説明

電磁弁

【課題】弁部材の偏摩耗を防止して安定した流量調整を行うことが可能な電磁弁を提供すること。
【解決手段】弁部材40の燃料通路41と空間93とを連通する連通孔43が外周面部44で開口する部位では、弁ボディ30の内周面部34と弁部材40の外周面部44と径方向の距離h1、h2が、弁ボディ30円筒部の周方向において、連通孔43開口両端では不等となっており、連通孔43から空間93へ流出する燃料や空間93から連通孔43へ流入する燃料の流通抵抗は、弁ボディ30周方向で異なっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を制御する電磁弁に関し、例えば、ディーゼル機関などへ供給される燃料を調量するための電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、下記特許文献1に開示された電磁弁がある。この電磁弁は、弁ハウジングであるバルブケースと、バルブケースの軸線方向にバルブケース内を往復動可能に設けられた弁部材である弁体と、弁体を往復駆動する駆動手段であるソレノイド部とを備えおり、ソレノイド部によるバルブケース内における弁体の変位位置に応じて、バルブケース内を通過する流体の流量を調整するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−39420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術の電磁弁では、通常バルブケースの軸線方向に対して弁体の軸線方向が僅かに傾いており、弁体は軸線方向に離れた複数箇所(通常は2箇所)でバルブケースに接触して支持されている。したがって、ソレノイド部の駆動によって弁体がバルブケース内を変位する際には、弁体とバルブケースとが同一部位同士で接触した状態のまま摺動する。このような弁体とバルブケースとが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されると、偏摩耗が発生して弁体の傾きが増大し、接触部の摺動抵抗が増大して、安定した流量調整が難しくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、偏摩耗を防止して安定した流量調整を行うことが可能な電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
円筒部を有する弁ハウジングと、
円筒部の軸線方向に円筒部内を往復動可能に設けられた弁部材と、
弁部材を往復駆動する駆動手段と、を備え、
駆動手段による弁ハウジング内における弁部材の変位位置に応じて、弁ハウジング内を流通する流体の流量を調整する電磁弁であって、
弁部材は、
弁部材の軸線方向に延びて流体を流通する第1流体通路と、
第1流体通路と、弁ハウジング円筒部の内周面部と弁部材の外周面部との間に形成されたハウジング内空間とを連通する第2流体通路と、を有し、
第2流体通路が弁部材の外周面部で開口する部位では、弁ハウジング円筒部の内周面部と弁部材の外周面部との径方向の距離が、円筒部周方向における開口両端では不等であることを特徴としている。
【0007】
これによると、第2流体通路から流出もしくは第2流体通路に流入する流体のハウジング内空間における流通抵抗は、第2流体通路が弁部材の外周面部で開口する部位における周方向開口両端で異なる。したがって、第2流体通路に流体を流通したときには、ハウジング内空間の周方向開口両端の流量の差により、弁部材に対して軸線周りに回転する応力を加えることができる。このようにして、弁ハウジングと弁部材とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されることを防止し、偏摩耗を防止して安定した流量調整を行うことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電磁弁において、第2流体通路は、軸線が弁部材の軸線と交差するように形成されていることを特徴としている。これによると、第2流体通路は弁部材の中心軸線から径外方向に延びる通路であるので、弁部材への第2流体通路の形成が容易である。
【0009】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の電磁弁において、弁部材の外周面部は弁ハウジング円筒部の内周面部に沿う曲面部と弁ハウジング円筒部の内周面部から離間した平面部とを有して、弁ハウジング内周面部と弁部材平面部との間がハウジング内空間となっており、第2燃料通路は、弁ハウジング円筒部周方向における平面部の縁部に開口していることを特徴としている。
【0010】
これによると、弁ハウジング円筒部の内周面部と弁部材の外周面部と径方向の距離が、円筒部周方向における第2流体通路開口両端では不等となる構成を容易に形成することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明では、
円筒部を有する弁ハウジングと、
円筒部の軸線方向に円筒部内を往復動可能に設けられた弁部材と、
弁部材を往復駆動する駆動手段と、を備え、
駆動手段による弁ハウジング内における弁部材の変位位置に応じて、弁ハウジング内を流通する流体の流量を調整する電磁弁であって、
弁部材は、
弁部材の軸線方向に延びて流体を流通する第1流体通路と、
第1流体通路と弁部材の外周とを連通する第2流体通路と、を有し、
第2流体通路の軸線が、弁部材の軸線に対してねじれの位置関係にあることを特徴としている。
【0012】
これによると、流体が第2流体通路を流通するときには、弁部材の軸線とは交わらないねじれの位置関係にある第2流体通路の軸線方向に移動する流体により、弁部材に対して軸線周りに回転する応力を加えることができる。したがって、弁ハウジングと弁部材とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されることを防止し、偏摩耗を防止して安定した流量調整を行うことができる。
【0013】
また、請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の電磁弁において、第2流体通路は、第1流体通路と弁ハウジング円筒部の内周面部と弁部材の外周面部との間に形成されたハウジング内空間とを連通しており、第2流体通路が弁部材の外周面部で開口する部位では、弁ハウジング円筒部の内周面部と弁部材の外周面部との径方向の距離が、円筒部周方向における開口両端では不等であることを特徴としている。
【0014】
これによると、第2流体通路から流出もしくは第2流体通路に流入する流体のハウジング内空間における流通抵抗は、第2流体通路が弁部材の外周面部で開口する部位における周方向開口両端で異なる。したがって、第2流体通路に流体を流通したときには、弁部材の軸線とは交わらないねじれの位置関係にある第2流体通路の軸線方向に移動する流体による力ばかりでなく、ハウジング内空間の周方向開口両端の流量の差により、弁部材に対して軸線周りに回転する応力を加えることができる。このようにして、弁ハウジングと弁部材とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されることを確実に防止し、確実に偏摩耗を防止して安定した流量調整を行うことができる。
【0015】
また、請求項6に記載の発明では、第1流体通路に対し、第2流体通路が流体流れ下流側の通路であることを特徴としている。これによると、第1流体通路から第2流体通路へ順に流れる流体により、弁部材に対して軸線周りに常に一定方向の回転する応力を加えることができる。したがって、弁ハウジングと弁部材とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されることを一層確実に防止し、一層確実に偏摩耗を防止して安定した流量調整を行うことができる。
【0016】
また、請求項7に記載の発明では、駆動手段は、一端部を弁部材に接しつつ圧縮されて弁部材を弁ハウジング円筒部の軸線方向に付勢するコイルスプリングを有し、第1流体通路および第2流体通路に流体が流通した際の弁部材の回転方向が、コイルスプリングの他端部から一端部に向かうときの巻き方向と同一であることを特徴としている。これによると、回転する弁部材が、弁部材に応力を付勢しているコイルスプリングの端部に引っ掛かり難い。したがって、弁部材を安定して回転させることができる。
【0017】
また、請求項8に記載の発明では、第2流体通路は、複数設けられており、複数の第2流体通路は、弁部材の軸線周りに対称に配置されていることを特徴としている。これによると、弁部材に対して軸線周りに回転する応力を安定して加えることができる。したがって、弁ハウジングと弁部材とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されることをより一層確実に防止し、より一層確実に偏摩耗を防止して安定した流量調整を行うことができる。
【0018】
また、請求項9に記載の発明では、駆動手段は、通電する電流値に応じてハウジング内における弁部材の位置を変える電磁駆動部を有し、電磁駆動部に印加される電流にディザ電流が重畳されることを特徴としている。これによると、弁部材を微細変位振動させて弁部材と弁ハウジングとの間に油膜を形成し易くし、摺動抵抗を低減することができる。したがって、弁部材の回転も容易にして、弁ハウジングと弁部材とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されることを確実に防止することができる。
【0019】
また、請求項10に記載の発明では、流体は内燃機関に供給される燃料であり、内燃機関に対して噴射する燃料を蓄える蓄圧室へ燃料を加圧して吐出する高圧燃料ポンプの燃料入口側に配設され、高圧燃料ポンプに供給する燃料の流量を調整する電磁弁であることを特徴としている。これによると、内燃機関に対して高圧燃料を噴射する燃料噴射システムにおいて、電磁弁による適正な流量制御を行って燃料噴射量の精度を維持することができ、内燃機関の適正な運転制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した第1の実施形態における電磁弁3を採用したコモンレール式燃料噴射システムを示す構成図である。
【図2】図1のII矢視図である。
【図3】第1の実施形態における弁部材40の構成を示す縦断面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】弁ボディ30と弁部材40との関係を模式的に示す図である。
【図6】第2の実施形態における弁部材40の構成を示す縦断面図である。
【図7】図6におけるVII−VII線断面図である。
【図8】他の実施形態における要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0022】
(第1の実施形態)
本発明を適用した第1の実施形態における電磁弁3を採用したコモンレール式燃料噴射システムを図1に示す。コモンレール式燃料噴射システムは、主に燃料タンク1、給送ポンプ(フィードポンプ)2、流量制御装置としての電磁弁3、高圧燃料ポンプ6および蓄圧室としてのコモンレール7から構成されている。図1の1点鎖線により囲まれる、給送ポンプ2、電磁弁3および高圧燃料ポンプ6は、一体の燃料噴射ポンプ装置として構成されている。
【0023】
燃料タンク1は常圧の燃料を蓄えており、燃料タンク1の内部の燃料は給送ポンプ2により燃料流路11、21を経由して電磁弁3へと供給される。給送ポンプ2の下流側には逆止弁22が配設されており、給送ポンプ2により供給される燃料の圧力が所定の圧力よりも大きくなった場合、燃料は燃料タンク1側へ還流される。給送ポンプ2には、例えばトロコイド式ポンプやベーン式ポンプを用いることができる。
【0024】
電磁弁3は、弁ハウジングとしての弁ボディ30、弁部材40および電磁駆動部50等で構成されている。弁ボディ30は略円筒形状に形成され、円筒部の内部に弁部材40を摺動可能に収容している。弁ボディ30には周方向に複数の(本例では2つの)開口部31が形成されている。この開口部31は、高圧燃料ポンプ6に燃料を供給する燃料供給路61に接続されている。弁ボディ30の給送ポンプ2側の端部にはブッシュ32が油密的に圧入されている。ブッシュ32の中央部に形成されている貫通穴32aは燃料流路21に接続されている。また、貫通穴32aは電磁弁3へ燃料が流入する燃料入口となっている。
【0025】
弁部材40は略有底円筒形状に形成され、弁ボディ30の円筒部内を軸線方向へ摺動可能に収容されている。弁部材40の内部には軸線方向に延びる第1流体通路に相当する燃料通路41が形成され、この燃料通路41には複数の(本例では4つの)連通孔42が接続されている。連通孔42は、その軸線が燃料通路41の軸線に直交する燃料通路をなしている。
【0026】
連通孔42の弁ボディ30側の端部が電磁弁3から燃料が流出する燃料出口となる。弁部材40が弁ボディ30円筒部の軸線方向(図1図示上下方向)に移動することにより、燃料通路41の連通孔42と弁ボディ30の開口部31とが連通または遮断される。
【0027】
弁部材40には、軸線方向における連通孔42形成位置に外周面部44の全周に亘って凹部が形成されて環状溝部92となっている。弁部材40が弁ボディ30円筒部の軸線方向に移動した際には、具体的には、この環状溝部92と弁ボディ30の開口部31とが連通または遮断されるようになっている。
【0028】
弁部材40のブッシュ32側の端部にはスプリング33が当接している。スプリング33の反弁部材側の端部はブッシュ32に当接している。このスプリング33は、弁部材40を電磁駆動部50方向へ付勢している。スプリング33と電磁駆動部50とで、弁部材40を弁ボディ30軸線方向に往復駆動する駆動手段を構成している。
【0029】
弁部材40の軸線方向に延設された燃料通路41は、電磁駆動部50側の端部では閉塞されており、燃料通路41の閉塞端近傍において、燃料通路41に複数の(本例では2つの)連通孔43が接続されている。連通孔43は、弁ボディ30内の電磁駆動部50側で弁ボディ30の内周面部34と弁部材40の外周面部44との間に形成された空間93と燃料通路41とを連通している。連通孔43により、弁部材40が変位した際に、燃料通路41内と空間93との間に圧力差が発生しないようになっている。
【0030】
空間93は、本実施形態における弁ハウジング円筒部内周面部と弁部材外周面部との間に形成されたハウジング内空間であり、連通孔43は、本実施形態において第1流体通路とハウジング内空間とを連通する第2流体通路に相当する。第2流体通路である連通孔43については後で詳述する。
【0031】
電磁駆動部50は、ソレノイド部と可動部材とからなる。ソレノイド部は、ヨーク51、コイル52、ステータ53、ステータ54、ガイド55およびステータカバー56から構成されている。ヨーク51は円筒形状の磁性体で形成されている。コイル52はヨーク51の内周側に配設され、コネクタ8の電極部材81に接続されている。ステータ53およびステータ54は磁性体から形成されており、非磁性体からなるガイド55と例えば溶接などにより接続されている。ステータ53、ステータ54およびガイド55はコイル52の内周側へ嵌合または溶接することにより一体に構成されている。ステータカバー56は、ステータ54の内部に圧入することにより固定されている。
【0032】
ステータ54の図1図示下方側縁部には内周側に弁ボディ30が挿入されて、例えばかしめ加工等によりステータ54と弁ボディ30とは固定されている。可動部材はシャフト57とアーマチャ58とを有しており、シャフト57はアーマチャ58の内周側に圧入されている。可動部材はステータ53、ステータ54およびガイド55の内周側に摺動可能に配設され、リニア軸受59aおよびリニア軸受59bに支持されている。
【0033】
アーマチャ58は磁性材料から形成されているため、コイル52から発生した磁力はステータ53、アーマチャ58、ステータ54およびヨーク51を通る磁気回路を構成する。そのため、シャフト57およびアーマチャ58はステータ54に吸引される。アーマチャ58のステータカバー56側の端部はテーパ状に形成されているため、アーマチャ58とステータ54との間に作用する磁力の強度に応じてアーマチャ58とステータ54との間の空隙の大きさが変化する。そのためコイル52に印加される電流値に応じて、アーマチャ58およびシャフト57の移動距離が変化する(変位位置が変化する)。アーマチャ58の軸方向の図示上端部は、ワッシャ581により支持されている。
【0034】
シャフト57のステータカバー56側の端部と弁部材40の反ブッシュ側の端部とは当接している。そのため、アーマチャ58およびシャフト57の移動にしたがって弁部材40は移動する。なお、図1では、電磁弁3を軸線が図示上下方向となるように図示しているが、燃料噴射ポンプ装置への搭載姿勢は図示上下方向が天地方向である必要はなく、例えば軸方向が水平方向となるように配設することが好ましい。
【0035】
高圧燃料ポンプ6は、プランジャ62が往復移動することにより、加圧室63内部の燃料を加圧する。この高圧燃料ポンプ6では、加圧室63へ流入する燃料の流量に応じて吐出される燃料の流量が変化する。プランジャ62は、図示しないエンジンのクランクシャフト64に配設されているカム65によりクランクシャフト64の回転にしたがって図1図示上下方向へ往復駆動される。
【0036】
高圧燃料ポンプ6には逆止弁66および逆止弁67が配設されており、プランジャ62の下降により電磁弁3および燃料供給路61を経由して燃料を吸入し、プランジャ62の上昇により燃料が加圧されコモンレール7へと吐出される。高圧燃料ポンプ6の吐出側には燃料配管68が接続され、燃料配管68の高圧燃料ポンプ6の反対側の端部はコモンレール7に接続されている。図1ではプランジャ62および加圧室63の組み合わせを1組図示しているが、プランジャ62および加圧室63を複数(例えば2組もしくは3組)備えるものであってもよい。
【0037】
コモンレール7は燃料配管68と接続され、高圧燃料ポンプ6で加圧された燃料を蓄圧状態で保持する。コモンレール7には、エンジンの各気筒の内部へ燃料を噴射するインジェクタ71が気筒数に応じて接続されている。コモンレール7に蓄圧状態で保持された燃料は、インジェクタ71から噴射される。コモンレール7には還流配管72が接続されており、コモンレール7で余剰となった燃料は還流配管72を経由して燃料タンク1へ還流される。
【0038】
図示は省略しているが、各インジェクタ71の制御圧力室に流入してインジェクタ作動に用いられた燃料やリーク燃料等のインジェクタ71低圧ポートから排出される低圧燃料、および、燃料噴射ポンプ装置からのリーク燃料等の低圧燃料も、還流配管72に合流して燃料タンク1に還流するようになっている。
【0039】
また、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムには制御手段であるECU100が接続されている。ECU100は、入力されるコモンレール7の内部の燃料圧力、エンジンの回転数Neならびにアクセル開度αなどに基づいて高圧燃料ポンプ6から吐出される燃料の流量を最適に制御するために電磁弁3のコイル52に印加する電流の出力値を制御する。さらに、ECU100はコモンレール7に接続されているインジェクタ71の図示しない電磁弁の開閉時期を制御する。これにより、エンジンの各気筒の内部への燃料の噴射時期ならびに燃料の量が制御される。
【0040】
ここで、弁ボディ30に形成されている開口部31について説明する。図2は、図1のII矢視図である。弁ボディ30に形成されている開口部31は、図2に示すように、第1開口部311、第2開口部312および第3開口部313から構成されている。第1開口部311、第2開口部312および第3開口部313により1つの開口部31を形成している。また、開口部31は弁ボディ30の軸方向に電磁駆動部50側から第1開口部311、第3開口部313および第2開口部312の順で連続して形成されている。
【0041】
第1開口部311および第2開口部312の形状はそれぞれ概略長方形状に形成され、第1開口部311および第2開口部312の面積はそれぞれ異なるように形成されている。また、第1開口部311の弁ボディ30の軸に対して垂直な方向への長さ、すなわち第1開口部311の幅は第2開口部312の幅よりも小さくなっている。したがって、弁ボディ30の軸方向への開口部31の面積変化率は、第1開口部311よりも第2開口部312の方が大きくなる。
【0042】
また、第1開口部311と第2開口部312との間には、第1開口部311および第2開口部312を相互に接続する第3開口部313が形成されている。この第3開口部313は、第1開口部311と第2開口部312とを接続する概略台形状に形成されている。したがって、開口部31の形状は図2に示すような形状となる。このような形状の開口部31を採用することにより、高圧燃料ポンプ6へ供給される燃料の流量を、コイル52に印加される電流値に対して非線形としている。
【0043】
次に、弁部材40の要部構成について説明する。図3は、弁部材40の構成を示す断面図であり、図4は、図3におけるIV−IV線断面図である。なお、図4では、弁ボディ30も図示している。図3に示すように、弁部材40は、燃料通路41と、燃料通路41と外周面部44の外周側とを連通する連通孔42および連通孔43とを有している。図3および図4では、連通孔42および連通孔43のそれぞれの両端開口部周縁の面取り形状の図示を省略している。
【0044】
弁部材40の図3図示右方端部近傍では、図4に示すように、連通孔43が、軸線を弁部材40の軸線と直交するように形成されている。換言すれば、連通孔43は、弁部材40の中心から径外方向に向かって延設されている。
【0045】
図4で図示した断面部位において、弁部材40の外周面部44は、弁ボディ30円筒部の内周面部34に沿う曲面部441と弁ボディ30円筒部の内周面部34から離間した平面部442とを有しており、弁ボディ30の内周面部34と弁部材40の平面部442との間が空間93となっている。連通孔43の空間93側の端部は、平面部442のうち、弁ボディ30の周方向における縁部(端部近傍)に開口している。
【0046】
これにより、連通孔43が弁部材40の外周面部44で開口する部位では、弁ボディ30の内周面部34と弁部材40の外周面部44との径方向の距離が、弁ボディ30円筒部の周方向において、連通孔43開口両端では不等となっている。図4に示すように、連通孔43開口部位における図示右周り側の端部では、内周面部34と弁部材40の外周面部44と径方向の距離h1はほぼ0である。一方、連通孔43開口部位における図示左周り側の端部では、内周面部34と弁部材40の外周面部44とは離間しており、径方向の距離h2は距離h1よりも大きくなっている。
【0047】
なお、図4から明らかなように、2つの連通孔43は、弁部材40の軸線周りに対称に配置されている。
【0048】
次に、上記構成に基づき電磁弁3を含むコモンレール式燃料噴射システムの作動について説明する。
【0049】
図1に示すように、給送ポンプ2は、燃料タンク1から燃料を電磁弁3へと供給する。供給された燃料は、燃料入口であるブッシュ32の貫通穴32aから電磁弁3へと流入する。流入した燃料は、弁部材40の内部に形成されている燃料通路41を経由して連通孔42へと供給される。
【0050】
コイル52に印加される電流値が0の場合、すなわちコイル52の非通電時、弁部材40はスプリング33の付勢力により電磁駆動部50方向へ付勢されている。弁部材40とともに弁部材40に当接するシャフト57ならびにシャフト57と一体のアーマチャ58は反弁部材方向へ付勢されている。シャフト57およびアーマチャ58は、ステータ53の段差部53aとワッシャ581とが当接することにより移動が規制され、段差部53aとワッシャ581とが当接した位置でシャフト57およびアーマチャ58は停止し、このとき弁部材40も停止する。
【0051】
コイル52に電流が印加されると、コイル52に発生する磁界によりステータ54方向へアーマチャ58が吸引される。そして、アーマチャ58とともにシャフト57が弁部材40方向へ移動する。シャフト57の移動にしたがって弁部材40がスプリング33を圧縮する方向へ移動する。すなわち、弁部材40は図1図示下方へ移動する。アーマチャ58およびシャフト57の移動量は、コイル52に印加される電流値により決まる。
【0052】
弁部材40が図1図示下方へ移動することにより弁部材40に形成されている連通孔42と弁ボディ30の開口部31とが重なり合う(具体的には、環状溝部92と開口部31とが重なり合う)。これにより、連通孔42と開口部31とが連通し、燃料通路41の内部の燃料は連通孔42および開口部31を経由して燃料供給路61へ流出する。また、弁部材40の外周面部44もしくは、弁ボディ30の内周面部34の形状を変更し、連通孔42と開口部31とが電流値0で連通していて、弁部材40が図1図示下方へ移動することにより、連通孔42と開口部31との連通を遮断するようにしてもよい。連通孔42と開口部31とが連通する面積は、弁部材40の移動にしたがって変化する。すなわち、コイル52に印加される電流値の変化によって連通孔42と開口部31とが連通する面積が変化する。
【0053】
連通孔42と開口部31とが連通する面積が変化することにより、燃料通路41から燃料供給路61へ流出する燃料の流量が変化し、高圧燃料ポンプ6へ供給される燃料の流量が制御される。燃料供給路61へ流出した燃料は、逆止弁66を経て高圧燃料ポンプ6の加圧室63へ供給される。加圧室63へ供給された燃料はプランジャ62により加圧され、加圧室63の圧力が所定の圧力に到達すると逆止弁67が開き、加圧された燃料が燃料配管68へ吐出される。燃料配管68へ吐出された燃料は、コモンレール7に蓄圧状態で保持され、所定の時期にインジェクタ71からエンジンの各機筒内部へ噴射される。
【0054】
電磁弁3が、エンジンの運転状態の変動に応じて燃料の流量を調整する際には、コイル52に印加される電流値の変動により弁部材40は弁ボディ30内を軸線方向に往復動する。コイル52に印加される電流値が増大するときには、弁部材40が図1図示下方に変位し、これに伴って空間93の容積が増大する。空間93の容積増大に伴い、燃料通路41内の燃料の一部が連通孔43を介して空間93内に流入する。このとき、連通孔43は、燃料通路41に対して下流側通路となる。
【0055】
図4に白抜き矢印で示すように、連通孔43から空間93に流出した燃料は、連通孔43開口部位における周方向両端部では内周面部34と外周面部44との径方向距離h2が距離h1よりも極めて大きくなっているため、図示左回り方向に流れる。この燃料流れの反動により、図4に実線矢印で示すように、弁部材40は図示右回り方向に回転する。
【0056】
図1で示したように、電磁弁5に用いているスプリング33はコイルスプリングであり、ブッシュ32側の端部から弁部材40側の端部に向かうときの巻き方向が右巻きとなっている。すなわち、燃料通路41から連通路43へ燃料が流通した際の弁部材40の回転方向が、スプリング33の弁部材40方向へ向かうときの巻き方向と同一となっている。これにより、回転する弁部材40が、弁部材40に接しつつ圧縮されて弁部材40に応力を付勢しているスプリング33の端部に引っ掛かり難い。したがって、弁部材40を安定して回転させることができる。
【0057】
一方、コイル52に印加される電流値が減少するときには、弁部材40が図1図示上方に変位し、これに伴って空間93の容積が減少する。空間93の容積減少に伴い、空間93内の燃料の一部が連通孔43を介して燃料通路41内に流入する。このとき、連通孔43は、燃料通路41に対して上流側通路となる。このとき、図4に白抜き矢印で示す方向とは逆に燃料が流れ、弁部材40は図示左回り方向に回転するが、回転量は連通孔43から空間93に燃料が流出する場合よりも比較的小さい。
【0058】
上述の構成および作動によれば、弁部材40の燃料通路41と空間93とを連通する連通孔43が外周面部44で開口する部位では、弁ボディ30の内周面部34と弁部材40の外周面部44と径方向の距離が、弁ボディ30円筒部の周方向において、連通孔43開口両端では不等となっており(h1とh2とが異なっており)、連通孔43から空間93へ流出する燃料や空間93から連通孔43へ流入する燃料の流通抵抗は、弁ボディ30周方向で異なっている。したがって、連通孔43を燃料が流れる際には、弁部材40に対して軸線周りに回転する応力を加えることができる。特に、燃料が連通孔43から空間93へ流出するときに大きな回転力を発生する。
【0059】
弁部材40が弁ボディ30内で摺動するためには、弁ボディ30と弁部材40との間には僅かなクリアランスを必要とする。そのため、図5に模式的に示すように、通常弁ボディ30の軸線方向に対して弁部材40の軸線方向が僅かに傾いており、弁部材40は軸線方向に離れた複数箇所(通常は図示するように2箇所)で弁ボディ30に接触して支持されている。したがって、電磁駆動部50の駆動によって弁部材40が弁ボディ30内を往復変位する際に、弁部材40と弁ボディ30とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されると、偏摩耗が発生して弁部材40の傾きが増大し、接触部の摺動抵抗が増大して、安定した流量調整が難しくなる。
【0060】
本実施形態では、弁部材40が弁ボディ30の軸線方向に変位する際には、軸線方向の移動に加えて弁部材40を回転することができ、弁ボディ30と弁部材40とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されることを防止し、偏摩耗を防止して安定した流量調整を行うことができる。これにより、エンジンに対して高圧燃料を噴射する燃料噴射システムにおいて、電磁弁3による適正な流量制御を行って燃料噴射量の精度を維持することができ、エンジンの適正な運転制御を安定して行うことができる。
【0061】
また、連通孔43は、弁ボディ30周方向における弁部材40外周面部44の平面部442の縁部に開口している。したがって、弁ボディ30内周面部34と弁部材40外周面部44と径方向の距離が、周方向における開口両端では不等となる構成を容易に形成することができる。
【0062】
さらに、連通孔43および空間93は、複数設けられており、複数の連通孔43および空間93が弁部材40の軸線周りに対称に配置されている。したがって、燃料の流通に伴い弁部材40に対して軸線周りに回転する応力を安定して加えることができる。
【0063】
これに加えて、連通孔43は、軸線が弁部材40の軸線と交差するように形成されている。したがって、弁部材40への連通孔43の形成加工が容易である。
【0064】
上述の説明では省略していたが、ECU100が電磁駆動部50に印加制御する電流にはディザ電流を重畳している。したがって、弁部材40をディザ電流により微細変位振動させて弁部材40と弁ボディ30との間に油膜を形成し易くし、摺動抵抗を更に低減することができる。これにより、弁部材40の回転も容易となり、弁ボディ30と弁部材40とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されることを確実に防止することができる。
【0065】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図6および図7に基づいて説明する。
【0066】
本第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、連通孔の構成により弁部材40に回転力を加えている点が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
【0067】
図6は、本第2の実施形態における弁部材40の構成を示す断面図であり、図7は、図6におけるVII−VII線断面図である。なお、図7では、弁ボディ30も図示している。図6に示すように、弁部材40は、燃料通路41と、燃料通路41と外周面部44の外周側とを連通する連通孔142および連通孔143とを有している。図6および図7では、連通孔142および連通孔143のそれぞれの両端開口部周縁の面取り形状の図示を省略している。
【0068】
本実施形態の弁部材40では、連通孔143は、軸線が弁部材40の軸線と直交するに形成されている。連通孔143の空間93側の端部は、平面部442の周方向における中央部に開口している。したがって、連通孔143を流通する燃料による弁部材40に対する回転力の発生はない。
【0069】
本実施形態の弁部材40では、図7に示すように、連通孔142は、軸線が弁部材40の軸線と直交する位置から径外方向にオフセットした位置に形成されている。換言すれば、連通孔142は、弁部材40の中心から偏心した位置から径外方向に向かって延設されている。すなわち、連通孔142の軸線が、弁部材40の軸線に対してねじれの位置関係にあるということになる。燃料通路41が本実施形態における第1流体通路であり、連通孔142が本実施形態における第2流体通路である。
【0070】
第1の実施形態でも説明したように、図7で図示した断面部位において、弁部材40の外周面部44は環状溝部92となっており、弁ボディ30の内周面部34と弁部材40の外周面部44との間に環状空間921が形成されている。連通孔142の環状空間921側の端部は、環状溝部92の底面に開口している。
【0071】
なお、図7から明らかなように、複数の(本例では4つの)連通孔142は、弁部材40の軸線周りに対称に配置されている。
【0072】
電磁弁3が、エンジンの運転状態の変動に応じて燃料の流量を調整する際には、コイル52に印加される電流値の変動により弁部材40は弁ボディ30内を軸線方向に往復動する。コイル52に印加される電流値に係わらず、電磁弁3から高圧燃料ポンプ6へ燃料が供給されるときには、燃料通路41内の燃料が連通孔142を介して環状空間921内に流入する。連通孔142は、常に燃料通路41に対して下流側通路となる。
【0073】
図7に白抜き矢印で示すように、連通孔142内を流れ連通孔142から環状空間921に吐出される燃料の反動により、図7に実線矢印で示すように、弁部材40は図示右回り方向に回転する。
【0074】
第1の実施形態の場合と同様に、燃料通路41から連通孔142へ燃料が流通した際の弁部材40の回転方向が、スプリング33の弁部材40方向へ向かうときの巻き方向と同一となっている。これにより、回転する弁部材40が、弁部材40に接しつつ圧縮されて弁部材40に応力を付勢しているスプリング33の端部に引っ掛かり難い。したがって、弁部材40を安定して回転させることができる。
【0075】
上述の構成および作動によれば、連通孔142の軸線が弁部材40の軸線に対してねじれの位置関係にあり、燃料が連通孔142を流通するときには、弁部材40の軸線とは交わらないねじれの位置関係にある連通孔142の軸線方向に移動する燃料により、弁部材40に対して軸線周りに回転する応力を加えることができる。
【0076】
したがって、連通孔142に燃料が流通する際には、弁部材40を回転することができ、弁ボディ30と弁部材40とが同一部位同士で接触した状態のまま摺動が繰り返されることを防止し、偏摩耗を防止して安定した流量調整を行うことができる。これにより、エンジンに対して高圧燃料を噴射する燃料噴射システムにおいて、電磁弁3による適正な流量制御を行って燃料噴射量の精度を維持することができ、エンジンの適正な運転制御を安定して行うことができる。
【0077】
また、連通孔142は、複数設けられており、複数の連通孔142が弁部材40の軸線周りに対称に配置されている。したがって、燃料の流通に伴い弁部材40に対して軸線周りに回転する応力を安定して加えることができる。
【0078】
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0079】
上記第1の実施形態では、弁部材40の燃料通路41と空間93とを連通する連通孔43が外周面部44で開口する部位における弁ボディ30の内周面部34と弁部材40の外周面部44と径方向の距離を、弁ボディ30円筒部の周方向において連通孔43開口両端では不等として、弁部材40に対して回転力を加え、上記第2の実施形態では、連通孔142の軸線を弁部材40の軸線に対してねじれの位置関係として、弁部材40に対して回転力を加えるようにしていたが、これらに限定されるものではない。
【0080】
例えば、連通孔43の軸線を弁部材40の軸線に対してねじれの位置関係として、弁部材40に対して回転力を加えるようにしてもよいし、連通孔42が外周面部44で環状溝部42内に開口する部位における弁ボディ30の内周面部34と弁部材40の外周面部44と径方向の距離を、弁ボディ30円筒部の周方向において連通孔42開口両端では不等として、弁部材40に対して回転力を加えるようにしてもよい。
【0081】
また、上記2つの手段を組み合わせるものであってもよい。例えば図8に示すように、連通孔142の軸線を弁部材40の軸線に対してねじれの位置関係とし、かつ、連通孔142が外周面部44で環状溝部92内に開口する部位における弁ボディ30の内周面部34と弁部材40の外周面部44と径方向の距離を、弁ボディ30円筒部の周方向において連通孔42開口両端では不等として(図8図示h1、h2参照)、弁部材40に対して回転力を加えるようにしてもよい。この場合には、環状空間92は、弁ハウジング円筒部内周面部と弁部材外周面部との間に形成されたハウジング内空間であるということができ、連通孔142は、本実施形態において第1流体通路とハウジング内空間とを連通する第2流体通路に相当する。
【0082】
上記各実施形態では、連通孔は、弁部材40の軸線に直交する面内に軸線を有していたが、連通孔の軸線が弁部材40の軸線に直交する面に対して傾斜していてもかまわない。
【0083】
また、上記各実施形態では、電磁弁3は、燃料噴射ポンプ装置において燃料の流量を調整するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、各種作動油を流体とする油圧制御装置等の流量調整を行う電磁弁に本発明を適用しても有効である。
【符号の説明】
【0084】
3 電磁弁
30 弁ボディ(弁ハウジング)
33 スプリング(コイルスプリング、駆動手段の一部)
34 内周面部(弁ハウジングの内周面部)
40 弁部材
41 燃料通路(第1流体通路)
43 連通孔(第1の実施形態における第2流体通路)
44 外周面部(弁部材の外周面部)
50 電磁駆動部(駆動手段の一部)
93 空間(ハウジング内空間)
142 連通孔(第2の実施形態における第2流体通路)
441 曲面部
442 平面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部を有する弁ハウジングと、
前記円筒部の軸線方向に前記円筒部内を往復動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材を往復駆動する駆動手段と、を備え、
前記駆動手段による前記弁ハウジング内における前記弁部材の変位位置に応じて、前記弁ハウジング内を流通する流体の流量を調整する電磁弁であって、
前記弁部材は、
前記弁部材の軸線方向に延びて前記流体を流通する第1流体通路と、
前記第1流体通路と、前記円筒部の内周面部と前記弁部材の外周面部との間に形成されたハウジング内空間とを連通する第2流体通路と、を有し、
前記第2流体通路が前記弁部材の外周面部で開口する部位では、前記円筒部の内周面部と前記弁部材の外周面部との径方向の距離が、前記円筒部周方向における開口両端では不等であることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記第2流体通路は、軸線が前記弁部材の軸線と交差するように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記弁部材の外周面部は前記円筒部の内周面部に沿う曲面部と前記円筒部の内周面部から離間した平面部とを有し、前記内周面部と前記平面部との間が前記ハウジング内空間となっており、
前記第2燃料通路は、前記平面部の前記周方向における縁部に開口していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
円筒部を有する弁ハウジングと、
前記円筒部の軸線方向に前記円筒部内を往復動可能に設けられた弁部材と、
前記弁部材を往復駆動する駆動手段と、を備え、
前記駆動手段による前記弁ハウジング内における前記弁部材の変位位置に応じて、前記弁ハウジング内を流通する流体の流量を調整する電磁弁であって、
前記弁部材は、
前記弁部材の軸線方向に延びて前記流体を流通する第1流体通路と、
前記第1流体通路と前記弁部材の外周とを連通する第2流体通路と、を有し、
前記第2流体通路の軸線が、前記弁部材の軸線に対してねじれの位置関係にあることを特徴とする電磁弁。
【請求項5】
前記第2流体通路は、前記第1流体通路と、前記円筒部の内周面部と前記弁部材の外周面部との間に形成されたハウジング内空間とを連通しており、
前記第2流体通路が前記弁部材の外周面部で開口する部位では、前記円筒部の内周面部と前記弁部材の外周面部との径方向の距離が、前記円筒部周方向における開口両端では不等であることを特徴とする請求項4に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記第1流体通路に対し、前記第2流体通路が流体流れ下流側の通路であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電磁弁。
【請求項7】
前記駆動手段は、一端部を前記弁部材に接しつつ圧縮されて前記弁部材を前記円筒部の軸線方向に付勢するコイルスプリングを有し、
前記第1流体通路および前記第2流体通路に流体が流通した際の弁部材の回転方向が、前記コイルスプリングの他端部から前記一端部に向かうときの巻き方向と同一であることを特徴とする請求項6に記載の電磁弁。
【請求項8】
前記第2流体通路は、複数設けられており、
前記複数の第2流体通路は、前記弁部材の軸線周りに対称に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の電磁弁。
【請求項9】
前記駆動手段は、通電する電流値に応じて前記ハウジング内における前記弁部材の位置を変える電磁駆動部を有し、
前記電磁駆動部に印加される電流にディザ電流が重畳されることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の電磁弁。
【請求項10】
前記流体は、内燃機関に供給される燃料であり、
前記内燃機関に対して噴射する燃料を蓄える蓄圧室へ前記燃料を加圧して吐出する高圧燃料ポンプの燃料入口側に配設され、前記高圧燃料ポンプに供給する燃料の流量を調整することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の電磁弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−216554(P2010−216554A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63289(P2009−63289)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】