電源制御装置、電源制御装置の制御方法、およびプログラム
【課題】多様な信号規格の処理に対応する半導体集積回路において、様々な周期性の違いに伴いタイミングと時間幅が変わるアイドル状態に対応した電源制御を適用し、消費電力を低減する。
【解決手段】処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインを制御する電源制御装置であって、待機状態の発生期間および発生間隔を含む周期的特徴情報を取得する周期情報取得部103と、電源ドメインが待機状態における待機電圧から半導体集積回路が動作可能となる電圧へ復帰するまでに要する復帰時間と対応付けられた待機電圧候補から、発生期間よりも復帰時間が短くなる待機電圧を電源制御情報として設定する電源制御情報設定部104と、電源制御情報に従って発生期間における電源ドメインの待機電圧を制御する電源制御部105とを備える。
【解決手段】処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインを制御する電源制御装置であって、待機状態の発生期間および発生間隔を含む周期的特徴情報を取得する周期情報取得部103と、電源ドメインが待機状態における待機電圧から半導体集積回路が動作可能となる電圧へ復帰するまでに要する復帰時間と対応付けられた待機電圧候補から、発生期間よりも復帰時間が短くなる待機電圧を電源制御情報として設定する電源制御情報設定部104と、電源制御情報に従って発生期間における電源ドメインの待機電圧を制御する電源制御部105とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御装置、電源制御装置の制御方法、およびプログラムに関し、特に、画像処理や音声処理など処理に周期性を有する半導体集積回路の低電力化を行う電源制御装置、電源制御装置の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路は、高精細な画像処理など複雑な処理に用いられている。複雑な処理ほど消費電力が増大する傾向にある。また、耐熱性や信頼性の面からも消費電力の低減が重要である。
【0003】
半導体集積回路の消費電力は、処理状態における消費電力と、待機状態における消費電力とに区分される。このうち待機状態における消費電力は、例えば、MOSトランジスタにおけるリーク電流に依存している。リーク電流とは、MOSトランジスタがOFFの状態で、絶縁された場所または経路に漏れ出す電流である。
【0004】
待機状態での消費電力を低減するための技術として、パワーゲーティングが知られている。パワーゲーティングとは、待機状態において動作しない回路の機能ブロックへの電力供給を遮断する技術(以下、「電源遮断」と称する)である。パワーゲーティング対象の機能ブロックと電源との間には電源スイッチトランジスタが設けられており、待機状態では電源スイッチトランジスタがOFFにされ、パワーゲーティング対象の機能ブロックが電源遮断される。その結果、その機能ブロックのリーク電流が大幅に削減され、待機状態時の消費電力が低減される。
【0005】
しかしながら、パワーゲーティングでは、一度電源供給を遮断すると再度電源を投入してMOSトランジスタを活性化し、回路が動作可能な状態に復帰するまでに時間を要する。回路を構成するMOSトランジスタが動作可能な状態に復帰するのは、電源投入後数マイクロ秒程度であるが、周辺回路の動作に影響を及ぼさないように緩やかな電源投入が必要である。この復帰時間は、機能ブロックへの電力供給の方法、電源スイッチの構造、および半導体の個体差に依存しており、適切な時間幅を設定してパワーゲーティングが適用される必要がある。このため、従来パワーゲーティングは、復帰時間が問題にならない程度に十分長い時間間隔で機能ブロックを使用しないことが分かっており、かつ、処理が破綻しない待機状態に対してのみ用いられてきた。
【0006】
例えば、携帯電話では、通話に関する機能ブロックなどの待ち受け時には使用していない機能ブロックが電源遮断を伴う待機状態をとることができる。このような電源制御は、特許文献1に記載のように、レジスタ設定、専用命令、または割り込みなどによりシステムレベルで実施されている。
【0007】
また、特許文献2または特許文献3に記載のように、パワーゲーティングを行う際には、電圧状態を監視したり、復帰に要する時間を計測したりして、回路を構成するトランジスタが動作可能な状態であるかどうかを検知する方法が取られる。この方法により、復帰時間を考慮したパワーゲーティングのタイミング制御が可能である。
【0008】
一方、画像処理や音声処理では、信号規格にタイミングの規約があり、規格ごとに周期的に、処理状態と、処理を行わないアイドル状態とを繰り返すという特徴がある。例えば、画像処理では、水平方向の処理と垂直方向の処理とは、信号規格のタイミングに対応して、各々周期的に処理状態とアイドル状態とを繰り返す。また、画像区画処理とフレーム処理のような場合も同様に周期性を持ち処理状態とアイドル状態とを繰り返す。一般に、アイドル状態の時間は、電源遮断状態からの復帰時間よりも短い場合が多く、アイドル状態のタイミングと時間幅とが予測可能であっても電源遮断の対象とはならない。従って、アイドル状態でも回路は電源遮断がなされず、画像処理に際して省電力化が行われていない状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−259463号公報
【特許文献2】特開2008−40543号公報
【特許文献3】特開2008−72566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような状況に対応するために、電源遮断ではなく特定の電圧への減圧により復帰時間短縮を行うことが考えられる。しかしながら、様々な信号規格に対応するために、最小のアイドル状態の時間間隔に復帰時間が間に合うように減圧幅を設定すると、電圧を十分に変圧することができず、リーク電流の低減が不十分になるという課題がある。
【0011】
上記の課題に鑑み、本発明は、多様な信号規格の処理に対応する半導体集積回路において、様々な周期性の違いに伴ってタイミングと時間幅とが変わるアイドル状態に対応した電源制御を行い、低消費電力化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成する本発明に係る電源制御装置は、
処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインを制御する電源制御装置であって、
前記待機状態の発生期間および発生間隔を含む周期的特徴情報を取得する周期情報取得手段と、
前記電源ドメインが前記待機状態における待機電圧から前記半導体集積回路が動作可能となる電圧へ復帰するまでに要する復帰時間と対応付けられた待機電圧候補から、前記発生期間よりも前記復帰時間が短くなる待機電圧を電源制御情報として設定する電源制御情報設定手段と、
前記電源制御情報に従って前記発生期間における前記電源ドメインの待機電圧を制御する電源制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多様な信号規格の処理に対応する半導体集積回路において、様々な周期性の違いに伴ってタイミングと時間幅とが変わるアイドル状態に対応した電源制御が可能となり、低消費電力化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】半導体集積回路の電源を制御する第1実施形態に係る電源制御機構の構成を示す図。
【図2】従来型の電源制御機構の構成を示す図。
【図3】半導体集積回路における電源制御機構の実装例を示す図。
【図4】電源スイッチの構成例を示す図。
【図5】待機電圧からの復帰時間を説明する図。
【図6】動作モードAの動作状態を示す図。
【図7】動作モードBの動作状態を示す図。
【図8】周期情報取得部の構成例を示す図。
【図9】電源制御情報設定部の構成例を示す図。
【図10】電源制御部の構成例を示す図。
【図11】第2実施形態に係る電源制御機構の構成を示す図。
【図12】復帰時間測定部の構成例を示す図。
【図13】復帰時間1パス見積りを説明するタイミングチャートを示す図。
【図14】復帰時間測定部と併用する電源制御設定部の構成例を示す図。
【図15】第3実施形態に係る電源制御機構の構成を示す図。
【図16】待機状態から動作開始直前までの電流変化の様子を示す図。
【図17】電力情報取得部の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1を参照して、半導体集積回路の電源を制御する第1実施形態に係る電源制御機構の構成を説明する。本実施形態に係る電源制御機構は、電源コントローラ101と、電源ドメイン102と、電源スイッチ106とを備える。電源コントローラ101は、電源スイッチ106を介して電源ドメイン102を制御することにより、電源ドメイン102の電圧を制御する電源制御装置として機能する。
【0016】
電源コントローラ101は、周期情報取得部103と、電源制御情報設定部104と、電源制御部105とを備える。
【0017】
周期情報取得部103は、実施する処理の周期的特徴に関する1種類以上の情報を取得する。電源制御情報設定部104は、実施する処理の周期的特徴に関する情報に基づき、電源ドメイン102が待機電圧から回路が動作可能な電圧に復帰するのに要する復帰時間の長さに応じた待機状態の電源電圧を設定して、電源制御情報として保持する。電源制御部105は、電源制御情報設定部104により設定された電源制御情報に従って、電源ドメイン102の待機電圧を制御する。
【0018】
図2を参照して、従来型の半導体集積回路の電源を制御する第1実施形態に係る電源制御機構の構成を説明する。図2に示されるように、従来型の電源コントローラ201は、電源制御情報設定部104と、電源制御部105とを備える。従来は、電源制御情報設定部104が、直接のレジスタ設定や専用命令や割り込みなどのシステムレベルの制御を行うことにより電源制御を行っており、図1に示されるような周期情報取得部103の構成は有していない。
【0019】
図3は、半導体集積回路の内部の電源コントローラ、電源ドメインおよび電源スイッチを、図1あるいは図2の電源制御機構で共通に使用可能なフロアプランに従って実装した例を示している。
【0020】
図3において、半導体集積回路300の内部には、電源ドメイン301、電源ドメイン302、および電源ドメイン303の3つの電源ドメインが存在する。また、各々の電源ドメインに対応して、電源コントローラ304、電源コントローラ305、および電源コントローラ306が配置されている。さらに、各々の電源コントローラにより制御される電源スイッチは、図1に示される電源スイッチ106であり、各々の電源ドメインを囲むように電源スイッチ307、電源スイッチ308、および電源スイッチ309として配置されている。なお、図3では、各々の電源ドメインを囲むリング型の電源スイッチの実装例が示されるが、特定の型の電源スイッチである必要はなく、他の型の電源スイッチであってもよい。
【0021】
図4を参照して、図1に示される電源スイッチ106が図3の電源スイッチ307、電源スイッチ308および電源スイッチ309として実装された例を説明する。
【0022】
電源スイッチ106は、複数個のパワーゲーティングセル403がインスタンスされて形成される。個々のパワーゲーティングセル403は、パワーゲーティング回路401と、レギュレータ402とを備える。
【0023】
パワーゲーティング回路401は、スイッチPS1、スイッチPS2、スイッチPS3、およびスイッチPS4を備えている。スイッチPS1は処理状態での電力供給に使用され、スイッチPS2乃至スイッチPS4は待機状態での電圧設定に使用される。レギュレータ402は、出力される電圧・電流を常に一定に保つように制御する。また電源制御情報404は、個々のパワーゲーティング回路401が備えるスイッチPS1乃至スイッチPS4への指示情報として使用される。
【0024】
なお電源ドメインへの電力供給の際には、パワーゲーティング回路401のみが必須であり、レギュレータ402の実装形態は問わない。また、図4ではパワーゲーティングセル403の内部にレギュレータ402を含んでいるが、パワーゲーティングセル403の外部から、あるいは半導体集積回路の外部から必要な電力が供給されてもよい。
【0025】
図3の例では、複数個のパワーゲーティングセル403をリング状に配置することにより、電源スイッチ307、電源スイッチ308および電源スイッチ309が構成されている。 図5を参照して、待機状態の電圧をそれぞれGND、V1およびV2とした場合、それぞれの待機電圧に対して電圧の供給を開始して回路が動作可能になる電圧Vactになるまでに要する復帰時間を説明する。図5において、縦軸は電圧Vを示しており、横軸は時間Tを示している。復帰時間t1は、待機電圧GNDから電圧Vactになるまでに要する時間である。同様に、復帰時間t2は、待機電圧V1から電圧Vactになるまでに要する時間であり、復帰時間t3は、待機電圧V2から電圧Vactになるまでに要する時間である。これらt1〜t3に対応する各待機電圧が電源ドメインに設定すべき待機電圧候補となる。図5に示されるように、待機電圧GNDからの復帰時間t1が最も長く、待機電圧V1からの復帰時間t2がその次に長く、待機電圧V2からの復帰時間t3が最も短い。なお、図5の例では待機電圧が3種類であるものとして説明しているが、待機電圧の種類数はレギュレータや電源ドメインの構成に依存しており、その数に制限はない。また、待機電圧が取り得る値に関しても同様に制限はない。
【0026】
図6は、動作モードAでの処理状態と待機状態との時間間隔を示している。動作モードAでの処理をHD映像の画像処理とし、水平同期のアイドル状態(待機状態)の発生期間をTha、垂直同期のアイドル状態(待機状態)の発生期間をTvaとする。水平同期のアイドル状態は、発生間隔haで発生期間Thaの間発生する。同様に、垂直同期のアイドル状態は、発生間隔vaで発生期間Tvaの間発生する。
【0027】
ここで発生期間Thaが式(1)に示される関係を有するものとする。
【0028】
【数1】
【0029】
この場合、発生期間Thaが待機電圧V1からの復帰時間t2よりも長いことから、アイドル状態の発生期間Thaについては待機電圧V1の待機状態を設定することができる。
【0030】
同様に発生期間Tvaが式(2)に示される関係を有するものとする。
【0031】
【数2】
【0032】
この場合、発生期間Tvaが待機電圧GNDからの復帰時間t1よりも長いことから、アイドル状態の発生期間Tvaについては待機電圧GNDの待機状態を設定することができる。すなわち、電源遮断を伴う待機状態を設定することができる。
【0033】
一方図7は、動作モードBでの処理状態と待機状態との時間間隔を示している。動作モードBでの処理をフレーム数の多いSD映像の画像処理とし、水平同期のアイドル状態(待機状態)の発生期間をThb、垂直同期のアイドル状態(待機状態)の発生期間をTvbとする。水平同期のアイドル状態は、発生間隔hbで発生期間Thbの間発生する。同様に、垂直同期のアイドル状態は、発生間隔vbで発生期間Tvbの間発生する。
【0034】
ここで発生期間Thbが式(3)に示される関係を有するものとする。
【0035】
【数3】
【0036】
この場合、発生期間Thbが待機電圧V2からの復帰時間t3よりも長いことから、アイドル状態の発生期間Thbについては待機電圧V2の待機状態を設定することができる。
【0037】
同様に発生期間Tvbが式(2)に示される関係を有するものとする。
【0038】
【数4】
【0039】
この場合、発生期間Tvbが待機電圧V1からの復帰時間t2よりも長いことから、アイドル状態の発生期間Tvbについて待機電圧V1の待機状態を設定することができる。
【0040】
以上説明したように、図6のThaと図7のThb、図6のTvaと図7のTvbに対して各々異なる待機電圧を設定できる。このようにアイドル状態の発生期間および発生間隔に対応して、動作モードAではThaとTvaの各々に対して、動作モードBではThbとTvbの各々に対して、それぞれリーク電流を削減する適切な待機電圧を設定が可能になる。
【0041】
図8を参照して、図1に示した周期情報取得部103の構成例を説明する。周期情報取得部103は、2種類の周期情報を取得することを可能にするために、周期情報取得部801と、周期情報取得部802とを備えている。
【0042】
これら2つの周期情報取得部は、映像信号などのように周期的特徴を有する信号803を外部から取得して、それぞれ別々の周期性を持つアイドル状態に関する周期情報を取得する。
【0043】
例えば、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理が実行されるものとする。この場合、周期情報取得部801は、信号803から、アイドル状態の発生期間Thaの周期的特徴を取得し、周期情報804として後段の電源制御情報設定部104へ出力する。同様に、周期情報取得部802は、アイドル状態の発生期間Tvaの周期的特徴を取得し、周期情報805として後段の電源制御情報設定部104へ出力する。
【0044】
また、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理から、図7に示すモードBのような周期性のある処理へと処理が変更されたとする。この場合、周期情報取得部801は、処理の変更に伴って変化した信号803から、アイドル状態の発生期間Thbの周期的特徴を取得し、周期情報804として後段の電源制御情報設定部104へ出力する。同様に、周期情報取得部802は、アイドル状態の発生期間Tvbの周期的特徴を取得し、周期情報805として後段の電源制御情報設定部104へ出力する。
【0045】
また、本実施形態を実現するためには、アイドル状態の発生期間と発生間隔に関する情報を取得しなければならない。以下、周期情報取得部801および周期情報取得部802がどのようにして周期的に訪れるアイドル状態の発生期間と発生間隔を認識するかについて、図6および図7で示した映像信号を例にとって説明する。
【0046】
まず、水平同期および垂直同期の発生期間および発生間隔は、信号処理を行う機能ブロックの処理能力に依存しておらず、処理すべき映像信号や画格などから取得できる。つまり、水平方向および垂直方向の1回の処理に対して、画像処理が満たすべき開始と終了のタイミングは事前に決まっている。これらの情報は、映像信号から直接的にあるいは映像信号の解析によって、周期的特徴を有する信号803として周期情報取得部801、周期情報取得部802へそれぞれ送信される。従って、電源制御される機能ブロックの実質的な処理の終了タイミングを特定できればアイドル状態の発生期間と発生間隔とを取得できる。
【0047】
電源制御される機能ブロックの実質的な処理の終了タイミングを特定する第1の方法としては、機能ブロック自体が処理の終了を通知する終了通知信号を送信できる構成を設けることが考えられる。周期的特徴を有する信号803の1つとして、この終了通知信号を周期情報取得部801、周期情報取得部802へそれぞれ送信すればアイドル状態の発生期間と発生間隔とを求めることができる。
【0048】
また、電源制御される機能ブロックの実質的な処理の終了タイミングを特定する第2の方法としては、電源制御される機能ブロックの処理状態を監視することが考えられる。例えば、処理ピクセル数やライン数のカウンタを用いて処理に関する情報を取得する直接的な方法を利用したり、電流量等を監視するなど間接的な方法を利用したりすることで、機能ブロックの処理の終了を特定できる。処理の終了を特定できた場合に、同様に、周期的特徴を有する信号803の1つとして、終了通知信号を周期情報取得部801、周期情報取得部802へそれぞれ送信すればアイドル状態の発生期間と発生間隔とを求めることができる。
【0049】
また、アイドル状態の発生期間および発生間隔の取得方法に関連して、水平方向と垂直方向の処理の最初に、或いは、数回のうち1回の割合で、電源制御を行わずに常時活性化するサイクルを設け、その間の動作状態から以降の周期性を推定するなどの帰納的な方法を取ってもよい。
【0050】
次に、図9を参照して、図1に示した電源制御情報設定部104の構成例を説明する。電源制御情報設定部104は、図8を参照して説明した2種類の周期情報に応じた待機電圧の設定を可能にするために、待機電圧判定部901および電源制御情報保持部903、待機電圧判定部902および電源制御情報保持部904を備えている。
【0051】
図8での説明と同様に、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理が実行されるものとする。この場合、待機電圧判定部901は、周期情報取得部103から周期情報804を取得し、アイドル状態の発生期間Tha、アイドル状態の発生間隔haに対して、電圧V1が設定すべき待機電圧であると判定する。電源制御情報設定部104は、待機電圧判定部901により判定された待機電圧に関する情報を、電源制御情報905として電源制御部105へ出力する。電源制御情報905を電源制御情報保持部903に一次的に保持しておき、必要に応じて電源制御情報保持部903から読み出して出力する構成、または直接電源制御部105へ出力する構成の何れであってもよい。
【0052】
同様に、待機電圧判定部902は、周期情報取得部103から周期情報805を取得し、アイドル状態の発生期間Tvaおよびアイドル状態の発生間隔vaに関して、電圧GNDが設定すべき待機電圧であると判定する。電源制御情報設定部104は、待機電圧判定部901により判定された待機電圧に関する情報を、電源制御情報906として電源制御部105へ出力する。電源制御情報906を電源制御情報保持部904に一次的に保持しておき、必要に応じて電源制御情報保持部904から読み出して出力する構成、または直接電源制御部105へ出力する構成の何れであってもよい。
【0053】
また、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理から、図7に示すモードBのような周期性のある処理へと処理が変更されたとする。この場合も、電源制御情報設定部104は、動作モードAに対する動作と同じ処理により、アイドル状態の発生期間Thbに関して得られた待機電圧に関する情報を電源制御情報905として、アイドル状態の発生期間Tvbに関して得られた待機電圧に関する情報を電源制御情報906として、電源制御部105へ出力することができる。
【0054】
さらに、図10を参照して、図1に示した電源制御部105の構成例を説明する。電源制御部105は、電源制御同期化部1001と、電源制御同期化部1002と、電源制御統合部1003とを備える。電源制御同期化部1001は、電源制御情報905と、同期タイミング情報1004とを取得して、待機電圧の設定を実際の処理に同期させる。同様に、電源制御同期化部1002は、電源制御情報906と、同期タイミング情報1004とを取得して、待機電圧の設定を実際の処理に同期させる。電源制御統合部1003は、個々の電源制御情報を電源ドメイン全体の電源制御情報1005として統合して電源スイッチ106へ出力する。
【0055】
ここで同期タイミング情報1004とは、電源ドメインの処理に利用される基準タイミング信号であり、図6および図7に示したような処理シーケンスのタイミングを示す信号である。同期タイミング情報1004は、リアルタイムに進行している処理に対し、電源制御同期化部1001、1002が電源制御情報905、906をアサート、または、ネゲートするタイミングを決定するために使用される。図8での説明と同様に、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理が実行されるものとする。この場合、電源制御同期化部1001は、アイドル状態の発生期間Thaに関する電源制御情報905を、実際の処理のリアルタイムなタイミングを示す同期タイミング情報1004に従ってアイドル状態の発生間隔haのタイミングに同期化し、電源制御統合部1003へ出力する。
【0056】
同様に、電源制御同期化部1002は、アイドル状態の発生期間Tvaに関する電源制御情報906を、同期タイミング情報1004に従ってアイドル状態の発生間隔vaのタイミングに同期化し、電源制御統合部1003へ出力する。電源制御統合部1003は、実際の処理に同期した2つの電源制御情報を統合して、電源ドメイン全体の電源制御情報1005として電源スイッチ106へ出力する。
【0057】
また、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理から、図7に示すモードBのような周期性のある処理へと処理が変更されたとする。この場合も、アイドル状態の発生期間Thaが発生期間Thbに、発生間隔haが発生間隔hbに、発生期間Tvaが発生期間Tvbに、発生間隔vaが発生間隔vbに変わるのに伴い、電源制御情報905、電源制御情報906の内容も更新される。これと同時に、同期タイミング情報1004も動作モードBのものに更新される。そのため処理を破綻させることなく待機電圧の設定が変更できる。
【0058】
なお、以上の説明は画像処理を例としたので、周期情報取得部103、電源制御情報設定部104において電源制御情報を取得する系を2系統とし、電源制御部105において待機電圧の投入タイミングを統合する構成を示した。しかしながら、電源制御情報を取得する系が、単系統や3つ以上の系統であっても、同様に個々の電源制御情報を取得して待機電圧の適切な投入タイミングを設定することができる。
【0059】
また、パワーゲーティング回路401内のスイッチ数または待機電圧に関しても、画像処理を例とした場合のスイッチ数または待機電圧の一例であり、スイッチ数や待機電圧に制限はない。
【0060】
以上説明したように、処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインの電圧を制御する電源制御装置は、処理の周期的特徴情報を取得し、待機状態の待機電圧からの復帰時間の長さに応じてその周期的特徴情報と予め対応付けられた待機電圧を、電源制御情報として設定し、その電源制御情報に従って電源ドメインの待機電圧を制御する。
【0061】
これにより、多様な信号規格の処理に対応する半導体集積回路でも、様々な周期性の違いに伴ってアイドル発生期間および発生間隔が変わるアイドル状態に対応した電源制御を適用することができ、十分な消費電力の低減効果を得ることができる。
【0062】
(第2実施形態)
図11を参照して、半導体集積回路の電源を制御する第2実施形態に係る電源制御機構の構成を説明する。本実施形態に係る電源制御機構は、第1実施形態と同様に、電源コントローラ101と、電源ドメイン102と、電源スイッチ106とを備える。第1実施形態と異なる点は、電源コントローラ101が、電源ドメイン102の待機電圧からの復帰時間を測定する復帰時間測定部1101をさらに備えていることである。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ参照番号が付されており、説明を省略する。
【0063】
半導体集積回路には製造バラツキが存在するため、一律の復帰時間の設定を行うとその設定値では動作できない個体が出てくる可能性がある。そこで、本実施形態では、復帰時間測定部1101により個体固有の復帰時間を測定し、測定された復帰時間の情報を電源制御情報設定部104による待機電圧の設定に反映させる構成をとる。これにより個体に適した待機電圧を設定することが可能となり、動作できない個体が生じないように調整できるようになる。
【0064】
図12を参照して、復帰時間測定部1101の内部構成および復帰時間測定部1101の周辺構成の例を説明する。
【0065】
図12において、参照電圧生成部1201は、図6および図7で示した電圧V1、V2、およびVactの3状態の電圧を生成する。参照電圧生成部1201により生成される個々の電圧は、後述する電圧比較部1207、電圧比較部1208、および電圧比較部1209により参照される。参照電圧生成部1201は、構成方法や配置方法が一様ではないため復帰時間測定部1101には含まれていないが、復帰時間測定部1101が参照電圧生成部1201を含む構成であってもよい。
【0066】
電源スイッチ106は、入力された電源投入情報1202に従って、スイッチPS1を通じて電源電圧VDDを電源に供給する。
【0067】
図12において、復帰時間測定部1101は、復帰時間測定の形態の1例として1パス測定で復帰時間の参考情報を取得する。復帰時間測定部1101は、電圧比較部1207と、電圧比較部1208と、電圧比較部1209と、タイマー1210と、タイマー1211と、タイマー1212とを備える。
【0068】
電圧比較部1207、電圧比較部1208、および電圧比較部1209は、一方のセンス端子を用いて電源ドメイン電圧の参照ノード1206をそれぞれプローブする。電圧比較部11207は、もう一方のセンス端子を用いて、電圧V1の参照ノード1203をプローブし、電源ドメイン電圧がV1を超えた場合にタイマー1211へスタート信号を示す“スタート2”を通知する。電圧比較部1208は、もう一方のセンス端子を用いて、電圧V2の参照ノード1204をプローブし、電源ドメイン電圧がV2を超えた場合にタイマー1212へスタート信号を示す“スタート3”を通知する。
【0069】
タイマー1210は、電源投入情報1202を、スタート信号を示す”スタート1”として通知される。電圧比較部1209は、もう一方のセンス端子を用いて、電圧Vactの参照ノード1205をプローブし、電源ドメイン電圧がVactを超えた場合にタイマー1210、タイマー1211、およびタイマー1212のそれぞれへ、ストップ信号を示す”ストップ”を通知する。これにより各タイマーの計測が終了する。計測された各タイマーの値は、電源遮断からの復帰時間情報1216、電圧V1からの復帰時間情報1217、電圧V2からの復帰時間情報1218として、それぞれ電源制御情報設定部104へ出力される。
【0070】
図13を参照して、図12の復帰時間測定部1101が有する各タイマーのカウントが順次スタートし、Vactを超えたところで全てのタイマーが同時に計測を終了する様子を説明する。縦軸の電圧Vは、横軸の時間Tの経過に伴ってGNDからV1、V2と増大し、Vactを超えて一定の電圧になる。スタート1からストップまでの時間t1が電源遮断からの復帰時間情報1216である。同様にスタート2からストップまでの時間t2が電圧V1からの復帰時間情報1217であり、スタート3からストップまでの時間t3が電圧V2からの復帰時間情報1218である。
【0071】
なお、復帰時間測定部1101の構成は1パス測定に限定されない。また各々の待機状態から個別に復帰時間計測を行ったり、実際の待機状態から復帰時に再計測したりしてもよく、測定方法に拠らない。このとき、取られる測定方法に従って電圧比較部とタイマーは共有化、あるいは、多重化するように構成の変更がなされる。また、プローブ個所は最低電圧部分であっても良いし、複数の個所に複数の復帰時間測定部1101を設置して最も復帰の遅い部分から測定値を採用しても構わない。
【0072】
図14を参照して、第2実施形態に係る電源制御情報設定部104の構成を説明する。第2実施形態に係る電源制御情報設定部104は、図9を参照して説明した電源制御情報設定部104の構成に加えて、タイミング比較部1401と、タイミング比較部1402と、タイミング比較部1403とをさらに備えている。
【0073】
タイミング比較部1401は、復帰時間測定部1101から取得した電源遮断からの復帰時間情報1216と、周期情報取得部103から取得した周期情報804および周期情報805とを比較し、これらの待機時間内に電源遮断からの復帰が可能であるか否かを判定する。タイミング比較部1402は、復帰時間測定部1101から取得した電圧V1からの復帰時間情報1217と、周期情報取得部103から取得した周期情報804および周期情報805とを比較し、これらの待機時間内に電圧V1からの復帰が可能であるか否かを判定する。タイミング比較部1403は、復帰時間測定部1101から取得した電圧V2からの復帰時間情報1218と、周期情報取得部103から取得した周期情報804および周期情報805とを比較し、これらの待機時間内に電圧V2からの復帰が可能であるか否かを判定する。
【0074】
待機電圧判定部901および待機電圧判定部902は、復帰可能と判定された待機電圧のうち最も電圧が低いものを待機電圧として設定し、電源制御情報とする。以降の処理は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0075】
本実施形態によれば、半導体集積回路の個体バラツキに対応しながら、復帰時間を適切に選択して十分な消費電力の低減効果を得ることができる。
【0076】
(第3実施形態)
図15を参照して、半導体集積回路の電源を制御する第3実施形態に係る電源制御機構の構成を説明する。本実施形態に係る電源制御機構は、第1実施形態と同様に、電源コントローラ101と、電源ドメイン102と、電源スイッチ106とを備える。第1実施形態と異なる点は、電源コントローラ101が、電源ドメイン102の電力に関する情報を取得する電力情報取得部1501をさらに備えていることである。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ参照番号が付されており、説明を省略する。
【0077】
リーク電流の削減の観点から、単純に復帰時間を満たすという理由だけで待機電圧を決定してしまうと電源スイッチのONに伴う電力を考慮することが出来ない場合がある。そこで、本実施形態では待機電圧設定中におけるリーク電力と電源スイッチのONの際に生じる電力との両方を考慮してトータルの電力が最も少なくなる構成を説明する。
【0078】
図16を参照して、リーク電流に伴う電力と電源スイッチONに伴う電力とのトータルについて説明する。縦軸は電流であり、横軸は時間Tである。図16は、電圧GND、V1、V2からの復帰時間t1、t2、t3を満たす同一の待機時間Tpの間の、待機状態から動作開始直前までの電流変化を示している。
【0079】
図16の各曲線で、スイッチがONにされるまでのフラットな部分は、各待機電圧でのリーク電流を表しており、GNDで待機する場合が最も小さく、V2で待機する場合が最も大きい。
【0080】
また、各曲線で現れる山の面積は、電源スイッチがOFFの状態あるいは待機状態、から、動作可能な状態になるまでにチャージされる電力であり、GNDで待機する場合が最も大きく、V2で待機する場合が最も小さい。
【0081】
待機状態から動作可能な状態になるまでのトータルの電力はそれぞれ、図16の各曲線の積分値であり、待機時間Tpの間に最も小さな電力を示す待機状態を選ぶことにより、最も効果的な省電力化が可能になる。ここで、電圧GND、V1、V2からの待機時間Tpで復帰する場合のトータルの電力をそれぞれ電力Pg、Pv1、Pv2としたとき、式(5)の関係が成立するものとする。
【0082】
【数5】
【0083】
この場合、待機時間Tpという前提での省電力化が可能な待機電圧はGNDではなくV1となる。
【0084】
図17を参照して、図15に示した電力情報取得部1501の構成と、電力情報取得部1501に対応した電源制御情報設定部104の構成を説明する。
【0085】
電力情報取得部1501は、電力情報推定部1701と、電力情報推定部1702とを備える。
【0086】
例えば、電力情報推定部1701は、待機状態に採りうる幾つかの待機電圧の候補と周期情報804により得られる待機時間幅とから、電源スイッチONに伴う電力およびリーク電力を推定する。電力情報推定部1701により推定された電力成分の情報は、待機電圧判定部901へ送信される。待機電圧判定部901は、復帰時間を満足するものの中で最もトータル電力の推定値が最も小さいものを待機電圧として設定するように判定する。
【0087】
同様に、電力情報推定部1702は、待機状態に採りうる幾つかの待機電圧の候補と周期情報805により得られる待機時間幅とから、電源スイッチONに伴う電力およびリーク電力を推定する。電力情報推定部1702により推定された電力成分の情報は、待機電圧判定部902へ送信される。待機電圧判定部902は、復帰時間を満足するものの中で最もトータル電力の推定値が小さいものを待機電圧として設定するように判定する。以降の処理は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、電力情報取得部1501は、実際に電源ドメインの電力を測定して電力成分の情報を取得する構成をとってもよい。
【0088】
このように、電力情報取得部1501は、半導体集積回路が待機状態から動作可能な状態へ変化する際に消費される消費電力の情報を待機電圧候補ごとに取得し、電源制御情報設定部104は、待機状態の発生期間よりも復帰時間が短くなる待機電圧であって、消費電力が最小となる待機電圧を電源制御情報として設定する。
【0089】
本実施形態によれば、リーク電力だけでなく待機状態から復帰する際の電力を含むトータルの消費電力の低減が可能になる。
【0090】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御装置、電源制御装置の制御方法、およびプログラムに関し、特に、画像処理や音声処理など処理に周期性を有する半導体集積回路の低電力化を行う電源制御装置、電源制御装置の制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路は、高精細な画像処理など複雑な処理に用いられている。複雑な処理ほど消費電力が増大する傾向にある。また、耐熱性や信頼性の面からも消費電力の低減が重要である。
【0003】
半導体集積回路の消費電力は、処理状態における消費電力と、待機状態における消費電力とに区分される。このうち待機状態における消費電力は、例えば、MOSトランジスタにおけるリーク電流に依存している。リーク電流とは、MOSトランジスタがOFFの状態で、絶縁された場所または経路に漏れ出す電流である。
【0004】
待機状態での消費電力を低減するための技術として、パワーゲーティングが知られている。パワーゲーティングとは、待機状態において動作しない回路の機能ブロックへの電力供給を遮断する技術(以下、「電源遮断」と称する)である。パワーゲーティング対象の機能ブロックと電源との間には電源スイッチトランジスタが設けられており、待機状態では電源スイッチトランジスタがOFFにされ、パワーゲーティング対象の機能ブロックが電源遮断される。その結果、その機能ブロックのリーク電流が大幅に削減され、待機状態時の消費電力が低減される。
【0005】
しかしながら、パワーゲーティングでは、一度電源供給を遮断すると再度電源を投入してMOSトランジスタを活性化し、回路が動作可能な状態に復帰するまでに時間を要する。回路を構成するMOSトランジスタが動作可能な状態に復帰するのは、電源投入後数マイクロ秒程度であるが、周辺回路の動作に影響を及ぼさないように緩やかな電源投入が必要である。この復帰時間は、機能ブロックへの電力供給の方法、電源スイッチの構造、および半導体の個体差に依存しており、適切な時間幅を設定してパワーゲーティングが適用される必要がある。このため、従来パワーゲーティングは、復帰時間が問題にならない程度に十分長い時間間隔で機能ブロックを使用しないことが分かっており、かつ、処理が破綻しない待機状態に対してのみ用いられてきた。
【0006】
例えば、携帯電話では、通話に関する機能ブロックなどの待ち受け時には使用していない機能ブロックが電源遮断を伴う待機状態をとることができる。このような電源制御は、特許文献1に記載のように、レジスタ設定、専用命令、または割り込みなどによりシステムレベルで実施されている。
【0007】
また、特許文献2または特許文献3に記載のように、パワーゲーティングを行う際には、電圧状態を監視したり、復帰に要する時間を計測したりして、回路を構成するトランジスタが動作可能な状態であるかどうかを検知する方法が取られる。この方法により、復帰時間を考慮したパワーゲーティングのタイミング制御が可能である。
【0008】
一方、画像処理や音声処理では、信号規格にタイミングの規約があり、規格ごとに周期的に、処理状態と、処理を行わないアイドル状態とを繰り返すという特徴がある。例えば、画像処理では、水平方向の処理と垂直方向の処理とは、信号規格のタイミングに対応して、各々周期的に処理状態とアイドル状態とを繰り返す。また、画像区画処理とフレーム処理のような場合も同様に周期性を持ち処理状態とアイドル状態とを繰り返す。一般に、アイドル状態の時間は、電源遮断状態からの復帰時間よりも短い場合が多く、アイドル状態のタイミングと時間幅とが予測可能であっても電源遮断の対象とはならない。従って、アイドル状態でも回路は電源遮断がなされず、画像処理に際して省電力化が行われていない状況である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−259463号公報
【特許文献2】特開2008−40543号公報
【特許文献3】特開2008−72566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような状況に対応するために、電源遮断ではなく特定の電圧への減圧により復帰時間短縮を行うことが考えられる。しかしながら、様々な信号規格に対応するために、最小のアイドル状態の時間間隔に復帰時間が間に合うように減圧幅を設定すると、電圧を十分に変圧することができず、リーク電流の低減が不十分になるという課題がある。
【0011】
上記の課題に鑑み、本発明は、多様な信号規格の処理に対応する半導体集積回路において、様々な周期性の違いに伴ってタイミングと時間幅とが変わるアイドル状態に対応した電源制御を行い、低消費電力化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成する本発明に係る電源制御装置は、
処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインを制御する電源制御装置であって、
前記待機状態の発生期間および発生間隔を含む周期的特徴情報を取得する周期情報取得手段と、
前記電源ドメインが前記待機状態における待機電圧から前記半導体集積回路が動作可能となる電圧へ復帰するまでに要する復帰時間と対応付けられた待機電圧候補から、前記発生期間よりも前記復帰時間が短くなる待機電圧を電源制御情報として設定する電源制御情報設定手段と、
前記電源制御情報に従って前記発生期間における前記電源ドメインの待機電圧を制御する電源制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多様な信号規格の処理に対応する半導体集積回路において、様々な周期性の違いに伴ってタイミングと時間幅とが変わるアイドル状態に対応した電源制御が可能となり、低消費電力化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】半導体集積回路の電源を制御する第1実施形態に係る電源制御機構の構成を示す図。
【図2】従来型の電源制御機構の構成を示す図。
【図3】半導体集積回路における電源制御機構の実装例を示す図。
【図4】電源スイッチの構成例を示す図。
【図5】待機電圧からの復帰時間を説明する図。
【図6】動作モードAの動作状態を示す図。
【図7】動作モードBの動作状態を示す図。
【図8】周期情報取得部の構成例を示す図。
【図9】電源制御情報設定部の構成例を示す図。
【図10】電源制御部の構成例を示す図。
【図11】第2実施形態に係る電源制御機構の構成を示す図。
【図12】復帰時間測定部の構成例を示す図。
【図13】復帰時間1パス見積りを説明するタイミングチャートを示す図。
【図14】復帰時間測定部と併用する電源制御設定部の構成例を示す図。
【図15】第3実施形態に係る電源制御機構の構成を示す図。
【図16】待機状態から動作開始直前までの電流変化の様子を示す図。
【図17】電力情報取得部の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
図1を参照して、半導体集積回路の電源を制御する第1実施形態に係る電源制御機構の構成を説明する。本実施形態に係る電源制御機構は、電源コントローラ101と、電源ドメイン102と、電源スイッチ106とを備える。電源コントローラ101は、電源スイッチ106を介して電源ドメイン102を制御することにより、電源ドメイン102の電圧を制御する電源制御装置として機能する。
【0016】
電源コントローラ101は、周期情報取得部103と、電源制御情報設定部104と、電源制御部105とを備える。
【0017】
周期情報取得部103は、実施する処理の周期的特徴に関する1種類以上の情報を取得する。電源制御情報設定部104は、実施する処理の周期的特徴に関する情報に基づき、電源ドメイン102が待機電圧から回路が動作可能な電圧に復帰するのに要する復帰時間の長さに応じた待機状態の電源電圧を設定して、電源制御情報として保持する。電源制御部105は、電源制御情報設定部104により設定された電源制御情報に従って、電源ドメイン102の待機電圧を制御する。
【0018】
図2を参照して、従来型の半導体集積回路の電源を制御する第1実施形態に係る電源制御機構の構成を説明する。図2に示されるように、従来型の電源コントローラ201は、電源制御情報設定部104と、電源制御部105とを備える。従来は、電源制御情報設定部104が、直接のレジスタ設定や専用命令や割り込みなどのシステムレベルの制御を行うことにより電源制御を行っており、図1に示されるような周期情報取得部103の構成は有していない。
【0019】
図3は、半導体集積回路の内部の電源コントローラ、電源ドメインおよび電源スイッチを、図1あるいは図2の電源制御機構で共通に使用可能なフロアプランに従って実装した例を示している。
【0020】
図3において、半導体集積回路300の内部には、電源ドメイン301、電源ドメイン302、および電源ドメイン303の3つの電源ドメインが存在する。また、各々の電源ドメインに対応して、電源コントローラ304、電源コントローラ305、および電源コントローラ306が配置されている。さらに、各々の電源コントローラにより制御される電源スイッチは、図1に示される電源スイッチ106であり、各々の電源ドメインを囲むように電源スイッチ307、電源スイッチ308、および電源スイッチ309として配置されている。なお、図3では、各々の電源ドメインを囲むリング型の電源スイッチの実装例が示されるが、特定の型の電源スイッチである必要はなく、他の型の電源スイッチであってもよい。
【0021】
図4を参照して、図1に示される電源スイッチ106が図3の電源スイッチ307、電源スイッチ308および電源スイッチ309として実装された例を説明する。
【0022】
電源スイッチ106は、複数個のパワーゲーティングセル403がインスタンスされて形成される。個々のパワーゲーティングセル403は、パワーゲーティング回路401と、レギュレータ402とを備える。
【0023】
パワーゲーティング回路401は、スイッチPS1、スイッチPS2、スイッチPS3、およびスイッチPS4を備えている。スイッチPS1は処理状態での電力供給に使用され、スイッチPS2乃至スイッチPS4は待機状態での電圧設定に使用される。レギュレータ402は、出力される電圧・電流を常に一定に保つように制御する。また電源制御情報404は、個々のパワーゲーティング回路401が備えるスイッチPS1乃至スイッチPS4への指示情報として使用される。
【0024】
なお電源ドメインへの電力供給の際には、パワーゲーティング回路401のみが必須であり、レギュレータ402の実装形態は問わない。また、図4ではパワーゲーティングセル403の内部にレギュレータ402を含んでいるが、パワーゲーティングセル403の外部から、あるいは半導体集積回路の外部から必要な電力が供給されてもよい。
【0025】
図3の例では、複数個のパワーゲーティングセル403をリング状に配置することにより、電源スイッチ307、電源スイッチ308および電源スイッチ309が構成されている。 図5を参照して、待機状態の電圧をそれぞれGND、V1およびV2とした場合、それぞれの待機電圧に対して電圧の供給を開始して回路が動作可能になる電圧Vactになるまでに要する復帰時間を説明する。図5において、縦軸は電圧Vを示しており、横軸は時間Tを示している。復帰時間t1は、待機電圧GNDから電圧Vactになるまでに要する時間である。同様に、復帰時間t2は、待機電圧V1から電圧Vactになるまでに要する時間であり、復帰時間t3は、待機電圧V2から電圧Vactになるまでに要する時間である。これらt1〜t3に対応する各待機電圧が電源ドメインに設定すべき待機電圧候補となる。図5に示されるように、待機電圧GNDからの復帰時間t1が最も長く、待機電圧V1からの復帰時間t2がその次に長く、待機電圧V2からの復帰時間t3が最も短い。なお、図5の例では待機電圧が3種類であるものとして説明しているが、待機電圧の種類数はレギュレータや電源ドメインの構成に依存しており、その数に制限はない。また、待機電圧が取り得る値に関しても同様に制限はない。
【0026】
図6は、動作モードAでの処理状態と待機状態との時間間隔を示している。動作モードAでの処理をHD映像の画像処理とし、水平同期のアイドル状態(待機状態)の発生期間をTha、垂直同期のアイドル状態(待機状態)の発生期間をTvaとする。水平同期のアイドル状態は、発生間隔haで発生期間Thaの間発生する。同様に、垂直同期のアイドル状態は、発生間隔vaで発生期間Tvaの間発生する。
【0027】
ここで発生期間Thaが式(1)に示される関係を有するものとする。
【0028】
【数1】
【0029】
この場合、発生期間Thaが待機電圧V1からの復帰時間t2よりも長いことから、アイドル状態の発生期間Thaについては待機電圧V1の待機状態を設定することができる。
【0030】
同様に発生期間Tvaが式(2)に示される関係を有するものとする。
【0031】
【数2】
【0032】
この場合、発生期間Tvaが待機電圧GNDからの復帰時間t1よりも長いことから、アイドル状態の発生期間Tvaについては待機電圧GNDの待機状態を設定することができる。すなわち、電源遮断を伴う待機状態を設定することができる。
【0033】
一方図7は、動作モードBでの処理状態と待機状態との時間間隔を示している。動作モードBでの処理をフレーム数の多いSD映像の画像処理とし、水平同期のアイドル状態(待機状態)の発生期間をThb、垂直同期のアイドル状態(待機状態)の発生期間をTvbとする。水平同期のアイドル状態は、発生間隔hbで発生期間Thbの間発生する。同様に、垂直同期のアイドル状態は、発生間隔vbで発生期間Tvbの間発生する。
【0034】
ここで発生期間Thbが式(3)に示される関係を有するものとする。
【0035】
【数3】
【0036】
この場合、発生期間Thbが待機電圧V2からの復帰時間t3よりも長いことから、アイドル状態の発生期間Thbについては待機電圧V2の待機状態を設定することができる。
【0037】
同様に発生期間Tvbが式(2)に示される関係を有するものとする。
【0038】
【数4】
【0039】
この場合、発生期間Tvbが待機電圧V1からの復帰時間t2よりも長いことから、アイドル状態の発生期間Tvbについて待機電圧V1の待機状態を設定することができる。
【0040】
以上説明したように、図6のThaと図7のThb、図6のTvaと図7のTvbに対して各々異なる待機電圧を設定できる。このようにアイドル状態の発生期間および発生間隔に対応して、動作モードAではThaとTvaの各々に対して、動作モードBではThbとTvbの各々に対して、それぞれリーク電流を削減する適切な待機電圧を設定が可能になる。
【0041】
図8を参照して、図1に示した周期情報取得部103の構成例を説明する。周期情報取得部103は、2種類の周期情報を取得することを可能にするために、周期情報取得部801と、周期情報取得部802とを備えている。
【0042】
これら2つの周期情報取得部は、映像信号などのように周期的特徴を有する信号803を外部から取得して、それぞれ別々の周期性を持つアイドル状態に関する周期情報を取得する。
【0043】
例えば、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理が実行されるものとする。この場合、周期情報取得部801は、信号803から、アイドル状態の発生期間Thaの周期的特徴を取得し、周期情報804として後段の電源制御情報設定部104へ出力する。同様に、周期情報取得部802は、アイドル状態の発生期間Tvaの周期的特徴を取得し、周期情報805として後段の電源制御情報設定部104へ出力する。
【0044】
また、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理から、図7に示すモードBのような周期性のある処理へと処理が変更されたとする。この場合、周期情報取得部801は、処理の変更に伴って変化した信号803から、アイドル状態の発生期間Thbの周期的特徴を取得し、周期情報804として後段の電源制御情報設定部104へ出力する。同様に、周期情報取得部802は、アイドル状態の発生期間Tvbの周期的特徴を取得し、周期情報805として後段の電源制御情報設定部104へ出力する。
【0045】
また、本実施形態を実現するためには、アイドル状態の発生期間と発生間隔に関する情報を取得しなければならない。以下、周期情報取得部801および周期情報取得部802がどのようにして周期的に訪れるアイドル状態の発生期間と発生間隔を認識するかについて、図6および図7で示した映像信号を例にとって説明する。
【0046】
まず、水平同期および垂直同期の発生期間および発生間隔は、信号処理を行う機能ブロックの処理能力に依存しておらず、処理すべき映像信号や画格などから取得できる。つまり、水平方向および垂直方向の1回の処理に対して、画像処理が満たすべき開始と終了のタイミングは事前に決まっている。これらの情報は、映像信号から直接的にあるいは映像信号の解析によって、周期的特徴を有する信号803として周期情報取得部801、周期情報取得部802へそれぞれ送信される。従って、電源制御される機能ブロックの実質的な処理の終了タイミングを特定できればアイドル状態の発生期間と発生間隔とを取得できる。
【0047】
電源制御される機能ブロックの実質的な処理の終了タイミングを特定する第1の方法としては、機能ブロック自体が処理の終了を通知する終了通知信号を送信できる構成を設けることが考えられる。周期的特徴を有する信号803の1つとして、この終了通知信号を周期情報取得部801、周期情報取得部802へそれぞれ送信すればアイドル状態の発生期間と発生間隔とを求めることができる。
【0048】
また、電源制御される機能ブロックの実質的な処理の終了タイミングを特定する第2の方法としては、電源制御される機能ブロックの処理状態を監視することが考えられる。例えば、処理ピクセル数やライン数のカウンタを用いて処理に関する情報を取得する直接的な方法を利用したり、電流量等を監視するなど間接的な方法を利用したりすることで、機能ブロックの処理の終了を特定できる。処理の終了を特定できた場合に、同様に、周期的特徴を有する信号803の1つとして、終了通知信号を周期情報取得部801、周期情報取得部802へそれぞれ送信すればアイドル状態の発生期間と発生間隔とを求めることができる。
【0049】
また、アイドル状態の発生期間および発生間隔の取得方法に関連して、水平方向と垂直方向の処理の最初に、或いは、数回のうち1回の割合で、電源制御を行わずに常時活性化するサイクルを設け、その間の動作状態から以降の周期性を推定するなどの帰納的な方法を取ってもよい。
【0050】
次に、図9を参照して、図1に示した電源制御情報設定部104の構成例を説明する。電源制御情報設定部104は、図8を参照して説明した2種類の周期情報に応じた待機電圧の設定を可能にするために、待機電圧判定部901および電源制御情報保持部903、待機電圧判定部902および電源制御情報保持部904を備えている。
【0051】
図8での説明と同様に、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理が実行されるものとする。この場合、待機電圧判定部901は、周期情報取得部103から周期情報804を取得し、アイドル状態の発生期間Tha、アイドル状態の発生間隔haに対して、電圧V1が設定すべき待機電圧であると判定する。電源制御情報設定部104は、待機電圧判定部901により判定された待機電圧に関する情報を、電源制御情報905として電源制御部105へ出力する。電源制御情報905を電源制御情報保持部903に一次的に保持しておき、必要に応じて電源制御情報保持部903から読み出して出力する構成、または直接電源制御部105へ出力する構成の何れであってもよい。
【0052】
同様に、待機電圧判定部902は、周期情報取得部103から周期情報805を取得し、アイドル状態の発生期間Tvaおよびアイドル状態の発生間隔vaに関して、電圧GNDが設定すべき待機電圧であると判定する。電源制御情報設定部104は、待機電圧判定部901により判定された待機電圧に関する情報を、電源制御情報906として電源制御部105へ出力する。電源制御情報906を電源制御情報保持部904に一次的に保持しておき、必要に応じて電源制御情報保持部904から読み出して出力する構成、または直接電源制御部105へ出力する構成の何れであってもよい。
【0053】
また、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理から、図7に示すモードBのような周期性のある処理へと処理が変更されたとする。この場合も、電源制御情報設定部104は、動作モードAに対する動作と同じ処理により、アイドル状態の発生期間Thbに関して得られた待機電圧に関する情報を電源制御情報905として、アイドル状態の発生期間Tvbに関して得られた待機電圧に関する情報を電源制御情報906として、電源制御部105へ出力することができる。
【0054】
さらに、図10を参照して、図1に示した電源制御部105の構成例を説明する。電源制御部105は、電源制御同期化部1001と、電源制御同期化部1002と、電源制御統合部1003とを備える。電源制御同期化部1001は、電源制御情報905と、同期タイミング情報1004とを取得して、待機電圧の設定を実際の処理に同期させる。同様に、電源制御同期化部1002は、電源制御情報906と、同期タイミング情報1004とを取得して、待機電圧の設定を実際の処理に同期させる。電源制御統合部1003は、個々の電源制御情報を電源ドメイン全体の電源制御情報1005として統合して電源スイッチ106へ出力する。
【0055】
ここで同期タイミング情報1004とは、電源ドメインの処理に利用される基準タイミング信号であり、図6および図7に示したような処理シーケンスのタイミングを示す信号である。同期タイミング情報1004は、リアルタイムに進行している処理に対し、電源制御同期化部1001、1002が電源制御情報905、906をアサート、または、ネゲートするタイミングを決定するために使用される。図8での説明と同様に、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理が実行されるものとする。この場合、電源制御同期化部1001は、アイドル状態の発生期間Thaに関する電源制御情報905を、実際の処理のリアルタイムなタイミングを示す同期タイミング情報1004に従ってアイドル状態の発生間隔haのタイミングに同期化し、電源制御統合部1003へ出力する。
【0056】
同様に、電源制御同期化部1002は、アイドル状態の発生期間Tvaに関する電源制御情報906を、同期タイミング情報1004に従ってアイドル状態の発生間隔vaのタイミングに同期化し、電源制御統合部1003へ出力する。電源制御統合部1003は、実際の処理に同期した2つの電源制御情報を統合して、電源ドメイン全体の電源制御情報1005として電源スイッチ106へ出力する。
【0057】
また、図6に示す動作モードAのような周期性のある処理から、図7に示すモードBのような周期性のある処理へと処理が変更されたとする。この場合も、アイドル状態の発生期間Thaが発生期間Thbに、発生間隔haが発生間隔hbに、発生期間Tvaが発生期間Tvbに、発生間隔vaが発生間隔vbに変わるのに伴い、電源制御情報905、電源制御情報906の内容も更新される。これと同時に、同期タイミング情報1004も動作モードBのものに更新される。そのため処理を破綻させることなく待機電圧の設定が変更できる。
【0058】
なお、以上の説明は画像処理を例としたので、周期情報取得部103、電源制御情報設定部104において電源制御情報を取得する系を2系統とし、電源制御部105において待機電圧の投入タイミングを統合する構成を示した。しかしながら、電源制御情報を取得する系が、単系統や3つ以上の系統であっても、同様に個々の電源制御情報を取得して待機電圧の適切な投入タイミングを設定することができる。
【0059】
また、パワーゲーティング回路401内のスイッチ数または待機電圧に関しても、画像処理を例とした場合のスイッチ数または待機電圧の一例であり、スイッチ数や待機電圧に制限はない。
【0060】
以上説明したように、処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインの電圧を制御する電源制御装置は、処理の周期的特徴情報を取得し、待機状態の待機電圧からの復帰時間の長さに応じてその周期的特徴情報と予め対応付けられた待機電圧を、電源制御情報として設定し、その電源制御情報に従って電源ドメインの待機電圧を制御する。
【0061】
これにより、多様な信号規格の処理に対応する半導体集積回路でも、様々な周期性の違いに伴ってアイドル発生期間および発生間隔が変わるアイドル状態に対応した電源制御を適用することができ、十分な消費電力の低減効果を得ることができる。
【0062】
(第2実施形態)
図11を参照して、半導体集積回路の電源を制御する第2実施形態に係る電源制御機構の構成を説明する。本実施形態に係る電源制御機構は、第1実施形態と同様に、電源コントローラ101と、電源ドメイン102と、電源スイッチ106とを備える。第1実施形態と異なる点は、電源コントローラ101が、電源ドメイン102の待機電圧からの復帰時間を測定する復帰時間測定部1101をさらに備えていることである。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ参照番号が付されており、説明を省略する。
【0063】
半導体集積回路には製造バラツキが存在するため、一律の復帰時間の設定を行うとその設定値では動作できない個体が出てくる可能性がある。そこで、本実施形態では、復帰時間測定部1101により個体固有の復帰時間を測定し、測定された復帰時間の情報を電源制御情報設定部104による待機電圧の設定に反映させる構成をとる。これにより個体に適した待機電圧を設定することが可能となり、動作できない個体が生じないように調整できるようになる。
【0064】
図12を参照して、復帰時間測定部1101の内部構成および復帰時間測定部1101の周辺構成の例を説明する。
【0065】
図12において、参照電圧生成部1201は、図6および図7で示した電圧V1、V2、およびVactの3状態の電圧を生成する。参照電圧生成部1201により生成される個々の電圧は、後述する電圧比較部1207、電圧比較部1208、および電圧比較部1209により参照される。参照電圧生成部1201は、構成方法や配置方法が一様ではないため復帰時間測定部1101には含まれていないが、復帰時間測定部1101が参照電圧生成部1201を含む構成であってもよい。
【0066】
電源スイッチ106は、入力された電源投入情報1202に従って、スイッチPS1を通じて電源電圧VDDを電源に供給する。
【0067】
図12において、復帰時間測定部1101は、復帰時間測定の形態の1例として1パス測定で復帰時間の参考情報を取得する。復帰時間測定部1101は、電圧比較部1207と、電圧比較部1208と、電圧比較部1209と、タイマー1210と、タイマー1211と、タイマー1212とを備える。
【0068】
電圧比較部1207、電圧比較部1208、および電圧比較部1209は、一方のセンス端子を用いて電源ドメイン電圧の参照ノード1206をそれぞれプローブする。電圧比較部11207は、もう一方のセンス端子を用いて、電圧V1の参照ノード1203をプローブし、電源ドメイン電圧がV1を超えた場合にタイマー1211へスタート信号を示す“スタート2”を通知する。電圧比較部1208は、もう一方のセンス端子を用いて、電圧V2の参照ノード1204をプローブし、電源ドメイン電圧がV2を超えた場合にタイマー1212へスタート信号を示す“スタート3”を通知する。
【0069】
タイマー1210は、電源投入情報1202を、スタート信号を示す”スタート1”として通知される。電圧比較部1209は、もう一方のセンス端子を用いて、電圧Vactの参照ノード1205をプローブし、電源ドメイン電圧がVactを超えた場合にタイマー1210、タイマー1211、およびタイマー1212のそれぞれへ、ストップ信号を示す”ストップ”を通知する。これにより各タイマーの計測が終了する。計測された各タイマーの値は、電源遮断からの復帰時間情報1216、電圧V1からの復帰時間情報1217、電圧V2からの復帰時間情報1218として、それぞれ電源制御情報設定部104へ出力される。
【0070】
図13を参照して、図12の復帰時間測定部1101が有する各タイマーのカウントが順次スタートし、Vactを超えたところで全てのタイマーが同時に計測を終了する様子を説明する。縦軸の電圧Vは、横軸の時間Tの経過に伴ってGNDからV1、V2と増大し、Vactを超えて一定の電圧になる。スタート1からストップまでの時間t1が電源遮断からの復帰時間情報1216である。同様にスタート2からストップまでの時間t2が電圧V1からの復帰時間情報1217であり、スタート3からストップまでの時間t3が電圧V2からの復帰時間情報1218である。
【0071】
なお、復帰時間測定部1101の構成は1パス測定に限定されない。また各々の待機状態から個別に復帰時間計測を行ったり、実際の待機状態から復帰時に再計測したりしてもよく、測定方法に拠らない。このとき、取られる測定方法に従って電圧比較部とタイマーは共有化、あるいは、多重化するように構成の変更がなされる。また、プローブ個所は最低電圧部分であっても良いし、複数の個所に複数の復帰時間測定部1101を設置して最も復帰の遅い部分から測定値を採用しても構わない。
【0072】
図14を参照して、第2実施形態に係る電源制御情報設定部104の構成を説明する。第2実施形態に係る電源制御情報設定部104は、図9を参照して説明した電源制御情報設定部104の構成に加えて、タイミング比較部1401と、タイミング比較部1402と、タイミング比較部1403とをさらに備えている。
【0073】
タイミング比較部1401は、復帰時間測定部1101から取得した電源遮断からの復帰時間情報1216と、周期情報取得部103から取得した周期情報804および周期情報805とを比較し、これらの待機時間内に電源遮断からの復帰が可能であるか否かを判定する。タイミング比較部1402は、復帰時間測定部1101から取得した電圧V1からの復帰時間情報1217と、周期情報取得部103から取得した周期情報804および周期情報805とを比較し、これらの待機時間内に電圧V1からの復帰が可能であるか否かを判定する。タイミング比較部1403は、復帰時間測定部1101から取得した電圧V2からの復帰時間情報1218と、周期情報取得部103から取得した周期情報804および周期情報805とを比較し、これらの待機時間内に電圧V2からの復帰が可能であるか否かを判定する。
【0074】
待機電圧判定部901および待機電圧判定部902は、復帰可能と判定された待機電圧のうち最も電圧が低いものを待機電圧として設定し、電源制御情報とする。以降の処理は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0075】
本実施形態によれば、半導体集積回路の個体バラツキに対応しながら、復帰時間を適切に選択して十分な消費電力の低減効果を得ることができる。
【0076】
(第3実施形態)
図15を参照して、半導体集積回路の電源を制御する第3実施形態に係る電源制御機構の構成を説明する。本実施形態に係る電源制御機構は、第1実施形態と同様に、電源コントローラ101と、電源ドメイン102と、電源スイッチ106とを備える。第1実施形態と異なる点は、電源コントローラ101が、電源ドメイン102の電力に関する情報を取得する電力情報取得部1501をさらに備えていることである。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ参照番号が付されており、説明を省略する。
【0077】
リーク電流の削減の観点から、単純に復帰時間を満たすという理由だけで待機電圧を決定してしまうと電源スイッチのONに伴う電力を考慮することが出来ない場合がある。そこで、本実施形態では待機電圧設定中におけるリーク電力と電源スイッチのONの際に生じる電力との両方を考慮してトータルの電力が最も少なくなる構成を説明する。
【0078】
図16を参照して、リーク電流に伴う電力と電源スイッチONに伴う電力とのトータルについて説明する。縦軸は電流であり、横軸は時間Tである。図16は、電圧GND、V1、V2からの復帰時間t1、t2、t3を満たす同一の待機時間Tpの間の、待機状態から動作開始直前までの電流変化を示している。
【0079】
図16の各曲線で、スイッチがONにされるまでのフラットな部分は、各待機電圧でのリーク電流を表しており、GNDで待機する場合が最も小さく、V2で待機する場合が最も大きい。
【0080】
また、各曲線で現れる山の面積は、電源スイッチがOFFの状態あるいは待機状態、から、動作可能な状態になるまでにチャージされる電力であり、GNDで待機する場合が最も大きく、V2で待機する場合が最も小さい。
【0081】
待機状態から動作可能な状態になるまでのトータルの電力はそれぞれ、図16の各曲線の積分値であり、待機時間Tpの間に最も小さな電力を示す待機状態を選ぶことにより、最も効果的な省電力化が可能になる。ここで、電圧GND、V1、V2からの待機時間Tpで復帰する場合のトータルの電力をそれぞれ電力Pg、Pv1、Pv2としたとき、式(5)の関係が成立するものとする。
【0082】
【数5】
【0083】
この場合、待機時間Tpという前提での省電力化が可能な待機電圧はGNDではなくV1となる。
【0084】
図17を参照して、図15に示した電力情報取得部1501の構成と、電力情報取得部1501に対応した電源制御情報設定部104の構成を説明する。
【0085】
電力情報取得部1501は、電力情報推定部1701と、電力情報推定部1702とを備える。
【0086】
例えば、電力情報推定部1701は、待機状態に採りうる幾つかの待機電圧の候補と周期情報804により得られる待機時間幅とから、電源スイッチONに伴う電力およびリーク電力を推定する。電力情報推定部1701により推定された電力成分の情報は、待機電圧判定部901へ送信される。待機電圧判定部901は、復帰時間を満足するものの中で最もトータル電力の推定値が最も小さいものを待機電圧として設定するように判定する。
【0087】
同様に、電力情報推定部1702は、待機状態に採りうる幾つかの待機電圧の候補と周期情報805により得られる待機時間幅とから、電源スイッチONに伴う電力およびリーク電力を推定する。電力情報推定部1702により推定された電力成分の情報は、待機電圧判定部902へ送信される。待機電圧判定部902は、復帰時間を満足するものの中で最もトータル電力の推定値が小さいものを待機電圧として設定するように判定する。以降の処理は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。なお、電力情報取得部1501は、実際に電源ドメインの電力を測定して電力成分の情報を取得する構成をとってもよい。
【0088】
このように、電力情報取得部1501は、半導体集積回路が待機状態から動作可能な状態へ変化する際に消費される消費電力の情報を待機電圧候補ごとに取得し、電源制御情報設定部104は、待機状態の発生期間よりも復帰時間が短くなる待機電圧であって、消費電力が最小となる待機電圧を電源制御情報として設定する。
【0089】
本実施形態によれば、リーク電力だけでなく待機状態から復帰する際の電力を含むトータルの消費電力の低減が可能になる。
【0090】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインを制御する電源制御装置であって、
前記待機状態の発生期間および発生間隔を含む周期的特徴情報を取得する周期情報取得手段と、
前記電源ドメインが前記待機状態における待機電圧から前記半導体集積回路が動作可能となる電圧へ復帰するまでに要する復帰時間と対応付けられた待機電圧候補から、前記発生期間よりも前記復帰時間が短くなる待機電圧を電源制御情報として設定する電源制御情報設定手段と、
前記電源制御情報に従って前記発生期間における前記電源ドメインの待機電圧を制御する電源制御手段と、
を備えることを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記待機電圧候補のそれぞれからの前記復帰時間を測定する復帰時間測定手段をさらに備え、
前記電源制御情報設定手段は、前記復帰時間測定手段により測定された復帰時間が前記発生期間よりも短くなる待機電圧を電源制御情報として設定することを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記半導体集積回路が前記待機状態から動作可能な状態へ変化する際に消費される消費電力の情報を前記待機電圧候補ごとに取得する電力情報取得手段をさらに備え、
前記電源制御情報設定手段は、前記発生期間よりも前記復帰時間が短くなる待機電圧であって、前記消費電力が最小となる待機電圧を電源制御情報として設定することを特徴とする請求項1または2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
周期情報取得手段と、電源制御情報設定手段と、電源制御手段とを備えており、処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインを制御する電源制御装置の制御方法であって、
前記周期情報取得手段が、前記待機状態の発生期間および発生間隔を含む周期的特徴情報を取得する周期情報取得工程と、
前記電源制御情報設定手段が、前記電源ドメインが前記待機状態における待機電圧から前記半導体集積回路が動作可能となる電圧へ復帰するまでに要する復帰時間と対応付けられた待機電圧候補から、前記発生期間よりも前記復帰時間が短くなる待機電圧を電源制御情報として設定する電源制御情報設定工程と、
前記電源制御手段が、前記電源制御情報に従って前記発生期間における前記電源ドメインの待機電圧を制御する電源制御工程と、
を有することを特徴とする電源制御装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電源制御装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインを制御する電源制御装置であって、
前記待機状態の発生期間および発生間隔を含む周期的特徴情報を取得する周期情報取得手段と、
前記電源ドメインが前記待機状態における待機電圧から前記半導体集積回路が動作可能となる電圧へ復帰するまでに要する復帰時間と対応付けられた待機電圧候補から、前記発生期間よりも前記復帰時間が短くなる待機電圧を電源制御情報として設定する電源制御情報設定手段と、
前記電源制御情報に従って前記発生期間における前記電源ドメインの待機電圧を制御する電源制御手段と、
を備えることを特徴とする電源制御装置。
【請求項2】
前記待機電圧候補のそれぞれからの前記復帰時間を測定する復帰時間測定手段をさらに備え、
前記電源制御情報設定手段は、前記復帰時間測定手段により測定された復帰時間が前記発生期間よりも短くなる待機電圧を電源制御情報として設定することを特徴とする請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記半導体集積回路が前記待機状態から動作可能な状態へ変化する際に消費される消費電力の情報を前記待機電圧候補ごとに取得する電力情報取得手段をさらに備え、
前記電源制御情報設定手段は、前記発生期間よりも前記復帰時間が短くなる待機電圧であって、前記消費電力が最小となる待機電圧を電源制御情報として設定することを特徴とする請求項1または2に記載の電源制御装置。
【請求項4】
周期情報取得手段と、電源制御情報設定手段と、電源制御手段とを備えており、処理状態と待機状態とを周期的に繰り返して処理を行う半導体集積回路の電源ドメインを制御する電源制御装置の制御方法であって、
前記周期情報取得手段が、前記待機状態の発生期間および発生間隔を含む周期的特徴情報を取得する周期情報取得工程と、
前記電源制御情報設定手段が、前記電源ドメインが前記待機状態における待機電圧から前記半導体集積回路が動作可能となる電圧へ復帰するまでに要する復帰時間と対応付けられた待機電圧候補から、前記発生期間よりも前記復帰時間が短くなる待機電圧を電源制御情報として設定する電源制御情報設定工程と、
前記電源制御手段が、前記電源制御情報に従って前記発生期間における前記電源ドメインの待機電圧を制御する電源制御工程と、
を有することを特徴とする電源制御装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電源制御装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図3】
【公開番号】特開2013−92839(P2013−92839A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233262(P2011−233262)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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