータの設定モードが選択されていると判断された場合には、圧力算出パラメータを外部機器100から受信して、Flash ROM34の所定アドレスへ格納する(ステップS1410)。この圧力算出パラメータとしては、α、β、PDset1、PDset2、Δ1、Δ2がある。この圧力算出パラメータの設定が終了すると、外部機器100との接続が解除されたか否かを判別して(ステップS1404)、未だ接続されたままであれば上記ステップS1400に戻り、接続が解除された場合にはメインルーチンへ復帰する。
【0041】
上記α及びβは、圧力センサ18のセンサ出力を圧力値へ変換する際に必要な変換パラメータである。後述するサブルーチン“キャリブレーション動作”中に算出されるものであるが、初期値として外部機器100から設定されるようになっている。
【0042】
また、上記PDset1及びPDset2は、サブルーチン“キャリブレーション動作”中にデジタルカメラ10に加えられる圧力の測定ポイントを示すパラメータである。このパラメータは、後述するサブルーチン“測定条件設定動作”で変更可能となっており、初期値として外部機器100から設定される。
【0043】
そして、上記Δ1及びΔ2は、サブルーチン“キャリブレーション動作”中に、圧力センサ18の異常を判定する際に用いられるパラメータである。
【0044】
なお、上記変換パラメータα及びβとPDset1及びPDset2との関係は、図6に示すようになっている。即ち、図6は、圧力センサ18のセンサ出力と圧力値との関係を示す図であり、横軸は圧力センサ18のセンサ出力であり、縦軸は印加された圧力を示している。
【0045】
センサ出力Sと圧力Pの関係はリニヤであり、一次関数で表現可能であると仮定すると、以下の(1)式が成立する。
【0046】
P=α・S+β …(1)
以上説明したようなサブルーチン“外部機器との通信動作”から復帰すると、上記ステップS12に戻る。
【0047】
そして、上記ステップS12において、外部機器100との接続が行われていないと判断された場合には、更に、キャリブレーション条件設定のための所定の操作、つまり上記圧力算出パラメータPDset1及びPDset2を設定するための所定の操作が行われたか否か判定する(ステップS16)。そして、そのような所定の操作が行われた場合には、サブルーチン“測定条件設定動作”が行われる(ステップS18)。この測定条件設定動作も、ユーザではなくてメーカ側で実施するため、図示しないメニューSWの特殊な操作や、電池ボックス内等に隠されたSW操作等の所定の操作によってのみ実施されるようになっている。また、上記ステップS14のサブルーチン“外部機器との通信動作”中に、特殊なコマンドを通信することで、外部機器100との接続を解除後にこのサブルーチン“測定条件設定動作”に入るような設定を行うものであっても構わない。
【0048】
図7は、このサブルーチン“測定条件設定動作”のフローチャートを示す図である。このサブルーチンでは、サブルーチン“キャリブレーション動作”中に印加される圧力を示すパラメータPDset1、PDset2の設定ができる。このパラメータは、初期値は上記ステップS1410で外部機器100から設定されるが、このサブルーチンにより必要に応じて変更できるようになっている。
【0049】
即ち、まず、Flash ROM34に現在格納されている圧力の測定ポイント(PDset1、PDset2)を読み出して液晶モニタ28へ表示する(ステップS1800)。また、第1測定ポイント(PDset1)の変更が可能であることを液晶モニタ28へ表示する(ステップS1802)。
【0050】
図8は、この場合の液晶モニタ28の表示例を示す図である。この場合、液晶モニタ28には、上記読み出した第1及び第2測定ポイントを示すためのボックス28A,28Bと、2つのパラメータの何れが変更可能であるか示すマーカ28Cとが表示される。第1測定ポイントを示すボックス28A中には、読み出した第1測定ポイント(PDset1)の圧力値がkgf/cm2の単位で表示されるとともに、それに並べて、水深に換算したデータが()中にm表示で示される。同様に、第2測定ポイントを示すボックス28Bには、読み出した第2測定ポイント(PDset2)の圧力値とその水深データとが表示される。上記ステップS1802では、マーカ28Cを第1測定ポイントを示すボックス28Aに並べて表示し、第1測定ポイント(PDset1)が変更可能であることを示す。
【0051】
なお、図8は表示の一形態を示しているに過ぎない。マーカ28Cを用いなくとも、選択されているボックスのフレームの色を変える、文字の色を変える、等の方法でも良いことは勿論である。
【0052】
上記のような表示を行った後、操作SW68の↑SW26Uもしくは↓SW26Dが操作されたか否かを判定する(ステップS1804)。ここで、そのような操作が検出されたならば、第1測定ポイントの値を所定量変化させて表示を更新し(ステップS1806)、上記ステップS1804に戻る。即ち、↑SW26Uが操作されると第1測定ポイント(PDset1)の値を所定量増加させる。一方↓SW26Dが操作されると第1測定ポイント(PDset1)の値を所定量減少させる。このようにして、デジタルカメラ10オペレータ(調整者)は、液晶モニタ28を見ながら2つのSW26U,26Dを操作することで、第1測定ポイントを変更できる。
【0053】
上記ステップS1804において↑SW26Uもしくは↓SW26Dが操作されていないと判定されたときには、更に、操作SW68のOKSW26Kが操作されたか判定する(ステップS1808)。このOKSW26Kが操作されていないと判定した場合には、上記ステップS1804に戻る。而して、OKSW26Kが操作されたと判定したならば、現在ボックス28Aに表示されている第1測定ポイント(PDset1)の値をFlash ROM34へ記憶する(ステップS1810)。
【0054】
その後、第2測定ポイント(PDset2)の変更が可能であることを液晶モニタ28へ表示する(ステップS1812)。即ち、マーカ28Cを、第2測定ポイントを示すボックス28Bの近くへ移動表示させる。
【0055】
そして、操作SW68の↑SW26Uもしくは↓SW26Dが操作されたか否かを判定する(ステップS1814)。ここで、そのような操作が検出されたならば、第2測定ポイントの値を所定量変化させて表示を更新し(ステップS1816)、上記ステップS1814に戻る。即ち、↑SW26Uが操作されると第2測定ポイント(PDset2)の値を所定量増加させる。一方↓SW26Dが操作されると第2測定ポイント(PDset2)の値を所定量減少させる。このようにして、デジタルカメラ10オペレータ(調整者)は、液晶モニタ28を見ながら2つのSW26U,26Dを操作することで、第2測定ポイントを変更できる。
【0056】
上記ステップS1814において↑SW26Uもしくは↓SW26Dが操作されていないと判定されたときには、更に、操作SW68のOKSW26Kが操作されたか判定する(ステップS1818)。このOKSW26Kが操作されていないと判定した場合には、上記ステップS1814に戻る。而して、OKSW26Kが操作されたと判定したならば、現在ボックス28Bに表示されている第2測定ポイント(PDset2)の値をFlash ROM34へ記憶する(ステップS1820)。
【0057】
そして、メインルーチンのステップS12へ復帰する。
【0058】
なお、上記のような圧力の測定ポイント(PDset1、PDset2)の変更を、液晶モニタ28や操作SW68を用いた手動操作で行うのではなくて、上記ステップS14のサブルーチン“外部機器との通信動作”中に、外部機器100から通信によって実施するようにしても構わない。
【0059】
上記ステップS16においてキャリブレーション条件設定のための所定の操作が行われていないと判定した場合には、更に、キャリブレーションモード(変換パラメータを決定する動作モード)の実行を指令する所定の操作がなされたか判定する(ステップS20)。そして、そのような所定の操作が行われた場合には、サブルーチン“キャリブレーション動作”が行われる(ステップS22)。このキャリブレーション動作も、ユーザではなくてメーカ側で実施するため、図示しないメニューSWの特殊な操作や、電池ボックス内等に隠されたSW操作等の所定の操作によってのみ実施されるようになっている。また、上記ステップS14のサブルーチン“外部機器との通信動作”中に、特殊なコマンドを通信することで、外部機器100との接続を解除後にこのサブルーチン“キャリブレーション動作”に入るような設定を行うものであっても構わない。
【0060】
ここで、上記ステップS22で実行されるサブルーチン“キャリブレーション動作”の概要を説明する。
【0061】
オペレータ(調整者)は、上記サブルーチン“キャリブレーション動作”を実行させるための上記所定の操作を行った後、当該デジタルカメラ10を、図3に示したような加圧試験機システム200における試験槽202の中に置く。そして、システム制御回路216に接続された操作SW218を操作することで、試験動作の開始を指令する。この指令に応じて、システム制御回路216は、所定の試験プロファイルにしたがって、試験槽202に接続されたコンプレッサ210、ポンプ206、バルブ等を制御する。
【0062】
図9は、この加圧試験機システム200で実行される試験プロファイルを示す図であり、縦軸は試験槽202の圧力を、横軸は時間を、それぞれ示している。ここで、各工程は、システム制御回路216によって実行される。
【0063】
工程1:ポンプ206を制御して所定量の水を試験槽202へ注入する。この水により発生する圧力は非常に小さい。水を入れる理由はデジタルカメラ10の防水性に問題がないか判断するためである。
【0064】
工程2:コンプレッサ210を制御して所定圧力(PDset1)まで加圧する。
【0065】
工程3:第1測定ポイント300で所定時間待機する。この時、圧力が所定圧力(PDset1)から変化しないように、圧力センサ212の測定値に基づいてコンプレッサ210を制御する。
【0066】
工程4:コンプレッサ210を制御して所定圧力(PDset2)まで加圧する。
【0067】
工程5:第2測定ポイント302で所定時間待機する。この時、圧力が所定圧力(PDset2)から変化しないように、圧力センサ212の測定値に基づいてコンプレッサ210を制御する。
【0068】
工程6:排気バルブ214を開いて試験槽202の圧力を減圧する。
【0069】
工程7:排水バルブ208を開いて試験槽202から水を貯水槽204へ戻す。
【0070】
以上の工程を実行後、オペレータはデジタルカメラ10を試験槽202から取り出す。
【0071】
このような試験プロファイルに従って圧力が変化される環境において、デジタルカメラ10のシステムコントローラ38は、圧力センサ18の出力の変化を監視する。そして、デジタルカメラ10が第1測定ポイントに在ること、第2測定ポイントに在ることを検出する。その後、第1測定ポイントにおける印加圧力(PDset1)とこの時測定された圧力センサ18の出力(DS1)及び第2測定ポイントにおける印加圧力(PDset2)とこの時測定された圧力センサ18の出力(DS2)とに基づき、変換パラメータを求める。そして、このキャリブレーション動作の終了時に、動作結果を液晶モニタ28へ表示する。オペレータは、この液晶モニタ28の表示をチェックすることで、デジタルカメラ10が正しく動作したか判定できる。
【0072】
図10は、このような動作を行うためのサブルーチン“キャリブレーション動作”のフローチャートを示す図である。
【0073】
即ち、システムコントローラ38は、まず、圧力センサ18のセンサ出力をA/Dコンバータ38Aで測定する開始信号を発するインターバルタイマを設定する(ステップS22200)。そして、測定動作が開始されたことをオペレータへ告知するための動作を行う(ステップS2202)。例えば、デジタルカメラ10の動作状態をユーザへ告知するために設けられている発光ダイオード66を点滅させる。また、液晶モニタ28へ開始を意味する表示を行うようにしても良い。バックライト62の点滅で示すこともできる。更には、スピーカ44から告知音やメッセージを発生するようにしても良い。
【0074】
その後、インターバルタイマからの測定開始信号の検出を行い(ステップS2204)、それが検出されるまで待つ。例えば、インターバルタイマは、1sec毎に測定開始信号を出力する。
【0075】
而して、上記ステップS2202においてインターバルタイマからの測定開始信号が検出されたと判別されたならば、A/Dコンバータ38Aを動作させて、圧力センサ18のセンサ出力を測定する。そして、そのA/Dコンバータ38Aでデジタルデータとされたセンサ出力(圧力データ)をFlash ROM34にログデータとして記憶する(ステップS2206)。その後、そのログデータから、圧力データの変化がほぼゼロか否かを判定する(ステップS2208)。圧力センサ18のセンサ出力の測定を、例えば上記のように1sec毎に実行するとした場合、前回に測定した圧力データと今回の圧力データの差分がそのまま単位時間当たりの圧力センサ18のセンサ出力の変化率となる。この変化が、ゼロ或いは、コンプレッサ210による加圧の変化率(第1の変化率)に比べて十分に低い所定の第2の変化率以下になったときは、第1測定ポイントの圧力が設定されていることになる(図9の第1測定ポイント300に対応)。該ステップS2208において、圧力データの変化がほぼゼロではない、つまり現在第1測定ポイントではないと判定された場合には、上記ステップS2204に戻る。
【0076】
これに対して、ステップS2208において、圧力データの変化がほぼゼロである、つまり現在第1測定ポイントであると判定された場合には、今回の圧力データから上記ステップS1410で設定された初期値の変換パラメータより圧力値を算出し、この圧力値が所定範囲(PDset1±Δ1)の範囲内に収まっているか否かを判定する(ステップS2210)。変換パラメータは当サブルーチンの実行後に正しい値に確定する。従って、ここで計算された圧力値は参考データとしての仮の値である。しかしこの値が想定範囲から外れているときは、以下のような原因が考えられる。
(1)圧力センサ18に異常がある。
(2)予定された圧力(PDset1)が印加されていない。
【0077】
このような場合には、該ステップS2210において算出された圧力値が所定範囲内に収まっていないと判別される。従って、そのような場合には、警告表示を行って(ステップS2212)、メインルーチンのステップS12へ復帰する。即ち、キャリブレーション動作に失敗したことを示す表示を液晶モニタ28へ行い、該サブルーチン“キャリブレーション動作”の以降の処理は実施しない。
【0078】
これに対して、上記ステップS2210において算出された圧力値が所定範囲内に収まっていると判別された場合、つまり圧力データに異常が無い場合には、所定回数、圧力センサ18のセンサ出力を測定したか否かを判定する(ステップS2214)。ここで、未だ所定回数データ測定が行われていないと判別したならば、上記ステップS2204へ戻り、上記の処理を繰り返して次の圧力データを測定することになる。
【0079】
而して、上記ステップS2214において所定回数の測定が行われたと判別されたならば、ログデータから当該第1測定ポイントにおける圧力データの平均値(DS1)を求め、Flash ROM34に記憶する(ステップS2216)。そして、第1測定ポイントでの動作が終了したことを示す告知動作を行う(ステップS2218)。例えば、デジタルカメラ10の動作状態をユーザへ告知するために設けられている発光ダイオード66を点滅させる。または、液晶モニタ28へ測定動作の成功を意味する表示を行う。バックライト62の点滅で示すこともできる。このような表示は、試験槽202を透明材料で形成しておくことで、試験槽202の外側からオペレータが確認できる。
【0080】
次に、インターバルタイマからの測定開始信号の検出を行い(ステップS2220)、それが検出されるまで待つ。而して、上記ステップS2220においてインターバルタイマからの測定開始信号が検出されたと判別されたならば、A/Dコンバータ38Aを動作させて、圧力センサ18のセンサ出力を測定し、得られた圧力データをFlash ROM34にログデータとして記憶する(ステップS2222)。その後、そのログデータから、圧力データの変化が始まったか否かを判定し(ステップS2224)、未だ変化が始まっていないと判定された場合には、上記ステップS2220に戻る。
【0081】
即ち、これらステップS2220乃至ステップS2224の動作は、圧力センサ18のセンサ出力の変化を検出するものである。図9の第1測定ポイント300においては圧力変化はなく、この第1測定ポイントが終わり、試験槽202への加圧動作が始まると圧力変化が生じる。この変化をステップS2220乃至ステップS2224で検出する。
【0082】
而して、上記ステップS2224において圧力データの変化が始まったと判別されたならば、つまり圧力変化が検出されたならば、インターバルタイマからの測定開始信号の検出を行い(ステップS2226)、それが検出されるまで待つ。
【0083】
而して、上記ステップS2226においてインターバルタイマからの測定開始信号が検出されたと判別されたならば、A/Dコンバータ38Aを動作させて、圧力センサ18のセンサ出力を測定する。そして、そのA/Dコンバータ38Aでデジタルデータとされたセンサ出力(圧力データ)をFlash ROM34にログデータとして記憶する(ステップS2228)。その後、そのログデータから、圧力データの変化がほぼゼロか否かを判定する(ステップS2230)。圧力センサ18のセンサ出力の測定を、例えば上記のように1sec毎に実行するとした場合、前回に測定した圧力データと今回の圧力データの差分がそのまま単位時間当たりの圧力センサ18のセンサ出力の変化率となる。この変化が、ゼロ或いは、コンプレッサ210による加圧の変化率(第1の変化率)に比べて十分に低い所定の第2の変化率以下になったときは、第2測定ポイントの圧力が設定されていることになる(図9の第2測定ポイント302に対応)。該ステップS2230において、圧力データの変化がほぼゼロではない、つまり現在第2測定ポイントではないと判定された場合には、上記ステップS2226に戻る。
【0084】
これに対して、ステップS2230において、圧力データの変化がほぼゼロである、つまり現在第2測定ポイントであると判定された場合には、今回の圧力データから上記ステップS1410で設定された初期値の変換パラメータより圧力値を算出し、この圧力値が所定範囲(PDset2±Δ2)の範囲内に収まっているか否かを判定する(ステップS2232)。変換パラメータは当サブルーチンの実行後に正しい値に確定する。従って、ここで計算された圧力値は参考データとしての仮の値である。しかしこの値が想定範囲から外れているときは、異常が発生したとみなして、上記ステップS2212へ移行する。
【0085】
これに対して、上記ステップS2232において算出された圧力値が所定範囲内に収まっていると判別された場合、つまり圧力データに異常が無い場合には、所定回数、圧力センサ18のセンサ出力を測定したか否かを判定する(ステップS2234)。ここで、未だ所定回数データ測定が行われていないと判別したならば、上記ステップS2226へ戻り、上記の処理を繰り返して次の圧力データを測定することになる。
【0086】
而して、上記ステップS2234において所定回数の測定が行われたと判別されたならば、ログデータから当該第2測定ポイントにおける圧力データの平均値(DS2)を求め、Flash ROM34に記憶する(ステップS2226)。そして、第2測定ポイントでの動作が終了したことを示す告知動作を行う(ステップS2228)。
【0087】
その後、上記2つの測定ポイントで印加された圧力値(PDset1、PDset2)と2つの測定ポイントで測定された圧力データの平均値(DS1,DS2)とに基づき、変換パラメータ(α、β)を算出して、Flash ROM34へ格納する(ステップS2240)。
【0088】
圧力センサ18から得られる圧力データと圧力値との関係は図6に示したようになっており、上述したような(1)式で表される。従って、上記(1)式より以下の(2)式及び(3)式が成立する。
PDset1=α・DS1+β …(2)
PDset2=α・DS2+β …(3)
ステップS2240においては、この連立方程式を解いて変換パラメータである傾きα及びオフセットβを求めるものである。
【0089】
そして、キャリブレーション動作が終了したことを示すために、測定結果を液晶モニタ28へ表示して(ステップS2242)、メインルーチンのステップS12へ復帰する。
【0090】
上記ステップS2242においては、例えば、図11のごとき表示を行う。ここで、ボックス28Dには、第1測定ポイントで測定された圧力センサ18の圧力データ(DS1)とキャリブレーション済みの変換パラメータとに基づいて算出された圧力値がkgf/cm2の単位で表示されるとともに、それに並べて、水深に換算したデータが()中にm表示で示される。更に、圧力データ(DS1)の値もmV単位で表示される。ボックス28Eには、第2測定ポイントで測定された圧力センサ18の圧力データ(DS2)とキャリブレーション済みの変換パラメータとに基づいて算出された圧力値がkgf/cm2の単位で表示されるとともに、それに並べて、水深に換算したデータが()中にm表示で示される。更に、圧力データ(DS2)の値もmV単位で表示される。そして、ボックス28Fには、求められた変換パラメータ(α、β)と変換式とが合わせて表示される。
【0091】
この表示を確認することで、オペレータはキャリブレーション動作が正しく実行されたことを判定できる。
【0092】
以上のようにして、圧力の状況を検出する圧力センサ18の出力を補正するために必要な変換パラメータを、圧力センサ18が搭載されたデジタルカメラ10それぞれで求めることができ、したがって、デジタルカメラ10は圧力の状況を示した圧力データを正確に取得できる。また、この変換パラメータを求めるキャリブレーション動作は、当該デジタルカメラ10に外部機器100を接続することなく実施可能となるため、生産性が向上する。
【0093】
また、第1及び第2の測定ポイントにおける圧力データの平均値(DS1,DS2)を用いて変換パラメータを求めることで、ノイズの影響を減らすことができる。
【0094】
ここで、上記のようにしてキャリブレーションされた圧力センサ18の利用形態について説明する。
【0095】
上記ステップS20において、キャリブレーションモードの実行を指令する所定の操作がなされていないと判定した場合、レリーズSW14が操作されたか否かを判定する(ステップS24)。
【0096】
ここで、レリーズSW14がON操作されていないと判別されたならば、圧力センサ18のセンサ出力をA/D変換して圧力データを取得する(ステップS26)。そして、上記キャリブレーション動作によってキャリブレーション済みの変換パラメータと、該取得した圧力データとに基づいて、当該デジタルカメラ10に現時点でかっている圧力値を算出する(ステップS28)。この算出した圧力値は、時計回路46から取得した時計データと共にFlash ROM34のログデータの記憶領域に格納される(ステップS30)。
【0097】
その後、Flash ROM34に記憶されているログデータを解析する(ステップS32)。図12は、このログデータの一例を示す図である。同図において、横軸は時間であり、縦軸は圧力を示している。また、縦軸には圧力値と共に水深を()で示している。
【0098】
デジタルカメラ10が水中にある時は、その深さによって動作領域が規定される。例えば、本実施形態におけるデジタルカメラ10では、水深0m以上5m未満は安全領域304と規定され、時間制限無く当該デジタルカメラ10は水中に在ることが許される。これに対して、水深5m以上10m未満は、第1警告領域306と規定され、所定時間の間は該デジタルカメラ10は水中に在ることが許される。そして、水深10m以上は第2警告領域308と規定されて、該デジタルカメラ10は時間に関らず在ってはならない。
【0099】
そこで、上記ステップS32で解析したログデータに基づき、デジタルカメラ10が第1又は第2警告領域306,308に存在するか否かを判定する(ステップS34)。ここで、該デジタルカメラ10が水深5m以上の水中にある時には、液晶モニタ28に警告表示をすると共に(ステップS36)、圧力データを監視し続けるために上記ステップS26へと戻る。
【0100】
例えば、該デジタルカメラ10が第1警告領域306に在る時間Txが所定時間未満ならば、第1警告領域306に居ることが許される時間を表示する(第1警告表示)。第1警告領域306に在る時間Txが上記所定時間を越えたときには、直ちに安全領域304へデジタルカメラ10を移動すること示す表示を行う(第2警告表示)。また、第2警告領域308にデジタルカメラ10が在る時は、第2警告表示を行う。
【0101】
図12の例では、時刻T1において第1警告領域306にデジタルカメラ10が在ると判別されて、第1警告表示310がなされ、その継続時間Txが上記所定時間未満であるので、時刻T2において第1警告表示310が終了されている。
【0102】
また、時刻T3において第1警告表示310が開始され、デジタルカメラ10は第2警告領域308までは行かないが、そのまま第1警告領域306に居続けて、その継続時間Txが時刻T4において上記所定時間を超えた時点で、第1警告表示310から第2警告表示312に切り替えられる。そして、この第2警告表示312は、該デジタルカメラ10が安全領域304に戻る時刻T5まで継続されている。
【0103】
また、時刻T6において第1警告表示310が開始され、時刻T7においてデジタルカメラ10が第2警告領域306に入ったと判別された場合には、直ちに第2警告表示312に切り替えられる。この第2警告表示312は、デジタルカメラ10が第2警告領域308から第1警告領域306に移行しても続けられ、デジタルカメラ10が安全領域304に戻った時刻T8で初めて終了される。
【0104】
なお、警告は、液晶モニタ28への表示だけでなく、発光ダイオード66を点滅させたり、スピーカ44から告知音やメッセージを発生させたりすることで、ユーザに、より注意を喚起させることが好ましい。
【0105】
また、上記ステップS34において当該デジタルカメラ10が安全領域304に在る、つまり気中或いは5m未満の水中に在ると判別された場合には、パワーSW16の操作状態を判断する(ステップS38)。ここで、パワーSW16がON状態であれば、システムの動作を継続するために、上記ステップS12へ戻る。
【0106】
これに対して、パワーSW16がOFF状態であると判別された場合には、当該デジタルカメラ10が水中に在るか否かを、Flash ROM34に記憶されたログデータ或いは水検出センサ20の出力に基づいて判定する(ステップS40)。そして、当該デジタルカメラ10が水中に居ないならば、システムダウンの処理を行い(ステップS42)、該デジタルカメラ10は動作を停止する。
【0107】
一方、当該デジタルカメラ10が水中に在る時は、たとえパワーSW16がOFF状態とされても、完全にシステムを停止することはできない。なぜならば、デジタルカメラ10が停止している間にユーザが不注意にも第1警告領域306もしくは第2警告領域308にデジタルカメラ10を移動するかもしれないからである。このような警告領域に移動したときには、ユーザに警告を発してその動作をやめさせる必要がある。
【0108】
そこで、上記ステップS40において当該デジタルカメラ10が水中に在ると判別された場合には、圧力測定に必要な機能を残し、その他の機能を停止したスタンバイモードを設定してから(ステップS44)、上記ステップS26へ移行する。この動作によって、圧力データの測定は継続され、不覚にもユーザがデジタルカメラ10を警告領域へデジタルカメラ10を移動した際には、上記ステップS36で警告動作が行われる。
【0109】
また、上記ステップS24において、レリーズSW14がON操作されたと判別された場合には、撮影動作が行われる。即ち、撮像素子IF回路32を介して画像データを取得して、所定形式(例えばJPEG)の画像ファイルに変換する(ステップS46)。そして、その撮影時の圧力値をFlash ROM34に記憶されたログデータから取得し、上記画像ファイルのヘッダ部へ付加した上で(ステップS48)、その画像ファイルをメモリカード40へ格納する(ステップS50)。そして、上記ステップS12へ移行する。
【0110】
このように、デジタルカメラ10では、圧力センサ18を利用して、当該デジタルカメラ10の動作領域外で使用された場合に、ユーザに警告を発することができる。また、撮影した画像ファイルに、撮影条件の一つとして圧力値も記録しておくことで、様々な利用可能性を提供できる。
【0111】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0112】
例えば、上記一実施形態では、圧力センサ18のセンサ出力と圧力値との関係が一次式で表現できると仮定した。より正確に圧力値を求めるために更に高い次数の式でセンサ出力と圧力値の関係を表現しても良い。その際は、2点より多い測定ポイントでの測定を行う必要がある。
【0113】
また、上記サブルーチン“キャリブレーション動作”に入るためには、上述したような所定の操作が必要であり、オペレータはその操作を行った後に、当該デジタルカメラ10を試験槽202内に設置する。そのため、所定の操作を行ってから実際の試験が開始されるまでタイムラグがある。よって、上記ステップS2204の処理によって待機する時間を、初回だけ長く待機することが必要である。この初回分の待機時間は、予め一定の時間が設定されていても良いし、上記サブルーチン“外部機器との通信動作”中で、外部機器100から設定できるようにしても良い。特に、試験槽202に複数のデジタルカメラ10を置いて同時に試験することが効率的であり、デジタルカメラ10それぞれで、試験槽202に入れられる順番によって待機時間は様々であるので、個々に設定することが好ましい。
【0114】
あるいは、時間で決めるのではなくて、上記サブルーチン“キャリブレーション動作”に入ると直ちに圧力センサ18のセンサ出力を取得して、予め決められた圧力(この場合は正確な値が検出されなくても問題はない)になるまではログデータは蓄積せずに、その圧力になってから後のセンサ出力をログデータとして記憶していくようにしても構わない。
【0115】
また、上記一実施形態では、圧力の変化がほぼゼロになったか否かで、現在、測定ポイントであるか否かを判別するようにしたが、試験プロファイルが予め決まっているならば、試験開始からの時間によって測定ポイントか否かを判別させることも可能である。
【0116】
ところで、デジタルカメラ10内には圧力センサ18以外の環境を測定するセンサが存在することもある。例えば、温度センサ52についても、上記(1)式と同様の一次式で温度とセンサ出力の関係が表現できるならば、圧力センサ18の変換パラメータの算出と共に温度センサ52の変換パラメータの算出もできる。2つの測定ポイントにおける試験槽202の温度が予め分かっていればこの計算は可能である。これにより、圧力センサ18が温度特性を有するときは、温度特性を補正するパラメータを求めることもできる。また、温度データも撮影条件の一つとして画像ファイルに記録しておくことで、様々な利用可能性を提供できる。
【0117】
また、試験槽202で所定の環境を再現しないと変換パラメータを決定できない湿度センサ、ガスセンサ等のキャリブレーション動作にも本発明は応用できる。
【0118】
なお、電子装置として、上記一実施形態はデジタルカメラ10を例に説明を行ったが、マクロコントローラで制御され環境状況を測定するセンサを備えたものであれば、どのような装置であっても本発明は応用できる。
【0119】
(付記)
前記の具体的実施形態から、以下のような構成の発明を更に抽出することができる。
【0120】
(1) 外部環境を示す物理量に対応する環境データを得るためのセンサと、
上記センサによって得られた環境データを変換パラメータに基づいて補正することで上記物理量を求める補正手段と、
を備える電子装置において、
予め決められたパターンで上記物理量を変化させた際に、上記パターンにおける予め決められた時間に、上記センサによって得られた環境データの値を記憶する測定値記憶手段と、
上記予め決められた時間における上記物理量に相当する環境データの目標値を記憶する目標値記憶手段と、
上記測定値記憶手段に記憶された環境データの値と上記目標値記憶手段に記憶された環境データの目標値とから、上記変換パラメータを設定する変換パラメータ設定手段と、
を具備することを特徴とする電子装置。
【0121】
(2) 上記パターンにおける予め決められた時間は、上記物理量の変化がほぼ0となっているときに対応するよう決められていることを特徴する(1)に記載の電子装置。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1(A)及び(B)はそれぞれ本発明の電子装置の一実施形態としてのデジタルカメラの外観斜視図である。
【図2】図2は、デジタルカメラの主要構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、デジタルカメラの圧力センサのキャリブレーション動作を実施するために、デジタルカメラへ圧力を加える加圧試験機システムのブロック構成図である。
【図4】図4は、デジタルカメラのシステムコントローラによって実行されるメインルーチンのフローチャートを示す図である。
【図5】図5は、サブルーチン“外部機器との通信動作”のフローチャートを示す図である。
【図6】図6は、圧力センサのセンサ出力と圧力値との関係を示す図である。
【図7】図7は、サブルーチン“測定条件設定動作”のフローチャートを示す図である。
【図8】図8は、サブルーチン“測定条件設定動作”の際の液晶モニタの表示例を示す図である。
【図9】図9は、加圧試験機システム実行される試験プロファイルを示す図である。
【図10】図10は、サブルーチン“キャリブレーション動作”のフローチャートを示す図である。
【図11】図11は、サブルーチン“キャリブレーション動作”が終了した際の液晶モニタの表示例を示す図である。
【図12】図12は、ログデータの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0123】
10…デジタルカメラ、 12…撮影レンズ、 14…レリーズSW、 16…パワーSW、 18,212…圧力センサ、 18A…ダイアフラム、 20…水検出センサ、 20A,20B…電極、 22…W−SW、 24…T−SW、 26…十字SW、 26L…←SW、 26R…→SW、 26U…↑SW、 26D…↓SW、 26K…OKSW、 28…液晶モニタ、 28A,28B,28D,28E,28F…ボックス、 28C…マーカ、 30…撮像素子、 32…撮像素子IF回路、 34…Flash ROM、 36…SDRAM、 38…システムコントローラ、 38A…A/Dコンバータ、 40…メモリカード、 42…音声回路、 44…スピーカ、 46…時計回路、 48…定電流駆動回路、 50…増幅回路、 52…温度センサ、 54…コンパレータ、 56…基準電圧発生回路、 58…液晶モニタ駆動回路、 60…バックライト駆動回路、 62…バックライト、 64…USBコントローラ、 66…発光ダイオード、 68,218…操作SW、 100…外部機器、 200…加圧試験機システム、 202…試験槽、 204…貯水槽、 206…ポンプ、 208…排水バルブ、 210…コンプレッサ、 214…排気バルブ、 216…システム制御回路、 300…第1測定ポイント、 302…第2測定ポイント、 304…安全領域、 306…第1警告領域、 308…第2警告領域、 310…第1警告表示、 312…第2警告表示。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部環境を示す物理量に対応する環境データを得るためのセンサと、
上記センサによって得られた環境データを変換パラメータに基づいて補正することで上記物理量を求める補正手段と、
を備える電子装置において、
上記センサによって継続的に得られる環境データの変化が、予め決められた第1の変化率範囲内で変化された後に、予め決められた第2の変化率範囲内に予め決められた時間の間維持されたとき、その環境データの値を記憶する測定値記憶手段と、
上記第2の変化率範囲内の場合に相当する環境データの目標値を記憶する目標値記憶手段と、
上記測定値記憶手段に記憶された環境データの値と上記目標値記憶手段に記憶された環境データの目標値とから、上記変換パラメータを設定する変換パラメータ設定手段と、
を具備することを特徴とする電子装置。
【請求項2】
上記第2の変化率範囲内は、上記センサによって継続的に得られる環境データの変化がほぼ0の場合であり、
上記測定値記憶手段は、上記予め決められた時間の間、上記環境データの変化がほぼ0であるときに、その間の上記環境データの値の平均値を記憶することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
上記環境データは、電子装置が存在する大気圧又は水圧を示す圧力データ、及び、電子装置が存在する温度を示す温度データ、の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
上記測定値記憶手段は、複数回、上記第1の変化率範囲内の変化後の上記第2の変化率範囲内の変化があった場合には、それぞれの第2の変化率範囲内のときの環境データの値を記憶することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
上記変換パラメータ設定手段は、Pを物理量、Sを上記センサによって得られる環境データの値、α及びβを上記変換パラメータとしたとき、上記変換パラメータα及びβが
P=α*S+β
を満足するように設定することを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
上記電子装置はデジタルカメラであることを特徴とする請求項に1乃至5記載の電子装置。
【請求項7】
センサから出力される外部環境を示す物理量に対応する環境データを変換パラメータに基づいて補正して上記物理量を求めるために、上記変換パラメータを設定するキャリブレーションプログラムであって、
コンピュータに、
上記センサによって継続的に得られる環境データの変化が、予め決められた第1の変化率範囲内で変化された後に、予め決められた第2の変化率範囲内に予め決められた時間の間維持されたとき、その環境データの値を記憶させる手順と、
該記憶された環境データの値と、上記第2の変化率範囲内の場合に相当する環境データの目標値とから、上記変換パラメータを設定する手順と、
を実行させるためのキャリブレーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−122107(P2008−122107A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303207(P2006−303207)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】