説明

露光量評価方法およびフォトマスク

【課題】EUV光以外の波長を有した露光光を容易に評価する露光量評価方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一つの実施形態によれば、フォトマスクが、露光光のうちEUV光よりも長い波長を有した長波長光を反射し且つ前記EUV光を吸収する長波長光反射膜を有している。また、フォトマスクは、前記長波長光反射膜の上層側に配置されるとともに前記EUV光および前記長波長光を吸収する吸収膜を用いて形成されたマスクパターンを有している。そして、フォトマスクと、レジストが塗布された露光対象の基板と、をEUV露光装置内にセットする。前記フォトマスクに対し前記マスクパターン側から前記露光光を照射するとともに、前記フォトマスクで反射された露光光を前記基板に照射する。そして、前記基板に照射された露光光の露光量に基づいて、前記基板に照射された長波長光の光量分布を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、露光量評価方法およびフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の微細化に伴って、例えば、回路線幅が40nm未満の微細回路製造では、ArF露光装置よりも波長の短いEUV(Extreme Ultra-Violet)露光装置による製造が検討されてきており、13.5nmを中心波長とするEUV光源の開発が進められてきている。このようなEUV露光装置では、屈折光学系を構成する適切なレンズ材料(高透過率、屈折率差)が存在せず、また空気中の透過率も悪いので、真空反射光学系と反射型マスクとを用いる必要がある。
【0003】
また、EUV光領域に対し、単層で高反射率を有する材料も存在しない。このため、EUV露光で用いる全ての反射ミラー/マスクは、Bragg反射条件に整合した2種類以上の異なる材料(例えば、Mo/Si等)からなる多層膜を表面に形成することで、反射率を向上させている。
【0004】
ところが、EUV露光では、各反射ミラーの反射率が1枚当たり70%ぐらいが上限である。このため、EUV光学系で必要な反射ミラーの枚数(例えば15枚程度)を考慮すると、初期EUV光量に対してウエハに照射される光量は、(0.7)^15=0.47%となる。したがって、光源出力をいかに上げるか、光の伝播効率をいかに上げるかが大きな技術課題となっている。
【0005】
EUV光源には、放電プラズマ型またはレーザプラズマ型があり、プラズマ種としてはXe、Snなどが用いられている。プラズマからは、EUV光の他にも種々の波長の光(Outband成分)が発生する。そして、反射光学系では色分散が存在しないので、各波長に対応する反射率で減衰した光量がマスクやウエハまで到達する。EUVレジストは、DUV(Deep Ultra Violet)領域(100nm〜200nm台)に対する感光特性を有しているので、DUV光がパターン転写特性に影響を与えることが懸念される。
【0006】
DUV光などのOutbandが露光領域内でどのような分布をしているかを高精度に評価する方法の1つとして、ウエハステージ上やマスクステージ上などにDUV光を計測する光量モニターを設置する方法がある。しかしながら、この方法では、装置構成が複雑になるとともに、DUV光の計測に手間を要する。このため、DUV光などのOutbandを容易に評価することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−210127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一つの実施形態は、EUV光以外の波長を有した露光光を容易に評価する露光量評価方法およびフォトマスクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの実施形態によれば、露光量評価方法が、セットステップと、照射ステップと、光量測定ステップと、を含んでいる。セットステップでは、フォトマスクと、レジストが塗布された露光対象の基板と、をEUV露光装置内にセットする。フォトマスクは、露光光のうちEUV光よりも長い波長を有した長波長光を反射し且つ前記EUV光を吸収する長波長光反射膜と、前記長波長光反射膜の上層側に配置されるとともに前記EUV光および前記長波長光を吸収する吸収膜を用いて形成されたマスクパターンとを有している。照射ステップでは、前記フォトマスクに対し前記マスクパターン側から前記露光光を照射するとともに、前記フォトマスクで反射された露光光を前記基板に照射する。光量測定ステップでは、前記基板に照射された露光光の露光量に基づいて、前記基板に照射された長波長光の光量分布を測定する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、EUV露光装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係るマスクの構成例を示す図である。
【図3】図3は、EUV吸収層をTaで構成し、DUV吸収層をCrで構成した場合のマスクの構成を示す図である。
【図4】図4は、DUV反射/EUV吸収層におけるDUV光の反射率特性を示す図である。
【図5】図5は、露光量モニターパターンを説明するための図である。
【図6】図6は、DUV光を基板で吸収する場合のマスクの構成を示す図である。
【図7】図7は、図6に示したマスクにより得られる光強度分布シミュレーション結果を示す図である。
【図8】図8は、図7に示した光強度分布の強度和計算結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、実施形態に係る露光量評価方法およびフォトマスクを詳細に説明する。なお、これらの実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、EUV露光装置の構成を示す図である。EUV露光装置1は、ウエハ20などの基板にEUV光を照射して、EUV露光を行う装置である。EUV露光装置1は、製品ウエハ(図示せず)への露光を行う際には、回路パターン(マスクパターン)が形成されたマスク(図示せず)を用いて、製品ウエハへの露光を行う。また、EUV露光装置1は、DUV光などのEUV光以外の長波長を有したOutband(DUV光など)を評価する際には、露光量評価用のマスク(フォトマスク)2Xを用いて、ウエハ20への露光を行う。
【0013】
本実施の形態では、マスク2Xを用いて、ウエハ20上への露光を行なう。そして、ウエハ20上で得られた光強度に基づいて、EUV露光装置1がウエハ20に照射するDUV光の光量が評価される。
【0014】
EUV露光装置1は、光源(図示せず)から送られてくる露光光Lを、反射ミラー11を介してマスク2Xに送る。マスク2Xで露光光Lの一部が反射された後、露光光Lは、反射ミラー12〜17を介してウエハ20に照射される。
【0015】
光源は、例えば放電プラズマ型の光源またはレーザプラズマ型の光源であり、プラズマ種としてはXe、Snなどが用いられる。光源からウエハ20に送られてくる露光光Lには、EUV光とともに、EUV光とは波長の異なるDUV光などが含まれている。
【0016】
図2は、第1の実施の形態に係るマスクの構成例を示す図である。図2では、マスク2Xの断面構成を示している。マスク2Xでは、低熱膨張率で高平坦な基板(ガラス基板などのマスク基板)21上に、EUV光(EUV領域の中心波長=13.5nm)に対して高反射率を有するEUV反射層22Xが積層されている。さらに、EUV反射層22Xの上層側に、DUV光を反射し且つEUV光を吸収するDUV反射/EUV吸収層23Xが積層されている。そして、DUV反射/EUV吸収層23Xの上層側に、EUV光およびDUV光を吸収する吸収層24X(DUV光領域に対する低反射材)が積層されている。
【0017】
マスク2Xでは、吸収層24Xを用いて、露光量モニターパターン状にマスクパターンが形成されている。露光量モニターパターンを形成する際には、電子ビーム描画装置などによって吸収層24X上にレジストパターンが形成され、レジストパターン上から吸収層24Xがエッチングされる。
【0018】
EUV露光装置1を用いてウエハ20上に露光光Lを照射した場合には、ウエハ20上にEUV光とDUV光が照射される。このDUV光を測定する際には、マスク2XをEUV露光装置1にセットしておく。
【0019】
マスク2Xに対して、吸収層24X側からEUV光を照射すると、吸収層24XやDUV反射/EUV吸収層23Xでは、EUV光が吸収される。一方、DUV光は、吸収層24Xでは吸収され、DUV反射/EUV吸収層23Xでは反射される。したがって、吸収層24Xを用いて形成されているマスクパターンに応じたパターンがウエハ20上に転写される。
【0020】
つぎに、マスク2Xの具体例について説明する。マスク2Xは、例えば、DUV反射/EUV吸収層23XをTa(タンタル)で構成し、吸収層24XをCr(クロム)で構成しておく。
【0021】
図3は、EUV吸収層をTaで構成し、DUV吸収層をCrで構成した場合のマスクの構成を示す図である。図3では、マスク2Xの一例であるマスク2Aの断面構成を示している。マスク2Aでは、基板21上に、EUV反射層22Xの一例であるMoSi(モリブデンシリサイド)多層膜22Aが積層されている。さらに、MoSi多層膜22Aの上層側には、DUV反射/EUV吸収層23Xの一例であるTa層23Aが積層されている。そして、Ta層23Aの上層側には、吸収層24Xの一例であるCr層24Aが積層されている。マスク2Aでは、Cr層24Aを用いて露光量モニターパターンが形成されている。
【0022】
図4は、DUV反射/EUV吸収層におけるDUV光の反射率特性を示す図である。図4に示すグラフの横軸は、マスク2A(マスク2X)上の座標であり、縦軸は、マスク2A(マスク2X)での反射率である。Ta層23A(DUV反射/EUV吸収層23X)およびCr層24A(吸収層24X)では、EUV光を吸収する。したがって、EUV光の反射率特性Eは、マスク2A上の全面で略0となる。
【0023】
一方、DUV光は、Ta層23Aで反射され、Cr層24Aで吸収される。したがって、DUV光の反射率特性Dは、Ta層23Aに対応する位置では所定値を示し、Cr層24Aに対応する位置では略0となる。
【0024】
これにより、マスク2AにEUV光が照射されても、ウエハ20にはEUV光が照射されない。一方、Ta層23Aに対応する位置で反射されたDUV光は、ウエハ20上に照射される。したがって、Cr層24Aの有無に応じた反射率のパターン分布をウエハ20上に形成することが可能となる。
【0025】
図5は、露光量モニターパターンを説明するための図である。露光量モニターパターン5は、ウエハ20上に照射されるDUV光の光強度(露光量)を測定するためのマスクパターンである。図5の(a)に示すように、露光量モニターパターン5は、ライン&スペースパターンで構成されている。ライン&スペースパターンは、ラインパターンとスペースパターン(スペース領域)とが、所定の周期で交互に配置されたパターンである。露光量モニターパターン5のライン&スペースパターンは、パターンピッチが同じでラインパターンとスペースパターンのデューティ比が少しずつ変化するよう構成されている。
【0026】
具体的には、露光量モニターパターン5の左端部および右端部には、ラインパターンの幅に対してスペースパターンの幅が広い(デューティ比が大きい)ライン&スペースパターンが配置されている。そして、露光量モニターパターン5の中心部に近づくに従って、デューティ比が小さいライン&スペースパターンが配置されている。これにより、露光量モニターパターン5の左端部および右端部には、最も大きなデューティ比のライン&スペースパターンが配置され、露光量モニターパターン5の中心部には、最も小さなデューティ比のライン&スペースパターンが配置されている。
【0027】
EUV光よりも長い波長領域で検出対象となる波長領域(DUV領域)の中心波長をλとし、EUV露光装置1の投影光学系開口数をNAとし、有効光源の大きさをσとした場合、露光量モニターパターン5のラインパターンとスペースパターンとが配置される周期(ピッチ)Pとして、以下の式(1)で示される値を設定する。
P<λ/{(1+σ)NA}・・・(1)
【0028】
露光量モニターパターン5にEUV光およびDUV光を照射すると、露光量モニターパターン5ではDUV光の一部が反射されてウエハ20に照射される。ウエハ20に照射されるDUV光は、露光量モニターパターン5のパターン形状に応じた光強度を有している。
【0029】
図5の(b)に示すグラフの横軸は、露光量モニターパターン5上での座標であり、縦軸は、ウエハ20上での光強度である。同図に示すように、露光量モニターパターン5のうちデューティ比の大きな位置では、光強度が小さくなり、デューティ比の小さな位置では、光強度が大きくなる。
【0030】
具体的には、露光量モニターパターン5の左端部および右端部(デューティ比が最大の位置)に対応するウエハ20上の位置では、光強度が最小となる。そして、露光量モニターパターン5の中心部に対応するウエハ20上の位置に近づくに従って、光強度が大きくなる。これにより、露光量モニターパターン5の中心部(デューティ比が最小の位置)に対応するウエハ20上の位置では、光強度が最大となる。本設定条件下では、少なくともDUV光領域における光強度分布は、露光時のフォーカス変動に対して非常に感度が低くなることが知られている。この為、露光領域内のDUV露光量分布を本露光量モニターパターンで、他のプロセス変動要因から切り離して高精度に評価することが可能となる。
【0031】
なお、露光量モニターパターン5を複数パターン準備しておき、各露光量モニターパターン5に種々の被覆率を有した周辺パターンを配置してもよい。これにより、被覆率に応じたDUV光の光強度を評価することが可能となる。
【0032】
EUV露光装置1によってウエハ20上に照射されるDUV光を評価する際には、ウエハ20上に予めEUVレジストを塗布しておく。そして、マスク2Aを用いてウエハ20に露光光Lを照射し、その後、ウエハ20を現像する。これにより、フォーカス位置に鈍感なDUV転写像(転写パターン)がウエハ20上に形成される。この後、DUV転写像のパターン形状に基づいて、ウエハ20上へのDUV光の露光量が求められる。
【0033】
例えば、DUV光の露光量と、ウエハ上に形成されるDUV転写像のパターン形状との相関関係を予め取得しておく。そして、この相関関係と、ウエハ20上に形成されたDUV転写像のパターン形状に基づいて、DUV光の露光量が求められる。これにより、DUV光領域の露光量分布を定量的に評価することが可能となる。
【0034】
なお、露光量評価用のマスク(マスク2X,2A、後述するマスク2B)と、製品ウエハを露光するに用いる製品マスクとは、DUV光の反射率やEUV光の反射率が異なる場合がある。このような場合には、露光量評価用のマスクと、製品マスクとの間の、反射率(DUV光やEUV光の反射率)の差を考慮して、製品ウエハに照射されるDUV光の露光量を求めてもよい。換言すると、露光量評価用のマスクと、製品マスクとの間の、反射率の差に基づいて、求めたウエハ20上へのDUV光の露光量を補正し、これにより、製品ウエハに照射されるDUV光の露光量を求めてもよい。
【0035】
ウエハ20上に照射されるDUV光の露光量を求めた後には、この露光量測定の際に形成したウエハ20上のパターン形状と、以降の定期検査時などの際に形成するウエハ20上のパターン形状と、を比較することによって、DUV光の露光量変動を検査してもよい。
【0036】
なお、本実施の形態では、ウエハ20上にパターンを形成した後にDUV光の露光量を求めたが、ウエハ20上にパターンを形成することなくDUV光の露光量を求めてもよい。この場合、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサーや、その他の受光素子等を用いて、ウエハ20上に照射されるDUV光の露光量を検出してもよい。
【0037】
なお、本実施の形態では、マスク2AがDUV光をCr層24Aで吸収する構成としたが、DUV光をCr層24A以外の層(例えば、基板21)で吸収させてもよい。図6は、DUV光を基板で吸収する場合のマスクの構成を示す図である。図6では、マスク2Bの断面構成を示している。
【0038】
マスク2Bは、基板21上に、EUV反射層22Xの一例であるMoSi多層膜22Bが積層されている。基板21は、DUV光およびEUV光に対して低反射性の部材(例えば、透明部材)で構成しておく。MoSi多層膜22Bの上層側には、DUV反射/EUV吸収層23Xの一例であるTa層23Bが積層されている。そして、マスク2Bでは、MoSi多層膜22BおよびTa層23Bを用いて露光量モニターパターン5が形成されている。マスク2Bでは、MoSi多層膜22BとTa層23Bに同じ形状のパターニングを行うことにより、露光量モニターパターン5が形成されている。
【0039】
露光量モニターパターンを形成する際には、電子ビーム描画装置などによってTa層23B上にレジストパターンが形成され、レジストパターン上からTa層23BおよびMoSi多層膜22Bがエッチングされる。
【0040】
このように、MoSi多層膜22BとTa層23Bを露光量モニターパターン形状に削り込んでおくことで、MoSi多層膜22Bが削り込まれた先の層(基板21)では、EUV光の反射率を略0にすることが可能となる。
【0041】
マスク2Bに対して、Ta層23B側からEUV光を照射すると、Ta層23BではEUV光が吸収され、基板21では、EUV光を透過させる。一方、DUV光は、Ta層23Bで反射され、基板21ではDUV光を透過させる。したがって、Ta層23B、MoSi多層膜22Bに形成されているマスクパターン(露光量モニターパターン5)に応じたパターンがウエハ20上に転写される。
【0042】
図7に転写像のシミュレーション結果を示す。図7は、図6に示したマスクにより得られる光強度分布シミュレーション結果を示す図である。図7に示すグラフは、横軸が座標であり、縦軸が光強度分布である。特性32は、EUV光(中心波長13.5nm)の光強度分布シミュレーション結果であり、特性31は、DUV光(中心波長199nm)の光強度分布シミュレーション結果である。シミュレーション条件としては、NA=0.25、σ=0.8を選択した。本条件では、EUVの反射光量がEUV吸収層に対応する箇所でも相対的に大きく、DUV光測定精度を劣化させることが懸念される。
【0043】
図8にEUV+DUV光の合成像と、300nmほどデフォーカスさせた位置での合成像結果を示す。図8は、図7に示した光強度分布の強度和計算結果を示す図である。図8に示すグラフは、横軸が座標であり、縦軸が光強度分布である。特性33は、EUV光強度とDUV光強度の強度和(EUV光とDUV光の合成像)であり、特性34は、EUV光とDUV光の合成像(デフォーカス)である。EUV光による像強度が変動して合成像にも影響を与えることがわかる。精度を上げるためにはEUV吸収層23BでのEUV光の反射率を低下させるために、23B上にEUV反射量を低下させる膜を追加形成する、あるいは23B膜厚を従来よりも厚く形成しておいてもよい。
【0044】
なお、マスク2Xの構成としては、EUV反射層22Xと、DUV反射/EUV吸収層23Xとの間にバッファ層を設けてもよい。また、本実施の形態では、マスク2XがEUV反射層22Xを有する構成としたが、マスク2Xは、EUV反射層22Xを有していなくてもよい。また、マスク2BがMoSi多層膜22Bを有する構成としたが、マスク2Bは、MoSi多層膜22Bを有していなくてもよい。
【0045】
また、吸収層24Xは、Cr層24Aに限らず、C膜、Cr/CrO膜、CrN膜、SiO膜、SiN膜、Cr/F膜などのDUV光に対する低反射材を含む構成であってもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、露光量モニターパターン5を、DUV光を吸収する吸収層24X(低反射材)で形成したが、露光量モニターパターン5を、DUV光を高反射率で反射する反射層、例えばRu膜、Si膜、Al膜等で形成してもよい。
【0047】
換言すると、露光量モニターパターン5は、DUV光の反射率が異なる2種類の膜を用いて形成しておけばよい。例えば、マスク2Xの場合、DUV反射/EUV吸収層23Xの位置に第1のDUV光反射率を有した膜を積層し、この膜の上層側(吸収層24Xの位置)に第2のDUV光反射率を有した露光量モニターパターン5を形成しておく。
【0048】
また、マスク2Bの場合、基板21を第3のDUV光反射率を有した部材で構成し、この部材の上層側(Ta23Bの位置)に第4のDUV光反射率を有した露光量モニターパターン5を形成しておく。
【0049】
ここでの第1のDUV光反射率と、第2のDUV光反射率との差は、例えば15%以上である。また、第3のDUV光反射率と、第4のDUV光反射率との差は、例えば15%以上である。
【0050】
例えば、Ta膜のDUV反射率は19%であり、ガラス基板のDUV反射率は4%である。また、CrN膜のDUV反射率は18%であり、Ru膜のDUV反射率は67%であり、Si膜のDUV反射率は54%である。露光量モニターパターン5は、このような種々のDUV反射率を有した膜層の組み合わせを用いて形成される。
【0051】
また、第1のDUV光反射率を有した膜でのEUV光反射率と、露光量モニターパターン5でのEUV光反射率との差は、小さいほどよい。また、基板21でのEUV光反射率と、露光量モニターパターン5でのEUV光反射率との差は、小さいほどよい。
【0052】
また、DUV反射/EUV吸収層23Xは、EUV光を吸収する層に限らず、EUV光を透過させる層であってもよい。また、基板21は、DUV光やEUV光を透過させる部材に限らず、DUV光やEUV光を吸収する部材で構成してもよい。
【0053】
DUV光領域の露光量分布を求めた後、露光量分布に基づいて、Outband成分による露光の影響を含めたパターン転写予測を行うことが可能となる。パターン転写予測を行う際には、DUV光領域の露光量分布に基づいてEUVフレア計算などを行うことで、高精度なパターン転写予測を行うことが可能となる。また、パターン転写予測の予測結果に基づいて、マスクパターン(設計パターン)の補正を行うことが可能となる。
【0054】
必要に応じてマスクパターンが補正された後、製品マスクを用いて半導体装置(半導体集積回路)が製造される。製品マスクは、基板上にEUV光の反射層が形成され、EUV光の反射層上にEUV光の吸収層が形成されている。そして、EUV光の吸収層に回路パターンが形成されている。
【0055】
半導体装置を製造する際には、製品マスクがEUV露光装置1にセットされる。そして、レジストの塗布されたウエハに製品マスクを用いて製品ウエハへの露光が行なわれる。製品マスクに対して、EUV光の吸収層側からEUV光を照射すると、EUV光の吸収層では、EUV光が吸収され、EUV光の反射層ではEUV光が反射される。したがって、EUV光の吸収層を用いて形成されている回路パターンに応じたパターンが製品ウエハ上に転写される。
【0056】
この後、製品ウエハが現像されて製品ウエハ上にレジストパターンが形成される。そして、レジストパターンをマスクとしてレジストパターンの下層側がエッチングされる。これにより、レジストパターンに対応する実パターンが製品ウエハ上に形成される。半導体装置を製造する際には、上述したマスクパターンの補正処理、露光処理、現像処理、エッチング処理などがレイヤ毎に行われる。
【0057】
このように実施の形態によれば、DUV光の反射率差を有した少なくとも2種類の膜を用いて露光量モニターパターンを形成しているので、EUV光以外の波長を有した露光光を容易に評価することが可能となる。したがって、EUV露光装置1を用いてEUV露光した際の、製品ウエハ上でのパターン転写特性を精度良く予測することが可能となる。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…EUV露光装置、2A,2B,2X…マスク、5…露光量モニターパターン、20…ウエハ、21…基板、22A,22B…MoSi多層膜、22X…EUV反射層、23A,23B…Ta層、23X…DUV反射/EUV吸収層、24A…Cr層、24X…吸収層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光光のうちEUV光よりも長い波長を有した長波長光を反射し且つ前記EUV光を吸収する長波長光反射膜と、前記長波長光反射膜の上層側に配置されるとともに前記EUV光および前記長波長光を吸収する吸収膜を用いて形成されたマスクパターンとを有したフォトマスクと、レジストが塗布された露光対象の基板と、をEUV露光装置内にセットするセットステップと、
前記フォトマスクに対し前記マスクパターン側から前記露光光を照射するとともに、前記フォトマスクで反射された露光光を前記基板に照射する照射ステップと、
前記基板に照射された露光光の露光量に基づいて、前記基板に照射された長波長光の光量分布を測定する光量測定ステップと、
を含むことを特徴とする露光量評価方法。
【請求項2】
露光光のうちEUV光よりも長い波長を有した長波長光および前記EUV光を吸収する吸収膜と、前記吸収膜の上層側に配置されるとともに前記EUV光を吸収し且つ前記長波長光を反射する長波長光反射膜を用いて形成されたマスクパターンとを有したフォトマスクと、レジストが塗布された露光対象の基板と、をEUV露光装置内にセットするセットステップと、
前記フォトマスクに対し前記マスクパターン側から前記露光光を照射するとともに、前記フォトマスクで反射された露光光を前記基板に照射する照射ステップと、
前記基板に照射された露光光の露光量に基づいて、前記基板に照射された長波長光の光量分布を測定する光量測定ステップと、
を含むことを特徴とする露光量評価方法。
【請求項3】
前記フォトマスクで反射された露光光が照射された基板を現像することによって、前記基板上に前記マスクパターンに応じた転写パターンを形成する転写パターン形成ステップをさらに含み、
前記光量測定ステップは、前記転写パターンのパターン形状に基づいて、前記基板に照射された長波長光の光量分布を測定することを特徴とする請求項1または2に記載の露光量評価方法。
【請求項4】
前記マスクパターンは、所定の周期でラインパターンとスペース領域とが交互に配置されたパターン形状を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の露光量評価方法。
【請求項5】
前記周期は、前記長波長光の波長領域の中心波長をλとし、前記EUV露光装置の投影光学系開口数をNAとし、前記露光光の有効光源の大きさをσとし、前記周期をPとした場合に、P<λ/{(1+σ)NA}の関係を有していることを特徴とする請求項4に記載の露光量評価方法。
【請求項6】
前記吸収膜は、Cr、C、Cr/CrO、SiO、SiNまたはCr/Fを含んで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の露光量評価方法。
【請求項7】
前記長波長光反射膜は、Taを含んで構成されていることを特徴とする請求項2に記載の露光量評価方法。
【請求項8】
露光光のうちEUV光よりも長い波長を有した長波長光を反射し且つ前記EUV光を吸収する長波長光反射膜と、
前記長波長光反射膜の上層側に配置されるとともに前記EUV光および前記長波長光を吸収する吸収膜を用いて形成されたマスクパターンと、
を有することを特徴とするフォトマスク。
【請求項9】
露光光のうちEUV光よりも長い波長を有した長波長光および前記EUV光を吸収する吸収膜と、
前記吸収膜の上層側に配置されるとともに前記EUV光を吸収し且つ前記長波長光を反射する長波長光反射膜を用いて形成されたマスクパターンと、
を有することを特徴とするフォトマスク。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−104670(P2012−104670A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252134(P2010−252134)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】