電気光学装置及び電子機器
【課題】デマルチプレクサ方式を採用した電気光学装置において、高品位な表示を行う。
【解決手段】電気光学装置は、M本毎にブロック化された複数のデータ線(6a)と、該複数のデータ線に夫々対応する複数のスイッチ(71)を含み、ブロック毎に1本のデータ線を、選択信号に応じて選択して、画像信号をその選択したデータ線に出力する選択回路(7)とを備える。更に、複数のデータ線の配列方向に沿って延びる配線部分を夫々有しており、選択信号が夫々供給されるM本の選択信号供給線(SL1〜SL8)と、複数のデータ線の配列方向に交わる方向に沿って夫々延びると共に、スイッチの選択信号入力線(71G)及び選択信号供給線の前記配線部分に夫々電気的に接続されており、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有する複数の引出配線(H1〜H8)とを備える。
【解決手段】電気光学装置は、M本毎にブロック化された複数のデータ線(6a)と、該複数のデータ線に夫々対応する複数のスイッチ(71)を含み、ブロック毎に1本のデータ線を、選択信号に応じて選択して、画像信号をその選択したデータ線に出力する選択回路(7)とを備える。更に、複数のデータ線の配列方向に沿って延びる配線部分を夫々有しており、選択信号が夫々供給されるM本の選択信号供給線(SL1〜SL8)と、複数のデータ線の配列方向に交わる方向に沿って夫々延びると共に、スイッチの選択信号入力線(71G)及び選択信号供給線の前記配線部分に夫々電気的に接続されており、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有する複数の引出配線(H1〜H8)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置は、一般に、シリアル−パラレル変換された画像信号に基づいて駆動される。例えば、液晶装置において、基板上の画像表示領域に配線された複数のデータ線は所定の本数毎にブロック化されており、シリアル−パラレル変換された画像信号は、ブロック単位で、該ブロックに含まれるデータ線にサンプリングスイッチを介して供給される。これにより、所定の本数のデータ線が同時に、且つ複数のデータ線は所定の本数毎に順次駆動される。
【0003】
シリアル−パラレル変換された画像信号は、素子基板上の画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に配線された複数の画像信号線に供給される。そして、各画像信号線は、中継配線を介して、サンプリングスイッチの入力配線に電気的に接続される。
【0004】
例えば特許文献1では、画像信号線(特許文献1中、「ビデオ信号線」)と交差する配線層の構造を最適化して、画像信号線及び配線層に寄生する電気的成分を等価にし、表示特性を向上させる技術が提案されている。
【0005】
一方、この種の電気光学装置では、N本のデータ線に供給すべき画像信号を時分割で入力すると共に、時分割でN本のデータ線を複数本ずつ選択して供給する駆動方式(即ち、デマルチプレクサ方式或いはハイブリッド方式)が採用されることがある。このようなデマルチプレクサ方式が採用された電気光学装置では、画像信号線から供給される画像信号が、複数のスイッチを含むデマルチプレクサ(或いは選択回路)に入力され、デマルチプレクサによって選択されたデータ線に出力される。
【0006】
デマルチプレクサに含まれる複数のスイッチは、例えばトランジスタによって夫々構成され、例えば、素子基板上の周辺領域に配線された複数本の制御信号線(或いは選択信号供給線)によって夫々供給される複数系列の制御信号(或いは選択信号)に基づいて駆動される。そして、各制御信号線は、引出配線を介して、例えばトランジスタから夫々なる複数のスイッチのゲートに電気的に接続されたゲート配線に電気的に接続される。
【0007】
【特許文献1】特開平5−307165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したデマルチプレクサ方式が採用された電気光学装置では、複数の引出配線間で、配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因して、表示画面上でデータ線に沿った縦線状の表示ムラ(例えば系列スジ)が発生してしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
【0009】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、デマルチプレクサ方式を採用した電気光学装置において、高品位な表示を行うことが可能な電気光学装置及びそのような電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、複数の画素電極と、該複数の画素電極が配列された画素領域に設けられると共に、M(但し、Mは2以上の自然数)本毎にブロック化された複数のデータ線と、該複数のデータ線に夫々対応する複数のスイッチを含み、前記ブロック毎に1本のデータ線を、選択信号に応じて選択して、画像信号を前記選択したデータ線に出力する選択回路と、前記複数のデータ線の配列方向に沿って延びる配線部分を夫々有しており、前記選択信号が夫々供給されるM本の選択信号供給線と、前記複数のデータ線の配列方向に交わる方向に沿って夫々延びると共に、前記スイッチの選択信号入力線及び前記選択信号供給線の前記配線部分に夫々電気的に接続されており、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有する複数の引出配線とを備える。
【0011】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、外部に設けられた例えば画像信号供給回路から、基板上の例えば画像信号端子を介して画像信号線に画像信号が供給される。画像信号線に供給された画像信号は選択回路(或いはデマルチプレクサ)を構成する複数のスイッチに対して、1つのブロック(或いは1つのグループ又は1つのデータ線群)に含まれるM本のデータ線に対応する数、即ちM個のスイッチ毎に供給される。画像信号は、N系統(但し、Nは2以上の自然数)にシリアル−パラレル変換(或いはシリアル−パラレル展開又は相展開)されており、系統別に互いに異なる画像信号線を介して複数のスイッチに供給される。即ち、例えば、第1系統の画像信号は、第1の画像信号線を介して第1のブロック(即ち、第1のデータ線群)に対応するM個のスイッチに供給され、第2系統の画像信号は、第2の画像信号線を介して第2のブロック(即ち、第2のデータ線群)に対応するM個のスイッチに供給され、・・・、第N系統の画像信号は、第Nの画像信号線を介して(即ち、第Nのデータ線群)に対応するM個のスイッチに供給される。複数のスイッチは例えばM本の選択信号供給線によって夫々供給されるM系列の選択信号に基づいて夫々駆動され、各系列毎にデータ線を選択して画像信号を供給する。これにより、各ブロック(即ち、各データ線群)について、M個のスイッチからM系列の選択信号に基づいてM本のデータ線の各々に対して画像信号が供給され、対応する画素に入力される(即ち、書き込まれる)。これと共に、例えば、走査線駆動回路から走査線を介して走査信号が各画素に供給される。画素毎に設けられた例えば画素スイッチング用トランジスタは、走査信号に応じて画像信号を画素電極へ選択的に供給する。その結果、電気光学装置においてアクティブマトリクス駆動が行われる。
【0012】
本発明では、M本の選択信号供給線は、複数のデータ線の配列方向(即ち、データ線が延びる方向と交わる方向、或いは、例えば走査線が延びる方向)に沿って延びる配線部分を夫々有する。即ち、M本の選択信号供給線は、複数のデータ線の配列方向に沿って配列された、選択回路を構成する複数のスイッチの配列に沿って延びるように形成された配線部分を夫々有する。複数の引出配線の各々は、該配線部分から引き出されるように、複数のデータ線の配列方向に交わる方向(即ち、データ線が延びる方向、言い換えれば、選択信号供給線における前記配線部分が延びる方向と交わる方向)に沿って延びている。言い換えれば、複数の引出配線は、基板上で平面的に見てM本の選択信号供給線と交差するように延びている。各選択信号供給線には、1つのブロック(即ち、1つのデータ線群)毎に1本の引出配線が設けられている。即ち、各選択信号供給線には、ブロック数分の引出配線が設けられている。複数の引出配線は、典型的には、選択信号供給線との電気的な絶縁状態を維持するため、層間絶縁膜を介して選択信号供給線とは互いに異なる層に配置された導電膜から形成される。複数の引出配線の各々は、対応する、選択回路を構成するスイッチの選択信号入力線(即ち、例えばトランジスタからなるスイッチのゲート配線)に電気的に接続される。
【0013】
本発明では特に、複数の引出配線は、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有する。ここで、「互いに同じ膜構成を有する」とは、複数の引出配線が、互いに同じ材料からなると共に互いに同じ積層構造を有することを意味し、例えば、一の引出配線が、層間絶縁膜を介して互いに異なる層に配置された2つの導電膜からなる二重配線として構成される場合には、他の引出配線も、該2つの導電膜と同一膜からなる二重配線として構成されることも含む趣旨である。尚、ここで「同一膜」とは、製造工程における同一機会に成膜される膜を意味し、同一種類の膜である。言い換えれば、「同一膜」とは、同一の導電材料からなる薄膜を同時にパターニングすることにより得られる膜を意味する。
【0014】
よって、複数の引出配線の配線抵抗及び寄生容量を揃えることができる。従って、複数の引出配線間で、配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因して、画素領域上でデータ線に沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。即ち、例えば、複数の引出配線間で配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因する、1つのブロックに含まれるM本のデータ線間で生じる表示ムラ(即ち、系列スジ)や、この表示ムラの画素領域における左右差(つまり、画素領域における複数のデータ線の配列の一端側と他端側との間で生じる表示ムラの差)を殆ど或いは完全に無くすことができる。更に、例えば、選択回路に含まれる複数のスイッチに選択信号を供給する順番を入れ替えながらデータ線を駆動するローテーション駆動や画像信号に対してオフセット信号を加えるDC(direct-current)オフセットなどの信号補正処理による効果を好適に得ることができる。即ち、本発明によれば、複数の引出配線の配線抵抗及び寄生容量が揃えられているので、信号補正処理を複数のデータ線について均一に施すことが可能となる。これらの結果、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0015】
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置によれば、例えば系列スジ等の表示上の不具合を低減でき、高品位な表示を行うことができる。
【0016】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記複数の引出配線は、前記選択信号供給線よりも第1層間絶縁膜を介して上層側に配置された第1引出配線層と、前記選択信号供給線よりも第2層間絶縁膜を介して下層側に配置されると共に、前記第1引出配線層と互いに電気的に接続された第2引出配線層とを夫々有する。
【0017】
この態様によれば、複数の引出配線の各々は、典型的には、第1引出配線層及び第2引出配線層とからなる二重配線として形成される。よって、例えば仮に複数の引出配線の各々が第1引出配線層のみから構成される場合と比較して、複数の引出配線の各々の配線抵抗を低くすることができる。従って、複数の引出配線上における選択信号のひずみを低減或いは防止できる。
【0018】
上述した、複数の引出配線が第1及び第2引出配線層を有する態様では、前記選択信号線よりも前記第1層間絶縁膜を介して上層側に配置され、前記引出配線に沿って延びる配線部分を夫々有し、前記選択回路へ前記画像信号を夫々供給する複数の画像信号線を備え、前記第2引出配線層は、前記基板上で平面的に見て前記画像信号線と少なくとも部分的に重なるように、前記第1引出配線層よりも幅広に形成されてもよい。
【0019】
この場合には、画素領域の周辺に位置する周辺領域からの光漏れを第2引出配線層によって低減できる。従って、例えば、画像信号線や引出配線などの配線の配列パターンに応じた明暗パターンなど、周辺領域における光の反射や透過に応じた明暗パターンが表示画像の縁付近に映し出されてしまうことを低減或いは防止できる。つまり、周辺領域における光漏れに起因する表示画像への悪影響を低減或いは防止できる。
【0020】
上述した、複数の画像信号線を備える態様では、前記選択信号入力線は、前記選択信号供給線と同一膜からなるように構成してもよい。
【0021】
この場合には、選択回路を構成する例えばトランジスタからなるスイッチの選択信号入力線(例えばゲート配線)は、画像信号線よりも第1層間絶縁膜を介して下層側に配置される。よって、選択信号供給線及び画像信号線間の寄生容量を殆ど或いは実践上完全に無くすことができる。従って、選択信号供給線及び画像信号線間の寄生容量に起因して、画素領域上でデータ線に沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。
【0022】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0023】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0024】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例であるデマルチプレクサ方式を採用した液晶装置を例にとる。
【0026】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図10を参照して説明する。
【0027】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’線での断面図である。
【0029】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、素子基板10と対向基板20とが対向配置されている。素子基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、素子基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域52aに設けられたシール材52により相互に接着されている。シール材52は、両基板を貼り合わせるための、紫外線硬化樹脂からなり、製造プロセスにおいて素子基板10上に塗布された後、紫外線照射により硬化させられたものである。また、シール材52中には、素子基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0030】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域53aを規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域52aの外側に位置する領域には、画像信号が供給される画像信号端子を含む外部回路接続端子102が素子基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域52aよりも内側に、本発明に係る「選択回路」の一例としてのデマルチプレクサ7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域52aの内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、素子基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、素子基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0031】
素子基板10上には、外部回路接続端子102と、デマルチプレクサ7、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。尚、引回配線90には、図3を参照して後述する、本発明に係る「選択信号供給線」の一例としての制御信号線SL1〜SL8が含まれる。
【0032】
図2において、素子基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。画素電極9a上には、配向膜が形成されている。他方、対向基板20における素子基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。そして、遮光膜23上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0033】
尚、ここでは図示しないが、素子基板10上には、デマルチプレクサ7、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0034】
次に、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成について、図3及び図4を参照して説明する。
【0035】
図3は、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示すブロック図である。図4は、本実施形態に係る液晶装置の画素部の等価回路図である。
【0036】
図3において、液晶装置100は、素子基板10上に、デマルチプレクサ7及び走査線駆動回路104を備えている。素子基板10上の外部回路接続端子102のうち画像信号端子102vに外部回路としての画像信号供給回路400が電気的に接続されている。
【0037】
素子基板10上の画像表示領域10aには、1088本の走査線11aが行方向(即ち、X方向)に延在するように設けられ、また、8本毎にグループ化(或いはブロック化)された1984(=248×8)本のアルミニウム等の金属膜からなるデータ線6aが、列方向(即ち、Y方向)に延在するように、且つ、各走査線11aと互いに電気的な絶縁を保つように、設けられている。尚、走査線11a及びデータ線6aの本数はそれぞれ1088本及び1984本に限定されるものではない。1グループを構成するデータ線数は、本実施形態では「8」としたが、「2」以上であればよい。
【0038】
画素部600は、1088本の走査線11aと1984本のデータ線6aとの交差に対応して、それぞれ配列されている。従って、本実施形態では、画素部600は、縦1088行×横1984列で、所定の画素ピッチでマトリクス状に配列することになる。
【0039】
図4に示すように、画素部600は、画素スイッチング用TFT30、液晶素子72及び蓄積容量70を備えている。
【0040】
画素スイッチング用TFT30は、ソースがデータ線6aに電気的に接続され、ゲートが走査線11aに電気的に接続され、ドレインが後述する液晶素子72の画素電極9aに電気的に接続されている。画素スイッチング用TFT30は、走査線駆動回路104から供給される走査信号によってオンオフが切り換えられる。
【0041】
液晶素子72は、画素電極9a、対向電極21並びに画素電極9a及び対向電極21間に狭持された液晶から構成されている。液晶素子72において、データ線6a及び画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルのデータ信号は、対向電極21との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置100からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0042】
蓄積容量70は、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に付加されている。
【0043】
以上のような画素部600が、画像表示領域10aにマトリクス状に配列されているので、アクティブマトリクス駆動が可能となっている。
【0044】
再び図3において、本実施形態では、1グループ(或いは1ブロック)を構成する8列のデータ線6aを区別するために、右から順にそれぞれa、b、c、d、e、f、g、h系列と呼ぶ場合がある。詳細には、a系列とは1、9、17、・・・、1977列目のデータ線6aであり、b系列とは2、10、18、・・・、1978列目のデータ線6aであり、c系列とは3、11、19、・・・、1979列目のデータ線6aであり、d系列とは4、12、20、・・・、1980列目のデータ線6aであり、e系列とは5、13、21、・・・、1981列目のデータ線6aであり、f系列とは6、14、22、・・・、1982列目のデータ線6aであり、g系列とは7、15、23、・・・、1983列目のデータ線6aであり、h系列とは8、16、24、・・・、1984列目のデータ線6aである。
【0045】
走査線駆動回路104は、シフトレジスタを有しており、1、2、3、・・・、1088行目の走査線11aに、走査信号G1、G2、G3、・・・、G1088を供給する。詳細には、走査線駆動回路104は、1フレームの期間にわたって1、2、3、・・・、1088行目の走査線11aを順番に選択するとともに、選択した走査線への走査信号を選択電圧に相当するHレベルとし、それ以外の走査線への走査信号を非選択電圧に相当するLレベルとする。
【0046】
画像信号供給回路400は、素子基板10とは別体構成であり、表示動作の際には、画像信号端子102vを介して素子基板10と電気的に接続される。画像信号供給回路400は、走査線駆動回路104によって選択された走査線11aと、各グループに属する8列のデータ線6aのうち、デマルチプレクサ7によって選ばれるデータ線6aとに対応する画素電極9aに対し、当該画素電極9aが含まれる画素の階調に応じた電圧の画像信号を出力する。画像信号供給回路400から画像信号端子102vに供給された画像信号は、引回配線90(図1参照)に含まれる画像信号線300を介してデマルチプレクサ7へ供給される。本実施形態では、上述したように、データ線6aの列数は「1984」であり、これらが8列毎にグループ化されているので、画像信号供給回路400によって248系統にシリアル−パラレル変換された画像信号VID1、VID2、・・・、VID248が、248個の画像信号端子102v及び248本の画像信号線300を介して、データ線6aのグループの各々に供給される。
【0047】
尚、画像信号供給回路400は、画像信号VID1〜VID248を供給する画像信号供給期間に先立つ期間に、画像信号VID1〜VID248に代えて、データ線6aをプリチャージするためのプリチャージ信号PCSを、248本の画像信号線300に一括して出力してもよい。
【0048】
デマルチプレクサ7は、データ線6a毎に設けられた複数のトランジスタ71を含んで構成されている。尚、複数のトランジスタ71は、本発明に係る「複数のスイッチ」の一例である。トランジスタ71はnチャネル型であり、各ドレインはデータ線6aの一端に電気的に接続されている。同一グループに属するデータ線6aに対応する8個のトランジスタ71のソースは、当該グループに対応する画像信号線300と電気的に共通接続されている。
【0049】
即ち、m番目(但し、mは1以上248以下の整数)のグループは、a系列の(8m−7)列目、b系列の(8m−6)列目、c系列の(8m−5)列目、d系列の(8m−4)列目、e系列の(8m−3)列目、f系列の(8m−2)列目、g系列の(8m−1)列目及びh系列の(8m)列目のデータ線6aから構成されるので、これら8列のデータ線6aに対応するトランジスタ71のソースは電気的に共通接続されて、画像信号VID(m)が供給される。トランジスタ71のゲートには、8本の制御信号線SL(即ち、制御信号線SL1〜SL8)を介して制御信号Sel1〜Sel8が供給される。詳細には、(8m−7)列目のデータ線6aに対応するトランジスタ71のゲートには、制御信号線SL1を介して制御信号Sel1が供給され、同様に(8m−6)列目、(8m−5)列目、(8m−4)列目、(8m−3)列目、(8m−2)列目、(8m−1)列目及び(8m)列目のデータ線6aに対応するトランジスタ71のゲートには、引回配線90(図1参照)に含まれる制御信号線SL2、・・・、SL8の各々を介して制御信号Sel2、・・・、Sel8が供給される。制御信号Sel1〜Sel8は、図示しない外部回路としてのタイミング制御回路から外部回路接続端子102のうち制御信号端子102sを介して制御信号線SL1〜SL8に供給される。尚、制御信号Sel1〜Sel8は、本発明に係る「選択信号」の一例である。
【0050】
尚、図5から図10を参照して後に詳細に説明するが、8本の制御信号線SLの各々は、対応するトランジスタ71のゲート配線71Gに、引出配線H1〜H8を介して電気的に接続されている。
【0051】
次に、上述のように構成された液晶装置の動作について、図3を参照して説明する。
【0052】
図3において、走査線駆動回路104は、ある1フレーム(第nフレーム)の期間にわたって走査信号G1、G2、・・・、G1088を1水平期間(例えば4000ナノ秒)毎に順次排他的にHレベル(即ち、選択電圧)とする。
【0053】
1水平期間における画像信号供給期間では、制御信号線SL1〜SL8に対して制御信号Sel1〜Sel8が夫々入力されると共に、248本の画像信号線300には画像信号VID1〜VID248が夫々入力される。ここで、画像信号供給期間では、制御信号線SL1〜SL8の電位は、制御信号Sel1〜Sel8が供給されることで、この順番で排他的にHレベルとなり、この供給に合わせて画像信号供給回路400は、画像信号線300に画像信号VID1〜VID248を供給する。トランジスタ71は、制御信号Sel1〜Sel8のパルス幅によって規定される単位期間だけ、導通状態とされ、データ線6aに系列毎に画像信号VID1〜VID248が供給される。
【0054】
詳細には、画像信号供給回路400は、i行目の走査信号GiがHレベルとなる期間において、制御信号Sel1が供給されることで制御信号線SL1の電位がHレベルとなったとき、i行目の走査線11aとa系列のデータ線6aとの交差に対応する画素の階調に応じた電圧だけ対向電極電位LCCOMに対して高位または低位の画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248を、1、2、3、・・・、248番目のグループに対応させて一斉に出力する。この際、8本の制御信号線SLのうち制御信号線SL1だけがHレベルであるので、a系列のデータ線6aが選択される(即ち、a系列のデータ線6aに対応するトランジスタ71だけがオンする)結果、画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248は、それぞれa系列(1、9、17、・・・、1977列目)のデータ線6aに供給される。一方、走査信号GiがHレベルであると、i行目に位置する画素のすべてにおいて、画素スイッチング用TFT30がオン(導通)状態となるので、a系列のデータ線6aに供給された画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248は、それぞれi行1列、i行9列、i行17列、・・・、i行1977列の画素電極9aに印加されることになる。
【0055】
次に、画像信号供給回路400は、制御信号Sel2が供給されることで制御信号線SL2の電位がHレベルとなったとき、今度はi行目の走査線11aとb系列のデータ線6aとの交差に対応する画素の階調に応じた電圧の画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248を、1、2、3、・・・、248番目のグループに対応させて一斉に出力する。この際、制御信号線SL2だけがHレベルであるため、b系列のデータ線6aが選択される結果、画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248は、それぞれb系列(2、10、18、・・・、1978列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行2列、i行10列、i行18列、・・・、i行1978列の画素電極9aに印加されることになる。
【0056】
同様に、画像信号供給回路400は、i行目の走査信号GiがHレベルとなる期間において、制御信号Sel3が供給されることで制御信号線SL3の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとc系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel4が供給されることで制御信号線SL4の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとd系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel5が供給されることで制御信号線SL5の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとe系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel6が供給されることで制御信号線SL6の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとf系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel7が供給されることで制御信号線SL7の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとg系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel8が供給されることで制御信号線SL8の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとh系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、の階調に応じた電圧の画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248を、それぞれ1、2、3、・・・、248番目のグループに対応させて一斉に出力する。これにより、i行目の各画素の階調に応じた画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248が、c系列(3、11、19、・・・、1979列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行3列、i行11列、i行19列、・・・、i行1979列の画素電極9aに印加され、引き続き、d系列(4、12、20、・・・、1980列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行4列、i行12列、i行20列、・・・、i行1980列の画素電極9aに印加され、引き続き、e系列(5、13、21、・・・、1981列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行5列、i行13列、i行21列、・・・、i行1981列の画素電極9aに印加され、引き続き、f系列(6、14、22、・・・、1982列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行6列、i行14列、i行22列、・・・、i行1982列の画素電極9aに印加され、引き続き、g系列(7、15、23、・・・、1983列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行7列、i行15列、i行23列、・・・、i行1983列の画素電極9aに印加され、引き続き、h系列(8、16、24、・・・、1984列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行8列、i行16列、i行24列、・・・、i行1984列の画素電極9aに印加される。
【0057】
これにより、i行目の画素に対して、階調に応じた画像信号の電圧を書き込む動作が完了する。尚、画素電極9aに印加された電圧は、走査信号GiがLレベルになっても、液晶容量によって次の第(n+1)フレームの書き込みまで保持されることになる。
【0058】
次に、本実施形態に特徴的な、8本の制御信号線SLと複数のトランジスタ71のゲート配線71Gとを電気的に接続するための複数の引出配線Hの構成について、図3に加えて図5から図10を参照して説明する。
【0059】
図5は、本実施形態に係る液晶装置の複数の引出配線の構成を示す平面図である。図6は、図5のA−A’線での断面図である。図7は、図5のB−B’線での断面図である。図8は、図5のC−C’線での断面図である。図9は、図5のD−D’線での断面図である。図10は、図5のE−E’線での断面図である。
【0060】
尚、ここでは、画像信号VID(n)が供給される同一グループに属するデータ線6aに対応する8個のトランジスタ71のゲート配線71Gに夫々電気的に接続される8本の引出配線H(即ち、引出配線H1〜H8)の構成について主に説明する。つまり、画像信号VID(n)が供給される同一グループに属するデータ線6aに対応する引出配線H1〜H8について主に説明する。他のグループに属するデータ線6aに対応する引出配線H1〜H8も同様に構成されている。
【0061】
尚、図6から図10では、説明の便宜上、画像信号線よりも上層側に形成される例えば絶縁膜等の構成要素の図示を省略している。
【0062】
図5から図10において、8本の制御信号線SL(即ち、制御信号線SL1〜SL8)は、素子基板10上の積層構造における層間絶縁膜41上に、例えばアルミニウム膜等から形成されている。言い換えれば、8本の制御信号線SLは、データ線6aと同一膜から形成されている。
【0063】
図3及び図5に示すように、制御信号線SL1〜SL8の各々は、X方向(即ち、データ線6aの配列方向)に沿って延びる配線部分を有している。この配線部分から引出配線H(即ち、引出配線H1〜H8)がY方向に沿って延びるように形成されている。引出配線Hは、トランジスタ71のゲート配線71Gと制御信号線SLとの間を電気的に接続する。制御信号線SL1には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H1が電気的に接続され、制御信号線SL2には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H2が電気的に接続され、制御信号線SL3には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H3が電気的に接続され、制御信号線SL4には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H4が電気的に接続され、制御信号線SL5には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H5が電気的に接続され、制御信号線SL6には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H6が電気的に接続され、制御信号線SL7には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H7が電気的に接続され、制御信号線SL8には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H8が電気的に接続されている。尚、ゲート配線71Gは、本発明に係る「選択信号入力線」の一例である。
【0064】
図5から図10において、画像信号線300は、制御信号線SLよりも層間絶縁膜42を介して上層側に、例えばアルミニウム等の金属膜から形成されている。
【0065】
図3及び図5に示すように、画像信号線300は、Y方向に沿って延びており、制御信号線SL1〜SL8と互いに交差している。
【0066】
図5から図10において、本実施形態では特に、引出配線H1〜H8は、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有している。
【0067】
具体的には、引出配線H1〜H8のいずれも、制御信号線SLよりも層間絶縁膜42を介して上層側に、例えばアルミニウム等の金属膜から形成された第1引出配線層Haと、制御信号線SLよりも層間絶縁膜41を介して下層側(言い換えれば、素子基板10上に形成された下地絶縁膜12上)に、例えば導電性ポリシリコン膜等の半導体膜から形成された第2引出配線層Hbとからなる二重配線として形成され、且つ、引出配線H1〜H8は、配線長及び配線幅が揃えられている。尚、第1引出配線層Ha(即ち、第1引出配線層Ha1〜Ha8)は、画像信号線300と同一膜から形成されており、第2引出配線層Hb(即ち、第2引出配線層Hb1〜Hb8)は、図4を参照して上述した画素スイッチング用TFT30のゲート電極と同一膜から形成されている。引出配線H1は、第1引出配線層Ha1及び第2引出配線層Hb1からなる二重配線として形成され、引出配線H2は、第1引出配線層Ha2及び第2引出配線層Hb2からなる二重配線として形成され、引出配線H3は、第1引出配線層Ha3及び第2引出配線層Hb3からなる二重配線として形成され、引出配線H4は、第1引出配線層Ha4及び第2引出配線層Hb4からなる二重配線として形成され、引出配線H5は、第1引出配線層Ha5及び第2引出配線層Hb5からなる二重配線として形成され、引出配線H6は、第1引出配線層Ha6及び第2引出配線層Hb6からなる二重配線として形成され、引出配線H7は、第1引出配線層Ha7及び第2引出配線層Hb7からなる二重配線として形成され、引出配線H8は、第1引出配線層Ha8及び第2引出配線層Hb8からなる二重配線として形成されている。第1引出配線層Ha(即ち、第1引出配線層Ha1〜Ha8)は、層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホール81を介して、制御信号線SLに電気的に接続されており、第2引出配線層Hb(即ち、第2引出配線層Hb1〜Hb8)は、層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホール82を介して、制御信号線SLに電気的に接続されている。図5、図9及び図10に示すように、第1引出配線層Ha(即ち、第1引出配線層Ha1〜Ha8)は、層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホール83を介して、制御信号線SLと同一膜からなるゲート配線71Gに電気的に接続されている。第2引出配線層Hb(即ち、第2引出配線層Hb1〜Hb8)は、層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホール84を介して、制御信号線SLと同一膜からなるゲート配線71Gに電気的に接続されている。
【0068】
よって、本実施形態によれば、引出配線H1〜H8の配線抵抗及び寄生容量を揃えることができる。従って、複数の引出配線H間で、配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因して、画像表示領域10aにおける表示上でデータ線6aに沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。即ち、例えば、複数の引出配線H間で配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因する、1つのブロックに含まれる8本のデータ線6a間で生じる表示ムラ(即ち、系列スジ)や、この表示ムラの画像表示領域10aにおける左右差(つまり、画像表示領域10aにおける複数のデータ線6aの配列の一端側と他端側との間で生じる表示ムラの差)を殆ど或いは完全に無くすことができる。更に、例えば、デマルチプレクサ7に含まれる複数のトランジスタ71に制御信号Sel1〜Sel8を供給する順番を入れ替えながらデータ線6aを駆動するローテーション駆動や画像信号に対してオフセット信号を加えるDCオフセットなどの信号補正処理による効果を好適に得ることができる。即ち、本実施形態によれば、1984本の引出配線Hの配線抵抗及び寄生容量が揃えられているので、信号補正処理を1984本のデータ線6aについて均一に施すことが可能となる。これらの結果、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0069】
本実施形態では特に、複数の引出配線Hは、上述したように、第1引出配線層Ha及び第2引出配線層Hbとからなる二重配線として形成されているので、例えば仮に複数の引出配線Hが第1引出配線層Haのみから構成される場合と比較して、複数の引出配線Hの各々の配線抵抗を低くすることができる。従って、複数の引出配線H上における制御信号Sel1〜Sel8のひずみを低減できる。
【0070】
更に、図5から図10において、本実施形態では特に、第2引出配線層Hb(即ち、第2引出配線層Hb1〜Hb8)は、素子基板10上で平面的に見て、画像信号線300と部分的に重なるように、第1引出配線層Haよりも幅広に形成されている。言い換えれば、第2引出配線層Hbは、素子基板10上で平面的に見て、第1引出配線層Haと概ね重なるように形成されると共に、第1引出配線層Haと画像信号線300との間の隙間を覆うように、その配線幅が第1引出配線層Haよりも広く形成されている。よって、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域(具体的には、第1引出配線層Haと画像信号線300との間の隙間)からの光漏れを第2引出配線層Hbによって低減できる。従って、例えば、画像信号線300や引出配線Hなどの配線の配列パターンに応じた明暗パターンなど、周辺領域における光の反射や透過に応じた明暗パターンが表示画像の縁付近に映し出されてしまうことを低減或いは防止できる。つまり、周辺領域における光漏れに起因する表示画像への悪影響を低減或いは防止できる。
【0071】
加えて、図5、図9及び図10において、本実施形態では特に、トランジスタ71のゲート配線71Gは、上述したように、制御信号線SLと同一膜から形成されており、画像信号線300よりも層間絶縁膜41を介して下層側に配置されている。よって、ゲート配線71G及び画像信号線300間の距離を層間絶縁膜41の膜厚によって大きくすることができ、ゲート配線71G及び画像信号線300間の寄生容量を殆ど或いは実践上完全に無くすことができる。従って、ゲート配線71G及び画像信号線300間の寄生容量に起因して、画像表示領域10aにおける表示上にデータ線6aに沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る電気光学装置によれば、例えば系列スジ等の表示上の不具合を低減でき、高品位な表示を行うことができる。
【0073】
ここで、本実施形態に係る引出配線の構成及び効果について、図11に示す比較例を参照して説明を加える。
【0074】
図11は、比較例における、図5と同趣旨の平面図である。
【0075】
図11に示す比較例は、引出配線H1〜H8が、画像信号線300と同一膜からなる配線(単一層の配線)として形成されている点、及び引出配線H1〜H8が、互いに異なる配線長を有している点で、上述した第1実施形態と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態と概ね同様に構成されている。
【0076】
図11に示す比較例では、引出配線H1〜H8が、互いに異なる配線長を有している(例えば、引出配線H1の配線長L1は、引出配線H8の配線長L8よりも長い)ので、引出配線H1〜H8の配線抵抗及び寄生容量は互いに異なる。よって、画像表示領域10aにおける表示画像上に、データ線6aに沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうおそれがある。
【0077】
しかるに本実施形態によれば、上述したように、引出配線H1〜H8は、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有しており、引出配線H1〜H8の配線抵抗及び寄生容量が揃えられているので、データ線6aに沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。
【0078】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0079】
先ず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて、図12を参照して説明する。ここに図12は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
【0080】
図12に示すように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0081】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0082】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0083】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0084】
尚、図12を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0085】
また本発明は、上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、シリコン基板上に素子を形成する反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0086】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’線での断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る液晶装置の画素部の等価回路図である。
【図5】第1実施形態に係る液晶装置の複数の引出配線の構成を示す平面図である。
【図6】図5のA−A’線での断面図である。
【図7】図5のB−B’線での断面図である。
【図8】図5のC−C’線での断面図である。
【図9】図5のD−D’線での断面図である。
【図10】図5のE−E’線での断面図である。
【図11】比較例における、図5と同趣旨の平面図である。
【図12】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0088】
6a…データ線、7…デマルチプレクサ、9a…画素電極、10…素子基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、30…画素スイッチング用TFT、71…トランジスタ、71G…ゲート配線、81、82、83、84…コンタクトホール、300…画像信号線、H1〜H8…引出配線、Ha1〜Ha8…第1引出配線層、Hb1〜Hb8…第2引出配線層、SL1〜SL8…制御信号線
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶装置等の電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置は、一般に、シリアル−パラレル変換された画像信号に基づいて駆動される。例えば、液晶装置において、基板上の画像表示領域に配線された複数のデータ線は所定の本数毎にブロック化されており、シリアル−パラレル変換された画像信号は、ブロック単位で、該ブロックに含まれるデータ線にサンプリングスイッチを介して供給される。これにより、所定の本数のデータ線が同時に、且つ複数のデータ線は所定の本数毎に順次駆動される。
【0003】
シリアル−パラレル変換された画像信号は、素子基板上の画像表示領域の周辺に位置する周辺領域に配線された複数の画像信号線に供給される。そして、各画像信号線は、中継配線を介して、サンプリングスイッチの入力配線に電気的に接続される。
【0004】
例えば特許文献1では、画像信号線(特許文献1中、「ビデオ信号線」)と交差する配線層の構造を最適化して、画像信号線及び配線層に寄生する電気的成分を等価にし、表示特性を向上させる技術が提案されている。
【0005】
一方、この種の電気光学装置では、N本のデータ線に供給すべき画像信号を時分割で入力すると共に、時分割でN本のデータ線を複数本ずつ選択して供給する駆動方式(即ち、デマルチプレクサ方式或いはハイブリッド方式)が採用されることがある。このようなデマルチプレクサ方式が採用された電気光学装置では、画像信号線から供給される画像信号が、複数のスイッチを含むデマルチプレクサ(或いは選択回路)に入力され、デマルチプレクサによって選択されたデータ線に出力される。
【0006】
デマルチプレクサに含まれる複数のスイッチは、例えばトランジスタによって夫々構成され、例えば、素子基板上の周辺領域に配線された複数本の制御信号線(或いは選択信号供給線)によって夫々供給される複数系列の制御信号(或いは選択信号)に基づいて駆動される。そして、各制御信号線は、引出配線を介して、例えばトランジスタから夫々なる複数のスイッチのゲートに電気的に接続されたゲート配線に電気的に接続される。
【0007】
【特許文献1】特開平5−307165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したデマルチプレクサ方式が採用された電気光学装置では、複数の引出配線間で、配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因して、表示画面上でデータ線に沿った縦線状の表示ムラ(例えば系列スジ)が発生してしまうおそれがあるという技術的問題点がある。
【0009】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、デマルチプレクサ方式を採用した電気光学装置において、高品位な表示を行うことが可能な電気光学装置及びそのような電気光学装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、複数の画素電極と、該複数の画素電極が配列された画素領域に設けられると共に、M(但し、Mは2以上の自然数)本毎にブロック化された複数のデータ線と、該複数のデータ線に夫々対応する複数のスイッチを含み、前記ブロック毎に1本のデータ線を、選択信号に応じて選択して、画像信号を前記選択したデータ線に出力する選択回路と、前記複数のデータ線の配列方向に沿って延びる配線部分を夫々有しており、前記選択信号が夫々供給されるM本の選択信号供給線と、前記複数のデータ線の配列方向に交わる方向に沿って夫々延びると共に、前記スイッチの選択信号入力線及び前記選択信号供給線の前記配線部分に夫々電気的に接続されており、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有する複数の引出配線とを備える。
【0011】
本発明の電気光学装置によれば、その動作時には、外部に設けられた例えば画像信号供給回路から、基板上の例えば画像信号端子を介して画像信号線に画像信号が供給される。画像信号線に供給された画像信号は選択回路(或いはデマルチプレクサ)を構成する複数のスイッチに対して、1つのブロック(或いは1つのグループ又は1つのデータ線群)に含まれるM本のデータ線に対応する数、即ちM個のスイッチ毎に供給される。画像信号は、N系統(但し、Nは2以上の自然数)にシリアル−パラレル変換(或いはシリアル−パラレル展開又は相展開)されており、系統別に互いに異なる画像信号線を介して複数のスイッチに供給される。即ち、例えば、第1系統の画像信号は、第1の画像信号線を介して第1のブロック(即ち、第1のデータ線群)に対応するM個のスイッチに供給され、第2系統の画像信号は、第2の画像信号線を介して第2のブロック(即ち、第2のデータ線群)に対応するM個のスイッチに供給され、・・・、第N系統の画像信号は、第Nの画像信号線を介して(即ち、第Nのデータ線群)に対応するM個のスイッチに供給される。複数のスイッチは例えばM本の選択信号供給線によって夫々供給されるM系列の選択信号に基づいて夫々駆動され、各系列毎にデータ線を選択して画像信号を供給する。これにより、各ブロック(即ち、各データ線群)について、M個のスイッチからM系列の選択信号に基づいてM本のデータ線の各々に対して画像信号が供給され、対応する画素に入力される(即ち、書き込まれる)。これと共に、例えば、走査線駆動回路から走査線を介して走査信号が各画素に供給される。画素毎に設けられた例えば画素スイッチング用トランジスタは、走査信号に応じて画像信号を画素電極へ選択的に供給する。その結果、電気光学装置においてアクティブマトリクス駆動が行われる。
【0012】
本発明では、M本の選択信号供給線は、複数のデータ線の配列方向(即ち、データ線が延びる方向と交わる方向、或いは、例えば走査線が延びる方向)に沿って延びる配線部分を夫々有する。即ち、M本の選択信号供給線は、複数のデータ線の配列方向に沿って配列された、選択回路を構成する複数のスイッチの配列に沿って延びるように形成された配線部分を夫々有する。複数の引出配線の各々は、該配線部分から引き出されるように、複数のデータ線の配列方向に交わる方向(即ち、データ線が延びる方向、言い換えれば、選択信号供給線における前記配線部分が延びる方向と交わる方向)に沿って延びている。言い換えれば、複数の引出配線は、基板上で平面的に見てM本の選択信号供給線と交差するように延びている。各選択信号供給線には、1つのブロック(即ち、1つのデータ線群)毎に1本の引出配線が設けられている。即ち、各選択信号供給線には、ブロック数分の引出配線が設けられている。複数の引出配線は、典型的には、選択信号供給線との電気的な絶縁状態を維持するため、層間絶縁膜を介して選択信号供給線とは互いに異なる層に配置された導電膜から形成される。複数の引出配線の各々は、対応する、選択回路を構成するスイッチの選択信号入力線(即ち、例えばトランジスタからなるスイッチのゲート配線)に電気的に接続される。
【0013】
本発明では特に、複数の引出配線は、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有する。ここで、「互いに同じ膜構成を有する」とは、複数の引出配線が、互いに同じ材料からなると共に互いに同じ積層構造を有することを意味し、例えば、一の引出配線が、層間絶縁膜を介して互いに異なる層に配置された2つの導電膜からなる二重配線として構成される場合には、他の引出配線も、該2つの導電膜と同一膜からなる二重配線として構成されることも含む趣旨である。尚、ここで「同一膜」とは、製造工程における同一機会に成膜される膜を意味し、同一種類の膜である。言い換えれば、「同一膜」とは、同一の導電材料からなる薄膜を同時にパターニングすることにより得られる膜を意味する。
【0014】
よって、複数の引出配線の配線抵抗及び寄生容量を揃えることができる。従って、複数の引出配線間で、配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因して、画素領域上でデータ線に沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。即ち、例えば、複数の引出配線間で配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因する、1つのブロックに含まれるM本のデータ線間で生じる表示ムラ(即ち、系列スジ)や、この表示ムラの画素領域における左右差(つまり、画素領域における複数のデータ線の配列の一端側と他端側との間で生じる表示ムラの差)を殆ど或いは完全に無くすことができる。更に、例えば、選択回路に含まれる複数のスイッチに選択信号を供給する順番を入れ替えながらデータ線を駆動するローテーション駆動や画像信号に対してオフセット信号を加えるDC(direct-current)オフセットなどの信号補正処理による効果を好適に得ることができる。即ち、本発明によれば、複数の引出配線の配線抵抗及び寄生容量が揃えられているので、信号補正処理を複数のデータ線について均一に施すことが可能となる。これらの結果、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0015】
以上説明したように、本発明に係る電気光学装置によれば、例えば系列スジ等の表示上の不具合を低減でき、高品位な表示を行うことができる。
【0016】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記複数の引出配線は、前記選択信号供給線よりも第1層間絶縁膜を介して上層側に配置された第1引出配線層と、前記選択信号供給線よりも第2層間絶縁膜を介して下層側に配置されると共に、前記第1引出配線層と互いに電気的に接続された第2引出配線層とを夫々有する。
【0017】
この態様によれば、複数の引出配線の各々は、典型的には、第1引出配線層及び第2引出配線層とからなる二重配線として形成される。よって、例えば仮に複数の引出配線の各々が第1引出配線層のみから構成される場合と比較して、複数の引出配線の各々の配線抵抗を低くすることができる。従って、複数の引出配線上における選択信号のひずみを低減或いは防止できる。
【0018】
上述した、複数の引出配線が第1及び第2引出配線層を有する態様では、前記選択信号線よりも前記第1層間絶縁膜を介して上層側に配置され、前記引出配線に沿って延びる配線部分を夫々有し、前記選択回路へ前記画像信号を夫々供給する複数の画像信号線を備え、前記第2引出配線層は、前記基板上で平面的に見て前記画像信号線と少なくとも部分的に重なるように、前記第1引出配線層よりも幅広に形成されてもよい。
【0019】
この場合には、画素領域の周辺に位置する周辺領域からの光漏れを第2引出配線層によって低減できる。従って、例えば、画像信号線や引出配線などの配線の配列パターンに応じた明暗パターンなど、周辺領域における光の反射や透過に応じた明暗パターンが表示画像の縁付近に映し出されてしまうことを低減或いは防止できる。つまり、周辺領域における光漏れに起因する表示画像への悪影響を低減或いは防止できる。
【0020】
上述した、複数の画像信号線を備える態様では、前記選択信号入力線は、前記選択信号供給線と同一膜からなるように構成してもよい。
【0021】
この場合には、選択回路を構成する例えばトランジスタからなるスイッチの選択信号入力線(例えばゲート配線)は、画像信号線よりも第1層間絶縁膜を介して下層側に配置される。よって、選択信号供給線及び画像信号線間の寄生容量を殆ど或いは実践上完全に無くすことができる。従って、選択信号供給線及び画像信号線間の寄生容量に起因して、画素領域上でデータ線に沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。
【0022】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0023】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置、電子放出装置(Field Emission Display及びConduction Electron-Emitter Display)、これら電気泳動装置、電子放出装置を用いた表示装置を実現することも可能である。
【0024】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例であるデマルチプレクサ方式を採用した液晶装置を例にとる。
【0026】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る液晶装置について、図1から図10を参照して説明する。
【0027】
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図であり、図2は、図1のH−H’線での断面図である。
【0029】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置100では、素子基板10と対向基板20とが対向配置されている。素子基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、素子基板10と対向基板20とは、本発明に係る「画素領域」の一例としての画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域52aに設けられたシール材52により相互に接着されている。シール材52は、両基板を貼り合わせるための、紫外線硬化樹脂からなり、製造プロセスにおいて素子基板10上に塗布された後、紫外線照射により硬化させられたものである。また、シール材52中には、素子基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。
【0030】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域53aを規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域52aの外側に位置する領域には、画像信号が供給される画像信号端子を含む外部回路接続端子102が素子基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域52aよりも内側に、本発明に係る「選択回路」の一例としてのデマルチプレクサ7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域52aの内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、素子基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、素子基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0031】
素子基板10上には、外部回路接続端子102と、デマルチプレクサ7、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続するための引回配線90が形成されている。尚、引回配線90には、図3を参照して後述する、本発明に係る「選択信号供給線」の一例としての制御信号線SL1〜SL8が含まれる。
【0032】
図2において、素子基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。画素電極9a上には、配向膜が形成されている。他方、対向基板20における素子基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。そして、遮光膜23上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。対向電極21上には配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0033】
尚、ここでは図示しないが、素子基板10上には、デマルチプレクサ7、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0034】
次に、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成について、図3及び図4を参照して説明する。
【0035】
図3は、本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示すブロック図である。図4は、本実施形態に係る液晶装置の画素部の等価回路図である。
【0036】
図3において、液晶装置100は、素子基板10上に、デマルチプレクサ7及び走査線駆動回路104を備えている。素子基板10上の外部回路接続端子102のうち画像信号端子102vに外部回路としての画像信号供給回路400が電気的に接続されている。
【0037】
素子基板10上の画像表示領域10aには、1088本の走査線11aが行方向(即ち、X方向)に延在するように設けられ、また、8本毎にグループ化(或いはブロック化)された1984(=248×8)本のアルミニウム等の金属膜からなるデータ線6aが、列方向(即ち、Y方向)に延在するように、且つ、各走査線11aと互いに電気的な絶縁を保つように、設けられている。尚、走査線11a及びデータ線6aの本数はそれぞれ1088本及び1984本に限定されるものではない。1グループを構成するデータ線数は、本実施形態では「8」としたが、「2」以上であればよい。
【0038】
画素部600は、1088本の走査線11aと1984本のデータ線6aとの交差に対応して、それぞれ配列されている。従って、本実施形態では、画素部600は、縦1088行×横1984列で、所定の画素ピッチでマトリクス状に配列することになる。
【0039】
図4に示すように、画素部600は、画素スイッチング用TFT30、液晶素子72及び蓄積容量70を備えている。
【0040】
画素スイッチング用TFT30は、ソースがデータ線6aに電気的に接続され、ゲートが走査線11aに電気的に接続され、ドレインが後述する液晶素子72の画素電極9aに電気的に接続されている。画素スイッチング用TFT30は、走査線駆動回路104から供給される走査信号によってオンオフが切り換えられる。
【0041】
液晶素子72は、画素電極9a、対向電極21並びに画素電極9a及び対向電極21間に狭持された液晶から構成されている。液晶素子72において、データ線6a及び画素電極9aを介して液晶に書き込まれた所定レベルのデータ信号は、対向電極21との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置100からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0042】
蓄積容量70は、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に付加されている。
【0043】
以上のような画素部600が、画像表示領域10aにマトリクス状に配列されているので、アクティブマトリクス駆動が可能となっている。
【0044】
再び図3において、本実施形態では、1グループ(或いは1ブロック)を構成する8列のデータ線6aを区別するために、右から順にそれぞれa、b、c、d、e、f、g、h系列と呼ぶ場合がある。詳細には、a系列とは1、9、17、・・・、1977列目のデータ線6aであり、b系列とは2、10、18、・・・、1978列目のデータ線6aであり、c系列とは3、11、19、・・・、1979列目のデータ線6aであり、d系列とは4、12、20、・・・、1980列目のデータ線6aであり、e系列とは5、13、21、・・・、1981列目のデータ線6aであり、f系列とは6、14、22、・・・、1982列目のデータ線6aであり、g系列とは7、15、23、・・・、1983列目のデータ線6aであり、h系列とは8、16、24、・・・、1984列目のデータ線6aである。
【0045】
走査線駆動回路104は、シフトレジスタを有しており、1、2、3、・・・、1088行目の走査線11aに、走査信号G1、G2、G3、・・・、G1088を供給する。詳細には、走査線駆動回路104は、1フレームの期間にわたって1、2、3、・・・、1088行目の走査線11aを順番に選択するとともに、選択した走査線への走査信号を選択電圧に相当するHレベルとし、それ以外の走査線への走査信号を非選択電圧に相当するLレベルとする。
【0046】
画像信号供給回路400は、素子基板10とは別体構成であり、表示動作の際には、画像信号端子102vを介して素子基板10と電気的に接続される。画像信号供給回路400は、走査線駆動回路104によって選択された走査線11aと、各グループに属する8列のデータ線6aのうち、デマルチプレクサ7によって選ばれるデータ線6aとに対応する画素電極9aに対し、当該画素電極9aが含まれる画素の階調に応じた電圧の画像信号を出力する。画像信号供給回路400から画像信号端子102vに供給された画像信号は、引回配線90(図1参照)に含まれる画像信号線300を介してデマルチプレクサ7へ供給される。本実施形態では、上述したように、データ線6aの列数は「1984」であり、これらが8列毎にグループ化されているので、画像信号供給回路400によって248系統にシリアル−パラレル変換された画像信号VID1、VID2、・・・、VID248が、248個の画像信号端子102v及び248本の画像信号線300を介して、データ線6aのグループの各々に供給される。
【0047】
尚、画像信号供給回路400は、画像信号VID1〜VID248を供給する画像信号供給期間に先立つ期間に、画像信号VID1〜VID248に代えて、データ線6aをプリチャージするためのプリチャージ信号PCSを、248本の画像信号線300に一括して出力してもよい。
【0048】
デマルチプレクサ7は、データ線6a毎に設けられた複数のトランジスタ71を含んで構成されている。尚、複数のトランジスタ71は、本発明に係る「複数のスイッチ」の一例である。トランジスタ71はnチャネル型であり、各ドレインはデータ線6aの一端に電気的に接続されている。同一グループに属するデータ線6aに対応する8個のトランジスタ71のソースは、当該グループに対応する画像信号線300と電気的に共通接続されている。
【0049】
即ち、m番目(但し、mは1以上248以下の整数)のグループは、a系列の(8m−7)列目、b系列の(8m−6)列目、c系列の(8m−5)列目、d系列の(8m−4)列目、e系列の(8m−3)列目、f系列の(8m−2)列目、g系列の(8m−1)列目及びh系列の(8m)列目のデータ線6aから構成されるので、これら8列のデータ線6aに対応するトランジスタ71のソースは電気的に共通接続されて、画像信号VID(m)が供給される。トランジスタ71のゲートには、8本の制御信号線SL(即ち、制御信号線SL1〜SL8)を介して制御信号Sel1〜Sel8が供給される。詳細には、(8m−7)列目のデータ線6aに対応するトランジスタ71のゲートには、制御信号線SL1を介して制御信号Sel1が供給され、同様に(8m−6)列目、(8m−5)列目、(8m−4)列目、(8m−3)列目、(8m−2)列目、(8m−1)列目及び(8m)列目のデータ線6aに対応するトランジスタ71のゲートには、引回配線90(図1参照)に含まれる制御信号線SL2、・・・、SL8の各々を介して制御信号Sel2、・・・、Sel8が供給される。制御信号Sel1〜Sel8は、図示しない外部回路としてのタイミング制御回路から外部回路接続端子102のうち制御信号端子102sを介して制御信号線SL1〜SL8に供給される。尚、制御信号Sel1〜Sel8は、本発明に係る「選択信号」の一例である。
【0050】
尚、図5から図10を参照して後に詳細に説明するが、8本の制御信号線SLの各々は、対応するトランジスタ71のゲート配線71Gに、引出配線H1〜H8を介して電気的に接続されている。
【0051】
次に、上述のように構成された液晶装置の動作について、図3を参照して説明する。
【0052】
図3において、走査線駆動回路104は、ある1フレーム(第nフレーム)の期間にわたって走査信号G1、G2、・・・、G1088を1水平期間(例えば4000ナノ秒)毎に順次排他的にHレベル(即ち、選択電圧)とする。
【0053】
1水平期間における画像信号供給期間では、制御信号線SL1〜SL8に対して制御信号Sel1〜Sel8が夫々入力されると共に、248本の画像信号線300には画像信号VID1〜VID248が夫々入力される。ここで、画像信号供給期間では、制御信号線SL1〜SL8の電位は、制御信号Sel1〜Sel8が供給されることで、この順番で排他的にHレベルとなり、この供給に合わせて画像信号供給回路400は、画像信号線300に画像信号VID1〜VID248を供給する。トランジスタ71は、制御信号Sel1〜Sel8のパルス幅によって規定される単位期間だけ、導通状態とされ、データ線6aに系列毎に画像信号VID1〜VID248が供給される。
【0054】
詳細には、画像信号供給回路400は、i行目の走査信号GiがHレベルとなる期間において、制御信号Sel1が供給されることで制御信号線SL1の電位がHレベルとなったとき、i行目の走査線11aとa系列のデータ線6aとの交差に対応する画素の階調に応じた電圧だけ対向電極電位LCCOMに対して高位または低位の画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248を、1、2、3、・・・、248番目のグループに対応させて一斉に出力する。この際、8本の制御信号線SLのうち制御信号線SL1だけがHレベルであるので、a系列のデータ線6aが選択される(即ち、a系列のデータ線6aに対応するトランジスタ71だけがオンする)結果、画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248は、それぞれa系列(1、9、17、・・・、1977列目)のデータ線6aに供給される。一方、走査信号GiがHレベルであると、i行目に位置する画素のすべてにおいて、画素スイッチング用TFT30がオン(導通)状態となるので、a系列のデータ線6aに供給された画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248は、それぞれi行1列、i行9列、i行17列、・・・、i行1977列の画素電極9aに印加されることになる。
【0055】
次に、画像信号供給回路400は、制御信号Sel2が供給されることで制御信号線SL2の電位がHレベルとなったとき、今度はi行目の走査線11aとb系列のデータ線6aとの交差に対応する画素の階調に応じた電圧の画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248を、1、2、3、・・・、248番目のグループに対応させて一斉に出力する。この際、制御信号線SL2だけがHレベルであるため、b系列のデータ線6aが選択される結果、画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248は、それぞれb系列(2、10、18、・・・、1978列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行2列、i行10列、i行18列、・・・、i行1978列の画素電極9aに印加されることになる。
【0056】
同様に、画像信号供給回路400は、i行目の走査信号GiがHレベルとなる期間において、制御信号Sel3が供給されることで制御信号線SL3の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとc系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel4が供給されることで制御信号線SL4の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとd系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel5が供給されることで制御信号線SL5の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとe系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel6が供給されることで制御信号線SL6の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとf系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel7が供給されることで制御信号線SL7の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとg系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、制御信号Sel8が供給されることで制御信号線SL8の電位がHレベルとなったときには、i行目の走査線11aとh系列のデータ線6aとの交差に対応する画素、の階調に応じた電圧の画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248を、それぞれ1、2、3、・・・、248番目のグループに対応させて一斉に出力する。これにより、i行目の各画素の階調に応じた画像信号VID1、VID2、VID3、・・・、VID248が、c系列(3、11、19、・・・、1979列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行3列、i行11列、i行19列、・・・、i行1979列の画素電極9aに印加され、引き続き、d系列(4、12、20、・・・、1980列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行4列、i行12列、i行20列、・・・、i行1980列の画素電極9aに印加され、引き続き、e系列(5、13、21、・・・、1981列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行5列、i行13列、i行21列、・・・、i行1981列の画素電極9aに印加され、引き続き、f系列(6、14、22、・・・、1982列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行6列、i行14列、i行22列、・・・、i行1982列の画素電極9aに印加され、引き続き、g系列(7、15、23、・・・、1983列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行7列、i行15列、i行23列、・・・、i行1983列の画素電極9aに印加され、引き続き、h系列(8、16、24、・・・、1984列目)のデータ線6aに供給されて、それぞれi行8列、i行16列、i行24列、・・・、i行1984列の画素電極9aに印加される。
【0057】
これにより、i行目の画素に対して、階調に応じた画像信号の電圧を書き込む動作が完了する。尚、画素電極9aに印加された電圧は、走査信号GiがLレベルになっても、液晶容量によって次の第(n+1)フレームの書き込みまで保持されることになる。
【0058】
次に、本実施形態に特徴的な、8本の制御信号線SLと複数のトランジスタ71のゲート配線71Gとを電気的に接続するための複数の引出配線Hの構成について、図3に加えて図5から図10を参照して説明する。
【0059】
図5は、本実施形態に係る液晶装置の複数の引出配線の構成を示す平面図である。図6は、図5のA−A’線での断面図である。図7は、図5のB−B’線での断面図である。図8は、図5のC−C’線での断面図である。図9は、図5のD−D’線での断面図である。図10は、図5のE−E’線での断面図である。
【0060】
尚、ここでは、画像信号VID(n)が供給される同一グループに属するデータ線6aに対応する8個のトランジスタ71のゲート配線71Gに夫々電気的に接続される8本の引出配線H(即ち、引出配線H1〜H8)の構成について主に説明する。つまり、画像信号VID(n)が供給される同一グループに属するデータ線6aに対応する引出配線H1〜H8について主に説明する。他のグループに属するデータ線6aに対応する引出配線H1〜H8も同様に構成されている。
【0061】
尚、図6から図10では、説明の便宜上、画像信号線よりも上層側に形成される例えば絶縁膜等の構成要素の図示を省略している。
【0062】
図5から図10において、8本の制御信号線SL(即ち、制御信号線SL1〜SL8)は、素子基板10上の積層構造における層間絶縁膜41上に、例えばアルミニウム膜等から形成されている。言い換えれば、8本の制御信号線SLは、データ線6aと同一膜から形成されている。
【0063】
図3及び図5に示すように、制御信号線SL1〜SL8の各々は、X方向(即ち、データ線6aの配列方向)に沿って延びる配線部分を有している。この配線部分から引出配線H(即ち、引出配線H1〜H8)がY方向に沿って延びるように形成されている。引出配線Hは、トランジスタ71のゲート配線71Gと制御信号線SLとの間を電気的に接続する。制御信号線SL1には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H1が電気的に接続され、制御信号線SL2には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H2が電気的に接続され、制御信号線SL3には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H3が電気的に接続され、制御信号線SL4には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H4が電気的に接続され、制御信号線SL5には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H5が電気的に接続され、制御信号線SL6には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H6が電気的に接続され、制御信号線SL7には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H7が電気的に接続され、制御信号線SL8には、データ線6aのグループ毎に、1本の引出配線H8が電気的に接続されている。尚、ゲート配線71Gは、本発明に係る「選択信号入力線」の一例である。
【0064】
図5から図10において、画像信号線300は、制御信号線SLよりも層間絶縁膜42を介して上層側に、例えばアルミニウム等の金属膜から形成されている。
【0065】
図3及び図5に示すように、画像信号線300は、Y方向に沿って延びており、制御信号線SL1〜SL8と互いに交差している。
【0066】
図5から図10において、本実施形態では特に、引出配線H1〜H8は、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有している。
【0067】
具体的には、引出配線H1〜H8のいずれも、制御信号線SLよりも層間絶縁膜42を介して上層側に、例えばアルミニウム等の金属膜から形成された第1引出配線層Haと、制御信号線SLよりも層間絶縁膜41を介して下層側(言い換えれば、素子基板10上に形成された下地絶縁膜12上)に、例えば導電性ポリシリコン膜等の半導体膜から形成された第2引出配線層Hbとからなる二重配線として形成され、且つ、引出配線H1〜H8は、配線長及び配線幅が揃えられている。尚、第1引出配線層Ha(即ち、第1引出配線層Ha1〜Ha8)は、画像信号線300と同一膜から形成されており、第2引出配線層Hb(即ち、第2引出配線層Hb1〜Hb8)は、図4を参照して上述した画素スイッチング用TFT30のゲート電極と同一膜から形成されている。引出配線H1は、第1引出配線層Ha1及び第2引出配線層Hb1からなる二重配線として形成され、引出配線H2は、第1引出配線層Ha2及び第2引出配線層Hb2からなる二重配線として形成され、引出配線H3は、第1引出配線層Ha3及び第2引出配線層Hb3からなる二重配線として形成され、引出配線H4は、第1引出配線層Ha4及び第2引出配線層Hb4からなる二重配線として形成され、引出配線H5は、第1引出配線層Ha5及び第2引出配線層Hb5からなる二重配線として形成され、引出配線H6は、第1引出配線層Ha6及び第2引出配線層Hb6からなる二重配線として形成され、引出配線H7は、第1引出配線層Ha7及び第2引出配線層Hb7からなる二重配線として形成され、引出配線H8は、第1引出配線層Ha8及び第2引出配線層Hb8からなる二重配線として形成されている。第1引出配線層Ha(即ち、第1引出配線層Ha1〜Ha8)は、層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホール81を介して、制御信号線SLに電気的に接続されており、第2引出配線層Hb(即ち、第2引出配線層Hb1〜Hb8)は、層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホール82を介して、制御信号線SLに電気的に接続されている。図5、図9及び図10に示すように、第1引出配線層Ha(即ち、第1引出配線層Ha1〜Ha8)は、層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホール83を介して、制御信号線SLと同一膜からなるゲート配線71Gに電気的に接続されている。第2引出配線層Hb(即ち、第2引出配線層Hb1〜Hb8)は、層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホール84を介して、制御信号線SLと同一膜からなるゲート配線71Gに電気的に接続されている。
【0068】
よって、本実施形態によれば、引出配線H1〜H8の配線抵抗及び寄生容量を揃えることができる。従って、複数の引出配線H間で、配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因して、画像表示領域10aにおける表示上でデータ線6aに沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。即ち、例えば、複数の引出配線H間で配線抵抗や寄生容量が互いに異なることに起因する、1つのブロックに含まれる8本のデータ線6a間で生じる表示ムラ(即ち、系列スジ)や、この表示ムラの画像表示領域10aにおける左右差(つまり、画像表示領域10aにおける複数のデータ線6aの配列の一端側と他端側との間で生じる表示ムラの差)を殆ど或いは完全に無くすことができる。更に、例えば、デマルチプレクサ7に含まれる複数のトランジスタ71に制御信号Sel1〜Sel8を供給する順番を入れ替えながらデータ線6aを駆動するローテーション駆動や画像信号に対してオフセット信号を加えるDCオフセットなどの信号補正処理による効果を好適に得ることができる。即ち、本実施形態によれば、1984本の引出配線Hの配線抵抗及び寄生容量が揃えられているので、信号補正処理を1984本のデータ線6aについて均一に施すことが可能となる。これらの結果、高品位な表示を行うことが可能となる。
【0069】
本実施形態では特に、複数の引出配線Hは、上述したように、第1引出配線層Ha及び第2引出配線層Hbとからなる二重配線として形成されているので、例えば仮に複数の引出配線Hが第1引出配線層Haのみから構成される場合と比較して、複数の引出配線Hの各々の配線抵抗を低くすることができる。従って、複数の引出配線H上における制御信号Sel1〜Sel8のひずみを低減できる。
【0070】
更に、図5から図10において、本実施形態では特に、第2引出配線層Hb(即ち、第2引出配線層Hb1〜Hb8)は、素子基板10上で平面的に見て、画像信号線300と部分的に重なるように、第1引出配線層Haよりも幅広に形成されている。言い換えれば、第2引出配線層Hbは、素子基板10上で平面的に見て、第1引出配線層Haと概ね重なるように形成されると共に、第1引出配線層Haと画像信号線300との間の隙間を覆うように、その配線幅が第1引出配線層Haよりも広く形成されている。よって、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域(具体的には、第1引出配線層Haと画像信号線300との間の隙間)からの光漏れを第2引出配線層Hbによって低減できる。従って、例えば、画像信号線300や引出配線Hなどの配線の配列パターンに応じた明暗パターンなど、周辺領域における光の反射や透過に応じた明暗パターンが表示画像の縁付近に映し出されてしまうことを低減或いは防止できる。つまり、周辺領域における光漏れに起因する表示画像への悪影響を低減或いは防止できる。
【0071】
加えて、図5、図9及び図10において、本実施形態では特に、トランジスタ71のゲート配線71Gは、上述したように、制御信号線SLと同一膜から形成されており、画像信号線300よりも層間絶縁膜41を介して下層側に配置されている。よって、ゲート配線71G及び画像信号線300間の距離を層間絶縁膜41の膜厚によって大きくすることができ、ゲート配線71G及び画像信号線300間の寄生容量を殆ど或いは実践上完全に無くすことができる。従って、ゲート配線71G及び画像信号線300間の寄生容量に起因して、画像表示領域10aにおける表示上にデータ線6aに沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係る電気光学装置によれば、例えば系列スジ等の表示上の不具合を低減でき、高品位な表示を行うことができる。
【0073】
ここで、本実施形態に係る引出配線の構成及び効果について、図11に示す比較例を参照して説明を加える。
【0074】
図11は、比較例における、図5と同趣旨の平面図である。
【0075】
図11に示す比較例は、引出配線H1〜H8が、画像信号線300と同一膜からなる配線(単一層の配線)として形成されている点、及び引出配線H1〜H8が、互いに異なる配線長を有している点で、上述した第1実施形態と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態と概ね同様に構成されている。
【0076】
図11に示す比較例では、引出配線H1〜H8が、互いに異なる配線長を有している(例えば、引出配線H1の配線長L1は、引出配線H8の配線長L8よりも長い)ので、引出配線H1〜H8の配線抵抗及び寄生容量は互いに異なる。よって、画像表示領域10aにおける表示画像上に、データ線6aに沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうおそれがある。
【0077】
しかるに本実施形態によれば、上述したように、引出配線H1〜H8は、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有しており、引出配線H1〜H8の配線抵抗及び寄生容量が揃えられているので、データ線6aに沿った縦線状の表示ムラが発生してしまうことを抑制或いは防止できる。
【0078】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0079】
先ず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて、図12を参照して説明する。ここに図12は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。
【0080】
図12に示すように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0081】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0082】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0083】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0084】
尚、図12を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0085】
また本発明は、上述の実施形態で説明した液晶装置以外にも、シリコン基板上に素子を形成する反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0086】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H’線での断面図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る液晶装置の画素部の等価回路図である。
【図5】第1実施形態に係る液晶装置の複数の引出配線の構成を示す平面図である。
【図6】図5のA−A’線での断面図である。
【図7】図5のB−B’線での断面図である。
【図8】図5のC−C’線での断面図である。
【図9】図5のD−D’線での断面図である。
【図10】図5のE−E’線での断面図である。
【図11】比較例における、図5と同趣旨の平面図である。
【図12】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0088】
6a…データ線、7…デマルチプレクサ、9a…画素電極、10…素子基板、10a…画像表示領域、20…対向基板、30…画素スイッチング用TFT、71…トランジスタ、71G…ゲート配線、81、82、83、84…コンタクトホール、300…画像信号線、H1〜H8…引出配線、Ha1〜Ha8…第1引出配線層、Hb1〜Hb8…第2引出配線層、SL1〜SL8…制御信号線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
複数の画素電極と、
該複数の画素電極が配列された画素領域に設けられると共に、M(但し、Mは2以上の自然数)本毎にブロック化された複数のデータ線と、
該複数のデータ線に夫々対応する複数のスイッチを含み、前記ブロック毎に1本のデータ線を、選択信号に応じて選択して、画像信号を前記選択したデータ線に出力する選択回路と、
前記複数のデータ線の配列方向に沿って延びる配線部分を夫々有しており、前記選択信号が夫々供給されるM本の選択信号供給線と、
前記複数のデータ線の配列方向に交わる方向に沿って夫々延びると共に、前記スイッチの選択信号入力線及び前記選択信号供給線の前記配線部分に夫々電気的に接続されており、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有する複数の引出配線と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の引出配線は、
前記選択信号供給線よりも第1層間絶縁膜を介して上層側に配置された第1引出配線層と、
前記選択信号供給線よりも第2層間絶縁膜を介して下層側に配置されると共に、前記第1引出配線層と互いに電気的に接続された第2引出配線層と
を夫々有することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記選択信号線よりも前記第1層間絶縁膜を介して上層側に配置され、前記引出配線に沿って延びる配線部分を夫々有し、前記選択回路へ前記画像信号を夫々供給する複数の画像信号線を備え、
前記第2引出配線層は、前記基板上で平面的に見て前記画像信号線と少なくとも部分的に重なるように、前記第1引出配線層よりも幅広に形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記選択信号入力線は、前記選択信号供給線と同一膜からなることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基板上に、
複数の画素電極と、
該複数の画素電極が配列された画素領域に設けられると共に、M(但し、Mは2以上の自然数)本毎にブロック化された複数のデータ線と、
該複数のデータ線に夫々対応する複数のスイッチを含み、前記ブロック毎に1本のデータ線を、選択信号に応じて選択して、画像信号を前記選択したデータ線に出力する選択回路と、
前記複数のデータ線の配列方向に沿って延びる配線部分を夫々有しており、前記選択信号が夫々供給されるM本の選択信号供給線と、
前記複数のデータ線の配列方向に交わる方向に沿って夫々延びると共に、前記スイッチの選択信号入力線及び前記選択信号供給線の前記配線部分に夫々電気的に接続されており、互いに同じ膜構成、配線長及び配線幅を有する複数の引出配線と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記複数の引出配線は、
前記選択信号供給線よりも第1層間絶縁膜を介して上層側に配置された第1引出配線層と、
前記選択信号供給線よりも第2層間絶縁膜を介して下層側に配置されると共に、前記第1引出配線層と互いに電気的に接続された第2引出配線層と
を夫々有することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記選択信号線よりも前記第1層間絶縁膜を介して上層側に配置され、前記引出配線に沿って延びる配線部分を夫々有し、前記選択回路へ前記画像信号を夫々供給する複数の画像信号線を備え、
前記第2引出配線層は、前記基板上で平面的に見て前記画像信号線と少なくとも部分的に重なるように、前記第1引出配線層よりも幅広に形成される
ことを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記選択信号入力線は、前記選択信号供給線と同一膜からなることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−134078(P2010−134078A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308372(P2008−308372)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]