電子部品の基板実装方法及び基板実装構造
【課題】 コストの増大を抑えつつ大きなランドであっても半田が薄く伸びてしまうことなく、適正な厚みの半田フィレットを形成できる電子部品の基板実装方法及び電子部品の基板実装構造を提供する。
【解決手段】 回路基板3に形成したランド13内に電子部品の足2bを挿入する端子孔6を穿設し、ランド13内の端子孔6の近傍に半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体(ジャンパー線14の先端部)を設け、突起体と電子部品の足2bとを一体にランド13上で半田付けすることで、基板面から十分な厚みの半田フィレットを形成させる。
【解決手段】 回路基板3に形成したランド13内に電子部品の足2bを挿入する端子孔6を穿設し、ランド13内の端子孔6の近傍に半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体(ジャンパー線14の先端部)を設け、突起体と電子部品の足2bとを一体にランド13上で半田付けすることで、基板面から十分な厚みの半田フィレットを形成させる。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品を回路基板へ実装する基板実装方法及び電子部品の基板実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種電気機器に使用されている回路基板には、トランジスタやIC等の半導体部品を始め各種の電子部品を半田付けするためのランドが設けられており、特にヒートシンクと呼ばれる放熱器やフライバックトランス・電源トランス等の大型重量部品に対しては、半導体部品等の小型軽量部品のものよりも大きい面積のランドが設けられる。
【0003】図12にアルミニウムの押し出し品からなる放熱器1の基板実装構造の一例を示した。図12において、放熱器1は、その材料として熱伝導の良いアルミニウムが使用されることから、鉄製の義足板2を介して回路基板3に半田付け固定される。回路基板3には、義足板2の足2a、2bを挿入するための端子孔5,6が穿設され、端子孔5には鳩目金具8が取り付けられている。この鳩目金具8を介して義足板2の足2aが基板裏側に形成されたランド上に半田付けされる一方、義足板2の他方の足2bは端子孔6を通してランド上に半田付けされる。
【0004】図13に大型重量部品用のランド形状の一例を示した。ランド30,31は、図13(a),(b)の平面図に示すように半田付けされる端子に対して大きめの面積に形成して、半田付け強度の向上を図っている。
【0005】図14は義足板2の足2aの半田付け状態を示す断面図である。また、図15は義足板2の足2bの半田付け状態を示す断面図である。これらの図に示すように、義足板2の足2a、2bは、それぞれ半田フィレット9が形成されて回路基板3に固定される。
【0006】なお、フライバックトランスや電源トランス等の大型重量部品(図示略)に対しては、放熱器1の義足板2の足2aと同様に鳩目金具を通してランドに半田付けされる。この場合のランドは、図13(b)に示す形状と同様である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の電子部品の回路基板実装構造においては、次のような問題がある。即ち、大型重量部品用のランドは、そのランド面積がトランジスタやIC等の小型軽量部品用のランド面積より大きくなるので、実装する部品の種類や半田付けの条件によっては、設計通りの半田厚みとならずに、半田がランド上で薄く伸びてしまい、半田の厚み不足による半田付け部分の機械的強度の低下が生じることがある。このような実装状態となると、回路基板3や部品に外力や温度変化サイクルによる熱衝撃が加わったときに、半田付け部分の半田にクラックや割れが生じて、部品の脱落やがたつきを生じることがある。
【0008】例えばディスプレイ装置の場合、ディスプレイの画面サイズが異なると、回路構成が同じであっても使用する部品の定格が異なり、部品のピンの太さ等の形状は必ずしも一致していない。細いピンは太いピンより表面積が小さい分だけ半田の付着量も少ないので、半田フィレットは、ランド面積が広いほど基板面からの突起量が少ない薄く平坦な形状になってしまう。このように、画面サイズの異なるディスプレイ装置を同一条件で製造しても、均一な半田付けができない場合があり、十分な半田付け強度が得られないことがある。
【0009】そこで、使用する半田の量を全体的に増加させることで半田付け強度を向上できるが、適正な半田量を超えると、例えばICチップの端子間をブリッジさせてしまう等、他の部品に対して悪影響を及ぼすことがある。
【0010】本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、コストの増大を抑えつつ大きなランドであっても半田が薄く伸びてしまうことなく、適正な厚みの半田フィレットを形成できる電子部品の基板実装方法及び電子部品の基板実装構造を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本発明に係る請求項1記載の電子部品の基板実装方法は、回路パターンを片面にのみ形成した片面回路基板、両面に形成した両面回路基板、又は基板内を含めて多層に形成した多層回路基板のうち、いずれかの回路基板に対して電子部品を半田付けにより実装する電子部品の基板実装方法において、前記回路基板に形成したランド内に前記電子部品の端子を挿入する端子孔を穿設し、前記ランド内の前記端子孔の近傍に半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体を設け、前記突起体と前記電子部品の端子とを一体に前記ランド上で半田付けすることを特徴とする。
【0012】この電子部品の基板実装方法では、回路基板に形成したランド内に端子孔を穿設し、このランド内の端子孔の近傍に半田に対するぬれ性を有した突起体を設け、突起体と電子部品の端子とを一体にランド上で半田付けすることで、半田が突起体の存在によってランド面から盛り上がり、ランド内における半田の付着量が増大する。これにより、半田フィレットの高さが増して半田付け部分の機械的強度が向上し、回路基板に外力や温度変化による熱衝撃が負荷されても、半田にクラックや割れが生じることが防止でき、十分な機械的強度を有した信頼性の高い半田付けを行うことができる。
【0013】請求項2記載の電子部品の基板実装方法は、前記回路基板の前記ランド内で前記端子孔の近傍に少なくとも一対の開口孔を穿設し、前記回路基板の部品挿入側から前記開口孔にジャンパー線を挿入して前記開口孔から前記ジャンパー線の先端部を突出させることで前記突起体を形成することを特徴とする。
【0014】この電子部品の基板実装方法では、突起体として安価で且つ取り付けの自動化が容易なジャンパー線を用いるため、材料コストや加工コストを低減して半田付け強度を向上することができる。
【0015】請求項3記載の電子部品の基板実装方法は、前記回路基板の前記ランド内で前記端子孔の近傍に少なくとも一対の開口孔を穿設し、前記回路基板の部品挿入側から前記開口孔に伏せ型部品のリードを挿入して前記開口孔から前記伏せ型部品のリード先端部を突出させることで前記突起体を形成することを特徴とする。
【0016】この電子部品の基板実装方法では、突起体として伏せ型部品のリード先端部を用いるため、仮に回路基板の部品実装面に回路パターンが形成されて導電層が存在する場合であっても、回路パターン同士のショートや回路パターンと突起体とのショートが防止される。
【0017】請求項4記載の電子部品の実装構造は、回路パターンを片面にのみ形成した片面回路基板、両面に形成した両面回路基板、又は基板内を含めて多層に形成した多層回路基板のうち、いずれかの回路基板に対して電子部品を半田付けにより実装する電子部品の基板実装構造において、前記電子部品を前記回路基板に接続する部品端子と、前記回路基板に形成されたランドと、前記ランド内に穿設され前記部品端子を挿入する端子孔と、前記ランド内の前記端子孔の近傍に設けられ半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体とを備え、前記突起体と前記部品端子とが一体に前記ランド上で半田付けされていることを特徴とする。
【0018】この電子部品の基板実装構造では、電子部品を回路基板に半田付けするための端子と、回路基板に形成されたランドと、ランド内に穿設され端子を挿入する端子孔と、ランド内の端子孔の近傍に設けられ半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体とを備え、突起体と電子部品の端子とが一体にランド上で半田付けされることで、半田が突起体の存在によってランド面から盛り上がり、半田の付着量が増大する。これにより、半田フィレットの高さが増して半田付け部分の機械的強度が向上し、回路基板に外力や温度変化による熱衝撃が負荷されても、半田にクラックや割れが生じることが防止でき、十分な機械的強度を有した信頼性の高い半田付けを行うことができる。
【0019】請求項5記載の電子部品の実装構造は、前記突起体が、ジャンパー線の先端部であることを特徴とする。
【0020】この電子部品の基板実装構造では、突起体として安価で且つ取り付けの自動化が容易なジャンパー線を用いるため、材料コストや加工コストを低減して半田付け強度を向上することができる。
【0021】請求項6記載の電子部品の基板実装構造は、前記突起体が、伏せ型部品のリード先端部であることを特徴とする。
【0022】この電子部品の基板実装構造では、突起体として伏せ形部品のリード先端部を用いるため、仮に回路基板の部品実装面に回路パターンが形成されて導電層が存在する場合であっても、回路パターン同士のショートや回路パターンと突起体とのショートが防止される。
【0023】請求項7記載の電子部品の基板実装構造は、前記電子部品が、電子部品冷却用の放熱器であることを特徴とする。
【0024】この電子部品の基板実装構造では、放熱器のように大型の部品に対し、十分な厚みの半田フィレットを形成して回路基板へ確実に半田付けすることにより、半田付け部分の機械的強度を向上できる。このため、回路基板や部品に対して外力や、温度変化による熱衝撃が加わっても、部品の脱落や、がたつき等の発生を防止できる。
【0025】請求項8記載の電子部品の実装構造は、前記電子部品が、変圧器であることを特徴とする。
【0026】この電子部品の基板実装構造では、変圧器のように重量の嵩む部品に対して、十分な厚みの半田フィレットを形成して回路基板へ確実に半田付けすることにより、半田付け部分の機械的強度を向上できる。このため、回路基板や部品に対して外力や、温度変化による熱衝撃が加わっても、部品の脱落やがたつき等の発生を防止できる。
【0027】請求項9記載の電子部品の実装構造は、前記電子部品が、前記回路基板への実装後に外力が加えられる接続用部品であることを特徴とする。
【0028】この電子部品の基板実装構造では、コネクタ等の接続用部品のように実装後に外力の加えられる機会のある部品に対して、十分な厚みの半田フィレットを形成して回路基板へ確実に半田付けすることにより、半田付け部分の機械的強度を向上できる。このため、接続相手側との接続時に、部品の脱落やがたつき等の発生を防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電子部品の基板実装方法及び基板実装構造の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品の基板実装構造を示す斜視図であり、図2は図1に示す電子部品を回路基板へ取り付ける箇所の一部拡大図である。また、図3は回路基板の裏面から見たランド形状を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図であり、図4は図3(a)のB−B断面図である。
【0030】本実施形態においては、大型重量部品の一例として、放熱器1を回路基板3へ実装する基板実装構造を示しており、図1に示すように、回路基板3には放熱器1に固定された義足板2の足2a,2bを挿入するための端子孔5,6が穿設されている。また、端子孔5には鳩目金具8が取り付けられている。一方、義足板2の足2bが挿入される端子孔6の長手方向に対して直角方向の両側には、それぞれ一対の開口孔10a,10bが端子孔6の長手方向に離間して穿設されている。これら4つの開口孔10a,10b,10a,10bは、回路基板3裏面に形成される同一のランド13内に収まるようにそれぞれ設けられる。
【0031】上記各開口孔10a,10bには、図2に拡大して示すように、メッキジャンパー等のジャンパー線14が回路基板3の部品実装面側(図中上面)から挿入される。この場合、端子孔6両側の開口孔10a,10b,10a,10bに対して各1本ずつのジャンパー線14が、端子孔6の長手方向に対して平行に開口孔10a−10b間に挿入される。ジャンパー線14の挿入後は、回路基板3の裏面から突出したジャンパー線14の先端部分(突起体に対応する)のそれぞれを内側に所定角度屈曲させるメカニカルクリンチ処理を行い、ジャンパー線14を回路基板3に係止させる。ここで、ジャンパー線14の挿入とクリンチ処理は、周知の方法によって自動的に行われる。
【0032】上記ランド13の形状は、図3(a)に示すように、端子孔6の長手方向に対して平行となるランド13の両辺を中央部で狭めた形状として、半田が中央部で盛り上がるようにしている。また、ジャンパー線14は、図3(b)に示すようにジャンパー線14の両先端部分が内側に所定角度θ、好ましくは約45度の角度で曲げられて回路基板3に係止される。従って、ジャンパー線14は図3(b)及び図4に示すように基板面から高さhだけ突出して回路基板3に係止される。
【0033】ジャンパー線14を開口孔10a,10bに取り付けた後、義足板2の足2bを端子孔6に、また同時に足2aを端子孔5に挿入して、このジャンパー線14と共に半田付け処理を行う。ジャンパー線14が義足板2の足2b近傍で且つ同一ランド13上に取り付けられていることから、半田付けの際にジャンパー線14の両先端部分に半田が付着して、ランド13全体に対する半田付着量が増大する。そして、ジャンパー線14の両先端部分が基板面から所定角度傾斜して突起しているため、半田付け後の端子孔6の長手方向断面図である図5(a)に示すように、傾斜されて突起したジャンパー線14の両先端部分に沿って半田の盛り上がりが形成され、また、端子孔6長手方向の直角方向断面図である図5(b)に示すようにジャンパー線14が端子孔6の両側に設けられているため、義足板2の足2bを包む半田フィレット16がランド13の幅W全体に亘って大きな厚みHを有して形成される。これにより、半田付け部分の機械的強度が向上し、回路基板3に対して外力や温度変化による熱衝撃が加わっても、半田にクラックや割れが発生することを防止できる。
【0034】このように本実施形態によれば、回路基板3のランド13内に穿設した端子孔6の両側に一対の開口孔10a,10bをぞれぞれ設けて、開口孔10a−10b間にジャンパー線14を挿入し、各ジャンパー線14の両先端部分と義足板2の足2bとを一体に半田付けすることにより、ランド13上に十分な厚みの半田フィレット16を形成することができる。また、ジャンパー線14は安価であるために材料コストを低減できると共に、回路基板3への取り付けも自動化技術が確立しているため、加工コストも低減することができる。
【0035】なお、本実施形態においては、義足板2の足2a、2bのうち、足2bに対してだけジャンパー線14を用いて半田付け強度を高めているが、義足板2の足2aに対しても同様にジャンパー線14により補強した構成としても良い。義足板2の足2a側の半田付け強度を高めるには、図6に示すように鳩目金具8の両側に、回路基板3裏面に形成されたランド(図示せず)に収まるように一対の開口孔10a,10bをぞれぞれ穿設し、これら開口孔10a−10b間にジャンパー線14をそれぞれ挿入する。そして、回路基板3の裏面から突出したジャンパー線14の両先端部分を内側に所定角度折り曲げて、ジャンパー線14を回路基板3に係止させる。この場合もジャンパー線14は、基板面から高さhだけ突出して回路基板3に係止される。ここで、ランド18の形状は、図7(a)に平面図、図7(b)にC−C断面図を示すように、半田の盛り上がりを形成するためにランド18各辺の中央部分を内側に括れた形状とすることが好ましい。このようにランド18を形成することで、図8に半田付け後の状態を示すように半田付けした際、基板面からの突出厚みHの大きい半田フィレット19が形成される。
【0036】このような電子部品の基板実装構造は、フライバックトランス等の変圧器のような大型重量部品の実装に対しても好適に適用できる。図9に大型重量部品の一例としてフライバックトランス20を回路基板3に半田付けする様子を示した。図9に示すように回路基板3には、フライバックトランス20に備わる複数の部品端子4を挿入するための端子孔7が穿設され、部品端子4のうち数本乃至全端子に対応する端子孔7には、鳩目金具8を挿入すると共に鳩目金具8の両側にジャンパー線14を挿入するための開口孔10a,10bを穿設している。このようにして、大型重量部品に対して部品端子4とジャンパー線14とを共に半田付けすることにより、大型重量部品を回路基板3に対して十分な機械的強度を持たせて固定することができ、部品の脱落やがたつき等の発生を防止できる。
【0037】次に、本発明に係る電子部品の基板実装構造の第2実施形態を説明する。図10は、本実施形態における電子部品の基板実装構造を示す一部拡大斜視図である。なお、図10においては、前述した図1と共通する部分には同一の符号を付与してその説明は省略する。
【0038】本実施形態においては、前述の第1実施形態で使用したジャンパー線14に代えて、回路基板3に設けた端子孔6に対して平行に配置される伏せ型の電子部品を用いている。回路基板3の片面にだけ回路パターンが形成された片面基板の場合は、電子部品を実装する実装面側には回路パターンが形成されないのでジャンパー線14を実装面上に沿わせることができる。しかし、回路基板3の両面に回路パターンの形成された両面基板や、回路基板内部に回路パターンが形成された層を有する多層基板の場合は、実装面側にも回路パターンが形成されるので、ジャンパー線14を実装面上に沿わせると、表面に導電層を有する回路パターン同士、あるいは回路パターンとジャンパー線14とがショートする可能性を生じる。そこで、本実施形態においては、表面が絶縁材で被覆された抵抗器等の安価な伏せ型部品をダミー部品として用いて、前述したジャンパー線14の代用としている。なお、ジャンパー線14として、メッキジャンパー線の代わりに絶縁チューブが被覆されたジャンパー線を用いても良い。
【0039】また、義足板2の足2a側に対しても実装強度を高める場合は、図11に示すように、鳩目金具8の両側に一対の開口孔10a,10bをそれぞれ穿設し、これら開口孔10a−10b間に抵抗器22を挿入して、抵抗器22のリード先端部分を内側に折り曲げる。ここで、各開口孔10a,10bは同一のランド内に収まるように穿設する。このようにジャンパー線14の代わりに伏せ型の電子部品を用いることにより前述と同様な作用効果を奏することができる。また、フライバックトランス20等の変圧器のような大型重量部品に対する回路基板3への実装に際しても、同様にして鳩目金具8の両側に一対の開口孔10a、10bをそれぞれ穿設し、これら開口孔10a,10bに伏せ型部品を挿入して、大型重量部品の部品端子4と伏せ型部品のリードとを共に半田付けすることで、大型重量部品を回路基板3に対して十分な機械的強度を持たせて固定することができる。
【0040】なお、本実施形態においては、伏せ型部品として安価な抵抗器22を用いているが、この他にも例えばインダクタ、ダイオードであってもよく、回路基板3裏面に形成されるランド内の開口孔10a,10bからリードやピンが突出する電子部品であればいずれのタイプであっても適用できる。さらに、半田に対するぬれ性を有し基板面から突出する突起体を、単にランド13の表面に形成した構成であってもよい。例えば、ランド13内の一部に鉄製の微小ピンをねじ込みや打ち付けにより固定したり、ランド13内に穿設した開口孔に微小ピンの一端部を挿入して固定した構成であってもよい。
【0041】以上説明した電子部品の基板実装方法及び基板実装構造においては、大型重量部品を回路基板3へ半田付けすることを一例として示したが、これに限らず、回路基板3へ半田付けした後に外力を受けるコネクタ等の接続用部品に対しても、本発明を適用することで半田付け強度が向上し、接続時に部品が回路基板3から脱離する等の不具合を未然に防止できる。
【0042】
【発明の効果】本発明の電子部品の基板実装方法及び基板実装構造によれば、回路基板に形成したランド内に端子孔を穿設し、このランド内の端子孔の近傍に半田に対するぬれ性を有した突起体を設け、突起体と電子部品の端子とを一体にランド上で半田付けすることにより、半田が突起体の存在によってランド面から盛り上がり、半田の付着量を増大でき、半田フィレットの高さを増して半田付け部分の機械的強度を向上できる。以て、大きなランドであっても半田が薄く伸びてしまうことなく、適正な厚みの半田フィレットを形成でき、回路基板に部品に外力や温度変化による熱衝撃が負荷されても、半田にクラックや割れが生じることが防止でき、十分な機械的強度を有した信頼性の高い半田付けをコストを低減しつつ行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子部品の基板実装構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電子部品を回路基板へ取り付ける箇所の一部拡大図である。
【図3】回路基板の裏面から見たランド形状を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図4】図3(a)のB−B断面図である。
【図5】半田付け後の端子孔の断面図で、(a)は端子孔の長手方向断面図、(b)は端子孔長手方向の直角方向断面図である。
【図6】鳩目金具の両側に一対の開口孔を穿設した様子を示す図である。
【図7】ランドの形状を示す図であって(a)は平面図、(b)はC−C断面図である。
【図8】半田付け後の状態を示す図である。
【図9】フライバックトランスを回路基板に半田付けする様子を示す図である。
【図10】第2実施形態における電子部品の基板実装構造を示す一部拡大斜視図である。
【図11】鳩目金具の両側に一対の開口孔をそれぞれ穿設し、これら開口孔間に抵抗器を挿入した様子を示す図である。
【図12】従来のアルミニウムの押し出し品からなる放熱器の基板実装構造の一例を示す図である。
【図13】大型重量部品用のランド形状の一例を示す図である。
【図14】従来の義足板の足を鳩目金具を介して半田付けした状態を示す断面図である。
【図15】従来の義足板の足に対する半田付け状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 放熱器
2 義足板
2a,2b 足
3 回路基板
4 部品端子
5,6,7 端子孔
8 鳩目金具
10a,10b 開口孔
13,18 ランド
14 ジャンパー線
16,19 半田フィレット
20 フライバックトランス
22 抵抗器
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品を回路基板へ実装する基板実装方法及び電子部品の基板実装構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種電気機器に使用されている回路基板には、トランジスタやIC等の半導体部品を始め各種の電子部品を半田付けするためのランドが設けられており、特にヒートシンクと呼ばれる放熱器やフライバックトランス・電源トランス等の大型重量部品に対しては、半導体部品等の小型軽量部品のものよりも大きい面積のランドが設けられる。
【0003】図12にアルミニウムの押し出し品からなる放熱器1の基板実装構造の一例を示した。図12において、放熱器1は、その材料として熱伝導の良いアルミニウムが使用されることから、鉄製の義足板2を介して回路基板3に半田付け固定される。回路基板3には、義足板2の足2a、2bを挿入するための端子孔5,6が穿設され、端子孔5には鳩目金具8が取り付けられている。この鳩目金具8を介して義足板2の足2aが基板裏側に形成されたランド上に半田付けされる一方、義足板2の他方の足2bは端子孔6を通してランド上に半田付けされる。
【0004】図13に大型重量部品用のランド形状の一例を示した。ランド30,31は、図13(a),(b)の平面図に示すように半田付けされる端子に対して大きめの面積に形成して、半田付け強度の向上を図っている。
【0005】図14は義足板2の足2aの半田付け状態を示す断面図である。また、図15は義足板2の足2bの半田付け状態を示す断面図である。これらの図に示すように、義足板2の足2a、2bは、それぞれ半田フィレット9が形成されて回路基板3に固定される。
【0006】なお、フライバックトランスや電源トランス等の大型重量部品(図示略)に対しては、放熱器1の義足板2の足2aと同様に鳩目金具を通してランドに半田付けされる。この場合のランドは、図13(b)に示す形状と同様である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の電子部品の回路基板実装構造においては、次のような問題がある。即ち、大型重量部品用のランドは、そのランド面積がトランジスタやIC等の小型軽量部品用のランド面積より大きくなるので、実装する部品の種類や半田付けの条件によっては、設計通りの半田厚みとならずに、半田がランド上で薄く伸びてしまい、半田の厚み不足による半田付け部分の機械的強度の低下が生じることがある。このような実装状態となると、回路基板3や部品に外力や温度変化サイクルによる熱衝撃が加わったときに、半田付け部分の半田にクラックや割れが生じて、部品の脱落やがたつきを生じることがある。
【0008】例えばディスプレイ装置の場合、ディスプレイの画面サイズが異なると、回路構成が同じであっても使用する部品の定格が異なり、部品のピンの太さ等の形状は必ずしも一致していない。細いピンは太いピンより表面積が小さい分だけ半田の付着量も少ないので、半田フィレットは、ランド面積が広いほど基板面からの突起量が少ない薄く平坦な形状になってしまう。このように、画面サイズの異なるディスプレイ装置を同一条件で製造しても、均一な半田付けができない場合があり、十分な半田付け強度が得られないことがある。
【0009】そこで、使用する半田の量を全体的に増加させることで半田付け強度を向上できるが、適正な半田量を超えると、例えばICチップの端子間をブリッジさせてしまう等、他の部品に対して悪影響を及ぼすことがある。
【0010】本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、コストの増大を抑えつつ大きなランドであっても半田が薄く伸びてしまうことなく、適正な厚みの半田フィレットを形成できる電子部品の基板実装方法及び電子部品の基板実装構造を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本発明に係る請求項1記載の電子部品の基板実装方法は、回路パターンを片面にのみ形成した片面回路基板、両面に形成した両面回路基板、又は基板内を含めて多層に形成した多層回路基板のうち、いずれかの回路基板に対して電子部品を半田付けにより実装する電子部品の基板実装方法において、前記回路基板に形成したランド内に前記電子部品の端子を挿入する端子孔を穿設し、前記ランド内の前記端子孔の近傍に半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体を設け、前記突起体と前記電子部品の端子とを一体に前記ランド上で半田付けすることを特徴とする。
【0012】この電子部品の基板実装方法では、回路基板に形成したランド内に端子孔を穿設し、このランド内の端子孔の近傍に半田に対するぬれ性を有した突起体を設け、突起体と電子部品の端子とを一体にランド上で半田付けすることで、半田が突起体の存在によってランド面から盛り上がり、ランド内における半田の付着量が増大する。これにより、半田フィレットの高さが増して半田付け部分の機械的強度が向上し、回路基板に外力や温度変化による熱衝撃が負荷されても、半田にクラックや割れが生じることが防止でき、十分な機械的強度を有した信頼性の高い半田付けを行うことができる。
【0013】請求項2記載の電子部品の基板実装方法は、前記回路基板の前記ランド内で前記端子孔の近傍に少なくとも一対の開口孔を穿設し、前記回路基板の部品挿入側から前記開口孔にジャンパー線を挿入して前記開口孔から前記ジャンパー線の先端部を突出させることで前記突起体を形成することを特徴とする。
【0014】この電子部品の基板実装方法では、突起体として安価で且つ取り付けの自動化が容易なジャンパー線を用いるため、材料コストや加工コストを低減して半田付け強度を向上することができる。
【0015】請求項3記載の電子部品の基板実装方法は、前記回路基板の前記ランド内で前記端子孔の近傍に少なくとも一対の開口孔を穿設し、前記回路基板の部品挿入側から前記開口孔に伏せ型部品のリードを挿入して前記開口孔から前記伏せ型部品のリード先端部を突出させることで前記突起体を形成することを特徴とする。
【0016】この電子部品の基板実装方法では、突起体として伏せ型部品のリード先端部を用いるため、仮に回路基板の部品実装面に回路パターンが形成されて導電層が存在する場合であっても、回路パターン同士のショートや回路パターンと突起体とのショートが防止される。
【0017】請求項4記載の電子部品の実装構造は、回路パターンを片面にのみ形成した片面回路基板、両面に形成した両面回路基板、又は基板内を含めて多層に形成した多層回路基板のうち、いずれかの回路基板に対して電子部品を半田付けにより実装する電子部品の基板実装構造において、前記電子部品を前記回路基板に接続する部品端子と、前記回路基板に形成されたランドと、前記ランド内に穿設され前記部品端子を挿入する端子孔と、前記ランド内の前記端子孔の近傍に設けられ半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体とを備え、前記突起体と前記部品端子とが一体に前記ランド上で半田付けされていることを特徴とする。
【0018】この電子部品の基板実装構造では、電子部品を回路基板に半田付けするための端子と、回路基板に形成されたランドと、ランド内に穿設され端子を挿入する端子孔と、ランド内の端子孔の近傍に設けられ半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体とを備え、突起体と電子部品の端子とが一体にランド上で半田付けされることで、半田が突起体の存在によってランド面から盛り上がり、半田の付着量が増大する。これにより、半田フィレットの高さが増して半田付け部分の機械的強度が向上し、回路基板に外力や温度変化による熱衝撃が負荷されても、半田にクラックや割れが生じることが防止でき、十分な機械的強度を有した信頼性の高い半田付けを行うことができる。
【0019】請求項5記載の電子部品の実装構造は、前記突起体が、ジャンパー線の先端部であることを特徴とする。
【0020】この電子部品の基板実装構造では、突起体として安価で且つ取り付けの自動化が容易なジャンパー線を用いるため、材料コストや加工コストを低減して半田付け強度を向上することができる。
【0021】請求項6記載の電子部品の基板実装構造は、前記突起体が、伏せ型部品のリード先端部であることを特徴とする。
【0022】この電子部品の基板実装構造では、突起体として伏せ形部品のリード先端部を用いるため、仮に回路基板の部品実装面に回路パターンが形成されて導電層が存在する場合であっても、回路パターン同士のショートや回路パターンと突起体とのショートが防止される。
【0023】請求項7記載の電子部品の基板実装構造は、前記電子部品が、電子部品冷却用の放熱器であることを特徴とする。
【0024】この電子部品の基板実装構造では、放熱器のように大型の部品に対し、十分な厚みの半田フィレットを形成して回路基板へ確実に半田付けすることにより、半田付け部分の機械的強度を向上できる。このため、回路基板や部品に対して外力や、温度変化による熱衝撃が加わっても、部品の脱落や、がたつき等の発生を防止できる。
【0025】請求項8記載の電子部品の実装構造は、前記電子部品が、変圧器であることを特徴とする。
【0026】この電子部品の基板実装構造では、変圧器のように重量の嵩む部品に対して、十分な厚みの半田フィレットを形成して回路基板へ確実に半田付けすることにより、半田付け部分の機械的強度を向上できる。このため、回路基板や部品に対して外力や、温度変化による熱衝撃が加わっても、部品の脱落やがたつき等の発生を防止できる。
【0027】請求項9記載の電子部品の実装構造は、前記電子部品が、前記回路基板への実装後に外力が加えられる接続用部品であることを特徴とする。
【0028】この電子部品の基板実装構造では、コネクタ等の接続用部品のように実装後に外力の加えられる機会のある部品に対して、十分な厚みの半田フィレットを形成して回路基板へ確実に半田付けすることにより、半田付け部分の機械的強度を向上できる。このため、接続相手側との接続時に、部品の脱落やがたつき等の発生を防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電子部品の基板実装方法及び基板実装構造の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電子部品の基板実装構造を示す斜視図であり、図2は図1に示す電子部品を回路基板へ取り付ける箇所の一部拡大図である。また、図3は回路基板の裏面から見たランド形状を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図であり、図4は図3(a)のB−B断面図である。
【0030】本実施形態においては、大型重量部品の一例として、放熱器1を回路基板3へ実装する基板実装構造を示しており、図1に示すように、回路基板3には放熱器1に固定された義足板2の足2a,2bを挿入するための端子孔5,6が穿設されている。また、端子孔5には鳩目金具8が取り付けられている。一方、義足板2の足2bが挿入される端子孔6の長手方向に対して直角方向の両側には、それぞれ一対の開口孔10a,10bが端子孔6の長手方向に離間して穿設されている。これら4つの開口孔10a,10b,10a,10bは、回路基板3裏面に形成される同一のランド13内に収まるようにそれぞれ設けられる。
【0031】上記各開口孔10a,10bには、図2に拡大して示すように、メッキジャンパー等のジャンパー線14が回路基板3の部品実装面側(図中上面)から挿入される。この場合、端子孔6両側の開口孔10a,10b,10a,10bに対して各1本ずつのジャンパー線14が、端子孔6の長手方向に対して平行に開口孔10a−10b間に挿入される。ジャンパー線14の挿入後は、回路基板3の裏面から突出したジャンパー線14の先端部分(突起体に対応する)のそれぞれを内側に所定角度屈曲させるメカニカルクリンチ処理を行い、ジャンパー線14を回路基板3に係止させる。ここで、ジャンパー線14の挿入とクリンチ処理は、周知の方法によって自動的に行われる。
【0032】上記ランド13の形状は、図3(a)に示すように、端子孔6の長手方向に対して平行となるランド13の両辺を中央部で狭めた形状として、半田が中央部で盛り上がるようにしている。また、ジャンパー線14は、図3(b)に示すようにジャンパー線14の両先端部分が内側に所定角度θ、好ましくは約45度の角度で曲げられて回路基板3に係止される。従って、ジャンパー線14は図3(b)及び図4に示すように基板面から高さhだけ突出して回路基板3に係止される。
【0033】ジャンパー線14を開口孔10a,10bに取り付けた後、義足板2の足2bを端子孔6に、また同時に足2aを端子孔5に挿入して、このジャンパー線14と共に半田付け処理を行う。ジャンパー線14が義足板2の足2b近傍で且つ同一ランド13上に取り付けられていることから、半田付けの際にジャンパー線14の両先端部分に半田が付着して、ランド13全体に対する半田付着量が増大する。そして、ジャンパー線14の両先端部分が基板面から所定角度傾斜して突起しているため、半田付け後の端子孔6の長手方向断面図である図5(a)に示すように、傾斜されて突起したジャンパー線14の両先端部分に沿って半田の盛り上がりが形成され、また、端子孔6長手方向の直角方向断面図である図5(b)に示すようにジャンパー線14が端子孔6の両側に設けられているため、義足板2の足2bを包む半田フィレット16がランド13の幅W全体に亘って大きな厚みHを有して形成される。これにより、半田付け部分の機械的強度が向上し、回路基板3に対して外力や温度変化による熱衝撃が加わっても、半田にクラックや割れが発生することを防止できる。
【0034】このように本実施形態によれば、回路基板3のランド13内に穿設した端子孔6の両側に一対の開口孔10a,10bをぞれぞれ設けて、開口孔10a−10b間にジャンパー線14を挿入し、各ジャンパー線14の両先端部分と義足板2の足2bとを一体に半田付けすることにより、ランド13上に十分な厚みの半田フィレット16を形成することができる。また、ジャンパー線14は安価であるために材料コストを低減できると共に、回路基板3への取り付けも自動化技術が確立しているため、加工コストも低減することができる。
【0035】なお、本実施形態においては、義足板2の足2a、2bのうち、足2bに対してだけジャンパー線14を用いて半田付け強度を高めているが、義足板2の足2aに対しても同様にジャンパー線14により補強した構成としても良い。義足板2の足2a側の半田付け強度を高めるには、図6に示すように鳩目金具8の両側に、回路基板3裏面に形成されたランド(図示せず)に収まるように一対の開口孔10a,10bをぞれぞれ穿設し、これら開口孔10a−10b間にジャンパー線14をそれぞれ挿入する。そして、回路基板3の裏面から突出したジャンパー線14の両先端部分を内側に所定角度折り曲げて、ジャンパー線14を回路基板3に係止させる。この場合もジャンパー線14は、基板面から高さhだけ突出して回路基板3に係止される。ここで、ランド18の形状は、図7(a)に平面図、図7(b)にC−C断面図を示すように、半田の盛り上がりを形成するためにランド18各辺の中央部分を内側に括れた形状とすることが好ましい。このようにランド18を形成することで、図8に半田付け後の状態を示すように半田付けした際、基板面からの突出厚みHの大きい半田フィレット19が形成される。
【0036】このような電子部品の基板実装構造は、フライバックトランス等の変圧器のような大型重量部品の実装に対しても好適に適用できる。図9に大型重量部品の一例としてフライバックトランス20を回路基板3に半田付けする様子を示した。図9に示すように回路基板3には、フライバックトランス20に備わる複数の部品端子4を挿入するための端子孔7が穿設され、部品端子4のうち数本乃至全端子に対応する端子孔7には、鳩目金具8を挿入すると共に鳩目金具8の両側にジャンパー線14を挿入するための開口孔10a,10bを穿設している。このようにして、大型重量部品に対して部品端子4とジャンパー線14とを共に半田付けすることにより、大型重量部品を回路基板3に対して十分な機械的強度を持たせて固定することができ、部品の脱落やがたつき等の発生を防止できる。
【0037】次に、本発明に係る電子部品の基板実装構造の第2実施形態を説明する。図10は、本実施形態における電子部品の基板実装構造を示す一部拡大斜視図である。なお、図10においては、前述した図1と共通する部分には同一の符号を付与してその説明は省略する。
【0038】本実施形態においては、前述の第1実施形態で使用したジャンパー線14に代えて、回路基板3に設けた端子孔6に対して平行に配置される伏せ型の電子部品を用いている。回路基板3の片面にだけ回路パターンが形成された片面基板の場合は、電子部品を実装する実装面側には回路パターンが形成されないのでジャンパー線14を実装面上に沿わせることができる。しかし、回路基板3の両面に回路パターンの形成された両面基板や、回路基板内部に回路パターンが形成された層を有する多層基板の場合は、実装面側にも回路パターンが形成されるので、ジャンパー線14を実装面上に沿わせると、表面に導電層を有する回路パターン同士、あるいは回路パターンとジャンパー線14とがショートする可能性を生じる。そこで、本実施形態においては、表面が絶縁材で被覆された抵抗器等の安価な伏せ型部品をダミー部品として用いて、前述したジャンパー線14の代用としている。なお、ジャンパー線14として、メッキジャンパー線の代わりに絶縁チューブが被覆されたジャンパー線を用いても良い。
【0039】また、義足板2の足2a側に対しても実装強度を高める場合は、図11に示すように、鳩目金具8の両側に一対の開口孔10a,10bをそれぞれ穿設し、これら開口孔10a−10b間に抵抗器22を挿入して、抵抗器22のリード先端部分を内側に折り曲げる。ここで、各開口孔10a,10bは同一のランド内に収まるように穿設する。このようにジャンパー線14の代わりに伏せ型の電子部品を用いることにより前述と同様な作用効果を奏することができる。また、フライバックトランス20等の変圧器のような大型重量部品に対する回路基板3への実装に際しても、同様にして鳩目金具8の両側に一対の開口孔10a、10bをそれぞれ穿設し、これら開口孔10a,10bに伏せ型部品を挿入して、大型重量部品の部品端子4と伏せ型部品のリードとを共に半田付けすることで、大型重量部品を回路基板3に対して十分な機械的強度を持たせて固定することができる。
【0040】なお、本実施形態においては、伏せ型部品として安価な抵抗器22を用いているが、この他にも例えばインダクタ、ダイオードであってもよく、回路基板3裏面に形成されるランド内の開口孔10a,10bからリードやピンが突出する電子部品であればいずれのタイプであっても適用できる。さらに、半田に対するぬれ性を有し基板面から突出する突起体を、単にランド13の表面に形成した構成であってもよい。例えば、ランド13内の一部に鉄製の微小ピンをねじ込みや打ち付けにより固定したり、ランド13内に穿設した開口孔に微小ピンの一端部を挿入して固定した構成であってもよい。
【0041】以上説明した電子部品の基板実装方法及び基板実装構造においては、大型重量部品を回路基板3へ半田付けすることを一例として示したが、これに限らず、回路基板3へ半田付けした後に外力を受けるコネクタ等の接続用部品に対しても、本発明を適用することで半田付け強度が向上し、接続時に部品が回路基板3から脱離する等の不具合を未然に防止できる。
【0042】
【発明の効果】本発明の電子部品の基板実装方法及び基板実装構造によれば、回路基板に形成したランド内に端子孔を穿設し、このランド内の端子孔の近傍に半田に対するぬれ性を有した突起体を設け、突起体と電子部品の端子とを一体にランド上で半田付けすることにより、半田が突起体の存在によってランド面から盛り上がり、半田の付着量を増大でき、半田フィレットの高さを増して半田付け部分の機械的強度を向上できる。以て、大きなランドであっても半田が薄く伸びてしまうことなく、適正な厚みの半田フィレットを形成でき、回路基板に部品に外力や温度変化による熱衝撃が負荷されても、半田にクラックや割れが生じることが防止でき、十分な機械的強度を有した信頼性の高い半田付けをコストを低減しつつ行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子部品の基板実装構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電子部品を回路基板へ取り付ける箇所の一部拡大図である。
【図3】回路基板の裏面から見たランド形状を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図4】図3(a)のB−B断面図である。
【図5】半田付け後の端子孔の断面図で、(a)は端子孔の長手方向断面図、(b)は端子孔長手方向の直角方向断面図である。
【図6】鳩目金具の両側に一対の開口孔を穿設した様子を示す図である。
【図7】ランドの形状を示す図であって(a)は平面図、(b)はC−C断面図である。
【図8】半田付け後の状態を示す図である。
【図9】フライバックトランスを回路基板に半田付けする様子を示す図である。
【図10】第2実施形態における電子部品の基板実装構造を示す一部拡大斜視図である。
【図11】鳩目金具の両側に一対の開口孔をそれぞれ穿設し、これら開口孔間に抵抗器を挿入した様子を示す図である。
【図12】従来のアルミニウムの押し出し品からなる放熱器の基板実装構造の一例を示す図である。
【図13】大型重量部品用のランド形状の一例を示す図である。
【図14】従来の義足板の足を鳩目金具を介して半田付けした状態を示す断面図である。
【図15】従来の義足板の足に対する半田付け状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 放熱器
2 義足板
2a,2b 足
3 回路基板
4 部品端子
5,6,7 端子孔
8 鳩目金具
10a,10b 開口孔
13,18 ランド
14 ジャンパー線
16,19 半田フィレット
20 フライバックトランス
22 抵抗器
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回路パターンを片面にのみ形成した片面回路基板、両面に形成した両面回路基板、又は基板内を含めて多層に形成した多層回路基板のうち、いずれかの回路基板に対して電子部品を半田付けにより実装する電子部品の基板実装方法において、前記回路基板に形成したランド内に前記電子部品の端子を挿入する端子孔を穿設し、前記ランド内の前記端子孔の近傍に半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体を設け、前記突起体と前記電子部品の端子とを一体に前記ランド上で半田付けすることを特徴とする電子部品の基板実装方法。
【請求項2】 前記回路基板の前記ランド内で前記端子孔の近傍に少なくとも一対の開口孔を穿設し、前記回路基板の部品挿入側から前記開口孔にジャンパー線を挿入して前記開口孔から前記ジャンパー線の先端部を突出させることで前記突起体を形成することを特徴とする請求項1記載の電子部品の基板実装方法。
【請求項3】 前記回路基板の前記ランド内で前記端子孔の近傍に少なくとも一対の開口孔を穿設し、前記回路基板の部品挿入側から前記開口孔に伏せ型部品のリードを挿入して前記開口孔から前記伏せ型部品のリード先端部を突出させることで前記突起体を形成することを特徴とする請求項1記載の電子部品の基板実装方法。
【請求項4】 回路パターンを片面にのみ形成した片面回路基板、両面に形成した両面回路基板、又は基板内を含めて多層に形成した多層回路基板のうち、いずれかの回路基板に対して電子部品を半田付けにより実装する電子部品の基板実装構造において、前記電子部品を前記回路基板に接続する部品端子と、前記回路基板に形成されたランドと、前記ランド内に穿設され前記部品端子を挿入する端子孔と、前記ランド内の前記端子孔の近傍に設けられ半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体とを備え、前記突起体と前記部品端子とが一体に前記ランド上で半田付けされていることを特徴とする電子部品の基板実装構造。
【請求項5】 前記突起体は、ジャンパー線の先端部であることを特徴とする請求4記載の電子部品の基板実装構造。
【請求項6】 前記突起体は、伏せ型部品のリード先端部であることを特徴とする請求項4記載の電子部品の基板実装構造。
【請求項7】 前記電子部品は、電子部品冷却用の放熱器であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項記載の電子部品の基板実装構造。
【請求項8】 前記電子部品は、変圧器であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項記載の電子部品の基板実装構造。
【請求項9】 前記電子部品は、前記回路基板への実装後に外力が加えられる接続用部品であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項記載の電子部品の基板実装構造。
【請求項1】 回路パターンを片面にのみ形成した片面回路基板、両面に形成した両面回路基板、又は基板内を含めて多層に形成した多層回路基板のうち、いずれかの回路基板に対して電子部品を半田付けにより実装する電子部品の基板実装方法において、前記回路基板に形成したランド内に前記電子部品の端子を挿入する端子孔を穿設し、前記ランド内の前記端子孔の近傍に半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体を設け、前記突起体と前記電子部品の端子とを一体に前記ランド上で半田付けすることを特徴とする電子部品の基板実装方法。
【請求項2】 前記回路基板の前記ランド内で前記端子孔の近傍に少なくとも一対の開口孔を穿設し、前記回路基板の部品挿入側から前記開口孔にジャンパー線を挿入して前記開口孔から前記ジャンパー線の先端部を突出させることで前記突起体を形成することを特徴とする請求項1記載の電子部品の基板実装方法。
【請求項3】 前記回路基板の前記ランド内で前記端子孔の近傍に少なくとも一対の開口孔を穿設し、前記回路基板の部品挿入側から前記開口孔に伏せ型部品のリードを挿入して前記開口孔から前記伏せ型部品のリード先端部を突出させることで前記突起体を形成することを特徴とする請求項1記載の電子部品の基板実装方法。
【請求項4】 回路パターンを片面にのみ形成した片面回路基板、両面に形成した両面回路基板、又は基板内を含めて多層に形成した多層回路基板のうち、いずれかの回路基板に対して電子部品を半田付けにより実装する電子部品の基板実装構造において、前記電子部品を前記回路基板に接続する部品端子と、前記回路基板に形成されたランドと、前記ランド内に穿設され前記部品端子を挿入する端子孔と、前記ランド内の前記端子孔の近傍に設けられ半田に対するぬれ性を有し基板面から突起する突起体とを備え、前記突起体と前記部品端子とが一体に前記ランド上で半田付けされていることを特徴とする電子部品の基板実装構造。
【請求項5】 前記突起体は、ジャンパー線の先端部であることを特徴とする請求4記載の電子部品の基板実装構造。
【請求項6】 前記突起体は、伏せ型部品のリード先端部であることを特徴とする請求項4記載の電子部品の基板実装構造。
【請求項7】 前記電子部品は、電子部品冷却用の放熱器であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項記載の電子部品の基板実装構造。
【請求項8】 前記電子部品は、変圧器であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項記載の電子部品の基板実装構造。
【請求項9】 前記電子部品は、前記回路基板への実装後に外力が加えられる接続用部品であることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項記載の電子部品の基板実装構造。
【図2】
【図4】
【図6】
【図1】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図15】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図4】
【図6】
【図1】
【図3】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図15】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2001−332848(P2001−332848A)
【公開日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−149960(P2000−149960)
【出願日】平成12年5月22日(2000.5.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成13年11月30日(2001.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成12年5月22日(2000.5.22)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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