説明

電磁弁

【課題】アシスト用の電磁弁を用いることなく電磁部の駆動負荷を軽減してその小型化を図る。
【解決手段】高圧の作動油を出力する際に、図(c)に示すように、圧送された作動油をスリーブ50に形成されたアシストポート57を介して流入させることによりスプール60に図中左方向に向かってアシスト力が作用する。このときスプール60には、フィードバックポート58を介してスリーブ50内に流入された作動油により図中右方向に向かってフィードバック力が作用しており、フィードバック力に対向する向きにアシスト力が作用することからフィードバック力の一部を打ち消すことができる。この結果、ソレノイド部から出力すべき吸引力を小さくすることができるので、アシスト用の電磁弁を用いることなくソレノイド部の駆動負荷を軽減してその小型化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高圧の作動油を直接制御するダイレクト制御タイプの電磁弁と、この電磁弁に形成されているアシスト室へ作動油の供給と排出とを行う電磁三方弁とを組み合わせ、
出力圧を調圧している最中には電磁三方弁をオフとし出力圧を最大とするときには電磁三方弁をオンとして電磁三方弁からアシスト室に作動油を供給して油圧をコントロールする油圧コントローラが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電磁弁では、アシスト室に供給される作動油が電磁部の駆動をアシストする方向に作用するため、電磁部の駆動負荷を軽減しつつ出力圧を安定させことができる。このため、電磁弁を小型化できると共に消費電力を抑えることができるとしている。
【特許文献1】特開2007−139181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した電磁弁では、電磁弁自体は小型化できるものの、別個に三方電磁弁を設ける必要があるから、全体として十分な小型化を図ることができない。このため、例えば、車載時など油圧コントローラの設置スペースに厳しい制約があるときに設置できない場合があったり、電磁弁の消費電力は抑えられても三方電磁弁の駆動に電力が消費されて期待するほどの節電効果が得られない場合がある。
【0004】
本発明の電磁弁は、アシスト用の電磁弁を用いることなく電磁部の駆動負荷を軽減してその小型化を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電磁弁は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の電磁弁は、
入力ポートと出力ポートとドレンポートとフィードバックポートとが形成された中空のスリーブと、前記スリーブに挿入される軸状部材であって圧送された作動流体を前記入力ポートを介して入力すると共に該入力した作動流体を前記ドレンポートからの排出を伴って前記出力ポートから出力する低出力状態と前記圧送された作動流体を該入力ポートを介して入力すると共に該入力した作動流体を該ドレンポートからの排出を伴わずに該出力ポートから出力する高出力状態と該入力ポートを遮断し該出力ポートと該ドレンポートとを連通する入力遮断状態とを軸方向の移動により切り替え可能であり前記フィードバックポートを介して流入する作動流体による流体圧としてのフィードバック力が作用するスプールと、を有する弁部と、前記スプールを軸方向に移動させる電磁部と、を備える電磁弁であって、
前記スリーブには、前記入力ポートと前記出力ポートとが連通する方向に移動する際に前記圧送された作動流体または前記出力ポートから出力された作動流体が流入されるアシストポートが形成され、
前記弁部は、前記圧送された作動流体または前記出力ポートから出力された作動流体を前記アシストポートを介して流入すると共に該流入した作動流体による流体圧としてのアシスト力を前記フィードバック力に対向して前記スプールに作用させる
ことを特徴とする。
【0007】
この本発明の電磁弁では、入力ポートと出力ポートとドレンポートとフィードバックポートとが形成された中空のスリーブには、入力ポートと出力ポートとが連通する方向に移動する際に圧送された作動流体または出力ポートから出力された作動流体が流入されるアシストポートが形成され、弁部は、圧送された作動流体または出力ポートから出力された作動流体をアシストポートを介して流入すると共に流入した作動流体による流体圧としてのアシスト力をフィードバック力に対向してスプールに作用させる。したがって、高出力状態において弁に圧送された作動流体または出力ポートから出力された作動流体を用いてスプールに作用するフィードバック力の一部を打ち消すから、スプールの移動に必要な駆動力を小さくすることができる。この結果、アシスト用の電磁弁を用いることなく電磁部の駆動負荷を軽減してその小型化を図ることができる。
【0008】
こうした本発明の電磁弁において、前記弁部は、前記スプールを前記電磁部側に付勢するスプリングが取り付けられ、前記電磁部側に前記フィードバック力が作用するようフィードバック室が形成されると共に該電磁部側とは逆方向に前記アシスト力が作用するようアシスト室が形成され、前記電磁部が駆動していないときには前記スプリングの付勢力により前記スプールを該電磁部側に押し付けて前記入力遮断状態とすると共に前記アシストポートを該スプールにより遮断して前記アシスト力を該スプールに作用させないものとすることもできる。電磁部が駆動していないときに入力遮断状態にあるいわゆるノーマルクローズ型の電磁弁では、高出力状態において電磁部の駆動力によりスプールを電磁部側とは逆側に押し付ける必要がある。このとき、スプールには電磁部の駆動力と対向する向きにスプリングの付勢力とフィードバック力とが作用しているが、本発明では、アシスト力がフィードバック力の一部を打ち消すから小さな駆動力をもってスプールを電磁部側とは逆側に押し付けることができる。このため、電磁部の駆動力を小さくすることができ、その結果、電磁部の駆動負荷を軽減することができる。
【0009】
また、本発明の電磁弁において、前記弁部は、前記スプールを前記電磁部側に付勢するスプリングが取り付けられ、前記電磁部側とは逆方向に前記フィードバック力が作用するようフィードバック室が形成されると共に該電磁部側に前記アシスト力が作用するようアシスト室が形成され、前記電磁部が駆動していないときには前記スプリングの付勢力により前記スプールを該電磁部側に押し付けて前記高出力状態とすると共に前記アシスト力を該スプールに作用させるものとすることもできる。電磁部が駆動していないときに高出力状態にあるいわゆるノーマルオープン型の電磁弁では、高出力状態においてスプリングの付勢力によりスプールを電磁部側に押し付ける必要がある。このとき、スプールにはスプリングの付勢力と対向する向きにフィードバック力が作用しているが、本発明では、アシスト力がフィードバック力の一部を打ち消すから小さな付勢力をもってスプールを電磁部側に押し付けることができる。このため、スプリングの付勢力を小さくすることができ、低出力状態においては小さくなったスプリングの付勢力に打ち勝つだけの駆動力を電磁部から出力すれば足りるから、結果的に電磁部の駆動負荷を軽減することができる。
【0010】
さらに、本発明の電磁弁において、前記スプールは、前記各ポートのうち対応するポートの形成位置に移動したときに該対応するポートを遮断する複数のランドと該ランド間を繋ぐ連結部とを有し、該ランドのうち両端のランドが内側に形成される大径ランドより外径の小さな小径ランドとして形成されてなり、前記スリーブは、一端に前記小径ランドの外径と略同じ内径の小内径部が前記大径ランドの外径と略同じ内径の大内径部との段差をもって形成され、前記スプールが他端側から挿入されたときに前記両端の小径ランドのうちの一方が前記小内径部に配置され他方が前記大内径部に配置され、該他方の小径ランドと該大内径部との隙間に隙間解消部材が取り付けられてなるものとすることもできる。こうすれば、作動流体がスリーブ内に流入したときに一方の小径ランドと隣接する大径ランドとの径差により生じる流体圧と他方の小径ランドと隣接する大径ランドとの径差により生じる流体圧とがそれぞれスプールの端部側から中心に向かって作用するので互いに相殺することができる。この態様の本発明の電磁弁において、前記弁部は、前記一方の小径ランドと該一方の小径ランドに隣接する大径ランドと前記スリーブ内の段差とにより囲まれる空間をアシスト室として形成し、前記他方の小径ランドと該他方の小径ランドに隣接する大径ランドと前記隙間解消部材とにより囲まれる空間をフィードバック室として形成するものとすることもできる。こうすれば、構成部材が少なく組付時の部材同士の寸法誤差の少ない側にアシスト室を形成してアシスト力の精度を上げることができる。また、この態様の本発明の電磁弁において、前記弁部は、前記アシスト室から作動流体を排出するアシストドレンポートが形成され、前記スプールの移動に伴って前記アシストポートを介して作動流体を流入し前記アシストドレンポートを遮断する状態と該アシストポートを遮断し該アシストドレンポートを介して作動流体を排出する状態とを切替可能であるものとすることもできる。こうすれば、アシスト力が不要となる場面でアシスト力が作用するのを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の電磁弁において、前記電磁弁は、レギュレータバルブによって調圧されたライン圧を前記入力ポートを介して入力すると共に該入力したライン圧を調圧し、油圧の供給を受けて作動するオートマチックトランスミッションに組み込まれるクラッチまたはブレーキに前記出力ポートを介して直接油圧を出力可能な弁であるものとすることもできる。ライン圧を一定圧に減圧したモジュレータ圧を入力として調圧したパイロット圧をライン圧調圧用のコントロールバルブに入力する電磁弁に比して、入力圧が高圧なライン圧であり電磁部に要求される駆動力が増大するため、本発明を適用する意義が大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の一実施例としての電磁弁20の構成の概略を示す構成図であり、図2は、電磁弁20の調圧バルブ部40を組み付ける様子を示す説明図である。実施例の電磁弁20は、例えばオートマチックトランスミッションに組み込まれたクラッチの油圧制御に用いられ、オイルポンプ12から圧送されリニアソレノイド14を用いてレギュレータバルブ16により調圧された油圧(ライン油圧)から最適なクラッチ圧を生成してクラッチをダイレクトに制御可能なダイレクト制御用のリニアソレノイドバルブとして構成されている。この電磁弁20は、初期状態において入力ポート52と出力ポート54とが遮断されているノーマルクローズ型のリニアソレノイドバルブとして構成され、ソレノイド部30と、このソレノイド部30により駆動されてライン油圧を入力すると共に入力したライン油圧を調圧して出力する調圧バルブ部40とを備える。
【0014】
ソレノイド部30は、底付き円筒部材としてのケース31と、ケース31の内周側に配置され絶縁性のボビン32aに絶縁導線が巻回されてなるコイル(ソレノイドコイル)32と、ケース31の開口端部にフランジ外周部が固定されたフランジ部34aとフランジ部34aからコイル32の内周面に沿って軸方向に延伸された円筒部34bとが形成された第1のコア34と、ケース31の底部に形成された凹部の内周面と接触すると共にコイル32の内周面に沿って第1のコア34の円筒部34bと所定間隔を隔てた位置まで軸方向に延伸された円筒状の第2のコア35と、第2のコア35に挿入され第1のコア34の内周面および第2のコア35の内周面を軸方向に摺動可能なプランジャ36と、第1のコア34の円筒部34bに挿入されプランジャ36の先端に当接されると共に円筒部34bの内周面を軸方向に摺動可能なシャフト38とを備える。また、ソレノイド部30は、コイル32からの端子がケース31の外周部に形成されたコネクタ部39に配策されており、この端子を介してコイル32への通電が行なわれる。
【0015】
第1のコア34の円筒部34bの先端部は、外面には先端に向かうほど外径が小さくなるようテーパが形成され、内面にはシャフト38の外径よりも大きな外径のプランジャ36の先端部が嵌挿可能にプランジャ受け34cが形成されている。プランジャ受け34cには、プランジャ36が第1のコア34に直接当接しないよう非磁性材料により形成された環状のリング34dが設けられている。
【0016】
ケース31と第1のコア34と第2のコア35とプランジャ36は、いずれも純度の高い鉄などの強磁性材料により形成されており、第1のコア34の円筒部34bの端面と第2のコア35の端面との間の空間は、非磁性体として機能するよう形成されている。なお、この空間は、非磁性体として機能させればよいから、ステンレススチールや黄銅などの非磁性金属を設けるものとしても構わない。
【0017】
ソレノイド部30では、コイル32に通電すると、ケース31,第2のコア35,プランジャ36,第1のコア34,ケース31の順にコイル32の周囲を周回するよう磁束が流れる磁気回路が形成され、これにより第1のコア34とプランジャ36との間に吸引力が作用してプランジャ36が吸引される。前述したように、プランジャ36の先端には第1のコア34の内周面を軸方向に摺動可能なシャフト38が当接されているから、プランジャ36の吸引に伴ってシャフト38は前方(図中左方向)に押し出される。
【0018】
調圧バルブ部40は、バルブボディ100に組み込まれるものとして構成されており、一端がソレノイド部30のケース31および第1のコア34に取り付けられた略円筒状のスリーブ50と、スリーブ50の内部空間に挿入され一端がソレノイド部30のシャフト38の先端に当接されたスプール60と、スリーブ50の他端にネジ止めされたエンドプレート42と、エンドプレート42とスプール60の他端との間に設けられてスプール60をソレノイド部30側の方向へ付勢するスプリング44と、スリーブ50の内径とスプール60の外径との隙間に圧入されてその隙間を解消する筒状部材46とを備える。なお、エンドプレート42は、そのネジ位置を調整することにより、スプリング44の付勢力を微調整することができるようになっている。
【0019】
スリーブ50は、その内部空間の開口部として、レギュレータバルブ16(オイルポンプ14)から圧送された作動油を入力する入力ポート52と、クラッチCL側に作動油を吐出する出力ポート54と、作動油をドレンするドレンポート56と、レギュレータバルブ16(オイルポンプ14)から圧送された作動油を入力するアシストポート57と、出力ポート54から吐出された作動油を外部に形成された油路58aを介して入力してスプール60にフィードバックするフィードバックポート58と、が形成されている。各ポートは、ソレノイド部30側から順に、アシストポート57,ドレンポート56,出力ポート54,入力ポート52,フィードバックポート58の順に形成されている。また、スリーブ50の両端部には、スプール60の摺動に伴ってスリーブ50の内周面とスプール60の外周面との間から漏れ出た作動油を排出するための排出孔59aや筒状部材46の内周面とスプール60の外周面との間から漏れ出た作動油を排出するための排出孔59bも形成されている。
【0020】
スプール60は、スリーブ50の内部に挿入される軸状部材として形成されており、図1に示すように、スリーブ50の中央部の内径と略同一の外径の円柱状の二つの大径ランド63,65とこの大径ランド63,65の外径よりも小さな外径を有し両端に配置される小径ランド61,67と、右側の小径ランド61と大径ランド63との間を連結する連結部62と、大径ランド63と大径ランド65との間を連結し大径ランド63,65の外径よりも小さな外径で且つ互いの大径ランド63,65から中央部に向かうほど小さな外径となるようテーパ状に形成され入力ポート52と出力ポート54とドレンポート56の各ポート間を連通可能な連通部64と、大径ランド65と左側の小径ランド67との間を連結する連結部66とを備える。
【0021】
スリーブ50は、図2(a)に示すように、右端側はスプール60の右側の小径ランド61が摺動して移動可能となるよう小径ランド61の外径と略同一の内径d1に形成され、中央はスプール60の大径ランド63,65が摺動して移動可能となるよう大径ランド63,65の外径と略同一の内径d2に形成され、中央より左寄りの位置では内径d2より大きな内径d3に形成され、左端側は内径d3より大きな内径d4に形成されている。これにより、スリーブ50の左端側からスプール60を挿入できるようになっている。なお、内径d4の部分には、エンドプレート42をネジ止めするためのネジ山42aが形成されている。
【0022】
次に、こうして構成される電磁弁20の調圧バルブ部40の組み付けについて、図2を参照しながら説明する。まず、図2(b)に示すように、図中左方向からスリーブ50内にスプール60が挿入される。このとき、スプール60の小径ランド61がスリーブ50の内径d1の部分に嵌められる位置まで挿入される。次に、図2(c)に示すように、図中左方向からスリーブ50の内壁と小径ランド67との隙間に筒状部材46を圧入する。この筒状部材46は、外径が段付きに形成された筒状の部材であり、外径の最大径がスリーブ50の内径d3の部分に圧入されるよう内径d3と略同一の径に形成されると共に小径ランド67の外径に製造上の寸法誤差があっても圧入時に小径ランド67と接触することなく且つ小径ランド67との隙間が最小となるような内径d1’に形成されている。圧入した後は、図2(d)に示すように、スプリング44を挿入してからエンドプレート42をスプール50に締め付けて組み付けが完了する。
【0023】
こうして組み付けられた調圧バルブ部40は、バルブボディ100に組み込まれると、図1に示すように、スリーブ50の内径d1の部分と内径d2の部分との段差およびスプール60の小径ランド61と大径ランド63とにより囲まれた空間をアシスト室70として形成し、スリーブ50に圧入された筒状部材46およびスプール60の小径ランド67と大径ランド65とにより囲まれた空間をフィードバック室80として形成する。ここで、アシストポート57を介してアシスト室70に流入した作動油によりスプール60に作用する流体圧(以下、アシスト力)は、小径ランド61と大径ランド63との面積差により図中左方向に作用する。また、フィードバックポート58を介してフィードバック室80に流入した作動油によりスプール60に作用する流体圧(以下、フィードバック力)は、小径ランド67と大径ランド65との面積差により図中右方向に作用する。このため、スプール60には、アシスト力とフィードバック力とが互いに対向する向きに作用する。即ち、フィードバック力に対向してアシスト力が作用することから、フィードバック力の一部が打ち消されることになる。
【0024】
こうして構成された実施例の電磁弁20の動作について説明する。図3は、電磁弁20の動作を説明する説明図である。まず、コイル32への通電がオフされている場合を考える。この場合、スプール60はスプリング44の付勢力によりソレノイド部30側へ移動しているから、ランド65により入力ポート52が閉塞されて入力ポート52と出力ポート54とが遮断されると共に連通部64を介して出力ポート54とドレンポート56とが連通された状態となる(図3(a)参照)。したがって、クラッチCLには油圧は作用しない。次に、コイル32への通電がオンされると、コイル32に印加される電流の大きさに応じた吸引力で第1のコア34にプランジャ36が吸引され、これに伴ってシャフト38が押し出されてシャフト38の先端に当接されたスプール60がエンドプレート42側に移動する。これにより、入力ポート52と出力ポート54とドレンポート56とが互いに連通した状態となり、入力ポート52から入力された作動油は一部が出力ポート54に出力されると共に残余がドレンポート56に出力される(図3(b)参照)。また、フィードバックポート58は、油路58aを介して出力ポート54と連通された状態となり、スプール60には出力ポート54の出力圧に応じたフィードバック力が図中右方向に作用する。したがって、スプール60は、プランジャ36の推力(吸引力)とスプリング44のバネ力とフィードバック力とが丁度釣り合う位置で停止することになる。そして、コイル32に印加される電流が大きくなる、即ちプランジャ36の推力が大きくなると、スプール60がエンドプレート42側にさらに移動し、入力ポート52の開口面積を広げると共にアシストポート57を開口しランド63によりドレンポート56が閉塞されて出力ポート54とドレンポート56とが遮断される(図3(c)参照)。これにより、クラッチCLを保持するための高圧の作動油が出力ポート54から出力されることになる。また、アシストポート57が開口されることにより、スプール60には、アシストポート57の開口面積に応じて流入された作動油によるアシスト力が図中左方向に作用する。このときスプール60に作用する力の様子を図4に示す。図4(a)は、本実施例での様子を示し、図4(b)は、比較例としてアシストポート57が形成されていない電磁弁で高圧の作動油を出力しているときに作用する力の様子を示す。図4(a)に示すように、本実施例では、スプール60には図中右方向に向かって付勢力とフィードバック力(図中FB力)とが作用し、図中左方向に向かってアシスト力(図中AS力)とプランジャ36の吸引力とが作用する。このため、アシスト力によりフィードバック力の一部を打ち消すことができる。一方、図4(b)に示すように、比較例ではアシスト力が作用せずフィードバック力を打ち消すことができないので、本実施例よりも吸引力を大きなものとする必要がある。また、コイル32に印加する電流Iとスプール60のストローク量sとの関係を図5に示す。図5では、実線が本実施例での関係,点線が比較例での関係を示し、ストローク量が値s1の位置でアシストポート57が開口されるものとする。図示するように、電流Iが値I1より小さくアシストポート57が遮断されている状態においては、スプール60にアシスト力が作用しないので、比較例との差異は生じない。一方、電流Iが値I1以上となった以降は、アシストポート57が開口されスプール60にアシスト力が作用しフィードバック力の一部を打ち消すので、同じ電流Iを印加していても比較例に比してストローク量sが大きなものとなる。言い換えれば、本実施例では、比較例に比して同じストローク量sを得るために必要な電流Iを小さなものとすることができる。このように、ソレノイド部30の必要な推力(吸引力)を小さくすることができるので、ソレノイド部30を大型化することなく、調圧バルブ部40を適切に駆動することができる。
【0025】
以上説明した実施例の電磁弁20によれば、高圧の作動油を出力する際にスプリング44の付勢力とフィードバック力とに打ち勝つような吸引力をソレノイド部30から出力するタイプのノーマルクローズ型の電磁弁において、スリーブ50に形成されたアシストポート57を介して圧送された作動油を流入させスプール60にアシスト力を作用させることによりフィードバック力の一部を打ち消すことができる。この結果、ソレノイド部30からの必要な吸引力が小さなものとなるので、アシスト用の電磁弁を用いることなくソレノイド部30の駆動負荷を軽減してその小型化を図ることができる。
【0026】
実施例の電磁弁20では、初期状態、即ちコイル32への通電が遮断している状態で入力ポート52と出力ポート54とを遮断すると共に出力ポート54とドレンポート56とを連通するノーマルクローズ型の電磁弁として構成するものとしたが、コイル32への通電が遮断している状態で入力ポート152と出力ポート154とを連通すると共に出力ポート154とドレンポート156とを遮断するノーマルオープン型の電磁弁として構成するものとしてもよい。図6は、変形例のノーマルオープン型の電磁弁120の構成の概略を示す構成図であり、図7は、電磁弁120の調圧バルブ部140を組み付ける様子を示す説明図である。この変形例の電磁弁120では、実施例の電磁弁20のソレノイド部30と同一のものを用いているから、ソレノイド部30についての説明は省略する。変形例の電磁弁120では、調圧バルブ部140としては、バルブボディ200に組み込まれるものとして構成されており、実施例の電磁弁20と同様に、スリーブ150とスプール160とエンドプレート142とスプリング144と筒状部材146とを備える。スリーブ150は、その内部空間の開口部として、図示しないレギュレータバルブから圧送された作動油を入力する入力ポート152と、クラッチCL側に作動油を吐出する出力ポート154と、作動油をドレンするドレンポート156と、レギュレータバルブから圧送された作動油を入力するアシストポート157と、出力ポート154からの作動油をバルブボディ200の内面とスリーブ150の外面とにより形成された油路158aを介して入力してスプール160にフィードバックするフィードバックポート158とが形成されている。各ポートは、ソレノイド部30側から順に、フィードバックポート158,入力ポート152,出力ポート154,ドレンポート156,アシストポート157の順に形成されている。また、スリーブ150の両端部には、筒状部材146の内周面とスプール160の外周面との間から漏れ出た作動油を排出するための排出孔159aやスプール160の摺動に伴ってスリーブ150の内周面とスプール160の外周面との間から漏れ出た作動油を排出するための排出孔159bも形成されている。スプール160は、スリーブ150の内部に挿入される軸状部材として形成されており、スリーブ150の中央部の内径と略同一の外径の円柱状の二つの大径ランド163,165とこの大径ランド163,165の外径よりも小さな外径を有し両端に配置される小径ランド161,167と、右側の小径ランド161と大径ランド163との間を連結する連結部162と、大径ランド163と大径ランド165との間を連結し大径ランド163,165の外径よりも小さな外径で且つ互いの大径ランド163,165から中央部に向かうほど小さな外径となるようテーパ状に形成され入力ポート152と出力ポート154とドレンポート156の各ポート間を連通可能な連通部164と、大径ランド165と左側の小径ランド167との間を連結する連結部166とを備える。また、スリーブ150は、図7(a)に示すように、左端側のやや中央寄りにスプール160の左側の小径ランド167が摺動して移動可能となるよう小径ランド167の外径と略同一の内径d10に形成され、左端側は内径d10より大きな内径d15に形成され、中央はスプール160の大径ランド163,165が摺動して移動可能となるよう大径ランド163,165の外径と略同一の内径d20に形成され、中央より右寄りの位置では内径d20より大きな内径d30に形成され、右端側は内径d30より大きな内径d40に形成されている。なお、内径d15の部分には、エンドプレート142をネジ止めするためのネジ山142aが形成されている。
【0027】
こうして構成される電磁弁120の調圧バルブ部140の組み付けについて、図7を参照しながら説明する。まず、図7(b)に示すように、スリーブ150の左端にエンドプレート142を締め付ける。次に、図7(c)に示すように、図中右方向からスプリング144を挿入してから、スプール160を挿入する。このとき、スプール160の小径ランド167が内径d10の部分に嵌められる位置まで挿入される。続いて、図7(d)に示すように、図中右方向からスリーブ150の内壁と小径ランド161との隙間に筒状部材146を圧入して、組み付けが完了する。この筒状部材146は、外径が段付きに形成された筒状の部材であり、外径の最大径がスリーブ150の内径d30の部分に圧入されるよう内径d30と略同一の径に形成されると共に小径ランド161の外径に製造上の寸法誤差があっても圧入時に小径ランド161と接触することなく且つ小径ランド161との隙間が最小となるような内径d10’に形成されている。こうして組み付けられた調圧バルブ部140は、バルブボディ200に組み込まれると、図6に示すように、スリーブ150の内径d10の部分と内径d20の部分との段差およびスプール160の小径ランド167と大径ランド165とにより囲まれたアシスト室170と、スリーブ150に圧入された筒状部材146およびスプール160の小径ランド161と大径ランド163とにより囲まれたフィードバック室180とが形成される。ここで、アシストポート157を介してアシスト室170に流入した作動油によりスプール160に作用するアシスト力は、小径ランド167と大径ランド165との面積差により図中右方向に作用する。また、フィードバックポート158を介してフィードバック室180に流入した作動油によりスプール160に作用するフィードバック力は、小径ランド161と大径ランド163との面積差により図中左方向に作用する。このため、本実施例と同様に、アシスト力とフィードバック力とが互いに対向する向きに作用する。即ち、フィードバック力に対向してアシスト力が作用することから、フィードバック力の一部が打ち消されることになる。
【0028】
次に、こうして構成された変形例の電磁弁120の動作と動作中にスプール160に作用する力について説明する。図8は、変形例の電磁弁120の動作を説明する説明図であり、図9は、スプール160に作用する力の様子を示す説明図である。図9(a),(c)が変形例の様子を示し、図9(b),(d)が比較例としてアシストポート157が形成されていない電磁弁での様子を示す。まず、コイル32への通電がオフされている場合を考える。この場合、スプール160はスプリング144の付勢力によりソレノイド部30側へ移動しているから、連通部164を介して入力ポート152と出力ポート154とが連通しランド165によりドレンポート156が閉塞されて出力ポート154とドレンポート156とが遮断されアシストポート157が開口された状態となる(図8(a)参照)。これにより、クラッチCLには最大油圧が作用する。また、フィードバックポート158は、油路158aを介して出力ポート154と連通された状態となり、スプール160には出力ポート154の出力圧に応じたフィードバック力が図中左方向に作用する。また、アシストポート157が開口されているので、スプール160には、アシストポート157の開口面積に応じて流入された作動油によるアシスト力が図中右方向に作用する。このとき、図9(a)に示すように、変形例のスプール160には、図中右方向に向かってスプリング144の付勢力とアシスト力(図中AS力)とが作用し、図中左方向に向かってフィードバック力(図中FB力)が作用する。このため、アシスト力によりフィードバック力の一部を打ち消すことができる。一方、図9(b)に示すように、比較例ではアシスト力が作用しないので、変形例よりもスプリング144の付勢力を大きなものとする必要がある。ここで、ノーマルオープン型の電磁弁では、高圧時にスプリング144の付勢力によりスプール160をソレノイド部30側に押し戻す必要がある。このとき、付勢力と対向する向きにスプール160に作用しているフィードバック力に打ち勝つ必要があるが、出力圧が高圧であるためフィードバック力は大きなものとなっている。このため、スプリング144の付勢力としては大きなフィードバック力を上回る更に大きな力が要求されるが、変形例では、上述したように、アシスト力によってフィードバック力の一部を打ち消すから小さな付勢力でスプール160を押し戻すことができる。したがって、比較例に比して、スプリング144の付勢力を小さくすること、即ちスプリング144のバネ定数を小さくすることができる。次に、コイル32への通電がオンされると、コイル32に印加される電流の大きさに応じた吸引力で第1のコア34にプランジャ36が吸引され、これに伴ってシャフト38が押し出されてシャフト38の先端に当接されたスプール160がエンドプレート142側に移動する。これにより、入力ポート152と出力ポート154とドレンポート156とが互いに連通すると共にアシストポート157が遮断された状態となり、入力ポート152から入力された作動油は一部が出力ポート154に出力されると共に残余がドレンポート156に出力される(図8(b)参照)。この際、コイル32に印加される電流が大きくなるほど、即ちプランジャ36の推力が大きくなるほど、スプール160がエンドプレート142側に移動し、入力ポート152の開口面積を狭めると共にドレンポート156の開口面積を広げ、スプリング144が収縮する。このとき、図9(c)に示すように、スプール160には、図中右方向に向かってスプリング144の付勢力が作用し、図中左方向に向かってフィードバック力(図中FB力)とプランジャ36の吸引力とが作用し、これらの力が丁度釣り合う位置で停止することになる。一方、比較例においても同様の力が作用するが、上述したように、変形例ではスプリング144のバネ定数を小さくすることができるから、スプリング144が収縮したときの付勢力も比較例に比して小さなものとなる(図9(d)参照)。このため、比較例に比して、変形例では、低圧の作動油を出力する際にプランジャ36の吸引力を小さなものとすることができる。コイル32への通電がさらに大きくなると、スプール160は最もエンドプレート142寄りに移動し、ランド163により入力ポート152が閉塞されて入力ポート152と出力ポート154とが遮断されると共に連通部164を介して出力ポート154とドレンポート156とが連通された状態となる(図8(c)参照)。したがって、クラッチCLには油圧は作用しない。このとき、スプリング144の付勢力は最大となるが、上述したようにバネ定数を小さくすることができるので、この場合も比較例に比してプランジャ36の吸引力を小さなものとすることができる。以上のことから、ソレノイド部30の必要な推力(吸引力)を小さくすることができるので、ソレノイド部30を大型化することなく、調圧バルブ部140を適切に駆動することができる。
【0029】
こうした変形例の電磁弁120によると、高圧の作動油を出力する際にフィードバック力に打ち勝つような力をスプリング144の付勢力とするタイプのノーマルオープン型の電磁弁において、スリーブ50に形成されたアシストポート57を介して圧送された作動油を流入させスプール60にアシスト力を作用させることによりフィードバック力の一部を打ち消すことができる。これにより、スプリング144の付勢力を小さくすること、即ちスプリング144のバネ定数を小さくすることができるので、スプリング144の付勢力に抗してスプール160を移動させるのに必要なソレノイド部30の吸引力を小さくすることができる。この結果、本実施例と同様に、アシスト用の電磁弁を用いることなくソレノイド部30の駆動負荷を軽減してその小型化を図ることができる。
【0030】
実施例の電磁弁20では、レギュレータバルブ16(オイルポンプ14)から圧送された作動油をアシストポート57に入力するものとしたが、出力ポート54から出力された作動油をアシストポート57に入力するものとしてもよい。
【0031】
実施例の電磁弁20では、スリーブ50の内径d1の部分と内径d2の部分との段差およびスプール60の小径ランド61と大径ランド63とにより囲まれた空間をアシスト室70として形成しスリーブ50に圧入された筒状部材46およびスプール60の小径ランド67と大径ランド65とにより囲まれた空間をフィードバック室80として形成するものとしたが、図10の変形例の電磁弁220に示すように、スリーブ250に圧入された筒状部材246およびスプール260の小径ランド261と大径ランド263とにより囲まれた空間をアシスト室270として形成しスリーブ250の内部の段差およびスプール260の小径ランド267と大径ランド265とにより囲まれた空間をフィードバック室280として形成するものとしてもよい。
【0032】
実施例の電磁弁20では、筒状部材46を圧入するものとしたが、圧入するものに限られず、図11の変形例の電磁弁320に示すように、筒状部材346をスリーブ350に挿入すると共に挿入した筒状部材346を別部材(例えば、エンドプレート342)で固定するものとしてもよい。この筒状部材346は、段差のないストレートの筒状の部材として形成され、圧力を加えることなくスリーブ350内に挿入できるような外径に形成されている。また、エンドプレート342は、外周面と内周面とにネジ山が形成されスリーブ350にネジ止めされて筒状部材346を固定する外プレート342aと、外周面に形成されたネジ山により外プレート342aの内周面にネジ止めされスプリング344を受ける内プレート342bとにより構成されている。図12に電磁弁320の調圧バルブ部340を組み付ける様子を示す。まず、図12(a)に示すように、図中左方向からスリーブ350にスプール360が挿入され、図12(b)に示すように、スリーブ350に筒状部材346が挿入される。そして、図12(c)に示すように、スリーブ350のネジ山342cに外プレート342aが締め付けられ、図12(d)に示すように、スプリング344を挿入してから内プレート342bを外プレート342aに締め付けて、組み付けが完了する。
【0033】
実施例の電磁弁20では、アシスト室70には作動油の入出力ポートとして作動油が入力するアシストポート57のみを形成したが、図13の変形例の電磁弁420に示すように、アシスト室470から作動油を排出するためのアシスト用ドレンポート455が形成されているものとしてもよい。電磁弁420では、スプール460が図中左方向に移動したときにアシストポート457が開口されると共にランド461によりアシスト用ドレンポート455が遮断され、スプール60が図中右方向に移動したときにアシストポート457が遮断されると共にアシスト用ドレンポート455が開口される。これにより、アシストポート457が遮断されたときにはアシスト室470から作動油が排出されるので、不要な場面でアシスト力が作用するのを抑制することができる。また、図14の変形例の電磁弁520に示すように、アシスト用ドレンポート555をスプール560に取り付けられたシール部材572で遮断するものとしてもよい。この電磁弁520においては、電磁弁420と同様にアシストポート557が遮断されたときにアシスト室570の作動油を排出するだけでなく、シール部材572がスリーブ550の内壁と面接触することによりアシスト室570から作動油が漏れることのないようアシスト用ドレンポート555を確実に遮断するので、アシスト力を確実にスプール560に作用させることができる。なお、シール部材572のスプール560への取り付けは、例えば、スプール560をスリーブ550内に挿入した後に、図中右方向からスプール560の連結部562にシール部材572を嵌め込んでからEリングなどの組付用部材574をスプール560に取り付けることにより行うものとすればよい。あるいは、図15に示すように、シール部材572をスプール560の小径ランド561に嵌め込んでから組付用部材574によりスプール560に取り付けるものとしてもよい。この場合には、小径ランド561とシール部材572とが一体となってアシスト用ドレンポート555の開口と遮断とを行うことになる。
【0034】
実施例の電磁弁20では、オートマチックトランスミッションに組み込まれたクラッチCLの油圧制御に用いるものとしたが、油圧により作動する如何なる作動機構の油圧制御に用いるものとしてもよく、ダイレクト制御用ではないパイロット制御用の電磁弁などに用いるものとしてもよい。
【0035】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、電磁弁の製造産業や自動車産業などに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施例としての電磁弁20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】電磁弁20を組み付ける様子を説明する説明図である。
【図3】電磁弁20の動作を説明する説明図である。
【図4】スプール60に作用する力の様子を示す説明図である。
【図5】電流Iとストローク量sとの関係を示す説明図である。
【図6】変形例の電磁弁120の構成の概略を示す構成図である。
【図7】変形例の電磁弁120を組み付ける様子を説明する説明図である。
【図8】変形例の電磁弁120の動作を説明する説明図である。
【図9】スプール160に作用する力の様子を示す説明図である。
【図10】変形例の電磁弁220の構成の概略を示す構成図である。
【図11】変形例の電磁弁320の構成の概略を示す構成図である。
【図12】変形例の電磁弁320を組み付ける様子を説明する説明図である。
【図13】変形例の電磁弁420の構成の概略を示す構成図である。
【図14】変形例の電磁弁520の構成の概略を示す構成図である。
【図15】変形例の電磁弁520のシール部材572の別の取付方法の構成の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
【0038】
12 ポンプ、14 リニアソレノイド、16レギュレータバルブ、20,120,220,320,420,520 電磁弁、30 ソレノイド部、31 ケース、32 コイル、32a ボビン、34 第1のコア、34a フランジ部、34b 円筒部、34c プランジャ受け、34d リング、35 第2のコア、36 プランジャ、38 シャフト、39 コネクタ部、40,140,240,340,440,540 調圧バルブ部、42,142,242,342 エンドプレート、42a,142a,342c ネジ山、44,144,244,344 スプリング、46,146,246,346 筒状部材、50,150,250,350,450,550 スリーブ、52,152,252,352,452,552 入力ポート、54,154,254,354,454,554 出力ポート、56,156,256,356,456,556 ドレンポート、57,157,257,357,457,557 アシストポート、58,158,258,358,458,558 フィードバックポート、58a,158a,258a,358a,458a,558a 油路、59a,59b,159a,159b,259a,259b,359a,359b,459a,559a 排出孔、60,160,260,360,460,560 スプール、61,67,161,167,261,267,361,367,461,467,561,567 小径ランド、63,65,163,165,263,265,363,365,463,465,563,565, 大径ランド、62,66,162,166,262,266,362,366,462,466,562,566 連結部、64,164,264,364,464,564 連通部、70,170,270,370,470,570 アシスト室,80,180,280,380,480,580 フィードバック室、100,200,300,400,500 バルブボディ、342a 外プレート,342b 内プレート、455,555 アシスト用ドレンポート、572 シール部材、574 組付用部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ポートと出力ポートとドレンポートとフィードバックポートとが形成された中空のスリーブと、前記スリーブに挿入される軸状部材であって圧送された作動流体を前記入力ポートを介して入力すると共に該入力した作動流体を前記ドレンポートからの排出を伴って前記出力ポートから出力する低出力状態と前記圧送された作動流体を該入力ポートを介して入力すると共に該入力した作動流体を該ドレンポートからの排出を伴わずに該出力ポートから出力する高出力状態と該入力ポートを遮断し該出力ポートと該ドレンポートとを連通する入力遮断状態とを軸方向の移動により切り替え可能であり前記フィードバックポートを介して流入する作動流体による流体圧としてのフィードバック力が作用するスプールと、を有する弁部と、前記スプールを軸方向に移動させる電磁部と、を備える電磁弁であって、
前記スリーブには、前記入力ポートと前記出力ポートとが連通する方向に移動する際に前記圧送された作動流体または前記出力ポートから出力された作動流体が流入されるアシストポートが形成され、
前記弁部は、前記圧送された作動流体または前記出力ポートから出力された作動流体を前記アシストポートを介して流入すると共に該流入した作動流体による流体圧としてのアシスト力を前記フィードバック力に対向して前記スプールに作用させる
ことを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記弁部は、前記スプールを前記電磁部側に付勢するスプリングが取り付けられ、前記電磁部側に前記フィードバック力が作用するようフィードバック室が形成されると共に該電磁部側とは逆方向に前記アシスト力が作用するようアシスト室が形成され、前記電磁部が駆動していないときには前記スプリングの付勢力により前記スプールを該電磁部側に押し付けて前記入力遮断状態とすると共に前記アシストポートを該スプールにより遮断して前記アシスト力を該スプールに作用させない請求項1記載の電磁弁。
【請求項3】
前記弁部は、前記スプールを前記電磁部側に付勢するスプリングが取り付けられ、前記電磁部側とは逆方向に前記フィードバック力が作用するようフィードバック室が形成されると共に該電磁部側に前記アシスト力が作用するようアシスト室が形成され、前記電磁部が駆動していないときには前記スプリングの付勢力により前記スプールを該電磁部側に押し付けて前記高出力状態とすると共に前記アシスト力を該スプールに作用させる請求項1記載の電磁弁。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の電磁弁であって、
前記スプールは、前記各ポートのうち対応するポートの形成位置に移動したときに該対応するポートを遮断する複数のランドと該ランド間を繋ぐ連結部とを有し、該ランドのうち両端のランドが内側に形成される大径ランドより外径の小さな小径ランドとして形成されてなり、
前記スリーブは、一端に前記小径ランドの外径と略同じ内径の小内径部が前記大径ランドの外径と略同じ内径の大内径部との段差をもって形成され、前記スプールが他端側から挿入されたときに前記両端の小径ランドのうちの一方が前記小内径部に配置され他方が前記大内径部に配置され、該他方の小径ランドと該大内径部との隙間に隙間解消部材が取り付けられてなる
電磁弁。
【請求項5】
前記弁部は、前記一方の小径ランドと該一方の小径ランドに隣接する大径ランドと前記スリーブ内の段差とにより囲まれる空間をアシスト室として形成し、前記他方の小径ランドと該他方の小径ランドに隣接する大径ランドと前記隙間解消部材とにより囲まれる空間をフィードバック室として形成する請求項4記載の電磁弁。
【請求項6】
前記弁部は、前記アシスト室から作動流体を排出するアシストドレンポートが形成され、前記スプールの移動に伴って前記アシストポートを介して作動流体を流入し前記アシストドレンポートを遮断する状態と該アシストポートを遮断し該アシストドレンポートを介して作動流体を排出する状態とを切替可能である請求項5記載の電磁弁。
【請求項7】
前記電磁弁は、レギュレータバルブによって調圧されたライン圧を前記入力ポートを介して入力すると共に該入力したライン圧を調圧し、油圧の供給を受けて作動するオートマチックトランスミッションに組み込まれるクラッチまたはブレーキに前記出力ポートを介して直接油圧を出力可能な弁である請求項1ないし6いずれか1項に記載の電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−243544(P2009−243544A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89145(P2008−89145)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】