説明

静菌剤、並びに洗浄剤及び皮膚化粧料

【課題】黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ミクロコッカス ルテウス、皮膚常在菌等に対し優れた静菌作用を有する静菌剤、並びにクリーミィな泡立ちと、泡切れの良さを有する洗浄剤及び皮膚化粧料の提供。
【解決手段】グリチルリチン酸化合物、キラヤエキス、及びムクロジエキスの混合物を含有する静菌剤である。グリチルリチン酸化合物(A)と、キラヤエキス(B)と、ムクロジエキス(C)との混合質量比(A:B:C)が、1:0.2〜0.5:0.5〜0.8である態様、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ミクロコッカス ルテウス、及び皮膚常在菌のいずれかに対し静菌作用を有する態様などが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ミクロコッカス ルテウス、皮膚常在菌等に対し優れた静菌作用を有する静菌剤、並びに洗浄剤及び皮膚化粧料に関する。なお、本発明において、静菌作用とは、細菌を殺さないがその増殖を止めることを意味し、対象や程度は含まないものを意味する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボディーソープ、シャンプー等の洗浄剤や皮膚化粧料などに広く配合されている添加剤として、例えばパラヒドロキシ安息香酸エステル(パラベン)がある。このパラヒドロキシ安息香酸エステルは、雑菌の繁殖を押さえる静菌効果を目的として、乳液や化粧水等に配合されている。
しかし、前記パラヒドロキシ安息香酸エステルは化学合成品であり、皮膚に対する刺激性が高いという問題がある。このため、静菌活性を有する天然物としては、例えばユッカ(Yucca)由来のステロイドサポニン(特許文献1及び2参照)、チャ(Camellia sinensis)、又はユチャ(Camellia oleifera)由来のサポニン(特許文献3及び4参照)などが知られている。
また、ボディーソープ、シャンプー等の洗浄剤にとって細かな泡立ちはクリーミィな泡立ちとして消費者に非常に好まれている。更に、泡切れの良さは洗い流しの際における水の使用量の削減に寄与することができるので望ましい特性の一つである。
このように安全性及び生産性に優れ、日常的に使用可能であり、かつ安価でありながら、優れた静菌作用及び良好な泡立ち、泡切れの良さを有する天然系の各種製剤に対する需要者の要望は極めて強く、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
【0003】
【特許文献1】特開平7−149608号公報
【特許文献2】特開2001−39812号公報
【特許文献3】特開平9−249577号公報
【特許文献4】特開平9−110712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ミクロコッカス ルテウス、皮膚常在菌等に対し優れた静菌作用を有する静菌剤、並びにクリーミィな泡立ちと、泡切れのよさを有する洗浄剤及び皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、グリチルリチン酸化合物、キラヤエキス、及びムクロジエキスの混合物が、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ミクロコッカス ルテウス、皮膚常在菌等に対し優れた静菌作用を有し、静菌剤として有用であること、該静菌剤を配合した洗浄剤及び皮膚化粧料が、優れた静菌作用と、クリーミィな泡立ちと、泡切れの良さを有することを知見した。
【0006】
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> グリチルリチン酸化合物、キラヤエキス、及びムクロジエキスの混合物を含有することを特徴とする静菌剤である。
<2> グリチルリチン酸化合物(A)と、キラヤエキス(B)と、ムクロジエキス(C)との混合質量比(A:B:C)が、1:0.2〜0.5:0.5〜0.8である前記<1>に記載の静菌剤である。
<3> 黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ミクロコッカス ルテウス、及び皮膚常在菌のいずれかに対し静菌作用を有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の静菌剤である。
<4> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の静菌剤を有効成分として含有することを特徴とする洗浄剤である。
<5> 洗浄剤全量に対し、グリチルリチン酸化合物を0.5〜1.0質量%、キラヤエキスを0.8〜1.2質量%、及びムクロジエキスを0.2〜0.4質量%含有する前記<4>に記載の洗浄剤である。
<6> 前記<1>から<3>のいずれかに記載の静菌剤を有効成分として含有することを特徴とする皮膚化粧料である。
<7> 皮膚化粧料全量に対し、グリチルリチン酸化合物を0.5〜1.0質量%、キラヤエキスを0.8〜1.2質量%、及びムクロジエキスを0.2〜0.4質量%含有する前記<6>に記載の皮膚化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ミクロコッカス ルテウス、皮膚常在菌等に対し優れた静菌作用を有する静菌剤、並びにクリーミィな泡立ちと、泡切れの良さを有する洗浄剤及び皮膚化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(静菌剤)
本発明の静菌剤は、グリチルリチン酸化合物、キラヤエキス、及びムクロジエキスの混合物を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0009】
前記グリチルリチン酸化合物としては、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸の塩などが挙げられる。グリチルリチン酸の塩としては、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム塩などが挙げられる。
前記グリチルリチン酸は、マメ科の多年性植物である甘草(Glycyrrhiza glabra Linn.Glycyrrhiza uralensis FisherGlycyrrhiza inflata BatalGlycyrrhiza lepidota Linn等のGlycyrrhiza属植物)の根及び根茎に含まれている。このようなグリチルリチン酸は、甘草の根部から抽出し精製する方法により製造することができる。
前記グリチルリチン酸は、甘草から抽出されるトリテルペン系配糖体であって、砂糖の約200倍という強い甘味を示すため、未精製の甘草エキスの形で飲食品の甘味付けや呈味改善のために使用されている。一方、グリチルリチン酸には抗炎症、抗アレルギー、抗腫瘍、抗ウイルス、抗線溶などの作用があり、更に補体抑制作用、解毒作用、肝機能改善作用、脱コレステロール作用、中枢神経抑制作用、免疫調節作用、性ホルモン様作用、副腎皮質ホルモン様作用など、多くの薬理作用もあるので、早くから漢方薬その他の医薬やいわゆる機能性食品の素材としても広く使われている。
【0010】
前記ムクロジエキスは、落葉高木であるムクロジ科のSapindus mukurossiの果皮を抽出原料として用いる。このムクロジの果皮には、ヘデラゲニンをアグリコンとする多数のサポニン類が含まれている。
【0011】
前記キラヤエキスは、バラ科のキラヤ(キラヤ サポナリア、Quillaja saponalia)の樹皮を抽出原料として用いる。このキラヤの樹皮には、サポニン類が含まれている。
【0012】
前記グリチルリチン酸化合物、前記ムクロジエキス、及び前記キラヤエキスとしては、特に制限はなく、任意の抽出装置を用いて抽出した抽出物を用いてもよく、また市販品を用いてもよい。
【0013】
前記抽出に用いる溶媒としては、水、親水性有機溶媒、又はこれらの混合溶媒を室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、前記抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0014】
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。
なお、前記水と親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜40質量部添加することが好ましい。多価アルコールの場合は水10質量部に対して1〜90質量部添加することが好ましい。
【0015】
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽内に、抽出原料を投入し、更に必要に応じて時々攪拌しながら、30分間〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜95℃にて1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃にて30分間〜4時間程度である。
【0016】
前記グリチルリチン酸化合物(A)と、前記キラヤエキス(B)と、前記ムクロジエキス(C)との混合質量比(A:B:C)は、1:0.2〜0.5:0.5〜0.8であることが好ましい。前記混合質量比が上記数値範囲を外れると、泡立ちが悪くなることがある。
【0017】
本発明の静菌剤は、黄色ブドウ球菌、緑膿菌(シュードモナス アエルギノウザ)、ミクロコッカス ルテウス(Micrococcus luteus)、及び皮膚常在菌のいずれかに対し静菌作用を有すると共に、高い安全性を有している。前記皮膚常在菌としては、例えばコリネバクテリウム キセロシス(Corynebactetium xerosis)、スタフィロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis)などが挙げられる。
【0018】
本発明の静菌剤は、グリチルリチン酸化合物、キラヤエキス、及びムクロジエキスの混合物を含有してなり、良好な静菌作用を有し、使用感と安全性に優れているので、各種用途に用いることができるが、以下の本発明の洗浄剤及び皮膚化粧料に配合するのが特に好ましい。
【0019】
(洗浄剤)
本発明の洗浄剤は、本発明の前記静菌剤を有効成分として含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0020】
前記洗浄剤の用途としては、特に制限はなく、各種用途から適宜選択することができ、例えば、ボディーソープ、ハンドソープ、スキンソープ、シャンプー、洗浄用化粧水などが挙げられる。
前記静菌剤の前記洗浄剤全体に対する配合量は、洗浄剤の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、グリチルリチン酸化合物を0.5〜1.0質量%、キラヤエキスを0.8〜1.2質量%、及びムクロジエキスを0.2〜0.4質量%含有することが好ましく、グリチルリチン酸化合物0.8質量%、キラヤエキス1質量%、及びムクロジエキス0.3質量%が特に好ましい。
【0021】
前記洗浄剤には、更に必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、洗浄剤の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、例えば油脂類、アルコール類、エステル類、キレート剤、抗酸化剤、色素、ビタミン類、香料などを添加することができる。
【0022】
本発明の洗浄剤は、本発明の前記静菌剤を有効成分として含有しているので、高い安全性を有し、優れた静菌作用と、クリーミィな泡立ちと、泡切れの良さを有しており、極めて有用である。
【0023】
(皮膚化粧料)
本発明の皮膚化粧料は、本発明の前記静菌剤を有効成分として含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
【0024】
前記皮膚化粧料の用途としては、特に制限はなく、各種用途から適宜選択することができ、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤、アストリンゼント、などが挙げられる。
【0025】
前記静菌剤の前記皮膚化粧料全体に対する配合量は、皮膚化粧料の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、グリチルリチン酸化合物を0.5〜1.0質量%、キラヤエキスを0.8〜1.2質量%、及びムクロジエキスを0.2〜0.4質量%含有することが好ましく、グリチルリチン酸化合物0.8質量%、キラヤエキス1質量%、及びムクロジエキス0.3質量%が特に好ましい。
【0026】
前記皮膚化粧料は、更に必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、皮膚化粧料の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他の成分を添加することができる。
前記その他の成分としては、静菌作用の妨げにならない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した成分が挙げられ、例えば、収斂剤、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料、などが挙げられる。
【0027】
本発明の皮膚化粧料は、本発明の前記静菌剤を有効成分として含有しているので、皮膚に使用した場合に高い安全性を有し、優れた静菌作用を効果的に発揮することができる。
【0028】
なお、本発明の静菌剤、洗浄剤、及び皮膚化粧料は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0030】
(調製例1)
−静菌剤1の調製−
グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)8g、キラヤエキス(丸善製薬株式会社製)3g、及びムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)5gを混合し、30質量%ブチレングリコールに溶解し、合計1Lにして、静菌剤1を調製した。
【0031】
(調製例2)
−静菌剤2の調製−
グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)10g、キラヤエキス(丸善製薬株式会社製)2g、及びムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)8gを混合し、30質量%ブチレングリコールに溶解し、合計1Lにして、静菌剤2を調製した。
【0032】
(比較調製例1)
−比較静菌剤1の調製−
グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)1g、及びキラヤエキス(丸善製薬株式会社製)0.5gを混合し、30質量%ブチレングリコールに溶解し、合計1Lにして、比較静菌剤1を調製した。
【0033】
(比較調製例2)
−比較静菌剤2の調製−
グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)1g、及びムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)0.5gを混合し、30質量%ブチレングリコールに溶解し、合計1Lにして、比較静菌剤2を調製した。
【0034】
(比較調製例3)
−比較静菌剤3の調製−
キラヤエキス(丸善製薬株式会社製)1g、及びムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)0.8gを混合し、30質量%ブチレングリコールに溶解し、合計1Lにして、比較静菌剤3を調製した。
【0035】
(実施例1)
−静菌試験−
静菌剤1、及び対照としての30質量%ブチレングリコールについて、下記A〜Fの微生物に対する静菌活性を小型振盪培養装置(バイオフォトレコーダー TN−1506、ADANTEC東洋株式会社製)を用いた菌の増殖の程度により、静菌作用を評価した。
まず、L字型試験管に、静菌剤1を0.25mL又は30質量%ブチレングリコール0.25mLと、下記微生物A〜Fのいずれかを摂取菌数10CFU/mLに調整した菌液0.1mLと、ミュラーヒントン培地(BECTON DICKINSON社製)とを加え、全体で5mLにして、培養を行った。培養温度は30℃、培養時間は、微生物Aは48時間、微生物Bは72時間、微生物Cは144時間、微生物Dは48時間、微生物Eは48時間、微生物Fは72時間で行った。
その後、波長660nmにおける吸光度の変化を30分間おきに測定し、増殖の有無について確認を行った。結果を図1〜図6に示す。なお、図1〜図6中の数値が大きいほど微生物の増殖が行われている(静菌作用が弱い)ことを示す。
<試験微生物>
A:スタヒロコッカス アウレウス(Staphylococcus aureus
B:コリネバクテリウム キセロシス(Corynebactetium xerosis
C:ミクロコッカス ルテウス(Micrococcus luteus
D:緑膿菌(シュードモナス アエルギノウザ)(Pseudomonas aeruginosa
E:スタヒロコッカス エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis
F:カンジダ アルビカンス(Candida albicans
【0036】
図1〜図6の結果から、静菌剤1は、30質量%ブチレングリコール、及びエタノールに比べて、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、コリネバクテリウム キセロシス、ミクロコッカス ルテウス、及びスタヒロコッカス エピデルミディスに対し、高い静菌作用を有することが認められた。なお、図示を省略しているが、静菌剤2は静菌剤1と同レベルの静菌作用を示した。また、比較静菌剤1〜3の静菌作用は、静菌剤1の静菌作用よりも低いものであった。
【0037】
(実施例2)
−泡立ち試験−
以下の各サンプルを調製し、以下のようにして、泡立ち試験を行った。結果を表1に示す。
【0038】
〔サンプルNo.1〕
調製例1で得られた静菌剤1を10v/v%となるように水で溶解した。
〔サンプルNo.2〕
調製例2で得られた静菌剤2を10v/v%となるように水で溶解した。
〔サンプルNo.3〕
比較調製例1で得られた比較静菌剤1を10v/v%となるように水で溶解した。
〔サンプルNo.4〕
比較調製例2で得られた比較静菌剤2を10v/v%となるように水で溶解した。
〔サンプルNo.5〕
比較調製例3で得られた比較静菌剤3を10v/v%となるように水で溶解した。
【0039】
<泡立ち試験>
次に、各サンプルNo.1〜No.5をそれぞれ10mLずつ蓋付き試験管に採り、20回強く振り、直後、2分間後、5分間後の状態を観察し、泡立ち、泡の細かさ、泡の消え方の速さについて下記基準で評価した。
〔評価基準〕
−泡立ち及び泡の細かさ−
○:泡立ちがよく、細かい泡であった
△:普通
×:泡立ちが悪く、大きな泡が生じた
−泡の消え方−
○:2分間後には消え始め、5分間後にはほとんど消えた
△:5分間後には消え始めた
×:5分間後でもほとんど消えない
【0040】
【表1】

表1の結果から、グリチルリチン酸化合物、キラヤエキス、及びムクロジエキスの混合物を含有する本発明の静菌剤1及び2を用いたサンプルNo.1及びNo.2は、サンプルNo.3〜No.5に比べて、泡立ちがよく、泡が細かく、泡の消えが早いことが認められた。
【0041】
(配合実施例1)
−ボディーソープ−
下記組成のボディーソープを常法により製造した。
・グリセリン・・・0.1g
・ラウリル硫酸ナトリウム・・・5g
・ラウリルスルホコハク酸ナトリウム・・・15g
・ラウリルジエタノールアミド・・・4g
・ジステアリン酸エチレングリコール・・・1g
・防腐殺菌剤・・・適量
・色素・・・適量
・クエン酸・・・適量
・プロピレングリコール・・・5g
・グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)・・・1g
・キラヤエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.2g
・ムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.8g
・精製水・・・・・・残部(全量を100gとする)
【0042】
(配合実施例2)
−洗浄用化粧水−
下記組成の洗浄用化粧水を常法により製造した。
・ラベンダーエキス・・・0.1g
・グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)・・・0.8g
・キラヤエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.3g
・ムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.5g
・1,3−ブチレングリコール・・・4.0g
・グリセリン・・・4.0g
・ジプロピレングリコール・・・2.0g
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル・・・0.7g
・エタノール・・・3.0g
・香料・・・0.001g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0043】
(配合実施例3)
−シャンプー−
下記組成のシャンプーを常法により製造した。
・ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム・・・10.0g
・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン・・・10.0g
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム・・・20.0g
・ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド・・・4.0g
・グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)・・・1g
・キラヤエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.2g
・ムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.8g
・プロピレングリコール・・・2.0g
・香料・・・適量
・精製水・・・残部(全量を100.0gとする)
【0044】
(配合実施例4)
−乳液−
下記組成の乳液を常法により製造した。
・ホホバオイル・・・4.0g
・プラセンタエキス・・・0.1g
・オリーブオイル・・・2.0g
・スクワラン・・・2.0g
・セタノール・・・2.0g
・モノステアリン酸グリセリル・・・2.0g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O)・・・2.5g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O)・・・2.0g
・グリチルレチン酸ステアリル・・・0.1g
・グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)・・・1g
・キラヤエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.5g
・ムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.5g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.0g
・ヒノキチオール・・・0.15g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0045】
(配合実施例5)
−クリーム−
下記組成のクリームを常法により製造した。
・アロエエキス・・・0.1g
・流動パラフィン・・・5.0g
・サラシミツロウ・・・4.0g
・スクワラン・・・10.0g
・セタノール・・・3.0g
・ラノリン・・・2.0g
・ステアリン酸・・・1.0g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O)・・・1.5g
・モノステアリン酸グリセリル・・・3.0g
・油溶性甘草エキス・・・0.1g
・グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)・・・1g
・キラヤエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.3g
・ムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.7g
・1,3−ブチレングリコール・・・6.0g
・香料・・・0.1g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0046】
(配合実施例6)
−美容液−
下記組成の美容液を常法により製造した。
・カミツレエキス・・・0.1g
・キサンタンガム・・・0.3g
・ヒドロキシエチルセルロース・・・0.1g
・カルボキシビニルポリマー・・・0.1g
・グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬株式会社製)・・・1g
・キラヤエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.6g
・ムクロジエキス(丸善製薬株式会社製)・・・0.7g
・1,3−ブチレングリコール・・・4.0g
・グリセリン・・・2.0g
・水酸化カリウム・・・0.25g
・香料・・・0.01g
・エタノール・・・2.0g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の静菌剤を配合した洗浄剤は、高い安全性と、優れた静菌作用と、クリーミィな泡立ちと、泡切れの良さを有しており、例えばボディーソープ、ハンドソープ、スキンソープ、シャンプー、洗浄用化粧水などに好適に用いられる。
本発明の静菌剤を配合した皮膚化粧料は、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤、アストリンゼントなどに幅広く用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、スタヒロコッカス アウレウスに対する静菌作用を調べた結果を示すグラフである。
【図2】図2は、コリネバクテリウム キセロシスに対する静菌作用を調べた結果を示すグラフである。
【図3】図3は、ミクロコッカス ルテウスに対する静菌作用を調べた結果を示すグラフである。
【図4】図4は、緑膿菌(シュードモナス アエルギノウザ)に対する静菌作用を調べた結果を示すグラフである。
【図5】図5は、スタヒロコッカス エピデルミディスに対する静菌作用を調べた結果を示すグラフである。
【図6】図6は、カンジダ アルビカンスに対する静菌作用を調べた結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリチルリチン酸化合物、キラヤエキス、及びムクロジエキスの混合物を含有することを特徴とする静菌剤。
【請求項2】
グリチルリチン酸化合物(A)と、キラヤエキス(B)と、ムクロジエキス(C)との混合質量比(A:B:C)が、1:0.2〜0.5:0.5〜0.8である請求項1に記載の静菌剤。
【請求項3】
黄色ブドウ球菌、緑膿菌、ミクロコッカス ルテウス、及び皮膚常在菌のいずれかに対し静菌作用を有する請求項1から2のいずれかに記載の静菌剤。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の静菌剤を有効成分として含有することを特徴とする洗浄剤。
【請求項5】
洗浄剤全量に対し、グリチルリチン酸化合物を0.5〜1.0質量%、キラヤエキスを0.8〜1.2質量%、及びムクロジエキスを0.2〜0.4質量%含有する請求項4に記載の洗浄剤。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の静菌剤を有効成分として含有することを特徴とする皮膚化粧料。
【請求項7】
皮膚化粧料全量に対し、グリチルリチン酸化合物を0.5〜1.0質量%、キラヤエキスを0.8〜1.2質量%、及びムクロジエキスを0.2〜0.4質量%含有する請求項6に記載の皮膚化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−326806(P2007−326806A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158978(P2006−158978)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】