電池パック
【課題】コネクタ自身の部品精度や端子間の対向間隔精度などの影響を受けることなく、素電池と回路基板との間を確実に電気的に接続する。
【解決手段】素電池1の上面に形成された正・負極端子8・9と、回路基板3の素電池1との対向面に形成された正・負極端子18・19との間を、コネクタ23により電気的に接続する。コネクタ23は、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体24であり、少なくとも弾性体24の上下面の間が電気的に接続されている。弾性体24の弾性復元力により、コネクタ23の上下面は、素電池1および回路基板3の対向する正・負極端子8・9・18・19の間に圧接されている。コネクタ23は、弾性体24の外表面に捲回された複数本の導電性の条材25を含んでいる。
【解決手段】素電池1の上面に形成された正・負極端子8・9と、回路基板3の素電池1との対向面に形成された正・負極端子18・19との間を、コネクタ23により電気的に接続する。コネクタ23は、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体24であり、少なくとも弾性体24の上下面の間が電気的に接続されている。弾性体24の弾性復元力により、コネクタ23の上下面は、素電池1および回路基板3の対向する正・負極端子8・9・18・19の間に圧接されている。コネクタ23は、弾性体24の外表面に捲回された複数本の導電性の条材25を含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素電池の上端に配された外装カバーの内部に、充放電電流を制御する保護回路が実装された回路基板が配置されている電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電池パックにおいては、素電池の封口面側に回路基板や保護素子、あるいは正極リードや負極リードなどの電気的な部品を集約配置する形態が主流になりつつある。この種の電池パックにおける素電池と回路基板との電気的な接続構造としては、スポット溶接に変わるいくつかの形態が提案されている。例えば、特許文献1に係る電池パックでは、素電池の正・負極端子と、回路基板の正・負極端子との間を、金めっき処理された圧縮コイル形のコネクタ、或いは板バネ形のコネクタで電気的に接続している。圧縮コイル形のコネクタを備える接続構造は、特許文献2にも見受けられる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−114468号公報
【特許文献2】特開2003−197270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮コイル形のコネクタを有する接続構造では、対向する位置に配された素電池と回路基板の端子間のそれぞれに圧縮状態でコネクタを配し、コイルの弾性復元力により、コネクタの上下端を端子に圧接させている。このため、コイルの上下端と端子との接点が実質的に一点と少なく、機械的振動を受けたときにチャタリングが発生して、端子間の電気的接続が不安定となりやすい。
【0005】
板バネ状のコネクタは、正・負極端子との接点数を多くすることが容易で、圧縮コイル形のコネクタに比べてチャタリングが発生するおそれは少ない。但し、板バネ状のコネクタは弾性変形範囲が狭く、板バネ自身の部品精度や端子間の対向間隔精度、或いは組立精度などの影響を受けやすく、端子間の安定的な電気的接続を確保することが難しい。
【0006】
本発明は、コネクタ自身の部品精度や端子間の対向間隔精度などの影響を受けることなく、素電池と回路基板との間を確実に電気的に接続することができる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、素電池1の上端に配された外装カバー2の内部に、充放電電流を制御する保護回路が実装された回路基板3が配置されている電池パックを対象とする。素電池1の上面に形成された正・負極端子8・9と、回路基板3の素電池1との対向面に形成された正・負極端子18・19との間が、コネクタ23により電気的に接続されている。コネクタ23が、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体24であり、少なくとも弾性体24の上下面の間が電気的に接続されている。そして、弾性体24の弾性復元力により、コネクタ23の上下面が、素電池1および回路基板3の対向する正・負極端子8・9・18・19の間に圧接されていることを特徴とする。
【0008】
コネクタ23が、弾性体24の外表面に捲回された複数本の導電性の条材25を含んでいることが好ましい。条材25の本数としては、数本〜数十本が考えられる。
【0009】
具体的には、外装カバー2と素電池1との間にホルダー4が配されており、ホルダー4の上面に回路基板3が配されており、ホルダー4に、コネクタ23を遊動不能に保持する装着部28と、回路基板3を嵌め込み装着するための装着凹部27とが設けられている。
【0010】
樹脂製のホルダー4に対して、樹脂製の外装カバー2を超音波溶着で接合固定することができる。具体的には、外装カバー2のホルダー4との対向面には、突状の接合部14が設けられており、接合部14とホルダー4の外表面とを超音波溶着で一体化することで、ホルダー4に対して外装カバー2が接合固定されている。
【0011】
詳しくは、素電池1の上端部に、外装カバー2およびホルダー4を固定するための支持部材33が設けられている。支持部材33は、垂直方向に伸びる脚片34と、脚片34の遊端に連続して水平方向に折り曲げ形成された水平片35とを備えるL字状のプレス金具である。水平片35には、接合部14の挿入を許す貫通孔36が形成されている。素電池1の上面と水平片35との間に、ホルダー4と回路基板3とが配されている。そして、貫通孔36に挿入された接合部14の先端部とホルダー4の外表面とを超音波溶着で一体化することで、支持部材33に対して、外装カバー2とホルダー4とが固定されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電池パックにおいては、素電池1と回路基板3の正・負極端子8・9・18・19の間を電気的に接続するコネクタ23を、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体24を基体とするものとしたので、該コネクタ23を素電池1に組み付けたとき、該弾性体24の弾性復元力により、素電池1と回路基板3の両端子間にコネクタ23を圧接させて、これら端子8・9・18・19にコネクタ23の対向面(上下面)を強力に接触させることができる。これにより、素電池1および回路基板3の正・負極端子8・9・18・19とコネクタ23の対向面との接触性を高めて、両者1・3間の電気的接続性の向上を図ることができるので、チャタリングの発生を抑えて、信頼性に優れた電池パックを得ることができる。コネクタ23と正・負極端子8・9・18・19との溶接作業が不要であり、溶接不良に起因する接続不良が生じるおそれがない点でも優れている。
【0013】
弾性体自身が弾性変形する形態であるから、板バネ状のコネクタに比べて、コネクタ自身の小サイズ化を図りながら、弾性変形範囲を大きく採ることが容易である。したがって、コネクタ自身の部品精度や端子間の対向間隔精度、組立精度などの影響を受け難く、端子間の安定的な電気的な接続状態を得ることができる。
【0014】
圧縮コイル形や板バネ形のコネクタでは、運搬時等においてコネクタどうしが絡まりやすく、何よりも絡まった状態から個別の状態に解きほぐすのが困難であり、電池パックの組立作業の全自動化を図ることが難しい。これに対して、本願発明のように、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体24でコネクタ23を形成していると、運搬時等においてコネクタ23どうしが絡まるおそれが無く、該コネクタ23を一つずつピックアップして、所定位置に組み付けることが容易である。したがって、電池パックの組立作業を全自動化できて電池パックの製造コストの低減化に貢献できる。
【0015】
コネクタ23を弾性体24の外表面に捲回された複数本の導電性の条材25を含むものとしていると、多数の接触点で素電池1および回路基板3の正・負極端子8・9・18・19と接触させることができるので、接触状態が安定し、チャタリングの発生を効果的に抑えることができる。特に導電性の条材25として金属細線を使用していると、低抵抗で端子どうしを電気的に接続することができるので、電池パックの電流容量の高容量化に対応できる。
【0016】
回路基板3を支持するホルダー4に、コネクタ23を組み付けるための装着部28が設けられていると、コネクタ23の位置ズレを防いで、常に適正姿勢で素電池1および回路基板3の端子8・9・18・19にコネクタ23を密着させることができる。したがって、素電池1および回路基板3の端子8・9・18・19とコネクタ23との接触性を高めて、両者1・3間の電気的接続性の向上を図ることができる。
なお装着部28を貫通孔としていると、装着部28にコネクタ23を落とし込むだけで、両端子間の適正位置にコネクタ23を組み付けることができる。したがって、電池パックの組立作業の全自動化への対応が容易である。
【0017】
樹脂製のホルダー4に対して、樹脂製の外装カバー2が超音波溶着で接合固定されていると、外装カバー2とホルダー4とを機械的に係合固定する形態に比べて、両者2・4間の組み付け状態のバラつきを一掃して両者を常に適正に密着固定でき、形状および機能が安定した電池パックを得ることができる。
【0018】
外装カバー2のホルダー4との対向面に突状の接合部14を設けて、この接合部14とホルダー4の外表面とを超音波溶着で一体化することで、ホルダー4に対して外装カバー2が接合固定されていると、外装カバー2の接合部14とホルダー4の対向面とを適正に相対摺動させて、確実に摩擦溶接することができる。溶接条件を一定にできるので、接合部14とホルダー4との溶着面積や溶着パターンのばらつきも抑制できる。
【0019】
素電池1の上端部に、脚片34と水平片35とを備えるL字状のプレス金具からなる支持部材33を設け、該水平片35に設けられた貫通孔36に外装カバー2の接合部14を挿入した状態で、接合部14の先端部とホルダー4の外表面とを超音波溶着で一体化することで、外装カバー2とホルダー4とが素電池1に固定された形態を採ることができる。これによれば、外装カバー2、ホルダー4および素電池1の三者を支持部材33を介して一体化することができるので、落下衝撃や衝突衝撃などを受けたような場合にも、外装カバー2やホルダー4が素電池1から分離して脱落するのを確実に防ぐことができる。
【0020】
また、素電池1の上面と水平片35との間にホルダー4を載置してから、該ホルダー4の装着部28にコネクタ23を装着し、次いでホルダー4上に回路基板3を載置してから外装カバー2をホルダー4に超音波溶着するだけで、電池パックを組み立てることができる。したがって、電池パックの組立作業が容易となり、全自動化への対応が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態) 図1ないし図7に、本発明に係る電池パックの第1実施形態を示す。図2において電池パックは、充放電が可能なリチウムイオン電池等の二次電池である素電池1と、素電池1の上面側に配置される外装カバー2と、素電池1と外装カバー2との間に配置される回路基板3と、素電池1の上部に配されて回路基板3を保持するホルダー4と、これらの構成部材の外側面を覆う表装ラベル5(図5参照)などで構成する。
【0022】
素電池1は、有底扁平筒状の外装缶6を基体にして、その内部に電極体と電解液を収容し、外装缶6の上方開口を封口板7で封止して構成する。外装缶6は、アルミニウム、アルミニウム合金、あるいはステンレス鋼材を素材とする深絞り成形品からなる。同様に封口板7は、アルミニウム、またはアルミニウム合金を素材とするプレス成形品からなり、外装缶6の開口内面に嵌め込んだ状態でレーザー溶接によって固定されている。
【0023】
図2に示すように、封口板7の上面中央には負極端子8が膨出形成されており、封口板7の左右方向の一側端部(図示例では右側端)には、正極端子として機能するブロック片9が膨出状に設けられている。以下ではこのブロック片9を正極端子と呼ぶ。負極端子8と正極端子9の上面高さは等しく設定される。また、封口板7には、防爆用の開裂ベント11と、電解液注入用の注液口12が設けられている。開裂ベント11は、素電池1の内圧が一定値を超えると、破断して素電池1内のガスを放出する。注液口12は、電解液注入後に封止栓により密封封止される。
【0024】
外装カバー2は、熱可塑性のプラスチック材、例えばポリカーボネイトを素材にした平板状の射出成形品からなり、3個の電極窓13が左右方向に一定間隔おきに開設されている。図3に示すように、外装カバー2の下面の左右端部には、超音波溶着用の突状の接合部14がそれぞれ設けられており、下面の前後周縁には、同じく超音波溶着用のリブ状の接合部15が設けられている。
【0025】
回路基板3は、左右横長の長方形状のプリント基板からなり、その下面側には、保護回路を構成する電子部品が実装されて、樹脂モールドによって覆われている。このモールド部分を符号17で示す。モールド部分17の両側には、正極端子18と負極端子19とがそれぞれ設けられている。回路基板3の上面には、3個の外部出力電極20が形成してある。外部出力電極20の形成位置と、先の電極窓13の形成位置とは対応させてある。外部出力電極20のうち、隣接する2個は正極側および負極側の出力端子であり、残る1個は先の保護回路に制御信号を送るための入力端子である。この入力端子を介して外部から制御信号を保護回路へ送ることにより、充電電流および放電電流を適正な状態に制御して素電池1を保護することができる。
【0026】
素電池1の正・負極端子8・9と、回路基板3の正・負極端子18・19との間には、コネクタ23・23が組み付けられる。コネクタ23は、図4、図6および図7に示すように、絶縁性のシリコーンゴムなどの弾性素材を立方体状に成形してなる弾性体24を基体として、該弾性体24の外表面に複数本の金属細線(導電性の条材)25を捲回してなる。本実施形態では、各金属細線25の直径寸法を0.04mm(40μm)に、捲回ピッチを0.1mmに、それぞれ設定した。コネクタ23の左右寸法は3mmに設定されており、弾性体24には30本の金属細線25が捲回されている(図面上は7本の金属細線を示す)。尤も、1つのコネクタ23に使用される金属細線25の本数は、適宜定められる金属細線25の直径寸法および捲回ピッチ並びにコネクタ23の左右寸法により変動する値であって、上記本数には限定されない。
【0027】
弾性体24の上下面は水平面とされており、各金属細線25が上下面を含む四つの面に縦方向に捲回されている。コネクタ23の前面は、前方向に突出する突弧面とされている。かかる突弧面により、弾性体24のコーナー部で金属細線25が折れ曲がり、破断されるのを効果的に防ぐことができる。
【0028】
図2においてホルダー4は、熱可塑性のプラスチック材、例えばポリカーボネイトを素材にした左右横長の四角柱状のブロック体からなり、ホルダー4の上面には、回路基板3を嵌め込み装着するための装着凹部27が段付き状に形成されている。この装着凹部27の左右二箇所には、コネクタ23・23を遊動不能に保持するための装着孔(装着部)28・28が上下貫通状に形成されている。これら装着孔28・28の間には、回路基板3のモールド部分17に対応した凹部29が形成されている。また、各装着孔28の下端には、素電池1の正極端子9あるいは負極端子8を受け入れるための凹欠部30・31が形成されており、封口板7上への装着状態において、該凹欠部30・31を除くホルダー4の下面が、封口板7の上面に密着する。
【0029】
以上のように構成した回路基板3、ホルダー4およびコネクタ23・23を素電池1に装着すると、回路基板3の正極端子18は、一方の装着孔28内に保持されたコネクタ23を介して、凹欠部30内に位置する素電池1の正極端子9に接続される。また、回路基板3の負極端子19は、他方の装着孔28内に保持されたコネクタ23を介して、凹欠部31内に位置する素電池1の負極端子8に接続される。
【0030】
外装缶6の左右端面の上端部には、外装カバー2およびホルダー4を素電池1に固定するための支持部材33・33が設けられている。支持部材33は、基端が外装缶6の左右端面にレーザー溶接されて上方向に伸びる脚片34と、脚片34の遊端に連続して内向きの水平方向に折り曲げ形成された水平片35とを備えるL字状のプレス金具である。各水平片35には、外装カバー2に形成した接合部14の挿入を許す貫通孔36が、上下貫通状に形成されている。
【0031】
以上のように構成される本実施形態の電池パックは、例えば以下の手順により組み立てることができる。素電池1には、正極端子9および支持部材33を予め固定しておく。
まず、素電池1の上面と水平片35との間にホルダー4を載置してから、該ホルダー4の装着孔28にコネクタ23を落とし込む。このときの各コネクタ23は、下面が素電池1の正極端子9あるいは負極端子8の上面に接触するとともに、上半部が装着孔28の上縁から突出している(図3参照)。
【0032】
次いで、ホルダー4の装着凹部27に回路基板3を嵌め込み装着する。これにより、各コネクタ23は上下方向に弾性圧縮される。このときの弾性体24の弾性復元力により、一方のコネクタ23の上下面が、素電池1の正極端子9の上面と回路基板3の正極端子18とに圧接され、他方のコネクタ23の上下面が、素電池1の負極端子8の上面と回路基板3の負極端子19とに圧接される(図4参照)。そして、弾性体24に捲回された各金属細線25が、素電池1および回路基板3の正極端子9・18あるいは負極端子8・19に接触する(図6および図7参照)。
【0033】
回路基板3を装着した後は、これを覆う外装カバー2を、超音波溶着でホルダー4に一体化する。詳しくは、外装カバー2の左右両端の接合部14を支持部材33の貫通孔36に上方から挿入して、外装カバー2をホルダー4上に載置してから、外装カバー2の接合部14・15の先端部とホルダー4の外表面とを超音波溶着により接合固定する。これにより、一対の支持部材33・33に対して、外装カバー2とホルダー4とが固定される。最後に表装ラベル5を貼付装着して、電池パックの組み立てが完了する。
【0034】
以上のように本実施形態では、コネクタ23を、弾性素材を略立方体状に成形してなる弾性体24を基体とするものとしたので、該コネクタ23を素電池1に組み付けたとき、該弾性体24の弾性復元力により、素電池1および回路基板3の正極端子9・18あるいは負極端子8・19間にコネクタ23を圧接させて、これら端子8・9・18・19にコネクタ23の上下面を強力に接触させることができる。これにより、素電池1および回路基板3の正・負極端子8・9・18・19とコネクタ23の対向面との接触性を高めて、両者1・3間の電気的接続性の向上を図ることができるので、チャタリングの発生を抑えて、信頼性に優れた電池パックを得ることができる。コネクタ23と正・負極端子8・9・18・19との溶接作業が不要であり、溶接不良に起因する接続不良が生じるおそれがない点でも優れている。
【0035】
弾性体自身が弾性変形する形態であるから、板バネ状のコネクタに比べて、コネクタ自身の小サイズ化を図りながら、弾性変形範囲を大きく採ることが容易である。したがって、コネクタ自身の部品精度や端子間の対向間隔精度、組立精度などの影響を受け難く、端子間の安定的な電気的な接続状態を得ることができる。
【0036】
圧縮コイル形や板バネ形のコネクタでは、運搬時等においてコネクタどうしが絡まりやすく、何よりも絡まった状態から個別の状態に解きほぐすのが困難であり、電池パックの組立作業の全自動化を図ることが難しい。これに対して、本実施形態のように、弾性素材を略立方体状に成形してなる弾性体24でコネクタ23を形成していると、運搬時等においてコネクタ23どうしが絡まるおそれが無く、該コネクタ23を一つずつピックアップして、所定位置に組み付けることが容易である。したがって、電池パックの組立作業を全自動化できて電池パックの製造コストの低減化に貢献できる。
【0037】
(第2実施形態) 図8および図9に、本発明に係る電池パックの第2実施形態を示す。ここでは、2つのコネクタ23a・23bの上下高さ(上下寸法)を異なるものとしている点が先の第1実施形態と相違する。具体的には、第1実施形態において、素電池1の正・負極端子の高さ位置を揃えることを目的として配置されていたブロック片9を排するとともに、素電池1と回路基板3の正極端子どうしを接続するコネクタ23aの上下寸法を、負極端子どうしを接続するコネクタ23bのそれよりも大きくしている。また、ホルダー4の装着孔28の下端の凹欠部30を省略している。それ以外の点は、先の第1実施形態と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、この第2実施形態によっても、先の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
(第3実施形態) 図10および図11に、本発明に係る電池パックの第3実施形態を示す。ここでは、先の第1実施形態から支持部材33・33を排して、ホルダー4を両面テープ40により素電池1の上面(封口板7の上面)に固定している。両面テープ40の前後左右寸法は、素電池1の上面のそれよりも僅かに小さく設定されており、両面テープ40の中央と左右方向の一側端部(図示例では右側端)とには、負極端子8あるいはブロック片(正極端子)9を上方に露出させるための開口41・42がそれぞれ開設されている。それ以外の点は、先の第1実施形態と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、この第3実施形態によっても、先の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
その他、第3実施形態の変形例として、素電池1の上面に対するホルダー4の固定には、例えばレーザ溶接など任意の接合手段を用いることができる。第1および第3実施形態におけるブロック片9は、回路基板3の側に固定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態に係る電池パックの要部の縦断正面図である。
【図2】第1実施形態に係る電池パックの分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る電池パックから外装カバーと回路基板を分離した状態を示す斜視図である。
【図4】図1の一部を拡大して示す図である。
【図5】第1実施形態に係る電池パックの全体構成を示す正面図である。
【図6】図1のA−A線断面図である。
【図7】図1のB−B線断面図である。
【図8】第2実施形態に係る電池パックの一部を破断した分解斜視図である。
【図9】第2実施形態に係る電池パックの要部の縦断正面図である。
【図10】第3実施形態に係る電池パックの一部を破断した分解斜視図である。
【図11】第3実施形態に係る電池パックの要部の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 素電池
2 外装カバー
3 回路基板
4 ホルダー
8 素電池の負極端子
9 ブロック片(素電池の正極端子)
14 接合部
18 回路基板の正極端子
19 回路基板の負極端子
23 コネクタ
24 弾性体
25 導電性の条材(金属細線)
27 装着凹部
28 装着部(装着孔)
33 支持部材
35 水平片
36 貫通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、素電池の上端に配された外装カバーの内部に、充放電電流を制御する保護回路が実装された回路基板が配置されている電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電池パックにおいては、素電池の封口面側に回路基板や保護素子、あるいは正極リードや負極リードなどの電気的な部品を集約配置する形態が主流になりつつある。この種の電池パックにおける素電池と回路基板との電気的な接続構造としては、スポット溶接に変わるいくつかの形態が提案されている。例えば、特許文献1に係る電池パックでは、素電池の正・負極端子と、回路基板の正・負極端子との間を、金めっき処理された圧縮コイル形のコネクタ、或いは板バネ形のコネクタで電気的に接続している。圧縮コイル形のコネクタを備える接続構造は、特許文献2にも見受けられる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−114468号公報
【特許文献2】特開2003−197270号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧縮コイル形のコネクタを有する接続構造では、対向する位置に配された素電池と回路基板の端子間のそれぞれに圧縮状態でコネクタを配し、コイルの弾性復元力により、コネクタの上下端を端子に圧接させている。このため、コイルの上下端と端子との接点が実質的に一点と少なく、機械的振動を受けたときにチャタリングが発生して、端子間の電気的接続が不安定となりやすい。
【0005】
板バネ状のコネクタは、正・負極端子との接点数を多くすることが容易で、圧縮コイル形のコネクタに比べてチャタリングが発生するおそれは少ない。但し、板バネ状のコネクタは弾性変形範囲が狭く、板バネ自身の部品精度や端子間の対向間隔精度、或いは組立精度などの影響を受けやすく、端子間の安定的な電気的接続を確保することが難しい。
【0006】
本発明は、コネクタ自身の部品精度や端子間の対向間隔精度などの影響を受けることなく、素電池と回路基板との間を確実に電気的に接続することができる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、素電池1の上端に配された外装カバー2の内部に、充放電電流を制御する保護回路が実装された回路基板3が配置されている電池パックを対象とする。素電池1の上面に形成された正・負極端子8・9と、回路基板3の素電池1との対向面に形成された正・負極端子18・19との間が、コネクタ23により電気的に接続されている。コネクタ23が、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体24であり、少なくとも弾性体24の上下面の間が電気的に接続されている。そして、弾性体24の弾性復元力により、コネクタ23の上下面が、素電池1および回路基板3の対向する正・負極端子8・9・18・19の間に圧接されていることを特徴とする。
【0008】
コネクタ23が、弾性体24の外表面に捲回された複数本の導電性の条材25を含んでいることが好ましい。条材25の本数としては、数本〜数十本が考えられる。
【0009】
具体的には、外装カバー2と素電池1との間にホルダー4が配されており、ホルダー4の上面に回路基板3が配されており、ホルダー4に、コネクタ23を遊動不能に保持する装着部28と、回路基板3を嵌め込み装着するための装着凹部27とが設けられている。
【0010】
樹脂製のホルダー4に対して、樹脂製の外装カバー2を超音波溶着で接合固定することができる。具体的には、外装カバー2のホルダー4との対向面には、突状の接合部14が設けられており、接合部14とホルダー4の外表面とを超音波溶着で一体化することで、ホルダー4に対して外装カバー2が接合固定されている。
【0011】
詳しくは、素電池1の上端部に、外装カバー2およびホルダー4を固定するための支持部材33が設けられている。支持部材33は、垂直方向に伸びる脚片34と、脚片34の遊端に連続して水平方向に折り曲げ形成された水平片35とを備えるL字状のプレス金具である。水平片35には、接合部14の挿入を許す貫通孔36が形成されている。素電池1の上面と水平片35との間に、ホルダー4と回路基板3とが配されている。そして、貫通孔36に挿入された接合部14の先端部とホルダー4の外表面とを超音波溶着で一体化することで、支持部材33に対して、外装カバー2とホルダー4とが固定されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る電池パックにおいては、素電池1と回路基板3の正・負極端子8・9・18・19の間を電気的に接続するコネクタ23を、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体24を基体とするものとしたので、該コネクタ23を素電池1に組み付けたとき、該弾性体24の弾性復元力により、素電池1と回路基板3の両端子間にコネクタ23を圧接させて、これら端子8・9・18・19にコネクタ23の対向面(上下面)を強力に接触させることができる。これにより、素電池1および回路基板3の正・負極端子8・9・18・19とコネクタ23の対向面との接触性を高めて、両者1・3間の電気的接続性の向上を図ることができるので、チャタリングの発生を抑えて、信頼性に優れた電池パックを得ることができる。コネクタ23と正・負極端子8・9・18・19との溶接作業が不要であり、溶接不良に起因する接続不良が生じるおそれがない点でも優れている。
【0013】
弾性体自身が弾性変形する形態であるから、板バネ状のコネクタに比べて、コネクタ自身の小サイズ化を図りながら、弾性変形範囲を大きく採ることが容易である。したがって、コネクタ自身の部品精度や端子間の対向間隔精度、組立精度などの影響を受け難く、端子間の安定的な電気的な接続状態を得ることができる。
【0014】
圧縮コイル形や板バネ形のコネクタでは、運搬時等においてコネクタどうしが絡まりやすく、何よりも絡まった状態から個別の状態に解きほぐすのが困難であり、電池パックの組立作業の全自動化を図ることが難しい。これに対して、本願発明のように、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体24でコネクタ23を形成していると、運搬時等においてコネクタ23どうしが絡まるおそれが無く、該コネクタ23を一つずつピックアップして、所定位置に組み付けることが容易である。したがって、電池パックの組立作業を全自動化できて電池パックの製造コストの低減化に貢献できる。
【0015】
コネクタ23を弾性体24の外表面に捲回された複数本の導電性の条材25を含むものとしていると、多数の接触点で素電池1および回路基板3の正・負極端子8・9・18・19と接触させることができるので、接触状態が安定し、チャタリングの発生を効果的に抑えることができる。特に導電性の条材25として金属細線を使用していると、低抵抗で端子どうしを電気的に接続することができるので、電池パックの電流容量の高容量化に対応できる。
【0016】
回路基板3を支持するホルダー4に、コネクタ23を組み付けるための装着部28が設けられていると、コネクタ23の位置ズレを防いで、常に適正姿勢で素電池1および回路基板3の端子8・9・18・19にコネクタ23を密着させることができる。したがって、素電池1および回路基板3の端子8・9・18・19とコネクタ23との接触性を高めて、両者1・3間の電気的接続性の向上を図ることができる。
なお装着部28を貫通孔としていると、装着部28にコネクタ23を落とし込むだけで、両端子間の適正位置にコネクタ23を組み付けることができる。したがって、電池パックの組立作業の全自動化への対応が容易である。
【0017】
樹脂製のホルダー4に対して、樹脂製の外装カバー2が超音波溶着で接合固定されていると、外装カバー2とホルダー4とを機械的に係合固定する形態に比べて、両者2・4間の組み付け状態のバラつきを一掃して両者を常に適正に密着固定でき、形状および機能が安定した電池パックを得ることができる。
【0018】
外装カバー2のホルダー4との対向面に突状の接合部14を設けて、この接合部14とホルダー4の外表面とを超音波溶着で一体化することで、ホルダー4に対して外装カバー2が接合固定されていると、外装カバー2の接合部14とホルダー4の対向面とを適正に相対摺動させて、確実に摩擦溶接することができる。溶接条件を一定にできるので、接合部14とホルダー4との溶着面積や溶着パターンのばらつきも抑制できる。
【0019】
素電池1の上端部に、脚片34と水平片35とを備えるL字状のプレス金具からなる支持部材33を設け、該水平片35に設けられた貫通孔36に外装カバー2の接合部14を挿入した状態で、接合部14の先端部とホルダー4の外表面とを超音波溶着で一体化することで、外装カバー2とホルダー4とが素電池1に固定された形態を採ることができる。これによれば、外装カバー2、ホルダー4および素電池1の三者を支持部材33を介して一体化することができるので、落下衝撃や衝突衝撃などを受けたような場合にも、外装カバー2やホルダー4が素電池1から分離して脱落するのを確実に防ぐことができる。
【0020】
また、素電池1の上面と水平片35との間にホルダー4を載置してから、該ホルダー4の装着部28にコネクタ23を装着し、次いでホルダー4上に回路基板3を載置してから外装カバー2をホルダー4に超音波溶着するだけで、電池パックを組み立てることができる。したがって、電池パックの組立作業が容易となり、全自動化への対応が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態) 図1ないし図7に、本発明に係る電池パックの第1実施形態を示す。図2において電池パックは、充放電が可能なリチウムイオン電池等の二次電池である素電池1と、素電池1の上面側に配置される外装カバー2と、素電池1と外装カバー2との間に配置される回路基板3と、素電池1の上部に配されて回路基板3を保持するホルダー4と、これらの構成部材の外側面を覆う表装ラベル5(図5参照)などで構成する。
【0022】
素電池1は、有底扁平筒状の外装缶6を基体にして、その内部に電極体と電解液を収容し、外装缶6の上方開口を封口板7で封止して構成する。外装缶6は、アルミニウム、アルミニウム合金、あるいはステンレス鋼材を素材とする深絞り成形品からなる。同様に封口板7は、アルミニウム、またはアルミニウム合金を素材とするプレス成形品からなり、外装缶6の開口内面に嵌め込んだ状態でレーザー溶接によって固定されている。
【0023】
図2に示すように、封口板7の上面中央には負極端子8が膨出形成されており、封口板7の左右方向の一側端部(図示例では右側端)には、正極端子として機能するブロック片9が膨出状に設けられている。以下ではこのブロック片9を正極端子と呼ぶ。負極端子8と正極端子9の上面高さは等しく設定される。また、封口板7には、防爆用の開裂ベント11と、電解液注入用の注液口12が設けられている。開裂ベント11は、素電池1の内圧が一定値を超えると、破断して素電池1内のガスを放出する。注液口12は、電解液注入後に封止栓により密封封止される。
【0024】
外装カバー2は、熱可塑性のプラスチック材、例えばポリカーボネイトを素材にした平板状の射出成形品からなり、3個の電極窓13が左右方向に一定間隔おきに開設されている。図3に示すように、外装カバー2の下面の左右端部には、超音波溶着用の突状の接合部14がそれぞれ設けられており、下面の前後周縁には、同じく超音波溶着用のリブ状の接合部15が設けられている。
【0025】
回路基板3は、左右横長の長方形状のプリント基板からなり、その下面側には、保護回路を構成する電子部品が実装されて、樹脂モールドによって覆われている。このモールド部分を符号17で示す。モールド部分17の両側には、正極端子18と負極端子19とがそれぞれ設けられている。回路基板3の上面には、3個の外部出力電極20が形成してある。外部出力電極20の形成位置と、先の電極窓13の形成位置とは対応させてある。外部出力電極20のうち、隣接する2個は正極側および負極側の出力端子であり、残る1個は先の保護回路に制御信号を送るための入力端子である。この入力端子を介して外部から制御信号を保護回路へ送ることにより、充電電流および放電電流を適正な状態に制御して素電池1を保護することができる。
【0026】
素電池1の正・負極端子8・9と、回路基板3の正・負極端子18・19との間には、コネクタ23・23が組み付けられる。コネクタ23は、図4、図6および図7に示すように、絶縁性のシリコーンゴムなどの弾性素材を立方体状に成形してなる弾性体24を基体として、該弾性体24の外表面に複数本の金属細線(導電性の条材)25を捲回してなる。本実施形態では、各金属細線25の直径寸法を0.04mm(40μm)に、捲回ピッチを0.1mmに、それぞれ設定した。コネクタ23の左右寸法は3mmに設定されており、弾性体24には30本の金属細線25が捲回されている(図面上は7本の金属細線を示す)。尤も、1つのコネクタ23に使用される金属細線25の本数は、適宜定められる金属細線25の直径寸法および捲回ピッチ並びにコネクタ23の左右寸法により変動する値であって、上記本数には限定されない。
【0027】
弾性体24の上下面は水平面とされており、各金属細線25が上下面を含む四つの面に縦方向に捲回されている。コネクタ23の前面は、前方向に突出する突弧面とされている。かかる突弧面により、弾性体24のコーナー部で金属細線25が折れ曲がり、破断されるのを効果的に防ぐことができる。
【0028】
図2においてホルダー4は、熱可塑性のプラスチック材、例えばポリカーボネイトを素材にした左右横長の四角柱状のブロック体からなり、ホルダー4の上面には、回路基板3を嵌め込み装着するための装着凹部27が段付き状に形成されている。この装着凹部27の左右二箇所には、コネクタ23・23を遊動不能に保持するための装着孔(装着部)28・28が上下貫通状に形成されている。これら装着孔28・28の間には、回路基板3のモールド部分17に対応した凹部29が形成されている。また、各装着孔28の下端には、素電池1の正極端子9あるいは負極端子8を受け入れるための凹欠部30・31が形成されており、封口板7上への装着状態において、該凹欠部30・31を除くホルダー4の下面が、封口板7の上面に密着する。
【0029】
以上のように構成した回路基板3、ホルダー4およびコネクタ23・23を素電池1に装着すると、回路基板3の正極端子18は、一方の装着孔28内に保持されたコネクタ23を介して、凹欠部30内に位置する素電池1の正極端子9に接続される。また、回路基板3の負極端子19は、他方の装着孔28内に保持されたコネクタ23を介して、凹欠部31内に位置する素電池1の負極端子8に接続される。
【0030】
外装缶6の左右端面の上端部には、外装カバー2およびホルダー4を素電池1に固定するための支持部材33・33が設けられている。支持部材33は、基端が外装缶6の左右端面にレーザー溶接されて上方向に伸びる脚片34と、脚片34の遊端に連続して内向きの水平方向に折り曲げ形成された水平片35とを備えるL字状のプレス金具である。各水平片35には、外装カバー2に形成した接合部14の挿入を許す貫通孔36が、上下貫通状に形成されている。
【0031】
以上のように構成される本実施形態の電池パックは、例えば以下の手順により組み立てることができる。素電池1には、正極端子9および支持部材33を予め固定しておく。
まず、素電池1の上面と水平片35との間にホルダー4を載置してから、該ホルダー4の装着孔28にコネクタ23を落とし込む。このときの各コネクタ23は、下面が素電池1の正極端子9あるいは負極端子8の上面に接触するとともに、上半部が装着孔28の上縁から突出している(図3参照)。
【0032】
次いで、ホルダー4の装着凹部27に回路基板3を嵌め込み装着する。これにより、各コネクタ23は上下方向に弾性圧縮される。このときの弾性体24の弾性復元力により、一方のコネクタ23の上下面が、素電池1の正極端子9の上面と回路基板3の正極端子18とに圧接され、他方のコネクタ23の上下面が、素電池1の負極端子8の上面と回路基板3の負極端子19とに圧接される(図4参照)。そして、弾性体24に捲回された各金属細線25が、素電池1および回路基板3の正極端子9・18あるいは負極端子8・19に接触する(図6および図7参照)。
【0033】
回路基板3を装着した後は、これを覆う外装カバー2を、超音波溶着でホルダー4に一体化する。詳しくは、外装カバー2の左右両端の接合部14を支持部材33の貫通孔36に上方から挿入して、外装カバー2をホルダー4上に載置してから、外装カバー2の接合部14・15の先端部とホルダー4の外表面とを超音波溶着により接合固定する。これにより、一対の支持部材33・33に対して、外装カバー2とホルダー4とが固定される。最後に表装ラベル5を貼付装着して、電池パックの組み立てが完了する。
【0034】
以上のように本実施形態では、コネクタ23を、弾性素材を略立方体状に成形してなる弾性体24を基体とするものとしたので、該コネクタ23を素電池1に組み付けたとき、該弾性体24の弾性復元力により、素電池1および回路基板3の正極端子9・18あるいは負極端子8・19間にコネクタ23を圧接させて、これら端子8・9・18・19にコネクタ23の上下面を強力に接触させることができる。これにより、素電池1および回路基板3の正・負極端子8・9・18・19とコネクタ23の対向面との接触性を高めて、両者1・3間の電気的接続性の向上を図ることができるので、チャタリングの発生を抑えて、信頼性に優れた電池パックを得ることができる。コネクタ23と正・負極端子8・9・18・19との溶接作業が不要であり、溶接不良に起因する接続不良が生じるおそれがない点でも優れている。
【0035】
弾性体自身が弾性変形する形態であるから、板バネ状のコネクタに比べて、コネクタ自身の小サイズ化を図りながら、弾性変形範囲を大きく採ることが容易である。したがって、コネクタ自身の部品精度や端子間の対向間隔精度、組立精度などの影響を受け難く、端子間の安定的な電気的な接続状態を得ることができる。
【0036】
圧縮コイル形や板バネ形のコネクタでは、運搬時等においてコネクタどうしが絡まりやすく、何よりも絡まった状態から個別の状態に解きほぐすのが困難であり、電池パックの組立作業の全自動化を図ることが難しい。これに対して、本実施形態のように、弾性素材を略立方体状に成形してなる弾性体24でコネクタ23を形成していると、運搬時等においてコネクタ23どうしが絡まるおそれが無く、該コネクタ23を一つずつピックアップして、所定位置に組み付けることが容易である。したがって、電池パックの組立作業を全自動化できて電池パックの製造コストの低減化に貢献できる。
【0037】
(第2実施形態) 図8および図9に、本発明に係る電池パックの第2実施形態を示す。ここでは、2つのコネクタ23a・23bの上下高さ(上下寸法)を異なるものとしている点が先の第1実施形態と相違する。具体的には、第1実施形態において、素電池1の正・負極端子の高さ位置を揃えることを目的として配置されていたブロック片9を排するとともに、素電池1と回路基板3の正極端子どうしを接続するコネクタ23aの上下寸法を、負極端子どうしを接続するコネクタ23bのそれよりも大きくしている。また、ホルダー4の装着孔28の下端の凹欠部30を省略している。それ以外の点は、先の第1実施形態と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、この第2実施形態によっても、先の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
(第3実施形態) 図10および図11に、本発明に係る電池パックの第3実施形態を示す。ここでは、先の第1実施形態から支持部材33・33を排して、ホルダー4を両面テープ40により素電池1の上面(封口板7の上面)に固定している。両面テープ40の前後左右寸法は、素電池1の上面のそれよりも僅かに小さく設定されており、両面テープ40の中央と左右方向の一側端部(図示例では右側端)とには、負極端子8あるいはブロック片(正極端子)9を上方に露出させるための開口41・42がそれぞれ開設されている。それ以外の点は、先の第1実施形態と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。また、この第3実施形態によっても、先の第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0039】
その他、第3実施形態の変形例として、素電池1の上面に対するホルダー4の固定には、例えばレーザ溶接など任意の接合手段を用いることができる。第1および第3実施形態におけるブロック片9は、回路基板3の側に固定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態に係る電池パックの要部の縦断正面図である。
【図2】第1実施形態に係る電池パックの分解斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る電池パックから外装カバーと回路基板を分離した状態を示す斜視図である。
【図4】図1の一部を拡大して示す図である。
【図5】第1実施形態に係る電池パックの全体構成を示す正面図である。
【図6】図1のA−A線断面図である。
【図7】図1のB−B線断面図である。
【図8】第2実施形態に係る電池パックの一部を破断した分解斜視図である。
【図9】第2実施形態に係る電池パックの要部の縦断正面図である。
【図10】第3実施形態に係る電池パックの一部を破断した分解斜視図である。
【図11】第3実施形態に係る電池パックの要部の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 素電池
2 外装カバー
3 回路基板
4 ホルダー
8 素電池の負極端子
9 ブロック片(素電池の正極端子)
14 接合部
18 回路基板の正極端子
19 回路基板の負極端子
23 コネクタ
24 弾性体
25 導電性の条材(金属細線)
27 装着凹部
28 装着部(装着孔)
33 支持部材
35 水平片
36 貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素電池の上端に配された外装カバーの内部に、充放電電流を制御する保護回路が実装された回路基板が配置されている電池パックにおいて、
前記素電池の上面に形成された正・負極端子と、前記回路基板の素電池との対向面に形成された正・負極端子との間が、コネクタにより電気的に接続されており、
前記コネクタが、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体であり、少なくとも該弾性体の上下面の間が電気的に接続されており、
前記弾性体の弾性復元力により、前記コネクタの上下面が、前記素電池および前記回路基板の対向する正・負極端子の間に圧接されていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記コネクタが、前記弾性体の外表面に捲回された複数本の導電性の条材を含んでいる請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
前記外装カバーと前記素電池との間にホルダーが配されており、該ホルダーの上面に前記回路基板が配されており、
前記ホルダーに、前記コネクタを遊動不能に保持する装着部と、前記回路基板を嵌め込み装着するための装着凹部とが設けられている請求項1又は2記載の電池パック。
【請求項4】
樹脂製のホルダーに対して、樹脂製の外装カバーが超音波溶着で接合固定されている請求項3記載の電池パック。
【請求項5】
前記外装カバーの前記ホルダーとの対向面には、突状の接合部が設けられており、
前記接合部と前記ホルダーの外表面とを超音波溶着で一体化することで、前記ホルダーに対して前記外装カバーが接合固定されている請求項4記載の電池パック。
【請求項6】
前記素電池の上端部に、前記外装カバーおよび前記ホルダーを固定するための支持部材が設けられており、
前記支持部材は、垂直方向に伸びる脚片と、該脚片の遊端に連続して水平方向に折り曲げ形成された水平片とを備えるL字状のプレス金具であり、
前記水平片には、前記接合部の挿入を許す貫通孔が形成されており、
前記素電池の上面と前記水平片との間に、前記ホルダーと前記回路基板とが配されており、
前記貫通孔に挿入された前記接合部の先端部と前記ホルダーの外表面とを超音波溶着で一体化することで、前記支持部材に対して、前記外装カバーと前記ホルダーとが固定されている請求項5記載の電池パック。
【請求項1】
素電池の上端に配された外装カバーの内部に、充放電電流を制御する保護回路が実装された回路基板が配置されている電池パックにおいて、
前記素電池の上面に形成された正・負極端子と、前記回路基板の素電池との対向面に形成された正・負極端子との間が、コネクタにより電気的に接続されており、
前記コネクタが、弾性素材を多面体状に成形してなる弾性体であり、少なくとも該弾性体の上下面の間が電気的に接続されており、
前記弾性体の弾性復元力により、前記コネクタの上下面が、前記素電池および前記回路基板の対向する正・負極端子の間に圧接されていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記コネクタが、前記弾性体の外表面に捲回された複数本の導電性の条材を含んでいる請求項1記載の電池パック。
【請求項3】
前記外装カバーと前記素電池との間にホルダーが配されており、該ホルダーの上面に前記回路基板が配されており、
前記ホルダーに、前記コネクタを遊動不能に保持する装着部と、前記回路基板を嵌め込み装着するための装着凹部とが設けられている請求項1又は2記載の電池パック。
【請求項4】
樹脂製のホルダーに対して、樹脂製の外装カバーが超音波溶着で接合固定されている請求項3記載の電池パック。
【請求項5】
前記外装カバーの前記ホルダーとの対向面には、突状の接合部が設けられており、
前記接合部と前記ホルダーの外表面とを超音波溶着で一体化することで、前記ホルダーに対して前記外装カバーが接合固定されている請求項4記載の電池パック。
【請求項6】
前記素電池の上端部に、前記外装カバーおよび前記ホルダーを固定するための支持部材が設けられており、
前記支持部材は、垂直方向に伸びる脚片と、該脚片の遊端に連続して水平方向に折り曲げ形成された水平片とを備えるL字状のプレス金具であり、
前記水平片には、前記接合部の挿入を許す貫通孔が形成されており、
前記素電池の上面と前記水平片との間に、前記ホルダーと前記回路基板とが配されており、
前記貫通孔に挿入された前記接合部の先端部と前記ホルダーの外表面とを超音波溶着で一体化することで、前記支持部材に対して、前記外装カバーと前記ホルダーとが固定されている請求項5記載の電池パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−87555(P2009−87555A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−251794(P2007−251794)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】
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