説明

電源回路

【課題】電源回路において、規定値以上の電圧が入力されても平滑化用のコンデンサの防爆弁が働かないようにする対策を安価に実現する。
【解決手段】電源回路1は、第2のスイッチング素子である接合形トランジスタ7が導通状態と非導通状態に切換えられて、第1のスイッチング素子である電界効果トランジスタ6が導通状態と非導通状態に切換えられることによって、トランス5の2次側コイル52から所定の電圧を出力する。そして、電源回路1は、整流回路部3に規定値以上の電圧が入力されると、ヒューズ溶断回路14の働きによって、接合形トランジスタ7が電界効果トランジスタ6を非導通状態にしようとする作用に抗して、電界効果トランジスタ6が導通状態になる。これにより、ヒューズ13に過電流が流れて、平滑化用のコンデンサ4の防爆弁が働く前に、ヒューズ13が溶断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテレビジョン受像機やDVDレコーダ等の電気機器装置に備えられ、所定の電圧を生成する電源回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えばテレビジョン受像機やDVDレコーダ等の電気機器装置は、商用AC電源から交流電圧の供給を受けて動作するようになっている。このような電気機器装置は、電源回路を備えており、電源回路は、商用AC電源から供給される交流電圧から、所定の電圧(電気機器装置の備える液晶ディスプレイやDVDドライブ等の負荷を動作させるのに必要な電圧)を生成するようになっている。このような電源回路としては、図2に示す構成のものが知られている。
【0003】
図2に示す電源回路70は、第1のスイッチング素子である電界効果トランジスタ71が導通状態と非導通状態に切換えられることにより、トランス72の1次側コイル91に流れる電流を変化させて、トランス72の2次側コイル92から所定の電圧を出力する回路である。この電源回路70は、第2のスイッチング素子である接合形トランジスタ73が導通状態と非導通状態に切換えられることにより、電界効果トランジスタ71が導通状態と非導通状態に切換えられるようになっている。また、この電源回路70は、RCC方式(自励発振方式)の電源回路であり、電界効果トランジスタ71及び接合形トランジスタ73が自励発振により導通状態と非導通状態に切換えられるようになっている。
【0004】
電源回路70は、ACコンセント74が商用AC電源に接続されることにより、商用AC電源から供給される交流電圧が、ACコンセント74からヒューズ75を介して整流回路部76に入力される。整流回路部76に入力された交流電圧は、整流回路部76により整流され、整流回路部76により整流された直流電圧は、平滑化用のコンデンサ77により平滑化され、平滑化用のコンデンサ77により平滑化された直流電圧は、トランス72の1次側コイル91に入力される。
【0005】
そして、電源回路70は、整流回路部76に通常の電圧(本来入力されるべき定格電圧値の電圧)が入力される場合には、以下のように動作する。
【0006】
まず、平滑化用のコンデンサ77により平滑化された電圧が起動用の抵抗78を介して第1のスイッチング用のコンデンサ79に入力され、これにより、第1のスイッチング用のコンデンサ79が第1のスイッチング用の抵抗80の存在によって次第に充電されていき、これに伴って、電界効果トランジスタ71のベースに入力される電圧が上昇していく。そして、電界効果トランジスタ71のゲートに入力される電圧がハイレベルに達すると、電界効果トランジスタ71が導通状態になる。
【0007】
電界効果トランジスタ71が導通状態になると、整流回路部76からトランス72の1次側コイル91及び電界効果トランジスタ71のドレイン・ソース間に電流が流れ、これにより、第2のスイッチング用のコンデンサ81が第2のスイッチング用の抵抗82の存在によって次第に充電されていき、これに伴って、接合形トランジスタ73のベースに入力される電圧が上昇していく。そして、接合形トランジスタ73のベースに入力される電圧がハイレベルに達すると、接合形トランジスタ73が導通状態になる。
【0008】
接合形トランジスタ73が導通状態になると、起動用の抵抗78から接合形トランジスタ73のコレクタ・エミッタ間に電流が流れ、また、第1のスイッチング用のコンデンサ79が接合形トランジスタ73のコレクタ・エミッタ間を経由して放電され、これにより、電界効果トランジスタ71のゲートに入力される電圧がローレベルに引き込まれ、電界効果トランジスタ71が非導通状態になる。
【0009】
電界効果トランジスタ71が非導通状態になると、整流回路部76からトランス72の1次側コイル91及び電界効果トランジスタ71のドレイン・ソース間に電流が流れなくなり、これにより、第2のスイッチング用のコンデンサ81が第2のスイッチング用の抵抗82を経由して放電され、これにより、接合形トランジスタ73のベースに入力される電圧がローレベルになり、接合形トランジスタ73が非導通状態になる。
【0010】
接合形トランジスタ73が非導通状態になると、再び、第1のスイッチング用のコンデンサ79が起動用の抵抗78を介して入力される電圧によって充電される状態となり、以降、上記と同様の動作が繰り返される。
【0011】
すなわち、電界効果トランジスタ71が導通状態になって、整流回路部76からトランス72の1次側コイル91及び電界効果トランジスタ71のドレイン・ソース間に電流が流れ、接合形トランジスタ73が導通状態になり、この結果、電界効果トランジスタ71が非導通状態になって、整流回路部76からトランス72の1次側コイル91及び電界効果トランジスタ71のドレイン・ソース間に電流が流れなくなり、接合形トランジスタ73が非導通状態になる、という動作が繰り返される。
【0012】
つまり、電界効果トランジスタ71及び接合形トランジスタ73が導通状態と非導通状態に繰り返し切換えられて、トランス72の1次側コイル91に電流が流れる状態と流れない状態に繰り返し切換えられることにより、トランス72の1次側コイル91に流れる電流が繰り返し変化して、トランス72の2次側コイル92から所定の電圧が出力される。また、トランス72の補助コイル93からも電圧が出力される。電源回路70は、整流回路部76に通常の電圧が入力される場合には、このように動作する。
【0013】
また、電源回路70は、整流回路部76に規定値以上の電圧(例えば、本来入力されるべき定格電圧値の倍以上の電圧値の電圧)が入力されると、トランス72の補助コイル93から出力される電圧が上昇し、その電圧がツェナーダイオード83及び抵抗84を介して接合形トランジスタ73のベースに入力され、これにより、接合形トランジスタ73のベースに入力される電圧がハイレベルになり、接合形トランジスタ73が導通状態になって、電界効果トランジスタ71が非導通状態になる。
【0014】
一方、整流回路部に過剰な交流電源が入力された場合に、平滑コンデンサが開弁したり破壊されたりする前に、ヒューズを溶断させるようにした電源回路が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1の電源回路では、カソードが整流回路部と1次側コイルとの間に接続されたツェナーダイオードを備え、整流回路部に過剰な交流電源が入力された場合に、ツェナーダイオードのアノードから出力される電圧に基いて(すなわち、整流回路部から1次側コイルに入力される電圧に基いて)、自励発振コントロール回路が過剰な交流電源の入力を検出し、そして、自励発振コントロール回路がFETに対するオンオフ制御を停止してFETをオン状態に維持することにより、FETを短絡破壊させて、ヒューズを溶断させるようになっている。
【0015】
また、2次側コイルの出力電圧の上昇時に、平滑コンデンサの防爆弁の動作を引き起こさないように、ヒューズを溶断させるようにした電源回路が知られている(例えば特許文献2参照)。この特許文献2の電源回路では、2次側コイルの出力電圧によって動作する保護回路(フォトカプラ12、ツェナーダイオード25、フォトカプラ26等から成る回路)を備え、2次側コイルの出力電圧の上昇時に、保護回路の働きによって(すなわち、2次側コイルの出力電圧を利用して)、トランジスタを非動作状態にしてMOSFETのドレインーソース間をショート状態にすることにより、ヒューズを溶断させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2011−4551号公報
【特許文献2】特開2004−32936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上述した従来の電源回路70においては、屋内配線の不備や雷サージ等により、規定値以上の電圧(例えば、本来入力されるべき定格電圧値の倍以上の電圧値の電圧)が入力されることがある。このように規定値以上の電圧が入力された場合、平滑化用のコンデンサ77の防爆弁が働き(開き)、利用者がこれを発火による煙と勘違いして、問題となるケースがある。
【0018】
そこで、本出願人は、規定値以上の電圧が入力されても平滑化用のコンデンサ77の防爆弁が働かないようにする対策として、平滑化用のコンデンサ77と並列にツェナーダイオードを接続する対策を実施した。しかしながら、この対策では、雷サージによる規定値以上の電圧の入力に対しては、ツェナーダイオードがショート破壊されてしまい、やはり、平滑化用のコンデンサ77の防爆弁が働いてしまう。また、規定値以上の電圧が入力されても平滑化用のコンデンサ77の防爆弁が働かないようにする対策としては、安価に実現するものが望まれる。なお、上述した特許文献1及び特許文献2に開示の内容を適用したとしても、上記の問題を解決することはできない。
【0019】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、規定値以上の電圧が入力されても平滑化用のコンデンサの防爆弁が働かないようにする対策を安価に実現することができる電源回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、交流電圧が入力されることにより、その交流電圧を直流電圧に整流する整流回路部と、整流回路部により整流された直流電圧を平滑化する平滑化用のコンデンサと、平滑化用のコンデンサにより平滑化された直流電圧が1次側コイルに入力されるトランスと、導通状態と非導通状態とに切換えられることにより、平滑化用のコンデンサにより平滑化された直流電圧がトランスの1次側コイルに入力される状態と入力されない状態とに切換える第1のスイッチング素子と、導通状態と非導通状態とに切換えられることにより、第1のスイッチング素子を導通状態と非導通状態とに切換える第2のスイッチング素子と、溶断されることにより、整流回路部への交流電圧の入力を遮断するヒューズとを備え、第2のスイッチング素子が導通状態と非導通状態に切換えられて、第1のスイッチング素子が導通状態と非導通状態に切換えられることによって、トランスの2次側コイルから所定の電圧を出力する電源回路において、整流回路部に規定値以上の電圧が入力されたときに、ヒューズを溶断させるために第1のスイッチング素子を導通状態にするヒューズ溶断回路を備え、ヒューズ溶断回路は、トランスの補助コイルから出力される電圧に基いて、整流回路部に規定値以上の電圧が入力されたことを検出し、トランスの補助コイルから出力される電圧を利用して、第1のスイッチング素子を導通状態にするものである。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電源回路において、ヒューズ溶断回路は、整流回路部に規定値以上の電圧が入力されたときに、第2のスイッチング素子が第1のスイッチング素子を非導通状態にしようとする作用に抗して、第1のスイッチング素子を導通状態にするものである。
【0022】
請求項3の発明は、請求項2に記載の電源回路において、ヒューズ溶断回路は、ツェナーダイオードを有し、該ツェナーダイオードは、カソードがトランスの補助巻線側に接続され、アノードが第1のスイッチング素子側に接続されており、該ツェナーダイオードのアノードから出力される電圧によって、第1のスイッチング素子を導通状態にするものである。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1に記載の電源回路において、第1のスイッチング素子は、電界効果トランジスタであり、ゲートが整流回路部の正電圧側に接続され、ドレインがトランスの1次側コイルに接続され、ソースがグランド又は整流回路部の負電圧側に接続されており、第2のスイッチング素子は、接合形トランジスタであり、ベースが第1のスイッチング素子のソース側に接続され、コレクタが第1のスイッチング素子のゲートに接続され、エミッタがグランド又は整流回路部の負電圧側に接続されており、ヒューズ溶断回路のツェナーダイオードは、アノードが第1のスイッチング素子のゲート側に接続されているものである。
【発明の効果】
【0024】
請求項1乃至請求項4の発明によれば、規定値以上の電圧が入力されると、ヒューズ溶断回路の働きによって、第1のスイッチング素子が導通状態になり、これにより、ヒューズに過電流が流れて、平滑化用のコンデンサの防爆弁が働く前に、ヒューズが溶断される。従って、規定値以上の電圧が入力されても、平滑化用のコンデンサの防爆弁が働かない(開かない)ので、利用者が防爆弁からの煙を発火による煙と勘違いするのを防ぐことができる。しかも、ヒューズ溶断回路は、トランスの補助コイルから出力される電圧に基いて、整流回路部に規定値以上の電圧が入力されたことを検出し、トランスの補助コイルから出力される電圧を利用して、第1のスイッチング素子を導通状態にする構成であるため、規定値以上の電圧が入力されても平滑化用のコンデンサの防爆弁が働かないようにする対策を安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る電源回路の構成を示す電気回路図。
【図2】従来の電源回路の構成を示す電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した実施形態による電源回路について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態による電源回路の構成を示す。電源回路1は、例えばテレビジョン受像機やDVDレコーダ等の電気機器装置に備えられ、商用AC電源から供給される交流電圧から、所定の電圧(例えば、電気機器装置の備える液晶ディスプレイやDVDドライブ等の負荷を動作させるのに必要な電圧)を生成する回路である。
【0027】
電源回路1は、ACコンセント2と、整流回路部3と、平滑化用のコンデンサ4と、トランス5と、第1のスイッチング素子である電界効果トランジスタ6と、第2のスイッチング素子である接合形トランジスタ7と、起動用の抵抗8と、第1のスイッチング用のコンデンサ9と、第1のスイッチング用の抵抗10と、第2のスイッチング用の抵抗11と、第2のスイッチング用のコンデンサ12と、ヒューズ13と、ヒューズ溶断回路14等を備える。
【0028】
この電源回路1は、接合形トランジスタ7が導通状態と非導通状態に切換えられて、電界効果トランジスタ6が導通状態と非導通状態に切換えられることにより、トランス5の1次側コイル51に流れる電流を変化させて、トランス5の2次側コイル52から所定の電圧を出力する回路である。また、この電源回路1は、RCC方式(自励発振方式)の電源回路であり、電界効果トランジスタ6及び接合形トランジスタ7が自励発振により導通状態と非導通状態に切換えられるようになっている。
【0029】
また、この電源回路1は、整流回路部3に規定値以上の電圧(例えば、本来入力されるべき定格電圧値の倍以上の電圧値の電圧)が入力されたときに、ヒューズ溶断回路14の働きによって、平滑化用のコンデンサ4の防爆弁が働く(開く)前に、電界効果トランジスタ6を導通状態にして、ヒューズ13を溶断するようになっている。すなわち、この電源回路1は、整流回路部3に規定値以上の電圧が入力されても、ヒューズ溶断回路14の働きによって、平滑化用のコンデンサ4の防爆弁が働かないようにしている。
【0030】
ACコンセント2は、商用AC電源から供給される交流電圧を入力するためのものである。ACコンセント2は、商用AC電源に接続されることにより、商用AC電源から供給される交流電圧をヒューズ13を介して整流回路部3に入力する。
【0031】
整流回路部3は、ACコンセントからヒューズ13を介して入力された交流電圧(すなわち、商用AC電源から供給される交流電圧)を整流するためのものである。整流回路部3は、ダイオードブリッジ回路であり、ACコンセント2からヒューズ13を介して交流電圧が入力されることにより、その交流電圧を直流電圧に整流する。整流回路部3の正電圧側は、トランス5の1次側コイル51の一端側に接続されており、整流回路部3の負電圧側は、グランドに接続されている。
【0032】
平滑化用のコンデンサ4は、整流回路部3により整流された直流電圧を平滑化するためのものである。平滑化用のコンデンサ4は、一端側が整流回路部3の正電圧側(すなわち、整流回路部3の正電圧側とトランス5の1次側コイル51の一端側との間)に接続されており、他端側がグランドに接続されている。平滑化用のコンデンサ4は、整流回路部3により整流された直流電圧の電圧値に応じて充電、放電されることにより、整流回路部3により整流された直流電圧を平滑化する。
【0033】
トランス5は、電圧を変圧するためのものである。トランス5は、1次側コイル51と、2次側コイル52と、補助コイル53とを有する。1次側コイル51は、一端側が整流回路部3の正電圧側(すなわち、整流回路部3の正電圧側と平滑化用のコンデンサ4の一端側との間)に接続されており、他端側が電界効果トランジスタ6のドレイン・ソース間及び抵抗41を介してグランドに接続されている。従って、トランス5は、整流回路部3により整流されて平滑化用のコンデンサ4により平滑化された直流電圧が1次側コイル51に入力される。そして、トランス5は、1次側コイル51に流れる電流が変化すると、2次側コイル52及び補助コイル53から、1次側コイル51に流れる電流の変化及び1次側コイル51と上記のコイル52、53とのコイル巻数比に応じた電圧を出力する。2次側コイル52は、不図示の負荷(例えば、液晶ディスプレイやDVDドライブ等)に接続されている。補助コイル53は、一端側が第1のスイッチング用の抵抗10及び第1のスイッチング用のコンデンサ9を介して電界効果トランジスタ6のゲートに接続されており、他端側がグランドに接続されている。
【0034】
電界効果トランジスタ6は、平滑化用のコンデンサ4により平滑化された直流電圧がトランス5の1次側コイル51に入力される状態と入力されない状態とに切換えるためのものである。電界効果トランジスタ6は、ゲートが起動用の抵抗8を介して整流回路部3の正電圧側(平滑化用のコンデンサ4の一端側とトランス5の1次側コイル51の一端側との間)に接続されており、ドレインがトランス5の1次側コイル51の他端側に接続されており、ソースが抵抗41を介してグランドに接続されている。電界効果トランジスタ6のドレインとソースとの間には、コンデンサ42が接続されている。電界効果トランジスタ6は、ゲート・ソース間の電圧であるゲート電圧がハイレベルのときに導通状態(ドレイン・ソース間が導通状態)になり、ゲート電圧がローレベルのときに非導通状態(ドレイン・ソース間が非導通状態)になる。電界効果トランジスタ6は、導通状態と非導通状態とに切換えられることにより、平滑化用のコンデンサ4により平滑化された直流電圧がトランス5の1次側コイル51に入力される状態と入力されない状態とに切換える。
【0035】
接合形トランジスタ7は、電界効果トランジスタ6を導通状態と非導通状態とに切換えるためのものである。接合形トランジスタ7は、ベースがダイオード43を介して電界効果トランジスタ6のソース側に接続されており、コレクタが電界効果トランジスタ6のゲート側に接続されており、エミッタがグランドに接続されている。ダイオード43は、カソードが接合形トランジスタ7のベースに接続されており、アノードが電界効果トランジスタ6のソースに接続されている。接合形トランジスタ7は、ベース・エミッタ間の電圧であるベース電圧がハイレベルのときに導通状態(コレクタ・エミッタ間が導通状態)になり、ベース電圧がローレベルのときに非導通状態(コレクタ・エミッタ間が非導通状態)になる。接合形トランジスタ7は、導通状態と非導通状態とに切換えられることにより、電界効果トランジスタ6を非導通状態と導通状態とに切換える。
【0036】
起動用の抵抗8は、一端側が整流回路部3の正電圧側(平滑化用のコンデンサ4の一端側とトランス5の1次側コイル51の一端側との間)に接続されており、他端側が電界効果トランジスタ6のゲート側に接続されている。
【0037】
第1のスイッチング用のコンデンサ9は、一端側が電界効果トランジスタ6のゲートに接続されており、他端側が第1のスイッチング用の抵抗10に接続されている。第1のスイッチング用の抵抗10は、一端側が第1のスイッチング用のコンデンサ9に接続されており、他端側がトランス5の補助コイル53の一端側に接続されている。
【0038】
第2のスイッチング用の抵抗11及び第2のスイッチング用のコンデンサ12は、それぞれ、接合形トランジスタ7のベース側に接続されており、他端側がグランドに接続されている。
【0039】
また、トランス5の補助コイル53の一端側と接合形トランジスタ7のベースとの間には、ツェナーダイオード44及び抵抗45が接続されている。ツェナーダイオード44は、カソードが補助コイル53の一端側に接続されており、アノードが抵抗45に接続されている。抵抗45は、一端側がツェナーダイオード44のアノードに接続されており他端側が接合形トランジスタ7のベースに接続されている。
【0040】
ヒューズ13は、過電流から電源回路1を保護するためのものである。ヒューズ13は、ACコンセント2と整流回路部3との間に接続されている。ヒューズ13は、溶断されることにより、整流回路部3への交流電圧の入力を遮断する。ヒューズ13は、過電流が流れたときに、その過電流によって溶断されるようになっている。
【0041】
ヒューズ溶断回路14は、整流回路部3に規定値以上の電圧(例えば、本来入力されるべき定格電圧値の倍以上の電圧値の電圧)が入力されたときに、ヒューズ13を溶断させるために電界効果トランジスタ6を導通状態にするためのものである。ヒューズ溶断回路14は、トランス5の補助コイル53の一端側と電界効果トランジスタ6のゲート側との間に接続されており、ツェナーダイオード61、62と、抵抗63と、ダイオード64とを有する。
【0042】
ツェナーダイオード61は、カソードがダイオード64のカソードに接続されており、アノードがツェナーダイオード62のカソードに接続されている。ツェナーダイオード62は、カソードがツェナーダイオード61のアノードに接続されており、アノードが抵抗63に接続されている。抵抗63は、一端側がツェナーダイオード62のアノードに接続されており、他端側が電界効果トランジスタ6のゲート側に接続されている。ダイオード64は、カソードがツェナーダイオード61のカソードに接続されており、アノードがトランス5の補助コイル53の一端側に接続されている。
【0043】
すなわち、ツェナーダイオード61は、カソードがダイオード64を介してトランス5の補助コイル53の一端側に接続されており、アノードがツェナーダイオード62及び抵抗63を介して電界効果トランジスタ6のゲート側に接続されている。また、ツェナーダイオード62は、カソードがツェナーダイオード61及びダイオード64を介してトランス5の補助コイル53の一端側に接続されており、アノードが抵抗63を介して電界効果トランジスタ6のゲート側に接続されている。
【0044】
このような構成の電源回路1は、整流回路部3に通常の電圧(本来入力されるべき定格電圧値の電圧)が入力される場合には、以下のように動作する。
【0045】
まず、平滑化用のコンデンサ4により平滑化された電圧が起動用の抵抗8を介して第1のスイッチング用のコンデンサ9に入力され、これにより、第1のスイッチング用のコンデンサ9が充電される。このとき、第1のスイッチング用のコンデンサ9は、第1のスイッチング用の抵抗10の存在によって次第に充電されていき、これに伴って、電界効果トランジスタ6のベースに入力される電圧が上昇していく。そして、電界効果トランジスタ6のゲートに入力される電圧がハイレベルに達すると、電界効果トランジスタ6が導通状態になる。
【0046】
電界効果トランジスタ6が導通状態になると、整流回路部3からトランス5の1次側コイル51及び電界効果トランジスタ6のドレイン・ソース間に電流が流れる。これにより、トランス5の1次側コイル51に電流が流れるときの電流の変化によって、トランス5の2次側コイル52及び補助コイル53から電圧が出力される。また、電界効果トランジスタ6のドレイン・ソース間に電流が流れることによって、第2のスイッチング用のコンデンサ12が充電される。このとき、第2のスイッチング用のコンデンサ12は、第2のスイッチング用の抵抗11の存在によって次第に充電されていき、これに伴って、接合形トランジスタ7のベースに入力される電圧が上昇していく。そして、接合形トランジスタ7のベースに入力される電圧がハイレベルに達すると、接合形トランジスタ7が導通状態になる。
【0047】
接合形トランジスタ7が導通状態になると、起動用の抵抗8から接合形トランジスタ7のコレクタ・エミッタ間に電流が流れ、また、第1のスイッチング用のコンデンサ9が接合形トランジスタ7のコレクタ・エミッタ間を経由して放電される。これにより、電界効果トランジスタ6のゲートに入力される電圧がローレベルに引き込まれ、電界効果トランジスタ6が非導通状態になる。
【0048】
電界効果トランジスタ6が非導通状態になると、整流回路部3からトランス5の1次側コイル51及び電界効果トランジスタ6のドレイン・ソース間に電流が流れなくなる。これにより、トランス5の1次側コイル51に電流が流れなくなるときの電流の変化によって、トランス5の2次側コイル52及び補助コイル53から電圧が出力される。また、電界効果トランジスタ6のドレイン・ソース間に電流が流れなくなることによって、第2のスイッチング用のコンデンサ12が第2のスイッチング用の抵抗11を経由して放電され、これにより、接合形トランジスタ7のベースに入力される電圧がローレベルになり、接合形トランジスタ7が非導通状態になる。
【0049】
接合形トランジスタ7が非導通状態になると、再び、第1のスイッチング用のコンデンサ9が起動用の抵抗8を介して入力される電圧によって充電される状態となり、以降、上記と同様の動作が繰り返される。
【0050】
すなわち、(1)電界効果トランジスタ6が導通状態になって、整流回路部3からトランス5の1次側コイル51及び電界効果トランジスタ6のドレイン・ソース間に電流が流れ、このときの電流変化によってトランス5の2次側コイル52及び補助コイル53から電圧が出力され、(2)接合形トランジスタ7が導通状態になり、(3)電界効果トランジスタ6が非導通状態になって、整流回路部3からトランス5の1次側コイル51及び電界効果トランジスタ6のドレイン・ソース間に電流が流れなくなり、このときの電流変化によってトランス5の2次側コイル52及び補助コイル53から電圧が出力され、(4)接合形トランジスタ7が非導通状態になる、という動作が繰り返される。
【0051】
つまり、接合形トランジスタ7が導通状態と非導通状態に繰り返し切換えられて、電界効果トランジスタ6が導通状態と非導通状態に繰り返し切換えられることにより、トランス5の1次側コイル51に流れる電流が繰り返し変化して、トランス5の2次側コイル52から所定の電圧が出力され、また、トランス5の補助コイル53からも電圧が出力される。電源回路1は、整流回路部3に通常の電圧が入力される場合には、このように動作する。なお、整流回路部3に通常の電圧が入力されているときにトランス5の補助コイル53から出力される電圧では、ツェナーダイオード44、及びヒューズ溶断回路14のツェナーダイオード61、62が導通しないように構成されている。
【0052】
また、電源回路1は、整流回路部3に規定値以上の電圧(例えば、本来入力されるべき定格電圧値の倍以上の電圧値の電圧)が入力された場合には、以下のように動作する。
【0053】
整流回路部3に規定値以上の電圧が入力されることにより、トランス5の1次側コイル51に流れる電流が上昇し、このときに1次側コイル51に流れる電流の変化によって、トランス5の補助コイル53から出力される電圧が上昇する。
【0054】
そして、トランス5の補助コイル53から出力された電圧によってツェナーダイオード44が導通し、トランス5の補助コイル53から出力された電圧がツェナーダイオード44及び抵抗45を介して接合形トランジスタ7のベースに入力される。これにより、接合形トランジスタ7のベースに入力される電圧がハイレベルになり、接合形トランジスタ7が導通状態になる。
【0055】
また、トランス5の補助コイル53から出力された電圧によってヒューズ溶断回路14のツェナーダイオード61、ツェナーダイオード62が導通し、トランス5の補助コイル53から出力された電圧がダイオード64、ツェナーダイオード61、62、及び抵抗63を介して電界効果トランジスタ6のゲートに入力される。これにより、電界効果トランジスタ6のゲートに入力される電圧がハイレベルになり、電界効果トランジスタ6が導通状態になる。すなわち、ヒューズ溶断回路14は、トランス5の補助コイル53から出力される電圧に基いて、整流回路部3に規定値以上の電圧が入力されたことを検出し、ツェナーダイオード61、62のアノードから出力される電圧によって(つまり、トランス5の補助コイル53から出力される電圧を利用して)、電界効果トランジスタ6を導通状態にする。
【0056】
なお、接合形トランジスタ7が導通状態となっているため、接合形トランジスタ7のコレクタ・エミッタ間に電流が流れ、接合形トランジスタ7は、電界効果トランジスタ6を非導通状態に(電界効果トランジスタ6のゲートをローレベルに)しようとしている。これに対し、ヒューズ溶断回路14は、接合形トランジスタ7のコレクタ・エミッタ間に流れる電流以上の電流を流す能力を有するように構成されている。すなわち、ヒューズ溶断回路14は、接合形トランジスタ7が電界効果トランジスタ6を非導通状態にしようとする作用に抗して、電界効果トランジスタ6を導通状態にする。
【0057】
電界効果トランジスタ6が導通状態になることにより、整流回路部3に入力された規定値以上の電圧による電流が電界効果トランジスタ6のドレイン・ソース間に流れて、電界効果トランジスタ6がショート破壊する。これにより、ヒューズ13に過電流が流れて、平滑化用のコンデンサ4の防爆弁が働く前に、ヒューズ13が溶断される。電源回路1は、整流回路部3に規定値以上の電圧が入力された場合には、このように動作する。
【0058】
このような構成の電源回路1によれば、整流回路部3に規定値以上の電圧が入力されると、ヒューズ溶断回路14の働きによって、電界効果トランジスタ6が導通状態になり、これにより、ヒューズ13に過電流が流れて、平滑化用のコンデンサ4の防爆弁が働く前に、ヒューズ13が溶断される。従って、規定値以上の電圧が入力されても、平滑化用のコンデンサ4の防爆弁が働かない(開かない)ので、利用者が防爆弁からの煙を発火による煙と勘違いするのを防ぐことができる。
【0059】
しかも、ヒューズ溶断回路14は、トランス5の補助コイル53から出力される電圧に基いて、整流回路部3に規定値以上の電圧が入力されたことを検出し、トランス5の補助コイル53から出力される電圧を利用して、電界効果トランジスタ6を導通状態にする構成であるため、規定値以上の電圧が入力されても平滑化用のコンデンサ4の防爆弁が働かないようにする対策を安価に実現することができる。
【0060】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、ヒューズ溶断回路は、トランスの補助コイルから出力される電圧に基いて、整流回路部に規定値以上の電圧が入力されたことを検出し、トランスの補助コイルから出力される電圧を利用して、電界効果トランジスタを導通状態にする構成であれば、他の構成であってもよい。また、ヒューズ溶断回路は、整流回路部に規定値以上の電圧が入力されたときに、接合形トランジスタが電界効果トランジスタを非導通状態にしようとする作用に抗して、電界効果トランジスタを導通状態にする構成であれば、他の構成であってもよい。また、平滑化用のコンデンサの他端側、補助コイルの他端側、電界効果トランジスタのソース、接合形トランジスタのエミッタ、第2のスイッチング用の抵抗の他端側、及び第2のスイッチング用のコンデンサの他端側は、整流回路部の負電圧側に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 電源回路
2 ACコンセント
3 整流回路部
4 平滑化用のコンデンサ
5 トランス
6 電界効果トランジスタ(第1のスイッチング素子)
7 接合形トランジスタ(第2のスイッチング素子)
8 起動用の抵抗
9 第1のスイッチング用のコンデンサ
10 第1のスイッチング用の抵抗
11 第2のスイッチング用の抵抗
12 第2のスイッチング用のコンデンサ
13 ヒューズ
14 ヒューズ溶断回路
41 抵抗
42 コンデンサ
43 ダイオード
44 ツェナーダイオード
45 抵抗
51 1次側コイル
52 2次側コイル
53 補助コイル
61 ツェナーダイオード
62 ツェナーダイオード
63 抵抗
64 ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧が入力されることにより、その交流電圧を直流電圧に整流する整流回路部と、
前記整流回路部により整流された直流電圧を平滑化する平滑化用のコンデンサと、
前記平滑化用のコンデンサにより平滑化された直流電圧が1次側コイルに入力されるトランスと、
導通状態と非導通状態とに切換えられることにより、前記平滑化用のコンデンサにより平滑化された直流電圧が前記トランスの1次側コイルに入力される状態と入力されない状態とに切換える第1のスイッチング素子と、
導通状態と非導通状態とに切換えられることにより、前記第1のスイッチング素子を導通状態と非導通状態とに切換える第2のスイッチング素子と、
溶断されることにより、前記整流回路部への交流電圧の入力を遮断するヒューズとを備え、
前記第2のスイッチング素子が導通状態と非導通状態に切換えられて、前記第1のスイッチング素子が導通状態と非導通状態に切換えられることによって、前記トランスの2次側コイルから所定の電圧を出力する電源回路において、
前記整流回路部に規定値以上の電圧が入力されたときに、前記ヒューズを溶断させるために前記第1のスイッチング素子を導通状態にするヒューズ溶断回路を備え、
前記ヒューズ溶断回路は、前記トランスの補助コイルから出力される電圧に基いて、前記整流回路部に規定値以上の電圧が入力されたことを検出し、前記トランスの補助コイルから出力される電圧を利用して、前記第1のスイッチング素子を導通状態にする、ことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記ヒューズ溶断回路は、前記整流回路部に規定値以上の電圧が入力されたときに、前記第2のスイッチング素子が前記第1のスイッチング素子を非導通状態にしようとする作用に抗して、前記第1のスイッチング素子を導通状態にする、ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記ヒューズ溶断回路は、ツェナーダイオードを有し、該ツェナーダイオードは、カソードが前記トランスの補助巻線側に接続され、アノードが前記第1のスイッチング素子側に接続されており、該ツェナーダイオードのアノードから出力される電圧によって、前記第1のスイッチング素子を導通状態にする、ことを特徴とする請求項2に記載の電源回路。
【請求項4】
前記第1のスイッチング素子は、電界効果トランジスタであり、ゲートが前記整流回路部の正電圧側に接続され、ドレインが前記トランスの1次側コイルに接続され、ソースがグランド又は前記整流回路部の負電圧側に接続されており、
前記第2のスイッチング素子は、接合形トランジスタであり、ベースが前記第1のスイッチング素子のソース側に接続され、コレクタが前記第1のスイッチング素子のゲートに接続され、エミッタがグランド又は前記整流回路部の負電圧側に接続されており、
前記ヒューズ溶断回路のツェナーダイオードは、アノードが前記第1のスイッチング素子のゲート側に接続されている、ことを特徴とする請求項3に記載の電源回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−5622(P2013−5622A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135318(P2011−135318)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】