説明

露光装置および光源装置

【課題】 本発明は、消費電力が少なく長寿命で、かつ必要な波長域の光を必要な光量で効率よく出射して露光することができる露光装置および光源装置が得られる。。
【解決手段】 光源ユニット41は、第1のLEDアレイ411、第1のレンズアレイ412、第2のLEDアレイ413、第2のレンズアレイ414、ダイクロイックミラー415、第3のレンズアレイ416、第1の結像光学系417を備える。第1のLEDアレイ411は、中心波長385nmの光を出射する。第2のLEDアレイ413は、中心波長365nmの光を出射する。ダイクロイックミラー415は、第1のLEDアレイ411の発光部411cの像に第2のLEDアレイ413の発光部413cの像を重ねて合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置および光源装置に関し、さらに詳しくは、電子工業用のプリント基板、半導体や液晶ディスプレイ製造用に用いられる露光装置と、それら露光装置などに使用される光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子工業用のプリント基板や半導体ウエハ、液晶ディスプレイ製造用ガラス基板などの処理工程において、フォトリソグラフィ法を利用した表面パターニング技術が一般に使われる。従来、例えばプリント基板の製造工程において、プリント基板上に感光材料(感光性を有する樹脂等)の被膜を塗布またはラミネートなどの手法で形成し、所望のパターンを形成したフォトマスクを介して露光してその感光材料の被膜にパターンを形成していた。
【0003】
近年、フォトマスクを用いず、光変調素子、たとえばDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いて変調した光によって露光し、直接的にパターンを描画するいわゆる直接描画と呼ばれる露光方式も用いられるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−332221号公報
【特許文献2】特開2006−133635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される直接描画方式の露光装置にあっては、光源としてランプを用いているが、この種の装置に一般に用いられる超高圧水銀ランプは大型であって消費電力が大きく、寿命が短いという問題があった。そこで、特許文献2に示されるように光源として消費電力が少なく長寿命の発光ダイオード(LED)を用いることも提案されている。
【0006】
しかしながら、露光の対象物である感光材料の特性によっては、比較的広い波長域の光を照射することが求められることがあり、照射光の波長域が狭いLEDを用いると所望の特性が得られず、パターニングがうまく行えないことが起こる。例えばソルダーレジストの露光には、360〜390nm付近の比較的広い波長域の光を照射することが必要であるため、365nmにピークを持つ単一波長のLEDからの光を照射するだけでは十分に露光することができず、ソルダーレジストのパターン断面が逆テーパー形状になるなどの不都合がある。
【0007】
これに対し、特許文献2に記載の光源に、異なる波長の光を発する2種類のLEDを混用することも考えられるが、一つの波長あたりのLED数が減ってしまうと今度は露光のために十分な光量が得られなくなってしまう。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、消費電力が少なく長寿命で、かつ必要な波長域の光を必要な光量で効率よく出射できる光源装置および露光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、第1の波長特性の光を出射する発光部を有する光源素子を複数配列した第1の光源アレイと、前記第1の光源アレイの各光源素子の発光部の拡大像を形成するレンズを複数配列した第1のレンズアレイと、第2の波長特性の光を出射する発光部を有する光源素子を複数配列した第2の光源アレイと、前記第2の光源アレイの各光源素子の発光部の拡大像を形成するレンズを複数配列した第2のレンズアレイと、前記第1のレンズアレイが形成した前記第1の光源アレイの発光部の像と、前記第2のレンズアレイが形成した前記第2の光源アレイの発光部の像とを重ね合わせて合成像を形成する光学合成素子と、前記光学合成素子が合成した合成像の光束を均一な照度分布の光束にして出射する均一化素子と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光源装置において、前記光学合成素子が形成した各光源素子の発光部ごとの合成像の光束の主光線を光軸と平行にする第3のレンズアレイと、前記第3のレンズアレイから出射される前記合成像を前記均一化素子の入射端に縮小投影する両側テレセントリックな第1の結像光学系と、をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光源装置において、前記第1のレンズアレイは、前記第1の光源アレイの各光源素子の発光部を、当該光源素子の配列ピッチの大きさに拡大投影するものであり、前記第2のレンズアレイは、前記第2の光源アレイの各光源素子の発光部を、当該光源素子の配列ピッチの大きさに拡大投影するものであることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の光源装置において、前記均一化素子が出射する光束を所定の照明領域に投影する第2の結像光学系をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の光源装置において、前記均一化素子は中空ライトパイプまたは中実ロッドであることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の光源装置において、前記光学合成素子はダイクロイックミラーであることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の光源装置と、この光源装置によって照明される光変調素子と、前記光変調素子で変調された光を描画対象物に照射する投影光学系と、前記投影光学系と前記描画対象物とを相対移動させて前記描画対象物を走査する走査機構と、を備えたことを特徴とする露光装置である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の光源装置と、この光源装置によって照明される光変調素子と、前記光変調素子で変調された光をソルダーレジストの被膜が形成された描画対象物に照射する投影光学系と、前記投影光学系と前記描画対象物とを相対移動させて前記描画対象物を走査する走査機構とを備え、前記第1の光源アレイの発光素子は、波長385nm付近にピークを有する光を出射する発光部を有し、前記第2の光源アレイの発光素子は、波長365nm付近にピークを有する光を出射する発光部を有し、前記ダイクロイックミラーは前記第1の光源アレイからの光を透過するとともに、前記第2の光源アレイからの光を反射して合成像を形成するよう配置されたことを特徴とする露光装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1乃至6に記載の発明によれば、消費電力が少なく長寿命で、かつ必要な波長域の光を出射して露光することができる光源装置が得られる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、特に効率よく所望の形状の光束を出射することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、消費電力が少なく長寿命で、かつ必要な波長域の光を出射して露光することができる露光装置が得られる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、特にソルダーレジストの露光に好適な波長特性を持つ光を出射して露光できる露光装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る露光装置を示す模式図である。
【図2】DMDを示す図である。
【図3】照明光学系の一部を示す模式的な斜視図である。
【図4】光源ユニットの側面図である。
【図5】光源ユニットの一部を抜粋して示す側面図である。
【図6】LEDチップの外観とその投影像を示す図である。
【図7】光源ユニットの一部を抜粋して示す斜視図である。
【図8】出射光の分光波長特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<1.露光装置の構成と動作の概要>
【0023】
図1は本発明の一の実施の形態に係る露光装置1の構成を示す模式図である。図1では装置の内部構造を示すために装置の外形を破線にて示している。露光装置1は、ソルダーレジストの被膜が表面に塗布またはラミネートによって形成されたプリント基板(以下、単に基板と称する)9に所定のパターンを露光してパターン形成を行うものであって、基板9を保持するステージ2、ステージ2を図1中のY方向へと移動させるステージ移動機構31、光ビームを基板9に向けて出射するヘッド部4、ヘッド部4を図2中のX方向へと移動させるヘッド部移動機構32と、これらステージ移動機構31、ヘッド部4およびヘッド部移動機構32に接続された制御部5を有する。
【0024】
ヘッド部4は、後述の如く所定の波長の光ビームを出射する光源ユニット41、および、格子状に配列された微小ミラー群が設けられたDMD42を含む光学系を内蔵し、DMD42の微小ミラー群により光源ユニット41からの光ビームが反射されることにより空間変調された光ビームを生成し、ステージ2に保持された基板9に出射して露光しパターン形成する。
【0025】
光学系の概要を説明する。光源ユニット41から出射された光ビームは、ロッドインテグレータ433、レンズ434a、レンズ434bおよびミラー435を介してミラー436へと導かれ、ミラー436は光ビームを集光させつつDMD42へと導く。DMD42へと入射する光ビームは所定の入射角(例えば、24度)でDMD42の微小ミラー群に均一に照射される。以上のように、光源ユニット41、ロッドインテグレータ433、レンズ434a、レンズ434b、ミラー435およびミラー436により光源ユニット41からの光をDMD42へと導く照明光学系43aが構成される。
【0026】
DMD42の各微小ミラーのうち所定の姿勢(後述するDMD42による光照射の説明において、ON状態に対応する姿勢)にある微小ミラーからの反射光のみにより形成される光ビーム(すなわち、空間変調された光ビーム)はズームレンズ437へと入射し、ズームレンズ437により倍率が調整されてミラー438を介して投影レンズ439へと導かれる。そして、投影レンズ439からの光ビームは微小ミラー群に対して光学的に共役な基板9上の領域へと照射される。このように、露光装置1ではズームレンズ437、ミラー438、投影レンズ439により、各微小ミラーからの光を基板9上の対応する光照射領域へと導く投影光学系43bが構成される。
【0027】
ステージ2はリニアモータであるステージ移動機構31の移動体側に固定されており、制御部5がステージ移動機構31を制御することにより、微小ミラー群からの光が照射される光照射領域群(1つの微小ミラーが1つの光照射領域に対応するものとする。)がフォトレジスト膜上を図2中のY方向に相対的に移動する。すなわち、光照射領域群はヘッド部4に対して相対的に固定され、基板9の移動により光照射領域群が基板9上を移動する。
【0028】
ヘッド部4はヘッド部移動機構32の移動体側に固定され、光照射領域群の主走査方向(図2中のY方向)に対して垂直な副走査方向(X方向)に間欠的に移動する。すなわち、主走査が終了する毎にヘッド部移動機構32は次の主走査の開始位置へとヘッド部4をX方向に移動させる。そしてこのステージ移動機構31とヘッド部移動機構32の駆動によって、ヘッド部4は基板9表面を走査し露光する。
【0029】
図2はDMD42を示す図である。DMD42はシリコン基板421の上に多数の微小ミラーが格子状に等間隔に配列された(互いに垂直な2方向にM行N列に配列されているものとして以下説明する。)微小ミラー群422を有する空間光変調デバイスであり、各微小ミラーに対応するメモリセルに書き込まれたデータに従って、各微小ミラーが静電界作用により所定の角度だけ傾く。
【0030】
図1に示す制御部5からDMD42にリセットパルスが入力されると、各微小ミラーは対応するメモリセルに書き込まれたデータに従って反射面の対角線を軸として所定の姿勢に一斉に傾く。これにより、DMD42に照射された光ビームは各微小ミラーの傾く方向に応じて反射され、光照射領域への光照射のON/OFFが行われる。つまり、メモリセルにONを示すデータが書き込まれた微小ミラーがリセットパルスを受信すると、その微小ミラーに入射する光はズームレンズ437へと反射され、対応する光照射領域に光が照射される。また、微小ミラーがOFF状態とされると、微小ミラーは入射した光をズームレンズ437とは異なる所定の位置へと反射し、対応する光照射領域は光が導かれない状態とされる。
【0031】
そしてかかる構成により、基板9の表面はヘッド部4によって相対的に走査されつつ、DMD42で変調された光ビームが照射され、基板9表面のソルダーレジストに所定のパターンを形成する。
【0032】
<2.光学系の詳細>
【0033】
次に光学系の詳細について説明する。図3は光源ユニット41を含む照明光学系43aの一部を示す模式的な斜視図、図4は光源ユニット41の側面図、図5は光源ユニット41の一部を抜粋して示す側面図、図6はLEDチップの外観とその投影像を示す図、図7は第1のLEDアレイ411、第1のレンズアレイ412および第3のレンズアレイ416を示す斜視図である。
【0034】
光源ユニット41は、第1のLEDアレイ411、第1のレンズアレイ412、第2のLEDアレイ413、第2のレンズアレイ414、ダイクロイックミラー415、第3のレンズアレイ416、第1の結像光学系417とから構成される。
【0035】
第1のLEDアレイ411は、中心波長385nm(第1の波長特性)の光を出射する発光部を有するLEDチップ(LEDダイ)411aを基板411b上に12個配列して構成される。LEDチップ411aは1mm角の大きさであって、セラミックパッケージ(図示は省略している)の内部に納められている。LEDチップ411aは1mm角のその全面が発光するのではなく、電極の影の影響などで非発光の部分が存在する。この実施形態におけるLEDチップ411aは、図6(A)に示すように表面のうちの0.8mm角の範囲に図中にハッチングを付して示す発光部411cが形成されている。第1のLEDアレイ411は、かかるLEDチップ411aを10mmピッチ(図5中のd=10mm)で縦横二次元に3×4に配列されるように、各LEDチップ411aのセラミックパッケージを基板411b上に取り付ける。また、各LEDチップ411aの前面には、表面の保護のためのカバーガラス411dが設けられる。
【0036】
第1のレンズアレイ412は、第1のLEDアレイ411の各LEDチップ411aの発光部411cの像を形成するレンズ群を、LEDチップ411aの配列と対応して同じ縦横二次元に3×4の12個配列して形成したものであって、LEDチップ411aの1個あたり、LEDチップ411a側からみて、両凸の第1レンズ412aと平 凸の第2レンズ412bの2枚で構成されるレンズ群を有し、それらを枠412cに組みつけて構成される。(図7では基板411bを透視して第1レンズ412aを記している。)これら第1レンズ412aと第2レンズ412bのレンズ群は、LEDチップ411aのうち発光部411cが存在する0.8mm角の略正方形の領域を、その各LEDチップ411aの配列ピッチ(図5中にdで示す)の大きさ、すなわち10mm角の大きさに拡大投影するようになっている。そして、投影された発光部411cの像はちょうど後述する第3のレンズアレイ416を構成する個々のレンズ416aの全面をカバーする。
【0037】
第2のLEDアレイ413は、中心波長365nm(第2の波長特性)の光を出射する発光部を有するLEDチップ413aを基板413b上に12個配列して構成される。この第2のLEDアレイ413およびLEDチップ413aの構成は、LEDチップ413aの出射光の波長以外は図5に示した第1のLEDアレイ411、LEDチップ411aと同様であり、LEDチップ413aを10mmピッチで縦横二次元に3×4に配列されるように、各LEDチップ413aのセラミックパッケージを基板413b上に取り付ける。また、各LEDチップ413aの前面には、表面の保護のためのカバーガラス413dが設けられる。
【0038】
第2のレンズアレイ414の構成は、上述の第1のレンズアレイ412と同様であって、第2のLEDアレイ413の各LEDチップ413aの発光部413cの像を形成するレンズ群を、LEDチップ413aの配列と対応して同じ縦横二次元に3×4の12個配列して形成したもので、LEDチップ413aの1個あたり、LEDチップ413a側からみて、両凸の第1レンズ414aと平凸の第2レンズ414bの2枚で構成されるレンズ群を有し、それらを枠414cに組みつけて構成される。これら第1レンズ414aと第2レンズ414bのレンズ群は、図5に示す第1のレンズアレイ412と同様に、LEDチップ413aのうち発光部413cが存在する0.8mm角の略正方形の領域を、その各LEDチップ413aの配列ピッチの大きさ、すなわち10mm角の大きさに拡大投影するようになっている。そして、投影された発光部413cの像はちょうど後述する第3のレンズアレイ416を構成する個々のレンズ416aの全面をカバーする。
【0039】
第1のレンズアレイ412とそれが形成する第1のLEDアレイ411の各LEDチップ411aの発光部411cの像との間には、ダイクロイックミラー415が斜めに配置され、さらにそのダイクロイックミラー415をはさんで第1のレンズアレイ412の反対側に、第2のレンズアレイ414と第2のLEDアレイ413が配置される。(図5ではダイクロイックミラー415、第2のレンズアレイ414等は図示を省略している。)これにより、ダイクロイックミラー415は、第1のLEDアレイ411および第1のレンズアレイ412からの光を透過させるとともに、第2のLEDアレイ413および第2のレンズアレイ414からの光を反射させて、第1のLEDアレイ411の発光部411cの像に第2のLEDアレイ413の発光部413cの像を重ねて合成するように配置されている。これにより、第1のレンズアレイ412と第2のレンズアレイ414による合成された像は図6(B)に示すような各LEDアレイ411,413の発光部の形状を拡大して並べたものとなっている。
【0040】
なお、第1のLEDアレイ411の光は中心波長385nmであり、第2のLEDアレイ413の光は中心波長365nmであり、両者の差は20nm程度であるので、これらを合成するためにはダイクロイックミラー415には比較的急峻なエッジを持った分光反射率(分光透過率)特性が必要となる。ダイクロイックミラー415への入射角が45度以上の場合にはPS偏光成分の光学特性の分離が生じて急峻な特性が得られないので、本実施形態ではそれぞれの光の入射角を40度よりも小さくしている。また二つの波長の光の合成の効率をよくするため、波長が短い第2のLEDアレイ413のほうをダイクロイックミラー415の反射側で、波長が長い第1のLEDアレイ411のほうを透過側で、それぞれ利用している。
【0041】
第3のレンズアレイ416は、ダイクロイックミラー415で合成された第1のLEDアレイ411の像と第2のLEDアレイ413の像の合成像の位置に配置され、入射する光束の主光線を光軸と平行にして後述する第1の結像光学系417に入射させる。第3のレンズアレイ416は10mm角の平凸レンズ416aを3×4に配列したものであって、個々のレンズ416aは、それぞれの発光部411c、413cと相似形(すなわち正方形)をしており、またその合成像と略同じ大きさである。
【0042】
第1の結像光学系417は、両側テレセントリックな光学系であって、第1レンズ417a、第2レンズ417b、第3レンズ417cからなり、ダイクロイックミラー415が形成した第1のLEDアレイ411と第2のLEDアレイ413の合成像をインテグレータ433の入射端に縮小投影する。インテグレータ433の入射端の形状と、第1の結像光学系417によって縮小された第1のLEDアレイ411、第2のLEDアレイ413の発光部の像とは略同じ形状とすることが効率上好ましい。
【0043】
そして、インテグレータ433の出射端から出力される均一な照度分布の光は、レンズ434a、レンズ434b、ミラー435およびミラー436からなる第2の結像光学系によって、DMD42の所定の照明領域に照射される。DMD42に照射される光の波長スペクトルは、図8に示すように第1のLEDアレイ411の中心波長385nmの光と第2のLEDアレイ413の中心波長365nmの光との合成したものとなる。ここで、それぞれのLEDアレイへの投入電流は制御部5の制御により可変とされており、2つの波長の光の強度比率を可変できる。これにより、照射対象であるレジスト特性にあわせて照射する光の特性を細かく設定でき、たとえばソルダーレジストの特性に合わせて所望のパターン断面の形状を得ることができる。
【0044】
<3.露光装置の動作と効果>
【0045】
露光装置1のステージ2にソルダーレジストの被膜が形成された基板9が搬入されると、制御部5はステージ移動機構31やヘッド部4、ヘッド部移動機構32等を制御して露光処理を行う。このとき光源ユニット41は、第1のLEDアレイ411の出射する中心波長385nmの光と第2のLEDアレイ413が出射する中心波長365nmの光を合成した光を出力してDMD42を照明し、それの光により基板9のソルダーレジストが露光される。光源ユニット41が出射する光は、各LEDアレイ411、413への投入電流を制御して、処理する基板9に合わせた波長、強度の光とされ、露光が良好に実行される。光源ユニット41においては、2つのLEDアレイ411、413において必要な波長の光を出射するLEDチップ411a、413aを十分な数量だけ設けることができ、必要な波長、光量の光が得られる。
【0046】
<4.変形例>
【0047】
上記の実施の形態においては、第1のLEDアレイ411の光と第2のLEDアレイ413の光をダイクロイックミラー415で合成した後、第3のレンズアレイ416でテレセントリックにして、第1の結像光学系417で縮小しているが、若干の効率低下が許容できるようであれば、例えば第3のレンズアレイ416は省略することが可能である。また、光源ユニット41に求められる出射光束の形状によっては、第1の結像光学系417を省略してもよい。仮にこの両者を省略する場合、ダイクロイックミラー415で合成した後の光を直接インテグレータ433の入力端に入射させる。
【0048】
また、本実施の形態においては、第1のLEDアレイ411の光と第2のLEDアレイ413の光を合成するためにダイクロイックミラー415を使用しているが、それに代えて例えばキューブタイプのダイクロイックプリズムを用いてもよい。また、必要な光の波長領域に応じて3種類以上の波長の光を合成してもよく、その場合、光学合成素子としては、ダイクロイックミラー415を複数用いてもよく、またはクロスプリズム、フィリップスタイププリズム、ケスタープリズム等のダイクロイックプリズムを用いてもよい。
【0049】
また、ここでは均一化素子としてインテグレータ433を使用している。これは、ミラーを反射面を内側にして張り合わせた中空のライトパイプでもよいし、全反射を利用した多角柱の中実ロッドでもよい。入射側断面形状と出射側断面形状は略相似形となるテーパータイプであってもよい。またインテグレータ433に代えてフライアイレンズを用いてもよい。この場合、フライアイレンズの個々のレンズの形状は、被照射面の形状と略相似形にすることが好ましく、第1の結像光学系417内部の主光線が光軸と交わる位置に設置することで、均一な照度分布を実現することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 露光装置
2 ステージ
4 ヘッド部
5 制御部
9 基板
31 ステージ移動機構
32 ヘッド部移動機構
41 光源ユニット
42 DMD
411 第1のLEDアレイ
411a LEDチップ
411c 発光部
412 第1のレンズアレイ
413 第2のLEDアレイ
413a LEDチップ
413c 発光部
414 第2のレンズアレイ
415 ダイクロイックミラー
416 第3のレンズアレイ
417 第1の結像光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長特性の光を出射する発光部を有する光源素子を複数配列した第1の光源アレイと、
前記第1の光源アレイの各光源素子の発光部の拡大像を形成するレンズを複数配列した第1のレンズアレイと、
第2の波長特性の光を出射する発光部を有する光源素子を複数配列した第2の光源アレイと、
前記第2の光源アレイの各光源素子の発光部の拡大像を形成するレンズを複数配列した第2のレンズアレイと、
前記第1のレンズアレイが形成した前記第1の光源アレイの発光部の像と、前記第2のレンズアレイが形成した前記第2の光源アレイの発光部の像とを重ね合わせて合成像を形成する光学合成素子と、
前記光学合成素子が合成した合成像の光束を均一な照度分布の光束にして出射する均一化素子と、
を備えたことを特徴とする光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光源装置において、
前記光学合成素子が形成した各光源素子の発光部ごとの合成像の光束の主光線を光軸と平行にする第3のレンズアレイと、
前記第3のレンズアレイから出射される前記合成像を前記均一化素子の入射端に縮小投影する両側テレセントリックな第1の結像光学系と、
をさらに備えたことを特徴とする光源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光源装置において、
前記第1のレンズアレイは、前記第1の光源アレイの各光源素子の発光部を、当該光源素子の配列ピッチの大きさに拡大投影するものであり、
前記第2のレンズアレイは、前記第2の光源アレイの各光源素子の発光部を、当該光源素子の配列ピッチの大きさに拡大投影するものである
ことを特徴とする光源装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の光源装置において、
前記均一化素子が出射する光束を所定の照明領域に投影する第2の結像光学系をさらに備えたことを特徴とする光源装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の光源装置において、
前記均一化素子はインテグレータ光学系であることを特徴とする光源装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の光源装置において、
前記光学合成素子はダイクロイックミラーであることを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の光源装置と、
この光源装置によって照明される光変調素子と、
前記光変調素子で変調された光を描画対象物に照射する投影光学系と、
前記投影光学系と前記描画対象物とを相対移動させて前記描画対象物を走査する走査機構と、
を備えたことを特徴とする露光装置。
【請求項8】
請求項6に記載の光源装置と、
この光源装置によって照明される光変調素子と、
前記光変調素子で変調された光をソルダーレジストの被膜が形成された描画対象物に照射する投影光学系と、
前記投影光学系と前記描画対象物とを相対移動させて前記描画対象物を走査する走査機構とを備え、
前記第1の光源アレイの発光素子は、波長385nm付近にピークを有する光を出射する発光部を有し、
前記第2の光源アレイの発光素子は、波長365nm付近にピークを有する光を出射する発光部を有し、
前記ダイクロイックミラーは前記第1の光源アレイからの光を透過するとともに、前記第2の光源アレイからの光を反射して合成像を形成するよう配置されたことを特徴とする露光装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−63390(P2012−63390A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205242(P2010−205242)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】