説明

電話システム及び携帯電話端末

【課題】固定電話において正確な発呼を可能にする。
【解決手段】固定電話端末と無線通信を行うための赤外線そう受信部11と、電話帳情報を格納する記憶部12と、固定電話端末からの要求に基づいて電話帳情報を開示する制御部13とを備えた携帯電話端末10と、携帯電話端末と無線通信を行うための赤外線送受信部21と、開示された携帯電話端末の電話帳情報を参照し、参照した電話帳情報の中から発呼先の電話番号を選択する制御部23と、選択した電話番号に基づいて発呼を行う発呼部24とを備えた固定電話端末20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話端末と固定電話端末とで構成される電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の普及と携帯電話端末の多機能化に伴い、あらゆる情報を自己の携帯電話端末に保持するケースが増加している。その一例として電話番号のリスト、即ち、電話帳情報がある。携帯電話では、通常の機能として発着呼した相手の電話番号情報を履歴として保持するため、電話帳の管理が行いやすい。
【0003】
一方、固定電話にも着信番号表示サービスが有料オプションとして提供されていたり、また固定電話機自体にも電話帳機能が付加されたりしているが、携帯電話の場合と比較して、電話番号の管理を電話機で行うことは一般的には行われていない。これは、電話番号等の入力が必要であるという登録作業の煩雑さに加え、固定電話機がある場所でしか作業が行えないという場所的な制約等にも原因があると考えられる。そのため、固定電話では、紙を媒体とする電話帳や自分の携帯電話端末の電話帳を視認しながら発呼する状況がよく見られ、かけ間違いなどが生じる場合もある。
【0004】
そこで、光学的文字読み取りにより、紙等に記録された電話番号の数字を読み取るためのスキャナを装備した固定電話機等も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−75290号公報 第1頁〜第3頁 図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された固定電話機であっても、読み取り精度等を勘案するとスキャナによる操作はやはり煩雑で、しかも読み取りを行わせるための紙等に記録された電話番号情報の更新などの作業も免れられないという課題がある。本発明は固定電話から正確な発呼を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、携帯電話端末と固定電話端末とで構成される電話システムであって、前記固定電話端末と無線通信を行うための通信手段と、電話帳情報を格納する電話帳情報記憶手段と、前記固定電話端末からの要求に基づいて、前記電話帳情報を開示する電話帳情報開示手段とを備えた携帯電話端末と、前記携帯電話端末と無線通信を行うための通信手段と、前記開示された携帯電話端末の電話帳情報を参照する電話帳情報参照手段と、前記電話帳情報の中から発呼先の電話番号を選択する電話番号選択手段と、選択した電話番号に基づいて発呼を行う発呼手段とを備えた固定電話端末と、を備える。この構成によれば、携帯電話端末の電話帳から選択した電話番号に固定電話端末から発呼できるため、固定電話端末から正確な発呼が可能となる。
【0007】
本発明において、発呼した前記所望の電話番号を示す電話番号情報を固定電話端末の電話帳情報として保存する手段を備えることが好ましい。この構成によれば、発呼した相手の電話番号情報を固定電話端末の電話帳に追加することができ、固定電話端末における電話帳情報の更新を容易に行うことができる。
【0008】
また、本発明において、前記携帯電話端末の通信手段および前記固定電話端末の通信手段は、赤外線通信または近距離無線通信を行うことが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の実施の形態における電話システムの構成を示す図である。電話システムは、携帯電話端末10と固定電話端末20とで構成される。携帯電話端末10は、その本体の一部に、固定電話端末20との無線通信を行うための通信部11を備える。また、固定電話端末20は、その本体の一部に、携帯電話端末10との無線通信を行うための通信部21を備える。
【0010】
それぞれの端末が相互に通信を行う具体的手段としては、IrDAなどの赤外線通信や、Bluetooth(登録商標)などの所定帯域を利用した無線通信などの近距離無線通信が利用可能であると考えられる。これら公知の通信手段は、特に携帯電話端末では標準仕様として搭載されている端末もあり、そのような場合には既存の機能を利用することができるというメリットもある。尚、以下では、上記の中で赤外線通信を用いた例について説明する。
【0011】
図2は本発明の実施の形態における電話システムの内部構成を示すブロック図である。携帯電話端末10は、赤外線送受信部11、記憶部12、制御部13を備える。また、固定電話端末20は、赤外線送受信部21、記憶部22、制御部23、発呼部24を備える。
【0012】
携帯電話端末10の赤外線送受信部11は、赤外線通信が可能な外部の装置、端末と無線通信を行う。記憶部12は、携帯電話端末10に必要な各種データを格納するメモリで、後述する電話帳データもここに格納される。制御部13は、携帯電話端末10の機能動作全般を統括制御する。本発明の実施の形態における携帯電話端末10では、特に、固定電話端末20からの要求に応じて、自端末内に格納された電話帳データの固定電話端末20への開示制御などを行う。
【0013】
固定電話端末20の赤外線送受信部21は、赤外線通信が可能な外部の装置、端末と無線通信を行う。記憶部22は、固定電話端末20に必要な各種データを格納するメモリで、固定電話端末に既存の電話帳機能に基づいて生成される電話帳データや、携帯電話端末の電話帳を参照して選択された電話番号データもここに格納される。制御部23は、固定電話端末20の機能動作全般を統括制御する。本発明の実施の形態における固定電話端末20では、特に、近隣に存在する携帯電話端末10の電話帳データへのアクセスや、当該電話帳データを利用した発呼の制御などを行う。
【0014】
図3は携帯電話端末の動作手順を示すフローチャートである。通常の携帯電話モードにおいて(ステップS101)、携帯電話端末10の制御部13は、外部からの赤外線信号の受信、即ち、固定電話端末20からの電話帳データ開示要求信号の受信を判断している(ステップS102)。
【0015】
後述するように、固定電話端末20は常時(より正確には、発着呼を行っていない待機時)所定周期で赤外線信号を発信しているので、携帯電話端末10が固定電話端末20の近傍に載置されるなどして、赤外線信号を受信すると(ステップS102のYes)、制御部13は、電話帳データの開示要求を行っている固定電話端末を特定し、当該固定電話端末への自端末の電話帳データの開示を許可するか否かの認証を行う(ステップS103)。
【0016】
この認証動作は、自動で行ってもよいし、都度、携帯電話端末10の使用者が判断を行えるようにしてもよい。自動で認証を実行する場合は、例えば、予め電話帳データを開示してもよい固定電話端末の特定情報(例えば、その電話番号)を携帯電話端末10内の記憶部12に登録しておき、外部から電話帳データ開示要求の赤外線信号を受信した際に、相手端末の特定番号と登録している特定番号との比較を行って判断するようにすればよい。
【0017】
認証に成功した場合、制御部13は、記憶部12に格納された電話帳データに固定電話端末20からアクセス可能な電話帳データ開示モードへ移行する(ステップS104)。その後、制御部13は、固定電話からの発呼完了や、固定電話端末と携帯電話端末間の赤外線通信の切断の有無を判断し(ステップS105)、それがない間は電話帳データ開示モードを維持する。一方、上記の条件に該当することとなった場合には電話帳データ開示モードを終了する(ステップS106)。
【0018】
図4は固定電話端末の動作手順を示すフローチャートである。発着呼を行っていない待機状態等において、固定電話端末20は、その赤外線送受信部21を介して所定周期で電話帳データ開示要求信号を発信している(ステップS201)。制御部23は、それに対する携帯電話端末10からの応答信号受信の有無を判断する(ステップS202)。例えば、固定電話端末20の近傍に携帯電話端末が載置されるなどして、当該携帯電話端末からの応答信号を受信すると(ステップS202のYes)、制御部23は、電話帳データ参照モードへ移行する(ステップS203)。
【0019】
電話帳データ参照モードでは、所定の操作で、開示を許可した携帯電話端末にアクセスし、携帯電話端末10の記憶部12に格納されている電話帳データを参照することができる。尚、所定の操作とは、例えば、固定電話端末が搭載している独自の電話帳機能を起動させるボタン操作などでよい。
【0020】
携帯電話端末10の電話帳データを参照できるようになると、制御部23は、ユーザーインターフェース画面を提供し、固定電話端末20の使用者が電話帳データの中から所望の発呼先を選択することができるようにする(ステップS204)。電話番号を選択する画面などは、固定電話端末に既存の電話帳に係るアプリケーションを利用してよい。
【0021】
制御部23は、選択された電話番号に発呼部24から発呼を行う(ステップS205)。発呼が完了すると、制御部23は固定電話端末20の電話帳データ参照モードを終了する(ステップS206)。
【0022】
電話帳データ参照モードを終了する際、制御部23は、発呼に使用した電話番号データの保存の要否を判断し(ステップS207)、保存する場合は固定電話端末20内の記憶部22に保存する(ステップS208)。尚、当然のことながら、保存した電話番号データは、固定電話端末に既存の電話帳機能をその後に利用した場合に参照することができる。
【0023】
一方、電話番号データの保存が不要な場合(ステップS207のNo)、制御部23は、不要な個人情報を残留させないように速やかにデータを破棄する(ステップS209)。尚、発呼に使用した電話番号データの保存の要否は、固定電話端末の使用者が任意に設定できるようにしてもよいし、固定電話端末に予め設定して使用者によって変更できないようにしてもよい(例えば、「携帯電話端末と固定電話端末の使用者が同一である場合のみ保存可能」とするなど)。
【0024】
上記実施の形態によれば、例えば、携帯電話端末の所有者が自宅の固定電話の電話番号を予め携帯電話に登録し、認証を自動的に行うように設定しておけば、当該携帯電話端末を自宅の固定電話端末の近傍に載置するだけで携帯電話端末に保存している電話帳のリストを固定電話端末上で参照することができ、所望の電話番号を選択して容易且つ正確に発呼することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態における電話システムの構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態における電話システムの内部構成を示すブロック図
【図3】携帯電話端末の動作手順を示すフローチャート
【図4】固定電話端末の動作手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0026】
10 携帯電話端末
11 赤外線送受信部
12 記憶部
13 制御部
20 固定電話端末
21 赤外線送受信部
22 記憶部
23 制御部
24 発呼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話端末と固定電話端末とで構成される電話システムであって、
前記固定電話端末と無線通信を行うための通信手段と、電話帳情報を格納する電話帳情報記憶手段と、前記固定電話端末からの要求に基づいて、前記電話帳情報を開示する電話帳情報開示手段とを備えた携帯電話端末と、
前記携帯電話端末と無線通信を行うための通信手段と、前記開示された携帯電話端末の電話帳情報を参照する電話帳情報参照手段と、前記電話帳情報の中から発呼先の電話番号を選択する電話番号選択手段と、選択した電話番号に基づいて発呼を行う発呼手段とを備えた固定電話端末と、を備える電話システム。
【請求項2】
前記固定電話端末は、発呼した電話番号を示す電話番号情報を電話帳情報として保存する手段を備える請求項1に記載の電話システム。
【請求項3】
前記携帯電話端末の通信手段および前記固定電話端末の通信手段として赤外線通信を行う請求項1又は2に記載の電話システム。
【請求項4】
前記携帯電話端末の通信手段および前記固定電話端末の通信手段として近距離無線通信を行う請求項1又は2に記載の電話システム。
【請求項5】
固定電話端末と無線通信を行うための通信手段と、電話帳情報を格納する電話帳情報記憶手段と、前記固定電話端末からの要求に基づいて、前記電話帳情報を前記固定電話端末に対して開示する電話帳情報開示手段とを備えた携帯電話端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−187489(P2008−187489A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19716(P2007−19716)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】