説明

電気的にトリミングされた共振器本体を有するマイクロ電気機械式共振器及びジュール加熱によりこれを製造する方法

マイクロ電気機械式共振器は、比較的広い温度範囲にわたって共振器の周波数の温度係数(TCF)を低下させるため、約1×1018cm−3よりも大きなレベルまで、またさらに約1×1019cm−3よりも大きなレベルまでボロンがドープされた半導体領域を有する共振器本体を備えている。TCFにおけるさらなる改善は、共振器本体にボロンを縮退ドーピングすることと、共振器本体にボロンを利用したアルミニウム・ドーピングを行うこととのいずれかまたは両方によって達成されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[連邦政府後援の研究又は開発に関する記述]
本発明は、米国陸軍により与えられた契約番号W15P7T-06-C-P635により、政府の支援のもとでなされたものである。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】
[優先権主張に関する記述]
本出願は、2009年8月3日出願の米国特許出願第12/534,401号と、2009年9月30日出願の米国特許出願第12/570,623号と、2008年11月26日出願の米国特許仮出願第61/118,074号と、2009年6月12日出願の米国特許仮出願第61/186,477号とに基づく優先権を主張する。これらの開示内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0003】
[発明の分野]
本発明は集積回路装置に関し、より具体的には、マイクロ電気機械式装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
マイクロ電気機械式(MEM, micro-electromechanical)共振器は、フォーム・ファクタが小さく、従来の半導体製造技術を用いて容易に集積化が可能であるとともに、fQ積が大きい。高周波及び高いQ幅の拡張モード(high-Q width-extensional mode)のシリコン・バルク音響共振器(SiBAR)及びフィルム・バルク音波共振器(FBAR)は、適度な運動抵抗がある100MHz以上で10,000を超える大気Q値(atmospheric Q factor)を示す。このような共振器は、S. Pourkamaliらによる非特許文献1に記載されている。非特許文献1の開示内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0005】
シリコン・マイクロ電気機械式共振器の共振周波数は、共振構造の物理的寸法に依存する。これは、これらの共振器の共振周波数が、フォトリソグラフィと、エッチングと、フィルムの厚みとにおける変動に応じて、設計された目標値から逸脱する原因となる。例えば、G. Casinoviらによる非特許文献2に記載されているように、100MHz幅拡張モードSiBARの厚みにおける2μmの変動は、その中心周波数において0.5%の変動をもたらすことがあり、共振器の幅における±0.1μmのリソグラフィック変動は、周波数においてさらなる0.5%の変動の原因となる可能性がある。
【0006】
共振周波数におけるこれらの変動に対処するために、MEM共振器の共振周波数を最適化する技術が開発されている。共振器の共振周波数を低減させるこのような技術の1つは、共振構造体の表面に質量負荷(mass loading)層(例えば、金属層)を付着形成(deposit)することである。この技術は、C. Courcimaultらによる非特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】"Low-Impedance VHF and UHF Capacitive Silicon Bulk Acoustic Wave Resonators - Part I: Concept and Fabrication," IEEE Trans. On Electron Devices, Vol. 54, No. 8, pp. 2017-2023, August (2007)
【非特許文献2】"Analytical Modeling and Numerical Simulation of Capacitive Silicon Bulk Acoustic Resonators," IEEE Intl. Conf. on Micromechanical Systems (2009)
【非特許文献3】"High-Q Mechanical Tuning of MEMS Resonators Using a Metal Deposition - Annealing Technique," Transducers, pp. 875-878 (2005)
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態に基づくマイクロ電気機械式共振器は、金属と半導体との格子結合を含む、剛性が強化された少なくとも1つの多結晶半導体領域を有する電気的にトリミングされた共振器本体を備えている。これらの金属と半導体との格子結合は、例えば、金とシリコンとの格子結合またはアルミニウムとシリコンとの格子結合のいずれかまたは両方とすることができる。本発明のこれら幾つかの実施形態によれば、共振器本体の表面には金属による質量負荷が施されている。これは、間隔をおいた複数のメタル・アイランド(metal island)によりなされている。これらのメタル・アイランドは、共振器本体の長手軸に沿って並ばせることができる。剛性が強化された少なくとも1つの多結晶半導体領域の寸法は、金属による質量負荷が施されていない単結晶の共振器本体を有する同等の共振器と比較して、共振器本体の共振周波数を増加させるのに十分な大きさとすることができる。
【0009】
本発明の幾つかの別の実施形態においては、共振器本体が、凹部を有する基板に対して向かい合うように固定されている。この基板は、共振器本体の底面の下にある。また、第1及び第2の共振器電極が、共振器本体の上面に設けられている。これらの実施形態の一部においては、第1の共振器電極が、金属による質量負荷が施された表面の一部の両側に延びている少なくとも2つのフィンガーを備えている。
【0010】
本発明の別の実施形態は、バルク・マイクロ電気機械式共振器(bulk micro-electromechanical resonator)の所定の共振周波数を電気的にトリミングする方法を含んでいる。これらの方法は、少なくとも1つの質量負荷金属層を有する半導体共振器本体を、所定の時間にわたり抵抗加熱するステップを含みうる。この時間は、半導体共振器本体の少なくとも一部を、少なくとも1つの質量負荷金属層の金属を含む共晶合金(eutectic alloy)に変えるのに十分な長さである。この時間はまた、半導体共振器本体の少なくとも一部を、金属と半導体との格子結合を含む多結晶半導体領域に変えるのに十分な長さである。半導体共振器本体がその両側で周辺基板に固定される本発明のこれらの実施形態では、抵抗加熱するステップは、基板からの電流を半導体共振器本体に送るステップを含んでいる。特に、半導体共振器本体が一対の支持体により基板に固定されるこれらの実施形態では、抵抗加熱するステップは支持体及び共振器本体に直列に電流を流すステップを含みうる。
【0011】
本発明のさらに別の実施形態によれば、バルク・マイクロ電気機械式共振器を製造する方法は、共振器本体を半導体基板内の凹部の向かい側に形成するステップを含む。この共振器本体は、間隔をおいた複数のメタル・アイランドをその表面に有している。共振器本体は、半導体基板の凹部と空間を共有する密閉されたチャンバ内にパッケージ化される。このパッケージ化された共振器本体は、次に、共振器本体を抵抗加熱することによって電気的にトリミングされる。この加熱は十分な時間にわたって行われ、共振器本体の少なくとも一部がメタル・アイランドの金属を含む共晶合金に変わり、又はより好ましくは、共振器本体の少なくとも一部が金属と半導体との格子結合を含む多結晶半導体に変わる。これらの製造方法は、共振器本体の表面上に第1及び第2の共振器電極を形成するステップをさらに含みうる。一例では、第1及び第2の共振器電極の第1及び第2の部分は、それぞれ、間隔をおいた複数のメタル・アイランドの両側に延びているものとすることができる。さらに、共振器本体が、共振器本体の両側を半導体基板に固定する第1及び第2の支持体を有する場合には、抵抗加熱するステップはこれらの第1及び第2の支持体に電流を流すステップを含むことができる。
【0012】
本発明の実施形態によるマイクロ電気機械式共振器は、比較的広い温度範囲にわたって共振器の周波数の温度係数(TCF, temperature coefficient of frequency)を低下させるため、約1×1018cm−3よりも大きなレベルまで、またさらに、約1×1019cm−3よりも大きなレベルまでボロンがドープされた半導体領域を有する共振器本体を備えている。TCFにおけるさらなる改善は、共振器本体にボロンを縮退ドーピングすることによって達成することができる。
【0013】
本発明の別の実施形態では、共振器本体にボロンを用いて初期ドーピングを行って、共振器本体に対して比較的迅速で均一なアルミニウムの結合を助長して、TCFをさらに減少させる。特に、MEM共振器に対してボロンのドーピングのみを行うことは、比較的薄い共振器本体を有する共振器に限定されるが、ボロンを利用したアルミニウム・ドーピングは、比較的厚い共振器本体を有するMEM共振器においてTCFを実質的に減少させるために使用することができる。この共振器本体においては、共振周波数が発生している間に音波の伝搬が生まれる。本発明のこれらの幾つかの実施形態によれば、マイクロ電気機械式共振器は、剛性が強化され、ボロン及びアルミニウムがドープされた少なくとも1つのシリコン領域を有する電気的にトリミングされた共振器本体を備えうる。この共振器本体は、共振器本体の底面の下にある凹部を有する基板に向かい合うように固定されうる。MEM共振器が容量性共振器の場合には、共振器本体の両側に隣接する一対の電極を備えていてもよい。
【0014】
本発明のさらに別の態様によれば、マイクロ電気機械式共振器の共振周波数をトリミングする方法には、少なくとも1つの質量負荷金属層を有するボロンがドープされた半導体共振器本体を、半導体共振器本体の少なくとも一部を共晶合金に変えるのに十分な第1の時間にわたり加熱するステップが含まれる。この共晶合金は、少なくとも1つの質量負荷金属層から構成される。本発明の幾つかのこれらの実施形態では、半導体共振器本体の少なくとも一部にはボロンが縮退ドーピングされうる。この共振器本体を加熱するステップは、電流が流れるようにするために、共振器本体と周辺基板との間にある一対の支持体を用いて、それらに電流を流すことによって行うことができる。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態では、ボロンがドープされた共振器本体を半導体基板の凹部に向かい合うように形成し、共振器本体の表面にアルミニウム金属層を設けることによって、マイクロ電気機械式共振器を製造する方法が含まれる。ボロンがドープされた共振器本体は、次に、半導体基板の凹部と空間を共有する密閉されたチャンバ内にパッケージ化される。この、ボロンがドープされ、パッケージ化された共振器本体は、その後、(例えば、抵抗加熱するステップにより)十分な時間にわたって加熱され、ボロンがドープされた共振器本体の少なくとも一部が、アルミニウム金属層のアルミニウムを含む共晶合金に変わる。この加熱するステップは、基板内の凹部の上に共振器本体を固定するための第1及び第2の対向する支持体を通して電流を流すことにより行われる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1A〜図1Cは、製造後の電気的トリミングをジュール加熱により行う方法を示す、SiBARの斜視図である。
【図2】断面積が41.5μm×20μmであり、抵抗率が0.01Ω・cmであるパッケージ化された100MHzのSiBARについて、算出した共振器本体の温度と30mAでジュール加熱を行った時間との関係を示すグラフである。
【図3】図3A〜図3Dは、本発明の幾つかの実施形態に基づいてSiBARを作る方法を示す、中間物の斜視図である。
【図4】電流を30mAとするジュール加熱により電気的トリミングを行う前後の、図3Dに示したSiBARについて測定した共振周波数と、共振器本体の上面における質量負荷の割合との関係を示すグラフである。
【図5A】本発明の別の実施形態におけるフィルム・バルク音響共振器(FBAR)の斜視図である。
【図5B】本発明の別の実施形態におけるフィルム・バルク音響共振器(FBAR)の斜視図である。
【図6】本発明の実施形態におけるMEM共振器を製造する方法のフローチャートである。
【図7】ボロンを用いたスピン・オン・ドープ及びアニール(boron spin-on-dope/anneal processes)を6回または10回繰返した後の、厚みが5μmのSiBARに関する共振周波数と温度との関係を示すグラフである。
【図8】120mAの電流による加熱を10分間行い、500Åのアルミニウムを伴う熱移動前後において、厚みが20μmであり、ボロンがドープされているSiBARに関する共振周波数と温度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、本発明の好ましい実施形態を示す添付図面を参照して本発明についてより詳細に説明する。しかしながら、本発明は多くの異なった形態で具体化することができるものであり、本願に記載された実施形態に限定されると解釈してはならない。むしろ、この開示内容が詳細で完全なものとなり、そして発明の範囲が当業者に十分に伝わるように、これらの実施形態が提供される。同じ符号は全体を通して同じ要素を指し示す。
【0018】
要素又は層が別の要素又は層(及びその改良物)の「上に」存在する、または、それらに「接続される」もしくは「連結される」と表現した場合には、別の要素又は層の直ぐ上に存在するか、またはそれらに直接接続もしくは連結されてもよく、あるいは介在する要素又は層が存在してもよいことを理解されたい。これとは対照的に、要素が他の要素又は層(及びその改良物)の「直ぐ上に」存在する、または、それらに「直接接続される」もしくは「直接連結される」と表現した場合には、介在する要素又は層は存在しない。同じ符号は、全体を通じて同じ要素を指し示す。
【0019】
「〜の下に」、「下方に」、「下位の」、「〜の上に」、「より上の」などの空間に関する相対的な表現は、図面に示すように、1つの要素又は機構を別の要素又は機構との関係で説明する場合に、説明を容易にするために本明細書で使用する。空間に関する相対的な表現は、図面の中で示す向きに加えて、使用中又は動作中の装置の種々の向きを含むことが意図されていることを理解されたい。例えば、図面の中で装置が向きを変える場合には、他の要素又は機構の「下方」又は「下」にあるとして表現されていた要素は、他の要素又は機構の「上方」にあることになる。このため、「下方の」という用語は、上方及び下方の両方の向きを含みうる。あるいは、装置が90度回転した方向又は別の方向を向いていることもあり、本明細書で使用する空間に関する相対的な表現は、それに応じて解釈される。
【0020】
本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態を説明する目的にのみ使用されるものであり、本発明を限定することを意図するものではない。単数形の「a」、「an」、「the」は、本明細書で使用する場合は、文脈が明らかに別の意味を示す場合を除いて、複数形も含むものとする。「構成する」、「含む」、「有する」及びそれらの変形体などの用語は、本明細書で使用する場合には、特定された機構、ステップ、動作、部品、及び/又は構成要素の存在を意味するが、1つ以上の別の機構、ステップ、動作、部品、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除する意味ではないことをさらに理解されたい。これとは対照的に、「〜から成る」という用語は、本明細書で使用する場合には、記載された機構、ステップ、動作、部品、及び/又は構成要素を特定するとともに、別の機構、ステップ、動作、部品、及び/又は構成要素を排除する意味である。
【0021】
本発明の実施形態は、本発明の理想的な実施形態(及び中間構造体)の概略図の断面図及び斜視図を参照して説明される。このため、例えば、製造技術及び/又は許容値の結果を受けて、説明図の形状の変形例が予想される。従って、本発明の実施形態は、本明細書で説明される領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造する場合に結果として生じる形状の変形例を含むものとする。例えば、鋭角は、製造技術または許容値に基づいて、いくらか丸みを帯びていてもよい。
【0022】
他に特に指定がない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術的及び科学的な用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書の中で定義された用語は、該当する技術に関連した意味と一貫性があり、また特に本明細書で定義されない限り、理想的な意味又は過度に形式的な意味として解釈されないことをさらに理解されたい。
【0023】
本発明の幾つかの実施形態に基づいて、マイクロ電気機械式共振器(micro-electromechanical resonator)を製造後に電気的トリミングする方法が、図1A〜図1Cに示されている。特に、図1Aは、共振器本体14の上面に間隔をおいて配置された2行のメタル・アイランド12を有する、質量負荷が施された(mass-loaded)SiBAR10を示している。この共振器本体14は、対向している入力(IN)端子と出力(OUT)端子との間に吊されており、一対の狭い支持体18によって周辺基板16に取り付けられている。メタル・アイランド12(例えば、金又はアルミニウムのアイランド)は、共振器本体14の上面に蒸着及び後続のパターン形成により薄膜金属パターンとして形成することができる。この金属層は、厚みが約10Åから約1500Åの範囲となるように形成されうる。次に、このSiBAR10は、MEMパッケージング技術を用いて、密閉されたチャンバ内にパッケージ化されうる。これらのパッケージング技術の幾つかは、2009年1月9日出願の米国特許出願第12/351,020号の中で記載されている。この開示内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。SiBAR10がパッケージ化された後に、共振器本体14の共振周波数が、ジュール(例えば、抵抗)加熱を用いて電気的にトリミングされうる。特に、図1Bに示すように、SiBAR10の共振器本体14は、パッケージング後の電気的キャリブレーションの際に、十分大きな電流を通過させることによって加熱される。この電流は、図示しているように、共振器本体14の対向する端部の間に△Vの電位差を設けることにより生じうる。共振器本体14の比較的小さな断面積から生じる比較的高い電流密度により十分なジュール熱が発生し、メタル・アイランド12から共振器本体14のバルク内への金属(例えば、金、アルミニウム)の外部拡散が生じる。図1Cに示されているように、この外部拡散により、パッケージ化されたSiBAR10’においてメタル・アイランド12が金属膜残留物12’に変わる。金(Au)をアルミニウムなどの他の金属の代わりに使用する1つの利点は、シリコン及び金の二成分系(silicon-gold binary system)の比較的低い共融温度(例えば、360℃)において金がシリコンの中に拡散することである。この温度は、金(1064℃)及びシリコン(1414℃)といったそれぞれの融点よりも遙かに低い。
【0024】
所定の断面積(例えば、41.5μm×20μm)及び抵抗率(0.01Ω・cm)について、ジュール加熱を行う種々の時間に対して100MHzのSiBARの温度を計算するために、エネルギー保存に基づいた熱電モデル(electro-thermal model)を使用することができる。このモデルを用いると、このようなサイズのシリコン共振器本体は、600mA以上の電流を用いて5分未満で共融温度まで加熱することができる。しかしながら、電流の最大値は、その2つの狭い支持体の比較的小さな断面積により制限される。これらの支持体は、図1A〜図1Cにおいて支持体18として示されている。これらの支持体は、音響損失を減少させ、かつ高いQ値を実現するためにできるだけ狭く設計されるが、このような狭い寸法は支持体領域の近くで電流密度が極めて大きく増加する原因となり、さらには支持体が融解する可能性もある。実験に基づき、試験対象のSiBARの性能に悪影響を及ぼさずに、妥当な時間内で要求された(金を拡散するための)ジュール加熱を発生させるために電流を30mAとする。
【0025】
図2は、断面積が41.5μm×20μmであり、抵抗率が0.01Ω・cmであるパッケージ化された100MHzのSiBARに対して計算された共振器本体の温度(℃)と、ジュール加熱時間との関係を示すグラフである。図示されているように、約1時間のジュール加熱により、SiBARは、シリコン及び金の共晶(eutectic)の形成が容易となる約363℃の温度にまで加熱される。薄い金アイランドの金は、共振器本体のバルクの中に拡散して、原子量で約19%のシリコンを有する共晶合金が形成される。金がシリコン中に拡散するにつれて、金原子により準安定の金ケイ化物が形成される。ここで、金はシリコン格子内の間隙に移動するため、Si−Si結合を破壊し、その原子の寸法が比較的大きいため空所ができる。さらに加熱を続けると過飽和が発生し、続いて金ケイ化物が、中間の空所及びAu−Si結合を有するより安定したポリシリコンへと分解される。これは、置き換えられたSi−Si結合よりも強い。その結果、金の拡散は、冷却されると共振器本体の剛性を高める。金の拡散に応じて共振器本体の格子に中にできた空所により、その密度も減少する。この密度の減少と剛性の増加とが相俟って、共振器本体の音響速度が増加する。このことは、質量負荷及びジュール加熱の程度に基づいて入念に制御される共振周波数をより高くすることに相当する。
【0026】
図3A〜図3Dは、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、SiBAR70を形成する方法を示す、中間構造体の斜視図である。斜視図の理解を容易にするために、これらの図では、共振器本体40の一端の支持体38とVパッド52とを省いている。図3Aにおいて、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板が、単結晶シリコン基板30と、基板30上の埋込み電気的絶縁層32と、この埋込み電気的絶縁層32上のシリコン・アクティブ層34とを具備するものとして示されている。このシリコン・アクティブ層34は、例えば厚みが約20μmであり、埋込み電気的絶縁層32は厚みが約2μmの二酸化ケイ素層とすることができる。次に、シリコン・アクティブ層34は、その中にラップアラウンド溝36を画定するために十分な時間にわたって選択的にエッチングされる。これらの溝36は、下側の埋込み層32の一部を露出させ、また長方形の共振器本体40を定めるものである。この共振器本体40は、一対の狭い支持体38により周囲のアクティブ層34に取り付けられて(すなわち、固定されて)いる。この深いエッチングのステップ(例えば、DRIE)は、(図示しない)酸化マスクを用いて行われる。本明細書で説明しているように、この深いエッチングのステップは、共振器本体を定めるために用いることができる。この共振器本体の幅は41.5μm、長さは415μmであり、支持体38の幅は3μm、長さは6μmである。
【0027】
さらに図3Aにおいて、熱酸化のステップが、溝形成のステップに続いて行われる。この酸化ステップでは、シリコン・アクティブ層34の上面と溝36内のシリコン・アクティブ層34の側面と、共振器本体40の上面及び側面とに熱酸化物層42が形成される。この熱酸化物層42の厚みは、約1000Åとすることができる。この熱酸化物層42は、SiBARの容量性ギャップを定める。次に溝36には、ドープされたポリシリコン電極延長部分44が充填される。これらの延長部分44は、低圧化学蒸着(LPCVD)の技術を用いて形成されうる。この化学蒸着に続いてエッチ・バック・ステップが行われて、蒸着されたポリシリコン層の露出した部分が熱酸化層42の上面から取り除かれる。
【0028】
ここで図3Bを参照すると、熱酸化物層42がパッド酸化物パターン42’となるように選択的にパターン化されている。このパッド酸化物パターン42’は、図3Dに示しているように、分極電圧(V)電極またはパッド52の形状を定めるために使用される。次に、ドープされた第2のLPCVDポリシリコン層が蒸着され、図3Cに示しているように、入力及び出力電極54a及び54bを定めるためにパターン化される。このパターン化ステップは、シリコン・アクティブ層34の一部を選択的に取り除くために継続され、これにより埋込み絶縁層32の上部の入力及び出力電極とV電極が電気的に絶縁される。ここで図3Dを参照すると、金のブランケット層が、リフト・オフ処理により共振器本体40に蒸着(evaporate)し、金アイランド60としてパターン化される。次に、パッド酸化物パターン42’の露出部分と埋込み絶縁層32とがフッ化水素酸(HF)を用いて取り除かれて、共振器本体40がシリコン基板30の反対側において解放され、吊り下げられ、そして入力及び出力電極54a及び54b(及びポリシリコン電極延長部分)と共振器本体40との間に容量性ギャップが露出する。埋込み絶縁層32を通してエッチングするためにフッ化水素酸を用いることにより、図示されているように、入力及び出力電極54a及び54bの下側に延びる埋込み絶縁パターンも結果として形成される。図3Dに示したこの共振器70は、次に、従来のパッケージング技術を用いて、又は前述した米国特許出願第12/351,020号に開示されている技術を用いてパッケージ化することができる。
【0029】
図4は、30mAの電流によるジュール加熱を用いて電気的トリミングを行う前後における、図3Dに示したSiBAR70について測定した共振周波数と共振器本体の頂面の質量負荷の割合との関係を示すグラフである。図4では、「ジュール加熱前」と示された曲線は、厚みが150nmの金の種々のパターン密度を用いた質量負荷により、共振周波数が下向きにシフトしていることを示している。曲線上の質量負荷100%における点は、共振周波数が996.2kHz減少したことを示している。さらに図4は、30mAで1時間のジュール加熱を行うと、質量負荷40%において(その上に比較的小さな金のアイランドを18個有する)SiBARを240kHz増加させることと、質量負荷80%の(6個の比較的大きな金のアイランドを有する)SiBARを17kHz増加させることとを示している。このことは、SiBARの局所的な加熱により、比較的小さな金のアイランドが比較的大きなアイランドよりも容易に拡散することを示唆している。図4は、所定のレベルの質量負荷に関して、共振周波数の増加の割合がジュール加熱の時間の増加とともに減少することも示している。この減少は、共晶温度に達するジュール加熱の最初の1時間の間に金の拡散が主に発生するという事実と一致している。さらなる加熱により、周波数の変化がより小さな、更に安定した共振構造体が得られる。したがって、4時間のジュール加熱により、質量負荷40%及び80%のSiBARが、それぞれわずか430kHz及び35kHz増加する。4時間にわたる430kHzの変化は、毎分約2kHzのトリミング速度に相当する。これにより、極めて正確でかつ制御された電気的トリミングが可能になる。
【0030】
質量負荷40%のSiBARは、99.6MHzの共振周波数(すなわち、100MHzから400kHz減少した周波数)となるように設計される。しかし、SiBARの製造法の変形例や蒸着される金の厚みの変動により、共振周波数が99.46MHzにまで減少する可能性があることが図4から分かる。この製造時の共振周波数99.46MHzを設計された99.6MHzのレベルに増加させるために必要な電気的トリミングの時間は、図4から35分と算出することができる。図4は、質量負荷40%のSiBARが、より長く(例えば、1時間超)ジュール加熱を行った、負荷が施されていない同等のSiBARの共振周波数を上回る可能性があることも示している。この結果は、拡散がもたらした空所により、より強いAu−Si結合と密度が低い充填とを伴う構造体の形成が、結晶シリコンよりも大きな音響速度を提供することを示唆している。
【0031】
図5A及び図5Bは、本発明の別の実施形態におけるMEM共振器を示している。具体的には、図5A及び図5Bは、アンカーまたは支持体によって支持基板100に吊り下げられた共振器本体102を備えたフィルム・バルク音響共振器(FBAR)110及び110’の斜視図である。これらの共振器本体102は、少なくとも1つの圧電層と、この圧電層上の入力電極及び出力電極(106a及び106b、あるいは106a’及び106b’)とを含む複数の種々の材料の層を備えている。特に、共振器本体102及び電極は、2009年2月26日出願の米国特許出願第12/393,566号と、2009年1月30日出願の12/363,142号とにおいてより詳細に開示されているように形成することができる。これらの開示内容は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0032】
前述したように、MEM共振器110及び110’は、共振器本体102の上面に直接、間隔をおいて配置された複数のメタル・アイランド(例えば、金アイランド)104をさらに備えている。図5Aに示しているように、これらのメタル・アイランド104は、共振器本体102を周辺基板100に取り付けている、対向した支持体の間に延びている共振器本体102の縦軸に沿って配置することができる。図5Aでは、メタル・アイランド104は、第1の電極106aに隣接するフィンガー(finger)の間に延びるように配置されている。図5Bでは、メタル・アイランド104は、図示しているように、第1の電極106a’及び第2の電極106b’のフィンガーの間に延びるように配置されている。電極との関係で、メタル・アイランド104の他の構成もとりうる。
【0033】
図6は、図3A〜図3D及び図5A〜図5Bに示した実施形態を含む、本発明の幾つかの実施形態に基づいて、MEM共振器を製造する方法120を示すフローチャートである。ステップ122に示しているように、この方法120は、複数のメタル・アイランドをMEM共振器の共振器本体上に形成するステップを含んでいる。本発明のこれらの幾つかの実施形態では、共振器本体を半導体基板内の凹部と向かい合うように形成し、間隔をおいた複数のメタル・アイランド(例えば、金アイランド)を共振器本体の表面に形成することができる。次に、MEM共振器は、試験及び電気的トリミングの前にステップ124にてパッケージ化される。本発明のこれらの幾つかの実施形態では、共振器本体は、半導体基板において凹部と空間を共有する密閉されたチャンバ内にパッケージ化することができる。パッケージ化した後に、共振器本体は、ステップ126に示すように、メタル・アイランドをジュール加熱することによって電気的にトリミングされる。前述したように、共振器本体は十分な時間にわたって加熱され、共振器本体の少なくとも一部がメタル・アイランドの金属を含む共晶合金に変わる。
【0034】
ボロン・ドーピング(例えば、縮退ボロン・ドーピング(degenerate boron doping))及びボロンを利用したアルミニウム・ドーピングを用いて、MEM共振器の本体内の永久歪み(permanent strain)を増加させることにより、本発明の前述の実施形態をさらに向上させることができる。いかなる理論にも縛られることはないが、ボロン・ドーパントは、シリコンよりも半径が小さく、シリコン共振器本体内のシリコン格子に拡散すると、隣接する4個のシリコン原子のうちの3個と強力に結合する。このような原子配列により、シリコン格子内に極めて強力な剪断歪み(shear strain)が生まれ、これは縮退価電子帯の比較的大きな永久分離(permanent separation)及び対応するホールのより高いエネルギー帯への移行をもたらす可能性がある。この比較的大きな永久分離は、共振器本体のシリコン格子内に音波が伝搬すること及び/又は共振器の動作温度が高くなることにより引き起こされる任意のさらなる帯域分割が、MEM共振器の周波数の温度係数(temperature coefficient of frequency:TCF)に比較的微小な影響しか与えないことを示唆している。さらに、ボロン・ドーピングの縮退レベルでは、共振周波数の動作中に共振器本体内で発生した音波は価電子帯のk空間(k-space)の外形(contour)からシールドすることができるため、シリコンのヤング率(E)の変化に基づいてTCFの要素が補償(compensate)される。
【0035】
ボロン・ドーピングの利点を検証するために、100nmの容量性エア・ギャップを有するSiBARを、初期抵抗率が〜10−2Ω・cmでTCFが−29ppm/℃である、ボロンがドープされた厚みが10μmのシリコン・ウェーハに対してHARPSS処理を用いて製造した。このHARPSS処理は、S. Pourkamaliらによる「"Low-Impedance VHF and UHF Capacitive SiBARs - Part II: Measurement and Characterization," IEEE Trans, on Electron Devices, Vol. 54, No. 8, pp. 2024-2030, Aug. 2007」においてより詳細に記載されている。シリコン内のボロン・ドーパント密度は、従来の固体ボロン・ソースを用いて反復してドーピングを行うことにより、〜7×1019cm−3(すなわち、〜10−3Ω・cm)まで増加した。さらに、ボロン密度〜2×1020cm−3(すなわち、<10−4Ω・cm)でボロン・ドーピングの縮退レベルを実現するには、下記文献に開示されているように、液体スピン・オン・ボロン・ドーパント・ソース(liquid spin-on boron dopant source)を用いた反復的なドーピングが必要となる。この文献は、C. lliescuらによる「"Analysis of Highly Doping With Boron From Spin-on Diffusing Source," Surface & Coatings Technology, Vol. 198, No. 1 -3, pp. 309-311, Aug. 2005」である。
【0036】
初期抵抗率が〜10−2Ω・cmで厚さが10μmのシリコン・ウェーハに対し、固体ボロン・ドープ及びアニール(solid boron dope/anneal recipe)を5回繰り返すと、抵抗率が〜10−3Ω・cmまで減少した。このとき、対応するTCFとして−18.9ppm/℃が測定された。スピン・オン・ドーパント(spin-on dopant、SOD)ソースを用いて(シリコン・ウェーハの初期抵抗率は〜10−3Ω・cm)、液体ボロン・ドーピングを6回繰り返すことにより、初期抵抗率が約10−4Ω・cmとなり、TCFが約−10.5ppm/℃に低下したが、ドーパントがもたらしたヤング率の増加により共振周波数が増加した。ボロン・ドーピングに応じたシリコンのヤング率の変化は、N. Onoらによる「"Measurement of Young's Modulus of Silicon Single Crystal at High Temperature and its Dependency on Boron Concentration Using Flexural Vibration Method," Japanese Journal of Applies Physics, Vol. 39, pp. 368-371, Feb. 2000」において詳細に記載されている。
【0037】
シリコンにおいて実現できる大量にドープされたボロン層の最大の厚さは約7〜8μmに限られるため、シリコン共振器本体の厚さが約8ミクロンよりも大きいSiBARは、とりうる中で最も小さなTCF値を含まない不均一なボロン・ドーピング・プロフィールとなる可能性がある。それにもかかわらず、より薄いが(例えば、厚さが5μm)その他は同等な、抵抗率が10−4Ω・cmのSiBARは、TCFが約−10.5ppm/℃よりも小さいと予想される。例えば、図7に示しているように、厚さが5μmのSiBARに対し、液体ボロン・ドーピング及びアニールのサイクル(liquid boron doping/anneal cycles)を繰り返すことにより、TCFを約−1.43ppm/℃まで減少させることができる。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態によれば、例えば図1A〜図1Cを参照して本明細書で説明した技術を使用して、Q値を著しく劣化させることなく、シリコン内のアルミニウム熱拡散の均一性及び速度を高めるためにボロン・ドーピングを使用することができる。実際に、ボロンを利用したアルミニウム・ドーピングは、TCFを減少させるための縮退ボロン・ドーピングに代わるより高速な方法である。図1A〜図1C及び図8に示したように、ボロンを利用したアルミニウム・ドーピングの利点は、初期の抵抗率が〜10−3Ω・cmであり、ボロンがドープされた厚さ20μmのSiBARに対し、厚さ500Åのアルミニウムの層(例えば、単一のアイランド又は複数のアイランド)を蒸着させることによって得られる。続いて、120mAの電流を10分間にわたりSiBARに流すことによって熱拡散が行われると、TCFは−22.13ppm/℃から−7.93ppm/℃まで減少する。同様の結果は、縮退ボロン・ドープがなされたSiBARを用いても得られる。
【0039】
図面及び明細書において、本発明の典型的な好ましい実施形態を開示してきた。特定の用語を使用しているが、それらの用語は一般的な説明のためにのみ使用されており、限定する目的で使用したものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲により定まる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的にトリミングされた共振器本体を有するマイクロ電気機械式共振器であって、前記共振器本体が、剛性が強化された少なくとも1つの半導体領域を有し、前記半導体領域が金属と半導体との格子結合を含むものである、マイクロ電気機械式共振器。
【請求項2】
前記共振器本体の表面に金属による質量負荷が施されている、請求項1に記載の共振器。
【請求項3】
前記剛性が強化された少なくとも1つの半導体領域の寸法が、金属による質量負荷が施されていない単結晶の共振器本体を有する同等の共振器と比較して、共振器本体の共振周波数が増加するのに十分な大きさである、請求項2に記載の共振器。
【請求項4】
前記共振器本体が両側で基板に固定されている、請求項1に記載の共振器。
【請求項5】
前記共振器本体が、前記共振器本体の底面の下側に凹部を有する基板に対して両側で固定されている、請求項1に記載の共振器。
【請求項6】
前記金属と半導体との格子結合が、金とシリコンとの格子結合またはアルミニウムとシリコンとの格子結合のいずれかまたは両方である、請求項1に記載の共振器。
【請求項7】
前記マイクロ電気機械式共振器が、前記共振器本体の両側に一対の電極を有する容量性共振器である、請求項1に記載の共振器。
【請求項8】
前記表面上に少なくとも第1の共振器電極をさらに備えている請求項2に記載の共振器。
【請求項9】
前記第1の共振器電極が、金属による質量負荷が施された前記表面の一部の両側に延びている少なくとも2つのフィンガーを備えている、請求項8に記載の共振器。
【請求項10】
前記表面上の質量負荷が、間隔をおいた複数のメタル・アイランドによって施されている、請求項2に記載の共振器。
【請求項11】
前記共振器本体の表面には、その長手軸に沿って間隔をおいて並んだ複数のメタル・アイランドによる質量負荷が施されている、請求項4に記載の共振器。
【請求項12】
前記共振器本体の長手軸は、その両側で支持されるように位置合わせがなされている、請求項11に記載の共振器。
【請求項13】
少なくとも1つの質量負荷金属層を有する半導体共振器本体を、前記半導体共振器本体の少なくとも一部が前記少なくとも1つの質量負荷金属層の金属を含む共晶合金に変わるのに十分な第1の時間にわたり加熱するステップを含む、マイクロ電気機械式共振器の共振周波数をトリミングする方法。
【請求項14】
前記加熱するステップが、前記半導体共振器本体の少なくとも一部を、金属と半導体との格子結合を含む多結晶の半導体領域に変えるために前記半導体共振器本体を加熱するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記半導体共振器本体がその両側で基板に固定されており、前記加熱するステップが前記基板から前記半導体共振器本体に電流を流すステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記半導体共振器本体が一対の支持体によって前記基板に固定されており、前記抵抗加熱するステップが前記支持体を通して電流を流すステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
間隔をおいた複数のメタル・アイランドを表面に有する、半導体基板の凹部と向かい合う共振器本体を形成するステップと、
前記半導体基板の凹部と空間を共有する密閉されたチャンバ内に前記共振器本体をパッケージ化するステップと、
前記共振器本体の少なくとも一部を前記メタル・アイランドの金属を含む共晶合金に変えるために十分な時間にわたって前記パッケージ化された共振器本体を抵抗加熱するステップと
を含む、マイクロ電気機械式共振器を製造する方法。
【請求項18】
前記メタル・アイランドが金及びアルミニウムからなるグループから選択された金属を含み、前記抵抗加熱するステップが、前記共振器本体の少なくとも一部を金属と半導体との格子結合を含む多結晶半導体領域に変えるために十分な時間にわたって前記共振器本体を加熱するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記形成するステップが、前記共振器本体の表面に第1及び第2の共振器電極を形成するステップを含み、前記第1及び第2の共振器電極の第1及び第2の部分が、それぞれ、前記間隔をおいた複数のメタル・アイランドの両側に延びている、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記形成するステップが、前記共振器本体の両側を前記半導体基板に固定するための第1及び第2の支持体を有する共振器本体を形成するステップを含み、前記抵抗加熱するステップが前記第1及び第2の支持体を通して電流を流すステップを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記形成するステップが、前記共振器本体の両側を前記半導体基板に固定するための第1及び第2の支持体を有する共振器本体を形成するステップを含み、前記抵抗加熱するステップが前記第1及び第2の支持体を通して電流を流すステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
約1×1018cm−3より大きなレベルまでボロンがドープされた半導体領域を有する共振器本体を備えたマイクロ電気機械式共振器。
【請求項23】
前記半導体領域の少なくとも一部には、約1×1019cm−3より大きなレベルまでボロンがドープされている、請求項22に記載の共振器。
【請求項24】
前記半導体領域が格子歪みシリコン領域であり、前記格子歪みシリコン領域の少なくとも一部にはボロンが縮退ドープされている、請求項22に記載の共振器。
【請求項25】
前記半導体領域が格子歪みシリコン領域であり、前記格子歪みシリコン領域の少なくとも一部にはアルミニウムがさらにドープされている、請求項22に記載の共振器。
【請求項26】
前記半導体領域が格子歪みシリコン領域であり、前記格子歪みシリコン領域の少なくとも一部にはアルミニウムがさらにドープされている、請求項23に記載の共振器。
【請求項27】
前記半導体領域が格子歪みシリコン領域であり、前記格子歪みシリコン領域の少なくとも一部にはアルミニウムがさらにドープされている、請求項24に記載の共振器。
【請求項28】
剛性が強化され、ボロン及びアルミニウムがドープされた少なくとも1つのシリコン領域を有する電気的にトリミングされた共振器本体を具備するマイクロ電気機械式共振器。
【請求項29】
前記共振器本体が両側で基板に固定されている、請求項28に記載の共振器。
【請求項30】
前記共振器本体が、前記共振器本体の底面の下側に凹部を有する基板に対して両側で固定されている、請求項28に記載の共振器。
【請求項31】
前記マイクロ電気機械式共振器が、前記共振器本体の両側に隣接する一対の電極を有する容量性共振器である、請求項28に記載の共振器。
【請求項32】
少なくとも1つの質量負荷金属層を有する、ボロンがドープされた半導体共振器本体を第1の時間にわたり加熱するステップを含み、前記第1の時間は、前記半導体共振器本体の少なくとも一部を、前記少なくとも1つの質量負荷金属層の金属を含む共晶合金に変えるのに十分な長さである、マイクロ電気機械式共振器の共振周波数をトリミングする方法。
【請求項33】
前記半導体共振器本体の少なくとも一部にはボロンが縮退ドープされている、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記半導体共振器本体が一対の支持体により両側で基板に固定されており、前記加熱するステップが前記一対の支持体に電流を流すステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
半導体基板内の凹部と向かい合うように、アルミニウム金属層を表面に有するボロンがドープされた共振器本体を形成するステップと、
前記半導体基板の凹部と空間を共有する密閉されたチャンバ内にボロンがドープされた前記共振器本体をパッケージ化するステップと、
ボロンがドープされた前記共振器本体の少なくとも一部を、前記アルミニウム金属層のアルミニウムを含む共晶合金に変えるために十分な時間にわたって、ボロンがドープされ、パッケージ化された前記共振器本体を抵抗加熱するステップと
を含む、マイクロ電気機械式共振器を製造する方法。
【請求項36】
前記形成するステップが、ボロンがドープされた前記共振器本体の両側を前記半導体基板に固定するための第1及び第2の支持体を有するボロンがドープされた共振器本体を形成するステップを含み、前記抵抗加熱するステップが前記第1及び第2の支持体に電流を流すステップを含む、請求項35に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−510234(P2012−510234A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538647(P2011−538647)
【出願日】平成21年11月23日(2009.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/065489
【国際公開番号】WO2010/062847
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(510079053)ジョージア・テック・リサーチ・コーポレイション (4)
【Fターム(参考)】