説明

電子部品装置

【課題】電気ノイズを遮断するシールド部材の省スペースでの搭載を可能にする。
【解決手段】センサ3をセンサ絶縁部材4にて封止し、それらを導電性の樹脂よりなるシールド部材6にて囲う。シールド部材6は、導電性であるため電気ノイズを遮断することができると共に、樹脂であるため金属板よりも形状自由度が高く、シールド部材6の省スペースでの搭載が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ノイズ対策が施された電子部品装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、センサ回路等の電子部品を備える電子部品装置のように、電気ノイズに耐性を必要とする製品では、金属板よりなるシールド部材により電子部品を囲んで電気ノイズを遮断するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−242574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、組付け性や省スペースの観点から、電子部品の形状に応じてシールド部材の形状を決定することが望ましい。しかしながら、従来の電子部品装置は、シールド部材が金属板であるため、加工方法の制約等により、シールド部材を複雑な形状に加工することが容易でない。したがって、シールド部材の組付け性が悪く、またシールド部材の省スペースでの配置を困難としている。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、シールド部材の省スペースでの搭載を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電子部品(3)と、絶縁性の樹脂よりなり、電子部品(3)を封止した絶縁部材(4)と、導電性の樹脂よりなり、絶縁部材(4)を囲うシールド部材(6、8)とを備えることを特徴とする。
【0007】
これによると、シールド部材(6、8)は、導電性であるため電気ノイズを遮断することができると共に、樹脂であるため金属板よりも形状自由度が高く、シールド部材(6、8)の省スペースでの搭載が可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、物理量に応じた電気信号を出力する電子部品(3)にターミナル(51)の一端側が電気的に接続され、樹脂製のコネクタケース(82)内にターミナル(51)の他端側が露出された電子部品装置において、絶縁性の樹脂よりなり、電子部品(3)およびターミナル(51)の一端側を封止した絶縁部材(4)と、導電性の樹脂よりなり、絶縁部材(4)を囲うシールド部(81)およびコネクタケース(82)が一体に形成されたシールド部材(8)とを備えることを特徴とする。
【0009】
これによると、請求項1の発明と同様の効果を得ることができる。また、シールド部(81)およびコネクタケース(82)を一体に形成するため加工工程を増加させることなく製造することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、物理量に応じた電気信号を出力する電子部品(3)にターミナル(51)の一端側が電気的に接続され、樹脂製のコネクタケース(7)内にターミナル(51)の他端側が露出された電子部品装置において、絶縁性の樹脂よりなり、電子部品(3)およびターミナル(51)の一端側を封止した絶縁部材(4)と、導電性の樹脂よりなり、コネクタケース(7)とは別体に形成されて絶縁部材(4)を囲うシールド部材(6)とを備えることを特徴とする。
【0011】
これによると、請求項1の発明と同様の効果を得ることができる。また、コネクタケース(7)をシールド部材(6)とは別体に形成することにより、コネクタケース(7)の材質選定の自由度が高まり、コネクタケース(7)の材質として例えば強度の高い材質を選定することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子部品装置において、電子部品(3)として内燃機関に噴射される燃料の圧力を検出する圧力センサを用いることができる。
【0013】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子部品装置を一部断面で示す図である。
【図2】図1の電子部品装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電子部品装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0016】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る電子部品装置を一部断面で示す図、図2は図1の電子部品装置の要部を拡大して示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、電子部品装置としてのインジェクタは、コモンレール(図示せず)から供給される高圧燃料が流通する高圧通路11が金属製のボデー1に形成されており、その高圧燃料は、ボデー1の下端に装着されたノズル2からディーゼル内燃機関(図示せず)の気筒内に噴射される。
【0018】
図2に示すように、ボデー1の上端近傍の外周側面には、物理量に応じた電気信号を出力する電子部品としてのセンサ3が螺合されている。このセンサ3は、より詳細には、高圧通路11の燃料圧力、すなわち内燃機関に噴射される燃料の圧力を検出するものであり、金属製のハウジング31、センサ部32、およびモールドIC33からなる。
【0019】
ハウジング31は、ボデー1に螺合するための雄ねじ部311、および高圧通路11の燃料圧力に応じて変形する薄肉部312を備えている。センサ部32は、薄肉部312に貼付され、薄肉部312の変形に応じて(換言すると、高圧通路11の燃料圧力に応じて)抵抗値が変化する。モールドIC33は、センサ部32の抵抗値変化に基づいて圧力に応じた電気信号を出力する信号処理回路用IC331、および信号処理回路用IC331と電気的に接続された接点332等を備えている。
【0020】
そして、ハウジング31の一部、センサ部32、およびモールドIC33が、絶縁性の樹脂よりなるセンサ絶縁部材4にて封止されている。
【0021】
モールドIC33に近接してターミナル集合体5が配置されている。このターミナル集合体5は、複数のターミナル51、およびこれらのターミナル51の中間部を覆う絶縁性の樹脂よりなるターミナル絶縁部材52とを備えている。
【0022】
複数のターミナル51のうちの一部のターミナルは、その一端側がセンサ3の接点332に接続されると共に、これらのターミナルの一端側は、接点332と共にセンサ絶縁部材4にて封止されている。
【0023】
複数のターミナル51のうちのその他のターミナルは、その一端側がリード線9に接続されている。なお、リード線9の他端は、ノズル2を開閉作動させる機構の一部をなすピエゾスタック(図示せず)に接続されている。
【0024】
センサ絶縁部材4、およびターミナル集合体5の一部が、導電性の樹脂よりなるシールド部材6にて囲われている。そして、シールド部材6とハウジング31とにより、センサ3が囲われている。このシールド部材6は、ボデー1に当接しており、ボデー1を介して接地されている。
【0025】
また、シールド部材6は、絶縁性の樹脂よりなるコネクタケース7にて囲まれている。さらに、全てのターミナル51の他端側は、コネクタケース7の筒部71内に露出されて、図示しない外部コネクタと接続されるようになっている。コネクタケース7は、シールド部材6とは別体に形成されている。
【0026】
なお、ボデー1にセンサ3を螺合し且つターミナル集合体5を所定位置にセットした状態で、センサ絶縁部材4を1次成形し、続いて、シールド部材6を2次成形し、さらに、コネクタケース7を3次成形する。
【0027】
上記構成になるインジェクタは、燃料圧力に応じた電気信号がセンサ3から図示しないエンジン制御用ECUに出力される。この際、シールド部材6およびハウジング31は導電性で電磁シールド性を有するため、シールド部材6とハウジング31とにより、センサ部32およびモールドIC33が配置された空間への電気ノイズの侵入が阻止される。
【0028】
そして、本実施形態では、電気ノイズを遮断するためのシールド部材6は樹脂であるため、金属板よりも形状自由度が高く、シールド部材6の省スペースでの搭載が可能となる。
【0029】
また、コネクタケース7をシールド部材6とは別体に形成することにより、コネクタケース7の材質選定の自由度が高まり、コネクタケース7の材質として例えば強度の高い材質を選定することができる。
【0030】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図3は本発明の第2実施形態に係る電子部品装置の要部を示す断面図である。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0031】
図3に示すように、導電性の樹脂よりなるシールド部材8は、センサ絶縁部材4を囲うシールド部81、およびターミナル51の露出側端部を囲うコネクタケース部82が一体に形成されている。
【0032】
そして、ボデー1にセンサ3を螺合し且つターミナル集合体5を所定位置にセットした状態で、センサ絶縁部材4を1次成形し、続いて、シールド部材8を2次成形する。
【0033】
本実施形態によると、第1実施形態と同様に、シールド部材8とハウジング31のシールド部81とにより、センサ部32およびモールドIC33が配置された空間への電気ノイズの侵入が阻止されると共に、シールド部材8の省スペースでの搭載が可能となる。
【0034】
また、シールド部81およびコネクタケース部82を一体に形成するため加工工程を増加させることなく製造することができる。
【0035】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、本発明をインジェクタに適用したが、本発明はインジェクタ以外の電子部品装置にも適用することができる。
【0036】
また、上記各実施形態では、電子部品としてセンサを示したが、本発明はセンサ以外の電子部品を備える電子部品装置にも適用することができる。
【0037】
さらに、上記各実施形態では、電子部品として圧力を検出するセンサ3を示したが、本発明は圧力以外の物理量を検出するセンサを備える電子部品装置にも適用することができる。
【0038】
上記各実施形態は、実施可能な範囲で任意に組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0039】
3 センサ(電子部品)
4 絶縁部材
6 シールド部材
8 シールド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(3)と、
絶縁性の樹脂よりなり、前記電子部品(3)を封止した絶縁部材(4)と、
導電性の樹脂よりなり、前記絶縁部材(4)を囲うシールド部材(6、8)とを備えることを特徴とする電子部品装置。
【請求項2】
物理量に応じた電気信号を出力する電子部品(3)にターミナル(51)の一端側が電気的に接続され、樹脂製のコネクタケース(82)内に前記ターミナル(51)の他端側が露出された電子部品装置において、
絶縁性の樹脂よりなり、前記電子部品(3)および前記ターミナル(51)の一端側を封止した絶縁部材(4)と、
導電性の樹脂よりなり、前記絶縁部材(4)を囲うシールド部(81)および前記コネクタケース(82)が一体に形成されたシールド部材(8)とを備えることを特徴とする電子部品装置。
【請求項3】
物理量に応じた電気信号を出力する電子部品(3)にターミナル(51)の一端側が電気的に接続され、樹脂製のコネクタケース(7)内に前記ターミナル(51)の他端側が露出された電子部品装置において、
絶縁性の樹脂よりなり、前記電子部品(3)および前記ターミナル(51)の一端側を封止した絶縁部材(4)と、
導電性の樹脂よりなり、前記コネクタケース(7)とは別体に形成されて前記絶縁部材(4)を囲うシールド部材(6)とを備えることを特徴とする電子部品装置。
【請求項4】
前記電子部品(3)は、内燃機関に噴射される燃料の圧力を検出する圧力センサであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子部品装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−215153(P2012−215153A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81934(P2011−81934)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】