説明

露光ヘッド、カートリッジ及び画像形成装置

【課題】開口部材を有さない場合に比べ、発光特性のバラツキを抑制する。
【解決手段】基板60と、有機EL(エレクトロルミネッセント)により発光する単一の有機EL発光部62と、有機EL発光部62からの発光光が通過する開口部68Aを有する走査可能な開口部材68と、開口部材68の開口部68Aを通過した発光光を予め定められた位置に結像させる結像部69と、を備える。発光素子が一つしかないため、従来の構成に比べ、発光特性のバラつきが抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光ヘッド、カートリッジ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
露光ヘッドとしては、特許文献1及び特許文献2に開示される露光ヘッドが公知である。
特許文献1に開示される露光ヘッドでは、平面のバックパネル光源を液晶シャッターのオン/オフ制御により、露光を制御する。
【0003】
特許文献2に開示される露光ヘッドでは、基板Sの光出射面Sbに凹部40を形成し、該凹部40の底部40a上に各有機EL素子24の画素電極30に対向した位置に光学接着剤43を用いてレンズアレイ27を設けた。また、レンズアレイ27を、各有機EL素子24の画素電極30に対向した位置に各有機EL素子24に対応した数だけ設けた。さらに、各レンズアレイ27を、感光ドラムに向かって延びる導光ファイバ42と、該導光ファイバ42の感光ドラム側端部に設けられたマイクロレンズ26とで構成した。そして、各導光ファイバ42の長さLを各マイクロレンズ26から出射された光が感光ドラム上で焦点を形成するように適宜調整した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02−38071号公報
【特許文献2】特開2007−90813号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、開口部材を有さない場合に比べ、発光特性のバラツキを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、基板と、前記基板に設けられ、有機ELにより発光する有機EL発光部と、前記有機EL発光部からの発光が通過する開口部を有する走査可能な開口部材と、前記開口部材の開口部を通過した発光を予め定められた位置に結像させる結像部と、を備える露光ヘッドである。
【0007】
請求項2の発明は、前記有機EL発光部は、予め定められた間隔に配置された複数の有機EL素子を有し、前記開口部材は、前記複数の有機EL素子からの発光をそれぞれに通過させる開口部を有する請求項1に記載の露光ヘッドである。
【0008】
請求項3の発明は、前記開口部に配置され、前記有機EL発光部からの発光を集光する集光部材を備える請求項1又は請求項2に記載の露光ヘッドである。
【0009】
請求項4の発明は、前記結像部は、前記開口部に配置されている請求項1又は請求項2に記載の露光ヘッドである。
【0010】
請求項5の発明は、前記有機EL発光部は、前記開口部材の走査に同期して駆動する請求項1〜4のいずれか1項に記載の露光ヘッドである。
【0011】
請求項6の発明は、潜像を保持する潜像保持体、前記潜像保持体を帯電させる帯電装置及び前記潜像保持体の潜像を現像する現像装置の少なくとも1つと、前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する請求項4に記載の露光ヘッドと、を備える画像形成装置に着脱可能なカートリッジである。
【0012】
請求項7の発明は、潜像を保持する潜像保持体と、前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する請求項4に記載の露光ヘッドと、前記露光ヘッドによって形成された潜像を現像する現像装置と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1の構成によれば、開口部材を有さない場合に比べ、発光特性のバラツキを抑制できる。
【0014】
本発明の請求項2の構成によれば、本構成を有していない場合に比べ、発光特性のバラツキを抑制できる。
【0015】
本発明の請求項3の構成によれば、集光部材を有さない場合に比べ、集光効率が向上する。
【0016】
本発明の請求項4の構成によれば、結像部が開口部に配置されていない場合に比べ、結像部の位置バラツキの影響を低減できる。
【0017】
本発明の請求項5の構成によれば、有機EL発光部が開口部材の走査に動機していない場合に比べ、発光特性のバラツキを抑制できる。
【0018】
本発明の請求項6の構成によれば、本構成を有していないカートリッジ場合に比べ、発光特性のバラツキを抑制できる。
【0019】
本発明の請求項7の構成によれば、本構成を有していない画像形成装置場合に比べ、濃度ムラの少ない画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略斜視図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る露光ヘッドからの発光光が感光体ドラムに結像される状態を模式的に示した模式図である。
【図4】図4は、有機EL素子の構成を示す概略図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【図6】図6は、変形例1に係る露光ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【図7】図7は、変形例2に係る露光ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【図8】図8は、変形例3に係る露光ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【図9】図9は、比較例1に係る露光ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【図10】図10は、比較例2に係る露光ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【図11】図11は、本実施形態・変形例1〜3と比較例1、2との評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(本実施形態に係る画像形成装置10の構成)
まず、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0022】
本実施形態に係る画像形成装置10は、図1に示すように、各構成部品を収容する装置筐体11と、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pにトナー画像を形成する画像形成部14と、記録媒体収容部12から画像形成部14へ記録媒体Pを搬送する搬送部16と、画像形成部14によって形成されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置18と、定着装置18によってトナー画像が定着された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部(図示省略)と、を備えている。
【0023】
記録媒体収容部12、画像形成部14、搬送部16及び定着装置18は、装置筐体11に収容されている。
【0024】
画像形成部14は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kと、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成されたトナー画像が転写される中間転写体の一例としての中間転写ベルト24と、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト24に転写する一次転写部材の一例としての一次転写ロール26と、中間転写ベルト24に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写部材の一例としての二次転写ロール28と、を備えている。
【0025】
画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kは、潜像を保持する像保持体の一例として、一方向(図1において時計回り方向)へ回転する感光体ドラム30をそれぞれ有している。
【0026】
各感光体ドラム30の周囲には、感光体ドラム30の回転方向上流側から順に、感光体ドラム30の表面を帯電させる帯電装置32と、帯電した感光体ドラム30の表面を露光して感光体ドラム30の表面に静電潜像を形成する露光装置としての露光ヘッド34と、感光体ドラム30の表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置36と、トナー画像が中間転写ベルト24に転写された後の感光体ドラム30の表面に残留しているトナーを除去する除去装置40と、が設けられている。
【0027】
感光体ドラム30、帯電装置32、露光ヘッド34、現像装置36及び除去装置40は、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kに収容されてユニット化されている。画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kは、装置筐体11に着脱可能に設けられたプロセスカートリッジとされており、交換可能となっている。
【0028】
なお、感光体ドラム30、帯電装置32、露光ヘッド34、現像装置36及び除去装置40の全てがユニット化される必要は無い。例えば、感光体ドラム30、帯電装置32及び現像装置36の少なくとも1つと、露光ヘッド34とが、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kに収容されてユニット化されていれば良い。
【0029】
中間転写ベルト24は、二次転写ロール28に対向する対向ロール42、駆動ロール44及び支持ロール46によって支持され、感光体ドラム30と接触しながら一方向(図1において反時計回り方向)へ循環移動するようになっている。
【0030】
一次転写ロール26は、中間転写ベルト24を挟んで、感光体ドラム30に対向している。一次転写ロール26と感光体ドラム30との間には、感光体ドラム30上のトナー画像が中間転写ベルト24に一次転写される一次転写位置が形成される。この一次転写位置において、一次転写ロール26が感光体ドラム30の表面のトナー画像を圧接力と静電力により中間転写ベルト24に転写するようになっている。
【0031】
二次転写ロール28は、中間転写ベルト24を挟んで対向ロール42と対向している。二次転写ロール28と対向ロール42との間には、中間転写ベルト24上のトナー画像が記録媒体Pに二次転写される二次転写位置が形成される。この二次転写位置において、二次転写ロール28が中間転写ベルト24の表面のトナー画像を圧接力と静電力により記録媒体Pに転写するようになっている。
【0032】
搬送部16は、記録媒体収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール50と、送出ロール50によって送り出された記録媒体Pを二次転写位置へ搬送する搬送ロール対52と、を備えている。
【0033】
定着装置18は、二次転写位置より搬送方向下流側に配置されており、二次転写位置で転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。
【0034】
二次転写位置より搬送方向下流側であって、定着装置18よりも搬送方向上流側には、定着装置18に記録媒体Pを搬送する搬送部材の一例としての搬送ベルト54が配置されている。
【0035】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置10では、まず記録媒体収容部12から送り出された記録媒体Pが、搬送ロール対52によって二次転写位置へ送り込まれる。
【0036】
一方、中間転写ベルト24には、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成された各色のトナー画像が重ねられて、カラー画像が形成される。二次転写位置へ送り込まれた記録媒体Pは、中間転写ベルト24上に形成されたカラー画像が転写される。
【0037】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置18へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置18により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、記録媒体排出部(図示省略)へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0038】
なお、画像形成装置の構成としては、上記の構成に限られず、例えば、中間転写体を有さない直接転写型の画像形成装置でもよく、種々の構成とすることが可能である。
【0039】
(露光ヘッド34の構成)
次に、露光ヘッド34の構成を説明する。図2、図3及び図5は、本実施形態に係る露光ヘッド34の構成を示す概略図である。
【0040】
各露光ヘッド34は、図2、図3及び図5に示すように、基板60と、有機EL(エレクトロルミネッセント)により発光する有機EL発光部62と、有機EL発光部62からの発光光が通過する開口部68Aを有する走査可能な開口部材68と、開口部材68の開口部68Aを通過した発光光を予め定められた位置に結像させる結像部69と、を備えている。
【0041】
基板60は、主走査方向Xに長くされた長尺状に形成されている。また、基板60は、絶縁性を有する基板で形成され、例えば、ガラス基板や樹脂基板で構成されている。
【0042】
(有機EL発光部62の構成)
まず、有機EL発光部62の構成について説明する。
【0043】
有機EL発光部62は、基板60に設けられており、単一の有機EL素子70を有している。有機EL素子70は、基板60の長手方向に沿って線状に形成されており、線状光源して用いられる。有機EL素子70は、感光体ドラム30の画像形成領域以上の長さとされている。
【0044】
有機EL素子70の構成としては、後述の発光層72から発生する光を基板60側から取り出すボトムエミッション型の有機EL素子と、後述の発光層72から発生する光を基板60とは反対側から取り出すトップエミッション型の有機EL素子とがある。
【0045】
以下に、トップエミッション型の有機EL素子70Aについて説明する。図4は、トップエミッション型の有機EL素子70Aの構成を示す概略図である。
【0046】
有機EL素子70Aは、図4に示すように、陽極71と、陽極71と対をなす陰極73と、陽極71と陰極73との間に配置された発光層72と、反射層74と、正孔注入層76と、封止層75とを備えている。
【0047】
陽極71、陰極73、発光層72、反射層74、正孔注入層76及び封止層75は、反射層74、陽極71、正孔注入層76、発光層72、陰極73、封止層75の順で、基板60に積層されている。
【0048】
なお、トップエミッション型の有機EL素子70Aとしては、正孔注入層76、反射層74及び封止層75を有さない構成であってもよく、少なくとも、陽極71、陰極73、発光層72及び第3電極79を有していれば良い。
【0049】
反射層74は、基板60表面に形成されている。反射層74は、発光層72からの光を発光層72側に反射する。反射層74には、例えば、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどが用いられている。なお、反射層74の材料としては、上記に限られるものではない。また、反射層74の厚さは、例えば、150nmとされる。なお、反射層74の厚さは、これに限られるものではない。
【0050】
陽極71は、反射層74の表面に形成されている。陽極71には、例えば、SnO2、In2O3、ITO、IZO:Alなどの導電性金属酸化物が用いられる。なお、陽極71の材料は、上記に限られるものではない。また、陽極71の厚さは、例えば、100nmとされる。なお、陽極71の厚さは、これに限られるものではない。
【0051】
なお、陽極71は、有機EL素子70Aでは、発光層72から発生した光を基板60と反対側から取り出すため、陽極71は、光を透過する透過性を有している必要性はない。
【0052】
正孔注入層76は、陰極73と陽極71との間に電圧が印加されることにより、陽極71側から正孔が注入される。正孔注入層76には、例えば、フタロシアニン類(CuPcなどを含む)またはインダンスレン系化合物などの低分子材料、MTDATA(4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン)、ポリアニリン、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート)等の高分子材料等が用いられる。なお、正孔注入層76の材料としては、上記に限られるものでない。また、正孔注入層76の厚さは、例えば、30nmとされる。なお、正孔注入層76の厚さは、これに限られるものではない。なお、正孔注入層76と陽極71との間には、正孔注入効率を高めるために正孔輸送層などを配置しても良い。
【0053】
発光層72には、陰極73と陽極71との間に電圧が印加されることにより、陰極73側から電子が注入される。また、発光層72には、正孔注入層76に注入された正孔が移動し、この正孔と電子とが発光層72で結合することにより、発光層72が発光する。
【0054】
発光層72としては、キレート型有機金属錯体、多核又は縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサチアゾール誘導体、又はオキサジアゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又はポリアセチレン誘導体等が挙げられる。なお、発光層72の材料としては、上記に限られるものでない。また、発光層72の厚さは、例えば、50nmとされる。なお、発光層72の厚さは、これに限られるものではない。
【0055】
陰極73は、光を透過する透過性を有しており、発光層72から発生する光を基板60とは反対側から取り出すことを許容する。本実施形態では、陰極73は、第1層73Xと第2層73Yとを備えている。第1層73Xは、発光層72側に配置されており、例えば、Caで構成されている。第2層73Yは、発光層72とは反対側に配置されており、例えば、Alで構成されている。また、第1層73Xの厚さは、例えば、20nmとされ、第2層73Yの厚さは、例えば、数十nmとされる。なお、第1層73X及び第2層73Yの厚さは、これに限られるものではない。
【0056】
また、陰極73は一層で構成されていてもよい。また、陰極73の材料は、上記の限られるものではなく、例えば、SnO2、In2O3、ITO、IZO:Alなどの導電性金属酸化物を用いてもよい。また、陰極73と発光層72との間には、電子注入効率を高めるための電子注入層や電子輸送層などを配置しても良い。陰極73の表面には、封止層75が形成されている。
【0057】
なお、有機EL素子70として、トップエミッション型の有機EL素子70Aについて説明したが、有機EL素子70としては、ボトムエミッション型の有機EL素子であってもよい。ボトムエミッション型の有機EL素子では、陽極71、陰極73、発光層72、反射層74、正孔注入層76及び封止層75は、陽極71、正孔注入層76、発光層72、陰極73、反射層74、封止層75の順で、基板60に積層される。また、発光光の出射側に有る陽極71、基板60は、発光光を透過する透過性が必要となる。
【0058】
(有機EL発光部62の出射側の構成)
次に、有機EL発光部62の出射側の構成について説明する。
【0059】
有機EL発光部62の出射側には、図5に示すように、開口部材68と、結像部69とが、感光体ドラム30との有機EL発光部62との間に配置されている。
【0060】
結像部69は、有機EL発光部62からの発光光を感光体ドラム30の表面に結像する結像素子アレイの一例としてのレンズアレイ64を備えて構成されている。レンズアレイ64は、結像素子の一例としてのロッドレンズ64Aが複数配列されて構成されている。有機EL素子70からの発光光を感光体ドラム30に結像することによって、感光体ドラム30が露光されて潜像が形成される。
【0061】
なお、結像部69としては、レンズアレイ64に限られず、種々の構成とすることが可能である。結像部69としては、例えば、シリンドリカルレンズを用いても良い。
【0062】
開口部材68には、単一の開口部68Aが形成されている。開口部材68は、開口部68Aにおいて、有機EL発光部62からの発光光が通過して、それ以外の部位では有機EL発光部62からの発光光を遮蔽する。
【0063】
開口部材68には、主走査方向(感光体ドラム30の軸方向)に沿って開口部材68を移動させる移動機構65が設けられている。移動機構65としては、ボールねじ・ベルトなどの機械要素を用いて構成される。
【0064】
この移動機構65が開口部材68を移動させて開口部68Aを移動させることにより、感光体ドラム30が、その軸方向に沿って連続的に順次露光される。
【0065】
移動機構65には、開口部材68の移動を制御する制御回路67が設けられている。制御回路67によって、開口部材68は、移動・停止の制御及び移動速度の制御がなされる。
【0066】
また、基板60には、図2に示すように、有機EL発光部62を駆動する単一の駆動回路66が設けられている。この駆動回路66によって、有機EL発光部62の発光が制御される。発光の制御としては、点灯・消灯(ON・OFF)の制御、発光強度に制御がある。
【0067】
例えば、有機EL発光部62が駆動回路66によって点灯・消灯及び発光強度が制御される場合には、制御回路67は、開口部材68を一定速度で移動させる制御し、感光体ドラム30への必要な露光量を得るようにしてもよい。また、有機EL発光部62が駆動回路66によって一定の発光強度で点灯・消灯が制御される場合には、制御回路67は、開口部材68の移動速度を変化させることにより、感光体ドラム30への必要な露光量を得るようにしてもよい。また、駆動回路66によって、有機EL発光部62の点灯・消灯及び発光強度が制御すると共に、開口部材68の移動速度を変化させる制御を同期させて行ってもよい。
【0068】
上記のように、本実施形態の構成では、発光素子が一つしかないため、これを駆動するための駆動回路66が1つで済むため、発光素子間の発光特性のバラつきという問題が発生しにくい。また、発光素子の劣化に伴って一定光量を保つための補正回路も一対で良く、回路規模が縮小される。これに伴って、実装コストも低減される。
【0069】
(変形例1)
次に、変形例1の構成について説明する。図6は、変形例1に係る露光ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【0070】
変形例1の構成では、図6に示すように、有機EL発光部62は、有機EL素子が分割されて構成されており、線状の有機EL素子70が予め定められた間隔に複数配置されて構成されている。
【0071】
開口部材68には、複数の開口部68Aが形成されており、各開口部68Aが、複数の有機EL素子70からの発光光をそれぞれに通過させる。開口部68Aは、具体的には、有機EL素子70と同数とされている。また、有機EL素子70を駆動する駆動回路66がそれぞれの有機EL素子70に設けられている。
【0072】
変形例1の構成によれば、発光素子の一素子あたりの露光領域が限定され、開口部材68の開口部68Aの走査範囲が小さくなる。これにより、有機EL素子70が1つである構成に比べて、露光速度が速くなる。
【0073】
(変形例2)
次に、変形例2の構成について説明する。図7は、変形例2に係る露光ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【0074】
変形例2では、図7に示すように、有機EL発光部62からの発光光を集光する集光部材の一例としての集光レンズ86が、開口部材68の開口部68Aに配置されている。
【0075】
画素数に応じて多数の有機EL素子を有する構成では、その数の集光レンズが必要となるのに対して、変形例2では、1つの集光レンズ86で済む。
【0076】
これにより、露光ヘッド34が安価な構成となる。また、集光レンズ86が1つで済むため、集光レンズ間の集光特性のバラつきという問題が発生しにくい。なお、変形例2の構成は、変形例1の構成と組みあわても良い。
【0077】
(変形例3)
次に、変形例3の構成について説明する。図8は、変形例3に係る露光ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【0078】
変形例3では、図8に示すように、有機EL発光部62からの発光光を感光体ドラム30に結像する結像レンズとしてのロッドレンズ64Aが、開口部材68の開口部68Aに配置されている。
【0079】
変形例3の構成では、結像レンズアレイが不要となるので、露光ヘッド34が安価な構成となる。また、ロッドレンズ64Aが1つで済むため、結像レンズ間の結像特性のバラつきという問題が発生しにくい。なお、変形例3の構成は、変形例1の構成と組みあわても良い。
【0080】
(評価)
上記の実施形態の構成及び変形例1〜3と、下記の比較例1、2とにおいて、発光素子を同一の光量で発光させたときの結像面における1素子当たりの平均光量と、測定光量のバラつきと、試算した製造コストとを比較評価した。測定光量のバラつきは、結像面での光量の最小値と最大値の差によって求めた。
【0081】
(比較例1)
比較例1では、図9に示すように、基板102上に、予め定められた解像度で露光幅一杯に渡って並置された有機EL素子104と、有機EL素子104からの発光光を感光体ドラム30にそれぞれ結像させる結像レンズアレイ106とを備えている。有機EL素子104には、それぞれを駆動する駆動回路が設けられている。
【0082】
(比較例2)
比較例2は、比較例1の構成において、図10に示すように、各有機EL素子104に集光レンズ108が配置された構成とされている。
【0083】
この結果、図11に示すように、実施形態・変形例1〜3は、比較例1、2に比べて、光量のばらつきが少なく、低コストであることがわかった。また、実施形態・変形例1〜3のなかでも、変形例3が、特に光量のばらつきが少なく、低コストであることがわかった。本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 画像形成装置
22C、22M、22Y、22K 画像形成ユニット
30 感光体ドラム(像保持体)
34 露光ヘッド
36 現像装置
62 有機EL発光部
68A 開口部
68 開口部材
69 結像部
70 有機EL素子
86 集光レンズ(集光部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられ、有機ELにより発光する有機EL発光部と、
前記有機EL発光部からの発光が通過する開口部を有する走査可能な開口部材と、
前記開口部材の開口部を通過した発光を予め定められた位置に結像させる結像部と、
を備える露光ヘッド。
【請求項2】
前記有機EL発光部は、予め定められた間隔に配置された複数の有機EL素子を有し、
前記開口部材は、前記複数の有機EL素子からの発光をそれぞれに通過させる開口部を有する請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記開口部に配置され、前記有機EL発光部からの発光を集光する集光部材を備える請求項1又は請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記結像部は、前記開口部に配置されている請求項1又は請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記有機EL発光部は、前記開口部材の走査に同期して駆動する請求項1〜4のいずれか1項に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
潜像を保持する潜像保持体、前記潜像保持体を帯電させる帯電装置及び前記潜像保持体の潜像を現像する現像装置の少なくとも1つと、
前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する請求項4に記載の露光ヘッドと、
を備える画像形成装置に着脱可能なカートリッジ。
【請求項7】
潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する請求項4に記載の露光ヘッドと、
前記露光ヘッドによって形成された潜像を現像する現像装置と、
を備える画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−214775(P2010−214775A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64266(P2009−64266)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】