電池パック
【課題】部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することができる。
【解決手段】電池パック10は複数の単電池11を接続してなる電池モジュール20を、一つまたは複数備える。複数の単電池11は、一の単電池11と他の前記単電池11とに接続される2つの接続部31を有する電池接続部材15により電気的に接続されている。複数の電池モジュール20は、一の電池モジュール20と他の電池モジュール20とに接続される2つの接続部31を有するモジュール接続部材16により電気的に接続されている。電池接続部材15およびモジュール接続部材16から選ばれる少なくとも一つは、2つの接続部31の間に他の部分よりも断面積の小さい小断面積部33が形成されている接続部材30である。
【解決手段】電池パック10は複数の単電池11を接続してなる電池モジュール20を、一つまたは複数備える。複数の単電池11は、一の単電池11と他の前記単電池11とに接続される2つの接続部31を有する電池接続部材15により電気的に接続されている。複数の電池モジュール20は、一の電池モジュール20と他の電池モジュール20とに接続される2つの接続部31を有するモジュール接続部材16により電気的に接続されている。電池接続部材15およびモジュール接続部材16から選ばれる少なくとも一つは、2つの接続部31の間に他の部分よりも断面積の小さい小断面積部33が形成されている接続部材30である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド自動車においては、駆動用モータの電源として、単電池を複数個接続してなる電池モジュールを、複数接続した電池パックが搭載されることがある。
このような電池パックにおいては、異常な過大電流が流れたとき等に電池を保護するためのヒューズなどがとりつけられている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−289431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の電池パックにおいては、隣り合う電池モジュールがバスバーにより接続されるとともに、電池モジュールを収容する収納箱の一端部の外側にヒューズおよびブレーカーがバスバーを介して接続されている(特許文献1の図1を参照)。また、電池モジュールを構成する単電池にも、ヒューズやブレーカ等がバスバーを介して接続される場合がある。
【0005】
このような構成では、異常な過大電流から電池を保護するために、ヒューズやブレーカー等の部品が必要であるので部品点数が多くなるうえに、それらの部品を配置するスペースが必要であるので電池パックが大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものとして、本発明は、複数の単電池を接続してなる電池モジュールを一つまたは複数備える電池パックであって、前記複数の単電池は、一の前記単電池と他の前記単電池とに接続される2つの接続部を有する電池接続部材により電気的に接続され、複数の前記電池モジュールは、一の前記電池モジュールと他の前記電池モジュールとに接続される2つの接続部を有するモジュール接続部材により電気的に接続され、前記電池接続部材および前記モジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、前記2つの接続部の間に他の部分よりも断面積の小さい小断面積部を有する接続部材であるところに特徴を有する。
【0008】
本発明においては、電池接続部材およびモジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、2つの接続部の間に他の部分よりも断面積の小さい小断面積部を有する接続部材であるから、電池パックに過大電流が流れたときに、接続部材の2つの接続部の間の小断面積部は他の部分よりも高抵抗なので、発熱量が大きくなって溶断し、電流が遮断される。つまり、本発明によれば、他の部分よりも断面積の小さい小断面積部を有する接続部材が、電池間や電池モジュール間を電気的に接続するだけでなく、ヒューズ機能をも有するので、別途ヒューズを取り付ける必要がなく部品点数を減らすことができる。
その結果、本発明によれば、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することができる。
【0009】
本発明は以下の構成としてもよい。
複数の前記電池モジュールと、前記複数の電池モジュールを接続する前記モジュール接続部材とを備え、少なくとも一つの前記モジュール接続部材が、前記小断面積部を有する接続部材であってもよい。
このような構成とすると、小断面積部を有する接続部材が電池モジュール間に配置されるので、過大電流が流れることにより小断面積部が溶断しても、溶断により生じる溶融物が単電池に付着することがない。その結果、上記のような構成とすると、溶融物が電池の電極端子間に付着して短絡させたり高温の溶融物が電池の樹脂部分にあたって変形するなどの問題を防止することができる。
【0010】
前記小断面積部を有する接続部材は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であってもよい。
一般に、単電池の接続や電池モジュールの接続に用いられる接続部材としては銅にニッケルめっきを施したものが用いられている。ここで、アルミニウムは銅よりも融点が低く導電率も低いという性質を有しているため、過大電流が流れたときにアルミニウム製またはアルミニウム合金製の接続部材では銅製の接続部材よりも溶断が起こりやすい。したがって上記構成とすると、過大電流が流れたときに溶断に要する時間が短くなるので、電池に与える熱影響を小さく抑えることができる。また、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の接続部材にヒューズ機能を付与するために断面積の小さい部分(小断面積部)を形成する場合、当該部分を銅製の接続部材に形成する場合よりも、肉厚や断面積が大きくてもよいので加工が容易である。さらに、アルミニウムは銅よりも柔らかいので、振動や衝撃等を受けたときに端子などよりも先に変形し、端子にかかる負担を低減することもできる。加えてアルミニウムは銅よりも軽量であるので電池パックを軽量化することができる。なお、アルミニウム、アルミニウム合金はめっきを施したものであってもよい。
【0011】
全ての前記モジュール接続部材が、前記小断面積部を有する接続部材であってもよい。
電池パック内の一部の電池モジュール間で外部短絡が発生した場合、全てのモジュール接続部材が小断面積部を有する接続部材であれば、外部短絡が発生した電池モジュールを適切に遮断することができる。
【0012】
前記小断面積部を有する接続部材の、前記2つの接続部の間の領域は迂回状をなしていてもよい。
このような構成とすると、過大電流が流れたときに、2つの接続部の間の領域、つまり小断面積部が形成されている領域が他の部分よりも特に高抵抗となり発熱量が大きくなるので、溶断に要する時間が短くなる。
【0013】
前記単電池の電圧を監視する電圧監視基板を備え、前記小断面積部を有する接続部材は、前記電圧監視基板が配置されていない前記単電池に接続されていてもよい。
上述したように、小断面積部を有する接続部材は、過電流が流れたときに溶断して溶融物が生じることがあるが、電圧監視基板には電子部品が搭載されているため、金属溶融物が付着すると不具合をおこすおそれがある。そこで、上記のような構成とすると、小断面積部を有する接続部材が電圧監視基板が配置されていない単電池に接続されているので、小断面積部を有する接続部材に過大電流が流れることで溶融物が生じても、電圧監視基板に溶融物が付着するということを防ぐことができる。また上記のような構成とすると、単電池の電圧を監視することができるので、電池を確実に保護することができる。
【0014】
加えて、上記課題を解決するものとして、本発明は、複数の単電池を接続してなる電池モジュールを一つまたは複数備える電池パックであって、前記複数の単電池は、一の前記単電池と他の前記単電池とに接続される2つの接続部を有する電池接続部材により電気的に接続され、複数の前記電池モジュールは、一の前記電池モジュールと他の前記電池モジュールとに接続される2つの接続部を有するモジュール接続部材により電気的に接続され、前記電池接続部材および前記モジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、他のものよりも抵抗値が高く設定された高抵抗の接続部材であるところに特徴を有する。
【0015】
本発明では、電池接続部材およびモジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、他のものよりも抵抗値が高く設定された高抵抗の接続部材であるので、電池パックに過大電流が流れたときに、高抵抗の接続部材において溶断が生じ、電流が遮断される。つまり、本発明によれば、高抵抗の接続部材が、電池間や電池モジュール間を電気的に接続するだけでなく、ヒューズ機能をも有するので、別途ヒューズを取り付ける必要がなく部品点数を減らすことができる。
その結果、本発明によれば、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することができる。
【0016】
本発明において、前記高抵抗の接続部材はアルミニウム製またはアルミニウム合金製である一方、前記高抵抗の接続部材以外は、銅製または銅合金製であってもよい。
上述したように、アルミニウムは銅よりも融点が低く導電率も低いという性質を有しているため、過大電流が流れたときにアルミニウム製またはアルミニウム合金製の接続部材では銅製の接続部材よりも溶断が起こりやすい。そこで上記のような構成とすると、高抵抗の接続部材において溶断が起こりやすくなるので、好ましい。また、アルミニウムは銅よりも柔らかいので、振動や衝撃等を受けたときに端子などよりも先に変形し、端子にかかる負担を低減することもでき、アルミニウムは銅よりも軽量であるので電池パックを軽量化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1の電池パックを模式的に示した図
【図2】単電池の側面略図
【図3】電池モジュールの一部斜視図
【図4】小断面積部を有する接続部材の斜視図
【図5】小断面積部を有する接続部材の側面図
【図6】実施形態2の電池パックで用いる小断面積部を有する接続部材の平面図
【図7】図6の接続部材から保護部を外した状態を示す斜視図
【図8】その平面図
【図9】実施形態3の電池パックで用いる小断面積部を有する接続部材の斜視図
【図10】その側面図
【図11】実施形態4の電池パックを摸式的に示した図
【図12】小断面積部を有する接続部材の斜視図
【図13】図12の接続部材から保護部を外した状態を示す斜視図
【図14】その側面図
【図15】実施形態5の電池パックを摸式的に示した図
【図16】実施例で説明するバスバーD(銅製の接続部材)の平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1の電池パック10を図1ないし図5によって説明する。
本実施形態の電池パック10は、複数の単電池11(本実施形態では6個)を、直列に並べてなる電池モジュール20を複数(本実施形態では2個)、直列に接続して構成される。図1は電池パック10を模式的に示した図であり、図3には2つの単電池11の接続部分を示している。
【0020】
隣り合う電池モジュール20,20間は、図1に示すように、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のモジュール接続バスバー16(モジュール接続部材の一例)により接続されることで電気的に接続されている。詳しくは、モジュール接続バスバー16は、電池モジュール20を構成する単電池11のうち、隣り合う電池モジュール20の単電池11と接続される単電池11に対してナット14締めにより接続されている。
【0021】
電池モジュール20を構成する単電池11は、金属製の電池ケース12に図示しない電解液と発電要素とを収容してなる。電池ケース12の上面には、図2および図3に示すように、上方に突出形成された正負の電極端子13A,13Bがそれぞれ設けられている。隣り合う単電池11は違う極性の電極端子13A,13B間に、ニッケルめっきを施した銅製の電池接続バスバー15(電池接続部材の一例)を接続することで、電気的に接続されている。電極端子13A,13Bは、詳細は図示しないが、ボルト状に形成されており、ナット14締めにより電池接続バスバー15と接続されている。
【0022】
本実施形態においては、2個の電池モジュール20,20間を接続するモジュール接続バスバー16、および各電池モジュール20を構成する単電池11のうち中央の2つの単電池11を接続する電池接続バスバー15(合計3つのバスバー)が、2つの接続部31,31間に他の部分よりも断面積の小さい部分(小断面積部33)が形成された小断面積部33を有する接続部材30である。
【0023】
小断面積部33を有する接続部材30(以下、単に「接続部材30」ともいう)の材料の具体例としては、純アルミニウム(JIS A1085、JIS A1050、JIS A1100などのJIS A1000系のもの)や、アルミニウム合金(JIS A3003などのJIS A3000系、JIS A2011などのJIS A2000系、JIS A5052などのJIS A5000系、JIS A6061などのJIS A6000系)、およびニッケル等でめっきされたアルミニウム合金などがあげられる。これらの材料は安価で入手が容易であるとともに加工が容易であるので好ましい。
本実施形態において、小断面積部33を有する接続部材30以外の他のバスバー15は銅または銅合金製である。
【0024】
小断面積部33を有する接続部材30の抵抗値は、他のバスバー15の抵抗値よりも大きく設定されている。したがって、電池パック10における電池11,11間を接続するバスバー15や電池モジュール20,20間を接続するバスバー16の全てを小断面積部33を有する接続部材30とすると、電池パック10全体の抵抗値が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、一部のバスバー(1つの電池接続バスバー15とモジュール接続バスバー16を小断面積部33を有する接続部材30)のみを小断面積部33を有する接続部材30として、抵抗値を抑えている。
【0025】
接続部材30においては、図4および図5に示すように、扁平形状の2つの端部31,31の間の領域34は、上方に突出した側面視円弧状に形成されている。扁平形状の2つの端部31,31は、電極端子13A,13Bを挿通可能な円形の端子挿通孔32,32が形成された接続部31,31である。
【0026】
接続部材30において、2つの接続部31,31間に形成された側面視円弧状の領域34は、接続部31(他の部分)よりも肉厚(厚み寸法)が小さく設定された薄肉部分33が形成された領域34である。この領域34の薄肉部分33は他の部分よりも断面積の小さい小断面積部33である。
【0027】
本実施形態の接続部材30において2つの接続部31,31の間の領域34は上方に迂回する形状(迂回状)に設けられており、全体として長方形の平板状をなすバスバーよりも電流の流れる部分が長くなっている。
【0028】
本実施形態の作用・効果について説明する。
本実施形態の電池パック10において異常な過大電流が流れると、接続部材30に形成された薄肉部分33は他の部分より高抵抗であるので、発熱量が大きくなって溶断し、電流が遮断される。つまり、本実施形態においては、他の部分よりも断面積の小さい小断面積部33を有する接続部材30が、電池モジュール20,20間および単電池11,11間を電気的に接続するだけでなく、ヒューズ機能をも有するので、別途ヒューズを取り付ける必要がなく部品点数を減らすことができる。
その結果、本実施形態によれば、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パック10を提供することができる。
【0029】
また、本実施形態では、複数の電池接続バスバー15のうち1つのみが小断面積部33を有する接続部材30であるので、電池パック10全体の抵抗を大きくすることがない。
【0030】
また、本実施形態においては、小断面積部33を有する接続部材30が、アルミニウム製またはアルミニウム合金製である。アルミニウムは銅よりも融点が低く導電率も低いという性質を有しているため、過大電流が流れたときにアルミニウム製またはアルミニウム合金製のバスバーでは銅製のバスバーよりも溶断が起こりやすい。したがって、本実施形態においては、過大電流が流れたときに溶断に要する時間が短くなるので、単電池11に与える熱影響を小さく抑えることができる。また、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のバスバーにヒューズ機能を付与するために薄肉部分33を形成する場合、当該薄肉部分33を銅製のバスバーに形成する場合よりも、肉厚が大きくてもよいので加工が容易である。加えて、アルミニウムは銅よりも柔らかいので、振動や衝撃等を受けたときに電極端子13A,13Bなどよりも先に変形し、電極端子13A,13Bにかかる負担を低減することもできる。また、一部のバスバーをアルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることにより、電池パックを軽量化することができる。
【0031】
さらに、本実施形態によれば、小断面積部33を有する接続部材30の2つの接続部31,31の間の領域34は、迂回状をなしているから、異常な過大電流が流れたときに、接続部材30の薄肉部分33が形成されている領域34が他の部分よりも特に高抵抗となり発熱量が大きくなるので、溶断に要する時間が短くなる。
【0032】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図6ないし図8によって説明する。本実施形態の電池パックは、小断面積部43を有する接続部材40の形状が実施形態1と相違する。実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し重複する説明は省略する。
【0033】
本実施形態で用いる小断面積部43を有する接続部材40(以下、「接続部材40」ともいう)は、全域において同じ厚みであるが、図6〜図8に示すように、端子挿通孔32,32が形成された2つの接続部31,31の間に、上面視略S字状に屈曲した幅寸法の小さい幅狭部43を有している。当該幅狭部43は、他の部分よりも断面積(図8における上面に対して垂直な断面における面積)が小さくなっており、当該幅狭部43の略中央の部分43Aではさらに断面積が小さく設定されている。本実施形態においては、幅狭部43が小断面積部43である。
【0034】
接続部材40の幅狭部43の形成されている部分には、図6に示すように、強度保持のために樹脂製の保護部45が設けられている。保護部45は、図6に示すように、上面視枠状をなし、接続部材の幅狭部43を取り囲むように配されている。保護部45の上下部分は開口しており、保護部45の側面から接続部材40の2つの接続部31,31がそれぞれ導出されている。
【0035】
本実施形態によれば、他の部分よりも断面積が小さい部分である幅狭部43が形成されている接続部材40が、電池モジュール20,20間を電気的に接続するだけでなく、ヒューズ機能をも有する。その結果、本実施形態によっても、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することができる。
【0036】
また、本実施形態においても、接続部材40が、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であるから、実施形態1と同様に、過大電流が流れたときに溶断に要する時間が短くなるので、電池に与える熱影響を小さく抑えることができる。また、接続部材40がアルミニウム製またはアルミニウム合金製であるので加工が容易である。さらに、電池パックへの振動に対して端子13A,13Bにかかる負担を低減する効果もある。
【0037】
また、本実施形態においては、2つの接続部31,31の間の領域44は屈曲した形状(迂回形状)をなしているから、実施形態1と同様に、過大電流が流れたときに、領域44は他の部分よりも特に高抵抗となり発熱量が大きくなるので溶断に要する時間が短くなるという効果もある。
【0038】
さらに、本実施形態においては、幅狭部43(小断面積部)を取り囲むように樹脂製の保護部45が設けられているから、幅狭部43の強度が保持される。
【0039】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図9および図10によって説明する。本実施形態の電池パックは、小断面積部63を有する接続部材50の形状が実施形態1と相違する。実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し重複する説明は省略する。
【0040】
本実施形態において、接続部材50の扁平形状の2つの接続部31,31の間の領域54は、図9及び図10に示すように、上方に突出した側面視円弧状に形成されている。この実施形態の接続部材50の厚み寸法は全体においてほぼ同じである。
【0041】
本実施形態で用いる接続部材50において、2つの接続部31,31の間に形成された側面視円弧状の領域54の略中央部の両側縁には、他の部分よりも幅寸法が小さくなった弧状の凹み部53,53が形成されている。この凹み部53,53の形成されている部分においては他の部分よりも断面積(図10における上面に対して垂直な断面における面積)が小さくなっている。すなわち。凹み部53が小断面積部53である。本実施形態においても2つの接続部31,31の間の領域54は上方に迂回する形状(迂回状)をなしている。
したがって本実施形態によっても、上述の実施形態1と同様の効果を奏する。
【0042】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図11ないし図14によって説明する。本実施形態の電池パック70は、小断面積部63を有する接続部材60(接続部材60ともいう)の形状および、電池パック70を構成する電池モジュール20の数、接続部材60の接続位置等が実施形態1と相違する。実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し重複する説明は省略する。
【0043】
本実施形態の電池パック70は、図11に示すように、単電池11を6個直列に接続してなる電池モジュール20を4個接続してなるものである。4個の電池モジュール20の上には、4つの単電池にまたがるように単電池の電圧を監視する電圧監視基板71がそれぞれ載置されている。
【0044】
本実施形態では、図11における中央に配置された2つの電池モジュール20,20間を接続するモジュール接続バスバー16のみが小断面積部63を有する接続部材60である。
【0045】
本実施形態で用いる接続部材60においては、図13及び図14に示すように、扁平形状の2つの接続部31,31の間の領域64は、上方に突出した上面視U字状に形成されている。
【0046】
接続部材60において、2つの接続部31,31の間の上面視U字状の領域64は、図13および図14に示すように、2つの接続部31,31から連なり、各接続部31,31に対して略垂直に切り立つ2つの起立壁61,61と2つの起立壁61,61をつなげる帯状の連結部62とからなる。
【0047】
帯状の連結部62の略中央部においては、上側の端面と下側の端面に凹部63,63がそれぞれ形成され他の部分よりも断面積(図13における上面に対して垂直な断面における面積)が小さくなっている。凹部63が小断面積部63である。
【0048】
接続部材60の小断面積部63の周囲には、図12に示すように、強度保持のために樹脂製の保護部65が設けられている。保護部65は、図12に示すように、上面視枠状をなし、接続部材60の小断面積部63の周囲を取り囲むように配されている。保護部65の上下部分は開口している。
【0049】
本実施形態の接続部材60において2つの接続部31,31の間の領域64(上面視U字状の領域64)は、幅方向における外側に張り出した迂回状の形状をなしている。したがって本実施形態によっても、上述の実施形態1〜3と同様の効果を奏する。
【0050】
加えて本実施形態では、接続部材60において、2つの起立壁61,61の連結部62と反対側の端部61A,61Aが開放端となっており、起立壁61,61が振動を受けたときに内側にたわみやすくなっているので、電極端子13A,13Bに負荷がかかりにくいという効果も奏する。
【0051】
また、小断面積部63を有する接続部材60を、電池モジュール20間の接続のみに用いる(モジュール接続バスバー16としてのみ用いる)ので、過大電流が流れることにより小断面積部63が溶断したとしても、溶融物が単電池11上に配置した部材などに付着することがない。
【0052】
特に、本実施形態では、小断面積部63を有する接続部材60は電圧監視基板71が配置されていない単電池11に接続されているので、小断面積部63を有する接続部材60に過大電流が流れて溶断することで溶融物が生じても、電圧監視基板71に溶融物が付着するということを防ぐことができる。また上記のような構成とすると、単電池の電圧を監視することができるので、電池を確実に保護することができる。
【0053】
さらに、本実施形態では、1つのモジュール接続バスバー16のみが小断面積部63を有する接続部材60であるので、電池モジュールの抵抗値ならびに電池パックの抵抗値を低く抑えることができる。
【0054】
加えて、本実施形態においては、U字状の領域64を取り囲むように樹脂製の保護部65が設けられているから、U字状の領域64の強度が保持される。
【0055】
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を図15によって説明する。本実施形態の電池パック80は、実施形態4と同じ接続部材60を備えるが、その接続位置が相違する。
本実施形態の電池パック80では、電池モジュール20,20間を接続する全ての(3個の)モジュール接続バスバー16が小断面積部63を有する接続部材60である。なお、本実施形態の電池パック80には、電圧監視基板71が接続されていない。
【0056】
本実施形態によれば、全てのモジュール接続バスバー16が小断面積部63を有する接続部材60であるので、電池パック80内の一部の電池モジュール20,20間で外部短絡が発生した場合に、外部短絡が発生した電池モジュールを適切に遮断することができる。
【0057】
<実施例>
以下実施例により本発明をさらに説明する。
(接続部材の作製)
接続部材の材料として、JIS A1050の純アルミ(引張強度が70N/mm2)と、ニッケルめっきを施したJIS C1100の銅(引張強度が233N/mm2)を用いて、以下に説明する形状の接続部材を作製した。
【0058】
JIS A1050の純アルミを用いて、図4で示すような円弧状の部分を有するが、全体に均一な厚み(厚み寸法1mm)の接続部材を作製し、バスバーAとした。バスバーAの断面積は16mm2である。
ニッケルめっきを施したJIS C1100の銅を用いて、図4で示すような円弧状の部分を有するが、全体に均一な厚み(厚み寸法約1mm)の接続部材を作製し、バスバーBとした。バスバーBの断面積は16mm2である。
【0059】
JIS A1050の純アルミを用いて、図8で示す形状の小断面部を有する接続部材を作製し、バスバーCとした。バスバーCの小断面積部の断面積は約8.75mm2である。
【0060】
ニッケルめっきを施したJIS C1100の銅を用いて、図16に示す形状のバスバーを作製し、バスバーDとした。このバスバーDにおいては、略S字状をなす(屈曲状をなす)断面積の小さい部分の断面積を、バスバーCの断面積よりも小さく(約3分の1)に設定した。バスバーDの小断面積部の断面積は約3.75mm2である。
バスバーDは実施形態2のバスバーとおおむね同じ形状であるので、図16において実施形態2と同じ構成については同じ符号を付した。
【0061】
(評価試験)
(1)溶断時間の測定
上記バスバーAおよびバスバーBにそれぞれ、2000Aの電流を流して、溶断時間を測定し結果を表1に示した。電流計の測定電流が0Aになったときに溶断が発生したと判断した。なお電流を10秒間流しても溶断が発生しない場合は、溶断が起こらなかったと判断した。
【0062】
バスバーCおよびバスバーDに、それぞれ1000Aの電流を流して、溶断時間を測定し結果を表1に示した。電流計の測定電流が0Aになったときに溶断が発生したと判断した。
表1には銅の導電率を100%としたときのアルミニウムの導電率(%)を併せて示した。
【0063】
【表1】
【0064】
(結果と考察)
銅製でかつ、均一な厚みの(小断面積部のない)バスバーBでは溶断が起こらなかった。これに対して、小断面積部はないが抵抗値の高い材料(アルミ)で作製したバスバーAでは5秒で溶断が発生した。小断面積部の形成されたバスバーC(アルミ製)では3秒で溶断が発生し、小断面積部の形成されたバスバーD(銅製)では5秒で溶断が発生した。
【0065】
バスバーAとバスバーBとは全く同じ形状で同じ厚みであるが、バスバーAで溶断が起こりバスバーBで溶断が起こらなかったのは、バスバーAの材料が、バスバーBの材料である銅よりも導電率が小さい(抵抗値が大きい)アルミであることに起因すると考えられる。したがって、上記結果から、バスバーAとバスバーBとを単電池間の接続または電池モジュール間の接続に使用して電池パックを作製した場合、この電池パックに過大電流が流れたときに、他のバスバー(バスバーB)よりも抵抗値の高いバスバーAが溶断し、これにより電池が保護されると考えられる。
【0066】
また、上記結果から、小断面積部の形成されたバスバー(バスバーCおよびバスバーD)では、過大電流が流れたときに溶断が発生するので、このようなバスバーを備える電池パックでは、過大電流が流れた際に電池を保護することができるということがわかった。
【0067】
また、表1に示すように、アルミ製のバスバーCは銅製のバスバーDよりも溶断時間が短かった。銅製のバスバーにおいて、アルミニウム製のバスバーCと同等の溶断時間とするには、断面積をかなり小さくする必要があるということがわかった。
【0068】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、肉厚を小さく設定した薄肉部分を形成した接続部材と幅寸法を小さくして小断面積部を形成した接続部材を示したが、肉厚を小さくした薄肉部分に幅寸法の小さい部分を形成して小断面積部を形成してもよい。
(2)上記実施形態では小断面積部を有する接続部材としてアルミニウム製またはアルミニウム合金製のものを示したが、銅製または銅合金製のものであってもよい。
(3)上記実施形態では、2つの接続部の間の領域が迂回状をなす小断面積部を有する接続部材を備えるものを示したが、迂回状をなさない平板状のものに断面積の小さい部分を形成した接続部材を備えるものであってもよい。
(4)上記実施形態では、小断面積部を形成した接続部材を、モジュール接続バスバーおよび電池接続バスバーの1つとして用いた例、モジュール接続バスバーのみに用いた例を示したが、これに限定されない。例えば、1つの電池モジュールからなる電池パックにおいて、単電池間を接続する電池接続バスバーとして小断面積部を形成した接続部材または、他の接続部材よりも高抵抗の接続部材を用いてもよい。
また実施例で説明した高抵抗の接続部材(例えばバスバーA)と、これよりも抵抗値の小さい接続部材(例えばバスバーB)を用いて接続した電池パックにおいても、単電池間のみ、電池モジュール間のみ、あるいは双方に高抵抗の接続部材を用いもよい。
(5)上記実施形態では、電池と小断面積部を有する接続部材との接続にボルトナットで締結する例を示したが、電池と小断面積部を有する接続部材の接続は溶接によるものであってもよい。この場合、小断面積部を有する接続部材の接続部に孔は不要となる。
(6)上記実施形態としては電池接続部材として、ニッケルめっきを施した銅製のバスバーを示したが、他のめっき(例:スズめっき)を施した銅製のバスバーであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10,70,80...電池パック
11...単電池
12...電池ケース
13A...正極端子(電極端子)
13B...負極端子(電極端子)
15...電池接続バスバー(電池接続部材)
16...モジュール接続バスバー(モジュール接続部材)
20...電池モジュール
30,40,50,60...小断面積部を有する接続部材(接続部材)
31...接続部
32...端子挿通孔
33...薄肉部分(小断面積部)
34,44,54,64...2つの接続部の間の領域
43...幅狭部(小断面積部)
53...凹み部(小断面積部)
63...凹部(小断面積部)
71...電圧監視基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド自動車においては、駆動用モータの電源として、単電池を複数個接続してなる電池モジュールを、複数接続した電池パックが搭載されることがある。
このような電池パックにおいては、異常な過大電流が流れたとき等に電池を保護するためのヒューズなどがとりつけられている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−289431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の電池パックにおいては、隣り合う電池モジュールがバスバーにより接続されるとともに、電池モジュールを収容する収納箱の一端部の外側にヒューズおよびブレーカーがバスバーを介して接続されている(特許文献1の図1を参照)。また、電池モジュールを構成する単電池にも、ヒューズやブレーカ等がバスバーを介して接続される場合がある。
【0005】
このような構成では、異常な過大電流から電池を保護するために、ヒューズやブレーカー等の部品が必要であるので部品点数が多くなるうえに、それらの部品を配置するスペースが必要であるので電池パックが大型化するという問題があった。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するものとして、本発明は、複数の単電池を接続してなる電池モジュールを一つまたは複数備える電池パックであって、前記複数の単電池は、一の前記単電池と他の前記単電池とに接続される2つの接続部を有する電池接続部材により電気的に接続され、複数の前記電池モジュールは、一の前記電池モジュールと他の前記電池モジュールとに接続される2つの接続部を有するモジュール接続部材により電気的に接続され、前記電池接続部材および前記モジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、前記2つの接続部の間に他の部分よりも断面積の小さい小断面積部を有する接続部材であるところに特徴を有する。
【0008】
本発明においては、電池接続部材およびモジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、2つの接続部の間に他の部分よりも断面積の小さい小断面積部を有する接続部材であるから、電池パックに過大電流が流れたときに、接続部材の2つの接続部の間の小断面積部は他の部分よりも高抵抗なので、発熱量が大きくなって溶断し、電流が遮断される。つまり、本発明によれば、他の部分よりも断面積の小さい小断面積部を有する接続部材が、電池間や電池モジュール間を電気的に接続するだけでなく、ヒューズ機能をも有するので、別途ヒューズを取り付ける必要がなく部品点数を減らすことができる。
その結果、本発明によれば、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することができる。
【0009】
本発明は以下の構成としてもよい。
複数の前記電池モジュールと、前記複数の電池モジュールを接続する前記モジュール接続部材とを備え、少なくとも一つの前記モジュール接続部材が、前記小断面積部を有する接続部材であってもよい。
このような構成とすると、小断面積部を有する接続部材が電池モジュール間に配置されるので、過大電流が流れることにより小断面積部が溶断しても、溶断により生じる溶融物が単電池に付着することがない。その結果、上記のような構成とすると、溶融物が電池の電極端子間に付着して短絡させたり高温の溶融物が電池の樹脂部分にあたって変形するなどの問題を防止することができる。
【0010】
前記小断面積部を有する接続部材は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であってもよい。
一般に、単電池の接続や電池モジュールの接続に用いられる接続部材としては銅にニッケルめっきを施したものが用いられている。ここで、アルミニウムは銅よりも融点が低く導電率も低いという性質を有しているため、過大電流が流れたときにアルミニウム製またはアルミニウム合金製の接続部材では銅製の接続部材よりも溶断が起こりやすい。したがって上記構成とすると、過大電流が流れたときに溶断に要する時間が短くなるので、電池に与える熱影響を小さく抑えることができる。また、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の接続部材にヒューズ機能を付与するために断面積の小さい部分(小断面積部)を形成する場合、当該部分を銅製の接続部材に形成する場合よりも、肉厚や断面積が大きくてもよいので加工が容易である。さらに、アルミニウムは銅よりも柔らかいので、振動や衝撃等を受けたときに端子などよりも先に変形し、端子にかかる負担を低減することもできる。加えてアルミニウムは銅よりも軽量であるので電池パックを軽量化することができる。なお、アルミニウム、アルミニウム合金はめっきを施したものであってもよい。
【0011】
全ての前記モジュール接続部材が、前記小断面積部を有する接続部材であってもよい。
電池パック内の一部の電池モジュール間で外部短絡が発生した場合、全てのモジュール接続部材が小断面積部を有する接続部材であれば、外部短絡が発生した電池モジュールを適切に遮断することができる。
【0012】
前記小断面積部を有する接続部材の、前記2つの接続部の間の領域は迂回状をなしていてもよい。
このような構成とすると、過大電流が流れたときに、2つの接続部の間の領域、つまり小断面積部が形成されている領域が他の部分よりも特に高抵抗となり発熱量が大きくなるので、溶断に要する時間が短くなる。
【0013】
前記単電池の電圧を監視する電圧監視基板を備え、前記小断面積部を有する接続部材は、前記電圧監視基板が配置されていない前記単電池に接続されていてもよい。
上述したように、小断面積部を有する接続部材は、過電流が流れたときに溶断して溶融物が生じることがあるが、電圧監視基板には電子部品が搭載されているため、金属溶融物が付着すると不具合をおこすおそれがある。そこで、上記のような構成とすると、小断面積部を有する接続部材が電圧監視基板が配置されていない単電池に接続されているので、小断面積部を有する接続部材に過大電流が流れることで溶融物が生じても、電圧監視基板に溶融物が付着するということを防ぐことができる。また上記のような構成とすると、単電池の電圧を監視することができるので、電池を確実に保護することができる。
【0014】
加えて、上記課題を解決するものとして、本発明は、複数の単電池を接続してなる電池モジュールを一つまたは複数備える電池パックであって、前記複数の単電池は、一の前記単電池と他の前記単電池とに接続される2つの接続部を有する電池接続部材により電気的に接続され、複数の前記電池モジュールは、一の前記電池モジュールと他の前記電池モジュールとに接続される2つの接続部を有するモジュール接続部材により電気的に接続され、前記電池接続部材および前記モジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、他のものよりも抵抗値が高く設定された高抵抗の接続部材であるところに特徴を有する。
【0015】
本発明では、電池接続部材およびモジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、他のものよりも抵抗値が高く設定された高抵抗の接続部材であるので、電池パックに過大電流が流れたときに、高抵抗の接続部材において溶断が生じ、電流が遮断される。つまり、本発明によれば、高抵抗の接続部材が、電池間や電池モジュール間を電気的に接続するだけでなく、ヒューズ機能をも有するので、別途ヒューズを取り付ける必要がなく部品点数を減らすことができる。
その結果、本発明によれば、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することができる。
【0016】
本発明において、前記高抵抗の接続部材はアルミニウム製またはアルミニウム合金製である一方、前記高抵抗の接続部材以外は、銅製または銅合金製であってもよい。
上述したように、アルミニウムは銅よりも融点が低く導電率も低いという性質を有しているため、過大電流が流れたときにアルミニウム製またはアルミニウム合金製の接続部材では銅製の接続部材よりも溶断が起こりやすい。そこで上記のような構成とすると、高抵抗の接続部材において溶断が起こりやすくなるので、好ましい。また、アルミニウムは銅よりも柔らかいので、振動や衝撃等を受けたときに端子などよりも先に変形し、端子にかかる負担を低減することもでき、アルミニウムは銅よりも軽量であるので電池パックを軽量化することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1の電池パックを模式的に示した図
【図2】単電池の側面略図
【図3】電池モジュールの一部斜視図
【図4】小断面積部を有する接続部材の斜視図
【図5】小断面積部を有する接続部材の側面図
【図6】実施形態2の電池パックで用いる小断面積部を有する接続部材の平面図
【図7】図6の接続部材から保護部を外した状態を示す斜視図
【図8】その平面図
【図9】実施形態3の電池パックで用いる小断面積部を有する接続部材の斜視図
【図10】その側面図
【図11】実施形態4の電池パックを摸式的に示した図
【図12】小断面積部を有する接続部材の斜視図
【図13】図12の接続部材から保護部を外した状態を示す斜視図
【図14】その側面図
【図15】実施形態5の電池パックを摸式的に示した図
【図16】実施例で説明するバスバーD(銅製の接続部材)の平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
本発明の実施形態1の電池パック10を図1ないし図5によって説明する。
本実施形態の電池パック10は、複数の単電池11(本実施形態では6個)を、直列に並べてなる電池モジュール20を複数(本実施形態では2個)、直列に接続して構成される。図1は電池パック10を模式的に示した図であり、図3には2つの単電池11の接続部分を示している。
【0020】
隣り合う電池モジュール20,20間は、図1に示すように、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のモジュール接続バスバー16(モジュール接続部材の一例)により接続されることで電気的に接続されている。詳しくは、モジュール接続バスバー16は、電池モジュール20を構成する単電池11のうち、隣り合う電池モジュール20の単電池11と接続される単電池11に対してナット14締めにより接続されている。
【0021】
電池モジュール20を構成する単電池11は、金属製の電池ケース12に図示しない電解液と発電要素とを収容してなる。電池ケース12の上面には、図2および図3に示すように、上方に突出形成された正負の電極端子13A,13Bがそれぞれ設けられている。隣り合う単電池11は違う極性の電極端子13A,13B間に、ニッケルめっきを施した銅製の電池接続バスバー15(電池接続部材の一例)を接続することで、電気的に接続されている。電極端子13A,13Bは、詳細は図示しないが、ボルト状に形成されており、ナット14締めにより電池接続バスバー15と接続されている。
【0022】
本実施形態においては、2個の電池モジュール20,20間を接続するモジュール接続バスバー16、および各電池モジュール20を構成する単電池11のうち中央の2つの単電池11を接続する電池接続バスバー15(合計3つのバスバー)が、2つの接続部31,31間に他の部分よりも断面積の小さい部分(小断面積部33)が形成された小断面積部33を有する接続部材30である。
【0023】
小断面積部33を有する接続部材30(以下、単に「接続部材30」ともいう)の材料の具体例としては、純アルミニウム(JIS A1085、JIS A1050、JIS A1100などのJIS A1000系のもの)や、アルミニウム合金(JIS A3003などのJIS A3000系、JIS A2011などのJIS A2000系、JIS A5052などのJIS A5000系、JIS A6061などのJIS A6000系)、およびニッケル等でめっきされたアルミニウム合金などがあげられる。これらの材料は安価で入手が容易であるとともに加工が容易であるので好ましい。
本実施形態において、小断面積部33を有する接続部材30以外の他のバスバー15は銅または銅合金製である。
【0024】
小断面積部33を有する接続部材30の抵抗値は、他のバスバー15の抵抗値よりも大きく設定されている。したがって、電池パック10における電池11,11間を接続するバスバー15や電池モジュール20,20間を接続するバスバー16の全てを小断面積部33を有する接続部材30とすると、電池パック10全体の抵抗値が大きくなってしまう。そこで、本実施形態では、一部のバスバー(1つの電池接続バスバー15とモジュール接続バスバー16を小断面積部33を有する接続部材30)のみを小断面積部33を有する接続部材30として、抵抗値を抑えている。
【0025】
接続部材30においては、図4および図5に示すように、扁平形状の2つの端部31,31の間の領域34は、上方に突出した側面視円弧状に形成されている。扁平形状の2つの端部31,31は、電極端子13A,13Bを挿通可能な円形の端子挿通孔32,32が形成された接続部31,31である。
【0026】
接続部材30において、2つの接続部31,31間に形成された側面視円弧状の領域34は、接続部31(他の部分)よりも肉厚(厚み寸法)が小さく設定された薄肉部分33が形成された領域34である。この領域34の薄肉部分33は他の部分よりも断面積の小さい小断面積部33である。
【0027】
本実施形態の接続部材30において2つの接続部31,31の間の領域34は上方に迂回する形状(迂回状)に設けられており、全体として長方形の平板状をなすバスバーよりも電流の流れる部分が長くなっている。
【0028】
本実施形態の作用・効果について説明する。
本実施形態の電池パック10において異常な過大電流が流れると、接続部材30に形成された薄肉部分33は他の部分より高抵抗であるので、発熱量が大きくなって溶断し、電流が遮断される。つまり、本実施形態においては、他の部分よりも断面積の小さい小断面積部33を有する接続部材30が、電池モジュール20,20間および単電池11,11間を電気的に接続するだけでなく、ヒューズ機能をも有するので、別途ヒューズを取り付ける必要がなく部品点数を減らすことができる。
その結果、本実施形態によれば、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パック10を提供することができる。
【0029】
また、本実施形態では、複数の電池接続バスバー15のうち1つのみが小断面積部33を有する接続部材30であるので、電池パック10全体の抵抗を大きくすることがない。
【0030】
また、本実施形態においては、小断面積部33を有する接続部材30が、アルミニウム製またはアルミニウム合金製である。アルミニウムは銅よりも融点が低く導電率も低いという性質を有しているため、過大電流が流れたときにアルミニウム製またはアルミニウム合金製のバスバーでは銅製のバスバーよりも溶断が起こりやすい。したがって、本実施形態においては、過大電流が流れたときに溶断に要する時間が短くなるので、単電池11に与える熱影響を小さく抑えることができる。また、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のバスバーにヒューズ機能を付与するために薄肉部分33を形成する場合、当該薄肉部分33を銅製のバスバーに形成する場合よりも、肉厚が大きくてもよいので加工が容易である。加えて、アルミニウムは銅よりも柔らかいので、振動や衝撃等を受けたときに電極端子13A,13Bなどよりも先に変形し、電極端子13A,13Bにかかる負担を低減することもできる。また、一部のバスバーをアルミニウムまたはアルミニウム合金製とすることにより、電池パックを軽量化することができる。
【0031】
さらに、本実施形態によれば、小断面積部33を有する接続部材30の2つの接続部31,31の間の領域34は、迂回状をなしているから、異常な過大電流が流れたときに、接続部材30の薄肉部分33が形成されている領域34が他の部分よりも特に高抵抗となり発熱量が大きくなるので、溶断に要する時間が短くなる。
【0032】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図6ないし図8によって説明する。本実施形態の電池パックは、小断面積部43を有する接続部材40の形状が実施形態1と相違する。実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し重複する説明は省略する。
【0033】
本実施形態で用いる小断面積部43を有する接続部材40(以下、「接続部材40」ともいう)は、全域において同じ厚みであるが、図6〜図8に示すように、端子挿通孔32,32が形成された2つの接続部31,31の間に、上面視略S字状に屈曲した幅寸法の小さい幅狭部43を有している。当該幅狭部43は、他の部分よりも断面積(図8における上面に対して垂直な断面における面積)が小さくなっており、当該幅狭部43の略中央の部分43Aではさらに断面積が小さく設定されている。本実施形態においては、幅狭部43が小断面積部43である。
【0034】
接続部材40の幅狭部43の形成されている部分には、図6に示すように、強度保持のために樹脂製の保護部45が設けられている。保護部45は、図6に示すように、上面視枠状をなし、接続部材の幅狭部43を取り囲むように配されている。保護部45の上下部分は開口しており、保護部45の側面から接続部材40の2つの接続部31,31がそれぞれ導出されている。
【0035】
本実施形態によれば、他の部分よりも断面積が小さい部分である幅狭部43が形成されている接続部材40が、電池モジュール20,20間を電気的に接続するだけでなく、ヒューズ機能をも有する。その結果、本実施形態によっても、部品点数を減らしながらも、異常な過大電流が流れたときに電池を保護することのできる電池パックを提供することができる。
【0036】
また、本実施形態においても、接続部材40が、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であるから、実施形態1と同様に、過大電流が流れたときに溶断に要する時間が短くなるので、電池に与える熱影響を小さく抑えることができる。また、接続部材40がアルミニウム製またはアルミニウム合金製であるので加工が容易である。さらに、電池パックへの振動に対して端子13A,13Bにかかる負担を低減する効果もある。
【0037】
また、本実施形態においては、2つの接続部31,31の間の領域44は屈曲した形状(迂回形状)をなしているから、実施形態1と同様に、過大電流が流れたときに、領域44は他の部分よりも特に高抵抗となり発熱量が大きくなるので溶断に要する時間が短くなるという効果もある。
【0038】
さらに、本実施形態においては、幅狭部43(小断面積部)を取り囲むように樹脂製の保護部45が設けられているから、幅狭部43の強度が保持される。
【0039】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図9および図10によって説明する。本実施形態の電池パックは、小断面積部63を有する接続部材50の形状が実施形態1と相違する。実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し重複する説明は省略する。
【0040】
本実施形態において、接続部材50の扁平形状の2つの接続部31,31の間の領域54は、図9及び図10に示すように、上方に突出した側面視円弧状に形成されている。この実施形態の接続部材50の厚み寸法は全体においてほぼ同じである。
【0041】
本実施形態で用いる接続部材50において、2つの接続部31,31の間に形成された側面視円弧状の領域54の略中央部の両側縁には、他の部分よりも幅寸法が小さくなった弧状の凹み部53,53が形成されている。この凹み部53,53の形成されている部分においては他の部分よりも断面積(図10における上面に対して垂直な断面における面積)が小さくなっている。すなわち。凹み部53が小断面積部53である。本実施形態においても2つの接続部31,31の間の領域54は上方に迂回する形状(迂回状)をなしている。
したがって本実施形態によっても、上述の実施形態1と同様の効果を奏する。
【0042】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図11ないし図14によって説明する。本実施形態の電池パック70は、小断面積部63を有する接続部材60(接続部材60ともいう)の形状および、電池パック70を構成する電池モジュール20の数、接続部材60の接続位置等が実施形態1と相違する。実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し重複する説明は省略する。
【0043】
本実施形態の電池パック70は、図11に示すように、単電池11を6個直列に接続してなる電池モジュール20を4個接続してなるものである。4個の電池モジュール20の上には、4つの単電池にまたがるように単電池の電圧を監視する電圧監視基板71がそれぞれ載置されている。
【0044】
本実施形態では、図11における中央に配置された2つの電池モジュール20,20間を接続するモジュール接続バスバー16のみが小断面積部63を有する接続部材60である。
【0045】
本実施形態で用いる接続部材60においては、図13及び図14に示すように、扁平形状の2つの接続部31,31の間の領域64は、上方に突出した上面視U字状に形成されている。
【0046】
接続部材60において、2つの接続部31,31の間の上面視U字状の領域64は、図13および図14に示すように、2つの接続部31,31から連なり、各接続部31,31に対して略垂直に切り立つ2つの起立壁61,61と2つの起立壁61,61をつなげる帯状の連結部62とからなる。
【0047】
帯状の連結部62の略中央部においては、上側の端面と下側の端面に凹部63,63がそれぞれ形成され他の部分よりも断面積(図13における上面に対して垂直な断面における面積)が小さくなっている。凹部63が小断面積部63である。
【0048】
接続部材60の小断面積部63の周囲には、図12に示すように、強度保持のために樹脂製の保護部65が設けられている。保護部65は、図12に示すように、上面視枠状をなし、接続部材60の小断面積部63の周囲を取り囲むように配されている。保護部65の上下部分は開口している。
【0049】
本実施形態の接続部材60において2つの接続部31,31の間の領域64(上面視U字状の領域64)は、幅方向における外側に張り出した迂回状の形状をなしている。したがって本実施形態によっても、上述の実施形態1〜3と同様の効果を奏する。
【0050】
加えて本実施形態では、接続部材60において、2つの起立壁61,61の連結部62と反対側の端部61A,61Aが開放端となっており、起立壁61,61が振動を受けたときに内側にたわみやすくなっているので、電極端子13A,13Bに負荷がかかりにくいという効果も奏する。
【0051】
また、小断面積部63を有する接続部材60を、電池モジュール20間の接続のみに用いる(モジュール接続バスバー16としてのみ用いる)ので、過大電流が流れることにより小断面積部63が溶断したとしても、溶融物が単電池11上に配置した部材などに付着することがない。
【0052】
特に、本実施形態では、小断面積部63を有する接続部材60は電圧監視基板71が配置されていない単電池11に接続されているので、小断面積部63を有する接続部材60に過大電流が流れて溶断することで溶融物が生じても、電圧監視基板71に溶融物が付着するということを防ぐことができる。また上記のような構成とすると、単電池の電圧を監視することができるので、電池を確実に保護することができる。
【0053】
さらに、本実施形態では、1つのモジュール接続バスバー16のみが小断面積部63を有する接続部材60であるので、電池モジュールの抵抗値ならびに電池パックの抵抗値を低く抑えることができる。
【0054】
加えて、本実施形態においては、U字状の領域64を取り囲むように樹脂製の保護部65が設けられているから、U字状の領域64の強度が保持される。
【0055】
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を図15によって説明する。本実施形態の電池パック80は、実施形態4と同じ接続部材60を備えるが、その接続位置が相違する。
本実施形態の電池パック80では、電池モジュール20,20間を接続する全ての(3個の)モジュール接続バスバー16が小断面積部63を有する接続部材60である。なお、本実施形態の電池パック80には、電圧監視基板71が接続されていない。
【0056】
本実施形態によれば、全てのモジュール接続バスバー16が小断面積部63を有する接続部材60であるので、電池パック80内の一部の電池モジュール20,20間で外部短絡が発生した場合に、外部短絡が発生した電池モジュールを適切に遮断することができる。
【0057】
<実施例>
以下実施例により本発明をさらに説明する。
(接続部材の作製)
接続部材の材料として、JIS A1050の純アルミ(引張強度が70N/mm2)と、ニッケルめっきを施したJIS C1100の銅(引張強度が233N/mm2)を用いて、以下に説明する形状の接続部材を作製した。
【0058】
JIS A1050の純アルミを用いて、図4で示すような円弧状の部分を有するが、全体に均一な厚み(厚み寸法1mm)の接続部材を作製し、バスバーAとした。バスバーAの断面積は16mm2である。
ニッケルめっきを施したJIS C1100の銅を用いて、図4で示すような円弧状の部分を有するが、全体に均一な厚み(厚み寸法約1mm)の接続部材を作製し、バスバーBとした。バスバーBの断面積は16mm2である。
【0059】
JIS A1050の純アルミを用いて、図8で示す形状の小断面部を有する接続部材を作製し、バスバーCとした。バスバーCの小断面積部の断面積は約8.75mm2である。
【0060】
ニッケルめっきを施したJIS C1100の銅を用いて、図16に示す形状のバスバーを作製し、バスバーDとした。このバスバーDにおいては、略S字状をなす(屈曲状をなす)断面積の小さい部分の断面積を、バスバーCの断面積よりも小さく(約3分の1)に設定した。バスバーDの小断面積部の断面積は約3.75mm2である。
バスバーDは実施形態2のバスバーとおおむね同じ形状であるので、図16において実施形態2と同じ構成については同じ符号を付した。
【0061】
(評価試験)
(1)溶断時間の測定
上記バスバーAおよびバスバーBにそれぞれ、2000Aの電流を流して、溶断時間を測定し結果を表1に示した。電流計の測定電流が0Aになったときに溶断が発生したと判断した。なお電流を10秒間流しても溶断が発生しない場合は、溶断が起こらなかったと判断した。
【0062】
バスバーCおよびバスバーDに、それぞれ1000Aの電流を流して、溶断時間を測定し結果を表1に示した。電流計の測定電流が0Aになったときに溶断が発生したと判断した。
表1には銅の導電率を100%としたときのアルミニウムの導電率(%)を併せて示した。
【0063】
【表1】
【0064】
(結果と考察)
銅製でかつ、均一な厚みの(小断面積部のない)バスバーBでは溶断が起こらなかった。これに対して、小断面積部はないが抵抗値の高い材料(アルミ)で作製したバスバーAでは5秒で溶断が発生した。小断面積部の形成されたバスバーC(アルミ製)では3秒で溶断が発生し、小断面積部の形成されたバスバーD(銅製)では5秒で溶断が発生した。
【0065】
バスバーAとバスバーBとは全く同じ形状で同じ厚みであるが、バスバーAで溶断が起こりバスバーBで溶断が起こらなかったのは、バスバーAの材料が、バスバーBの材料である銅よりも導電率が小さい(抵抗値が大きい)アルミであることに起因すると考えられる。したがって、上記結果から、バスバーAとバスバーBとを単電池間の接続または電池モジュール間の接続に使用して電池パックを作製した場合、この電池パックに過大電流が流れたときに、他のバスバー(バスバーB)よりも抵抗値の高いバスバーAが溶断し、これにより電池が保護されると考えられる。
【0066】
また、上記結果から、小断面積部の形成されたバスバー(バスバーCおよびバスバーD)では、過大電流が流れたときに溶断が発生するので、このようなバスバーを備える電池パックでは、過大電流が流れた際に電池を保護することができるということがわかった。
【0067】
また、表1に示すように、アルミ製のバスバーCは銅製のバスバーDよりも溶断時間が短かった。銅製のバスバーにおいて、アルミニウム製のバスバーCと同等の溶断時間とするには、断面積をかなり小さくする必要があるということがわかった。
【0068】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、肉厚を小さく設定した薄肉部分を形成した接続部材と幅寸法を小さくして小断面積部を形成した接続部材を示したが、肉厚を小さくした薄肉部分に幅寸法の小さい部分を形成して小断面積部を形成してもよい。
(2)上記実施形態では小断面積部を有する接続部材としてアルミニウム製またはアルミニウム合金製のものを示したが、銅製または銅合金製のものであってもよい。
(3)上記実施形態では、2つの接続部の間の領域が迂回状をなす小断面積部を有する接続部材を備えるものを示したが、迂回状をなさない平板状のものに断面積の小さい部分を形成した接続部材を備えるものであってもよい。
(4)上記実施形態では、小断面積部を形成した接続部材を、モジュール接続バスバーおよび電池接続バスバーの1つとして用いた例、モジュール接続バスバーのみに用いた例を示したが、これに限定されない。例えば、1つの電池モジュールからなる電池パックにおいて、単電池間を接続する電池接続バスバーとして小断面積部を形成した接続部材または、他の接続部材よりも高抵抗の接続部材を用いてもよい。
また実施例で説明した高抵抗の接続部材(例えばバスバーA)と、これよりも抵抗値の小さい接続部材(例えばバスバーB)を用いて接続した電池パックにおいても、単電池間のみ、電池モジュール間のみ、あるいは双方に高抵抗の接続部材を用いもよい。
(5)上記実施形態では、電池と小断面積部を有する接続部材との接続にボルトナットで締結する例を示したが、電池と小断面積部を有する接続部材の接続は溶接によるものであってもよい。この場合、小断面積部を有する接続部材の接続部に孔は不要となる。
(6)上記実施形態としては電池接続部材として、ニッケルめっきを施した銅製のバスバーを示したが、他のめっき(例:スズめっき)を施した銅製のバスバーであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10,70,80...電池パック
11...単電池
12...電池ケース
13A...正極端子(電極端子)
13B...負極端子(電極端子)
15...電池接続バスバー(電池接続部材)
16...モジュール接続バスバー(モジュール接続部材)
20...電池モジュール
30,40,50,60...小断面積部を有する接続部材(接続部材)
31...接続部
32...端子挿通孔
33...薄肉部分(小断面積部)
34,44,54,64...2つの接続部の間の領域
43...幅狭部(小断面積部)
53...凹み部(小断面積部)
63...凹部(小断面積部)
71...電圧監視基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を接続してなる電池モジュールを一つまたは複数備える電池パックであって、
前記複数の単電池は、一の前記単電池と他の前記単電池とに接続される2つの接続部を有する電池接続部材により電気的に接続され、
複数の前記電池モジュールは、一の前記電池モジュールと他の前記電池モジュールとに接続される2つの接続部を有するモジュール接続部材により電気的に接続され、
前記電池接続部材および前記モジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、前記2つの接続部の間に他の部分よりも断面積が小さい小断面積部を有する接続部材であることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
複数の前記電池モジュールと、前記複数の電池モジュールを接続する前記モジュール接続部材とを備え、
少なくとも一つの前記モジュール接続部材が、前記小断面積部を有する接続部材であることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記小断面積部を有する接続部材は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
全ての前記モジュール接続部材が、前記小断面積部を有する接続部材であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記小断面積部を有する接続部材の、前記2つの接続部の間の領域は迂回状をなしていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記単電池の電圧を監視する電圧監視基板を備え、
前記小断面積部を有する接続部材は、前記電圧監視基板が配置されていない前記単電池に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
複数の単電池を接続してなる電池モジュールを一つまたは複数備える電池パックであって、
前記複数の単電池は、一の前記単電池と他の前記単電池とに接続される2つの接続部を有する電池接続部材により電気的に接続され、
複数の前記電池モジュールは、一の前記電池モジュールと他の前記電池モジュールとに接続される2つの接続部を有するモジュール接続部材により電気的に接続され、
前記電池接続部材および前記モジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、他のものよりも抵抗値が高く設定された高抵抗の接続部材であることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
前記高抵抗の接続部材はアルミニウム製またはアルミニウム合金製である一方、前記高抵抗の接続部材以外は、銅製または銅合金製であることを特徴とする請求項7に記載の電池パック。
【請求項1】
複数の単電池を接続してなる電池モジュールを一つまたは複数備える電池パックであって、
前記複数の単電池は、一の前記単電池と他の前記単電池とに接続される2つの接続部を有する電池接続部材により電気的に接続され、
複数の前記電池モジュールは、一の前記電池モジュールと他の前記電池モジュールとに接続される2つの接続部を有するモジュール接続部材により電気的に接続され、
前記電池接続部材および前記モジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、前記2つの接続部の間に他の部分よりも断面積が小さい小断面積部を有する接続部材であることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
複数の前記電池モジュールと、前記複数の電池モジュールを接続する前記モジュール接続部材とを備え、
少なくとも一つの前記モジュール接続部材が、前記小断面積部を有する接続部材であることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記小断面積部を有する接続部材は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
全ての前記モジュール接続部材が、前記小断面積部を有する接続部材であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記小断面積部を有する接続部材の、前記2つの接続部の間の領域は迂回状をなしていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記単電池の電圧を監視する電圧監視基板を備え、
前記小断面積部を有する接続部材は、前記電圧監視基板が配置されていない前記単電池に接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
複数の単電池を接続してなる電池モジュールを一つまたは複数備える電池パックであって、
前記複数の単電池は、一の前記単電池と他の前記単電池とに接続される2つの接続部を有する電池接続部材により電気的に接続され、
複数の前記電池モジュールは、一の前記電池モジュールと他の前記電池モジュールとに接続される2つの接続部を有するモジュール接続部材により電気的に接続され、
前記電池接続部材および前記モジュール接続部材から選ばれる少なくとも一つは、他のものよりも抵抗値が高く設定された高抵抗の接続部材であることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
前記高抵抗の接続部材はアルミニウム製またはアルミニウム合金製である一方、前記高抵抗の接続部材以外は、銅製または銅合金製であることを特徴とする請求項7に記載の電池パック。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−73929(P2013−73929A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214816(P2011−214816)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]