電子部品製造方法
【課題】 微細な導体バターン及びビアホールを少ない工程数で短時間且つ高精度に形成することができる電子部品製造方法を提供する。
【解決手段】 導体パターン形成工程S1の塗布過程S11で塗布した基板上の感光性導体ペーストを露光過程S12で露光する。パターン状の凸部と凹部を有する第1のモールドマスクを用い、UV光を照射して、凹部内の感光性銀ペーストを硬化する。現像過程S13,焼成過程S14を経て、導体パターンを形成する。ビアホール形成工程S2の塗布過程S11で導体パターン上に塗布した感光性ガラスペーストを露光過程S22で露光する。突起状の凸部を有する第2のモールドマスクを用い、UV光を照射してビアホールに対応する部分以外を硬化させた後、現像焼成過程S23でビアホールを形成し、上層塗布過程S24で上層の感光性銀ペーストをビアホールを介して導体パターンに接続する。
【解決手段】 導体パターン形成工程S1の塗布過程S11で塗布した基板上の感光性導体ペーストを露光過程S12で露光する。パターン状の凸部と凹部を有する第1のモールドマスクを用い、UV光を照射して、凹部内の感光性銀ペーストを硬化する。現像過程S13,焼成過程S14を経て、導体パターンを形成する。ビアホール形成工程S2の塗布過程S11で導体パターン上に塗布した感光性ガラスペーストを露光過程S22で露光する。突起状の凸部を有する第2のモールドマスクを用い、UV光を照射してビアホールに対応する部分以外を硬化させた後、現像焼成過程S23でビアホールを形成し、上層塗布過程S24で上層の感光性銀ペーストをビアホールを介して導体パターンに接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、微細な配線パターンを要するチップインダクタなどの電子部品を製造するための電子部品製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップインダクタなどの電子部品に関する製造方法の一従来例として、感光性導体ペースト及び感光性絶縁ペーストをフォトリソグラフィ及び焼成を用いてパターンに形成し、電子部品を製造する技術がある(例えば特許文献1参照)。図14は、この一従来例に係る製造方法の導体パターン形成工程を示す工程図であり、図15は、ビアホール形成工程を示す工程図である。
【0003】
導体パターン形成工程は、図14(a)に示すように、ネガ型の感光性導体ペースト101′を基板100上に塗布した後、図14(b)に示すように、この感光性導体ペースト101′をフォトマスク200を用いて露光し、感光性導体ペースト101′の露光部分を硬化させる。そして、図14(c)に示すように、現像し、感光性導体ペースト101′の非露光部分を除去して、導体パターンに対応したパターン101′を形成した後、図14(d)に示すように、このパターン101′を焼成して、導体パターン101を形成する。
【0004】
そして、ビアホール形成工程では、図15(a)に示すように、ネガ型の感光性絶縁ペースト103を導体パターン101上に塗布した後、図15(b)に示すように、この感光性絶縁ペースト103をフォトマスク200を用いて露光し、感光性絶縁ペースト103の露光部分を硬化させる。そして、図15(c)に示すように、現像及び焼成して、感光性絶縁ペースト103の非露光部分を除去し、除去部分でビアホール104を形成する。しかる後、図15(d)に示すように、感光性導体ペースト101′をビアホール104に埋めるように絶縁膜上に塗布することで、基板100上の導体パターン101がビアホール104内の感光性導体ペースト101′によって上層の感光性導体ペースト101′と接続される。かかる工程を繰り返すことによって、チップインダクタなどの積層型電子部品を製造する。
【0005】
一方、半導体技術分野では、導体パターンの微細加工にインプリント法という技術が用いられている(例えば特許文献2及び特許文献3)。図20は、インプリント法による導体パターン形成工程を示す工程図であり、図21は、インプリント法によるビアホール形成工程を示す工程図である。
【0006】
導体パターン形成工程は、図20(a)に示すように、基板100上に成膜された導体膜110上にネガ型のフォトレジスト120を塗布した後、図20(b)に示すように、導体パターンに対応した凹部211を有したモールドマスク210で加圧して露光する。これにより、凹部211内のフォトレジスト120が硬化し、現像すると、図20(c)に示すように、露光部分120aが残る。そして、図20(d)に示すように、導体膜110をエッチングし、しかる後、導体パターン112上のフォトレジスト120を剥離又は除去することで、図20(e)に示すように、導体パターン112を形成する。
【0007】
そして、ビアホール形成工程では、図21(a)に示すように、導体パターン112の上に成膜された絶縁膜115上にフォトレジスト120を塗布した後、図21(b)に示すように、ビアホールに対応した凸部212を有したモールドマスク210で加圧して露光する。しかる後、現像すると、遮光膜213下側の非露光部分120bが除去され、図21(c)に示すように、この部分に絶縁膜115が露出する。かかる状態で、図21(d)に示すように、エッチングを行うと、露出された絶縁膜115の部分が除去され、この除去部分でビアホール116が形成される。そして、図21(e)に示すように、絶縁膜115上のフォトレジスト120を剥離又は除去した後、図21(f)に示すように、導体膜110をビアホール116に埋めるように塗布することで、基板100上の導体パターン112がビアホール116内の導体膜110によって上層の導体膜110と接続される。かかる工程を繰り返すことによって、微細幅の導体パターン112を有した半導体部品を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−204336号公報
【特許文献2】特開2003−272998号公報
【特許文献3】特開2000−194142号公報
【発明の概要】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
感光性導体ペースト101′や感光性絶縁ペースト103は、フォトレジストなどから比べると非常に光透過性が悪い。したがって、光がペースト101′,103の底部まで到達しないため、光硬化部分が浅く、次のような問題が生じていた。
【0011】
図16は、線幅が広い導体パターンを形成する場合に生じる問題点を示す断面図であり、図17は、線幅が狭い導体パターンを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【0012】
線幅が広い導体パターンを形成する場合には、図16(a)に示すように、フォトマスク200の開口200aも線幅に対応して広い。したがって、感光性導体ペースト101′に照射される光も多い。また、線幅が広い導体パターン101を形成する場合には、感光性導体ペースト101′に含まれる導体粒の粒径も大きくて済み、光が導体粒の隙間から底部へと比較的入り込みやすい。しかし、全ての光が感光性導体ペースト101′の底まで到達するわけでないので、図16(b)に示すように、光硬化部分101aが逆テーパ状になってしまい、配線抵抗の劣化、不安定化を招く。また、形成した導体パターン101の基板100に対する密着強度が劣化して、剥離しやすくなる。
【0013】
一方、線幅が狭い導体パターンを形成する場合には、図17(a)に示すように、フォトマスク200の開口200aも線幅に対応して狭い。したがって、感光性導体ペースト101′に照射される光も少ない。また、線幅が狭い導体パターン101を形成する場合には、導体粒の粒径が小さい感光性導体ペースト101′が必要である。このような感光性導体ペースト101′では、導体粒の隙間が狭い。このため、光の入り込みが浅く、感光性導体ペースト101′の表面付近で減衰してしまう。したがって、図17(b)に示すように、薄い光硬化部分101aが基板100から浮いた状態になり、現像及び焼成によって導体パターン101を基板100上に形成することができない。
【0014】
以上の問題はビアホールの形成時にも生じる。図18は、直径が大きなビアホール104を形成する場合に生じる問題点を示す断面図であり、図19は、直径が小さなビアホール104を形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【0015】
図18(a)に示すように、ビアホール104を形成するフォトマスク200の開口200aは広い。したがって、感光性絶縁ペースト103に照射される光も多い。そして、直径の大きなビアホール104を形成する場合には、光がフォトマスク200の遮光部200bの下側に回り込んでも、ビアホール104に対応した非硬化部分の径もほぼ所望値を維持する。しかし、全ての光が感光性絶縁ペースト103の底まで到達するわけでないので、図18(b)及び(c)に示すように、光硬化部分101aが逆テーパ状になり、非硬化部分103aがテーパ状になって、現像及び焼成後のビアホール104もテーパ状になってしまう。このように、ビアホール104がテーパ状になると、図18(d)に示すように、感光性導体ペースト101′を埋め込んだ際に、空隙104aが生じる。すなわち、「泡かみ」が発生して、電子部品の信頼性が劣化する。
【0016】
また、直径が狭いビアホール104を形成する場合には、図19(a)に示すように、フォトマスク200の遮光部200bが狭い。したがって、光が狭い遮光部200b下側に回り込んで、図19(b)に示すように、非硬化部分103aの径を必要以上に小さくしてしまう。時には、光が遮光部200bの下側全域に回り込むことがあり、かかる場合には、非硬化部分103aを形成することができず、現像及び焼成後に、図19(c)に示すように、ビアホール104がない絶縁膜103が導体パターン101上に形成されることになる。
【0017】
以上のように、従来の感光性ペーストによるフォトリソグラフィを用いた電子部品製造方法では、導体パターンやビアホールの微細加工が不可能であった。
【0018】
フォトリソグラフィに代わる微細加工技術として、前述のインプリント法がある。しかしながら、図14及び図15に示した従来例に係る製造方法に比べると、導体パターン形成工程やビアホール形成工程において、図20及び図21の(d)及び(e)に示すように、導体パターン112や絶縁膜115上のフォトレジスト120を剥離又は除去する工程が余分に必要であり、製造工程数が多い。特に多層の積層型電子部品を製造する場合に、かかる工程数の増加が莫大な製造コストの増加を招くこととなる。
【0019】
この発明は、前述した課題を解決するためになされたもので、微細な導体バターン及びビアホールを少ない工程数で短時間且つ高精度に形成することができる電子部品製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明は、基板上にネガ型の感光性導体ペーストを塗布する塗布過程と、前記塗布された感光性導体ペーストを露光する露光過程と、前記露光された感光性導体ペーストを現像して前記感光性導体ペーストによるパターンを形成する現像過程と、及び前記パターンを焼成して所望の導体パターンを形成する焼成過程と、を有した導体パターン形成工程と、
ネガ型の感光性絶縁ペーストを前記導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程と、前記塗布された感光性絶縁ペーストを露光する露光過程と、前記露光された感光性絶縁ペーストを現像した後焼成して絶縁膜を形成すると共に絶縁膜に所望径のビアホールを形成する現像焼成過程と、感光性導体ペーストを前記ビアホールに充填しながら前記絶縁膜上に塗布する上層塗布過程を有したビアホール形成工程と、
を繰り返し実行することで、積層型の電子部品を製造する電子部品製造方法であり、
前記導体パターン形成工程の露光過程は、透明な平板で形成され、前記感光性導体ペースト側を向く表面に所望の導体パターンの線間となる部分に対応した凸部が突設され、前記凸部の先端面が遮光膜で覆われた第1のモールドマスクを、前記感光性導体ペーストに押しつけた状態で、照射光を前記第1のモールドマスクの裏面側から感光性導体ペーストに向けて照射することにより、前記感光性導体ペーストを選択的に露光するものであって、
前記ビアホール形成工程の露光過程は、透明な平板で形成され、前記感光性絶縁ペースト側を向く表面に所望径のビアホールに対応した凸部が突設され、前記凸部の先端面が遮光膜で覆われた第2のモールドマスクを、前記感光性絶縁ペーストに押しつけた状態で、照射光を前記第2のモールドマスクの裏面側から感光性絶縁ペーストに向けて照射することにより、前記感光性絶縁ペーストを選択的に露光するものである、ことを特徴とする。
かかる構成により、導体パターン形成工程の塗布過程において、ネガ型の感光性導体ペーストが基板上に塗布され,露光過程において、感光性導体ペーストが露光される。この際、第1のモールドマスクが、感光性導体ペーストの上に押しつけられた状態で、照射光が第1のモールドマスクの裏面側から感光性導体ペーストに向けて照射される。すると、透明な第1のモールドマスクを通過した照射光が、感光性導体ペーストの所望の導体パターンに対応する表面に照射する。また、凸部に入射した照射光の大半は凸部先端面の遮光膜で遮光されるが、一部の照射光が、凸部の側面を通って、凸部間に存在する感光性導体ペーストの側面に照射する。これにより、凸部間に存在する導体パターンに対応する感光性導体ペーストの部分の表面と両側面とが照射光により照射されて硬化する。また、凸部の遮光膜下側の感光性導体ペーストは非露光状態になる。この結果、現像過程によって、この非露光状態の感光性導体ペーストの部分が除去され、導体パターンに対応した硬化部分が残る。そして、焼成過程によって、露光され硬化した導体パターンに対応した感光性導体ペーストの硬化部分が焼成され、導体パターンが基板上に形成される。しかる後、ビアホール形成工程の塗布過程によって、ネガ型の感光性絶縁ペーストが導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布され、露光過程によって、この感光性絶縁ペーストが露光される。この際、第2のモールドマスクが、感光性絶縁ペーストの上に押しつけられた状態で、照射光が第2のモールドマスクの裏面側から感光性絶縁ペーストに向けて照射される。すると、透明な第2のモールドマスクを通過した照射光が、感光性絶縁ペーストの表面に照射する。また、凸部に入射した照射光は、凸部の遮光膜によって遮られて、ビアホールに対応する感光性絶縁ペーストの部分には照射されない。しかし、凸部に入射した照射光の大半は凸部先端面の遮光膜で遮光されるが、一部の照射光が、凸部の側面を通って、凸部間に存在する感光性絶縁ペーストの側面に照射する。これにより、凸部間に存在する感光性絶縁ペーストの部分の表面と両側面とが照射光により照射されて硬化する。すなわち、ビアホールの内面に相当する部分が硬化される。また、凸部の遮光膜下側の感光性絶縁ペーストは非露光状態になる。この結果、現像過程によって、この非露光状態の感光性絶縁ペーストの部分が除去され、ビアホールに対応した孔が形成される。その後焼成されて、絶縁膜が形成されると共に絶縁膜に所望径のビアホールが形成される。しかる後、上層塗布過程が実行されて、感光性導体ペーストがビアホールに充填されながら絶縁膜上に塗布され、基板上の導体パターンがビアホールを通じて上層の感光性導体ペーストと電気的に接続される。かかる導体パターン形成工程とビアホール形成工程とが繰り返されることで、積層型の電子部品が製造される。
【0021】
また、電子部品製造方法において、前記遮光膜は、光反射性を有する単層もしくは多層の金属膜である、ことを特徴とする。
かかる構成により、凸部に入射した照射光が金属膜で反射されて、凸部の側面から感光性導体ペーストや感光性絶縁ペーストの側面に出射する。
【0022】
また、電子部品製造方法において、前記凸部の先端面を荒らし、前記先端面に前記遮光膜を成膜した、ことを特徴とする。
かかる構成により、荒れた凸部の先端面に遮光膜が成膜されているので、遮光膜の反射面も荒れた状態になる。この結果、凸部に入射した照射光が、遮光膜の反射面で乱反射される。
【0023】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクの凸部における幅方向の断面は、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする。
かかる構成により、第1のモールドマスクの凸部における幅方向の断面がテーパ状になっているので、凸部に入射した照射光のうち、凸部の斜面からペースト側に入射する照射光が多くなる。
【0024】
また、電子部品製造方法において、前記第2のモールドマスクにおける凸部の外形は、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする。
かかる構成により、第2のモールドマスクの凸部の外形がテーパ状になっているので、凸部に入射した照射光のうち、凸部の斜面からペースト側に入射する照射光が多くなる。
【0025】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクは、感光性ペーストに押し付けられる面に離型剤がコーティングされており、前記現像過程の前に、それぞれのモールドマスクを感光性ペーストに押し付けた後剥離して、感光性ペーストの表面をUVアッシングする過程を備える、ことを特徴とする。
【0026】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクは、感光性ペーストに押し付けられる面に離型剤がコーティングされており、前記塗布過程の後に、それぞれのモールドマスクを別途準備した清浄用試料表面に押し付けた後、それぞれのモールドマスクを感光性ペーストに押し付ける工程を含む前記露光過程を備える、ことを特徴とする。
【0027】
また、電子部品製造方法において、前記導体パターン形成工程後、感光性絶縁ペーストを前記導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程の後に、前記感光性絶縁ペーストを乾燥させる工程を備え、前記乾燥工程は、乾燥温度を低温から高温へと多段階に昇温する工程である、ことを特徴とする。
【0028】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクと同じ材質である支持基板をさらに備え、この支持基板上に、キャリアフィルムを形成する工程と、前記キャリアフィルム上に絶縁層を形成する工程と、を経て、焼成を除く前記導体パターン形成工程および前記ビアホール形成工程と、を繰り返し行い、キャリアフィルムをはがした後に一括で焼成することを特徴とする。
【0029】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスク、前記第2のモールドマスクおよび前記支持基板の材質は石英である、ことを特徴とする。
【0030】
また、電子部品製造方法において、前記導体パターン形成工程および前記ビアホール形成工程と、を繰り返し行った後、得られた多層パターンを個片化し外部電極を形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
以上詳しく説明したように、この発明の電子部品製造方法によれば、導体パターン形成工程の露光過程において、感光性導体ペーストの導体パターン対応部分の表面と両側面とが照射光により照射され、当該導体パターン対応部分の表面と両側面とが硬化しているので、現像過程で当該部分が溶解されて逆テーパなどの不良な形状になることはない。したがって、導体パターンが形崩れすることないので、露光の解像度を向上させることができ、この結果、高密度で光透過性が悪い感光性導体ペーストにおいても、微細且つ高アスペクト比の導体パターンを有した電子部品を製造することができるという優れた効果がある。
また、導体パターン形成工程が塗布過程と露光過程と現像過程と焼成過程とでなり、レジスト剥離などを必要としない少ない工程で導体パターンを形成することができるので、工程数の削減と処理時間の短縮化とを図ることができ、その分製造コストの削減を図ることができるという効果がある。
また、第2のモールドマスクの凸部を感光性絶縁ペーストに押し込んで、物理的にビアホールを形成するので、露光現像のみで化学的に感光性絶縁ペーストを溶解してビアホールを形成する場合に比べて、ビアホールの形状の精度が高くなる。しかも、ビアホール形成工程の露光過程において、感光性絶縁ペーストの表面と、ビアホールの内壁となる感光性絶縁ペーストの部分の側面とを照射光で硬化しているので、現像過程で当該部分が溶解されてビアホールが形崩れすることはない。したがって、露光のビアホールに対する解像度を向上させることができ、この結果、微細且つ高アスペクト比のビアホールを有した電子部品を製造することができる。
【0032】
また、ビアホール形成工程が塗布過程と露光過程と現像焼成過程と上層塗布過程とでなり、レジスト剥離などを必要としない少ない工程でビアホールを形成することができるので、工程数の削減と処理時間の短縮化とを図ることができ、その分製造コストの削減を図ることができるという効果もある。
【0033】
また、単層もしくは多層の金属膜により、凸部の遮光膜の光反射性が向上し、凸部に入射した照射光の大半部が反射して、凸部間の感光性導体ペーストや感光性絶縁ペースト部に出射するので、感光性導体ペーストや感光性絶縁ペーストに対する露光が十分に行われる。この結果、現像時における硬化部分の膜保持性が良くなり、導体パターンやビアホールの解像度を向上させることができる。
【0034】
また、凸部に入射した照射光の大半部が乱反射して、凸部間の感光性導体ペーストや感光性絶縁ペースト部に出射するので、感光性導体ペーストや感光性絶縁ペーストに対する露光がさらに十分に行われる。この結果、現像時における硬化部分の膜保持性がさらに向上し、導体パターンやビアホールの解像度をさらに向上させることができる。
【0035】
また、凸部に入射した照射光のうち、凸部の斜面からペースト側に入射する照射光が多くなるので、感光性導体ペーストに対する露光不足がなくなり、オーバー現像による不具合即ち配線抵抗の劣化、不安定化や導体パターン密着強度の劣化を確実に防止することができる。また、凸部間の傾斜面が感光性導体ペースト側で広くなるので、感光性導体ペーストの凸部間への充填性を向上させることができる。さらに、露光過程実行後に第1のモールドマスクを離す際、感光性導体ペーストの残渣が凸部間に残りにくくなる。また、第1のモールドマスクによる感光性導体ペースト圧縮時の抵抗が低減し、この結果、第1のモールドマスクに対する負荷が低減し、マスク寿命を向上させることができる。
【0036】
また、凸部に入射した照射光のうち、凸部の斜面からペースト側に入射する照射光が多くなるので、感光性絶縁ペーストに対する露光不足が防止され、オーバー現像による不具合即ちビアホールの形崩れを確実に防止することができる。また、凸部が先端に向かって細くなっているので、凸部が感光性絶縁ペーストにスムーズに突き刺さり、その結果、感光性絶縁ペーストの充填性が向上する。また、ビアホールの形状がテーパ状になるので、上層の感光性導体ペーストをビアホール内に確実に充填することができる。さらに、露光過程実行後に第2のモールドマスクを離す際、感光性絶縁ペーストの残渣が凸部に残りにくくなる。また、第2のモールドマスクによる感光性絶縁ペースト圧縮時の抵抗が低減し、この結果、第2のモールドマスクに対する負荷が低減し、マスク寿命を向上させることができる。
【0037】
また、モールドマスクの型離れをしやすくするために、モールドマスクの押し付ける面に離型剤をコーティングしたものを用いる場合、感光性ペーストに押し付けて剥離後、感光性ペースト表面に離型剤が残渣として付着してしまうことがある。このとき、現像後に感光性ペースト表面をUVアッシングすることで、酸素イオンや酸素プラズマで処理する場合と比べて、ペースト配線の酸化による脆弱化を起こすことなく、離型剤残渣を分解、除去することができる。よって、積層した場合の密着性劣化や形成不良を抑制でき、焼成後のデラミネーションや層間のショート不良を防ぐことができる。
【0038】
また、同様の離型剤をコーティングしたモールドマスクを用いる場合、予め準備した清浄用試料表面に押し付けることで、今までは感光性ペーストに押し付けて剥離後に残渣として付着していた離型剤を、先に取り除いておくことができる。
【0039】
また、導体パターン上に感光性絶縁ペーストを塗布した際、導体パターンのアスペクト比が大きいと導体パターン間の領域で部分的な充填不良箇所、すなわち気泡が生じる場合がある。このとき、感光性絶縁ペーストを段階的に加熱、乾燥させることで、これらの気泡の成長を抑制できる。また、低温で一定期間置くことで、溶剤の揮発が抑制され、ペーストの流動性を確保でき、結果、充填不良箇所をなくすことができる。
【0040】
また、電子部品の小型化に対応するために、基板を用いない工法を用いるが、この場合、モールドマスクと支持基板の材質が異なっていると、線膨張係数の違いにより導体パターンやビアホールに位置ずれが生じてしまう。このとき、モールドマスクと支持基板の材質を同じものにすることで、線膨張係数を同じにして位置ずれを低減し位置精度を向上することができる。その結果、歩留りを向上できる。
【0041】
また、モールドマスクと支持基板の材質をともに石英とすることで、線膨張係数そのものを小さくすることができ、位置ずれをさらに低減できる。
【0042】
また、基板を用いない工法により積層パターンを形成して個片化、外部電極を形成することにより、小型で低抵抗、低損失な積層型の電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の第1実施例に係る電子部品製造方法を示す工程図である。
【図2】導体パターン形成工程の各過程を示す断面図である。
【図3】線幅の広い導体パターンを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
【図4】線幅の狭い導体パターンを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
【図5】ビアホール形成工程の各過程を示す断面図である。
【図6】細径のビアホールを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
【図7】この発明の第2実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【図8】この発明の第3実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【図9】この発明の第4実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【図10】この発明の第5実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【図11】この発明の第6実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【図12】この発明の第7実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【図13】この発明の第8実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【図14】一従来例に係る製造方法の導体パターン形成工程を示す工程図である。
【図15】図14の一従来例に係る製造方法のビアホール形成工程を示す工程図である。
【図16】線幅が広い導体パターンを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【図17】線幅が狭い導体パターンを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【図18】直径が大きなビアホールを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【図19】直径が小さなビアホールを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【図20】従来のインプリント法による導体パターン形成工程を示す工程図である。
【図21】従来のインプリント法によるビアホール形成工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、この発明の形態について図面を参照して説明する。
【0045】
図1は、この発明の第1実施例に係る電子部品製造方法を示す工程図である。
図1に示すように、この実施例の電子部品製造方法は、導体パターン形成工程S1とビアホール形成工程S2とを具備し、これら導体パターン形成工程S1及びビアホール形成工程S2を繰り返すことで、積層型の電子部品であるチップインダクタを製造する方法である。
【0046】
導体パターン形成工程S1は、塗布過程S11と露光過程S12と現像過程S13と焼成過程S14との各過程を有してなる。
【0047】
図2は、この導体パターン形成工程S1の各過程を示す断面図である。
塗布過程S11は、図2(a)に示すように、アルミナ基板100上にネガ型の感光性導体ペースト3−1を塗布する過程である。この実施例では、感光性導体ペースト3−1として、感光性銀ペースト(以下、感光性導体ペースト3−1を「感光性銀ペースト3−1」と記す)を用いた。また、この感光性銀ペースト3−1は、銀粒子の平均粒径が0.5μm〜10μm以内で且つ銀粒子の感光性銀ペースト3−1に対する体積密度が0.50〜0.85以内のものを用いた。
【0048】
かかる塗布過程S11を実行し、厚膜の感光性銀ペースト3−1をアルミナ基板100上に塗布した後、露光過程S12を実行する。
【0049】
露光過程S12は、アルミナ基板100に塗布された感光性銀ペースト3−1を露光する過程である。この露光過程S12では、図2(b)に示すように、表面に凹凸を有する第1のモールドマスク1を用いて、感光性銀ペースト3−1上に照射光であるUV光Lを照射する。
【0050】
具体的には、第1のモールドマスク1は、水晶やガラスなどの透明な平板で形成されており、その表面(図2において下側面)に、凸部10と凸部10に対して相対的に凹んだ凹部11を有している。
【0051】
凸部10は、形成すべき導体パターンの線間となる部分に対応した形状をなすように突設されており、その幅w10は、導体パターンの線間間隔に設定されている。一方、凹部11は、形成すべき導体パターンのパターン形状に対応した形状をなすように凹設されており、その幅w11は、導体パターンの線幅に設定されている。
【0052】
この第1のモールドマスク1は、ネガ型の感光性銀ペースト3−1を露光して凹部11に所望の導体パターンを形成するものであるので、導体パターン対応部分以外を露光しないように、遮光膜12が凸部10の先端面を覆っている。この遮光膜12は、光反射性を有する金属膜であり、この実施例では、遮光膜12を、凸部10の先端面に成膜されたAl膜とこのAl膜の表面に成膜されたNi膜とで形成した。
【0053】
露光過程S12では、前記第1のモールドマスク1を、図2(b)に示すように、感光性銀ペースト3−1に押しつけた状態で、UV光Lを第1のモールドマスク1の裏面側から感光性銀ペースト3−1に向けて照射することにより、感光性銀ペースト3−1を選択的に露光する。
【0054】
図3は、線幅の広い導体パターンを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図であり、図4は、線幅の狭い導体パターンを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
【0055】
透明な第1のモールドマスク1を通過したUV光Lは、図3(a)に示すように、凹部11の上面11aから垂直に感光性銀ペースト3−1に照射する。また、僅かではあるが、凹部11の側面11bから感光性銀ペースト3−1側に入り込むUV光L2も存在する。さらに、凸部10の先端面に光反射性に優れた遮光膜12が形成されているので、この遮光膜12で反射された反射UV光L3も側面11bから凹部11内に入り込む。この結果、感光性銀ペースト部3−1aが十分に露光されて、ほぼ全体が硬化する。
【0056】
図4に示したような微細な導体パターンについても同様に、凹部側面からの入射光L2、反射光L3により、感光性銀ペースト3−1の側面も硬化する。この結果、感光性銀ペースト部3−1aの内部が非露光状態であっても、硬化部3−1bが微細な感光性銀ペースト部3−1aの外周部に形成されるので、この感光性銀ペースト部3−1aが次段の現像過程S13で溶解されることはない。
【0057】
一方、凸部10下側の感光性銀ペースト3−1の部分3−1cは、凸部10に入射した照射光の大半が凸部10先端面の遮光膜12で遮光されるので、非露光状態になる。
【0058】
そして、図2(c)に示すように、現像過程S13において、露光過程S12で露光された感光性銀ペースト3−1が現像され、非露光部3−1cが溶解されて、所望の導体パターンに対応した硬化パターン3−2が形成される。
【0059】
しかる後、図2(d)に示すように、焼成過程S14において、現像過程S13で形成された硬化パターン3−2が焼成されて、所望の導体パターン3がアルミナ基板100上に形成される。
これにより、導体パターン形成工程S1が終了し、ビアホール形成工程S2に移行する。
【0060】
ビアホール形成工程S2は、図1に示すように、塗布過程S21と露光過程S22と現像焼成過程S23と上層塗布過程S24との各過程を有してなる。
【0061】
図5は、このビアホール形成工程S2の各過程を示す断面図である。
塗布過程S11は、図5(a)に示すように、ネガ型の感光性絶縁ペースト4−1を導体パターン形成工程S1で形成された導体パターン3上に塗布する過程である。この実施例では、感光性絶縁ペースト4−1として、感光性ガラスペースト(以下、感光性絶縁ペースト4−1を「感光性ガラスペースト4−1」と記す)を用いた。なお、感光性絶縁ペースト4−1の絶縁体成分として、ガラスの他にフェライトや誘電体セラミックスを用いることができる。また、ガラス,フェライト,誘電体セラミックスのうちの少なくとも2つの混合物を絶縁体成分とすることもできる。
【0062】
かかる塗布過程S21を実行し、厚膜の感光性ガラスペースト4−1をアルミナ基板100上に導体パターン3を覆うように塗布した後、露光過程S22を実行する。
【0063】
露光過程S22は、導体パターン3に塗布された感光性ガラスペースト4−1を露光する過程である。この露光過程S22では、図5(b)に示すように、表面に凸部を有する第2のモールドマスク2を用いて、感光性ガラスペースト4−1上にUV光Lを照射する。
【0064】
具体的には、第2のモールドマスク2も、水晶やガラスなどの透明な平板で形成されおり、その表面(図5において下側面)に、凸部20を有している。
凸部20は、形成すべきビアホールに対応した形状をなすように突設されており、その直径w20は、ビアホールの直径にほぼ等しく設定されている。
【0065】
この第2のモールドマスク2は、ネガ型の感光性ガラスペースト4−1を露光して凸部20に所望のビアホールを形成するものであるので、ビアホール対応部分以外を露光しないように、遮光膜22が凸部20の先端面に形成されている。この遮光膜22も、光反射性を有する金属膜であり、凸部20の先端面に成膜されたAl膜とこのAl膜の表面に成膜されたNi膜とで形成した。
【0066】
露光過程S22では、前述の構造における第2のモールドマスク2を、図5(b)に示すように、感光性ガラスペースト4−1に押しつけた状態で、UV光Lを第2のモールドマスク2の裏面側から感光性ガラスペースト4−1に向けて照射することにより、感光性ガラスペースト4−1を選択的に露光する。
【0067】
図6は、細径のビアホールを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
図6(a)に示すように、第2のモールドマスク2の凸部20を感光性ガラスペースト4−1に押し込むことで、ビアホールに対応した感光性ガラスペースト穴4−1aが物理的に形成される。そして、凸部20以外の部分においては、多量の垂直UV光L1が第2のモールドマスク2の表面2aから感光性ガラスペースト4−1に照射し、このとき僅かではあるが、斜行UV光L2が凸部20の側面20bから感光性ガラスペースト穴4−1aの周面を画成する感光性ガラスペースト4−1の側面に入射する。さらに、遮光膜22で反射された反射UV光L3も側面20bから凸部20外部の感光性ガラスペースト4−1内に入り込む。この結果、感光性ガラスペースト4−1全体が硬化状態となり、感光性ガラスペースト穴4−1aが固められた状態となる。そして、凸部20の遮光膜22下側の薄い部分4−1cのみが、非露光状態になる。
【0068】
そして、図5(c)に示すように、現像焼成過程S23において、露光過程S22で露光された感光性ガラスペースト4−1が現像され、非露光部4−1cが溶解される。このとき、非露光部4−1cは凸部20に押しつぶされており、非常に薄いので、この非露光部4−1cを溶解させる現像処理時間は非常に短い。しかも、凸部20の押し込みによって物理的に形成された感光性ガラスペースト穴4−1aが直状であり、化学的に溶解される非露光部4−1cが薄い。したがって、感光性ガラスペースト穴4−1aと、非露光部4−1cの溶解で生じる空白部との連結により形成される孔はほぼ直状になる。しかる後、現像処理で形成された硬化パターンが焼成されて、所望径のほぼ直状のビアホール5と絶縁膜4とが形成される。
【0069】
そして、上層塗布過程S24において図5(d)に示すように、感光性銀ペースト3−1がビアホール5に充填されながら絶縁膜4上に塗布される。これにより、下層の導体パターン3と上層の感光性銀ペースト3−1とがビアホール5を通じて接続される。このとき、ビアホール5が下広がりのテーパ状でなく、ほぼ直状であるので、ビアホール5内で泡かみなどの現象が発生することはすくない。
【0070】
これにより、図1に示すように、ビアホール形成工程S2を終了する。
その後は、導体パターン形成工程S1とビアホール形成工程S2とを繰り返すことで、積層型のチップインダクタを形成し、チップ分割及び外部電極の取付を行うことで、チップインダクタが完成する。
【0071】
このように、この実施例の電子部品製造方法によれば、導体パターン形成工程S1の露光過程S12において、第1のモールドマスク1の凸部10から斜行UV光L2及び反射UV光L3を感光性銀ペースト3−1の側面に入射させて、導体パターン3に対応した感光性銀ペースト部3−1aを硬化させるので、厚膜で光透過性の悪い感光性銀ペースト3−1を用いても、微細な導体パターン3を高解像度で形成することができる。また、第2のモールドマスク2の凸部20を感光性ガラスペースト4−1に押し込んで、物理的にビアホール5を形成するので、ビアホール5の形状の精度が高くなる。しかも、露光過程S22において、感光性ガラスペースト穴4−1aの内周面を斜行UV光L2と反射UV光L3を利用して硬化するので、形崩れがなく、ビアホール5の解像度が向上する。
【0072】
また、導体パターン形成工程S1が塗布過程S11と露光過程S12と現像過程S13と焼成過程S14とでなり、ビアホール形成工程S2が塗布過程S21と露光過程S22と現像焼成過程S23と上層塗布過程S24とでなり、レジスト剥離などを必要としない少ない工程で導体パターン3やビアホール5を形成することができるので、工程数の削減と処理時間の短縮化とを図ることができる。
【0073】
ここで、かかる実施例の微細化効果を試す実験について述べる。
【0074】
本実施例の導体パターン形成実験では、塗布過程S11において、感光性銀ペースト3−1をアルミナ基板100上に厚み12μmで印刷し、プリベークした。そして、第1のモールドマスク1については、まず、水晶基板表面に厚み0.3μmのNi膜と厚み0.1μmのAl膜とによるパターンをリフトオフ蒸着にて形成した。そして、RIEで水晶基板の表面を深さ10μmまで加工して、幅w10が10μmの凸部10と幅w11が10μmの凹部11とを、これらの相対深さDが10μmになるように、水晶基板表面に形成した。第1のモールドマスク1を用いて露光過程S12を実行し、インプリント式露光機により、遮光膜12下側の非露光部3−1cの膜厚が2μmになるまで、第1のモールドマスク1を感光性銀ペースト3−1に押しつけて露光した。しかる後、現像過程S13および焼成工程S14を実行した。その結果、膜厚8μm、線幅12μmの導体パターンが得られた。
【0075】
また、本実施例のビアホール形成実験では、塗布過程S21において、感光性ガラスペースト4−1をアルミナ基板100上に厚み30μmで印刷し、プリベークした。そして、第2のモールドマスク2については、まず、水晶基板表面に厚み1.0μmのNi膜と厚み0.1μmのAl膜とで直径35μmの円形パターンをリフトオフ蒸着にて形成した。そして、RIEで水晶基板の表面を深さ25μmまで加工して、幅w10が25μmで深さDが25μmの円形凸部10を水晶基板表面に形成した。第2のモールドマスク2を用いて、露光過程S22を実行し、インプリント式露光機によって、遮光膜22下側の非露光部4−1cの膜厚dが5μmになるまで、第2のモールドマスク2を感光性ガラスペースト4−1に押しつけて露光した。しかる後、現像焼成過程S23を実行した。その結果、膜厚15μm、直径40μmのビアホールが得られた。
【0076】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図7は、この発明の第2実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【0077】
この実施例の電子部品製造方法は、遮光膜の構造が第1実施例と異なる。
【0078】
すなわち、この実施例では、第1のモールドマスク1においては、凸部10の先端面が荒らされ、この荒された先端面に遮光膜12′が成膜されている。したがって、遮光膜12′の内面12a′(図の上面)も荒れた面になり、凸部10に入射したUV光Lが、遮光膜12′の内面12a′で乱反射される。
【0079】
すなわち、凸部10に入射したUV光Lのうち、垂直UV光L1もこの遮光膜12′で乱反射されるので、感光性銀ペースト部3−1aの側部に入射するUV光Lの量が増加する。この結果、感光性銀ペースト部3−1aに対する露光がさらに十分に行われ、現像時における硬化部分の膜保持性がさらに向上し、導体パターン3の解像度をさらに向上させることができる。
【0080】
この実施例は、第2のモールドマスク2の凸部20に形成されている遮光膜22にも適用することができる。
【0081】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0082】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図8は、この発明の第3実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【0083】
この実施例の電子部品製造方法は、第1のモールドマスク1の凸部10における幅方向の断面を、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成した点が、第1実施例と異なる。
【0084】
すなわち、図8(a)に示すように、凸部10の断面を、台形状に形成し、且つ凸部10の斜面10aと第1のモールドマスク1の表面1aとのなす角θを、30°以上90゜未満に設定した。
【0085】
かかる構成により、第1のモールドマスク1の凸部10における斜面10aが傾斜しているので、凸部10に入射した垂直UV光L1も、斜面10aからペースト側に入射することとなるので、感光性銀ペースト3−1に対する露光効果が向上する。また、凹部11が下方に向かって広くなるので、感光性銀ペースト3−1への押し込み時に、感光性銀ペースト3−1が凹部11に円滑に充填される。さらに、図8(b)に示すように、露光後に第1のモールドマスク1を感光性銀ペースト3−1から抵抗を受けることなく離すことができるので、感光性銀ペースト3−1の残渣が凹部11内に残ることはほとんどない。また、第1のモールドマスク1による感光性銀ペースト3−1への押し込み時の抵抗が低減する。この結果、第1のモールドマスク1に対する負荷が低減し、マスク寿命が向上する。
【0086】
なお、凸部10の斜面10aの傾斜角θが90°に近いほど導体パターン3の微細化には有利になる。しかし、凹部11への感光性銀ペースト3−1の充填性の向上やマスク剥離時の残査低減には、傾斜角θが小さい方が有利である。したがって、製造条件に応じて凸部10の斜面10aの傾斜角θを適切に設定することが好ましい。
【0087】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0088】
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図9は、この発明の第4実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【0089】
この実施例の電子部品製造方法では、図9に示すように、凸部10の斜面10aと第1のモールドマスク1の表面1aとの交わり部分に、丸め10bを施した。
【0090】
かかる構成により、凹部11への感光性銀ペースト3−1の充填性やマスク剥離時の残査低減性がさらに向上する。
【0091】
その他の構成、作用及び効果は、第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0092】
次に、この発明の第5実施例について説明する。
図10は、この発明の第5実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【0093】
第1実施例に適用した第2のモールドマスク2では、凸部20を直状に突出した形状に設定したので、形成されるビアホール5も深さ方向に直状の形状になった。しかし、ビアホール5が直状であると、感光性ガラスペースト4−1の充填性が十分でなく、充填時にビアホール5の下部に空隙が生じるおそれもある。
【0094】
この実施例は、かかる空隙の発生を完全に防止するためのもので、第2のモールドマスク2における凸部20の外形を、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成した。
【0095】
すなわち、図10(a)に示すように、凸部20の外形を、多角錐台形または円錐台形に形成し、且つ凸部20の斜面20aと第2のモールドマスク2の表面2aとのなす角θを、30°以上90゜未満に設定した。
【0096】
このような第2のモールドマスク2を、図10(a)に示すように、感光性ガラスペースト4−1に押しつけて露光過程S22を実行するが、凸部20の外形がテーパ状になっているので、第2のモールドマスク2を感光性ガラスペースト4−1に押し付ける際に抵抗が少なく、負荷が少ない。この結果、第2のモールドマスク2の寿命を高めることができる。
【0097】
露光過程S22を実行すると、UV光が第2のモールドマスク2の裏面から照射されるが、凸部20の外形がテーパ状になっているので、凸部20に入射した照射光のうち、凸部20の斜面から感光性ガラスペースト4−1側に入射する照射光が多くなる。
【0098】
そして、露光過程S22実行後、図10(b)に示すように、第2のモールドマスク2を離すが、この際、感光性ガラスペースト穴4−1aが第2のモールドマスク2の離れる方向に拡開しているので、第2のモールドマスク2を感光性ガラスペースト4−1からの抵抗を受けることなくスムーズに離すことができ、この結果、感光性ガラスペースト4−1の残渣が凸部20に着きにくくなる。
【0099】
そして、現像焼成過程S23を実行することで、図10(c)に示すように、上方拡開のビアホール5が形成される。
【0100】
しかる後、上層塗布過程S24を実行し、感光性銀ペースト3−1をこのビアホール5に充填しながら絶縁膜4上に塗布するが、ビアホール5が上方拡開のテーパ状をしているので、感光性銀ペースト3−1がビアホール5から抵抗を受けることなくスムーズにビアホール5内に充填される。この結果、ビアホール5内に空隙のない充填が達成される。
【0101】
その他の構成、作用及び効果は、第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0102】
次に、この発明の第6実施例について説明する。
図11はこの発明の第6実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【0103】
本実施例では、第1のモールドマスク1の、感光性銀ペースト3−1に押し付けられる面に離型剤6をコーティングした点、また、現像後にUVアッシングする点が第1の実施例と異なる。
【0104】
まず、図11(a)のように、アルミナ基板100上に塗布された感光性銀ペースト3−1に、図11(b)のように、第1のモールドマスク1を押し付けて露光する過程は第1実施例と同様である。ここで、本実施例の第1のモールドマスクの表面には、フッ素系のシランカップリング剤からなる離型剤6がコーティングされている。この離型剤は、モールドマスクを5分間浸漬させることでコーティングされる。露光後、第1のモールドマスクを感光性銀ペーストから剥離するが、この際、離型剤の一部が、残渣として感光性銀ペースト表面に付着したままになってしまう(図11(c))。そこで、現像後、UVアッシングで、感光性銀ペーストを酸化させないように残渣61を除去する(図11(d))。
第2のモールドマスクを用いる、ビアホールを形成する工程においても、同様に離型剤をコーティングしたモールドマスクを使用し、UVアッシングにより離型剤残渣を除去する。
【0105】
この結果、積層した場合の密着性劣化や形成不良を抑制でき、焼成後のデラミネーションや層間のショート不良を防ぐことができる。
【0106】
なお、本実施例では、感光性銀ペースト表面の離型剤残渣を除去するために、UVアッシングを行う工法を示したが、次に示すような工法でもよい。具体的には、予め準備した清浄用試料表面に押し付けることで、今までは感光性ペーストに押し付けて剥離後に残渣として付着していた離型剤を、先に取り除いておく工法を用いる。この工法によっても、同様の作用および効果が得られる。清浄用試料とは、第1のモールドマスクを押し付ける場合に用いるのは感光性銀ペーストであり、第2のモールドマスクを押し付ける場合に用いるのは感光性ガラスペーストである。その他、離型剤との密着性が、モールドマスクとこれに化学的に結合した離型剤との密着性よりも弱く、モールドマスクとこれに物理的に付着した離型剤との密着性よりも強い材料であればよい。
【0107】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0108】
次に、この発明の第7実施例について説明する。
図12はこの発明の第7実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大図である。
【0109】
本実施例では、感光性絶縁ペーストを導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程の後に、前記感光性絶縁ペーストを乾燥させる工程を備え、前記乾燥工程は、乾燥温度を低温から高温へと多段階に昇温する工程である点が第1の実施例と異なる。
【0110】
具体的には、感光性絶縁ペーストとして、溶剤にジプロピレングリコールモノメチルエーテル、感光剤にアクリル系感光樹脂を用いたSi−B−Bi−K−Al系のものを用いた場合、50℃で5分間、次に90℃で5分間、段階的に昇温して乾燥させる。これにより、導体パターン間の領域で発生した気泡7や充填不良71が低減される。この温度条件は、60℃と90℃、40℃と90℃の2段階の条件でも効果が見られる。また、ここでは2段階の温度条件を示したが、40℃から90℃まで10℃刻みで6段階昇温する条件で乾燥を行う、といったように、温度を刻む段階を増やすほうがより効果的である。
【0111】
また、本乾燥工程は、溶剤にジプロピレングリコールモノメチルエーテル以外、感光剤にアクリル系感光樹脂を用いたSi−B−Bi−K−Al系以外の感光性絶縁ペーストを用いた場合にも適用できる。この場合、乾燥温度の条件は異なる。
【0112】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0113】
次に、この発明の第8実施例について説明する。
図13はこの発明の第8実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【0114】
本実施例では、アルミナ基板を用いず、支持基板を設け、この支持基板上にキャリアフィルムを形成し、さらにこのキャリアフィルム上に絶縁膜を形成する点が第1の実施例と異なる。
【0115】
まず、図13(a)に示すように、支持基板101上にキャリアフィルム8を形成し、その上に絶縁ペースト41、感光性銀ペースト3−1を塗布する。支持基板には、石英基板を用いる。なお、支持基板としてガラス基板を用いてもよい。キャリアフィルムとしては、熱剥離シートを用いる。絶縁ペーストとしては、感光性ガラスペーストを用いる。なお、絶縁ペーストは感光性のものに限るものではない。
【0116】
その後、図13(b)から図13(g)に示すとおり、導体パターンとビアホールを形成する。これは第1の実施例と同様であるが、焼成は行わない。ここで用いるモールドマスクの材質は石英である。
【0117】
これら導体パターンとビアホールを繰り返し形成して積層パターンを形成した後、図13(h)に示すように最上層に絶縁膜を形成する。そして、得られた多層パターンを個片化した後、キャリアフィルムから剥がして焼成を行い、外部電極を形成する。ここで、個片化はダイシングカットにより行う。また、外部電極は、めっき処理により形成する。なお、スパッタ等の成膜により形成してもよい。
【0118】
この結果、位置ずれの低減された導体パターンやビアホールを有する、位置精度の向上した、小型の積層型のチップインダクタを得ることができる。
【0119】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0120】
なお、この発明は、前述の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
【0121】
前述の実施例では、第1及び第2のモールドマスク1,2の遮光膜12,22を、光反射性を有する金属膜で形成した例を示したが、光反射性のない遮光膜を有する第1及び第2のモールドマスクを適用する電子部品製造方法を、この発明の範囲から除外する意ではない。また、凸部先端の荒れを有さないモールドマスクを適用する電子部品製造方法についても、この発明の範囲から除外する意ではない。
【0122】
また、第1及び第2のモールドマスク1,2の形成方法は、前述の実施例で開示した方法に限定されるものではなく、種々多様である。例えば、第1及び第2のモールドマスク1,2の基板として光透過性に優れた各種ガラスや硬質プラスチックを用い、この基板をウエット又はドライのフォトエッチング加工やサンドブラスト加工することによって、凸部10,20及び凹部11,21を形成する。そして、遮光膜12,22の光反射性や乱反射性を向上させるために、遮光膜12,22を形成する前に、凸部10,20の先端面を、ウエット又はドライエッチング加工やサンドブラス加工することで、先端面に微細な荒れを形成する。しかる後、当該基板との密着性や光反射性に優れた金属膜を凸部10,20の荒れた先端面にスパッタリングや蒸着によって形成する。このとき、金属膜は、単層に限定されるものではない。基板との密着性に優れたTi,Cr,W,Mo,Alなどの金属膜に、各種の金属や金属酸化物もしくは金属窒化膜を積層した多層膜としても良い。
【符号の説明】
【0123】
1…第1のモールドマスク、 2…第2のモールドマスク、 3…導体パターン、 3−1…感光性導体(銀)ペースト、 4−1…感光性絶縁(ガラス)ペースト、 4…絶縁膜、 5…ビアホール、 6…離型剤、 7…気泡、 8…キャリアフィルム、 10,20…凸部、 11…凹部、 12,22…遮光膜、 20a…斜面、 100…アルミナ基板、 101…基板、 L…照射光、 S1…導体パターン形成工程、 S11…塗布過程、 S12…露光過程、 S13…現像過程、 S14…焼成過程、 S2…ビアホール形成工程、 S21…塗布過程、 S22…露光過程、 S23…現像焼成過程、 S24…上層塗布過程、 θ…傾斜角。
【技術分野】
【0001】
この発明は、微細な配線パターンを要するチップインダクタなどの電子部品を製造するための電子部品製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
チップインダクタなどの電子部品に関する製造方法の一従来例として、感光性導体ペースト及び感光性絶縁ペーストをフォトリソグラフィ及び焼成を用いてパターンに形成し、電子部品を製造する技術がある(例えば特許文献1参照)。図14は、この一従来例に係る製造方法の導体パターン形成工程を示す工程図であり、図15は、ビアホール形成工程を示す工程図である。
【0003】
導体パターン形成工程は、図14(a)に示すように、ネガ型の感光性導体ペースト101′を基板100上に塗布した後、図14(b)に示すように、この感光性導体ペースト101′をフォトマスク200を用いて露光し、感光性導体ペースト101′の露光部分を硬化させる。そして、図14(c)に示すように、現像し、感光性導体ペースト101′の非露光部分を除去して、導体パターンに対応したパターン101′を形成した後、図14(d)に示すように、このパターン101′を焼成して、導体パターン101を形成する。
【0004】
そして、ビアホール形成工程では、図15(a)に示すように、ネガ型の感光性絶縁ペースト103を導体パターン101上に塗布した後、図15(b)に示すように、この感光性絶縁ペースト103をフォトマスク200を用いて露光し、感光性絶縁ペースト103の露光部分を硬化させる。そして、図15(c)に示すように、現像及び焼成して、感光性絶縁ペースト103の非露光部分を除去し、除去部分でビアホール104を形成する。しかる後、図15(d)に示すように、感光性導体ペースト101′をビアホール104に埋めるように絶縁膜上に塗布することで、基板100上の導体パターン101がビアホール104内の感光性導体ペースト101′によって上層の感光性導体ペースト101′と接続される。かかる工程を繰り返すことによって、チップインダクタなどの積層型電子部品を製造する。
【0005】
一方、半導体技術分野では、導体パターンの微細加工にインプリント法という技術が用いられている(例えば特許文献2及び特許文献3)。図20は、インプリント法による導体パターン形成工程を示す工程図であり、図21は、インプリント法によるビアホール形成工程を示す工程図である。
【0006】
導体パターン形成工程は、図20(a)に示すように、基板100上に成膜された導体膜110上にネガ型のフォトレジスト120を塗布した後、図20(b)に示すように、導体パターンに対応した凹部211を有したモールドマスク210で加圧して露光する。これにより、凹部211内のフォトレジスト120が硬化し、現像すると、図20(c)に示すように、露光部分120aが残る。そして、図20(d)に示すように、導体膜110をエッチングし、しかる後、導体パターン112上のフォトレジスト120を剥離又は除去することで、図20(e)に示すように、導体パターン112を形成する。
【0007】
そして、ビアホール形成工程では、図21(a)に示すように、導体パターン112の上に成膜された絶縁膜115上にフォトレジスト120を塗布した後、図21(b)に示すように、ビアホールに対応した凸部212を有したモールドマスク210で加圧して露光する。しかる後、現像すると、遮光膜213下側の非露光部分120bが除去され、図21(c)に示すように、この部分に絶縁膜115が露出する。かかる状態で、図21(d)に示すように、エッチングを行うと、露出された絶縁膜115の部分が除去され、この除去部分でビアホール116が形成される。そして、図21(e)に示すように、絶縁膜115上のフォトレジスト120を剥離又は除去した後、図21(f)に示すように、導体膜110をビアホール116に埋めるように塗布することで、基板100上の導体パターン112がビアホール116内の導体膜110によって上層の導体膜110と接続される。かかる工程を繰り返すことによって、微細幅の導体パターン112を有した半導体部品を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−204336号公報
【特許文献2】特開2003−272998号公報
【特許文献3】特開2000−194142号公報
【発明の概要】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
感光性導体ペースト101′や感光性絶縁ペースト103は、フォトレジストなどから比べると非常に光透過性が悪い。したがって、光がペースト101′,103の底部まで到達しないため、光硬化部分が浅く、次のような問題が生じていた。
【0011】
図16は、線幅が広い導体パターンを形成する場合に生じる問題点を示す断面図であり、図17は、線幅が狭い導体パターンを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【0012】
線幅が広い導体パターンを形成する場合には、図16(a)に示すように、フォトマスク200の開口200aも線幅に対応して広い。したがって、感光性導体ペースト101′に照射される光も多い。また、線幅が広い導体パターン101を形成する場合には、感光性導体ペースト101′に含まれる導体粒の粒径も大きくて済み、光が導体粒の隙間から底部へと比較的入り込みやすい。しかし、全ての光が感光性導体ペースト101′の底まで到達するわけでないので、図16(b)に示すように、光硬化部分101aが逆テーパ状になってしまい、配線抵抗の劣化、不安定化を招く。また、形成した導体パターン101の基板100に対する密着強度が劣化して、剥離しやすくなる。
【0013】
一方、線幅が狭い導体パターンを形成する場合には、図17(a)に示すように、フォトマスク200の開口200aも線幅に対応して狭い。したがって、感光性導体ペースト101′に照射される光も少ない。また、線幅が狭い導体パターン101を形成する場合には、導体粒の粒径が小さい感光性導体ペースト101′が必要である。このような感光性導体ペースト101′では、導体粒の隙間が狭い。このため、光の入り込みが浅く、感光性導体ペースト101′の表面付近で減衰してしまう。したがって、図17(b)に示すように、薄い光硬化部分101aが基板100から浮いた状態になり、現像及び焼成によって導体パターン101を基板100上に形成することができない。
【0014】
以上の問題はビアホールの形成時にも生じる。図18は、直径が大きなビアホール104を形成する場合に生じる問題点を示す断面図であり、図19は、直径が小さなビアホール104を形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【0015】
図18(a)に示すように、ビアホール104を形成するフォトマスク200の開口200aは広い。したがって、感光性絶縁ペースト103に照射される光も多い。そして、直径の大きなビアホール104を形成する場合には、光がフォトマスク200の遮光部200bの下側に回り込んでも、ビアホール104に対応した非硬化部分の径もほぼ所望値を維持する。しかし、全ての光が感光性絶縁ペースト103の底まで到達するわけでないので、図18(b)及び(c)に示すように、光硬化部分101aが逆テーパ状になり、非硬化部分103aがテーパ状になって、現像及び焼成後のビアホール104もテーパ状になってしまう。このように、ビアホール104がテーパ状になると、図18(d)に示すように、感光性導体ペースト101′を埋め込んだ際に、空隙104aが生じる。すなわち、「泡かみ」が発生して、電子部品の信頼性が劣化する。
【0016】
また、直径が狭いビアホール104を形成する場合には、図19(a)に示すように、フォトマスク200の遮光部200bが狭い。したがって、光が狭い遮光部200b下側に回り込んで、図19(b)に示すように、非硬化部分103aの径を必要以上に小さくしてしまう。時には、光が遮光部200bの下側全域に回り込むことがあり、かかる場合には、非硬化部分103aを形成することができず、現像及び焼成後に、図19(c)に示すように、ビアホール104がない絶縁膜103が導体パターン101上に形成されることになる。
【0017】
以上のように、従来の感光性ペーストによるフォトリソグラフィを用いた電子部品製造方法では、導体パターンやビアホールの微細加工が不可能であった。
【0018】
フォトリソグラフィに代わる微細加工技術として、前述のインプリント法がある。しかしながら、図14及び図15に示した従来例に係る製造方法に比べると、導体パターン形成工程やビアホール形成工程において、図20及び図21の(d)及び(e)に示すように、導体パターン112や絶縁膜115上のフォトレジスト120を剥離又は除去する工程が余分に必要であり、製造工程数が多い。特に多層の積層型電子部品を製造する場合に、かかる工程数の増加が莫大な製造コストの増加を招くこととなる。
【0019】
この発明は、前述した課題を解決するためになされたもので、微細な導体バターン及びビアホールを少ない工程数で短時間且つ高精度に形成することができる電子部品製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明は、基板上にネガ型の感光性導体ペーストを塗布する塗布過程と、前記塗布された感光性導体ペーストを露光する露光過程と、前記露光された感光性導体ペーストを現像して前記感光性導体ペーストによるパターンを形成する現像過程と、及び前記パターンを焼成して所望の導体パターンを形成する焼成過程と、を有した導体パターン形成工程と、
ネガ型の感光性絶縁ペーストを前記導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程と、前記塗布された感光性絶縁ペーストを露光する露光過程と、前記露光された感光性絶縁ペーストを現像した後焼成して絶縁膜を形成すると共に絶縁膜に所望径のビアホールを形成する現像焼成過程と、感光性導体ペーストを前記ビアホールに充填しながら前記絶縁膜上に塗布する上層塗布過程を有したビアホール形成工程と、
を繰り返し実行することで、積層型の電子部品を製造する電子部品製造方法であり、
前記導体パターン形成工程の露光過程は、透明な平板で形成され、前記感光性導体ペースト側を向く表面に所望の導体パターンの線間となる部分に対応した凸部が突設され、前記凸部の先端面が遮光膜で覆われた第1のモールドマスクを、前記感光性導体ペーストに押しつけた状態で、照射光を前記第1のモールドマスクの裏面側から感光性導体ペーストに向けて照射することにより、前記感光性導体ペーストを選択的に露光するものであって、
前記ビアホール形成工程の露光過程は、透明な平板で形成され、前記感光性絶縁ペースト側を向く表面に所望径のビアホールに対応した凸部が突設され、前記凸部の先端面が遮光膜で覆われた第2のモールドマスクを、前記感光性絶縁ペーストに押しつけた状態で、照射光を前記第2のモールドマスクの裏面側から感光性絶縁ペーストに向けて照射することにより、前記感光性絶縁ペーストを選択的に露光するものである、ことを特徴とする。
かかる構成により、導体パターン形成工程の塗布過程において、ネガ型の感光性導体ペーストが基板上に塗布され,露光過程において、感光性導体ペーストが露光される。この際、第1のモールドマスクが、感光性導体ペーストの上に押しつけられた状態で、照射光が第1のモールドマスクの裏面側から感光性導体ペーストに向けて照射される。すると、透明な第1のモールドマスクを通過した照射光が、感光性導体ペーストの所望の導体パターンに対応する表面に照射する。また、凸部に入射した照射光の大半は凸部先端面の遮光膜で遮光されるが、一部の照射光が、凸部の側面を通って、凸部間に存在する感光性導体ペーストの側面に照射する。これにより、凸部間に存在する導体パターンに対応する感光性導体ペーストの部分の表面と両側面とが照射光により照射されて硬化する。また、凸部の遮光膜下側の感光性導体ペーストは非露光状態になる。この結果、現像過程によって、この非露光状態の感光性導体ペーストの部分が除去され、導体パターンに対応した硬化部分が残る。そして、焼成過程によって、露光され硬化した導体パターンに対応した感光性導体ペーストの硬化部分が焼成され、導体パターンが基板上に形成される。しかる後、ビアホール形成工程の塗布過程によって、ネガ型の感光性絶縁ペーストが導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布され、露光過程によって、この感光性絶縁ペーストが露光される。この際、第2のモールドマスクが、感光性絶縁ペーストの上に押しつけられた状態で、照射光が第2のモールドマスクの裏面側から感光性絶縁ペーストに向けて照射される。すると、透明な第2のモールドマスクを通過した照射光が、感光性絶縁ペーストの表面に照射する。また、凸部に入射した照射光は、凸部の遮光膜によって遮られて、ビアホールに対応する感光性絶縁ペーストの部分には照射されない。しかし、凸部に入射した照射光の大半は凸部先端面の遮光膜で遮光されるが、一部の照射光が、凸部の側面を通って、凸部間に存在する感光性絶縁ペーストの側面に照射する。これにより、凸部間に存在する感光性絶縁ペーストの部分の表面と両側面とが照射光により照射されて硬化する。すなわち、ビアホールの内面に相当する部分が硬化される。また、凸部の遮光膜下側の感光性絶縁ペーストは非露光状態になる。この結果、現像過程によって、この非露光状態の感光性絶縁ペーストの部分が除去され、ビアホールに対応した孔が形成される。その後焼成されて、絶縁膜が形成されると共に絶縁膜に所望径のビアホールが形成される。しかる後、上層塗布過程が実行されて、感光性導体ペーストがビアホールに充填されながら絶縁膜上に塗布され、基板上の導体パターンがビアホールを通じて上層の感光性導体ペーストと電気的に接続される。かかる導体パターン形成工程とビアホール形成工程とが繰り返されることで、積層型の電子部品が製造される。
【0021】
また、電子部品製造方法において、前記遮光膜は、光反射性を有する単層もしくは多層の金属膜である、ことを特徴とする。
かかる構成により、凸部に入射した照射光が金属膜で反射されて、凸部の側面から感光性導体ペーストや感光性絶縁ペーストの側面に出射する。
【0022】
また、電子部品製造方法において、前記凸部の先端面を荒らし、前記先端面に前記遮光膜を成膜した、ことを特徴とする。
かかる構成により、荒れた凸部の先端面に遮光膜が成膜されているので、遮光膜の反射面も荒れた状態になる。この結果、凸部に入射した照射光が、遮光膜の反射面で乱反射される。
【0023】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクの凸部における幅方向の断面は、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする。
かかる構成により、第1のモールドマスクの凸部における幅方向の断面がテーパ状になっているので、凸部に入射した照射光のうち、凸部の斜面からペースト側に入射する照射光が多くなる。
【0024】
また、電子部品製造方法において、前記第2のモールドマスクにおける凸部の外形は、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする。
かかる構成により、第2のモールドマスクの凸部の外形がテーパ状になっているので、凸部に入射した照射光のうち、凸部の斜面からペースト側に入射する照射光が多くなる。
【0025】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクは、感光性ペーストに押し付けられる面に離型剤がコーティングされており、前記現像過程の前に、それぞれのモールドマスクを感光性ペーストに押し付けた後剥離して、感光性ペーストの表面をUVアッシングする過程を備える、ことを特徴とする。
【0026】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクは、感光性ペーストに押し付けられる面に離型剤がコーティングされており、前記塗布過程の後に、それぞれのモールドマスクを別途準備した清浄用試料表面に押し付けた後、それぞれのモールドマスクを感光性ペーストに押し付ける工程を含む前記露光過程を備える、ことを特徴とする。
【0027】
また、電子部品製造方法において、前記導体パターン形成工程後、感光性絶縁ペーストを前記導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程の後に、前記感光性絶縁ペーストを乾燥させる工程を備え、前記乾燥工程は、乾燥温度を低温から高温へと多段階に昇温する工程である、ことを特徴とする。
【0028】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクと同じ材質である支持基板をさらに備え、この支持基板上に、キャリアフィルムを形成する工程と、前記キャリアフィルム上に絶縁層を形成する工程と、を経て、焼成を除く前記導体パターン形成工程および前記ビアホール形成工程と、を繰り返し行い、キャリアフィルムをはがした後に一括で焼成することを特徴とする。
【0029】
また、電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスク、前記第2のモールドマスクおよび前記支持基板の材質は石英である、ことを特徴とする。
【0030】
また、電子部品製造方法において、前記導体パターン形成工程および前記ビアホール形成工程と、を繰り返し行った後、得られた多層パターンを個片化し外部電極を形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
以上詳しく説明したように、この発明の電子部品製造方法によれば、導体パターン形成工程の露光過程において、感光性導体ペーストの導体パターン対応部分の表面と両側面とが照射光により照射され、当該導体パターン対応部分の表面と両側面とが硬化しているので、現像過程で当該部分が溶解されて逆テーパなどの不良な形状になることはない。したがって、導体パターンが形崩れすることないので、露光の解像度を向上させることができ、この結果、高密度で光透過性が悪い感光性導体ペーストにおいても、微細且つ高アスペクト比の導体パターンを有した電子部品を製造することができるという優れた効果がある。
また、導体パターン形成工程が塗布過程と露光過程と現像過程と焼成過程とでなり、レジスト剥離などを必要としない少ない工程で導体パターンを形成することができるので、工程数の削減と処理時間の短縮化とを図ることができ、その分製造コストの削減を図ることができるという効果がある。
また、第2のモールドマスクの凸部を感光性絶縁ペーストに押し込んで、物理的にビアホールを形成するので、露光現像のみで化学的に感光性絶縁ペーストを溶解してビアホールを形成する場合に比べて、ビアホールの形状の精度が高くなる。しかも、ビアホール形成工程の露光過程において、感光性絶縁ペーストの表面と、ビアホールの内壁となる感光性絶縁ペーストの部分の側面とを照射光で硬化しているので、現像過程で当該部分が溶解されてビアホールが形崩れすることはない。したがって、露光のビアホールに対する解像度を向上させることができ、この結果、微細且つ高アスペクト比のビアホールを有した電子部品を製造することができる。
【0032】
また、ビアホール形成工程が塗布過程と露光過程と現像焼成過程と上層塗布過程とでなり、レジスト剥離などを必要としない少ない工程でビアホールを形成することができるので、工程数の削減と処理時間の短縮化とを図ることができ、その分製造コストの削減を図ることができるという効果もある。
【0033】
また、単層もしくは多層の金属膜により、凸部の遮光膜の光反射性が向上し、凸部に入射した照射光の大半部が反射して、凸部間の感光性導体ペーストや感光性絶縁ペースト部に出射するので、感光性導体ペーストや感光性絶縁ペーストに対する露光が十分に行われる。この結果、現像時における硬化部分の膜保持性が良くなり、導体パターンやビアホールの解像度を向上させることができる。
【0034】
また、凸部に入射した照射光の大半部が乱反射して、凸部間の感光性導体ペーストや感光性絶縁ペースト部に出射するので、感光性導体ペーストや感光性絶縁ペーストに対する露光がさらに十分に行われる。この結果、現像時における硬化部分の膜保持性がさらに向上し、導体パターンやビアホールの解像度をさらに向上させることができる。
【0035】
また、凸部に入射した照射光のうち、凸部の斜面からペースト側に入射する照射光が多くなるので、感光性導体ペーストに対する露光不足がなくなり、オーバー現像による不具合即ち配線抵抗の劣化、不安定化や導体パターン密着強度の劣化を確実に防止することができる。また、凸部間の傾斜面が感光性導体ペースト側で広くなるので、感光性導体ペーストの凸部間への充填性を向上させることができる。さらに、露光過程実行後に第1のモールドマスクを離す際、感光性導体ペーストの残渣が凸部間に残りにくくなる。また、第1のモールドマスクによる感光性導体ペースト圧縮時の抵抗が低減し、この結果、第1のモールドマスクに対する負荷が低減し、マスク寿命を向上させることができる。
【0036】
また、凸部に入射した照射光のうち、凸部の斜面からペースト側に入射する照射光が多くなるので、感光性絶縁ペーストに対する露光不足が防止され、オーバー現像による不具合即ちビアホールの形崩れを確実に防止することができる。また、凸部が先端に向かって細くなっているので、凸部が感光性絶縁ペーストにスムーズに突き刺さり、その結果、感光性絶縁ペーストの充填性が向上する。また、ビアホールの形状がテーパ状になるので、上層の感光性導体ペーストをビアホール内に確実に充填することができる。さらに、露光過程実行後に第2のモールドマスクを離す際、感光性絶縁ペーストの残渣が凸部に残りにくくなる。また、第2のモールドマスクによる感光性絶縁ペースト圧縮時の抵抗が低減し、この結果、第2のモールドマスクに対する負荷が低減し、マスク寿命を向上させることができる。
【0037】
また、モールドマスクの型離れをしやすくするために、モールドマスクの押し付ける面に離型剤をコーティングしたものを用いる場合、感光性ペーストに押し付けて剥離後、感光性ペースト表面に離型剤が残渣として付着してしまうことがある。このとき、現像後に感光性ペースト表面をUVアッシングすることで、酸素イオンや酸素プラズマで処理する場合と比べて、ペースト配線の酸化による脆弱化を起こすことなく、離型剤残渣を分解、除去することができる。よって、積層した場合の密着性劣化や形成不良を抑制でき、焼成後のデラミネーションや層間のショート不良を防ぐことができる。
【0038】
また、同様の離型剤をコーティングしたモールドマスクを用いる場合、予め準備した清浄用試料表面に押し付けることで、今までは感光性ペーストに押し付けて剥離後に残渣として付着していた離型剤を、先に取り除いておくことができる。
【0039】
また、導体パターン上に感光性絶縁ペーストを塗布した際、導体パターンのアスペクト比が大きいと導体パターン間の領域で部分的な充填不良箇所、すなわち気泡が生じる場合がある。このとき、感光性絶縁ペーストを段階的に加熱、乾燥させることで、これらの気泡の成長を抑制できる。また、低温で一定期間置くことで、溶剤の揮発が抑制され、ペーストの流動性を確保でき、結果、充填不良箇所をなくすことができる。
【0040】
また、電子部品の小型化に対応するために、基板を用いない工法を用いるが、この場合、モールドマスクと支持基板の材質が異なっていると、線膨張係数の違いにより導体パターンやビアホールに位置ずれが生じてしまう。このとき、モールドマスクと支持基板の材質を同じものにすることで、線膨張係数を同じにして位置ずれを低減し位置精度を向上することができる。その結果、歩留りを向上できる。
【0041】
また、モールドマスクと支持基板の材質をともに石英とすることで、線膨張係数そのものを小さくすることができ、位置ずれをさらに低減できる。
【0042】
また、基板を用いない工法により積層パターンを形成して個片化、外部電極を形成することにより、小型で低抵抗、低損失な積層型の電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の第1実施例に係る電子部品製造方法を示す工程図である。
【図2】導体パターン形成工程の各過程を示す断面図である。
【図3】線幅の広い導体パターンを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
【図4】線幅の狭い導体パターンを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
【図5】ビアホール形成工程の各過程を示す断面図である。
【図6】細径のビアホールを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
【図7】この発明の第2実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【図8】この発明の第3実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【図9】この発明の第4実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【図10】この発明の第5実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【図11】この発明の第6実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【図12】この発明の第7実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【図13】この発明の第8実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【図14】一従来例に係る製造方法の導体パターン形成工程を示す工程図である。
【図15】図14の一従来例に係る製造方法のビアホール形成工程を示す工程図である。
【図16】線幅が広い導体パターンを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【図17】線幅が狭い導体パターンを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【図18】直径が大きなビアホールを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【図19】直径が小さなビアホールを形成する場合に生じる問題点を示す断面図である。
【図20】従来のインプリント法による導体パターン形成工程を示す工程図である。
【図21】従来のインプリント法によるビアホール形成工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、この発明の形態について図面を参照して説明する。
【0045】
図1は、この発明の第1実施例に係る電子部品製造方法を示す工程図である。
図1に示すように、この実施例の電子部品製造方法は、導体パターン形成工程S1とビアホール形成工程S2とを具備し、これら導体パターン形成工程S1及びビアホール形成工程S2を繰り返すことで、積層型の電子部品であるチップインダクタを製造する方法である。
【0046】
導体パターン形成工程S1は、塗布過程S11と露光過程S12と現像過程S13と焼成過程S14との各過程を有してなる。
【0047】
図2は、この導体パターン形成工程S1の各過程を示す断面図である。
塗布過程S11は、図2(a)に示すように、アルミナ基板100上にネガ型の感光性導体ペースト3−1を塗布する過程である。この実施例では、感光性導体ペースト3−1として、感光性銀ペースト(以下、感光性導体ペースト3−1を「感光性銀ペースト3−1」と記す)を用いた。また、この感光性銀ペースト3−1は、銀粒子の平均粒径が0.5μm〜10μm以内で且つ銀粒子の感光性銀ペースト3−1に対する体積密度が0.50〜0.85以内のものを用いた。
【0048】
かかる塗布過程S11を実行し、厚膜の感光性銀ペースト3−1をアルミナ基板100上に塗布した後、露光過程S12を実行する。
【0049】
露光過程S12は、アルミナ基板100に塗布された感光性銀ペースト3−1を露光する過程である。この露光過程S12では、図2(b)に示すように、表面に凹凸を有する第1のモールドマスク1を用いて、感光性銀ペースト3−1上に照射光であるUV光Lを照射する。
【0050】
具体的には、第1のモールドマスク1は、水晶やガラスなどの透明な平板で形成されており、その表面(図2において下側面)に、凸部10と凸部10に対して相対的に凹んだ凹部11を有している。
【0051】
凸部10は、形成すべき導体パターンの線間となる部分に対応した形状をなすように突設されており、その幅w10は、導体パターンの線間間隔に設定されている。一方、凹部11は、形成すべき導体パターンのパターン形状に対応した形状をなすように凹設されており、その幅w11は、導体パターンの線幅に設定されている。
【0052】
この第1のモールドマスク1は、ネガ型の感光性銀ペースト3−1を露光して凹部11に所望の導体パターンを形成するものであるので、導体パターン対応部分以外を露光しないように、遮光膜12が凸部10の先端面を覆っている。この遮光膜12は、光反射性を有する金属膜であり、この実施例では、遮光膜12を、凸部10の先端面に成膜されたAl膜とこのAl膜の表面に成膜されたNi膜とで形成した。
【0053】
露光過程S12では、前記第1のモールドマスク1を、図2(b)に示すように、感光性銀ペースト3−1に押しつけた状態で、UV光Lを第1のモールドマスク1の裏面側から感光性銀ペースト3−1に向けて照射することにより、感光性銀ペースト3−1を選択的に露光する。
【0054】
図3は、線幅の広い導体パターンを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図であり、図4は、線幅の狭い導体パターンを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
【0055】
透明な第1のモールドマスク1を通過したUV光Lは、図3(a)に示すように、凹部11の上面11aから垂直に感光性銀ペースト3−1に照射する。また、僅かではあるが、凹部11の側面11bから感光性銀ペースト3−1側に入り込むUV光L2も存在する。さらに、凸部10の先端面に光反射性に優れた遮光膜12が形成されているので、この遮光膜12で反射された反射UV光L3も側面11bから凹部11内に入り込む。この結果、感光性銀ペースト部3−1aが十分に露光されて、ほぼ全体が硬化する。
【0056】
図4に示したような微細な導体パターンについても同様に、凹部側面からの入射光L2、反射光L3により、感光性銀ペースト3−1の側面も硬化する。この結果、感光性銀ペースト部3−1aの内部が非露光状態であっても、硬化部3−1bが微細な感光性銀ペースト部3−1aの外周部に形成されるので、この感光性銀ペースト部3−1aが次段の現像過程S13で溶解されることはない。
【0057】
一方、凸部10下側の感光性銀ペースト3−1の部分3−1cは、凸部10に入射した照射光の大半が凸部10先端面の遮光膜12で遮光されるので、非露光状態になる。
【0058】
そして、図2(c)に示すように、現像過程S13において、露光過程S12で露光された感光性銀ペースト3−1が現像され、非露光部3−1cが溶解されて、所望の導体パターンに対応した硬化パターン3−2が形成される。
【0059】
しかる後、図2(d)に示すように、焼成過程S14において、現像過程S13で形成された硬化パターン3−2が焼成されて、所望の導体パターン3がアルミナ基板100上に形成される。
これにより、導体パターン形成工程S1が終了し、ビアホール形成工程S2に移行する。
【0060】
ビアホール形成工程S2は、図1に示すように、塗布過程S21と露光過程S22と現像焼成過程S23と上層塗布過程S24との各過程を有してなる。
【0061】
図5は、このビアホール形成工程S2の各過程を示す断面図である。
塗布過程S11は、図5(a)に示すように、ネガ型の感光性絶縁ペースト4−1を導体パターン形成工程S1で形成された導体パターン3上に塗布する過程である。この実施例では、感光性絶縁ペースト4−1として、感光性ガラスペースト(以下、感光性絶縁ペースト4−1を「感光性ガラスペースト4−1」と記す)を用いた。なお、感光性絶縁ペースト4−1の絶縁体成分として、ガラスの他にフェライトや誘電体セラミックスを用いることができる。また、ガラス,フェライト,誘電体セラミックスのうちの少なくとも2つの混合物を絶縁体成分とすることもできる。
【0062】
かかる塗布過程S21を実行し、厚膜の感光性ガラスペースト4−1をアルミナ基板100上に導体パターン3を覆うように塗布した後、露光過程S22を実行する。
【0063】
露光過程S22は、導体パターン3に塗布された感光性ガラスペースト4−1を露光する過程である。この露光過程S22では、図5(b)に示すように、表面に凸部を有する第2のモールドマスク2を用いて、感光性ガラスペースト4−1上にUV光Lを照射する。
【0064】
具体的には、第2のモールドマスク2も、水晶やガラスなどの透明な平板で形成されおり、その表面(図5において下側面)に、凸部20を有している。
凸部20は、形成すべきビアホールに対応した形状をなすように突設されており、その直径w20は、ビアホールの直径にほぼ等しく設定されている。
【0065】
この第2のモールドマスク2は、ネガ型の感光性ガラスペースト4−1を露光して凸部20に所望のビアホールを形成するものであるので、ビアホール対応部分以外を露光しないように、遮光膜22が凸部20の先端面に形成されている。この遮光膜22も、光反射性を有する金属膜であり、凸部20の先端面に成膜されたAl膜とこのAl膜の表面に成膜されたNi膜とで形成した。
【0066】
露光過程S22では、前述の構造における第2のモールドマスク2を、図5(b)に示すように、感光性ガラスペースト4−1に押しつけた状態で、UV光Lを第2のモールドマスク2の裏面側から感光性ガラスペースト4−1に向けて照射することにより、感光性ガラスペースト4−1を選択的に露光する。
【0067】
図6は、細径のビアホールを形成する際の露光現象を示す部分拡大断面図である。
図6(a)に示すように、第2のモールドマスク2の凸部20を感光性ガラスペースト4−1に押し込むことで、ビアホールに対応した感光性ガラスペースト穴4−1aが物理的に形成される。そして、凸部20以外の部分においては、多量の垂直UV光L1が第2のモールドマスク2の表面2aから感光性ガラスペースト4−1に照射し、このとき僅かではあるが、斜行UV光L2が凸部20の側面20bから感光性ガラスペースト穴4−1aの周面を画成する感光性ガラスペースト4−1の側面に入射する。さらに、遮光膜22で反射された反射UV光L3も側面20bから凸部20外部の感光性ガラスペースト4−1内に入り込む。この結果、感光性ガラスペースト4−1全体が硬化状態となり、感光性ガラスペースト穴4−1aが固められた状態となる。そして、凸部20の遮光膜22下側の薄い部分4−1cのみが、非露光状態になる。
【0068】
そして、図5(c)に示すように、現像焼成過程S23において、露光過程S22で露光された感光性ガラスペースト4−1が現像され、非露光部4−1cが溶解される。このとき、非露光部4−1cは凸部20に押しつぶされており、非常に薄いので、この非露光部4−1cを溶解させる現像処理時間は非常に短い。しかも、凸部20の押し込みによって物理的に形成された感光性ガラスペースト穴4−1aが直状であり、化学的に溶解される非露光部4−1cが薄い。したがって、感光性ガラスペースト穴4−1aと、非露光部4−1cの溶解で生じる空白部との連結により形成される孔はほぼ直状になる。しかる後、現像処理で形成された硬化パターンが焼成されて、所望径のほぼ直状のビアホール5と絶縁膜4とが形成される。
【0069】
そして、上層塗布過程S24において図5(d)に示すように、感光性銀ペースト3−1がビアホール5に充填されながら絶縁膜4上に塗布される。これにより、下層の導体パターン3と上層の感光性銀ペースト3−1とがビアホール5を通じて接続される。このとき、ビアホール5が下広がりのテーパ状でなく、ほぼ直状であるので、ビアホール5内で泡かみなどの現象が発生することはすくない。
【0070】
これにより、図1に示すように、ビアホール形成工程S2を終了する。
その後は、導体パターン形成工程S1とビアホール形成工程S2とを繰り返すことで、積層型のチップインダクタを形成し、チップ分割及び外部電極の取付を行うことで、チップインダクタが完成する。
【0071】
このように、この実施例の電子部品製造方法によれば、導体パターン形成工程S1の露光過程S12において、第1のモールドマスク1の凸部10から斜行UV光L2及び反射UV光L3を感光性銀ペースト3−1の側面に入射させて、導体パターン3に対応した感光性銀ペースト部3−1aを硬化させるので、厚膜で光透過性の悪い感光性銀ペースト3−1を用いても、微細な導体パターン3を高解像度で形成することができる。また、第2のモールドマスク2の凸部20を感光性ガラスペースト4−1に押し込んで、物理的にビアホール5を形成するので、ビアホール5の形状の精度が高くなる。しかも、露光過程S22において、感光性ガラスペースト穴4−1aの内周面を斜行UV光L2と反射UV光L3を利用して硬化するので、形崩れがなく、ビアホール5の解像度が向上する。
【0072】
また、導体パターン形成工程S1が塗布過程S11と露光過程S12と現像過程S13と焼成過程S14とでなり、ビアホール形成工程S2が塗布過程S21と露光過程S22と現像焼成過程S23と上層塗布過程S24とでなり、レジスト剥離などを必要としない少ない工程で導体パターン3やビアホール5を形成することができるので、工程数の削減と処理時間の短縮化とを図ることができる。
【0073】
ここで、かかる実施例の微細化効果を試す実験について述べる。
【0074】
本実施例の導体パターン形成実験では、塗布過程S11において、感光性銀ペースト3−1をアルミナ基板100上に厚み12μmで印刷し、プリベークした。そして、第1のモールドマスク1については、まず、水晶基板表面に厚み0.3μmのNi膜と厚み0.1μmのAl膜とによるパターンをリフトオフ蒸着にて形成した。そして、RIEで水晶基板の表面を深さ10μmまで加工して、幅w10が10μmの凸部10と幅w11が10μmの凹部11とを、これらの相対深さDが10μmになるように、水晶基板表面に形成した。第1のモールドマスク1を用いて露光過程S12を実行し、インプリント式露光機により、遮光膜12下側の非露光部3−1cの膜厚が2μmになるまで、第1のモールドマスク1を感光性銀ペースト3−1に押しつけて露光した。しかる後、現像過程S13および焼成工程S14を実行した。その結果、膜厚8μm、線幅12μmの導体パターンが得られた。
【0075】
また、本実施例のビアホール形成実験では、塗布過程S21において、感光性ガラスペースト4−1をアルミナ基板100上に厚み30μmで印刷し、プリベークした。そして、第2のモールドマスク2については、まず、水晶基板表面に厚み1.0μmのNi膜と厚み0.1μmのAl膜とで直径35μmの円形パターンをリフトオフ蒸着にて形成した。そして、RIEで水晶基板の表面を深さ25μmまで加工して、幅w10が25μmで深さDが25μmの円形凸部10を水晶基板表面に形成した。第2のモールドマスク2を用いて、露光過程S22を実行し、インプリント式露光機によって、遮光膜22下側の非露光部4−1cの膜厚dが5μmになるまで、第2のモールドマスク2を感光性ガラスペースト4−1に押しつけて露光した。しかる後、現像焼成過程S23を実行した。その結果、膜厚15μm、直径40μmのビアホールが得られた。
【0076】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図7は、この発明の第2実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【0077】
この実施例の電子部品製造方法は、遮光膜の構造が第1実施例と異なる。
【0078】
すなわち、この実施例では、第1のモールドマスク1においては、凸部10の先端面が荒らされ、この荒された先端面に遮光膜12′が成膜されている。したがって、遮光膜12′の内面12a′(図の上面)も荒れた面になり、凸部10に入射したUV光Lが、遮光膜12′の内面12a′で乱反射される。
【0079】
すなわち、凸部10に入射したUV光Lのうち、垂直UV光L1もこの遮光膜12′で乱反射されるので、感光性銀ペースト部3−1aの側部に入射するUV光Lの量が増加する。この結果、感光性銀ペースト部3−1aに対する露光がさらに十分に行われ、現像時における硬化部分の膜保持性がさらに向上し、導体パターン3の解像度をさらに向上させることができる。
【0080】
この実施例は、第2のモールドマスク2の凸部20に形成されている遮光膜22にも適用することができる。
【0081】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0082】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図8は、この発明の第3実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【0083】
この実施例の電子部品製造方法は、第1のモールドマスク1の凸部10における幅方向の断面を、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成した点が、第1実施例と異なる。
【0084】
すなわち、図8(a)に示すように、凸部10の断面を、台形状に形成し、且つ凸部10の斜面10aと第1のモールドマスク1の表面1aとのなす角θを、30°以上90゜未満に設定した。
【0085】
かかる構成により、第1のモールドマスク1の凸部10における斜面10aが傾斜しているので、凸部10に入射した垂直UV光L1も、斜面10aからペースト側に入射することとなるので、感光性銀ペースト3−1に対する露光効果が向上する。また、凹部11が下方に向かって広くなるので、感光性銀ペースト3−1への押し込み時に、感光性銀ペースト3−1が凹部11に円滑に充填される。さらに、図8(b)に示すように、露光後に第1のモールドマスク1を感光性銀ペースト3−1から抵抗を受けることなく離すことができるので、感光性銀ペースト3−1の残渣が凹部11内に残ることはほとんどない。また、第1のモールドマスク1による感光性銀ペースト3−1への押し込み時の抵抗が低減する。この結果、第1のモールドマスク1に対する負荷が低減し、マスク寿命が向上する。
【0086】
なお、凸部10の斜面10aの傾斜角θが90°に近いほど導体パターン3の微細化には有利になる。しかし、凹部11への感光性銀ペースト3−1の充填性の向上やマスク剥離時の残査低減には、傾斜角θが小さい方が有利である。したがって、製造条件に応じて凸部10の斜面10aの傾斜角θを適切に設定することが好ましい。
【0087】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0088】
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図9は、この発明の第4実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大断面図である。
【0089】
この実施例の電子部品製造方法では、図9に示すように、凸部10の斜面10aと第1のモールドマスク1の表面1aとの交わり部分に、丸め10bを施した。
【0090】
かかる構成により、凹部11への感光性銀ペースト3−1の充填性やマスク剥離時の残査低減性がさらに向上する。
【0091】
その他の構成、作用及び効果は、第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0092】
次に、この発明の第5実施例について説明する。
図10は、この発明の第5実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【0093】
第1実施例に適用した第2のモールドマスク2では、凸部20を直状に突出した形状に設定したので、形成されるビアホール5も深さ方向に直状の形状になった。しかし、ビアホール5が直状であると、感光性ガラスペースト4−1の充填性が十分でなく、充填時にビアホール5の下部に空隙が生じるおそれもある。
【0094】
この実施例は、かかる空隙の発生を完全に防止するためのもので、第2のモールドマスク2における凸部20の外形を、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成した。
【0095】
すなわち、図10(a)に示すように、凸部20の外形を、多角錐台形または円錐台形に形成し、且つ凸部20の斜面20aと第2のモールドマスク2の表面2aとのなす角θを、30°以上90゜未満に設定した。
【0096】
このような第2のモールドマスク2を、図10(a)に示すように、感光性ガラスペースト4−1に押しつけて露光過程S22を実行するが、凸部20の外形がテーパ状になっているので、第2のモールドマスク2を感光性ガラスペースト4−1に押し付ける際に抵抗が少なく、負荷が少ない。この結果、第2のモールドマスク2の寿命を高めることができる。
【0097】
露光過程S22を実行すると、UV光が第2のモールドマスク2の裏面から照射されるが、凸部20の外形がテーパ状になっているので、凸部20に入射した照射光のうち、凸部20の斜面から感光性ガラスペースト4−1側に入射する照射光が多くなる。
【0098】
そして、露光過程S22実行後、図10(b)に示すように、第2のモールドマスク2を離すが、この際、感光性ガラスペースト穴4−1aが第2のモールドマスク2の離れる方向に拡開しているので、第2のモールドマスク2を感光性ガラスペースト4−1からの抵抗を受けることなくスムーズに離すことができ、この結果、感光性ガラスペースト4−1の残渣が凸部20に着きにくくなる。
【0099】
そして、現像焼成過程S23を実行することで、図10(c)に示すように、上方拡開のビアホール5が形成される。
【0100】
しかる後、上層塗布過程S24を実行し、感光性銀ペースト3−1をこのビアホール5に充填しながら絶縁膜4上に塗布するが、ビアホール5が上方拡開のテーパ状をしているので、感光性銀ペースト3−1がビアホール5から抵抗を受けることなくスムーズにビアホール5内に充填される。この結果、ビアホール5内に空隙のない充填が達成される。
【0101】
その他の構成、作用及び効果は、第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0102】
次に、この発明の第6実施例について説明する。
図11はこの発明の第6実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【0103】
本実施例では、第1のモールドマスク1の、感光性銀ペースト3−1に押し付けられる面に離型剤6をコーティングした点、また、現像後にUVアッシングする点が第1の実施例と異なる。
【0104】
まず、図11(a)のように、アルミナ基板100上に塗布された感光性銀ペースト3−1に、図11(b)のように、第1のモールドマスク1を押し付けて露光する過程は第1実施例と同様である。ここで、本実施例の第1のモールドマスクの表面には、フッ素系のシランカップリング剤からなる離型剤6がコーティングされている。この離型剤は、モールドマスクを5分間浸漬させることでコーティングされる。露光後、第1のモールドマスクを感光性銀ペーストから剥離するが、この際、離型剤の一部が、残渣として感光性銀ペースト表面に付着したままになってしまう(図11(c))。そこで、現像後、UVアッシングで、感光性銀ペーストを酸化させないように残渣61を除去する(図11(d))。
第2のモールドマスクを用いる、ビアホールを形成する工程においても、同様に離型剤をコーティングしたモールドマスクを使用し、UVアッシングにより離型剤残渣を除去する。
【0105】
この結果、積層した場合の密着性劣化や形成不良を抑制でき、焼成後のデラミネーションや層間のショート不良を防ぐことができる。
【0106】
なお、本実施例では、感光性銀ペースト表面の離型剤残渣を除去するために、UVアッシングを行う工法を示したが、次に示すような工法でもよい。具体的には、予め準備した清浄用試料表面に押し付けることで、今までは感光性ペーストに押し付けて剥離後に残渣として付着していた離型剤を、先に取り除いておく工法を用いる。この工法によっても、同様の作用および効果が得られる。清浄用試料とは、第1のモールドマスクを押し付ける場合に用いるのは感光性銀ペーストであり、第2のモールドマスクを押し付ける場合に用いるのは感光性ガラスペーストである。その他、離型剤との密着性が、モールドマスクとこれに化学的に結合した離型剤との密着性よりも弱く、モールドマスクとこれに物理的に付着した離型剤との密着性よりも強い材料であればよい。
【0107】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0108】
次に、この発明の第7実施例について説明する。
図12はこの発明の第7実施例に係る電子部品製造方法の要部を示す部分拡大図である。
【0109】
本実施例では、感光性絶縁ペーストを導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程の後に、前記感光性絶縁ペーストを乾燥させる工程を備え、前記乾燥工程は、乾燥温度を低温から高温へと多段階に昇温する工程である点が第1の実施例と異なる。
【0110】
具体的には、感光性絶縁ペーストとして、溶剤にジプロピレングリコールモノメチルエーテル、感光剤にアクリル系感光樹脂を用いたSi−B−Bi−K−Al系のものを用いた場合、50℃で5分間、次に90℃で5分間、段階的に昇温して乾燥させる。これにより、導体パターン間の領域で発生した気泡7や充填不良71が低減される。この温度条件は、60℃と90℃、40℃と90℃の2段階の条件でも効果が見られる。また、ここでは2段階の温度条件を示したが、40℃から90℃まで10℃刻みで6段階昇温する条件で乾燥を行う、といったように、温度を刻む段階を増やすほうがより効果的である。
【0111】
また、本乾燥工程は、溶剤にジプロピレングリコールモノメチルエーテル以外、感光剤にアクリル系感光樹脂を用いたSi−B−Bi−K−Al系以外の感光性絶縁ペーストを用いた場合にも適用できる。この場合、乾燥温度の条件は異なる。
【0112】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0113】
次に、この発明の第8実施例について説明する。
図13はこの発明の第8実施例に係る電子部品製造方法の要部を拡大して示す工程図である。
【0114】
本実施例では、アルミナ基板を用いず、支持基板を設け、この支持基板上にキャリアフィルムを形成し、さらにこのキャリアフィルム上に絶縁膜を形成する点が第1の実施例と異なる。
【0115】
まず、図13(a)に示すように、支持基板101上にキャリアフィルム8を形成し、その上に絶縁ペースト41、感光性銀ペースト3−1を塗布する。支持基板には、石英基板を用いる。なお、支持基板としてガラス基板を用いてもよい。キャリアフィルムとしては、熱剥離シートを用いる。絶縁ペーストとしては、感光性ガラスペーストを用いる。なお、絶縁ペーストは感光性のものに限るものではない。
【0116】
その後、図13(b)から図13(g)に示すとおり、導体パターンとビアホールを形成する。これは第1の実施例と同様であるが、焼成は行わない。ここで用いるモールドマスクの材質は石英である。
【0117】
これら導体パターンとビアホールを繰り返し形成して積層パターンを形成した後、図13(h)に示すように最上層に絶縁膜を形成する。そして、得られた多層パターンを個片化した後、キャリアフィルムから剥がして焼成を行い、外部電極を形成する。ここで、個片化はダイシングカットにより行う。また、外部電極は、めっき処理により形成する。なお、スパッタ等の成膜により形成してもよい。
【0118】
この結果、位置ずれの低減された導体パターンやビアホールを有する、位置精度の向上した、小型の積層型のチップインダクタを得ることができる。
【0119】
その他の構成、作用及び効果は、第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0120】
なお、この発明は、前述の実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
【0121】
前述の実施例では、第1及び第2のモールドマスク1,2の遮光膜12,22を、光反射性を有する金属膜で形成した例を示したが、光反射性のない遮光膜を有する第1及び第2のモールドマスクを適用する電子部品製造方法を、この発明の範囲から除外する意ではない。また、凸部先端の荒れを有さないモールドマスクを適用する電子部品製造方法についても、この発明の範囲から除外する意ではない。
【0122】
また、第1及び第2のモールドマスク1,2の形成方法は、前述の実施例で開示した方法に限定されるものではなく、種々多様である。例えば、第1及び第2のモールドマスク1,2の基板として光透過性に優れた各種ガラスや硬質プラスチックを用い、この基板をウエット又はドライのフォトエッチング加工やサンドブラスト加工することによって、凸部10,20及び凹部11,21を形成する。そして、遮光膜12,22の光反射性や乱反射性を向上させるために、遮光膜12,22を形成する前に、凸部10,20の先端面を、ウエット又はドライエッチング加工やサンドブラス加工することで、先端面に微細な荒れを形成する。しかる後、当該基板との密着性や光反射性に優れた金属膜を凸部10,20の荒れた先端面にスパッタリングや蒸着によって形成する。このとき、金属膜は、単層に限定されるものではない。基板との密着性に優れたTi,Cr,W,Mo,Alなどの金属膜に、各種の金属や金属酸化物もしくは金属窒化膜を積層した多層膜としても良い。
【符号の説明】
【0123】
1…第1のモールドマスク、 2…第2のモールドマスク、 3…導体パターン、 3−1…感光性導体(銀)ペースト、 4−1…感光性絶縁(ガラス)ペースト、 4…絶縁膜、 5…ビアホール、 6…離型剤、 7…気泡、 8…キャリアフィルム、 10,20…凸部、 11…凹部、 12,22…遮光膜、 20a…斜面、 100…アルミナ基板、 101…基板、 L…照射光、 S1…導体パターン形成工程、 S11…塗布過程、 S12…露光過程、 S13…現像過程、 S14…焼成過程、 S2…ビアホール形成工程、 S21…塗布過程、 S22…露光過程、 S23…現像焼成過程、 S24…上層塗布過程、 θ…傾斜角。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にネガ型の感光性導体ペーストを塗布する塗布過程と、前記塗布された感光性導体ペーストを露光する露光過程と、前記露光された感光性導体ペーストを現像して前記感光性導体ペーストによるパターンを形成する現像過程と、及び前記パターンを焼成して所望の導体パターンを形成する焼成過程と、を有した導体パターン形成工程と、
ネガ型の感光性絶縁ペーストを前記導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程と、前記塗布された感光性絶縁ペーストを露光する露光過程と、前記露光された感光性絶縁ペーストを現像した後焼成して絶縁膜を形成すると共に絶縁膜に所望径のビアホールを形成する現像焼成過程と、感光性導体ペーストを前記ビアホールに充填しながら前記絶縁膜上に塗布する上層塗布過程を有したビアホール形成工程と、
を繰り返し実行することで、積層型の電子部品を製造する電子部品製造方法であって、
前記導体パターン形成工程の露光過程は、透明な平板で形成され、前記感光性導体ペースト側を向く表面に所望の導体パターンの線間となる部分に対応した凸部が突設され、前記凸部の先端面が遮光膜で覆われた第1のモールドマスクを、前記感光性導体ペーストに押しつけた状態で、照射光を前記第1のモールドマスクの裏面側から感光性導体ペーストに向けて照射することにより、前記感光性導体ペーストを選択的に露光するものであり、
前記ビアホール形成工程の露光過程は、透明な平板で形成され、前記感光性絶縁ペースト側を向く表面に所望径のビアホールに対応した凸部が突設され、前記凸部の先端面が遮光膜で覆われた第2のモールドマスクを、前記感光性絶縁ペーストに押しつけた状態で、照射光を前記第2のモールドマスクの裏面側から感光性絶縁ペーストに向けて照射することにより、前記感光性絶縁ペーストを選択的に露光するものである、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品製造方法において、前記遮光膜は、光反射性を有する単層もしくは多層の金属膜である、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電子部品製造方法において、前記凸部の先端面を荒らし、前記先端面に前記遮光膜を成膜した、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクの凸部における幅方向の断面は、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第2のモールドマスクにおける凸部の外形は、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクは、感光性ペーストに押し付けられる面に離型剤がコーティングされており、
前記現像過程の前に、それぞれのモールドマスクを感光性ペーストに押し付けた後剥離して、感光性ペーストの表面をUVアッシングする過程を備える、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクは、感光性ペーストに押し付けられる面に離型剤がコーティングされており、
前記塗布過程の後に、それぞれのモールドマスクを別途準備した清浄用試料表面に押し付けた後、それぞれのモールドマスクを感光性ペーストに押し付ける工程を含む前記露光過程を備える、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記導体パターン形成工程後、感光性絶縁ペーストを前記導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程の後に、前記感光性絶縁ペーストを乾燥させる工程を備え、前記乾燥工程は、乾燥温度を低温から高温へと多段階に昇温する工程である、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクと同じ材質である支持基板をさらに備え、この支持基板上に、キャリアフィルムを形成する工程と、前記キャリアフィルム上に絶縁層を形成する工程と、を経て、焼成を除く前記導体パターン形成工程および前記ビアホール形成工程と、を繰り返し行い、キャリアフィルムをはがした後に一括で焼成する、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスク、前記第2のモールドマスクおよび前記支持基板の材質は石英である、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項11】
請求項9ないし請求項10のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記導体パターン形成工程および前記ビアホール形成工程と、を繰り返し行った後、得られた多層パターンを個片化し外部電極を形成する、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項1】
基板上にネガ型の感光性導体ペーストを塗布する塗布過程と、前記塗布された感光性導体ペーストを露光する露光過程と、前記露光された感光性導体ペーストを現像して前記感光性導体ペーストによるパターンを形成する現像過程と、及び前記パターンを焼成して所望の導体パターンを形成する焼成過程と、を有した導体パターン形成工程と、
ネガ型の感光性絶縁ペーストを前記導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程と、前記塗布された感光性絶縁ペーストを露光する露光過程と、前記露光された感光性絶縁ペーストを現像した後焼成して絶縁膜を形成すると共に絶縁膜に所望径のビアホールを形成する現像焼成過程と、感光性導体ペーストを前記ビアホールに充填しながら前記絶縁膜上に塗布する上層塗布過程を有したビアホール形成工程と、
を繰り返し実行することで、積層型の電子部品を製造する電子部品製造方法であって、
前記導体パターン形成工程の露光過程は、透明な平板で形成され、前記感光性導体ペースト側を向く表面に所望の導体パターンの線間となる部分に対応した凸部が突設され、前記凸部の先端面が遮光膜で覆われた第1のモールドマスクを、前記感光性導体ペーストに押しつけた状態で、照射光を前記第1のモールドマスクの裏面側から感光性導体ペーストに向けて照射することにより、前記感光性導体ペーストを選択的に露光するものであり、
前記ビアホール形成工程の露光過程は、透明な平板で形成され、前記感光性絶縁ペースト側を向く表面に所望径のビアホールに対応した凸部が突設され、前記凸部の先端面が遮光膜で覆われた第2のモールドマスクを、前記感光性絶縁ペーストに押しつけた状態で、照射光を前記第2のモールドマスクの裏面側から感光性絶縁ペーストに向けて照射することにより、前記感光性絶縁ペーストを選択的に露光するものである、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品製造方法において、前記遮光膜は、光反射性を有する単層もしくは多層の金属膜である、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の電子部品製造方法において、前記凸部の先端面を荒らし、前記先端面に前記遮光膜を成膜した、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクの凸部における幅方向の断面は、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第2のモールドマスクにおける凸部の外形は、先端側に向かって細くなるテーパ状に形成されている、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクは、感光性ペーストに押し付けられる面に離型剤がコーティングされており、
前記現像過程の前に、それぞれのモールドマスクを感光性ペーストに押し付けた後剥離して、感光性ペーストの表面をUVアッシングする過程を備える、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクは、感光性ペーストに押し付けられる面に離型剤がコーティングされており、
前記塗布過程の後に、それぞれのモールドマスクを別途準備した清浄用試料表面に押し付けた後、それぞれのモールドマスクを感光性ペーストに押し付ける工程を含む前記露光過程を備える、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記導体パターン形成工程後、感光性絶縁ペーストを前記導体パターン形成工程で形成された導体パターンの上から塗布する塗布過程の後に、前記感光性絶縁ペーストを乾燥させる工程を備え、前記乾燥工程は、乾燥温度を低温から高温へと多段階に昇温する工程である、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスクおよび前記第2のモールドマスクと同じ材質である支持基板をさらに備え、この支持基板上に、キャリアフィルムを形成する工程と、前記キャリアフィルム上に絶縁層を形成する工程と、を経て、焼成を除く前記導体パターン形成工程および前記ビアホール形成工程と、を繰り返し行い、キャリアフィルムをはがした後に一括で焼成する、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電子部品製造方法において、前記第1のモールドマスク、前記第2のモールドマスクおよび前記支持基板の材質は石英である、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【請求項11】
請求項9ないし請求項10のいずれか1項に記載の電子部品製造方法において、前記導体パターン形成工程および前記ビアホール形成工程と、を繰り返し行った後、得られた多層パターンを個片化し外部電極を形成する、ことを特徴とする電子部品製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−263000(P2010−263000A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111085(P2009−111085)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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