説明

電気的モジュールをカード体の中に埋め込むための接着フィルムの使用方法

本発明は、カード体中でチップモジュールを接合するための接着フィルムの使用に関する。前記接着フィルムは相互に化学的に異なる少なくとも2つの接着層(i)および(ii)を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的モジュール(チップ)をカード体中に接合するための接着フィルムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的モジュールをカード体中に埋め込むために、先行技術は多数の接着フィルムまたは接合方法を既に開示してきた。このような埋め込みの目的は、電話カード、クレジットカード、駐車場機カード、保険カードなどを製造することである。対応する接着接合方法の例は、例えば(特許文献1)、(特許文献2)、および(特許文献3)に見出される。
【0003】
接着接合の分野においては、接着剤系に課せられる要求に関して目標の継続的な引き上げが続いている。例えば、この接着剤は、ポリカーボネートに、ABS、PVC、およびPETに、そして電気的モジュールにもよく接着することが要求される。ここでは接合は一般にエポキシ材料またはポリイミドに対するものである。かってシアノアクリレートが液体接着剤として使用されたが、これはカード体と電気的チップの両方の最適濡れをもたらす利点を有する。しかしながら、この技術は操作が極めて遅いのですたれつつある。カード体中の空洞からの溶剤の蒸発が遅く;計量ノズルが休止時間に干上がる結果として詰まり、計量性も劣化し;そしてこの液体接着剤が硬化に時間を必要とした。結果として、接着接合の品質は決定的に劣るものであった。
【0004】
感圧性ホットメルト接着剤はこの液体接着剤より著しく優れていることが判明する。それにも拘わらず、極めて厳格な要求がこの接合方法に課せられるので、適切な化合物の選択は極めて限られる。接合されるべき極めて異なる材料により一つの制約が課せられる。PC(ポリカーボネート)、PVC(ポリビニルクロリド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー)、エポキシ材料、およびポリイミドの極めて異なる極性の結果として、すべての材料に対して等しく良好に接着する単一のポリマーを見出すことは不可能である。更には、末端の顧客の要求はますます厳しくなりつつある。例えば、平面でないとカードが読み取り不能となるので、電気的モジュールのカード体との平面度は重要な基準である。さもないと変形が起こるのでこのことは埋め込み温度に上限を課す。
【0005】
更なる基準は、電気的モジュールが破壊せずに取り出し可能であってはならないという銀行セクターからの要求である。結果として、接着剤が中間で裂けないように、そしていずれの側(カード体および電気的モジュール)に対する接着性も極めて高いように、接着剤の内部凝集力は極めて高くなければならない。埋め込みに引き続いて、カードはねじり試験および曲げ試験にかけられるので、この接着剤は同時に極めて高い可撓性を呈することも要求される。このカード材料が好ましくは最初に破壊し、その後にカード体および電気的モジュールに対する接着が破壊するようにすべきである。一般に、エッジの持ち上がりすらも許容されない。これらのカードは、以降の使用において高温および低温の両方に耐えることが要求され、ある場合には洗浄にも耐えなければならないので、更なる基準は温度変動と水分の影響である。結果として、この接着剤は、低温で脆化してはならず、高温で液化してはならず、そして低吸水傾向を有しなければならない。必要とされるカード数が増加する結果として、更なる要求基準は加工速度である。埋め込み操作が1秒以内に完結可能であるために、この接着剤は極めて急速に軟化あるいは融解しなければならない。
【特許文献1】EP 0 842 995
【特許文献2】EP 1 078 965
【特許文献3】DE 199 48 560
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術を考慮して、本発明は、電気的モジュールをカード体の中に埋め込むことを改善し、そこでは上記に示した基準に適合し、そして異なるカード体と電気的モジュールへの特に極めて高いレベルの接着性を得るという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、2つの層中で設計され、一方の層が異なるカード体に対して極めて良好な接着性を有し、そして他方の層が電気的モジュールに対して極めて良好な接着性を示す接着フィルムを使用することにより、この目的が達成される。この点に関して、図1を参照のこと。この図は
1電気的モジュール(チップ)
2カード体
3接着層(i)
4接着層(ii)
を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
接着層(i)および(ii)は同一の、あるいは異なる厚さを有し得る。一つの好ましい態様においては、この接着剤組み立て体は、全体として10と125μmの間の層厚を有する。更なる好ましい態様においては、接着層(i)は5と90μmの間を示し、接着層(ii)は同様に5と90μmの間を示す。
【0009】
本発明の更なる態様においては、2つの接着層(i)および(ii)の間に更なる(「第3」の)層(これらの層は下記では「中間層」とも呼ばれる)、特にプライマー、バリアおよび/またはキャリア層が存在し、これらの機能を1つ以上の更なる層中に合体することも可能である。この点に関して、図2と比較すること。ここでは、識別番号は図1のものと対応し、そして5は中間層(プライマー/バリア層/キャリア)である
一つの好ましい態様においては、この中間層の厚さは0.5と100μmの間である。接着層(i)および(ii)とこの更なる層は化学組成の点で異なる。
接着層(i)
電気的モジュールの接着に位置合わせされている接着層(i)は、エポキシ材料およびポリイミドに対して良好な接着性を呈することが必要とされる。
【0010】
一つの好ましい変形においては、融解によってエポキシあるいはポリイミド表面の効果的な濡れをもたらす熱可塑性材料がこの目的に使用される。ここではポリエステル、ポリアミド、コポリアミド、およびコポリエステルのポリマーが特に好んで使用される。しかしながら、本発明の目的に好適なのは、例えば、ポリウレタン、エチレン−ビニルアセテート、合成ゴム、例えばスチレン−イソプレンジブロックおよびトリブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエンジブロックおよびトリブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエンジブロックおよびトリブロックコポリマー(SEBS)、ポリビニルアセテート、ポリイミド、ポリエーテル、コポリアミド、コポリエステル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリ(メタ)アクリレートである。
【0011】
それゆえ、層(i)は、温度暴露および随意の圧力の下で粘着性となり、そして接着および冷却後、固化の結果としてポリイミドあるいはエポキシ材料に対して高接着強度を発現する接着剤を含んでなる。埋め込み操作に続いて、電気的モジュールが破壊せずにもはや除去不能となるほどこの接着強度が高いことが特に好ましい。埋め込み温度に依って、これらの熱活性化可能な接着剤は異なる静的ガラス転移温度Tまたは融点Tm,Aを有する。一つの極めて好ましい範囲においては、このTまたはTm,Aは+55℃と150℃の間の範囲に在る。
【0012】
この技術的な接着性と活性化範囲を最適化するために、好ましくはこれらの樹脂と接着剤の間の反応を引き起こさずに、接着強度増強樹脂または反応性樹脂を添加することが可能である。
【0013】
使用可能な添加用の粘着性付与樹脂は既知であり、文献に記載されている粘着性付与剤樹脂である。挙げてもよい代表的なものは、ピネン樹脂、インデン樹脂、およびロジン、これらの不均化、水素化、重合、およびエステル化された誘導体および塩、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペン−フェノール系樹脂を、そしてC、C、および他の炭化水素樹脂も含む。得られる接着剤の性質を要求に従って調整するために、これらの樹脂および更なる樹脂のいかなる所望の組み合わせ物も使用され得る。一般的に言って、対応する熱可塑性樹脂と相溶性(可溶性)であるすべての樹脂を使用することが可能である;特に、すべての脂肪族、芳香族、およびアルキル芳香族炭化水素樹脂、単一モノマーをベースとする炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、官能性炭化水素樹脂、および天然樹脂を引用してもよい。「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」by Donatas Satas(van Nostrand,1989)」における知識の現状の説明が明らかに注目される。
【0014】
層(i)に対する接着剤として、エラストマーと少なくとも1つの反応性樹脂から構成される熱活性化可能な接着剤を使用することが更に可能である。この場合に使用されるエラストマーは、好ましくはゴム、ポリクロロイソプレン、ポリアクリレート、ニトリルゴム、エポキシ化ニトリルゴムなどである。好適な反応性樹脂の例は、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート官能基を有する樹脂、または上記に挙げた樹脂の混合物を含む。この反応性の系と組み合わせて、多数の他の樹脂、充填剤材料、触媒、老化防止剤なども添加することが可能である。
【0015】
一つの極めて好ましい群はエポキシ樹脂を含んでなる。このエポキシ樹脂の分子量(重量平均M)はポリマー系エポキシ樹脂に対し、100g/モルから最大10,000g/モルまで変わる。
【0016】
このエポキシ樹脂は、例えばビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応生成物、フェノールとホルムアルデヒド(ノボラック樹脂)およびエピクロロヒドリン、グリシジルエステルとの反応生成物、エピクロロヒドリンとp−アミノフェノールとの反応生成物を含んでなる。
【0017】
好ましい市販品の例は、Ciba Geigyのアラルダイト(登録商標)6010、CY−281(登録商標)、ECN(登録商標)1273、ECN(登録商標)1280、MY720、RD−2、Dow ChemicalのDER(登録商標)331、DER(登録商標)732、DER(登録商標)736、DEN(登録商標)432、DEN(登録商標)438、DEN(登録商標)485、Shell ChemicalのEpon(登録商標)812、825、826、828、830、834、836、871、872、1001、1004、1031など、および同様にShell ChemicalのHPT(登録商標)1071およびHPT(登録商標)1079である。
【0018】
市販品の脂肪族エポキシ樹脂の例は、ビニルシクロヘキサンジオキシド、例えばUnion Carbide CorpのERL−4206、ERL−4221、ERL4201、ERL−4289またはERL−0400である。
【0019】
使用可能なノボラック樹脂の例は、CelaneseのEpi−Rez(登録商標)5132、Sumitomo ChemicalのESCN−001、Ciba GeigyのCY−281、Dow ChemicalのDEN(登録商標)431、DEN(登録商標)438、およびQuatrex5010、Nippon KayakuのRE305S、Dai Nippon Ink ChemistryのEpiclon(登録商標)N673またはShell ChemicalのEpicote(登録商標)152を含む。
【0020】
更には、反応性樹脂として、メラミン樹脂、例えばCytecのCymel(登録商標)327および323を使用することも可能である。
【0021】
更には、反応性樹脂として、テルペン−フェノール系樹脂、例えばArizona ChemicalのNIREZ(登録商標)2019を使用することも可能である。
【0022】
更には、反応性樹脂として、フェノール系樹脂、例えばToto KaseiのYP50、Union Carbide Corp.のPKHC、およびShowa Union Gosei Corp.のBKR2620を使用することも可能である。
【0023】
更には、反応性樹脂として、ポリイソシアネート、例えばNippon Polyurethane Ind.のCoronate(登録商標)L、BayerのDesmodur(登録商標)N3300またはMondur(登録商標)489を使用することも可能である。
【0024】
更なる好ましい変形においては、ポリ(メタ)アクリレートをベースとする接着剤が使用される。少なくとも次のモノマーから形成されるポリマーから構成されるポリマーを使用することが極めて好ましい。
a1)重量で70%〜100%のアクリルエステルおよび/またはメタクリルエステルおよび/またはこれらの遊離酸であって、式
CH=CH(R)(COOR
(式中、R=Hおよび/またはCHであり、そしてR=Hおよび/または1〜30個の炭素原子を有するアルキル鎖)
を有するもの。
【0025】
更には、このポリマーの製造のためには、次のモノマーが場合によっては添加される。
a2)重量で30%までの官能基を有するオレフィン型不飽和モノマー。
【0026】
一つの極めて好ましい変形においては、使用されるモノマーa1)は、1〜14個の炭素原子からなるアルキル基を有するアクリルおよびメタクリルエステルを含んでなるアクリルモノマーである。特定の例は、この列挙により制約されるのは望まないが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートなどのこれらの分岐異性体である。a1)の下に同様に少量で添加され得る更なる類の使用される化合物は、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、およびイソボルニルメタクリレートである。
【0027】
一つの有利なバリエーションにおいては、次の一般式に対応するアクリルモノマーがa2)のために使用される。
【0028】
【化1】

【0029】
(式中、R=Hおよび/またはCHであり、そして基−ORはこの感圧性接着剤の以降のUV架橋を助け、一つの特に好ましい変形においては、例えばH供与体効果を有する官能基を表すか、あるいは含む)
成分a2)の特に好ましい例は、この列挙が結論的なものではないが、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、イタコン酸、アクリルアミド、およびグリセリジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、tert−ブチルフェニルアクリレート、tert−ブチルフェニルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、グリセリルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−(ブトキシメチル)メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(エトキシメチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニル酢酸、テトラヒドロフルフリルアクリレート、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、およびジメチルアクリル酸である。
【0030】
更なる好ましい変形においては、芳香核が好ましくはC〜C18単位から構成され、ヘテロ原子を含むことも可能である芳香族ビニル化合物が化合物a2)に使用される。特に好ましい例は、この列挙が結論的なものではないが、スチレン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、メチルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン、および4−ビニル安息香酸である。
【0031】
この重合に対しては、得られるポリマーが熱活性化可能な接着剤として使用可能なように、特に得られるポリマーが「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」by Donatas Satas(van Nostrand,1989)」に従う接着性を有するように、このモノマーは選択される。これらの用途に対しては、有利なこととして、得られるポリマーの静的ガラス転移温度は30℃以上である。上記の説明によるTg,A≧30℃のポリマーガラス転移温度Tg,Aを得るためには、Fox式(E1)
【0032】
【数1】

【0033】
(T.G.Fox、Bull.Am.Phys.Soc.1(1956)(123)を参照)により、所望のTg,A値がこのポリマーに対して生じるように、このモノマーは極めて好ましく選択され、そして有利なこととしてモノマー混合物の定量的な組成は選択される。
【0034】
この式においては、nは使用されるモノマーの通し番号を、wはそれぞれのモノマーnの重量分率(重量%)を、そしてTg,nはそれぞれのモノマーnのホモポリマーのそれぞれのガラス転移温度(K)を表す。
【0035】
層(i)の熱活性化可能なポリマーを固定するためには、被覆の前にポリマーをコロナまたははプラズマにより処理するならば有利であり得る。大気圧プラズマ処理に好適な装置の例はPlasmatreatからの装置である。更には、操作および層(i)を層(ii)に固定するために、例えばプライマーにより化学固定が行われるならば有利であり得る。
【0036】
本発明の感圧性接着剤テープの更なる好ましい態様においては、30℃以上で150℃未満の軟化範囲を有し、同じように冷却の過程で接着後に再び固化する層(i)の意味でポリオレフィン、特にポリ−α−オレフィンが使用される。ポリオレフィンの活性化可能な感圧性接着剤は、一つの好ましい態様においては、+65℃〜140℃の静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを有する。これらのポリマーの接着強度は狙いを付けた添加物添加により増大可能である。このように、例えば、ポリイミンまたはポリビニルアセテートコポリマーは接着強度増進添加剤として使用可能である。
【0037】
所望の静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを得るためには、Fox式(E1)を適用する場合所望の温度が生じるように、使用されるモノマーと、その量も本発明においては好ましくは選択される。
【0038】
分子量(重量平均M)のみならずガラス転移温度を制御するためのモノマーあるいはコモノマー組成を変えることができる。低い静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを設定するために、中程度あるいは低い分子量(重量平均M)を有するポリマーが使用される。低および高分子量のポリマーを一緒に混合することも可能である。特に好ましい変形においては、ポリエチレン、ポリプロペン、ポリブテン、ポリヘキセンまたはポリエチレン、ポリプロペン、ポリブテンまたはポリヘキセンのコポリマーが使用される。
【0039】
種々の熱活性化可能なポリ−α−オレフィンがDegussaから商品名Vestoplast(登録商標)で市販されている。プロペンリッチのグレードが商品名Vestoplast(登録商標)703、704、708、750、751、792、828、888あるいは891で市販されている。これらは99〜162℃の融点Tm,Aを有する。更には、ブテンリッチのグレードも商品名Vestoplast(登録商標)308、408、508、520、および608で市販されている。これらは84〜157℃の融点Tm,Aを有する。
【0040】
熱活性化可能な感圧性接着剤の更なる例は、米国特許第3,326,741号、第3,639,500号、第4,404,246号、第4,452,955号、第4,545,843号、第4,880,683号および第5,593,759号に述べられている。これらの特許においては、同様に更なる温度活性化可能な感圧性接着剤が言及されている。
接着剤(ii)
接着層(ii)は化学組成において層(i)と異なるように選択される。接着層(ii)は、PCおよび/またはABSおよび/またはPETおよび/またはPVCに対して極めて良好な接着性を有する。一つの極めて好ましい変形においては、破壊せずに電気的モジュールをカード体から除去することができないほどこれら材料に対する接着強度が高いことが特に好ましい。埋め込み温度に依って、接着層(ii)に対する熱活性化可能な接着剤は異なる静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを有する。一つの極めて好ましい範囲においては、このTg,AまたはTm,Aは+55℃と150℃の間の範囲に在る。
【0041】
一つの好ましい変形においては、融解によってカード表面の有効な濡れをもたらす熱可塑性材料がこの目的に使用される。本発明では、ポリウレタンおよび/または合成ゴム、例えばスチレン−イソプレンジブロックおよびトリブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエンジブロックおよびトリブロックコポリマー(SBS)、およびスチレン−エチレン−ブタジエンジブロックおよびトリブロックコポリマー(SEBS)のポリマーが特に好んで使用される。
【0042】
加えて、本発明のよれば、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアセテート、ポリビニルアセテート、ポリイミド、ポリエーテル、コポリアミド、コポリエステル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンおよび/またはポリ(メタ)アクリレートを使用することも可能である。
【0043】
技術的な接着性と活性化範囲を最適化するために、接着強度増大樹脂または反応性樹脂を添加することが可能である。
【0044】
使用可能な添加用の粘着性付与樹脂は例外なく既知であり、文献に記載されている粘着性付与剤樹脂である。挙げてもよい代表的なものは、ピネン樹脂、インデン樹脂、およびロジン、これらの不均化、水素化、重合、およびエステル化された誘導体および塩、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペン−フェノール系樹脂を、そしてC、C、および他の炭化水素樹脂も含む。得られる接着剤の性質を要求に従って調整するために、これらの樹脂および更なる樹脂のいかなる所望の組み合わせ物も使用され得る。一般的に言って、対応する熱可塑性樹脂と相溶性(可溶性)であるすべての樹脂を使用することが可能である;特に、すべての脂肪族、芳香族、およびアルキル芳香族炭化水素樹脂、単一モノマーをベースとする炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、官能性炭化水素樹脂、および天然樹脂を引用してもよい。「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」by Donatas Satas(van Nostrand,1989)」における知識の現状の説明が明らかに注目される。
【0045】
更なる好ましい態様においては、エラストマーと少なくとも1つの反応性樹脂から構成される熱活性化可能な接着剤が使用される。この場合に使用されるエラストマーは、好ましくはゴム、ポリクロロイソプレン、ポリアクリレート、ニトリルゴム、エポキシ化ニトリルゴムなどである。好適な反応性樹脂の例は、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート官能基を有する樹脂、または前記の樹脂の混合物を含む。この反応性の系と組み合わせて、多数の他の樹脂、充填剤材料、触媒、老化防止剤なども添加することが可能である。
【0046】
一つの極めて好ましい群はエポキシ樹脂を含んでなる。このエポキシ樹脂の分子量(重量平均M)はポリマー系エポキシ樹脂に対し、100g/モルから最大10,000g/モルまで変わる。
【0047】
このエポキシ樹脂は、例えばビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応生成物、フェノールとホルムアルデヒド(ノボラック樹脂)およびエピクロロヒドリン、グリシジルエステルとの反応生成物、エピクロロヒドリンとp−アミノフェノールとの反応生成物を含んでなる。
【0048】
好ましい市販品の例は、Ciba Geigyのアラルダイト(登録商標)6010、CY−281(登録商標)、ECN(登録商標)1273、ECN(登録商標)1280、MY720、RD−2、DowChemicalのDER(登録商標)331、DER(登録商標)732、DER(登録商標)736、DEN(登録商標)432、DEN(登録商標)438、DEN(登録商標)485、Shell ChemicalのEpon(登録商標)812、825、826、828、830、834、836、871、872、1001、1004、1031など、および同様にShell ChemicalのHPT(登録商標)1071およびHPT(登録商標)1079である。
【0049】
市販品の脂肪族エポキシ樹脂の例は、ビニルシクロヘキサンジオキシド、例えばUnion Carbide CorpのERL−4206、ERL−4221、ERL4201、ERL−4289またはERL−0400である。
【0050】
使用可能なノボラック樹脂の例は、CelaneseのEpi−Rez(登録商標)5132、Sumitomo ChemicalのESCN−001、Ciba GeigyのCY−281、Dow ChemicalのDEN(登録商標)431、DEN(登録商標)438、およびQuatrex5010、Nippon KayakuのRE305S、Dai Nippon Ink ChemistryのEpiclon(登録商標)N673またはShell ChemicalのEpicote(登録商標)152を含む。
【0051】
更には、反応性樹脂として、メラミン樹脂、例えばCytecのCymel(登録商標)327および323を使用することも可能である。
【0052】
更には、反応性樹脂として、テルペン−フェノール系樹脂、例えばArizona ChemicalのNIREZ(登録商標)2019を使用することも可能である。
【0053】
更には、反応性樹脂として、フェノール系樹脂、例えばToto KaseiのYP50、Union Carbide Corp.のPKHC、およびShowa Union Gosei Corp.のBKR2620を使用することも可能である。
【0054】
更には、反応性樹脂として、ポリイソシアネート、例えばNippon Polyurethane Ind.のCoronate(登録商標)L、BayerのDesmodur(登録商標)N3300またはMondur(登録商標)489を使用することも可能である。
【0055】
この2つの成分の間の反応を加速するために、架橋剤と促進剤をこの混合物の中に添加することも可能である。
【0056】
好適な促進剤の例は、Shikoku Chem.Corp.から2M7、2E4MN、2PZ−CN、2PZ−CNS、P0505、およびL07Nとして、あるいはAir ProductsからCurezol2MZとして市販されているイミダゾールを含む。
【0057】
更には、加速のためにアミン、特に第三級アミンを使用することも可能である。
【0058】
更なる好ましい変形においては、ポリ(メタ)アクリレートをベースとする接着剤が使用される。少なくとも次のモノマーから形成されるポリマーから構成されるポリマーを使用することが極めて好ましい。
a3)重量で70%〜100%のアクリルエステルおよび/またはメタクリルエステルおよび/またはこれらの遊離酸であって、式
CH=CH(R)(COOR
(式中、R=Hおよび/またはCHであり、そしてR=Hおよび/または1〜30個の炭素原子を有するアルキル鎖)
を有するもの。
【0059】
更には、このポリマーの製造のためには、次のモノマーが場合によっては添加される。
a4)重量で30%までの官能基を有するオレフィン型不飽和モノマー。
【0060】
一つの極めて好ましい変形においては、使用されるモノマーa3)は、1〜14個の炭素原子からなるアルキル基を有するアクリルおよびメタクリルエステルを含んでなるアクリルモノマーである。特定の例は、この列挙により制約されるのは望まないが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートなどのこれらの分岐異性体である。a3)の下に同様に少量で添加され得る更なる類の使用される化合物は、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、およびイソボルニルメタクリレートである。
【0061】
一つの有利なバリエーションにおいては、次の一般式に対応するアクリルモノマーがa4)のために使用される。
【0062】
【化2】

【0063】
(式中、R=Hおよび/またはCHであり、そして基−ORはこの感圧性接着剤の以降のUV架橋を助け、一つの特に好ましい変形においては、例えばH供与体効果を有する官能基を表すか、あるいは含む)
成分a4)の特に好ましい例は、この列挙が結論的なものではないが、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、イタコン酸、アクリルアミド、およびグリセリジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、tert−ブチルフェニルアクリレート、tert−ブチルフェニルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、グリセリルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−(ブトキシ−メチル)メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(エトキシ−メチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニル酢酸、テトラヒドロフルフリルアクリレート、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、およびジメチルアクリル酸である。
【0064】
更なる好ましい変形においては、芳香核が好ましくはC〜C18単位から構成され、ヘテロ原子を含むことも可能である芳香族ビニル化合物が化合物a4)に使用される。特に好ましい例は、この列挙が結論的なものではないが、スチレン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、メチルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン、および4−ビニル安息香酸である。
【0065】
この重合に対しては、得られるポリマーが熱活性化可能な接着剤として使用可能なように、特に得られるポリマーが「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」by Donatas Satas(van Nostrand,1989)」に従う接着性を有するように、このモノマーは選択される。これらの用途に対しては、有利なこととして、得られるポリマーの静的ガラス転移温度は30℃以上である。上記の説明によるTg,A≧30℃のポリマーガラス転移温度Tg,Aを得るためには、Fox式(E1)
【0066】
【数2】

【0067】
(T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.1(1956)(123)を参照)により、所望のTg,A値がこのポリマーに対して生じるように、このモノマーは極めて好ましく選択され、そして有利なこととしてモノマー混合物の定量的な組成は選択される。
【0068】
この式においては、nは使用されるモノマーの通し番号を、wはそれぞれのモノマーnの重量分率(重量%)を、そしてTg,nはそれぞれのモノマーnのホモポリマーのそれぞれのガラス転移温度(K)を表す。
【0069】
本発明の感圧性接着剤テープの更なる好ましい態様においては、30℃以上で150℃未満の軟化範囲を有し、同じように冷却の過程で接着後更に固化する層(i)の意味でポリオレフィン、特にポリ−α−オレフィンが使用される。このポリオレフィンで活性化可能な感圧性接着剤は、一つの好ましい態様においては、+65℃〜140℃の静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを有する。これらのポリマーの接着強度は狙いを付けた添加物の添加により増大可能である。このように、例えば、ポリイミンまたはポリビニルアセテートコポリマーは接着強度増進添加剤として使用可能である。
【0070】
所望の静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを得るためには、Fox式(E1)を適用する場合所望の温度が生じるように、使用されるモノマーと、その量も本発明においては好ましくは選択される。
【0071】
分子量(重量平均M)のみならずガラス転移温度を制御するためのモノマーあるいはコモノマー組成を変えることができる。低い静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを設定するために、中程度あるいは低い分子量(重量平均M)を有するポリマーが使用される。低および高分子量のポリマーを一緒に混合することも可能である。特に好ましい変形においては、ポリエチレン、ポリプロペン、ポリブテン、ポリヘキセンまたはポリエチレン、ポリプロペン、ポリブテンまたはポリヘキセンのコポリマーが使用される。種々の熱活性化可能なポリ−α−オレフィンがDegussaから商品名Vestoplast(登録商標)で市販されている。プロペンリッチのグレードが商品名Vestoplast(登録商標)703、704、708、750、751、792、828、888あるいは891で提供されている。これらは99〜162℃の融点Tm,Aを有する。更には、ブテンリッチのグレードも商品名Vestoplast(登録商標)308、408、508、520、および608で市販されている。これらは84〜157℃の融点Tm,Aを有する。
【0072】
熱活性化可能な感圧性接着剤の更なる例は、米国特許第3,326,741号、第3,639,500号、第4,404,246号、第4,452,955号、第4,404,345号、第4,545,843号、第4,880,683号および第5,593,759号に述べられている。これらの特許においては、同様に更なる温度活性化可能な感圧性接着剤が言及されている。
中間層(プライマー層/バリア層/キャリア)
層(i)および(ii)に加えて、1つ以上の更なる層(「中間層」)、特にプライマー、バリアおよび/またはキャリア層が存在することがあり得、これらの機能を1つ以上のこの更なる層中にまとめることも可能である。中間層を設けることが特に有利である。
【0073】
この中間層は接着層(i)および(ii)と良好な接着をしなければならない。この目的に感圧性接着剤材料または熱可塑性材料を使用することが可能である。更に好ましい変形においてはプライマーが使用される。
【0074】
好適なプライマーは当業者に既知で、市販されているすべてのプライマーである。このように、一つの好ましい変形においては、サラン、アジリジンまたはイソシアネートが相互の組み合わせとしても使用される。反応性プライマーとして、二官能性あるいは多官能性のアジリジンまたはイソシアネートを使用することが好ましく、そしてこのプライマーは撹拌によりマトリックス中に導入可能である。
【0075】
プライマーとして好適であるポリマー系またはプレポリマー系化合物として、カルボン酸基を有する化合物を更に使用することが可能である。好適なポリマーの例は、ポリウレタン、ポリウレタン/アクリレートコポリマー、ポリアルキレン、ポリアルキルジエン、ポリアクリレートエステル、ポリアルキルエステル、ポリビニルエステル、ポリビニルとアクリル酸またはメタクリル酸とのコポリマーまたはターポリマーを含む。コポリマーの例は、ポリエチレン/アクリル酸コポリマー、ポリエチレン/メタクリル酸コポリマー、ポリエチレン/メタクリル酸/アクリル酸ターポリマー、メチルメタクリレート/アクリル酸コポリマー、ポリブタジエン/メタクリル酸コポリマー、ビニルクロリド/アクリルコポリマー、およびこれらの混合物である。好ましいポリマーおよびコポリマーは、ポリウレタン、ポリエチレン/アクリル酸コポリマー、およびポリエチレン/メタクリル酸コポリマーである。この性質はカルボン酸基の数により変動可能である。
【0076】
加えて、このプライマーは反応性基を有し得る。対応するブレンドに対する架橋化合物は好ましくは多官能性基を有する。多官能性とは、この化合物が2と等しいか、あるいはこれより大きい官能基を有するということを意味する。
【0077】
好適な架橋剤は、例えば多官能性アジリジン、多官能性カルボジイミド、多官能性エポキシ樹脂およびメラミン樹脂を含んでなる。好ましい架橋剤は、多官能性アジリジン、例えばトリメチルプロパントリス(B−(N−アジリジニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールトリス(B−(アジリジニル)プロピオネート、および2−メチル−2−エチル−2−((3−(2−メチル−1−アジリジニル)−1−オキソプロポキシ)メチル)−1,3−プロパンジイルエステルである。
【0078】
別法として、ヒドロキシル基またはアミン基を有するプライマーを使用することも可能である。
【0079】
更には、固化の目的には、バインダーを使用することも可能である。液体バインダーは水または有機溶剤中の溶液で、あるいは分散液として塗布可能である。接着固化に対しては、主として、フェノール系あるいはメラミン樹脂分散液の形の熱硬化性樹脂、天然ゴムまたは合成ゴムの分散液としてのエラストマー、または、通常、熱可塑性樹脂、例えばアクリレート、ビニルアセテート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン系、PVCなどの、そしてこれらのコポリマーの分散液の結合性分散液が選択される。ある場合にはカチオン性分散液も有利であり得るが、通常、対象となる分散液はアニオン的あるいは非イオン的に安定化された分散液である。
【0080】
キャリア材料として、例えば中間層に対しては、この文脈で当業者には慣用され、なじみのある材料、例えばフィルム(ポリエステル、PET、PE、PP、BOPP、PVC、ポリイミド、ポリメタクリレート、PEN、PVB、PVF、ポリアミド)、不織布、フォーム、織布、および織ったフィルムを使用することが可能である。
【0081】
熱可塑性材料に対しては、この列挙が完璧さを主張するものでないが、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン−ビニルアセテート、合成ゴム、例えばスチレン−イソプレンジブロックおよびトリブロックコポリマー(SIS)、スチレン−ブタジエンジブロックおよびトリブロックコポリマー(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエンジブロックおよびトリブロックコポリマー(SEBS)、ポリビニルアセテート、ポリイミド、ポリエーテル、コポリアミド、コポリエステル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリ(メタ)アクリレートのポリマーを使用することが特に好ましい。
【0082】
中間層(プライマー/バリア層/キャリア)は、温度暴露および随意の圧力の下で粘着性となり、そして接着および冷却後、固化の結果として接着層(i)および(ii)に対して高接着強度を発現する接着剤を更に含んでなる。
【0083】
これらの熱活性化可能な接着剤は異なる静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを有する。一つの極めて好ましい圧力範囲においては、このTg,AまたはTm,Aは+25℃と250℃の間の範囲に在る。
【0084】
技術的な接着性と活性化範囲を最適化するために、接着強度増大樹脂または反応性樹脂を添加することが可能である。
【0085】
使用可能な添加用の粘着性付与樹脂は既知であり、文献に記載されている粘着性付与剤樹脂である。挙げてもよい代表的なものは、ピネン樹脂、インデン樹脂、およびロジン、これらの不均化、水素化、重合、およびエステル化された誘導体および塩、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペン−フェノール系樹脂を、そしてC、C、および他の炭化水素樹脂も含む。得られる接着剤の性質を要求に従って調整するために、これらの樹脂および更なる樹脂のいかなる所望の組み合わせ物も使用され得る。一般的に言って、対応する熱可塑性樹脂と相溶性(可溶性)であるすべての樹脂を使用することが可能である;特に、すべての脂肪族、芳香族、およびアルキル芳香族炭化水素樹脂、単一モノマーをベースとする炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、官能性炭化水素樹脂、および天然樹脂を引用してもよい。「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」by Donatas Satas(van Nostrand,1989)」における知識の現状の説明が明らかに注目される。
【0086】
更なる好ましい態様においては、エラストマーと少なくとも1つの反応性樹脂から構成される中間層として熱活性化可能な接着剤が使用される。この場合に使用されるエラストマーは、好ましくはゴム、ポリクロロイソプレン、ポリアクリレート、ニトリルゴム、エポキシ化ニトリルゴムなどである。好適な反応性樹脂の例は、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート官能基を有する樹脂、または前記の樹脂の混合物を含む。この反応性の系と組み合わせて、多数の他の樹脂、充填剤材料、触媒、老化防止剤なども添加することが可能である。
【0087】
一つの極めて好ましい群はエポキシ樹脂を含んでなる。このエポキシ樹脂の分子量(重量平均M)はポリマー系エポキシ樹脂に対し、100g/モルから最大10,000g/モルまで変わる。
【0088】
このエポキシ樹脂は、例えばビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応生成物、フェノールとホルムアルデヒド(ノボラック樹脂)およびエピクロロヒドリン、グリシジルエステルとの反応生成物、エピクロロヒドリンとp−アミノフェノールとの反応生成物を含んでなる。
【0089】
好ましい市販品の例は、Ciba Geigyのアラルダイト(登録商標)6010、CY−281(登録商標)、ECN(登録商標)1273、ECN(登録商標)1280、MY720、RD−2、Dow ChemicalのDER(登録商標)331、DER(登録商標)732、DER(登録商標)736、DEN(登録商標)432、DEN(登録商標)438、DEN(登録商標)485、Shell ChemicalのEpon(登録商標)812、825、826、828、830、834、836、871、872、1001、1004、1031など、および同様にShell ChemicalのHPT(登録商標)1071およびHPT(登録商標)1079である。
【0090】
市販品の脂肪族エポキシ樹脂の例は、ビニルシクロヘキサンジオキシド、例えばUnion Carbide CorpのERL−4206、ERL−4221、ERL4201、ERL−4289またはERL−0400である。
【0091】
使用可能なノボラック樹脂の例は、CelaneseのEpi−Rez(登録商標)5132、Sumitomo ChemicalのESCN−001、Ciba GeigyのCY−281、Dow ChemicalのDEN(登録商標)431、DEN(登録商標)438、およびQuatrex5010、Nippon KayakuのRE305S、Dai Nippon Ink ChemistryのEpiclon(登録商標)N673またはShell ChemicalのEpicote(登録商標)152を含む。
【0092】
更には、反応性樹脂として、例えばメラミン樹脂、例えばCytecのCymel(登録商標)327および323を使用することも可能である。
【0093】
更には、反応性樹脂として、例えば、テルペン−フェノール系樹脂、例えばArizona ChemicalのNIREZ(登録商標)2019を使用することも可能である。
【0094】
更には、反応性樹脂として、フェノール系樹脂、例えばToto KaseiのYP50、Union Carbide Corp.のPKHC、およびShowa Union Gosei Corp.のBKR2620を使用することも可能である。
【0095】
更には、反応性樹脂として、ポリイソシアネート、例えばNippon Polyurethane Ind.のCoronate(登録商標)L、BayerのDesmodur(登録商標)N3300またはMondur(登録商標)489を使用することも可能である。
【0096】
この2つの成分の間の反応を加速するために、架橋剤と促進剤をこの混合物の中に添加することも可能である。
【0097】
好適な促進剤の例は、Shikoku Chem.Corp.から2M7、2E4MN、2PZ−CN、2PZ−CNS、P0505、およびL07Nとして、あるいはAir ProductsからCurezol2MZとして市販されているイミダゾールを含む。
【0098】
更には、加速のためにアミン、特に第三級アミンを使用することも可能である。
【0099】
更なる好ましい変形においては、ポリ(メタ)アクリレートをベースとする中間層接着剤または熱活性化可能な接着剤が使用される。少なくとも次のモノマーから形成されるポリマーから構成されるポリマーを使用することが極めて好ましい。
a5)重量で70%〜100%のアクリルエステルおよび/またはメタクリルエステルおよび/またはこれらの遊離酸であって、式
CH=CH(R)(COOR
(式中、R=Hおよび/またはCHであり、そしてR=Hおよび/または1〜30個の炭素原子を有するアルキル鎖)
を有するもの。
【0100】
更には、このポリマーの製造のためには、次のモノマーが場合によっては添加される。
a6)重量で30%までの官能基を有するオレフィン型不飽和モノマー。
【0101】
一つの極めて好ましい変形においては、使用されるモノマーa5)は、1〜14個の炭素原子からなるアルキル基を有するアクリルおよびメタクリルエステルを含んでなるアクリルモノマーである。特定の例は、この列挙により制約されるのは望まないが、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルアクリレート、および2−エチルヘキシルアクリレートなどのこれらの分岐異性体である。a1)の下に同様に少量で添加され得る更なる類の使用される化合物は、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、およびイソボルニルメタクリレートである。
【0102】
一つの有利な変形においては、次の一般式に対応するアクリルモノマーがa5)として使用される。
【0103】
【化3】

【0104】
(式中、R=Hおよび/またはCHであり、そして基−ORはこの感圧性接着剤の以降のUV架橋を助け、一つの特に好ましい変形においては、例えばH供与体効果を有する官能基を表すか、あるいは含む)
成分a6)の特に好ましい例は、この列挙が結論的なものではないが、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、イタコン酸、アクリルアミド、およびグリセリジルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、tert−ブチルフェニルアクリレート、tert−ブチルフェニルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、グリセリルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−tert−ブチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−(ブトキシ−メチル)メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−(エトキシ−メチル)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ビニル酢酸、テトラヒドロフルフリルアクリレート、β−アクリロイルオキシプロピオン酸、トリクロロアクリル酸、フマル酸、クロトン酸、アコニット酸、およびジメチルアクリル酸である。
【0105】
更なる好ましい変形においては、芳香核が好ましくはC〜C18単位から構成され、ヘテロ原子を含むことも可能である芳香族ビニル化合物が化合物a6)として使用される。特に好ましい例は、この列挙が結論的なものではないが、スチレン、4−ビニルピリジン、N−ビニルフタルイミド、メチルスチレン、3,4−ジメトキシスチレン、および4−ビニル安息香酸である。
【0106】
この重合に対しては、得られるポリマーが熱活性化可能な接着剤として使用可能なように、特に得られるポリマーが「Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology」by Donatas Satas(van Nostrand,1989)」による接着性を有するように、このモノマーは選択される。これらの用途に対しては、有利なこととして、得られるポリマーの静的ガラス転移温度は30℃以上である。感圧性接着剤としての用途に対しては、所望のガラス転移温度Tg,Aは15℃以下である。
【0107】
所望の静的ガラス転移温度を得るためには、Fox式(E1)
【0108】
【数3】

【0109】
(T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.1(1956)(123)を参照)を適用する場合所望のTg,A値がポリマーに生じるように、モノマーと、モノマー混合物の量的組成も上記記載に従い好ましく選択される。
【0110】
この式においては、nは使用されるモノマーの通し番号を、wはそれぞれのモノマーnの重量分率(重量%)を、そしてTg,nはそれぞれのモノマーnのホモポリマーのそれぞれのガラス転移温度(K)を表す。
【0111】
固定するためには、被覆の前にこのポリマーをコロナ−あるいはプラズマ処理するならば有利であり得る。大気圧プラズマ処理に好適な装置は例えばPlasmatreatからの装置を含む。
【0112】
本発明の感圧性接着剤テープの更なる好ましい態様においては、30℃以上で150℃未満の軟化範囲を有し、同じように冷却の過程で接合後更に固化するポリオレフィン、特にポリ−α−オレフィンの中間層が使用される。このポリオレフィンで活性化可能な接着剤は、一つの好ましい態様においては、+65℃〜140℃の静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを有する。これらのポリマーの接着強度は狙いを付けた添加物の添加により増大可能である。このように、例えば、ポリイミンまたはポリビニルアセテートコポリマーは接着強度増進添加剤として使用可能である。
【0113】
所望の静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを得るためには、Fox式(E1)を適用する場合所望の温度が生じるように、使用されるモノマーと、その量も本発明においては好ましくは選択される。
【0114】
分子量(重量平均M)のみならずガラス転移温度を制御するためのモノマーあるいはコモノマー組成を変えることができる。低い静的ガラス転移温度Tg,Aまたは融点Tm,Aを設定するために、中程度あるいは低い分子量(重量平均M)を有するポリマーが使用される。低および高分子量のポリマーを一緒に混合することも可能である。特に好ましい変形においては、ポリエチレン、ポリプロペン、ポリブテン、ポリヘキセンまたはポリエチレン、ポリプロペン、ポリブテンまたはポリヘキセンのコポリマーが使用される。種々の熱活性化可能なポリ−α−オレフィンがDegussaから商品名Vestoplast(登録商標)で市販されている。プロペンリッチのグレードが商品名Vestoplast(登録商標)703、704、708、750、751、792、828、888あるいは891で提供されている。これらは99〜162℃の融点Tm,Aを有する。更には、ブテンリッチのグレードも商品名Vestoplast(登録商標)308、408、508、520、および608で市販されている。これらは84〜157℃の融点Tm,Aを有する。
【0115】
熱活性化可能な感圧性接着剤の更なる例は、米国特許第3,326,741号、第3,639,500号、第4,404,246号、第4,452,955号、第4,404,345号、第4,545,843号、第4,880,683号および第5,593,759号に述べられている。これらの特許においては、同様に更なる温度活性化可能な感圧性接着剤が言及されている。
製造方法
この多層熱活性化可能な接着剤は種々の方法により製造可能である。更なる極めて好ましい方法においては、層(i)および(ii)と中間層は共押し出しダイを用いて共押し出し法において同時に合体される。製品構成に依るが、この中間層の共押し出しは随意的である。
【0116】
更なる方法においては、接着剤(i)、(ii)および中間層は別々に塗布される。第1の段階においては、接着剤(i)を剥離紙または剥離ライナーまたは工程内のライナー上に被覆する。溶液から、あるいはメルトから被覆を行うことができる。溶液からの被覆の場合には、溶液からの接着剤の加工について通常であるように、ドクターブレード法により操作することが好ましく、この場合当業者に既知のすべてのドクターブレード法を使用し得る。メルトからの好ましい塗布に対しては、ポリマーが溶液の場合には、溶剤を好ましくは濃縮化押し出し機中減圧下で留去し、例えば異なる、あるいは同一の真空段階で溶剤を好ましくは留去し、そしてフィードプレヒーターを有する単軸あるいは二軸押し出し機を用いて、これを行うことができる。次に、メルトダイまたは押し出しダイにより被覆を行い、所望ならば最適の被膜厚さを得るために、接着剤のフィルムを引っ張る。第2段階においては、溶液から、あるいはメルトから接着剤(ii)を接着剤(i)に塗布する。溶液からの被覆に対しては、層(i)を活性化あるいは溶解しない溶剤を使用することが好ましい。溶液からの被覆の場合には、溶液からの接着剤の加工では汎用であるように、ドクターブレード法により操作することが好ましく、この場合当業者に既知のすべてのドクターブレード法を使用し得る。メルトからの好ましい塗布に対しては、ポリマーが溶液の場合には溶剤を好ましくは濃縮化押し出し機中減圧下で留去し、例えば異なる、あるいは同一の真空段階で溶剤を好ましくは留去し、そしてフィードプレヒーターを有する単軸あるいは二軸押し出し機を用いて、これを行うことができる。次に、メルトダイまたは押し出しダイにより被覆を行い、所望ならば最適の被膜厚さを得るために、接着剤のフィルムを引っ張る。中間層付きの多層構成に対しては、第2段階において、中間層を溶液またはメルトから接着層(i)上に被覆する。場合によっては、第2段階においては、溶液またはメルトから接着層(ii)を被覆し、次に接着層(i)に積層することもある。
【0117】
第3の方法においては、個別の層を別々に被覆し、次に一緒に積層する。接着剤(i)および(ii)と中間層の別々の被覆を溶液から、あるいはメルトから上記に既述した方法により行うことができる。その後、この層を一緒に積層する。この目的には、加熱可能なロール系を使用することが極めて好ましい。熱の導入の結果として、接着層(i)および(ii)と、使用する場合には中間層は粘着性となり、そして固定が著しく改善される。
【0118】
一般に、必要なコロナおよび/またはプラズマおよび/または火焔により一層、二層またはすべての層に対する固定を改善することが可能である。また、例えばクロム硫酸またはトリクロロ酢酸および/またはトリフルオロ酢酸による処理などの表面張力を増加させるためのすべての他の方法を使用することも可能である。
【0119】
この接着剤を被覆して、層(i)および/または(ii)および/または中間層を得た後、この層を架橋する必要があり得る。UV光線による随意の架橋に対しては、層(i)および/または(ii)および/または中間層に対してUV吸収性光開始剤がこの接着剤に添加される。使用が極めて効果的である有用な光開始剤は、ベンゾインエーテル、例えばベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル、置換アセトフェノン、例えば2,2−ジエトキシアセトフェノン(Ciba Geigy(登録商標)からIrgacure651(登録商標)として入手可能)、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−1−フェニルエタノン、ジメトキシヒドロキシアセトフェノン、置換α−ケトール、例えば2−メトキシ−2−ヒドロキシ−プロピオフェノン、芳香族スルホニルクロリド、例えば2−ナフチルスルホニルクロリド、および光活性オキシム、例えば1−フェニル−1,2−プロパンジオン2−(O−エトキシカルボニル)オキシムである。
【0120】
上述の光開始剤と使用され得る他の光開始剤、およびNorrish IあるいはNorrish IIタイプの他の光開始剤は、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ヒドロキシアルキルフェノン、フェニルシクロヘキシルケトン、アントラキノン、トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド、メチルチオフェニルモルホリンケトン、アミノケトン、アゾベンゾイン、チオキサントン、ヘキサアリールビスイミダゾール、トリアジンあるいはフルオレノン基の基を含有することを得、これらの基の各々を1つ以上のハロゲン原子および/または1つ以上のアルキルオキシ基および/または1つ以上のアミノ基またはヒドロキシル基により更に置換することが可能である。代表的な概観は、Fouassier:「Photoinitiation,Photo−polymerization and Photocuring:Fundamentals and Applications」,Hanser−Verlag,Munich1995に述べられている。更なる詳細については、Carroyら「Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coatings,Inks and Paints」,Oldring(ed.),1994,SITA、Londonを参考にすることが可能である。
【0121】
原理的には、この層を電子線により架橋することも可能である。使用可能な典型的な照射装置は、電子線促進剤を含んでなる、線形カソード系、走査系またはセグメント化カソード系を含む。この技術の現状と最も重要なプロセスパラメーターの網羅的な説明は、Skelhorne,「Electron Beam Processing,in Chemistry and Technology of UV and EB Formulation for Coatings,Inks and Paints」,Vol.1,1991,SITA,Londonに見出される。典型的な加速電圧は50kVと500kVの間、好ましくは80kVと300kVの間の範囲にある。使用される散乱線量は、5と150kGyの間、特に20と100kGyの間の範囲である。
【0122】
更なる態様においては、この層を熱架橋することが有利である。
【0123】
この多層接着剤に対して使用される裏打ち材料は、当業者にはなじみのある慣用の材料、例えばフィルム(ポリエステル、PET、PE、PP、BOPP、PVC、ポリイミド)、不織布、フォーム、織布および織ったフィルムと、また剥離紙(グラシン紙、HDPE、LDPE)などである。この裏打ち材料は剥離層を有しなければならない。本発明の一つの極めて好ましい変形においては、この剥離層はシリコーン剥離ワニスまたはフッ素化剥離ワニスから構成される。
【0124】
本発明の更なる成分は、カード体、本発明による使用に対して上記に示し、説明した少なくとも二層接着フィルム、およびチップモジュールを含んでなる接着接合された単位である。
【0125】
試験方法
Iso曲げA)
Iso/IEC10373:1993(E)6.1項と類似してIso曲げ試験を行う。合計4000回以上の曲げに達したならば、この試験は合格である。
極限曲げ試験B)
極限曲げ試験においては、電気的モジュールを中心に置いた3cm幅の切片をチップカードから切り出し、次に3cm幅から2.5cm幅10×まで圧縮する。電気的モジュールが外に出なければ、この試験は合格である。
手による試験C)
手による試験においては、カードが破壊するか、あるいはモジュールが破壊する程度まで電気的モジュールに近い2隅の1つを経由してチップカードを手で曲げる。その時この試験は合格である。電気的モジュールが分離あるいは飛び出したならば、この試験は不合格である。
【0126】
すべての商品名は優先権日時において市販されている製品を記述するものである。
【実施例1】
【0127】
SIG単軸押し出し機とBreyer押し出しダイ(300μmスロット)を170℃で使用して、tesa HAF8405(登録商標)(30μm接着層厚さ、ニトリルゴムとフェノール系樹脂ベース、=接着層(ii))をtesa HAF8440(登録商標)(非反応性化コポリアミドベースの接着層45μm、=接着層(i))で被覆する。巻き取り前に、この組み立て物を冷ロールの上に通す。
【実施例2】
【0128】
SIG単軸押し出し機とBreyer押し出しダイ(300μmスロット)を170℃で使用して、tesa HAF8405(登録商標)(30μm接着層厚さ、ニトリルゴムとフェノール系樹脂ベース、=接着層(ii))をコポリエステル(Grilltex(登録商標)1616、EMS−Grilltex、=接着層(i))で被覆する。以降このコポリエステルの層厚は50μmである。巻き取り前に、この組み立て物を冷ロールの上に通す。
【実施例3】
【0129】
SIG単軸押し出し機とBreyer押し出しダイ(300μmスロット)を使用して、このポリウレタン(Pearlthane(登録商標) D12F75、Danquinsa、=接着層(ii))を170℃まで加熱し、約1.5g/mのポリジメチルシロキサンにより被覆された剥離紙上に圧力下で被覆する。被覆後の接着層(ii)の層厚は40μmであった。引き続いて、第2段階においては、被覆をtesa HAF8440(コポリアミドベースの接着層45μm、=接着層(i))により層(ii)上に行う。巻き取り前に、この組み立て物を冷ロールの上に通す。
電気的モジュールの埋め込み
Ruhlamat Testplatz Modulからの埋め込み装置を用いて、電気的モジュールをカード体中に埋め込んだ。使用材料は次の通りであった。
電気的モジュール:Nedcard Dummy、テープタイプ:0232−10
PVCカード:CCD
ABSカード:ORGA
第1の段階においては、Storck GmbHからの二本ロール積層ユニットを用いて、実施例1〜3を2本バーによりNedcardモジュールベルト上に積層する。接着層(i)は直接モジュールベルト上に被覆されるということをここで確認しなければならない。次に、電気的モジュールをカード体中の整合する空洞の中に埋め込む。この実施例すべてに使用したパラメーターは次の通りであった。
加熱ステップ:2
パンチ温度:190℃
時間:2×1秒
冷却ステップ:1x800ミリ秒(ms)、25℃
圧力:モジュール当たり70N
結果
本発明の接着剤により製造されるチップカードを試験方法A、BおよびCにより試験した。この結果を表1に示す。
【0130】
【表1】

【0131】
表1は、本発明の実施例のすべてがチップカードに対する最も重要な基準に合格し、それゆえ電気的モジュールのカード体への接着接合に極めて好適であるということを示す。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着フィルムの少なくとも2つの層(i)および(ii)が相互に化学的に異なる、少なくとも2つの接着層(i)および(ii)を設けたカード体中にチップモジュールを接合するための接着フィルムの使用方法。
【請求項2】
層(i)および/または(ii)の接着剤が感圧性接着剤であることを特徴とする請求項1に記載の使用方法。
【請求項3】
一方の層(i)がエポキシ材料および/またはポリイミドとの高い接着適合性を呈し、そして他方の層(ii)がポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマープラスチック、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリビニルクロリドとの高い接着適合性を呈することを特徴とする請求項1〜2の少なくとも一つに記載の使用方法。
【請求項4】
層(i)が熱可塑性ポリマーをベースとし、特にポリエステル、ポリアミド、コポリエステルおよび/またはコポリアミドをベースとすることを特徴とする請求項1〜3の少なくとも一つに記載の使用方法。
【請求項5】
層(ii)がポリウレタンおよび/またはゴム、特に合成ゴムをベースとすることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも一つに記載の使用方法。
【請求項6】
層(ii)が熱活性化可能な系をベースとし、特にエラストマーと少なくとも1つの反応性樹脂からなり、この文脈において、特にゴム、ポリクロロイソプレン、ポリアクリレート、ニトリルゴムおよび/またはエポキシ化ニトリルゴムがエラストマーとして使用され、そして/あるいはフェノール系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂および/またはイソシアネート官能基を持つ樹脂が単独あるいは相互の組み合わせで反応性樹脂として使用されることを特徴とする請求項1〜5の少なくとも一つに記載の使用方法。
【請求項7】
層(i)と層(ii)の間に1つ以上の更なる層、特に1つ以上のプライマー、バリアおよび/またはキャリア層が存在することを特徴とする請求項1〜6の少なくとも一つに記載の使用方法。
【請求項8】
カード体、請求項1〜7の少なくとも一つに記載の少なくとも二層化接着フィルムおよびチップモジュールからなる接着剤単位。

【公表番号】特表2007−503478(P2007−503478A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523613(P2006−523613)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009345
【国際公開番号】WO2005/021671
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(501237327)テサ・アクチエンゲゼルシヤフト (62)
【Fターム(参考)】