説明

電気光学装置、電子機器、および投射型表示装置

【課題】デジタル駆動方式を採用するにあたって、温度センサーを後付けしなくても、温度変化に起因する階調不良の発生を防止することのできる電気光学装置、並びに当該電気光学装置を備えた電子機器および投射型表示装置を提供すること。
【解決手段】電気光学装置100において、駆動部110は、データ変換部113において画像データをデジタル駆動信号に変換してデータ線駆動回路111を介して画素電極9aに供給する。素子基板10には、電界効果型トランジスター30の半導体層と同時に形成された半導体層に不純物をドープしてなる温度検出用導電膜11が設けられており、データ変換部113は、デジタル駆動信号を生成する際に温度検出用導電膜11の抵抗変化に対応する補正を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気信号を対応する条件で変調した光を出射する電気光学装置、並びに当該電気光学装置を備えた電子機器および投射型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター等と称せられる投射型表示装置において、ライトバルブとして用いられている液晶装置は、電気信号を対応する条件で変調した光を出射する電気光学装置として構成されている。かかる電気光学装置のうち、透過型液晶装置の場合、液晶パネルは、一方の面から光の入射を受け、この光を空間的に変調して他方の面から出射する。これに対して、反射型液晶装置の場合、液晶パネルは、一方の面から光の入射を受け、この光を空間的に変調して一方の面から出射する。
【0003】
これらの液晶パネルは、一般的に、素子基板に石英基板が用いられており、かかる素子基板上に電界効果型トランジスター等が形成された構造を有している。電界効果型トランジスターのチャネル層となる半導体層は、薄膜形成手法によって石英基板上に堆積した後に結晶化する方法や、石英基板上に単結晶シリコン膜を貼り付けたSOI構造の基板を用いる方法により形成される。後者は、結晶性の優れた単結晶Siを使用することで移動度が高く、かつ、特性ばらつきの小さい電界効果型トランジスターを形成することが可能であり、表示装置の多画素化や多階調化、またデジタル駆動等の駆動周波数の高い回路駆動への対応が比較的容易に可能となる。また、前者は、結晶性の優れた単結晶Siを使用することで移動度が高く、かつ、特性ばらつきの小さい電界効果型トランジスターを形成することが可能である。
【0004】
デジタル駆動とは、1フィールド(1/60秒)の画像信号を複数のサブフィールドに分割し、各サブフィールドにおいて液晶層に0Vまたは5Vを印加することで中間調を表現する方法である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−100180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の電気光学装置において、電気光学物質として用いた液晶は、温度によって電圧に対する応答速度が変化する。そのため、前述のデジタル駆動方式を用いた場合、液晶パネルの温度が変化すると表示される画像の階調性が乱れ、表示不良の発生原因となる。例えば、投射型表示装置が設置される雰囲気の温度の変化や、高輝度ランプから液晶装置に供給される照明光の光量が、表示する画像に応じて絞り等を用いて調整される場合、液晶パネルに温度変化が発生し、階調性が崩れてしまう結果、表示ムラ等が発生により滑らかな表示ができなくなる。かといって、素子基板の近傍に温度センサーを後付けすると、コストが増大するとともに、温度センサーが液晶から離間しているため、液晶温度を正確に監視することができないという問題点がある。
【0007】
上記問題点を解決するため、本発明の課題は、デジタル駆動方式を採用するにあたって、温度センサーを後付けしなくても、温度変化に起因する階調不良の発生を防止することのできる電気光学装置、並びに当該電気光学装置を備えた電子機器および投射型表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、素子基板上に形成された液晶駆動用の画素電極、および当該素子基板上に前記画素電極に対応して設けられた画素スイッチング用の電界効果型トランジスターを備えた画素と、前記画素電極に階調表示用の駆動信号を供給する駆動部と、を有する電気光学装置において、前記素子基板上には、前記電界効果型トランジスターの半導体層と同一の半導体層に不純物をドープしてなる温度検出用導電膜が設けられ、前記駆動部は、画像データを変換して前記駆動信号として、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドにおいて前記画素の輝度が飽和するオン電圧および前記画素が消灯状態となるオフ電圧からなるデジタル駆動信号を生成するデータ変換部を備え、当該データ変換部は、前記デジタル駆動信号を生成する際に前記温度検出用導電膜の抵抗変化に対応する補正を行なうことを特徴とする。
【0009】
本発明において、駆動部は、データ変換部において画像データをデジタル駆動信号に変換して画素電極に供給する。ここで、デジタル駆動信号は、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドにおいて前記画素の輝度が飽和するオン電圧および前記画素が消灯状態となるオフ電圧からなり、オン電圧が印加されている期間とオフ電圧が印加されている期間とのバランスや、オン電圧が印加されるタイミング等によって階調表示を行なう。但し、デジタル駆動方式の場合、オン電圧が印加された際の液晶の挙動が温度によって変動すると、階調に乱れが発生するが、本発明では、温度検出用導電膜が素子基板上に設けられており、かかる温度検出用導電膜は、温度によって抵抗が変化する。また、データ変換部は、デジタル駆動信号を生成する際に温度検出用導電膜の抵抗変化に対応する補正を行なう。このため、素子基板の温度が変化しても、かかる温度変化に対応する補正が行なわれるため、階調に乱れが発生せず、表示不良が発生しない。しかも、温度検出用導電膜は、半導体層に不純物がドープされた導電膜である。かかる導電膜の半導体層であれば、画素スイッチング用の電界効果型トランジスターの半導体層と同時形成することができるとともに、液晶の温度を正確に監視することができる。従って、本発明によれば、温度センサーを素子基板に後付けしなくても、温度変化に起因する階調の乱れを確実に防止することができる。
【0010】
本発明は、前記データ変換部が、前記デジタル駆動信号として、前記オン電圧が非連続で出現する信号を生成する場合に適応すると効果的である。かかるデジタル駆動方式の場合には、液晶の配向変化の過渡現象を最大限利用して階調表示を行なう分、温度変化の影響を受けやすい分、本発明を適用した場合の効果が顕著である。
【0011】
本発明において、前記素子基板上には、前記温度検出用導電膜の長さ方向で離間する2箇所の各々に電気的に接続された通電用配線と、前記温度検出用導電膜の長さ方向で離間する2箇所の各々に電気的に接続された抵抗検出用配線とが設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、いわゆる四端子法で抵抗を監視できるので、抵抗変化を精度よく監視することができる、従って、デジタル駆動信号に対する温度補正を適正に行なうことができる。
【0012】
本発明において、前記素子基板上には、前記温度検出用導電膜が複数、形成され、当該複数の前記温度検出用導電膜は、前記通電用配線によって直列に電気的に接続されていることが好ましい。このように構成すると、素子基板の温度を複数個所で監視するので、デジタル駆動信号に対する温度補正を適正に行なうことができる。
【0013】
本発明において、前記半導体層は、多結晶シリコン膜であることが好ましい。かかる構成によれば、温度検出用導電膜を構成する半導体層が単結晶シリコン膜やアモルファスシリコン膜と違って、温度検出用導電膜の抵抗が温度変化に伴って明確に変化するので、温度監視用に適している。
【0014】
本発明において、前記素子基板上には、前記画素が複数配列された画素部から前記温度検出用導電膜の形成領域まで、前記画素部に形成された層間絶縁膜よりも熱伝導性が高い高熱伝導性絶縁膜が連続して形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、素子基板全体の温度を均一化することができるので、画素と温度検出用導電膜とが離間している場合でも画素の温度を正確に監視することができる。
【0015】
本発明を適用した電気光学装置は各種電子機器に用いることができ、この場合、電気光学装置は電子機器の表示部として用いられる。
【0016】
本発明を適用した電気光学装置は投射型表示装置(電子機器)に用いることができ、この場合、投射型表示装置は、前記電気光学装置に照明光を供給する光源部と、前記電気光学装置によって光変調された後の前記照明光を投射する投射レンズ系と、を備えている。投射型表示装置の場合、光源部から高輝度の照明光が電気光学装置に照射されるので、素子基板に温度変化が発生しやすい分、本発明を適用した場合の効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用した電気光学装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】図1に示す電気光学装置に用いた液晶パネルの具体的構成を示す説明図である。
【図3】本発明を適用した電気光学装置に用いた素子基板の構成を示す説明図である。
【図4】本発明を適用した電気光学装置に設けた温度検出用導電膜の説明図である。
【図5】本発明の電気光学装置において電気光学物質として用いた液晶の応答性を示す説明図である。
【図6】本発明を適用した電気光学装置においてデジタル駆動を行うためのデータ変換に用いる変換用データの説明図である。
【図7】本発明を適用した電気光学装置で用いたデジタル駆動信号の説明図である。
【図8】本発明を適用した電気光学装置においてデジタル駆動により階調表示を行なうときの説明図である。
【図9】本発明を適用した電気光学装置においてデジタル駆動により階調表示を行なっているときに温度が上昇したときの説明図である。
【図10】本発明を適用した電気光学装置の製造工程のうち、素子基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図11】本発明を適用した電気光学装置の製造工程のうち、素子基板の製造方法を示す工程断面図である。
【図12】本発明を適用した電気光学装置において温度検出用導電膜に対して高熱伝導性絶縁膜を設けた形態の説明図である。
【図13】本発明に係る電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。
【図14】本発明に係る電気光学装置を用いた別の電子機器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0019】
[電気光学装置の構成]
(電気光学装置の全体構成)
図1は、本発明を適用した電気光学装置の全体構成を示す説明図であり、図1(a)、(b)は、電気光学装置の電気的構成を模式的に示すブロック図、および電気光学装置の電気的構成を詳細に示すブロック図である。
【0020】
図1(a)に示すように、本形態の電気光学装置100は、液晶装置であり、液晶パネル100pと、外部から供給された画像データに基づいて液晶パネル100pを駆動する駆動部110とを備えている。
【0021】
図1(b)に示すように、液晶パネル100pは、その中央領域に複数の画素100aがマトリクス状に配列された画素部10bを備えている。かかる液晶パネル100pにおいて、後述する素子基板10には、画素部10bの内側で複数本のデータ線6aおよび複数本の走査線3aが縦横に延びており、それらの交点に対応する位置に画素100aが構成されている。複数の画素100aの各々には、液晶駆動用の画素電極9aと、画素電極9aに対応して設けられた画素スイッチング用の電界効果型トランジスター30とが設けられている。電界効果型トランジスター30のソースにはデータ線6aが電気的に接続され、電界効果型トランジスター30のゲートには走査線3aが電気的に接続され、電界効果型トランジスター30のドレインには画素電極9aが電気的に接続されている。画素電極9aは、後述する対向基板に形成された共通電極と液晶を介して対向し、各画素100aにおいて液晶容量50aを構成している。また、各画素100aには、液晶容量50aで保持される画像信号がリークするのを防ぐために、液晶容量50aと並列に保持容量60が付加されている。本形態では、保持容量60を構成するために、走査線3aと並列するように容量線3bが形成されており、かかる容量線3bは共通電位線に接続され、共通電位COMに保持されている。なお、保持容量60は前段の走査線3aとの間に形成される場合もある。
【0022】
本形態の電気光学装置100では、後述するデジタル駆動方式が採用されており、駆動部110は、概ね、データ線6aを駆動するデータ線駆動回路111と、走査線3aを駆動する走査線駆動回路112と、タイミング信号を生成して走査線駆動回路112およびデータ線駆動回路111に供給するタイミング信号生成回路119と、画像データをデジタル駆動信号に変換してデータ線駆動回路111に供給するデータ変換部113とを備えている。また、電気光学装置100は、画像データをデジタル駆動信号に変換する際のデータが記憶されている変換用データメモリー114と、1フィールド分のデジタル駆動信号を一時記憶しておくフィールドメモリー115とを備えている。走査線駆動回路112およびデータ線駆動回路111は、素子基板10において、画素部10bの外側に相当する周辺領域10sに設けられている。データ線駆動回路111は各データ線6aの一端に電気的に接続しており、データ変換部113から供給されたデジタル駆動信号を各データ線6aに順次供給する。走査線駆動回路112は、各走査線3aに電気的に接続しており、走査信号を各走査線3aに順次供給する。
【0023】
タイミング信号生成回路119、データ変換部113、変換用データメモリー114、およびフィールドメモリー115は、液晶パネル100pに接続されたフレキシブル配線基板(図示せず)に実装された駆動用IC118に構成されている。
【0024】
かかる電気光学装置100において、本形態では、後述する温度補正を行なうことを目的に、まず、素子基板10の周辺領域10sには、温度検出用導電膜11と、この温度検出用導電膜11に電気的に接続された通電用配線12と、温度検出用導電膜に電気的に接続された抵抗検出用配線13とが設けられている。また、電気光学装置100において、駆動部110は、通電用配線12を介して温度検出用導電膜11に通電を行なうとともに、抵抗検出用配線13を介して温度検出用導電膜11の抵抗を監視する温度検出回路116を駆動用IC118内に備えており、かかる温度検出回路116での検出結果は、データ変換部113に出力されるようになっている。さらに、変換用データメモリー114には、後述するように、各温度に対応する変換用データが記憶されている。
【0025】
(液晶パネル100pの具体的構成)
図2は、図1に示す電気光学装置100に用いた液晶パネル100pの具体的構成を示す説明図であり、図2(a)、(b)は、液晶パネル100pを各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図、およびそのH−H′断面図である。
【0026】
図2(a)、(b)に示すように、電気光学装置100の液晶パネル100pでは、素子基板10と対向基板20とが所定の隙間を介してシール材107によって貼り合わされており、シール材107は対向基板20の縁に沿うように配置されている。シール材107は、光硬化樹脂や熱硬化性樹脂等からなる接着剤であり、両基板間の距離を所定値とするためのグラスファイバー、あるいはガラスビーズ等のギャップ材が配合されている。
【0027】
素子基板10において、シール材107の内側領域は画素部10bであり、シール材107の外側領域は周辺領域10sである。周辺領域10sには、素子基板10の一辺に沿ってデータ線駆動回路111および複数の端子102が形成されており、この一辺に隣接する一辺に沿って走査線駆動回路112が形成されている。対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、素子基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための上下導通材109が形成されている。
【0028】
詳しくは後述するが、素子基板10には、ITO(Indium Tin Oxide)膜等からなる画素電極9aがマトリクス状に形成されている。これに対して、対向基板20には、素子基板10に対向する面にITO膜等からなる共通電極25が形成されている。また、対向基板20には、シール材107の内側領域に遮光性材料からなる額縁108が形成され、その内側が画像表示領域10aとされている。対向基板20では、素子基板10の画素電極9aの縦横の境界領域と対向する領域にブラックマトリクスあるいはブラックストライプ等と称せられる遮光膜23が形成される場合があり、この場合、遮光膜23の上層側に共通電極25が形成される。なお、画素部10bには、額縁108と重なる領域にダミーの画素が構成される場合があり、この場合、画素部10bのうち、ダミー画素を除いた領域が画像表示領域10aとして利用されることになる。
【0029】
このように形成した電気光学装置100は、後述するモバイルコンピューター、携帯電話機、液晶テレビ、投射型表示装置等といった電子機器のカラー表示装置として用いることができ、この場合、対向基板20には、カラーフィルター(図示せず)や保護膜が形成される。また、対向基板20および素子基板10の光入射側の面あるいは光出射側には、使用する液晶50の種類、すなわち、TN(ツイステッドネマティック)モード、STN(スーパーTN)モード等々の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が所定の向きに配置される。
【0030】
電気光学装置100は、透過型に限らず、反射型および半透過反射型として構成される場合があり、この場合、例えば、素子基板10には、画素電極9a自身からなる光反射層や、画素電極9aとは別の反射層が形成される。電気光学装置100は、後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)において、RGB用のライトバルブとして用いることができる。この場合、RGB用の各電気光学装置100の各々には、RGB色分解用のダイクロイックミラーを介して分解された各色の光が投射光として各々入射されることになるので、カラーフィルターは形成されない。また、対向基板20に対して、各画素に対応するようにマイクロレンズを形成すれば、入射光の画素電極9aに対する集光効率を高めることができるので、明るい表示を行うことができる。さらにまた、対向基板20に何層もの屈折率の異なる干渉層を積層することにより、光の干渉作用を利用して、RGB色をつくり出すダイクロイックフィルターを形成してもよい。このダイクロイックフィルター付きの対向基板によれば、より明るいカラー表示を行うことができる。
【0031】
(各画素の構成)
図3は、本発明を適用した電気光学装置100に用いた素子基板10の構成を示す説明図であり、図3(a)、(b)は、本発明を適用した電気光学装置100に用いた素子基板10において相隣接する画素の平面図、およびそのA−A′線に相当する位置で電気光学装置100を切断したときの断面図である。
【0032】
図3(a)、(b)に示すように、素子基板10には、石英基板や耐熱ガラス基板等からなる透光性基板10dの表面に、所定形状に形成された遮光膜19と、シリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜18が形成されているとともに、その表面側にはN型の電界効果型トランジスター30が形成されている。電界効果型トランジスター30は、多結晶シリコン膜からなる島状の半導体層1aに対して、チャネル領域1g、低濃度ソース領域1b、高濃度ソース領域1d、低濃度ドレイン領域1c、および高濃度ドレイン領域1eが形成されたLDD構造を備えている。半導体層1aの表面側にはゲート絶縁層2が形成されており、ゲート絶縁層2の表面にゲート電極(走査線3a)が形成されている。なお、チャネル領域1gは必要に応じてチャネルドープされている。ここで、電界効果型トランジスター30の半導体層1aの下層側には遮光膜19が形成されているので、半導体層1aに対して光の侵入が防止されている。従って、光強度の強い高輝度光源を用いる場合でも、電界効果型トランジスター30は、光の影響を受けることなく、安定して動作することができる。
【0033】
電界効果型トランジスター30の上層側には、酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜7、8が形成されている。層間絶縁膜7の表面にはデータ線6aおよびドレイン電極6bが形成され、データ線6aは、層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール7aを介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続している。また、ドレイン電極6bは、層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール7bを介して高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続している。層間絶縁膜8の表面にはITO膜からなる画素電極9aが形成されている。画素電極9aは、層間絶縁膜8に形成されたコンタクトホール8aを介してドレイン電極6bに電気的に接続している。画素電極9aの表面側にはポリイミド膜や無機配向膜からなる配向膜16が形成されている。また、高濃度ドレイン領域1eからの延設部分1f(下電極)に対しては、ゲート絶縁層2と同時形成された絶縁層(誘電体膜)を介して、走査線3aと同層の容量線3bが上電極として対向することにより、保持容量60が構成されている。
【0034】
このように構成した素子基板10と対向基板20とは、画素電極9aと共通電極25とが対面するように配置され、かつ、これらの基板間には、前記のシール材107(図2(a)、(b)参照)により囲まれた空間内に電気光学物質としての液晶50が封入されている。液晶50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16、24により所定の配向状態をとる。液晶50は、例えば一種または数種のネマティック液晶を混合したもの等からなる。
【0035】
(温度検出のための構成)
図4は、本発明を適用した電気光学装置100に設けた温度検出用導電膜の説明図であり、図4(a)、(b)、(c)は、温度検出用導電膜の平面図、温度検出用導電膜の断面図、および温度検出用導電膜の温度特性を示す説明図である。
【0036】
図2(a)に示すように、本形態では、図1(b)を参照して説明した温度検出用導電膜11は、素子基板10の周辺領域10sのうち、素子基板10の4つの辺の各々に沿うように延在する4つの温度検出用導電膜11a、11b、11c、11dとして構成されており、4つの温度検出用導電膜11a、11b、11c、11dは互いに独立して形成されている。ここで、温度検出用導電膜11は、長さ方向で離間する2箇所の各々に通電用配線12が電気的に接続されており、4つの温度検出用導電膜11a、11b、11c、11dは、通電用配線12によって直列に電気的に接続されている。より具体的には、通電用配線12は、5本の通電用配線12a〜12eからなり、温度検出用導電膜11aの両端に通電用配線12a、12bが電気的に接続し、温度検出用導電膜11bの両端に通電用配線12b、12cが電気的に接続し、温度検出用導電膜11cの両端に通電用配線12c、12dが電気的に接続し、温度検出用導電膜11dの両端に通電用配線12d、12eが電気的に接続している。なお、通電用配線12a、12eの端部は端子102に電気的に接続されている。
【0037】
また、抵抗検出用配線13は8本の抵抗検出用配線13a〜13hからなり、温度検出用導電膜11a〜11dにおいて通電用配線12が接続している個所よりも内側で長さ方向において離間する2箇所に電気的に接続されている。より具体的には、8本の抵抗検出用配線13a〜13hのうち、抵抗検出用配線13a、13bは、温度検出用導電膜11aに電気的に接続し、抵抗検出用配線13c、13dは、温度検出用導電膜11bに電気的に接続し、抵抗検出用配線13e、13fは、温度検出用導電膜11cに電気的に接続し、抵抗検出用配線13g、13hは、温度検出用導電膜11dに電気的に接続している。また、抵抗検出用配線13a〜13hの端部は端子102に電気的に接続されている。
【0038】
図4(a)、(b)に示すように、温度検出用導電膜11(温度検出用導電膜11a〜11d)は、画素スイッチング用の電界効果型トランジスター30の能動層を構成する半導体層1aと同一の多結晶シリコン膜からなる半導体層1sに不純物をドープした導電膜であり、その上層側には、ゲート絶縁層2および層間絶縁膜7、8が形成されている。また、層間絶縁膜7、8の層間には、図3に示すデータ線6aやドレイン電極6bと同時形成された通電用配線12(通電用配線12a〜12e)および抵抗検出用配線13(抵抗検出用配線13a〜13h)が形成されている。また、ゲート絶縁層2および層間絶縁膜7にはコンタクトホール7e〜7hが形成されており、通電用配線12(通電用配線12a〜12e)は、コンタクトホール7e、7fを介して温度検出用導電膜11(温度検出用導電膜11a〜11d)に電気的に接続されている。また、抵抗検出用配線13(抵抗検出用配線13a〜13h)は、コンタクトホール7g、7hを介して温度検出用導電膜11(温度検出用導電膜11a〜11d)に電気的に接続されている。
【0039】
このように構成した温度検出用導電膜11は、不純物濃度が低い場合、図4(c)に実線L1で示す温度特性を備えており、温度(素子基板10の温度)が上昇すると、シート抵抗が低下する。なお、温度検出用導電膜11は、不純物濃度が高い等の場合、図4(c)に一点鎖線L2で示す温度特性を備えており、温度(素子基板10の温度)が上昇すると、シート抵抗が上昇することもある。いずれの場合も、温度検出用導電膜11は温度によってシート抵抗が変化するので、素子基板10の温度を監視することができる。
【0040】
本形態において、温度検出用導電膜11は、不純物濃度が1×1017cm3以上かつ4×1018cm3以下であり、不純物濃度が比較的低いため、図4(c)に実線L1で示す温度特性を備えている。
【0041】
このように構成した温度検出用導電膜11においては、通電用配線12によって一定の電流Iを通電し、その際の電位差(電圧)Vを抵抗検出用配線13を介して検出する。このVとIとの比(V/I)に対して、温度検出用導電膜11の幅寸法と、2本の抵抗検出用配線13と温度検出用導電膜11との接続位置の距離の比を乗ずることによって、温度検出用導電膜11のシート抵抗Rsを算出することができる。
【0042】
なお、多結晶のシリコン膜の結晶性のばらつきによって、4つの温度検出用導電膜11(温度検出用導電膜11a〜11d)の間にはシート抵抗値のばらつきがある。これについては、キャリブレーションによってその影響を排除することができる。
【0043】
また、温度検出用導電膜11は、多結晶のシリコン膜からなる半導体層1sに不純物濃度1×1017cm3〜4×1018cm3の不純物をドープしてなるため、温度変化に対して比較的大きなシート抵抗変化を得ることができるという利点がある。多結晶シリコンは単結晶シリコンと異なり、シリコンバンドギャップ中に多くの欠陥準位を有するため、不純物注入によるキャリア(電子や正孔)の多くが捕獲されているが、多結晶シリコン膜の温度変化によってそれらが自由キャリアとなる量が連続的に変化する。このため、本形態の温度検出用導電膜11によれば、温度変化に対して比較的大きなシート抵抗変化を検出することが可能となり、5℃から10℃程度の小さな温度変化であっても、精度よく検出することができる。これに対して、不純物濃度が高すぎると、シート抵抗が小さな値になり、温度変化に対するシート抵抗の変化も小さくなってしまう。従って、5℃から10℃程度の小さな温度変化については精度よく検出しにくくなる。それ故、温度検出用導電膜11での不純物濃度は、1×1017cm3〜4×1018cm3であることが好ましい。
【0044】
さらに、温度検出用導電膜11は、4つの温度検出用導電膜11a、11b、11c、11dとして構成されているため、素子基板10の全体の温度を検出することができる。しかも、4つの温度検出用導電膜11a、11b、11c、11dは直列に電気的に接続されているため、4つの温度検出用導電膜11a、11b、11c、11dを設けた場合でも、最小限の数の通電用配線12で済む。従って、端子102の数が少なくて済むため、フレキシブル配線基板として幅寸法の小さな安価なものでよい。また、4つの温度検出用導電膜11a、11b、11c、11dは直列に電気的に接続されているため、周辺領域10sを引き回す通電用配線12の数が少なくてよいという利点がある。
【0045】
[デジタル駆動方式の説明]
(液晶の応答性)
図5は、本発明の電気光学装置100において電気光学物質として用いた液晶の応答性を示す説明図である。図5に示すように、電気光学装置100において電気光学物質として用いた液晶は、過渡現象を示すため、画素の輝度は、液晶にオン電圧を印加した後、所定の遅れ時間をもって最高輝度に到達し、オフ電圧を印加した後、所定の遅れ時間をもって最低輝度(消灯状態)となる。本形態では、かかる過渡期間を利用して、図6〜図8を参照して説明するサブフィールドを利用したデジタル駆動方式を採用する。
【0046】
ここで、立上がり時の応答速度と立下がり時の応答速度は異なる式で表される。例えば、TN方式、GH方式、ECB方式等のネマティック液晶の立上がり時の応答速度τrと立下がり時の応答速度τdは各々、以下の式で
τr=ηid2/(ε0|Δε|V2−kiiπ2
τd=ηid2/π2kii
ηi=液晶の粘性パラメータ
kii=弾性パラメータ
Δε=誘電率パラメータ
V=印加電圧パラメータ
で表される。上式から分かるように、立上がり時の応答速度τrと立下がり時の応答速度τdは異なる式で表され、立上がり時の応答速度τrは液晶の誘電率Δεや印加電圧Vによって変化するのに対し、立下がり時の応答速度τdは、これらのパラメータによって変化しない。
【0047】
また、粘性パラメータηi、弾性パラメータkii、誘電率パラメータΔεは、温度によって変化し、図9を参照して後述する階調の乱れが発生する。そこで、本形態では、図6を参照して後述する温度別の変換データを用いて温度補正を行う。
【0048】
(デジタル駆動方法)
図6は、本発明を適用した電気光学装置100においてデジタル駆動を行うためのデータ変換に用いる変換用データの説明図である。図7は、本発明を適用した電気光学装置100で用いたデジタル駆動信号の説明図である。図8は、本発明を適用した電気光学装置100においてデジタル駆動により階調表示を行なうときの説明図である。なお、図7には、オン電圧が印加されるサブフィールドには斜線を付してある。また、図8および後述する図9では、デジタル駆動信号に基づいて各画素の輝度が変化する様子を示してあり、斜線を付した領域の総和が、1フィールド中に出射される光量、すなわち、輝度に対応する。従って、図8および図9には、各サブフィールドにおける輝度を最大値10にして示し、右端には、輝度の総和を示してある。
【0049】
本形態の電気光学装置100において、図1(b)に示すデータ変換部113は、変換用データメモリー114に記憶されている変換用データに基づいて画像データをデジタル駆動信号に変換してデータ線駆動回路111に供給することにより、デジタル駆動方式による階調表示を行なう。
【0050】
より具体的には、図6および図7に示すように、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドに分割したときに、各サブフィールドにおいて、画素に画素の輝度が飽和するオン電圧を印加するか、あるいは画素が消灯状態となるオフ電圧を印加することにより、1フィールド期間における出射光量を制御し、階調表示を行なう。このため、デジタル駆動信号は、オン電圧およびオフ電圧を時系列に配列したデータからなり、オン電圧がオン電圧が印加されている期間とオフ電圧が印加されている期間とのバランスや、オン電圧が印加されるタイミング等を規定する。このため、変換用データメモリー114に記憶されている変換用データは、階調データと、かかる階調データに対応するデジタル駆動信号との対応が規定されたデータである。サブフィールドの期間は、液晶に電圧を印加した際、および電圧印加を停止した際の応用時間よりも短く設定されている。
【0051】
また、図7に示すように、本形態において、データ変換部113は、デジタル駆動信号として、オン電圧(斜線を付したサブフィールド)が非連続で出現する信号を生成する。例えば、図7に示すデジタル駆動信号において、階調「108」の場合、1〜10番目のサブフィールドと13番目のサブフィールドとにおいてオン電圧を印加し、階調「106」の場合、1〜10番目のサブフィールドと12番目のサブフィールドとにおいてオン電圧を印加する。その結果、画素から出射される光量は、サブフィールド毎に図8に示す値となり、1フィールド分の出射光量(輝度)は、各サブフィールドでの出射光量の総和となる。例えば、階調「108」での輝度は108となり、階調「106」での輝度は106となる。同様に、図7に示すデジタル駆動信号において、階調「100」の場合、1〜9番目のサブフィールドと14番目のサブフィールドとにおいてオン電圧を印加し、階調「099」の場合、1〜9番目のサブフィールドと13番目のサブフィールドとにおいてオン電圧を印加し、階調「098」の場合、1〜9番目のサブフィールドと12番目のサブフィールドとにおいてオン電圧を印加する。その結果、画素から出射される光量は、図8に示すように、階調「100」での輝度は100となり、階調「099」での輝度は99となり、階調「098」での輝度は98となる。
【0052】
(温度補正)
図9は、本発明を適用した電気光学装置100においてデジタル駆動により階調表示を行なっているときに温度が上昇したときの説明図である。図6〜図8を参照して説明したデジタル駆動方式を採用した場合において、電気光学装置100の素子基板10の温度が上昇すると、図5を参照して説明した立ち上がり期間および立ち下がり期間は、図5に一点鎖線で示すように短くなる。その結果、図8を参照して説明したサブフィールド期間中に出射される光量は、図9に示すように変化する。例えば、階調「108」の場合の輝度は110となり、階調「106」の場合の輝度は109となる。また、階調「100」、「099」、「098」での輝度はいずれも100となり、階調に乱れが発生する。
【0053】
そこで、本形態では、まず、図6に示すように、変換用データメモリー114には、温度が30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、・・70℃に対応する変換用データが記憶されている。
【0054】
また、電気光学装置100において、図1(b)に示す駆動部110の温度検出回路116は、例えば、参照用抵抗(内部温度計)を備えており、起動時には、かかる参照用抵抗と、現在の温度検出用導電膜11の抵抗値との比較を行うとともに、キャリブレーションを行なう。かかるキャリブレーションを行うことによって、個々の温度検出用導電膜11のシート抵抗にばらつきが存在していても、抵抗ばらつきの影響を排除することができる。以降、温度検出回路116は、温度検出用導電膜11の抵抗値を検出し、素子基板10の温度を監視する。
【0055】
次に、後述する投射型表示装置の場合、ランプの電源を入れると、液晶パネル100pに照明光が出射される。また、画像データが入力されると、データ変換部113は、変換用データメモリー114に記憶されている変換用データに基づいて、デジタル駆動信号を生成し、データ線駆動回路111に出力する。従って、各画素100aは、デジタル駆動信号に対応する条件で照明光を変調し、出射する。ここで、変換用データメモリー114には、温度が30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、・・70℃に対応する変換用データが記憶されているので、データ変換部113は、温度検出回路116による素子基板10の温度監視に基づいて、現在の温度に対応する変換用データを用いてデジタル駆動信号を生成し、データ線駆動回路111に出力する。
【0056】
このようにして画像を表示している際に、例えば、環境光の照度等に基づいてランプからの照明光の出射強度が変更されたとする。その結果、液晶パネル100pに照射される照明光の強度が変化するため、素子基板10の温度が変化する。このような場合でも、データ変換部113は、温度検出回路116による素子基板10の温度監視に基づいて、現在の温度に対応する変換用データを用いてデジタル駆動信号を生成し、データ線駆動回路111に出力する。このため、電気光学装置100においてデジタル駆動により階調表示を行なった場合でも、階調に乱れが発生しない。
【0057】
(製造方法)
図10および図11は、本発明を適用した電気光学装置100の製造工程のうち、素子基板10の製造方法を示す工程断面図である。
【0058】
本形態では、素子基板10を製造するには、図10(a)に示すように、透光性基板10dとして、例えば、厚さ1.1mm程度の石英基板を準備する。次に、図3(b)に示す遮光膜19(図10および図11では図示せず)を形成した後、下地絶縁膜18として例えば酸化シリコン膜をプラズマCVD法で堆積する。
【0059】
次いで、図10(b)に示すように、下地絶縁膜18の全面に半導体層としてシリコン膜1を堆積する。堆積方法は減圧気相化学成長法(LPCVD)やプラズマCVD法で、膜厚は50nmから70nm程度である。
【0060】
次いで、シリコン膜1を結晶化するため、600℃から700℃程度の温度にて熱処理を行う。ここでは640℃の窒素雰囲気中にて4時間の熱処理を行い、シリコン膜1を多結晶化する。また、その後、1000℃から1100℃程度の温度で熱処理を行うことが好ましい。これにより、シリコン膜1中の結晶性がより向上し、後述のゲート絶縁層とより良好な界面が形成できる。
【0061】
次いで、図10(c)に示すように、多結晶化したシリコン膜1に対して酸素プラズマOPの照射を行う。より具体的には、平行平板型のプラズマ発生装置に酸素ガスを供給し、酸素雰囲気圧力を40Paから100Pa程度とし、RFパワーを400Wから1500W程度で酸素プラズマOPを発生させる。なお、シリコン膜1が堆積した透光性基板10dの温度は150℃から400℃程度であり、プラズマ照射時間は5分間から20分間程度である。かかる酸素プラズマ照射は、多結晶であるシリコン膜1中の結晶欠陥部分に作用し、電気的に略不活性化する効果がある。
【0062】
次いで、酸素プラズマ照射によってシリコン膜1の表面に形成された酸化シリコン膜を除去するため、1〜2%に希釈したフッ化水素酸水溶液にシリコン膜1を30秒程度接触させる。この酸化シリコン膜の除去を行うことによって、次工程のシリコン膜1のパターニング時にシリコン膜1のエッチングを安定して実施でき、また後述の熱酸化によるゲート絶縁層形成時にシリコン膜1とゲート絶縁層との間に良好な界面を形成することができる。
【0063】
次いで、シリコン膜1上にフォトレジスト膜を形成し、露光・現像(フォトリソグラフィ)することにより所望の形状のフォトレジスト膜を形成する。次いで、フォトレジスト膜をマスクにシリコン膜1をエッチングする。次いで、残存するフォトレジスト膜を除去すると、図10(d)に示すように、島状のシリコン膜からなる半導体層1a、1sが形成される。かかるフォトレジスト膜の形成から除去までの一連の工程をパターニングという。
【0064】
次いで、図10(e)に示すように、半導体層1a、1sにゲート絶縁層として例えば酸化シリコン膜2xを形成する。形成方法は800℃から1000℃程度の温度にて半導体層1a、1sの表面を酸化させ、熱酸化膜を形成する。この方法により、フッ化水素酸水溶液による酸化シリコン膜を除去した後の半導体層1a、1sの表面部分が良好に酸化され、半導体層1a、1sとゲート絶縁層2との間に良好な界面を形成することができる。
【0065】
本形態では、図10(f)に示すように、熱酸化工程に加えて、プラズマCVD法等により酸化シリコン膜2yを形成し、酸化シリコン膜2x、2yによってゲート絶縁層2を形成する。多結晶のシリコン膜を長時間熱酸化した場合、シリコン膜表面に多数の凸部が形成され、ゲート絶縁層2の耐圧が低下する場合がある。そこで、本形態では、比較的短時間の熱酸化工程によってゲート絶縁層2xを形成することにより、ゲート絶縁層2xとシリコン膜(半導体層1a、1s)との間に良好な界面を形成し、その後に酸化シリコン膜2yを堆積して、所望厚さのゲート絶縁層2とする。本形態では、930℃で10分間程度の熱酸化により膜厚約10nmの酸化シリコン膜2xを形成した後、膜厚15nmの酸化シリコン膜2yをCVD法により堆積して、膜厚25nmのゲート絶縁層2を形成する。
【0066】
次いで、ゲート絶縁層2上に導電性膜を堆積、パターニングすることにより、図11(a)に示すように、走査線3a(ゲート電極)を形成する。導電性膜の材料としては、例えば、不純物をドープした多結晶シリコンやTa等の金属を用いることができ、これらの材料は例えばCVD法やスパッタリング法により成膜することができる。なお、走査線3aのパターニング形成時に、図1(b)および図3に示す容量線3bもパターニング形成する。
【0067】
次いで、図11(b)に示すように、走査線3aをマスクとして、走査線3aの両側の半導体層1aに不純物を注入し、低濃度不純物領域(低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1c)を形成する。ここではリン(P)等の不純物を、不純物濃度が1×1017/cm3から4×1018/cm3程度となるように注入する。その際、半導体層1sにも不純物が注入される結果、温度検出用導電膜11が形成される。
【0068】
次いで、図11(c)に示すように、レジストマスクPRを形成して、リン(P)等の不純物を不純物濃度が1×1020/cm3になるように半導体層1aに注入し、高濃度不純物領域(高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1e)を形成する。この際、温度検出用導電膜11(半導体層1s)には不純物が注入されないようにレジストマスクPRによりマスクする。
【0069】
以上の工程により、LDD(Lightly Doped Drain)を有するN型の電界効果型トランジスター30が形成される。なお、低濃度不純物領域(低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1c)の間がチャネル領域1gとなる。
【0070】
次いで、図11(d)に示すように、走査線3a上に層間絶縁膜7として、例えば酸化シリコン膜をPECVD(Plasma-Enhanced CVD)法で300nm程度堆積する。この後、例えば、850℃程度の熱処理を施し、半導体層1aおよび温度検出用導電膜11(半導体層1s)に注入した不純物を活性化させる。
【0071】
次いで、層間絶縁膜7の表面にレジストマスク(図示せず)を形成した状態で層間絶縁膜7およびゲート絶縁層2をエッチングし、図4(a)、(b)に示すように、コンタクトホール7a、7b、7e、7f、7g、7hを形成する。次いで、層間絶縁膜7上に導電性膜を堆積し、パターニングすることによって、データ線6a、ドレイン電極6b、通電用配線12、抵抗検出用配線13を形成する。導電性膜としては、例えば、リンドープされた多結晶シリコンや、アルミニウム(Al)やW等の金属を用い、スパッタリング法等を用いて成膜することができる。しかる後には、図3に示す層間絶縁膜8や画素電極9a等を形成する。
【0072】
なお、上記方法では、N型の電界効果型トランジスター30の形成と同時に温度検出用導電膜11を形成したが、素子基板10上にP型の電界効果型トランジスターを形成する場合、かかるP型の電界効果型トランジスターを形成する際の不純物導入工程によって半導体層1sに不純物を注入してもよい。
【0073】
(高熱伝導性絶縁膜の付加)
図12は、本発明を適用した電気光学装置100において温度検出用導電膜に対して高熱伝導性絶縁膜を設けた形態の説明図である。なお、図12に示す形態は、図4(b)に示す形態に高熱伝導性絶縁膜を追加した形態であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0074】
図12(a)、(b)に示すように、本形態の素子基板10でも、図4(b)を参照して説明した形態と同様、周辺領域10sには、温度検出用導電膜11が形成されており、かかる温度検出用導電膜11に対して、通電用配線12および抵抗検出用配線13が電気的に接続されている。
【0075】
ここで、図12(a)に示す形態では、下地絶縁膜18と透光性基板10dとの間に、窒化アルミニウム膜からなる高熱伝導性絶縁膜14が形成されている。かかる窒化アルミニウム膜は、層間絶縁膜7、8(酸化シリコン膜)よりも熱伝導性が高い。
【0076】
また、図12(b)に示す形態では、層間絶縁膜7、8の層間に窒化アルミニウム膜からなる高熱伝導性絶縁膜14が形成されており、通電用配線12および抵抗検出用配線13は、高熱伝導性絶縁膜14の上層に形成されている。
【0077】
このように構成した素子基板10において、高熱伝導性絶縁膜14は、画素部10bから温度検出用導電膜11の形成領域まで連続して形成されている。このため、素子基板10全体の温度を均一化することができるので、画素100aと温度検出用導電膜11とが離間している場合でも画素100aの温度を正確に監視することができる。
【0078】
[本形態の主な効果]
以上説明したように、本形態の電気光学装置100において、駆動部110は、データ変換部113において画像データをデジタル駆動信号に変換してデータ線駆動回路111を介して画素電極9aに供給する。ここで、デジタル駆動信号は、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドにおいて画素100aの輝度が飽和するオン電圧および画素100aが消灯状態となるオフ電圧からなり、オン電圧が印加されている期間とオフ電圧が印加されている期間とのバランスや、オン電圧が印加されるタイミング等によって階調表示を行なうデジタル駆動を可能とする。
【0079】
このようなデジタル駆動方式を採用した場合、オン電圧が印加された際の液晶50の挙動が温度によって変動すると、階調に乱れが発生する。特に本形態の電気光学装置100は、電気光学物質として液晶50を用いた液晶装置であり、配向変化の応答性が温度の影響を受けやすい。しかるに本形態では、温度検出用導電膜11が素子基板10上に設けられており、かかる温度検出用導電膜11は、温度によって抵抗が変化する。また、データ変換部113は、デジタル駆動信号を生成する際に温度検出用導電膜11の抵抗変化に対応する補正を行なう。このため、素子基板10の温度が変化しても、かかる温度変化に対応する補正が行なわれるため、階調に乱れが発生せず、表示不良が発生しない。
【0080】
しかも、温度検出用導電膜11は、多結晶のシリコン膜からなる半導体層1sに不純物がドープされた導電膜であり、かかる半導体層1sであれば、画素スイッチング用の電界効果型トランジスター30の半導体層1aと同時に素子基板10に形成することができる。従って、本形態によれば、温度センサーを素子基板10に別途、後付けしなくても、温度を監視することができる。また、温度検出用導電膜11は、素子基板10に形成されているため、素子基板10および液晶50の温度を正確に監視することができる。それ故、液晶50の温度に対応した温度補正を行なうことができるので、温度変化に起因する階調の乱れを確実に回避することができる。
【0081】
また、本形態では、データ変換部113が、デジタル駆動信号として、オン電圧が非連続で出現する信号を生成する。かかるデジタル駆動方式の場合には、液晶50の配向変化の過渡現象を最大限利用するため、温度変化の影響を受けて階調が大きく乱れやすいが、本形態によれば、階調の乱れを確実に防止することができる。
【0082】
[電子機器への搭載例]
図13および図14は、本発明を適用した電気光学装置を用いた電子機器の説明図である。まず、本発明に係る電気光学装置100を透過型の液晶装置として構成した場合、図13(a)に示す投射型表示装置のライトバルブとして用いることができる。また、図13(a)に示す投射型表示装置は、図13(b)に示すリア型プロジェクター等に用いることができる。
【0083】
図13(a)に示す投射型表示装置1110は、光源1112、ダイクロイックミラー1113、1114、およびリレー系1120等を備えた光源部1140と、液晶ライトバルブ1115〜1117(透過型の電気光学装置100)と、クロスダイクロイックプリズム1119(合成光学系)と、投射光学系1118とを備えている。
【0084】
光源1112は、赤色光、緑色光および青色光を含む光を供給する超高圧水銀ランプで構成されている。ダイクロイックミラー1113は、光源1112からの赤色光を透過させると共に緑色光および青色光を反射する構成となっている。また、ダイクロイックミラー1114は、ダイクロイックミラー1113で反射された緑色光および青色光のうち青色光を透過させると共に緑色光を反射する構成となっている。このように、ダイクロイックミラー1113、1114は、光源1112から出射した光を赤色光と緑色光と青色光とに分離する色分離光学系を構成する。
【0085】
ここで、ダイクロイックミラー1113と光源1112との間には、インテグレーター1121および偏光変換素子1122が光源1112から順に配置されている。インテグレーター1121は、光源1112から照射された光の照度分布を均一化する構成となっている。また、偏光変換素子1122は、光源1112からの光を例えばs偏光のような特定の振動方向を有する偏光にする構成となっている。
【0086】
液晶ライトバルブ1115は、ダイクロイックミラー1113を透過して反射ミラー1123で反射した赤色光を画像信号に応じて変調する透過型の電気光学装置である。液晶ライトバルブ1115は、λ/2位相差板1115a、第1偏光板1115b、液晶パネル1115cおよび第2偏光板1115dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ1115に入射する赤色光は、ダイクロイックミラー1113を透過しても光の偏光は変化しないことから、s偏光のままである。
【0087】
λ/2位相差板1115aは、液晶ライトバルブ1115に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板1115bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル1115cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板1115dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ1115は、画像信号に応じて赤色光を変調し、変調した赤色光をクロスダイクロイックプリズム1119に向けて射出する構成となっている。
【0088】
なお、λ/2位相差板1115aおよび第1偏光板1115bは、偏光を変換させない透光性のガラス板1115eに接した状態で配置されており、λ/2位相差板1115aおよび第1偏光板1115bが発熱によって歪むのを回避することができる。
【0089】
液晶ライトバルブ1116は、ダイクロイックミラー1113で反射した後にダイクロイックミラー1114で反射した緑色光を画像信号に応じて変調する透過型の電気光学装置である。そして、液晶ライトバルブ1116は、液晶ライトバルブ1115と同様に、第1偏光板1116b、液晶パネル1116cおよび第2偏光板1116dを備えている。液晶ライトバルブ1116に入射する緑色光は、ダイクロイックミラー1113、1114で反射されて入射するs偏光である。第1偏光板1116bは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。また、液晶パネル1116cは、s偏光を画像信号に応じた変調によってp偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。そして、第2偏光板1116dは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ1116は、画像信号に応じて緑色光を変調し、変調した緑色光をクロスダイクロイックプリズム1119に向けて射出する構成となっている。
【0090】
液晶ライトバルブ1117は、ダイクロイックミラー1113で反射し、ダイクロイックミラー1114を透過した後でリレー系1120を経た青色光を画像信号に応じて変調する透過型の電気光学装置である。そして、液晶ライトバルブ1117は、液晶ライトバルブ1115、1116と同様に、λ/2位相差板1117a、第1偏光板1117b、液晶パネル1117cおよび第2偏光板1117dを備えている。ここで、液晶ライトバルブ1117に入射する青色光は、ダイクロイックミラー1113で反射してダイクロイックミラー1114を透過した後にリレー系1120の後述する2つの反射ミラー1125a、1125bで反射することから、s偏光となっている。
【0091】
λ/2位相差板1117aは、液晶ライトバルブ1117に入射したs偏光をp偏光に変換する光学素子である。また、第1偏光板1117bは、s偏光を遮断してp偏光を透過させる偏光板である。そして、液晶パネル1117cは、p偏光を画像信号に応じた変調によってs偏光(中間調であれば円偏光又は楕円偏光)に変換する構成となっている。さらに、第2偏光板1117dは、p偏光を遮断してs偏光を透過させる偏光板である。したがって、液晶ライトバルブ1117は、画像信号に応じて青色光を変調し、変調した青色光をクロスダイクロイックプリズム1119に向けて射出する構成となっている。なお、λ/2位相差板1117aおよび第1偏光板1117bは、ガラス板1117eに接した状態で配置されている。
【0092】
リレー系1120は、リレーレンズ1124a、1124bと反射ミラー1125a、1125bとを備えている。リレーレンズ1124a、1124bは、青色光の光路が長いことによる光損失を防止するために設けられている。ここで、リレーレンズ1124aは、ダイクロイックミラー1114と反射ミラー1125aとの間に配置されている。また、リレーレンズ1124bは、反射ミラー1125a、1125bの間に配置されている。反射ミラー1125aは、ダイクロイックミラー1114を透過してリレーレンズ1124aから出射した青色光をリレーレンズ1124bに向けて反射するように配置されている。また、反射ミラー1125bは、リレーレンズ1124bから出射した青色光を液晶ライトバルブ1117に向けて反射するように配置されている。
【0093】
クロスダイクロイックプリズム1119は、2つのダイクロイック膜1119a、1119bをX字型に直交配置した色合成光学系である。ダイクロイック膜1119aは青色光を反射して緑色光を透過する膜であり、ダイクロイック膜1119bは赤色光を反射して緑色光を透過する膜である。したがって、クロスダイクロイックプリズム1119は、液晶ライトバルブ1115〜1117のそれぞれで変調された赤色光と緑色光と青色光とを合成し、投射光学系1118に向けて射出するように構成されている。
【0094】
なお、液晶ライトバルブ1115、1117からクロスダイクロイックプリズム1119に入射する光はs偏光であり、液晶ライトバルブ1116からクロスダイクロイックプリズム1119に入射する光はp偏光である。このようにクロスダイクロイックプリズム1119に入射する光を異なる種類の偏光としていることで、クロスダイクロイックプリズム1119において各液晶ライトバルブ1115〜1117から入射する光を有効に合成できる。ここで、一般に、ダイクロイック膜1119a、1119bはs偏光の反射特性に優れている。このため、ダイクロイック膜1119a、1119bで反射される赤色光および青色光をs偏光とし、ダイクロイック膜1119a、1119bを透過する緑色光をp偏光としている。投射光学系1118は、投影レンズ(図示略)を有しており、クロスダイクロイックプリズム1119で合成された光をスクリーン1111に投射するように構成されている。
【0095】
図13(b)に示すように、投射型表示装置1110をリア型プロジェクター200に搭載した場合には、反射鏡201、202によりスクリーン203に画像が表示される。リア型プロジェクター200では、液晶ライトバルブ1115、1116、1117に供給される光の強度が極めて高いので、液晶ライトバルブ1115、1116、1117の温度変化が大である。
【0096】
このように構成した投射型表示装置1110およびリア型プロジェクター200では、環境光の照度に応じて光源部1140から出射される照明光の強度を変化させることがある。この場合、電気光学装置100(液晶ライトバルブ1115、1116、1117)の温度が変化することになるが、本発明によれば、電気光学装置100(液晶ライトバルブ1115、1116、1117)の温度が変化しても階調の乱れを防止することができる。
【0097】
次に、本発明に係る電気光学装置100を反射型の液晶装置として構成した場合、図14(a)に示す投射型表示装置のライトバルブとして用いることができる。また、本発明に係る電気光学装置100は、図14(b)、(c)に示す直視型表示装置として利用することもきる。
【0098】
図14(a)に示す投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置した光源部810、インテグレーターレンズ820および偏光変換素子830を備えた偏光照明装置800と、この偏光照明装置800から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面841により反射させる偏光ビームスプリッター840と、偏光ビームスプリッター840のS偏光光束反射面841から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロイックミラー842と、青色光が分離された後の光束のうち、赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロイックミラー843とを有している。また、投射型表示装置1000は、各色光が入射する3枚の電気光学装置100(反射型の電気光学装置100R、100G、100B)を備えている。さらに、投射型表示装置1000は、3つの電気光学装置100R、100G、100Bにて変調された光をダイクロイックミラー842、843、および偏光ビームスプリッター840にて合成した後、この合成光を投射光学系850によりスクリーン860に投写する。
【0099】
このように構成した投射型表示装置1000でも、環境光の照度に応じて光源部810から出射される照明光の強度を変化させることがある。この場合、電気光学装置100(電気光学装置100R、100G、100B)の温度が変化することになるが、本発明によれば、電気光学装置100(電気光学装置100R、100G、100B)の温度が変化しても階調の乱れを防止することができる。
【0100】
また、図14(b)に示す携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001、スクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。
【0101】
図14(c)に示す情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)4000は、複数の操作ボタン4001、電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての電気光学装置100を備えており、電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置100に表示される。
【符号の説明】
【0102】
1・・シリコン膜、1a・・半導体層、10・・素子基板、10b・・画素部、10s・・周辺領域、11、11a〜11d・・温度検出用導電膜、12、12a〜12e・・通電用配線、13,13a〜13h・・抵抗検出用配線、30・・電界効果型トランジスター、100・・電気光学装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板上に形成された液晶駆動用の画素電極、および当該素子基板上に前記画素電極に対応して設けられた画素スイッチング用の電界効果型トランジスターを備えた画素と、前記画素電極に階調表示用の駆動信号を供給する駆動部と、を有する電気光学装置において、
前記素子基板上には、前記電界効果型トランジスターの半導体層と同一の半導体層に不純物をドープしてなる温度検出用導電膜が設けられ、
前記駆動部は、画像データを変換して前記駆動信号として、フィールド期間を時間軸上で複数に分割した各サブフィールドにおいて前記画素の輝度が飽和するオン電圧および前記画素が消灯状態となるオフ電圧からなるデジタル駆動信号を生成するデータ変換部を備え、
当該データ変換部は、前記デジタル駆動信号を生成する際に前記温度検出用導電膜の抵抗変化に対応する補正を行なうことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記データ変換部は、前記デジタル駆動信号として、前記オン電圧が非連続で出現する信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記素子基板上には、前記温度検出用導電膜の長さ方向で離間する2箇所の各々に電気的に接続された通電用配線と、前記温度検出用導電膜の長さ方向で離間する2箇所の各々に電気的に接続された抵抗検出用配線とが設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記素子基板上には、前記温度検出用導電膜が複数、形成され、
当該複数の前記温度検出用導電膜は、前記通電用配線によって直列に電気的に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記半導体層は、多結晶シリコン膜であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記素子基板上には、前記画素が複数配列された画素部から前記温度検出用導電膜の形成領域まで、前記画素部に形成された層間絶縁膜よりも熱伝導性が高い高熱伝導性絶縁膜が連続して形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の電気光学装置を備えた投射型表示装置であって、
前記電気光学装置に照明光を供給する光源部と、
前記電気光学装置によって光変調された後の前記照明光を投射する投射レンズ系と、
を有していることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−128193(P2011−128193A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283742(P2009−283742)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】