説明

電話装置

【課題】 情報表示部の一部のみを立体表示が可能な立体画像表示部とすることにより、文字情報等の細かい情報は通常の情報表示部で表示する一方、人や物等の情報は立体画像として立体画像表示部で表示できるようにする。
【解決手段】 情報を表示可能な液晶ディスプレイを備えた電話装置において、液晶ディスプレイ20の一部に、情報を立体画像として表示可能な立体画像表示部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報を画像にて表示可能な情報表示部を備えた電話装置に関し、特に、情報のうち一部の情報を立体画像として表示することができる電話装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、通信相手の顔等の情報を立体画像で表示可能な情報表示部を備えた電話装置としては、例えば、図10に示すような立体テレビ電話が知られている。この立体テレビ電話1は、電話機本体が収納された外装ケース2と、電話の相手の顔等の情報を立体画像にて表示することができる情報表示装置3と、音声情報をやり取りする受話器4等を備えて構成されている。
【0003】立体テレビ電話1の外装ケース2は、上面が前下がりに傾斜された筐体からなり、この外装ケース2の上面にはダイヤルキースイッチ5aやその他の操作キースイッチ5bが設けられている。この外装ケース2内に収納された電話機本体には電話コード6の一端が接続され、その電話コード6の他端は受話器4に接続されている。この受話器4が外装ケース2の上面に載置され、このとき受話器4によって電話機本体のメインスイッチが切られるように構成されている。この外装ケース2の上面後部に、情報表示装置3が一体的に設けられている。
【0004】情報表示装置3は、2台のビデオカメラ7a,7bと液晶ディスプレイ8と操作スイッチ9等を有し、これらが表示装置ケース10に取り付けられている。2台のビデオカメラ7a,7bは、この立体テレビ電話1を使用する者の顔等を左右にズレた位置から撮影して立体映像情報として取り込むものである。この2台のビデオカメラ7a,7bで得られた立体映像に関する情報は、表示装置ケース10内に収納されている表示装置本体に立体映像情報信号として供給される。この立体映像情報信号に基づいて表示装置本体は、所定の信号に変換して電話機本体に供給し、この電話機本体から相手側の立体テレビ電話1に送信される。
【0005】また、相手側の立体テレビ電話1から送信されてきた立体映像に関する情報信号は、電話機本体を経て表示装置本体に供給される。これにより、表示装置本体では、送られてきた情報信号に基づいて映像信号を液晶ディスプレイ8に供給し、液晶ディスプレイ8に相手方の顔等を立体映像として表示する。このように、話し手と受け手との双方で同じ立体テレビ電話1を使用し、各立体テレビ電話1において左右の眼で見たに相当する画像情報を相互に送信し、相手方の立体テレビ電話1で立体映像として表示することにより、その立体映像を見ながら音声による交信を行うことができる。
【0006】この立体テレビ電話1で使われている立体映像表示方式としては、例えば、液晶ディスプレイ8の前面全体にレンチキュラーレンズを配置し、このレンチキュラーレンズを介して画像情報を立体的に見ることができるように構成したものがある。このレンチキュラー方式は、レンチキュラーレンズの半円筒形をしたレンズ部の焦点面に左右画像を交互にストライプ状に配置し、このレンズ板を通して液晶ディスプレイ8を所定位置で観察するものである。これにより、レンチキュラーレンズの指向性によって左右の画像が分離されて両眼に入るため、裸眼によっても立体視できるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したような立体テレビ電話1においては、液晶ディスプレイ8の全面がレンチキュラーレンズで覆われていたため、横方向の解像度が半分になってしまうことから、文字情報等の一部の情報が見え難くなったり不明瞭になり、情報の判読が困難になるという課題があった。
【0008】即ち、レンチキュラーレンズでは、右眼用の画像情報と左眼用の画像情報を縦方向に連続するストライプ状にして横方向に交互に配置する構成となっていた。そのため、右眼用の画像情報と左眼用の画像情報とが横方向に一つおきに配置されていることから、横方向の解像度が半分になる。その結果、例えば、細かい文字情報等を画像表示する場合には、文字の形状が崩れて判読できなくなる等の課題があった。
【0009】本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、情報表示部の一部のみを立体表示が可能な立体画像表示部とすることにより、文字情報等の細かい情報は通常の情報表示部で表示する一方、人や物等の情報は立体画像として立体画像表示部で表示できるようにして、上記課題を解決することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述したような課題等を解決し、上記目的を達成するために、本出願の請求項1記載の電話装置は、情報を表示可能な情報表示部を備えた電話装置において、情報表示部の一部に、情報を立体画像として表示可能な立体画像表示部を設けたことを特徴としている。
【0011】本出願の請求項2記載の電話装置は、立体画像表示部は、情報表示部内において表示位置を変更可能に構成したことを特徴としている。
【0012】本出願の請求項3記載の電話装置は、情報の書込み及び/又は読出しが可能な情報記録媒体がそれぞれ着脱可能に装着される複数の記録媒体収納部を設けたことを特徴としている。
【0013】本出願の請求項4記載の電話装置は、記録媒体収納部に装着された複数の情報記録媒体には、記録する情報の内容により分別して書き込むように構成したことを特徴としている。
【0014】本出願の請求項5記載の電話装置は、記録媒体収納部のうち特定の記録媒体収納部に装着された情報記録媒体には、情報を立体画像として表示する立体画像情報を書込み及び/又は読出し可能に構成したことを特徴としている。
【0015】上述のように構成したことにより、本出願の請求項1記載の電話装置では、情報の種類に応じて表示位置が分別され、通信相手等の特定の情報は立体画像として立体画像表示部に表示され、その他の文字、記号等の情報は通常の情報表示部に表示される。そのため、文字や記号等の細かな情報であってもしっかり見ることができると共に、通信相手の顔等を立体画像として立体的に見ることができる。
【0016】本出願の請求項2記載の電話装置では、立体画像表示部の表示位置を変えることができ、これにより、情報表示部内において任意の位置で立体画像を表示して視覚的に楽しむことができる。
【0017】本出願の請求項3記載の電話装置では、複数の記録媒体収納部に情報記録媒体を装着することにより、これら情報記録媒体に必要な情報を記録して保存したり、ダビングしたりすることができる。
【0018】本出願の請求項4記載の電話装置では、記録媒体収納部に収納された複数の情報記録媒体に対して情報の内容に応じて分別して記録することにより、情報記録媒体の管理を簡単且つ便利なものとすることができる。
【0019】本出願の請求項5記載の電話装置では、特定の記録媒体収納部を立体画像関係のものとすることにより、特定の情報記録媒体を立体画像関連のものとして特定して、情報記録媒体の管理を簡単且つ便利なものとすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1〜図9は、本発明の実施の例を示すものである。即ち、図1は本発明の電話装置の第1の実施例を示す斜視図、図2は図1の要部を分解して示す斜視図、図3は図2の一部を示す平面図、図4は図1R>1の電話装置に使用されている情報記録媒体の一実施例を示す斜視図、図5は図4の平面図、図6は本発明の電話装置に係る電気回路の一実施例を示すブロック説明図、図7は本発明の電話装置に係る3次元表示方法の第1の実施例を示す説明図、図8は本発明の電話装置に係る3次元表示方法の第2の実施例を示す説明図、図9は本発明の電話装置に係るレンチキュラー板の位置変更機構の一実施例を示す斜視図である。
【0021】図1に示すように、本発明の電話装置の第1の実施例を示す立体表示電話11は、電話機本体が収納された外装ケース12と、この外装ケース12に取り付けられた情報表示手段13と、3枚の情報記録媒体が個別に収納される3箇所の記録媒体収納部14a,14b,14c等を備えて構成されている。外装ケース12は、片手で握り持つことができる細長の直方体をした筐体からなる。この外装ケース12の一面の長手方向両側には複数の開口孔15a,15bが設けられており、上側となる一方の開口孔15aの内側にはスピーカーが内蔵され、下側となる他方の開口孔15bの内側にはマイクロホンが内蔵されている。
【0022】外装ケース12の一面の長手方向下側は他の部分よりも一段低く設定されており、この部分には0から9までのテンキーとその他のキーからなるダイヤルキースイッチ16が取り付けられている。このダイヤルキースイッチ16と上側の開口孔15aとの間には、情報表示手段13が配設されている。この情報表示手段13には、情報を平面的に表示する2次元表示部13aと、情報を立体画像として立体的に表示することができる立体画像表示部である3次元表示部13bとが設けられている。
【0023】この情報表示手段13は、図2及び図3に示すような構成となっている。即ち、情報表示手段13は、色フィルタ付きモノクロ液晶ディスプレイ又はフルカラー液晶ディスプレイ(LCD)20と、この液晶ディスプレイ20を駆動する電気回路が設けられたプリント配線基板21と、液晶ディスプレイ20の上面に重ね合されて液晶ディスプレイ20の一部を覆うレンチキュラーレンズ22等を有している。このレンチキュラーレンズ22によって覆われた部分が3次元表示部13bを構成し、この3次元表示部13b以外の液晶ディスプレイ20の表示部分が2次元表示部13aを構成している。
【0024】レンチキュラーレンズ22は、半円筒形をしたレンズ部23を多数個横に並べたような特殊な形状を有するレンズ板である。このレンチキュラーレンズ22の焦点面に左右の画像を交互に且つストライプ状に配置し、このレンチキュラーレンズ22を通して所定の位置で左右の画像を見るようにする。これにより、レンズ板の指向性によって左右の画像が分離されて両眼に入るため、観察者は裸眼で対象物を立体視することができる。
【0025】このレンチキュラーレンズ22による立体視の原理を、図7を用いて説明する。レンチキュラーレンズ22の背面には、拡散板24を介して偏光板25を重ね合せて接着剤等の固着手段によって接合する。これにより、レンチキュラースクリーン26が構成される。このレンチキュラーレンズ22の半円筒形レンズ部23の幅を1ピッチ(P)とする。これに対応させて偏光板25には、レンズ部23の1ピッチPの1/2の幅(P/2)となる偏光方向が横方向の横偏光素子25Rと、同じ幅(P/2)で偏光方向が縦方向の縦偏光素子25Lとを交互に配列して設ける。
【0026】このスクリーン26の背面から2台のプロジェクタによってストライプ状の映像を投影する。このとき、左側のプロジェクタからの左眼用の投影光は、偏光板25の縦偏光素子25Lを通過する際に偏光方向が90°回転して縦方向となる。また、右側のプロジェクタからの右眼用の投影光は、偏光板25の横偏光素子25Rを通過する際に偏光方向が横方向に保持される。このような投影光を観察者が見ることにより、左眼用の映像は左眼だけに見え、右眼用の映像は右眼だけに見えるようになり、立体感のある映像を見ることができる。このように、スクリーン26の偏光板25とレンチキュラーレンズ22の光学的特性により、特殊な偏光眼鏡を用いることなく、立体感のある映像を極めて簡単に楽しむことができる。
【0027】また、立体視の原理の他の例としては、図8R>8に示すようなイメージスプリッタ方式を適用することもできる。このイメージスプリッタ方式の立体視覚装置30は、左眼と右眼の視差を利用して画像の立体感を出すものである。この立体視覚装置30は、液晶ディスプレイ(LCD)31とバックライト32とイメージスプリッタ33等を備えている。
【0028】液晶ディスプレイ31には多数の画素が横並びにストライプ状に配列されており、1画素ごとに左眼用の映像31Lと右眼用の映像31Rとを交互に表示するようになっている。この液晶ディスプレイ31の背面にはバックライト32が配置され、前面にはイメージスプリッタ33が貼り付けられている。このイメージスプリッタ33で液晶ディスプレイ31の左眼用の映像31Lと右眼用の映像31Rを分離する。このイメージスプリッタ33は、ガラス板の上に一定の間隔で多数の遮光部33aと開口部33bをストライプ状に設けたものである。このイメージスプリッタ33のストライプの間隔(遮光部33aと開口部33bとの間隔)を調節することにより、左眼は左眼用の映像だけを見て、右眼は右眼用の映像だけを見るようにする。これにより、特殊な偏光眼鏡を用いることなく、立体感のある映像を楽しむことができる。
【0029】上述したようなレンチキュラーレンズ22等を使用して立体視覚装置を構成し、この立体視覚装置による表示部を3次元表示部13bとして情報表示手段13の一部に設けるようにする。これにより、画像を平面的に表示する2次元表示部13aと同じ表示位置において、3次元表示部13bによる立体画像を同時に楽しむことができる。
【0030】この情報表示手段13の液晶ディスプレイ20及びレンチキュラーレンズ22は外装ケース12内に収納されており、その上面は透明な防護カバー26によって覆われている。図2に示すように、防護カバー26の周縁部は不透明な枠部分26aによって縁取りされており、液晶ディスプレイ20の周縁を隠すように構成されている。
【0031】また、外装ケース12の情報表示手段13の下方には、情報記録媒体を収納するための3つの記録媒体収納部14a,14b,14cが設けられている。各記録媒体収納部14a〜14cは外装ケース12の一方の側面に横並びに開口されており、同時に3枚の情報記録媒体を個別に収納できるようになっている。この情報記録媒体としては、例えば、メモリスティックと呼ばれているものを適用することができる。このメモリスティック40は、画像や音声等のデータの記録再生が可能なIC記録メディアである。このメモリスティック40には、電話の相手となり得る者の顔写真やその者の電話番号、住所その他の情報を多数記録することができる。また、メモリスティック40用のPCカードアダプターを使用することにより、メモリスティック40に記録された静止画データや文字情報その他をパーソナルコンピュータに取り込むこともできる。
【0032】このメモリスティック40は、図4及び図5R>5に示すような外観構成を備えている。即ち、メモリスティック40は、略直方体をなす薄くて偏平な筐体からなるケース本体41を有し、このケース本体41の内部には記憶容量の大きなメモリが内蔵されている。ケース本体41の材料としては、例えばプラスチックが好適である。このケース本体41の電子機器への挿入方向となる長手方向の先端側の一方の角部には、このメモリスティック40の誤挿入を防止するための切欠き部42が設けられている。
【0033】このメモリスティック40の切欠き部42は凸側の円弧部とされていて、この切欠き部42のケース本体41の一面には、前方及び側方に開口された凹部42aが設けられている。この凹部42aは、メモリスティック40を立体表示電話11に設けた記録媒体収納部14a〜14cの所定位置に位置決めするためのものである。メモリスティック40が正常な状態で記録媒体収納部14a〜14cに収納されたとき、その凹部42aには記録媒体収納部14a〜14cの所定位置に設けられた凸部が係合され、これによりメモリスティック40の位置決めが行われる。
【0034】また、ケース本体41の凹部42aが設けられた面と同一面には、幅方向の両側において側方に開口された凹部43a,43bが設けられている。これらの凹部43a,43bは、メモリスティック40の位置決め或いはメモリスティック40の状態を検出する等を目的として設けられたものである。更に、ケース本体41の長手方向の先端部には、前方及び凹部42aが設けられた面と同一面に開口する端子接続部44が設けられている。この端子接続部44は、複数の仕切り片44aによって幅方向に等間隔に仕切られている。これら仕切り片44aで仕切られた各区分には、それぞれコネクタピン45の先端部が露出されている。従って、複数のコネクタピン45は横並びに配置されていて、それぞれの他端部はケース本体41内においてメモリと電気的に接続されている。
【0035】複数のコネクタピン45は、メモリスティック40を立体表示電話11に装着した際に、前方から挿入される電話機本体側の端子にそれぞれ個別に接続される。この電話機本体側の端子接続部との接続を容易にするため、端子接続部44の先端角部及び各仕切り片44aの先端角部には、それぞれ面取り44b,44cが設けられている。更に、端子接続部44の内側には、内蔵されたメモリに記録された情報の誤消去を防止するための誤消去防止スイッチ46が設けられている。この誤消去防止スイッチ46を矢印方向へスライドさせることにより、誤消去防止機能が働いてメモリへの新たな情報の記録が防止される。その一方、誤消去防止スイッチ46を矢印と反対方向へスライドさせることにより、誤消去防止機能が解除されてメモリへの新たな情報の記録が可能となる。
【0036】このような構成を有するメモリスティック40の3枚が同時に使用可能とされた立体表示電話11は、内容に応じて情報を2種類に分別して3枚のメモリスティック40に個別に記録することができる構成とされている。即ち、その1の情報は、立体画像に関する3次元情報であり、他の1の情報は、平面画像に関する2次元情報である。これに対応させて、第1の記録媒体収納部14aは3次元情報記録部とされている。この第1の記録媒体収納部14aに収納されているメモリスティック40には通話相手と予想される者の顔写真や似顔絵等のように立体表示が可能な立体画像情報が記録され、また、予めメモリスティック40に記録されている3次元情報が読み出されて3次元表示部13bに立体表示される。
【0037】また、第2及び第3の記録媒体収納部14b,14cは、文字情報等の2次元情報記録部とされている。この第2及び第3の記録媒体収納部14b,14cに収納されているメモリスティック40,40には、例えば、留守番録音機能に係る伝言等のように平面表示が可能な2次元情報が記録され、また、予め記録された通話相手と予想される者の電話番号や住所等の文字や記号等のように平面表示される2次元情報が読み出されて2次元表示部13aに平面表示される。更に、第2及び第3の記録媒体収納部14b,14cに収納されているメモリスティック40,40間においては、相互に情報伝達が可能とされており、例えば、一方のメモリスティック40から他方のメモリスティック40への情報のダビング等が可能とされている。
【0038】これら第1〜第3の記録媒体収納部14a〜14cに関連させて防護カバー26には、メモリスティック40の選択、書込み及び読出しの切り換え、その他の機能を選択・操作するための操作スイッチ27が設けられている。更に、防護カバー26には、第1の記録媒体収納部14aが3次元情報記録部であることを表示する3次元表示窓28が設けられている。また、図1に示す29は、電波を送信・受信するためのアンテナである。更に、47は、外装ケース12の側面に設けたジャックに挿入されたプラグである。このプラグ47にはリード線48の一端が接続されており、その他端は二股に分割されて左右のイヤホーン49L,49Rが接続されている。
【0039】外装ケース12に内蔵されている表示装置本体50は、例えば、図6に示すような構成を備えている。即ち、表示装置本体50は、制御装置と記憶装置と演算装置とからなる中央処理装置(CPU)51を有し、この中央処理装置51には、上述した操作スイッチ27等の操作手段が接続されている。この操作手段27の操作を介して入力される操作信号により、中央処理装置51が駆動される。更に、中央処理装置51には、内部メモリ52と4つの信号変換回路53、54a、54b及び54cとが接続されている。
【0040】第1の信号変換回路53には、電話機本体の携帯電話回路55が接続されている。この携帯電話回路55には、アンテナ29とスピーカ56とマイクロホン57とが接続されている。アンテナ29から入力された通信信号は、携帯電話回路55により所定の信号に変換され、音声信号として送出されてスピーカ56から所定の音声が出力される。また、マイクロホン57から入力された音声信号は、携帯電話回路55により所定の信号に変換されてアンテナ29から通信信号として放出される。
【0041】また、第2〜第4の信号変換回路54a〜54cには、それぞれコネクタ58a、58b及び58cが接続されている。これらのコネクタ58a〜58cは、外装ケース12に設けた3つの記録媒体収納部14a〜14c内に個別に設置されている。これらのコネクタ58a〜58cには、上述した3枚のメモリスティック40の端子接続部44がそれぞれ個別に装着される。これらの信号変換回路54a〜54c及びコネクタ58a〜58cを介して、中央処理装置51と3枚のメモリスティック40との間に信号がやり取りされる。
【0042】中央処理装置51からは制御信号として2種類の信号が出力される。1の制御信号は、情報を立体画像として立体的に表示することができる立体画像情報(3D情報)60であり、他の1の制御信号は、情報を平面画像として平面的に表示する平面画像情報(2D情報)61である。これらの画像情報60,61は、画像合成回路62に入力される。この画像合成回路62では、入力された画像情報60,61に基づいて所定の画像信号を情報表示手段13に出力する。その結果、情報表示手段13では、立体画像情報60に基づく画像信号によって3次元表示部13bに所定の立体画像を表示し、また、平面画像情報61に基づく画像信号によって2次元表示部13aに文字や図形等の平面画像を表示する。尚、画像合成回路62にはメモリ63が接続されており、必要により画像情報を一時的に記憶しておくことができるように構成されている。
【0043】このような構成を有する立体表示電話11は、例えば、次のようにして使用することができる。3枚のメモリスティック40には、通話の相手として予想される者の電話番号、住所、肖像、その他の関連情報、又は音楽情報、ゲーム情報、映像情報、立体映像情報等が所定のジャンルに分けて記録されるようになっている。このような分類手段としては、例えば、ドキュメントファイル(.doc)、画像圧縮ファイル(.jpg)、ビットマップファイル(.bmp)、WAVEサウンドファイル(.wav)等を用いることができる。
【0044】ドキュメントファイル(.doc)には、例えば、電話番号や住所等のように文字によって表すことができる平面画像情報を分類するのが好適である。画像圧縮ファイル(.jpg)には、例えば、相手の肖像や似顔絵等のように立体的に表すことによって臨場感が出て迫力が増す立体画像情報を分類するのが好適である。また、WAVEサウンドファイル(.wav)には、例えば、電話回線を通じて伝送される音楽情報を取り込んで記録する場合等に用いて好適である。尚、ビットマップファイル(.bmp)その他のファイルを用いて適当なジャンルに分類し、各ジャンルごとに記録することができることは勿論である。
【0045】このような機能を有する立体表示電話11に通信信号が入力されると、例えば、まず最初に、2次元表示部13aに相手の電話機の電話番号や氏名等の文字情報が平面画像として表示される。このとき、中央処理装置51の働きによって自動的に或いは受け手の手動操作により、3次元表示部13bには通信相手の顔が立体的に表示される。そこで、受信スイッチをオンして電話機本体を通信可能な状態にすることにより、相手の顔を立体的に見ることができる状態で話し合うことができる。
【0046】また、例えば、相手の声を同時に録音する場合、或いは相手側から流れてきた音楽を録音する場合には、中央処理装置51の働きによりその音声情報が、例えばドキュメントファイル(.doc)に分類され、所定の情報媒体収納部(例えば、第2の情報媒体収納部14b)に収納されているメモリスティック40に自動的に記録される。また、ゲーム情報や映像情報その他の立体画像情報が送信されてきたような場合には、中央処理装置51の働きによりその立体画像情報が、例えば画像圧縮ファイル(.jpg)に分類され、所定の情報媒体収納部(例えば、第1の情報媒体収納部14a)に収納されているメモリスティック40に自動的に記録される。
【0047】尚、上述した実施例に示すような、表示部の一部を立体視できる情報表示手段13は、電話装置に限定して適用されるものではなく、ディスプレイその他の情報表示装置を備えた電子機器、例えば、ビデオカメラ、ビデオカメラレコーダ、パーソナルコンピュータ、電子ブックプレーヤ、テープレコーダ、ラジオその他の電子機器に適用できることは勿論である。また、複数枚のメモリスティックを装着して同時に使用する装置としては、上述した電話装置に限定して適用されるものではなく、例えば、パーソナルコンピュータ、電子ブックプレーヤ、オーディオ機器、携帯型音楽機器(例えば、カセットテープレコーダ、ポータブルラジオ等)その他各種の電子機器に応用できることは勿論である。
【0048】図9は、本発明の電話装置に係る情報表示手段の第2の実施例を示すものである。この第2実施例の情報表示手段70は、液晶ディスプレイ71の上方に配置されたレンチキュラーレンズ72を移動可能に構成することにより、2次元表示部73aと3次元表示部73bの表示領域を変更可能に構成したものである。レンチキュラーレンズ72は、液晶ディスプレイ71の上面全体を略覆うことができる大きさを有している。このレンチキュラーレンズ72の半円筒形レンズ部が延びる方向と交差する方向の一方の側面には操作ツマミ74が突出され、他方の側面には作動突起75が突出されている。
【0049】レンチキュラーレンズ72の操作ツマミ74は、外装ケースの一方の側壁面を貫通して外部に突出され、外部から手動操作によってスライド操作可能とされている。この操作ツマミ74と反対側に突出する作動突起75には、レンチキュラーレンズ72の位置を検出する位置検出器76が設けられている。位置検出器76は、目盛りのあるスケール部と、このスケール部に対して相対的に移動可能に構成されたピックアップ部77と、このピックアップ部77による検出の結果としての検出信号を出力する検出回路部等を有している。スケール部はケーシング78内に収納されており、このスケール部に一端が対向されたピックアップ部77の他端がケーシング78外に突出されている。このピックアップ部77の他端は二股状に形成されており、この二股部にレンチキュラーレンズ72の作動突起75が係合されている。
【0050】かくして、操作ツマミ74を持ってレンチキュラーレンズ72をスライドさせることにより、レンチキュラーレンズ72の位置が位置検出器75によって検出される。このレンチキュラーレンズ72の位置を検出することによってレンチキュラーレンズ72が液晶ディスプレイ71と重なり合う領域、即ち、3次元表示部73bの大きさを知ることができる。この3次元表示部73bの大きさに対応した検出信号が検出回路部から出力され、この検出信号に基づいて中央処理装置51が、2次元表示部73aに対する3次元表示部73bの出力割合を増減させて出力する。
【0051】これにより、3次元表示部73bが広くなったときには立体画像情報に関する出力信号の割合が増加し、これとは逆に3次元表示部73bが狭くなったときには2次元表示部73aに対する平面画像情報に関する出力信号の割合が増加する。これにより、3次元表示部73bの広さに応じて立体画像表示を広狭変化させることができ、その立体画像を任意の大きさで楽しむことができる。
【0052】即ち、この実施例によれば、レンチキュラーレンズ72をスライドさせることにより、2次元表示部73aの表示領域と3次元表示部73bの表示領域との比率を、必要に応じて自由に調節することができる。その結果、液晶ディスプレイ71の上面からレンチキュラーレンズ72を後退させることによって表示面全体に通常の平面画像(2D画像)を表示することができ、また、液晶ディスプレイ71の上面全体をレンチキュラーレンズ72で覆うことによって表示面全体に立体画像(3D画像)を表示することができる。
【0053】以上説明したが、本発明は上記実施の例に限定されるものではなく、例えば、上記実施例においては、物体を立体的に見せる3次元(3D)ディスプレイ方式としてレンチキュラースクリーン方式を適用した例について説明したが、その他の立体表示方式を適用することができることは勿論である。例えば、液晶ディスプレイのバックライトに指向性を持たせて左右画像の選別を行うバックライト分割方式、撮像する際に写真フィルムの前に多数のピンホール又は凸レンズからなるマイクロレンズ板を置くことによりフィルム上に凸レンズの数に応じた多数の小さな要素画像を結像させるインテグラルフォトグラフィー方式、観察者の視点位置を検出して検出した信号を基に立体ディスプレイの表示面を前後、左右方向に移動させてピント調節とふくそうを一致させて立体表示する焦点調節補償形立体ディスプレイ、その他ケイプ形ディスプレイ、回折格子形3Dディスプレイ方式、奥行き標本化方式、ホログラフィックディスプレイ等のように各種の方式を適用することができる。
【0054】また、上述した実施例では、メモリスティック(IC記録メディア)を情報記録媒体として用いた例について説明したが、メモリカード(例えば、PCカード等)その他の情報記録媒体を用いることができることは勿論である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更できるものである。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本出願の請求項1記載の電話装置によれば、情報表示手段の一部に立体画像表示部を設ける構成としたため、情報の種類に応じて表示位置を分別し、通信相手の顔等の特定の情報は立体画像として立体画像表示部に表示し、その者の電話番号、住所等の文字、記号等で表示される情報は通常の情報表示部に表示することができる。そのため、文字や記号等の細かな情報は情報表示部によってしっかり見ることができ、また、通信相手の顔等のように立体表示が可能な情報は立体画像として立体画像表示部で立体的に見ることができるという効果が得られる。
【0056】本出願の請求項2記載の電話装置によれば、情報表示部内において立体画像表示部の表示位置を変更可能に構成したため、好みによって立体画像表示部の表示位置を変えることができ、これにより、情報表示部内において任意の位置で立体画像を表示して視覚的に楽しむことができるという効果を得ることができる。
【0057】本出願の請求項3記載の電話装置によれば、情報記録媒体を装着可能な記録媒体収納部を複数設ける構成としたため、複数の記録媒体収納部に情報記録媒体を装着することにより、これら情報記録媒体に必要な情報を記録して保存したり、ダビングしたりすることができ、このような機能を通じて電話装置の利便性を向上させることができるという効果を得ることができる。
【0058】本出願の請求項4記載の電話装置によれば、内容により情報を分別して複数の情報記録媒体に書込み可能に構成したため、複数の情報記録媒体に対して情報の内容に応じて分別して記録することができ、情報記録媒体の管理を簡単且つ便利なものとすることができるという効果を得ることができる。
【0059】本出願の請求項5記載の電話装置によれば、特定の記録媒体収納部に装着された情報記録媒体には立体画像情報を書込み又は読出し可能な構成としたため、特定の記録媒体収納部に収納された情報記録媒体を立体画像関連のものとして特定して取り扱うことにより、情報記録媒体の管理を簡単且つ便利なものとすることができるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電話装置の第1の実施例を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す電話装置の情報表示手段を分解して示す斜視図である。
【図3】図2に示す情報表示手段の平面図である。
【図4】本発明の電話装置に係る情報記録媒体の一実施例を示すメモリスティックの底面側の斜視図である。
【図5】図4に示すメモリスティックの平面図である。
【図6】本発明の電話装置に係る情報表示手段の回路構成を説明するためのブロック図である。
【図7】本発明の電話装置に係る情報表示手段の3次元表示方法の第1の実施例を示す説明図である。
【図8】本発明の電話装置に係る情報表示手段の3次元表示方法の第2の実施例を示す説明図である。
【図9】本発明の電話装置に係る情報表示機構の第2の実施例を示す斜視図である。
【図10】従来の電話装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
11 立体表示電話(電話装置)、 12 外装ケース、 13,70 情報表示手段、 13a,73a 2次元表示部、 13b,73b 3次元表示部、 14a,14b,14c 記録媒体収納部、 20,71 液晶ディスプレイ、 22,72 レンチキュラーレンズ、 23 レンズ部、 40 メモリステッィク(情報記録媒体)、 50 表示装置本体、 51 中央処理装置、58a,58b,58c コネクタ、 62 画像合成回路、 74 操作ツマミ、 76 位置検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 情報を表示可能な情報表示部を備えた電話装置において、上記情報表示部の一部に、情報を立体画像として表示可能な立体画像表示部を設けたことを特徴とする電話装置。
【請求項2】 上記立体画像表示部は、上記情報表示部内において表示位置を変更可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の電話装置。
【請求項3】 情報の書込み及び/又は読出しが可能な情報記録媒体がそれぞれ着脱可能に装着される複数の記録媒体収納部を設けたことを特徴とする請求項1記載の電話装置。
【請求項4】 上記記録媒体収納部に装着された複数の情報記録媒体には、記録する情報の内容により分別して書き込むように構成したことを特徴とする請求項3記載の電話装置。
【請求項5】 上記記録媒体収納部のうち特定の記録媒体収納部に装着された情報記録媒体には、情報を立体画像として表示する立体画像情報を書込み及び/又は読出し可能に構成したことを特徴とする請求項3記載の電話装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2001−251403(P2001−251403A)
【公開日】平成13年9月14日(2001.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−62257(P2000−62257)
【出願日】平成12年3月7日(2000.3.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】