説明

非ステロイド性抗炎症薬、鬱血除去薬および鎮静作用の少ない抗ヒスタミン薬を含む多層錠

本発明は、鼻炎および風邪様症状の処置のための医薬組成物および方法に関する。該組成物は、複数の活性剤の送達特性を最適化し、および生物学的作用の持続期間を適合させるために、好ましくは即放層および徐放層を含む多層錠中に非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルギーおよび風邪に付随する鼻炎を処置するための医薬の改善された投与形態に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、“COMPOSITIONS OF NON−STEROIDAL ANTI−INFLAMMATORY DRUGS,DECONGESTANTS AND ANTIHISTAMINES”と表題のついた2004年6月2日出願の米国出願10/859,256の優先権を主張する。該内容はその全てが本明細書の一部となる。
【0003】
本出願は、2002年12月18日出願の米国仮出願60/434,342の優先権を主張する、2003年12月17日出願の関連する一部継続出願である米国特許出願10/740,386の優先権も主張する。両文献は出典明示により本明細書の一部となる。
【背景技術】
【0004】
鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬
鼻炎は、鼻腔の炎症性疾患を言う。典型的に、鼻炎症状は、くしゃみ、鼻漏、鼻腔内鬱血および鼻汁増加からなる。未処置の鼻炎は、副鼻腔、耳および下気道の感染を含む他の疾患に至るかもしれない。
【0005】
2つの型の経口薬剤:鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬が鼻炎を処置するために一般的に用いられている。鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬は、作用機序、治療効果および副作用の点で異なる。いずれか一方を単独で用いてなし得るものよりも完全な鼻炎症状の緩和をもたらすために、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の併用が一般的に実施されている。
【0006】
鼻炎を処置するために一般的に用いられる鬱血除去薬は、交感神経刺激剤であるプソイドエフェドリンおよびフェニレフリンを含む。これらの剤は作用して鼻粘膜にある血管を収縮させ、およびそれにより組織膨潤および鼻腔内鬱血を減少させる。鬱血除去薬は詰まった鼻気道を再開通させるために抗ヒスタミン薬よりも優れていることが見出されている。鼻用鬱血除去薬は刺激性である。しかし、特に晩に服用されるならば、鬱血除去薬は緊張感、情動不安および不眠をもたらし得る。
【0007】
ヒスタミンは鼻粘膜の壁に並んでいる細胞(肥満細胞)から放出されるメディエータである。放出されると、ヒスタミンはそこにある(local)受容体に結合し、およびそれによりくしゃみ、鼻の痒み、鼻粘膜の膨潤および鼻汁増加を惹起することが知られている。鬱血除去薬とは異なる機序によってではあるが、抗ヒスタミン薬はこれらの効果を緩和する。抗ヒスタミン薬は鼻粘膜内でヒスタミンとヒスタミン受容体の結合を阻害する。高い頻度で、抗ヒスタミン薬の副作用は知力障害および鎮静を含む。
【0008】
鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の組み合わせは2つの機構的アプローチを利用しており、およびいずれか一方の成分を単独で用いる療法よりも完全な鼻炎症状の緩和をもたらすことが示されている。現在、多くの風邪およびアレルギー緩和製品は両薬剤を含む。一投与単位中への鬱血除去薬および鎮静性抗ヒスタミン薬の取り込みは、成分の刺激性および鎮静性の平衡を保っている。しかし、鬱血除去薬または抗ヒスタミン薬のいずれかに対する感受性が異なる個人もいる。現在、これらの組み合わせにより被刺激性および/または鎮静性を感じる個人もいる。
【0009】
鬱血除去薬および鎮静性抗ヒスタミン薬を含む市販処方の例は:
1.CHLOR−TRIMETON(登録商標) 4mgのクロルフェニラミン(鎮静性抗ヒスタミン薬)および60mgの硫酸プソイドエフェドリン(刺激性鬱血除去薬)を含有する4時間のアレルギー用/鬱血除去薬。4〜6時間ごとに服用することが推奨される(6歳から12歳未満の小児についてはこの1/2用量);
【0010】
2.CHLOR−TRIMETON(登録商標) 8mgのクロルフェニラミン(鎮静性抗ヒスタミン薬)および120mgの硫酸プソイドエフェドリン(刺激性鬱血除去薬)を含有する12時間のアレルギー用/鬱血除去薬。12時間ごとに服用することが推奨される(成人および12歳以上の小児に限る);
【0011】
3.BROMFED(登録商標) 4mgのブロンフェニラミン(鎮静性抗ヒスタミン薬)および60mgの硫酸プソイドエフェドリン(刺激性鬱血除去薬)を含有する錠剤。4〜6時間ごとに服用することが推奨される(6歳から12歳未満の小児についてはこの1/2用量);
【0012】
4.BROMFED(登録商標) 12mgのブロンフェニラミン(鎮静性抗ヒスタミン薬)および120mgの硫酸プソイドエフェドリン(刺激性鬱血除去薬)を含有するカプセル剤。12時間ごとに服用することが推奨される(成人および12歳以上の小児に限る);
【0013】
5.BENADRYL(登録商標) 25mgの塩酸ジフェンヒドラミン(鎮静性抗ヒスタミン薬)および60mgの硫酸プソイドエフェドリン(刺激性鬱血除去薬)を含有するアレルギー用鬱血除去薬の錠剤。成人および12歳以上の小児に、24時間に最大量4錠剤まで、4〜6時間ごとに服用することが推奨される;および
【0014】
6.TAVIST−D(登録商標) 1.34mgのフマル酸クレマスチン(鎮静性抗ヒスタミン薬)および75mgの塩酸フェニルプロパノールアミン(刺激性鬱血除去薬)を含有する錠剤。12時間ごとに服用することが推奨される(成人および12歳以上の小児に限る):
を含む。
【0015】
一投与単位中に鬱血除去薬および鎮静作用の少ない抗ヒスタミン薬の両方を含む処方が市販されている。かかる処方は鎮静作用が少ないという利点をもたらすが、それらの効果は、特に風邪に起因する鼻炎については、鎮静性抗ヒスタミン薬によりもたらされる効果に匹敵しない。
【0016】
非ステロイド性抗炎症薬
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、その鎮痛性、抗炎症性および解熱性活性ならびに低い副作用発生率のために、風邪処方において用いるために理想的に適する。非ステロイド性抗炎症薬を含有する風邪処方の例は、Advil Cold and Sinus(登録商標)、Motrin Cold and F1u(登録商標)、Motrin IB Sinus(登録商標)およびDristan Sinus(登録商標)を含み、各々、200mgのイブプロフェンおよび30mgのプソイドエフェドリンを含有する。
【0017】
米国特許第5,025,019号は、抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬、鎮咳薬または去痰薬から選択される少なくとも一つの他の活性成分と組み合わせた非ステロイド性抗炎症薬を含有する医薬組成物および組成物の使用方法を教示している。
【0018】
これらの組み合わせ製品は風邪およびアレルギーに起因する鼻炎症状の効果的な処置をもたらすが、それらは感受性のある個人において鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の副作用を緩和しない。さらにこれらの組み合わせ製品は、アレルギーおよび/または風邪に付随する一連の鼻炎症状の処置について、眠気を伴わない広範な緩和をもたらさない。故に、処置に由来する副作用が軽減された、および/または医薬活性剤の放出特性が改善された、鼻炎症状を処置するための改善された組成物および方法が当該技術分野においてなお必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、各有効量の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬を含む医薬組成物に関する。
【0020】
一の実施態様において、医薬組成物は各有効量の(a)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、(b)鬱血除去薬;および(c)抗ヒスタミン薬を含有し、ここで、該組成物は多層錠であり;ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つは多層錠の第一の層中にあり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも他の一つは多層錠の第二の層中にある。さらにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬は本質的に適合した放出特性を有してもよい。NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つは放出特性を拡張するよう修飾されていてもよい。
【0021】
本発明の実施に用いるために適するNSAIDは、プロピオン酸誘導体、酸性の酸誘導体、フェナム酸誘導体、ビフェニルカルボン酸誘導体、オキシカムおよびcox−2阻害剤を含むが、これらに限定されない。本発明の実施に用いるために適する鬱血除去薬は、プソイドエフェドリン、フェニルエフェドリンおよびフェニルプロパノールアミンを含むが、これらに限定されない。本発明の実施に用いるために適する抗ヒスタミン薬は、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロンフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン(SCH−34117としても知られている)、デスロラタジンドキシルアミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンおよびトリプロリジンを含むが、これらに限定されない。
【0022】
所望により、組成物はさらに鎮咳薬を含んでもよい。適切な鎮咳薬は、デキストロメトルファン、コデインおよびフォルコダインを含むが、これらに限定されない。
【0023】
別の実施態様において、医薬組成物は各有効量の(a)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);(b)鬱血除去薬;および(c)抗ヒスタミン薬を含み、ここで、該組成物は二層錠であり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つは二層錠の第一の層中にあり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも他の一つは二層錠の第二の層中にある。さらにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬は本質的に適合した放出特性を有してもよく、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つは放出特性を拡張するよう修飾されてもよい。
【0024】
別の実施態様において、医薬組成物はナプロキセン、ロラタジンおよびプソイドエフェドリンを含有し、ここで、該ナプロキセン、ロラタジンおよびプソイドエフェドリンは二層錠中にあり、ならびに該ナプロキセンおよびロラタジンは二層錠の第一の層中にあり、ならびにプソイドエフェドリンは二層錠の第二の層中にあり、ナプロキセンおよびロラタジンの放出特性に本質的に適合するように放出特性を拡張するよう適切に修飾されている。
【0025】
本発明はさらに哺乳類において鼻炎症状を緩和する方法を含み、該方法は、抗ヒスタミン効果のある用量の抗ヒスタミン薬、鬱血緩和効果のある用量の鬱血除去薬および抗炎症効果のある用量の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を投与することを含み、ここで、該抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬およびNSAIDは多層錠中にあり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つは多層錠の第一の層中にあり、ならびに抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬およびNSAIDの少なくとも他の一つは多層錠の第二の層中にあり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の放出特性は本質的に適合している。
【0026】
本発明はさらに医薬組成物の調製方法を含み、該方法は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬を選択し、NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬それぞれの作用特性の持続時間を測定し、NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つを含有する少なくとも一つの即放型マトリックスを調製し、NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つを含有する少なくとも一つの徐放型マトリックスを調製し、ここで、該徐放型マトリックスの少なくとも一つのNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬は拡張された放出特性を有し、次いで、少なくとも一つの即放型マトリックスおよび少なくとも一つの徐放型マトリックスを層状固形投与形態に形成することを含む。
【0027】
好ましくは、本発明の固形投与形態は多層錠である。多層錠は、即放型マトリックスおよび徐放型マトリックスの圧縮によってか、即放型および徐放型マトリックスの一方の表面に即放型および徐放型マトリックスの他方をコーティングすることによってか、または錠剤内に錠剤を作成することにより形成されてもよく、ここで、該錠剤の一部分は徐放型マトリックスから形成され、および他の部分は即放型マトリックスから形成される。
【0028】
本発明はさらに活性薬剤および一定用量の酸化マグネシウムを含有する医薬組成物および該組成物の調製方法を含み、ここで、一定用量の酸化マグネシウムは活性薬剤の放出特性を修飾するのに十分な用量である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
発明の詳細な記載
本出願が優先権を主張している米国出願10/740,386において、発明者らは、抗ヒスタミン薬もしくは鬱血除去薬のいずれか一方またはその両方が鬱血除去薬もしくは抗ヒスタミン薬について現在認可されている用量の約75%未満の用量で存在しており、およびNSAIDが通常の用量強度の約100%で存在している、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬を含有する医薬組成物が、鼻炎症状の効果的な緩和をもたらすという驚くべき自身の知見を開示している。本発明の組成物は、米国出願10/740,386において議論および主張されている用量または慣用的な投与量のいずれかを利用し得る。
【0030】
本発明において、非ステロイド性抗炎症薬、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬(好ましくは、鎮静作用の少ない抗ヒスタミン薬)の組み合わせが固形投与形態、好ましくは、即放層および徐放層を含む多層錠にて調製され、それらの効果持続時間が本質的に等しくなるように、活性剤の送達特性を最適化し、かつその作用持続時間を適合した組成物を提供し得ることが見出されている。適合した作用持続時間は、特定時間内で一連の症状の緩和をもたらし、および一連の鼻炎症状からの緩和を維持するために様々な症状に効く薬剤を複数用量かつ異なるスケジュールで服用する必要性を軽減する。利便性に加えて、これにより、患者が不適切な用量または組み合わせの薬剤を服用する可能性が軽減される。
【0031】
本明細書中用いる「適合された放出特性」は、患者に提供される医薬組成物中の各医薬活性剤の作用持続時間が本質的に等しいことを意味する。これは、同様の作用持続時間を有することが知られている活性剤を選択することによってか、または1もしくはそれ以上の活性剤を修飾して作用持続時間を改変することにより達成されてもよい。該修飾は、医薬活性剤そのものの修飾か、または医薬活性剤と併用されるマトリックス(例えば、賦形剤)を介する、もしくはその修飾を意味してもよい。医薬活性剤の作用持続時間または生物学的特性の測定方法は当業者に知られている。
【0032】
本明細書中用いる用語「徐放型マトリックス」は、少なくとも一つの医薬活性剤および賦形剤を含有する組成物を意味し、ここで、医薬活性剤そのものに対する修飾または賦形剤と組み合わせた結果としての医薬活性剤に対する修飾のいずれかは、哺乳類に投与された場合に未修飾の医薬活性剤よりも本質的に長い作用持続時間を与える組成物を生じる。
【0033】
用語「即放型マトリックス」は、医薬活性剤の放出特性が本質的に改変されていない、少なくとも一つの医薬活性剤および賦形剤を含有する組成物を意味する。
【0034】
一の実施態様において、本発明の組成物は、さらに修飾しなくても12〜24時間の作用持続時間を提供するのに十分である同程度の生物学的半減期を有するロラタジンおよびナプロキセンナトリウムを含有する即放層を含む二層錠を包含する。ナプロキセンナトリウムおよびロラタジンが同程度の生物学的半減期を有するということだけでなく、驚くことに、本発明者らは、ナプロキセンナトリウムおよびロラタジンの組み合わせはそれぞれ別個の場合よりも水性培地中により速く溶解することを見出した。この実施態様において、ナプロキセンおよびロラタジンの特性と匹敵するように放出特性を拡張するよう修飾されたプソイドエフェドリンHClを徐放層中に用いる。本発明の組成物は改善された用量を提供し、ここで、好ましくは12または24時間間隔で服用される一投与単位にて、鼻炎により示される一連の症状からのより長い緩和がもたらされる。
【0035】
本明細書中用いる用語「鼻炎」は、風邪、インフルエンザまたはアレルギーに起因し得る鼻粘膜の炎症を言う。鼻炎は1またはそれ以上の風邪様症状により特徴付けられてもよい。
【0036】
本明細書中用いる風邪様症状は、鼻感冒、鼻腔内鬱血、上気道感染、アレルギー性鼻炎、耳炎、副鼻腔炎などを言う。鼻水および鼻腔内鬱血は、風邪症状でもあり得る。
【0037】
本明細書中用いる用語「有効量」または「治療上有効量」の活性剤は、所望の治療効果を提供するのに少なくとも十分な一定用量の剤として定義される。
【0038】
本明細書中用いる用語「通常認可されている用量」または「認可された用量」の活性剤は、特定の投与形態でのヒトへの投与に関して米国食品医薬品局により安全かつ有効であると認可されている一定用量の活性剤として定義される。故に、認可された用量は、医薬用製品中に見出される用量、単位投与形態あたりの活性剤の用量である。本発明において、認可された用量の比に対する言及は、同一の患者集団(例えば、成人に対して成人、または小児に対して小児)について認可された用量、および同一の投与形態(例えば、エリキシル剤、錠剤、カプセル剤、カプレット、放出制御剤など)について認可された用量を意味する。
【0039】
本明細書中用いる用語「活性薬剤」、「医薬活性剤」、「活性剤」および「薬剤」は、同義であると考えられるべきである。
【0040】
本発明の実施において、本発明の組成物の改善された固形投与形態は、3つの異なる作用クラスに由来する3つの異なる薬剤:非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬(好ましくは、鎮静作用の少ない抗ヒスタミン薬)を含む。これらの各クラスからの薬剤の選択は、アレルギーおよび風邪に付随する鼻炎により示される一連の症状を対処するために望ましい。これらの症状は、くしゃみ、鼻水、目の痒み、涙目、鼻および咽の痒み、副鼻腔炎、鼻腔内鬱血、鼻づまり、軽微のうずき、疼痛および頭痛を含んだ。選択される薬剤は作用持続時間が同様であるか、または同様の作用持続時間を有するよう修飾されるかのいずれかであることが望ましい。
【0041】
選択的に修飾されない異なる医薬活性剤の存在下にて1つの医薬活性剤の作用持続時間を修飾することは厄介であり得る。本発明者らは、多層錠の使用により、1またはそれ以上の活性剤と放出修飾剤の協調的使用が容易になり、一方で、多層錠の他層にある活性剤への放出修飾剤の影響を最小限にすることを見出した。錠剤中に2またはそれ以上の層を用いることにより、3つの薬剤成分それぞれについてのマトリックスの最適化も可能となる。さらに、幾つかの実施態様において、活性剤を2またはそれ以上の層に分けることにより、成分間の望ましくない相互作用の減少を容易にし得る。ロラタジン、ナプロキセンナトリウムおよびプソイドエフェドリンを含む好ましい一の実施態様において、ロラタジンおよびナプロキセンナトリウムは未修飾で適切な放出特性を有するが、未修飾のプソイドエフェドリンの作用持続時間はロラタジンおよびナプロキセンナトリウムのものよりはるかに短い。従って、未修飾のロラタジンおよびナプロキセンナトリウムを即放層中に組み入れ、一方でプソイドエフェドリンを徐放型に修飾し、次いで、錠剤の第二の層へ組み入れてもよい。
【0042】
乾式または湿式造粒法のいずれかを含む当業者に知られている方法は、多層錠の各層のマトリックスを調製するために用いられてもよい。このように調製されたマトリックスを用いて多層錠の層を形成してもよい。層は、直接圧縮過程、コーティング方法を用いてか、および/またはいわゆる「錠剤内錠剤(tablet with−in a tablet)」方法によりマトリックスから形成されてもよい。用語「多層錠」は、別個の組成物からなる2またはそれ以上の層を有する錠剤を意味するものと解釈する。多層錠は、2または3層プレスを用いる圧縮または錠剤内錠剤プレスを用いる圧縮を含む、かかる結果を生じる任意の方法により形成されてもよい。
【0043】
抗ヒスタミン薬
アレルギーまたは風邪に付随する鼻症状の処置に関連して用いられる用語「抗ヒスタミン薬」は、一般的に、ヒスタミンH受容体アンタゴニストを言う。様々な化学物質がヒスタミンH受容体アンタゴニスト活性を有することが知られている。多くの有用な化合物は、エタノールアミン、エチレンジアミン、アルキルアミン、フェノチアジンまたはピペリジンとして分類され得る。代表的なH受容体アンタゴニストは:アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロンフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン(SCH−34117としても知られている)、デスロラタジンドキシルアミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンおよびトリプロリジンを含むが、これらに限定されない。他の化合物は、単離されたモルモットの回腸のヒスタミンに対する収縮性応答の特異的遮断を含む既知の方法により容易に評価され、H受容体における活性を測定され得る。
【0044】
前記ヒスタミンH受容体アンタゴニストのうち、本明細書中、クロルフェニラミンおよびロラタジンが具体的に例示される。単一の即放型用量で12時間有効であり得る相対的に長い生物学的半減期のために、これらの抗ヒスタミン薬は特に適する。ロラタジンは鎮静作用が少ないというさらなる利点をもたらす。
【0045】
ロラタジンの通常の成人用量は、12時間ごとに経口5mgであるか、または24時間ごと(すなわち、毎日)10mgであり、最大安全用量は一日あたり40mgである。通常の小児用量は、年齢2〜5歳の小児では一日あたり5mg、およびより年長の小児(年齢8〜12歳)では一日あたり10mgである。本発明の幾つかの実施態様に従って、通常の成人用量は、12時間ごとに約2.5mg〜3.75mg、または一日あたり約5mg〜7.5mg、最大用量が最大約30mgまでに軽減されてもよい。同様に、本発明の幾つかの実施態様において、小児の一日用量は、年齢2〜5歳の小児に関しては一日約2.5mg〜3.75mg、および年齢8〜12歳の小児に関しては一日5mg〜7.5mgである。さらなる一の実施態様において、本発明は、これらに限定されないがナプロキセンまたはイブプロフェンのごときNSAIDの成人用量とロラタジンの小児用量との併用を可能にする。
【0046】
クロルフェニラミンの通常の成人用量は、必要に応じて4〜6時間ごとに経口4mgであり、一日あたり最大24mgである。クロルフェニラミンの通常の小児用量は、4〜6時間ごとに経口2mgであり、一日あたり最大12mgである。好ましい塩はマレイン酸クロルフェニラミンである。本発明の幾つかの実施態様に従うと、通常の成人用量は、必要に応じて4〜6時間ごとに経口3mgまたはさらには2mgまで、一日あたり最大12〜18mgまでに軽減されてもよい。同様に、本発明の幾つかの実施態様において、小児用量は4〜6時間ごとに経口1.5mgまたは1mgであり、一日あたり最大6〜9mgである。さらなる一の実施態様において、本発明は、これに限定されないがイブプロフェンのごときNSAIDの成人用量とクロルフェニラミンの小児用量との併用を可能にする。
【0047】
鬱血除去薬
本発明の医薬組成物および使用方法に用いるための鬱血除去薬は、プソイドエフェドリン、フェニルエフェドリンおよびフェニルプロパノールアミンを含むが、これらに限定されない。当業者は他の多数の適切な鬱血除去薬およびそれらの認可された用量を知っていよう。
【0048】
好ましい鬱血除去薬はプソイドエフェドリンである。プソイドエフェドリンの通常の成人用量は4〜6時間ごとに60mgであり、一日あたり最大240mgである。プソイドエフェドリンの通常の小児用量は、2〜5歳については6時間ごとに15mg、一日あたり最大60mgであり、および6〜12歳については6時間ごとに30mg、一日あたり最大120mgである。故に、本発明の実施の幾つかの実施態様において、成人用量は4〜6時間ごとに45または30mg、一日あたり最大120〜180mgまでに軽減され得、および小児用量は6時間ごとに約11〜7.5mg、一日あたり最大30〜45mgまでに軽減され得る。前記から、幾つかの実施態様において本発明が通常の成人用量のNSAIDと共に2倍またはそれ以上の小児用量の鬱血除去薬を成人に投与することを熟慮することは明らかである。
【0049】
鬱血除去薬の放出特性(例えば、作用持続時間)の修飾が所望される場合、当業者に知られている処方アプローチを用いて鬱血除去薬の生物学的薬物動態特性を修飾してもよい。これらのアプローチは、例えば、圧縮錠剤からの活性剤の放出を修飾するためのHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)の使用を含んでもよい。さらに、驚くことに、本発明者らは、酸化マグネシウムとHPMCの併用により、圧縮錠剤からの活性剤の放出特性をさらに有意に制御し得ることを見出した。例えば、HPMCを用いて調製された徐放型マトリックスからの市販プソイドエフェドリンの放出速度を有意に減少するために、酸化マグネシウムを用いてもよい。このアプローチを用いて、図1に示すように、徐放型マトリックス中の活性成分の早期放出を最小化してもよい。
【0050】
プソイドエフェドリン、特にHPMCを用いて調製されたプソイドエフェドリンの放出を修飾するための酸化マグネシウムの使用は典型的である。本発明は、他の医薬活性剤についての放出特性を修飾するために一般的に有用である酸化マグネシウムを見出した。
【0051】
NSAID
本発明の医薬組成物および使用方法で用いるための非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、以下の任意のカテゴリー:
(1)プロピオン酸誘導体;
(2)酢酸誘導体;
(3)フェナム酸誘導体
(4)ビフェニルカルボン酸誘導体;
(5)オキシカム;および
(6)Cox−2阻害剤:
から選択されてもよい。
【0052】
従って、本明細書中用いる用語「NSAID」は、上の6つの構造カテゴリーの1つに含まれる、その医薬上許容される非毒性塩を含む任意の非ステロイド性抗炎症性化合物を意味することが意図される。
【0053】
本発明において用いるための非ステロイド性抗炎症薬の前記定義内に含まれる特定化合物は当業者に知られており、およびその化学構造、薬理活性、副作用、通常の用量範囲などについては、様々な参考文献出典において参照が見出され得る。例えば、Physician’s Desk Reference and The Merck Indexを参照のこと。
【0054】
本明細書中用いるためのプロピオン酸誘導体のうち、イブプロフェン、ナプロキセン(naxproxen)、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、フェンブフェンおよびフルプロフェンは例示化合物として言及されてもよい。酢酸誘導体のうち、例示化合物はトルメチンナトリウム、ゾメピラク(zomepirac)、スリンダクおよびインドメタシンを含む。フェナム酸誘導体のうち、例示化合物はメフェナム酸およびメクロフェナム酸ナトリウムを含む。本発明において用いるためのビフェニルカルボン酸誘導体の例はジフルニサルおよびフルフェニサルを含む。オキシカムの例はピロキシカム、スドキシカムおよびイソキシカムを含む。Cox−2阻害剤の例はセレコキシブ、ロフェコキシブ、メロキシカムおよびニメスリドを含む。前記非ステロイド性抗炎症薬のうち、本発明の例示的な実施態様の実施において、イブプロフェンおよびナプロキセンが好ましい。
【0055】
本発明の組成物中の非ステロイド性抗炎症薬の投与量に関しては、ヒトについての特定用量は患者の年齢および体重、症状の重篤度、副作用の頻度などに応じて異なり得るが、1用量あたりのNSAIDの典型的な有効鎮痛用量は約100〜500mgのジフルニサル、約25〜100mgのゾメピラックナトリウム、約50〜400mgのイブプロフェンであり、より好ましくは、100〜200mgのイブプロフェン、約125〜500mgのナプロキセン、約25〜100mgのフルルビプロフェン、約50〜199mgのフェノプロゲン(fenoprogen)、約10〜20mgのピロキシカム、約125〜250mgのメファナイック酸(mefanaic acid)、約100〜400mgのフェンブフェンまたは約25〜50mgのケトプロフェンであるが;所望または必要ならば、より多いまたはより少ない用量が用いられてもよい。
【0056】
本発明の一の実施態様において、ナプロキセン、特にそのナトリウム塩、ナプロキセンナトリウムはNSAIDである。ナプロキセンは一つにはその長い生物学的半減期のために有用である(14±1時間;参照:Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,9th Edition.)。最適には、ナプロキセンナトリウムは、クロルフェニラミンまたはロラタジンのごとき同様の半減期を有する抗ヒスタミン薬と併用される。ナプロキセンナトリウムの通常の成人用量は必要に応じて12時間ごとに経口220mgである。
【0057】
本発明において、ナプロキセンナトリウムおよびロラタジンの組み合わせは、この組み合わせのインビトロでの溶解速度に対して相乗効果を示すことが見出された。ナプロキセンの溶解性はロラタジンの存在下の低いpHで高められ、およびロラタジンの溶解性はナプロキセンの存在下の高いpHで高められる。さらに、幾つかの場合において、ナプロキセンおよびロラタジン単独についての速度と比較して、組み合わせについての溶解速度は高められるようだ。このことは、薬剤は溶解されるまでは生物学的に利用され得ないのでより大きな溶解性は即放型医薬調製物の利点であるという点で、有用であってもよい。
【0058】
本発明者らは、理論に固執するつもりはないが、同様の相乗的な溶解挙動が、イブプロフェン、ケトプロフェンを含むがこれらに限定されない他の医薬活性カルボン酸およびそれらの様々な塩形態とロラタジンとの間;およびナプロキセン、イブプロフェン、ケトプロフェンまたはそれらの塩と、クロルフェニラミン、ブロンフェニラミン、ジフェンヒドラミンのごときアミンとの間で生じ得ると考える。
【0059】
鎮咳薬
所望により、鎮咳薬は腦に作用して咳反射を抑制する。かかる鎮咳薬は持続性の空咳を緩和するために用いられる。最も一般的に用いられている薬剤はデキストロメトルファン(NMDA受容体アンタゴニスト)、コデインおよびフォルコダイン(オピオイド)である。しかし、当業者は、使用されてもよい他の多数の周知かつ一般的な鎮咳薬があることを理解しよう。本発明は、随意、鎮咳薬の使用に関する。
【0060】
医薬組成物
本発明の組成物は単位投与形にて処方され、およびこれらは固形(例えば、錠剤、カプセル剤、サシェ、カプレット、ペレット、顆粒剤、トローチ剤など)、液体(例えば、溶液もしくは懸濁液)または吸入エアロゾルもしくはパッチであってもよい。典型的に、固形化合物は経口投与され得るが、液体化合物が経口または注入により投与されてもよい。坐剤のごとき他の投与形態も有用である。本発明に記載の医薬組成物は持続放出様式で活性成分を放出するように処方されてもよい。これらの成分の投与形態について、エリキシル剤、懸濁液、錠剤、カプレット、カプセル剤などを含む様々な処方が熟慮される。
【0061】
多層錠からなる固形投与形態が、本発明の組成物のために好ましい投与形態である。本明細書および添付の特許請求の範囲の目的のために、一様に、用語「錠剤」は、経口投与に適する錠剤、カプレットまたは任意の他の固形投与形態を言う。直接圧縮、乾式造粒法または湿式造粒法は、各層のマトリックスを調製するために用いられ得る。これらの方法は当業者に知られている。
【0062】
例示的な一の実施態様において、ロラタジンおよびナプロキセンを含有する即放型マトリックスは、二層錠中、プソイドエフェドリンを含有する徐放型マトリックスと組み合わされる。この投与形および組成物は、プソイドエフェドリンの放出が即放型マトリックスの活性剤ロラタジンおよびナプロキセンの作用持続時間に適合するように修飾されているので、便利な1日1または2回の経口投与に適する。一の実施態様において、適切な賦形剤と共に5mgのロラタジンおよび220mgのナプロキセンナトリウムを含有する即放層、ならびに適切な賦形剤と共に120mgの塩酸プソイドエフェドリンを含有する徐放層からなる二層錠が1日2回の経口投与用に処方され得る。
【0063】
ロラタジン、ナプロキセンおよびプソイドエフェドリンを含む例示的な実施態様において、プソイドエフェドリンを含有する徐放型マトリックスは、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酸化ポリエチレンを含むがこれらに限定されない適切な徐放型ポリマーとプソイドエフェドリンを組み合わせることにより調製される。プソイドエフェドリンの放出をさらに修飾するために、徐放型ポリマーに加えて酸化マグネシウムを用いることが好ましい。他の許容される医薬用賦形剤は、充填剤(例えば、ラクトース、マンニトール、微結晶性セルロース、酸化マグネシウムおよび二塩基性リン酸カルシウム)ならびに流動促進剤および/または滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、グリセロールベヘネートおよび二酸化ケイ素)を含むが、これらに限定されない。
【0064】
ロラタジン、ナプロキセンおよびプソイドエフェドリンを含む例示的な実施態様において、即放型マトリックスは、適切な充填剤(例えば、二塩基性リン酸カルシウム、ラクトース、微結晶性セルロース、デンプン)、適切な結合剤(例えば、PVP、HPMCおよびHPC)、適切な崩壊剤(例えば、クロスポビドンおよびクロスカルメロースナトリウム)ならびに適切な滑剤および/または流動促進剤(例えば、グリセロールベヘネート、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび二酸化ケイ素)を含む様々な許容される医薬用賦形剤と共に組み合わされるロラタジンおよびナプロキセンナトリウムを含んでよい。
【0065】
別の例示的な実施態様において、ロラタジン、イブプロフェンおよびプソイドエフェドリン組成物は、便利な1日1または2回の投与に適する二層または三層錠の投与形態中に処方されてもよい。かかる一の実施態様において、即放型ロラタジンの作用持続時間を適合させるように投与形のプソイドエフェドリンおよびイブプロフェンの放出特性を修飾することが望ましい。一の実施態様において、有効量のイブプロフェンおよびプソイドエフェドリンは共に二層錠の同じ層中の徐放型マトリックス中に含まれてもよい。或いは、イブプロフェンおよびプソイドエフェドリンは三層錠の別個の徐放型マトリックス中に含まれてもよい。いずれの実施態様においても、有効量のロラタジンは錠剤の即放層中に含まれてもよい。当業者に知られているような放出特性の修飾方法を用いてもよい。
【0066】
別の例示的な実施態様において、クロルフェニラミン、ナプロキセンおよびプソイドエフェドリン組成物は、便利な1日1または2回の投与に適する二層または三層錠の投与形中に処方されてもよい。かかる一の実施態様において、即放型ナプロキセンの作用持続時間を適合させるように投与形のプソイドエフェドリンおよびクロルフェニラミンの放出を修飾することが望ましい。一の実施態様において有効量のクロルフェニラミンおよびプソイドエフェドリンは共に二層錠の同じ層中の徐放型マトリックス中に含まれてもよい。或いは、クロルフェニラミンおよびプソイドエフェドリンは、三層錠の別個の徐放型マトリックス中に含まれてもよい。いずれの実施態様においても、有効量のナプロキセンは、例えば錠剤の即放層中に含まれてもよい。
【0067】
結合剤は粉末材料に凝集性を与えるために用いられる物質である。結合剤は錠剤処方に凝集性を与え、それにより、圧縮後に錠剤は無傷なままとされ、および所望の硬度および大きさの顆粒処方により易流動性が改善される。適切な結合剤材料は、デンプン(トウモロコシデンプンおよびアルファ化デンプンを含む)、ゼラチン、糖(スクロース、グルコース、デキストロース、ラクトースおよびソルビトールを含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、天然および合成ゴム、例えば、アカシア、トラガカント、ナトリウムアルギナート、セルロースおよびビーガム(Veegum)、ならびに合成ポリマー、例えば、ポリメタクリラートおよびポリビニルピロリドンを含むが、これらに限定されない。
【0068】
滑剤は錠剤製造において多数の機能を有する。該剤はダイおよびパンチ表面へ錠剤材料が粘着するのを防ぎ、粒子間摩擦を減じ、ダイ孔からの錠剤の排出を促進し、および錠剤造粒の流動速度を改善してもよい。適切な滑剤の例は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコールまたはそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。一般的に、滑剤は最終組成物の約0.25重量%〜約5重量%、およびより具体的には、最終組成物の約0.5〜約1.5重量%の用量で存在する。
【0069】
崩壊剤は、投与後の分解または崩壊を容易にするために錠剤へ加えられる一の物質または物質の混合物である。崩壊剤として機能する材料は、化学的に、デンプン、粘土、セルロース、アルギン(aligns)、ガムおよび架橋ポリマーとして分類されている。適切な崩壊剤の例は、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、コロイド性二酸化ケイ素、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、アルギン酸、グアールガム、シトラスパルプ、カルボキシメチルセルロース、微結晶性セルロースまたはそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。一般的に、崩壊剤は、最終組成物の約0.5重量%〜約25重量%、およびより具体的には、最終組成物の約1重量%〜約15重量%の用量で存在する。
【0070】
流動促進剤は散剤混合物の流動特性を改善する物質である。流動促進剤の例は、コロイド性二酸化ケイ素、タルクまたはそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。一般的に、流動促進剤は、最終組成物の約0.1重量%〜約10重量%、およびより具体的には、最終組成物の約0.1重量%〜約5重量%の用量で存在する。
【0071】
吸着剤は、例えば、コロイド性二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、ケイ酸カルシウムまたはそれらの混合物であってもよい。一般的に、吸着剤は、最終組成物の約0.05重量%〜約42重量%、およびより具体的には、最終組成物の約0.05重量%〜約37重量%の用量で存在する。
【0072】
所望により、医薬用処方のために都合よく用いられる他の成分、例えば、希釈剤、安定化剤および抗粘着剤が本処方中に含まれてもよい。任意の成分は、当業者によく知られている着色剤および香料を含む。
【0073】
本発明は以下の実施例によりさらに説明されるが、これらは特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を限定するものではない。
【0074】
実施例1
1日2回の経口投与のために、5mgのロラタジンおよび220mgのナプロキセンナトリウムを含有する即放層ならびに120mgの塩酸プソイドエフェドリンを含有する徐放層からなる二層錠を処方した。
【0075】
湿式造粒法を用いて、ロラタジンおよびナプロキセンナトリウムからなる即放層を許容される様々な医薬用賦形剤と混合した。圧縮の前に、さらなる賦形剤を顆粒外(extra−granularly)に混合した。より具体的には、実施例の処方は、即放型湿式顆粒剤を形成するために混合された5つの顆粒内成分:ナプロキセンナトリウム、ロラタジン、ポビドン、タルクおよびクロスカルメロースナトリウムを含んだ。次いで、錠剤圧縮の前に、顆粒外賦形剤を即放型顆粒剤に混合した。顆粒外賦形剤は、ベヘン酸グリセリル、二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウムおよび微結晶性セルロースを含んだ。
【0076】
即放層に関する圧縮混合
【表1】

【0077】
徐放層については、湿式造粒法を用いて、プソイドエフェドリンHClを許容される様々な医薬用賦形剤と混合し、次いで、圧縮の前に、さらなる賦形剤を顆粒外に混合した。より具体的には、実施例の処方は、徐放型顆粒剤を形成するために混合された4つの顆粒内成分:プソイドエフェドリンHCl、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトールおよび酸化マグネシウムを含んだ。錠剤圧縮の前に、顆粒外ステアリン酸マグネシウムを徐放型顆粒剤と混合した。
【0078】
【表2】

【0079】
このように調製した顆粒剤を共に圧縮し、二層錠を形成した。
【0080】
実施例2
本発明の幾つかの実施態様のための医薬組成物の投与形態は、以下に記載される用量の活性成分からなる。
【0081】
表1
【表3】

【0082】
実施例3
各有効量のイブプロフェン、プソイドエフェドリンHClおよびマレイン酸クロルフェニラミンを含有するカプレット組成物の鎮痛/鬱血除去/抗ヒスタミン効果を評価し、および錠剤中のプソイドエフェドリンおよびクロルフェニラミンの組み合わせと比較するために研究を実施した。該研究は、多施設、外来患者、複数投与、プラセボ対照、二重盲検、ダブルダミー、並行群、無作為化試験であった。
【0083】
患者の選択
該研究は、少なくとも12歳の男女を含む適切に選択された1070人の患者を登録した。研究参加者は、(1)少なくとも二年の季節性アレルギー性鼻炎の病歴(1またはそれ以上の以下の症状:鼻水、目の痒み/涙目/赤目、鼻腔内鬱血、くしゃみ、鼻/咽/口蓋の痒み、アレルギーに付随する頭痛および顔面の疼痛/圧迫感/不快感を含む)ならびに(2)アレルギーの季節中に悪化し、かつ市販(OTC)鎮痛薬に応答した、少なくとも中程度の頭痛および/または顔面の疼痛/圧迫感/不快感の病歴(自己報告に基づく):を有することが必要であった。資格のある対象は、患者が十分に重度のアレルギー症状を有することを確証するために、3〜30日間の期内試験(run−in phase)を受ける必要があり、その期間中、患者は朝(起床時)および晩(就寝前)に以下の症状:鼻腔内鬱血、くしゃみ、鼻漏、鼻/咽/口蓋の痒み;目の痒み/涙目/赤目および頭痛/顔面の疼痛/圧迫感/不快感の重度を回顧的に(reflectively)評価した。0=なし(症状が存在しない)、1=軽度(最小の症状認識、容易に耐えられる症状)、2=中程度(厄介であるが耐えられる症状が存在する)および3=重度(日常活動/睡眠を妨げ得る;耐え難い症状)の4ポイントのカテゴリースケールを用いて、各症状の重篤度を評価した。患者は、疼痛が頭痛または顔面の疼痛/圧迫感/不快感であるか否かも質問され、ならびに0=なし(症状が存在しない)、1=軽度(最小の症状認識、容易に耐えられる症状)、2=中程度(厄介であるが耐えられる症状が存在する)および3=重度(日常活動/睡眠を妨げ得る;耐え難い症状)から疼痛をランク付けるよう求められた。患者が少なくとも中程度の強度のアレルギー関連疼痛を経験し、および前6回の朝および晩の症状重篤度の評価に関して合計して少なくとも48の回顧的アレルギー症状スコア(reflective allergy symptom score)を有する場合、患者は初回用量の研究薬剤を投与された(1日目)。患者は、アレルギーに付随する疼痛についても評価され、ならびにそれらが苦痛であるか否かを質問された。
【0084】
研究に登録され、かつ安全性分析に含まれた1070人の対象のうち、1044人がintent−to−treat分析を受ける資格を有し、ならびにこれらの1044人の患者のうち、256人が処置1を受け;265人が処置2を受け;266人が処置3を受け;および257人が処置4を受けた。処置の説明については以下を参照のこと。さらに1032人の患者が修飾されたintent−to−treat分析に含まれた。
【0085】
投与組成物
研究患者を4つの処置群にランダムに分けた。処置1は、6時間ごとの1つのプラセボ錠剤および2つのイブプロフェン/プソイドエフェドリン/クロルフェニラミン(各カプレットあたり200/30/2mg)カプレット;全用量400/60/4mgのイブプロフェン/プソイドエフェドリン/クロルフェニラミンから構成された。処置2は、6時間ごとの1つのプラセボ錠剤、1つのプラセボカプレットおよび1つのイブプロフェン/プソイドエフェドリン/クロルフェニラミン(各カプレットあたり200/30/2mg)カプレットから構成された。処置3は、6時間ごとの1つのプソイドエフェドリン/クロルフェニラミン錠剤(各錠剤あたり30/2mg)および2つのプラセボカプレットから構成された。処置4は、6時間ごとの1つのプラセボ錠剤および2つのプラセボカプレットから構成された。
【0086】
投与のタイミングおよび症状のモニタリング
患者は約6時間ごとに1日3回(朝、昼および晩)、7日間で合計19〜21回まで投与された。初めの投与から2および3時間後、患者は、0=なし(症状が存在しない)、1=軽度(最小の症状認識、容易に耐えられる症状)、2=中程度(厄介であるが耐えられる症状が存在する)および3=重度(日常活動/睡眠を妨げ得る;耐え難い症状)の4ポイントスケールで自身のアレルギーに付随する疼痛の重篤度を評価した。その後の各投与の前に、患者は、任意のアレルギーに付随する頭痛および/または顔面の疼痛/圧迫/不快を感じるか否かを示した(イエスまたはノーでの返答が必要とされた)。1日目の晩(就寝前)ならびに2〜7日目の各朝(起床時)および晩に、患者は以下のアレルギー症状:鼻腔内鬱血、くしゃみ、鼻漏、鼻/咽/口蓋の痒み、目の痒み/涙目/赤目、およびアレルギーに付随する頭痛および/または顔面の疼痛/圧迫感/不快感の重篤度を自己評価した。0=なし(症状が存在しない)、1=軽度(最小の症状認識、容易に耐えられる症状)、2=中程度(厄介であるが耐えられる症状が存在する)および3=重度(日常活動/睡眠を妨げ得る;耐え難い症状)の4ポイントのカテゴリースケールを用いて各症状の重篤度を評価した。7日目の晩、アレルギー症状の評価を完了した後に、対象は該研究薬剤を総合評価し、アレルギー症状のための処置を0(悪い)〜4(優れた)のスケールでランク付けた。加えて、患者は、7日間の研究薬剤適用期間中に感じた任意の有害事象を評価した。患者は、有害事象を軽度、中程度または重度のいずれかとして評価した。有害事象の例は、傾眠、口渇、眩暈および不眠を含むが、これらに限定されない。
【0087】
評価基準
第一の有効性パラメータは、7日目の全体平均回顧的総症状スコアにおけるベースラインからの変化量であった。第二の有効性パラメータは、主な変数:(1)研究の初回投与から2および3時間後における疼痛強度差異スコアの時間加重合計(time weighted sun);(2)全体平均回顧的総抗ヒスタミン症状スコア(くしゃみ、目の痒み/涙目/赤目、鼻/咽/口蓋の痒み)を差し引いた全体平均回顧的総症状スコアにおけるベースラインからの変化;(3)投与前のアレルギーに付随する疼痛の発症(ベースライン測定を除く);(4)各処置日についての平均回顧的総症状スコアにおけるベースラインからの変化;(5)研究薬剤の全体的評価:を含んだ。
【0088】
統計分析
SAS(登録商標)Version 6.12を用いて全分析を行った。症状緩和の開始を、第一の時間ポイントとして定義し、ここで、対象の総症状スコアはベースラインから>15%減少した。全研究過程の間に対象のスコアがベースラインから>15%減少しないならば、開始までの時間を調べ、次いで、7日目のスコアを決定した。処置群間のランダムな発生確率が<0.05ならば、統計上有意な処置の差異が示された。処置群間のランダムな発生確率が0.05<p<0.15であるか、または処置群間で観察された差異が少なくとも10%であるならば、統計の傾向が示された。研究を確証するために、他の適切な統計的手段が必要に応じて用いられ、およびこれらは当該技術の範囲内であった。
【0089】
処置効果について対応するベースラインおよびセンターを含むANOVAモデルにより、ベースラインからの変化に基づく全ての変数を分析した。加えて、処置−ベースライン(treatment−by−baseline)および処置−センター(treatment−by−center)の相互作用効果を評価した。繰り返し測定ロジスティックモデルにより、投与前のアレルギーに付随する疼痛(ベースラインを除く)の発症を分析した。一般化推定方程式により、該モデルを交換可能な相関構造にフィットさせた。処置効果およびベースラインの疼痛重症度は該モデルに含まれた。センターを調整し、修正したriditスコアを用いて、Cochran−Mantel−Haenszel試験により、研究薬剤スコアの全体的評価を分析した。加えて、偽均一性(pseudo−homogeneity)試験を用いて、処置−センターの相互作用を算出した。Kaplan−Meier推定値を用いて、症状緩和開始までの時間の分布を推定した;SimonおよびLeeの方法により、時間中央値およびそれらの95%信頼限界を導いた。
【0090】
ANOVAモデルにより分析された各パラメータについて、最小二乗平均および対応する標準誤差における差異に基づいて、処置差異についての95%信頼区間を導いた。アレルギー関連疼痛の発症における各ペアワイズ処置の差異および症状緩和開始までの時間に関する95%信頼区間は、各々、対数オッズ比および対数危険比ならびに(Wald試験に基づく)それらの対応する標準誤差に基づいた。該研究薬剤の全体的評価における処置差異に関する信頼区間は、Goodman−Kruskal−Gamma統計およびその標準誤差に基づいた。
【0091】
有効性結果
全1044人の患者が登録し、および少なくとも一用量の薬剤研究を受けた。全957人の患者が研究を完了した。1032人の患者が評価された疼痛強度差異の時間加重合計を除く、全ての有効性変数の分析に、全1044人の患者が含まれた。
【0092】
有効性変数の分析において、処置−ベースラインおよび処置−部位(treatment−by−site)の相互作用効果は、変数にわたって一般的に有意ではない(p>0.1)ことが見出された。個々の回顧的症状についてのベースライン平均は、各々、鼻腔内鬱血2.3、くしゃみ1.7、鼻水2.0、鼻/咽/口蓋の痒み2.0、目の痒み/涙目/赤目2.0および頭痛/顔面の疼痛/圧迫感/不快感2.3であった。ベースラインにおける平均回顧的症状スコアおよび平均回顧的総抗ヒスタミンスコアは、各々、12.21および5.71だった。初回用量の研究薬剤が患者に投与された場合のアレルギー関連疼痛は、疼痛強度差異の時間加重合計について評価された1032人の患者のうち、対象の49%が中程度および51%が重度であるとランク付けた。ほぼ全ての対象(99.6%)が、初回用量の研究薬剤の投与時にアレルギー関連疼痛を感じていた。処置群は、上記ベースライン変数およびベースラインの個々の回顧的症状に関して比較できた。
【0093】
第一の有効性パラメータおよび主な第二のパラメータの結果は、処置1および処置2(より低い用量)が処置3(イブプロフェンなし)および処置4(全てプラセボ)よりも有意に良好な結果をもたらすことを明らかにした。
【0094】
患者についての3時間にわたる疼痛強度差異の時間加重合計は、処置1および処置2群について2.8だった。処置3および処置4は、各々2.1および2.0のスコアを有した。処置1〜4についての全体平均回顧的総症状スコアにおけるベースラインからの平均変化は、各々、5.6、5.4、4.6および3.8だった。処置群についての全体平均回顧的総抗ヒスタミン症状スコアにおけるベースラインからの平均変化は、各々、2.9、2.8、2.4および1.9だった。
【0095】
故に、処置2群の患者は処置3群(イブプロフェンなし)よりも、3時間にわたる疼痛強度差異の時間加重合計を33%改善し、および全体平均回顧的総症状スコアにおけるベースラインからの平均変化を17%改善した。また、処置2群の患者は処置4群よりも、全体平均回顧的総抗ヒスタミン症状スコアにおけるベースラインからの平均変化を47%改善した。処置1群の患者はアレルギー症状およびヒスタミン介在症状の全てについて数値的に良好な複合スコアを示すが、統計的傾向は確立できなかった。加えて、処置1および処置2群は、疼痛強度差異の時間加重合計についてほぼ同じスコアを有した。
【0096】
結果は、ヒスタミン介在症状を改善する場合にプラセボよりも有効であるので、2mg用量のクロルフェニラミンは抗ヒスタミン薬として有効であることを示す。また、処置群1の患者には処置群2と比較して傾眠の増大が認められた。
【0097】
結論
研究結果は、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬単独と比較して、試験した症状の処置において、特定用量のイブプロフェン/プソイドエフェドリン/クロルフェニラミンには有意な鎮痛/鬱血除去/抗ヒスタミン効果があることを示している。驚くことに、イブプロフェンは、アレルギーに付随する疼痛を緩和するだけでなく他の季節性アレルギー性鼻炎症状の重篤度も軽減することにより、組み合わせの全体的効果に寄与していることが見出された。これは、処置3(イブプロフェンを含まなかった)と比較して処置2(イブプロフェンを含む)のより良好な全体的効果により示される。驚くことに、両用量のイブプロフェン/プソイドエフェドリン/クロルフェニラミン(各200/30/2mgおよび全400/60/4mg)は季節性アレルギー性鼻炎のヒスタミン介在症状の緩和において等しく有効であることも見出された。加えて、処置1および処置2群の間には明らかな用量応答は示されなかった。
【0098】
全ての処置は容認され、および有害事象の発症は同用量のプソイドエフェドリンおよびクロルフェニラミンを含有する同様の薬剤について報告されているものと一致した。推奨用量のイブプロフェン/プソイドエフェドリン/クロルフェニラミンは、4ないし6時間ごとに投与される1カプレット−24時間で6カプレットを超えない−であり、というのも、両用量のI/P/Cは等しく効果があり、および2カプレットのI/P/C用量は1カプレット用量と比較して傾眠、口渇および無力症の発症の増大を示すからである。この投与量により、該製品を(日中の投与に加えて)就寝前および/または夜中に服用することが可能となり、および該用量は、認可されたOTC1日用量のイブプロフェン(1200mg)と整合し、ならびにモノグラフの1日用量のプソイドエフェドリン(240mg)およびクロルフェニラミン(24mg)よりもなお低い。
【0099】
本発明は、本明細書に記載された特定の実施態様により、その範囲を限定されるべきではない。実際、前記記載および添付の図から、本明細書に記載されたものに加えて本発明の様々な修飾が当業者に明らかとなろう。かかる修飾は添付の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0100】
上記記載の全ての特許、特許出願、雑誌論文、刊行物および試験法は出典明示により本明細書の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、MgO−HPMCマトリックスからのプソイドエフェドリンHClの溶解を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各有効量の(a)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、(b)鬱血除去薬;および(c)抗ヒスタミン薬を含む医薬組成物であって、ここで、該組成物は多層錠であり;ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つが多層錠の第一の層中にあり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも他の一つが多層錠の第二の層中にある、医薬組成物。
【請求項2】
NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の放出特性が本質的に適合している、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つが放出特性を拡張するよう修飾されている、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
NSAIDがプロピオン酸誘導体、酸性の酸誘導体、フェナム酸誘導体、ビフェニルカルボン酸誘導体、オキシカムおよびcox−2阻害剤の少なくとも一つを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
鬱血除去薬がプソイドエフェドリン、フェニルエフェドリンおよびフェニルプロパノールアミンの少なくとも一つを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
抗ヒスタミン薬がアステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロンフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、デスロラタジンドキシルアミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンおよびトリプロリジンの少なくとも一つを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
鎮咳薬をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
鎮咳薬がデキストロメトルファン、コデインおよびフォルコダインの少なくとも一つである、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
各有効量の(a)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);(b)鬱血除去薬;および(c)抗ヒスタミン薬を含む医薬組成物であって、ここで、該組成物は二層錠であり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つが二層錠の第一の層中にあり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも他の一つが二層錠の第二の層中にある、医薬組成物。
【請求項10】
NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の放出特性が本質的に適合している、請求項9記載の医薬組成物。
【請求項11】
NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つが放出特性を拡張するよう修飾されている、請求項9または10記載の医薬組成物。
【請求項12】
NSAIDがプロピオン酸誘導体、酸性の酸誘導体、フェナム酸誘導体、ビフェニルカルボン酸誘導体、オキシカムおよびcox−2阻害剤の少なくとも一つを含む、請求項9記載の組成物。
【請求項13】
鬱血除去薬がプソイドエフェドリン、フェニルエフェドリンおよびフェニルプロパノールアミンの少なくとも一つを含む、請求項9記載の組成物。
【請求項14】
抗ヒスタミン薬がアステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、アクリバスチン、ブロンフェニラミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、シクリジン、カレバスチン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、デスカルボエトキシロラタジン、デスロラタジンドキシルアミン、ジメチンデン、エバスチン、エピナスチン、エフレチリジン、フェキソフェナジン、ヒドロキシジン、ケトチフェン、ロラタジン、レボカバスチン、ミゾラスチン、メキタジン、ミアンセリン、ノベラスチン、メクリジン、ノラステミゾール、ピクマスト、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、トリペレナミン、テメラスチン、トリメプラジンおよびトリプロリジンの少なくとも一つを含む、請求項9記載の組成物。
【請求項15】
ナプロキセン、ロラタジンおよびプソイドエフェドリンを含む医薬組成物であって、該ナプロキセン、ロラタジンおよびプソイドエフェドリンが二層錠中にあり、ならびにナプロキセンおよびロラタジンが二層錠の第一の層中にあり、ならびにナプロキセンおよびロラタジンの放出特性に本質的に適合するように放出特性を拡張するよう適切に修飾されたプソイドエフェドリンが二層錠の第二の層中にある、医薬組成物。
【請求項16】
(a)抗ヒスタミン効果のある抗ヒスタミン薬;
(b)鬱血緩和効果のある用量の鬱血除去薬;および
(c)抗炎症効果のある用量の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);
を投与することを含む、哺乳類において鼻炎症状を緩和する方法であって、該抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬およびNSAIDが多層錠中にあり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つが多層錠の第一の層中にあり、ならびに抗ヒスタミン薬、鬱血除去薬およびNSAIDの少なくとも他の一つが多層錠の第二の層中にあり、ならびにNSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の放出特性が本質的に適合している、方法。
【請求項17】
医薬組成物の調製方法であって、
(d)非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬を選択し;
(e)各NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の持続特性を測定し;
(f)NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つを含む少なくとも一つの即放型マトリックスを調製し;
(g)NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つを含む少なくとも一つの徐放型マトリックスを調製し、ここで、該NSAID、鬱血除去薬および抗ヒスタミン薬の少なくとも一つは放出特性を拡張するよう修飾されており;次いで
(h)少なくとも一つの即放型マトリックスおよび少なくとも一つの徐放型マトリックスを層状固形投与形態に形成する:
ことを含む、方法。
【請求項18】
固形投与形態が多層錠である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
多層錠が即放型マトリックスおよび徐放型マトリックスの圧縮により形成される、請求項17記載の方法。
【請求項20】
多層錠が、即放型マトリックスおよび徐放型マトリックスの一方の表面に即放型マトリックスおよび徐放型マトリックスの他方をコーティングすることにより形成される、請求項17記載の方法。
【請求項21】
多層錠が、錠剤内に錠剤を作成することにより形成され、ここで、第一の錠剤部分が徐放型マトリックスから形成され、および第二の錠剤部分が即放型マトリックスから形成される、請求項17記載の方法。
【請求項22】
活性薬剤および活性薬剤の放出特性を修飾するのに十分である用量の酸化マグネシウムを含む、医薬組成物。
【請求項23】
徐放型ポリマーをさらに含む、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
徐放型ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび酸化ポリエチレンの少なくとも一つを含む、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
医薬活性剤および活性薬剤の放出特性を修飾するのに十分である用量の酸化マグネシウムを提供することを含む、徐放型医薬組成物の調製方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−501692(P2008−501692A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515519(P2007−515519)
【出願日】平成17年6月1日(2005.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/019200
【国際公開番号】WO2005/120465
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】